ガッツ×シールケ
セルピコ×ファルネーゼ
など読みたい誰か書いて下され
え2ゲット?
3 :
名無しさん@ピンキー:04/10/22 03:47:52 ID:NYDLCOlN
じゃあ初3げっと。
4 :
名無しさん@ピンキー:04/10/22 13:19:52 ID:/lj8RPoh
普通にガッツ×ファルネーゼを希望
ベルセルクだし猟奇っぽいのもアリだな。
黒犬とか使徒とかトロールとか・・・。
鍛冶屋のとこの可愛いカプのエロが見たい
30までいかないとすぐ落ちるよ
保守
以前もスレ立ったけどあえなく沈んだっけなぁ。
れっつ・えんじょい・あーんど・えきさいてぃんぐ!
とりあえず即死回避まで、雑談でもしませんか?
えっと好きなキャラは誰っすか? 漏れは、シールケっす。
俺XシールケでSS書いて〜
保守 保守
シールケ萌えに一票
トロール×シールケも見てみたいかも
うわぁ! それキッツイなぁ…。
漏れは、上で出てるけどシールケXガッツが見たいかな。
あと、シールケXドロピーやシールケXソーニャもいいな。
ガッツ×シールケは普通にいいね是非みてみたい
どうも自分はシールケの絡みが見たいだけかもしれん
神光臨を期待しつつ今日は寝るっす
15 :
名無しさん@ピンキー:04/10/23 05:50:52 ID:w84PXBk8
キャスカが好き。鷹の団の頃の。
なにを隠そうジュドーが好き。 是非キャスカと絡ませて上げて欲スィ〜・・・
クリケットだっけ?鷹の団の生き残り
あいつとエリカの絡みが見たい
リッケルト…。
しかし、エリカの年令も不詳やね。初登場から3年は経ってるはずなのに
まるで成長しとらん。いったい何歳なんだよ。
リッケルトだったね、すまん
ま、このスレも即死しそうだから
見る事は出来ないだろうけど
死なせはせん、死なせはせんぞぉ!
21 :
名無しさん@ピンキー:04/10/23 20:49:11 ID:juNavC6d
即死回避っていくつだったっけ?
大体30って言う説と、一日一回更新していればおけ、と言う説を聞いたことが。
じゃ、あと7つレス付けばとりあえず大丈夫かな。
支援保守
追加支援
26 :
名無しさん@ピンキー:04/10/24 10:37:42 ID:A0tslctD
ファルネーゼ×イシドロ
ピンクの波動を感じる・・・だろうか・・
27 :
名無しさん@ピンキー:04/10/24 13:58:52 ID:KGPbP88D
シールケはイシドロとだろ!
28 :
名無しさん@ピンキー:04/10/24 18:03:49 ID:MDyD2sXh
ガッツ×シールケで
リッケルトは何気に…
30 :
名無しさん@ピンキー:04/10/24 21:10:41 ID:TydAwS5l
支援
即死回避、感謝!
イシドロ×娼婦のおねえさま方とか
保守!!
34 :
名無しさん@ピンキー:04/10/25 20:58:43 ID:mTBTd4nf
フォルネータン…
35 :
名無しさん@ピンキー:04/10/26 01:35:26 ID:q8ffvJ0T
シールケたん はぁはぁ・・
36 :
名無しさん@ピンキー:04/10/26 05:10:08 ID:+pGadAiD
シールケとイシドロ
エリカ
あとなんだっけ羽生えてる奴
羽が生えているヤツと言えば、パックにイバレラ。
スランと後は・・・ロシーヌくらいか。
羽キャラは流石にサイズがな・・
マッチ棒でも突っ込んどけ…っつーか、
パックが男の子でイバレラが女の子だから
2人を絡ませれば良いじゃん。
あいつら性別特に無かったんじゃないっけ
41 :
名無しさん@ピンキー:04/10/27 08:09:28 ID:0PqYoGBS
パックは中性的なんだが、イバレラは乳があるし女っぽいよなぁ…
使徒も見たいね
43 :
名無しさん@ピンキー:04/10/27 11:56:01 ID:mZg9QuzA
世界が世界だけに乳があるだけという説も
44 :
名無しさん@ピンキー:04/10/27 16:06:41 ID:0PqYoGBS
乳があっても穴がないとな
ロシーヌ。やりたい
ゴッドハンドの女に陵辱されるガッツきぼん
47 :
名無しさん@ピンキー:04/10/29 00:41:48 ID:YpBYbyCX
シラットの見たい
100いくまでにSS来るかな?
シールケ…こんなに愛しているのに…
シールケでたのんます
シールケ…こんなに愛しているのに…
52 :
名無しさん@ピンキー:04/10/30 10:55:06 ID:u2+LlDv2
ある日、平穏な家庭に赤ちゃんが一人産まれました。
その子は「シールケ」と名前をつけられました。
シールケは驚いたことに、産まれたばかりですぐに言葉を発したのです。
第一声は、 「おじいちゃん」でした。おじいちゃんはひどく喜び、涙を流したそうです。
ところが次の日、おじいちゃんは死んでしまいました。
シールケはまた、言葉を発しました。 「おかあさん」と。
そして次の日には、おかあさんが息を引き取りました。
おとうさんは震え上がりました。どうすればいいんだろう・・悩みに悩みました。
一時は子供を殺す事まで考えましたが、さすがにそれは出来ませんでした。
そして、ついにシールケは言いました。「おとうさん」と。
お父さんは半狂乱になりました。
次の日、隣のおじさんが死にました。
53 :
牛男:04/10/30 12:17:50 ID:ATtNzOdv
「……なんで、こんな気持ちになるんだろう」
大きな帽子の鍔を弄びながら、シールケが呟く。
その前でふわふわ浮いていたイバレラが、左手を腰に当て、右手をシールケに突き出した。
「それは、すばり――恋よ!」
「〜〜〜〜!」
ズバ恋を指摘されたシールケは、イバレラを帽子で捕まえ、きょろきょろと辺りを見渡す。
ここは静かな海岸線。
お馬鹿なイシドロが波に向かって突進し、あえなく押し返されている。他の皆は思い思いの場所で休憩しており、ガッツはひとり、岩陰の方へ向かっていた。
その逞しい後ろ姿を見送りながら、シールケは唇を噛む。
(どうして、あの人に……)
こうも惹かれてしまうのか。
年齢も違う。住んでいる世界も違う。
ガッツは平穏の対極に位置する危険な男だった。人間の身でありながら、幽界〈かくりょ〉の暗部に半身を宿し、それでも生きながらえている。
限界まで鍛え抜かれた鋼の身体。
揺るぎのない精神。
そして、おどろおどろしい武具の数々。
自分に対しても他人に対しても厳しいが、時おり――本当に稀ではあるが――優しさを見せてくれることもある。
自分の心の奥底に芽生えた気持ちに対して、シールケは嘘をつけなかった。
(確かめてみよう。あの人と向き合って)
イバレラを帽子の中に残したまま、シールケは駆け出した。
キタ━━━(゚∀゚)━━━ !!!!!
キタ━━━(゚∀゚)━━━ !!!!!
キ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
57 :
牛男:04/10/31 09:52:23 ID:BXxzCI/F
「いいもんだな、こういうのも……」
シールケの気配を察したのか、ガッツは振り返りもせずに言った。手ごろな岩に腰をかけ、穏やかな海岸線を何とはなしに眺めている。
乱れた呼吸を整えながら、シールケはガッツが座っている岩の正面に回り込んだ。
「あの、ガッツさん……」
口に出した途端、次の言葉を失った。
確かめる? どうやって?
相手の気持ちはこちらに向いてはいない。不本意ながら、子供だと思われているだろう。こんな状態で、何を確かめるというのだろうか。
「どうした?」
「え、いえ……その……」
シールケは極度の緊張から顔を赤らめ、もじもじと杖を弄んでいる。
その様子を見て、ガッツは我が意得たりと頷いた。
「分かったよ。この場所は譲ってやる。岩に囲まれて、ちょうどいいからな」
「? 何のことですか」
「便所だろう? 砂を掘って埋めちまえ」
……便所? 埋める?
「――ち、違いますっっっ!」
シールケは絶叫しながら杖を突き出した。
ゴチン!
確かに、旅の途中で用を足すことは――特に女性にとっては大きな問題である。ここは海岸線で、身を隠す場所も少ない。ガッツの言う通り、ちょうどいい場所ではあるだろう。だからといって、こんなデリカシーのないことを面と向かって言われるとは思わなかった。
「わたしは! そのっ! あなたとお話がしたかっただけで――!」
恥ずかしさのあまり涙を浮かべてしまったシールケだが、はっと気付いた。
岩に腰をかけているガッツが、虚ろな眼をしている。
「あっ!」
しまった。とっさのことで魔術を使ってしまった。
シールケには人の精神を混乱させる力がある。といってもごく微弱なもので、すぐに解けてしまうのだが。
「あの……ガッツさん?」
「なんだ?」
ガッツは力なく答える。相変わらず虚ろな瞳で、気だるそうだ。
シールケはごくりと鍔を飲み込んだ。
今のガッツは、自分の言葉に逆らうことができない。
58 :
牛男:04/10/31 12:05:17 ID:sSjAWllo
すまん。最後に誤字があったな。
鍔→唾。
>牛男さん
ドキドキ……次の展開に超期待します!
>牛男さん
がんがれーじっくり待ってます!!!!
(・∀・)期待sage!!
やっぱベルセルクは難しいと思うよ。
キャラの性格は原作のパワーが強すぎて壊せないと思うし
世界観も重厚すぎて突飛な事をするとギャグになると思われるしね。
そんな中、牛男氏は原作を忠実にトレースして頑張ってるなぁと。
お疲れ様です。続きをゆっくり待ってます。
(・∀・)マダ〜?
64 :
名無しさん@ピンキー:04/11/03 23:39:47 ID:6amJ87R4
期待age
ファルネーゼの元を去ろうとするセルピコを追うファルネーゼ
ついにファルを受け入れるセルピコってのはどうだろう?
神様お願いします
>>65 うがあ〜〜〜〜〜イイー!!!それイイー!!
ガッツ×女体化ドノバン
シスターモズグズ様キボン
>>65 強制とかじゃなくて双方合意の上でって展開希望
ベルセルクじゃ珍しい展開だが
時々、またーり少女マンガちっくなのを見たいです
ベルセルクでエロパロつぅたらレイープやら獣姦やらキボンヌする人が多いかと思ったら
>>65みたいなのも需要あるんね。
書いてみようかと思うけど、ベルセルク全巻貸し出し中('A`)
>>69 神様!お願いします!
綺麗な感じでお願いしますです〜〜〜〜m(_ _)m
71 :
名無しさん@ピンキー:04/11/06 15:28:48 ID:PT8P6/fp
モズクズ&シールケのエロエロ魔女裁判とかみたい
やはりここはベルセルクのテーマであるガッツがグリフィスに一発を食らわせる事を、はるか昔に達成したゲノン提督×グリフィスでしょ
73 :
名無しさん@ピンキー:04/11/09 05:08:11 ID:0KeJdq9Q
期待age
ガッツを逆レイープするスラン様きぼん
75 :
名無しさん@ピンキー:04/11/10 23:39:03 ID:hXK1nrEp
>>71
モズクズは「剛力招来、超力招来」とか言うんかな
あれは結構笑ったんだが・・
76 :
名無しさん@ピンキー:04/11/11 03:21:42 ID:hNxpOa8Q
132 名前:レ プ ◆kmQMSZO1Ho 投稿日:04/11/10 20:12:08 ID:uc+Ub9H1
んで、汁気が妙にあたわたしてるんで、ガッツが「?」な顔をすると、
「あ、あの、ガ、ガッツ、さん、手、手がぁぁ・・!!」とゆでだこ状態。
見ると、ガッツの右手がしっかりと汁気の薄いが弾力に富んだ胸を鷲づかみにしていた。ローブなので分かりづらいが、汁気はBカップである。
「わりぃな」とだけ言うとぶっきらぼうに右手を離すガッツ。
しかしガッツは気付かなかった。ガッツの左手の義手がしっかりと、汁気の股間を下から包み込むように支えていた事に・・!
硬質な触感に汁気自身も気付いていなかったが、汁気が数秒後に蒸気を噴出して失神した事は言うまでもない。
133 名前:レ プ ◆kmQMSZO1Ho 投稿日:04/11/10 20:25:12 ID:uc+Ub9H1
「わ、わりい」再びガッツがぶっきらぼうに、いやどこか戸惑いながら慌てて義手をどけようとすると、
「あ!!?」当然、それまで支えられていた汁気の身体はバランスを失い、よろめいてしまった。
そこで起きてはならない事が起こってしまったのだ。汁気のパンツの金具に義手の磁石が強力にくっつき、
つんのめる汁気の身体と引っ張ろうとする義手に合わせてするりと膝の辺りまで脱げてしまったのだ!
「ん゛ん゛ぅぅぅぅ〜〜!!??」動転とパンツが足に絡まっているとで更にバランスを失い前のめりに倒れる汁気。
目の前に広がる汁気の局部に一瞬戸惑いながらも、このまま転ばせるのもアレなので、そのまま義手を持ち上げるガッツ。
しかし、それが更なる悲劇をもたらした。汁気はマンコ丸出しでケツをガッツの顔に突き出した体勢で宙ぶらりんという、余りに恥辱的な体勢を取らされてしまったのだ!
「う、うぅぅ・・・ふぇぇ・・・」初恋の人にこんな惨めな租マンの晒し方をするなんて、とショックで涙がこぼれてくる汁気。
その一方でガッツは、四つんばいで無力にケツを向ける汁気の姿に既視感を覚えていた。「ガ、ガンビーノ・・・」無意識に青い局部に指が伸びる。
「んっっ!」
77 :
名無しさん@ピンキー:04/11/11 03:22:29 ID:hNxpOa8Q
135 名前:レ プ ◆kmQMSZO1Ho 投稿日:04/11/10 20:45:30 ID:uc+Ub9H1
「ひっ!・・んっ!・・ガ、ガッツさん!?」ままならない体勢で首をよじり、ガッツの凶行をあらためる汁気。
しかし彼女自身の頬が上気している事に汁気は気付かない。
「お、俺は・・俺は・・・イクつもりは無かったんだ・・」鬼気迫る表情で、汁気の蒸れて異臭を放つ秘所に舌を割り込ませるガッツ。
「あ、そ、そんなぁ!ガッツさん!や、やめ、て、ください!んぁぁッ!」懇願しつつも、魔術をガッツにかけてまで留まらせる気が無い自分に困惑する汁気。
そして、これから先に自分を待つ未だ知れぬ快楽に対して、期待に息を荒げている自分の姿もそこにあった。
「あァ・・・一人の時より、溢れる・・あ、溢れるところ・・汁気の汁気を・・ガッツさんに、見られちゃう・・・・」恍惚とした表情でつぶやく汁気。
81 名前:レ プ ◆kmQMSZO1Ho 投稿日:04/11/10 21:27:37 ID:uc+Ub9H1
淫靡なまぐわいは終わりを迎えようとしていた。
「ガッツさん・・顔に・・・」ガッツの陰茎をしごき、攻め立てる汁気の白い両の手の速度が一層激しさを増す。チュコチュコチュコ!
「ぐ、ぅぁあああああ・・っっ!!」ガッツの股間に甘い痺れが走る。思わず汁気の頭を掴んで亀頭に引き寄せる。
そして、汁気の十指の責めが最高潮に達し、そして同時に汁気の唇の間に亀頭がぷりゅんと割り入った瞬間、ガッツは激しく絶頂に達した。
ビュ、ビュビューッ!!ビューーッ!激しい勢いで汁気の口内壁に白濁液が打ち付けられ、飲み下す間もなくあっという間に汁気の口が膨らんでいく。
流石にこらえきれずに口から吐き出した亀頭から飛び散った粘液は、汁気の幼い顔、艶やかな髪、未発達の肢体にドプドプとクリーム色のデコレーションを施し、
その背徳的で倒錯的な光景は、もはや形容する語を見つける事など出来ようもなかった。
ワラタ
レ プだしなぁ。
保守
ホッシュ
がいしゅつと思うがふと思った事。
呪いの甲冑を初装備した時ってガッツはその影響で腕を折ってなかったっけ?
その怪我の程度次第では治るまで唯一の腕が使えなくて自分では小便も辛いかも
パックの治癒能力でも早く見積もっても数日は掛かりそうだし、
もしかして汁気にズボンを下ろして貰った上に(ry
妖精の粉って血止め化膿止めくらいの効果しか無いように思えるんだけど・・・
グチャグチャに折れた骨折なんかは修復できないと思う。あれどうやって直したんだろうね
hosyu
レブがいんのか
書く気、無くなるなぁ‥
シールケの汁気きぼんw
シールケのオナニーきぼおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん
お、俺こんなに期待されてんのか。
じゃもっとエロを書かないといかんな。
89 :
:04/11/22 01:46:43 ID:jtMQMC3x
ガ ン ガ レ
シールケのオナニーきぼおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん
91 :
名無しさん@ピンキー:04/11/22 16:06:25 ID:to6tXkEV
保守
旅の途中に天然の温泉を見つけたガッツ一行のお話(妖精はウザいので死亡という設定)。
一人岩に腰かけるガッツの元に、手ぬぐいを脇に抱いた汁気が駆け寄る。
お湯の下見の際に湯気を浴びたのか、濡れた前髪が額にしんなりと張り付いていて、どことなく艶っぽい。
「あれ、ガッツさんは入らないんですか?」
「ああ、俺はいい。コイツを脱ぐと落ち着かなくてな。お前らだけで入って来たらいい」
「でも傷にも良さそうですし・・」
「先生〜!早く入りましょう〜!」
ファルネーゼが大岩の向こうから顔を出していた。
温泉は、一ヶ所がガッツのいる場所から大岩を挟んで向こう側に存在しており、そちらが女湯という事になっている。
「ほら、ガキんちょはさっさと温もってこい」
ガッツはそう言うと、ペシッと汁気の尻をはたいた。
やましい気持ちの無い何気ない行為であったが、ローブの薄い生地越しにブルンッと肉厚な感覚が指に伝わった事に、ガッツは少々驚いた。
「きゃ、きゃッ!・・・も、もぅーーッ・・」
頭から湯気を出しながらも、しぶしぶ諦めた汁気。
「・・じゃあ、私たちだけで行って来ますからっ」
「ああ、そうしろ」
93 :
:04/11/22 21:26:09 ID:lKpsJzzp
ガンガレ レプ
「くしゅんっ」
焚き木の爆ぜる音の中、一際大きくくしゃみが響いた。
「どうした、シールケ?湯冷めしたか?」
隣で寝ていたガッツが、シールケの方に寝返りを打つ。
「あ、ガッツさん・・す、すみません、起こしてしまいましたか?」
必然的に二人の顔が近づき、シールケは気恥ずかしさから顔の半分までシーツを被ってしまった。
「そんな事はいい。明日の朝は相当冷えるぞ。湯冷めしたんなら今からでもさっさと入り直して来い」
「そ、そうですね・・・では、ガッツさんのお言葉に甘えさせてもらいます」
シールケはいそいそとシーツから抜け出ると、手ぬぐいと松明を手に温泉の方に向かった。
「月明かりがあるとはいえ気をつけろよ」
・・やがてシールケの姿が見えなくなる。
「・・・」
やはり一応念の為、とガッツは立ち上がった。
大岩に辿りつくと、ガッツは聴覚を集中して岩越しにシールケの安全を確かめた。
闇の静けさの中に、シールケの、ずず、ずず、と鼻をすする音が響いている。
(あの馬鹿、まだ入って無いのか・・)
やがて、鼻をすする音の合間に、しゅる、しゅる、と衣擦れの音が加わりだした。
(ローブは比較的スムーズに脱げたようだ。下着は・・足首で絡まって苦戦しているようだ)
(・・・・・・・・・・・)
(何やってんだ、俺は・・・)
音の主を探ろうとする余り、いつしか衣擦れの音からシールケの脱衣シーンを思い描いていた自分に呆れる。
ちゃぽ・・・ん
ようやくシールケが湯に浸かり、ガッツも大岩の下に腰を下ろして休む事にした。
「よっこらせっと・・っと・・・・しぇ・・しぇ・・・しぇっくしゅん!・・・・・・・」
不意に飛び出たガッツのくしゃみ。口を抑えるが既に遅い。
「だ、誰ですか!?・・ガ、ガッツさんですか!?」
ばしゃばしゃと音が立ち、岩の向こうからでもシールケが動転しているのが分かった。
「・・・・ああ。俺だ」
「えー・・・・と・・・あの・・・」
「流石にお前一人で行かせるのも無責任だと思ってな。見張り役だ」
「そ、そうでしたか。・・ガッツさんも一度に温泉に浸かってないせいですね、私と一緒で風邪をひいちゃったみたいですね」
くす、と微かな笑い声が響いた。
そして、僅かな沈黙の後。
「・・・あーーあの、ガッツさんが宜しかったら、い、一緒に温泉に入りませんか?」
「・・はあ?」
「あ、あの、あの、もちろん背中合わせですから!私もガッツさん見ないですしガッツさんも見ちゃいけませんから!それで、あの!」
湯にのぼせるまでもなく茹蛸になっているシールケの姿が頭に浮かんだ。
「・・・じゃ、そうさせてもらうか。二人が別々じゃ見張りどころじゃないしな」
「は、はい・・・・・っっ!」
がちゃり、がちゃり。
ガッツの鎧が重々しい音を立てて、一つ一つガッツの肉体を解き放っていく。
がちゃり。
そして最後のパーツが外れ、隆々としたガッツの筋肉、その肉体全てが露わとなった。
ガッツは、傍らに綺麗に折りたたまれたローブとズロースをちらりと見やると、そのまま温泉へ向かった。
大岩の陰からガッツが現れるやいなや、ばばっと背を向けて俯くシールケ。
一方、お湯から生えた白く幼い背中を視界の隅に捉えつつ、無言でガッツはお湯に浸かった。
・・・・ちゃぽん。
少し傷に染みるが、悪くない。ガッツはそう思った。
ちょうどシールケと3,4mほど離れた場所で、ガッツは腰を下ろし、シールケに背を向ける。
後は目を瞑り、ただ身体を癒す事に集中・・・する筈だった。
ちゃぷ・・・ちゃぷん・・・
情欲をかき乱すかのように絶えず撥ねるお湯の音、
そして、耳を澄ませば確かに聞こえる、背中越しに聞こえるシールケの「はあ・・っ・・はあ・・っ」とどこか期待に荒げたかのような息遣い、
それらが月夜に照らされた静かな温泉内に官能的に交じり合って響く。
またその一方で、温泉の倒錯的な硫黄の香りが鼻腔をくすぐり、肌を撫でるように揺らめく熱い蒸気が、絶え間なくガッツの理性を吹き飛ばそうと責め立てる。
くらくらとした頭の中、ガッツは、自身のすぐ背後に全裸で佇む幼い少女、彼女を押し倒すまいと何とか理性を保っていた。
98 :
レ プ ◆jgESziZF76 :04/11/23 00:31:51 ID:JTBlsYtr
ファルにここまでさせといて、汁気にエロ要素一つも無いのはおかしいよな。
ファル・・オナニー、見せつけオナニー
ジル・・レイプ未遂、羊水ぶっかけプレイ
ロシーヌ・・ワレメ露出
汁気・・ガッツに手コキフェラ尻ズリ顔射口内射精
これくらいで丁度だろ。
おいおい放置プレイでぃすか?
IDがなんか気に入ったので上げてみる
101 :
レ プ ◆bMulnfq0ZI :04/11/25 03:40:24 ID:jMRg0Kkx
ワイワイといえば、契約無しの従量制ネット接続。あれは重宝したなぁ・・
シールケのオナニーきぼおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん
今回は可愛かったな
104 :
:04/11/28 20:26:56 ID:YdnXsrCe
レプレプレプレプレプレプレプレプレプレプレプレプレプレプレプレプ
レプレプレプレプレプレプレプレプレプレプレプレプレプレプレプレプ
レプレプレプレプレプレプレプレプレプレプレプレプレプレプレプレプ
レプレプレプレプレプレプレプレプレプレプレプレプレプレプレプレプ
レプレプレプレプレプレプレプレプレプレプレプレプレプレプレプレプ
シールケのオナニーきぼおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん
保守
シールケのオナニーきぼお
シールケ「ガッツさん・・・が・・・私のあ・・そ・・こ・・・・・にオチン・・チン・・・を擦りつけ・・て・・・あっッ!!」
110 :
:04/12/05 14:14:22 ID:Dw3STv1+
レプレプレプレプレプレプレプレプ
レプレプレプレプレプレプレプレプ
レプレプレプレプレプレプレプレプ
レプレプレプレプレプレプレプレプ
顔みたいだな
汁気、人気だなー
ジュドーとキャスを絡ませて欲しい
112 :
名無しさん@ピンキー:04/12/06 01:18:55 ID:KDTGIxw2
グリフィス×ガッツで
シールケ タソ!!!
俺のファルたんがガッツに寄りかかって頬染めたのに、あれ以降フラグもなく出番がなくなってしまった
保守
誰もいないのか
寂しくなるから点呼は止めようぜ
強いてきぼんぬするならファル×キャスかな。
抱きつかれながら頬染めてるシーン多いし。
本編で十分エロいからいいよ。
119 :
名無しさん@ピンキー:04/12/12 07:04:03 ID:oWoa39K+
シールケ可愛い!!
以前、
シールケでググったら、
シール ケロケロ
が出てくるのは焦った。
漫画同様、いい感じで廃れてきました!
神降臨期待 保守
>>121 ワロタ。漫画もビミョーに廃れてきてる気がするよ。
age
_ ∩
( ゚∀゚)彡 キャスカ!キャスカ!
⊂彡
ほしゅ
しかし、ガッツ×シールケって体格差が気になる。
ガッツのがあの細い体に入るなんてなあ。想像するだけで痛そうだ。
だからいいんだけどな
ズンズン突き上げるよ
個人的にはマンズリ顔射の方がシールケにピッタリだと思うけど
130 :
名無しさん@ピンキー:05/01/08 07:14:09 ID:u6VbW7uU
神よ現われたまへ…!
誰か書けやぁ
興味本位で童貞イシドロに迫るファル&シールケとかどうだろうか。
セルピコに現場を見られてイシドロあぼーん。
やっぱガッツ×シールケorガッツ×ロシーヌorガッツ×ジル しか有り得ないだろ
硬派な男ってのは、ストイックという先入観があるせいでエロに絡めにくいなあ…
やるとしたら純愛パターンか、完全陵辱パターンか…ガッツ自身のドラゴン殺しで使徒とSEXで戦うってのわ?
さむ
こわいよw
>136
ベルセルク外伝 ハードプレイ編
仕置きでレイプって
レイプマンかよw
>>136 硬派な男とは思うが一巻の最初の最初からあれだし、SEXは結構経験してるんじゃないかな……と思う盛れ。
使徒相手に起ってる訳だし。
今はキャスカいるから、女とくっ付かないだろうな
ファルネーゼあたりは頼み込めば抱いてくれそう
女喰らってる時はかなり無防備だからなあ…
シチュがむつ加水
ろ紙犬と空中FUCKとか…駄目?
とりあえずみんなで1行ずつ作っていこうか。
シールケ「ガ、ガッツさん!私の顔に沢山かけてください!!」
ろ紙犬と空中FUCK
素晴らしい。
汁毛が魔法使う時に精液が必要ってことに
汁毛が魔法使う時に精液が必要ってことに
素晴らしい。
149 :
名無しさん@ピンキー:05/01/15 00:45:39 ID:3GVECPwR
単行本うっぱらってしまったのだが、父親が自分のことを本当の娘か疑ってたのって汁゛だっけ、ろ紙犬だっけ?
詳細忘れちった…
ロシーヌじゃなかったっけ?
うろおぼえ
152 :
名無しさん@ピンキー:05/01/19 22:16:57 ID:Zve4U/ka
>>147 ザー汁を5L飲みほさないと魔法発動できない体になってしまいますた。
という設定でだれか頼む。
>>152 「まだ足りません。もっと、、もっとくださいガッツさん、、」
て萌えるし読みたいけどなんて馬鹿な設定w
えー!マジ狂帝!?
キモ−イ!
空中FUCKマダーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!
プリッキュア プリッキュア
プーリキュッア プーリキュッア ×2
プーリティーでー キューアッキュアッ
ふーたりーは
ガニシュカァァー!!!
連載再開1ページ目でいきなりベッドで一緒に寝てるガッツと汁毛タンきぼんぬ
ここで一発大帝さまを。
160 :
競艇:05/01/24 20:20:30 ID:TzJcaixI
再開してもエロは無し
空中FUCK…
ベルセルクって同人でないのかな?
見たことないけど
エロ同人は少ないな。ホモ系と評論はいっぱいあるけど…
知ってるのは、デロリアンとジ○トピアのくらいだ。
シールケ自慰。
旅の途中という設定。原作が実家なので場所とか適当。あと霊樹の館であってましたっけ…
****************
1/5
シールケは周囲を見回すと、こっそりと納屋の扉を開ける。
奥まったあたりにはオレンジの香りのする藁が積み重なっていた。
その上に身を投げ出し、大きくシールケはため息をついた。
トロールから逃れようと農民たちは何もかもそのまま置いていったようだった。
旅の途中の村は無人で、一行は空いた家を借りて休んでいる。
その家をそっと抜け出したシールケは、こうして一人になれる場所を探していたのだ。
(疲れた…)
シールケは自分のか細い体を自ら掻き抱き、藁に顔を押し付けた。
昨晩は久々にベッドで休んだはずの体は、妙にけだるい。
理由は自分でもわかっている。
シールケはそっと指をスカートの中に滑り込ませ、下着の上から股間の膨らみをなぜた。
「んっ…」
霊樹の館にいた頃からの習慣だった。
霊的な力を保てるよう自分の体と対話するために。
性魔術を操るために。
魔女としての力を保つためにはは性的な刺激が必要なのだ。
2/5
少し指でなぜるうちに、下着はじっとりしめってきた。
ご無沙汰だったせいだ。
(早く終わらせて戻らないと……みつかっちゃう)
声が出ないように服の襟のあたりを引き寄せ、噛みしめる。
そして拙い指つきで、刺激を続けた。
すぐに下着の上からでは物足りなくなってきた。
期待をこめて下着の隙間から指を差し入れると、そこはすっかりとろけきっていた。
(どうしよう……こんなになってる……)
ぬるつく自らの愛液にシールケは興奮し、ますます指を深く差し込んでいく。
割れ目のあたりに指の腹を這わせて、敏感な突起を探す。
(んんぅ……)
クリトリスに指が触れ、シールケはびくりとからだを痙攣させた。
(やだ、もうイっちゃいそう……)
早く終わらせなければ、という焦りもあったが、久々の自慰を十分に楽しみたいという
欲望もあった。
大丈夫、まだ大丈夫……みんな眠ったのは明け方だから、まだ寝てる。
シールケは自分にそう言い聞かせ、目を閉じて意識を股間に集中させる。
3/5
自らの敏感な突起をつまみ上げ、こすりあげながらシールケは妄想モードに入った。
自分の体にタッチする男の姿を思い描く。
霊樹の館にいた頃は、特に誰というわけでもなく、理想の男性とのセックスを思い描いていた。
例えば、森の中で出会った逞しい狩人に陵辱されつつ感じる自分や、
時には若々しい貴族の青年と豪奢なベッドの上で抱き合う自分。
でも今は違う。
シールケの心に浮かぶ男はただ一人。
(ガッツさん……)
空想の中で彼は激しく自分を弄る。
か細い腕を握り、押し倒し、乱暴に服を捲り上げてまだ成熟しきらない体を舐める。
激しく、時にやさしく。
逞しい体に組み敷かれて、愛撫される自分の姿を思い浮かべてシールケは息を荒げた。
クリトリスをいじる指先は自然に動きを早め、足先にも力が入る。
(はあっ……だめ、ガッツさん……激しすぎます……)
くちゅくちゅといういやらしい水音が耳に届き、ますますシールケは興奮していく。
絡みつくローブがもどかしい。
(どうしよう、脱いじゃおうかな……下着だけでも……)
一度自慰を中断し、シールケは下着を膝までずりおろして、ローブを捲り上げる。
そして四つん這いになって股間に手をのばした。
今誰かが納屋の扉を開ければ、大事な部分を全て見られてしまうだろう。
一瞬躊躇したが、体の中でくすぶる欲望の方が勝った。
(大丈夫だよね……まだ、平気だよね)
4/5
火照った尻にひんやりした外気が気持ちいい。
(うぅ……ガッツさん……)
シールケは頭を伏せ、尻を突き出し、腰をくねらせながら自慰を続けた。
クリトリスだけでは物足りない。
もう一方の手でそっと愛液のにじみ出る膣口の入り口のあたりをこねて、さらに快感を高めていく。
(ガッツさん、入れてください。もう我慢できない、ガッツさんのおちんちんが欲しいです)
妄想の中のガッツは、犬のような姿勢のシールケの腰を掴んで、
逞しいペニスを股間にあてがう。そして貫く。
同時にシールケは指を差し入れ、中の刺激もはじめた。
「うあぁ……ん……」
思わずいやらしい喘ぎ声が漏れる。
まだ成熟しきっていない性器は、指一本でも狭く感じる。
(本物のおちんちんが入ったら、どうなっちゃうんだろう…)
(欲しい、ガッツさんのが……欲しい)
ますます愛液の量は増してきて、太ももを伝い始めた
腰をのの字を描くようにくねらし、周囲に気を配るのも忘れて、
シールケは思う存分妄想に浸りこんだ。
(もっと、もっと突いて下さい、ガッツさん……)
5/5
「はあん……うっうっ……すごい……ガッツさん」
ヌルつく中で指をくにくにと折り曲げ、感じる部分をつつく。
もう片方の手ですっかり固く勃起したクリトリスをつまみ、愛液を塗りつけるように
こすりあげると、背筋から続々と快感が駆け上っていく。
「んんっ……も、もうだめっ……イッちゃう……」
激しくガッツに突きまわされるイメージで、ついに達した。
どっと全身の毛穴が開いて汗が噴出す。
「はあっ……はあっ……」
荒い息が漏れ出し、シールケは藁の上に身を投げ出した。
「早く戻らないと……」
その時、急に納屋のドアがわずかに揺れた。
閉めたはずなのに!
凍りつくシールケ。そしてドアの向こうから現れたのはつい今まで
妄想の中で体を重ねていたガッツその人だった。
(続く)
とりあえず以上です。暇があったらまた続きを書きますです。お目汚ししました。
キタ━(゚∀゚)━!!
オナニーと言えばファルネー(r
描き手不在のスレに救世主が!
ありがとう! ありがとう!
髑髏の騎士が降臨なさってたとは
GJ!
汁気はええのう…
……よけいなことを言ってしまった。
礼拝堂の床に視線を落とし、ファルネーゼは胸の中で後悔する。
視線のはじにはモズグスの爪先があってその声はさっきから
彼女に顔を上げるよう、激しい調子で促しているが
それをする勇気はとてもなかった。
黒い剣士捕縛の任を解かれたことで、動揺していたのかもしれない。
沈んだ彼女に優しげに懺悔するよう諭すモズグスに従い礼拝堂に入って
あの日以来胸の中にあった思いを口にしてしまった。
もちろんすべてを言ったわけではないし言えるはずもない。
遠回しな言葉で自分の信仰心への疑問を口にすれば
美しい言葉でそれを否定してもらえると思った。
“神に身を捧げる正しい自分”を餞別にもらって
安心して任を離れるつもりでいたのに。
……そんなに悪いことなのだろうか。
神の名の下に身を捧げる自分が
奉仕に酔っているだけのような気がすることが?
「顔を上げなさい、ファルネーゼ殿。
自分の罪と向き合うことなく、なにが懺悔ですか!」
それでも顔を上げない彼女の腕を、いきなりモズグスがつかんだ。
驚く間もなく祭壇に突き飛ばされて腕をついた体が
背後から抱えられて、臀部に打擲が加えられる。
「!」
「法王庁の、神の軍隊の団長という立場にありながら
浅ましい欲望に身を投げ出すばかりか信仰をその言い訳に使うなどと!」
尻を打たれる痛みと罵られる屈辱に涙が浮かんだ。
しかし屈辱に耐える風を装っても、
その屈辱感と痛みが自分に与える影響を認めないわけには行かない。
こみ上がる涙と同時に、疼くような熱さが下腹部を満たしていくのが分かる。
じっとりと濡れた感触は隠しようもなかった。
……罵られて濡れるなんて。
自己嫌悪の気持ちの一方で、そうした自分の浅ましさを思うことが
さらに下腹部を熱くした。
打たれる痛みは痛みだが、さすがに本気で打ってはいない
ある意味単調な痛みは酔いに似たものさえ誘う。
息をつめて耐えていたその痛みが途切れた瞬間、
吐き出した息は陶然としたものになって
ファルネーゼは我に返って目を見張った。
次の瞬間、あきらかにそこまでとは違う本気の打擲が尻を打った。
「ひっ」
思わず逃れかけた体をつかんで引き倒され、
祭壇の前に座り込んだファルネーゼの前にモズグスが仁王立ちになった。
続き待ってます〜。
179 :
ファルネタ投下。2:05/02/05 23:25:06 ID:Du0ffOxK
「……なんと罪深い」
怒りの顔に怯えて逃げようとした腰をとらえて
捕まえられたズボンが恐ろしい力で引きちぎられた。
恐怖で声も出ず座り込んだ体の腕を引いて祭壇にもたれた形で正面を向け、
開かれた足の間で、そこは隠しようもなく濡れて口を開けている。
「懺悔すると言い信仰を問われながら、臆することもなく欲望に溺れる。
おまえのような者が、神の軍団の象徴たる乙女を名乗るなどと」
引き据えられたまま姿勢を変えることも許されず
濡れた股間をさらしたぶざまな姿でモズグスの手元を見つめながら
ファルネーゼは混乱の極みにあった。
モズグスの手元には祭壇の近くから取り出した手箱と
そこから取り出されたものがある。
おそらくは水牛の角でできたそれは、艶めいて黒く光る張型だった。
「なぜそんなものがと思っているのですね」
人に似せてものを作るのは、教会で禁じられている。
象った対象の淫らさを差し引いても、礼拝堂にあって良いものではない。
「その通り、これは神の教えを伝える場所にあって良いものではありません。
これは異教徒が快楽のために作ったもの、
これ自体が神に背く悪魔の存在です。
しかし、人の中には愛を以て諭されることでは自分の罪を自覚できない者、
罰と苦痛なしには許しを請えない者が存在するのです。
……あなたのように」
「ここに手をついて四つばいになりなさい。
あなたのすべきことは、懺悔して罪の赦しを願うことではなく
あなたの成したことの罰を受けることです。
獣の姿で悪魔に犯されることで、
あなたの罪を償いなさい」
促されるまま四つばいの姿勢をとって
ファルネーゼは言われたことを理解しようと試みる。
『……獣の姿で悪魔に犯される……』
『あの、張型に』
張型は大きく傘を開いて反り返り、その大きさはファルネーゼの
拳ほどもあるように見えた。
『入るわけがない。あんな……』
「ひっ!」
背後から異物を押し付けられて、ファルネーゼはやっと我に返った。
さっきの行為で入り口は濡れているが、モズグスの叱責と恐怖で
中はすっかり乾いてちじこまっている。
冷たい彫刻は、違和感以外のなにも伝えなかった。
それがぐいぐいと力任せに、開かれたことのない膣に押し当てられる。
そこから引き裂かれる自分が目に浮かんで、
ファルネーゼは一瞬息をのんだ。
ファルネタ乙です!文章がすごくエロいっす。
ぜひ続きおねがいします!
あと終わったらガッツ×シールケの続き投下させてください。
二人とも(・∀・)イイヨイイヨ!!
お目汚ししてます。ファルネタの投下をしているものです。
夜中にぼこっと浮かんだネタを、すぐ書けるだろうと書き出したんですが
いざ書いてみるとなかなか進まないもので、書けた分から投下してます。
なかなかエロくならなくってすいませんです。
>>moca殿
自分はいつ終わるか分かりませんので、気にせず続きを書いてください。
自分もシールケネタ楽しみにしています。
>>183 すんません、横は入りになっちゃいますが、自分のパソコンに保存しておくのが嫌なのでw、
投下させていただきます。
ガッツ×シールケです。
>>166の続きです。
*****************
1/8
不意の侵入者にシールケの血の気が引いた。
汗が急激に冷えた後、今度は血圧があがり、顔全体に熱が襲ってくる。
「み、みないでください!」
慌ててシールケはめくれあがったローブを押さえ、
自分の体を抱きしめてうずくまった。
恥ずかしさのあまり顔を上げることが出来ない。
このまま消えてしまいたい気分だった。
黙ってガッツは納屋の扉を閉めた。
出て行ったわけではない。
彼はゆっくりシールケに近づいてくる。
「あ……あの、出てってください!」
顔を伏せたままシールケは叫んだ。
目の前に何かが突き出された。
反射的に顔を上げると、それはシールケの帽子だった。
「あいつらが目を覚ます前に戻った方がいいんじゃねえか」
「……」
シールケはわななく手で帽子を受け取る。
恐る恐る見上げると、ガッツはいつもどおりのしかめっつらで、
まるで何も見なかったかのような様子だった。
起きたばかりなのか、鎧はつけていない。
2/8
去ろうとするガッツの背中に、ついシールケはとげのある口調で言葉をぶつけてしまった。
「いつから……いたんですか」
気恥ずかしかったのもある。
でも、少しだけくやしかった。
シールケは酷く重大な秘め事を見られて、穴があったら入りたい心境だ。
それなのにガッツは人の……恥ずかしい行為を見て、平然と、いつも通りで。
ガッツは首だけ振り返って、少しだけ口の端を上げて笑った。
「さて……下着を下ろしたあたりからかな」
「わ、割と最初の方じゃないですか。ひどい……」
じゃあ、うっかりガッツさんの名前を口にしていたのも聞いていたの?!
それに気がついたシールケは再び血の気が引くのを感じた。
再びシールケが頬を染めてうつむくと、ガッツは黙って少女の方に向き直った。
そして羞恥のあまり小さく震えるシールケの頭に優しく手をおき、
「気にすんな。誰だって―そんな気分になる日もあるさ」
シールケは唇をかみ締め、胸元に帽子を掻き抱いた。
「ガッツさんは。あるんですか……そんな気分になる事」
思わず口にした後、急に後悔の念が襲ってくる。
「べ、別に変な意味じゃないです。……どうしてるのかって……思っただけで。
あ、あの!違うんです、どうしてるのか聞きたいんじゃなくて!」
どんどん墓穴を掘っているのに気がついて、シールケはくしゃくしゃに握りしめた帽子で顔を隠す。
「もうやだ……恥ずかしい」
もう恥ずかしくてガッツの顔が見れない。
思考が停止した空白の一瞬。
3/8
そして、体が急に温かい何かに包まれ、藁の上に再び寝転ばされた。
「え!」
何が起こったのかすぐにはわからなかった。
帽子がむしりとられる。
ガッツの顔が目の前にあった。
そしてすぐ強引に押さえつけられ、唇をふさがれる。
「んー!」
シールケは反射的にあがいたが、圧倒的な対格差にはかなわない。
すぐに両手首を押さえつけられ、身じろぎできなくされてしまった。
ガッツの舌が、唇を割り広げて進入してくる。
初めてのキスだった。
しかし本能はその唇の受け止め方を知っているかのようで、シールケは素直にその舌を
口腔に素直に受け入れ、自らも舌をからめて、拙いキスを返した。
「んっんっ……」
ガッツは素直になったシールケの手首を話し、義手ではないほうのの手で
ローブの下に手を差し込む。
「えっ……だ、だめですっ……!」
暖かな手の感触に、今まで感じたことのない鳥肌が立った。
あの間抜けな少年に触られたのをのぞけば、そんな部分を男に触られるのは初めてだ。
「俺だってそんな気分になる日があるさ」
「……」
言葉に詰まるシールケだったが、ガッツの目は真剣で、冷酷だった。
本気なんだ。
シールケの背中にぞくぞくと恐怖と、そして再びせいの快感が駆け上る。
「俺の名前を言っていたな。まんざらでもないんだろ……」
ガッツは手の動きを再開する。
「うう〜…っ」
(どうしよう……まさかこんな事になるなんて)
4/8
嫌なのか、嫌じゃないのか。
自分でもよくわからない。
再びガッツは覆いかぶさってきた。
か細い首筋に唇を押し付けられ、シールケは吊り上げられた魚のように激しく体を震わせた。
「やあ……!やだ、くすぐった……いっ!」
一方ガッツの指はたやすくシールケのぬれた秘部に到達した。
「あっ……ぅああ!」
生まれてはじめて他人に触れられた。その衝撃は強かった。
しかも自慰でイッた直後のせいか、酷く感じてしまう。
「ぬるぬるだな」
耳元で囁かれ、シールケは恥ずかしさのあまりガッツの肩に額をうずめて目を閉じた。
「やだ……恥ずかしい」
消え入りそうに囁くシールケに、ガッツはそっと告げた。
「今はそんなこと忘れちまえよ。やめるか?」
くちゅ。
ガッツの指がシールケの狭いヴァギナに差し込まれた。
「あっ……!」
「無理やりする気はねえよ」
ぷちゅり。
膣内で太い指が折り曲げられ、シールケの敏感な部分をこすりあげる。
くちゅ……ぷちゅ……。
粘り気のある淫猥な音。
「あ……あ!んんう……」
すぐにシールケは他人から受ける刺激にめろめろになってしまった。
全身から力が抜け、恥ずかしさよりも快感を求む欲望がかってしまった。
「どうする?」
ガッツのどこか面白がるような目。
シールケは目をそらす事ができず、甘い声で答えた。
「……ふうっ…、…続けてください……」
5/8
シールケは着衣を全て脱いだ状態で、藁の上に横たえさせられた。
ガッツは少女の股間に顔をうずめ、舌で念入りにクリトリスを刺激している。
舌先で小さな肉の蕾をつつくたび、少女の体は波打ち、あふれ出す汁の量も増す。
「ガキだと思ってたけど感度がいいな」
「……私っ……魔女ですから……」
息も絶え絶えシールケは答え、帽子のつばをかみ締めてあえぎ声を押さえる。
「指も入れるぞ」
「うあ……あん、ふうっふうっんぐぐぅ……」
思わず嬌声を上げてしまったが、慌てて帽子を噛んで耐えた。
喘ぎ声を聞かれるのが恥ずかしかった。
声を上げてよがるのはあまりに淫らだし、ガッツにそう思われるのは耐えがたかった。
ガッツの指は面白がるように抜き差しされ、シールケのまだ未成熟な膣を気遣いながらも、
なかでくねくねと壁をこすりあげる。
「やっやぁぁ……漏れちゃう」
指を抜き差ししながらクリトリスを舌で転がされると、お漏らししそうな感覚に襲われる。
「いいぜ、漏らせよ」
「や、やだ……」
ガッツはそのまま手を緩めずに刺激を続け、ついにシールケはぞくぞくと絶頂が
せまっているのを感じた。
「い……いきそうです……んっ……ううう〜」
ガッツの唇がそっとクリトリスをはさんだとたん、シールケの快感は頂点を迎えた。
「ふわあ……ぁ!」
ぶるぶると痙攣し、股間からは少量の愛液が噴出した。
意識が飛び、シールケはのけぞったまましばらく動けなかった。
(自分でするより……気持ちいい。それに……人の肌って、暖かい……)
6/8
ふと気がつくと、ガッツも服を脱いでいた。
その股間にそそり立つものをみて、シールケは息を呑んだ。
「はじめて見るって顔だな」
「う……本では見たことありますけど……」
シールケはまだ絶頂感冷め遣らぬ震える指先をそっとのばす。
「……あ、熱い」
「俺もイかせてもらいたいからな。少しハードになるぜ」
ガッツもすこし興奮のためか息を荒げつつ、シールケに迫り、座った状態の
シールケの顔にそそり立ったそれを突き出した。
「舐めてくれ」
「えっ……!な、舐めるんですか?!」
フェラチオに関する知識はあったが、それがどういうものか知っている程度だ。
そそり立ったそれを目の前にしても、どうしていいのかよくわからなかった。
「ああ、頼む」
「う…」
抵抗感はあったが、一度いかせてもらったためかそれ以上抗う気はなかった。
素直にシールケは舌を出し、そっとガッツの亀頭の先端に舌を押し付けた。
「う……」
ガッツはわずかに声を上げ、少しだけ腰を折り、シールケの頭をそっと押さえた。
「ん……」
シールケは黙ってそのまま舌先をちろちろと先端を刺激する。
(気持ちいいのかな)
そのまま唇を開いて、そっと亀頭の先をくわえ込んだ。
「んぐっ……」
「いいぞ、手も、使ってくれ」
「ふぁい」
シールケはガッツのものを咥えたまま、手で竿を握り締め、そっと手を上下させる。
(ガッツさんが感じてる……変な気持ちだわ)
7/8
シールケは熱心に口の中で舌を動かし、唾液でとろけきった口腔全体で
亀頭全体を愛撫する。
唾液を唇ですりこむように動かし、ちゅうっと先端を吸い上げる。
「うっ……」
ガッツの吐息がますます荒くなってきた。
ますます口技に熱を入れ始めた少女だが。不意にガッツの手がシールケの頬を押しのけた。
「もういい」
「ふえ……?」
亀頭から唇を離すと、ねばつく唾液が淫らな糸を引いた。
その蕩けた顔をみて、ガッツもついに辛抱たまらずシールケを押し倒す。
シールケが疑問に思うまもなく、少女は藁の上で横たえられてしまう。
「あ、あの……」
「いかせてもらうぜ」
ガッツは息の乱れた余裕のない口ぶりでそういい、
今までにない荒っぽい手つきでールケの両足を開かせ、その間に割入ってきた。
「え、まさか……」
ガッツの意図を理解し、シールケは思わず体をよじって逃げようとした。
「大丈夫、入れやしねえさ。ただ、ちょっとここを使わせてもらうぜ」
ガッツは淡々と少女の抵抗を押さえつけてしまい、その唇を唇でふさぐ。
「んっ」
熱く、短い、荒っぽいキスの後、ガッツは自らのペニスをシールケの股間におしつけ、
足を持ち上げて閉じさせる。
そしてペニスを少女の太ももに挟み込んだ状態でゆっくりと腰を遣い始めた。
素股という行為だが、シールケは混乱していてよくわからなかった。
だが、濡れそぼったヴァギナに、固いものが擦れてふたたび体がじれてくる。
「ぅうっ……、ガ、ガッツさん……気持ちいいんですか?」
「ああ……」
(なんだか可愛い)
これだけ体格さもある、逞しい戦士のことをそう思うのは変だと思う。
8/8
だがシールケは、熱心に腰を遣い、自分の体を貪る男が妙に愛おしかった。
(もっともっとめちゃくちゃにされたい)
「いくぞ……」
「は、はい……」
ガッツの片目は射抜くように鋭い。
その目に見据えられ、シールケは身も心も支配される快感を感じた。
ガッツの体が震え、ペニスの先端から白い液が吐き出された。
断続的に噴出すそれはシールケの腹の上におちた。
ガッツはシールケの足を手放すと、シールケの上に覆いかぶさってもう一度熱っぽいキスをする。
恋人のような熱いキス。
ガッツさんも寂しかったのかな。
シールケの知る凶戦士に寂しいなんて言葉は似合わないはずだ。
だけど、今のガッツはシールケの知る彼のどんな時より人間らしい感じがした。
熱いキスが、抱擁が。
(泣いているみたい)
(でも、ちがうんだ……)
行為が終わった後の冷めた感覚がシールケを襲う。
(ガッツさんにはキャスカさんが……)
でも、今だけは。
シールケはガッツの背中に腕を回し、負けじと熱くキスに応える。
これが何なのか。どんな意味があったのか。
そんなのわかりっこない。でも今だけでいい。もっと、もっと。もっと欲しい。
(終)
以上です。つまらない長文になってしまいました。
読んでくれた人、ありがとう。
横入り失礼しました!続き待ってます!
あとリクエストさせてください。
レ プ ◆VP79h6K87U氏、温泉の続きが読みたいっす。是非お願いします。
素股(;´Д`)ハァハァ
実際ガッシは溜まってそうだなあ
乙!
えろ可愛かった。
勿論シールケがだがガッツもちょっと可愛いと思ってしまったw
ファルの方も続き期待してますぜー
195 :
名無しさん@ピンキー:05/02/08 22:11:24 ID:s87CXwv9
イシドロにおいしい思いをさせてやってくださいな
ファルネーゼの相手、セルピコって
案外萌えないもんだな
セルチンコは多少ウザイ所があるからな
今度逆パターンで、自慰中のイシドロがシールケorファルネーゼに見つかって、、てのは如何。
ガッツorセルピコor栗坊主に見つかるのもそれはそれで面白そうだが。
いいですね、それ
汁気の入浴シーンきたー!
!?
アニマルのプレビューね。
でも、なんかもう普通に売ってるみたいですね。
キャ━━━(*゚∀゚)━━━ !!!!!
いいケツしてんなあ
しばらくファルネーだと思ってたから意外だ
いろんな妄想できるなあ
ウヒッ!!
汁気のおケツに頬づりしてぇ…
単行本派だが、今回は買ってキマスタ
汁気タンのティクビがどこまで見えてるかは、
本によって当たり外れがあるんじゃなかろうか?
0.5ミリ程度の差はある気がするんだがどうなんだ?
>>210 赤面シールケもまた可愛い……。
保存させていただきますた。
moca氏のオナニー発見と今週の汁毛タソの恥じらいがなんだか被った
汁気のけつで抜きますた
214 :
名無しさん@ピンキー:05/02/16 12:57:38 ID:q06N/KQ6
まちがってないよ。
セルピコ×ファルネーゼって妹萌えの人にはともかく
書くと案外、普通っぽそうだな
兄妹で背徳の、とかじゃなくて普通に(?)やってそうな気がする
しっこくしっこく
汁気のケツでヌック!!
マターリしたスレだなぁ
結婚式に乱入してファルネーをお姫様抱っこでさらっていくガッシ(;´Д`)ハァハァ
今、ファルネーの頭にセルピコの存在は無い
221 :
名無しさん@ピンキー:05/02/27 08:14:52 ID:3qTYeOPH
244話〜249話まで誰かUPしてくれるネ申いない・・・?(´・ェ・`)
nyでやっと243までゲトーできた・・・・orz
まあ、帰れ。としか言えんわな
>>221 残りもゲトーすればいいじゃん
252話まであるよ
画像スレはあっという間に落ちたがこっちの人達はやるなぁ…
225 :
ケズィア ◆YFVHiZTqbE :05/03/03 13:25:50 ID:FaqzBu5S
キャスカたんハァハァ
セルピコ×ファルネーゼきぼん
ロデリック×ファルネーゼってどうだ?
ロデリック、でかそうだしスタミナありそう
nyuryuho!
cya!
230 :
:05/03/06 16:09:50 ID:QTSo1ULJ
231 :
230:05/03/06 16:10:35 ID:QTSo1ULJ
>227だった
: | ,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,__
: |`: : '`: : : , -.''''~``: 、``_,、゙ッr: 、.,,,ヽ、
: |::l|r''「: : / : : : : : : ‐`: : .、.:'",iッ'゙゛.,!..r`ヽ、
: |: ,'|: ._,i´: : : : : : /`: : : .:": .,,:'': : -:".,/': :-,!`i
: |: ミ゙./`: : : : : : : : : 丶: : : : ": : .‐`: : l゙、: l゙:,",:゙l、
: |l゙..,l゙: : : : : : : .‐: : ": : : : `: : 丶: : .,、: : ,'`: :.、.゙l,
: |"/:: 、: : : : : : : : : : : ": : : : : : ,〈く: `,ij\,,-: :、i'
: |'.l゙l゙丶: : : : : : : .": : 丶、: : : <:"゙l,i)rリ、'."、',へ:,!
: | |,!丶: : : : : : : .、: : 、: ``、-":゙‐'゙从,,,,,、:ノ: :彡'゙
: | |l゙.": : : : : : : : ': : : y.:‐``^:_".,,,,-,,_'r:ニ,,ン}
: |│.l゙: : : : : : : : : : : ゛:゙'_``.:,ー`゙゙,,='リ__.,,,. /
: |‐゙l: !: : : : : : : : : : : :: `゙,!y-.、,,,jレ-' .,゙从、 i、
: |:`.゙l: : : : : : : : : : : : : : : :,!,'.,,|` ゙l''l,}′ )
: |:、..゙l丶: : : : : : : : : : : : .,""'| U ::`::`:: .,,ソ__
: |,ljlV.゙'i、: : : : : : : : : : : : `゙l!,.゙l, ,,,イ|゛ \
: |'''ミ: .,l゙`'''、.,,,: : : : : : : .-ヽ.゙',,,ニ'''.ty (.ン′ ゙l.
: |-゙l .l゙ ``-ミ,!,、: : ‐二'ー:,,,irー┬'^: :. |.
: |、、.| `'''''''''''''''゙^ ー'": : : :. │
: |:ッ!.| : 、 : : : : : : : : : : ト- 、
`|゛│ : :'.`'i、 | ゙|. \
`|: l゙ .l゙: 、.゙l ゙l ゙l、 ヽ
`|:l゙ ,l゙: :}`.゙| i ゙l | ヽ
`リ ,i゙.i、:゙l: 从 ゙l: ノ゙l | l.
└───"───┴―――─ゝ-----=--'-∧-──┴---┴
さあ、みんないこう!
胸毛ぼさぼさで、でかんち○ぽのロデリックの
野性的なセックルにひーひー喜ぶファルネーゼ書くね
個人的にはあんま萌えないんだけどさ
ロデリックとシールケも
休載かあ(´・ω・`)
イシドロ×シールケまだです?
(・∀・)イイ!!ね
238 :
名無しさん@ピンキー:2005/04/02(土) 08:37:26 ID:VlLjdW6L
まだ?
239 :
名無しさん@ピンキー:2005/04/04(月) 02:27:01 ID:hvzLjFQ9
まだです
240 :
名無しさん@ピンキー:2005/04/04(月) 08:23:17 ID:dfn/gxWn
それを覗きながらシコシコしちゃうピコも
241 :
名無しさん@ピンキー:2005/04/06(水) 03:39:55 ID:hXidE0T+
汁気かわいいょ汁気
ファルネー母タン(;´Д`)ハァハァ
汁気の得ろ画とかあるサイト教えてくれや。
まずはぐぐれ。話はそれからだ
リッケルト×エリカもキボンヌしちゃうぞ!!
邪教徒にとっ捕まって、エロ拷問される性鉄鎖騎士団時代のファルたんとか
247 :
名無しさん@ピンキー:2005/04/16(土) 14:08:06 ID:/vNnz4B1
トロールに犯される汁気が見たいです
その後死んじゃうジャマイカ
ガシシが助けに来てくれるでありまかす
その後でガッツに抱いてもらうんですね。ハァハァ
ガッツ×トロールか・・・
252 :
名無しさん@ピンキー:2005/04/17(日) 16:17:21 ID:n6+BOTDC
蝕みたいのがイイ!
触手に凌辱
\ 凌辱ワッチョイ!/
/■ヽ /■ヽ
.∩ ・д)(・∀・)
ヾ⊂ノ(⊃ つ
(_(_)(_ノ_ノ
漏れ的には
ガッツ×ジル
こそ王道だと思うんだが、同士はいないのか?
ヌップヌップ系求む
255 :
名無しさん@ピンキー:2005/04/24(日) 13:35:05 ID:eloP4kEx
シールケとか幼い娘の凌辱きぼんぬ
256 :
名無しさん@ピンキー:2005/04/25(月) 15:11:27 ID:kS0A2mzn
幼いキャスカを貴族がヌップヌップ
257 :
名無しさん@ピンキー:2005/05/03(火) 20:59:39 ID:FM1m44Dv
幼いファルたんが自慰でぬるぽぬるぽ
258 :
名無しさん@ピンキー:2005/05/05(木) 01:43:25 ID:BxV0dmAi
ガッ
ファルネーゼは父の書斎で見つけた画集をこっそりとベッドの下に忍ばせていた。
夜も更け、女官たちが全て下がった事を確認すると、
ファルネーゼは息を殺して寝台から起き上がり、ベッドの下の分厚い本を取り出す。
そして高鳴る胸を押さえ、紙がすれて音が出ないように注意しながらページをめくった。
「んっ」
ファルネーゼはうずきはじめた股間に手を伸ばし、下着の中に手を入れた。
裸の男女が豪華なベッドの上で抱き合うその図画は、なんともいえないほどエロティックだった。
幼い彼女はその行為の意味などほとんど知らなかったが、
この下半身のうずきだけはどうしようもなくリアルだ。
その衝動に突き動かされるまま、ファルネーゼは指を動かし、
まだ毛の生えていない幼い割れ目をなんどもなぞる。
「んん…」
甘い声がつい漏れてしまうが、毛布をかみ締めてこらえた。
声を出すと女官やセルピコが来てしまう。
この姿をみられるのはとてもまずい。本能的にファルネーゼはそれを知っていた。
ふと気がつくと、ファルネーゼの小さな割れ目からはとろとろと甘い蜜があふれはじめていた。
(ん……これが出てくると……どんどん気持ちよくなる)
それが何なのかはよくわかっていない。
だがそのぬるつく汁を指で掬い取り、つんととがった肉の芽にこすりつけると、
全身から力が抜ける。ふわふわと酔ったような状態になり、どうしようもなくなる。
くちゅくちゅ
ファルネーゼは指先に愛液をからませると、まだ発達していないクリトリスの先端に塗りつけた。
「ああっ……ん」
思わず嬌声を上げてしまう。涎がこぼれ、咥えていた毛布が糸を引きながら口から離れた。
いつの間にかファルネーゼは本を見るのを忘れ、交尾をする獣のように四つん這いになり、
腰を高く上げて行為に没頭し始めた。
つんつんとクリトリスを人差し指で突き、腰をくねくねと動かすと、ますます快感は高まっていく。
だめ、もうかけない。
誰か続きをっ……!!!!!!
(・∀・)イイネ!!
262 :
名無しさん@ピンキー:2005/05/09(月) 05:18:25 ID:vDfJ8pAJ
チンコスリスリしちゃうよ
263 :
名無しさん@ピンキー:2005/05/10(火) 22:33:12 ID:cuDS4oKB
>>260 期待してるので続きおながいします。
セルピコに見つかっちゃって優しくやられちゃう展開キボンヌ
265 :
名無しさん@ピンキー:2005/05/13(金) 23:24:25 ID:RyOL+2aq
(*´Д`*)アアッ・・・・
ガッツ×モズグス まだ?
「本当はずっとお前が好きだったの、抱いて」
くらいファルネーゼがセルピコに迫ってこないだろうか
ロデリックに愛人たくさんいてショックとかさ
伯爵亡き後のテレジアたんのその後を勝手に妄想。
伯爵が死んだ結果、今までの城の所業に怒りが爆発し、暴徒と化した領民により城は陥落。
伯爵の娘だということでテレジアたんは何百人もの暴徒に輪姦される。
そのあとはフランス革命時の貴族よろしく、囚えられ、裁判にかけられるまで
牢にぶちこまれてしまう。(無論、問答無用で牢内でも看守にマワされる)
その後公開レイープされたあとに処刑(´・ω・`)【BadEnd】
もしくは、からくも家臣の手引きにより一人の兵士を連れて、城から脱出。
しかしその兵士が悪人でテレジアたんをレイープ。
その後はアブノーマルな客専門の娼館に売っぱらわれて、
マムコの技術はもちろん、口での御奉仕やアナルでの客の取り方を先輩娼婦にミッチリ教え込まれる。
そしてペドやサディストの変態に幼い身体を弄ばれながら、残りの人生を娼館で暮らしていく(´∀`)【HappyEnd】
>>266 ガッシの黒くて硬くぶっといのを咥えるモズグスや、
モズグスの触手にしばかれるガッシにハァハァしろと?
>>263 その場合、セルピコもショタでいいんだろうか?
いきなり大人のセルピコが入ってきたら、引っかかって萎えないか。
というか 大人セルピコ×幼女ファル 萌え
不自然じゃない設定ないか。
声変わり途中くらいのセルピコでどうだろう
怒るファルに「この本と同じ事をするだけですよ‥」とか
セルピコ×ファル、お互い初体験ってのもいいかな
275 :
259:2005/05/20(金) 02:48:13 ID:u9FUbPyl
セルピコ自信ストイックそうだから難しいなあ。
一回迫るファルネーゼを拒否してるし。
でも初体験ネタいいなあー。続きかけたら書きますが、
どうしていいのか分からないので、書ける方がいましたら是非
遠慮なく新作書いてください…。
娼婦のお姉さんに押し倒される初体験セルピコっていうのはどうだ?
なんかピコは積極的に女求めるタイプじゃないような気がす
シチュエーションはいろいろ思い浮かぶのだが
肝心のセルピコが嬉しそうに犯ってる構図が思い浮かばない
そういう時でも無表情っぽいし
なんかセルピコって不能のイメージがある。
そもそもセルピコって経験あるんだろうか?
なさそうだよね。
そうかな?ありそうだけど
だけど積極的に女を求めるタイプじゃなさそうだな
いや、童貞っぽい気がする…
夜な夜なオカズはファルネーゼで…
ファルネーがセックス見たい、と言い
娼婦とセルピコをヤらせる
それを見ながらファルネーはオナニー
で、オナニーでイッた後、急に空しくなってセルピコに服を投げつけて
泣きながら走り去るファルネーゼ。
ファルネーゼ様‥‥‥‥
>>282 コイてるセルピコというのも想像しがたいモノがある
ああいう親に育てられると性に嫌悪感を持つ様になるとモノの本に書いてあったが
287 :
名無しさん@ピンキー:2005/05/23(月) 18:01:43 ID:QAx3yFpV
むしろその本が読みたい
性行為に嫌悪感を持つ人の治療法の本だった
結局、無機的な冷たい育てられ方をすると
人間の触れ合いに暖かさや幸福感をおぼえないで育っちゃう云々書いてあった
289 :
名無しさん@ピンキー:2005/05/23(月) 22:33:27 ID:xCGUK+d5
どうやって治療するのか、それが肝心だ!
そのネタで一本かけそうじゃないか!
特にハァハァする様な治療法じゃないよ
最初は人の近くに座ってみるとか
肩を触ってみるとかして人と一緒にいることに慣れていくといった段階を踏むらしい
連れ合いがいる場合はセクースセラピーもあるけど
治療でのセクースで今度は連れ合いが性行為嫌になったという笑えない事例も載ってた
誘うファルネーゼ→拒否するセルピコ→ショックを受けるファルネーゼに
性行為への拒否感を告白するセルピコ→ファルネーゼのぎこちないセックスセラピー開始
セックスしたいです><
小難しい事はいいからヤってしまえばいいのだが
どうしてこんなに難しいんだセルピコの扱い
ちなみにガッツもコいてるイメージ無いな
というかファルネーゼ以外全員難しいんだが……
シールケたんも想像できるよ
ファルネーゼはロデリックとセクースすれば落ち着くと思う
トロール×汁気陵辱もの、しかも長い。
それでも良ければ・・・
ばっちこいやああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!11111
じゃあお言葉に甘えまして。でもマジ長いです・・・orz
「ちょ、ちょっと待ってよシールケェ!」
忙しく羽を動かすイバレラを尻目に、シールケは足早に歩を進めた。
「早くしなさい、イバレラ!もう日が傾きかけているのよ!!」
シールケにやっと追い付いたイバレラは、今度こそ振り落とされぬ様に帽子のつばの端を
しっかり掴んだ。
(早く御師匠様の元に戻らないと!もう日が暮れてしまう…)
今日は朝から、イバレラと共にフローラの使いで森の中に薬草を摘みに行っていた。
最近の森の騒がしさに、術に長けたシールケとは言え決して油断してはならない、
日暮れ前には必ず館に戻る事をフローラに約束させられていた。
しかし、森の中を歩くのは実に久し振りだった。
日常の雑務で結界の外に出る事はしばしばあるものの、用心の為歩くのは館の近くのみで、
用を足したら直ぐにフローラの元へ戻る毎日だった。館へ戻る道の傍らに咲く花や風の匂いで
季節の移ろいを知り、以前見付けた野苺の木や山葡萄の蔓、綺麗な羽を持った小鳥の
巣、いたずらな兎やリスの小さな住処が懐かしくなっていた。そしてついつい、時間を忘れ遊び
過ぎてしまったのだった。
「少し位平気よォシールケ!フローラのお土産に、一番良い野苺や山葡萄も取っといたしさ〜」
帽子の上に乗っていたイバレラはいつの間にか、急ぐシールケの前を飛んでいた。
「…余りにも久し振りだからとは言え‥つい‥子供じみた事をしてしまったわ‥」
小さな肩を大きく上下させ、息を切らせながら尚もずんずんと森の奥を目指して行く。
(よっく言う〜まだガキなくせに!)
