ニニンがシノブ伝゜3゜古賀亮一作品エロスレ4ゲノム

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225許されざるくのいち  第1話 
 今夜もまた楓の平凡な一日が終わろうとしていた。
(今日ももう終わりね……) 
 夕食と入浴を済ませて2階の自室に戻り、学校のちょっとした宿題を手短に片付けて明日の
学校の準備をし終えたとき、楓はベッドの上にごろんと横になってそれを実感するのだった。
 夜も9時を過ぎようとするこの時間から眠りにつくまでが、楓の最もゆっくり過ごせる、
今日と明日のはざまの自分だけのひと時だ。
(今夜も忍ちゃん、遊びに来ないのかな……?)
 かつて、とある日の今くらいの時間に突如どこからともなくこの部屋にやってきた忍者の
女の子、忍。今では楓の大親友だ。学校のある平日は、忍が帰り道で待っていることもあるが、
大体は夜、ベランダから楓の部屋に入ってくる場合がほとんどだ。
 忍が楓の部屋を訪れる頻度は週に1回か2回だが、ここ数日、忍は遊びに来なかった。
それは、数日に1度の忍の来訪がすでに生活サイクルの一部になってしまっている楓にとっては
なんとも言えぬ寂しさをもたらせていた。
(忍ちゃんだって毎日そうそうヒマじゃないんだろうし、仕方ないか……。ま、もうすぐ
週末だし、それまで待つとしますか)
 まだ眠くなる時間でもなく、寝っ転がったままボーッと天井を見つめ続ける楓の瞳は憂いの
色を浮かべている。
 その時、部屋のガラス戸を小さくコンコンとノックする音が聞こえた。
 条件反射のごとく楓は起き上がった。目を向けたベランダにはいつものニコニコ顔の忍が
立っていた。
「楓さん、こんばんは!」
 楓と目が合ったのを確認して、忍はカラカラと戸を開けた。 

                                        (つづく)