ケロロ軍曹でエロパロ 其の2

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714today:05/01/23 22:37:43 ID:c04auLU5
 何だか色々とやっているうちに、モアと約束を交わしてから随分時間を食ってしまったような
気がしていた。ケロロは剥き出しの顔面に時折吹き付けてくる冷風に苦笑し、葉の抜け落ちた
冬の枯れ木を眺めながら、公園に向かう道を早足で進んでいく。
 コロコロ……
「ん、これは?」
 公園の入り口近くまで来た所で、自分の足元に白と黒の色で出来たボールが転がってきた。
形状から間違いなくサッカーボールである。急ぎ足で吹き出た額の汗を拭いながら、どこから
転がってきたのだろうと周りに目をやると、前方から小学生ぐらいの女の子が二人、こちらに
駆け寄ってきた。
「おじちゃ〜ん、それ取って〜!!」
「お、おじちゃん!?」
 おじちゃん…、危うい響きだった。モアにはおじさまと呼ばれているが、面識のない者に
思いっ切りこう言われるのと話は別である。そのもう少しでオッサンという域に到達しそうな
呼び名にケロロはよろめくが、今は地球人の姿だからそう見えるのも仕方ないだろうと、
ここは都合良く考えておくことにする。
 少女たちの靴は土色に汚れていた。最近女性でもサッカーをすることがテレビでやって
いるが、この女の子たちもボールを蹴って遊んでいたのだろう。サッカーが好きなケロロは
嬉しくなって、先程の精神的ダメージを打ち消すように顔をほころばせながら、そのボールを
サイドキックで蹴り返す。
(決まったぁ――っっ、ゴール前への華麗なスルーパス!!)
 ケロロは心の中で一人実況するが、そのパスは言葉通り見事に女の子の足元へと転がって
いった。鋭いパスが届いた少女の目の前にゴールがあれば、ネットを揺らしていたかもしれない。
女の子の一人が少し驚いたようにしながらボールを受け取ると、二人でケロロの方へ歩み寄って
きた。
「すごーい! おじちゃん上手なんだね!!」
「いやー、そう?」
 ケロロは照れたように髪を撫でる。擬態の影響で身体能力はかなり上がっているのだろう。
ケロン人である小さい身体の時に苦労していた微妙なボールコントロールが、こうも手慣れた
ようにできるとは思っていなかった。
715today:05/01/23 22:40:22 ID:c04auLU5
「それで…、君たちはもう帰るのでありますか?」
「うん! 今日は雪だから、早く帰らないとママに叱られちゃう。おじちゃんは?」
 さっきから乱発されている気がするが、もうその呼び名は気にしないことにする。
「吾輩は……、ちょっと女の子と待ち合わせをしていましてな」
「え〜、それってデート?」
「すっごーい。こんな日にデートなんてラブラブなんだ〜♪」
「え? は、はは……」
 子供の言うことだが、男女の付き合いについて根掘り葉掘り追求されるのはやはり嫌な
ものである。ただ待ち合わせているだけと言っても聞かなさそうな女の子たちから、ケロロは
逃げるようにしてゆっくりと歩み始めた。とそこで、少女たちが気になる言葉を発する。
「あーっ、そういえば金髪で顔真っ黒にしたお姉ちゃんがベンチで眠ってたよ」
「あ、そうそう。寒そうだったからあたしたちが起こそうとしたのに、全然起きなかったよね〜」
 二人の少女は顔を見合わせてそう話した。それが耳に入ったケロロの胸は、一瞬ドキッと
動揺を伝える。
716today:05/01/23 22:42:34 ID:c04auLU5
(いくらやっても起きない…? まっ、まさか、モア殿の身に何かッ!?)