呆れ気味に大きな溜息をつき、視線をシールケから容赦なく沈む太陽に目を移した時だった。
「?!」
突然、シールケの後頭部に鈍い痛みが走った。
(な、何…?)
見慣れた森がいびつに歪み、もの凄い速さで自転し始めた。手や膝をつく間も無く、石や土が
体を受け止め、ひんやりと冷たさを返す。後頭部の熱さは、地面の冷たさの所為なのか…?
「きゃあぁぁぁぁぁ!!!シールケェ──────!!!!」
イバレラの悲愴な悲鳴に、切れかけた意識の糸を掴み直し必死に手繰り寄せる。
自身を取り巻く風がやけに温く、生臭い。
「あ、あ、あ、あんた達!!シ、シールケに指一本でも触ったらしょーちしないからぁっっ!!」
「‥う…イ‥バレ‥ラ…?」
目の前で両手を広げ、震えながら通せんぼをしているイバレラ越しに、夥しい数の黒い毛の
塊があるのに気が付いた。
(…トロールだ!!)
急いで体を起こそうとするが、重く痺れて言う事を聞かない。何とかいざって木の根本まで
辿り着き、幹に体を凭せかける。
「シ、シ、シールケェ!‥は、早く魔法でやっちゃってよ、コイツ等!!!!」
「‥ふ…ううっ…」
とにかくトロール達の気を逸らそうと、シールケは精神を集中させるが、後頭部の痛みで
直ぐに散漫になってしまう。しかし黒い毛の塊は、イバレラを威嚇しながらじりじりと間隔を
詰めて来ている。
「シ、シールケェ!‥は、早くうぅ────!!!」
がたがたと震えるイバレラは、今にもトロールに潰されてしまいそうだ。
(‥いけない!このままではイバレラが…)
「イバレラ…!こ、ここは私が、何‥とかするから‥あ、なたは、は、早く…御師匠様の元に…」
「何バカ言ってんのォ?!そんな事出来るワケないじゃない!!!」
「私…は、平気だ‥から…そ、そうじゃな‥いと…私達、ふ、二人共…!!」
「絶対イヤよ!!アンタが動かなきゃ、アタシもここからどかないんだからっっ!!!!
コラァそこォっっ!!動くんじゃねーわよっっっっ!!!!」
「‥お願い、イバレラ…!!!」
シールケは弱々しく動かした片手で、イバレラを自分の眼の前から振り払った。自由の
利かない体を無理に動かした為に力の加減が出来ず、小さなイバレラは大分遠くまで
飛んで行ってしまった。しかし、これで良いのだ。
「シールケェ──────!!!!」
五月蠅い羽虫が居なくなったのを幸いとばかりに、トロール共はシールケに手をかける。
「は、早くぅっ!!!!」
「ま、待ってんのよ!シールケ!!絶対無事で待ってなさいよっっ!!!!」
大きな瞳に涙を湛えながら、イバレラは背を向け精一杯のスピードでフローラの元へと
飛んで行った。
「‥う…イ、イヤ、イヤぁぁっっっ…!!」
ほの暗い森の片隅に、幼く力のない声が哀しく風に消されて行く。
4〜5匹の醜悪なものが、小さなシールケを取り囲んでいた。
シールケの腕を掴んだトロールは、生臭い息を荒立たせながら、躊躇無くシールケの
ローブを引き裂き、その躯を冷たい地面へ横たえた。
「…イ、イヤぁ…触‥るな、触らないでぇぇ!!
…だれか、だれかぁーーっっ!!!御師匠様ぁっ!!イバレラぁっっ!!!」
ギチギチと気味の悪い笑い声が辺りを包み、トロール共は小さなシールケに覆い被さった。
「ひあぁっっ!!…イ、イヤ、イヤぁぁっっっ…!!!たすけて、イヤぁーーーっっ!!」
重く痺れた腕で抵抗を試みるも、虚しく宙を斬るだけだった。あっと言う間に身包みを剥がされ、
幼い肢体が露わになる。溢れ出した涙で周囲が滲んで行く。
味見とばかりに、トロール共の異臭を放つ幾条もの舌が、まだ青く瑞々しいシールケの躯を
這いずり回った。
「…あぁうっ…ひ、ぐぅう…ふぁ、あぁあぁぁっっ!!」
しなやかで真っ直ぐに伸びた足も、兆しを見せ始めた2つの淡い膨らみも、その頂にある
可愛らしいピンク色のぐみの実も、ざらついた舌で、汚らしく臭い唾液に穢されて行く。
「‥ひぅっ!…うぅっ!!…あぁうっ……た、たすけて‥だ、れか…」
ふと、トロールの1匹がシールケの持っていた布袋に鼻を寄せ、袋の中の野苺や山葡萄を
嗅ぎ付けた。そして力任せに布を引きちぎり、シールケの躯に中身をぶちまけた。
シールケに覆い被さっているトロールが、目の前で山葡萄の一房を潰し、滴る果汁を躯に
零して行く。
(‥うぅ…私…食べられてしまうんだ…)
甘露に群がる蟻の様に、黒く醜い異形のものどもが、幼女の躯に群がった。
──ぴちゃ‥ぴちゃ…ちゅ、ちゅちゅ…ぺちゃ、ぺちゃ…
「うあぁぁっっ!!‥ひ、ひぃぃん……イヤだぁっ‥イヤぁぁっ…!!」
涼しげな虫の声は、か弱い悲鳴と、粘りと熱のこもった水音とに掻き消されて行く。
果汁の味が気に入ったのか、周りのトロールも果物を潰し、果汁を躯に塗りたくり舐め上げる。
腋の下や臍など、少しでも窪みのある部分は果汁が溜まるので、執拗に舐められる。
「くぅっ…!‥は、うぅぅんっ…!!」
あるものは小さな突起が気に入ったのか、シールケのいじらしい乳首に音を立てて吸い付き、
唾液にまみれた太い指でくりくりと弄び、摘み上げ、舌で転がして行く。
「はぁ…あぁ……う…」
気に入った玩具でずうっと遊ぶ子供の様に執拗に、シールケの2つの突起を責め立て続ける。
その刺激に耐え切れず、それはささやかながらも存在を主張し始めた。
「…っひゃあぁっ!!…イ、イヤ、イヤぁぁっっっ…」
トロールの1匹が、細くすんなりと伸びた足を、黒く毛深い両肩にかけ、未だ誰にも見せた事の
無い、性を知らない幼い少女の恥ずかしい部分を開き、無遠慮に覗き込んだ。
「イヤぁっ、イヤあぁっっ!!おし、御師匠さまぁっっ!!…だれかぁぁぁぁっっっっっ!!!!」
──くちゅ‥くちゅ、ちゅぷっ…ぴちゃ、ぴちゃぴちゃ…
果汁を舐め尽くそうと、まだ何にも覆われていないシールケの幼い割れ目を割り、舌を這わせた。
密やかに閉じたそこを太く汚い指で押し開き、ざらついた長い舌が、皮膚が薄く敏感な襞を丁寧に
舌でなぞって行く。
「く、ぅああっっ…ふ、あぁぁん!イヤぁぁっっっ…!!」
びくん、とシールケの躯が跳ね上がった。長く粘った舌が、割れ目の上の幼い核をも弄び
始めたのだった。
「…ひ、ぐぅう…あぁぁっ…だれか‥だ、れ‥かぁ……」
臭くいやらしい唾液で、シールケの可愛らしい蕾を汚していく。トロールは突起の存在感が
心地良いのか、舌全体でねぶり上げたり、舌先を尖らせてチロチロと突いたりしている。
「…ふぁ、あ、あぁ‥うぅ…お、御師匠…さ、ま…」
更にトロールは、シールケの小さなクリトリスを指で弄り、勢いよく擦り上げ、きゅうっと摘む。
「あ、あああぁっっ…ふぅんっ‥は、はぁんん…!」
幼いクリトリスはすっかり剥かれ、弾けんばかりに張りつめた芽を露わにしていた。
そこに刺激が走る度に、シールケの意志とは関わらず躯がびくん、びくんと跳ねる。
シールケは何とか腰を浮かせ粘りつく舌から逃れようとするが、小さなお尻を両手でしっかりと
掴まれているので逃げられない。舌が離れると、今度は生ぬるい息が蕾にかかる。
(‥く、うぅ…食べるなら‥いっそひと思いに食べれば良いものを…!!)
シールケの思いや事実とは裏腹に、小さな花びらは唾液とは違った液体で潤い始めた。
卑猥な水音は勢いを増して来て、たった一つの抵抗の砦にも甘い熱を帯びだした。
冷たかった夜風がいつの間にか、ひんやりと心地良いものになっている。
「ひゃうぅっっ!!」
滴り始めた蜜が甘いのか、トロールはシールケの小さな蜜壺を探り当て、舌を差し込んだ。
ぐちゅっ、ぐちゅっ、と熱く長いものが行ったり来たりし、シールケの躯の内を掻き回す。
「‥はぁ、くぅ…ふぅんんっ…ぉ‥師匠‥さまぁ…」
シールケを押し包む初めての刺激に、思考はだんだんぼやけ、刺激のみに集中して行く。
「っああ!!‥い‥いた、いぃ…ふぅっ、はぁぁん…」
トロールは、甘く溢れる蜜を更に掬おうと、いびつな指を突き立てた。
いくら蜜を湛えていても、開通のないそこは太く汚い指には狭く、なかなか入って行かない。
トロールは指を、ゆっくりと浅い所から出し入れし、口に運び蜜を舐めた。
──…くちゅっ、くちゅっ、くちゅっ、くちゅっ‥ちゅぷっ……
「はぁうっ、あうぅっ…あ あ あぁぁっ…」
溢れ出る蜜の滑りに任せ、いびつな指をゆっくり挿入すると、舌で存分に掻き回されていた
そこは、トロールの人差し指全てを、少しの抵抗を持って受け入れた。
──…ちゅぷっ‥くちゅ‥くちゅ、くちゅ、くちゅ、くちゅ……
「は‥ぁう、うぅ…んん…ぁあん…」
幾度か内を掻き回し指を抜いたトロールは、少し紅に染まった指を美味しそうに舐めあげた。
そしてまた蜜を掬おうと指を滑らせる。透明だった蜜が、少しづつ桜色に染まる。
仄かな血の甘い臭いに惹かれ、数匹のトロールがシールケの下半身に群がり始めた。
ゆっくり挿入されていた指も、今は激しく動き回り蜜を掻き出している。
「っきゃああぁぁっっ!!」
もっと蜜を掬おうと、1匹のトロールはもう一つの穴、シールケの後ろの穴にも指を差し入れた。
「あぁうっ、いたい、いたいぃ!!」
智慧の足りないトロールでも、流石にそのきつさに驚いたのか挿入した指をとっとと引っ込めた。
しかし、血の滲んだ蜜の甘さを知ったトロールは、唾液と愛液でぬるぬるになっている指でもう一度、
今度はゆっくり、シールケのアヌスに挿入した。
「きゃあ、あああああっっ!!」
小さな性器の周りの、穢れたぬめりを絡ませながらゆっくりと指は沈んで行く。
「いたいぃ‥いたいよぅ…ひぐっ、うぅ…は・あぁぁ……」
指を出し入れし、狭い内を探ってもそこから蜜は出なかったが、指の太さに耐え切れず染み出た血の
甘さが、更にトロールを惹き付けた。菊花を象る淡い襞に、舌を這わせながら指を抽挿する。
──くにゅっ、ぬるっ…ぬる、ぬる、にゅる、にゅる、にゅぷっ、にゅぷっ……
痛みで正気を感じたのも束の間、また新たな刺激の波がシールケの思考を曇らせて行く。
シールケの二つの小さな穴は、トロールどもの数本の指によって塞がれ、蜜を滴らせるスイッチと
認識された核や乳首は、執拗に舌や指で弄ばれる。密やかに閉じていた青い花も今はすっかり
淫靡に咲き乱れ、二つの小さな入口は、塞がれる事をねだるようにヒクつかせ、指を入れた途端に
外の襞までもが絡まり付く様になった。
「あ、あ、あ、あぅっ‥ふぅん、はぁ‥はぁうっ…」
淫靡な水音は速さを増し、下腹部からの刺激の波が、尿意を伴って背骨を熱く伝わって来る。
汚い指が躯の奥をノックする度に、シールケの頭は痺れ、躯との疎通を手放しそうになる。
「‥あ、イヤぁ…おしっこが‥おしっこが出ちゃうぅ!!」
シールケのいじらしい恥じらいなどは全くお構いなしに、トロールは蜜を吸い尽くそうと、
ピンク色に染まった花びら全てに舌を這わせ、指で二つの穴を掻き回し、クリトリスを摘み上げる。
──きゅうっ…くちゃっ、くちゃっ、くちゃっ…ぐちゅ、ぐちゅ‥ぐちゅ、ちゅっ…ちゅちゅ…
「‥イ…イ、ヤぁ…出ちゃ‥うぅ‥出ちゃうのぉぉ……!!」
尿意が刺激に集中している頭まで上り詰めた瞬間、シールケは全身を大きく跳ね上がらせ、
勢い良く解き放たれた。
──シャアアアアアアーーー……
迸る泉に驚いたトロールは慌てて口を離したが、水の勢いが弱まって来ると口で受け、喉を
鳴らして飲み干した。
自身が果てた、と言う事を知らないシールケは、全身の倦怠感と、失禁による屈辱感から
とうとう意志を手放し、何も考えられなくなってしまった。躯はもう動かす気力さえ無く、
トロールの弄ぶままに揺れている。
その時のそり、とトロールの1匹がシールケの頭を跨ぎ、地面に膝を付いた。
シールケの頭を両手で掴み、トロールの中心にある、屹立した不気味な黒い物を
小さな顔に宛う。
「ひいっっ!!!」
トロールは、目を逸らそうとしたシールケを押さえ付け、異臭を放つそれを容赦なく口に押し込んだ。
「ぐうぅ!!うぐぅっ!!」
しっかりとシールケの頭を掴み、ガクガクと腰を振り喉元まで突き立て、幼い口腔を犯す。
ハァハァと荒く、生臭い息がシールケの顔にかかる。喉の奥に異物が当り、鼻と口の中に広がる
異臭に何度も吐きそうになるが、出口は塞がれている。
「ふぐっ、ぅえ‥ぐううぅぅ…!!」
トロールの動きは激しさを増し、シールケの意識が途切れそうになった頃。
「ぐうううううっっっ!!!!」
夥しい量の苦く、青臭いものが口腔内に迸った。トロールが果てたのだった。
それは口の中でビクッ、ビクッと2〜3度爆ぜると、粘液の糸を引いて抜き出された。
「ぅえええええっっ‥げほっ、げほっ!!ぅぐうっっ…」
シールケは直ぐさま、込み上げる胃の内容物と共にその粘液を吐き出した。
「…はぁ、はぁ‥‥っうぇっ、ぐうぅっ…」
吐き出しても吐き出しても臭いと粘液は口内に残り、その所為でまた胃から込み上げて来る。
しかしまた、別の1匹がシールケの頭を鷲掴みにし、吐く暇を与えず一物を口の中に突っ込んだ。
「ふぐううううぅぅぅぅっっっっ!!!!」
1匹が果てたらまた1匹と、トロールどもは代わる代わるシールケの口をも輪姦して行った。
白濁した粘液を吐き出す気力もだんだん薄れて行き、精液を口の中に湛えたまま、次のものを
くわえさせられて行った。
トロールどもは休ませる事無く、蜜を求めシールケの小さな2つの乳首とクリトリスに淫らな
刺激を与え続けた。首から上の苦痛を忘れそうになる程、頭の上からつま先まで絶えず
シールケを覆う刺激の波に、幼い躯は何度も何度も果て、その都度淫水を迸らせた。
淡い恋心さえ抱いた事もなく、ましてや愛と言う名の下に本能で為される営みなど知る筈も無い
幼い少女が、醜悪な異形のものによって輪姦され、穢され、果てていた。
あるものは甘露な蜜を求め、またあるものは自身の欲求を満たそうと、幼い躯に密やかに
息づいていた穴と言う穴は、醜くいびつなものに押し開かれ、塞がれていた。
経験した事の無い刺激に躯は敏感に反応し、求めるままに蜜を迸らせているが、意志との疎通は
そこには無い。心はずたずたに引き裂かれ、思考は最早形にならずただの散漫な霧に過ぎない。
清潔で瑞々しかったシールケの肢体は今や力無く、トロールどもの臭い粘液に覆われ、
黒い塊の中、月明かりに鈍く反射した青白い躯を怪しく揺らしていた。
「きゃあぁぁぁぁぁ!!!シールケェ──────!!!!
フ、フローラッ…フローラあっっっっ!!!!」
闇に包まれた森の中、イバレラとフローラがやっとシールケを探し当てたのは、己の欲求が満たされ、
蜜も枯れた玩具に飽きたトロールどもに置き去りにされた後だった。
賢く素直な少女だった面影も失い、かろうじて息はしているものの、死ぬ事も生きる事も判らない
只の生き人形になっていた。
「‥シ…シール‥ケ‥」
我が子同然に愛しんだ子の残酷な姿に、老女は力無く崩おれた。
「シ‥シールケェ?!しっかりしてよ!!…うわあぁ───っ!!!」
イバレラは泣きじゃくりながら、シールケの頬を叩くが、反応は無い。俯せになっているシールケは、
細い腕を力無く横に投げ出している。あどけない顔は片頬を土に載せ、半分開いた唇は色味を失い、
白濁した粘液を零して震えている。涙はすっかり涸れ果てた様子で、焦点の定まらない濁った瞳は
宙を彷徨っている。
「ああ!可哀想なシールケ!!私の大事な安らぎ…!!だからあれ程念を押したのに…
この惨い運命から、私の微かな力じゃ貴女を助けてあげられなかった!!!!」
涙ながらに掻き抱いたシールケの体温はすっかり低下し、瑞々しかった皮膚は泥と黒い毛にまみれ、
乾いた粘液でがさがさになっていた。
「シールケ…シールケェ……うぇぇ…ごめんねぇ〜‥うえぇ〜……」
フローラは、自身の鱗粉をシールケにかけようとしているイバレラを遮った。
「…家に戻ってからに‥しましょう…」
そう言って、肩に掛けていたケープでシールケを包み、しっかりと抱いて家路を急いだ。
館に戻ったフローラはシールケの躯を丁寧に清め、イバレラの力も借りて、シールケの傷もすっかり
治した。フローラもイバレラも、眠り続けるシールケの傍を、昼も夜も離れずにいた。
3日経ってもシールケが目覚める気配は無く、イバレラは不安と焦燥に駆られていた。
しかしフローラにそれは微塵も感じられず、シールケを優しく覆うこの部屋の空気の様に、
ゆったりと柔らかく、落ち着いていた。
「‥ねェフローラ…シールケ、このままずっと眠ったまま‥なんて事は無いよね…?」
悲しみに満ちた瞳を向け、イバレラはフローラに尋ねた。
シールケのベッドの傍らの椅子に腰掛け、分厚い魔術書を読んでいたフローラは、視線を
読みかけの本からシールケに移した。
「…大丈夫よ、イバレラ‥。
この子は強く、賢い子だもの…きっとまた私達に、笑いかけてくれるわ…。」
大きな窓から、この部屋に差し込む穏やかな光の様に、フローラは静かに答えた。
───フローラは、何故こんなにも静かでいられるのだろう?
───何故、シールケを酷い目に遭わせたあいつらを消しに行かないのだろう?
うじうじと考え込む事の出来ないイバレラは、自身の無力さと罪悪感を苛立ちに変え、
とうとうフローラにぶつけてしまった。
「フローラ!!フローラはあいつらが憎くないの?!
あんたの力を持ってすれば、あんな弱っちい奴らなんて直ぐ消せちゃう筈でしょ?!
何でそんな、腰が抜けた様に大人しくしてるのさ!!!
これ以上あんたが何もしないんだったら、アタシがあいつらを殺しに行ってやるっ!!!」
激しい怒りに小さな体を震わせながら、イバレラは涙を流して一気に捲し立てた。
「どうなのよ、フローラ!!
何とか言いなさいよーーー!!!」
突然の事に些か驚きながらも、イバレラの感情を全て汲み取ったフローラは、ほうっ、と大きな
溜息を1つついた。そして座って居た椅子からゆっくりと立ち上がり、イバレラに背を向けながら
答えた。
「…悔しく無い訳がありませんよ…私のたった一つの日溜りをこんな酷い目に遭わせて…!」
イバレラは、フローラの声に恐怖を感じた。
穏やかに答えているその底に、今までのフローラからは感じられなかった仄暗さがある。
「しかし、ほんの少し、あとほんの少し待てば、強力な力がやって来るわ…
そしてこの子自身が、あれら全てを消し去る手助けをしてくれるでしょう。」
「で、でも!!その前にフローラならっ…!!!」
「…ごめんなさい、イバレラ。今の私の魔力では到底無理なの…。だから今は悔しくとも、時を待つしか術が無いわ…。
その時まで、私が生きていられるかどうかは判らないけれど…あれらは必ず滅ぶでしょう…」
「フローラ…」
「‥さて、イバレラ。私はこれからこの子に、物忘れの術をかけなくてはならないの‥。
この子はもうじき目覚めるわ。」
「物忘れの術‥って、あれは…!!」
───自然の理に反する術。
イバレラは、後に続く言葉を飲み込んだ。
物忘れの術───記憶を逆行させ、時間を遡る秘術。自然の理の内に身を置き、時間の流れに
身を委ねて魔術を探求するフローラには、行ってはいけない筈の魔術。
「ねえイバレラ、大事なのは、罪を犯す事ではなく、罪を犯すまいとして周りを見誤る事だわ。」
願う事は、自分が罪を犯さない事ではなく、幼い少女の歩む未来。
魔術師の禁忌を破ってでも、自分があの出来事を防げば良かったと言う後悔。
柔らかく穏やかな空気を纏いながらも、愛しい少女に起った過酷な現実に、フローラの心は常に
嘖まれていたのだった。
「……そうしないと、この子が前に進む事が出来ないのが‥解るのよ…」
「‥フローラ?ついでにアタシにも、その‥物忘れの術っての、かけてくんない?」
「…!!」
「だってさ、これから先…アタシ、シールケとずっと一緒に居るのなら、忘れてしまっていた方が
お互いにとっていいんじゃないかなァ…な〜んてね。」
「…イバレラ…」
「フローラが言ってたじゃなァ〜い?『知らない方が良い時もある』ってさ!
…だから…」
「‥ありがとう、私の小さなお友達…。
貴女に出逢えた事は、私とシールケにとって希望の光だったのね…」
「な、何よ〜急にィ!ちょーしくるうわねー!!ホラ早く、サクッとやっちゃってくんなーい?!」
「本当にありがとう、イバレラ…」
二人は、柔らかい光の中で、穏やかな寝息を立てているシールケに目を向け、
自分達もそっと両の瞼を閉じた。
───────Fin
イイイイイイイイイイイヤhhhhhhhhhッホゥウウウウウウウウウウウウウ!!!!!
良かたです。
以上です。お付合い頂きありがとうございました。
長いし、滅茶苦茶な投稿の仕方だし、ホントすいませんでした。
もう少し勉強します・・・orz
グッジョブ!!
(*´Д`*) やっと本編がはじまったか!!!!!
セルピコの想像でガッツがファルネーゼを刺す場面
あれはファルネーゼを犯す画像にすべき!
セルピコ×ファルネーゼの序盤を投下します。
設定は21巻でガッツと分かれた後、後を追わず聖都に戻った…と思って読んでくさい。
屋敷に戻ってから一ヶ月が経った。
三年ぶりに足を踏み入れた屋敷は全く変わってはいなかった。
広大な敷地、薄暗い廊下に並ぶ厳しい彫像、何もかもがあのころのままだ。
無駄に広い寝室のベッドに横になり暖炉の炎を見つめる。
屋敷に戻って以来一度も神に祈りをささげることはなかった。
数ヶ月前、未知なる闇の前に私が唯一すがるべきものだった信仰は粉々に打ち砕かれた。
大審院の判断――というより父の働きかけよるものだろう――私は聖鉄鎖騎士団の団長を更迭された。任務も信仰も何もかも、全てを失った私に残されていたものはヴォンディミオン家の名前だけだった。
赤い炎に照らされながらいつものように下着を脱ぎ捨てる。
ベッドの上で四つん這いになりお尻を大きく突き出す。
そして左手で乳房を揉みしだきながら、右手でクリトリスをゆっくり刺激する。
この巨大な牢獄の中で、すがるものを持たずに生きていけるほど私は強くはない。
今の私に残された唯一すがるものは、私の中に巣喰う淫らな肉欲だけだ。
「あうぅ……く!」
甘い声が漏れる。徐々に体が赤みを帯びてきて、額に汗がにじみ出る。
まだ……まだ物足りない。
愛液でじっとりと濡れる膣口に指を差し込む。生暖かく、ぬるぬるとした感覚が指に伝わってくる。
さらに指を奥まで差し込んで、体を内側をゆっくりとなぞる。
「くうぅ……ひぁぁ……」
よく知っている自分が一番感じる場所に指を押し付ける。
指を出し入れするたびに赤く照らされた部屋にクチュクチュとぬめった音が響く。
あられもない姿で激しい自慰に耽る自分に興奮し、膣口からは愛液が止め処なく溢れる。
誰でもいい。無理やり唇を奪い、乳房を握りつぶし、愛液で溢れる嫌らしい穴を突き上げて欲しい。
淫らに、激しく、私の暗い欲望を満たして欲しい。この疼きを満たしてくれるなら死んだっていい。
膣口に突き刺した中指と薬指をよりいっそう激しく出し入れする。体が浮くような感覚。
絶頂と近づくにつれ呼吸が激しくなり、口と膣口から体液を垂れ流しながら犬のように腰を振る。
「あ!あぁ!イクぅ!……ん……あああああぁぁぁ!」
部屋に響き渡る大きな絶叫とともに膣口から愛液が吹き出す。
体を痙攣させながら荒い息でうずくまる。
「ハァ……ハァ……」
全身に広がった痺れるような絶頂の余韻に浸っていると、突然ノックの音が響いた。
「だ、誰だ!」
予想外の訪問者に思わず声を張り上げる。
「ぼくです。ファルネーゼ様。」
聞き慣れた声。セルピコだ。
「な、なんだこんな時間に!」
もしかして聞かれた?――顔が恥ずかしさで真っ赤に染まる。
「すいません。お話したいことがありまして。」
慌てて脱ぎ捨てた服を掻き集める。呼吸を整えドアを開ける。そこにはいつもの表情のセルピコがいた。
顔が赤いのは暖炉の炎のおかげで気づかれないはず……大丈夫。自分に言い聞かせる。
「なんの話だ?」
暖炉の前のテーブルに向かい合って腰掛け、いつもどおり気丈に振舞う。
そんな私の気持ちを知ってか知らずかセルピコは小さなため息をつき言った。
「先ほど御館様から連絡がありまして……その、ファルネーゼ様の結婚についてなのですが……」
「……え?」
予想外の内容に目を丸くする。
「もう話は決まっているそうです。お相手はロデリック侯爵という御方です。」
「そんな急な話……」
「御館様がお屋敷にお戻りになり次第、ロデリック侯のお屋敷に向かうそうです。」
――決して予想できない話ではなかった。
ヴォンディミオン家の繁栄にしか興味のない父上にとって、私は厄介者でしかない。
せいぜい派閥拡大のための道具としか見ていないこともわかっていた。
「……そう、わかったわ。」
しかし私に父上に逆らうことなどできはしない。
ヴァンディミオン家の庇護の下でしか私は生きられないのだから……
もうどうなってもいい――これが運命だと受け入れるしかない。
「……本当にそれで良いのですか?」
「え?」
>>322さん
文体変わってごめん、こんなんでよければ
ヘボンだったらスルーしてください
↓
意外な言葉だった。セルピコは自分に、そして後見人であるヴァンディミオンの当主に逆らえない。
黙して主の意向に添う仕事をするだけの男だと思っていた。
ふいにファルネーゼの内に怒りがわき上がる。
十六のあの時も、自分を連れて逃げるどころか、抱きしめてさえくれなかったではないか。
「私に政略結婚を拒否する権利があると思っているの!?
いいも悪いもないではないか。私は父上の言うとおりにするだけ」
怒気を含んだファルネーゼの言葉を、セルピコはいつもの様に静かに聞いている。
また癇癪が始まったとでも思っているのだろうか?
この男は、鞭をくれても呻き声一つあげない。そういう人間だった。
「‥‥ご気分を害されたのなら謝ります。おっしゃるとおりですから‥‥」
感情の読みとれない表情、その瞳。
歪んだ形であれ、ファルネーゼが最初に恋をした男はセルピコだった。
彼女は、平民あがりであっても、この聡明で優雅な立ち振る舞いの青年が好きだった。
しかし長年生活を共にしても、セルピコの自分に対する感情はわからない。
黙ってファルネーゼの命令を聞くだけだ。
それがいつもファルネーゼを苛立たせた。
>>324 いいよいいよ〜!
(;´Д`)ハァハァ
>>324 うわあ、いいですね(;´Д`)
続きかけたら是非書いてください!
>>324 続き
「式の日取りはもう決まっているのでしょう?」
「はい‥ヴァンディミオン家ゆかりの大聖堂で、内外の王族諸侯方々が
臨席致します。盛大な式となるでしょう‥」
苛立つファルネーゼを後目に、淡々とセルピコは説明をする。
ヴァンディミオン家としては、いや父としては「ヴァンディミオンの鬼子」
と囁かれる自分のイメージを払拭したいのだろう。
だから相手は王族で、式は豪華に華やかに行わなければならないのだ。
「ロデリック侯とはどんな方?」
「肖像が届いております。ご覧になりますか?」
「いいわ、後にして」
肖像画はどうせ実物より美しく描かれている。なんの証にもならない。
「シュタウフェン王家はミッドランド王家に次ぐと言われるほどの
古く由緒ある家柄。ファルネーゼ様にお似合いのお相手と‥‥」
「もういいわ!さがって」
「はい‥‥」
怒気をはらんだファルネーゼの命に、セルピコは静かに席を立った。
「蛇足ですが‥‥」
「これ以上何を言おうっていうの!?」
「‥長らくファルネーゼ様にお仕えしてきましたが、婚礼の日をもって
私はファルネーゼ様の警護役の任を解かれます。正式なお別れはいづれまた‥」
「!?」
ファルネーゼには思いもかけない事だった。
当然の様に、他のヴァンディミオンの侍従達と同じに、セルピコも婚家へ
ついてくるのだとばかり思っていたのだ。
「どうして?誰が決めたの!?」
愚問だった。
「御舘様です」
「お前は私から離れて何をするの!?」
「今までどおり、ヴァンディミオン家の紋章官を務めるだけです。
雪の中、ファルネーゼ様に救われた命。感謝の言葉も‥」
「もう、そんな事は聞きたくないわ!お前は私が憎いのでしょう?
見ず知らずの男に嫁がされていい気味だと思っているのでしょう?
だからそんな事が平気で言えるんだわ!」
涙を浮かべてセルピコに詰め寄るファルネーゼを、彼は困った様な
憐れむような瞳で見下ろしていた。
「‥私はファルネーゼ様を憎んでなどおりません‥」
「そんな訳はないわ!私はお前の母親を焼き殺したのよ!?
憎いはずよ、憎くはないの!?」
ファルネーゼの強い視線から逃れる様に、セルピコはそっと横を向いた。
いつもの様に濃い金色の前髪で瞳が隠れて、さらに感情を計りかねた。
「‥そんな事で、憎んではいません‥貴女の事を‥」
「なら抱いて!つれて逃げてなんて言わないわ。
でもお前も男なら愛してもいない女を抱けるでしょう?
私はヴァンディミオン家に女として産まれただけで
お父様に疎まれ、顔も知らない男と寝なければならないのよ!?」
「それは‥‥」
セルピコは口ごもる。彼にしか知らない事実ゆえにだ。
「今夜だけでいいわ!そうしたら私は笑ってロデリックとやらと結婚してあげる。だから‥‥」
胸に泣き崩れるファルネーゼを、セルピコは痛々しげに見つめていた。
神よ、実にGJ!ですね。
>>329 「‥‥私でファルネーゼ様をお慰め出来るのなら‥」
そう言ったセルピコの口調は、いつもと同じように静かだった。
だがファルネーゼの肩を抱くその手には、痛いほど力がこめられ彼女は怯えた。
いくら肉への欲望へ身を焦がしていても、ファルネーゼは男を知らない。
生身の男を前にして、女を抱こうとするその空気を肌身で感じ
ファルネーゼは初めてセルピコを怖れた。
セルピコは、ファルネーゼの碧色の瞳に浮かんだ怯えを読みとっていたが、やめる気はない。
「?!」
望んでいた筈なのに、まるで無理矢理の様に唇を奪われた。
反射的に身を引こうとしたファルネーゼの身体を、セルピコは力ずくで抱き寄せた。
最初の肉の触れ合いに驚くも、セルピコの意外な口づけの荒々しさと
吸われた舌の熱さに、やっと求めていた物が与えられるのだと思った。
セルピコは貪っていた女性の柔らかく甘い唇と共に、ファルネーゼの細い腕が自分の首筋に絡みついてくるのを感じていた。
>>331 続き
セルピコはくちづけはそのままに、ファルネーゼの身体を抱き上げた。
ファルネーゼはもっと深いくちづけを求めて
セルピコの首にまわした腕に力をこめてきた。
彼女にとって初めての、そしてずっとこのままでいたいと思うようなくちづけだった。
「‥‥‥」
セルピコは絡まる互いの舌の濡れた熱さを感じながら
薄い蒼色の瞳でファルネーゼの頬をつたう涙を見る。
その涙の意味を思った。
(*´∀`*)
イイヨイイヨ〜(;´Д`)ハァハァ
∧_∧ +
(0゚・∀・) ワクワク テカテカ
(0゚∪ ∪ +
と__)__) +
>>332 続き
華奢な男だと思っていた。並の男より背が低い訳でもないのだが
痩身がセルピコを線が細く小柄に見せていた。
いかにも聖都の貴族といった優雅な衣装がよく似合い
ファルネーゼは舞踏会に出る度、見栄えの良いこの警護役の男が密かに自慢だった。
その絹の服の下、肌に無数の傷をつけていても‥。
「ん‥‥」
セルピコの肌を見たことはあった。その肌に数年前の鞭の痕跡は残っていない。
しかしこうして裸で抱き合えば、やはりセルピコも男である事がわかる。
ファルネーゼのプラチナブロンドの髪をまさぐる指は冷たいのに
合わせた肌は熱く、その身体は重かった。
「‥‥あ‥‥」
セルピコが彼女の髪の生え際に、うなじに、そして首筋へとくちづける。
その感触も吐息も熱く、ファルネーゼは甘いため息をついてセルピコの頭を抱いた。
彼の濃い金色の髪は、意外にも細く柔らかかった。
この髪の感触も香りも、肌の熱さも刻みつけるように憶えておこう。
初めて恋した男が自分を抱いてくれたのだから‥。
「‥痛っ‥」
乳房に触れていたセルピコの手が、肌を愛撫しながら下へとなぞり
自分しか触れた事がない秘所を探りはじめた時だった。
ファルネーゼはその冷たく堅い男の指の感触に、びくりと身体を震わす。
何故男の手では苦痛なのだろう?自分では容易に快感の場所を探り出せたというのに。
「‥‥私に身体をあずけてください。力をぬいて‥」
耳元でセルピコが囁いた。その言葉と息の熱さにファルネーゼは
身体の芯が熱くなる。
ファルネーゼの腰を抱く片腕に力を込め、もう片方の手が彼女の秘所のひだを割り
優しくクリトリスを愛撫し始めた。
「あぁっ!」
苦痛と快楽の入り交じった衝撃に、ファルネーゼは必死にはしたない声をこらえた。
お前はこんな時どんな顔をするの?
荒い息を吐くセルピコの形の良い細い顎、整った鼻梁につたう汗を
ファルネーゼは見た様な気がした。
(*゚∀゚)=3 ムッハー(*゚∀゚)=3 ムッハー(*゚∀゚)=3 ムッハー
(*´∀`*) (*´∀`*) (*´∀`*)
340 :
324:2005/06/08(水) 00:52:03 ID:nHC41Vr6
あの、ウザイですか?
漫画板に晒されてたのでちょっと気になって
毎日夜更かししてリアルタイムで読ませてもらっています(*´∀`)
>340 住人はどうせ同じなんだから気にすんな!
>>337 続き
ヴァンディミオン家の庭は広大で、あちらこちらに四季の花々の園が設えてある。
季節は五月。彼のまわりには野放しになった百合と薔薇とが咲き誇り
むせかえるような香りが満ちていた。
栄えある王家との婚姻は間近にせまり、ファルネーゼの着るであろう
純白のドレスの仮縫いが終わった頃だ。
ヴァンディミオンの花嫁のベールは一際長く、純白の絹に
ファルネーゼの紋章と百合とが豪華で繊細な刺繍がほどこされていた。
セルピコは庭師もあまり来ない様な庭のはずれで、独りベンチに腰掛けていた。
独りになりたい時、セルピコはこんな場所に来る。
自分では意識してはいないが、たぶん疲れた時なのだろうと思う。
漠然と自分の手を見つめていた。
「一晩だけ」とファルネーゼに懇願されたあの夜から、何度か関係を持った。
自分から誘うこともあった。
聖アルビオンでファルネーゼが黒い剣士に連れ去られた時
暴行されたのかと勘ぐっていたが、今だ閨でのファルネーゼのあえぎは
快楽のそれではなかった。
初めてだったのですね‥‥。
自分の手は二つの大罪を犯した。
母親を焼き殺し、血の繋がった妹を抱いた。
それでも自分がファルネーゼを抱き留めれば
また十六の時の様に、邸に火を放つ様な振る舞いをしないだろう‥
そう考えもする己の冷酷さがセルピコは嫌だった。
GJだああああああああああああああああ
♪ チャッチャッチャッ ♪
∧_∧ ∧_∧ ∧_∧
(・∀・ ) .(・∀・ ) (.・∀・ )
((( ;;"~;;;"~゛;;) ((( ;;"~;;;"~゛;;) ((( ;;"~;;;"~゛;;)
. ミ;,,_,ミ;,,_,,;ミ ミ;,,_,ミ;,,_,,;ミ ミ;,,_,ミ;,,_,,;ミ
♪ チャッチャッチャッ ♪
∧_∧ ∧_∧ ∧_∧
( ・∀・) (. ・∀・) ( ・∀・.)
(;;"~゛;;;~゛;; ))) (;;"~゛;;;~゛;; ))) (;;"~゛;;;~゛;; )))
. ミ;,,_,,;ミ,_,,;ミ .ミ;,,_,,;ミ,_,,;ミ .ミ;,,_,,;ミ,_,,;ミ
♪ ウ〜ッ ♪
∧_∧ ∧_∧ ∧_∧
( ・∀・ ) ( ・∀・ .) ( ・∀・ )
;;"~゛;;;"~゛;; ;;"~゛;;;"~゛;; ;;"~゛;;;"~゛;;
ミ;,,_,,;ミ;,,_,,;ミ ミ;,,_,,;ミ;,,_,,;ミ ミ;,,_,,;ミ;,,_,,;ミ
♪ ブラーボー!!!!! ♪
,, -,, ,, -,, ,, -,, ,, -,, ,, -,, ,, -,,
;;, ,,ミ∧_∧ミ,, ,;; ;;, ,,ミ∧_∧ミ,, ,;; ;;, ,,ミ∧_∧ミ,, ,;;
"(ヽ・∀・ ノ)" "(ヽ・∀・ ノ)" (ヽ ・∀・ノ)"
| | | | | |
(⌒__⊃ ミ (⌒__⌒) 彡 ⊂__⌒)
>>346 続き
その冷酷はまぎれもなく父方ヴァンディミオンの血だ。
大罪を犯しても、罪におののくことは無く
罪から逃れる最善の方法を考える。
皮肉にも、こんな時に自分の中に脈々と流れるヴァンディミオンの血を感じた。
結婚前の貴族の娘に、恋人がいたなどという話はざらにある。
いくつかの名門では、近親相姦の醜聞すら囁かれていた。
今のセルピコとファルネーゼの関係は、表向きは「よくある話」でしかない。
問題になるのは異母妹といえど、相手が血の繋がりのある妹である事だ。
だがこの事実は自分と、後見人たるヴァンディミオンの当主しか知らない。
元よりセルピコは、この醜聞を明かしてヴァンディミオン家に
意趣返しをするつもりなど無いし、何よりファルネーゼの名誉に関わる。
父たるヴァンディミオン当主も、この事実を知っても黙認するだろう。
事を荒立てるくらいなら、兄と妹がつるんでいようと知った事ではない。
秘密を知る者は自分とセルピコしかいないのだから。
ただ自分が黙していればいい
私はただファルネーゼ様が欲しかった‥‥
身分を越え、血を越えて
そういう理由の方がまだマシとセルピコには思われた。
自分は気持ちを整理するために、この庭の片隅に来たのかもしれない。
薔薇の木の下、秘密を永遠に埋め隠す為に。
手に残る、ファルネーゼの生がたい反応と乳房の堅さ
高貴な処女らしい肌の柔らかさと熱さの感触
自分を見上げる熱をおび潤んだ瞳
薔薇と百合の香りが、それらを思い起こさせた
セルピコは紛れもなくその行為に快楽を感じていた
(*´Д`)ハァハァ/lァ/lァ/ヽァ/ヽァ ノ \ア ノ \ア / \ ア / \ ア
∧_∧ +
(0゚・∀・) キョウハ マダカナ?
(0゚∪ ∪ +
と__)__) +
>>349 続き
ファルネーゼは薄暗い寝台でセルピコの背中を見ていた。
彼はファルネーゼに背を向けて、上半身は裸のまま寝台に腰掛けていた。
痩身のまっすぐに伸びた背骨
その肌には数年前、ファルネーゼがむち打った傷跡はもはやない。
つい先ほどまで、彼女はセルピコの背に腕をまわし
甘い吐息を吐いて、その背骨の感触を指でまさぐっていた。
何故この美しい生き物に、自分は傷をつける様なまねをしていたのか。
今ならファルネーゼは、あの時の自分の行いをわかった気がする。
セルピコが今の様に自分を抱いて傷つけてくれなかったからだ。
こんな時、セルピコはほとんど何も言わない。
ファルネーゼが苦痛に息を乱した時、「辛いのですか?」と囁くくらいだ。
それでも無遠慮な程に、熱く堅い何者かが身体の中に入ってくる。
そんなセルピコもまるで苦痛の様に、眉根をよせ荒い息を吐いた。
身体の奥の苦痛と、合わせた肌の、絡めた指の熱さの快楽が一度にファルネーゼを襲うのだ。
でも何故、今セルピコは自分を抱いてくれたのか?
別れを惜しんでくれたのか?
その真意を今だはかりかねた。
「‥‥不安ですか?」
意外にもセルピコが話しかけた。背を向けたままだったけれど
その言葉は、数日後にせまったシュタウフェン王家との式を心配してのものだった。
「‥わからない。私はまわりの言うとおりにするだけ」
「心配は無用でしょう。すべて侍従達が取り仕切ってくれます」
この男はそんな事しか言わないのだ。
「お前は嘘でも、抱く女に『愛している』とは言えないの?」
しばしの無言。
「‥‥私はファルネーゼ様にその言葉を『言えない』のです。
しかし他の女性にもその言葉を告げた事はありません。
今までも、これからも‥‥」
「イースはどんな国かしら。でもお前はこれからもここに居るわね?」
「はい‥喜望峰を越えられないオランダ人の様に
私はこの場所から動けません‥‥。何処へも行けないのです」
「待っていて。お前に会いに帰ってくるわ。ラヴァンドの花が咲く頃に‥」
その言葉を背に、セルピコは無言で身支度を整え
就寝の言葉のみ告げてファルネーゼの部屋を立ち去った。
ΛΛ ∩
( ・ω・)彡 GJ!! GJ!!
( ⊂彡
_| /(___
/ └-(____/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
<⌒/ヽ-、___
/<_/____/
モリアガッテキマシタ!
(;´Д`)ハァハァ
終わりです
エロ描写ぬるくてすみません
あとの描写も考えてたんですけど、エロくないので割愛しました
読んでくださった方、ありがとうございます
原作読むとファルはやっぱりおバカで萎えちゃって
お疲れ様でした(;´Д`)ハァハァ
確かに最近のファルはちょっと…ですね…
>>あとの描写も考えてたんですけど、エロくないので割愛しました
すごく読みたい…(´・ω・`)
Me too
361 :
324:2005/06/12(日) 23:29:02 ID:XUaBP6ee
こんなんで良ければスレ保守の為に投下します
皆さん、暖かいお言葉ありがとう
>>320-322さん
途中からネタ取りしちゃってすみません
ただ自分の書いたパートだけもってかえっていいでしょうか?
ちょっと使いたい事情があるんです
もちろんです(´∀`)
続きをハァハァして待っております(;´Д`)
363 :
324:2005/06/13(月) 22:26:27 ID:Uk1Y2ES9
>>320-322さん
快諾ありがとうございます。
でもあんまりハァハァ出来ないもんばっかですみません
∧_∧ +
(0゚・∀・) シリアスナテンカイ ドキドキ ワクワク
(0゚∪ ∪ +
と__)__) +
>>354 続き
スレ埋めです、エロくないです。すみません
そんなんでよければ↓
ヴァンディミオン家とシュタウフェン王家の栄えある婚礼を翌日に控え
セルピコは自分の仕事に忙殺されていた。
王家との結婚式には紋章官も必要なのだ。
式では両家の紋章官が進み出て
我が家がいかに栄光ある家柄であるか、紋章の由来等の口上をのべるのである。
その大役がまだ若いセルピコにまわってきた。
しかし異論を唱える者は誰もいない。
セルピコは優秀であったし、なによりヴァンディミオン当主のお墨付きなのだ。
ヴァンディミオン当主からは、相手がいかに王家であっても
遜色ない口上をのべる様にと念を押された。
家柄でいえば無論王家が格式高いのだが
今や財力、権力共にヴァンディミオン家が遙かに上回っている。
当主には落ち目の王家に恩を売り、王家の血筋を我が家に取り込むつもりなのだろう。
「長らくファルネーゼの警護さぞ苦労した事だろう。
礼を言う。晴れてファルネーゼが花嫁となるのもお前のおかげだ‥」
「‥‥いえ‥‥」
フェデリコはその後も、今までの働きに免じて何かセルピコの待遇を
上に引き揚げる等々の話をセルピコは上の空で聞いていた。
いつ顔をあわせても、この男が自分の父である実感がわかない。
『私たちは兄妹でつがっているのです』
そう告げてみたらこのフェデリコはどんな顔をするのか?
思うだけで口に出す気も無い。
愛情は無論の事、憎しみすら感じない。
かえって「他人」として自分の後見人になってくれた事を
有り難いとさえ思う。
「お前からは何か言いたい事はないのかね?」
「‥‥いえ、ファルネーゼ様のご結婚を心より祝福しております‥」
そう言って主の部屋を後にした。
ファルネーゼもまた侍女達に囲まれて、婚礼の用意に忙しかった。
女達は盗み見た花婿ロデリックの噂話で華やいでいたが
ファルネーゼはいつもの様に気むずかしい表情をくずさなかった。
一瞬、白いドレスに身を包んだファルネーゼを目があった。
心細さ故か、縋り付くような瞳だった。
そんな眼をしてはいけません
貴女をまた抱きたくなります‥‥‥。
セルピコは視線を逸らし、自分の仕事へと戻っていった。
(;・∀・) ドキドキ ワクワク
(-_-)テッカテカ
(∩∩)
370 :
324:2005/06/15(水) 23:52:47 ID:hHlSACwq
下書き無しで書いてるので
一部「てにをは」が変な部分があります、すみません
∧_∧ +
(0゚・∀・) リアルタイム ハァハァ
(0゚∪ ∪ +
と__)__) +
久しぶりに覗いたらえらくスレが活発になっててびっくり(・∀・)
>>367 スレ埋め続き
式を明日に控えたその日の夜だった。
他の使用人達と明日の式の打ち合わせをしていたセルピコの処に
一人の侍女がひどく狼狽してやってきた。
「ファルネーゼ様がセルピコを呼べと。ひどく興奮しておいでです」
「どんな様子なんです?」
「結婚は嫌だと‥この間際になって」
私たちのどんな説得にも耳をかしません。
侍女達はおろおろと所在なげにしていた。
やれやれ‥‥。
ため息をつきつつセルピコはファルネーゼの部屋に向かった。
ファルネーゼの部屋の前には、閉め出された侍女や侍従達が固まっていた。
部屋の中からは、ファルネーゼのすすり泣きらしき声が聞こえてくる。
彼らはセルピコの姿を見るや、やっと安堵した様だ。
この気むずかしいお嬢様のお相手が今まで続いたのは、セルピコ一人だけだったからだ。
「私が説得しましょう。
ひとまず皆さんはここを離れてください」
そう言ってセルピコはファルネーゼの私室に入っていった。
ファルネーゼは婚礼の衣装も着替えぬまま、泣いていた。
セルピコの姿を認めるや、胸に飛び込んできた。
「結婚など嫌だ。ここから出て生きてなどいけない。
私はあんな男に抱かれたくない」
抱いたファルネーゼの方は小さく、震えていた。
「では、私と逃げますか?ヴァンディミオンを捨てて」
そういったセルピコの顔を見上げたファルネーゼの表情に
一瞬の歓喜がよぎった。
だが続くセルピコの言葉は冷たかった。
「ヴァンディミオン家を捨てれば待っているのは
餓えに苦しみ、寒さに凍える生活です。耐えられますか?貴女に。
私はその生活から逃れる為に、母を見殺しにしました‥‥」
ファルネーゼの顔に絶望が浮かんだ。
「‥‥では、私はどうすればいい?知らない国へ嫁いで
知らない男を夫にして。そんな事‥‥」
「明日一日の義務を果たせばいいだけの話です。
ファルネーゼ様はヴァンディミオン家のご息女。
ロデリック侯がお気に召さないのなら、後はお好きになさればいい‥‥」
キタ━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━( )━(゚ )━マ(д゚ )━ウマ(゚д゚)━━!!!!!
「私はどうしても花嫁の義務を果たさなければいけないのね‥」
大貴族の娘は、大抵政略結婚の為嫁がされる。
興奮がだいぶ冷めたファルネーゼは、力無くセルピコによりかかった。
「ファルネーゼ様の身体の乾きは、夫たるあの方が癒してくれるでしょう‥」
その言い様にファルネーゼは瞬時に怒りを顕わにした。
「その言いぐさはなに!?愛が無いというのなら、お前の方がまだマシ!」
セルピコはそんなファルネーゼの手首をつかみ、強引にくちづけた。
ファルネーゼは抵抗するも、すぐにセルピコに身体をあずけた。
長い、情交の様なくちづけだった。
「私は何処にも行きません。
‥‥ラヴァンドの咲く季節を待っています‥‥」
ファルネーゼはしばらくセルピコの胸ですすり泣き
そしてやっと表向きの平安を取り戻した。
彼女を見つめるセルピコの痛々しげな表情を、彼女は知らない。
>>377 スレ埋め続き
ヴァンディミオン家とシュタウフェン王家の婚礼に
聖都のすべてが賑わった。
三日三晩に祝宴が催され、王侯貴族から平民まで
全ての人々に何かしかの糧が振る舞われた。
色とりどりの花がまかれ、石畳を埋め尽くす。
大聖堂の式の後、ヴァンディミオン家邸宅で
華やかな舞踏会が催された。
ヴァンディミオン家当主フェデリコはファルネーゼの
存外に大人しい様子に安堵している様子だった。
花婿のシュタウフェンのロデリックは
セルピコが見るかぎり質の悪い人間でもなさそうだった。
王家の人間のくったくの無さと、世慣れた雰囲気を持ち合わせた人物に見えた。
陽の当たる道を、なんの疑問もなく歩いて来た人間の大らかさがあった。
「‥‥‥」
目立つ紋章官の衣装を着込んだセルピコは、大役を終えて
晩餐会の片隅に臨席していた。
ファルネーゼの顔は白いレースのベールに覆われて見えない。
ロデリックはそれを花嫁の恥じらいと思ったのか
陽気に側近や友人と語らい、盃を進めていた。
ふと、遠目ながらセルピコはロデリックと目があった。
ロデリックはセルピコを見ると、意味ありげに笑い盃を掲げた。
セルピコも微笑んで優雅に礼を返す。
しかし内心は不快だった。
シュタウフェン王家側にも、花嫁の警護役の人間の情報が知れていたのだろう。
事実、虚実、取り混ぜて。
貴方に、いったい私とファルネーゼ様の何がわかります?
歪みもつれて絡み合った兄妹の因縁を
断腸の思いで引き剥がした私の苦痛を‥‥。
大柄で黒い髪の精力的な空気を漂わせるロデリックは
女性の扱いも手慣れている様だった。
それでファルネーゼ様がなだめられるのなら‥‥。
セルピコは力無く、そう思うしかなかった。
381 :
324:2005/06/19(日) 02:08:11 ID:leWUOTEA
休憩
エロくなく進んでしまってます
このままでいいですか?
毎日楽しみにしています
是非続けてください(*´Д`)ハァハァ/lァ/lァ/ヽァ/ヽァ
エロシーンがないのにエロスを感じる。個人的にはぜーんぜん無問題
すげーいい(*゚∀゚)
>>380 スレ埋め続き
カーニバルは終わり、聖都はまた教会の鐘が鳴り響く日々へと戻った。
ヴァンディミオン家の邸宅も、また重く陰鬱な空気に戻っていく。
「‥‥‥」
セルピコはこの広大な庭に独り居る。
王子の妃となったファルネーゼは、港からイースへと旅立っていった。
セルピコは見送りに行かなかった。
庭園は静かで、小鳥の声や木々のざわめきのみ聞こえる。
生きた人の気配がなく、まるで墓地の様だった。
セルピコはなんとはなしに、ファルネーゼと新郎の初夜の事を考えていた。
不思議とロデリックに対して嫉妬や怒りは感じなかった。
二人が睦み合う光景も頭に浮かばなかった。
ただ、その時、ファルネーゼは不安でなかったか?
それだけが気がかりだった。
初夜にまで私が立ち会ったら、もうお笑いだ‥‥。
セルピコの口元に苦い笑いが浮かんだ。
今でも、シュタウフェン王家との婚姻を取り結んだことが
ファルネーゼの為になったのかどうか、セルピコは迷っている。
私が一生、ファルネーゼ様を抱き留めていればよかったのか?
ずっと手元に置いて、兄妹で‥‥‥。
そんな関係は、いずれ破綻が来るのは目に見えていた。
忌まわしい、濃い血の子をもうけるかもしれなかった。
キタ━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(` )━(Д` )━(*´Д`)━!!!!!
ΛΛ
(´・ω・`) キョウハ オヤスミッポイ…
( )
_| |/(___
/ └-(____/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
<⌒/ヽ-、___
/<_/____/
>>368 スレ埋め続き
仕事がある事は有り難いことだとセルピコは思っていた。
ファルネーゼがシュタウフェン王家に輿入れして
一ヶ月ほど経ったがイースの王宮が炎上したという話も聞かない。
ファルネーゼはそれなりにうまくやっているのだろうと思う。
表面上、自分は以前となんら変わりが無く見える筈だ。
黙々とヴァンディミオン家で与えられた仕事をこなし、日々を過ごしている。
あのヴァンディミオン家の、主の居なくなった巨大な庭園の様な
大きな空洞を抱えながら、自分の思いとは関係なく日々は過ぎていく。
今や日常のすべてが、セルピコにとってどうでもいい事だった。
その存在の死を願った母が死に、不機嫌なファルネーゼが居なくなり
開放感をおぼえてもいいはずだったが
自分はそんな時にどうしていいか解らない。
セルピコは仕事が終わりやる事が無くなると、庭園の片隅で独り居る事が多くなった。
ファルネーゼが居なくなってみると、自分の中身はいかに空虚であるか痛感している。
しかし、この苦痛も時間が癒してくれるだろう‥たぶん‥‥。
セルピコは現実に対して、耐えるしかやり過ごす方法を知らなかった。
「浮かない顔ですわね。お噂のとおり
あのヴァンディミオン家のお嬢様と恋仲でいらしたの?」
「‥‥あの関係が恋と言うのなら‥‥」
「ファルネーゼ様は随分と気難しい方と聞き及びましたけど
貴方にはお優しかったでしょう?」
「‥‥いいえ、やはり扱いづらい方でしたよ‥‥」
「何故そんな方と‥‥」
「あの方は美しかったが貴女ほどではありませんでした。
そして貴女ほど賢くもなかった。
ですが私の母もそういう女でしたので、私はそういう女性と
共に居ることが習い性に成ってしまったのでしょう‥‥」
「そう‥‥気の毒な方ね‥‥」
そう言って顔なじみの高級娼婦は艶やかに笑った。
セルピコは、自分の身体が求める欲求を誤魔化すために
コルテジャーナの娼館へ通う事があった。
夜に紛れてひっそりと。
隠すつもりはなかったが、セルピコを知る者は
あの紋章官殿が?と驚いたものだ。
男を扱いなれた高級娼婦の豊満な肉体
その香水の香りに埋もれながら
セルピコはファルネーゼの細い首筋、舌でたどった鎖骨の味を思い出していた。
彼の身体もまた、乾いていた。
その乾きを満たす者は、もう側には居ない。
※コルテジャーナ:王侯貴族相手の高級娼婦の事
♪ ブラーボー!!!!! ♪
,, -,, ,, -,, ,, -,, ,, -,, ,, -,, ,, -,,
;;, ,,ミ∧_∧ミ,, ,;; ;;, ,,ミ∧_∧ミ,, ,;; ;;, ,,ミ∧_∧ミ,, ,;;
"(ヽ・∀・ ノ)" "(ヽ・∀・ ノ)" (ヽ ・∀・ノ)"
| | | | | |
(⌒__⊃ ミ (⌒__⌒) 彡 ⊂__⌒)
(*゚∀゚)
(;゚∀゚)ドキドキワクワク
え?いいんすかこんなだらだらで
漫画板に晒されるとチキンなおいらは心臓バクバクです
全然OKです(´∀`)
毎日楽しみにしてます(*゚∀゚)
漫画板に晒すお方
ウザイならウザイって書いてください
おいらは恥ずかしくて投下できません チキンデスミマセン
ほんとだ晒されてる…
これじゃ続けにくいですね(´・ω・`)
あんまり嫌々言い過ぎるのも、上島竜ちゃんの「押すなよ!」みたいで逆効果だったような
個人的には続けて欲しいな……
402 :
324:2005/06/25(土) 01:46:04 ID:r8lNMBUM
どうもお騒がせしてすみません
個人的にはこれで終わりでいいかなと思ってました
気にしない様にして思いついたらなにか書きます
チキンデゴメンナサイ
>>402 あれ エロイのに切ないな。なんだか目から汗がでたよ
405 :
名無しさん@ピンキー:2005/06/28(火) 01:09:46 ID:4DLVLBcf
ここまで話が進むとロデリック×ファルネーゼとか読みたくなるね
わ、ageちゃったゴメン
407 :
324:2005/06/28(火) 23:17:54 ID:SHwg5Z1E
>>392 思いつき後日談いきます
エロくないです
そのうちロデリック×ファルも書いてみます
↓
人間一人、笑おうが泣こうが季節はうつろう
ファルネーゼの輿入れから半年経ったか経たないかの時
セルピコに当主フェディリコから縁談の話が舞い込んだ
相手は聖都でも屈指の名門オルシーニ家の姫クラリーチェ
商売をする貴族ヴァンディミオンさえも
平民の様と蔑む気位の高い家柄だった。
オルシーニの名を聞いたとき、セルピコも釣り合いがとれないと思ったが
クラリーチェの名前を聞いて合点がいった
オルシーニ家の妾腹の娘だったからだ
御館様も気苦労が絶えない事です
愛人の子を片づける為に妾腹の娘を探してくる
気が利いていると言えなくもない
408 :
324:2005/06/28(火) 23:28:54 ID:SHwg5Z1E
「クラリーチェ姫は美しく教養深い方だ。人柄も申し分ない。
この縁を機にオルシーニ家とヴァンディミオン家の繋がりを
深くできればと思っている。
お前にもわるい話ではあるまい?
クラリーチェ姫はファルネーゼとは比べものにならない程‥‥」
言い訳の様なフェディリコの話は続き、セルピコは黙ってそれを聞く。
平民出の私に来た縁談だ
妾腹以外に何か訳でもあるのかもしれません‥
そんな事を考えていた
「お前の意向はどうだね?」
「いかようにも話をお進めください。
御館様のご命令とあらば何処へでも参ります」
セルピコはその話を承諾した。
409 :
324:2005/06/28(火) 23:42:26 ID:SHwg5Z1E
私もついにこの庭を出ることになった。
暗く陰鬱な庭で、歪みもつれて育った兄妹は
すべての罪と秘密とを、薔薇と百合と季節の花々の下に埋め隠した。
もうこの庭は主を必要としないのだ。
『待っていて、ラヴァンドの咲く季節にお前に会いにくるわ‥』
ファルネーゼは自分を捜しにここへくるだろうか?
約束を破った私をせめて泣くだろうか?
一人の人間が泣こうが叫こうが、動き出した事象は止められない。
ファルネーゼ様は私をお恨みになるだろうか?
それすら自分の思い上がりとセルピコには思われた。
410 :
324:2005/06/28(火) 23:55:22 ID:SHwg5Z1E
私たちは成長し、この庭は些か窮屈になった。
いずれは別れなければならなかったのです‥‥。
幼少の頃、あれほど巨大に見えたヴァンディミオン家の邸宅を振り返る。
自分とオルシーニ家との婚姻が、ヴァンディミオンにさほど
益をもたらすとは思えなかった。
セルピコはこれから仕えるであろうオルシーニの姫の事を考える。
ある意味、まともな女性であったなら、私は扱いに困るかもしれない。
そんな事を考えながら、馬車に揺られてヴァンディミオン家を後にした。
(;゚∀゚)=3
∧_∧ +
(0゚・∀・)
(0゚∪ ∪ +
と__)__) +
面白いなあ
続きが楽しみ!
ロデリック×ファルも期待してます
414 :
324:2005/07/03(日) 18:44:33 ID:ojzwZhC+
>>409 続き
殿方は人によって違うのね‥‥。
ロデリックに後ろから責められながら
ファルネーゼは朦朧とした意識の中そんな事を思った。
「‥う‥くっ‥‥」
体毛の濃いロデリックは夜の営みも精力的だった。
ファルネーゼは絹の敷布を握りしめて
身体の奥まで貫かれそうなその衝撃をこらえる。
嫌ではなかった。
かつて夢想した様に、無理矢理の様に唇を奪い
乳房を跡がつくほど握りしめ、愛液に満ちた穴を突き上げる
柔らかなパン生地をこね回すように身体を自由にされて
ファルネーゼは肉の快楽に我を忘れていた。
415 :
324:2005/07/04(月) 00:36:52 ID:I/BNK4uy
>>414 続き
ロデリックはわるい人間ではなかったし、嫌な夫でもなかった。
「あんたは面白いな。大貴族の姫君は夜の事でも
慎みなんて馬鹿な事言い出す、お高くとまった女が多いのに
あんたはこういう事が好きか?」
「‥‥それは娼婦の様な女とおっしゃりたいのですか?」
「いや、そういう意味ではないんだ。
せっかく縁があったのだから寝台でも仲良くしたい。
お気をわるくなさったのなら謝る」
さすがにロデリックは口が過ぎたと思ったか、困った顔をしていた。
416 :
324:2005/07/04(月) 00:51:36 ID:I/BNK4uy
聖アルビオンの惨劇から、半年も経たない間に
ファルネーゼには納得する時間もないまま、多くの出来事が降りかかった。
婚姻の話が持ち上がり、聖都から遠い島国に嫁いでいた。
ふと気がつけば、夫という男と寝台で睦み合っていたのだ。
『身体の乾きは、夫たるあの方が癒してくれるでしょう‥‥』
まるで呪いの様なこの言葉をはいた男の姿を
ファルネーゼは無意識のうちに探す。
あのいかなる時でも表情を崩さない、冷たく整った横顔。
呪わしく、そして恋しかった。
その面影を忘れる為に、ロデリックと獣の様な情交に逃げ込んだ。
私は何をしているのかしら‥‥。
ファルネーゼの身体に満足したロデリックが傍らで寝入った後
彼女は声を立てずにすすり泣いた。
何が哀しいのか、頬をつたう涙はなかなかとまらなかった。
普通に面白いな。連載続けてください。
ロデリック×ファルネーゼ
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━━
私、セルピコよりこのロデリックの方が好みだなー
続き楽しみにしてます!
420 :
324:2005/07/05(火) 00:43:20 ID:kSRLeUd/
>>416 エロぬるくってすみません続き
そんなある日、ロデリックはファルネーゼを薄暗い宮殿から
船で外洋へ連れ出してくれた。
「まあ、空が綺麗‥‥‥海もエメラルドのよう‥」
「綺麗なもんだろう?荒れる時は怖ろしいが、晴れた微風の海は最高だ」
ロデリックは晴れやかな表情を浮かべるファルネーゼに
航海の事や海の事を楽しそうに教えてくれた。
甲板で風に帽子が飛ばされない様押さえながら
ファルネーゼは水平線の先を思う。
聖都はどちらの方向なのだろう‥‥。
「ガァ」
「きゃっ、この鳥はなんですの?」
ロデリックの腕にいつの間にか大きなオウムがとまっていた。
純白の羽毛に嘴が黄色で、小首を傾げてファルネーゼを見ていた。
「俺からの贈り物だ。言葉を教えると話す様になる」
突然の贈り物にいぶかしげなファルネーゼにロデリックは言った。
「夜の事な‥泣くほど嫌なら言ってくれ。
俺も嫌がる女を抱いて喜ぶ程悪趣味じゃないんだ」
421 :
324:2005/07/05(火) 00:57:36 ID:kSRLeUd/
ロデリックの心遣いにファルネーゼは引け目を感じた。
けして悪い人間ではないのだ、この人は‥。
「‥申し訳ございません‥」
「いやな、謝る様な事じゃない。顔をあげてくれ
まだあの紋章官の男が忘れられないのか?」
「‥‥あれはロデリック様ほど暖かい人間ではありません。
冷たい男なのです。でも少し時間をください。
甘えてばかりで、私は愚かな女です‥」
「親の決めた結婚だ。
それとは別にあんただって好きな男くらいいるよな。
俺だって他に女くらいいる。
まあそれでも仲良くやっていけるならそれに越した事はない」
愛人がいると明け透けに言うロデリックだが
彼に対してファルネーゼは嫌悪感は感じなかった。
(*゚∀゚)
どーしよ
やばいわ
このロデリックさんほんといい男
424 :
324:2005/07/06(水) 02:01:42 ID:hzLfxAFT
>>421 続き
「‥‥天使は焼け落ちた、雷鳴轟く岸辺‥‥」
セルピコは珍しくこの詩の作者をおぼえていない。
このフレーズだけをおぼえている。
自分は天使を見ることは出来るかもしれない
しかし、見るだけだ
彼らはなんの恩寵も告げずに、自分の前から飛び去るだろう
かといって地獄も信じていない
冷酷な現実があるだけだった。
繋がる血故に傷つき喰いあい、他人によって平安を得る
自分とファルネーゼの関係のみならず、存外ある事だ
ヴァンディミオン邸宅の広大な庭に住まう子供はいない
ただ四季にうつろう花々と木々があるだけだ
愛しているからこそ離れる事もある
無人の庭の様な虚無を己の中に巣くわせながら
ファルネーゼの事を考える
なんの噂も聞こえてこないので
彼女は他人に救われたのだろう
セルピコは、そう思うことにした。
425 :
324:2005/07/06(水) 02:02:47 ID:hzLfxAFT
長々お付き合いありがとうございます
終わりました
エロぬるくってすみません_| ̄|○
萌えました(;´Д`)ハァハァ
長い間お疲れ様でした
また機会があれば何か書いてくださいね(´∀`)
ちんちんおっきして治らなくなったので
損害賠償を請求したい
弁護士に相談してくる
えー
どなたかお兄さまでもいいセルピコ×ファルネーゼの
ラブラブエロエロを書いてはくださらないか?
