* * *
すでに俺は、彼女の柔肌を味わうことしか考えていなかった。
彼女の首元にあった右手をゆっくりとうなじの辺りに這わせた。
ピクンと反応する。うつむいて恥ずかしそうにしている。
次に彼女の股に右足を差し込んだ。
左手で、彼女の太ももを抱えるように寄せると、
丁度お互いの足を差し込み合うような体勢になった。
内股で柔らかい太ももを挟む。
さらに左手を登らせ、彼女のヒップにさしかかったとき、
左の男が何かに気づいたように、突然身をよじらせた。
身の毛がよだつとはこのことか。
「(まさか……)」
『痴漢』『逮捕』『前科』
様々な言葉が脳裏をよぎり、同時に背筋に冷たいものが走る。
『○○駅〜○○駅〜……開く扉にご注意〜ください』
車内アナウンスが聞こえてくるまで、実際には数秒ほどしか無かっただろう。
だが、俺にはとても長く、恐ろしいほどに長く感じられた。
人混みをかき分け、男は車輌から降りていった。
僅かながらスペースに余裕ができたので、絡めていた両腕を早々に解き、
彼女から身体を離した。
解放された彼女は、すぐさま衣服を整えて俺に背を向ける。
その後ろ姿を見て、とてつもない罪悪感が俺を襲ってきた。
「(そうだよなぁ……故意ではないとはいえ、あんなことしちまったんだ……)」
この後悔の時間がもう少し長く続けば、また違っていたのかもしれない。
再び新たな乗客が乗り込んできて、『彼女を襲え』と急かすように俺の背を押した。
ドア際にある彼女の身体に寄りかかりそうになったが、腕立て伏せのような格好で堪える。
今再び彼女の肉感的な肢体に触れれば、今度こそ理性を取り戻すことは無いだろう。
『扉、閉まります』
おそらく最後の乗客が車輌に押し込まれているのだろう。
これまでにないほどの圧力が背中にかかる。
両腕にありったけの力を込める。
かつて電車の中でこんなにも筋肉を使ったことがあったろうか?
そんなことを考えていると、萎えかけた一物が、ふいに彼女のヒップに触れた。
一瞬で体中の力が抜けた。
気づけば俺は、彼女の背中に覆い被さる格好になっていた。
まずい。これはまずい。
なんと柔らかな肉質をしているのだろうか。
ペニスが彼女の尻の谷間に収まって、ムクムクと屹立し、硬さを取り戻していく。
男という生き物は実に愚かだ。
先ほどまでの後悔の念はどこへやら。
俺は、彼女の身体を徹底的に味わうことしか考えられなくなっていた。
周囲に気づかれぬように、ゆっくりと腰をグラインドさせ、彼女のヒップを味わう。
それを何度か繰り返していると、次第にスカートがめくり上がってきた。
下着越しになって気持ちよさが倍増する。
より強く腰を押しつけると、彼女はお尻をピクピクとふるわせた。
俺は両腕で身体を支えることを止め、彼女の肋の辺りから乳房へと手を這わせていった。
くすぐったいのか、感じているのか、彼女が小さく痙攣する。
かまわず、着衣の中へと手を滑り込ませ、両胸を揉みしだいた。
もうここまで来たら言い訳の余地も無い。
「(これが、人生最後の愉しみになろうとかまわない……!)」
怒張を彼女の臀部に擦りつけながら、乳房をじっくりと揉む。
揉みながら、人差し指と中指の中程で乳首を挟み、同時に刺激を加えてやる。
「ダメ……」
彼女が小さな声で呟いた。
だが、すぐに列車の滑走音にかき消されていった。
「フリーセックスの時代だとは……ロジャーから聞いてたけど……んっ」
男の名前だろうか。
彼女の口から“ロジャー”という名前が出てきて、俺は少し嫉妬を感じた。
だが、今彼女を手にしているのは他ならぬこの俺だ。
「はぁ、はぁ、いくらなんでも……見知らぬ男性にこんなところで……こんなこと……ひゃんっ」
真っ赤になっている彼女の耳をくわえてみた。
可哀相に、恥ずかしさで熱くなってしまっている。
俺は唾液を絡ませた舌先で、彼女の耳を冷ましてやった。
耳を責められると弱いのだろうか、ピクピクと身体をふるわせている。
「ふぅ……うぅっ」
彼女は口元に手を当てて、必死に声を抑えようとしている。
その美しい肢体がどんどん熱を帯びていくのが感じられる。
身体の外側がこんなにも熱くなっているのだ。
きっと内側は相当だろう。
右手を徐々に下降させ、彼女の足の付け根に触れた。
下着の縁に沿って中指を滑らせ、クロッチの脇辺りで止める。
緊張しているのが伝わってくる。
神経を下半身から逸らせるために、首筋を軽く舐め上げてみた。
彼女が首をすくませる。
それに少し遅れて、下着の脇から指を侵入させた。
密が溢れている。
下着の中はネットリとした愛液で濡れそぼっていた。
あえて性器には触れずにおく。
俺は右手を抜いて、今度は下着の上からの侵入を試みた。
右手で草むらをかき分けると、彼女が腰を曲げた。
逃げられぬように、自分の中心部を再び彼女のヒップに強く押しつけ、右手で探索を続ける。
緊張だろうか? それとも期待しているのだろうか?
少し、彼女がふるえている。
クリトリスを見つけた。
陰部の外に漏れだしている粘液をすくい、陰核にゆっくりこすりつけた。
「はっぁ! んん……」
ガクガクと彼女の腰が揺れる。
周囲に気づかれぬよう、しっかり彼女の身体を抱きしめながら、
それでもなおクリトリスを刺激し続けた。
堪えきれなくなったのか、声が断続的に漏れ聞こえ始める。
彼女自身もそれに気づいたのか、両手で自らの口を塞いだ。
俺は、左手を胸から降ろし、両手で彼女のクリトリスを絶え間なく虐め続けた。
やがて絶頂を迎えたのか、彼女の身体が痙攣し、そして脱力した。
* * *