自分で即死防止対策実行〜
駄SS投下〜
徳川の世の頃。
戦国の影を奔り続けた伊賀、甲賀は初代・服部半蔵により取り交わされた不戦条約に縛られ悶々とした日々を過ごしていた。
「双方、決して争う事許さず。」
この誓いが破られる事があれば、双方ともに待っているものは天下人による粛正であり滅亡だった。
だが、常人を遙かに凌ぐ忍び共が平穏な日常を送れるはずもなく…
「姫様…姫様…」
自分を呼ぶ声が、朧を夢から現実に引き戻した。
「ん…何事ですか…」
重い瞼を擦りながら、ゆっくりと身を起こす伊賀の朧。
障子に月明かりが作る、くのいちの影が写っていた。
「蛍火…どうしたのです?」
そのシルエットだけで自分を呼ぶ者を見抜くと、用件を尋ねる。
「裏の座敷小屋まで、おいで下さいまし」
「今、ですか?」
「はい…伊賀として生きる女にとって、とても大事な用件でございます。お召し替えの暇も惜しうございます」
静かな夜に蛍火の声だけが鋭い。障子越しに小柄な身体から殺気が滲み出ているのが感じ取れた。
「…わかりました」
有無をも言わせぬ蛍火の迫力にせかされるように朧は布団から起き出した。
「んぐっ んんん! ぐっぅ」
その小屋に近づくにつれて、朧の耳に苦しげな女のうめき声が聞こえてきた。
「蛍火…何事かえ?」
「お早く」
キツイ目をした少女は自分の問いに答える気は無いようだ。しかたなく、その背を追いかける。
思わず耳を塞ぎたくなるような声が朧の小さな胸をざわつかせた。
「どうぞ」
蛍火が開けた小屋の中を覗いた朧は絶句した。
月光も差し込まない、その小屋の中を照らすのは数本の蝋燭だけ。
そしてその光に赤く照らし出されているのは、衣服をはぎ取られた若い女の身体だった。
梁から降ろされた綱に手首を括られ、つま先が畳に触れるか触れないかという高さに吊された女の周りを伊賀のくのいち達が取り囲んでいた。
彼女たちは手にした蝋燭で目の前でもがく柔肌をあぶっていく。
「んんっ!!」
吊された身体が跳ね、猿ぐつわを噛まされた口から悲鳴が溢れた。
「お、お前たち!何をしているのです!?」
慌てて止めに入ろうとする朧を後ろから抱き止めた蛍火が耳元で囁く。
「甲賀の陽炎にございます」
「甲賀!?」
「無断でお幻様のお屋敷の敷地に入りました」
「え!?」
「お幻様や、あなた様のお命を狙ったに相違ございませぬ」
「ぐぅうぅぅっ!!!」
一際大きな悲鳴が上がり、取り囲むくのいち達からクスクスと笑いが起こった。
「だからとて…こんな…」
朧は目の前で起こっている事に愕然とした。いつも自分には穏やかな表情を向けてくれる者共が、抵抗する術を無くした人間をいたぶり楽しんでいるのだ。
「あ…お願い…許してあげて…」
その大きな瞳から涙を流し、朧は誰に訴えるでもなく口に出した。
「それはなりませぬ」
陽炎を取り巻く輪の中から一人の女が進み出た。
「朱絹…」
凛とした顔立ちをした、くのいちは朧の手を取った。
「伊賀の庭を荒らした甲賀者を許すなどもっての他です。まして、くのいち風情が…」
「朱絹…」
朱絹と呼ばれたその女は、朧の手に自分の蝋燭を静かに握らせた。
「!?」
「さ、姫様も…」
「いっ イヤ!」
朧は朱絹の手をふりほどくと蝋燭を投げ捨てた。
一瞬、小屋の中が静まり返った。
自分に突き刺さるくのいち達の視線を感じながら、朧はただ涙を流し続けた。
「…致し方ございませぬ」
沈黙を破ったのは朱絹だった。
「姫様は、そこでご覧になっていて下さいまし。甲賀の雌猿の脂の匂いがお嫌というなら、少し攻めを変えましょう。蛍火」
背中から朧を抱きしめている少女が顔を上げる。
「姫様をお願い。それと、お前の蛇を貸しておくれ」
無言のまま頷く蛍火の着物の下で何かが蠢いた。
ソレは彼女の胸のあたりをしばらく彷徨った後、ゆっくりと腰へ降りていく。
「はぁ…」
思わず漏れた蛍火の熱い吐息が朧の耳にかかった。
彼女の滑らかな肌を充分に堪能した蛇が着物の裾から顔を覗かせた。
蛇がうねりながら畳の上を這って来るのを眺めながら、朱絹は手早く自分の帯をほどく。
やがて畳の上に帯が落ち、着物がその上に覆い被さった。
女達の前に見事な裸身が現れた。
「伊賀のもてなしは気に入ったか?陽炎」
ぐったりうなだれる女の顎を掴み乱暴に自分の方を向かせると、唾を吐きかける朱絹。
「今から伊賀の女の指技を味あわせてやる…嬉しいかえ?」
攻め嬲られ、意識を失いかけているのか陽炎は朱絹の言葉に無反応だった。
「ふん」
朱絹は吊されている甲賀者の身体に抱きついた。豊満な乳房が火傷の跡が幾つも残る陽炎の腹にゆっくりと押しつぶされていく。
後ろに回った朱絹の両手がギュッと陽炎の尻を掴んだ。
「ヒッ!」
その刺激にようやく我に返ったのか、陽炎は足をばたつかせ朱絹を蹴り飛ばそうと試みた。
「んぅ!?」
いち早く周りのくのいち達がその足を押さえ、陽炎の抵抗を潰した。
そのまま力一杯横に広げていく。体中を奔る火傷の痛みで思うように力が入らず、陽炎は伊賀の女達に無様な姿を晒してしまった。
周りで起こる嘲笑の洗礼を浴び、陽炎の目尻が思わず光った。
火攻めにも耐えた涙がもう堪えきれない。
「いい格好じゃな、陽炎」
侮蔑の言葉を浴びせながら、朱絹は尻の肉を乱暴に揉みしだく。
「う…」
「ふふ…よう肥えた尻じゃ、これで忍び働きとは…甲賀も落ちたものよ」
細い指先がゆっくりと尻の谷間をなぞっていく。
「ん ん…」
その指の動きにあわせて陽炎の身体がピクッと反応する。
「朱絹…せめてひと思いに死なせてあげて」
後ろから朧の悲痛な声がする。
忍びとして生きていくには可哀想な程、優しき心を持った娘だ。
だが、朧もいずれは伊賀一門の旗頭となる身である。この位の事で泣き出されては困るのだ。
朧の声を無視し、朱絹は大きく割られた甲賀女の股に指を滑らせた。
「ぐっ!んぐぅぅう!!」
さすがに引いた陽炎の腰に、背の方にいたくのいちが蝋燭の火を近づける。
「んんっ!!」
刺されるような熱さに腰が朱絹の方に突き出された。
「ん?陽炎…」
身動きとれぬ女の秘所をまさぐっていた朱絹が頭上の顔を仰ぎ見る。
「いい具合に濡れてきたぞ…ほら…ほらっ」
乱暴にまさぐると陽炎の秘裂からあふれ出た蜜が指を垂れる。
「んむ…ふぅっ」
逃げようと腰を振ると火を押しつけられてしまう。陽炎は甘んじて朱絹の指を受け入れるしか無かった。
「ふふ…イイ格好 姫様もご覧なさい」
蛍火が淫靡な笑みを口元に浮かべながら、腕の中にいる朧を促す。
「いや…イヤです」
顔を覆おうと上げる両手を制し耳元に唇を近づける。
「ご覧になりなさい…伊賀の女として」