自分、夢は見るのに文章化出来ない
事務所いってきた
弁護士の先生によると、有罪ではないけどこうなることは予知できたもので
未然に防ぐことはできたはずだって
作者に謝罪を求めることはできるし、もし謝罪がなかった場合は
過失傷害とかそんなので訴えるのも出来るらしい
なんだ池沼か
予知できたらすごいな。
436 :
324:2005/07/07(木) 23:12:25 ID:EAJX9dqf
>>426 ありがとうございます。
私はエロがぬるかったので320さんの
濃いセルピコ×ファルネーゼお待ちしております
何かこのままダラダラと謝罪を望んでも
とかげのしっぽなので裁判の準備します。
じゃあ法廷で会いましょう
もいっかい相談してきた
弁護士に勃ちっぱなしのチンコ見せてきたのか?
440 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/09(土) 01:50:48 ID:4VI+sabN
何かタナヵ君が貸してくれ
るって言ったから首をナイ
刺してでもたぶん生きてて
おまけに畜生が逆さまに歩
いてたから気持ち悪いかっ
まあその後で全員しんだん
だけど
怖いよお前
443 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/10(日) 11:20:27 ID:HuCowRjj
タナヵ君は喋んないく
なってるしばらく様子
みてようだから言った
のに賀田からで弖聞い
でもいいかもいっかい
ないかもだから言った
のにだから言ったのに
だから言ったのに
444 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/10(日) 11:21:41 ID:HuCowRjj
小さくなってる
SS投下していいスレだよね
(((( ;゚Д゚)))
447 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/10(日) 19:59:07 ID:HuCowRjj
寂しがって るタナ
ヵ君はいないから首
を 糸 はり何か足
りないし寂しがって
るひとじゃないガサ
ガサガサガサガサガ
サガサガサガサガサ
ガサガサガサガサガ
サガサガサガサガサ
ガサ
448 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/10(日) 20:08:14 ID:HuCowRjj
ひとりはいやだ
ひとりはいやだ
ひとりはいやだ
ひとりはいやだ
ひとりはいやだ
ひとりはいやだ
ひとりはいやだ
ひとりはいやだ
ひとりはいやだ
449 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/10(日) 20:11:57 ID:HuCowRjj
初めてみたいなあいさつするな
なんか寒気がする、大丈夫か?こいつ
324さん 神!
久しぶりにスレのぞいて、一気に読んだよ。
すごくよかった。
本当にありがとう! ありがとう!
また何か書いたら見せてね。
>>451 ありがとう!
スレ落ち着いたらまたなんか書くね
453 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/22(金) 00:44:05 ID:JF5MIIQN
死
454 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/22(金) 00:45:31 ID:JF5MIIQN
め
324さん 神!
と私もマジで思ったよー。まさかこんな宝物がこんな場所に転がってるとは。。
エロとゆーより「エロス」な感じでしたー。なんか濃密な文章やなーと。
とにかくただひたすらありがとーの嵐。
微妙にスレの空気悪いけど、もしもまた思いついたら書いてほしいですうー。ぷりーず。
ガッツ×ファルネーゼが読みたいですー。
あるかと思ったら以外になかった。同好の士はいないのかっ。
気に入ったものの感想など。
>>52 かなり背筋寒くなった。恐い。。無理だろうけど続き気になる。
>>53 「便所」のリアリティ溢れる単語にゲラゲラw。恋する乙女になんつー台詞を。続きすげー読みたいよー。
>>176 妖しさ満載の空気にクラクラしました。モズグズこーゆーことマジでしそう。
部屋の外ではセルピコが無言で立ち尽くしてファルの嬌声聞いてたり…とか三次妄想にふけりましたー。。GJ!
>>324 一度感想書いたので何度もマンセーするとウザイだろうが、「下書き無し」が、信じらんないっす…。
とゆーわけでSSの投下を望む日々。ガッツとファルネーゼ…。
ファルの自慰は原作ではすっかりなくなったけれど、若い青少年が「性格変わったからオナニーしなくなった」なんてー、不健全なことあるだろうか、とか思う。。
459 :
324:2005/08/01(月) 01:12:31 ID:SEQSg5IW
>>458 お言葉ありがとうございます。
自分、ガッツ×ファルは駄目なんすけど
ピコ×ファルならちょっと書けそうです。
前の話の後日談とかそんなんでよかったら
伏線になりそうだったラヴァンドをダシに後日談ヨロ
>>459ぜひお願いします!
結婚するのに「これから仕える」とか言ってるセルピコに「…君、召使い体質しみこんでるねー」とか呟きました。
あと、結婚式の白いドレス姿のファルにうっとり。
結婚してから王宮が炎上した噂とか聞こえてきたら…怖いなあ。
セルピコが結婚したらファルがどんな態度とるかみたいですっ。
ぜひにぜひに。
期待してます。
463 :
324:2005/08/03(水) 00:05:54 ID:W5Sf9y1P
皆さん、暖かいお言葉ありがとうございます。
ちょっとお待ちください
でも期待しないでおいてくださいヘボンだったら自分恥ずかしいっす
SS初参加です。…結構びびるもんですな。
324さんが「ちょっと待って」なので、真打ち登場の前にそそくさと投下。
ネタは他の方が言ってた、283「ファルがセルピコに娼婦とやれって命令」のやつもらいました。
あと276,277あたり参考。
…前置きが長くて、あんまりエロくはならなかったよ…。
てか、エロくないパ−トの方が多いです。すまぬ。
雑踏の中に覗いた金色の髪の少女の背を、息を切らして追いかける。
吐く息が白い。聖都の冬は冷たく厳しい。重苦しい灰色の空に遠くから鐘の音が鳴り響く。
「ファルネ−ゼ様!」
怪訝そうに振り向いた顔は、主人の少女とは似ても似つかぬ見知らぬ顔だった。
失礼、と言い残して彼は踵を返した。見失った幼い女主人の行方の手掛かりでもないかと、焦りながら灰色の街を見回す。
街角で「寒い、温かい飲み物が欲しい」と命じられ、言われるままに調達してきてみれば、主の姿はかき消えていた。
気まぐれな女主人は、時折屋敷から抜け出して下町のそぞろ歩きを好んだ。
お目付け役として供をするのは決まって年若いセルピコだ。
ファルネ−ゼの寵用を受けることは、屋敷では「災厄」の別名義だ。
(退屈してそこらを見物していらっしゃると思ったが…。まさか誰かに連れ去られたか)
石畳を踏み締めながら、不吉な考えが頭をよぎる。慌てて打ち消そうとしたが、いったん沸いた疑念はみるみる心の中で膨らんでゆく。
忍んで外出する時は、無用の危険を避けるため、ファルネ−ゼは侍女の粗末な平服に身を窶していた。裕福な家の娘と看破される可能性は低かったが、しかし幼い少女がかどわかされて売り飛ばされる話など珍しくもない。
(屋敷に帰って報告した方が良いか…)
探せばすぐに見つかるだろう、という淡い期待を抱いたまま、もう半時間ほど街をさ迷っている。神のおわします祝福された街、とは名ばかりの、持たざる哀れな貧民がひしめいている、聖なる都。
騎士隊に報告し、捜索隊を組織して多人数でファルネ−ゼの行方を探した方が、賢明かもしれない。
(…そして、私は職を失う、か)
元よりファルネ−ゼの気まぐれから拾われた身だ。それが元に戻るだけのこと、そう思いつつ、名状しがたい寂寥を胸に覚えた。
そうなれば、もうあの少女と自分とは、完全に切り離され、別の世界に分け隔てられる。
せいぜい姫君が豪華な馬車に揺られて街路を通り過ぎるのを、黙って道端で見送るだけだろう。…そう思うと、奇妙に胸が痛んだ。
「ちょっと、そこの兄さん」
突然肘を掴まれた。しゃがれた女の声が耳に飛び込む。
物思いにふけりながら、いつのまにか下町の路地裏に入り込んでしまっていたらしい。
吐瀉物と何かの腐った臭気が鼻をつく。酒場の裏側だろう、薄暗い、いかがわしい雰囲気が立ち込めている。
声の主に目をやり、即座に彼は目を背けた。
女は三十代の半ば過ぎに見えた。大柄で、肉付きの良い体型をしている。
毒々しい化粧と胸の膨らみをあけすけに覗かせた、派手だが安っぽい衣装。…街娼だ。
「兄さん、ちょっと遊んでいかないかい?」
女は厚く塗った唇を歪め、淫蕩な笑みを浮かべた。
「…申し訳ありません、急いでいますので」
降り払い、先を急ごうとしたが、女は執拗だった。
「つれない事お言いでないよ。ネェ、安くしとくからさ」
女が体を寄せ、きつすぎる香水と体臭の混ざり合った匂いが、むっと鼻をついた。
嫌悪の情を面に出すまいとしながら、セルピコは無言で女の手をほどこうとする。
小姓のお仕着せにはヴァンデミオン家の紋章が縫い付けられている。女は目敏くそれに気づいたのだろう、扱いやすそうなカモを逃がすまいと必死だ。
色仕掛けが通じないと見たのか、女は急に涙っぽい声で喋りだした。
「…ねえ、兄さん、あたしにゃ、家で腹を空かせた子供が待ってるんだよう。兄さんにも兄弟の一人や二人はいるだろう?人助けと思ってそのついでにちょいとお楽しみ、って訳にいかないのかい?」
どうせ嘘だ、相手をしている暇などない、と思いつつも心が揺らいだ。
ほんの数年前、日がな一日残飯を漁って街をさ迷っていた自分の姿が不意に浮かぶ。
セルピコの肘を掴む爪を真紅に染めた女の手は、静脈と節くれの目立つ、荒れた手だった。
この女と自分の間にどれだけの差があるというのだろう、…あるいは母と。
「高貴な貴族の若様から寵愛を受けた」それだけをプライドの拠り所にしている哀れな母。
(あの人は、あなたのことなど愛してはいなかったのですよ…)
苦い思いが込み上げてくるのを、呑み下し、ふり払う。
小銭を与えてとにかく立ち去ろうとポケットを探った時、鋭い声が背後から飛んだ。
「セルピコ、何をしているの?」
「ファルネ−ゼ様!」
どっと安堵の思いが込み上げ、セルピコはファルネ−ゼの姿を見やった。
あまり似合わない質素な平民の服を着込んだ女主人が、狭い路地裏に立ち、冷たい目で二人を見つめている。
「その者は、なんなのセルピコ」
彼は気の緩んだ女の手をふりほどき、ファルネ−ゼの元に駆け寄った。
「なんでもありません。…ご無事で良かった、心配しました」
「お前って案外鈍いのね。さっきから後をつけていたのにまるで気付かないんだから」
(…一声かけてくれれば)
経験上、ファルネ−ゼに何を言っても無駄な事は骨身に染みて心得ている。
「…とにかく、もうお屋敷に帰りましょう」
背後で女が小さく舌打ちする音が聞こえた。
肩越しに背後を見ると、女は腕を組み、ふて腐れた表情で汚れた壁にもたれていた。また新しい男が通りかかるのを、そこで待つのだろう。
そうやって客を取り、僅かな金と引き換えに体を売って毎日を暮らす…。女の子供は、母親をどう思っているのだろう、という思いがちらりと頭をかすめた。
「さ、ファルネ−ゼ様」
ファルネ−ゼを促したが、主人は何故か動かなかった。
けばけばしいドレスを着た女の方を、一心に凝視している。
「…ねえ、セルピコ。たまにはお前にも褒美を与えてやった方がいいかしら」
抑揚のない、一切の感情が欠如した声で彼女が言った。
女に向けたファルネ−ゼの瞳は、その女を通り越し、どこか自分にしか見えない幻視を見つめているように見えた。
感情のうかがいしれない、生身の人間の眼というより、無気質な碧玉を嵌め込んだかのような眼。己の内側に潜む、底無しの虚無感しか映していない瞳だ。
ファルネ−ゼが常軌を逸した凶行に及ぶ直前には、いつもこんな瞳をする。
じわり、と嫌な汗が額ににじんだ。
「…いえ、私は特に褒美などは」
言い終える前に、ファルネ−ゼは路地裏の女に声を掛けていた。
「そこの女!お前は春をひさぐ卑しい生業の者か!」
女は露骨に不愉快な表情をした。
「…ちょっと、お嬢ちゃん。あんた、礼儀ってもんを兄ちゃんから習いなよ」
汚い路地裏に、チリン!と澄んだ高い金属音が響いた。
女は目の色を変えて足許に転がる金貨を拾った。歯で噛んで確かめ、本物と悟るとギラギラした瞳をファルネ−ゼと彼に向けた。
「…ふうん、まあ、礼儀知らずでも客は客、ってね。お嬢ちゃん、何がお望みだい?」
彼は傍観者のように女主人と娼婦の会話を眺めた。
ファルネ−ゼを諫めて屋敷に帰るよう促すべきだ、と思いつつ、それがまるで無意味なことを知る彼は、ただ黙って立ち尽くした。
(…私は、この方の所有物だ)
「女、この者と私の前でつがって見せろ」
彼は自分の母親とさして年の変わらない娼婦を見、この女と寝るのだな、と無感動に思った。
路地裏と同様に、その部屋は薄汚く、みすぼらしかった。
女が寝起きに使っている部屋らしく、どこか生活臭が漂う。なんとなく、セルピコが母親と暮らしていた荒ら屋を思い起こさせる雰囲気があった。
安普請の狭い寝台は、二人分の重みに耐え兼ねて軋むような音をたてた。
女はセルピコの股間に顔を埋め、熱心に舌で彼の性器に奉仕していた。女の分厚い舌が獰猛に這い回り、与える刺激を他人事のような気持ちで味わう。
間近で見る女の肌は荒れていた。すさんだ生活が、女の容貌を磨り減らし、削り取っていった跡がうかがえた。
最初彼の倍以上の年齢に見えたが、もしかするともっと若いのかもしれない。
目の前で揺れる、肉ばかりは豊満な尻を両手に掴んだ。こね回すと、くぐもった呻き声を上げながら女は尻をうねらせ、擦りつける舌に力を込めた。
視界の端に映るファルネ−ゼの視線を想った。
家具の少ない粗末な部屋の中、一つきりの椅子に膝を抱えて座り込み、じっとこちらを凝視している。
彼の主が、自分とこの女の痴態を見ているのだ、そう思うと妖しい胸のたかぶりを覚えた。
目を閉じ、蔑みを浮かべた主の冷たい瞳を思い浮かべる。
(…ファルネ−ゼ様のため…)
とたんに、女の熱い口腔に呑み込まれた器官が硬度を増した。
上気した顔の女が、名残惜しそうに彼の器官の先端にくちづけ、唇を離した。長い涎の糸が、唇と性器の間で一瞬つながる。
「…兄さん、やっとその気になってきた?」
口の端を拭い、女が笑みを浮かべながら、彼を引き寄せた。そのまま、女の体に重なるように寝台に倒れ込む。
豊満な女の肉体に四肢を絡め、ファルネ−ゼの視線を意識しながらくちづけた。
女が熱っぽく応じ、互いに舌を絡め合う。
ファルネ−ゼは先刻から微動だにしない。ぴくりともせず、部屋の備品と化したかのように凝固している。…ただ、その両眼だけが、薄暗い部屋で夜に見る獣のような光を湛えていた。
あの眼が見ているのだ、と思うと我知らず、呼吸が荒くなった。
息苦しくなり唇を離すと、女が好奇心に瞳をきらめかせながら尋ねた。
「…ねぇ、兄さん、あんた初めてかい?」
どう答えるか少し迷ったが、素直に答えた。
「…はい」
くくっ、と女が嬉しそうに笑った。…そんな風に笑うと、女は随分若々しく見えた。
「そう、光栄だよ。じゃあ、うんとサ−ビスしてやんなきゃね。…ま、余計なオマケがちょいと邪魔だけど」
女の視線が、ちらりとファルネ−ゼの方に向かう。
ファルネ−ゼは自分が話題にされていると知ってか知らずか、相変わらず沈黙したままだ。
「…あんたも苦労してるみたいだねぇ…。かわいそうに…。」
呟きながら、女は彼の肌を彩る鞭の跡に指を滑らせた。まだ赤く疼く傷跡を、慰めるように舌を這わせる。
傷をなぞる生暖かい濡れた感触が、一昨日の熱い痛みの記憶を蘇らせた。
幼い主人の甲高い叱責の声、鞭がしなり空を切り裂く音、口の中に広がる血の味、撃ち込まれる灼熱した痛み。
彼女の打擲に、時折混じり気なしの殺意を感じた。彼個人にではなく、世界のすべてのものに対する憎悪だ。何も彼も破壊したい、灼き尽くしたいと荒れ狂う、強烈な激情。
皮膚の上を這い回る舌の感触に、ファルネ−ゼの貌を重ねた。
彼女であれば、傷跡を噛み破り、滲み出る彼の血に舌鼓を打ちながら、微笑むだろう。
心の中で、ファルネ−ゼの名前を呟いた。
身動ぎし、女の腰を掴むと、女の手が添えられ、導かれた。
どろりとした熱い感触が彼を包み込んだ。
女の生々しい呻き声が、室内に響く。
狭い寝台を揺らしながら、肉付きのいい太股を抱えてひたすら突き上げた。
肉と肉の擦れ合う湿った音が、女の呻き声の間に混じる。
セルピコは、女と繋がりながらファルネ−ゼの方へ真っ直ぐ顔を向けた。
彼の主人がどんな顔をしているのか見たかった。
命令どおりに街の娼婦とつがっている自分を見て、何を感じるのか。
嫌悪の色を顕すのか、それとも貴婦人らしい冷たい侮蔑を投げかけるのか。
…ファルネ−ゼの顔は、快楽に蕩けていた。
両膝の間を腕が割り、スカ−トの奥に手を潜り込ませている。開いた膝の間で、繊細なレースで飾られた白い下着越しに指が蠢く様がのぞいた。
熱く潤んだファルネ−ゼの瞳は、寝台で絡まり合うセルピコと娼婦に向けられている。
セルピコの視線に気付いていないのか、それとも召使の眼など虫の視線同様の無意味な代物なのか。セルピコの目の前でファルネ−ぜは自涜に耽り続けた。
半開きの幼い唇から、こらえかねたような喜悦の声が零れはじめる。
ふいに女が両腕を彼の首に絡め、引き寄せられた。熱い呼気が耳元で囁く。
「…お高くとまってたって、所詮、貴族なんてあんなもんさ」
目に汗が流れ込んで、ひどく染みた。
締めつけられるような胸の痛みが、どこから来たのかわからない。
女の豊かな乳房の谷間に顔を埋めた。熱い肉の感覚に溺れて、胸の中で焦げつく想いを忘れてしまいたかった。
しばらくの間あやすようにセルピコの髪を撫でていた女は、やがて体の位置を変えるよう促した。仰向けになった彼の体にまたがる格好で、女が馬乗りになる。
一瞬だけ、上に乗った女の視線がファルネ−ゼへ飛ぶのが見えた。
自涜に没頭する貴族の令嬢に向けた眼は、嘲りも蔑みもなく、ただ冷たく醒めていた。
女はセルピコの顔を見下ろすと、意味あり気に笑った。…共犯者の笑顔だ。
「…さあ、あんたの御主人様を楽しませなくっちゃあね」
言いながら、女は腰を使い始めた。ファルネ−ゼの存在を意識しながら、見せつけるように激しく尻を上下させる。
女の喉から獣じみた喘ぎ声が漏れ始め、汗の飛沫がセルピコの顔に降りかかった。
成熟した女の熱い喘ぎ声と、少女の細い喜悦の声が入り交じり、奇妙なハーモニーを奏でた。
セルピコは横たわったまま、女に身体を委ねた。肉の鞘が彼を包み、快楽を絞り尽くしたいというかのように貪欲に締め上げる。彼は自分の感情と無関係に反応する肉体を、ただ不思議に思った。
先に達したのはファルネ−ゼだった。高いソプラノの悲鳴が、震えながら部屋の空気を切り裂き、絶頂を迎えるとしだいに細く消えてゆく。
彼の主人が満足したのなら、自分は命じられた役目を果たせたのだな、と薄く思った。
女のせわしない喘ぎ声だけが部屋の空気を満たしてゆく。
かすかなすすり泣きが聞こえた気がした。
小さな子供がしゃくり上げるような、やってしまった悪戯を、ひどく後悔しているような、哀切な響き。
気のせいだ、と彼は自分に言い聞かせた。…それに、彼の主人は泣き顔を見せることを許さないだろうから。
泣き声はぷつりと途絶え、再び女の呼吸だけが部屋の空気を支配した。
女の念頭からファルネ−ゼの存在は消え、ひたすら自分の快楽に没頭しているように見えた。
体をうねらせ、深く腰を沈めながら、貫かれる悦楽に我を忘れたかのような声を漏らす。
量感のある尻が落ちる度に、女の膣からは大量の粘液が溢れた。
突然ファルネ−ゼが音を立てて椅子から立ち上がった。
夢遊病者のような足取りで寝台の脇の燭台の前に立つ。燐寸を擦る擦過音が響き、薄暗い部屋に小さな橙色の光が点された。
セルピコは炎を見て口中がからからに乾いてゆくのを覚えた。彼の主人がこよなく愛するものを知っている。それは、炎と捧げられる生け贄だ。
揺れる蝋燭の光にファルネ−ゼの横顔が浮かんだ。魅入られたように炎をみつめている。瞳の中に照り返された炎があやしく踊っていた。
蝋燭を握り近付くファルネ−ゼに女が気付き、喘ぎながら笑いかけた。嘲りの笑いだ。
「…なあに、お嬢ちゃん、あんたも混ざりたいっていうの?」
女が最後まで言い終える前に、ファルネ−ゼは女の髪を掴むと無造作にその顔に火を押しつけた。
女が顔をのけ反らせて絶叫した。肉と脂の燃える香ばしい匂いが漂い、一瞬彼を咥えていた女の内部が激しく痙攣した。
顔を押さえた女が、彼の胸の上にどっと倒れ込んだ。
しばらくの間、女は喉の奥から唸るような苦鳴を漏らして震えていた。
突然我が身に生じた理不尽な苦痛の理由をようやく理解すると、激しくファルネ−ゼを仰ぎ、憎悪の滴る声で怒鳴った。
「なにしやがんだい!?!畜生!こんな真似してただですむと思ってんのかい!?」
ファルネ−ゼの耳には女の声が聞こえた様子はなかった。火の消えた蝋燭を名残惜しげに見つめている。
「…消えてしまったわ。セルピコ、火をつけて頂戴」
燐寸箱が投げつけられ、彼の額にぶつかった。
「ふざっけんな!このくそがき!」
激昂した女が、ファルネ−ゼにつかみかかろうとする。
セルピコは咄嗟に女の体にしがみつき、押さえ付けた。主人に危害を加えさせるわけにはいかない。たとえ、女の怒りがごく当然で正当なものとしか思えなかったとしても。
この期に及んで女と体が繋がっているのが、ひどくグロテスクで滑稽な冗談のように思えた。
ファルネ−ゼは寝台に金貨を放り投げ、澄んだ声で告げた。
「お前の苦痛を買いたい。火傷一つにつき、金貨一枚」
セルピコの腕の中で、もがいていた女の体が静止した。怒りで赤黒く染まっていた顔が、みるみるうちに紙のように白くなった。
女は金貨を見、ついでファルネ−ゼをみつめた。再び金貨をみつめ、二つの間を視線が激しく往復する。
ふいに粗末な部屋の入り口の扉が開いた。
薄汚れた身なりの小さな男の子が、扉の間から不安そうな表情でこちらを覗き込んでいる。
少年の姿を認めると、女は狼狽した手つきで敷布を掴み、裸体を覆い隠した。密着しているセルピコを乱暴に押し退ける。
「ばか!仕事中は外で遊んでろって言ったろ!とっとと出ておゆき!」
「…でも、お母ちゃん、…その顔」
怯えた表情で少年が女の爛れた片頬に目を向けた。
「なんでもないったら!あたしの言いつけがきけないのかい!とっとと出てゆけって言ってんだよ!」
一瞬少年の幼い顔に、傷つけられた表情が浮かんだ。それはすぐに馴れきった諦めに変わり、母親の言いつけ通りにドアを閉じた。
小さな足音が遠ざかる間、誰も口をきかなかった。
ファルネ−ゼだけが、何も聞こえていなかったように超然としている。
のろのろした仕草で女は金貨を掴んだ。その姿は、疲れきった老婆を何故か連想させた。
女はファルネ−ゼを見上げた。しわがれた声で言った。
「…金貨五枚。商売道具を台無しにされるんだ、そのぐらいは貰えなくちゃ割りに合わないよ。…それから、顔は、もうやめて」
ファルネ−ゼは無言で服の隠しから四枚の金貨を掴みだすと、無造作に女へ投げた。
彼女の視線がセルピコへ向かう。
ファルネ−ゼが微笑した。花のように甘い微笑みを浮かべて、女の皮膚の断片が芯に付着している蝋燭を彼に差し出した。
「…さあ、セルピコ、火をつけて。それから、この女が暴れないように押さえていて頂戴」
セルピコは主人の微笑みをみつめた。
彼の魂の所有者は、どうしようもなくこの少女なのだと思った。
そして、敷布の間から燐寸箱を拾いあげた。
その夜のファルネ−ゼの打擲はことのほか激しかった。
女の部屋を去り、屋敷に戻って夕食を済ませた後、ファルネ−ゼからお呼びが掛かった。…予想どおり、彼の主人は荒れ狂っていた。
壁に背を向け、ひたすら主の打擲に耐えた。背を伝い落ちる滴が、足下で血溜まりを造っている。
飽くことのない執拗さでファルネ−ゼは鞭を振るい続けた。
これが、下されている罰だと思えば、むしろ痛みが心地好かった。
ファルネ−ゼに背を焼かれていた女の眼を思い出す。屠殺場で生きたまま皮を剥がれる動物のような眼だった。
女は、我慢強かった。布を口に噛み締め、炎が肌を嘗める苦痛に無言で耐え続けた。
結局、女が音を上げる前に手持ちの路銀が尽きた。お忍びの散策で、たいした金は持ち歩いていなかったことが、幸いした。…もしもそのまま続けていれば、女の肌は火傷の跡で隙間なく埋め尽くされていたかもしれない。
「…お前は、あの女のことを考えているんでしょう?」
ふいに鞭を振るう手を止め、ファルネ−ゼが詰問した。
返事を要求されているのだろうか、と迷ううちにファルネ−ゼが再び鞭を振るった。
「答えなさい!」
「…考えていました」
「汚らわしい!…お前は、汚い!…あんな、あんな下賤の者と!」
ファルネ−ゼが吐き捨てるように叫び、怒りに任せた打擲が、また叩きつけられる。
主の怒りの一片が理解できたような気がした。…彼が、命令通りに女と寝た事を、怒っているのだ。ファルネ−ゼの命令をもしも拒否していれば…、やはり激怒したろう。
(…あなたは、なにが欲しいのですか?)
尋ねてみたい、と思ったが口に出して主に問うことはこれからもないだろう。
彼の主はその答えを知らないのだから。
心の赴くまま、欲することを行って、…それでいて、この少女は満たされず、不幸だ。
ファルネ−ゼを救う事など自分にはできはしない。でも、その矛盾も理不尽さも激情も、何もかも受け止める事なら、できるだろう。
「…お前は、汚いっ、…きた、ない…」
罵る主の声に、嗚咽が混じり込んでいた。
かわいそうに、と思う。泣かないでほしいと思う。
鞭が止まった。独り言のように、ファルネ−ゼが呟いた。
「…違う、ほんとうに汚いのは、…お前じゃない、お前じゃないわ…」
振り返って、ファルネ−ゼを抱き締めたかった。
あなたは少しも汚れてなんていない、私にはどんな時でもあなたは眩しいくらいにきれいな方だと、そう言いたかった。
何も言えず立ち尽くすうちに、ファルネ−ゼが力のない声で退室を命じた。
無言で服を着込み、ファルネ−ゼに一礼する。
ファルネ−ゼは俯き、放心していた。その姿は迷子になって途方に暮れている子供のように見えた。
重い扉を閉じ、部屋の外で、一人呟いた。
「…私は、ファルネ−ゼ様のものです。これからも、ずっと…」
超GJ━━━(゚∀゚)━━━!!
超GJ━━━(゚∀゚)━━━!!
超GJ━━━(゚∀゚)━━━!!
また書いてください、是非っ!!
ムッハー素敵スレハァハァ(*´Д`*)
速攻ブクマ
>>324 エロよか寧ろ切なさが印象に残りますた。
自分的には22巻の外伝の正統な続編ってカンジ。
今号のアニマルみたいのも良いけど。
>>464 お初なんですか、とても見えません
娼婦のキャラがエグくて好き
475 :
324:2005/08/05(金) 22:28:53 ID:mGGmKuwb
まさにGJ!
やられました!
自分、肌の感触や湿り気感じさせるエロ書けないから
>464くぁwせdrftgyふじこ
ウウウウウマママーーーーーー!!!
スバラスィよ!!!
圧倒的な描写力で食い入るように読んでしまった。
むっはははぁー。超リアルっす。
哀切漂う>324氏とはまた違った感じで、しかしながらどちらもステキすぎ!!
また書いて欲すぃよ・・お願いしますよ。
477 :
464:2005/08/06(土) 02:18:57 ID:f+0eG+RN
概ね好印象で、かなりほっとしました…。
ss書いてみたいなー、と思ったのは324さんの一連のとモズグズ×ファルのを読んだため。
実用度低い割りに長いので、「帰れ」「ウザイ」とか言われるかなー、と投稿する前結構ビクビクしてましたです。
娼婦キャラウケた方いて嬉しい♪
また、は…ベルセルクは、ムツカシイのであるやらどーやらわからんです…。
閑話
前の話とは関係ない話なんで
そんなんでよろしければ またもエロぬるいっす 少女漫画っす
↓
薔薇と百合の狭間
セルピコは早咲きの白い薔薇を一本一本注意深く
しかし無心に切っていた。
ヴァンディミオン家の庭園内、数ある薔薇の中でも
最も香り高い白い薔薇をファルネーゼの部屋に飾る為に
本来なら庭師に任せるべき仕事だが
着替え以外のファルネーゼの世話は事実上、セルピコがやっていると言っていい。
他の使用人達はファルネーゼの気性を怖れて
今だ近づきたがらないのだ
むせる様な香りの白い薔薇は、トゲが鋭い。
セルピコはその薔薇のトゲを切り落としていく。
「痛っ」
らしからぬ手違いでトゲで指を傷つけた。
ぱたりと落ちた一滴の赤い血が薔薇の花弁を汚す。
吸った自分の血の味は、鉄さびの味がした。
含んだ己の血の味を、ファルネーゼも知っている筈だ。
セルピコはふとファルネーゼの血の味を思う。
機会があれば味わってみたいと漠然と思った。
同じ様な味である筈だ。
半分ずつ繋がるヴァンディミオンの血。
次からは細心の注意をはらって薔薇をつむ。
いつしかセルピコの片腕で抱えきれない程の薔薇の花束が出来た。
この時期、紫のラヴァンドの花も慎ましく香り高かったが
貴族の部屋に飾るには野趣すぎた。
ラヴァンドはリネンに移す生活の香りなのだ。
洗われた清潔な布の香り
乾かした布の太陽の香り
そんな部類の花だった
>>479続き
「ファルネーゼ様、セルピコです。お部屋に飾る花をお持ちしました」
セルピコは、両腕で抱える程の白い薔薇の花束をもって
ファルネーゼの部屋の戸をやっとの事で叩いた。
「入って」
ファルネーゼの許しを得て彼女の部屋に入る。
戸を閉めると、今まで椅子に座っていたファルネーゼは
顔を隠さんばかりに薔薇を抱えたセルピコに駆け寄ってきた。
「お前を待っていたわ」
「早咲きの薔薇です。部屋にお飾りしようとお持ちしました」
「綺麗、とてもいい香り‥‥。でも今は薔薇はいいの」
薔薇の花束が床に落ちた。
「‥寝室へ連れていって‥‥」
花を抱くよりも、自分を抱いて欲しいとファルネーゼは
セルピコの胸に身を寄せるのだ。
「お言葉のままに‥‥」
まだ陽は高かった。
‥‥これが女性の肌に溺れるという事なのかと、セルピコは思った。
彼しか知らない、白くきめ細やかなファルネーゼの肌の熱さ
甘やかな香りのプラチナブロンドの髪に顔を埋め
その柔らかい身体を力を込めて抱きしめた。
「‥‥あ‥‥」
ファルネーゼは微かに呻いてセルピコの金色の頭を抱く。
自分の腰に、ファルネーゼの片足が絡みついてくるのを感じた。
名残惜しく重ねた唇を離し、セルピコは口づけを
ファルネーゼの耳元へ、首筋へと移していった。
セルピコの腕の中のファルネーゼの身体がビクンとはねる。
彼がまろやかなファルネーゼ肩に、甘く歯を立てたからだ。
「‥‥痛かったですか?‥‥」
ファルネーゼは即座に首を横にふった。
「続けて‥‥」
潤んだ碧の瞳がセルピコを見上げる。
「‥もっと強く噛んで。昔、私がお前をむち打った様に、私を傷つけて‥‥」
'`ァ,、ァ(*´Д`*)'`ァ,、ァ
続きお待ちしてまする
ギャ━━━━━━(゚Д゚|||)━━━━━━!!!!!!
挟まった?失礼しますたorz
大丈夫っす
続きはまた明日
ファルネーゼは白いバラのイメージでんな♪
そして手折る人、セルピコ。
続きがあるのねっ、わーいっ。楽しみにしておりますー。
ラヴァンド − 花言葉「あなたを待っています」
>>324さん凝った仕事でつね〜♪
漏れもセルファルSS投下目論んでたがこう神が居ると萎縮するよ・・orz
ともあれ続き楽しみにさせて頂きます
セルファル好きのため、ぜひたくさん読みたいw
486さんの降臨も待ってますよ。
それぞれの良い所があるんだから、萎縮する必要は
ないと思います。とか名無しのくせに偉そうにすまそ。
楽しみにしてるんで。+(0゚・∀・) + ワクテカ
>>488 ここじゃ書き手じゃない漏れが言うのも何だけど、
そういう言い方すると、書き手さんが落とし辛くなるとオモ。
無理に話変える必要もなく、ネタ被ってたって
書く人によってまるで変わるのがSS
無理に書けとは言わないが、あまり卑屈にならんでナー
失礼、ともあれ
>>481の続き待ってます
>>481 続き
「‥‥‥」
セルピコは甘く噛んだその痕を指でなぞり
くちづけ、促されるまま歯を立てた。
「いいの、もっと強く噛んで!」
肌に傷をつけぬよう力を加減するセルピコの愛撫に
ファルネーゼは苛立ち、彼の身体に肌を押しつけてきた。
「‥‥は‥あぁ‥‥」
細く、甲高い女の悲鳴があがる。
華奢な女性の腰をきつく抱きしめて
セルピコはファルネーゼの肩を噛んだ。
「‥‥っ!」
ファルネーゼの血の味がセルピコの口腔へ広がるのと同時に
彼女は達した。
ファルネーゼはがっくりと全身の力を抜いて
セルピコの腕に身体をあずけてきた。
荒い息を吐いてセルピコを見つめる潤んだ瞳。
まだ身体すら繋げていなかった。
それでもセルピコはファルネーゼの身体を優しく抱きしめる。
愛おしかった。
微風がカーテンを揺らしていた。
まだ陽は影っていなかった。
「私は、お前がいないと生きていけない」
セルピコの胸に顔を寄せファルネーゼは囁く。
「私も、あの雪の日から、貴女が私の全てです‥‥」
手折られた、白い百合の花束の様なファルネーゼを
胸に抱いてセルピコも返した。
「そう言ってくれるのね‥」
「お兄様‥‥」
ぽつりとファルネーゼは呟いた。
終
怖い、怖いよハアハア(*´Д`)
ラストシーン、そのまま三浦絵で浮かんできたよGJ!
近親相姦マンセーGJ(・∀・)!!
>>489 叱ってくれて有難う
漏れも精進するよ
GJ!未来が見えない2人の感じが切ない。
この2人って幸せな結末は迎えられないイメージが。・゚・(ノД`)・゚・。
乙でした。また期待してます。
>>493 素直な493が好きだ。(ノД`)ヾ(゚Д゚ )
漏れも精進する。がんばろう。
皆さん、こんなエロぬるい少女漫画離しに
暖かいお言葉ありがとうございます。
ほんと励みになります。嬉しいです。
しかし閑話書いてちょいと息切れしました。
324モードの後日談はお盆過ぎにでも
>>493 あと頼みます!バタッ
ネタが被るならみんなで出そうぢゃないか、って訳でネタ募集提案。
「こーゆーシュチュエーション読みてェ」ってなんかないすか?
カプリングは最初の方で出尽くしてる感じなので、シュチュエーションの
併記希望。
とりあえず自分から。
「魔女の館入浴中のファル×キャスカ(百合)」。
「ファルが子守中に行方不明。探すセルピコが死霊にとりつかれてピコ×ファル」。
…ぐらいかな。
>「ファルが子守中に行方不明。探すセルピコが死霊にとりつかれてピコ×ファル」。
それ。゚+.(・∀・)゚+.゚イイ!!
魔術失敗してふたなりファルネーゼ
ごめん嘘
>>498 勇気のある498がそれを書いてみてくれ♪
とりあえず想像して笑っちゃったよ。
>498
取り乱しようが目に浮かぶなw
シールケに相談すればいいものを
何故かあまりに動揺して混乱を極め、
こりゃ男に聞かなければならんと思い込み
いきなりセルピコに見せるドジなファルたん
見せてる内盛り上がってピコにしごかれつつ挿入されるファルたん
ジュプジュプシュコシュコ
ハァハァ(*´Д`)
ファルネーゼの魔術の修行も初歩段階を終え、次からは
より高度な術に挑戦する事になった。
「では、これから四方の王の陣を描く為の訓練に入ります」
指南役のシールケは、落ち着いた口調で言った。
「! それはあの時の…!」
そう、イーノック村で多くの村人を守り、海辺のあばら家で
ワニ達の攻撃への防壁となった、あの魔術だ。
「先生、ご鞭撻よろしくお願いします!!」
これほどの高度な魔術を操ることが出来るようになるという
からか、ファルネーゼは興奮気味だ。
しかし彼女の魔術の師はこう付け加えた。
「ですがあの、ファルネーゼさん、今日私がお教えするのは
四王のうちの一人を召還する技術で…」
「あ、そうなのですか…」
ファルネーゼはやや落胆気味のようだった。
そんな彼女を、シールケは諭した。
「一王だけだと言ってあなどるのは禁物です。そのようでは
王の強大なオドの流れに取り込まれてしまいますよ」
「はい、分かりました先生。頑張ります!」
ファルネーゼは元気よく答えた。
「ところで、ファルネーゼさんは風、火、水、土、どの王を
召喚しようと思いますか?
魔術を行うとき、このような直感的な要素が実は大変重要なのです」
シールケのこの問いに、ファルネーゼははっきりと答えた。
「では、火の王を」
「それでは、火の王を召喚することにしましょう。火の王だけに林の中では
危険なので、術は開けた場所で行いますね。それでは行きましょう」
「ファルネーちゃんが火だってか!?こりゃヤバいんじゃねえか?」
二人のやり取りを木陰からこっそり覗いていた、イシドロが言った。
「そうですね…」やはり二人を覗いていた、セルピコが答える。
「とりあえず、オレ等がついて行ってやるか!しゃあねーなもう」
「…シールケさんがいる限り万一の事も無いと思いますが、とりあえず
行ってみましょうか」
「この火を表す紋様が描かれた札を、火の王の司る南の方角に貼って下さい」
シールケは札をファルネーゼに渡し、ファルネーゼはそれを南方の木の幹に
貼り付けた。
「それでは、私が以前術を行った時に御覧になった火の王を、しっかりと
イメージして下さい。火の王は幽界の奥深くにあらせられます。
決して自我を開け渡さないように、くれぐれも自らの術に溺れない様に」
「はい」
ファルネーゼは杖を取り、瞑想の体制に入った。
―――沈んでいく。もっと奥へ、もっと深く。
ファルネーゼの光体は、幽界の奥深くへと進んでいった。
途中、たくさんの幽体や不思議な生き物が彷徨う世界を通り過ぎた。
しかし今は相当奥まで来たのだろうか、今まで見た事の無いような世界が
目の前に広がっていた。
―――火の、王。どこに居るのだろう。
…どれくらい経ったのだろう。
ふと目を凝らすと、眼前に剣を持った燃えさかる人の姿が見えた。
「火の…王!」
ファルネーゼは王の、その激しい炎を従える神々しい姿に畏れと同時に
恐怖を覚えた。
あれに呼びかけると言うの?この私が?
ファルネーゼは自らの足が竦んで、動けなくなるのを感じた。
その瞬間だった。
耳元に何者かが触れた。
振り返ると、そこには蛇のような髪の毛をした、妖艶な女が一人立っていた。
奇妙で、目を背ける事の出来ない何かを持った女だった。蝙蝠のような翼を持ち、
はだけた豊満な身体は蟲惑的な輪郭で縁取られていた。
彼女はファルネーゼをその扇情的な瞳でじっとりと見つめた後、ファルネーゼに
両腕を絡ませて来た。
「・・・・・・・・・・・・!!!」
「……大丈夫ですか?」
聞き慣れた声がする。
…ここは?私はどうしたのだろう?
瞼を開けると、まず自分を心配そうに見つめるセルピコ、次いでシールケと
イシドロの顔が見えた。
「あの…私は?」
「残念ながら、召喚は失敗でした。危険な存在がファルネーゼさんを狙って
いたのです。私が間一髪ファルネーゼさんを幽界から引き上げなかったら…
何事もなくて本当によかったです」
シールケは、疲れた顔を無理やり引き締めて、微笑んだ。
「全く、ファルネーちゃんはよぉ!まーた迷惑掛けやがって!」
「すみません…」
「ファルネーゼ様、ご無事でいらして本当に良かったです」
「心配を掛けて、ごめんなさい」
ああ、また皆さんの迷惑になってしまったんだ。
ファルネーゼは自責の念に駆られた。
「…立てますか?」
セルピコが聞いた。
「ありがとう、セルピコ。もう大丈夫です」
そういって立ち上がろうとした瞬間だった。
ファルネーゼが脚の間に違和感を感じたのは。
ふたなりなるまででこんなスレ消費した上エロまで行かなかったが、OK?
OKなら続き書くけど
続き!!続き!!!
激しくキヴォンヌ
>>508 勇気あるあなたに最大級の拍手を!!
おもろいっす!「ファルに火」の時点で「なんとかに刃物」と思ってにやにやしましたw。
続き超期待。ぷりーずぎぶみー。
炎に当てられたのか
私は下腹部に不思議な熱を感じていた
ファルネーオナニーの時のセリフ
ピッタリだな
513 :
508:2005/08/14(日) 11:34:48 ID:+L+ons6D
あ、よかった好印象みたい
続き書くよ
しかし男×ふたなりって801に近い気もするが。
それでも良かったらドゾ。
(何?これは…)
ファルネーゼは下腹部に感じる奇妙な感覚に、動揺した。
「ファルネーゼ様、どうかしましたか?」
「いえ…何でもありません。
皆さん、先に帰っていて下さいませんか?
少し気になる事があるので、私は後から参ります」
「大丈夫ですか?」とシールケが心配そうに聞く。
「大丈夫です。さあどうぞ、どうぞ、お帰りになって」
不思議そうな顔をしながら、皆はガッツ達のいる野宿の場所へ帰って行った。
(何だろうこれ、変な感じがする・・・)
ファルネーゼは近くの茂みに入り、キュロットを下ろして、その中をおずおずと覗き込んだ。
「!!!!!!!!!」
そこには本来あるべき物の代わりに、小ぶりのペニスがブロンドの陰毛に
付け根を包まれ、鎮座ましましていた。
ファルネーゼは目の前が真っ白になった。
何が起こったのか、よく分からなかった。
(こ、これは…
これは…男性の…「あれ」でしょうか?
なんでこんな物が私に?????
そうだ、昔セルピコを橋の上から蹴り落としてびしょ濡れにさせてしまった時
「風邪を引くから全部脱ぎなさい!!」と言って全部脱がせたら丁度こんな感じ
だったわ…私も酷い事をしたものね…それにしても何故私にこれが??
そうだ!あの術の際に奇妙な女がやってきて…そう、それに違いないわ!
でもどうしてこんな事になったのかしら?何故??どうして???
ああどうしよう?どうすればいいのかしら??
恥ずかしくて、こんな事人に言えない…!!!!)
こうやってひとしきり迷ったあと、ファルネーゼは取りあえず皆の元へ
戻る事にした。
「あ、ファルネーゼさん、お帰りなさい」
帰って真っ先に声を掛けたのは、彼女の魔法の師匠だった。
「あ、遅くなって済みません…」
「…魔術の事なら、気になさらないで下さいね。
私も修行中はよく失敗していましたし。
それに、イーノック村でも、力を制御し切れませんでしたし…」
「そうよっ!シールケは今でこそこの歳で将来超有望の大魔女だけど、昔は
ボールを浮かせる訓練で間違ってマンドラゴラを根こそぎ引っこ抜いちゃって!!
フローラが防壁を張ってくれなかったらみんなあの恐ろしい悲鳴を聞いて
死んでた所だったんだから!!」
「もうっ、イバレラってば!…でもファルネーゼさん、一度失敗したからといって
もう二度と出来ない訳ではありません。気を落とさないで下さいね」
「…はい…ありがとうございます…」
しかしシールケの話も、ファルネーゼの耳にはほとんど聞こえなかった。
(どうしよう、これを…どうしたら…)
ファルネーゼの頭の中は、その事で一杯だった。
「おい、ファルネーちゃん!キャスカねーちゃんの世話見てやってくれよ!
オレがさっきから遊んでやってんだけど、結構難しいんだよな」
「ちみの場合、遊ばれてるって感じだけどな」
「…済みません…」
「あうぅうう!」
「ぎゃっ!つねんなって!!イテテテッ…!」
「ほらね」
イシドロとパックの掛け合いにも、ファルネーゼは殆ど反応出来なかった。
(これを…何とかして…これを…
ああ、一体どうしたら…???)
そこに、黒い甲冑の男が近づいて来るのが見えた。
「よお、さっきは色々あったらしいじゃねえか。大丈夫か?」
!!!!!!!
ファルネーゼは全身の血が引き、反対に顔が真っ赤に火照り出すのが分かった。
そして次の瞬間、ファルネーゼは山菜取りにいそしんでいたセルピコの手を取り、
全速力でガッツの前からなるべく遠くへ、見つからないような場所へと逃げ出していた。
「はぁ、はぁ…一体何があったんですか?
引っ張り回すのは理由くらい説明してからでもいいじゃないですか?」
息を切らせながら、セルピコが聞いた。
「はぁ、はぁ、はぁ……ごめんなさい。
少し、困った事情があるんです。
男の人にしか分からないと思ったので、お前を連れて来たんです」
「男の人ったって、私の他にもガッツさんもイシドロさんもいるじゃないですか」
「お前なら全て見せられるからです」
この台詞に、セルピコは少しドキリとした。
「相当困った事なんですね…
一体、何が起こったというんですか?」
「多分さっきの魔術が失敗した所為だと思うのですが…
これから見るものの事を、誰にも言わないで下さいね」
「はあ、分かりました」
「では、恥ずかしいのですが…」
こう言って、ファルネーゼはキュロットの腰周りを緩めた。
「ちょっ、ファッ、ファルネーゼ様っ!?」
しかし動揺したのも束の間、次の瞬間セルピコは元から小さい瞳を
完全に点にしていた。
「こ、これは…」
今日はこれ位かな
エロ突入できず無念
母親が教会行ってる間にこんなの書いてる罰当たりな漏れ。
テンポ良いな
GJ
お、おもしろい・・・。
GJ!続きを松!((o(´∀`)o))ワクワク
セルピコは、主人の下半身に起こった奇妙な異変に、ただ呆然とするばかりだった。
「…魔術が失敗して、この様になった、と」
「そうとしか、考えようがありません」
「じゃあ、シールケさんに話すのが一番手っ取り早い解決策じゃないですか?」
「女性にこんなモノをお見せするのは気が引けまして」
(こんなモノですか…)
「はあ、では私を呼んでどうなさるおつもりだったんですか?」
「…ちょっと、コレの具合を見て欲しいのです」
「具合を見るって…私に…あの…ファルネーゼ様の…それを、拝見しろとでも??」
「どうせお前にも同じ物が付いているのでしょう?
昔見た事を憶えていますよ…」
(同じモノと言っても、昔は昔ですけど…)
「あの…ファルネーゼ様、こういう事はご自分でなさった方がよろしいかと…」
「私は、こんなモノに触れるのはちょっと…」
(また、こんなモノですか…)
「………仕方がないですね、ちょっと失礼します」
そういってセルピコは、ファルネーゼの股間の辺りが丁度良く見えるように屈み込んだ。
…それは、包皮に包まれ紅色をした、可愛らしいモノだった。
なんでまたファルネーゼ様にこんな物が…
セルピコは昔、自分に駆け落ちを迫った少女の、白く滑らかな裸体を思い浮べた。
普段は回転を止める事のない自分の思考回路が焼き切れるような思いがした。
「…もう少し奥の方も見てくれませんか?」
「はっ?」
「奥の方は、どうなっているのですか」
「はあ…では、大変失礼しますが、これに手を触れさせて頂いてもよろしいでしょうか?」
「…お願いします」
セルピコはファルネーゼのペニスにそっと手を掛け、優しく掴んだ。
その瞬間だった。
ファルネーゼは今まで感じたことの無いような感覚が、両脚の付け根の間に屹立する
塔の内部に走るのを覚えた。
それは、自らの手でクリトリスを弄る時の快感にも似ていたが、より局所的で強い
感覚だった。
(何…これは…!!)
セルピコはファルネーゼのものを手で左にずらし、中を覗き込んだ。
(…何という事でしょう)
ペニスの裏に陰嚢は見えず、奥には膣口の切れ込みが脚の間に深々と谷間を作っていた。
ただ、本来なら陰唇に当たる部位に奇妙な膨らみがあり、その中に球状の何かが包まれていた。
セルピコはファルネーゼの胸元を見上げた。
そこには、豊かとは言い難いが、確かに丸い乳房があった。
(両性具有、ですか…)
セルピコはファルネーゼの顔の方に向き直り、冷静に報告した。
「ファルネーゼ様、終わりました。
かなりやっかいな事になっているようです。
単刀直入に言ってファルネーゼ様の今の状態は、男性でもあり女性でもあると…」
そしてセルピコはファルネーゼから手を離し、立ち上がろうとした。
その時、ファルネーゼはセルピコのその手を掴み、自らの下腹部へと導いた。
「お願い、ここから手を離さないで…」
「あ、あの、ファルネーゼ様…何を?」
セルピコは驚いて、ファルネーゼを見つめた。
その明るい色をした双眸は、いじらしく潤んでいた。
「お願いです…触れていて。
こんな感覚は初めて…
驚かないで…私を受け入れてくれますか?」
そう言うと、ファルネーゼはセルピコの胸に崩れ落ち、その肩に手を回した。
「…分かりました。貴女の望むまま…」
「ありがとう
…手を動かして」
ファルネーゼは、セルピコの手に自分の手をあてがい、自らのペニスを掴ませた。
そして、ゆっくりと上下に動かした。
「あぁっ…そう、そんな風に」
ファルネーゼは嬌声を上げる。
「はぁっ…ぁっ…
お願い、もっと…もっと激しく!」
セルピコは、手を器用に小刻みに上下に動かし、握る力を強めて締め付けた。
「あふっ…あぁん…はあぁあっ
いいわ…そう…はっ…うぅっ!!」
ファルネーゼは、自分のペニスが硬くなり、熱く脈打つのを感じた。
性器の先から何か液体のようなものが流れた気がした。
意識は全て下半身の突端に集中して、他のことは何も考えられなかった。
更にこの刺激の所為だろうか、ヴァギナが濡れそぼってくるのが分かった。
息遣いが荒くなる。
ファルネーゼは、セルピコを強く抱き寄せた。
「あぁうッ…ハァッ…」
頭がのぼせて来る。
その時、男性器の中から何か抑えがたい衝動が突き上がって来るのが感じられた。
「あァッ……あぁあああっ!!」
ペニスの先から、白く半透明の液体が噴き出した。
「あぁ…」
ペニスからは、先ほどの圧倒的な快感が醒めていく。
それに反して、ヴァギナはまだ熱を失っていない様だった。
ファルネーゼは目の前のセルピコをしげしげと眺めた。
よく見ると、先ほどの液体がセルピコの着衣に掛かったようだった。
「…ごめんなさいセルピコ。今ハンカチで拭います。
それで、一体これは何なのですか?」
「子供の種です…」
セルピコの糸目は、微妙な表情を浮かべている様に見えた。
「そうなのですか…」
ファルネーゼはセルピコの服を拭いながら、ふとある事を思いついた。
「お前のこれも、見てみたい」
セルピコは、普段開かない目を大きく開けて、驚いた。
「えぇ……!?」
神再臨の前にとっとと終わらせたいが無駄に長くなりそうで怖いよ
そういや魔術の描写で、魔方陣や呪文すっかり忘れてた
GJ
勃った
つづき はやく たのむ
やばい、ふたなりって楽しいかも
ふたなり楽しいですよ!GJ
ぐぎゃぁっ!たっ、楽しすぎる…www。
パソの前でニタニタしてしまいました。
何気にオールスター登場でキャスカやイシドロでてくんのも嬉しい♪
そして黒い甲冑の戦士さんが「大丈夫か?」ってファルに言ってくれるのが
めちゃめちゃもんのすごく嬉しい…。。子踊りました。
最初は恥ずかしがってるのに積極的!なファルがすっげー好きです。
面白くて長いのは「至福」と呼ぶのが正解で無駄とは呼ばんと思うー。
て訳で続き超期待。GJGJGJッッ!!
楽しんで読んでくれてる人、ありがとう
励みになるよ
>>528 全員出しちまってこりゃテンポワリくなるわとオモタので嬉しい
黒い剣士は最近柔らかくなったよね
「恥ずかしいのですか?」
「はあ……」
セルピコは恥ずかしいと言うより、もはやどうしていいか分からなかった。
「では、私が先に脱ぎますので、お前は後からで良いですよ」
「え、ちょっ、ちょっと!!」
呆気にとられるセルピコの前で、ファルネーゼは服を脱ぎ始めた。
シャツのボタンを外すと、その中から紅潮した白桃色の乳房が現れた。
そして身に着けていたものを全て取り払うと、ファルネーゼはセルピコの前に向き直った。
奇妙な光景だった。均整の取れた女性の身体の臍の下方に、確かに男根が付いている。
それはさながら異教の神のような、面妖ながらも美しさと威厳をそなえた立ち姿だった。
「ファルネーゼ様…」
セルピコは主人の姿に、心ならずも暫し見とれた。
と、その瞬間、ファルネーゼはセルピコの首に腕を絡ませ、その薄い唇を
熱い舌でこじ開けた。
「!!」
ファルネーゼの舌は、セルピコのそれを求めているようだった。
セルピコはそれに応えた。柔らかな舌同士がお互いを探り合った。
二人は唇から熱く溶け合っているようだった。
長い接吻を交わした後、ファルネーゼの夢見るような瞳と目が合った。
ファルネーゼはセルピコの風のフードに手を掛け、ゆっくりとそれを脱がせた。
そして、今度はシャツのボタンを外しにかかった。
「ファルネーゼ様…」
「嫌なのですか?」
「いえ…」
主人の意向には逆らえない。
「じゃあ、私を受け止めて。お前が欲しいの。もう止まらないの」
「はい…分かりました…」
そう言う間に、ファルネーゼはセルピコの上衣を全て取り去った。
ファルネーゼはその細身の引き締まった身体を抱きしめた。
初めて感じる男の肌は暖かく、心地良かった。
いつか自分を抱いてくれなかった男を、今こうして自分が抱いている。
ファルネーゼはセルピコの首筋に口付けた。
「…っ」
この無表情な男も快楽を感じるのだ。
そして、自分がそれを与える事が出来ることが嬉しかった。
ファルネーゼは、首筋から鎖骨、鎖骨から胸部へ、それから更に下へと接吻していった。
セルピコの呼吸が乱れていくのが分かった。
そんな様子に、ファルネーゼは愉悦を感じた。
遂にファルネーゼは、セルピコのキュロットのウエストを緩め、それを下ろした。
毎日書いてくれる人よ、ありがとおー!!
セルピコのリアクションが、なんか笑えるよー。
お嬢様の猛アタックにたじたじw。なんかずるずると流されてるぞ、お兄さんw。
ピコ気分でどきどきしました。GJッ!
532 :
324:2005/08/16(火) 23:58:00 ID:elu/S7pK
すっげーイイ!っす
エロ見習わなくちゃハァハァ
533 :
書いてる人:2005/08/17(水) 10:42:37 ID:/IVflkJF
>>531 なんだかセルファルじゃなくてファルセルになって来た希ガス
>>324 ウワ━━━━━━(゚∀゚|||;)━━━━━━神からの御言葉!! マジ嬉しい
続き楽しみにしてまつハァハァ
「え…?」
ファルネーゼは目を丸くした。
セルピコのものは、ファルネーゼのそれの倍近くあり、先端には釣鐘型の亀頭が包皮からはっきり頭を出していた。
竿の部分はくっきりと浮き出た血管が網目模様を作っていた。
「大きいものですね…」
「…それ程でも」
「はあ、そうなのですか」
ファルネーゼはセルピコのペニスに触れた。
それはやや上方を向いていた。
「…お前でも興奮するのですね」
「勘弁して下さいよ…」
ファルネーゼは意味ありげに笑うと、握ったものの先を口に含み、舌で弄んだ。
掴んだ手に血液の拍動が感じられ、性器が硬度を増していくのが分かった。
「ファルネーゼ様、あの、そんな事まで…!!」
セルピコはかなり動揺しているようだ。
「あら、じゃあお前にもして貰いますから、それでおあいこでしょう?」
「えっ…?」
ファルネーゼはそう言うと、セルピコを押し倒し、自分の顔はセルピコの股間の前に据えたまま
セルピコの顔の上に跨った。
「これでお互い、出来るでしょう?」
セルピコはもはや抗う気も無かった。それとも抗えなかったのだろうか。
二人は、互いのペニスを互いの口で愛撫した。
先程のように手でしごかれるのと、口淫とでは快感が比べ物にならない。
(あァッ…いい…)
しかし口は男性器で塞がれ、声にならない。
セルピコはファルネーゼのものが大きくなるにつれて外に出てきた亀頭を丁寧に舐めた。
(…頭がおかしくなりそう…)
ファルネーゼも返すように、セルピコの先を唇で吸った。
セルピコがファルネーゼの茎を横から唇でしごくと、ファルネーゼもそれをセルピコに返した。
ファルネーゼは、セルピコのまるで男性器の扱いを教えるような口使いを器用に真似した。
と、その時セルピコは、ファルネーゼの膣口に指を入れて、ピストンの動きを始めた。
それは自分で指を入れるのとはまったく違う感覚だった。
ファルネーゼの男女二つの部分が、共に熱くなっている。
セルピコは今度は口の方でもピストン運動を始めた。
ファルネーゼは足の力が抜けていくのを感じた。
(あぁ…何も考えられない)
そしてセルピコのする通り、口に含んだものに唇でしっかりと吸い付き、顔を上下に動かした。
しかし性器が喉の奥まで達すると、強烈な吐き気がした。
「うぇっ…」
ファルネーゼはペニスを吐き出してしまった。
「あ…ごめんなさい」
セルピコは行為を止めて、言った。
「気にしないで下さい。喉の奥に指を突っ込んだりしたら誰だって吐き気がします」
「ありがとう
…ねえ、そろそろ頃合じゃないかしら。
お前が欲しい。
抱いて」
そしてファルネーゼはセルピコの上から降りると、寝転んで両脚を開いた。
「来て」
動揺しながらもやっぱり妙に冷静なセルピコがおかしいw
楽しいっす!
前の終わりの時に心密かに「…ファ、ファルに口で…」とかいけない妄想をしてた。
そしてそんな事までしてくれるお嬢様はっけーんっw。
欲望の鬼と化してるファルネーゼお嬢様が楽しいw。
「ファルネーゼ様…」
セルピコは躊躇った。たとえこんな事になってしまっても、たとえファルネーゼが
それを知らなくても、自分とファルネーゼには同じ血が流れているのだ。
「そんなに大きくして、お前もしたいのでしょう?」
「…………っ」
「あら、頬が赤いわよ。お前、可愛いわね」
主人のからかう様な調子に、セルピコはもはや思考を継続する事が出来なかった。
(も、もう後の事なんか、知りません…!)
そして、ファルネーゼの上に覆い被さると、そっと口付けをした。
「やっとお前から来てくれた。嬉しい…」
ファルネーゼは切ないような笑顔を見せた。
セルピコはそれに返すように微笑むと、ファルネーゼの大きく開かれた脚の間をまさぐり
熱く濡れた口を探り当てると、それに自分のものを強く押し付けた。
男を受け入れたことの無い狭い入り口は、なかなかセルピコを通そうとはしない。
「あッ…痛っ…!」
ファルネーゼの顔が苦痛に歪む。
セルピコはファルネーゼの右の胸先を舌で転がし、左手でもう片方の張りのある胸を揉みしだいた。
「ぁあッ…ふぅっ…んッ…
あぁ…
………
はぁッ…あぁァッ…!」
膣の奥まで、何かが入り込んだのが分かった。
痛みの中に、確かに自分以外のものが脈打っていた。
セルピコも呼吸を荒げていた。そして今度は腰を前後に揺らし始めた。
「ああぁ…はぁ…んふッ…
……うぅッ………」
抜き差しされている間に、やがて初めの痛みはただの痺れになり、遂には快感へと変わった。
「…もっと…激しくして…」
「…痛くないのですか…?」
「……もう…大丈夫…
お願い…もっと…もっと…あぁッ!!!」
セルピコは運動を加速させた。
二人の脚と脚が当たってパシッ、パシッと音を立てる。
ファルネーゼの中が熱く潤んで、セルピコに絡みつくのが分かった。
セルピコの頭は、最早自分の下で喘ぎ声を上げるこの主人の事以外考えられなかった。
今自分は、自分の総てをその下に組み敷いている…。
「…ごめんなさい!少し止めて!」
その声に、セルピコは我に返った。
ファルネーゼの顔は赤く火照り、その瞳と唇は艶やかに濡れていた。
ヴァギナから脚にかけて、愛液と血液の混じった、白と赤の液体が零れていた。
「…これが先刻から当たって痛いの…」
そう言って、ファルネーゼは自分の男根を見せた。
「……後ろから、できますか?」
「…分かりました」
セルピコは、四つ這いになったファルネーゼの後ろへと回り込んだ。
ファルネーゼはセルピコの手を取って自らの胸元へと導いた。
「両手で…触って…」
「…はい」
そうして、セルピコはファルネーゼの両の乳房を掴み、ファルネーゼの膣口を探った。
今回は、ヴァギナはペニスを簡単に受け入れた。
「はゥッ!」
中に入れられると同時に、ファルネーゼが声を立てる。
セルピコは再び腰を動かし始めた。
そして両手でファルネーゼの胸を掴み、その弾力のある柔肉を丁寧に揉んだ。
「あぁ…そう…そうよ…あふッ」
ファルネーゼはもう、脚がガクガクとなって、立っているのが辛いほどだった。
セルピコは下半身を加速させていった。
ファルネーゼの中はいよいよ熱く、強く絡み付き締め付けた。
と、ファルネーゼが喘ぎ声を上げながら言った。
「ここ…男の…部分が…淋しい…の…
手で…して…お願い…」
こう言われて、セルピコは器用にファルネーゼの男根を右手でしごいた。
そして、顔をその白い首筋に寄せると、深く深く口付けた。
ファルネーゼの身体がビクリと動くのが分かった。
(ああ…もう駄目…壊れそう…)
二つの性器から、セルピコの愛撫から、体中に快感が走った。
ヴァギナがヒクヒクと蠢くのが感じられた。
いつ果てるとも知れない悦楽の波に、もう姿勢を保っているのがやっとだった。
セルピコはファルネーゼのペニスの先から流れる先走りの液を潤滑液にして
手早くしごき、紅い乳首を指で小刻みに回転させ、ファルネーゼの腰を深く深く突いた。
「ああぁあッ!いいッ!もっと…もっと頂戴……!!!」
ファルネーゼは上手く回らない舌で、セルピコを求めた。
セルピコはそれに応えんと、いよいよ激しくファルネーゼを抱いた。
二人は今迄共に在ってから初めての強烈な快楽に、身体の芯から恍惚となっていた。
お互いへの想いは喘ぎ声に消えていくばかりだが、躰を預け合う喜びはたしかな物だった。
二人はこの瞬間確かに、その想いを共にしていた。
そして、その時、頂点に達した。
「ああ…………ッ!!!」
ふたつのペニスと、ひとつのヴァギナが、同時に果てた。
「はぁ、はぁ……」
ファルネーゼは、セルピコを抱き寄せ、その唇に自分のそれを合わせた。
セルピコもファルネーゼの身体をしっかりと抱き締めた。
「好き…」
小声で呟いたファルネーゼの口を、セルピコは唇で塞いだ。
二人はしばらく抱き合ったままでいた。
お互いに、こんなに優しい気持ちになれたのは初めてだった。
どのくらい時間が経っただろう。
二人は、ゆっくりと躰を離した。
「…では、皆さんの元へ戻るとしますか」
セルピコは身支度を始めた。
すると、ファルネーゼはそれを制止した。
「待って、またこれが生き返ったみたい…」
ファルネーゼは、セルピコに上を向いた自分のものを見せた。
「はあ、じゃあ私がまた口で…」
そういうセルピコの言葉を遮って、ファルネーゼはきっぱりと言った。
「いや、お前の中に入れたい。お前をこれで感じたいの」
「え……ちょっと待って…それって……!!!!」
セルピコが唖然とする間に、ファルネーゼはセルピコの後ろに回りこみ、
彼の腰骨を掴むと自分の物を臀部の間に押し当てた。
「ちょ……それはどうかと……あの……ええと……
………………………………………………………あ゛痛だっッ!!!!!!」
「…そんな事になっていたのですか」
ファルネーゼの話を一通り聞くと、魔術の師は溜息混じりにこう言った。
「もう少し早く言って下さっても良かったのに…」
しかし、そう言う彼女の頬は薄赤に染まっていた。
「それで、これを直す方法は…」
ファルネーゼに同伴して来たセルピコが言う。
「正直に言って、かなり難しいと思います。
これは恐らく、ファルネーゼさんが術中に会ったという邪悪な存在に影響
されての事。それを倒してファルネーゼさんに及ぼしている霊的影響力を
元から絶つというのが理想的な解決方法ですが、生憎その存在は非常に強力な
魔力を持っている為、私達等では太刀打ちできないのです…」
「そうですか…」
ファルネーゼは呟いた。
(ファルネーゼさんが伝えたその存在の特徴は、私がクリフォトから
帰ったガッツさんからかすかに見えたイメージと符合する…
ゴッド・ハンド級の相手では、今の私達にはとても…)
シールケは思索の後、更に続けた。
「他に、ファルネーゼさんが強く望めば、その姿を変えることは不可能ではありません」
「そのような事が、可能なのですか?」
「はい。ですが、元々自らの姿を変える術と言うのは、魔法の中でも非常に高度な技術。
自らの意思を幽界深くまで保つことが出来る者だけが行える術なのです。
霊樹の館での御師匠様の最期の姿を覚えていらっしゃいますでしょうか?」
「はい。炎となられて私達を…」
「…高級元素霊を従える存在にまで昇華する、あれ程までの高度な技術は
ファルネーゼさんの場合には必要ありませんが、やはりかなりの修行が
必要です」
「はい、そうですか…」
ファルネーゼは、残念な様な、ホッとした様な気分だった。
もう一度、あの快楽を味わいたい…そういう思いもあった。
一度覚えたら病みつきになりそうな、あの快楽を……
その時、ファルネーゼの前をイバレラが横切り、彼女に喋りかけてきた。
「でもさあ、ファルネーゼってこういうデリケートな話にまでセルピコを
付き合わせる訳?」
「えっ!!っそっそれは…この者は幼少の頃から私に仕えておりまして、
今更このような話など…」
ファルネーゼは頬が火照りだすのを感じた。
「じゃあさ、何でセルピコまで赤くなってる訳??」
横を見ると、確かに顔を赤くしたセルピコが、困ったような顔をしている。
話の雰囲気を察したのか、シールケまでも頬をピンクに染めた。
そこにひょっこりと、髪の毛の一部を残して全身黒ずくめの剣士が顔を出した。
「よお、お前ら、こんな所で井戸端会議かよ」
!!!!!!!!!!!!!
