【スクラン】スクランスレ@エロパロ板5【限定!】

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406これ誰か読んだことある?
「君は八雲君を心から愛しているか」
「…………あ?」

 保護者から教諭まで巻き込んだ阿鼻叫喚の死闘が繰り広げられた翌日の昼休み。
播磨は、痛む体を引きずって屋上への階段を登った。

「待たせたな」
 見慣れた少女に声をかける。色白の肌に赤味がかかった猫科の瞳、肩口で切りそろえた漆黒の髪が秋の風にゆれる。塚本八雲だ。
談講社新人漫画賞への応募が終わってから、まだ数日しか経っていないのに、微笑みかける少女に播磨は懐かしさすら感じた。
「いえ、それほどでも……」
 唐突な呼び出しはいつものことだった。
「でも、きょうは、どういった要件で?」
 訝る八雲に、
「そのことなんだけどよ……」
 播磨の口調は歯切れが悪い。
播磨が何かを伝えたくて煩悶している様子が見て取れる。頻繁に会うことは無くなったが、八雲は播磨の一番の理解者なのだ。
そう、自負してもいる。ひたむきに見つめる八雲に、観念したかのように播磨は、
「妹さん……、今、つきあってる奴はいねえんだよな?」と、尋ねた。
 今さら何を言い出すのだろう。中間試験中の出来事を考えれば、八雲に交際相手がいないことくらい誰でも気づきそうだが。
いや、目の前にいる播磨こそが交際相手ではないのか。質問の意味を図りかねた八雲は小首をかしげた。
「もし、そうなら……」
 天啓が訪れた。正式な告白? 鼓動が高まり、八雲の頬が薔薇色に染まる。
「つきあってみてくれねぇか、こいつと……」
 つきあってみてくれねぇか。播磨の台詞に八雲の感情は沸点に達した。顔が熱い。頬に手を添える。
播磨の顔をまともに見てられなくて、八雲は顔を伏せた。
 こいつと……。こいつと? 誰? 視線をあげる。播磨の肩越しに歩み寄る人影が見える。
「八雲君!」
 好きだ。花井の感情が視える。眼を転じて播磨を見る。何も、何も視えない。涙が一筋、零れ落ちた。
「妹さん!」
 呼び止める播磨の手を振り切り、八雲は階段を駆け下りた。