「ラーメンはカレー味ですよね」
話題を変えようと思ったが、ここの面子だとスカとかに移らないだろうか?
僕は少し背中に悪寒が走るのを感じた。
819 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/11(金) 16:45:35 ID:V541l980
「透さぁん…私のカレー、食べて貰えませんか…」
ぼくだけに聞こえる様にすり寄り、耳元で甘い声で囁いたのは、可奈子ちゃんだ。
ぼくは…
A「あ、カレー大好きなんです!是非お願いします!」
ぼくはわくわくしながら答えた。
B 何となく嫌な予感がして、聞こえないふりをした。
「俺は透くんを食べたいな」
B 何となく嫌な予感がして、聞こえないふりをした。
すると目の前に立っていた加奈子ちゃんは消え、いつのまにか俊夫さんが立っていた、
彼はふんどし一丁だった。
「透くん、君に大事な話があるんだ。」
「わしも、透くんに気があるんや。春子も夏美もおらん様になってしもたさかい言うけど、わし………」
禁断の二人の世界に入りかけてしまいそうになった時、香山さんにもたらされた危機により
存在自体忘れてられてしまっていた俊夫さんはわざと足音をならして露骨に不機嫌な顔をし、舌打ちしてぼくと香山さんの間に入った。
「困りますね、お客さん」
香山さんも負けてはいない。むしろ、俊夫さんの舌打ちを焦りと取り、楽しんでいるかの様だ。
「ん?何や?俊夫はん、そこどきんかいな?透くんはわしが好きなんや。何度かバッドエンドっちゅうやつで大阪にも来てくれよったし、深い仲やさかいな…ほな、透くん…いや、透はん…」
「や、やめて下さい!ぼくには真理が…」
近付いてくる香山さんの唇と加齢臭に、ぼくは思わず大きな声をあげてしまった。
「ほら、透くんは嫌がってるじゃないか。ワンサイズ小さめのビキニパンツより、ふんどしだよな、透!」
イセエビと桶もあるぞと言いながら、俊夫さんがじりじりと距離をつめてくる。
ぼくは誘うお尻じゃないと…なんて考えてる場合ではない。
「な、なんや、ミステリ篇やったら名前入力が「まげ」でもいけるくせに…」
「ん?透くんは、脂っこ過ぎるものは苦手なんだよ。だからあんたは問題外だ」
その言葉に、香山さんは真っ赤になった。
「な、なんやて!おどれが居らんかったら、わしは畳の上で大往生できとったんや!おどれのせいで、わしは!!」
「田〇と牧〇にいい思いをさせて貰っただろう」
訳のわからない…いや、解っては危険な話題にまで発展してしまっている。
「わしは元柔道部や!記憶力もばっちり折紙付きや!」
「どっちにしても大学6年生と中年じゃ話にならないよ」
「あほ」
「ばか」
熱中する口喧嘩に、ぼくは一時的にだろうが忘れ去られているみたいだ。良かった、助かった!
ぼくは足音を立てない様に二人から離れ、十分距離を取った後一気に走った。
必死のあまりに目を閉じて走ってたせいで、どん、と何かにぶつかってしまった。
真理だ。少女の様に純粋で可愛いぼくの真理が、ぼくを心配して来てくれたんだ!
「真理っ、恐かっ…」
「真理ちゃんじゃないよ。兄貴と呼んでくれと言ったじゃないか」
み、美樹本さんだった…
「間違えました!すみません!」
明るい所で見る、皮ジャンとブーツは目に悪すぎた。ぼくは回れ右をして、元来た道を戻っていった…つもりだった。
「俺はこんな事もできるんだぜ」
黒くぬめぬめとした触手の様なものが、美樹本さんから伸びてきた。
ぼくの身体は絡めとられ、前に進む事はおろか、身動きすらできない。
「透くん」
触手がぼくを引き寄せる。ずるずると引き摺られ、惨めな気持ちでいっぱいだ。
ああ、巫女服の様なものを着た夏美さんや、マシンガンの様なものを構えたみどりさんが見える。
大きな人間サイズの蜘蛛まで見える。
どうしてだろう、ぼくはただ、真理とふたりで楽しいスキー旅行に出掛けていただけなんだから、悲しむ事なんて何もないのに…。