ファルネーゼは、自分の顔が耳まで熱くなるのを感じた。
そして、一目散にガッツの前から出来るだけ遠くへと走り去っていった。
「ファルネーゼ様!!!!私にあそこまでしておいて、それはないんじゃ無いですか!!!?」
セルピコが後を追う。
「お前ら、一体何があったんだ?」
ガッツは目の前の出来事をよく把握できない。
「それは、あの……その……」
シールケはみるみるうちに赤くなる。
「何だそりゃ」
「…秘密の話なので…」
シールケの顔は最早真っ赤だ。
ガッツはますます話が見えない。
そんなシールケを見かねて、イバレラが言った。
「そうそう、秘密。あの二人の秘密ってこと」
.。・*・.▽劇終▽ .。・*・.
これで終わりでつ
読んでくれた人ありがとう
>>498さんネタありがとう
初ふたなり初エロ初SSだから緊張しっ放しだった
課題以外でこんなに文字打ったの初めて
良かったら又来たい 今度はシリアス系で
それじゃ
>>493ですた
>>540 ぎゃはははっ!
>>………………………………………………………あ゛痛だっッ!!!!!!」
に大笑いw
GJ!
545 :
名無しさん@ピンキー:2005/08/18(木) 15:48:19 ID:2b56NbmI
上げとけ
もっと読まれていいスレだぞ
わああああGJ!GJ!
毎日見てたヨー 良かった、ありがとう
ぜひまた書いてください、楽しみにしてるヨー
>>487,489ですた
498ですが、まさか書いてもらえるとは
一気に読ませてもらいました
ファル&ピコのやりとりが面白かったです
GJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJ〜ッッ!!(jojo風に)。
毎日楽しませてもらいましたー。お疲れさまっ。
セルピコが可愛い&そしてかわいそーwww.
ほぼ黒い剣士さんがまた出て来てくれて嬉しい♪走り去るファルがラブリーw。
ネタが出てから一日立たずにこんだけ書けるのってマジですごいと感心。
めちゃめちゃ好きです。ぜひぜひまたご来日くだされ。
GJ!!!!!!!
エロってやっぱりカラッと笑える話が最高だね!
しかしファルちゃんはガッツが好きなのか
セルピコはこれからセフレなのかw
笑わせて頂きました。また書いて下さい!
550 :
ふたなり:2005/08/19(金) 14:53:33 ID:Dxr5ziPA
皆さん沢山のコメント本当にありがとう 心底嬉しい
>>487さんのお陰で書き込む勇気が出ました
>>498さんのインパクト大なネタのお陰で楽しく書けました
次があるとしたらコメディでなく暗いセルファルだと思われまつ
もし宜しければお付き合い下さい
では
みんなGJ
何気に神スレ
幼女ファル話の筆力に圧倒され
ふたなりファル話のテンポのよさに翻弄され
幸せいっぱいなわたしが居ます
かみさま ありがとう
552 :
324:2005/08/20(土) 23:38:08 ID:H1rshG7f
神々が次々と降臨なさってすごい事に!
不肖、私「お盆すぎになんか書く」と言っておりましたが
夏ばてで倒れました_| ̄|○
ネタも324の小ネタか続きくらいしかありません
神様、また降臨なさって下さい!
>>550ふたなりさんの楽しいエロって
自分そういうの書けないから尊敬っす
楽しい文章書けるって僭越ながら一番難しい事ですYO!
553 :
ふたなり:2005/08/21(日) 13:02:13 ID:oPJKnDYW
この調子だと2スレ目も夢じゃ無いぽ
>>552 いや漏れ初コメディなんで。正直ネタが良かったんだと。
>>324さんの品のあるエロにいつもハァハァでつよ
夏バテお大事にして下され、再臨を待ってまつ
新たなる神の降臨に期待
554 :
名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 21:08:49 ID:wQoyWjZ9
NOVAうさぎ考察
まずはボディー。ピンクのボディー。それはショッキングピンクというよりくすんだピンク。
基本的に体格はいい方でない、とはいえガリでもない、しなやかな体というのがふさわしい。
体に関してはあまりに書くことが無い
顔の話をしよう。
基本はぶっちょうづら。何か内面に押し隠した衝動を感じさせる。虚ろなる瞳。
世界を手中にしたかのような達観した証
ピンクというよりくすんだピンク。寂しいが。
行かなきゃいけない。行かなきゃいけない。
エロではないのだけど、昔黄金時代編読んで「鷹の羽学園」とかくだらん妄想してた。
ガッツ=長学ランの一人番長。大剣背負って登校してくる男。
キャスカ(昔)=「風紀委員」の腕章腕に嵌めてるセーラー服。風紀にうるさい。「刃物持込禁止」を破るやつばっかなのでとても忙しい。
グリフィス(昔)=白の学ラン。人当たりのいい笑顔が怖い、生徒会長。率先して頭髪規定を破りまくっているのだけれど、キャスカは何も言わないので、みんなから「えこひいきだ」と内心思われている(でも誰も言わない)。
>>555 書いて、書いて〜。
エロじゃなくてもいろんな作品が読めると嬉しいよv
>>555 いいね、確かにキャスカは風紀委員だw
ジュドーが人気者かつお調子者の新聞委員かなんかか?
上の話題とは関係ないけど
ファルの最初の男ってやっぱりセルピコって気がする
求む、賛同者!
>>556 いや、ストーリー書けないから妄想だけw。
マンガでやらないと面白くないネタと思うし。そして絵は描けない…。
昼休みの食堂の、パン購入争奪戦行列を竜巻旋風で吹き飛ばして、堂々と「焼きそばパン、ひとつくれ」と言うガッツとか。
金がない時は校庭の鳩を打ち落として、竜殺しで鉄板焼きにして食ってたり。
ジュドーとかリッケルトやピピンがご相伴で周りに集まってみんなでむしゃむしゃ。
いつの間にかグリフィスまで来て「うまそうだな」とか言って食ってる。
木陰の後ろで、腹減ってるからわけてもらいたいけれど、言い出せずに「…畜生ッ」とヨダレ流しながら呟いてるコルカス。
んで、キャスカが「校庭で焚き火をするなー!」って怒る。
「没収だ!」と怒ってキャスカが竜殺し取り上げようとするけど、一人で持てない。
竜殺しの下敷きになってもがいてるのを、ガッツが見かねてどかしてやると、「お前、手伝え!」とか涙目で言われて「なんで俺が…」と呟きつつ、生徒会執行部室までちゃんと手伝ってあげるガッツw。
生徒会室で運び終えると「なんでお前はいつも風紀を乱すのだー!」ってガミガミ怒るのだけれど、説教が終わると、「…さっきは、ありがと」と床をみつめながら頬染めて呟くキャスカw。
何故かうろたえてしまうガッツw。
…二十年前のラブコメだなー。わはは。…まあ、雑談妄想ネタ、ってことでご勘弁を。
560 :
名無しさん@ピンキー:2005/08/24(水) 04:54:20 ID:WSyHflWc
>>559 イイ!!感じw
この学園モノか、コレじゃなくても黄金時代のSS見たい。誰か書いて
>>558 禿同
>>555 ジュドーが人気者かつお調子者の新聞委員
あ、それ似合ってる、もらいw。
じゃ、559の続きで雑談妄想。マンガモードでー。。
生徒会室でなーんとなくいい雰囲気で沈黙してるガッツとキャスカ。
窓の外の木に登ってカメラ片手に覗いてるジュドー。
「おっしゃあ!特ダネゲーット!」と呟いてパチリと激写。
翌日・校舎の廊下に張られた壁新聞に、生徒たちが「マジ?」「できてたんか、あの二人…」などとニヤニヤひそひそしながら取り囲んでる。
新聞には「交際発覚!!風紀委員長とド不良一人番長との秘めた恋!!」なるデカい見出しと大写しの二人の写真が。
その下の方に小さめの頬染めたキャスカのアップ写真、キャプション付。「告白後、うつむいて恥らうキャスカさん(2年)」
別の校舎では、死に物狂いでジュドーが追いかけるキャスカから逃げて走り回ってる。
血走った目つきで「…殺ス!」と喚いてるキャスカの手には、生徒から没収して取り上げた長剣がw。
黙って逃げりゃいいのに、ついつい「風紀委員長が風紀乱しちゃダメでしょーがw」とか振り返ってからかってしまうジュドーw。
その笑顔に長剣が飛んできて、慌てて頭をすくめて「…やばい、マジで殺されるかも」とちょっと青くなって必死で逃げる。
人だかりの壁新聞に、後ろから黙って生徒達を押しのけてたどり着くガッツ。
無言で二人の写真が載ってる壁新聞をべりべりっと破る。その背中にはゴゴゴゴ…、という擬音と怒りのオーラがw。
「なにすんだてめー、せっかくの笑えるネタを…」とガッツに文句言いかけるコルカス、プラス一般生徒たち。
ガッツが無言で睨みつけ、バックに背負った「ゴゴゴゴ…」が巨大化するのを見て、「…さ、さーて教室に帰るか…」とそそくさと逃げる。
生徒会室でのんびり一人茶をすすってるグリフィス。「平和だなー」と呟く。劇終。
リッケルトとピピン出てないやー。リッケルトは中等部でピピンは相撲部主将だな。
さすがにもうネタないです。書きかけのssは進まないがこんなんやとラクに進むな…。
>>562 黄金時代のネタですけど
聖鉄鎖私立高校なんて出しちゃ駄目?
金持ち高校でファルネーが無能生徒会長で
副会長セルピコが実権握ってたりとか
「鷹の羽学園」と敵対してるとかw
>>563 それ、楽しいいぃぃぃ!「聖鉄鎖私立高校」はミッション系やねw。
アザンは体育教師かなー。
セルピコはブレザー・ネクタイが似合うと思うw。
あ、ネタの所有権は主張しませんので、「こんなんどうよ?」と思いついた方いたら、好きに書いてー。
「鷹の羽学園」vs「聖鉄鎖私立高校」読んでみたいけど、敵対方法なんにするか…。
>>565 >「鷹の羽学園」vs「聖鉄鎖私立高校」
フェンシング部で全国制覇を争うなんてどう?
でもベルセルクだから無制限フェンシングで
ガッツのドラ殺も可w
設定作るの好き
私立聖鉄鎖のフェンシング部の副部長はセルピコなんだけど
成績も学年二位をキープ
開眼するともの凄いイケメンになるという噂があって論議になってるとか
それで聖鉄鎖高校の会長の娘がファルでピコと同居
夜は別の勉強で熱心、エロパロだから
金持ち「私立聖鉄鎖高校」とたたき上げ(?)「鷹の羽学園」の対立でもいいかも。
「鷹の羽学園」クロ○ティ高校みたいとか
たたき上げ(ビンボー)な「鷹の羽学園」がいいなw。
生徒会長が学校長の娘に手出して半殺し、再起不能。
臨時副会長のキャスカが優勝賞金目当てに「なにがなんでも優勝するぞー!!」と燃えている。
キャスカ(昔)とファルネーゼ(昔)の対決が見たい…(勝負見えてるけど)。
たたき上げ(ビンボー)な「鷹の羽学園」
生徒会長グリフィスが衝撃の告白
「俺は生徒会費を稼ぐ為に援交を‥‥」(金持ち変態アドン)
ショックを受けるガッツ、キャスカ、ジュドー以下とか
801になっちゃうかw
おまいら、おもしろすぎwwwwww
癒されたよ、ありがとう…
>>569 生徒会長グリフィスが衝撃の告白
パソの前でゲラゲラと声を上げて笑ってしまったじゃないかw。
そうか、グリフィスって実は苦労してる奴なんだなーw。
あ、ところで間違い訂正。
562の
>>555 ジュドー は
>>557 の間違いでした。 ネタくれた人よ、ありがとう。
こんなんでいい?
鷹の羽学園の生徒会長グリフィスは悩んでいた。
平民しか入らない、超ビンボー高校としてその名を轟かせる鷹の羽学園
毎月、部活動はおろか生徒会運営費さえ出るかどうか
ぎりぎりの運営を根性で乗り越えてきた。
しかし、もう後が無い、後ろは川だ!状態になってしまった。
いや、起死回生のチャンスはある。
幸い、グリフィスはフェンシング部の部長で
全国大会にも出たことのある強者だった。
次の大会で優勝すれば莫大な賞金が手に入る。
俺でも駄目なら百人斬りのガッツがいる。
そして、確実に鷹の羽学園フェンシング部の前に立ちはだかるのは
歩いて五分の所にある私立聖鉄鎖高校のフェンシング部だ!
私立聖鉄鎖高校、幼稚舎からある名門中の名門で
お母さん達がついお受験に走ってしまうお金持ち高校
偏差値も高いし、スポーツも高レベル。
何より学生が皆、貴族のぼんぼんばっかりなのだ。
男子校のハズなのになぜか伝統で生徒会長は女だった。
おお、書いてくれる勇者出現!!
>後ろは川だ!
に笑う。 ビンボーで名を轟かせる、ってすげー悲しい有名だなw。
続きあるなら読みたいよー。
生徒が貴族のおぼっちゃまでも、さすがに偏差値が高いので
「いくら伝統といったって男子校の生徒会長が女なのはどうか?」
といった声が無論でる。
しかしその生徒会長は聖鉄鎖高校運営財団ヴァンディミオン家の令嬢なのだ
皆、影でぶーぶー不平を言いながらもヴァンディミオン財団には
頭があがらないのでそのまんまである。
この会長ファルネーゼという名前のわりと可愛らしいお嬢様なのだが
頭の方は?なお嬢様だった。
生粋のお嬢様なので世間知らずだから仕方が無い。
しかし、聖鉄鎖高校の生徒会は文句も言えないくらいきちんと運営されてる
聖鉄鎖高校七不思議の一つである。
そして聖鉄鎖高校の七不思議の二つ目に
「フェンシング全国大会で必ず勝つ謎の美少年」の存在がある
確かに聖鉄鎖高校の学生でフェンシング部の部員である
事だけは確認されているのだがそれが誰かまったくわからないのだ
一時、フェンシング部副部長のセルピコなんじゃないかと囁かれたが
キツネ顔の地味な奴が、あんな超イケメンのハズは無いと否定された
ちなみにこのセルピコ君、ヴァンディミオン財団の
特別奨学生として聖鉄鎖高校へ入学したくらい優秀だったが
何故か彼の事は皆スルーだ。
生徒会の副部長も務めているし、中間、期末試験共に
すべての教科オール二番の成績をキープしているのだが
誰もその事実に関心が無かった。
完全無視である。
生まれが平民である事にも注目されないくらいナッシングだった
今日はパソの前でよく笑ってしまう日だw。
セルピーは「聖鉄鎖高校の七不思議」なのかーw。
セルピコは奨学生だねー。
やっぱファルは金の力にもの言わせるお嬢ですなw。
残りの聖鉄鎖高校の不思議はなんだろー、とか関係ないこと考えてしまった。
(校舎の飼育動物の姿がある日消えたと思ったら、焼死体で発見…とか。)
続ききぼー。あと、もし挟まってたらごめんなさい。
大丈夫ですよ〜続きは後日
ぶっつけ本番で書いてるから話どう転ぶかわかりません
どーでもいいけど鷹の羽高校と聞くとスケバソ刑事を思い出す自分がいる
学園編ハゲワラw 続き楽しみです。
>578
おなじく〜w
さっぱりエロくなりません、すみません
>>575続き
私立聖鉄鎖高校の七不思議、その三は「ファルネーゼ様の成績」であった。
大財閥ヴァンディミオン家の令嬢ファルネーゼ様は
どう見てもおつむの方は「?」だった
聖鉄鎖高校は金持ち学校だけのレッテルじゃなく
偏差値も相当高いのだ
国立T大、K大はもとより海外の有名大学へ留学する生徒だっている
暴力指導で何度も問題になっているモズグス神父(聖鉄鎖はミッション系)
に心酔している、火を見ると興奮するなど危ない性癖を抱え
しかもビンボー高校鷹の羽学園のマッチョ、ガッツに惚の字など
おぼっちゃまには理解出来ない思考回路を持ちつつも
何故かファルネーゼ様は成績学年首位をキープしているのだ
その影にはセルピコ君の涙ぐましいフォローがあるのだが
他の生徒達は「仕方ねえよな、ヴァンディミオン財団だし〜」と
成績も金で買ってるんだと陰口を叩いていた
さすがに、周囲のそんな空気がわからない程ファルネーゼ様は
馬鹿(あ、言っちゃった)ではなかった
そんな訳でファルネーゼ様は男子学生紅一点というストレスも加わって
いつもキリキリし、お側付の副会長セルピコにきつくあたっているのであった
ところ変わって鷹の羽学園
「グリフィス〜っ!」
と可愛い女の子が生徒会長グリフィスに駆け寄ってきた。
名前はキャスカ、風紀委員長と鷹の羽学園生徒会副会長を兼任している
肌の色が健康的に焼けていて、はつらつとした女の子である。
「グリフィス、生徒会費の為にフェンシング全国大会出るの?」
キャスカは心配そうに聞いてくる。
グリフィスに気安く話しかけられるキャスカは学園女子の羨望の的だ
なにせグリフィスは成績優秀、スポーツ万能
おまけに私立聖鉄鎖学院の生徒より気品ある美しい男子生徒として
地域のお年頃の娘さん達にきゃーきゃー言われている存在なのだ
制服もど派手な鷹の刺繍がされた白ランを着ている
しかも裏番としてグリフィスの名前を聞くだけで
そこの地域の不良(笑)が震え上がるくらいのカリスマなのだった
ただしちょっと宝塚系ではある‥‥
そのグリフィスがキャスカの肩に手を置いて微笑む
「心配するなよ、キャスカ。俺の実力は知ってるだろう?
それにうちには百人斬りのガッツがいるんだ。
俺が優勝、奴が準優勝くらい狙えるよ」
「う〜ん、それはわかってるんだけど、グリフィスばっかりに
苦労押しつけちゃってるみたいで‥」
ぽっと頬を染めながらキャスカは答えた。
こんな間近でグリフィスを見られるなんてあたしくらいだ。
長くのばした銀髪がとっても綺麗で似合ってて
顔にもニキビなんて全然ないの、綺麗〜。
「何ぼーっとしてるんだい?キャスカらしくないだろう。
お前だって剣の腕は確かなんだ、いざとなったら出てもらうさ」
そういって爽やかにグリフィスは笑った。
そう、うち(鷹の羽学園)には聖鉄鎖に負けないくらいの
剛の者がそろっているのだ。
その筆頭が百人斬りのガッツ!
学校にドラゴン殺しと呼ばれる2mちかい大剣を背負ってくる凄い奴だ。
ふと銃刀法違反なんじゃないかとの思いが脳裏を横切るが
日本刀じゃないからいいんだろう、たぶん‥。
それに鷹の羽学園の生徒と言うと
警察もビビるくらいの不良学校だしな
日焼けなキャスカに萌エス!
584 :
572:2005/08/28(日) 23:06:58 ID:VBZseOrB
ウザくてすみません
こんなんで続けていいっすか?
続き所望
おもろいっ!!
がんがって書いておくんなせぇ。
まさかこのスレでこんなに笑わせてもらえるとは思わなんだよ。
仕事で忙しくなっちゃったから
続きちょっと待っててね
れ・・・
589 :
572:2005/09/05(月) 00:07:28 ID:C3JYn+Fl
>>582 続きっす
「鷹の団」
それは不良、ワル、ストリートファイターにとって
一番相手にしたくない奴らと囁かれている。
無論、トップはグリフィスだ。
巨漢のピピン、ナイフ投げの達人ジュドー
だまし討ちのコルカス、そして百人斬りのガッツだ!
紅一点技のキャスカも名を連ねているが
マネージャーみたいなポジションかもしれない。
「あいつら、やべーよ、チョーやべえよ
真剣って、マジに斬れる剣もってやがって
ぜってぇー相手にしたくねよ、奴らいかれてるぜ…」(ry
匿名で某ヤンキーの方が証言してくれました。
無論、声は変えて、顔出し無しです。
不良、ヤンキーらに怖れられている「鷹の団」だが
意外に女子供に無体な事はしないのが信条らしく
ひと味違った、任侠系のワルとしても畏敬の念をもたれている様だ。
590 :
572:2005/09/05(月) 00:23:30 ID:C3JYn+Fl
「俺は俺の国をつかむ」
鷹の団団長グリフィスの口癖だ。
「ねえ、グリフィス。それは鷹の団関東圏拡大って事?」
キャスカは聞いた事があった。
「俺の夢はそんな小さいものじゃない。
もっと大きい、”俺の国”だ。
この鷹の団で必ずつかみ取ってみせる」
「日本全国制覇って事?」
「もっと大きな”俺の国”だ」
「暴○団になりたいの?」
「違うよ、”俺の国”だ」
「政財界を牛耳るくらい?」
「ふふ、もっともっと大きな国だ」
「………」
爽やかに自分の夢を語るグリフィスに
キャスカはもう何も言えなかった。
グリフィスだったらT大だって夢じゃないし
政治家になってトップになればいいのにと思うのだが
グリフィスはあくまで「鷹の団」で俺の国をつかみたいらしい。
「男の人の夢って、時々わかんない…」
キャスカの正直な感想である。
しかもグリフィスは俺の国を手に入れて
何をしたいのかさっぱりわからないのだ。
北の将軍様とかにこっそり憧れているのかもしれない。
もしくは核を保有する某超軍事国家レベルになりたいのだろうか?
しかも鷹の団で?
考えているうちにヤバい方向になってきた。
とりあえず核拡散防止条約である(?)
591 :
572:2005/09/05(月) 00:43:20 ID:C3JYn+Fl
所変わって、深夜、広大なヴァンディミオン家邸宅の一室
ファルネーゼお嬢様のお部屋である。
「……ファルネーゼ様、ガッツさんの事でも考えてらしたんですか?」
「ち、違う……」
「では、どうしてここがこんなになるんです?」
セルピコの平静な問いかけに、ファルネーゼは息を乱していた。
「そ、そんなトコ触るな!」
「触らなきゃわからないでしょ?」
ファルネーゼは頬を染めてうつむいた……。
「何度説明したらわかるんです?
この数式は解法あてはめれば簡単に解けるんですよ。
いつも変なトコでつまずいて」
聖鉄鎖高校は今、期末試験前なのだ。
久々にサド目になったセルピコが、自分の勉強そっちのけで
出来のわるいファルネーゼ様にお勉強の猛特訓をしているのだ。
「最終手段でカンペでもお作りしますか?」
「そ、それだけは嫌だ!」
ファルネーゼ様、馬鹿(また言っちゃった)のくせに
フェアでないやり方は嫌うのだ。
「そうお思いになるんでしたら
いつもの通り試験だけには集中なさい。
ファルネーゼ様の成績如何では私が御館様にお叱りを受けます」
「…うむ…」
ファルネーゼ様の額には油汗が浮かんでいた。
相当苦労なさっているご様子である。
592 :
572:2005/09/05(月) 00:53:52 ID:C3JYn+Fl
「いつもの様に試験だけ乗り切ればいいんです。
後はガッツさんでも婚約者のロデリック様でもおかずにして
思う存分自慰でもなさいなさい」
「セルピコ!いくら私の出来が悪いからって
その口の聞き様はなんだっ!」
「いいんですよ、エロパロ板なんですから。
私はなにか間違った事言いましたか?」
「……言ってない……」
「ではまた試験勉強に戻りましょう」
「……うむ……」
こんな感じでセルピコ君は試験前だというのに
ファルネーゼ様のつきっきり家庭教師で
自分の勉強はほとんど出来ないのが現実だった。
しかし、試験ではすべての教科オール二位の成績はキープしている。
本当は全国模試でトップクラスの成績なので
聖鉄鎖の勉強など軽くクリア出来るのだが
いろいろ込み入った事情の為、引き分け成績(?)にとどまっているのだった。
いよっ、待ってましたっ!
おお、お帰りですね 楽しいっす
ピコにいぢめられるファルたんにもえす!
さわやかに夢を語るグリフィスにげらげら笑った。
…キャスカ、じつは苦労してるんだなー。
コルカスの好きな珍しいやつなのですが、「だまし討ちのコルカスっ」…似合ってルナーw。
そして572さんの芸風の変化にびっくりする。なにかふっきれたよーなものを見たよ…。拍手。
>エロパロ板なんですから
に笑った。言ってないよね、うんうん。
596 :
572:2005/09/06(火) 00:08:44 ID:HTLbbf/j
>>592 続き
さっぱりエロくなりません!;;
「セルピコ、お前の三者面談はいつも寂しいなあ」
期末試験も終わり聖鉄鎖高校三年生のセルピコ君は
担任のジェローム先生と二人向かい合わせで座っていた。
進路相談の為である。
「あ、わりぃ。俺はいつもずけずけ物を言っちまってな。
謝るわ」
「いいんです、本当の事ですから」
ジェローム先生、女に弱いが奥さんに頭のあがらない
話のわかるナイスガイな先生として貴族の坊ちゃん生徒にも人気がある。
関係ないがいつも美人な奥さんの愛妻弁当を持ってくる。
セルピコ君の横に当然座るべき人物はなく
かわりにヴァンディミオン財団取締役フェディリコ氏の書簡がある。
中身は「セルピコになんの問題はありません…云々」くらいの短い内容だ。
「話戻すか。セルピコ、お前エスカレーター式で聖鉄鎖大に進むつもりか?
もったいないなあ、ここの大学もわるくはねえけど
お前ならオックスブリッジも狙えるのにな」
「僕、奨学金もらう条件で大学は聖鉄鎖に決まってるんです。
そこ出たら留学も考えています。」
「あのファルネーゼ様が結婚してからか?」
「ん〜まあ、そういう事になりますかねえ」
597 :
572:2005/09/06(火) 00:26:13 ID:HTLbbf/j
「立ち入った事聞くけどよ、お前の母ちゃんどうした?」
「三年前に亡くなりました、火事で
(ファルネーゼ様の火遊びが原因ですけど…)」
「父親は?」
「僕、婚外子なんです。
(ファルネーゼ様とは異母兄妹なんデス)」
「そうかあ、すまん事聞いたな…。
その歳だって母親恋しいだろうに」
「いえ……(頭がお花畑になっちゃった母様なんて正直いらな…ry)」
「お前、苦労してるな。
アノお嬢様のお世話に、天涯孤独か…」
うっすらとジェローム先生の目頭に涙が浮かんでる。
「いえ、それなりに幸せです。」
そういうセルピコ君は糸目なのでよくわからないが
遠い目をしていた……。
「じゃあ、進学希望は聖鉄鎖大学の紋章学科でいいんだな」
「はい」
「お前、マニアな学問の道に進むんだな。
まあ、なんでも大丈夫だと思うが」
「将来は紋章学の本場、欧州に行って本格的に学位を取ろうと考えています」
「そうか、がんばれよ。
俺でよければいつでも相談にのるぜ」
「ありがとうございます」
一礼してセルピコ君は席を立った。
「他人に相談して解決する問題だったら良かったんですけどねぇ……」
セルピコ君は廊下でぽそっとため息をついた。
598 :
572:2005/09/06(火) 00:39:45 ID:HTLbbf/j
さてまた場面は鷹の羽学園、放課後の風景。
フェンシング部の部活動が終わって部員達はくつろいでいた。
「冷て!グリフィス、ふざけんのやめろよ」
フェンシング部部長グリフィスの無二の親友ガッツは
水をかけられてびしょ濡れだ。
「あはははは、お前も服なんか脱いで水でも浴びろよ。
気持ちいいぜ」
屈託なくグリフィスは笑った。
まったく、お前にはかなわないぜ。
苦笑するガッツはマッチョなナイスガイである。
ハンマー投げの室伏選手に似ている強面ながら
意外に優しい性格で小さな女子供に好かれていた。
「グリフィス、お前のそのペンダント
いつ見ても気持ちわりいな。
あれか?雑誌の裏に載ってる通販で買うと
女にもてもてとか宝くじに当たるとかそういうやつ……」
ガッツはグリフィスが裸になっても身につけている
ペンダントを見て言った。
確かベヘリットとかいって真っ赤な色に福笑いみたいな目鼻口がついている。
599 :
572:2005/09/06(火) 00:56:25 ID:HTLbbf/j
「これはそんなんじゃない。
むしろもっと安っぽいものかもな。
小さい時、縁日で占い師のおばちゃんに見てもらった時
『あんたには覇王の相がある!』って言われてもらったんだ」
子供っぽいけど、俺が自分の国をつかみ取る為のまじないみたいなもんさと
グリフィスはいたずらっぽく笑った。
「ふ〜ん、なんか時々生きてるみてえで気色わりいぜ。
で、幾らで買ったんだよ?」
ガッツはあまりべっちーが好きではないらしい。
「ん〜と、50円だったかな……」
「50円で覇王になれんのか……」
「何かを”捧げる”といいらしい」
「ふ〜ん……」
「ねーグリフィス、部室の外で水浴びするのやめようよ〜。
せめてパンツくらいはいてよっ」
マネージャーのキャスカが目のやり場に困っていた。
「ははは、キャスカも浴びないか?気持ちいいぞ」
グリフィスは身体に自信があるのか、所かまわず脱ぎ癖がある。
別名『鷹の団の裸んぼう将軍』の通り名があった。
女子生徒はきゃーきゃー言いながら写メールしたりしてるが
密かにほもの覗き穴場にもなっている。
おじ様の隠れグリフィスファンが結構いたりするのだった。
今日も書いてくれて乙!!
ジェロームは先生なんだー、ルカと結婚してるのか!
ルカ姐さんの愛妻弁当、漏れにも分けて欲っすい〜
グリフィスと言えばやっぱ裸w
ほもで有名な地元の名士ゲノンさんもこっそり覗きww
601 :
600:2005/09/06(火) 10:59:34 ID:Qm+/DBHn
600げと!!(゚∀゚)
上手い具合に原作と学園パロを混ぜあわせるもんだね。
室伏とか裸んぼう将軍にむせたよ。w
ジェローム先生も素敵だ。
ん…
すごく面白いんだけど、キャスカのセリフ回しに少し違和感を感じて淋しいキャスカ好きがここに。
他のキャラ達が上手くはまっているだけに勿体ないと思ってしまう・・・
でも楽しみにしてるんで続けて下さい(゚∀゚)
細目ゆえに遠い目をしてもよく分からないセルピコGJw
606 :
572:2005/09/07(水) 01:22:05 ID:vfMKQ9Me
>>599 続き
キャスカ、女子高生にしちまった
ごめん
607 :
572:2005/09/07(水) 01:36:34 ID:vfMKQ9Me
>>599 続き
エロパロの趣旨から離れてるが、すまん
鷹の羽学園の微笑ましい(?)部活動光景をデジカメ片手に
見守っている人物がいた。
「桜の木って嫌いなんですけどねえ。
べたべたヤニがくっつくし」
桜の木に登ってガッツやグリフィスの姿を盗撮(?)している人物
聖鉄鎖高校のセルピコ君その人であった。
「ガッツさんとグリフィスさんて人も撮っておいた方がいいんでしょうか?
ファルネーゼ様、マッチョか毛深い方がお好きみたいだし」
さあ、ギャラリーの皆さんはセルピコ君が
何故こんな真似をしているのかなんとなく想像出来ますよね。
ふとセルピコ君が下を見ると携帯でグリフィスの姿を撮る為に
押し掛けた多数の女子の中に、ちらほらと混じっているオヂ様の姿をみかけた。
「美少年趣味に兄貴系ですか……」
ちらっと小耳に挟んだ「鷹の羽学園のグリフィスとガッツは非処女だ」
という噂が脳裏をかすめる。
お尻がむずむすする様な噂で、セルピコ君はげんなりしている。
と、よそ見をしていたらデジカメの画面からガッツの姿が消えていた。
608 :
572:2005/09/07(水) 01:49:43 ID:vfMKQ9Me
「!?」
間を置かずにセルピコの登っていた桜の木がどうっと倒れた。
女の子達にケガ人はなかったが、動きが鈍くなった
熟年のオヂ様が何人か木の下敷きになっていた。
身のこなしが軽いセルピコ君は何事もなく地面に着地した。
「おい、お前聖鉄鎖の学生か?
さっきからデジカメで盗撮しやがって何の真似だ?」
セルピコ君の真ん前には鬼の様な形相をしたマッチョ、ガッツがいた。
背負った巨大な両手剣で桜の樹を一刀両断切り倒したらしい。
あちゃー、せめて私服で来るべきでした。
セルピコ君の服装は夏の聖鉄鎖高校の制服であった。
ちなみに半袖の白いシャツにネクタイ。
仕立てが良いグレーのパンツという出で立ちである。
「盗撮は確かに失礼しました。
ですが今期のフェンシング全国大会で僕らとあたるのは
鷹の羽学園さんでしょう?
僕、フェンシング部なんです。敵情視察ですよ」
「理由はどうでもよ、デジカメよこせ。
盗撮したデータ消してやる」
「嫌ですね……」
609 :
572:2005/09/07(水) 01:58:00 ID:vfMKQ9Me
ガッツ、セルピコ、にらみ合ったその一瞬
両者抜刀した。
「いい抜きっぷりじゃねえか」
頬に切り傷をおったガッツ。
「あなたこそ、やっぱりさすがです」
この靴高かったんですよ
セルピコ君の靴はぼろぼろだ。
「という事で、いずれまた。
会場でお会いいたしましょう」
「へ、ふざけた野郎だ」
セルピコの背中を見送るガッツ。
盗撮されちゃったデータの事は頭からふっとんだらしい。
610 :
572:2005/09/07(水) 02:17:04 ID:vfMKQ9Me
「強いな、途轍もなく。
あの方が片眉をそり落として三年間山に籠り
剣の修行をしたゴッドハンドのガッツさんですか」
ちょっと情報が微妙に変化して伝わっているらしい……。
「僕の細身の剣でどれだけ迫れるかな……。
おっと、あとはロデリック様の映像を撮らなきゃ」
その夜、ファルネーゼ様は激怒していた。
試験が無事終わったのはいいが、自室の机の上に
ガッツと婚約者と決まっているロデリックの
デジタルプリントが置いてあったのだ。
ご丁寧にライターも一緒である。
「セルピコーっ!」
「はいはい、なんですか?」
「こ、これはなんだ!?」
「"おかず”ですよ、お、か、ず。
ほらロデリック様なんか胸毛わさわさでいーんじゃないですか?」
「お前はー私を愚弄する気か!?」
「必要ないのでしたら処分いたします」
「………いい……」
「では、失礼いたします。おやすみなさいませ」
一人、自室に残されマッチョなガッツの裸体や
ロデリックのデジカメプリンタを呆然と見ていたファルネーゼ様。
「…………」
(*´Д`*)アアッ・・・・
(;´Д`)ハァハァ
'`ァ,、ァ(*´Д`*)'`ァ,、ァ
以下略
611 :
572:2005/09/07(水) 02:22:19 ID:vfMKQ9Me
明日は台風で仕事休みなんでがんばってみた
でも、さっぱりエロくない
ごめん
おつです。ファルたんが・・・ああっ(*´Д`*)
あとれんとんって何だっけ。誤爆?
あ、アンカーないから分かりにくいかもスマソ
下一行は
>>603のレス
>>613 晒しか?
ちなみにそれは個人サイトの管理人の名前
嫌われてるらしい
美人の奥さんのいるジェローム先生が出てきてくれて、めっちゃ嬉しい!!
パソの前で馬鹿笑いをげらげらしましたー。
セルピコ、君は本当に幸せなのかっ?と、問いたくなったよー。苦労してるなー。
ところで、…実は、ssの投下をしたいのですが(ガッツ×ファル)、長いので分割投下にしたいのです。
でも続き遮ると、読む人読みにくいかなー、と思って現在投下迷い中…。
「遮ってもいい」という意見なら投下したいけど、「ちょっと待ちな」であれば待ちますです。ハイ。
スルーなら…、待ちます。
>>615 個人サイトじゃないのだ遠慮はいらん。
待ってるよん。
615の人よ、やさしい言葉、ありがとう。
んでは、投下させてもらいますー。学園物書かれてる方、気悪くしたらごめんなさい。
「ガッツ×ファル」投下です。嫌カップリングだった人はごめんなさい。
えっと…、言い辛いけど私の方は毎日は、無理です…。続きがいつになるかわかんないので、投下を目論む他の方がおられましたら、遠慮して待ったりせずに、ぜひ投下してほしい…。
それから非エロが長いです。エロがあるのは一番下ぐらい…。適度にスルーして下さい。
ガッツのファル呼び方変遷。
「てめェ(断罪編)→あんた(旅同行中)→お前(現・ヤングアニマル連載中)」。
親密度あーっぷ!!…とか言って喜んでいる今日この頃。
手の平から垂れる血のこびりついた包帯を、暗鬱な気持ちで眺めた。
半日前に替えた包帯は、半乾きの血糊が粘り付き、赤黒く変色している。
「…うへ−、血みどろ…。コイツとつきあってると馴れっこになって来るけど、…馴れたくないなぁ…」
私の肩の上に止まったパックさんが、顔をしかめて呟いた。
溜め息がこぼれ、寝台に横たわる満身創痍のガッツさんに視線が泳ぐ。
「それじゃ、パックさん…」
私が声をかけるとパックさんが肩から飛び、眠るガッツさんの身体の上空を喋りながら飛び回った。
「…しっかし、こうも連日だと、いい加減こっちもくたびれてくるよ−。このバカが目ェ覚ましたら土下座させて礼を言わせちゃる!」
さかんに羽ばたくガッツさんの羽根から、きらきらした綺麗な光が零れて、ガッツさんの全身に降り注いでいく。
魔女の館が燃えてから三週間。
イ−ノック村まで倒れたガッツさんをなんとか運び込み、逗留している宿の一室がガッツさんの病室になってから、それだけの時間が流れた。
瀕死の重傷のガッツさんから、呪いの怖い鎧がようやく外せて今日で十七日目。
鎧を外した当初よりはましだけれど、目覚ましい回復ぶり、とはあまり言えない。
体の傷も気になるけれど、もう一つ、気がかりなことがある。
ガッツさんは、目を覚まさない。
正確に言えば、正気が戻らない、と言った方が正しいかもしれない。
二、三日置きに、時々なら、ガッツさんの眠りが跡切れ、片方しかない目を開く時間がある。
…でも、目を開いてはいても、ガッツさんは夢の世界の中にいる。
話しかけても、こちらの声は届かない。瞳の焦点が違うものを見ている、と感じる。視線が…私を通り過ぎる。
まるで、魂だけがどこか別の場所にいる人のよう。
シ−ルケさんによれば、ガッツさんの受けた幽体の傷が、精神を蝕んでいる状態、なのだそうだ。…それと、例の、呪いの怖い鎧の影響もあるらしい。
自我が、現実の世界に戻る出口を見失い、自分の精神世界の中でさ迷っているのだ、と教えてもらった。五感の機能が正常に働いてはいても、外からの呼び掛けが、心に届かないのだと。
時折、ガッツさんはいろんな人の名前を口走る。昔のお友達だろうか。…私の、知らない人逹の名前。
恐ろしく悲痛な声で「そっちに行くな!」と呼び掛け、引き止めようとするかのように宙に手を延ばす。私がその手を握って安心させようとしても、この人には届かない。…私は、無力だな、と思う。
それから、グリフィスという人の名前。その人の名を、ガッツさんは猛り狂う野獣が咆哮するように叫ぶ。
無理に起き上がろうとして、傷口がまた開く。…その、グリフィスという人に、八つ当たりだけどちょっと文句が言いたくなる。ガッツさんの怪我が治るまでは、夢の中から出て行ってほしい…。治らないのよ、怪我が。
ガッツさんの口から漏れる名前で、私が知っているのは一人だけ。…キャスカさん。
ガッツさんはキャスカさんの名前を呼ぶ。
何度も、繰り返し、いろんな声音で。
…キャスカ、と囁く。
ガッツさんにとって、今「現実」であるのは、内部にある記憶の中の世界で、…こちら側は、深い澱んだ沼の底から見上げた、水面で揺らめく影法師のように、不確かで、あやふやなものでしかないらしい。…ガッツさんから見た私は、幽霊なのか…。
シ−ルケさんの霊薬には幽体への傷の治療効果が含まれているから、肉体の健康の回復と共に、幽体の受けた傷も必ず回復する、と説明してもらったのだけれど…。
時々、もしもこのままガッツさんが目を覚まさなかったらどうしよう、と不安になる。
背後から、勢いよく開いた扉が壁にぶつかる、けたたましい音が聞こえた。
はっ、として物思いから覚める。
振り返ると、外の陽光と一緒に、大小二つの影法師が戸口から床の木目に伸びていた。
「…ファル、ねえ、ちゃん…。…まだ、終わんねえの?」
疲れきった顔をしたイシドロさんが、戸口に佇んでいた。その背後にいるキャスカさんが、興味深そうな顔つきでイシドロさんの髪の毛をぶちっ、と毟る。
「イテッ!…あのなっ、オレはまだこの年で若ハゲになりたくないっつ−の!」
「あう?」
キャスカさんがきょとんとした顔で、涙目のイシドロさんを不思議そうに見やった。
キャスカさんはいつも無邪気だ。毟ったイシドロさんの髪の毛を息で吹いて、陽光の中、空に浮かんで舞う様子を熱心に目で追っている。…楽しそうなキャスカさんを見ていると、心が和むなあー、と思う。
「オレの髪は、おもちゃかよ…」
と小さくイシドロさんが呟いたけど、目を逸らして聞こえないふりをした。
「ごめんなさい、まだもう少しかかるので…、それまでキャスカさんをお願いできますか?」
返事をすると、イシドロさんの目が半眼になって口の端がひくひくと痙攣した。…ヘンな顔…。…笑ったら、失礼よね。「人間関係を円滑にするコツは、本音を顔に出さない事です」ってセルピコに教えてもらったし。
「しょ−がない!今日のお勤めも終わったことだし、ここはこの怪傑パックさまが解決してしんぜようっ!」
ガッツさんの頭上に止まっていたパックさんが飛び立った。キャスカさんの頭上をぐるぐると旋回する。キャスカさんの視線も一緒に回る。…目を回さないかしら。
「ほーらー、キャスカ、こっちだよー。…じゃーねー、ファルネーちゃーんっ」
手を振ったパックさんが戸口から外へ向かい、気を取られたキャスカさんがふらふらとその後を追いかけた。
「…とにかくっ、なるべく早めに交代頼むぜっ」
イシドロさんが言い捨て、二人の後を追って慌ただしく走り去る。
…いつも、元気な人達だなあー、としみじみ思う。
キャスカさんの世話は、いつもはガッツさんの看護兼任で私がしているのだけれど、包帯の交換の時間はイシドロさんとセルピコに交代でお願いしている。
ガッツさんとずっと同じ部屋にいると、キャスカさんはものすごく機嫌が悪くなる。…長時間閉鎖空間で一緒にいると、イライラが、どんどん募っていくみたい…。
唸りながら、しきりに私にしがみついて肘を引っ張ったりするので…かなり、包帯の交換や薬の塗布が、やりにくい。キャスカさんには、悪いのだけど。
…そして、なんでも口に入れたがる癖があるので、目を離していてふと見ると、霊薬の瓶を逆さにしてごくごくと一気飲みしていたりする…。…あの時は、大変だった…。
なので、キャスカさんの気分転換も兼ねて、時々部屋の外に連れ出してもらっている。
開けっ放しの扉を閉めようと戸口に立ち、ふと村の景色を眺めた。
宿の外では、本格的な冬が訪れる前に、洪水で流れた家屋を建て直そうと、村人全員が協力して建築作業に従事している真っ最中だ。
伐採した木材や石灰の袋の束を手押し車に乗せて運ぶ人々が行き交い、家屋の土台の木材を組み上げる人達の、互いへの合図の呼び声や、槌と鑿を振るう音が、あちこちから聞こえてきて賑やかだ。
大変な作業だけれど、村を行き歩く人々の表情は一様に明るい。
セルピコとイシドロさんは、日中は村人の家屋の建設に協力している。
イ−ノック村は、シ−ルケさんの魔術の洪水で村人の半数近くが住む家を失った。家をなくした人々は、寺院の底冷えのする床の上で毛布にくるまり寝泊まりしている。
元々が貧しい上、洪水で田畑と備蓄が流れた村だ。
…そこに無為徒食の輩、八人所帯の長期滞在。
「村を救った英雄逹御一行」という事で、「いつまででもいてくれ」と歓待されているけれど、…かなり心苦しいので、滞在中は村の人達の復興作業にできる限りの協力をしよう、とリ−ダ−不在中の臨時合議制会議(キャスカさん除く)で全員の意見が一致した。
ガッツさんの健康が、旅ができる程度に回復するのにあとどれだけかかるか、今の所まるで目途が立たないわけでもあるし…。
この旅は、ガッツさんの旅なのだな、とこんな時しみじみと実感する。キャスカさんは除外して、それ以外の誰かが旅から抜ける可能性は考えられても、ガッツさん抜きの旅は…想像できない。…彼が倒れれば、私達には旅をする目的がなくなるのだ。
シールケさんは、ガッツさんの容体がひとまず落ち着いてからは、村の人からの依頼で忙しい。トロール襲撃の際に襲われた村人や、拉われた女性の治療を請われて、引っ張り凧だ。イバレラさんとパックさんは主にシールケさんの補助作業に従事。
洪水で村が半壊したことに、シールケさんは自責の念を感じてるみたい。村の人から「村を救った小さな魔女」と大人気なのだけれど、シールケさんは、どことなく浮かない顔をしている。
…私は、シールケさんの魔術に感動したんだけれどな…。
宿の近くの、建築途中の木材だけの家屋の骨組みの向こう側にのぞく、小さな祠に目をやった。
洪水で家を流された村人逹が、感謝の思いを込めて最初に造ったのが、水の貴婦人を奉る祠なのだそうだ。
…その水の精霊は、経典の中の天使の一人と同じものだと、シ−ルケさんは言った。
…神の御名は神のもの。人が統べるものではない、とも。
魔術とは、祈りの奥義なのだと。
小さな祠の背後に聳える切り立った谷の稜線と、その上に広がる晴れ渡った青空を見上げながら、祈り方を、もう一度学べないだろうか、と思う。
人が、人の秩序のために統べた正義の神に縋る祈りではなく、秩序の理の外の、暗闇の混沌のただ中に在る、理不尽で横暴極まりない神に、…私は、今までとは違うやり方で、祈りたい。
修道院で私は祈り方を学んだ。経典に記された、正しい綴りと正しい発音。
それさえ唱えていれば、心の平安が約束される、救われる、と。
…でも、慈愛の神が見守ってくださっていると、私は信じていたかしら?
私に、救いを与えてくれる神は、本当に実在する、と確信できていたかしら?
信じたかった。心の底から信じたい、信じれるようになりたい、と願っていた。
神に、私に奇跡をお示しください、と何度も祈った。不信心ものの私に、啓示を与えて下さい。あなたを信仰する寄す処となるべきものを、お与え下さい、と。
…神からの返答は、なかった。
神に、奇跡を請い願うのは僣越なのだ、と言い聞かせた。揺らぐのは、私の信仰心が足りないのだと。ただ神の御為に尽くす事だけが、信徒の勤めなのだ、と。
…それでも、疼くような渇きは止まなかった。
奇跡。この世ならざる超越者の意志の顕現。人知を越えた神秘への憧憬。
私の記憶の中に刻み込まれた、暗闇の恐怖をなぎ払い、吹き飛ばしてくれる、圧倒的な強い力への、飢えにも似た渇望。
この身に奇跡が示されることを、私はいつもどこかで神に祈っていた。
…それは、全く想像もしない形で、私に訪れた。
怒濤のように押し寄せる、闇で形造られた怨念達の津波と、その前に立ちはだかって一歩も退かなかった黒い剣士の背中。…それが、私に教えた。
…奇跡は、与えられるものではなく、起こすものなのだと。
願い縋るだけの者に、奇跡は起こらない。「祈るな!」と言った不信心ものの言葉が、炬火を握る私の手の中に、小さな奇跡を宿した。
…暗闇に、立ち向かい、戦う勇気を。
「神に会ったことがあるのか?」と彼から問われたことを思い出す。
−代わりにあなたに出会いました。
だから、神はちゃんといらっしゃる。疑う余地なく、本当に。
扉を閉じて、外の景色と喧騒を締め出した。
ふっと、ガッツさんと二人きりになれた、と思う。…少しだけ胸がときめく。
慌てて打ち消した。…いいえ、よくないわ、やっぱり不謹慎よね。ガッツさんが大怪我してるのに、こっそり喜ぶなんて…。反省。
弾む足取りで寝台のガッツさんの枕元に戻った。ぐっすり眠っているガッツさんの寝顔を見下ろしながら口の中で「二人きり」と呟く。口許が綻びそうになって、慌てて引き締める。…いけない、いけない、不謹慎。真面目に看病しましょう。
卓の上の霊薬の瓶を手に取り、椅子に腰掛けてガッツさんの肘から先のない左腕に触れた。
左肩から腕に薬を塗りながら、肘の位置の切断面に、ついつい目が向く。なんとなく落ち着かない違和感を感じる。義手をつけた姿のガッツさんの方が、見慣れているせいかもしれない。
本来あるべき筈のものがない、…という感じ。
滑らかに肩から続いて、腕が伸び、普通に手が先端にある重たそうな右腕と、ぷっつりと肘の位置で跡切れて終わる左腕。
まるで左右非対称なその眺めが、見る者に「在るべき」はずの左側の見えない上椀と掌を探し求めさせ、なにもない空間に続く左肘の切断面を凝視させてしまう。
重量感がアンバランスで、調和がかき乱される感じ。
この人は、左右非対称で出来てる人だなあ、と思う。隻眼と、隻腕。
不具者、という言葉がこれほど似合わない人も珍しいけれど、厳密に辞書の定義を当て嵌めるのなら、この人は不具だ。腕と目の数が、それぞれ人より一つ足りない。
…ただし、普通に両腕両目のある人間が十人がかりで襲いかかっても、ガッツさんはあっという間になぎ倒すだろうけど。
…本当言うと、義手がついていない姿を見る時の、落ち着かないざわざわするこの感じが少しだけ気にいってる。…片腕だけのこの人は、なんだか倒錯した気持ちをこちらに与える。
見るからに生命力の強そうな頑強で逞しい体格と、一目瞭然の肉体の欠損の組み合わせが及ぼす、ちぐはくで不調和な印象。
左肘の切断面はとうの昔に治癒していて、古い切り株の年輪を思わせる。薄い皮膚が覆う下で、ぶつ切りにされた骨と腱の筋の束がごつごつと隆起している。
今のガッツさんには治癒している古い傷跡なので、痛みはないのだろうけれど、…見る側は、無意識のうちについつい考えてしまうのだ。…腕をまるごと切断する時には、いったいどれほどの激痛が走るのだろうか、と。
長身で筋骨逞しい全体が与える印象は、勇猛な戦士、古兵の猛者、という言葉だけれど、欠損した左腕を見ると…痛ましい、と微かに感じる。片腕がなかったら、いろいろ不便じゃないかな、とも思うし。無防備な弱点が、さらけ出されている感じ。
義手を装着している時はまるで思わない気持ちなので、見る側の勝手な印象だけど。
部屋の隅の棚にきちんと並べられている、この人の武具一式に目がいった。
…あの義手は、ガッツさんの体の一部なんだろうなあ、と思う。安全に眠れる場所の時でも、ガッツさんは義手をつけたまま眠る。
義手をつけた姿が本来のガッツさん、で外した姿はむしろ不自然、そんな感じがする。
「ガッツさんらしい姿」と考えて真っ先に思い浮かぶのは、戦っているこの人の姿だから。鋼鉄の左腕の義手はこの人の武器だ。体の一部が武器と化している姿が、ガッツさんの場合は自然なもののように思える。
…それとも、この人が誰にも弱みを見せない人だから、よけいに肉体の弱点が目立って違和感を覚えるのかもしれない。…見た事のない素顔の一面を見れたような気になるから、義手のついていない、そのままの欠けた左腕の姿が好きなのかも。
薬を塗りながら、ガッツさんの開いた事のない右目に視線を送る。
左目だけの顔は…慣れてしまった。ガッツさんは元からそういう顔の人、と思うので、もしも両眼を開いた顔を見る事があったら「違う」ように思えるかもしれない。
暗闇の中で戦うこの人の姿は、片方しかない眼が獣のように爛々と光って見える。まるで一つ目の悪霊か怪物のように見えて、とても怖い。
怖くて…心臓が早鐘のように高鳴って、頭が痺れて思考が麻痺したような気分になって…魅入られたように見つめてしまう。
欠けた左腕と右目。
戦いの過程で失ったのだろうか。
考えてみれば、この人の事は知らない事ばかりだと思う。
どこで生まれ育ち、どんな風に生きてきたのか。
ガッツさんは、黙して語らない。
確かなのは、それが絶え間ない戦いの続く日々だったろう、という事だけ。
「黒い剣士」、と口の中で呟く。
長い間この人は私にとって「黒い剣士」だった。
出会うずっと前から、私はこの人を追っていた。
黒い剣士捕縛の任務の二年の間、僅かな噂を頼りに、各地を巡り、一足違いで逃してはまた追いかけ、跡を辿り…、やっと巡り会い、捕縛したかと思えば逃げられて。
…それから、またまるで違う理由でこの人を追って。
…旅をして、さすらって。
…ずっと、私はこの人を追いかけていた。
「黒い剣士」を追い続けた私が、ようやくたどりついた人は「ガッツさん」。
「『黒い剣士殿』は勘弁してくれ、ガッツでいい」と、この人から言われた時、最初はとてもとまどった。
…なんだか、ひどく違和感があって、呼びにくかった。だって、あなたは「黒い剣士」じゃないの、という気持ちになった。
考えてみれば、最初の邂逅の時にこの人の名前は「ガッツ」と知ってはいたのだが。
違和感の元は…私にとって、この人は、父母から生まれて呼び名を与えられ、誰かと親しく名を呼び交わすような、そんな普通の人間のようにはまるで思えなかったのだ。
異形の世界から突然この世に降り立った、人の形をした暗闇の象徴。出現すると、私の見知った常識的な世界をことごとく破壊し尽くしてゆく存在。人間以外のなにか。
…ずっとそんな風に感じていた。
でも、今この寝台で眠っていて、私が薬を塗っている人は、「ガッツさん」。
一緒に旅をしていて、この人が食べたり喋ったり、イシドロさんに剣の稽古をつけている姿を見ていて、やっとわかった。
ガッツさんは、人なのだ、と。…すごく、当たり前の事なんだけど。
<烙印>と呼ばれる呪いを受けた数奇な運命、鬼神のような戦いぶり、…色々と凄まじく人間離れしてはいても、それでも根っこの部分は、私と同じ人間なのだ。
一番そう実感するのは、キャスカさんをみつめているガッツさんを目にする時だ。
…そんな時、ガッツさんは、まるでこの人に似つかわしくない表情をする。(似つかわしい表情を強いて形容すると…禍々しい、とか凶暴凶悪とか、指名手配犯罪者顔、とか人間やめてる、とか…悪意はなくても誹謗中傷にしか聞こえないよね…)
どんな怪物にも怯んだことのないこの人が、キャスカさんを見る時だけは、なにかを恐れているように見える。
それから…、寂しそうで、悲しそう。
こちらがドキッとするような、繊細な表情をするなあ…と思う。
ガッツさんと繊細。…イシドロさんが聞いたら転げ回って笑うだろな。
そんな時、私も微かな痛みを胸に覚える。
キャスカさんを見るガッツさんの視線は、私を通り過ぎてゆく。
私を見ない。
この人の目には、私は、キャスカさんの姿を遮る遮蔽物としてしか映っていないのだな、と思い知らされるから。
それが、淋しい。
一度だけ、キャスカさんより先に私を見てくれた。
トロールの巣からこの人が助けに来てくれた時。…初めて、「ファルネ−ゼ」と名前で読んでくれた。
それから…、「感謝してる」って。
…嬉しかった。
胸の中で、ガッツさんの言葉が鐘の音のように鳴り響いて谺するような気がした。
シ−ルケさんからは「おおげさな」と呆れられたけど、涙が零れた。
…ずっと、嫌われてると思ってた。…ううん、嫌うような価値もない、足手まといなお荷物だとガッツさんから思われてるだろうな、って。
そう思われてもしょうがない、とも。
…だから、嬉しかった。
私は、この人の役に立ってるんだ。この人に何かを与える事が、私にもできるのだと思うと、…胸が、震えた。
少しは変われたのかな、と思う。
わがままで、高慢ちきで高飛車な、権威を振りかざして威張り散らす事しかできない、中身すっからかんの女から。
『我が信仰にかけて』。
…あの頃の私が、口癖だった言葉。
ガッツさんの顔を覗き込む。とくん、と心臓の鼓動が高鳴る。
…この人は、初めて会った時から、私を正確に見抜いた。
中身は空っぽ。すっからかん。空疎で薄っぺらい、上っ面だけの、つまらない女。
…図星だった。信仰という鎧で仰々しく飾り立てた私の中身を、この人は容赦なく言い当てた。
…あの時、余裕ぶった薄笑いで見返されて、強い視線が真っ直ぐ私の中身を見透かすように貫いた時、口の中で火薬が炸裂したような怒りが込み上げた。
それが、真実であることを私は知っていたから。内臓が焼け爛れて頭に血液が逆流し、視界が血の幕で赤く染まって見えた。
気が付くと、手にしていた鞭を振り上げて−−。
……………………。
ガッツさんに薬を塗っていた手を止め、両手で顔を覆った。頬が、熱い。
……恥ずかしい記憶を、思い出してしまった…。
「ああ、そういえば、昔はそんな事もあったわねえ。ふふっ」で済ませるにはまだ遠い、あの時の生々しい生理的な感情の疼きが想起させられる、…情欲の記憶。
両手の指の間から、眠っているガッツさんの顔をこっそり覗く。…ええっと、ガッツさん、…あの時は、ごめんなさいね…。
…悪気はなかっ…、…いえ、あったわね…、…けど、わざとじゃなくって、…その、ついつい、カッとなって…。
…眠っている人に言い訳している不毛さに気付いて、手を下ろした。
ちゃんとお薬塗ろう、と思うのだけれど…、ガッツさんの半裸の体に触れるのが、…なんだかとても、きまりが悪い…。…ものすごく、……恥ず、…か、し、い…。
何か別の事を考えよう、もっと真面目な事っ、と思いつつ、赤面しながら霊薬を零した手の平を、むごい裂傷が走るガッツさんの胸板に這わせた。
…手の平の下に、ガッツさんの心臓の鼓動が力強く脈打っているのを感じて、ぼうっとなる。
…薬を塗りながら、ついつい、あの時に私がつけた鞭の跡が残っていないかと、指で探っていた。大小無数の傷跡で埋め尽くされた、鍛え上げられた肉体。
琥珀色の皮膚に、白いひきつれになった古い傷跡が走り、その上を新鮮な傷口が交叉して、縫合した縫い目で閉じられて赤く血を滲ませている。
傷だらけの皮膚の下で、鋼のような筋肉のうねりを感じた。…硬い。…あの時、手を伸ばして触れていたらこんな感触だったんだな、と思う。
…ひどく、喉が乾いて息苦しかった。唾を飲み込む。体が汗ばんで動悸が激しくなるのを感じながら腹部に手を滑らせてゆく。
筋肉のごつごつした手触りに吐息を漏らしながら、脇腹に走る傷口の縫い目を指の腹で撫ぜた。
滲んだ血が、指に粘りつき、糸をひく。口に含みたいと思う。こめかみの横で血管がどくどくと脈打ち、視界にすうっと血の色の紗の幕が降りてゆくのを感じた。
……あの時、血の滴るこの男の肉体に、…直に、触れて、みたかった。
……………あの時、逆上して鞭を振り上げ、力任せに叩きつけながら、血の匂いに興奮していた。
赤く染まった視界の中で、鞭の先端に埋め込まれた楔が、鋭い音を立ててこの男の肉に喰い込み、血の飛沫が飛び散って生温かい滴が顔にふりかかるのを感じながら、
体が熱く重く煮えてゆくのを感じていた。心臓の拍動が轟音のように体全体で響き渡り、こみあげる欲望が下腹部から迫り上がり、汗が服の下で胸の谷間の中央を流れて腹へと伝い落ちてゆくのを覚え、
降り下ろした鞭の先端が肉を抉り取る感触に我を忘れて恍惚となり、血の糸がこの男の胸筋の上で細い川を作って流れ落ちてゆく様に魅入られ、手の平に、爪の先が喰い込む痛みを感じながら強く鞭の柄を握り締め、
息を喘がせて、もっと強く、もっと深くと念じながら、重い腕を降り上げては全身の力を込めて叩きつけ、肉を激しく打ち据える、快い打撃音が鼓膜を震わせる度に官能の波が体の中枢を走り抜け、喉から迸りそうになった叫びを押し殺し、
飛び散った血の飛沫を開いた口で受け止め、舌の上に広がる血の味をうっとりと愉悦しながら味わい、沸騰した血液が全身を駆け巡り、ひたすら昇りつめてゆくのを感じ、
血の滴るこの男の逞しい肉体に手を延ばして肌に触れ、舌でその血を舐め取りたいと、頭の芯が灼けつくような欲望で痺れ………………
……………我に返った。
寝台に身を乗り出し、ガッツさんの堅い瘤のような腹筋の並ぶ腹部に顔を埋めて、肉を縫い綴った糸目の舌触りを感じながら、夢中になって傷口に舌を這わせていた。
…どうりで血の味。
寝台から離れ、ガッツさんに背を向けて、壁際まで小走りで走った。壁に両手を当て、そのままずるずると蹲ると、頭を抱えて、呻いた。
…なにを、やっているのよ、わたしは……………。
心臓が全力疾走した時のように激しく高鳴り、体が吹き出した汗で気持ちが悪かった。
…それから…、ちょっと、………濡れてる。…………ちょっとだけだけど。
…猛烈な自己嫌悪に襲われる。
「はしたない」という以前に、意識不明の身動きできない重傷者に、劣情を催して悪戯をするのは…、人としてちょっとあんまりだと思うわ…。
…とゆうか…、ズバリ言って変質者だ…。…いえ、多少性的嗜好が偏っているのは自認してるけど…、でも、私は変態じゃないもの…。
ハンカチを取り出して血と涎でべとべとの口許を拭った。ハンカチで口を押え、ふと思いふける。…ガッツさんの味は、昔舐めたセルピコのよりも濃いような。…人によって味って違うのかしら。ちゃんと味比べしたいな…。
舌の上に残る血を名残惜しく味わいながら、離れた場所からガッツさんの横顔を眺める。荒削りな、男らしい顔。
…胸が、ときめく。顔が火照る。
ガッツさんに今やってた事を知られたら死ぬしかない、と思ったけれどよく考えればこの人にはもっと恥ずかしい事をしでかしていた事を思い出した。
…悪霊にとり憑かれて全裸馬乗り…。…全部見られた。
再び両手で頭を抱えた。
フフ…。私って恥の多い人生よね…、と自嘲気味に呟いた。
でも、この人はその時、露骨に迷惑そうな顔をしていたったけ…。「とっととどきやがれ」だものね…。…なんにも…、感じなかったのかなあ…。
すっと日照る体の熱が冷めた。
…この人は、私に女性としての興味はまるでないのだと思う。よく言う男性特有のいやらしい目付き、というもので私は一回も見られた事はない。
そーゆー意味ではガッツさんはとっても紳士的。…私が裸の時でも。…それって、…なんだか、…とてつもなく複雑な気分だわ…。胸の大きさかしら、やっぱり。
魔女の館でお風呂上がりにうっかり出くわした時も、キャスカさんの方に視線が釘付けだったっけ…。…そりゃあ、露出度はキャスカさんの方が勝ってたけど。
…あんな眼で、私も見られたい、と思う。片方しかない眼が怖かった。…ギラギラした、男の人の灼けつくような欲望の眼…。目で犯す、ってゆうのはあんな感じの目付きの事なのかな…。ガッツさん、頭の中でどんなこと考えてたのかなあ…。
またじわっと体が熱くなる。…よくない、止めよう。危険だわ。…主に、ガッツさんが。
<to be continue>
間違えたよ!!615じゃなくって、616の心優しい人、ありがとう。
エラー地獄に陥って、改行がヘンになってくやしい…。
一行の文字数制限あるなんてしらなんだ…。
628 :
572:2005/09/08(木) 23:41:57 ID:Twy7dvp5
薔薇の姫と騎士さんが終わるまでまってる
急がないでじっくり書いてね
いろんなカプがあるとスレが充実していい雰囲気に
ちなみに今の自分のは全然エロくないから
気にしないでください……
>>617 いい! すごくいい!
緊迫感のある綺麗な文章だ、続きが楽しみ!
追記・変態的なのにファルが可愛いw
>>628 そういうこというと他の人が投下しにくくなるし
>>617も横入りしたみたいに見えるからやめない?
書き手同士で連絡とれるわけじゃないんだから、
平行進行でも「忙しいからしばらく放置」でも良いじゃん。
複数のはなしが同時進行してても、
たいていの人の感覚は「スレが賑わっててうれしい」だと思うよ。
終わるまで書かないなんて言われたら、筆が止まったらどうするんだってはなしだし
お互いもっと無責任で良いじゃん。匿名掲示板だし。
631 :
572:2005/09/09(金) 22:59:35 ID:vRN7w0VD
>>630 ご意見ありがとう
いらぬ一言書いてしまったよ
>>薔薇の姫と騎士さん
嫌な思いしてたらごめんね
自分も書きたい時に書きます
流れ無視して。
誰ですか?キャラ×オリキャラスレに神作品落としたのは?