 突然強い不安と焦燥に駆られたケロロの脳内で、捨てられた子犬が雨の中で鳴いている
映像が流れ出した。悲しそうにしながらいくら待っても手は差し伸べられず、気温は段々と
下がっていき弱っていく。漫画のワンシーンに出てきそうな、そんな悲しい光景。
 やがて子犬の姿は雨で濡れたモアの姿へと置き換わる。ただひたすらに待っている少女の
体力は、否応なしに奪われていった。そしてモアが辛そうに「おじさま……」と自分の名前を
呼んだ時、その絶望の色が滲む涙目を瞼が隠し、空を彷徨うように伸ばしていた腕がガクッと
落ちる。ケロロの縁起でもない妄想は、そこで幕を閉じた。
「モ…、モ……」
「おじちゃん?」
 この寒空の下で待たされすぎたモアがどうかしてしまったのではないかという負の思考に
支配されたケロロは、言葉を小刻みに発しながら悔恨の表情で両手をワナワナと震わせる。
「モア殿――――ッッ!! すぐに行くであります――――っっ!!!!」
「きゃあぁっ!?」
「あー、行っちゃったぁ。変なおじちゃん……」
 ケロロは物凄いダッシュを見せて、公園の入り口から中へと入っていく。残された少女たちは、
前方にパスを出されたFWの如き瞬発力を見せる青年に驚き、なかば茫然としながらそれを
見送っていた。
717today:05/01/23 22:45:21 ID:c04auLU5
 話は日向家に戻る。人のいない家の中に入ったギロロは、自分の組んだ脚の上で気持ち
よさそうに丸まっている猫の頭を撫でながら、テントの在処を考えていた。
 色々と考えてみたが、こういう事があった時に物凄く関わっていそうな人物がいた。ケロロ
小隊がトラブルに巻き込まれる時などは、大体その者が原因である。
「……やはり、アイツだな」
 そうやって思い当たった人物は、ケロロ小隊のトラブルメーカーであるクルルだ。大方、
自分のテントを何かに利用しようとして持っていったのだろう。そう結論付けて思い立った
ギロロは、立ち上がろうとしてふと脚の上に乗った猫を見やる。
「うにゃ〜……」
 暖かいのが心地よかったのだろうか。白猫はいつしか目を閉じて、気持ちよさそうに鳴いた
かと思うとスヤスヤと眠っていた。
(すまんが、そのまま眠っていてくれ……)
 ギロロはそんな大人しくなった猫を見て微笑すると、起こさないようにゆっくりとソファの上に
寝かせ、廊下の方に向かって歩き出す。
 その時突然、目の前の空間で歪みが生じた。裂けて大きくなり、人が一人通れるほどの
大きさになる。これは何者かがここへ超空間移動をしようとする時のものだ。
 ギロロは別段驚く様子もなくそれを見ていた。超空間移動はケロン人たちの常識で、仲間内で
この移動手段をよく使う者といえばすぐに思い付く。今、その者が穴を通ってこちら側に降りて
きた所だ。
718today:05/01/23 22:47:45 ID:c04auLU5
「チッス、ギロロ先輩! 軍曹さんはいますか〜?」
(やはりタママ…か)
 紺色の身体に特徴的な尾びれ。ケロロに会いに来たためか、その顔からご機嫌なオーラを
噴出させているタママが日向家の中へと降り立つ。そう尋ねられたギロロだが、先程の会話で
ケロロがどこかへ外出しているのはわかっていた。
「いや、ケロロは居ないが…。しかしちょうどいい。今から地下へ行こうと思っていた所だ。
ケロロの居場所もそこでわかるかもしれんし、一緒に行くか?」
「ラジャーッス♪」
 かくして二人は地下へと向かう。その一角にあるクルルズ・ラボではモアの様子を観察して
いるクルルの姿があった。
「あー、退屈だねェ……」
 クルルは椅子に座り両手を後頭部に当てるようにして組みながら、ふんぞり返ってモニターを
見ている。行儀が悪いように見えるが、いつまで経っても来ないケロロに、眠ってしまったモアを
見ているのにもそろそろ飽きてきた所であった。
「まあ、アレのせいで眠くなっちまうのは仕方ねえか。それよりも隊長が遅いぜ……」
 ケロロが家を立った時間を考えても、そろそろ着いていいはずなのだが…とクルルが思って
いると、カメラに写されたモアのいる方に向かって物凄い勢いで近付いてくる影が見えてきた。
「クックック…、ようやくお出まし…だな」
 クルルは一つ笑うと、逸らしていた上体を起こして真っ直ぐにモニターを見始める。それは
これから面白くなるであろう展開に対する期待の表れであった。
719名無しさん@ピンキー:05/01/23 22:51:11 ID:c04auLU5
今回はここまでです。
半月経ったのにあんまり進んでないんですが、
もうちょっとで忙しくなくなりますんで、ハイ……。

そして、ケロロ将軍の漫画賞受賞おめでとう!