「ほ、蛍火…お前は何も思わないの?自分と同じ女があんな仕打ちを受けていて!」
「我らは女ではありませぬ。くのいちです」
「う…」
「朧様。あなた様もまた、くのいちでございます」
「…くっ」
蛍火の言葉に耐えられなくなったのか、朧は顔を背けた。目の前の光景から、自分自身から逃げ出したかった。
「んっ むぅん…」
朱絹の指はいつの間にか陽炎の秘裂に根本まで埋まっていた。微妙に手首を捏ね陽炎に淫靡な刺激を与え続けている。
「ふふ すごい…こんなに締め付けて…甲賀の山猿たちに抱かれる時も、こうしてやるのかい?」
伊賀の女達がじっくりと責め立てた乳房に朱絹の舌が這う。
「んん…」
陽炎の声が苦悶から次第に恍惚に変わっていく。両足を押さえているくのいちの指も、先程から内股を蜘蛛のように這い回っていたのだ。
執拗に胸をしゃぶりたてる朱絹の舌。しかし、痛々しいまでに隆起した乳首に触れることはなかった。
もどかしげに身を震わせる。
「ふ…しゃぶってほしいのかい?」
ふっとその乳首に息を吹きかけながら朱絹は意地悪く尋ねた。
「舌が欲しいの?陽炎」
猫なで声で再び問う。
その問いかけにおずおずと首を縦に振る甲賀の忍び。
「ふ…あさましい女」
侮蔑の言葉を浴びせかけると、朱絹は思い切り乳首に歯を立てた。
「ぐ!?むぅうううううっ!!」
苦悶に仰け反る陽炎。
「やめて…やめてぇっ!!もう…っ!」
背中から朧の悲鳴が耳に届いた気がしたが、そんなものは関係ない。
気が済むまでいたぶってから、ようやく朱絹は陽炎から離れた。
傷つけられた乳首から玉のような血の粒が溢れてくる。
「おろせ」
氷のように冷たい声で朱絹は傍らの女に命じた。
懐刀を抜いたくのいちが手際よく陽炎を吊していた縄を斬る。
どっと床に崩れ落ちる女体。
「陽炎はまだまだ物足りないとか…皆、一大事じゃ。甲賀の客人に粗相があったとなれば、伊賀くのいちの恥ぞ」
その声に、一斉に伊賀の女達が陽炎に群がった。
「んっ…んんん!」
たちまち陽炎の両手両足は押さえつけられ、体中に幾枚もの舌が這いずりはじめた。
一人が乱暴に猿ぐつわを引きちぎると、わななく唇を奪い舌を奥深くまで差しこむ。
まだ年端もいかない娘が朱絹に噛みちぎられかけた乳首にむしゃぶりついている。
幾本もの指が秘裂を押し広げ、そこから滴る蜜を貪欲に舌が舐め取っていく。
「っはぁ あっ あっやっ っくぅ」
自由になった唇から甘い歓喜の声が迸る。
それと…熱い『吐息』も…
「ふ…待たせて済まないわね」
畳上で絡みあう女達を見下ろしていた朱絹は自分の足下に目をやった。
そこには螢火から借り受けた蛇がとぐろを巻いて女達の狂態を凝視していた。
「いいわよ」
その朱絹の言葉が理解できるのか?蛇はゆっくりと陽炎の股間目指して音もなく進んでいく。
伊賀の女達は蛇の接近を察知すると、陽炎の両膝を押さえ熱くたぎっている女陰を突き出させる。
シュルシュルと足の間に滑り込んだ蛇は鎌首をもたげ、目の前に差し出されたソレを凝視する。目がぎらつき、細い舌がせわしなく出入りを繰り返す。
陽炎の"女"を値踏みしているようだ。明らかに愉しんでいる。
「朧様、あの子は…うまいですよ…」
囁く蛍火の声も次第に熱さを増してきていた。朧からは見えないが、その瞳は潤み頬もポウッと桜色に染まっている。
「うまい?」
朧には蛍火の語意が理解できないようだった。
「ふふふ…」
目を細めるだけの蛍火。
やがて、充分目で愉しんだのか蛇がゆっくりと動き出した。
べっとりと蜜に濡れている花弁を細い舌でチロチロと舐める。
「んあっ あぁ…」
陽炎の甘い声が小屋に響く。
蛇の舌は巧みだった。包皮から顔を覗かせている淫核からひくつく肛門の筋までを何度も往復し陽炎を悶絶させる。
「ふふ…あまり焦らしては陽炎も可哀想よ…」
上から見下ろす朱絹も蛇の舌の動きに魅了させられたのか、いつの間にか左手がむっちりとした太股の奥に差し込まれている。
「あ あ…」
顔が仰け反りむき出しになった喉にくのいちの赤い舌が唾液の筋を描く。
「んっ…もう…堪忍…堪忍してぇ」
嬲られている女の悲痛な声を感じ取ったのか、蛇は舌を引っ込めると鎌首をぐっと後ろに反らした。
「ああ…」
蛍火の腕に力が入り朧は苦しさのあまり顔をしかめた。
「ぐっ…蛍火 痛い…」
色に染まったくのいち達が固唾を呑んで注目する中、蛇はもたげた鎌首を勢いよく秘裂に突っ込ませたのだ。恐るべき伊賀忍蛇。
「あぐっ!! っん! はぁっっ」
たたき込まれた快楽に腰が跳ねる。
「はっ ああ! …あ? んっ…何? 何ッこれ!!?」
一瞬快楽の灼熱にとろけかかった脳を現実にとどめおいたのは、そのあまりに異質な感触のせいだった。
男根ではなかった。
慌てて顔を上げ、自分を犯している者の正体を確かめる。
「たまらないじゃろ?陽炎」
開かされた両膝の向こうに朱絹の姿が見えた。この女では無い。
「ひっ!!」
朱絹の次に陽炎が見た物は、己の股間に突き刺さっている蛇の半身だった。女は自分を陵辱している者の正体を知った。
「いやぁああああっ!! お願いっ!抜いてぇ!! おねが…!? っく…」
迸った絶叫はその異様な快感により途中で消し飛んでしまった。
蛇はうねっていた。男達のイチモツでは嬲ってくれない箇所まで届いた。
ヤツは舌まで使っていた。柔らかな肉壁だけではない。奥のさらに奥まで固い進入する舌を防ぐ術を陽炎は持たなかった。
「かはっ…っく あっすご…っ」
口元からダラしなく涎が垂れ落ちる。
「ほら、スゴイでしょう?あの子…」
見ているだけでたまらなくなったのか、蛍火は両足をもそもそと擦りあわせている。
「そんな…」
初な朧は目の前でのたうつ女体が信じられないようだった。蛇に、畜生に人間の女が征服されかかっているのだ。
男を知らない伊賀の姫は必死に顔を背けた。
「これ、陽炎。あまり暴れると蛇が噛むぞ」
朱絹が陽炎の下腹を足で踏みつける。
「ふっ… ふぁっ!! あぐっっ」
蛇はぐいぐいと自らの身体を押し込んでくる。すでに頭の先は子宮のすぐ傍まで届いていた。さらにそこから舌が伸びる。
「あがっ あっ いいっ いいの!…」
白濁した意識の中で陽炎は遂に歓喜の言葉を口に出した。
朱絹の顔が淫靡に歪んだ。
「ほう、いいのか?陽炎?蛇がいいのか?」
「いいっ! いいの…いいのぉ… こんなのっ初めて…やっん!」
舌だけではなく身体を使った蛇の攻めは、的確に陽炎の急所を捉えていた。
毎夜の蛍火との淫らな特訓の成果が十分に発揮されている。中で動くたびにねちゃねちゃという粘着音が陽炎の喘ぎと淫らなハーモニーを奏でる。