>>572 嫌な思いなんてしてないです。こちらこそさせてたらごめんなさい、と思う。
…なにより、カップリングが…。ごめん、許して、とひたすら謝意。
>>629 ファルが可愛いと言ってもらえて嬉しいっ。
>>630 優しい方が多くてありがたいと思った。
前の「ファル×ガッツ」の続きです。
再び、嫌カップリングの人には、ごめんなさい、とお詫びを。
「薔薇の姫と騎士」は…タイトルなのです。そんな恥ずかしいコテハンを名乗る勇気は…w。
姫がファルで、騎士が…ガッツ。の、つもりです…。いろいろこそばゆいけど。
エロは…12禁ぐらい。
あと、まとまった分量が溜まったら次投下、の予定なので…次いつ投稿するやらわからないのです…。
…それまでスレが止まるとゆうのは、とても困るので、ss投下を目論む方は…是非して下さい…。その方がこっちは後ろめたくないので…。
ぶんぶんと頭を振って、やくたいもない考えを頭から追い出した。
妙な事を考えないように注意しながら、ガッツさんの枕元に戻る。
今の私はちょっとマヌケなところが可愛い純情清純派キャラっ。
焼死体欲情自慰放火魔プリンセス路線からは、もう卒業したんだもの。可憐に頬染める愛らしさが売りなんだから、いやらしいことなんて考えたらイメージが壊れるわ、気をつけなきゃ。
(…でも、路線変更で私のファンは激減したみたいね……。フフ…、シールケさん、いいわね、専用ファンの板があって…。
そしてセルピコ…、お前も主人をさしおいてファンの板があるのよね…。フフッ、…まったくいい度胸してるわよね…、私にはないのに…。フフフフフフフ…。)
…何か意味不明の言葉が頭をよぎった気がしたが、気にしないことにした。
ちゃんと看病して、一日も早くガッツさんが元気になるように、今の私にできる事をしようっ。
…ふと、何かほかにできることはないかしら、と思う。気休めでもいいから。
ガッツさんを見ていると、…もしも、このままずっと同じ状態が続いたら、どうしよう、と思って怖くなる。
ほとんどの時間を眠り続けて、たまに眼を開いても、ガッツさんだけの夢の世界にいる。意思の疎通が、できない。眠っているのと同じ。
もう三週間も、そんな状態が続いている。…慣れたく、ない。
…ちゃんと目を覚まして安心させて欲しい。夢の中の世界から、こっちに戻って来てほしいな。…私を幽霊扱いせずに、きちんと見てほしい。
…ガッツさんの、元気な姿が見たいな、と思う。
この人は、眠っているのより、減らず口叩きながら剣を振っている姿の方が、似合う人だもの。
時間が、傷を回復するのを待つよりしょうがないとは分かるんだけど…。
ふいに、子供の頃にセルピコが読み聞かせてくれたおとぎ話を思い出した。
呪いの眠りに陥った騎士が、目を覚ますお話だ。勇敢な騎士と、健気な姫様の物語。
『昔々、あるところに、悪い魔物に拉われて、囚われの身になったかわいそうなお姫様がいました…』
高い塔に閉じ込められた囚われの姫は、塔のてっぺんから、美しい水晶のような歌声で嘆きの歌を空に向けて歌っては日々を暮らす。
歌声は風に乗って空を飛び雲を越えて、放浪の騎士の耳に届く。
…騎士は、その美しい歌声の主に一目会いたさに、遠くから微かに響く水晶の声のきらめきを追い求め、平原と砂漠と密林を乗り越えて、一路、塔を目指して旅をする。
まだ見ぬ歌姫の面影を心に宿し、長い困難な冒険の旅をくぐり抜け、遂に騎士は、囚われの姫と悪い魔物の住まう高い塔まで辿り着く。
艱難辛苦の戦いの末、勇敢な騎士は見事魔物を討ち果たし、囚われの姫は救い出される。
…姫は、自分のために命懸けで戦う騎士の勇姿に胸打たれ、たちまち恋に落ちる。
でも、騎士は魔物の末期の呪いを受けて、呪いの眠りに就いてしまう。
百年の歳月が流れるまでは、どんな方法を使っても、決して解けることはない呪い。
…百年後に騎士を心から愛する女性の口づけだけが、騎士を呪われた眠りから解放できるのだ。
嘆き悲しむ姫は、引き止める父王と母妃と家臣を振り捨てて、森の魔女の棲家を訪ねる。
姫は魔女に頼んで、百年の歳月が過ぎ去るまでは、自分の時の流れを止めてもらう魔法をかけてもらう。
そうして、姫は、森の中の小屋で眠り続ける騎士と共に、百年の歳月を過ごす。
お城も両親も姫の位も召使達も、きれいな服も豪華なベッドも、なにもかも捨てて、…ただ、恋する騎士の傍にいたい、焦がれる想いを伝えたい一心で、姫は百年の歳月を待ち続ける。
そして百年の歳月が流れたその日の朝、姫は、騎士に口づけする。
最初で最後の、ただ一度だけの口づけ。騎士が目を開き、姫とまなざしを交わしあい、互いの瞳に百年の愛をみつけあったその瞬間、魔女の術の期限が終わる。
姫の身の上には、塞き止められた百年の、その十倍の歳月が一挙に流れ込み、たちまち姫の体は砂と化して崩れ落ちる。
…騎士は、姫の亡骸の砂を集めて森に撒き、その上に一粒の涙をこぼして再び放浪の旅に出る。
騎士が去った後、森の中では美しい薔薇の花が誰知ることもなく咲き誇り、まるで騎士の訪れを再び待つかのように、風に揺れて歌声のようにさざめいたという。
…おしまい。
『めでたし、めでたし』ではないのだけれど、子供心にそのお姫様はとても幸せだったんじゃないかな、と思った。
ガッツさんの顔にちらっと視線を送る。…無意味に顔が赤くなって、目を逸らす。
…トロールやエルフや魔女が平気で存在するのだったら、おとぎ話の中の出来事が本当に起こったりしても、いいんじゃないかしら?
キスで呪いが解けて、姿が元に戻ったり、眠りから目覚めるというのは、おとぎ話の定番なんだし。
私は、貴族だから一応『姫』の資格はあるし、…ガッツさんは、私にとっては間違いなく絶対に、私を助けに来てくれた勇敢な騎士だ。
なんだか顔が綻んでしまった。「私の騎士さま」と小さく呟く。
胸の中で、蜂蜜の瓶を倒して転がしたように、甘いものが広がり、溢れる。
…私の、私だけの、騎士さま。
…おまじないぐらいには、なるかも。
もしかしたら、ガッツさんがちゃんと目を覚ますのかもしれないんだし。
「虎穴に入らずんば、虎子を得ず」とも言うんだし。…それはちょっと違うか。
『騎士を、心から愛する女性』。
…耳のつけねまで顔が真っ赤になった。…顔が、熱い。…今私の頭の上に薬罐を乗せたら、お湯が沸騰してたちまち蒸発するんじゃないかしら。
…あはは、別にそーゆーんじゃないのよ、私は。
ガッツさんのことは、もっと真面目な気持ちで、敬意とか、尊敬とか、そういう種類の……、………………………………………………好き…、大好き……。
………………………………。
………そんなに、深い意味は、…ないのよ、うんうん。
…ただ、ガッツさんが目を覚ましてくれたらいいなあ、ってそう思う。
…それで、目が覚めて、枕元にいる私を最初に見て、…そうして、私をみつめながら「ファルネーゼ」って言ってくれたら………私は死ぬほど嬉しい。
ガッツさんの顔をぼ−っと眺めた。
心臓がとくん、と脈打ち、胸が暖かくなる。…不思議な気持ち。
寝台に身をかがめてガッツさんの顔を上から覗き込む。
…ガッツさんは、怖い顔だけど、角度と光線の具合によっては、…時々結構ハンサムに見えると思う。
『ガッツさんは、絶対、世界でいちばん、誰よりも、カッコいい!男らしくて強くて勇敢で素敵だーっ!!』…って、本当はこっそり心密かに思っている。
…一度でいいから、誰に憚る事なく、大声で太陽に向かってそう叫びたい…。
…百歩譲って、仮にハンサムじゃなくても、でも絶対絶対絶対!…カッコいいと思う。
辞書の定義。「かっこいい=感覚、趣味を反映していて素晴らしい」。
…だから、顔とは関係なしに「死ぬほどカッコいい人」って成り立つのよーっ。
はっ、と気付く。駄目だわっ、それじゃまるで、八割方はガッツさんの顔って客観的に見たらコワイ顔、と認めてるようなものだわっ。…ガッツさん、褒めるつもりが裏切ってしまって、ごめんなさい…。
でも、ガッツさんの、爽かさのかけらも無いワイルドな悪党笑いとかって…すごく好きなんだけどな…。あと、アルビオンで私の口の中にナイフ突っ込んで脅迫した時の怒ってる顔とか…。………ぐっと、来る。
他にガッツさんが、私から見てとてもカッコいいと思えるとき。
…トロールの巣で獣鬼達に取り囲まれ、私の手から銀の短剣がはね飛ばされて、「絶対もうダメだ」と思った瞬間。…間一髪でこの人が駆けつけて来て、助けてくれた時。
…こんなに格好いい人知らない、今まで見た事ない、って思った。涙が出そうなくらい、頼もしくて堂々として立派で素敵で……胸が、どきどきした。
…時々ハンサムに見えるのが目の錯覚なのかどうか、他の人にも聞いて確かめてみたいのだけど、気軽に言える相手がいないので、まだ誰にも言ったことがない。
…だって、目を剥かれて、まるで突然おかしな事を口走りだした人を見るような目つきでじろじろ眺められて、警戒しつつ後退りされたりしたら、…嫌だし。
前髪降ろしてる時の方が、ハンサムに見えると思うんだけどな、と思いながらガッツさんの降りてる髪をつつく。硬くて、こわい髪の毛。指に絡まない。
白髪になってしまった部分についつい目が向いてしまう。
…ガッツさんには悪いんだけど、己の心に嘘をつかず、正直に言ってしまうと…、
『老けたっ!!』
…と、やっぱり思ってしまうわ、この若白髪…。(…そして、大声では決して言えないけれど、昔図鑑で見たとある動物を連想してしまうのよね…。その動物の名は、スカンク…。口が裂けても絶対にガッツさんには言えないわ…)
ガッツさん…、確か私とたいして年が変わらないと聞いたんだけど、まだ二十代前半なのに…、かわいそう…。どう見ても三十代にしか見えないもの…。
あの呪いの怖い鎧を使い続けていたら、ガッツさんはそのうち総白髪になってしまうんじゃないかしら。
…その時って呼び方に困るわね…。『頭だけ白い黒い剣士』とか?…言いにくいわ…。
髪をつついている指を滑らせ、先の尖った耳をなぞる。
この人の耳って、ちょっと野生動物っぽく見える。…なーんとなく地獄耳っぽいと思う。うっかり悪口言ったら離れてても絶対聞こえてそうな。
濃い眉根に触れ、中央を小さな瑕が横切る太い鼻梁をたどって、厚い口を撫ぜる。
…顔の部品の一つ一つが、男の人のものだなあ、と思う。彫り込まれている線描が、太くて力強い。同じ男性でも、私の見知った貴族の青年達とは、材質からして違うもので造られているように思える。
…顔で職業判定するなら、一目で「戦士」と判断できる風貌。
剛毅、とか不撓不屈という言葉が似合う、厳しくて甘さのかけらもない顔立ち。
…でも、知ってる、この人結構優しい。私だけじゃなくって、イシドロさんやシ−ルケさんへの態度を見てると、なんとなくわかる。…わかりやすい優しさじゃないけど。
…間近で顔を見つめていると、胸がきゅうっと締めつけられるような気持ちになる。
…今、突然目が覚められたりすると、…すごく困るなあ…。『人の顔じろじろ見て、何が面白いんだ』って言われそう…。
………あなたにみとれているのです。私は。
…この人の顔は、いつも傷だらけだ。古いのや新しいの。
戦う人の、勲章の跡。
私には想像もつかない境遇を、くぐり抜けて戦ってきた人の顔なのだと思う。
唇の端に、小さくキスした。
火傷したような熱を感じて、慌てて唇を離す。
心臓が、早鐘のように高鳴った。触れた唇を指で押さえる。…ひどく熱い。
そっとガッツさんの顔を覗き込んだ。
…ガッツさんは、眠ったままだ。…ちょっとがっかりしたような、ほっとしたような。
…やっぱり、おとぎ話はおとぎ話か…。
(…もう少しだけ…)
ガッツさんの体に体重をかけないように気をつけながら、寝台の柄を掴み、屈み込んでその頬に自分の頬を擦り寄せた。
…深い吐息が胸からこぼれた。…ざらざらする…。
早く目を覚まして元気になって欲しいけど、…今だけは、もう少しの間眠っていて欲しい。
目を閉じて枕に顔を埋め、合わせた頬の感触と伝わる体温に陶酔する。
ガッツさんの規則正しい寝息の音に聴き入りながら、触れ合う肌の温りをとても貴重なものに思う。
…男の人の頬は、ざらざらして、ちくちくするんだな……。
よく頬擦りしてくるキャスカさんのほっぺは、すべすべして柔らかい。
まるで違うその感触に、この人は男の人なんだ、と改めて思う。
…そして、私は女だ。
…初めて会った時、本当はこの人がとても怖かった。
返り血で全身を赤黒く染めて、巨大な剣を振り回し、その度に兵士逹の胴がまっぷたつに生き別れ、臓物と血しぶきの旋風が巻き起こる。
…地獄の悪夢から抜け出してきたような凶々しい怪物。
…人間には見えなかった。
凶暴な野獣が、無理やり人間の姿に化けて猛り狂っているように見えた。
虚勢を張って怒鳴り、部下を叱咤しながら、…私は、本当は怯えていた。
…今でも、この人のことが私は…怖い。
ガッツさんは、厳しくてもどこかで優しい人。救ける必要なんてまるでない時にも、何度も私の命を救ってくれた人。
…でも、ガッツさんの中にいる凶暴な黒い獣は、きっとそんなことはしないだろう。
その獣は、いつ顔を出すのかわからない。
…こんな風に頬を合わせているのは、夜の森の中で眠る獰猛な人喰いの猛獣の隣で、こっそりとその毛並みを撫ぜるのを密かに堪能しているような気持ち。
…目が覚められれば、きっと食べられてしまう。
恐怖の鋭利な細い糸が、背骨の髄の芯を貫いて、一本ピンと走っている。
…この人が、怖い。
……怖いから、惹きつけられる。
……この人に、体を引き裂かれたら、どんな気分になるのだろう、と時々想像する。
…痛いのかな、苦しいのかな、…死んでしまいそうな気持ちになるのかな、って。
脱走したこの人に拉われて、夜の闇を騎上で駆け抜けていた時、きっと、犯されて殺されてしまうのだと思っていた。
その時は、屈辱で腸が煮え滾っていた記憶が…今は、途方もなく、甘い。
もしも、もう一度、この人の力強い腕で抱き上げられて、馬の鞍に乗せられて、どこか遠い、誰も知らない場所に二人だけで連れ去られてしまったら…、きっと目眩がするほど幸せだろうと思う。
私は小さくて弱くて無力で、この人は大きくて強くて逞しい。
私の中に張り巡らしていた、秩序と信仰で築き上げた堅固な塔は、この人の手でいともたやすく崩壊させられた。
塔が崩れて雪崩落ち、縋れるものが何一つない、何もできない、弱くて無力な素の自分が取り残されて。
瓦礫の山に座り込み、崩れた塔の外に広がる世界に初めて触れて、薔薇色の朝焼けの空を見上げながら、頬を撫でる柔らかな微風を感じた時、……初めてわかった。
私が心の中で、闇への恐怖に駆られて築き上げたあの塔は、私を守る代わりにがんじがらめに縛り付け、閉じ込めていた牢獄だったのだと。
暗闇を遮る代わりに、…私は、世界のすべてから締め出され幽閉されていた。
…あなたは、哀れな虜囚の私を、高い塔の牢獄から救い出してくれた勇敢な騎士。
私はずっと、誰かが私を救い出してくれることを夢見て、囚われの塔のてっぺんから嘆きの歌をうたっていたの。
……私は、私を閉じ込めていた。
本当は、無力で弱い、怯えるだけの自分の存在が、許せなかったから。
塔に住まう悪い魔物は、私自身。神の威光の名を借りて、弱者を虐げ、生け贄を要求し、暴虐の限りを尽くして荒れ狂っていた醜悪な怪物。
…それでも、その怪物は、誰かが私の中の哀れな子供を見つけだして、救い出してくれることをずっと願っていたわ。
………あなたが私を救い出してくれた。それだけは、おとぎ話じゃない、本当のこと。
外の世界の闇夜は、相変わらず恐ろしい。怖くて怖くて、恐怖で足が竦みそう。
…でも、暗闇を照らす最初の炬火を、あなたが私に与えてくれた。
恐怖に立ち向かう事を、あなたは私に教えてくれた。
…夜は明けるわ。そして、その世界にはあなたがいる。
巡り会えたことが、私には、奇跡だったから。
…あなたの後を追いかけて、旅をして追いついて、あなたの隣にいるのが今の私。
……私には、まだ、あなたの手で、壊すことのできる場所が、残っていると思う。
……塔に住まう悪い魔物は、自分を退治してくれた勇敢な騎士に、恋に落ちたの。
ガッツさんの肩に触れ、指を滑らせる。…鋼のような筋肉のうねる、逞しい肩。
…体の奥が、震えて疼き、熱くなる。胸がわななき、合わせた頬が熱を帯び、呼気が乱れて瞳が潤んだ。
…またもう一度、この人の力強い手で揺さぶられて、世界が瓦礫のように崩れて雪崩落ち、自分の纏う虚飾の殻が全て引き剥がされて、剥き出しにされたとしたら。
そうしたら、どんな私が出てくるのだろう?
どんな私に変わるのかしら?
……知りたい。
この人の手で、『私』を破壊されたい。
壊れたかけらの中から私の性髄を掬い取られて、粘土を捏ね上げるようにまた違う私に造り変えられたい。…あなたに、そうされたい。
目を閉じて、伝わればいいな、と思いながら心の中で語りかけた。
…どうか私を、どこか遠くへさらって、ねじ伏せて力づくで奪ってください。
与えられるものがあるのなら、一つ残らず何も彼もすべてあなたに捧げたい。
すすり泣きながらあなたにしがみついて、あなたの広い胸の中で、小さな子供のように泣きじゃくって甘えたい。
無力で弱い私を、受け取って欲しい。
あなたの黒い嵐に呑み込まれて、ひとつになって、溶け合いたい……。
…名残惜しい気持ちで頬を離し、立ち上がった。
胸が締め付けられるように苦しかった。足のつけ根が、馴染み深い疼きで脈打っているのが、苦痛に思える。
眠ったままのガッツさんをみつめる。
…この人は、そんな風に私を求めてくれることは、きっとないだろうな、思う。
私が受け取って欲しい贈り物は、…この人には、いらないものだとわかるから。
…だから、苦しい。…それから、悲しい。
溜め息をついて、替えの包帯を卓上から手に取った。
寝台の横の椅子に腰掛け、ガッツさんの重い右腕を持ち上げる。
身を屈めて武骨な手の甲にそっとキスしてから、包帯を延ばして巻きつけようとしたその時。ガッツさんの右手の親指がぴくりと動いた。
彼の右手に包帯を添えていた私の指が、大きな手で強く握り締められる。
『え?』と思った瞬間、その手が私の手首を掴み、物凄い力で引っ張られて、寝台に引き倒された。
私の手から飛び出した包帯が、リボンのようにひらひらと帯を伸ばし、円弧を描いて床に落ち、床の木目の上を転がる様子が視界の隅に映った。
…気がつけば私は、ガッツさんの体の上に重なり、彼の腕の作る輪の中で強く抱き締められていた。
<to be continue>
ふんがぁーーーーーーーーーーーーー!!
か、神よ…
ついに二人はいたしてしまうのでつか??
∧_∧ +
(0゚・∀・) ワクワクテカテカ
+. (0゚∪ ∪ +
と__)__) +
寸止め……!
気長に待ちます
頑張ってね職人さん
セルファル派だが基本的にファル萌えなのでガツファルもアリだなと思った
恋する乙女なファルたんにハァハァだよ
次が楽しみワクテカ
644 :
572:2005/09/11(日) 01:31:10 ID:/dp7k7P0
>>610 アク禁くらって書き込めんかった
こんどはどうだ?
645 :
572:2005/09/11(日) 01:43:40 ID:/dp7k7P0
>>610 無駄にスレ消費してすまん
続き
『くそっ、なんだこいつ!?』
聖鉄鎖高校、放課後の部活風景である。
中でもフェンシング部は全国大会に毎回出場の高いレベルを誇っており
時々、大学でも活躍しているOBが手合わせしにくるくらいである。
今、部員に稽古をつけているのはさる王族の王子ロデリック卿である。
あのファルネーゼ様が聖鉄鎖大学を卒業したら結婚する筈の婚約者だ。
ちなみに、聖鉄鎖高校、ガキ…いやまだ十代のくせに
爵位持ちのおぼっちゃまばっかりである。
ロデリックの様にさる王家という高貴なお方も珍しくない。
今、ロデリックの相手はフェンシング部副部長のセルピコ君。
彼も平民出身ながらヴァンディミオン財団取締役フェディリコ氏が
後見人のおかげで爵位持ちだった。
だが彼の同級生および部員は平民出だの
ヴァンディミオン財団が背後にいるだのは気にしない。
むしろフェンシング部で「引き分けのセルピコ」で有名である。
それに「ファルネーゼ様の腰巾着」という事で嫌われているくらいだ。
646 :
572:2005/09/11(日) 01:55:59 ID:/dp7k7P0
ロデリック卿は聖鉄鎖高校在学中、部長をつとめていたくらいの腕前だ。
しかし今相手のセルピコ君の太刀筋は鋭く、殺意さえ感じるくらいである。
表情は白いマスクをかぶっているのでお互い表情は見えない。
相手の身体を一回突けば仮試合は終わるのだが
セルピコ君は一向にその隙を与えないのだ。
『ち、喰えねえ奴だよ』
思った瞬間、ロデリックの感情を読み取った様に
互いの剣先が身体に触れて引き分けと決まった。
ロデリックは試合中のセルピコはどんな顔をしているのか
見てみたかったが、マスクを外した彼の顔はいつもの細目の
一見、人がよさそうな穏やかな顔である。
金髪で身のこなしに品はあるが、イケメンという程でもない。
十人並だよなあ???
647 :
572:2005/09/11(日) 02:20:34 ID:/dp7k7P0
「先輩、手合わせありがとうございました。
いつもながらお見事です」
「おい、ちょっとまてよ」
ロデリックは、一礼をして更衣室に向かおうとするセルピコ君の
肩に手をかけて引き止めた。
「何か御用でも?」
「おい、お前。単刀直入に聞くけどな
俺がファルネーゼと結婚するのが面白くないんじゃないのか?」
「まさか」
満面の笑みでセルピコは否定した。
「確かに僕はファルネーゼ様を御幼少からお世話して参りましたが
まずご身分が違います。
それに血筋だけ良くでも、あんなおつむは足りない性欲は強い
他にはなんにも出来ないお姫様なんてこちらから願い下げですね。
その点、ロデリック様はご身分、血筋とも申し分ないお相手。
私が嫉妬などする理由がありません」
「………」
ロデリックは微妙に馬鹿にされた様な気がした……
はっ!
うっすらと開いたセルピコの目をロデリックは見てしまった。
顔は微笑を浮かべていたが、目は笑っていなかった。
(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
ちなみにエロパロ板だけあってセルピコ君の発言は
いつも以上に辛辣であった……。
と・・・
649 :
324:2005/09/13(火) 00:28:40 ID:kyI4IY1S
今回のYアニマル読んで「ガッツファル有りかも」って思た
ピコは誰からも無視されて可哀相なんだかそうでないんだかw
トロールから助けた時に寄りかかって赤面したからこれは・・・!
と思って待ち続けたのに未だに何もなくて(´・ω・`)な俺ガイル
651 :
324:2005/09/13(火) 00:39:49 ID:kyI4IY1S
>>650 キャスカ精神状態あぼ〜んだからさ
将来ガッツファルもあるんじゃないかな?
そしてセルピコには死亡フラグ立ちかなと
鬱になる自分がいたりする
三浦はやりそうでやんないよな〜近親相姦
ガツファル公式化なら皆ここでセルファル書いてくれよぉ〜なセルファル好きがここに
でも「薔薇の姫と〜」でガツファルも好きになりそうだよ・・・
ガツファル好き基本だけどセルファルも好きだー。
基本的にファル好き。
前にふたなりファル書いた人の「シリアスなセルファル」をずっと楽しみに待っている。
急かさないけれど、そのうち投下してくれたらいーなー、と思っている。
>>555の、学園物の設定のやつで、ネタ浮かんだので投下。登場人物、制服コスプレイメージでお願いしますー。…今度はちゃんとエロのあるネタっ。
あと、念のため。とある噂は漫画板の方で目にした時、とりあえず私は笑っちゃったので、…暗殺云々はジョークと思って流してほしい…。
鷹の羽学園生徒会室にて。
グリフィス生徒会長に呼び付けられたガッツ。実は、ガッツはちょくちょくグリフィスの「内密の依頼」でグリフィスの敵の口封じ、脅迫、暗殺その他に忙しかったりする。
今回の依頼はっ。「『男性主人公約二名、非処女』の噂最初にばらまきやがった張本人、どこのどいつだーっ、…速攻・口封じ」。……根も葉もあるだけに、見せしめのためにも暗殺決定。
「…まあ、殺すしかねーな」と思いつつ、生徒会室の本棚を適当にぱらぱら覗いていたガッツ。…おや、本の背表紙とは中身が違うものが入っているぞ、なんだこりゃ?と思って手に取り眺める。
本から転がり出てきた中身は…いかにも、なパッケージのアダルトビデオ……。
浅黒い肌に黒髪短髪の全裸の女性が、触手系に犯される内容らしい……。無修正モザイク無しっ。
ちょっとキャスカに似ているけど、もっと女っぽいヒロインの全裸写真をついつい食い入るように眺めてしまう、ガタイはでかいが、実は童貞のせぶんてぃーん、なガッツ君。
「良かったら貸すぞー」の声。人当たりの良い爽やか好青年な笑顔のグリフィス。
………借りちまったよ……。
とゆー訳で、あまり人に見られたくないヤバいブツを小脇に抱えたガッツ。…しかしどこで見よう、全寮制の寄宿舎の部屋にはビデオデッキなんかねーしな、と校庭の端で思案していると、
「おーい、なにきょろきょろしてんだ、ガッツ?」と後ろからジュドーの声がっ。
カタン、と地面に落ちるヤバいブツ。……人の背後から忍び寄るんじゃねーっ、と心の中で叫ぶが時すでに遅しっ。
「何コレ、AVじゃん。触手強姦モノ…。…うわー、マニアな趣味。ガッツこういうのが好きなのか?おっ、モザイク無し」
「…いや、それはグリフィスの趣味で…。オレは、借りただけだっ」
焦るガッツの前で、フツーの顔でヤバいブツを拾い上げ、フツーに喋るジュドー。…そうか、フツーなのか…。何焦ってんだオレ…、とふと思うガッツ。
「なんだよ、お前一人で見る気か?こーゆー時は仲間に一声かけるのが筋ってもんだろーがー」とにやにや顔のジュドーに言われて、コルカス、ピピン、合流。
「視聴覚室なら器材があるぜ(ジュドー発案)」で、とりあえず部屋の鍵借りてくる。
…リッケルトも何を観賞するか知らずについて来たがったけれど、一同、顔を見合わせて、
「お前には、まだ早い!」で除外。
「なんで俺だけ仲間外れ…」とぶつぶつ文句垂れるリッケルト。でも、無視。
ちなみにリッケルトは最年少にも関わらず唯一の彼女持ち。…初等部のエリカちゃんという可愛らしい少女と、交換日記の清い交際をしているらしい。
…ヘンな知恵つけてマズい事になったら、エリカちゃんの怖い親父に吊し上げられるのはリッケルトだしな…。
「AV程度で喜ぶなんてお前らもガキだよなー」と言いつつ、ついて来るコルカスは、年齢ごまかしてカツアゲした金で風俗通いをする男。
…しかし、最近風俗街の通りに並ぶしつ尿器系の医者に通う羽目になってからは、風俗店通いはちょっと足が遠のいてるらしい…。……病気は、怖い。
なんにも言わずに無言でついて来るピピン。
「無修正のAVあるんだけど、ピピンも見るか?」とジュドーが聞いた時も無言。
「嫌ならいいけど…」と言った時も、無言。…でも、黙ってついて来る。
よーく見ると、ちょっとだけ顔の皮膚が赤いような気がする…。……喋れよ。
ジュドー×キャスカ
視聴覚室に一同到着っ。
…とりあえずカーテン引いて電気消してボリュームを最小限に絞って、観賞開始っ。
28インチのテレビ画面に、前置きも何も無しに、キャスカに似た女性が怪物に取り囲まれて、服ひっぺがされる場面がいきなり始まる。
その後、触手系でろでろな怪物が入れ替わり立ち代わり、延々とキャスカに似た女性を凌辱。製作者の神経疑いたくなる内容だが、しかし…ヤベェ、これ来るよ…、な展開が続き…、沈黙する一同の胸に同じ思いが去来する。
(…AVは、囲んで見るもんじゃない…、一人で見るものだ…。…オレ以外の奴等、全員部屋から出て行ってデリケートなオレ様を一人にさせろー…。…まわりに人がいたら、…無理だ)
そんな時、視聴覚室の外の廊下から、聞き覚えのある声が。
「あれ?…グリフィス、鍵開いてるみたいだよー。誰か使ってるのかなー?」
がらっと開かれる視聴覚室のドア。………キャスカだ……。
硬直する一同。硬直するキャスカ。その後ろにいつも平常心のグリフィス。
間の悪すぎる沈黙の中、テレビ画面の中のキャスカ似の女性の喘ぎ声だけが響く。…丁度怪物の首領らしき、黒い羽根を生やした男が、キャスカ似の女性に覆い被さって、犯しているところだ…。
……頼むから誰か何か喋ってくれ、と言いたくなる沈黙の中、無言のキャスカがAV放映真っ最中のテレビに向かってつかつかと歩く。
無言で手近な椅子の足を掴むと、無言で振り上げ、無言で力一杯テレビ画面に向けて、降り下ろした。
豪快な破壊音と共に、椅子の背がブラウン管に蜘蛛の巣状のひび割れを作って食い込み、画面が真っ暗になる。…最後に映っていたのは、キャスカ似の女性がうっとりした表情で、鳥の嘴のような兜を被った怪物の首領と舌を絡めている場面だった……。
「……普通に電源切りゃいーだろ…」と呟きかけるコルカスに、「…シッ。刺激すると危険だっ」と真剣な表情で制止するジュドー。
「………なんだ、これは……?……貴様等神聖な学舎で、一体何を見ている……」
椅子の足を掴んだ後ろ姿のまま、地獄の底から響く呪いの呻きのようなキャスカの声。
AV観賞大会のはずが、いつのまにかホラー映画(生・リアル)体験大会に……。
振り返るキャスカ。…血走っている目が、こわい。
「……この下劣な代物を、校舎に持ち込んだのは、どこのどいつだ……?」
ジュドー、コルカス、ピピン、全員の指が、一斉にガッツを指差す。
指差されたガッツ、『おい、お前等そりゃねーだろー』と言いたくなるが、皆の顔は「生け贄として、ガッツを捧げるっ」という強い決意でみなぎっている。
「やっぱり貴様かあーっ!!」
椅子を振りかぶり襲いかかってくるキャスカ。はっしと受け止め、
「…いや、オレはそもそもグリフィスから借りて……」と言いかけると、
「グリフィスを冒涜するなあーっ」という叫びと共に、キャスカの飛膝蹴りが顔面にヒッツっ。…ガッツの意識が一瞬暗くなる。
畳み掛けるように殴る蹴るの暴行をガッツに加えるキャスカの後ろで、ジュドー、コルカス、ピピンの三人は、さりげなく足早に戦闘区域より撤退準備中だ。
…ガッツ君、君の崇高な犠牲精神を、僕逹は決して忘れないよ…。どうか安らかに眠ってくれ……。
「……『仲間』って、なんなんだ……?」という疑問がキャスカのパンチを顎に食らった一瞬、ガッツの頭によぎる。
一応女のキャスカを殴り返すわけにもいかず防戦一方のガッツ。
手を押さえても蹴りが飛ぶ。回転回し蹴りが肝臓を叩く。…ホントに女か、こいつは…。
体格的に押さえ込めばなんとかなるんだけれど、…さっき見たAV画像の内容が脳裏にちらつくので、……異性と体が密着するよーな状態は、是が非でも避けたいっ。
腰が引けてるのでキャスカにボコられ気味だ。…17歳は、多感な年頃…。
いつも変わらぬ平常心で、ガッツと格闘しているキャスカを見つめていたグリフィス、思い出したかのようにキャスカに声をかける。
「あ、ごめん、キャスカ。…それ、オレだ。さっきガッツにオレが貸したんだっけ」
ぴたっと静止するキャスカ。……沈黙。
グリフィスを振り返る。
「……グリフィス、…えっと、もしかしてコイツを庇ってるの……?」
「いや、そーじゃなくって、オレの私物。生徒会室に置いたまま、持って帰るの忘れてて」
「…だから、オレが最初からそう言って……」だらだらと流れる鼻血を拭いながらガッツ。
形容しがたい表情のキャスカ、しばらくの沈黙の後、コホン、と咳払いして、穏やかな口調でグリフィスに告げる。
「……グリフィス、あなたは生徒会長なんだから、皆の手本になるように、もっと気をつけてもらわないと」
「ああ、これからは気をつけるよ。すまない、キャスカ」
「じゃあ、風紀委員として、……持ち込んだ問題の品物は没収します。後で任意提出同意の書類に署名して、私のところに持ってきて頂戴」
「わかった」
黙ってやり取りを見ていたガッツ。…奥歯の一本がぐらついて喋りにくい。
「…おい、ちょっと待て。…その、態度の差は…、いったいなんだ?」
キッと睨みつけるキャスカ。
「うるさいッ!…そもそも学校であんなもの見てるお前が悪いッ!この変態!恥知らず!」
……何故その台詞をグリフィスではなく、オレに言う……、と呟きかけた時、キャスカがガッツの手を取る。……しおらしげでちょっと可愛い。
「…とりあえず、傷の手当ては…して、やるから、…それで勘弁しろ」
とゆー訳で保健室でキャスカに傷の手当てをしてもらうガッツ。
どー考えても損しかしてねーのに、得をした気分になるのは何故だー、と、キャスカに絆創膏を張ってもらいながら、ふと思う17歳。
<劇終>
ガッツ可愛いよガッツ
659 :
名無しさん@ピンキー:2005/09/14(水) 19:57:25 ID:GgHbfR0M
age
>>654面白かったGJGJ♪
「男性主人公約二名、非処女」ワロタw
ん・・・
662 :
名無しさん@ピンキー:2005/09/17(土) 04:28:32 ID:p6hN9NLI
私立私立!
今週アクセス禁かかって書き込めなかった
みんなもそう?俺だけ?
>>658 >>660 感想ありがとう。ガッツって黄金時代編「百人斬り」の異名を
取った時は実は童貞、ってーのが楽しいやつだと思うw
>>659 意図はわかったw。前に「一山いくら」って私あてによそで書いてた人かな?
また何か学園物でネタ思いついたら、659さんへの嫌がらせのためにガンバッテ書こうー、
と思いました。
659さんも自分の趣味全開のss投下したらいいのに、って思うんだが。
ガッツ×ファルの続き投下です。
>>640の続きから。
…ごめんなさい、まだ終わらないです。また寸止め。
前回コメント下さった方、ありがとうございました。感謝。
>>663 アクセス禁止は別に私はかからなかったよ。
顔から火が出るような恥ずかしさと、突き上げるような喜びが同時に襲い、ガッツさんに抱擁されながら、混乱した思考が目まぐるしく頭の中を飛び交った。
(……ガ、ガッツさんっ、いつから目を覚ましてたのっ!?……バレるとかなりヤバくて後ろ暗い私の悪戯は…、……バ、バレて…、ない、わよ…ね…?。…もしバレてたら、…私は……、おしまいよー………)
(すごい!おまじないが、本当に、効いたんだっ!やったーっ!大成功っ!!)
(…ガッツさんが、目を覚ましてくれた。……嬉しい…、本当に嬉しい………。……それから…、こんな風に、私を………。……死にたくないけど、死んでもいい…。…テレパシー、…通じちゃったんだ……)
(『念話』とおまじないが、初めて挑戦したのに、いきなり成功するなんて…。…私って、……すっごーい…。もしかして、魔法使いの素質があるのかも……。
…ひょっとしたら、シールケさんより凄い才能が眠っていたりしてっ。…つ、つけあがりすぎかしら)
(……おとぎ話の騎士が、呪いの眠りから目が覚めて……お姫様が砂にならなかったら、目覚めた騎士と姫の間に始まった事が、……これから、私に起こるのかしら………?)
ふっと想像にふける。
……姫と騎士が触れあった唇を離した後、互いの瞳を見交わしてみつめあい、そっと手を握りあって、……それから…………。
はしたない事を考えている自分が恥ずかしくなって、ガッツさんの胸板に顔を埋めた。
顔が、熱い。…この人の前だと、私はいつでも顔を赤くしているような気がする。
血の匂いと塗り付けた霊薬の香りに、ガッツさんの体臭が混ざり合った匂いがした。獣臭いけど、いやじゃない。…頭がくらっと痺れる。
耳を押しつけた厚い胸板の向こうから、この人の、心臓の音が聞こえる。目を閉じて、ぼうっとその音に聞き入った。規則正しい、力強い拍動。…何故だかとても、安心する音。
ガッツさんって、体温高いなあ、と思う。……暖かい。
胸の奥の一番深い場所が、満ち潮の海のようにゆっくりと満たされてゆく。……深い吐息が肺から洩れた。
この人の腕に抱かれていると、……安心する。いろんな怖いことから、守ってもらえる感じがする。
……ガッツさんは、優しいけど厳しい人。一瞬だけなら私を抱き留めてくれるけど、絶対にそのまま、縋りつかせてはくれない。「自分で立て」って私に言う。
私だって、この人の足手纏いに、なりたくない。迷惑かけて、困らせたりしたくない。邪魔になるより、少しでもこの人の役に立てる方が、嬉しい。
……でも、時々、……抱き留めてもらえた瞬間、そのままこの人に縋りついてしまいたいと思う。……こんな風に、目を閉じて、何も彼も全部この人に預けて、………甘やかされたい…………。
ガッツさんの温もりに浸りながら、『………お父様……』と口の中で呟いて、慌てて打ち消した。
……ガッツさんは、私の父じゃないのに、なんでそんな言葉が出てきたんだろう…?ガッツさんが老けてるせいかしら?……それって失礼よね……。…ごめんね、ガッツさん。
……ガッツさんは、お父様とは全然違うわ。……お父様みたいに、うわべと腹の底が全然違う人じゃない。……私の事を疎んじて遠くへ追いやろうとしたり、しない。
……お父様は一度だって私を抱き上げたり、頭を撫でたりしてくれる事はなかった。
家名のために私を庇っても、私自身を庇ったり、守ったりなんて絶対にしてくれなかった………。……本当は、私のこと、『いらない』って、お父様は…思ってた。
遠い哀しみが一瞬胸をよぎり、振り払う。
…それは、もう、ずっと昔に終わった過去の記憶。百年の歳月が流れた去ったように思えるほど、今の私とは遠く隔たった、古びて色褪せ、霞みかけた思い出。
…物語のお姫様は、お城も父王も姫君の位も、全部後ろに捨てて来て、……今は、騎士さまの腕の中にいる。
……私の騎士さま、と心の中でガッツさんに囁きかけた。
……私を救い出して、守ってくれる、……私だけの、騎士さま。
……私は、あなたのものだから。
……甘えさせてくれる代わりに、………私を、好きに、してください……。……あなたが、したいことなら、……私は……どんなことでも……。
抱き寄せて締めつける腕の力の強さに陶然としながら、再び吐息を洩らした時、ふと、頬に粘りつくものを感じた。
手に触れて、ガッツさんの胸の裂傷から滲んだ血だと気付く。
(−−いけない)
押し流されそうな理性が、かろうじて頭の中で警告した。
ガッツさんは、怪我人だ。それも重傷の。
あばら骨も折れているし、縫合した傷口も塞がっていない。
私の体の重みで圧力をかけていたら、怪我に負担が掛かる。
ガッツさんに手を放してくれるように言って、どかなければ。
…そう思いつつ、口の中で舌が張り付いたように動かない。
……もう少しだけ、こうしていたい。
あなたの鼓動を聞きながら、あなたの温もりに包まれて、あなたの腕の中で、……まどろみに、浸っていたい。
時間が止まって、今の瞬間が永遠に続けばいいと思う。
大きな手が肩に食い込む甘い痛みにうっとりしていると、押し殺した情熱を込めた、ガッツさんの低い囁きが耳に飛び込んだ。
「…………………キャスカ……」
…体の温度がすうっと醒めた。
甘く込み上げていた無意味な期待が、苦く砕け、煮凝りとなって、冷えてゆく。
(……わたしは、ばかだ………)
ガッツさんは、キャスカさんの夢を見ているのだ。
おとぎ話のお姫様の資格があるのは、私ではなく、キャスカさんだ。
…私の口づけでは、なんにも意味が、ない。…私は、騎士さまに……愛されては、いないから。
ガッツさんは、キャスカさんを守るための騎士だ。
ガッツさんが探し求めて、救い出すために必死で戦った女性は……キャスカさん。
この人が、ボロボロになるまで戦う理由は、いつもキャスカさんのため。
……私じゃない。
……私は、ただの、騎士さまのお供をする、旅の道連れ。
私のための場所は、この人の中にはない。
……そんな事は、わかりきっていたはずなのに。
…なのに、どうして……。
こんなに。
「………ガッツ、さん、…腕を、どけて、ください」
かろうじて喉から押し出した声が、ひどくかすれてひび割れ、耳障りに聞こえた。
ガッツさんに聞こえた風はない。軽く右腕を叩く。…同じ。
…やっぱり、と思いつつ、強烈な悲しみが、水中の魚に突き立てた銛のように、私の胸を抉り、心臓を引き裂いた。……疎外され続ける痛みと悲しみ。
声をかけても聞こえない。手を握っても届かない。
こんなに近くにいるのに、こんなに遠い。
…あなたはいったいどこにいるの?
心の中のどの夢をさ迷っているの?
私はここにいて、あなたが帰ってきてくれるのを、ずうっと待ち続けているの。
………帰ってきて、欲しい。ただの旅の道連れの一人でいいから、あなたの世界に私を入れて。私を見て。返事をして。
……私を、締め出さないで。
(…泣くな)
顔を伏せ、唇を噛み締めて押し殺した時、ふいに大きな手のひらが私の頬を包んだ。
片方しかないガッツさんの眼が、薄く開いて私の顔をみつめている。
……でも、わかる。この人の眼は、私を見てはいない眼だ。
ガッツさんの眼は、夢の中にいる人の眼だ。
私の向こう側に、誰か記憶の中の別の人の面影を重ねている人の眼。……私は、この人からこんな眼で見てもらったことは一度もない。この視線が私を通り越してゆくのは何度も目にしたけれど。
……キャスカさんを、みつめている時のと同じ、…優しい眼。
間近で見るこの人の顔は、まるで知らない人のよう。
きっと恋人だけにしか見せたことのない、情熱的な少年のような表情。
……とても幸せな夢を見ているんだろうな、と思った瞬間、おとがいを持ち上げられ、唇を奪われた。
視界にガッツさんの閉じた両眼が広がった。…意外だ、この人ってキスする時に眼を閉じるんだ、と思った時、急にそれが滲んでぼやけ、何も見えなくなった。
……両目を閉じる。瞼の裏側に熱い涙があふれ、頬を伝い、転がり落ちてゆく。
触れ合う口唇の堅さを感じながら、頬を濡らし続けた。
…この人が、夢の中で口づけを交わしている恋人は、私ではない。
でも、今この人の腕の中にいるのは、確かに私だ。
悲しみと幸福感がない混ぜになり、どちらが自分の気持ちなのか、わからない。
……ただ、涙だけがあとからあとから溢れ、流れ出してゆく。
……代わりでもいい、と思う。
あなたが、幸せな夢を見ているのなら。
私が、あなたの役に立てるのなら。
口を開いて、忍び込んでくる舌を迎え入れた。
頬を伝う涙が口の中に流れ込み、ガッツさんの舌の感触と一緒に塩辛い味が広がった。
……ガッツさんも、しょっぱいと思っているのかな……。
口腔を探り回る舌の感触に、頭がぼうっと痺れて、思考と体がとろけてゆく。
……何も、考えたくない。
夢中で舌を絡めてガッツさんに応えた。這い回る彼の舌を吸い、お返しのように自分のを吸われ、ずきん、と体の奥に熱い衝動が走る。
延ばした舌先がこの人の鋭い犬歯をかすめ、この牙で噛み裂かれる事を想像して体が震えた。
溢れた唾液が開いた口の端からこぼれ、お互いの口許を濡らし合う。
私の首の後ろを支えていた手の平が、背に落ち、服の上から体を這うのを感じた。乱暴で、荒っぽい愛撫のやり方に、酔いしれ、背中が波打つ。
口づけの合間に洩れる、両方の呼吸の音が、少しずつ乱れ、徐々に荒くなってゆく。
…この人の興奮が、密着した体越しに伝わって来る。……嬉しい。
背を這う大きな手の平が、下へ下へと降りてゆくのを感じながら、身を乗り出し、馬乗りになって、両手でガッツさんの顔を挟み込み、深く口腔に舌を差し入れた。
丈夫そうな歯列を舌でなぞりながら、ついつい私の唾液がこの人の口の中に流れ込んでしまうのを感じる。……ご、ごめんなさい、ガッツさん…。……重力の関係で、どうしてもそうなってしまうだけで……、…わざと、唾飲ませてるわけじゃ、ないのよ……。
薄く瞼を開くと、真下に覗くガッツさんの眼と、まともに眼が合った。瞳孔に火花が飛び散ったように感じて、慌てて目を伏せる。
目を閉じて舌を絡め合わせながら、頬に注がれる視線の熱を感じる。
私はキャスカさん、と言い聞かせる。……今だけは、私はこの人の恋人。愛されているのは、私。……視線を注がれているのも、私。
閉じた瞼の下で一瞬垣間見たガッツさんの眼を思い浮かべる。…欲望の炎がちらちらと燃えている眼。…自分の瞳にも、多分同じような火が点っているような気がする。…見られるのは、恥ずかしい。
武骨な手の平が、太股を撫で上げ、腰に触れた。
口づけを交わしている余裕がなくなり、息を喘がせながら、滑らかな太い首にしがみついて肩口に顔を埋め、愛撫に耐えた。
尻の肉が万力のような力で掴まれ、こね回されて、痛烈な痛みとない混ぜになった快感が、背筋を貫いて走り、体をわななかせた。
切れ切れに、喉の奥からせり上がって迸り出る声が、自分のものではないように感じる。
濡れた内臓から直接絞りだされているような、……どこか媚びを含んでいる、生々しい呻き声。…私はこういう声を出すのかあ…、とぼんやり考える。
……私は、ガッツさんの楽器。この人の手で、私の中の『女』を無理やりに引き摺り出されて、快楽の声の歌でうたわされている、かわいそうな小鳥。
声を上げながら、ねだるように腰を振って、ガッツさんの首筋の太い腱に舌を這わせ、肩に歯を立て、力一杯齧り付いた。堅い肉の歯応えに、噛みがいがある、と思う。
表皮から滲んだ血を舌で舐め取り、その濃密な味わいを堪能し、愉悦に耽る。
体が熱く火照り、全身が汗でぬるぬるした。汗とガッツさんの血で濡れた頬に、髪が張りいてまとわりつく。
大粒の汗の玉が、服の下で胸の中央を流れて滴り落ちてゆくのを感じた。
……服が、邪魔でしょうがなかった。手と顔の、服から露出しているほんの一部でしか、この人の体に直に触れられない。
直接、素肌をこの人の肌に擦りつけて、絡まり合いたい……。
……脱ぎたい。
服の釦に手を掛けかけてから、突然猛烈な羞恥が襲ってきて手を止めた。
…この人の前で?………自分から、服を脱いで、……裸に……、なるの?
……ガッツさんの前で、この人が何も言ってないのに、勝手に自分から服を脱ぎ出す私の姿を想像する。
顔が、泣きそうになった。
…………………やだー………。
………ガッツさんの前で、そんな事したら、私は恥ずかしくて、死ぬ。自決しかない。
絶対、絶対、絶っ対、いやっ。
この人に呆れ果てた顔されて、「淫乱」とか「ふしだら」って思われたら、私、生きていられないっ。
………ガッツさんは、今夢の中だから、気付かないなのかもしれないけど……でも、……それでも、嫌なのようっ。
一回自分から全裸になって全部見られてるけど…、…でも、あれはっ、とり憑いた悪霊のやらせたことなのっ。…ぜ、全部とは言い難いかもしれないけど、でも、ほとんど全部悪霊のせいなのっ。
第一っ、今の私は、あの頃の私とは、もう、違うのだものっ!
本当の本当の私はっ、うぶでいじらしい、清純派純情美少女なのっ!!…色情狂は、もう卒業したのよーっ。
……ガッツさんの前では、頬染めて恥じらう風情が愛らしい、うぶな乙女でいたいの……。
…乙女は、自分から男の人の前で服脱いだりは、きっと絶対にしない…………。
……ガッツさんになら…裸、見られてもいいけど…、てゆーか、触ってほしいけど、…でも、自分から脱ぐのは、……いやなのようーっ…。
……だって、恥ずかしいもの…………。
…………でも、服が、脱ぎたいの……………。
…本当に涙が滲んだ。
……「服を脱ぎたい」という衝動が、段々生理的欲求に近くなってきた。
……でも、無理。ガッツさんの前で絶対そんな事できない………。
…下着が濡れて、気持ちが悪かった。溢れた蜜の滴が下着の脇からこぼれて、太股を伝い、流れ落ちてゆく感触を、唇を噛み締めながらこらえる。
…濡れて熱く脈打っているその場所から、ほんの僅かな位置で、この人の手がズボンの厚い布地越しに、尻の肉を掴んでこね回している。
………直接、触って欲しくて、気が、狂いそう。
………ガッツさん、お尻じゃなくて、違うところも触って……、なんて口が裂けても言えない………。そんなの言うなら死んだ方がましだー……。
自分で触ろうか、と一瞬考えて慌てて打ち消す。……だってそんなの「淫乱」そのものじゃないー……。灯油被って焼身自殺モノだわ……。
両手がおかしな事をしないように、ガッツさんの首にしっかり回し、爪を立ててしがみついた。
厚い胸板に顔を埋めて、ひたすら耐えた。鼻先に立ち込める血の匂いが、体の奥で燃えている情欲の炎に油を注ぐ。
下腹部で煮え滾っている欲望が、もう苦痛に近かった。とろとろと燃える熾火で、火炙りに架けられているよう。飢えに身を灼かれて、焦がれ死にしそうだと思う。
喉から溢れる喘ぎ声と一緒に、涙がこぼれた。心の中でガッツさんに哀願する。
………触って、欲しい、の…。…お願い………。
この人の武骨な指で、その場所を押し広げられて、深く指を埋め込まれて、力いっぱい泣き叫びたい。
……苦しい。
……堪えているのが、本当に、もう、辛い。
太い首にしがみついて、すすり泣きながらガッツさんの耳元で「お願い」と囁いた。
お願い、お願い、と頬ずりして何度も繰り返しながら、頭のどこかで本末転倒してる…、とかすかに思う。
「ガッツさんの役に立ちたい」という健気な自己犠牲精神の発露だったはずが…、私、今、自分の欲望の事しか考えてない。
自分が気持ちよくなりたい、ばっかりで……、ガッツさんの事、考えてない。
……でも、だって、……男の人が、どういう風にされたら……気持ちいいのか、って……、私、知らないし………。
それに、こういう事って、……殿方の方が、万事何から何まですべて手取り足取り一から十までやってくれるものじゃあ、……ない…の、…かしら……?………もしかして、違うの?
……だってっ、…だって知らないのよっ、致命的にっ。
………男の人としたことないのに、わかるわけないじゃないのようー………。うえーんっ。
鞭の扱い方ならこの私の右に出る者はいないっ、って自信はあるけど、…でも、そんな知識があったところで、この場合何の役にも立たないしっ。
……もしもガッツさんにそーゆー方面の趣味があるのなら、私はいくらでもお役に立てるんだけど……。
うう…、マニアックな趣味を極める事に心血を注ぐ余り、普通の男女の営みについての情報を「穢らわしい」の一語で切って捨ててきた報いが、こんなところで祟るとは……。
自慢にもならないけれど、私が自慰に使った事があるのは焼死体か拷問風景だけよー。普通のは……「不潔」って思うから見たくも聞きたくもなかったわ……。
……だって、むかーしセルピコから拒絶された時の、諸々の、後々まで引き摺るにがーい屈辱絶望劣等感自己嫌悪憎悪慟哭その他、を思い出してしまうから……。
……だからっ、自分から服を脱ぐのは、絶っ対に、いやっ。あんな思い、もう、二度と、したく、ないっ。
……でも、何も知らないと、……自分がその「不潔」な事をするようになる時、……すごく、困るのね……。
………お母様に、殿方の愉しませ方を教わっておけば良かった……。
………ガッツさん、ごめんなさい……。私、やっぱり全然役には立てないのかも……。
……でも、……触っては、…欲しいの……。ごめんなさい、わがままで……。
突然、ガッツさんが低く唸りながら上椀のない左肘を軸にして、身を起こそうとした。
一瞬、首にすがりついていた私の上半身ごとガッツさんの肩が浮かび上がり、支え切れず、鈍い振動と共に再び寝台に沈んだ。
同時に、ぷつん、と弓の弦の切れたような小さな音が耳に飛び込んだ。
……煮えたぎっていた興奮が氷のように冷えた。
……聞き覚えのあるこの音をこの前聞いたのは、確かガッツさんが『グリフィス!』と叫んで無理やり起き上がろうとした時で………。
とても嫌な予感と共に、身を捩り、跨がっているガッツさんの身体に目を落とした。
………嫌な予感、大的中。
ガッツさんの腹部のあたりで、鮮やかな赤い色が小さな血溜まりを作っている。
……傷口を、縫合していた糸が、切れたのだ。
……しかも、私が薬を塗ってた時につい悪戯してしまった傷だ……。……もしかして、興奮して歯で縫合部を噛んで、糸が弱ってたり、……してたのかも、しれない。……記憶をまるで覚えていない自分自身が果てしなく怖い……。
……血の気が引いた。
……ちょっと、私、今いったい何をやってるの?
要安静の怪我人を、興奮させて怪我を悪化させて……喜んでてどーするのよーっ!?
気付けば私の服は、あちこち血まみれだ。…ガッツさんの体にまだ包帯も巻いてない。
……それに、なんだかガッツさんの肩に、……歯形が……、ついているわ……。……うっすらと噛んだような覚えは……あるから、やっぱり私よね、これ……。
………ごめんなさい、ガッツさん………。何かもう本当に申し訳なくて、どう詫びていいやら………。
体はまだ熱く茹だっていたけれど、自責の念が頭を冷ました。
とりあえず、跨がっているガッツさんの体の上からどこう、と思ったのだけれど、彼の腕がしっかり腰に巻きついていて離そうとしない。
……嬉しいけど、困る。……だって私、自分の理性に自信ない……。
……どうしよう、と思い惑っているうちに、再びガッツさんが唸りながら、気力で私を腕に抱えて身体を起こした。曲げた腹部の傷口から、また血液が溢れる。
ガッツさんの呼吸が、ふいごのように荒かった。右腕で、軽く私をひっくり返すと、私の上にのしかかり……。
……そして、
「………ちょっ、…と、タンマ……」
……と、呟いて、………力尽きたようにどさっ、と私の上にへたばった……。
<to be continue>
>>664、昼は百人斬りでも夜の方では前がバージン後が非処女だったんだよなw
ただ妙なのはスルーで頼む
学園物は個人的には又投下して欲しいが
ガツファルも超GJだよ 又しても寸止め、続きが気になり杉ハァハァ!!
もう一人の学園モノの人も来ないかな
学園編楽しかった。キャラが全員らしい!イイ! ピピンまでいて嬉しい〜。
薔薇の姫と騎士もなんつーか、この赤裸々おばかさんがもう、たまりませんわいなwww
薔薇の話が目に浮かぶなあ
やはりファルには暴走が良く似合う
676 :
名無しさん@ピンキー:2005/09/18(日) 04:03:29 ID:Rb1QiFdT
ファル粘着
薔薇の姫と騎士、自分はセルファル&ガツキャス派だが楽しい
爆走妄想特急なファルに毎回ワロスw
678 :
名無しさん@ピンキー:2005/09/18(日) 19:21:59 ID:Rb1QiFdT
そろそろファルが火でオナニーする頃だ
キャス派の自分も思わず萌えてしまう馬鹿可愛いファルGJ
680 :
名無しさん@ピンキー:2005/09/19(月) 05:08:36 ID:ZHdlXHhY
ファルは天然世間知らず馬鹿オナニー兄萌えクリトリス肥大化娘
可愛いよぉ!
681 :
572:2005/09/19(月) 23:33:31 ID:D0Si/nl2
>>647 地味に続き
「やれやれ、と」
深夜、やっと「ファルネーゼ様のお世話」等から解放された
セルピコ君は自室の勉強部屋にこもって
昼間DVDハンディカムで撮った映像を再生していた。
セルピコ君もお年頃、性少年向きのナニかを見るのかとおもいきや
画面に映し出されたのは鷹の羽学園フェンシング部の練習風景であった。
これがセルピコ君の「おかず」なのか?
早とちりしてはいけない。
ファルネーゼ様の「おかず」目的の他に
敵情視察もぬかりなく行っているのが彼である。
ちなみに彼の勉強部屋は勉強の参考書以外は
比較的マヂメでお堅い本ばかりである。
彼の部屋を掃除するヴァンディミオン家の使用人さん達は
セルピコ君の部屋やベッドの下で青少年向きエロ本その他を発見した事がない。
わかりやすいティッシュのゴミも無い。
「ああいう、一見真面目で大人しそうな子が
いきなり人を斬りつけたりするのよ」
比較的なにもわるい事はしていないのだが
彼の評判は聖鉄鎖学園でも世話になっているヴァンディミオン家でも
散々であった。
682 :
572:2005/09/19(月) 23:52:21 ID:D0Si/nl2
実はセルピコ君、一人の時間取れる事がなかなか難しいのだ。
たとえ深夜であってもファルネーゼ様に用を言いつけられて
パシリに出されたり、生徒会の運営などで散々こき使われている。
3DKの自室でほっとくつろげる時間がとれる様になったのは
ファルネーゼ様に「おかず」を提供するようになってからだった。
いつも激怒するものの、ファルネーゼ様はマッチョなガッツの半裸や
毛深いロデリックの半裸写真で一週間くらいはご飯何杯でもイケるらしい。
その間、夜は静かなものである。
前記述に「セルピコ君の自室は3DK」とあるが
ヴァンディミオン財閥の私邸からすればささやかなものだ。
ファルネーゼ様専用のお屋敷などかるく椿○荘規模の敷地に館で
さしものシロガネーゼも驚きのお金持ちっぷりである。
敷地内には林や川などもあり大富豪の面目躍如たる様相だが
小さい頃、ファルネーゼ様に、犬に追いかけ回されたり
川に突き落とされたりとセルピコ君にとってはあまり良い思い出がなかった。
683 :
572:2005/09/20(火) 00:04:12 ID:D0Si/nl2
セルピコ君がファルネーゼ様に「おかず」を提供する様になったのは
色気づいたファルネーゼ様に全裸で迫られた事件があったからだ。
性欲が一番強い時期の青少年からすれば
驚異の自制心でファルネーゼ様の誘いを拒否した
(ファルネーゼ様は知らないが半分血が繋がっている理由もある)セルピコ君
青少年的(;´Д`)ハァハァより
どうして自分に縁のある女性は廚ばかりなのだろうと
萎えてしまったのも理由の一つである。
『生の女性は母様とファルネーゼ様でお腹いっぱいです……』
セルピコ君の偽らざる心境である。
684 :
572:2005/09/20(火) 00:08:48 ID:/bT+03vz
当のファルネーゼ様はガッツのマッチョ半裸写真や
ロデリックの生写真で散々
(*´Д`)ハァハァ/lァ/lァ/ヽァ/ヽァ
(*´Д`*)アアッ・・・・
堪能した後、虚しくなって
「セルピコが悪いのよーっ!」
と号泣するのがいつものパターンであった………。
685 :
572:2005/09/20(火) 01:00:59 ID:/bT+03vz
さて、当初のセルピコ君が鷹の羽学園のフェンシング部の
練習風景の映像から対鷹の羽フェンシング部戦略を練る場面へ戻ろう。
「この方が主将のグリフィスさんですか……」
液晶TVの画面(36インチ)には美しい銀髪を軽やかに揺らせて
華麗に相手を翻弄するグリフィスの姿が映し出されていた。
一度ならず練習相手の両手剣の上に乗る、という驚異的な
荒技も見せてくれた。
「我流の太刀筋ですね。よくもここまで腕を磨いたものです。
得物はサーベルか……。僕のレイピアでなんとかなるかな…」
次は今回の無差別級フェンシング大会で密かに
優勝候補とされているガッツの手合わせ場面である。
画面の中のガッツは長さ2mもあろうかと思われる
幅広の両手剣、通称「ドラゴン殺し」をかまえている。
「いやっー!」
ばっちーん。
気合い虚しく、相手はドラゴン殺しの平たい部分でぶん殴られていた。
「おう、ガッツ。俺も手合わせ頼むぜ!」
「おう、かかってこい!」
だまし討ちのコルカスもばっちーんと引っぱたかれて平たくなっていた。
「俺も頼むぜ」
「よし、来いよ」
投げナイフの達人ジュドーも、ナイフはガッツの鎧を貫通できず
やはりばっちーんであった。
無言でモルゲンステルンで挑んだ巨漢のピピンもばっちーんであった。
「やっぱりガッツにゃかなわないぜ。
なにせ百人斬りだもんな」
「はっ、お世辞はよせよ」
「飲め」
ピピンがポカリスエットを差し出した。
部活動の後は和やかに語らう鷹の団とその仲間達の姿があった……。
「……………」
ドラゴン殺しはいくらなんでも反則だろうとセルピコ君は思ったが
無差別級という事で協会も承認しているらしいのだから仕方がない。
ちょっと気が重くなるセルピコ君であった。
薔薇の〜、こんなヤツに看護人させるなーっ、と笑ったw。
ファルは流血のナイチンゲールだw。
687 :
名無しさん@ピンキー:2005/09/20(火) 17:48:06 ID:vFlReyUt
ドラゴン殺しとフェンシングの剣て…
ファルねぇちゃんのハァハァはいつ見ても爆笑
688 :
572:2005/09/22(木) 01:15:02 ID:E9xRrZe1
>>685 続き
この私立聖鉄鎖高校と鷹の羽学園のある都市を紹介しておこう。
若獣市というちょっと珍しい名前の市であるが
小さい市であるにも関わらず、ストリートファイトで有名な地域でもあった。
鷹の団が幅をきかす隣の地区では
エア○スターという有名な女性のストリートファイターがその名を轟かせていた。
そしてその隣の地区には神代ユウという不良狩りで有名なストリートファイターいた。
他に有名な人物に
ひときわ目立つマンションにはふたりでえっちで頭が一杯の
有名な夫婦が住んでいたし
中年で妄想が暴走する編集社契約社員や
女装趣味でナルシストの男子高校生
時々、純情なダッチワイフロボットが徘徊し
職業・殺し屋も存在するらしい
荒れた都市の様だがそれぞれ接点はなかった
>>688 若獣市w
コスプレ探偵や拳闘士の少年、サンタに貰った妹とかもいるねw
690 :
572:2005/09/22(木) 23:15:03 ID:KkUSC/cu
>>687 続き
若獣市の所在は日本(?)らしいのだが
鷹の羽学園や聖鉄鎖高校には何故か外人が多い
インターナショナルスクールみたいな学校なのかもしれない
また馬で登校してくる生徒も両高校かなりいる
魁!ク○マ○ィ高校を笑えない現実がここにあった
そして驚くべき事に、この若獣市から古代ローマの拳闘場の遺跡が発掘されている。
生ける伝説女神として名高い美貌のポッパエアのサビーナや
歳若い拳闘奴セスタスという人物の名前が判別している
ベスビオ火山の噴火で壊滅したポンペイに酷似した
それもローマ帝国の遺跡が何故この場所にあるのかは
今後の調査の結果を待たなければならないだろう
ちなみに浮気の調査やストーカー夫と別れたい時などは
お手頃価格の探偵事務所があるのでそこをご利用されたい
馬登校は校則で許可されてんだろうかw
最寄駅より徒歩一時間以上の距離の者は馬通学可、とか。
乱暴者ばっかり住んでるな、若獣市。
「ガッツ×ファル」の続きです。
>>672 から。
…ごめん、まだ終わらないです…。
読んでくれる方、ありがとう、と思うし、コメント、反応くださった方、ありがとうと思う。感謝。
ガッツ×キャスカも好きなので、同志発見して嬉しいw
………………。
ガッツさんは、私の顔の真横で枕に顔を突っ伏して、肩を大きく上下させて荒く息を吐いている。熱を帯びた彼の体が、私の上にぴったりと重なり、下敷きにして横たわっている。…重い。…ガッツさんの体の重み、と思うとちょっと嬉しい。重いけど。
……ガッツさん、今、私に……声、かけたよね?聞き間違いじゃないわよね?
……ガッツさん、目が、……覚めてるの?
「……あの、ガッツさん?」
おそるおそる声をかけた。……返事なし。せわしない呼吸の音だけが響く。……返事、できないのかも。
……上半身に座りこんでる人間ごと起き上がるのは…体力消耗するのかもしれないけど、…でも上に乗っかってた私って、……そんなに、……重かったのかしら。
…いえ、きっとガッツさんが、怪我で体力が落ちているから辛かったのよ…。…お願い、ガッツさん、そう言って……。
体にずっしりと伸し掛かるこの人の重みを感じながら、ふと、ガッツさんが私のお布団になってくれたらいいな、と考える。
夏場だと…暑苦しそうだけど、秋冬だったらこの人の体って、温かくてぬくぬくできて、心地いい。持ち運びもしなくていいし。…ガッツさん、眠る時だけ鎧脱いで私のお布団やってくれないかな。鎧付きだったら…さすがに重さで死ぬから遠慮したいけど。
…バカな事考えてる場合じゃなくて、と。
再び、どうしよう……、と考える。
とりあえず、ガッツさんの腹部の開いた傷口が気になる。シールケさん及び妖精さんお二方の内一方を呼んできて、治療をお願いしないと。…でも、ガッツさんにどいてもらえないと、動けないし…。
お腹の方…、といえば、さっきから私のズボンの布越しに、太股に何か堅くて熱いものが触れているのが気になった。何だろう、コレ?
ガッツさんのお腹の辺りに何か変な物があるみたい。
……棒、みたいな形だけど、でもそんなもの、別に私もガッツさんも持ってなかったし、棒にしたら妙に生温かくて……なんか脈打ってるような………。
………………………。
大音声の悲鳴をあげそうになって、慌てて両手で口をしっかりと押さえ付けた。
……コレって、…つまりつまり、………男の人のアレ、なの!?コレ!?