720名無しさん@ピンキー:05/01/24 01:18:11 ID:haE10J/B
久しぶりの続編投下、ありがとうございます
はりきって読ませてもらいます
721名無しさん@ピンキー:05/01/24 08:16:09 ID:QAPZD5ON
タママがこれを見たら絶対に修羅場ですね★
722名無しさん@ピンキー:05/01/24 19:24:53 ID:HgM+/WZV
おじさんと呼ばれて萎えるケロロがいい。
青年顔で子供にそう言われるのは辛いものがあるし。
ギロ猫も出てたけどテントがないのはどういう伏線で?
と書きつつ次の投下まで待機。
723名無しさん@ピンキー:05/01/25 08:20:45 ID:8k1VUQTM
ドロロ、相変わらず影薄い
724名無しさん@ピンキー:05/01/25 20:41:10 ID:WjC1kel7
クルルの『アレのせいで眠くなっちまうのは仕方ねえ』って一体・・?
725名無しさん@ピンキー:05/01/26 00:05:30 ID:6UJCl/zd
現スレも480KBいきましたし、
即死しないタイミングを見計らって、
次スレを立てなければなりませんな。
726名無しさん@ピンキー:05/01/26 23:13:04 ID:lJE2e8D6
今日ケロロの最新話を読んだけどひとまず終わらないで一安心。
それとギロ夏にはうれしいお話でした。
二人の仲がちょっと進展したって感じでしたから♪
727名無しさん@ピンキー:05/01/27 02:19:27 ID:7eDa8FYE
まだ今月号見れて無いので、感想でもあんまり言ってほしくない…
728名無しさん@ピンキー:05/01/27 17:27:16 ID:u1QqjRrm
激しく同意。
俺のところなんか立ち読みできる店に新しいのが入ったと思ったら売り切れてたし・・・・
729名無しさん@ピンキー:05/01/27 21:15:37 ID:gZMHvQ/L
>>725
現スレの限界ってどこまでだったっけ?
この調子だとどれくらいで満杯になりそう?
730名無しさん@ピンキー:05/01/27 21:39:11 ID:fuCXl3jr
500KB超えたら、容量オーバーで書き込み不可になる。

このスレの残り容量だと、
20レス一杯に使う勢いのSSはもう投稿しきれないぐらいかね。

前スレの最後の方みたいに切羽詰まるのもなんなんで、
テンプレ案ぐらいは出しておくのがいいかと。
731名無しさん@ピンキー:05/01/29 01:16:59 ID:12elm6Vk
大体話一つに平均的に見てどれくらい容量が使われてるんだろう?
732名無しさん@ピンキー:05/01/29 17:37:09 ID:mkuxpOlU
1話につき約20KB?
733名無しさん@ピンキー:05/01/29 21:58:45 ID:5Lr/iykA
>>727-728
凄い遅レスだけど、自分が見れてないからって文句言うのはどうよ。
わざわざネタバレ禁止のスレに内容貼る厨もいるし
どうしてもいやなら2ちゃん見ないしかないよ。
734727:05/01/30 00:13:53 ID:3snZeRuP
うちは田舎なんで、発売日当日に買えるって事ないのだよ。
翌日にもう買ったけどね。
ただ、ここならすぐネタばれないだろうと思って覗いたら、感想があって萎えたのだよ。
735名無しさん@ピンキー:05/01/30 10:36:46 ID:BkzDH2JX
じゃあまだ感想語るのは駄目ですか?
736名無しさん@ピンキー:05/01/30 12:22:04 ID:FlgIdgGx
買えない人に合わせる必要ないと思う。
だったら、コミクス派の事も待ってあげたら?って話になってきりがない
737名無しさん@ピンキー:05/01/30 12:38:06 ID:tFdyGUy0
発売すぐは、漫画板で語ればいいんじゃね?