「ふふ…では、後ろをもらおうか」
畳に溜まった陽炎の蜜を掬った朱絹の指が熱い尻肉の谷間に滑り込んでいく。
「!! はっ ダメっ! そこはぁっあああああ!!」
拒否の叫びさえも甘く濁っている。
すでにこの甲賀者は落ちた。取り囲む伊賀者は皆そう思ってしまった。
警戒心に微妙なほころびが生まれ、注意力に穴が空く。
小屋の中の空気の構成が少しづつ変わってきているのに、朱絹さえも気が付かなかった。
「舌を出しな。しゃぶってやるよ…」
うなじから喉にかけて舌を滑らせていたくのいちが、陽炎の唇を求めたその時
「っ…!?? ぐっぅ!!」
その少女は急に自分の喉元を押さえると床に突っ伏してしまった。
「!?」
一斉に我に返る伊賀勢。しかし遅すぎた。
畳の上に押さえつけられた陽炎の躰の回りに次々と折り重なるように倒れ込む伊賀の娘達。
「何!?」
慌てて肛門から指を抜き、陽炎から離れようとした朱絹でさえもガクガクと膝から崩れ落ちてしまった。
みるみる呼吸がみだれる。
「っか…かはっ!」
少し離れていたとはいえ、蛍火と朧も影響を受けずにいられない。
「っっ!?」
「っがっあ…あ…」
二人とも人形のように力無く畳に崩れ落ちてしまった。
心高ぶった時、甘い吐息が毒と化す。
くのいち。甲賀の陽炎、ここにあり。
「ふっ…くぅ!」
荒い息のまま飛び起きた陽炎は、自分の股間から生えている蛇の尾を両手で掴むと一気に引き抜いた。
「くぁっ!」
そのあまりの快感に腰が砕けそうになるのを何とか堪え、蛇を小屋の壁目掛けて投げつける。
「…ふっ! フフ…」
震える両足を何とか踏ん張り、陽炎は自力で立ち上がった。
「…」
手には倒れたくのいちの懐から抜いた小太刀が握られている。
形成はいまや完全に逆転していた。生命与奪の権利は伊賀から陽炎に移ったのである。
「…伊賀の…朧…」
憎悪を潤む瞳に湛え、陽炎はおぼつかない足取りで朧の元に歩み寄った。
無言で襟を掴むと乱暴に引き寄せ、冷たい刃を真っ白い喉元に当てる。
「!」
一気に引こうとしたその手首に、下から伸びてきた指が絡みついた。息も絶え絶えの蛍火だった。
「ひ…姫様を…離せ…」
「死にぞこないが…」
指を簡単にふりほどくと、その手で蛍火の髪を掴み無理矢理引き上げる。
「…お前の蛇…なかなか良かったわよ…」
言葉と共に紫色に変色した唇にとどめのの吐息を吹きかける陽炎。
「!?」
蛍火に変化はない。いや、それ以前に今の息から完全に毒気が抜かれている事実を陽炎は認識した。
「なっなぜ!?」
呆然とする陽炎に、弱々しい声がかかった。
「…逃げて…下さい…」
「!?」
はっと声の方に顔を向けると、伊賀の朧と目があった。
そう、朧が"見て"いたのである。
「朧…!」
「はやく…男衆が集まってきてしまいます…」
「…」
再び、その細い首に刃を当ててやる。
「私を殺すつもりなら…お早く…」
「……っ」
「逃げられなく…なります…どうか…お早く…」
「っく…朧っ…」
陽炎は小太刀を握る手に力を込めた。
「加減はどうだえ?朧」
「お婆さま…」
朧は嬉しそうに布団から身を起こした。
「おうおう、コレっ!無理をしなんだや…」
お幻が慌てて朧の肩を押さえる。
「大丈夫です、お婆さま。もうすっかり」
ほっと一息ついてお幻は優しい表情で孫娘の顔をのぞきこんだ。
「うむ。顔色もすっかり良くなったの…頬もいつも通りの桜色じゃ…」
心底嬉しそうに朧の頬を突っつくお幻。
「ふふっヤダ…お婆さま。なんだか、恥ずかしいです」
「ふむふむ。大丈夫そうじゃのぅ…まったく、寿命が縮むかと思ったぞ!この婆をあまり心配させるなや…」
「申し訳ありません…」
破顔から一転、真摯に下げる孫娘の頭を優しく撫でながら、お幻は話題を変えた。
「時に、朧よ。例の甲賀者の行方…お前は本当に知らぬのか?」
「ハイ。気が付いたときには…もう姿が無くて…申し訳ございませぬ」
「ふむ…逃げられたかの?国境いまで伸ばした追っ手からも良き知らせがこぬ…」
「そう…でございますか…」
「…まあ、お前が気にすることは無い。いまはゆっくり体を厭えや…」
「はい。ありがとうございます。お婆さま」
ようやく元気を取り戻した孫娘の笑顔に送られて、お幻は部屋を後にした。
「……」
無言でよく晴れ渡った空を見上げる伊賀のお幻。
先程の孫娘の顔を思い描く。
「ふん…嬉しそうな顔をしおって…まあ…よいか」
何処までも朧に甘い"お婆さま"であった。
<完>
ぬおお
これが俺の精一杯だ〜
真の神よ!是非このスレに降臨してください!
おねがいします!!
GJ!
あれでもバジリスクスレってなかったっけ?
落ちた?
>21
落ちた見たいです。
スレ検索しても出てこなかった・・・
23 :
名無しさん@ピンキー:04/06/14 02:12 ID:tQEmmYN5
⌒⌒
ノノノ ((( 三三
ノ⌒⌒~(WдW)二二二二二二二二二二■二フ
ノ__ ノ ゲー 三三
ノ
ぬおぉぉーーーーーーーっっっっ!!!!!!このスレは
この地虫十平衛が死守してくれようぞ!!!!!!
24 :
名無しさん@ピンキー:04/06/14 13:03 ID:lsU/rVg/
GJ!陽炎いいなー。
文体も世界観を掴んでて、かなーりハァハァしました。
即死回避に萌え語りでもしようぞ、皆の衆!
とりあえず、陽炎が好きだ。
特に、片目が髪に隠れてるときの表情が(・∀・)イイ!
バジリスク、完結しちゃいましたね〜
やっぱり、バジなら朧かな。
伊賀のドジっ娘・・・ハァハァ
>>25 は、早売りを読みおったな、貴様!?
「完結しちゃいましたね〜」って、
明日完結するのが普通だと思うんだが。
あ、忘れてた。萌え語りな。
お胡夷たんのオパーイに挟まれてぇ…
ああ、太股コキもいいなあ…(;´Д`)ハァハァ
でも、使用キャラ5人(朧、朱絹、蛍火、陽炎、お胡夷)
ってのは多いのか少ないのか・・・。
左衛門×お胡夷を激しく希望。
原作には無い、せがわオリジナルの「二十」(半年前の話)とかも見る限りあきらかにお胡夷はブラコンだw
っていうかお胡夷たんになら吸い殺されてもいい。むしろ吸い付かれたい。
>>28 一人ひとりのキャラがいい意味で『濃い』から、全く問題ないだろう。
そらやっぱ朱絹×小四郎だろ。
あくまでせがわ作品であって山風はダメなわけでつか?
>>29 左衛門の「女はこわいぞ」はお胡夷に
迫られた経験から出た言葉にちがいない。
最終殺「一対一」
何度も読み返してるうちに目頭が熱くなってしまった。
朧、切ねえ!
お幻と弾正の相打ちで始まって朧と弦之介の相打ちで終わるのは原作通りなの?
せがわオリジナル?