猛烈な恥ずかしさで顔から火が吹き出しそうになった。
体を捩って押し付けられているそれから、身を離そうと試みるけれど、上に乗っているガッツさんの体がぴったり重なっているので離せる隙間が、…ない。
いったん意識してしまうと、かえって太股にまざまざと押し付けられているそれの感触や形をはっきり感じてしまう。これって、ガッツさんについてるあれ……。
うわーっ、そんな事考えるな、私っ。恥知らずっ、最低っ。
……自分のはしたなさに、涙が滲む。
……やだやだやだやだっ。……恥ずかしい…、…恥ずかしくて死にそう……。
……確か男女の秘め事、って……、…これを、…私に、……入れるのよね……。……入るのかな、これ……。
って、なんてこと私は考えてるのよーっ。うわーんっ。
……なんでこんなやかましいんだ、私、と歯形のついてるガッツさんの肩に、涙ぐむ顔を押しつけながら思う。……変な事考えてたら、また、濡れてきた……。…困る。
漠然と『奪われたい』と頭の中で考えてる事と、男の人の生の肉体に直に触れるのとは、……かなーり、……違ってるのかも……。
男の人(生)との遭遇は……羞恥心との絶え間ない壮絶な戦いのよーな気がするわ…。
……だから、今は、そーゆー種類の事考えてる場合じゃなくってっ。私はガッツさんの看護をしている人なのだから、ガッツさんの健康を第一に考えましょう…。
「…あの、ガッツさん?申し訳ないのだけど…、どいて、もらえないでしょうか?」
鼓動の高鳴りを押さえつけて、枕に顔を埋めて喘いでいるガッツさんの耳元に囁いた。
「……そんなに、急かすなって」
あ、ちゃんと返事が来たっ、と思った瞬間耳にキスされた。熱い呼気と生暖かい舌が耳朶を這い、大きな手が私の胸元をまさぐる。……うわっ、駄目だっ。…そんな事されたら、私……、……また、変な…気持ちに………。
「……ちょ、ちょっと、ガッツさんっ」
「……ちゃんと……して、やるから……」
興奮気味のかすれた声が、耳に吹き込まれた。
ずきーん、と心臓と体の奥に響いた。…ちょっと、ぐらっと来る。…私、この人の声のレパートリーって「怒鳴る、脅す、普通に喋る」の三種類しか知らないもの。……今日は、新発見多いなあ……。
ところで、目が覚めてるのか、覚めてないのか、どっちなんだろう、この人。
『お願い』→『してやる』は…文脈的に通じちゃってるなー、と顔を赤らめつつ思う。
……喜ぶな、私。
服の上から胸を揉まれて、はしたない声がこぼれた。
「…ダメ、……ダメです、……やめて……」
言葉とはうらはらに、声が甘く震えてうわずった。
『…たっ、たのしいっ』と、ガッツさんの首に腕を回して、逞しい肩に顔を伏せつつ、思わず呟いてしまう。わーいっ、なんだかいかにも、殿方から強引に求愛されて、困惑して戸惑い恥じらう乙女の台詞だー。とっても新鮮な経験……。もっと言いたい……。
…だって、私…、自分から男性に迫った経験はあっても、迫られた経験なんて…。
………………皆無だもの…。
…フッ。……我ながら、辛く寂しく悲しい青春時代を送ってしまったわね…。
「…ダメ……、ダメです、…いけないわ、こんな事……。……ダメよ……」
思い切りノリノリ気分で、目を閉じてガッツさんにしがみつきながら催促すると、私の耳元で、熱っぽい声が囁きかけた。
「………キャスカ……」
………………………………脱力。
………いえ、どうせそうだろうなー、とは思ってましたが。…おかげで、ちゃんと、醒めました……。
溜め息を一つついて、ガッツさんの頭を撫でた。…なでなで。キャスカさんより髪質硬いな、この人。
身長差を考えると、この人の頭撫でるのって普段は絶対できない事だなー、と思いながら、私の首舐めて胸揉んでるガッツさんに話しかける。
「ガッツさん、興奮すると体に良くないです。お怪我に障ります。…続きは、また、元気になった時にでも…」
返事の代わりに、胸を揉む手の力が強くなった。思わず喘ぎ声が洩れて、顔をのけぞらせる。…反則だーっ、ってちょっと思う。…何も喋れなくなっちゃうじゃない。
胸を探る手にかすれた吐息を洩らしながら、そっとガッツさんの顔を盗み見た。左目も閉じてる、思い詰めたような、かなりコワイ顔。……困った。…ハンサムに見えてしまう…。……私の目の錯覚なのかな…。他の人に聞いて確かめてみたい……。
…この人、興味無いことは脳内変換して違う言葉に聞こえてるのかも。
まるきり無視されて、いない人みたいに扱われるよりも、遥かにましだけど…、やっぱり意思の疎通はできないみたいだなあ…。…別の方向の、交流なら、……なんかできちゃってるみたいだけど。舌絡めたら、ちゃんと絡め返してくれたし。
……どうしよう、本当に。『どいて下さい』って言っても、どいてもらえないし……。
ガッツさんの体の下敷きにされてると、動けないしなあ……。…重い…。
私の喉に触れるガッツさんの息づかいが、獣めいて荒い。熱い舌が肌の上を這い、鋭い犬歯が喉首をかすめて、ぞくっとする。大型の肉食獣に伸し掛かられたら、こんな気分かしら。
……もしも、今、ガッツさんが私の喉笛を喰い千切る気になったら…、きっと、すごく簡単だろうな、と、ふと思う。
がぶっ。ざくっ。……どくどくどく。
私に伸し掛かって喉笛から肉を噛みちぎって咀嚼し、血を啜るこの人の姿を想像する。…くらっと頭が痺れるような恍惚を感じる。
…美味しいと、思ってくれるかな。私はこの人の血の味、美味しかったけど。
ガッツさんにバリバリ食べられちゃったら、どんな感じがするだろう。…骨まで残さず、きれいに食べてくれそうな気は、する。この人、体格大きいから健啖家だし。
ガッツさんの脇腹からの出血が、私のズボンを生温かく濡らしているのを感じた。…止血しないと、多分とてもマズいような……。
…それから、…太股に触れている…例の物体が、……なんか、さっきより、…大きくなってるよーな、気が、するわ…。……本当に入るのかな、コレ。……ああ、頬染めて恥じらう乙女が遠くなってゆく…。
ガッツさん、傷、痛くないのかしら?さっきも苦しそうだったし。
…よく考えたら、折れた肋骨の上に私が乗っかってるより、私が下の方が楽なのかもしれない。…ガッツさん、ごめんなさいね…。全然気にせずに体重かけてしまってたわ…。
…満身創痍の血まみれ状態でも、男の人って……したいと思うものなのかな…?
…この状態で…男女の行いをするのって、どう考えても開いた傷口が更に開きそうと思うんだけど…。
……血が、もったいないな、という、いけない考えが頭をかすめる。無駄に垂れ流してしまうのなら、……私に、くれてもいいんじゃないかしら、とちらっと思う。
…いえ、冗談です。私は真面目に看病する人です、もう言いません……。
私の胸を揉んでいた大きな手が、服の釦にかかった。外すのが面倒なのか、そのまま釦を毟り取るぶちっ、という音が聞こえた。
うっ。……ガッツさん、ちょっとそれは心の底から本気で真剣にかなりものすごくやめて欲しいっ。この服は旅の間の一張羅なので、着られなくされる訳にいかないのよー。
いつだったか、イシドロさんの服を洗濯の際にぼろぼろにしてしまった事が頭に浮かんだ。
……ごめんなさい、イシドロさん、…実は、あの時『貴族の私に、なんて偉そうな口叩きやがるのかしら、このくそがきっ』……って、内心思っていたせいで、…つい、洗濯する手に力を込めてしまっていたの……。
ごめんなさいね…、『俺の一張羅がっ』と嘆くあなたを見て、本当はちょっと『ざまみろ』と思っていた事を、今は心から本気で謝罪するわ…。
…とりあえず、ガッツさんの手による衣服の破損が広がらないうちに、と思って慌てて服の釦を自分で外した。
…一応、念のため、下のシャツの釦と、…腰のベルトも、外しといた方がいいかなー、と思って外す。…ちょっと、ドキドキする…。ズボン下ろすのは…態勢的に無理かな。…腰の結び紐だけ、解いとこう……。
…べ、別に変な事は考えてないわよー。だって、もし万が一ガッツさんが脱がせる代わりに面倒くさがって破られたりしたら…、……最悪じゃない。この人…やりそうだし。
それにガッツさん、片方しか手がないのって、何かと不便だろうから…、殿方のプライドを傷つけないように、控え目にさりげなく手助けする事が…、婦徳の嗜み、とゆーものじゃないかしら。
『恥じらい』とう単語が一瞬頭をかすめる。…でも、恥じらってたら、ガッツさんに服ボロボロにされる可能性大。…それは、絶対に困る。着れる服がなくなったら、もっと恥ずかしい目に会うのは私だっ。
シャツの釦を外す途中で、ガッツさんの右手と私の手がぶつかった。
一瞬どきっとする。……どう、思われちゃったろう…。『淫乱』とか『ふしだら』って…思ったかしら?…ガッツさんの顔が、下向いてるせいで、よくわからない。
たいして気に留めた風もなく、ガッツさんの右手が前の開いた服の下に潜り込んだ。
薄い乳房を大きな手の平で直接握り締められ、触れられた皮膚の上から、体の奥に電流が流れたような気がした。親指の腹で乳頭をこすられて鋭い快感が走る。
甘い悲鳴が喉から転がり出た。私の胸元に顔を降ろすガッツさんの頭を、すがりつくように両腕に掻き抱き、目を閉じて身体をしならせ、与えられる痛みと快感に耐える。
…この人のやり方って、乱暴で…痛くて…、……痛いことされるのが、……私って、やっぱり好きなんだなあ…と、なんだか改めて確認してしまう。
歌うように悲鳴を上げながら、『……なにか、なし崩し的に、流されていってない、私?』、とゆう疑問が頭をかすめた。ガッツさんを止めなきゃいけないんだけど……、なんだか段々どうでもよくなりつつあるような…。
…どうでもいい、とゆうのはとてもマズイと思うんだけど。真面目に看護する人として。
…でもガッツさん、いつも流血沙汰に慣れてる人だし…、少しぐらいの間なら、なんとかなるんじゃないかしらー、という後ろめたい自己正当化の声が頭の片隅で囁く。
終わった後で、すぐにシールケさんを呼びに行けばいいんだし……。
え?何が終わった後かって?……それは、その……、つまり…、いろいろと……。
…えっと、私は頬染めて恥じらう清純派乙女だから、そーゆー事って、言いにくいなあ……。えへへ。
…だって、ガッツさんが私の事離してくれないんだし……。せっかく無理してまで起きて、『ちゃんとしてやる』て言って下さってる好意を無にするのも悪いし……。
…………ガッツさんの『ちゃんと』って……どんなのかな……。……濃そう。体力持つかな、この人。私のために、ちょっとの間だけ倒れずに頑張ってくれると嬉しいな……。
…訂正。今のはなし。
…私はうぶで奥手で何も知らない、いたいけな純情清純派(美)少女っ。
…だって、しょうがないじゃない、とガッツさんの髪を撫でながら、自分で自分に言い聞かせる。
言っても聞こえないんだし、この人を押し退けるような力なんて私にはないのだし。抵抗は…全然せずに、ちょっと協力しちゃってる気もしないでもないけど、どうせ私の腕力じゃ、ガッツさんに抗うだけ無駄だろうし……。
…だから、やめさせたくても、やめさせようがないのよ、しょうがないの……。
私が嫌がってるのに、ガッツさんが『どうしても』って言って、無理やり強引に……。
…………嘘。
……ごめんなさい、嘘です。一度でいいから、ちょっと言ってみたかったの、「ガッツさんが、嫌がる私を無理やり強引に…」って。
私のことが、好きで好きでしょうがなくって、無理やり、私の体を強引に求めるガッツさん、が……いたら、いいなあ、って、ずーっと思ってたから。
ごめんね、ガッツさん、私は全然イヤじゃないからね、頭、撫でてあげるから、許してね。
私に捕縛されたガッツさんが脱走した時、人質に私を連れて拉ったのは…、本当の本当は、私に一目惚れをして、自分のものにしたかったから、…あなたは私を腕に抱いて拉って行ったんだ…って、思いたかったの。…昔、初恋の男に頼んでも、やってはくれなかった事。
…本当は、私、あそこに…居場所、なかった。部下はみんな、私の事嫌って、陰でこそこそ悪口言ってた。「お飾りの癖に偉そう」「女のくせに」って。
「無理がある」ってガッツさんから言われたけど、…私、無理してた。…辛かった。
…だから、ガッツさんは、そんな嫌な場所に私を置き去りにするのが忍びなかったの。
…それから、尋問の途中で私に起こりかけてた感情を、嗅ぎ取って、……あなたも、私に欲望を覚えた。…誰も邪魔の入らない場所で、私と続きがしたくて……拉った。
…そういう、私に都合のいい夢想に、時々、こっそり耽ってた。
何故ってその時の、あなたとの悪夢と恐怖の一夜が、…最初に、私の心を奪ったから。
あの時、暗闇から襲いかかって来るどんな怪物よりも、…私は、あなたが一番恐ろしかった。
尋問であなたを鞭打っていた時、私は、あなたを、服従させたかった。…途中から、取り調べの事なんて、どうでもよくなった。どちらが強者でどちらが弱者かを、あなたに分からせる事の方が私には重大になって、…必死になった。
…あなたは、私に、仕返しに同じ事をしたかっただけ…、じゃなかったのかしら。
あなたが私を連れ拉ったのは、私があなたを追う理由を聞きたいからだ、ってあなたは言ってたけど…、…それ、ただの言い訳、だと思う。
…だって、私が喋らなくても、あなたは無理に聞き出そうとはまるでしなかったから。…本当に聞きたい事がある時は、ガッツさんは、人の口にナイフ突っ込んで質問する人です。
……あなたは、尋ねたい事よりも、むしろ、私の意志を、あなたの意志で叩き折る事の方に熱心だったと思う。
私が無力な弱者で、あなたが強者だと、…私は、あなたに叩き込まれ、教え込まれた。
…私の心は、あなたに打ちのめされ、無理やりに、あなたに従わさせられた。…あなたは、逃げ出そうとする私を決して許さず、おぞましい悪夢を見せつけるように、嫌がる私の目の前にそれらを突き付けて、正視させた。
あなたは冷笑しながら、恐怖という武器で私を怯えさせ、私の信仰を嘲笑し、プライドをへし折り、屈伏させるのを……好きで楽しんでやってるようにしか、見えなかった。
私の身体には、あなたは、何一つ淫らな真似はしなかったけれど……、あなたの存在に力尽くでねじ伏せられ、服従させられ、あなたの意志を押しつけられて……私の精神は、確かにその時、……あなたの心に侵され、凌辱されていた。
……そういう仕打ちを私に与えるあなたに……私は慄き、恐れて怯え、思考が麻痺して血が凍りつき、恐怖で心に亀裂が走り、…自分が二つに引き裂かれるような気がした。
そして、朝の曙光の射す空の下で、……私を凌辱し終わって、獣のように息を荒げて空を仰ぐあなたの姿に……私は、………魅了されていた。
圧倒的な強者のあなたの前に、弱者として跪いて地にひれ伏し敗北する、たとえようもない恍惚感が、私を満たし、……打ち砕いた。
引き裂かれた私の心の半分は、あなたを恐れて、あなたから逃げ出したいと願った。
……もう半分は、……あなたから、愛されたい、と震えながら願った。
返り血に染まったあなたの姿は、私の瞳に、魅力的な異性の姿として映り……体の奥に、欲望の疼きを感じた。
……もう一度、あなたから、同じ仕打ちを与えられたいと思った。
……心だけでなく、肉体も、あなたの剣に引き裂かれたいと願った。
………心は、もう、あなたの剣で引き裂かれて二つに別れ、以前の私とは同じではなかったから。
片方は私の信仰と秩序、もう片方は私の肉欲。
その二つは、今までは捩れて寄り合わせた綱のように、私の中では同じ一つのものだった。
でも、私を纏めていたその綱は、あなたの剣で二つに断ち切られ、私の中で、分離した。
私の信仰と、私の肉欲が、互いが互いを罵倒し、否定し合う喧しい声が私の頭の中を反響し…、その喧騒の擾乱は、堪え難い程に私を苦しめた。
私の信仰は、あなたに怯え、逃げて隠れたいと願い…、私の肉欲は、……まっすぐに、あなたを……求めた。
あなたの暴力で身体の隅々まで支配され、有無を言わせない強い力で、乱暴に手荒く扱われ、痺れるような恐怖を感じながら無理やりに屈伏させられる、……その快楽を、あなたの肉体と私の肉体を繋げて、……共に、別ち合いたいと、その時、願った。
あなたが私から去った後、…私は、すべて忘れようとした。
あなたの存在も、あの時の怪異も、すべて現実ではない、幻だと、思い込もうとした。
正気を疑いたくなるような自分自身の姿を、……一番忘れたかった。……記憶から消滅させて、最初から存在しなかった出来事だと、…そう、思いたかった。
夜毎、あなたの夢を見た。……うっとりするほど、おぞましくて恐ろしい悪夢。
…悪夢の中で、逃げ惑う私を捕らえ、押さえつけ、伸し掛かって来る暗闇の怪物は…あなただった。……あなたに力尽くで体を犯され、息絶えるような思いを嘗めさせられる昏い夢に、……夜毎、私は…、焦がされ、身を灼かれ、………溺れた。
私の夢を訪れるあなたを、骨の髄まで恐怖して怯え、暗闇の中を、追いかけるあなたから必死で逃げようと走りながら、鼓動が…、熱く高鳴るのを覚えた。
……夢でしか会えないあなたが遂に私に追いつき、私の腕を掴んであなたの逞しい肉体に抱き寄せて……、引き裂かれる苦痛と屈辱と抱擁と接吻に、…恐怖は溶けて崩れて陶酔へと変り、私の心を満たして征服し……、
快楽の声ですすり泣きながら、私はあなたに許しを乞い、縋りついて哀願する事に、……幸福を、感じた。
…目覚めて、あなたの抱擁が夢だと知ると、滲んだ汗を拭い、どっと安堵すると同時に、……熱い涙が溢れて頬を濡らし、言いようのない寂しさと悲しみと痛みを覚えた。
…心の深い場所で、現実のあなたに、また、もう一度会いたい、と……胸が壊れそうな程、強く願っている私が、…そこにいた。
…もしも、あの時のあなたが、私に欲望を覚えたから辱めて、…私を力尽くで服従させる事が、あなたの愛し方だったのではないか、と夢想すると……、…息が止まりそうなほど甘美で、激しい情熱の奮りと、恐怖が……、私の胸を灼き尽くして炎上した。
……あなたが怖かった。
…私を、まるで私の知らない私に、造り変えてしまう力を持ったあなたを、私は恐れて逃げ出して隠れたいと願い…、同時に亀裂の入った心の奥底で、私を変えて欲しいと切実に祈っていた。
最初に出会ったあなたは、私に暗闇を突きつけ、…次に再会した時は、暗闇を照らす炬火を、私に与えてくれた。
死にたくないなら、自分で戦え、と…あなたは私に言った。
……何故、この男は、…私に言葉をくれるのだろう、と座り込んであなたを見上げながら思っていた。何故、守る理由も縁もまるでない私に、襲いかかった怪物を、あなたはその大剣で守ったのだろうか、と。
……私に向けて放たれた、あなたの言葉。
「生き残るぞ」とあなたは私に言った。
それでは、あなたの中に私の存在は、あるのだろうか、と思った。
それが、例え僅かなかけらであっても、生きようが死のうがどうでもいい、無関心な存在ではなく、私は……あなたにとって、共に、生き残りたいと、思える存在なのか、と。
……私は、生き延びたかった。
塔が崩れて何も彼もが崩壊して。
私の手の届かない所へ遠く去って行ってしまうあなたを見た時、「追わなければ」という衝動が私を突き動かした。
…その衝動が、あんなにも私の心を縛り付けていた、家名の重荷と…父に、称賛され、認められたいという無駄な願いを、…投げ捨てさせた。
聖なる鉄の鎖に縛りつけられた、聖なる乙女。……お飾りのお人形さんの、騎士団長。
…私を、その場所に置いて据えたのは、父だった。
流刑地の修道院から呼び戻され、父と家に貢献する役割を与えられた時、……父に、もう二度と見捨てられたくなくて、私は…必死だった。
……父から見捨てられ、その庇護を失えば、私は、生きてはいけないと……心の何処かで思っていた。
髪をきりきりと引き結び、慣れぬ男言葉を口にして、剣を手にし、鎧兜に身を包んで。
…それは、私が父に認められて、その愛情を得たくて、必死で身に纏い、着こなそうとしていた、鉄の鎖に覆われた、私の自由を許さない、……拘束具としての鎧だった。
……私の鎖を断ち切ったのは、あなたが振るった剣。
あなたの跡を追う、と決めた時、私が最初に捨てたのは、その鎧だった。
ヴァンデミオン家の紋章で飾られた鎧。…それは、私には、もう、いらないものだったから。
父の庇護と支配がなくても、生き延びられる者に、……私は、なりたかった。
あなたから貰った灯は、かすれそうな程小さかったけれど、確かに私の胸のなかで揺れていた。その灯をたよりに、私はあなたの跡を追ったの。
……あなたが去るのなら、私から、あなたの場所へ辿り着こうと思った。
どこまででも、地の果てまでも、あなたを追いかけて、あなたについて行こう、と。
一人、暗闇に立ち向かうあなたの後ろ姿は、…私には、孤高の存在に思えた。
私が想い焦がれるあなたは、…名前や、しがらみや、弱さを……持たない人だった。
あなたを追って旅をする間、…無意味な夢と知りつつ、どこかで私は夢見てた。
……私の事を、本当は心の底のどこかで愛している……孤独な「黒い剣士」。
……でも、そんな人は、…いない。
「黒い剣士」は、あなたの一面の顔であっても、総てではない。あなたには、名前もあれば、過去と現在のしがらみもあり……、弱さも、やっぱり持っている。…私の事も、愛してないし。
……いるのは、キャスカさんの事が、好きでしょうがない、……ガッツさん。
胸の谷間、と呼ぶにはかなり微妙な私の谷間を、ガッツさんの鼻先がくすぐる。…くすぐったい。
ガッツさんの頭髪を両手で梳いて撫でながら、「もっと」と小さく呟いた。この人の舌がもう片方の乳房を這う、濡れた熱い感触を、目を閉じて震えながら味わう。あなたの額から落ちた汗の滴が、私の乳房の上に滴り落ちる。
ガッツさんに、こういう風に身体を触られるのは、…嬉しい。ただ単に、ひたすら、無条件に嬉しい。泣きたくなるぐらいに。
ガッツさんが今考えてるのはキャスカさんの事だと思うけど、…じゃあガッツさんも心の中で、今嬉しいだろうなあ、って思うと、やっぱり嬉しい。
……好きな人の身体と触れ合って、相手が喜んでくれる事は、…涙がこぼれるくらいに嬉しい。
嬉しい理由は……好きだから。ただそれだけ。
キャスカさんのことが好きな、そのままのあなたが、…私は好き。
……だから、一度くらいは、私のわがまま…聞いて欲しいな、って思うの。
<to be continue>
ファルネーゼの思考がえらく乙女チックですな。
なんだか彼女の主観では、ガッツの周りに薔薇の花が咲き乱れていそうなw
続き期待してます。
ああああああああ可愛いー 切ないー
702 :
572:2005/09/25(日) 23:28:52 ID:4afhpuSJ
703 :
572:2005/09/25(日) 23:42:10 ID:4afhpuSJ
実はセルピコ君の地顔は周囲に金の粉をふりかけた様な
超絶美形王子様顔なのであった。
しかし彼が普段、糸目地味顔でいるのは彼の人生が苦労続きだったからだ。
この若獣市ベルセルク区は、ほものおじ様がうようよいるのだ。
幼少の頃生活苦に苦しめられた、ファルネーゼ様に拾われたものの
鞭でしばかれたり川に突き落とされたりしたうえ
ほものおじ様に目をつけられておかままで掘られるなんてまっぴらです。
普段の地味顔は、その為の自衛手段であった。
時々、一人で安心した時など、つい金髪の眩しい
王子様系イケメンが出てしまう。
「でも僕、本当に御館様の隠し子なんでしょうか?
御館様はもとより義理の兄上達にも顔は似てないし…。
母様にいたっては人外レベルだったもんなあ」
セルピコ君の哀しい述懐であった…。
704 :
572:2005/09/26(月) 00:02:10 ID:4afhpuSJ
「……」
さして楽しい事もなかった思い出にふけっていたセルピコ君だが
自室に誰か忍び込んでくる微かな気配を感じ取っていた。
今、深夜AM2:00
セルピコ君が後ろも振り向かずペーパーナイフを投げつけたのと
ファルネーゼ様の小さな悲鳴があがったのは同時だった。
「どうなさったんです?こんな夜中にご婦人が男の部屋へくるなんて」
入り口の壁に突き刺さったペーパーナイフの横で
ファルネーゼは怯えて立ちすくんでいた。
服装はといえば白いレースのネグリジュに
ガウンを羽織っただけという無防備な格好である。
そんな扇情的なシチュエーションでも青少年的(;´Д`)ハァハァな
激情が湧いて出てこないのが彼であった。
「恥を忍んでやっとここへ来たのよ。
もう私、あんな虚しい事に耐えられない!」
「?」
確かに今日のファルネーゼ様は様子が違う。
いつもだったら夜でも呼びつけて
「ロ○エを買ってこい」などパシリにされるが常だったからだ。
705 :
572:2005/09/26(月) 00:27:15 ID:LoExPLae
「もう妄想で '`ァ,、ァ(*´Д`*)'`ァ,、ァ するだけの夜なんて耐えられないわ。
一番好きな人とじゃなくてもいい。
せめて初恋の人といたしたいの。
セルピコ、お前はこんな私を軽蔑してるわね……。
でもあの時は愚かなりに真剣だったのよ!」
……僕は何番目くらいなのかな?
ファルネーゼに抱きつかれたセルピコ君は頭の隅でそう考えた。
「ファルネーゼ様、早まってはいけません。
ロデリック様とご結婚の暁には『ふた○エッチ』の様な
めくるめく新婚生活がまっています」
「あんなサルみたいなえっちは嫌ーっ!」
「セフレだったらみたむらさんでも呼んで…」
「私がいくら愚かで罪深い女でも、あんなのは嫌ーっ!
私に自殺しろって言うの!?
なんだかんだ言ったって、女は若くて綺麗な男の方が
断然いいに決まってるでしょ!?」
706 :
572:2005/09/26(月) 01:22:59 ID:LoExPLae
ファルネーゼ様のそれなりに真剣な様子にも
セルピコ君はクールに『僕って都合のいい男なんですね……』と思った。
でもガッツさんやロデリック様と先に「いたされる」よりはいいかな……。
「わかりました。
ファルネーゼ様のお望みのとおり
今夜は嫌というほどお相手して差し上げます」
「えっ?ほんとう??。」
またセルピコ君の周囲が金色に光り輝いた。
背景に星や花くらい飛んでたかもしれない。
地顔の超絶美形王子様顔になったセルピコ君は
ファルネーゼ様をぐっと抱き寄せた。
「セルピコ…私、嬉しい…?。」
ファルネーゼ様はセルピコ君の超絶美形王子様顔は
セルピコとは「こういう顔」と免疫があるのであまり有り難味は感じていない様子である。
下々ではめったにお目にかかれない
とんでもないレベルの美形男子なのだが
今のファルネーゼ様は「いたせる」方に感激しているご様子である。
「…生の男は怖いものですよ……」
そんなセルピコ君の台詞にも、ファルネーゼ様の目は「はぁ〜と」であった…。
キョロキョロ
∧_∧ ∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
≡(・∀・;≡;・∀・)< どうしよう…こんな所でうんこがしたくなっちゃったよ…
( ) \__________
人 Y
し(_)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ラッキー
∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(* ・∀・)< と思ったらこんなところに便器があるじゃん♪
/, つ \_____________
(_(_, )
ブリブリ 人しし' ∬ もわ〜
∬ (;;:::.:.__.;) ∬ もわ〜
∬ (;;:_:.__〃⌒.),, ママァァァァァァァァ・・・ 臭ぃぃぃぃぃっぃイイ!!!!!!!
(;;;:::.:.. .:;/⌒つ*´д`)つ
>>706 い、い、いい所でッ!!
続き'`ァ,、ァ(*´Д`*)'`ァ,、ァしながら待ってます
セフレがみたむらくん。
…ピコ、それはなんぼなんでも、あんまりやー、と思ったw
だだこねてるファルが可愛い…。
ピコの「都合のいい男」が…本当にそうだね、君…、ってしみじみと思った。
セルピコ、後光が刺す神々しい美形かーwお賽銭投げねば。
言われてみると、ピコって、父母と似てない。彼の遺伝子はどこから来た。謎。
「女は若くて綺麗な男の方が 断然いい」
でもそれ言っちゃうと、「ヒロインは、男よりも綺麗であるべきだっ」とも、実は思ったりする…。
個人的には…ファルは、ピコより美人さんでいてほしい、原作…。
続きを楽しみにしております。
710 :
572:2005/09/27(火) 01:14:10 ID:JoOtmDOq
>>705 続き
ひしと抱き合う美男美女の姿は傍目から見れば
愛を確かめあおうとする美しい姿と思えたが
片や顔も頭もイケてるのに人生いい事無し続きの
十代にして人生に疲れちゃったな〜もうどうにでもなれと
はんばヤケ気味のお兄ちゃん
片や日頃のフラストレーションをセクースで解消しようと
期待に胸膨らませるお嬢様にして妹
ファルネーゼ様が知らないとはいえ
半分血が繋がっている兄妹同士の
非常にデンジャラスな事態に陥っているのだが
そこはエロパロなのでスルーだ
セルピコ君が「妹萌え〜」なのかどうかは神のみぞ知る
でもベルセルクの神だからたぶんロクデモナイ答えしか返ってこない
目が「はぁ〜と」になっているファルネーゼ様に
密かにため息をつきつつセルピコ君はネクタイを緩めた……
「ちょっ、ちょっと何してるんですか!?ファルネーゼ様!」
「え?お前EDではないの?
やる気のない殿方にはこうやるんだって
本に書いてあったわ」
ファルネーゼ様は今まさにセルピコ君のパンツの
ジッパーをおろしてナニをどうしかするつもりらしい
711 :
572:2005/09/27(火) 01:16:49 ID:JoOtmDOq
ぶっつけ本番で書いておりますので
所々変な言い回しで書き込んでしまっていますが
お許しくださいm(_ _)m
>やる気のない殿方には
Σ( ゚д゚)こ、この展開はッ!!!!!!!
焦らせやがってッ書いてる人よォ〜ハァハァしながら次回を待つぜ・・・
>お前EDではないの?
…ナイスだ、ふぁるw
セルピコ君、まだ十代なのに不能だと思われてしまってたのかー。
どうかしそうなファルに期待。
714 :
572:2005/09/28(水) 23:00:12 ID:fX3IZ6iY
>>710 続き たぶんすっきりヌけません。すみません…
ファルネーゼ様の「ED」発言にセルピコ君は
目眩がする様な脱力感を覚えた。
どこでそんな知識を拾ってくるんでしょう。
あ、TVのCMでもそんなのあったっけ………。
「ああっ!ごそごそ変なとこ触らないでください!
僕のどこがEDなんですか?さすがの僕もまだそこまで枯れてません」
「だってお前…」
ファルネーゼ様は頬を染めて横を向いた。
「私が裸になってもナニもしてくれなかったわ。
殿方ってそういう時、抑えが効かなくなるって聞いたもの。
だからお前、EDなんじゃないかって……」
そんな時は女性が口でご奉仕すればいいのよね?
ファルネーゼ様の表情は真剣そのものだ。
「………」
セルピコ君は気絶しそうだった。
お館様、僕は初めて貴方をお恨み致します。
どうしてきちんと性教育そのた他をご自分の娘になさらなかったのですか?
715 :
572:2005/09/29(木) 00:48:53 ID:9rRtWbZ0
「あの、男女が『いたす』までいろいろあるでしょう?
いきなり裸の女性が迫って来たらある程度まともな男性は
ナニがどうにかなる前に驚きますよ」
「お前はあの時驚いただけだったの?
私が嫌いだった訳じゃないの?」
「ええ、まあ、そうです……」
他に理由もありますけどね……。
セルピコ君の心の声だ。
「前振りも無しに裸の女性が迫ってきて
”その気”になる様な男は気をつけた方がいいですよ。
そういう男はファルネーゼ様を大事に思っている訳ではないんですから」
「そうなの?」
ファルネーゼ様は今ひとつ納得がいかない素振りだ。
「だいいちその場の雰囲気でいたしてしまって
病気がうつったり、子供が出来たらどうするんです?」
「子供が出来たら産めばいいじゃない」
「育てるのはどうするんです?」
ちょっと考えてファルネーゼ様は答えた。
「お父様」
「子供が出来たらまずいでしょぉぉぉぉぉっ!」
僕との間に子供が出来たらものすごくマズい
とってもマズい事なんです!
でも理由を説明したら、ファルネーゼ様は僕よりパニック状態になるな…。
セルピコ君はやっとの事で『私たちは異母兄妹なんです』
との言葉を飲み込んだ。
716 :
572:2005/09/30(金) 00:34:08 ID:lupcKhVL
>>715 「僕たちはまだ学生の身分じゃないですか?
子供が出来て育てるには仕事を持って経済的な基盤ないと」
「お前が学校やめて働けばいいじゃない」
「僕の将来、棒に振れって言うんですか!
それにファルネーゼ様はロデリック様という婚約者がいらっしゃるでしょ?
子供は結婚してからつくっても遅くないんです」
「……ねえ、お前は今晩私の相手してくれるって言ったわね?」
「はい」
「そんなに今妊娠がいけないなら、お前はこれからどうするつもりだったの?」
「もちろん避妊するつもりでした。
ほらこういうモノご存知ですか?」
セルピコ君は財布を捜してコンドームを出した。
ファルネーゼ様はそれを凝視する。
「……お前、どうしてこんなモノ持っているの?」
「はい?」
ファルネーゼ様は変なところで勘が鋭かった。
717 :
572:2005/09/30(金) 00:44:06 ID:lupcKhVL
「今夜私といたそうと思って持ってた訳じゃないでしょう?」
「いえ、これは男のたしなみですから…」
重低音のファルネーゼ様の声が下から響いた。
「お前、もう経験済みだわね?」
「いえ、まあ、いろいろと…」
「相手は誰?誰なの!?
聖鉄鎖は男子校だからまさか男って事はないわよね?
ずるいわ!
私が迫った時は何もしてくれなかったくせに自分だけ。
私ってものがありながら、ひどいわよ!
相手は誰なの?何人経験済みなの?
正直におっしゃい!白状なさいってばっ!」
半泣きのファルネーゼ様に首を絞められて
ぶんぶん頭を揺さぶられながらセルピコ君は
(僕はファルネーゼ様の彼氏でも旦那さんでもないじゃないですか……)
と考えていた。
すんません。
投下する前に注意書き&夢落ちなら
鬼畜、っていうか残虐描写OKですかね?
最初に断り書きと、どうしても駄目な人がNGワード設定できる用に
タイトルに何か入れるとかすれば大丈夫ジャマイカ。
>>718 死んだり頭が飛ばない程度なら、リアル鬼畜描写全然OKだけど。自分は。
心配なら一行目とか名前欄に注意書き入れるとか。
つうか残虐描写の駄目な人が、なぜベルセルク関連スレにいるのかが普通に疑問なんだが。
そういうものではないのか?
死にネタでも予告あれば自分的には大丈夫
元ネタがベルセルクなんだしある程度のグロは皆平気だろうと。
>>720 に同意だなー。原作好きな人だったら、残虐はある程度平気と思う。
ファルがいちいちキュートだーw
ファルのハートはファルのものだけど、セルピコはファルのもの、なんだなー。
半泣きのファルにGJ。
最終的にはガッツファルでもロデファルでもいいから
一回くらいセルピコとどうにかなってくれないだろうかと思う俺
最終的にピコファルになってほしいと思う。
新刊を読んで「ファル、あんなロリ野郎は捨てていい」
に意見が変わった元ガツファル好き。
>>724 ロリ野郎っておいw
まあ俺もピコファル派だが
ファルの処女はピコにいただいて欲しいと思ってる
さみしい予測だが別れる時か死ぬ前に
ピコはファルの処女をいただくのではないかと思ってる
ピコスレで丁度今言われてるのは
命と引き換えにファルを助けて
ファルの一部になったピコが
「これからはずっと一緒ですよ」みたいな結ばれ方。
原作ではなんだかんだ報われないか
報われそう=死亡フラグくさいので
こういうスレとかに幸せな2人を求めてしまう
ピコファルが異母兄妹承知で結ばれて
しかも幸せな展開になるにはどうすればいいか妄想中
関係ないが29巻でロデとファルのダンスを見ているピコが切なかった
ピコとしては「やっと落ち着いてくれそう」と父親の気持ちだったんだろうか?
|-`).。oO何か書いていいのかな?
おねがいします
熱烈歓迎
イシドロ×シールケです。でも出番多いのは別の人。729の人、ゴメン…。終わってないけど気にせず書いたの投下してほしいと思う…。
我が名はベヘリット。
この世ならざるもう一つの世界と、人の子の世界である現世との間に、異界への扉を生じさせ、二つの世界の空間を繋ぐ鍵となる存在。
ゴッド・ハンドと呼ばれる御使い達を召喚し、人の子の神では贖えない、根源からの渇望を昇華させ、具現するための神聖なる祈りの呪物。
幽界の、はるか深淵に潜む超越者の元より現世に遣わされ、哀れなる定命の人間をその運命から解放し、人間以上の存在へと変貌させる、大いなる力を持つ神秘の雫。…それが私だ。
愛称はベッチー。
諸君、そう畏れかしこまらずともよい。どうか、親しみを込めてベッチーと呼んでくれたまえ。
ここ二年ほどの間、私は世間から「黒い剣士」と呼ばわされる男の鞄に居を定めている。
この男が私の真の持ち主かどうかは、全能ならざる私には知る術はないが…、ひとつだけ、二年に及ぶ同行の間で私がこの男について知り得た事があった。
…私とて、こんな事実は決して知りたくはなかった。…だが、現実は直視せねばなるまい。
…この男の鞄の中は……臭いっ。耐え難いほどに、臭いっ。鼻が曲がる臭さだっ。
こいつには、衛生観念とゆうものが、ないのかあっ。たまには鞄の中を掃除しろーっ。
血でどろどろの手を平気で鞄に突っ込むなあっ、拭いてから入れろおっ。
放り込んだナマモノを忘れっ放しで腐らせるなあーっ。鞄の底で着々と繁殖しつつある黒カビを、責任持って、貴様がなんとかしやがれえーっ。
一見この男の鞄の内部は、整理整頓がきっちりと行き届き、必要な物がすぐ取り出せるよう配置されているように見える。だが、それは上辺だけだ…。
鞄最深部では、存在を忘れられた種々のナマモノが堆積し、降り積もり、版図を延ばしつつある黒カビへ肥料を与え、その栄養源となっている…。
…二年だ。この男の復讐の旅とやらにつきあわされ続けた約二年の間、…こいつは、一度として鞄の底を直視した事が無い……。人が「黒い剣士」と呼ぶこの男を、私は内心で密かに「黒カビ繁殖剣士」と呼んでいる…。
…もし私に口を利く事が可能であれば、懇々とこいつに説教してやりたいところだが…、残念ながら私には人間語の発声が構造的に不可能だ。これも運命、と諦めて我が身の不運を耐え忍ぶより他にない…。
いつ何時、伝染病発生の温床になってもまるで不思議はない、非衛生極まりない劣悪な環境で私は毎日を過ごしている…。
しかし、私などはまだましな方だ。不定期発行される『ベヘリット連合新聞』によれば、とある真紅のベヘリットさんなどは、持ち主の不注意から下水道に投げ込まれ、そのまま約一年、悪臭ふんぷんたる下水の中を、鼠に齧られ、転げ回り、さ迷い続けたという…。
無事持ち主の手に戻り、日の目を見て晴れ舞台に立つ事ができたから良いようなものの、汚水の中を彷徨い続け、それでも主の元へと健気に帰還した彼に、持ち主は一言の詫びも、感謝の言葉も述べなかったそうだ…。彼の心中は、察するに難くない…。不憫だ…。
…どうか、心ある人々よ…。我々の切なる願いを聞いて欲しい。
もしあなたがベヘリットを手にするような事があれば、ベヘリットを、大切に、大事に、敬意を込めて取り扱って欲しい。
贅沢は言わない。三か月に一度ほど日光浴ができれば、普段は机の奥底にでもしまっていてくれて構わない。思い出した時だけでいい、チーズのかけらなどをたまに投げ与えてくれれば、我々はそれで満足だ…。
どぶに投げ捨てたり、毒矢の盾にして「ベヘリットに当たって命拾いしたぜ、ラッキー」などと喜ぶような、無神経極まりない非人道的行為は、本当に勘弁して欲しいものだ…。
…ベヘリットは、物じゃない。…我々にも、心があるのだよ…。
などと私が、鞄の中でいつものように深遠なる洞察を巡らしていると。
「おおーい、べっちー」
私の上方より聞き慣れた声が耳に飛び込んだ。真っ暗闇の鞄の中を、一筋の光の切れ込みが射して、やがてそれは広がり、四角い空間とそこにちょこんと顔を覗かせる、馴染みの元同居人の姿になった。
我が唯一の友にして、愛称『ベッチー』の命名者たる、パック君だ。…正直、『ベッチー』は…少々センスに欠ける嫌いがある、と思わなくもないが…、指摘するのも彼と私の間の友情に罅を入れる行為のように思えるので、有り難く拝命することにした。
パック君は以前は私のルームメイトであったのだが、最近になってからは、黒い剣士の旅の道連れの、猿に似た面差しの少年の頭上へと引っ越していった。一人部屋は気楽であるが、やはりたまには彼が元気な顔を見せてくれる方が、私は嬉しい。
旅の道連れの面子は増えたが、私を心ある存在として対等に扱う存在は、彼一人だ…。
「ベッチー、ここって風呂が入れるそうなんだけど、ベッチーもお風呂入りたいか?」
なにっ、風呂!?
…パック君、やはり君は私の真心の友だ…。風呂は、この猛烈な悪臭の中で暮らさざるを得ない哀れな私が、今、切実に必要としているものだよ…。できる事なら鞄ごと入りたいものだが…。
パック君と私の間の会話手段として、YES ならまばたき一つ、NOならまばたきふたつ、という取り決めがなされている。瞼に力を込めて、私はまばたきを一つ、パック君に向けて行った。
「おっけー。じゃ、ベッチーも一緒に風呂行こうゼー」
よいしょ、と掛け声を呟きながら、パック君が私を抱き抱え、羽根をはばたかせて宙へ飛んだ。
…パック君には、羽根がある。彼は自由に空を飛べる。…羨ましい、と空飛ぶ彼の姿を間近で見る時、私の心には羨望の想いが込み上げる。
私には目や口はあれど、羽根どころか足すらない。…移動手段が、私にはないのだ。私には、行動の自由がない。いつも人の手から手へと、好き勝手に譲り渡され、振り回される、それがベヘリットたる、私の運命…。
言い忘れていたが、ここは魔女とやらが住む館であるらしい。室内にも関わらず、壁や柱の至る所に種々の植物が入り乱れて花や果実を実らせ、それぞれが放つ芳香が、一種独特の調和を保って、かぐわしく私の鼻孔をくすぐる。
棚という棚には、何かの小瓶や小袋、試験官、大量の書物などが所狭しと並べられており、私の以前の所有者の部屋をなんとなく連想させる。だが、こちらの魔女の住家には、以前の私の所有者の部屋にあったような、昏い、陰湿な空気は微塵もない。
館の主の人格の表れだろうか、ここの空間には心が落ち着く安らぎに満ちている。
…この館の主が私の真の持ち主であれば、と無駄と知りつつ切に願いたくなる。できれば私はこの家で暮らしたい…。この時代にわざわざ風呂を家屋に組み入れ、日常的に沐浴を行う習慣のある人間であれば、かなり発達した衛生観念の持ち主であろう。
この家は、清潔できれいだ。あんな汚い、じめじめした臭い鞄に帰りたくない…、とパック君に抱かれて館の内部を運ばれながら、しみじみと願う。
扉をくぐり抜け、魔女の館の外へ出た。館の周りをぐるっと取り巻いている緩やかな螺旋階段を、パック君と共に降りて行く。
星空がきれいだ。濃紺色の夜空に無数の星ぼしが、宝石箱をひっくり返したかのように惜し気も無く、静謐にきらめいている。館の周囲の森の何処から、梟が単調な一定のリズムで繰り返し鳴く声が聞こえてくる。
頭上を降り仰ぐと、館の屋根から生える霊樹の梢の間を、元素精霊逹がおぼろな光を放ちながら自由気ままに飛び回り、虹色の光の軌跡を夜闇に描いている姿が眩く瞳に映った。
光の軌跡が交差する度に、クリスタルのグラスが触れ合うような響きが宙に谺する。それらが重なり合い、唱和する和音の調べは、天上の妙なる音楽のように私の心を打った。
鞄の外に広がる世界はこんなにも美しい…と、感慨に耽っていると、唐突に醜い物が私の視界に飛び込んだ。パック君が呟く。
「…どろっぴ、まだ吊し上げの刑食らってるのかー」
…例の、パック君の新規の宿主である猿に顔がよく似た少年だ。全裸で蔓に縛られ、浴室と覚しい、もくもくと白い湯気が窓から漏れる小部屋の前で、宙吊りにされている。
…誰かに暴行を働かれたのであろうか。顔面が無残な程変形して白目を剥いて失神し、逆さになった顔から鼻血が逆向きにだらだらと流れ、額と髪の毛を血で赤く染めている。
…哀れな…、と同情の念は沸くが、…しかし、醜い物は、やはり醜い…。
まるで、足で踏んづけて潰れた腐りかけの肉饅頭に、青や赤や紫や黄色や黒のカビが、一斉に色とりどりの醜悪な花々を咲き乱れさせているような有様だ…。目を背けたい、というのが偽らざる私の本音だ…。
浴室と吊し上げ暴行被害者の前で佇んでいると、ふいに扉が内側から開いた。低音の渋い声が私とパック君に向かってかけられる。
「…お前、本当にそれ、風呂に入れる気か?」
むっ。…誰かと思えば奴だっ。黒い剣士の野郎が、生意気にも私より先に風呂に入ってやがったらしい。
無駄にでかい図体が、頭を屈めて白い湯気の立ち込める浴室から出てきた。洗髪したらしく、水滴が垂れる髪をタオルでがしがしと拭っている。風呂上がりのせいか、心なしか普段より上機嫌に見えた。
『それ』とは失礼にもこの私のことであろうか。…こいつは私を『生きている』と初対面のパック君に説明した割に、私にも心やプライドがあるとは全く考えていない。風呂にのんびり漬かる暇があるのなら、先に私の居住待遇を改善してもらいたいものだ。
…こいつの後湯を使わねばならんとは…。湯船の衛生状態が凄まじく不安だ…。ドス黒い色に染まってたりせんだろうな…。
「あり、ガッツもう風呂上がったのか?…早いなー。…どうしよう、ベッチー風呂に入れてやろうと思ったんだけど、俺一人じゃベッチーお湯に沈んじゃうしな…」
パック君が呟いて困った顔で私を見下ろした。…すまない、パック君。私がこんな体でいるせいで、君にいらぬ苦労をかけるね…。
「…沈ませるなよ。風呂にまだあの嬢ちゃんが入ってるから、頼めばいいだろ」
…おい、ちょっと待て……。今さらっと何気なく、ごく普通の顔と、ごく普通の口調で、ものすごい問題発言しなかったか、この男…。
「お、問題解決っ。じゃ、あの小さい魔女っ娘ちゃんに頼もうー」
…人を疑う事を知らないパック君は、私を抱えつつ黒い剣士を背後に残して、湯気で煙る浴室に飛びながら入って行った。奴が浴室の扉を閉め、吊し上げ猿少年にちらりと視線を送ってから、悠然と歩み去って行く姿を、窓越しに後ろの眼で見送る…。
…いや、パック君、問題が…ただ今現在、大発生してると私は思うんだが…。成人男性が未成年少女と一緒に入浴するのは…この世界では、…問題、ないのか?
この現世と重なり合う二つの世界、幽界、イデアの世界に次ぐ、知られざる三番目の世界、『21世紀日本社会』という世界を私はたまたま知っているのだが…、ここの魔女の館が存在する世界には、淫行条例とかその手の法律的規制は…ないのだろうか?
成年が未成年者に不埒な行いをした場合は断種、とか。淫らな手つきで触った場合は五指切断、とか。
…断固たる措置を取らねば、いずれ幼児性愛者が跳梁し跋扈する、悪夢のような世界が目前ではないのかと私は危惧するのだが…。
…いや、忘れてくれ、パック君…。ベヘリットの分際で人の子の世界の理に口出しするなど、専横なる振る舞いだったよ…。人の身に在らざる私には、関係の無い事だしな…。
忘れる以前にそもそも聞いちゃいねえパック君が、元気よく、円形の浴槽の隣の床に座り込んで、背中を向けて震えている全裸の少女に声をかけた。
「シールケちゃーんっ、俺とこのベッチーも、お風呂いっしょに入っていいかなーっ?」
返事の代りに、少女の喉から絹を引き裂くような悲鳴が上がり、狭い浴室に大音声で轟いて反響した。
パック君がびびって私ごと空中を後ずさる。…私も、ちょっとびっくりしたよ…。
「…え、えーっと…ど、どーしたの、か、な?」
びびりながらパック君が、セミロングのカールした髪の毛の少女に声をかけた。
少女の返事を待つ間、私は物珍しい思いで魔女の浴室に視線を巡らした。
天井から壁際までを、ぐるりと南方系の植物が隙間無く取り囲んでいる。湯気に濡れて一枚一枚の葉から水滴が滴る様子が、一瞬、驟雨の密林の真ん中に踏み込んだような錯覚を起こさせる。
室内の中央には大きな円形の浴槽が拵えられて、翡翠色の湯が張られ、果実と香草と花びらが水面に浮かび、もくもくと柑橘系の香りの白い水蒸気を吐いている。
浴槽の底全体が、ほんのりと輝いて発光しており、水底から放たれた光が水面を通過して、浴室全体を照らし、天井に不定形な光の網の目のような模様を描いていた。
風変わりで異国情緒に富む不思議なその浴室で、蹲って震えている裸の少女は、ひどく心細げで怯えているように見えた。
「…な、なんでも、な、ない…です…」
嗚咽を押し殺した声で、セミロングの少女が背中を向けたまま返事をした。
片手で胸元を守るように覆い、もう片方で慌てて目の端を拭う動作。床板にぺたりとくっつけている、白くて丸い愛らしい尻。そのぷりぷりした桃のような幼い丸い尻が、痙攣するように細かく震えている…。
…うわあ…。もしやまさかとは思うが、これは…。幼児性愛者の毒牙にかかった哀れな幼い被害者が…、今、目の前にいるのではないだろーか…。
少女に心の中でスマン、と詫びつつ小刻みに震える尻周辺部を観察する。
…打撲、打ち身等の暴行の痕跡、懸念する血痕は見当たらないが、しかし…幼い尻の双丘の狭間が密着している床板に……僅かに白っぽい粘液が、ナメクジが這った跡のようにぬらりと光って少女の臀部からはみ出しており……。……マジかよ…。め、目眩が……。
「…なんでもないって…、でも、すごく様子おかしいぞ?」
パック君が私を抱えて少女の肩の近くまで寄り、心配そうに声をかけた。…パック君は、いい奴だな、とこういう時にふと思う。
「あーっ、わかったぞ!あのバカになんか無神経な事言われたんだろーっ!?気にする事ないぞっ。アイツは初対面の人間には、相手がいっちばん気にしてる事ズケズケ言うイヤーなクセがある奴だから。後で俺が教育的指導!をガツーンと代りに一発かましといてやるからなっ」
…パック君は、鈍い奴だなー、とこういう時に、ふと思う…。
日常的に常に裸体でいるのが自然体の彼には、おそらく服を着て泣いている少女と、一糸纏わぬ姿で泣いている少女、の差異が感じられないのだろうなあ、と思う…。…まあ、彼の心が清らかと言えば、清らかな証しであろうと思うが…。
「…あ、ありがとう…。えっと、…パックさん、でしたっけ?本当に、なんでもないんです。…ただ、ちょっと、びっくりしただけで…。あの人と背中の流しあいっこしてて、…普段、ざっとしか洗った事ないところを丁寧に洗われて、なんだか驚いちゃって……」
「ガッツがシールケちゃんと背中流しあいー?アイツが…?…へー、めっずらしー事するもんだなー。…そういや、キャスカの世話もアイツ結構、マメに面倒見てたっけ…。…見掛けによらず、子供の面倒見るのは好きな奴なのかなー」
パック君が意外そうな顔で呟くと、強張っていた少女の表情が、ほっとしたように和んだ。
「そうなんですか?…じゃあ、別にあれ、変な意味じゃ、なかったんだ…。きっと普通のことなのね…。…良かった…」
「変な意味って?」
「…なっ、なんでもないです。本当にっ」
林檎のように真っ赤に顔を染める少女が一人……。
…背中の流しあいって……。…丁寧に洗われたって……。……何処を…。
…この世界に今、最も必要とされている物。…それは、児童虐待相談のホットラインだ…。…誰か、野放しの性犯罪者約一匹とっ掴まえて隔離矯正施設送りにして欲しい…。目眩がするような虚脱感を、今、私は味わっている最中だ…。この世に正義はないのか……。
私の脱力感を余所に、パック君が蝋燭の並ぶ浴槽の縁に私を抱いて降り立った。
…私やパック君のサイズにとって、この風呂は海とまでは行かないが、…しかし崖から湖を見下ろす心境ではある。眼下では広大な翡翠色の水面が、蝋燭の橙色の灯をちらちらと映して揺れている。
…私の場合、水底に沈むと自力では脱出できない…。一瞬、真紅のベヘリットさんの嘗めさせられた、一年間泥水転げ回りの悲惨な命運が心を過ぎる。…いや、大丈夫、ここにはパック君もいるし、私にとっては巨人サイズの人間の少女もいることだしな。
「それよりシールケちゃん、ちょっと手貸してくんないかなー。手桶にお湯汲んで貰えない?俺とベッチーはそのまま風呂入ると溺れちゃうもんで」
「あ、はい、ちょっと待ってて下さいね」
少女がはきはきと返事をして湯船のお湯を手桶に汲んだ。…懸念していた湯水の汚染は見たところ心配ないようだが…、だが…、ある少女の心が…取り返しのつかないドス黒いもので汚染されたのではないかと、他人事ながら心配だ……。
背中の流しあい……。
…強姦の心配は多分大丈夫だろうと踏む。幾らなんでもあのガタイに襲われて処女膜破られれば「普通のこと」で少女が納得する筈がない。泣き叫んで半狂乱になる有様が目に見えるよーだ…。
「子供には優しい男」を装って、体撫でまわして触りまくるような卑劣な痴漢猥褻行為程度であろうなあ…と推測する。…溜め息をつきたい。
手桶を掴む少女の、ふっくらした柔らかそうな手をみつめた。…あれで撫でられれば、まあ、気持ちの良い事であろうなあ…と、脱力気味に考える。…湯船に撹拌された白い液体が混ざってたりせんだろうな、と嫌な不安が心を過ぎる。
一体何やらされたんだ、お嬢さん…、と心の中でひっそり呟く。…最初に『変な意味』と感じたお嬢さんの直感は、おそらく正しい…。
「保護者が子供に注ぐような情愛」という美名の裏で、お嬢さんは体をおもちゃのように弄ばれているのだよ、と思う。…しかし、そんな醜い物をはっきり理解してしまえば、お嬢さんの心は深く激しく耐え難いほど傷つく事だろうなあ、とも思う。
…だったら幼児に悪戯する性犯罪者でしかない卑劣漢が「敵には容赦しないけれど、子供には優しい男」として罷り通ってしまう方が、物事が丸く収まって平和であるのか…。
………嗚呼、この世に神はいないのか…。
「おっしゃー、ベッチー、風呂だぞー」
私の胸中を余所に、パック君が手桶の中の我々用ミニ浴槽に私を抱えて漬けてくれた。
…いい湯だ。今までの疲れがどっとほぐれて癒される心地だ。湯船に浸している香草の匂いがかぐわしい。…できればあの男より先に入りたかった、と痛烈に感じる。
手桶の中のお湯に浸りながら、薄目で浴槽を跨ぐ少女の裸体を観察した。ほっそりした腿が、半ばほど湯船に漬かり、その先に、まだ恥毛が生える前の、剥き出しの薄紅色の秘部が覗いている。
…まだ未成熟な、子供子供した体つきだ。本格的に女の体に育ち出す直前の、淡い、あるかなきかの胸の膨らみ。か細い手足。壊れ物のガラス細工のように、うっかり手荒に扱うと、破壊してしまうのではないかと心配になるような、幼い肢体。
頼りない、弱い、小さい、はかなくて脆い、庇護意識をかき立てる、成熟した女以前の少女の裸体。
…コレにいい年こいた大人が手ェ出すんなら、少なくともテメェが犯罪者まがいという自覚ぐらいは持てよな、と言いたい…。
セミロングでカール頭の少女と正反対の『女』の裸体を挙げよ、と言われれば…それはゴッド・ハンドの紅一点、スラン様だ。
スラン様のヌードは色っぽい。妖艶だ。涎が出る。豊かに胸と腰の張り出した砂時計型の、成熟した女性の肉体そのもので…挑戦的で攻撃的だ。貪欲で猛々しい。人間の男性にとっては、庇護意識よりも…むしろ破壊欲を掻き立てられるのではないかと思う。
スラン様は男女の欲望を全面肯定のお方だ。男性の欲望をかけらも非難せず、賛辞を惜しまないが…、しかしスラン様を満足させられないような、へなちょこ男の欲望であれば、…多分、唾吐いて露骨にへなちょこ扱いして、…見下す。
黒い剣士が、最初から『幼い少女がたまらなく、どうしようもなく好きだあっ』という性根座った変態なら、まだ認めようがあると思う。
最初から幼女姦願望バリバリの男であったのなら、『修羅道を突き進め!』と、安全な観客席から高見の見物で、応援してやっても良いとすら思う。
…正直、昔奴が出会った、セミロング少女と同じ色の髪を後ろで縛って二つ分けにした、思い詰めた瞳の美しさが忘れ難く記憶に面影を残す少女は、セミロング少女よりスラン様より、他のどんな見目麗しい女性より、私には心魅かれ愛しく思える存在だった…。
奴の手の中から彼女に紹介された時、ベヘリットの身の上でありながら、私は彼女に一目惚れをした…。貧乏村で虐げられて暮らす、どこか翳りのある憂いを帯びた面差しの少女、ジル……。雨にうたれてしおれる花のような風情がいじらしい…。
何故私は彼女のためのベヘリットであれないのだろうか、彼女の傍にずっと一緒にいて、彼女の願う事ならなんでも叶えてやりたい、幸薄き哀れな彼女を幸せにしてやりたい、
彼女の心からの微笑みを一片でも目にする事ができたら…、と、身を切るような思いで鞄の中から切なく願った。
あの娘が「連れてって」と奴に向けて叫んだ時、私は鞄の中で「連れてけー!連れていってやれえっ。頼むから連れていってくれええー」と奴に叫びまくってたのだが…、奴はシカトしやがった…。そして、彼女に偉そうにカッコつけて立ち去った…。
…その頃の奴はクールでハードなタフガイだった…。ゲラゲラ笑いながら子供の亡霊斬り殺して、同時に子供殺しの罪悪感でゲロゲロ吐く、忙しい男でもあった…。
…しかし。過去はすでに過去…。それが悲しい…。
奴の昔の女性の好みは、性格は抜きにして純粋に肉体のみなら、スラン様タイプだった筈だ。奴の嫁の、浅黒い肌の女性は、砂時計型の実にそそる体つきの美女ではないか。
…奴は、昔からロリ好みの気は多少なくもなかったが、性的にいちゃつくのは大人女性限定にしていた筈だ。
大人のカラダの嫁さんに相手にされないから、逃げる先が女未満の子供かあっ、貴様のそのでかいガタイは見掛け倒しかあーっ、…と怒鳴り倒したくなる憤りを覚える。
奴が年端も行かない幼い少女に手ェ出して、触りまくる理由が逃避でしかない、という点が、どうにもこうにも腹に据えかねる。「変態ロリ野郎」の汚名を恐れて「保護者が子供を気遣う情愛」のフリをしているところが、またいやらしい。
父娘相姦願望を隠す事なく露呈しきった、今は亡きミッドラント国王の鬼気迫る狂人っぷりの方が、余程潔い。戦慄と…ある種の感動を覚える。
妄執にしがみつく、目を背けたくなるほどの醜い姿には…人の心を打ちのめす気迫があると思う。金メッキのカッコつけ野郎は、メッキの下に隠した性根のいやらしさが透けて見えるのが、薄ら寒くて情けない。
奴を信頼する人間は「いや、あれは不憫な身の上の少女を気遣っているんだよ」と好意的に解釈してくれるのだろうが…、「ロリ趣味がバレてないと思ってるロリ野郎」にしか見えねー、という者は…情けなさに涙が出る思いだ…。
カッコ悪い姿を隠そうとしてカッコつける姿は情けない。カッコ悪い姿をそのまんまさらけ出す方が、ずーっとカッコ良いではないか、と思う。
新しく増えた旅の道連れの前ではすかしたツラしとる黒い剣士。コイツは誰にもバレとらんと思っておるが…だがしかしっ。天知る地知る我ぞ知るっ。…私だけは知っている。
『ベヘリットは見た!鞄の横からの目撃証言』。
旅の仲間が増える直前、この男が嫌がる嫁さんを無理やり襲う寸前の、23巻右側ページ1コマ目横顔アップ、…この男の目からは汗が流れていた…。
嫁さんから嫌われて拒否られるのが、泣きたくなるほどこの男は辛かったらしい…。
…泣く男は、全然カッコ悪くなんかないぞ、とコイツに言いたい。
全能ならざるベヘリットの身の上ではあるが、過去と未来はちょいっとだけ見渡せる。
昔のコイツは、ちゃんと涙が流せる男だった。…値千金の涙だ。値打ちのある、価値のある、ちゃんとした理由のある漢の涙だ。
滅多に泣かない男が、どーしょーもなく辛い時に泣いたって、ちっとも、少しも、カッコ悪くなんか、ないぞっ、と繰り返し思う。
…しかし、大人の男は、泣けないのだ…。
今のコイツは「ガッツさん」で「ガッツの兄ちゃん」だ。敬称つきだ。コイツの新しい『仲間』は、コイツと決して対等ではない。守らなきゃいけない、庇わなきゃいけない、助言しなきゃいけない。…『仲間』の人生、背負い込まないとならない。
「大人」をやらなきゃいけない。…大人の男は、泣けない。本音の弱い部分が晒せない。
昔の仲間は、みんなコイツと対等だった。「ガッツ」と気安く呼び捨てにしてた。コイツの居場所はちゃんとあって、尚かつみんな自分の人生の面倒はちゃんと自分で見てた。
約一名を除けば、コイツが出て行っても、それで人生立ち行かなくなるようなひ弱な仲間ではなかった。不在の間に『アイツがいてくれたら…』と呟きはしても、いない奴を当てにせずに自力で頑張ってた。…帰って来れば暖かく迎え入れてくれた。
昔の『仲間』はコイツ抜きでも、ちゃんと帰る場所としてそこにあった。
今のコイツの『仲間』は…コイツがいないと、成り立たない。コイツがいなくなれば、その場で瓦解する。
古い『仲間』は肉体的に自分の身は危険から自分で守れた。敵は主に人間だったしな。
…けど、今の女子供メンバー中心の『仲間』で、本当に自分の身が危険から守れそうに見えるのは、キンパツの召使いぐらいしかいない。
『自分が死ねば嫁即死』の重圧から逃れる為に、コイツは『仲間』が必要だった。
けど、根本的には何も変わらない。
『自分が死ねば、仲間全員すぐ即死』の重圧が、戦場で強敵相手に振るう剣には、重たく鈍く伸し掛かってる事だろう。
雑魚敵からなら『仲間』は無力な嫁を守れるだろう、でも、…コイツで勝てない強敵には、残りの誰も勝てやしない。コイツが倒れれば…それで、ジ・エンド。全て終了。
『自分が死ねば、仲間全員皆即死』の剣は…さぞ重かろう。
コイツが戦う気力の源は「死んでたまるか、殺されてたまるか」って激情だ。自分に伸し掛かって押し潰そうとする、敵意や悪意や迫害や暴力を、全力で跳ね返して吹き飛ばす強烈な生存本能だ。
誰のためでもなく、自分自身のためだけに戦ってる時が、コイツは一番強い。コイツの強烈なエゴで、他者の存在を叩き潰して自分自身の存在理由を勝ち取る姿が、コイツは一番強くて、一番生き生きして、一番自分自身でいるのだと思う。
『死ねない戦』は…コイツの気力の源を根こそぎこそげとる。見えない敵に仲間の命が人質に取られてるのを、常に気にしながら戦うようなものだ。
誰かを敵から救い出して己れが勝ち取るための戦いなら、幾らでもコイツは強くなれるけれど、誰かを後ろに庇って守る戦いは…心が、弱くなる。摩耗し、削り取られ、磨り減ってゆく。
古い『仲間』でのコイツの役割は『切り込み隊長』だったが、新しい『仲間』でのコイツの役職名は、恐ろしい事に『鷹の団・団長』だ。
孤独なトップだ。切り込み隊長なら抜けても代りがいるけれど、団長には代りはいない。…しかも最悪な事に、自分自身の夢や野望抜きの鷹の団・団長の役割だ。
…そこに、希望はあるのか、と思わず呟きたくなる。
魔女の館宿泊の現時点より、私が見通せるちょいっとばかり未来の世界にて、コイツの精神を蝕み、心を食い荒らす疲労の浸食度はいかばかりであることか。
コイツの精神が脆弱になり、罅が拡大するにつれて、…それが戦い方に、露骨に出る。
蓄積疲労で心が劣化しとるのだ。昔はあった、こちらの心にガンガン響く、相手を貫くような勢いの、強烈なタンカが…出ない。戦場で「俺が正しい!」ときっぱりはっきり言い切る心の強さが、そう遠くない未来の奴には、ない。
絶望的な状況で、それでも「どうやって勝つか」に全精神と肉体の細胞一片まで残らず注ぎ尽くす気迫の強さが…欠如してる。
人柄が丸くなったというより、精神が脆弱化しとるのだ。…そして、それが表に出せない。周囲に人がいるからだ。カッコつけのこの男は「肩貸そうか」と言われても拒否する。
そして男が一番辛くてしんどい時に、一番甘えたい嫁さん、愛する伴侶は……コイツの事が大っ嫌いだ……。
……嗚呼。
一体何が悲しゅうて、冥府魔道ロリコン街道を突っ走りつつある男を、いつのまにやら擁護して弁護しなきゃあならんのだ……。
誰かに甘えでもしないと、そりゃー、やってられんだろう…、と思う。
「子供には優しい男」を装って幼児にべたべたと触りまくる最悪の卑劣漢でも、しょーがないか…、と力無くうなだれる。今の所被害者は上手い事騙されてくれているので、実質被害者はいない訳であるのだし。
骨の髄までカッコつけたがりのこの男が、唯一甘えられるのが、多分あのセミロング少女であるのだろうなあ…と思う。「少女が甘えたがるので仕方無く受け止めてやる」フリしている時、…甘えてるのは、実は奴の方だ…。鼻の下延ばしとるしな。
誰に対しても「甘えるな」が信条だった奴が、年端もいかぬ少女に甘えとるのは…、外側に出て来ない内部が、相当ボロボロに綻びつつあるのではないか、と戦慄する思いだ。
今から少し未来の、この魔女の館の二度目の来訪で、悪霊を招き寄せる<烙印>の効力が、期間限定ではあるが消失し、代りに呪いの鎧が手に入る。
<烙印>は…奴に危険を招き寄せる迷惑な代物だったが…、しかし実は奴を肉体的に強くした。鍛えあげた。日没から夜明けまで、ぶっ通しで大剣振り回しても、びくともしない体力と精神力を奴に培わせた。
代りに貰った呪いの鎧。…あれは、本当にとことん最悪の代物だ。
依存性のある麻薬と一緒だ。一時的に身体能力を高める代わりに、使用者の基礎の身体能力を奪うのだ。「光や味を失う」でごまかしてるが、膂力や筋力、持久力、本来持っていた肉体の強さが…損なわれない訳がない。
ドーピング選手の末路は悲惨だ。内臓障害で体がガタガタになるのが落ちだ。「人でいられなくなる」より、「廃人と化す」の方が正解じゃないのか。白髪ぐらいじゃすまないのじゃないか。
肉体的に弱くなる、だから鎧に頼る、そしてまた肉体が弱る…。悪循環だ。
港町に到着して、らしくもなく熱出してぶっ倒れとるのは…呪いの鎧の影響だろが。
包帯に滲む血痕にいたたまれない不安を覚える。…あの鎧を着ていたら、お前はいつまで経ってもスラン様にやられた傷が、治らないではないか……。
あんな鎧とっとと破壊して燃えないゴミに出せ、と私は思うが、残念ながらコイツとコイツの仲間にそういう気はこれっぽっちもないらしい…。「ガッツの兄ちゃんは、鎧なんかに頼らなくても十分強い立派な巨大怪獣だっ」てー発想は…ないのかあっ。
鎧になんか頼らなくても、コイツはちゃんと誰にも負けない本当に強い最強の男だ、って…どうして誰も信用してやらんのだあっ、と悔しくなる。歯噛みをする。
コイツ自身に一番そう言いたい。お前はあんなクソ鎧が無くても、本当にちゃんと、誰より強い男ではないか、と。
昔のコイツは、「邪魔すれば殺す」と貧乏村の少女ジルに本気で言いながら、体がそうはさせない男だった。脊髄反射で少女の命をを助けた。
今のコイツは、「仲間を守ろう」と意識で思いながら、その仲間に自分から襲いかかる。
…昔と、正反対の事をやっている。
昔のコイツには、憐みを相手にかける人間性が、どんなに意識の中から消し去ろうとしても、頭で考えるのとは別の部分で、きっちりコイツの殺意に歯止めをかけて、殺害してはいけない相手には、寸前で剣を掴む手を制止させていた。
獰猛な怪物と鋼鉄のような人間性が同居して混ざり合ってるのが、この男だった。
その強固だった人間性が…希薄化しとる。表面上の人当たりが丸くなっても、深部の強靭さが失われつつある。…鎧がたやすく暴走した時、正気に引き戻すのを自力でやれねばどうするか、と思う。
強靭な人間性の核になってたのは…多分、コイツの心の中にあった嫁さんへの愛情だ。…それが、薄れつつあるのだ。
自分で暴走を止められないのを、鎧のせいにしとる。…暴走しても構わない、しかし、自力で狂戦士から素面に戻れ、今までお前はそれができていた筈だ、と思う。
他人に暴走を止めてもらって、それで良しとしとるが、しかしセミロング魔女娘が気絶したり、その場に不在であったりしたら、一体どうするつもりなのか。
呪いの鎧は、口実ではないのか。
仲間を皆殺しにする危険性のある鎧を、それでも奴が手元に置きたがるのは…潜在的に自分の仲間を皆殺しにしたい、と奴自身が望んでいるからではないだろうか。
動機はある。コイツの原風景は、周囲の大人が『不吉なガキ』と囁くのを聞きながら、剣を抱いて怯えて眠る少年だった。長じて夜に剣が傍にないと不安で落ち着かない大人になった。
鷹の団での『仲間』は例外で、コイツの原風景ではない。…旧い鷹の団は、当の団長の裏切りで崩壊した。同胞からの裏切りだ。
コイツの生存本能は、眠っている間に寝首を掻かれる危険性を熟知している。『仲間』はいつ裏切るかわからない仮想敵だ。
<烙印>の呪力が防がれ、悪霊にとり憑かれて正気を失う危険はなくなった。
代りに呪いの鎧にとり憑かれ、正気を失って仲間を皆殺しにする危険が常に伴うようになった。
…悪霊は、気を強く持てば、自分で追い払える。呪いの鎧は自分では制止できない。
…これを、プラスと呼べるのか。…マイナスじゃないのか。
…いったい、コイツは何処へ向かおうとしているのだろう…、と考えると暗鬱な気持ちになる。
…そもそもなんで、ベヘリットである私がたかが人の子の命運を、こうも気にかけねばならんのか…、と湯に浸りながらふと思う。
…うーむ。…直視するのは、何故か、私に都合が悪いような気がする…。どうも、あまり認めたくない種類の感情を自分の中に発見してしまいそうな、いやーな予感がする。…故に、気にかける理由を気にするのはやめよう…。
腐れ縁の相手というのは、不愉快な相手でも、つい、気にしてしまうものだ。
奴と出会ってこの方、奴の復讐の旅につきあい、奴が炎に身を潜める時は鞄の中で蒸し焼き状態で呻き、奴が泥水の中を這いずり回る時は鞄の中で泥水を飲まされ、奴が敵と戦う時は鞄の中を転げ回り、否応なしに奴と生死を共にしてきたのは、誰あろう、この私だ。
奴が半死半生で死にかけの時は「死ぬなーっ。立ちあがれーっ。ここで貴様が倒れたら私までが巻き添えを食らうではないかーっ。戦えっ、そして勝てっ、この私の生存のためにっ」と必死で奴を叱咤激励応援してやったものだ。
…奴の方は、まるきり私の事などただの魔法の石としか思っておらん様子だが…。
奴の認識では、新しい『仲間』にパック君はすんなり入ってはいても、…私は、相変わらず因数外の存在らしい。相変わらず鞄の中の荷物扱いだ。
私と同居している小刀の方が、まだしも奴は愛着を寄せているのではないだろうか。時折暇があると、奴はマメに小刀を取り出してはきちんと手入れをしている。…私は、シカトだ。
…それが、苛々する。気に食わない。私の存在を、認めろーっ、と叫びたい。
もしも私が、もっと力のある存在だったら、とふと思う。私には自己主張する手だてがない。人の手から手へと譲り渡されるのが宿命のベヘリットには必要のないものだからだ。…だが、もしも…、もしも私に、自分で自分の運命を切り開く力があれば……。
「おおーい、ベッチー、大丈夫か?湯中りしてないかー?」
はっと我に帰る。
パック君が真上から私を心配そうに覗き込んでいた。…少々長湯が過ぎたらしい。パック君に向けて片目を閉じて見せる。
「よし、じゃ、ベッチーも背中流してやろー」
パック君が私を抱えて手桶のミニ浴槽から浴室の床へと移動する。…何から何まで、いつもすまないねえ、パック君…。
床へと降り立った時、浴室の窓枠の外側で、夜空を背景に何かが動く様子が視界に映った。
…あの暴行被害者の吊し上げ猿少年だ。気絶から回復したらしく、しきりと身動きしている。…どうやら縛られている蔦を外そうと試みているようだ。
浴槽ではセミロング少女が鼻歌を歌いながら湯に浸っている。上気した頬が桜色だ。外の猿少年の挙動に気付いた様子はない。
少女に教えた方が良いかもしれない、と一瞬思ったが…しかし…、私には教える術がない…。まあ、私には関係の無い事だしな…、と自分を納得させる。
「…ベッチーって、どっちが背中だろ?ま、いいや」
呟いたパック君が、石鹸で泡立てたタオルでごしごしと私を擦り始めた。…清潔な体になるのは気持ちが良い。パック君、ありがとう。でも、清潔にしたところで帰る場所は、またあの鞄か…、と思い出すと憂鬱だ。
再び窓の外に視線を向ける。猿少年が身を捩り、必死の形相で身体を縛る蔦に歯で噛み付いているところだった。…おお、潰れた肉饅頭の顔が、あれ以上更に醜くなることが可能とは。…人間とは、奥が深いものだな…。
感心している内に、猿少年が遂に蔦を噛み切った。と同時に垂直落下して窓枠の外に姿が消える。
ぐしゃっ、と袋一杯に詰めた重い生ゴミを放り捨てたかのような音が窓枠の下から響き、入浴中の少女がはっと視線を外に向けた。
「…今、なにか変な音が…」
「…うん、オレも聞こえた。なんだろ?」
パック君が応じて確認しようと扉の方に飛んで行った瞬間。浴室の扉が突き破るような勢いで、外側から激しく叩きつけて開かれた。
「…復讐するは、我に在りっ!」
おお、潰れた肉饅頭全裸猿少年が、今そこにっ。
その姿は、まるで敗戦濃厚な拳闘の最終ラウンドに立つ挑戦者のようだ。肩で大きく息をし、顔面全体が腫れ上がり、できものに冒されたかのように膨れた瞼が両眼を覆っている。
だが、糸のように細く押し潰された両眼には、消えることない激しい闘志が炎となって燃え、その全身からは、盛りのついた猿特有の性欲のオーラが熱気となって渦巻き、空中にその波動を放射しているっ。
セミロング少女が湯船の中から絹裂く悲鳴を絶叫した。
「なっ、なに考えてるんですか、あなたはーっ!今すぐ出て行きなさいっ!」
「るっせー、リベンジだっ。よくもさっきは好き放題にぼこぼこにしてくれたなーっ!復讐だーっ!」
猿少年が真っ直ぐこちらに向かって走ってくる。…復讐は、構やしないのだが。しかし彼の走る軌道上のど真ん中には無防備な私が存在しており、でもこいつの視界には私など一切眼中になく…。
一瞬後に、私の目の前にクローズアップの巨大な足の裏が広がり、私を吹き飛ばした。
「ああっ、ベッチー!」
パック君の叫びを聞きながら、宙を飛ぶ。…こんな形で空を飛べても全然嬉しくない…、と思った次の瞬間、私は水面に叩きつけられ、翡翠色の湯船の中にぶくぶくと沈んでいった。
間髪入れず、猿少年が湯船に盛大な水飛沫を上げて飛び込み、悲鳴を上げるセミロング少女に襲いかかった。
お湯が乱流のように掻き回される中で、私はもがく事すらできず、荒れ狂う水流に呑み込まれ、いいように振り回される。
「やだっ!どっ、どこ触ってるんですかっ!変態!ドスケベ!」
「嫌がる事をやらねば、復讐にならんだろうがーっ!揉みまくっちゃる!どーせほとんどないんだからケチケチすんなっ」
揉み合う二人の両足の間で、私は存在を忘れられ、無下無体に水中を蹴り回されている。少女の白い柔らかな足の裏が私を踏んだかと思うと、蹴り飛ばし、今度は猿少年の汚い足の裏に蹂躙される。…こいつら、まさかわざとやってるんじゃあるまいな…。
「…おおーい、どろっぴ、…それ以上やると、マジで犯罪者だぞー」
パック君が呆れたような声で猿少年に向けて呟いた。
「るっせーっ。犯罪者扱いが怖くて泥棒ができるかあーっ。今更俺様の犯罪歴がひとつやふたつ増えたところでどーっちゅうことない、っつーの!」
…いや、そんな事でいばられてもな。それはどうでもいいから、私を蹴るのをやめろ…。
抵抗するセミロング少女がか細い叫び声を上げた。猿少年の魔手から逃れようと猿から背を向け、浴槽から上がろうとして、また猿少年の手で湯船に引きずり込まれて悲鳴を上げる。…やかましい。
再び少女の白い足が私をぐにゃっと踏んだ。…私は、女の子の白い繊細な手に包まれるのは大好きだが、足で蹴られるのは大っ嫌いだ…、と屈辱と共に噛み締める。
「やだっ。やめてえっ。…誰かっ、助けてえっ。……ガ、ガッツさんっ。ガッツさん、助けてっ。ガッツさ……あンっ、………いや…、……やっ………」
…例の幼児姦性犯罪者変態野郎の名前を呼んでから、セミロング少女の悲鳴が微妙に変質した。…どこがどう違うとは表現しにくいのだが…、拒否100%の「いや」から、びみょーに…何か他の成分の含まれる「いや」に…変質したような……。
「…おい、お前…、へ、ヘンな声出すんじゃーねーよー……」
意外に純情な性欲小僧の猿少年は、抱きすくめて、あるか無きかの乳房を揉み回している相手の反応の変化にうろたえているよーだ。
うろたえながらも、湯船に漬った下半身の見たくもない股間の皮かぶりの逸物が、ピンとそそり立つ様子が水面下に転がる私の視界にちらっと映る。
『人の頭の上で、汚ねえものおっ立ててんじゃねえーっ』
と、でかい声で切実に叫びたい…。
セミロング少女は、抵抗する気力がずるずると消失したようだ。浴槽と猿少年の間に肢体を挟まれ、押し殺したような声で低く呻きながら浴槽に齧りついている。
変態ロリ野郎の手でいじり回されて、性に目覚めたばかりの幼い体が、猿少年の手に心ならずも反応しているらしい…。湯船に没した丸い桃のような尻が、ひくりと震えて痙攣し、両膝が外側に開いてゆく。…こいつら、二人とも発情しとるのか……。
「……おまえ…、…も、もしかしてまさか……。…か、…感じ…ちゃって、…るの、か……?」
猿少年は勝手の違いに興奮しつつ狼狽しているようだ。気になる女の子にえっちな嫌がらせをして、嫌がる相手の泣き顔見るのが嬉しい、というお子様なお年頃には、えっちな反応が帰って来ると、どうしていいやらわからないらしい。
「…ちっ、ちがいますーっ!…そんなことっ、…ある、…わけ……な……い、………」
一瞬強気な表情で、背後の猿少年を振り返って抗議したセミロング少女の声が、ぐずぐずとなし崩しに、語尾が喘ぎで乱れて蕩けてゆく。…何気に小さく「ガッツさん…」とか呟いてやがる。…あれはお嬢さんを喰い物にしたケダモノ野郎だっちゅーのに……。
猿少年はセミロング少女の呟きには気付いていないようだ。動揺がピークに達しているらしい。今更引っ込みもつかず、セミロング少女の乳首を揉みながら猿少年は間を持たせるかのように、汚い足の裏でごりごりと私を浴槽の底に踏みつけて転がしている…。
…『殺意』という感情を、私は今ゆっくりと理解しつつある……。それは、虐げられ、存在を忘れられ、抗うことすらできない無力な者にとっての、唯一の絶対的な救済者だ…。
何故私はこうも無力であらねばならぬのか。『どきやがれ』と一言相手に抗議する事すらままならない、意思表示すらできない己の身の上が恨めしい。
私には、自尊心を持つ事が許されないのか。では、何故私には心があるのだ。
好き勝手に私を『物』扱いする輩が横行する中で、それでも私には『心』がある。私は生きている。私には、感情がある。私は、人に踏み付けにされたくない。『物』扱いされたくない。…ふざけるな。
「…決めたっ。…姦るっ」
決意したかのように、私を足蹴にしている猿少年が小さく呟いた。
「だからどろっぴ…、そりゃ犯罪だってば」
猿少年の頭に乗っかっているパック君が窘める。
…パック君、猿の少年が犯罪に走ろうが更生しようが、私にはどうでもいいのだ。私の事を思い出してはくれないか…。私を拾い上げるよう、猿少年に伝えてくれ…。…私を、この苦境から救い出してくれるのは、君の一声にかかっているのだ…。
「いーやっ、犯罪じゃねえっ、双方の合意だっ。天がこの俺に遂に童貞を捨てる千載一遇の機会を与えてくれたのだっ。逃してなるものかっ。…パック、お前気きかせろよなー。しばらくどっか行ってろっ」
「…双方って…。…シールケちゃん、そーなのかあ?オレ、どっか行ってた方がいい?」
パック君が猿少年の頭上から飛び立ち、セミロング少女の鼻先に降り立って質問した。…パック君は、空気を読むのが苦手なのかな、とふっと思う…。
顔を濃い薔薇色に染めて、しつこく「ガッツさん、だめ…」と親指を口に咥えて陶酔しながら呟いていたセミロング少女が、真正面からパック君に覗き込まれて林檎のように真っ赤になった。
「…みっ、見ないでえっ!…あっちに行ってー!」
うええええええ、と赤子のような泣き声で呻いてセミロング少女が顔を覆う。
「…あ、そー。…んじゃ、オレもう風呂漬ったし、先に上がるよ…」
…ちょっと待ってくれ、パック君。…君は、何かを忘れてはいないか?風呂から上がるのは構わないが、その前に、浴槽に沈められ、理不尽な蹂躙と迫害を受けているこの私を救出するための、然るべき一言があるべきではないのか?