時間が経ってば、ある程度見るだろうし。
738名無しさん@ピンキー:05/01/30 21:00:51 ID:eIoTyOny
ということはもしそのネタで話を書いた場合などは投下を見合わせたほうがいいってことかな?
739名無しさん@ピンキー:05/01/30 21:16:29 ID:yh1TckSH
いやー……、別に投下するなとまでは言わないでしょう。
まあ、発売されてる最新コミックスにも載ってないぐらいの話から持ってきた場合、
投稿の際に本誌からのネタバレって注意ぐらい書いてもらえれば…
問題ないとは思うんですがねぇ。
740名無しさん@ピンキー:05/01/31 07:22:30 ID:3pnBSSRV
1000スレゲットレースするにもこのままだと中途半端だしな・・・。
741名無しさん@ピンキー:05/02/01 14:19:06 ID:jyaiRcvA
期待上げ
742名無しさん@ピンキー:05/02/01 20:05:57 ID:5kdmE1k7
623×モア希望

ってマイナーかな?
743名無しさん@ピンキー:05/02/01 23:11:55 ID:0u2PY27m
確かにそのカップリングではまだ投下されてないけど、マイナーだからどうこうというわけでは無いと思う。
しかし今このスレは書き込みが少ないという現実があるので、リクに応えてくれる確率は…。

残り15KBぐらいしかないんで、テンプレについてでも。
あまり賑やかではない代わりに、特にルールを作ることもなくまったり機能してるわけだけど、
次スレの1に書くのも、やっぱり前スレへのリンクと簡単な文章ぐらいにしといた方がいいかな?
744名無しさん@ピンキー:05/02/02 08:21:19 ID:V66qqk/D
62モアの話ならどこかのサイトで読んだことがある。
745名無しさん@ピンキー:05/02/02 21:04:16 ID:eqIzk/FJ
クルルと623でモアをとりあうというのは?
746名無しさん@ピンキー :05/02/02 23:15:40 ID:KLzIw6hb
そこにケロロが乱入!


ケロロ「モア殿に手は出させないであります! なにかあったらモア殿のお父上に合わ
     す顔が・・・・ってモア殿、どうかしたでありますか」

モア「嬉しいおじ様、そこまで私の事を・・・・てゆーか花嫁奪取?」

ケロロ「は? いったい何の話でありますか? 自分はモア殿と付き合うなら、まずお父
     上に話を通してからお付き合いをと・・・・」
 
モア「家族に会ってくれるんですね! 嬉しい!」

ケロロ「会うも何もすでに家族ぐるみのお付き合いを・・・・623殿、クルル、なんであります
     かその殺気に満ちた目はやめてこないでギャー!」
747名無しさん@ピンキー:05/02/04 23:22:32 ID:pOIEub9Y
日向秋様でハァハァしてはいけませんか?
748名無しさん@ピンキー:05/02/05 22:52:31 ID:5MJeGepZ
まだ早いと思うがそろそろ新スレ作ろうか?
749名無しさん@ピンキー:05/02/05 23:34:40 ID:LAPUTabK
もう484KBか…早いな
そして全然関係無いが484KBを484キロバトルと読んでしまった
750名無しさん@ピンキー :05/02/09 00:15:50 ID:YPvGbvA+
>>748
もう少しまってもよさそう。
751today:05/02/09 05:33:47 ID:2y0vEZ5k
うーむ。やたら話が長くなりそうな俺が投稿すると、
容量にトドメを刺すことになりかねない。

ですが待ってるだけでもしょうがないので、
途中まで書けた>>718の続きを、少しだけですが投下します。
展開がなかなか進まず、今回もエロ無しの前置きだけですが……
752today:05/02/09 05:36:18 ID:2y0vEZ5k
 ドドドド……
 走る。そこへ到達するという目的に向けて、碧髪の青年はひたすら公園の中を爆走していた。
