* * *
彼女を支えながら、回復を待つ。
もちろん、これで終わらせる気はない。
こちら側のドアが開くまでには、まだ4駅ほどある。
混雑もまだまだ衰えはしない。
彼女の息が落ち着き始めたのを見計らって、俺は右手を彼女の尻に回した。
左の尻たぶに勃起したモノを押し当てながら、右の尻たぶをなで回す。
ひとしきりなで回してから自分の腰を浮かし、
静かにジッパーを降ろして一物を取り出した。
異常だ。
電車の中で陰茎を露わにするなど、これまでの俺なら考えもしないことだった。
しかしその異常さが、俺のモノをさらに固くしていく。
俺は彼女の左手を取り、陰茎に触れさせた。
一瞬、驚いて避けようとするが、それでも強引に握らせる。
前後にしごくように彼女の手の上から誘導すると、
観念したのか、ゆっくりとモノをしごきはじめた。
柔らかな彼女の手に握られるのは実に心地よい。
カウパーが垂れ出し、徐々に彼女の手を汚していった。
次に、彼女の下着をゆっくりと下に降ろす。
そして、後ろから陰部へと指を這わせた。
陰核をいじられて達したからか、愛液は先ほどよりも粘度を増していた。
右手に粘液を絡ませながら、中指を彼女の中へと差し入れた。
また身体を崩しそうになったので、支えながら粘膜の具合を調査した。
なるほど、指を一本挿入しただけだというのに、
柔らかく熱い膣壁が複雑に絡みついてくる。
「(……この中に挿入したら気持ちよさで気が狂っちまうんじゃないか……?)」
俺はその卑猥な肉穴をかきまわすのも程々にして、
彼女の入り口に陰茎をあてがった。
じっと動かずに待っている。彼女も期待しているのだろうか。
俺は、手に絡みついた愛液を肉棒に塗りたくり、そしてゆっくりと挿入した。
「……っ!!」
彼女が声にならない叫びをあげる。
やばい。やばいやばいやばい!
何だこの感触は。
トロトロの愛液といやらしく絡みつく粘膜とが、
これ以上ないほどに勃起した俺のペニスを包み込んでしゃぶりつく。
根本まで挿入すると、キュッと肉棒を締め上げてきた。
そのまま腰を引くと、暴力的なまでの快感が腰に広がっていく。
俺は三こすりもしないうちに、大量の精子を彼女の奥へと放ってしまった。
「ぁっ……はぁっ、中に……」
彼女の吐息のようにか細い声をよそに、
俺は呆然としながら、彼女の膣から溢れ出てくる子種の感触をズボン越しに感じていた。
間違いなく、これまでで最高の快楽を今、享受したのだ。
だが、まだ終わりではない。
射精されて激しく蠢く彼女の膣が、ペニスを萎えさせることを許さなかった。
それどころか、一物はますます硬く大きくなっていく。
もう一度、ゆっくりと腰を動かした。
俺のザーメンが愛液と混ざり合ってぐちょぐちょになっている。
次第に粘液が、彼女の陰部と俺のズボンをベトベトにしていく。
が、それにはかまうことなく、腰を振り続ける。
電車の揺れに合わせてゆっくり、じっくりと抜き差しを続ける。
腰を引くたびにネットリと吸い付きながら締め付けてくる彼女の感触に、脳髄が痺れた。
彼女の腰を掴み寄せ、突き入れる度に、ペニスが最奥で悦びに震えた。
彼女はもう、目を閉じて、押し寄せる快感にただただ耐えているようだ。
口元を抑えた手の端から吐息が漏れている。
ふと彼女が薄く目を開き、俺たちはドアのガラス越しに目を合わせた。
赤く染めた頬、それに潤んだ瞳が愛おしい。
だが、恥ずかしいのか彼女はすぐに顔を伏せてしまった。
その仕草が愛らしくて、また少し虐めたくなる。
それまでの、肉棒をそっと抜き差しするための動きから、
彼女の身体ごと突き上げるような動きにシフトする。
弾力のある尻肉を俺の腰で押し上げると、彼女は小さく仰け反った。
再び、ドアガラス越しに潤んだ瞳と目が合う。
彼女は恥ずかしそうに目を瞑り、下唇を噛んだ。
身も心も彼女を犯しているようで、興奮がますます高まってくる。
電車の揺れるリズムに逆らわず、ペニスの抜き差しを続けていく。
「……んっふっ! ……んっ! んっ!」
見知らぬ男に長時間凌辱され続け、さすがに限界が近いのか、
小さく出し入れしただけでも相当に感じるようになってきたようだ。
それに、俺の怒張がはち切れんばかりに大きくなったからか、
彼女の子宮が子種を欲しがって降りてきたのか、
あるいはその両方か、肉棒の先端が彼女の子宮口に当たるようになってきた。
「(出したい……彼女の子宮に直接ぶちまけたい……)」
最後は彼女を壊しかねないくらいに激しく腰を打ち付けて射精したい。
かといって、そこまで激しく動いては確実に周囲に気づかれてしまう。
俺はある一瞬に、賭けることにした。
一旦ピストン運動を止めて、右手を彼女の口元に割り込ませる。
俺は唇をそっと撫で、人差し指を口内に差し込んだ。
もう相当にキているのだろうか。拒む気配すらない。
先ほどよりもさらにゆっくりと抜き差しを再開する。
ペニスの皮と膣壁が愛液とザーメンを潤滑油にして擦れ合う感触が、先ほどよりもよくわかる。
それは彼女も同じなのだろう。「はぁああ……」と切ない吐息が漏れている。
そして彼女が3回目の吐息を漏らした時、待っていた瞬間がやってきた。
車体が軋んだ音を立てながら大きなカーブを行く。