原作通り。ていうか地虫の鱗が人工モノとか天膳の人面痩等の
細かいディテール面を現代的にアレンジしてあったり登場人物の追加
(半蔵の息子等、これも原作で語られぬ部分の補完や作者の代弁的な役割)
以外は全て原作通り。
あにさまはお胡夷たんのオッパイに顔面埋めても変身できるに違いない。
原作版の天膳は、地虫を裸に剥いてレイープしようとしてたな。
37 :
1 です:04/06/17 00:27 ID:52cmUB9f
保守代わりにまた投下。
でもエロ無しです。
興味ない方はスルーしてくださいね。
水無月も半ばにさしかかった甲賀・卍谷。
甲賀の忍び、地虫 十兵衛は自宅の縁側に腰を落ち着かせ心穏やかに風を楽しんでいた。
「…客が来そうな陽気じゃな…」
そうつぶやくと傍らのキセル箱目掛けてカメレオンの様に舌を伸ばす。
つぎの瞬間には愛用の、京の都で求めた洒落た拵えのキセルを口にくわえている。
「お…来おったかな?」
我が家に近づく気配を感じ、にんまりとする。
先程、十兵衛が口に出した"客"が来たようだ。
地虫の星読みはよく当たる。
過去の実績に裏打ちされたそれは、卍谷では常識だった。
それ故に、平時の今においても地虫に助言を求める者が多い。
特に、年頃のくのいちは彼のお得意さまであった。
弾正や刑部がイイ顔をしないので、人目を忍んで自分の元にやってくる娘たちの初々しさは歴戦の忍びである地虫も思わず口元が緩んでしまうほどカワイイものだ。
「……ほう」
その日、彼を訪れた客は地虫といえど意表を突かれる人物だった。
「あの…邪魔してもいいかな?地虫殿…」
「お胡夷か…見ての通り退屈しておる。かまわんぞ」
顎で自分の横を指し示し、隣に座る許可を出してやる。
卍谷の娘達の中でも破天荒で知られるお胡夷だが、ここらへんはきっちりしつけられている。
すっと一礼し、それでも地虫と一定の距離を置いてちょこんと縁側にお尻を降ろすお胡夷。
「…」
「…」
座ったはいいが、なかなか用件を切り出せないでいる様子だ。
「…そろそろ岩魚の姿がみえそうじゃの?」
「?…あ、うん…ちっちゃい奴なら、もう沢に…」
「そうか…足を伸ばしてみるかな。川の水が気持ちよさそうじゃ」
「連れてくよ…いつでも声かけてくれれば…」
「すまんの…」
地虫は穏やかな顔で娘の方を向いた。
「…」
「ん?」
娘はまた下を向いてしまった。
普段のお胡夷からしてみれば、何とも煮え切らない姿であった。
地虫は自分から用件を促そうとはしない。
その代わり、一服付けようとキセル箱に目をやる。
「あ…やるよ」
視線の動きに敏感に反応したお胡夷が箱に手を伸ばす。
葉をキセルに詰めてやり、火打ち石を取り出す。
腕を動かすたびに、着物の下で揺れる乳房はもう大人のソレといっていい。
火を打とうと石をたたきつけると、力を込めすぎたのか?石の片割れが割れてしまった。
「あっ!? ゴメン…」
大柄な体がシュンと小さくなってしまった。
「ゴメンよ…アタシ…」
「どうしたのじゃ?お胡夷」
「アタシ…やっぱり女らしくないよね?力ばっかりで…陽炎姉ぇみたいに色気なんか全然ないし…」
自虐的な笑みを浮かべて呟くように訴える娘の顔は、今まで見せたことのない寂しい表情だった。
「ふむ…」
(女の顔をするようになったか)
不謹慎とは知りつつも、地虫はその表情に色気を見いだしていた。
「時に、お胡夷。なんぞワシに話があるのではないか?」
「…もう、いい…」
しょげかえった顔をしながら、泣きそうな声を出す。
「そうか…なら、一仕事頼めるか?」
「…」
地虫はキセル箱の引き出しの一つを器用に舌で開けると、竹でできた耳掻きを取り出した。
「こればっかりは、いつまで経ってもうまく出来なんだ…頼めるか?お胡夷」
縁側に上がり込んだお胡夷の太股に頭を預け、地虫は気持ち良さそうに目を閉じている。
「…結構溜まってるよ!地虫殿」
「そうか?すまんの」
風が草木を押す音だけが響く縁側で地虫の耳掃除をしてやりながら、お胡夷は自分の荒れ沈んだ心持ちが収まってきたのを感じた。
他人の耳掻きなどやった経験のない娘は、初め緊張のあまり地虫の頭を力一杯押さえつけていたのだが、次第にコツを掴んでくると手の力が抜けていった。
今では掌を優しく頭に添えているだけだ。
「うまいではないか…眠ってしまいそうだわい」
膝の上から聞こえてくる声が、何故かお胡夷を優しい気持ちにさせる。
「寝てもいいよ ちゃんとキレイにしておいてやるから」
「ほっ ありがたい」
知らず知らずの内に地虫の頭に添えていた手が、優しくを撫で始めた。
もちろん、お胡夷は地虫に対して何ら特別な感情など持ち合わせてはいない。
だが、自分の膝でおとなしく身を任せている"男"の存在がたまらなく愛おしく感じられる。
こんな感情は今まで意識したことがなかった。
何か急にそんな自分がおかしくなって、くすっと笑みがこぼれた。
「ほんに気持ちがいいぞ…兄上にもしてやればよい…」
すっと耳掻きを持つ手が止まった。
「…そんなこと、出来ないよ…地虫殿…」
顔を見上げずとも、その表情が曇ってきた事が手に取るようにわかる。
「何故じゃ?兄妹が耳掻きするのが、それほどおかしい事かの?」
「…兄様は…男だから…やっぱ女らしい人がいいに決まってるよ…」
お胡夷の太股の上で頭を回すと、地虫は下から娘の顔を見上げた。
「先程からお主、自分が女らしゅうないと言っておるが?ワシにはその意味がわからんのぅ。お胡夷」
「…だから」
その言葉を遮って地虫は続けた。
「先程、ワシが煙草を吸おうとしたのに気づいてくれたな?おなごらしい心配りじゃ」
「…でも、石を割っちゃった」
「今の耳掻き、優しくて気持ちよかったぞ…」
「…」
下から自分を見上げてくる地虫の目は純粋に優しかった。
「あ…」
その瞳の色は兄・左衛門のモノと同じ…
しばらくお互いを見つめ合った後、地虫はゆっくりと身を起こした。
無意識にその背中に手を添えてやるお胡夷。地虫ではないが、充分女らしい面を備え付けているではないか!
「ありがとよ…お胡夷。なんぞ"見る"か?」
「…ううん…やっぱ、いい!」
ひょいと縁側から庭に飛び降りた娘の顔はいつものように元気に輝いていた。
「地虫殿!」
庭に立つ肉感際だつ躰が地虫の方を向いた。
「ありがと!」
そう言い残すと、お胡夷は身を翻し庭から走り去った。
「おう!」
その背中に一声掛けてやる。
「さて…」
縁側に一人残った地虫はお胡夷の割った火打ち石の欠片で器用に火を打つと、うまそうにキセルの煙を吸い込んだ。
「いい陽気じゃ!」
<完>
エロ無しどころか、要点もボヤけてますね。
失礼しました!
完結という事でバジリスクの話題onlyですが、どなたか十蔵のSSもお願いします!
やっぱり尾咲かなぁ・・・
GJ!