いつもは人が散歩しているような遊歩道も、この天候のためか非常に閑散としている。ケロロの
行く手を遮るものは、あたかもその必死な激走を嘲笑うかのように吹き付けてくる冷たい風だけだ。
「マズイでありますっ! こうしている間にもモア殿は――」
 走りながら吐き出す息が濃い白色となって目に映る。モアの身を案じて今どうしているのかと
何度も何度も想像するが、回を重ねるごとに到達する結果は悪化し、不安は余計に高まるばかり
であった。
「はぁっ、はぁっ。この辺りのはず……」
 そうして息を切らしながら待ち合わせ場所の辺りまで奥に進んでいく。キョロキョロと辺りを見渡して
モアを捜すが、本当に人の気配がしない。やはり普段よりは大分捜しやすいはずだ。
「むっ、あれは……」
 少女が仰向けにした身体をこちら向きに傾けるようにして、木のベンチに瞼を閉じて横たわっている。
人気が無いというのもあるが、金色の髪と褐色の肌が冬の景色と対照的で、遠目でもハッキリと
待たせている娘であることが特定できた。
 ケロロは疲れた身体の力を振り絞り、ヨロヨロのペースでその場へ駆け寄る。近くで改めて少女を
見るが、その見慣れた顔に間違いはなかった。ケロロはふうっと一息ついて、ガックリと前のめりになり
両膝に手をやる。しばらく疲れた呼吸をしていたが、それなりに音を立てて接近した自分にもまるで
気付いていないのか、少女は微動だにしない。
753today:05/02/09 05:39:18 ID:2y0vEZ5k
 自然が彩る公園のベンチで横たわる美少女。急いできたことを忘れ、どことなく引き寄せ
られてしまうような魅力がそこにはあった。これが春の木漏れ日が差し込むような季節で
あれば、額に入れて飾れる一枚の絵のように見えて感動できたのかもしれない。しかし
そんな芸術的な心境も、冬の寒さが現実へと引き戻させる。しばらくそこで突っ立っていた
ケロロはハッとして、静まりかえった少女の顔を覗き込み、その名を呼んだ。
「モア殿っ! 大丈夫でありますかっ、モア殿――ッッ!!」
 しかし、呼び掛けるだけでは簡単に応じないようだ。本格的に焦ってきたケロロは、モアの
肩を両手で揺すりながらその名をもう一度呼ぶ。
「ぉ……さま……」
 モアは消え入りそうなほどの小さな声で、ケロロのことを呼んだような気がした。ケロロは
モアが無事であったことを知って、ホッと気を緩める。
「お子ちゃまで悪かったわね――――っっ!!」
「ひえぇぇっっ!?」
 気持ちを落ち着けたと思った瞬間に突然モアが大声を上げ、ケロロはビクゥッと身体を
震わせた。心臓をバクバクと鳴らしながら少女の様子を確認すると、どうやら何かの寝言
だったらしく、今も時折「うーんうーん」と唸っている。夢の中で何か大きな展開があったの
かもしれない。
「あー、ビックリしたー……。まあしかし……」
 胸に手を当てて気持ちを落ち着かせながら改めて注視するが、短いスカートの影から伸びて
いる生脚がとても寒々しい。普段であれば目を惹きそうな異国を思わせるキャラメル色の内腿も、
この寒冷な空気の下では見ているだけで鳥肌が立ちそうなものだ。
 やはりこのまま寝かせておくのはよくないだろうと思い、ケロロは引き続きモアを起こそうと
肩を揺する。今度は驚くことがないようにと、少女の様子に注意しながら。
754today:05/02/09 05:42:32 ID:2y0vEZ5k
 ――モアは夢を見ていた。自分の姿を外から見るという夢ならではの不思議な視点で、
そこに映っている自分を見つめている。地球の1999年という時を待ちながら、ジッと一人で
佇んでいる時だろうか。恐怖の大王に課せられた宿命とはいえ、遠い故郷やそこにいる
者たちのことなどが霞んでしまいそうな、気の遠くなる孤独である。
 正直、あまりいい夢ではない。目の前の自分は眠っているから気付かないが、これを
客観的に見てみると非常に寂しく映る。
(何だかとても寂しい……。てゆーか孤立無援?)