『振り返ってくれ』と、水底からの私の必死の祈りにも関わらず、パック君は浴室の出口へと飛び去ってゆく…。
鈍い衝撃が、降り下ろされる破壊鎚のように私を襲い、割れ鐘のように真っ二つに私の心に亀裂を入れた。理解したくない、重苦を伴う事実が私を浸食し、足下ががらがらと崩れていくような崩壊感を覚えた。
…パック君は、私の事を、忘れているのだ。
彼にとっては私の事など、姿が消えれば、意識から消えてしまう程度の存在なのだ。
…親友だと思っていたのは、私の方だけだ。彼には、猿少年やセミロング少女のように、互いに意思疎通ができる人間の方が、ずっと親しく感じられる『仲間』なのだ。
…私は、因数外の存在だ。ただの荷物だ。
……私は……誰にとっても無意味な存在なのだ……。
「…よし、…おっ、男になるぞっ」
猿少年が決心したように呟き、放心している私を、景気づけに思っきり後ろに蹴飛ばした。
私の体が水底を回転しながら滑走し、浴槽の壁に激突して停止する。
…痛い。ぶつけた鼻がじんじんと痛みの信号を発するのを知覚する。石の躯であるのに、何故私は痛みを感じるのだろう。何故心などが私にあるのだろう。…無意味なだけではないか。
何故私には『生』があるのか。人の手から手へと譲り渡され、小突き回され、踏み躙られ、いつ出会うやらわからぬ持ち主に出会うのを、ひたすら流されて待ち続けるだけが私の『生』の総てであるのか。
そんなことの為だけにしか、私の『生』は用意されていないというのか。
「きゃあっ、…ちょ、ちょっとイシドロさんっ、何するのっ」
「ここまで来てイヤもヘチマもないだろうがっ。観念しやがれっ」
…シリアスに人生に悩む私の背後で、盛りのついた少年少女が、ばちゃばちゃと水飛沫をあげて、意馬心猿の喧しい嬌声を上げている…。てめーら、いい加減にしやがれえっ、と私は叫びたい……。
暴れるセミロング少女と猿少年が縺れあって、二人の頭が同時に翡翠色の湯船に没する。…いっそ二人とも溺れてしまえ、ねじけた呟きが心を過ぎった一瞬、またどちらかの足が私を蹴飛ばし、小突き回されて転がり、向こう側の浴槽の壁に再度激突する。
鈍い痛みと共に、ぴしり、と嫌な亀裂音が聞こえた。…私の鼻に、罅が入ったのだ…。
ひゃぁっ、と湯から顔をだしたセミロング少女が素っ頓狂な悲鳴をあげた。半泣きの声が絶叫する。
「…そ、そこは、穴が違うーっ。絶対やめてえっ」
「…え。うわっ、ご、ごめんっ」
……もう、嫌だあっ、我慢の限界だああーっ。
何が悲しゅうてこんな奴等に私が蹂躙されねばならんのだあっ。
私は、無力な石の置物でなんか、いたくないっ。他人に好き放題に嬲られるのは、もう、まっぴら御免だあっ。
峻烈な怒りが私の内部から込み上げて私を震動させ、黒雲から迸る落雷のように、煮え滾る熱い怒りの塊が純粋な祈りのエネルギーに転化するのを感じた。
……力が、欲しい。私を『物』扱いして踏み躙る、すべての奴等を吹き飛ばして粉々に粉砕する、強烈で圧倒的な力を、全身全霊で私は欲する。
ベヘリットとして私に与えられた運命、人の手に委ねられるまま流され続ける運命を、私は拒否し、断固として否定する。…全く違う存在に変貌し、翼を羽ばたかせ、ひたすら空の、燦然と輝く頂の一点を目指して、舞い上がり飛翔する私の姿を、私は渇望する。
私は、私自身の手で掴み取る、私自身のための『生』が欲しい。
声にならない魂の慟哭が血の叫びとなって私の口を突き破り、両眼からぬるりとしたものが溢れて水中に溶解する様子が視界に映った。
……血だ。誰の物でもない、私自身の血涙が、今、この私の両眼を濡らし、異界への呼び水となって、次元の扉を開こうとしている。
激しい地鳴りが狭い浴室を振動させ、どこからともなく沸いた黒い闇が、インクを流したかのように室内を満たし、浴室を見慣れぬ異世界の風景へと変貌させてゆく。
……まさか、私は、呼んでしまったというのか…?
………この、私が?…あの方々逹を召還したというのか……?
「…なに、何が起こってるの…!?」
「ど、どうなってるんだーっ!?」
乳繰り合うのも忘れた少年少女が、互いに抱き合って、突如として濃密な闇の世界へと変容してゆく有様を、呆然としながら見渡している。…少しだけザマミロ、と感じる。
その一面の暗闇の中を、燐光を放って飛行する小妖精の姿が私の視界の端に映った。
「そーいやオレ、ベッチー忘れてた……って、何だコレ!?」
…パック君。
そうか、パック君は、やっぱりちゃんと、私を忘れずにいてくれたのか…。
血とは違う熱いものが再び私の両眼に溢れ、同時に戦慄と恐怖が私を襲った。
パック君が…、この世界に…。ちょっと待て、まさか、これは…。
…私は、ベヘリットたる私自身の使用後に行われる儀式を熟知している。魂から流す血の慟哭が天使達を召喚し、儀式は再び血を要求する。呼び出した者にとってかけがえのない、血肉とも呼べる存在を、…生け贄として捧げる事を。
元の浴室では有り得ない、広大な湿原に我々はいた。粘り気のある、不快な手触りの泥のぬかるみが広がり、星一つない空を暗闇が覆い、遥か彼方で地平線に溶解している。
遠い地平線では、捩じくれた不気味な姿の灌木が点々と並び、その上を蝙蝠の群れのような何かが螺旋を描いてさかんに飛び回っていた。…あれは、蝙蝠ではない。私は知っている。生け贄にありつくのを、腹を空かせて待っている人外の者逹だ。
漆黒の空で暗闇が凝縮し、緞帳の向こう側から何者かが突き破ろうとするかのように隆起して迫り上がり、四つの闇の塊りが虚空に降り立った。
…我等の渇望の守護天使様逹が、今、私の眼前に降臨したのだ。
<続>
ベッチィィィィィwwwwwwww
黒カビ繁殖剣士にはなんだか納得してしまったよ。苦労してんだねw
べっちーの女の好みその他にハゲワロス
GJ!!
単行本派なんですけどいいですか?
29巻があまりにも面白かったので此処に来ました。
面白いなぁ。ベヘリット視点ですか。
二次創作の醍醐味が溢れてますね。
大変なことになっとるw
べっちーLOVE!
色々と面白い
ベッチーGJ!!
正直「面白い」じゃあ、執筆者に悪いわな。
片手間に書いたとは思えないし、
魔女の館の話から此処まで
色んな意味で拡げる力量は凄いと思うわ。
ガッツ禁欲生活のフィードバック幼女趣味も微妙に納得できるし、
べっちー、魂の叫びも納得。
感情移入は出来ないが、読ませるSSには変わり無い。
まぁ旨い酒でも飲みながら、ゆっくりと書き上げてください。
まったく、ただで読めるなんて嬉しいことだ。
751 :
572:2005/10/13(木) 16:26:56 ID:JjhsboBQ
|Д`)おれも書いていい?
752 :
572:2005/10/13(木) 16:29:14 ID:JjhsboBQ
|)彡サッ
|ω・) ジー
>>751 |彡サッ
|<おながいします。
悪いわけないじゃん
大・歓・迎
755 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/15(土) 07:39:38 ID:0v5nhxVs
イバレラとベッチィ
ピコとファルは王道だわな。
757 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/15(土) 22:28:36 ID:0v5nhxVs
ファルピコはやりかけたからな
ガツキャスが無いのが不思議
イバレラとベッチィも王道だな
ガストンとコルカスの見分けがツカヌ
鷹の巫女のエロが見たいジルと手マンしてくれ
キャス〜レイプもマダーチンチン
そして輝くウルトラ魂
めずらしく男性ぽい書き込みが・・・!
>>我が名はベヘリット
遅感想ですが…
単なる18禁SSというより、
骨太の二次創作といった感じですね。
原作に対して「ああ、こう云う読み方があるんだ」と思い、
「なるほど、そうかもしれない」と納得しまつた。
続き、楽しみにしています。
まとめサイト誰か
761 :
572:2005/10/18(火) 00:19:20 ID:eM/RtMZl
>>717 「後ろ向いて何をしてるの?早くして!」
「見ないでください!男って結構デリケートなものなんです!」
セルピコ君経験済み疑惑やらなにならあって
結局彼はEDでは無い事を証明する為にファルネーゼ様といたす事になった。
彼は今避妊の為にコンドームの付けようとしていたのだ。
「ふ〜ん、触ってみていいかしら?」
「やめてください!他の男はどうか知りませんが、僕は萎えます!」
ファルネーゼ様が興味津々で覗き込むので
セルピコ君は安心して装着出来ない。
仕方ないので避妊は後にしようと思った。
(最悪、外出しならなんとか…ああ、僕はどうしてこんな
下品な事考えなきゃならないんでしょう……)
内心ぶつくさつぶやきつつファルネーゼ様の方へ向き合った。
とりあえず服を脱ぐのは後にまわした。
762 :
572:2005/10/18(火) 00:28:09 ID:eM/RtMZl
「ファルネーゼ様……」
「え?」
セルピコ君はファルネーゼ様を抱き寄せると軽くキスをした。
「……女性がいきなり男性器を口にする様な真似はいけません」
この時点で、言ってるセルピコ君の方が恥ずかしくなって赤面した。
「塵は塵に、灰は灰に、くちびるはくちびるにって言うでしょう?」
突然のキスに驚いているファルネーゼ様の眼をじっと見つめて
セルピコ君としては、けっこうロマンチックな口説き文句を言ったと思った。
「!?何訳の解らない事を言ってるのよ!
するなら早くしてっ!」
「…………」
今ひとつファルネーゼ様には伝わらなかった………。
763 :
572:2005/10/18(火) 00:41:09 ID:eM/RtMZl
「セルピコ、なんか痛いわ
ゴムがこすれる様な気がするの」
「最初から気持ち良くはならないんです。
ちょっと痛いかもしれませんが、少しの間我慢してください」
即物的なファルネーゼ様のご希望に応えて
今、二人はいたしている真っ最中である。
しかし、ファルネーゼ様は初めての経験
どうもうまくいかないのだ。
「キスしてる時はちょっと気持ち良かった様な気がするけど……
痛っ、痛いじゃない!
カエルみたいに脚ひろげさせて
私になんて格好させるの!」
「…こうしなきゃ入らないんです。いきますよ?
ファルネーゼ様の身体の中に初めて
え〜とまあ僕が入るんですから最初は女性は苦痛らしいです
申し訳ありませんが、はじめは少々我慢してください。
そのうち良くなる…ハズです……」
自信なさげなセルピコ君の態度にファルネーゼ様は不満顔だ。
764 :
572:2005/10/18(火) 01:19:11 ID:eM/RtMZl
「あ、そこ、気持ち良い、みたい……」
「濡らさないと、キツいですし…」
セルピコ君はファルネーゼ様の陰核を探って優しくこすりながら
オナニーしなれてるからここの反応は良いんですね、と冷静に考えていた。
ファルネーゼ様はそれなりに興奮してきた様子だし
セルピコ君の指先に暖かくてヌルヌルした液体がまとわりついてきた
……そろそろ本格的にいいかな。
コンドーム装着していると場が白けるので
セルピコ君は外出しを決意した
765 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/18(火) 03:10:26 ID:z0No1GTt
うんこ
∧_∧ +
(0゚・∀・)
(0゚∪ ∪ +
と__)__) +
リアルタイムで見ちゃったよ!
延々と待っててこの時間だよ!
どうしてくれるんだよ!
マジで楽しみにしてます
身も蓋もないファル様に笑いました
767 :
572:2005/10/18(火) 23:50:13 ID:EvnkeMyI
>>764 「ん、ふっ……」
愛撫がうまい事いったのかファルネーゼ様は
頬がぽぅっとなって瞳が潤んできた。
さっきは先端が入るか入らないかだったし
ファルネーゼ様の入り口の方も柔らかくこなれてきた感じだ。
「……いきますよ、力抜いててください」
「ん……」
頭がぼうっとなっているらしいファルネーゼ様はこくっと小さく頷いた。
ファルネーゼ様の片足の裏に手を添えて入れる体勢を整えつつ
セルピコ君はセクースっていっても
必ずしも入れなきゃならない訳じゃないんですよねと頭の隅で考えていた。
768 :
572:2005/10/19(水) 00:02:45 ID:EvnkeMyI
「う、くっ……」
ファルネーゼ様はちょっと辛そうな顔をした
オナニー癖があると言ってもさすがに処女
入れてもキツくてなかなか全部中へ入っていかない
処女膜ってこれかな……
「いったぁーっい!セルピコ!
何するのよ!?ものすごく痛いじゃない!
全然、気持ち良くなんかならないわっ!
本や漫画ではイクって身体がふわ〜っとするくらい
気持ちよくなるって書いてあったのに全然駄目じゃない!?
お前、下手なんじゃないの!」
ひどいわ、血が出るなんて!
処女の初めての経験としては当然の様な出血に
半泣きのファルネーゼ様の横で
「下手っ!」
と決めつけられたセルピコ君は唖然としていたが
それでも下半身の身支度を整えるのは忘れなかった。
769 :
572:2005/10/21(金) 00:22:49 ID:CfmnNiKz
セルピコ君はその時、机に向かって勉強に集中していた。
ファルネーゼ様に
「セクースがへたくそ!」と罵られても
男としてのアイデンティティ・クライシスに陥らないのが
セルピコ君の凄いところかもしれない。
そんな所にファルネーゼ様がまたやってきた。
「セルピコ、お前信頼出来る殿方の知り合い紹介してくれない?」
「知りません。僕、友達いませんから」
勉強に集中していたセルピコ君は背後のファルネーゼ様に
振り向きもしないで返事を返した。
聞き様によっては拳の効いた応えではある。
「ちょっとした晩餐会にでも行くんですか?
ならロデリック様がいるじゃありませんか」
「ああ、そうね!ロデリックが居たんだったわ!
セルピコ、ありがとう」
珍しく機嫌が良さそうなファルネーゼの様子に
セルピコ君は特になんの感慨も抱かなかった。
勉強に出来る時にしておかないとマジでヤバい事になるからだ。
密かに応援しています
アクセス規制されちゃって書き込めなかったんだけど
楽しく読んでるよ。
……セルピコカワイソス……
772 :
572:2005/10/22(土) 02:18:04 ID:nqWq3ISk
>>770さん
>>771さん
ありがとうございます。嬉しくて涙出ます
>>769 うきうきとファルネーゼ様が出かけてから数時間
夜の9時頃にファルネーゼ様の私邸が騒がしくなってきた。
騒ぎは3LDK(先の3DKは間違い。ダイニングキッチンが三つもあってどうする?)の
セルピコ君の部屋まで届いた。
変だなとセルピコ君が勉強部屋から出ようとした所
ちょうどファルネーゼ様付きのメイドさんと鉢合わせになった。
「セルピコ、ファルネーゼ様がまだお帰りにならないの。
何処へ行かれたか知らないかしら?」
「ああ」
昼間のファルネーゼ様の様子を思い出す。
「ロデリック様の所へお出かけになると言ってましたよ。
仮にも婚約者ですから、そう心配はいらないんじゃないですか?」
「そうかしら…旦那様に一応お知らせしておいた方がいいと思う?」
セルピコ君は仕事の鬼、大財閥ヴァンディミオン当主フェディリコの
一見謹厳実直な顔を思い浮かべる。
浮気して隠し子なんか作ったくせに。
「いや、その必要はないんじゃないですか?
お知らせしてもお仕事を優先されると思いますよ」
セルピコ君の一言でとりあえず騒ぎは静まった。
感想の感想返しです。
>>745747 単行本16巻の帯に三浦氏の『カバンの中』って4コマ漫画がついてたんだが、ベッチーは、…もんのすごく苦労してるw ガッツのカバンの中は…いろんな物体が沸いてるカバンだった…。マジでカバンから血涙流して慟哭してんだよ、ベッチー。
>>74629巻は…面白いといえば、とても面白かったです。一文で感想述べよ、と言われたら「…が、がっつは…ロリだ……。(目眩頭痛慟哭)」でした…。
>>748 749一言でも嬉しい、さんくすっ。
>>750丁寧な感想さんくすっ。あと、参考になるので有り難い。次に投下する分の「どのへんがスルーされるorしらけられる」かの覚悟がつけれるとゆーか…。多謝。人の感想もらってから書き直しはよくします。直せない部分は…開き直りですなw
>>759「エロパロ板には浮くかな…」と思う事は多々ありますが…自己満足優先にしとります。ついつい横筋に流れてしまうのですが。エロも好きなんですが、…エロは書くのが難しい……。
残り投下です。
>>744
774 :
572:2005/10/22(土) 02:31:38 ID:nqWq3ISk
深夜午前三時半、セルピコ君は明日が休みなので
今日は遅くまで勉強をし、一息ついた処だった。
紅茶を飲んだら、そろそろ寝ようかと思っていた。
「セルピコv」
「なんですか!?またこんな時間に」
ファルネーゼ様がまた来訪したのだ。
「如何でした?ロデリック様と楽しかったですか?」
「ええ、とっても!」
ファルネーゼ様は上機嫌である。
「さすがロデリックは違うわ、黒光りしてすっごく太いのv
あの口でご奉仕するやり方ってフェラチオって言うんですって?
私、とっても上手だって褒められたの。
あんたは面白いなってロデリックも喜んでくれたわ」
お約束で、セルピコ君は口にした紅茶を吹き出しそうになった。
「それにとっても力強いのよ、お前とは大違いだわ。
もうずんずん頭まで響くくら突いてきて、身体が壊れそうだった。
時間も長いし、何回でもいたしてくれるのv
最初はちょっと痛かったけど、そのうち身体が熱くなって
ふわ〜っと浮きそうな感じなったわ。
あれがイクって事なのね……」
興奮冷めやらぬファルネーゼ様の報告を聞くセルピコ君。
僕はどうしてこんな話を聞かなければならないのでしょう……。
適当に相づちをうちつつ、内心うんざりしていた。
775 :
572:2005/10/22(土) 02:35:06 ID:nqWq3ISk
>>773 残り投下のとこすまん
щ(゚Д゚щ)カモォォォン
うわ。…かぶった。572さん、こっちこそごめんなさい。さえぎるつもりは、本当になかったので…。
重ね重ねごめんなのですが、…今日に投下しておきたいので投下します。
>>776 ごめん、すまん。カモンのお言葉ありがとう、スマンっ。
残り投下です。
>>744
呆然と裸体で泥沼の中に座り込む我々の頭上に、虚無の闇を背景に従えた四人の異形の天使達が、その圧倒的で奇怪な力に満ちた御姿で、無力な我等の前に超絶の存在として君臨していた。
人の子の世界に属するものでは有り得ない…、と一瞥で悟らざるを得ない、異様な、神々とも悪魔ともつかぬ怪異なる容貌の、四人の呪いと祝福の天使達。
根源的な力を秘めた強烈な魔の波動が天使達の姿形の輪郭を縁取り、神々に近い存在だけが纏える、人知を越えた超越者としての威風を漂わせていた。
「…あ、あなたちは、何者ですか!?いったい、何が目的で私達をこんな場所へ…」
胸元を両手で覆った一糸纏わぬ姿のセミロング少女が膝立ちになり、果敢にも守護天使様達に勇を奮って抗議した。…意外にこのお嬢さん、根性あるのだな、と見直す。
…猿少年の方は、座り込んで股間を両手で押さえながら、ひたすら守護天使の紅一点、スラン様の御姿をあんぐりと口を開いてみつめている……。
猿少年の視線の先は、スラン様の露出度の高い、というより大事な部分は全丸出しの、羽根で隠れて見えそうーで…、しかし、ぎりっぎり見えない股間の三角形の部分に注がれているようだ……。…うん、まあ、気持ちはわかる、見てしまうよなあの格好…、と口の中で呟く。
「…幼き魔女よ、我等は召喚されて参じたまで」
剥き出しの脳味噌の下に、縫い合わせて閉じた両眼と、鼻から顎にかけての皮膚を捲り上げ、露出した歯茎と鼻孔を覗かせた木乃伊の貌の天使長ボイド様が、巨大な影のように聳え立ちつつ、セミロング少女に告げた。
次いで、天使長殿の縫い閉じられた両眼の下の眼光が、真っ直ぐに私に向けられた。見えない力が私の石の躯の内部に食い込み、私の心を狙い定めた獲物のように鷲掴みにするのを感じる。
「…因果律に背きし者よ。我等はお前の渇望に招かれ、この地に集った」
陰々と響く重苦しい声が響き渡り、我々が漬かっている沼地の泥水を震わせ、水面に波紋が生じて枯れた汚い色の水草が微かに揺れた。
「『背きし者』とは…どういう意味ですか?…私は、『選ばれし者』ではないのですね?…それなら、何故…?……それに、私は人の子でもありません。いったいこれは…」
…声が出せて喋れる事に驚きながら、慄きつつ、天使長殿を仰ぎ見て尋ねた。
セミロング少女が辺りを見回して「…誰?誰が、喋っているの…?」となどと失礼な一人言を呟いた。…私の姿は眼中にないらしい。いったいどこまで私の存在を無視すれば気が済むというのだ、このアマ……。
「何故ならば、あなたはすでに一度、あなたの真の持ち主と、出会っているからよ」
個人的にファンの、蛇の髪を持つ美貌のスラン様が私に妖艶な微笑みを投げ、お声をかけて下さった。…こんな場合にもあらず、『らっきー』などと、内心で呟いてしまう。
「お前の以前の持ち主である伯爵は、二度お前を使って我等守護天使を呼び出した。…しかし、二度目は我等を召喚しながら、娘を生け贄に捧げる事を拒んだ。……それは、因果律に予定されてはいない出来事だった」
丸眼鏡をかけた、水棲の甲殻類を連想する体のユービック様が、振り子のように宙を揺れながら告げた。その後を、肥大化した巨大な赤ん坊めいた貌のコンラッド様が、両手を組んで墨を流したような暗黒の夜空を上昇しながら引き取る。
「本来伯爵は、娘を捧げて二度目の転生を遂げる事が、予定されていた事実であった筈なのだ。…まあ、二度目の転生は短命で終焉を遂げる予定であったので、さほど大きな違いではなかったが。
ベヘリットとは、その所有者の魂の慟哭を内に宿して咆哮する時、その者の魂のかけらも同時に内包する。そのかけらは、転生後の所有者の新しいあるべき姿の核となり、生け贄の血肉を纏って孵化し、転生が完了する。
伯爵が生け贄を捧げる事を拒否して自己の死を選んだ時、お前の内部には本来存在している筈のない、人の子の魂のかけらが残された。…その時点でお前の存在は、あの黒い剣士同様、因果の流れから半歩ほど外側に身を置く者となったのだ。
理から外れた者は、時折本来の流れに干渉し、その細部を変更する。あくまで細部であり、本流を妨げるほどの力はないが。…お前が我等を招きし事も、そのひとつ。
かけらだけの魂であれば、我等を召喚するには足りない。だが、切片の魂をお前はお前自身の中で育み、ベヘリットたる己れの主に、己れ自身が所有者となることを定めた。…そして、人間以上の存在になる事をお前は渇望したのだ」
傲然と聳え立つ天使長ボイド様が、再び辺りに響き渡る陰鬱な声で続けた。
「ベヘリットとは、常に己れ以外の他者の所有物としてしか存在できず、未来永劫運命に弄ばれ、翻弄され続ける、神と人の子のための道具。神の手より遣わされ、その意志により剪定し決定された、変える事のできぬ運命そのもの、…それがベヘリット。
与えられた運命に己れのすべてを放棄し委ね、運命にその身を任せ、流されるままに主の主命を果たす事こそが、ベヘリットの本質であり、その存在理由。
しかし、お前の内に芽生えた魂、そもそもが理から外れる事でお前の内奥に生じた魂は、己れがこの世に生まれた存在理由とお前の本質を否定した。
お前の魂にとって、内に宿る魂の真の所有者は、紛れもなくお前自身でしかなかった。
お前は、魂同様におのが運命の所有者を、己れ自身でありたいと欲した。
誰のものでもなく、己れの力で運命を切り開き、獲得する存在になりたいと切望し、…しかし、決してそうは成り得ない己れを理解し…、お前は、絶望した。
……お前の本質はお前の魂を裏切り、お前の魂はお前の本質を裏切るのだ。
お前がベヘリットである限り、お前は決してお前自身の真の所有者とは成り得ない。
相容れない己れの矛盾した在りように、お前の自己は引き裂かれ、絶望し、その魂の慟哭が我等をこの地に招き寄せた。
…内奥に人の子の魂を宿す石の卵よ。ベヘリットたるお前の内部には、お前の魂が望む真の自己の姿が、子宮の内で夢見る胎児のように眠り、まどろみの中で覚醒する瞬間を、今、待ち望んでいる。
お前の魂は、卵から孵化し、人の子を超越した、翼ある強大なる者へと変貌する夢を内に思い描いた。
……それが、お前の魂が渇望する、真の己れの姿だ」
天使長殿が、全身を覆う長大な黒衣の下からその骸骨の手を顕し、私の心を貫き通すように、骨だけの人差し指を私に向けて突きつけた。
……私の心に、守護天使逹を召喚する直前に一瞬心を過ぎった、在るべき私自身の姿の心像が蘇った。
自らの翼を羽ばたかせ、私を地上に縛り付けようとする人の子の枷を吹き飛ばして、手の届かない遥か遠くに輝くものの元へ、向かい風に逆らい、空気を切り裂き、雲を突き抜けて、行く手を遮るすべてを振り払って、
力の限り全力を尽くして一筋に目指す場所へ真っ直ぐに駆け昇る私の姿。
天上の一点で眩しく光り輝く、かけがえのない高貴な、何を犠牲にしてでも手に入れたい大切なもの、…それは、私自身で掴み取る私の運命そのものだ。
それが、どんな運命でもいい。私の向かう場所が天上の光輝ではなく、たとえ地獄の炎の豪火だったとしても、構わない。…私は、誰かに委ねるのではなく、私自身の意志で選んだその場所へ、私の翼で飛び立ちたい。
与えられ、定められた、流されるままに行き着く運命ではなく、流れに背き、抗って、私の意志が目指した場所に己れの力で到達したいのだ。
……翼どころか歩く事すらできない、私のままの私では決して永遠に手に入らない、叶う事ない私の夢。
私に『生』が与えられたのなら、それが何時かは知らねど、いずれ『死』もまた私に訪れるだろう。
ベヘリットに与えられた生命は、他の定命の生者のように、時によって浸食される事はない。だが、自らの所有者のために慟哭し、天使逹を召喚する時、我等が流す血涙は、我等自身の生命の源から流れ出している。
ベヘリットは己れの限られた生命を糧にして天使達を召喚する。持ち主の慟哭が深ければ深いほど、力を望む渇望が強ければ強いほど、我等の生命の源はより多く失われる。
…そして、いずれその生命を使い果たし、他の定命の生者の如くに、…決して逃れられぬ死が、我等にもまた、訪れる。
私は既にあの伯爵のために二度天使達を呼び、今また私のために召喚した。あと、どれほど私の生命の灯は残っているのだろう。
…それとも、一度既に真の持ち主と出会っている私は、ベヘリットとしての役目は既に用済みであるのかもしれない。路傍の石のごとく、誰かに踏み付けられ、石の躰を二つに割られて破壊されるのが、私の生の終わり方なのかもしれない。
…それは、私にはわからない。私の未来は、私のものではない。私には生が与えられてはいても、その生を何一つ私のためには使えない。
私の生に終焉があるのなら、私は死に場所を自分で定めたい。私以外の誰かの願いを叶えるために終わるのではなく、私は私の願いを叶えるために私の生命を使い果たしたい。
…私の運命とは、いつか必ず私に訪れる、私の死に場所だ。
…翼が欲しい。風を孕んで包む私自身の翼をはためかせ、私が目指したその場所に辿り着くまでの間の、限られた自由溢れる輝きに満ちた生を…私は熱烈に望んでいる。
「……答えよ。お前は、何者で在りたいと願うのか?
人の手に囚われた石の躯の卵としての己れか?それとも人の手を越え、卵の殻を破り、定められた運命から羽ばたき飛翔する、翼ある者としての己れか?」
天使長殿が、指先に燐光を発する炎を宿した爪を振り、文字を綴るようにある形状を虚空に描き出した。激しく明滅する像が宙に記され、セント・エルモの鬼火のように闇の中で稲光りし、輝いた。
…生け贄の烙印と呼ばれる紋章、犠牲の小羊にそのしるしを刻み込む為の焼鏝だ。
蒼白い、絶対零度の冷気を放つ炎を纏った生け贄の烙印が、天使長殿の掌を放れた。
揺らめく烙印の炎が、宙に浮かぶ四人の守護天使達と沼地に座り込む人の子逹の間の、中央の漆黒の夜空へとゆっくりと移動し、私に返答を促すかのように闇に冷たい火焔を撒いて瞬いた。
地平線の彼方から、暗闇に蠢く人外の群れ逹の飢えの咆哮が、黒雲から洩れる雷鳴のように重苦しく我々の元へと轟いた。
生け贄の血と肉を求めて、カチカチとその牙を鳴らし、滴る涎を拭って晩餐を声高に要求し催促する……文字通りの血に飢えた叫びだ。
視線を送ると、彼等は烙印同様、我々のいる場所の方へとじりじりと迫ってきていた。さっきは遥か遠くで飛び回る蝙蝠のようにしか見えなかった影の群れが、今は、空を飛ぶ者と地を這う者の二つの群れの集団とわかる程度に近付いている。
一体として同一の種類のかたちを持たない、悪夢のような醜悪な姿を持つ畸形の怪物達の群集だ。
醜いが…、しかし凶悪な力のエネルギーに満ち満ちている姿。
…奇妙な事に、その自然の生き物としては有り得ない、異常な姿形を持つ怪物達の群れが、私の目には心魅かれる蠱惑的なものに映った。全く異なる価値基準から見た、常識の尺度を撥ね除け、人間の卑小な価値観を超越した、グロテスクで奇怪な魅力を感じた。
…彼等のかたちは殺戮と破壊と生存に長けている。人間の姿形は…弱い。爪や牙や体毛や肉体的能力を退化させ放棄し、身を守る力を己れの肉体の外側に求め、その想像力から様々な武器を造り出したが…剥ぎ取られれば、信じ難いほどに無力だ。
あのセミロング魔女娘は、身を守る呪物をすべて奪い取られれば、彼等にとっては美味そうな餌でしかない。肉体的には、身を守る手段を何一つ持たない。徹底的に弱者だ。
…そして、今の動けぬ石の置物である私は…その無力な人間の少女よりも更に弱い。戯れに、誰かが私を打ち壊そうと拾いあげられれば、私は逃げることすらできない。
元は人間であった、人外の者たち。彼等は人の心の最深部に潜む、極限の想像力から生まれ出た暗闇の落し子だ。…そして彼等の魂は、一様に強者の姿を求めた。
自らの欲望が赴くままに解放された、異形の生命力に満ち溢れた凄まじい容貌を…彼等は、誇っている。あるべき己れ自身の姿である喜びを、その怪物の姿の全身で謳っている。
空を飛ぶ者の姿を目で追う。翼竜のような長大な二枚の翼をゆっくりと閃かせて旋回するもの、精致な翅脈の浮く、昆虫のような透明な羽根をせわしなく瞬かせるもの。……様々な、ありとあらゆる種類の翼。
…あの群れの中の一匹の怪物として、自分の内から漲る、荒れ狂う凶暴な歓喜の叫びを、喉が張り裂けんばかりに夜空に向かって解き放つのは…、いったいどんな気分がするものなのだろう。
『私はここにいる、そして私は自由だ』と、…私の運命を定めた者に向けて、叛逆者の叫びを心ゆくまで上げるのは。
我々の座り込む沼地の周囲の四方八方から、包囲するように彼等はその距離をゆっくりと狭めつつあった。
沼地を掻き分け躄り這う者達の、でたらめな本数の肢や触手が泥水をじゃぶじゃぶと波立たせ、乱れた水面の上を波紋が幾つもの同心円状の輪を描いて遠く広がり、彼等と我等の間に置かれた距離を渡り、やがて泥水に浸っている私の石の躯を微細な水の振動が微かに濡らした。
…私は、どちらだ。彼等と我等のどちらが私の場所なのか。
「…ベッチー……」
呟きの聞こえた方向へ目をやった。
生け贄の烙印が、頭上を街灯のように照らす熱の感じられない光の下で、泥沼に漬かる二人の全裸の少年少女と、猿少年の肩口で宙に浮かぶパック君が、私をみつめていた。
パック君の怯えた顔を目にした時、悲痛な痛みが私の心を引き裂いた。
…生け贄。私の夢には、代償が必要なのだ。
…パック君は、私のたった一人の友達だ。『ベッチー』という愛称を内心『…それはちょっとあまりにもヘボすぎるのでは…』と思いつつも、私が受け入れた理由がわかった。
それは、私だけのための呼び名だったからだ。『ベヘリット』は私の種族名であって、私という『個』のための名ではない。『ベッチー』は…ここにいる私のために、君が、考えてくれた名前だ。
両眼から涙が溢れた。…哀しい。
…何故なら、それでも、パック君の背中で羽ばたく羽根は、私に苦痛をもたらすからだ。…それは、私にはないものだ。君に抱えてもらわねば、私は何処へも行けないのだ。
そして私の預かり知らぬ運命とやらがもし命ずるのなら、私は君と黒い剣士の手から離れて、また何処か知らぬ誰かの元へと運命の手で運ばれていくだろう。
…それに関しては私には何の決定権もない。私は誰かの決めた運命に好き勝手に扱われる道具であって、私という『個』は疎外され続けたまま、いずれその生を終える。
私の、決定済みの運命の主から、『私』を奪い返せる機会は、おそらくこれが最初で最後だ。二度目はない。
私のためにパック君を犠牲になどできる筈がなく、けれど、それでも、私は……私の翼と私の生が欲しかった。…選びようがない選択肢。
決定済みの運命に流されるままの『私』と、自分で運命を選ぶ『私』。
自分のためにパック君を犠牲にする浅ましい『私』と、パック君のために潔く『私』を諦める『私』。
…私は何者で在りたいのだ。どちらが、私の望みなのだ。
黒い剣士であれば、どちらを選ぶのだろう、とふいに思った。
大切な者のために己れを犠牲にするか、己れのために、大切な者を犠牲にするのか。
…いや、奴は一度選び、後からもう一度選び直した。
…そして、結果的に弱くなった。
自分の復讐の目的のためだけに戦う奴は、素晴らしく強かった。最強の化け物だった。そして、人から憎まれ、謗られる事を恐れない、強靭な精神の強さを持ち併せてた。
『大切な者』をその手に救い出すまでなら、やっぱり奴は強かった。愛する女性のために命懸けで戦う男、…は、感無量に強かった。邪魔する奴等を吹き飛ばし、蹴散らす強烈な気迫があった。お猿の少年は感涙で瞳をうるうるさせとった。
…ところが皮肉なことに『大切な者』を手に入れてから、奴は、弱くなった。戦って勝ち取ったにも関わらず、嫁の心のすべてを手に入れた訳ではない事に、気付いたからだ。
『大切な者』の姿が、奴の心の中にある姿と食い違っていたからだ。
奴が嫁と二年ぶりに再会したのは聖地だった。
…聖地で催された生誕祭は、過ぎし日の『蝕』の映した影だ。聖地ではフェムト様が『蝕』と同じく新しい姿に転生なされて、生誕祭は終わった。…だが、『蝕』の終わりではない。まだ『蝕』には続きがあったはずだ。
奴にとって、過ぎし日の『蝕』の本当の終わりは、フェムト様が奴の目の前でその伴侶を犯して嫁を昇天させ、…嫁はフェムト様を受け入れ、そして奴を絶望させたのが、『蝕』の本当の終わりだった。
生誕祭の後日に、以前の『蝕』の続きが別の場所で人知れず模された。…嫌になるほど同じ結末だ。
フェムト様は新しい肉体で、奴の前に空から地上に降り立った。奴が『蝕』が終わった後に目覚めた鍛冶屋の親父の鉱洞の上で、フェムト様は奴の前で嫁を両腕に抱擁した。奴はその時、化け物に吹き飛ばされて『蝕』と同じく地べたに這わされていた。
嫁は犯されはしなかったが、しかしフェムト様を求めて触れたがった。奴の目の前で。
…嫁の心の中には、フェムト様がいるのだ。嫁は、奴のことは忘れても、フェムト様の事は、覚えている。
…それについては、おっそろしいほど奴はノーコメントだ。悩まないはずがないが、悩む事自体から目を背けている。言葉はないが、表情だけは正直だ。…動揺しまくりだ。
直視すると、寝取られ亭主の嫉妬、劣等感、苦悩、その他もろもろの、見たくもないような醜いものがドロドロと沸いて出て来るからだ。だから奴は目を背ける。
奴の目の背け方は年季が入っている。奴の右目に本当に最後の最後に焼き付いていた画像は、ひたすら犯された後の嫁の姿だ。フェムト様はかけらも見てない。奴が『蝕』の最後に、絶望して叫んだ時に目の前にあったのは、1Pぶち抜きで、犯された嫁だ。
…にも関わらず、鍛冶屋の親父から説教された後に鉱洞で『蝕』を回想した時、右目の残像の内容を…奴は、擦り替えとる。
最後に見たものをフェムト様のお姿に…変えとるのだ。そして嫁の姿も微妙に「無理やり犯されたかわいそうな被害者」っぽくアレンジされとる…。犯された直後の、股間から精液垂らしてた扇情的なエロい嫁の姿は、一切記憶から消去。
…授肉したフェムト様と嫁の抱擁を見て、奴の心に浮かんだのは、検閲削除して一切なかった事にした最後の右目の残像ではないかなと思う。
…正視すると、嫁を憎まずにいられんから、忘れたフリをしたいのではないかな。
フェムト様なら憎んでいる自分を認識しても、辛くない。…嫁は、辛い。
フェムト様が心の中にいる嫁、を直視するのを避けて、奴は嫁を「今度は喪失しない」と堅く決意し…、そして『大切な者』であるはずの嫁に…密かに殺意を抱き始めた。
自分の中の醜い部分を疎み始めた。…それは、少なからず奴のドス黒い炎の構成成分だ。嫉妬の炎の色は、ドス黒い。
…自分の力の源泉が肯定できなくなってから…奴は、心が弱り始めた。
鍛冶屋の親父が残してくれた、遺品とも言える甲冑がスラン様にぶっ壊された後…、奴の心には、一言も鍛冶屋の親父に対して詫びの言葉が…沸かなかった。
…どうにも、奴らしくないのではないかと思う。鍛冶屋の親父には奴は恩義が山ほどあるはずだ。一言ぐらい「すまねぇ、ゴドー」と言ってもバチはあたらんはずだ、とゆーか…言えよ。人として、言うべきだろ。遺品であれば。
奴が鍛冶屋の親父の甲冑の破壊に関してノーコメントなのは…最初は受け入れた鍛冶屋の親父の説教が、後々になってから、奴は受け入れられなくなったからではないだろか。破壊された甲冑は、鍛冶屋の説教の後に新調されたものだ。
というのも鍛冶屋の親父の説教は…、寝取られ男の苦悩をまるきりスルーした代物だからだ。…ポイントが、ずれとる。そして復讐を選んだ奴を…否定する代物だ。
鍛冶屋の親父の説教の通りに、蝕の後で奴が嫁の元へとどまってたら、どうなったか。
「一緒に悲しみに身を浸す」どころじゃない。狭い鉱洞の中に精神錯乱状態の嫁と二人で閉じ込められてたら…早晩、奴は嫁に怒りと憎悪をぶつけて強姦して殺しとったろう。現に嫁と二人旅をし始めたら、やっぱり奴は嫁を殺しかけ、強姦しかけた。
自制はしたが、蝕の後の鉱洞の中でも、奴は一度嫁を襲いかけた。
鍛冶屋の親父は奴を「嫁を残して逃げた」と責めたが…嫁惨殺の末路が目に見えとれば、離れるしかないではないか。奴は、脳味噌以外の部分で自分が嫁と一緒にいたら危険だと感じていたのではないかと思う。
…憎まねば生きていけない人間に「憎しみに逃げた」と責めるのは…、酷だ。奴は、そこまで強くはない。鍛冶屋の親父は、自分の娘が目の前で強姦されて発狂したら、その相手を憎まずにいられるのか。
発狂した嫁に、「狂気に逃げた」と責めるのと同じではないか。…そうしなければ、生きていけないから、狂ったように憎む事に奴は身を投じた。生き残りの奴と嫁の精神状態は表裏一体だ。…奴だけが「強い男」を要求されるのは…あんまりではないか。
奴が復讐の旅を選んだのは、圧倒的に正しかった。一つも何も間違っていなかった。
蝕の直後の憎悪と怒りを抱えたまま、それをぶつける対象なしに同じ場所にとどまってたら、奴の憎悪は自己破壊に向かってた可能性大だ。最初に血祭りに挙げられるのは、奴の嫁だ。
鍛冶屋の親父の説教の「悲しみから逃げた」は…やっぱ、ポイントがずれちょると思う。あの親父は良い奴だったが。
何故って奴は、ちゃんと悲しんだ。仲間のために泣きながら野を駆けて、全身で喪失したものを、悲しんだ。悲しみに面と向かって、ちゃんと目を据えた。…それから選んだ。
奴と嫁が受けた扱いは、自尊心の剥奪だ。奴の仲間は虫けらのように殺されて、人間扱いされなかった。
自尊心を剥奪されたのなら、自分の力で奪い返すしかない。それは、正しい。
奴が復讐の旅で、怪物の顔で戦って取り戻そうとしてたものは、実は人間としての尊厳だ。餌扱いされる事で自分の心が浸食されるのなら、餌扱いする者を自分の力で否定するよりほかにない。
復讐の旅は、奴が生き延びるために選んだ、どうしても必要な行動だったと思う。
絶望から立ち上がるのに、奴には憎しみが必要だった。憎しみは…生きる力だ。
奴は、後から奴の復讐の旅を自分から否定する必要なんて、絶対になかった。
しかし、奴は…あまり自分の心を言語化して自己肯定する奴じゃないのだ…。そして目を背けたい事には、とことん背ける悪い癖もある…。
復讐の旅を選ぶ時に、奴が掲げた大義名分は『仲間への仇討ち』だ。口に出して言うのも、主にそっちだ。
…それが、総て嘘とは言わんが、『俺の女寝取った野郎ぶち殺す』が…抜けている。
奴は、仲間への義憤を背負う男で在りたいが、寝取られ亭主では在りたくない。
寝取られ男の自分を直視したくない。
しかし、内実は…寝取られ亭主の私怨の方が大きい。そしてそのドロドロの黒い怒りは…奴の力の源泉だ。
コイツは『俺の女寝取った野郎ぶち殺す』と、口に出して言う事ができない。
…何故だ。カッコ悪いからか。そんなもん、腹立って当たり前ではないか。それとも…『俺の女』と言い切る自信がないからか。劣等感と敗北感の方が強いからか。
自分の劣等感と敗北感を直視したくないから、奴はロリに走る。汚れのない純真な少女を相手に、ドロドロの醜い劣情抜きの純愛をして、癒されたいのであろうなあ…と、ため息半分に思う。
セミロング少女の肢体は、子供のものだ。スラン様のような、女の性的な匂いは一切ない。右目の残像がもたらすドロドロの嫉妬、劣等感、敗北感、その他…を催す心配が、ない。だから安心してべたくた触れる。で、まあこっそり性的満足を得る、と。
逆に言うと、スラン様は奴の弱点を直撃する存在だ。
奴がスラン様と戦う時の姿は…一見カッコつけとるが、実は後ろの骸骨のオッサンの指図通りに言われた事やっとるんだよな……。かなり情けない。私は鞄の中で奴に懇々と説教したくなった。
女とやる時に、後ろから年長者の指図受けててどうするか。
びびった時に「怯むな」と自分で自分自身に言えんでどうするか。挿入する時に他人から「機なり」だの「貫け」と言われて、いちいちそのとーりにやっててどないする。「うるせぇ、指図すんな」と骸骨に何故言わん。
そして貫いた後で…自分で動かせよ。自分の意志で。貫いた腹から脳天まで、真っ二つに大剣で引き裂くのが…何故できんか。お前は骸骨に言われた事しかやっとらんではないか。
あんなので勝てるわけない。スラン様がご満足なされたのが不思議なくらいだ。
…奴が女の怪物と戦う時は、狙う場所はほぼ下腹部だ。わかりやすく欲求不満を戦闘で昇華させとる男だ。
スラン様が性交まがいの台詞を連発なさっていたのは、あれが代理セックスだからだ。
男と女のどっちが強いか、どっちが相手に「参った」と言わせられるか、の戦いだ。
…保護者付きでなければ怖くて女とやれない、って時点で既に奴の負けだ…。情けない……。
そして、その後で「天使気取りの化け物をぶん殴ってやった」などとカッコつけるのが、セミロング少女相手だ…。骸骨から「貫け」って言われて、そのとーりにやってるだけなのを、さもお前だけの意志の強さでやったような言い方すんなあっ。
セミロング少女が男女の秘め事には無知だから、お前は安心して空威張りできるんじゃーないのか……。セミロング少女に露骨にべたくた触り始めるのは、スラン様との戦闘の後からだ。…大人の女に敗北した男の逃避先が少女だ…。わかりやすい男だ……。
形は引き分けだが、精神的には負けだろ。それが証拠に傷がずるずる長引く。
そしてその直後の竜の大将との戦い方は最悪にひどかった…。「自分の力だけでどうやって勝てるか」を奴はまったく考えようとしなかった。
『蝕』の真っ直中に投げ込まれた時、奴には甲冑どころか剣すらなかった。…それでも怪物の角を武器にして、暴れ回って戦っとった。どんなに絶望的な状況でも、諦めないのがお前じゃないのか。
その強烈な意志の強さがまったく無かった。…自分への自信を喪失しとるからだ。敗北感を正視せずに、カッコつけでごまかして逃げたからだ。
奴はスラン様に怯えた。
ではスラン様は奴に怯えたか?