お胡夷…
萌え要素たっぷりなので、エロく無くてもOK!GJでござる。
お胡夷…
人がいないでござるな・・・
壁I3←霞刑部(頭隠して尻隠さず)
>>48 俺はてっきりお胡夷たんが壁の向こうからサエモンをストーキングしてるのかと。
せがわまさき著
「バジリスク〜甲賀忍法帳〜」 第3完より
兄様
「こう、ゆるりとした旅はどうも慣れぬなぁ」
豹
「我慢じゃ。神には降臨してもらわねばならん」
兄様
「陽炎はどうした?」
豹
「さて?湯でももらっておるのじゃろう」
兄様
「こういう時こそ、出番じゃというのに・・・」
豹
「心配か?左衛門」
兄様
「うむ。あれは・・・あれの母御もそうであったが・・・
法悦の甘い吐息がレスを生む・・・災い転じて厨を呼ぶ、キツイ運命を背負った娘じゃ・・・」
豹
「伊賀組では螢火あたりが対抗馬となるじゃろう・・・
遅れを取る事はゆるさぬ・・・そのあたりの事は十分わきまえておるはずじゃ」
兄様
「じゃが、いざとなれば、おなごは怖い・・・おなごは怖いぞ・・・」
ワロタ
というわけで生まれてみました。
52 :
名無しさん@ピンキー:04/06/21 01:33 ID:GuwcoYfE
夜叉丸×蛍火とかいいな。蛍火がリードしてそうだが。
うむ!
皆の衆、今宵も元気に忍んでおるようじゃのう!
感心感心!
54 :
1 です:04/06/23 23:00 ID:+zmcpPU+
今、ぼんやりとですが「十蔵」の方でSSを考えています。
下手な文章の私ばかりが投下するのも申し訳ないですが、まとまったら投下させてください。
待ってます!
保守
叩きつける様な雨とはよく言ったもので、源蔵達に降り注いでいる雨はまさにその通りだった。
「だから山に入るのはお天道様のご機嫌が治ってからにしようって言ったじゃないか!この間抜け!!」
「んだとぅ!オメェだって結局はついてきたじゃネェか!年増!」
ギャーギャーとののしり合う源蔵と尾咲。その様子に苦笑いを浮かべる十蔵は土砂降りの中、山道を走っていた。
「! 兄上!!」
「あ!?」
振り向いた源蔵に、十蔵は顎をしゃくった。
「この先に家が見えます。」
「家!?俺には何も見えねぇぞ?」
「人の声が聞こえるよ!?」
尾咲の髪の間から本来の耳がピョコンと突き出す。
「家があるよ!…だけど…」
「だけど?何だ尾咲!?」
「よくわからないけど…変な感じがする! そこに行っちゃイケナイって」
「じゃあ、このままズブ濡れになれってのかよ! おっ見えた!!」
山の中の一軒家といえば普通は小屋同然というのがお約束なのだが、今目の当たりにしているのは財を成した地主やちょっとした役人等が構えるような屋敷だった。
「すげぇな…」
呟きながら源蔵は戸を叩く。
しばらくすると、中からとても金持ちには見えない貧相ななりをした初老の男が顔を覗かせた。
「あ…悪いんだけど…」
「ああ、どうぞ、どうぞ」
「え?」
「こんな雨に旅のお方が戸を叩く理由は一つでしょう」
「ありがてぇ…やっかいにならせてもらうぜ、親父さん」
何の疑いもなく戸をくぐる源蔵を見て、慌てて尾咲が声をあげる。
「げ、源蔵!!」
「何?」
「あ…いや…」
「風邪ひくぞ…入ろうぜ」
後ろの二人に声をかけながら源蔵は屋敷の中に入った。
渋々中へと入った尾咲。そして十蔵。
「!?」
ピクッと十蔵の巨体が何かに反応した。
「どした?十蔵…」
目ざとく気づいた源蔵の目の前で弟の顔が見る見る引き締まる。
「なっ!?」
横で尾咲も信じられないと言った表情で息を呑む。
「? 何なんだよ、お前ら…」
やれやれと肩をすくめる源蔵の背後で声がした。源蔵自身がよく知る声。自分自身の声。
「おやおや…奇遇だな」
「!! どっ道満!?」
愕然と振り返った先に奴がいた。
「テ…メェ…」
「源蔵、ひどい雨だなぁ」
「っざけんじゃぁないよ…道満!」
「ご挨拶だな…尾咲。びしょ濡れじゃないか。早く湯でももらったらどうじゃ?」
「あっあの〜」
慌てて男が源蔵と道満の間に割って入る。
「お知り合いで?どういう仲かは存じませんが、どうかお平らに…」
「…」
「…」
睨み合う道満と源蔵一行。
「こちらの旦那も、この雨にお困りだったのでお通ししたのです…け、喧嘩なさるなら出ていってください!」
家の主の言葉は耳に入っていたがそれに誰も返答できない。
両陣営の緊張感が次第に高まってくる。もはや激突は必至かと思われたその時、開きっぱなしの戸から新たな影が音もなく入ってきた。
「ひっ…!」
「御免…驚かして済まぬ。この雨に難儀をしておってな…出来れば泊めてもらいたいのだが」
男は被っていた傘を外し、素顔を家の主に見せた。
「拙者、中邨主税と申す。」
「へ…へぇ…今、拭くものをお持ちします…そちらの旦那がたも、大概にしてくださいまし!」
家構えに釣り合わない主は土間の奥へ声をかけた。
「お〜い、加枝! 手ぬぐいを持ってきておくれ!」
しばらくすると小走りに床板を踏む音が聞こえ、一人の娘が現れた。年の頃は十三、四といったところか。着ている着物は粗雑だが、こんな山奥に住んでいる割には品のある可愛らしい顔をしている。
「旦那様方、大変でした! お姉さん、どうぞ!」
細い腕で手ぬぐいを差し出されては源蔵もだんまりを決め込む事は出来ない。
「お、おう…すまねぇな」
「えっ!?お姉さん、男の方なんですか?」
可憐な香菜瑚の口からぶっきらぼうな源蔵の返事が出てきたものだから、加枝はびっくりしてしまった。
「いや…まあ、育った環境が悪くてよ…」
暗黙の内に休戦状態となった源蔵一行と道満、それに中邨という侍は屋敷の中央にある大きな板の間に通された。
そこには屋敷にふさわしい大きな囲炉裏があり、数人の男女がそれを囲んでいた。
「…どうやら先客がいるようだな」
源蔵の声に一人が顔を上げた。
「あら、嬉しい!イイ男が増えたわよ!」
流しの女らしい身なりをした女だ。
「お妙さん。はしたないですよ!」
流しの女を諫めたのは、女の身なりで線は細いものの、れっきとした男だった。
「ウルサイよ!役者崩れ」
「ひどっ」
およよと袖で顔を隠して泣いてしまう役者崩れ。
「はっはっ お妙さん、あまり鷺之丈さんをいじめちゃダメだよ」
もう一人の男がカッカと笑いだす。
「何の因果か知らないが、雨宿りにこのお屋敷に集った縁だ。名乗らせていただきますよ。あたしは義介と言います」
「お妙だよ!駿河から出てきたんだ」
「鷺之丈と申します」
源蔵達もそれぞれ名乗り、囲炉裏の仲間に加えてもらう。
「申し遅れました。ここの主で助蔵と申します」
ペコリと頭を下げる主。
「一人娘の加枝と住んでおります」
そういう主の後ろから加枝が大きな鍋を危なっかしい足取りで運んできた。
「…」
すっと十蔵が立ち上がり、加枝の手に余る大鍋を代わりに持ってやる。
「わっ ありがとうございます」
下から見上げる可愛い顔に笑みで答えてやると、十蔵は自在鉤に鍋の柄を引っかける。
「ふっ やさしいなぁ十蔵」
「あんたと違ってね」