 少女の顔を見つめていると、まるで鏡を見ているかのような不思議な気持ちになる。だが
さらに目を凝らしていくと、どうもその娘は自分と何かが違うように見える。姿形ではない。
例えて言うなら――、それは雰囲気だろうか。
 そもそも自分は、幾多もの星を破壊してきた恐怖の大王、アンゴル=モアである。今いる
地球ですら破壊しにやってきたのだ。しかしどうだろうか? いざそのことを考えた時に、
今の自分はそう簡単にこの地球という星を真っ二つに出来るだろうかと疑念が浮かぶ。
少なくとも――
(目の前にいるこの頃の私なら、何の躊躇いもなく出来るはず――)
「…ぁ…どの……、モア殿……」
「この声……」
 そうやって解決しそうにない苦悩に悶えている中、声が聞こえてくる。どこからか――、
そう自分の名を呼ぶ声は、耳に入ると凄く嬉しいケロロの声だ。
 想い人の影響は偉大なのか、物寂しい夢の光景はあっという間に夏の日が差し込んだ
かのように明るく彩られ、夢の淵へと落ちた意識を現実へと覚醒させていく。
 孤独感が支配する状況でのケロロの呼び掛けは、渇いた心に強い感慨を与える。しかし、
それを考えに入れても、この時のモアは普通の「嬉しい」という感情を超えた何かが湧き
上がっていた。
 長い時を経て再開を果たしたケロロの心を掴みたい。そして離したくない。どんなことを
してでも――。未知とも言える強い感情と共に、モアは夢の中から登っていく。
755today:05/02/09 05:46:37 ID:2y0vEZ5k
「ん……」
「おおっ、モア殿! ようやく目を覚ましたでありますな。吾輩、心配で心配で……」
 モアはうっすらと目を開けていく。心配したケロロが気持ちを抑えきれなかったのか、
モアに手を回して抱き付いている。モアはしばらく寝起きの思考を働かせようとし、その
うちに事の成り行きを把握した。
「すいません。ご心配をお掛けしてしまって……」
 そうやってモアが謝った後、ケロロはゆっくりと身体を離そうとする。しかし離れない。
なぜかと思ってグイグイと力を込めて気付いたが、モアが身体をギュッと掴んだまま
離そうとしないのだ。
「どうかしたでありますか?」
 ケロロがそう呼び掛けると、モアは我に返ったようにしてビックリした表情になる。
「あ、私…? すっ、すいません」
 そして自分自身の行動に驚いたようにいきなり身体の拘束を解くが、その表情はいつも
より赤い。風邪でもひいたのではないか――。不安になったケロロは、掌をモアの額に
押し当てて熱を確かめる。
「ふーむ。ちょっと熱いでありますな」
「あっ、あのっ。私、別に熱があるわけじゃありません、多分……。てゆーか心配無用?」
 なぜかモアはその行為を避けるようにして後ずさる。ケロロは不思議に思いながらも、
心配そうに少女の顔をジッと見つめていた。だがケロロは気付いた。少なくともそう言った
今ですら、どんどんとその面の熱は上がっていることに。
 なぜなら、そのプニプニとしていそうな頬を中心として、顔全体が赤らんでいったからだ。
病気による熱ではなく羞恥によるものかとも考える所だが、別に目を合わせることくらいは
普段からよくあることで、その可能性は低いだろう。
 ケロロはそう推理していくが、今のモアが人見知りをする子供のように、逆手にした両の
手を困ったようにしながら口元に当てているのは事実なのだ。だとすれば、その可能性の
高そうな方――、モアが身体に何らかの変調を来しているのではないかと考えるのも別に
おかしいことではない。
756today:05/02/09 05:49:12 ID:2y0vEZ5k
「ぁぁっ…そんな…。私、見られて……」
 やがて、少女は落ち着かない様子で視線を右往左往させる。言葉を小さく刻むように発すると、
両腕を胸の前で交差させ寒さに耐えるような格好で震え始めた。何かを恐れるような表情の中で
怯えた瞳を見せられたケロロは、モアの両肩を掴み目を合わせて語り掛ける。
「モア殿っ、やはり吾輩が待たせてしまったせいで体調が良くないようであります。今日の所は
家に帰って――」
 そうやって呼び掛けるが、モアは目を合わそうとしない。むしろ、それを恐れるようにして目を
瞑って首を横に振る。しかしケロロは、駄々をこねる子供のようなモアの両頬を手で押さえて、
やや強引に自分の方へと振り向かせた。
