児童日本海外文学総合

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174名無しさん@ピンキー
「奥様」は髪が乱れても、服を纏わなくとも、矢張りとても美しい。否、むしろ今の姿が一等素敵に見える。
すらりとした脚を広げ、男を絡め取るようにして「奥様」は歯を見せて笑った。
男が覆い被さり、ほっそりとした腰に手を回し、柔らかい肌に所構わず噛み付いた。
「奥様」の頭は仰け反り、紅の滲んだ唇からは悲鳴のような声が漏れる。
しかしメアリーにはそれを苦痛だと感じているようにはとても見えなかった。
男の手が撓めた乳房の柔かさ、温かさをメアリーは知らなかった。

メアリーは、はっとして手から滑り落ちた象の象牙細工を拾った。
インドでの事なぞ、此方へ来てから殆んど思い出しはしなかった。
しかし、追憶の光景にメアリーの身体の熱は上昇したように感じた。
目を上げて鏡台に映る自分を見て、「奥様」のようにしてみようと髪を掻き揚げた。
鏡に映る姿は、幾分太ったとは言えまだ貧弱な不安そうな顔の小娘だった。
段々母親に似てくる、という人の言葉には疑問があった。

レースだらけの服とは違い、破る訳にはいかないし、第一そんな力も無いのでそれは仕方が無いが、
あの時、「奥様」に男がしたようにメアリーは自分の身体に触れてみた。
小さい膨らみ始めの胸に、象を乗せて行進させた。
象は胸のリボンに脚を絡ませたが、乳首周りは丁寧に何週も往復した。
象が動くたびにメアリーはこそばゆさと、微かな快楽を感じた。
そのまま腰を移動して腹に至り、太腿から膝まで行くと象の行進は回れ右をした。
内腿を滑るように上ってくると厚手のスカートの生地が象の行く手を遮った。
メアリーはスカートを捲くり、フリルのついた木綿のペチコートを剥き出しにした。

「駄目、そんな少しの障害で挫けては」

メアリーが象に励ましの言葉を掛けると、象はもぞもぞとペチコートの中を潜って行った。
下着の上を象が歩くとメアリーも「奥様」の様に声が出そうになった。
象は脚の間の谷間を何度も行ったり来たり。
滑り落ちるように、縦にするっと動くとメアリーの身体がビクンと跳ねた。
175名無しさん@ピンキー:04/12/25 14:53:43 ID:B7zlZ8fG
「あっ」

息を吸ったときに漏れた音にメアリーの心臓はドキンと早打った。
しかし耳を澄ませても聞こえてくるのは外で吹いている風の音だけ。
小さな声は大きな屋敷の奥深くで、誰に聞こえる訳でもなかった。
まるで世界中でこの部屋だけがメアリーと共に取り残されているかのようだった。
軽い溜息を一つついて、ソファに深く身を埋めると、今度は左手に象を握りしめ右手でそこに触れてみた。
厚ぼったい下着が鬱陶しいく、その奥に柔かい感触がした。
目を瞑り、ゆっくりゆっくり擦りながら、自分の気持ちの良いところを探し当てた。
ディコンはこんな事する気かしら?メアリーはぼんやり考えた。
ついっと指を動かすとくにゅっと指先が食い込んで、微かに硬い感触と先程より強い快感がメアリーを襲った。
指先でそこを探り当て弄るともう声は抑えられなかった。

「あっ……はぁ……んっ」

指の動きは激しさを増して、布の擦れる音とメアリーの口から漏れる声が部屋の中の音の全てだった。
人差し指と中指で全体をかき回すように動かし、そこに在ったクッションを脚に挟む。
「奥様」が若い男を脚で締め付けていたときと同じ。
もどかしい快感に身悶えするように狭いソファの上で身体をくねらせた。

「…はぁ……はぁ……ふぅ……」

靴の踵が木製の肘掛にぶつかると、徐に起き上がってそこに跨った。
体重をかけ股の間に肘掛を食い込ませ、身体をゆっくり揺さぶるとより強い刺激を感じた。
夢中で擦りつけると細かい痙攣がメアリーを襲う。

「んっ……ん…あぁん……」

目を閉じると感覚が研ぎ澄まされるような気がした。
腰の動きは男の動きと重なり、メアリーを襲う快感は「奥様」が受ける快楽と入れ替わる。
176名無しさん@ピンキー:04/12/25 14:54:44 ID:B7zlZ8fG
「…ああぁ、そんなに焦らさないで……」

レノックス夫人が哀願するように言うと男は夫人をうつ伏せに押し付け、腰を高々と持ち上げた。
丸々とした張りのある球体は男の侵入を待ちわびるように震えた。
顔を大きなクッションに埋め、広がった髪は黄金に波打ちその上からシーツを掴む指に力が篭った。
まるで、幼い子どもがお仕置きを受ける時のように差し出された尻を、
男が掌で滑々と撫でると履いていたスリッパで打った。

「ううっ……はっ…あぁっっ」

叩かれるたび夫人の声は潤いを帯びて聞いているメアリーは固唾を飲んで見守った。
見る間に腫れて桜色に染まった肉を男が両手で押し開き、濡れた肉の裂け目を露にした。

「お願……いぁっ」

夫人の言葉を待たず、男はそそり立つ凶器を挿し込んだ。
肉と肉のぶつかり合う音と男と女の荒い息使いに混ざり、粘り気のある音もメアリーの耳にはっきりと聞こえた。
メアリーはもう見ることも無いと判断し、自分の部屋に引っ込んだ。
しかしベッドに寝転んで考えても、あの華奢な「奥様」の何処にあの男の身体の部分が入っていったのかが不思議だった。
指で自分の身体を目星をつけまさぐるとぐっしょりと粘り気のある液体に濡れていた。

メアリーは肘掛から降りると横になり、「奥様」がしていたように腰を動かし、男の代わりにクッションを押し付けた。
汗ばんだ額に乱れた髪が貼り付く。
うわ言のように「奥様、奥様……」と呟いた。あの行為中、男が言っていたように。
メアリーはたった独りで、快楽に支配される側とする側の喜びを求めた。
177名無しさん@ピンキー:04/12/25 14:55:13 ID:B7zlZ8fG
「はっ…っ…あっ…」

身体の感覚は高ぶっても、もどかしさが付きまとう。
誰も居ない淋しさ。
誰もメアリーを望まなかった。愛情を受けずに育ったメアリーは淋しさなんて知らないと思っていた。
わたしを見て、わたしに触って、愛して。
叶わない望みなら願わない方がましだと思っていた。
中々訪れない絶頂感に泣きたい様な苛立たしさを感じた。

下半身を力一杯締め付け、クッションを押し付け仰け反る。
とうとう、はけ口を見つけたような感覚の波がメアリーを呑みこんだ。

「ふあぁっ…」
その波に呑みこまれながらメアリーは必死にもがいた。
母のように綺麗になりたい、母のような綺麗な人に愛されたい。
右手で身体の中心を擦りながら、太腿に挟んでいたクッションを胸に力一杯抱きしめた。
古くて硬くなったクッションは埃っぽい臭いがした。

「ああぁ…………」

身体が痙攣したように反り返り、左手の象を強く握り締めるとそのままぐったりと力尽きた。

暫くそのままで息を調え、そっと目を開けると、自分の姿が鏡台に映った。
雨は止み、窓から射し込む斜めの光に照らされた室内はほんのり明るい。
立ち上った埃が日差しをくっきりと見せた。

薄く曇った鏡の中から微笑が見える。
その顔は遠くから眺める「奥様」そっくりだった。
たまらない淋しさを感じた。