からかう道満にすかさず反応する尾咲。
「まあまあ、お二人さん。こんな山奥、大したものは出せませんが召し上がって下さい」
助蔵の取りなしでその場は収まり、一同はアツアツの山菜粥に舌鼓を打ち始めた。
あてがわれた部屋に戻ってから兄弟は一切口を開かなかった。
コロコロと愛用の賽子を掌で転がしていた源蔵はやがてソレを畳に振った。
「…ゾロ目ときやがった…十蔵、今夜の俺達はついてるぜ。 ケリつけるか?道満とよ」
「…」
「先手打たれたら厄介だぜ…」
「…」
「ったく…」
ぶつぶつ言いながら源蔵は畳の上に横になった。
「ふぁ〜あ…久方ぶりの畳の上ってやつぁ、気持ちいいねぇ」
道満は中庭の縁側に佇み、空模様を眺めていた。
「そんなに睨んだって雨は止みはしないよ…」
駿河のお妙だった。
暗闇に白い着物が妖しく光っている様に見える。
その襟にスゥッと指を滑らすと胸の谷間があらわになった。
「…する事ないならさ…」
腕を絡ませ、胸を道満に押しつける。
見下ろせばはだけた襟元から、その丸みが道満を誘う。
「ふふ…」
絡ませた腕を伝ってしなやかな指先が道満の拳を包む。
その手を自らの裾の奥へと導き、太股の間に挟み込んんでやると、女は男の耳元に熱い唇を寄せた。
「こんな日の山の夜は寒いよ… あっ」
太股の奥で道満の指が蠢き、お妙は尻をくねらせた。
寝間着の中では道満の指が太股の間を、まるで虫の様に上へ這い上がって行った。
道満の腕が上がるにつれ、裾がめくりあがる。
「あ ふふっ… あぁん」
しなだれかかる柔らかい体にもう片方の腕を廻し尻を撫で上げる。
「んっ…」
のしかかる肉は手に余った。堪らない尻の感触を楽しみながらお妙の唇を奪う道満。
カッと光る稲光が二人の影を障子に照らした。
「むぅ〜」
「ど、どうしたんだい?香菜瑚嬢ちゃん…さっきからコッチ睨んでるけど」
源蔵が熟睡した為、自分の躰を取り返せた香菜瑚を尾咲は風呂に誘った。
お風呂と聞いて輝いた瞳が今は嫉妬の眼差しに変貌している。
「ん?」
尾咲は香菜瑚の視線が、自分の胸に注がれている事に気がついた。
「わわっ 何見てんだい!」
慌てて両手で胸を隠してしまう。
「…隠すこと無いじゃないですか。女同士お風呂に入ろうって誘ったのは尾咲さんですよ」
「そりゃ、そうだけど…そんなに見つめられたら恥ずかしいじゃないか」
「…おおきいですね」
「そ、そんな…はっきり言わないでおくれよ」
「むぅ〜」
鼻までお湯に浸かりながら恨めしそうに尾咲を睨む。
「う…」
困ったな、と思いつつもそんな仕草一つ取っても可愛く思えてしまう。
普段の源蔵の乱暴な振る舞いに見慣れているせいかもしれない。
口には出さないが、尾咲にとって香菜瑚は妹のような存在だった。
「か、香菜瑚嬢ちゃん! そんなに目くじら立てないでおくれよ…また、アレしてあげるから」
アレという言葉を聞いて湯の中の躰がピクンと反応する。
「イヤかい…」
目を妖しく細めながら静かに香菜瑚に近づく尾咲。
「イヤ…」
「じゃ、大声出して十蔵さんを呼ぶかい?」
「…」
そうこうしている内に尾咲は少女を腕の中に捕らえた。
二人の乳房が優しくお互いを潰し合う。
「だめ…尾咲さん…アレはダメ…」
「シー 十蔵さんには黙っといてやるから…」
「そんな…」
真っ赤に染まった可愛い"妹"の頬に自分の頬をスリスリしてやる。
香菜瑚の背においた手が静かに動き始めた。
息を弾ませお妙は道満の頭を胸に掻き抱いた。
しゃぶられている。
今日初めてあった素性も知らない男の口の中で、乳首がしゃぶられていた。
「吸って…舐めるだけじゃイヤ」
今日初めて口を聞く男に頼んだ。もっと乳首を嬲ってくれと。
いやそこだけでは無い。本当に嬲ってもらいたい場所は乳首ではない。
「焦らさないでよ…ああ…」
股間が焼け付くように疼いた。自分をふしだらな女だと認めた。
指がそこに向かった。
男のがさつな太い指が自分の股間に潜り込んだ時、お妙は足を大きく広げて迎えた。
道満は躊躇せず指2本を突き入れてやった。
「ひんっ!」
声にならない声を上げ、お妙は道満の髪を掻きむしった。
激しく女を遊びはじめた男の指をお妙はしっかりとくわえ込んだ。
「あっ ああっ! もっとっ か、かき回してっ…そう…そうよ」
上の口は言葉で、下は締め付けで男を急き立てる。
「こうか?」
胸から顔を上げた道満が口元に侮蔑の笑みを浮かべながら問う。
「そうよ…ああっ そう… ヤッ 違っ…もっと もっと奥ぅっっ!!」
「ふ…」
絡みつく腕を払い除け道満は身を起こすと、着物の帯を手早くほどき始めた。
「ああ…」
待ちきれないのか、お妙も身を起こすと、引きちぎらんばかりの力で襟を押し広げ、顔を覗かした男の胸板に舌を這わせた。
乳首を甘噛みし、更に腹へと舌を滑らす。
臍をほじり、腰にまとわりつく布を力任せにはぎ取ると、目の前に隆起した男根が現れた。
「あ…待ってたのよ…なかなか"顔"を見せてくれないんだもの…コイツめ」
お多恵は亀頭にむしゃぶりついた。
傘の表面を舌を押しつけるようにしてなめ回すと、顔を離して舌先で尿口をくすぐる。
かと思うとイキナリ根本まで飲み込み、唇をすぼめ幹を刺激しながら首を上下に振る。
「くっ…」
さしもの道満も熱い快感に顔をしかめる。
「ふ…色餓鬼でもついたか?とんでもない…女」
呻きながら身を横たえる。女の腰に腕を伸ばし強引に引き寄せた。
「!」
何をされるのかを理解したお妙は喜んで足を上げ、道満は誘われるままに女の股間に顔を埋めた。
そこには彼のモノをしゃぶっている唇以上に雄弁な唇が舌を待ちかまえていた。
湯気に混ざって少女の熱い吐息が風呂場の天上に立ち上っていった。
「はぁ…んぅ…」
時折、唇を強く噛みしめ尾咲がくれる刺激に必死で耐える香菜瑚。
一方の尾咲はご満悦だった。
湯船の中、その膝に香菜瑚を乗せる格好で抱きしめている為、少女の甘い吐息が直に顔にかかる。
どんなに香菜瑚が堪えていても漏れ出てしまう悦びの喘ぎを漏らすことなく愉しめるのだ。
「や…」
特に好きなのがこの「や…」だ。
「イヤ」ではなく「や…」なのだ。自分の内からせり上がってくるような快感の波に翻弄され、熱い吐息にかき消されそうなほどの小さな呟き。
この言葉を発する時の香菜瑚の薄い唇が絶品なのだ。
ソレを見、その言葉を聞きたいが為に更に指を進めてしまう。
「あっ! そんな…」
涙を湛えた瞳を尾咲に向ける香菜瑚。
そんな瞳で訴えられかけたら、尾咲の方も引っ込める物も引っ込めない。
フルフルと震える睫に唇を寄せると、閉じた瞼にそっと唇を落とす。
火照った細い躰を支える腕にそっと力を入れると、少女はおずおずと自分にしがみついてきた。直に触れ合った躰はとても儚げで、あまり力を入れすぎると自分の腕から崩れ落ちてしまいそうな錯覚を憶えた。
「香菜瑚嬢ちゃん…」
「んぅ…っ」
指を少しでも奥に進めると細い躰に電流が走る。自分の肩を掴んでいる指が食い込んでくる。
気をつけないと本当にコワレてしまいそう!