 紅潮していた顔にさらなる赤みが掛かり、褐色の肌をいつもとは全く違った様相へと染め上げて
いく。感情の起伏を表象するように目を大きく見開かせ、眉を苦しげにひそめている。その辛そうな
表情にも比例した呻くような声で、少女はこう弱音を吐いた。
「あぁっ…、もう…ダ…メ……。てゆーか絶体絶命……?」
「んおっ!?」
 突然だった。ケロロはモアにグイッと引き寄せられ、モアがケロロの胸に顔を埋める形となる。
 少女が小さく震えながら熱い吐息を漏らしているのが感じ取れる。何がそうさせているのかは
わからなかったが、モアの様子がいつもと違うのはケロロの目には明らかだった。
「えーと…、モア殿?」
 どう切り出していいのかわからず、取り敢えず名前を呼び掛けるケロロだった。モアはそう呼ばれ
るとギュッとケロロを抱き締めて、色付いた声で切り返す。
「ダメぇ…。離したくないんです、おじさまのこと……」
 少女は涙で目を潤ませ、綺麗に揃った睫毛を栄えさせている。様子、雰囲気などから演技とは
思えなかった。そのまま――取り上げられそうな玩具にしがみつく子供のように、モアはどんどんと
きつい抱擁を求めてくる。
757today:05/02/09 05:52:20 ID:2y0vEZ5k
「痛っ!?」
 ケロロは手首と肘の間辺りで突如痛みを感じ、表情を歪ませた。自分が強く抱き付いていた
ことがケロロに痛みを与えてしまっていることに気付くと、モアもさすがに我に返ったのか身体を
密着状態から解放する。
「おじさま、見せてください…。てゆーか異常発見?」
 今のモアの方が余程異常なのではと突っ込みたくなる所だが、モアはそんな狼狽えている
ケロロなどお構いなしにコートと上着の袖をスルスルと捲っていく。徐々にケロロの地肌が晒さ
れていくと、その痛みを感じた所に濃い青痣が出来ていた。おそらくは、さっきこたつにぶつけた
せいで出来たものだろう。
「ふぉぉっ!?」
 気の抜けるような間抜けな声がケロロの口をついて出る。その青なじみを見て若干血の気が
引いていた所に、突然モアがその場を舌で捕らえ始めたのである。
「こっ、これはどういう事でありますかっ!?」
「おじさま、私知ってます。こういう傷には舐めると治癒効果があるって。だから……」
「そっ、それは外傷についてなのでは? って、はぅ……」
 少女の柔らかな舌が、唾液の水音混じりに内出血をした患部を優しくなぞり上げる。変わり身の
慣れない肌のせいか、そうやって軽く舐められるだけでも甘い痺れのような感覚が鋭敏に伝わって
いった。
「あむ…ん…、んっ、ふぁっ……。すいません……」
 ケロロの押し出されるような籠声を聞くと少女は舌先を一端離し、申し訳なさそうな顔をして謝罪した。
急な刺激にケロロが痛みを感じないようにと、舌と患部との接合力を微妙に調節する。
 今度は先程よりも優しく慎重に、主人にじゃれつく子犬のようにペロペロと…。そのくすぐるような
微細な刺激が、変わり身の青年を襲っていく。
758today:05/02/09 05:55:09 ID:2y0vEZ5k
「っく…、モア殿っ……。しかし、無理にここまでする必要は――」
 間接的ではあるが、この行為への抵抗をモアに伝える。しかし、それを聞いたモアはキョトンと
するだけで、その本心まではわからなかったらしい。
「私なら平気です。おじさまのためなら何だって…、何だって出来ますから。てゆーか粉骨砕身?」
 それが本意であることを証明するように、モアは心底嬉しそうに微笑んだ。そして一端離した顔を
再度近付けると、患部をいたわるように舌戯を繰り返す。
「はぅっ…、はぁ…ぺろ、んむぅっ…れろっ……ちゅ、ぴちゃ……」
 薄くなぞったかと思うと、表皮の毛に触れるか触れないかといった距離でいじらしく往復させるなど、
そのあまりにも繊細な刺激に、ケロロは拷問のようなもどかしさを感じていた。
「もっ、もう大丈夫! モア殿のお陰でもう痛くないでありますから、さあっ」
「んぅっ!?」
 堪えきれなくなったケロロは、熱心にケロロの痛みを和らげようとするモアからなかば強引に腕を
引き離した。が、モアはそれに驚いたのもつかの間、すぐにケロロの背へと両手を回していって
自分から包み込まれるように抱き付いてくる。どうしてもケロロを離そうとはしないらしい。
(モア殿…、本当にどうしてしまったのでありますかっ?)