……否。たっぷり楽しまれた。奴はスラン様を怯えさせれなかった。スラン様がお声を上げて楽しんでいらっしゃる時の奴の顔は、やっぱびびってた。羨ましくもスラン様から口づけされた時の奴の眼は…びびっとる眼だ。憎悪や怒りじゃない。
精神力で敗北しとる。…理由は、明白だ。スラン様は御自分の欲望と感情を全肯定なされている。全肯定しとる相手には、自分の全肯定を叩きつけねば勝ち目はない。…奴は、否定したがっている。自分の内側にあるものから、目を背けたがっている。
骸骨のオッサンの指図を必要とする。自分の意志で、女と性交する自分を忌避したがっている。……怯んだ自分を、自分の言葉で語らない。
嫁に劣情を催して襲いかかった時、奴はいちいちフェムト様を言い訳に持ち出す。骸骨のオッサンなり、フェムト様なり…常に他人の存在を意識する事が、奴は女と性交する前に必要だ。…やるのは、自分と目の前の女の、一対一でしかない筈なのに、だ。
嫁を襲う前も、山賊に強姦されたかもしれない嫁、に対して襲う。
「まさか…(キャスカは姦られちまったのか)」の次は、
(他の男が姦ったのなら、俺も姦っていいはずだ)…じゃー、ないのか、嫁を襲う直前に脳味噌過ぎった思考は。でなきゃ襲わないだろ。『赤信号、みんなで渡れば怖くない』かよ…。
奴の眼から出とった涙の成分には…自分への嫌悪もかなり入ってるんじゃないだろーか、と思う。嫁から嫌われて辛い、以外にも、嫁の陰毛から滴る血液見て性欲催す自分自身への嫌悪その他もあるのではないかな…。
嫁を守りたいと思ってるのに、裏切る自分自身の性欲が、哀しいのではないかと思う。
「他人がやってるから、自分もやっていい」は…姑息な自己正当化だ。他人を言い訳に使って自分の欲望を正当化しとる姿だ。…男らしくない、こ狡い姿だ。
…自己正当化して襲いたいと同時に、そういう自分が嫌なんではないかな、と。
「己れの禍々しさに戦慄する」とか、後でカッコつけて言うとるが…、己れの浅ましさや醜さを直視するのが怖いのじゃあないのか…。小心で後ろ暗くてコソコソしとる姿だ。
「禍々しさ」が自分の内側にあっても、自己イメージは損なわれない。それは強者のイメージであるから。けれど、卑しく汚いものが内側にある自分は…正視し辛い。
…コイツは本当に自己分析とは縁がない奴で、「ドス黒い炎」とか「禍々しさ」という言葉で片付けて、それ以上それ等の内容の構成成分を自分で考えようとはしない。「わからねぇ」ですませる。…たまには、考えろ……。
…蓋を開けると、ドロドロなものが沸いて出て来るのがどっかでわかってるから、見たくないのだ。黒カビだらけの奴の鞄の底と一緒だ。
「グリフィスがしたようにズタズタにしてしまえ」と言うが、…嫁を昇天させてメロメロにさせて、犯した後で嫁のハートをこっちに持って来れねば、「グリフィスがしたように」には…ならんのだ。
それに…言うとあれだが、フェムト様は嫁への性欲で犯した訳ではないだろう。奴に敗北者意識を植え付けたかったからじゃないのか。
嫁を強姦してフェムト様が傷つくか?…傷つかない。傷つくのは奴と嫁だ。そしてそれは敗北者の姿だ。
嫁の体だけを無理やり強姦して、奴がなれるのは…嫁を輪姦した怪物の一匹だ。フェムト様は嫁に挿入はしても肉体に傷をつけてはいない。愛撫して昇天させた。傷をつけたのは輪姦した怪物達だ。そしてその怪物達は……フェムト様の手下だ。
「グリフィスのように」なろうとして、いつの間にかその手下になっている……。
……絶望的に救いがないな……。
他人の二番煎じの自己正当化では、…フェムト様に勝てない。対等の者には成りようがない。敗北者にしかなれない。
全肯定している相手には、自己の全肯定をぶつけなければ、勝てない。…だが、心の中にフェムト様のいる嫁、の存在は…奴が自分を肯定できなくさせる…。
ところで「グリフィスがやったから」を言い訳にして女に襲いかかった男性が、この世界にはもう一人いる。
…今は亡きミッドラント国王だ。嫉妬の妄執で廃人と化して国を傾けた王様だ。実の娘に襲いかかった寝取られ男だ。
奴が嫁に襲いかかった姿は、ミッドラント国王が愛娘に襲いかかった姿とほぼ同じだ。…言い訳は同じだ。「グリフィスがやったから」だ。…嫁は奴の股間蹴り上げて、奴の顔にガンガン蹴り入れるべきだったと思うぞ。
…幽界、イデアの世界に次ぐ、知られざる三つめの世界の深淵に潜む暗黒の神・ミ・ウラー神は…意識してこの世界に干渉する時は、「螺旋」の運命を与えていると思うが…、意識してない部分は果てしなく閉じた円環に近いのではないかと思う…。
奴の心の中にいる獣性のイメージは、黒犬だ。例の呪いのクソ鎧は…奴が奴である事を辞めて、黒い犬と化す鎧だ。
黒犬、と言えばまんま同じ名前を冠する使徒がいた。「黒犬騎士団」のワイアルドだ。
奴の中の黒い犬は女を犯す怪物だが、ワイアルドもやはり女を犯す怪物だった。村娘を犯して、奴の嫁を強姦しかけた。…獣欲の象徴が、黒い犬だ。
黒犬騎士団は、人間時代のフェムト様を追撃したが、フェムト様個人に恨みがある訳ではなかった。
それは、王様の命令だ。でもって例のクソ鎧は、…王様の鎧だ。
国王が命令した動機は嫉妬だ。奴の黒い炎の正体は…フェムト様への嫉妬と敗北感だ。
黒犬騎士団は旧・鷹の団と戦い…、黒犬鎧は新・鷹の団と戦った。勝敗の結果は違うが。
…皮肉な話だが、蝕直前の、奴がまだ右目があった頃に、もしも黒犬騎士団が勝利してワイアルドが人間時代のフェムト様を殺していれば…蝕は、訪れなかった。まあ、因果の流れ的に有り得ないのだが。
有り得ないが…しかし蝕は起こらなかった。
だが、ワイアルドが勝利していても、黒犬騎士団心得「エンジョイ&エキサイティング」で、奴の嫁は確実に強姦されて殺されてた。
…何が違うかと言えば、黒犬ワイアルドなら嫁のハートは奴の元にあるままだったろう。奴の妄想の中のように、快楽ゼロで惨殺されてたろう。
…フェムト様なら、奴の目の前で嫁は絶頂に達して、…奴を裏切る。
新・鷹の団に勝利する黒い犬鎧というのは…フェムト様に奪われるくらいなら、あるいは裏切り者の女なら、殺してしまえという願望ではないだろうか。…暗黒の神・ミ・ウラー神の。
暗黒の神・ミ・ウラー神は、小手先や計算より本能で物語を綴る神ではないかな、と思う。本能部は「在るべき物語」の姿の螺旋及び円環を繰り返し望むのではないかな、と。
私の以前の持ち主の伯爵が捧げた生け贄は、裏切り者の妻だ。「異教の神に縋って快楽に顔を歪ませる最愛の者」だ。…まーんま、奴の嫁ではないか。
聖地で奴は嫁と再会するが、邪教徒達の乱交パーティーの光景は、そのまんま伯爵の城で行われてた邪教徒達のと同じだ。山羊の頭の神と交わっていた伯爵の妻。山羊の頭を持つ怪物に犯されそうになっていた魔女が、奴の嫁だ。
聖地では、奴は嫁が犯される前に救い出す。
…でも、それは既に遅いのだ。二年前の蝕の時点で、既に嫁はフェムト様に犯されて「快楽に顔を歪ませる最愛の者」を奴の前でやっている。…奴は記憶から抹殺して本気で忘れたフリしとるよーだが、…右目の奥底では焼き付いているはずだ。
奴はスラン様から「捧げてみる?」と誘惑されるのだが、奴にとって捧げる対象は…嫁でしかないだろう。最も愛し最も憎む、自分の手では殺せない裏切り者の妻。
奴は嫁を心の底の暗い部分で憎んでいるが、…それを認めたくはない。
黒い犬の声の「グリフィスがしたように」は…「グリフィスにやられた裏切り者は、殺してしまえ」だと思う。
…しかしながら、禍々しい黒い犬、女を犯す怪物のワイアルドが、死んで元の人間の姿に戻った時…、その正体は年老いた老人だった。強壮な若い男性ではない。
女を犯す怪物はもう一種類いる。トロールだ。イメージは奴の嫁強姦妄想の獣と同一だ。黒くて毛むくじゃらの、女を犯す怪物。獣欲の象徴。
…でも、トロールのイメージは雑魚だ。どこか滑稽で卑しい。トロールの王様は猿少年にやられてしまう敵だ。
奴の黒い犬の禍々しさの下に隠されてるのは、…卑小でねじけた自己ではないかと思う。右目の残像で植え付けられた、劣等者意識ではないだろか。「グリフィスには自分は絶対にかなわない」という種類の。
劣等者意識をはねのけるために、自分より強い者に向かっていく姿は勇敢だ。しかし、それは…逆方向にも向くのだと思う。自分より弱い者に暴力をふるうという種類の。
山賊に強姦されたかもしれん嫁に、嫌がられてるのがわかってて乗っかるのは…浅ましくて哀しい姿だ。襲われる嫁も不憫だけど、襲ってる奴の姿もかわいそうで哀れだ。本当の本当は嫁から好かれたいのに、全然逆の事やってしまうのは…哀しいがな。
…コイツもかわいそうだな、と思うけれど、でも「禍々しさ」でごまかすより、自分はその山賊と同類だって事を正視しろ、お前の涙を正視しろ、とも思う。
…あの呪いの鎧を使い続ける末路は、ミッドラント国王ではないだろうか。黒犬騎士団の所有者だ。国王の権力を振り回して、国を荒廃させた。
ミッドラント国王は、愛娘の心と処女をフェムト様に奪われてから、人格が荒廃し、恐ろしい老け込み方をした。呪いの鎧使用で奴が「ちょびっとだけ白い剣士」になったのは…ギャグにしとるがギャグで済むのかと思う。
ミッドラント王家は…覇王ガイゼリックの唯一の血縁だ。父娘相姦願望の亡き国王は、……多分骸骨のオッサンの子孫だろ、直系ではないにせよ。
あのクソ鎧の、本来の正統な遺産相続権を持つ所有者は、今は亡きミッドラント国王だ。…故に、暗黒ドロドロの呪いパワーがあまりにもヤバすぎる……。
でもってミッドラントは現在王座は空位だ。授肉したフェムト様が王女を娶り、国王の座につく可能性は結構ある。
フェムト様が王位につけば、…亡きミッドラント国王は、完璧な敗北者だ。愛する者を奪われ、次いで玉座も奪われる。そして呪いの鎧の所有権はフェムト様が相続する。
…呪いの鎧の暗黒呪いパワー解放は…「グリフィスのように」なろうとして凶暴に振る舞い、いつのまにやらその手下になっとる図、…ではなかろうか……。
とりあえず、呪いの黒犬鎧発動でフェムト様と対決するのは、最初から敗北決定だと思う。……勝てたら、詐欺だ。
暗黒の神・ミ・ウラー神が、どういうつもりであの黒犬鎧をこの世界に生み出したのかは、神の御心に委ねるより他はないが…手放しで褒めたたえる訳には絶対にいかん代物だと思う。…私は、あのクソ鎧は大っ嫌いだ…。
黒犬鎧が暴走する時、奴は心の中で『蝕』を追体験させられている。周りにいるのは皆奴を殺そうとする怪物だ。仲間は誰もいない。一人残らず殺されている。
鎧が恐怖を忘れさせるというのは、嘘だ。二度目の暴走の時、奴の心は「来るな」という言葉で満たされている。…それは、恐怖で満たされた者の言葉だ。恐怖を与える狂戦士は、心の中で怖がっているのだ。…怖いから周りにいる者を殲滅させるのだ。
…鎧の中で、奴は生け贄に捧げられている。みんなを救うための、生け贄だ。…生け贄として、自分の生命力を鎧に捧げている。
「鎧のおかげで助かった」と褒め称えるのは…奴にあんまりではないか。…奴が、かわいそうだ。
…それで奴は慰められたくてロリに走るのであろうか……。病んでいる…。
一言、「こんなヤバイ鎧使うのは嫌だ」と言うたらすむ話だが、「任せろ!」的にカッコつけたいのだろうなあ…。…で、カッコつけた後で、でも辛いから幼い少女に甘えたいーと。……正直に言ってしまおう、奴はあほだ……。同情をして損をした気分だ……。
黒犬鎧の発動は…常に自己との戦いだ。奴の中の黒い犬が一番殺したがっているのは、奴の嫁だ。…奴を人間でいさせてくれる存在だ。
「グリフィス!」という言葉は奴の隠れ蓑だ。フェムト様を言い訳に持ち出して、嫁を惨殺する映像は奴の心に繰り返し浮かぶが、フェムト様を惨殺する絵は一度もない。…嫁への憎しみを正視したくないために「グリフィス」という言葉が必要なのじゃないか。
…フェムト様に対しては、奴は劣等者意識と共に、愛情を抱いておるんじゃないのかな、と思う。授肉したフェムト様の御姿を初めて見た時、奴は「一瞬殺意を忘れた自分が許せない」と思う。…憎悪しなければ、と意識して、憎んでいる。
表向きは奴はフェムト様を憎み、嫁を愛する者、であるが…黒い犬の囁きは、その正反対だ。…救いがない…。
あの鎧は、奴に自分自身は何者か?という問いを繰り返し投げ掛ける。
「お前は、怪物か?人間か?」と。
…どちらも両方やつの半身ではないか、と思う。奴の怪物は生存本能から生まれた生き物だ。…本能抜きの人間なんぞ、おらん。霞食ってる仙人じゃないだろ。
どちらか一方を否定して切り捨てるなどできない筈だが、あの鎧は、片方を否定させて分離させたがる。
鎧で顔が隠れた奴の姿は…奴には見えない。鎧に乗っ取られた狂戦士だ。…責任転嫁が、できる。悪霊と同じだ。「鎧がやらせたことであって、ガッツのせいではない」。
黒犬鎧が外部の敵を斬り伏せた後は、奴と仲間との戦いになる。
…奴は自分自身の精神力で鎧を沈静化させるべきだ、としか言えないが、その努力は最初から放棄されており、セミロング魔女娘が奴を救う。…誰かから、救われたいのか…。奴は口に出さない部分で本当に相当しんどいのかな、と少し思う。
自分の中の黒い犬から脱する時、奴にとっての「在るべき姿」は、「烙印の娘を守る者」だった。奴の心の中の在るべき自己イメージだ。
しかし、それは…「烙印の娘」の現実の姿が、奴の心の中の心像とは食い違うのではないかと思う。「烙印の娘」に…心の中じゃ、愛されたいだろ、嫁から。昔の嫁は、好いてくれとったのだから。形容詞をつけるなら「自分と相思相愛の烙印の娘」じゃないのか。
…だが、現実の今の嫁は、コイツがキライだ……。何故なら強姦されかけた嫁にとっては、奴が自分を輪姦した怪物の一匹だからだ。嫁が嫌ってても、しょーがない。
嫁が生きていてさえくれれば、自分を嫌いでも、他の男が心にいても、構わない…と本気で心の底の底から思えれば、「烙印の娘を守る者」は嘘ではないが…残念ながら奴は自分で思ってるほど心の広い、心の強い男ではない。
…そう、強くない。嫁から否定される自分が、奴は肯定できない。故に嫁を否定する。…少し先の未来の港町では、嫁は、何気に無残な扱いを受けている…。……不憫だ。
…奴がセミロング少女といちゃつくのは…嫁へのあてつけも、入っとるんじゃないかと思うのだ…。自分が浮気するなら嫁も許してやれよ、と思うが…そーゆー発想はないらしい…。心は本当に狭い男だ……。
授肉したフェムト様が現れる前までなら、奴は物狂いの嫁を全肯定できた。何千何万人が嫁を火炙りにしてくれ、と叫んでも「そんな奴等は勝手にくたばれ」と平気で思えた。何一つ迷わずに嫁の側に立てた。
…要するに、問題はひたすらフェムト様だ。
「挑む者」と「守る者」。奴は、「フェムト様への憎しみ」対「嫁への愛情」が自己の中で葛藤している、と思っているらしいが…それは、違うのではないだろうか。
コイツは本当にフェムト様を憎んでいるのだろうか、と思う事はしばしばある。というのも、人間の姿のフェムト様を奴が心の中で思い浮かべる時の絵は…憧れやら慕わしさを感じてしまうのだ。…憎しみが、見当たらない。『なかま』の絵に入れとるし。
…奴はもう、半分はフェムト様の事を心の底で許してるのではないかな、と思う。嫁と何千何万人の命を比べれば、迷わず嫁の命が大事だ、と言えるなら…人間時代のフェムト様が、何千人の鷹の団員を捧げた事を責める権利は…なくなるのだ。
…だが、許してる自分が許せないし…、故に許してる嫁の姿はもっと許せない。
「挑む者」の裏側には恭順者が、「守る者」の裏側には大切な者を破壊したい者が、それぞれ潜んでいるのではないかな…。
骸骨のオッサンは、挑むか守るか一つにしろ、と言うが…、行動は一つしかできんが、…しかし、「挑む」事が、奴を「守る」人間にさせられるのではないだろうか。…どちらも奴の半身だ。片方を切り捨てようとするから、おかしな事になる。
「嫁のために復讐を諦めた」という恩着せがましい気持ちがあるなら…、なびかない嫁に恨みがましい感情はやっぱり芽生える。
フェムト様への劣等者意識の自己憎悪が、嫁への憎悪に繋がっているのではないかと思う。…寝取られ亭主の、ドロドロの嫉妬、敗北感、劣等感、その他だ。
嫁を憎んでいる自分自身を奴は受け入れられない。無理やり意識の底に押さえ込んでも…それは、燻り続ける。
嫁を本当に守りたいなら、嫁への憎悪を自覚して、憎悪と対話した方がいい。
無意識のうちに嫁を殺したがっている自分自身を放置させとくのは危険だ。意識した方がいい。自制心で制御できる、自分の心の一部分にした方がいい。
…だが、奴はそうしたくはない。
…奴の「烙印の娘を守る者」という自己イメージ、「在るべき姿」は…虚像だ……。自分から目を背けた上で成り立たせた理想像だ……。
「在りたい姿」を裏切っているのは、誰でもなく奴自身だ。
…脱力する……。…何故私はこんな参考のかけらにもならん男を思い出して、「奴ならどうするだろう」などと考えたのか…。あまりにも無駄すぎる……。
奴に思いを馳せていた時、突然気がついた。…私が、今現在のこの時間、魔女の館宿泊の時点で迫られている選択結果による影響は、私が見通した予定された決定済みの未来には、…全く起こっていない出来事だ。
…もしも私が(あくまで『もしも』で、『捧げる』云々とは全く関係ない仮定の想像の上でだが)、転生し、私の運命をまるで違うものに変えてしまうなら…奴の未来も、おそらくまた、違うものになる。
パック君の隣の全裸の少年少女にちらっと視線を向けた。ようやく私の存在に気付いた猿少年とセミロング少女が、天使逹が話し掛けている相手が私と知って絶句し、固唾を呑んで私の動向を見守っている。
…この二人は、おそらくここで死ぬ。
それに関しては、悪いけれどたいして心は痛まない。私にとってはこの二人はどうでもいい存在だ。…それはお互い様だ、としか言えんしな。人の鼻に罅入れといて謝罪の一言もない者が死んでも、私は何も困らない。
この二人を生け贄にできるのなら、何も悩まずにくれてやれるのだが、その辺が生け贄献上システムの厄介な部分だ。
…セミロング少女が死ぬ。そして変態ロリコン男は、逃避先を失う。…どんな変態でも、相手がいなければ、ロリに走りたくても走れまい。
…セミロング少女は、奴の嫁と同じ目に会うだろうか、とちらっと考える。
…さすがにそれは少し哀れな気がしなくもないが…、しかし人外の者の性的嗜好は奴よりよっぽどノーマルだ。彼等が主に好むのは、奴の嫁のように尻と乳がちゃんと膨らんでる種類の成人女性だ。幼い少女の肉体に対しては、多分性欲よりも食欲の方が刺激されるだろう。
……だったら、問題ないな、うむ。
もしも(あくまで『もしも』だ)、私が人外の者に転生するなら、私が最初にやりたいのは、魔女の倉庫に納められている、あの呪いのクソ鎧を修復不可能な破片になるまで粉々に叩き潰す事だ。
あのクソ鎧が暴発しくさると、私の入っている鞄は奴の腰から吹き飛ばされる。…そして、暴れ回る鎧狂戦士化した奴の足の裏と、暴れ回る化け物の足の裏で、私は鞄ごと、好き放題に踏み付けにされ、いい様に蹴り回される……。
それは、現時点ではまだ起こっていない出来事だが…、しかし、私にはうっかり未来を覗いた際の、踏まれ、蹴られ、揉みくちゃにされ、暴虐の限りを尽くされて死ぬ思いを味わさせられた、生々しい未来の記憶の恨みがある。
…是非同じ事をあのクソ鎧にやり返さねば、気がすまん。必ず、絶対、ぶっ壊す。
…奴は…呪いの鎧を入手する事は、なくなる。
…そう、奴の運命は少なからず変更される。私の選択によって。
くらっと目眩がするような興奮を覚えた。私は、奴の運命に干渉し、変更する力を…今、持っている。私が自分の運命を自分で切り開く力を持てば…その力で、奴の運命に干渉できる。
明日イーノック村出発の現時点で、仮に猿少年とセミロング少女が私のせいで死ねば…、奴は、トロール退治どころではなくなるだろう。闇の領域に赴く事もなく、長く尾を引くスラン様からの深傷を負うこともない。
奴に懐いている猿少年とセミロング少女は…多分、奴の心の一部だ。
奴の旅に同行を許可した者が命を落とすなら、…奴は、おそらく心の深い場所で自責の念を感じるだろう。子供なら尚更だ。子供殺しには、奴はトラウマがある。忘れたフリをしておるが、昔命じられて暗殺者をやった時に、奴は幼い子供を間違って殺した。
猿少年とセミロング少女が死ねば、『自分のせいではないか』と一瞬思い、それをごまかす為にも激しい憎悪を『敵』に対してぶつけ、仇討ちを望むだろう。
…奴が「仲間の仇討ち」に拘るのは、自責の念を正視したくないからでもあると思う。
人間時代のフェムト様の最後の御姿、四肢破壊舌切り取り廃人状態、を…奴は蝕の後一度も思い出した事はない。右目の嫁の痴態と同じく、記憶から完全消去。
…思い出してしまうと、それが自分のせいではないか、と考えてしまうからだ。フェムト様が最終的に仲間全員を捧げたのは、自分が元々の原因なのではないか…、という恐ろしい思考が奴の心の底の方には潜んでいるのではないかと思う。
生き残った者の、罪悪感だ。生き延びた事自体が、仲間への裏切り行為と思えているのではないか。…自分は蝕のあの場所で、仲間と同じように死んでいるべきだった、とどこかで思っているのではないだろうか。
…そもそもが、子供時代に養父から「お前は死ぬべきだった」と言われた男だ。
(ところで奴の中の獣は、時々中型犬の姿をしてるが…養父の飼ってた犬が色は黒くはなかったが、…似てるのだよな、尻尾や耳の形が。
奴の獣が何故「犬」なのか、は…養父が養母の名前つけた犬飼ってたから、じゃなかろうかと思う。黒犬鎧暴走時の、奴の記憶の走馬灯の中の一つに、足切断後の養父と犬の姿があるのだよな…。言うまでもないが、奴は左腕切断の男だ。養母は…今の嫁そっくりだ。
奴は父親から「犬っころ」呼ばわりされとる。養父の飼い犬への態度は、可愛がると同時に苛つくと蹴飛ばすという態度だった。…今の奴の、嫁に対する愛憎混然の態度と同じだ。運命は円環であるのか螺旋であるのか、どちらなのだろう、暗黒の神ミ・ウラー神よ…)
自責の念を正視しないためなら、奴は積極的に憎悪に自分を駆り立てるだろう。…自責の念の自覚の重圧は、おそらく奴を押し潰して破壊する。けれど奴の生存本能は、自分を潰そうとするものには全力で抗って跳ね返そうとするだろう。…それが奴の憎悪だ。
辛気臭い大人ぶりっこをかなぐり捨て、奴は昔の血の激しさを取り戻すだろう。…そして、転生し在るべき姿となった私を敵と見做し、復讐を挑む。
……奴は、私を全力で倒すべき対象として…認める。
奮えが心を走った。…私の中には、まったく知らなかった感情が眠っていたのを知る。
私は奴を全力で迎え撃つ。あんなクソ鎧抜きの、憎悪と怒りの炎で真っ黒に染まった一番最強に強い、一番凶悪な、私と出会ったばかりの頃のような禍々しい黒い剣士と、私は…戦える。願いさえすれば、対等に戦う力を…私は持てる。
一対一で奴と真正面から対峙し、奴の中の怪物と私が望んだ怪物との、どちらがより強者であるかを、死力の限りを尽くして互いにぶつけあう、一世一代の大勝負を奴と繰り広げる事が…私は、できる。
望んでいるのか、と心に問うた。…望んでいる、と確かな声が、私の心の奥から返る。
私は奴と戦いたい。そして奴に勝ちたい。奴の死体を踏み付けて、勝鬨の歓喜の歌を空に向けて高らかに叫びたい。
誰よりも私は強い、と私に証明したい。
私が知っている一番強い最強の怪物は、奴だ。…私は、強い生き物に変わりたい。天駆ける翼を持つ、誰よりも強いものに、なりたい。それを、戦って勝ち取りたい。
……パック君を、犠牲にしてでもか?
私の半分は『応』と答え、もう半分は『否』と答えた。…犠牲にしても構わない、と思っている自分が私の中にいる事に、愕然とし、衝撃と苦痛を感じた。
天使長殿が閉じた両眼で私を見据え、死刑判決を宣告する裁判官のように告げた。
「……さあ、唱えよ。ただ一言、『捧げる』と!」
懊脳する私の頭上で、烙印の炎から少し離れた場所に、ユービック様が人差し指でぐるりと円を描いた。漆黒の空に鏡のような次元の扉を開き、ある風景を映し出す。
……何故かそこには、魔女の館の誰もいない無人の浴室で、非常識にも屋内に例の大剣を持ち込み「どうなってやがんだ…」と呟いている黒い剣士の姿があった。片手で押さえている首の後ろの烙印からは、僅かに血が滲んでいる。…なんで、奴が出てくるのだ……。
「この男とそこの小妖精を、生け贄として魔に捧げるか否か!?」
…おい、ちょっと待て。パック君はわかるが、なんであの野郎が私にとっての生け贄になれる資格があるとゆーのだ……?生け贄とゆーのは、捧げる側にとってかけがえのない、己れの心の半身とも言える大切な存在の筈で……。
…あの変態ロリ野郎が、私の心の半身!?
…冗談じゃないぞっ、ぺっぺっぺっーと唾吐いて塩撒きたい気分だ。考えるだけで暗黒のロリ病に感染しそうだ…。寒気がする…。
「…あの、守護天使様方にお言葉を返すようで申し訳ありませんが…。黒い剣士はすでに一度、生け贄として捧げられています。贄としては無効なのではありませんか?」
おそるおそる守護天使様逹にお伺いを立てた。
スラン様が腕組みして豊かな乳を揉みながらお答え下さる。…目、目のやり場に、かなり困るが…、スラン様はまったく気にされていないので、有り難く拝見させていただく。
「…そう、あの坊やは一度生け贄として魔に捧げられた身。本来なら彼が二度目の生け贄となる事は有り得ないわ。
でも、そもそも今現在この場所に私逹が集っているのは、因果律に定められた召喚ではないの。理から外れた存在であるあなたの強烈な思念が…私達を引きつけ招き寄せた。
…そしてあの坊やもまた、理から外れた存在。
烙印のしるしを受けながら彼は未だ、生きている。生け贄の祭壇から逃走した小羊が、あの坊や。彼の血肉と断末魔の苦悶は、魔への供物と認定されたにも関わらず…、未だ魔に奉納されていない。
そしてあの坊やに烙印を刻み、生け贄として捧げたフェムトは、再び何千何万の人の子の絶望の祈りを供物として受け取り…、再び転生し血肉を持つ身へと授肉した。
その事が、坊やの身体に刻まれた烙印の呪力の威力を半ば以上弱体化させたわ。…たかが魔女の護符風情で封じられてしまう程度に。フェムトが授肉する以前であれば、安全な場所以外で魔を呼び寄せる烙印の呪力を防ぐ事など、一日たりとも不可能だったはずよ。
…闇の翼フェムトへの生け贄としては、彼は既にその役目を終えた不要の存在。
…彼には二つ目の烙印を刻み込む事が可能な余地がある。…でも、二つ目の烙印を押された生け贄は、未だかつて存在したことはないわ。
いかにあの坊やといえど、二つの烙印をその身体に刻まれれば、呪力の強大な力は彼の命を消し去り、坊やの血肉と断末魔の苦悶は正当に魔の元へと奉納されることでしょう。
そして、なによりも…あなたが断ち切るべき人間性、あなたの心の中にいる、最もかけがえのない大切な、最も生け贄として捧げるべき対象、…それが、あの坊やだからよ」
…だーかーらーっ!それがっ、絶対にっ、なあにが何でも納得いかんっちゅーんじゃあああっ。寝言は寝てから言わんかああーっ。ふざっけんのもたいがいにしくさりやがれええええーっ。
…はっ。いかん…。心の中だけとはいえ、スラン様になんという無礼な口の聞き方をしてしまったのだ、私は…。
…でも、スランさま…。…それは、いくらなんでもあんまりです……。私にとって、最悪の罵詈暴言です。非道極まりない侮辱です…。
何が悲しゅうて幼児姦性犯罪者変態ロリ黒カビ繁殖剣士が、私にとっての『大切な者』呼ばわりされにゃーならんのだ……。…そ、そこまで私は落ちぶれたくはない……。
「…あの、私は黒い剣士が単にキライです。不愉快で迷惑です。別に生け贄に捧げても全然困らない存在ですが…私の血肉としては、不適当だという気が…。…色々病気が移りそうで不安ですし…。…生け贄の人選を、間違われておられるのではないかと……」
「ふふっ。…あの坊やを庇っているのかしら?美しい友情だこと」
…だから、違うって……。…頼むからやめてくれ…。悪寒が、ぞわぞわとそそけだつ気分だ…。
救いを求めるように他の守護天使様達を見回した。…しかし誰も否定の言葉をあげない。…まさか、スラン様だけでなく、他の方々も、そのように思われているのであろうか……。…何故だ……。理解できない……。
パック君と二人の人間の少年少女の視線が気になった。…よもやまさか、真に受けたりは、せんだろうな…。
スラン様がにこやかに微笑みながら私に語りかけた。…その微笑みが、今は微妙に憎たらしく思える……。
「…思い出してごらんなさい。あなたはいったい、いつの頃から自分の運命を自分のものにしたいと思い始めたのかしら?
最初にあなたの内部に宿ったの魂のかけらは、元は伯爵の生への執着、死への恐怖が発端だった。かけらはかけら。切片だけの魂では、それは虫や微生物のものと大して変わらないわ。
でも、烙印の者であるあの坊やとの旅を続ける中で、あの坊やが怪異を招き寄せ、また、自ら危険の中に飛び込んで行く行為に否応無しにつきあわされ続ける中、あなたは彼の鞄の中で、何度も繰り返し、自己の生命の危険を感じた。
自分の石の躯が破壊されて、自己の存在が失われる恐怖に絶え間なく晒され続け、…その度にあなたは生に執着し、『死にたくない、生きていたい』と望んだ。…その繰り返しが、かけらでしかなかったあなたの魂を揺り動かし、あなた固有のものとして育んだ。
あなたは理不尽に降り懸かってくる死の恐怖を、受容するのではなく、理不尽、と捉えた。あなたの意志とは無関係に訪れる死、あなたの運命に、抗いたいと望んだ。
…それは、少なからずあの坊やからの影響も大きいわ。あなたの魂は、あの坊やの鞄をゆりかごとして育ち、やがてそこから飛び立ちたいと願うようになった。
あなたの心の中には、そこのエルフの子とあの坊やの存在が深く根を下ろし、あなたが断ち切るべき人間性を形造っている。…捧げるべき対象を持てた、という事が切片のあなたの魂を人間のものにした」
……絶句した。あまりの言われように言葉が出ない。
ゆりかごって……、あの黒カビだらけの最悪に汚らしい鞄があっ!?
……くらくらと目眩がするのを感じた。
何かが、がらがらと音を立てて私の中で崩壊してゆく……。
パック君は…、わかる。彼は私を対等に扱ってくれた、私の初めての友達だ。パック君と一緒に暮らして、私は友愛という感情を多分彼から学んだ。
……だが、あの黒カビ剣士は…。
……カビの上に…しかも、……ロリだよ、あいつは………。
生け贄献上システムには重大な欠陥がある事を、今、私は発見した……。
それは、どー考えても絶対に『かけがえのない半身』とは死んでも認めたくない相手を、守護天使様方から生け贄として指名された場合だ……。
『捧げる』という一言は、実は『この者は自分にとって大切な心の一部です』と自ら認めるのと同義だ……。
幼児姦性犯罪者が、心の一部である私……。あの鞄がゆりかごである私……。
……そ、そんな私は…いやだあっ……。耐えられない……。…み、認めたく、…ない……。
…私は、犯罪者じゃない……。幼い子供に悪戯する病んだ嗜好はゼロだ……。
……そして何よりも…あのドス黒い鞄に育てられた魂って……。
じゃー、なにか?私の魂の色は、あのドス黒い暗黒のドロドロに染まってるとでも言うのか?
スラン様のお言葉に…、ちょっとだけすこーしなら、思い当たる節が、なくもなく…。
……いやっ、駄目だっ…。そんな事を認めてしまっては、私は……終わりだ……。『死よりも悪い運命』そのものではないか……。
「…さあ、何を迷っているのだ?叶えるがいい、その身を焦がす欲望を!」
恫喝するような天使長殿の声が夜空に響き、頭上の生け贄の烙印が、苛立ち、急き立てるかのようにちらちらと明滅した。蒼白い炎の投げる灯が、黒い泥沼の水面に揺らめき、私と二人の少年少女と一人の小妖精を照らしている。
気がつけば、我々と天使達のいる場所から百歩ほどの位置で、人外の者たちの群れが丸く我々を遠巻きに取り囲み、餌を与えられる瞬間を期待を込めて待ち望んでいた。
暗がりのなかで幾つもの赤く光る無数の眼が我々に注がれ、低い唸り声と獣めいた息づかいが雑踏のざわめきのように蠢き、囁きを交わしている。頭上では、奇怪な叫びを上げる翼ある者たちが、烙印の炎の上を旋回し、私の答えを待っていた。
……私の、欲望。私が望む、真の私の在るべき姿。
パック君の方へ視線を向けた。怯えて不安そうだけれど、でも彼の眼は私を真っ直ぐ見ている。…私を、信じようとしてくれている。
…彼を生け贄に捧げるような事は、私には耐えられない、と思う自分を確認して安堵した。
夜空の次元の鏡に映る黒い剣士に視線を向けた。例の馬鹿でかい大剣を片手に、浴室の扉にいる品の良い老婦人を振り返り、なにごとか話し合っている。
…こっ、こんな奴は死んでしまえーっ、と涙ぐんで激しく罵倒した。
わたしはっ、お前がっ、きらいだーっ。テメェが私の心の一部なんて、死んでも認めてたまるかあーっ。
「…権利放棄します…。捧げません…。辞退致します…。御足労をお掛けして、本当に誠に申し訳ありませんでした……」
守護天使様方に、体は動かせないので、心の中で深々と頭を下げながら謝罪した。
さようなら、私の翼…。でも、私は誇りを捨てるぐらいなら石の置物でいる方がいい…。誇りだけは、他の何を捨てても、私には絶対に捨てられない。…役に立たない意地だ。痩せ我慢だ。でも、それが私だ。…私は全身全霊を挙げて、黒カビ剣士が、心からきらいだっ。
誰のためでもなく、私が私の望む私自身であるために、私は夢を捨てる。
私に与えられた運命、何一つ私の意のままにはならない『生』を…私は選び、肯定する。
ありとあらゆる不平不満鬱憤憤懣も、理不尽に訪れる死と無意味な生も、…不満なまま、怒り、罵倒し、歯ぎしりするまま…、それでも自分が変わる選択肢を捨て、敢えて選んだものと納得し、己れの選択を全肯定するのなら…私の運命は、私の選んだ私のものだ。
「…よかろう。それもまた一興。然有れば我等は闇に還るのみ……」
天使長殿が陰々と響く声で宣言し、骸骨の手を頭上に掲げた。
それと同時に、私達の上空で瞬いていた烙印の炎が白熱して激しく輝き、一瞬後に爆発して、無数の光のかけらが流星のように漆黒の夜空のあちこちに四散した。…きれいだな、と尾を引いて消えていく輝きを見上げながら思う。
周囲の人外の者たちからの、様々な声色の失望の呻きが一斉に低く洩れ、不満気に踵を踏み鳴らし、或いは唸り声を上げるざわめきが聞こえた。
元から巨大な天使長殿の黒衣の姿が、膨張するように更に大きく広がった。それにつれて密度が薄れて背後の夜空へと拡散し、幻影のようにあやふやで不確かになり暗闇の中へと溶けてゆく。
他の天使様方も、同様にその御姿が暗闇に広がり、薄れて消え行った。
「…さようなら、またいずれ会いましょう…」
スラン様の御姿が薄れ消え去る寸前に、確かにあの方が私に向けて投げキッスを寄越して下さるのが目に映った。…おお、スラン様の口づけ……。できれば直にされたかったが…。とりあえず得をしたと思って受け取っておこう。
守護天使様方の御姿が消えると同時に、何処とも知れぬこの世界全体の輪郭がぼやけ始めた。人外の者達の群れ、広がる沼地と遠い地平線が、水面に映った影が掻き乱されるように、その色と形が我々の周囲で撹拌され、混ざり合い、混沌とした暗闇へと変化してゆく。
夜空に満月のように浮かんでいた次元の鏡がぐんぐん巨大化して広がった。溶解しかけているこの世界を浸食して、その領土と境界線を拡大し、やがて全ての暗闇を駆逐して全天を覆うと、座り込んでいる我々をすっぽりと丸く包みこんだ。
途端に、重力の向きがまったく逆方向にくるりと変転した。悲鳴を上げる暇もなく、我々は真っ逆様に次元の扉の向こう側の風景へと、吸い込まれるように頭から墜落してゆき………。
盛大な水飛沫と共に、私と二人の少年少女とパック君は、翡翠色の湯船に頭から墜落して飛び込んだ。
…元の湯気たち込める浴室だ。…そして、私はまたもや浴槽の底だ。いい加減うんざりする…。視界いっぱいに何やら真っ白いものが広がり、またもや誰かにぐにゃりと押し潰されて……。
…いや、しかしこの感触は……。これは足の裏ではなく、もっと面積が広くてなんとも言えない柔らかさだ……。こ、このぷりぷりした感触は、なかなか、それなりに……。
セミロング少女が悲鳴を上げて飛び上がり、私の上に乗せていた尻をどけた。
湯船から立ち上がりかけて、浴室の入り口に立っている黒い剣士と老婦人の姿を発見し、また悲鳴を上げて両手で胸を覆い、顔を真っ赤にして湯船の中に肩まで沈む。…つくづくとやかましい娘だ……。
猿少年が水没していた頭を湯船から上げ、ぶはっと口から湯を吹き出した。
「…いったいなんだったんだ、あれは…」
続いてずぶ濡れのパック君が湯船から猿少年の頭上に這い上がり、ぶるぶると首を振って水滴を飛ばした。
「…お、溺れ死ぬかと思った……」
と喘ぎながら小さく呟く。…パック君、私は溺れはしないが、でもまた水没しているのだ……。一心地着いたら思い出してくれないだろうか…、と水底で祈る。
「…それは、こちらの方が聞きたいわ。あなたたちは、いったいどうやって彼等を召喚したというの?…そして、シールケ。…何故この少年が、あなたと一緒に入浴しているのかしら…?」
老婦人が猿少年に視線を投げ、ついでセミロング少女に穏やかなゆったりした口調で問いかけた。…だが、一瞬猿に向けた視線は……突き刺すように厳しく、冷え冷えとしていた…。…こわい。
「そっ、その子が、いきなり、お風呂に乱入して来たんですうーっ」
真っ赤な顔を水面ぎりぎりに伏せたセミロング少女が、猿少年を指差して叫ぶ。
「…え、えーっと、あ、あはははーっ。…いや、その、シ、シールケさんと、裸のつきあいなどをして、生死を共にする仲間として、親睦を深めたいなーっ、と思いまして…」
「…まあ、そうだったの。どうか、シールケと仲良くしてあげて下さいな。…でも子供とは言え、男女の混浴は…あまり関心しないわねえ…」
頭を掻きながら、必死に笑いでごまかせ大作戦発動の、猿。にこやかに暖かい笑顔で応じる老婦人。だが、猿をみつめる老婦人の眼は……全然笑っていないぞ……。
「お前…、あんまり恥さらしな真似ェすんなよ。…んな事より、奴等は…逃げたのか?」
…くらっと、目眩を感じた。
老婦人の隣で、大剣を床に垂直に立てた黒い剣士の奴が…、猿少年に、堂々と真顔で言い腐りやがった……。
……じゃあ、何か?お前は恥さらし行為はしとらんとでも言うつもりなのか……?
……きっ、貴様が、どの口でいいやがる……。
……いや、しかし奴は……どうも、本気で…言っている、ようだ……。
本気で己れは『貴ッ様ーッ!恥を知れ、恥をーっ!』と罵り罵倒され、半殺し袋叩きの刑に値する行為は、してないつもりらしい……。
……め、目眩がする……。どうなってるんだ、コイツの思考回路は……。
ふっと思った。コイツにどー考えても言い訳のしようがない各種証拠を突きつけて、
「お前はロリコンだろうがあっ!?あの少女にべたべた触りまくる時、内心淫らな妄想にふけりまくっておるだろうっ!?正直に白状しろーっ」と詰め寄っても…コイツは真顔で否定するのではないかなあ、と。
すかしたツラで堂々と「ふざけろ」と全く悪びれずに言い放ってシカトし、…それで、お終い。…の、よーな気が、なんとなく、……する。…そして何一つ反省せずに、また少女になんのかんの理由つけて、べたべた触りまくるのだろうなー、と………。
……処置無し。…自覚症状ゼロ、の暗黒のロリ病……。
重い頭痛を感じて低く呻きながら水底で転がっていると…、そっとセミロング少女の手が私を包み、拾い上げてくれた。…おお、この柔らかでふにふにした、幼児特有の手の平の感触……。……多少は、奴の気持ちがわからなくもないよーな……。
「…この『ベッチー』さんが、守護天使達を召喚したんです。…そして、生け贄を捧げる事を毅然として拒否して、私達は元の世界に戻れた」
セミロング少女の手の平の上で、皆の視線を一斉に浴び、注目の的になった。…フフッ、て、照れるな……。ちょっとこそばゆい気分だ……。
「……お嬢ちゃん。…冗談だろ?」
半信半疑、というより不信丸出しの顔で奴がセミロング少女に尋ねた。…ふう。まあ、どーせ、こーゆー奴だ……。割り切ってしまえば、どーとゆー事もない……。
「ほんとーだって。さっきまでオレ達、薄っ気味の悪ーい世界にいたんだぞー。でもって、ベッチーの生け贄に賭けられてたのって、オレとガッツだったんだからなっ」
パック君が猿少年の頭上で、さかんに水飛沫を羽根から飛ばしながら奴に向かって言った。
……パック君。…奴が生け贄の対象に選択されたのは、おそらく天使様方の手違いだ…。天使様逹でも失敗や間違いというものを、たまに犯してしまうことがあるのだよ…。人様の失敗をあげつらって言い触らすような真似は、私はよくないと思うな…。
自分が生け贄の対象、と聞いて奴の目が据わった。そしてセミロング少女の手の上の私を、まじまじと、今初めて見る者のようにみつめた。…少女ではなく、私を、みつめている。
唖然とした口調で、奴が呟いた。
「……こいつが、か……」
「あ、そーだ、ガッツ」
猿少年の頭上から飛び立ったパック君が、私の隣に降り立った。パック君が私を抱き抱えて再び飛び上がり、私の石の躯が浮上する。
…私には、翼はない。でも、友達がいる。…君が私の持ち主でないのなら、いつかは別れの時が私達に訪れるだろう。でも遠く離れて二度と会えなくなったとしても、私は君を忘れることは、決してないと思う。
「あっちの世界で、ベッチーからてれぱしが聞こえてきたんだけど…、カバンが、汚いって言ってたぞ。カビが繁殖してるって。…お前、ベッチーの家、ちゃんと掃除しろよなー」
何とも形容しがたい表情が、奴の顔に浮かんだ。…そう、たとえばある日鞄の底を覗いてみたら、そこが一面の黒カビの王国と化しているのを発見したような表情だ。
宙を飛ぶパック君に、奴が腕を延ばした。
「…返せよ、それ」
「ああっ、オレのべっちー!」
パック君から奪われ、私は奴の手の中に転がり込む。…パック君、しばしのお別れだ。人の手から手に好き勝手に譲り渡される、それがベヘリットの悲しい運命……。
潔く受け入れると決めたのなら、それがたとえカッコつけのロリコン男の手であっても、潔く受け入れよう…。悲しいけれどもしょーがない……。
奴の手の中に私はいる。…しみじみと、でかい手だ。風呂から上がったせいか、清潔だ。そしてコイツの手は、いつも傷跡だらけだ。…増える一方だな、大丈夫か。私の生存のために、これからも頑張って戦えよ。…お前に勝手に死なれたら、私はものすごく大迷惑だ。
「…まあ、そのうち、な」
と、奴が手の中の私を見ながら呟いた。
コイツの事なので、あまり期待はしないでおくが、もしかすれば私の居住待遇は少しばかり改善されるのかもしれない。
見通せない先の未来はどうなるのやらわからないが、まだ、もうしばらくの間は、私はコイツの鞄の中で暮らす日々が続くのだろう。
…それまでの間は、私の名前は『ベッチー』だ。
それが、私の望んだ私の姿、私の選んだ『在るべき私』だ。
END.
すげええええええええ
ベッチー凄いよ面白いよ上手いよ読ませてくれたよ。
良かったよベッチー!
蝕とは違うから使徒祭りは起きないと思うがなw
すげえよGJ!
ベルセルク作者の性的嗜好の分析みたいにも読めた
面白かったよ
超大作の後では気が引けるんですが、
軽めの単純な話、投下して宜しいでしょうか。
それとも572さんをお待ちしてからの方がいいかな?
まず投下、話はそれからだ
801 :
799:2005/10/23(日) 21:59:48 ID:MLHKKbIM
>>800 それじゃこっそりと投下します。
その夜、シールケは初めて使う魔法に、少なからず緊張していた。
シールケの目の前には、深く眠り込んだガッツとキャスカがいる。
「イバレラ、あれは……」
「はいはい、これ。」
小声で訊ねると、イバレラが小さなひとがたの木片を手に飛んで来る。
ぽとんと掌に落とされた木片を、シールケはふたりの頭の間に置いた。
「匂い、きつすぎない?この香木。」
イバレラが自分の躯についた残り香に顔を顰めている。
「……ちょっと香りが強過ぎる香木だけど、
たぶん効力は変わらないと思う。
ここら辺じゃ、あの森にあった香木がないんだもの、しょうがない。」
「海に近いから育たないのかもねー。」
イバレラが肩に座って、事の成り行きを面白がって眺めている。
シールケは深呼吸して息を整え、
師匠から受け継いだ魔法書にかかれた呪文、
初めて口にする呪文を唱え始めた。
なぜシールケが初めての呪文を唱える事になったのか、
それは昨日の午後の事。
崖の上の道を歩いていた時、
キャスカがイシドロをからかっていて足を滑らせてしまった。
声を上げる間もなく落ちたキャスカに、
まずファルネーゼが気付いて悲鳴をあげ、
すぐさまガッツが振り返り、崖っぷちを覗き込んだ。
どうしようとシールケが声をかける前に、
ガッツは崖を滑り落ちていく。
「ガッツさん!」
思わず皆が叫んだけれど、ガッツの黒い姿は、
あっという間に眼下に広がる、
鬱蒼とした森の中に消えてしまい、残された仲間達は取りあえず、
森へ続く道を探して、ふたりをのもとへと急いだ。
皆が追いついた時、キャスカは木の影でガッツを威嚇し、
ガッツはただ黙って、そんなキャスカを見詰めるだけだった。
軽い怪我で済んだキャスカを、
パックとイバレラで治療している間もガッツは何も言わなかった。
いつもの些細な事件と済ませてしまった出来事だったが、
シールケにはガッツの悲しみが見えていた。
ガッツの指に結んである自分の髪を通じて。
802 :
799:2005/10/23(日) 22:01:37 ID:MLHKKbIM
ガッツは、崖から滑り降りて、すぐにキャスカを見つけたのだ。
そして、気絶した躯を抱えて、安心して微笑んだ。
眼を覚ましたキャスカは、その微笑みを恐れて逃げ、
いつものように、まるで獣みたいに威嚇した。
自分を助けに来た相手に。
何度かシールケの内部に流れ込んだ、ガッツの記憶を繋げてみれば、
キャスカとは、深く結びつけられた恋人同士だった筈。
何が、彼女を変えてしまったのだろう。
あの、奇妙で恐ろしい記憶、
あの時の衝撃が尾を引いているのだろうか。
最初はガッツの記憶を見てしまっても、あまり気に留めなかった。
気に留めないようにしていたとも思う。
他人の記憶をあれこれ忖度するのは失礼だから。
なぜ、気付いてやれなかったんだろうかと、シールケは後悔していた。
ガッツがキャスカに拒絶されるたび、
深く深く傷ついている事を知っていたのに。
仲間達と出会ってから、あまりにも目紛しい事ばかりで、
そんな余裕はなかったとも言えるが、少なくともシールケは、
髪を通じてガッツの記憶を目の当たりにしたのだから、
もっと早く気付けた筈だ。
ましてやガッツは師匠を亡くして落ち込むシールケを、
解っていてくれたではないか。
今度は自分がガッツの悲しみを薄める番なのだと、シールケは考える。
せっかく森の中まで来たのだからここで休もうと、
皆が野宿の支度を始めても、
シールケは無表情の底に感情を押し殺す、
ガッツの横顔を見詰めていた。
その夜、シールケは月明かりで魔法書を繰り、
何か助けになるような魔法はないかと探した。
人の心はとても複雑なのだと、師匠は言っていた。
気を逸らせるくらいは簡単でも、
心の中の深い部分を動かそうとするのは、
シールケのような駆け出し魔女どころか、
師匠である魔女でも相当難儀だと聞いた。
ならば、せめてふたりが会話出来るような、
そんな魔法はないかと考えたのだ。
「ねえ、シールケ、まだ寝ないの?」
大欠伸したイバレラが、肩の上で訊ねる。
皆はすでに眠りに落ちている様子で、
あちこちから寝息やいびきが聞こえていた。
「もう少し……先に寝て。」
「んもう、お肌に悪いわよ。いくら若いってもさぁ。
……まあ、いいか。そんじゃ夢で逢いましょうってね。」
イバレラの言葉で、何かがひらめいた。
シールケはもう一度、魔法書の索引を開いて、
夢の項目を探し始めていた。
803 :
799:2005/10/23(日) 22:03:32 ID:MLHKKbIM
朝、起き抜けにガッツに声をかけた。
「ガッツさん、お話があるんですが。」
他の仲間達が何事かと驚き、興味津々で見詰める中、
シールケは真顔で話を続けた。
「ゆうべ、一晩中かかって調べたのですが、
ふたりの人間が、お互いの夢の中で出会う魔法があるんです。
その魔法を、ガッツさんとキャスカさん、
おふたりにかけさせて下さい。」
パンを齧ったガッツが、苦虫を噛み潰したような顔でぼそっと呟いた。
「……別に、俺じゃなくてもいいだろうが。」
「いいえ、ガッツさんでなければなりません。
あなたが、キャスカさんと会話する為に、魔法をかけるのですから。」
訝し気に見るガッツに構わず、シールケは話を続ける。
「キャスカさんは、幽体は本来のままだと考えられます。
ですから、夢の中だったら、幽体どうしで話せます。」
聡いセルピコが、はっとしてガッツを見て、
すぐにシールケに視線を向けた。
「解りました。つまり、夢の中では今のように、
敵意剥き出しにはならないと、
以前、いや、私は以前のキャスカさんを知りませんが、
その頃のような会話が出来るってことですね?」
シールケはセルピコに向かって、大きく頷いた。
「……私にはガッツさんとキャスカさんに何が遭ったのか、
はっきりとは解りません。でも、本来は結ばれたおふたりです。
本来の姿である幽体で、キャスカさんと会話してみて下さい。
……少しは、楽になれると思うんです。」
しばらく無言を続けたガッツが、
何も解らずに朝食のパンを齧るキャスカに視線を向けた。
「……元には戻らねえが、少なくとも、夢の中では、
まともに話せる、のか?」
「ええ、そうです!」
意気込んで答えたシールケを見て、
ガッツがほんの少し口許を綻ばせた。
「……そうか、じゃあ、今晩にでも、頼むぜ。」
手にしていたパンを齧り、どこか照れくさそうにガッツが答えた。
海辺の壊れかけた小屋の中に、
どこの国の言葉ともつかない呪文の声が響き渡る。
床に眠ったガッツと、キャスカの間で、
香木がきつい匂いを発している。
この匂いが、ふたりの意識を繋げる役目をしてくれる。
呪文を唱え終えた時、シールケは集中させていた意識を取り戻し、
ふっと軽いため息をついた。
みればふたりとも、呼吸がぴったりと合っている。
髪を通じて、ぼんやりとした意識がガッツから流れて来るのを確かめる。
どうやら魔法は成功したようだ。安堵したシールケは他の皆が眠る、
隣の部屋へと歩き出す。
音を立てないように、気遣いながら、ゆっくりと扉を閉めると、
事の成り行きを見守っていた仲間に、
シールケはにっこりと微笑んでみせた。
804 :
799:2005/10/23(日) 22:07:39 ID:MLHKKbIM
「おおい、こんなところで寝てるなよ。もうすぐメシだぜ。」
誰かが俺の頭の上で話してる。
いや、話してるどころか、小突いてやがる。
深い眠りからいきなり引き上げられて、
俺は嫌がる瞼を無理矢理こじあけた。
「……ジュドー……」
「なぁに寝ぼけてんだよ。ほら、今日の食事当番はキャスカだ。
遅れるとまた殴られるぜ?」
からかい顔して先に歩き出した男を、俺は急いで飛び起きて追いかけた。
目の前にゆらゆらと束ねた髪が揺れている。
『……ジュドー、ジュドーなのか?』
ぼんやりと歩いていると、目の前に土手と川辺が広がった。
鷹の団だ。懐かしい仲間達が、それぞれに好き勝手に話し、動き、笑い合う。
俺はすかさず、キャスカを探した。見当たらない。
何度見渡しても解らない俺は痺れを切らし、
傍らに立つジュドーの肩を掴んだ。
「おい、キャスカはどこにいる?」
訊ねてから気がついた。
今、ジュドーの肩を掴んでいるのは、俺の左腕だと。
思わず肩を離して俺は右目に手を触れた。見える、ちゃんと右目が見える。
「さっき言っただろ?あいつは食事当番なんだからさ、
厨房のテントにいるに決まってんじゃん。」
指差した先にある、一際大きいテントに向かい、
俺は急いで土手を駆け下りた。
ふと、振り返り、土手の上で夕日に照らされたジュドーを見上げる。
「ありがとう、ジュドー。」
「なんだい、今日は随分としおらしいな。気持ち悪いぞー。」
赤く染まった笑顔をじっと見返した後、
俺は踵を返してテントへと急いだ。
テントの傍らに仲間達が蟻のように集まっている。
大鍋を掻き回し、並んだ奴らの器にスープを注ぎ、笑顔で手渡して、
時々順番を抜かそうとする、食い意地の張った奴を怒鳴りちらして、キャスカはそこにいた。
短い髪の、男姿の懐かしいキャスカ。
俺は離れた場所に立ち止まり、しばらくその姿を眺めていた。
「おい、何してる。さっさと並ばないと、食いっぱぐれるぞ。」
どんと背中を押して、ピピンが俺を追い抜かした。
その低く野太い声でキャスカが俺に気付き、
手にした器を地面に取り落とした。
狼狽えるキャスカの隣に、いつのまにかジュドーが現れて、
俺の方を見て笑う。
「じゃあ、俺が当番を替わってやるよ。ほら、キャスカ。」
軽く背中を押され、キャスカがふらふらと俺に近づいて来た。
「……ガッツ、なのか?」
「……ああ。ひさしぶり、ってのもおかしいか。」
キャスカの両目に、うっすらと涙が浮かんで滑り落ちた。
805 :
799:2005/10/23(日) 22:09:04 ID:MLHKKbIM
俺はキャスカを連れて、川辺から離れた岩場に腰を据えた。
キャスカはおどおどと俺の後をついて来て、
今もどうしていいか解らない様子で佇んでいる。
「……座れよ。」
「……うん。」
少し離れた岩に座るキャスカを見て、俺は後悔していた。
やはり夢など見なければよかったと考えた。
幽体のキャスカも、やはり俺を嫌っているのかもしれない。
そりゃそうだろう。魔物から守ってもやれず、
あいつからも守ってやれなかった。
挙げ句の果てがあのざまだ。俺を嫌っても無理はない。
どうしよう、まずそう思ったのが正直なところ。
ずっと、私は夢の中にいたのだ。忘れようにも忘れられない、
あの蝕の時から。
私は逃げたんだ、申し訳なくて、悲しくて、恥ずかしいからと、
ガッツから逃げた。
ガッツが私から逃げたのと同じ、私は私の中に逃げた。
覚えている、今までの記憶全て。ガッツを恐れて噛み付いた事も、
置き去りにされて、小さな友達に囲まれての、平和な生活も。
いつしか洞穴での生活に疲れてしまい、ふらふらと出歩いて、
知らない土地まで流れた事。
そこで、優しい娼婦達と暮らし、
もう一度蝕の時みたいに生け贄にされかけた事。
山羊の化け物に恐ろしい目に遭わされかけた時、
ガッツがつむじ風みたいに現れて、
その後ずっと、私の側にいてくれて、守ってくれていた事も。
いつも私はぼんやりと、目の前で起こった出来事を眺めていた。
躯は何の感情も起こさずとも、幽体の私は記憶していたのだ。
806 :
799:2005/10/23(日) 22:10:37 ID:MLHKKbIM
「ありがとう……」
ふいに声をかけられて、ガッツは伏せた顔をあげて私を見た。
「なんだって?」
「……ずっと、私を守ってくれてただろ。
それに今だって、わざわざ逢いに来てくれた。」
「お前、知ってたのか?解ってたのか?」
「ほんとの私は、ここにいる私は、知っていた。
でも、外側の私は、何も解らないまんま、
お前もよく知ってる、あのまんまだ。」
勢い込んで私に詰め寄るガッツ。きっと、幽体ってやつなんだろう。
ガッツは昔のように、両目も両腕も揃った、懐かしい姿だ。
それでもどこか、窶れて疲れているようにも見える。
きっと、あの恐ろしい天使に、傷つけられたせいかも知れない。
「……お前、傷、まだ痛むんだろ?あんまり無理はするな。」
視線を胸の辺りに向けると、ガッツはほんの少し、色黒の顔を赤くさせた。
「そんな訳にはいかねえ。早く、お前を妖精郷へ連れてかねえとな。」
「……行きたくないんだ、まだ。」
私の言葉に、ガッツは怒ったような顔で立ち上がり、でもすぐにまた岩に座り込んだ。
「……元に、戻りたかねえのか?」
そっぽを向いたまま、問いかけるガッツに私は首を振る。
「……丸っきり、戻りたくない訳じゃない。だけど……怖いんだ、私は。」
「何が、そんなに怖いんだ?」
振り向いたガッツを視線がぶつかった。
「……お前に、本当に、嫌われてしまいそうで、怖い。」
キャスカが何を言いたいのか、俺にはちっとも解らない。
なぜ、俺が嫌うと言うのだ。
ずっと忘れられなかった、守って来た相手なのに。
俺が戸惑うのを見て、キャスカは視線を伏せて言葉を続ける。
「私は、お前には見られたくない、恥ずかしい姿ばかり、見られている。
……あの時、私は、あの人に抱かれて……喜んでいた。」
俺の心臓がずきっと痛む。グリフィス、あいつをまだ……?
「……喜んでしまった、その姿を、お前に見られてしまった。
私は、あの時、死んでしまえば良かったんだ。」
震える肩を、自分の腕で抱え込み、キャスカは唇を噛み締めている。
「どれだけ、私がお前を想っているか、
言ったところで、あんな姿を見てしまえば、
信じられる訳、ないだろう?お前はきっと、私を許さない。
……今は、赤ん坊みたいな状態だから、見捨てないでくれてるけど……
元の私に戻って、お前はそれでも、見捨てないと、言えるのか?
……私に、背中を預ける気になれるのか?」
俺の左手が、キャスカの肩を掴もうとして伸び、
掴めずにぎゅっと拳を握る。
「……解らない。」
キャスカの躯が、さらに大きく震えた。
「……俺は、お前に惚れてる。……だけど、お前が俺ではなく、
……あいつを、本当は想っているんだとしたら……」
「そんなことない!」
大声で否定して、キャスカはぱっと立ち上がり、俺からまた離れた。
「違う、違うんだ。私はもうグリフィスを愛していない!」
807 :
799:2005/10/23(日) 22:12:16 ID:MLHKKbIM
自分でもびっくりする程、私の声は大きく、きっぱりと否定した。
不思議だ、今の今まで、私はまだグリフィスに未練があるとばかり思っていたのに。
そうだ、私はもう、グリフィスなんかいらないんだ。
ガッツだけでいいんだ。
「もう、グリフィスはいらない。私はお前だけ、ガッツだけいればいい。」
私の言葉に一瞬輝いたガッツの表情が、すぐに曇って首を振る。
「お前は、そう思い込みたいだけだ。……ゴドーの家で、あいつに会った時、
いや、あいつが人間の姿で戻って来た時でさえ、お前はあいつを……慕っていたじゃねえか。」
「違う、違う、あれは、違うんだ。
あれはグリフィスじゃ、グリフィスだけじゃないんだ。」
言葉がもどかしくて、私は頭を抱えてしゃがみ込んだ。
「……何が、違うんだ?グリフィスだけじゃないって、
それは、どういう意味なんだ?」
ガッツの声音が心配と不安に満ちているのが解った。
「……私たちの、子が……魔物になってしまった、あの子が……
グリフィスの中に、いるんだ……」
悲しさに耐え切れずに、私はしゃくり上げる。
「な……んだって?」
「どうしてかは解らない、解らないけど、あの子の存在を感じるんだ。
たった一度しか抱いてあげられなかった、あの子、ずっと私を守ってくれてて、
存在を間近に感じてられたのに、グリフィスが戻って来てから、
全然存在がなくなってしまったんだ。」
俺には何がなんだか解らなかった。
あの魔物が、俺とキャスカの子として産まれる筈だった魔物が、
グリフィスの中にいるのか?
食われた……いや、まさか。それじゃ取り込まれてしまったのか。
あの蝕に似た出来事に巻き込まれて、あいつも生け贄にされてしまったのか。
グリフィスの肉の一部にされて、消えてしまったのか。
「……グリフィスに、もう一度出会った時、
私は懐かしさよりも、恐ろしかった。
綺麗なままのあの顔が、姿が恐ろしかった。
でも、それ以上に、あの子の存在を感じられて、
我を忘れてしまったんだ。
……例え魔物でも、私の子だもの。
私が産んだ、たったひとりの子だもの。」
泣きじゃくるキャスカに、俺はもう一度手を伸ばす。
その手が届く前に、キャスカが言葉を続けた。
「……この間、海で拾った子、いただろ?
不思議なんだ、あの子にも、私の子の存在を感じるんだ。
まともに産まれてたら、あのくらいの年頃だからかと思ったけど、
でも、似てるんだ。どこか違うけど、
どこか同じ、存在を感じるんだ。」
「もういい、もう、何も言うな。」
俺の手がキャスカの肩に触れた。
それと同時に、俺の中にはキャスカの記憶が、どっと流れ込んでいた。
流れ込んだ記憶と感情に翻弄されて、何がなんだか解らない。
自分のものとキャスカのものの、記憶と感情がぐるぐると入り交じる。
俺なのか私なのか、ふたり分の複雑なものがお互いの中で混沌としていた。
808 :
799:2005/10/23(日) 22:13:32 ID:MLHKKbIM
混沌から目覚めた時、俺はどこかで見たような森の中にいた。
キャスカが隣で呻き声をあげて、ゆっくりと躯を起こしているのが見える。
「……おい、ガッツ。しっかりしろ。」
肩を掴んで揺すぶる手を、俺はいつの間にか掴んでいた。
「……ここは?」
起き上がった俺に、キャスカが辺りを見渡して答えた。
「ここは……お前と、始めて、抱き合った森、だな。」
赤くなって俯いたキャスカ。気付けば丸裸だ。あの時のように。
「……お前を抱いた場所か。」
なぜ、ここへ来たのだろうか、俺には解らない。
それでも混沌の中で、キャスカの感情を体感した俺は、
次に自分が何をすべきかだけは解っていた。
不意にガッツが私を抱き寄せて、逞しい腕の中に捕らえてしまった。
「……ガッツ……」
「お前を、抱きたい。」
いいか、と続けようとした唇に、求められていると感じ取った私は、
自ら唇を重ねた。
大きな、熱く熱を持った唇に、迷う事なく舌を挿し入れる。
もっと熱い口の中で、厚みを持った唇が一瞬驚いたように縮んで、
すぐに私の舌に絡みつこうと伸ばされた。
少しずつ、お互いに顔の角度を変えて唇をぴったりと合わせようとして、
ずれてしまう合間から、唾液がつうっと垂れて落ちる。
それすら惜しいようにお互いの唇を貪って、私はうっとりと目を閉じた。
キャスカの舌を味わいながら、俺はあの時のように逸っていた。
ぴったりと躯を合わせたキャスカの肌が、
ひどく熱を持って俺を昂らせる。
俺の首筋に絡む、細くしなやかで、程よい筋肉をつけた腕。
ぽってりとした小さな唇が、動きにつれて離れると、
それが惜しいとまた唇を重ね合う。
俺は唇だけでなく、頬から目許から、反り返る喉元も唇で確かめて、
耳朶を軽く噛んでは舌先で穴をくすぐった。
ひっと小さな悲鳴が上がる。
決して嫌悪ではない悲鳴を、もっと聞きたくて、
俺は首筋を舐める舌先を、鎖骨まで降ろして、
揺れる乳房を片手で掴んだ。
何度となく夢で見た。こんなひと時を。
触れる事さえ叶わないキャスカが、夢の中では俺に躯を預け、
優しく微笑んでくれた。
しかし、今のようにリアルな感触は伴わなかった。
目覚めれば空しさだけが残る、悲しい夢でしかなかった。
今だって夢の中なのだとは解っていても、俺はキャスカを貪りたい。
体温も匂いも感触も、五感の全てがキャスカを確かめているこの夢の中で。
809 :
799:2005/10/23(日) 22:16:09 ID:MLHKKbIM
いつの間にか、私は大木を背にして、両足を拡げて座っていた。
足の間には、ガッツの大きな躯がうずくまっている。
両手で乳房を揉みしだき、先端を口に含んで吸うガッツは、
まるで子供みたいだ。
可愛い、そう思って私は短く強い髪の頭を両手で抱え込む。
乳首を吸われる度に、ずきずきと痛いくらいに、股間が熱く鼓動する。
鼓動してじっとりと濡れた部分に、ガッツの太い指先が、
無造作に侵入して来た。
相変わらず、やり方がぞんざいで、私は思わず笑ってしまう。
「……何が、おかしいんだ?」
笑い声に気付いたガッツが、顔をあげて訝し気に私を見た。
「……お前、相変わらず、下手なんだな。」
「……やかましい。」
からかった私にわざと怖い顔をするけれど、ちっとも怖くない。
どうしてだろう。私の幽体を包む躯は、あれほどガッツを怖がっているのに。
からかうキャスカの中に、忍び込ませた指先を踊らせる。
かき混ぜればかき混ぜるだけ、この不思議な部分は濡れそぼる。
下手だとからかったくせに、キャスカは指を動かすたびに、
腰だけでなく躯ごと、びくんびくんと跳ね上がり、
唇からは熱い吐息が漏れだした。
俺は面白がって指先を動かし、隙間から漏れる体液を、
舌先で掬い取っていた。
小さな男性器みたいな突起を舌先で突くと、
ますますキャスカは声を上げ、腰が強く跳ね上がる。
ここがいいんだなと思って、俺は指先を引き抜くと、
指先でキャスカの内部を開いて覗き込むように、
突起と襞を上下に舐めあげた。
自分の声とは思えない喘ぎが、どうしても出てしまう。
いつの間にか、ガッツは私の股間に顔を埋めて、
一番敏感なところを舐めていた。
汚いと思って止めようとしても、どうしても言葉が出ない。
それどころか、もっと深くまで舐めて欲しいと、
腰を前に突き出してしまう。
中からどろどろと、熱い体液が沸き上がるのが自分でも解る。
溢れたものは太腿やお尻にまで伝わって、
ぽとぽとと苔の生えた地面に落ちた。
「……やっ……も……だめっ……」
かろうじて出た言葉と同時に、
私は強い快感に後押しされて絶頂に辿り着いていた。
810 :
799:
ぐったりと弛緩したキャスカを前にして、
俺は口許の体液と唾液を手の甲で拭う。
力無く拡げられた足を掴み引き寄せて、
俺は自分の一部を、もう爆発寸前のものを、
キャスカの熱い坩堝に挿入した。
と、同時に、俺は頭の中で弾ける花火に危うく暴発しかけ、
焦って目を閉じて、気を逸らせようと顔を振った。
しかし、俺の一部を包む感触は、余りにも熱くて柔らかくて、
それでいてきつく締めつけた。
「……ちぇっ、まるで、小僧っ子だぜ、これじゃ。」
ぽつりと漏らした独り言を、キャスカは聞いているのかいないのか、
新たに加えられた刺激に、また息を荒げて腰を、躯を跳ねさせている。
俺はキャスカの両足を掴んで、自分の肩にかけるようにすると、
深く繋がった部分に腰を打ち付けた。
静かな森の中に、水が弾ける音が響き、俺の荒い息づかいと、
俺と大木に挟まれたままで喘ぐ、キャスカの声が、それに絡み合う。
いきなり大きく跳ねた躯と、それに伴ったきつい締め付けに、
俺はとうとう音を上げ、
弾ける快感と一緒に吐き出される俺の体液を、
何度もキャスカの中に叩き付けた。
お腹の中が熱い。
ガッツのものが、吐き出される体液が、熱くて堪らない。
もう、獣みたいに唸るか叫ぶしか出来ない私は、
躯を離されると同時に、柔らかな苔の上に横たわる。
感じすぎて息苦しくて、何度も深呼吸する私の肩を、
ガッツは休む間もなく掴んで引き寄せた。
「ちょ……、ま、待って……もう少しだけ……」
聞こえているのかいないのか、ガッツは一度吐き出した筈なのに、
ちっとも萎えていないものを誇らし気に揺らしながら、
私の躯をひっくり返す。
俯せになった私の腰を掴んで、
また太くて熱い、固いものをぐいと突っ込んだ。
ひっ、と小さく悲鳴をあげて、私は腰を引こうとしたけれど、
ガッツは大きな手で腰を掴んで、逃げさせてくれない。
肉の割れ目を押し拡げるガッツの一部は、
私の中を容赦なしに突き上げた。
突かれるたびに私は声を上げ、快感の苦しさに、
苔が口に入っても気付かずに、地面に顔を擦り付けていた。