俺は、右手で彼女の口を塞ぎ、左手でくびれた腰を捕まえた。
周囲の乗客がよろけた瞬間を見計らって、一気に腰を叩きつける。
「んっ! んっ! んっ! んっ! 」
ほんの一瞬に過ぎないはずのその時間に、俺は何回も、何十回も激しく腰を打ち付けた。
怒張で彼女の奥を突き上げた。
「んんーーーーー!!!!」
彼女の膣が激しく痙攣したのとほぼ同時に、
俺は彼女の子宮口に先端を押しつけ、射精した。
これまでの射精とは明らかに異なる。
半分固形なのではないかと思えるような濃い精液が、ペニスを通って飛び出していく。
そんなものを彼女の子宮に直接流し込んでいるのだ。
俺の征服感、高揚感は最高潮に達していた。
カーブを曲がり終えても、激しく律動する肉棒はまだ射精を続けている。
ようやく全ての精液を彼女の膣内に吐き出し、ゆっくりと彼女から肉棒を抜いた。
右手を彼女の口から離すと、力無く唾液が垂れだした。
そしてそのまま、彼女は腰から崩れ落ちるように座り込んでしまった。
足元にできた愛液と精液の水たまりが、かすかに音を立てた。
俺は放心気味の彼女をこちらに向かせ、精液にまみれた一物をくわえさせた。
それが陰茎だとわかっているのか、いないのか、
彼女はそれをアイスでも食べるかのように力無くゆっくりとねぶり始めた。
熱い舌が、カリ首を舐め上げる。
厚い唇が、ペニスの表面を這う。
手を使わない、口だけの奉仕が続く。
彼女の頭が前後する度に、その口元には俺のザーメンがこぼれる。
その視覚的な卑猥さも相まって、快感は倍増した。
先ほど果てたばかりだというのに、俺は、三度目の射精を彼女の口内で迎えた。
まだこんなにも残っていたのかと思うほどの精子が彼女の口内に放たれる。
途中で肉棒を彼女の唇から抜いたが、それでも射精は止まない。
残りの半分ほどが、彼女の顔を白く彩った。
口元からは、今し方放ったばかりのザーメンが零れだしている。
「(も……もう出し尽くした……)」
そんな風に考えた次の瞬間、俺は現実世界へ引き戻された。
「やだ……」
女がこちらを見て、表情をゆがめている。
気づけば周囲は皆、俺たちの方に注目していた。
陰茎を露出した男が、放心気味で座り込んでいる女性に顔射。
言い訳は不可能だ。
「あっ……いゃ、その……あれ? ぉおか、かしいなぁ〜?」
しどろもどろになりながらとぼけてみたが、無駄だった。
それどころか、震えた情けない声を発してしまったため、
さらに多くの人がこちらに気づいたようだ。
「お、おい。は、早く立ちなって。みみみんな見てるか、から」
俺は咄嗟に、彼女が恋人である風を装うことにした。
イタリアでは、ベッド売場で興奮し、コトに及んでしまったカップルもいるらしい。
電車の中で燃え上がるカップルがいてもおかしくないはずだ。
「あぁ〜、ここまったなぁ。お……起きてくれよぉ〜」
「ぅうん?」
まずい! 本当に起きてもらっては痴漢だということがバレてしまう。
朦朧としている彼女を介抱しながら逃げるのが理想なのだ。
『次は△△〜、△△〜でございまぁす』
「(も、もうすぐ……次の駅だ。ドアが開くまでやり過ご)ぐわっ!!」
突然彼女が立ち上がり、俺のアゴに頭突きを喰らわせた。
「いぃってぇ〜……わっ!」
「今どこ!」
掴みかからんほどの勢いで、彼女が尋ねてくる。
俺の出した精液が、頬から一滴滑り落ちる。
美しい顔を彩る精えk
「どこってば!」
「ひっ! △、△△駅です!」
それを聞くと彼女は安心したように息をついた。
そして一呼吸おいて、ハッと気づいたように股間を抑えた。
「あ、やだ……」
俺の精液が、太ももを伝ってドロリと零れていくのが見えた。
責めるような表情で上目遣いに睨まれる。
頬を真っ赤に染めているのが可愛くて、俺はまた勃起しそうになった。
『扉、開きます』
しかし視線を交わしたのもつかの間、彼女は扉が開いた瞬間、
人混みをかき分けながら、ホームに降りて行った。
このとき、もう少し早く彼女の後を追っていれば、他の乗客に捕まることも無かったのかもしれない。
──結局、痴漢については、被害者不在のため、
駅員から厳重注意(厳重に厳重に厳重な)を受けて、それ以上は不問となった。
それから何度も同じ列車に乗ったが、彼女に出会うことは無かった。
△△駅周辺も定期的に探してみたが、同じだった。
身体が目的なのではない(もちろん身体も最高だけれど)。
もっとちゃんとお近づきになりたかったのだ。
「(もう一度、会いたかった……)」
* * *
今朝もまた、いつもの電車に揺られている。
夏の陽射しはまぶしくて、冷房の効いた車内にもその熱気が伝わってくる。
『扉、開きます』
熱風と共に乗り込んできたのは、赤い髪の女性だった。
「(彼女……!?)」
いや、違う。女子高生だ。
彼女よりもかなり幼い。……けれど、どことなく似ている。
……。
……というか、あれ? その他の誰かにも似ているような……?
なんだか面影が……毎朝洗面台で見るような……んん〜?
「(……俺? 俺に似てるのかなぁ?)」
ドアガラスを鏡代わりに、髪をゴムでまとめる女子高生。
ふと、彼女の左手に輝くブレスレットが目についた。
鈍い輝きを放つそれには、小さな字でこう刻印されているのが見えた。
「Koenig」と。
END