でも…
「香菜瑚嬢ちゃん…香菜瑚嬢ちゃん…」
「はぅ ん んく…やぁ… あっ ひぃ」
「香菜瑚嬢ちゃん…」
少女が跳ねる度に湯船から湯が飛び散る。
「香菜瑚嬢ちゃん…嬢ちゃん…」
「あっ もぅ…お、尾咲さぁん…」
その唇が自分を呼んだ時、尾咲は自分の感情が押さえきれなくなった。
「香菜瑚…っ」
指が奥へと潜り込んだ。今まで到達したことの無い奥まで。
「!! んっ…んんっ!」
絶頂の声を上げようとした唇を尾咲のソレが塞いだ。
香菜瑚の歓喜の声を自分の体全体で感じ取り、優しく受け止める。
香菜瑚のその声は尾咲だけのモノなのだ。
加枝は客人達の夕食の後片付けを終えると、明日の朝餉の下拵えをやってしまおうと一人土間へ向かった。
台所に行くには土間を通らなければならない。
外の風は相変わらず強く、引き戸を激しく打ち据えていた。
「ふぅ…この分じゃ明日も止みそうにないかな」
一人呟くと、台所へと足を向ける。
カツン
不意に背後から乾いた音が聞こえた。
「!?」
振り返るが誰もいない。
「え…?」
カツン
また音がした。どこからだ?
「だ、誰? お妙さん? 道満さん?」
カツン カツン
「何?何なの?」
カツンカツンカツンカツンカツンカツンカツンカツン
気味の悪い音は自分の周りで一斉になり始めた。
「ひっ!!!」
誰もいない!音を立てるような物も無い!!だが音は次第に大きくなってくる。
「イヤッ!!お父っつぁ………」
父親に助けを求めようとした少女はイキナリそこから消えてしまった。悲鳴もろとも。
消える一瞬、少女が目にしたものは闇の中から出現した丸太の様に太いモノだった。
それも無数の。
「ん?なんだ」
その物音に助蔵が土間に顔を出した。
しかしそこにはナニも無かった。
「加枝!?おーい加枝!」
娘の返事はない。
「主、どうした?」
いぶかしがる助蔵に声がかかった。
「あっ中邨様。娘の姿が見えないんです…」
「…客間を通ってきたが、姿も声も見かけなかった」
「そうですか…ま、外に出る訳でも無し。そこらで寝込んでるんでしょ。ささ、中邨様もお疲れでしょう…」
「うむ」
主と侍は土間を跡にした。
廊下を大股でのしのしと歩きながら源蔵は澄まし顔で後ろから付いてくる尾咲に疑いの眼を向けた。
「ホントに、オメェ香菜瑚に手を出しちゃいねぇんだろうなぁ? ああ!?」
「くっどい男だねぇ…何だってアタシが嬢ちゃんに手を出すのさ!」
尾咲の指にイッてしまった香菜瑚はその場で気を失ってしまい、代わりに源蔵が目を覚ましたのだ。
もっとも、その辺りは尾咲も予想していたので、源蔵が"出て"きた時には風呂から上がり、意識の無い香菜瑚の躰を拭いてやり、寝間着まで着せておいたのだった。
「嬢ちゃん、のぼせちまったって言ってるだろ…しつこいよ源蔵」
「だってよう…」
まだ尾咲を疑いながら源蔵は襖を開け、そこで固まってしまった。
部屋の中で二人を待っていたのは十蔵だけではなかった。
「おっ おま…え…やるなぁ」
「どうしたのさ? あ〜〜っ!!じゅ、十蔵さん!何この女っ!!」
布団の上で横たわっているのは、雨宿り仲間のお妙だった。
微妙に寝間着がはだけているのが印象的だ。
「十蔵さんっ!これはどういう事!?」
すごい剣幕で詰め寄る尾咲に十蔵は珍しく慌てて否定した。
「いや、この人が…イキナリ部屋に入ってきて…」
「入ってきて!?」
「寝間着を脱いで…」
「何ですってえ!! この女ギツネッ!」
怒りのあまり本性を現す尾咲。爪が一斉に鋭く伸びる。
「お、尾咲殿…」
「お前が女ギツネって言うな」
「あ、兄上…これを」
十蔵が差し出したモノは源蔵にもイヤと言うほど見覚えがあるものだった。
「こ、こいつぁ…」
引きちぎれた黒い呪符だった。
「この人の背に…」
「道満…仕掛けてきやがったな…」
源蔵の目配せに十蔵は立ち上がった。
「いくぜ」
踵を返すと源蔵は十蔵と尾咲を引き連れ囲炉裏場の方へ向かった。
「おっと…いやがった」
囲炉裏場に向かうまでもなく、道満はニヤつきながら廊下に立っていた。
「道満…ちゃちな仕掛けだったな」
「無論、遊び。退屈しのぎよ…十蔵、どうだった?あの女の味は?」
キッと十蔵の目が道満を睨む。
「ああいう女は性に合わなかったか?それは悪いことをした」
「この…っ!」
尾咲が我慢しきれず飛びかかろうとしたその時、屋敷を揺るがすような悲鳴が上がった。
「な!?」
「何だ?」
道満も思わず声のした方へ振り向いてしまうほどの悲痛な叫びだった。
「…!」
バッと十蔵が前に出た。大柄な外見からは想像もつかない身のこなし。
「くっ!」
思わず身構える道満の脇をすり抜け、十蔵は声のする方へと走った。
「お、おい待てよ!」
慌てて十蔵を追いかける源蔵。そして尾咲。さらには道満までもが後に続いた。
「加枝ぇ!! ああああっ!!!」
悲鳴の上がった場所は土間。そして悲鳴の主は助蔵だった。
むせび泣き、声を上げる彼の前にはむごたらしい死体が転がっていた。
「っ…加枝…か?」
少女の躰は無惨に引き裂かれていた。しかし悲惨なのはそれだけでは無い。
むき出しになった股間から白濁の液が流れ出していたのだ。その量は人間の男のモノでは無かったが、明らかに少女は陵辱された後、殺されたのだ。
いや、陵辱されながら殺されたのかもしれない。
「随分と…非道い仕打ちじゃねぇか…これも遊びか!?」
道満を振り返った源蔵の瞳は怒りに打ち震えていた。
「知らんな…これも私だと?」
「当たり前じゃネェか!!テメェ以外に誰がこんな真似をっっ!!」
掴みかかる源蔵を慌てて十蔵が羽交い締めにして止めた。
助蔵の悲鳴に飛び出してきた雨宿り仲間たちは疑惑の目で道満と源蔵を交互に見比べている。
「離しやがれっ十蔵! この外道、勘弁ならねぇ!!」
激高している源蔵を力任せに自分の方に振り向かせると、十蔵は兄に顔を近づけた。
「お…落ち着け…源蔵」
「!!? ゴウザ?」
「ど…道満の仕業では…ない」
「寝ぼけてんのか?クソ犬!?奴に決まってんだろうが!」
「違う…もう一人…が…やった」
「もう一人だと!?」
「ここに…いない…もう一人」
ゴウザの言葉は怒りに滾った源蔵の頭にヒヤ水を浴びせた。
「…ここにいないもう一人?俺達以外に、この屋敷に誰かいるのか!?」
「あるいは…何かが…」
そこまでしゃべるとゴウザは十蔵の中に消えた。
「…」
「? 兄上?」
急におとなしくなった源蔵の様子にびっくりして十蔵が顔を覗き込む。
「もう一人…何か?」
十蔵の声も聞こえないのか、源蔵はゴウザの言葉を一人反芻していた。
言葉もでない一同に叩きつける様に、ただ、ただ助蔵の慟哭が屋敷に響いていた。
「雨宿り」 〜一晩目 縁〜 おしまい
78 :
1 です:04/06/27 09:34 ID:H9cw/edG
次回 「雨宿り」
〜二日目 「猜疑」〜
※ほとんど荒らし同然の投下になってしまいました。
すみません。
GJ!