 ここまでくると、まるで困るほどに甘えてくる子供のように見える。その事が昔の本当に小さかった
頃のモアの姿をフラッシュバックさせるが、強い視線を感じて考えは打ち消された。思いの中とは
変わって大分成長を遂げた少女は、長身と化したケロロを上目に覗き込むようにして瞳の先を向けて
きている。
 興奮の熱がこもった甘美な吐息を漏らす普段は純真なはずの少女。そのはずなのだが、今現実と
して目の前に存在するのは、ウルウルとした切なげな瞳で自分を見据える、女としての雰囲気を前面
に押し出した一人の異性であった。
759today:05/02/09 06:01:40 ID:2y0vEZ5k
「ぁ…っ……!」
 目を合わそうとしているのかと思って視線を向けると、驚いたように顔を赤くしてプイッと
横を向いてしまう。それでも目を逸らすと不安になるのか、また怖ず怖ずとケロロの方を
向いてくる。大胆に抱き付いてきながらも、その自らが為している状況を少し恥じらうように
した様子もいじらしい。
 自分に甘える少女の体温を感じながら、ケロロは首を振って否定したいほど苛烈に、その
内なる衝動を駆り立てられていった。
「おじさまぁ……♪」
 淫らなほどに澱んだ情熱的な瞳。そこから放たれる熱視線が、快楽に耽っているような
退廃的な妖声と混じりながらケロロに降り注がれる。モアは密着した身体を摩擦させながら
ジワジワと這い上がるようにして、自分とケロロの顔とを近寄らせていった。
(あ、抗えねぇッッ!!)
 ケロロはその焦る心とは裏腹に、まるで妖艶な魔力に身を拘束されたが如く何の抵抗も
出来ない。そのことに気付いた頃にはモアの赤らんだ顔がすぐ眼前まで接近していて、
心の中で悲鳴を上げるしかなかったのである。
「はぁぁ……」
 二人の顔がかなり近付いていった刹那、今一度バッチリと目が合う。瞬間、少女は顔を
一層切なくさせ、男を靡かせるような熱のこもった甘い息を吐き出した。そしてついには思い
切った行動に出ようとする。
 羞恥かそれとも喜悦か、顔を赤らめた少女は高鳴る鼓動と震える身体をグッと堪えるように
して目を薄める。そして想いを噛み締めるようにひとつふたつと上下の唇を擦らせ合い、その
麗しい唇を意識しながら背を伸ばしていった。目標は疑いなくケロロの口部――、口付けを
求めようとしているのは明らかである。
「えええええ!? ヤバイッ、それはヤバイですって奥さん!!」
「私の…、初めて……」
 モアの意図に気付いたケロロが悲鳴を上げるが、暴走するモアの耳にはわずかに入るだけ
だ。その制止も届く様子はなく、どんなにここから足掻こうとしても蟻地獄に陥れられたかの
如く這い出すことは出来ない。ケロロは最早、そんな世界へと完全に引き込まれていたのだ。
(も、もうダメかもであります……)
 ケロロがそう覚悟して身体をグッと強張らせた時、背後の空間が裂けた。
760名無しさん@ピンキー:05/02/09 06:05:43 ID:2y0vEZ5k
今回はここまでですが、かなりギリギリでしたな。
そこの書き手がスレを立てない方がいいとどこかで聞いたことがあるんで、
スレ立ては>>748さんか他の方にお願いします。
761名無しさん@ピンキー :05/02/09 10:14:03 ID:YPvGbvA+
>>760
GJ!
ぐうぅ、寸止め!

次スレは自分が立てましょう。少々お待ちを。
762名無しさん@ピンキー :05/02/09 10:24:10 ID:YPvGbvA+
立てました。

ケロロ軍曹でエロパロ 其の3
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1107912133/
763名無しさん@ピンキー
ごくろうさま