なにやらスゴイことにw
保守
一晩がたった。
夜が明けても風雨は一向に収まる気配を見せず、天窓を開けられない屋敷の中は加枝の死臭が早くも匂い始めていた。
源蔵一行、正気に戻ったお妙達は自分たちにあてがわれた部屋に閉じこもっている。
「もう一人…と?」
「この雨でゴウザの鼻がしっけてなけりゃぁ、な…」
源蔵と十蔵は自分たちの部屋の中央に背中合わせに座り込んでいた。
「…ゴウザは晴明様の式神だよ…そんな安物の鼻な訳あるかい…」
静かに尾咲が口を挟む。
「なら…」
源蔵は賽子を畳に振りながら口を開いた。
「敵は道満だけじゃねぇってこった…」
トントンと台所から包丁がまな板を叩く音が聞こえる。
土間の隅に置かれた竈の上には、そろそろ煮え始めた粥鍋が湯気を上げている。
「いやぁ、申し訳ないですネェ、中邨様。あっしなんぞの番をしていただいて…」
台所と土間との仕切段に腰を下ろしている中邨主税の背に声をかけながら、義介は壺から味噌を一すくい取り出した。
「気にするな。そもそもワシはお主の番をしている訳ではない。お主の作る朝飯の番をしておるのだ」
「…………へい」
微妙な顔をしながら義介はすくい取った味噌に指をつけた。
「ほ〜〜!いい味じゃ… お加枝ちゃん、しっかりやってたんだなぁ」
「…不憫だな」
そう呟く中邨の顔は言葉とは裏腹に無表情なものだった。
「…」
そんな侍にチラっと目をやると義介は軽く肩をすくませ、粥鍋に味噌を溶かし始めた。
「…」
重苦しい沈黙が支配する部屋の中で尾咲が立ち上がった。
「?どうしたよ…尾咲」
「…ちょっとね…」
「おいおい、アブねぇぞ。なんだ、厠か?」
障子に手をかけた尾咲はキッと源蔵を睨んだ。
「ウルサイよっ バカ!」
「図星かよ…そこでしろ、そこで」
「ぶっ殺すよ!」
源蔵は転がっている賽子に手を伸ばした。
「五二の半…一人で出歩くなって言ってんだよ!」
「あたしはねぇ、自分の面倒ぐらい自分で見れるんだよ。誰かさんと違ってね!」
吐き捨てるように言うと尾咲は乱暴に障子を開けて出ていった。
「よろしいのですか、兄上?」
十蔵が声をかける。
「大丈夫だろう。それに俺は女の用足しを覗く趣味はねぇ。この躰のおかげで、もう見慣れちまったし」
ビクッと十蔵の大きな体が震えるのが背中を通して伝わってきた。
「…他意はねぇよ…俺を絞め殺すなよ、十蔵」
「ふん…あのバカが…」
ぶつぶつと源蔵を罵りながら、尾咲は厠へと向かった。
いくら妖狐とはいえ、尾咲も女である。男の目の届く所でしゃがみ込んで用を足せる訳がない。しかも十蔵の前でなんてとんでもない。
「ああ、ムカつくねぇ、あのガキ!」
腹立たしさのあまり、足を踏みならして厠へ向かう彼女にいきなり声がかかった。
「機嫌が悪いな、尾咲」
「!! 道満っ!」
廊下の柱に寄りかかっている、その男の存在にどうして気が付かなかったのだろう。
この雨で鼻がしっけてしまったのはゴウザではなく自分だったようだ。
「…ああ、悪いよ…早く消え失せないと喉笛を噛みちぎってやるよ!」
「おいおい…この体は源蔵のモノだぞ…傷つけるのはマズイんじゃあないのか?」
ニヤニヤと笑いながら道満は背を柱から離した。
「いつまで、あの連中と珍道中を続けているつもりだ?尾咲」
ゆっくりと彼女に近づいてくる。
〜うわ…コイツ、ホントにムカつくわ〜
道満がムカつくのか、源蔵がムカつくのか?
とにかく、尾咲は道満と立ち話をする気なぞ、さらさら無かった。
先程の言葉通り、今すぐコイツの体を八つ裂きにしてやりたい。
軽く握っていた拳を気づかれないように緩め、手首を影にして中指の爪だけをスッと伸ばす。
道満は無防備に彼女の射程内に入ってきた。
「相変わらず、気の強い娘よ」
ポンと彼女の肩に置こうとした手をすり抜け、尾咲は伸ばした爪を相手の喉元に振った。
「フッ!!」
「! っと…」
間一髪、上体を反らし爪を避けると、逆にその手を取った。
「っく…」
取られた手を逆手にねじられ、尾咲は顔を歪めた。
「ほんに気の強い奴だ…好きだぜぇ尾咲。そういう女…」
「っざけんじゃぁないよ…あんたが好きな女っていうのは、都合よく傀儡に出来る女なんだろ…」
尾咲の憎悪に満ちた言葉に、何を思ったか道満は手を離した。
「く…?」
痛む手首を押さえ道満の間合いから飛び退く尾咲。
昔の女の憎しみの顔を道満は正面から受け止めた。
「憎いか?俺が…」
「…ああ、憎いさ! 百回殺しても物足りない位にねぇ」
尾咲の言葉は本物だったし、その瞳は怒りのあまり潤んでいる。
「言い訳はせん…が、謝るつもりもない…全ては巡り巡る運命の輪の中…」
「洒落た御託を並べたててんじゃないよっ!!」
遮る語気の強さに道満は口を噤んだ。
やがて大げさに肩をすくめると、源蔵の顔をしたその男は伏し目がちに笑みを浮かべた。自虐の笑みなのか?
「フッ…話しにならんか…」
そう言い残すと道満は尾咲に背を向けた。
「え…」
意外過ぎる程にあっけない敵の態度に尾咲は呆然としてしまった。
「そうそう…」
立ち去りながら道満は後方の尾咲に声をかけた。
「お前…用を足しに来たのではなかったか?人様の家の廊下を汚すなよ」
「え…あっ!?」
その言葉に興奮で忘れていた尿意が不意に襲ってきた。
道満が振り向き返りざまに式を放ったのは、その瞬間だった。
「おい…女!」
中邨主税がお妙の部屋の前で声をかけた。
「朝飯の準備が出来たそうじゃ…起きておるか?」
部屋の中からの返事が無い。
「…」
しばらく待った後、中邨はイキナリ障子を開けた。
「キャー!! な、何勝手に開けてるのさ!」
中邨を出迎えたのはお妙の盛大な悲鳴だった。
「起きているではないか、なぜ返事をせぬ。朝飯が出来ておるぞ。居間へ来い」
部屋に入った中邨の前では着物を脱ぎ捨て、手ぬぐいで寝汗を拭いていたお妙がちょこんと座っていた。
「返事をすれば開けはしなかったがな」
「ちょっと…お侍様、いつまで見てんのさ!」
「なら…少しは躰を隠したりしたらどうじゃ?」
中邨の言うとおり、お妙は男の前だというのに躰を隠そうともしない。逆に豊満な乳房を男に見せつけるように反らしてみせる始末だ。
「…それだけ元気があれば大丈夫じゃな…」
後ろ手に障子を閉めた中邨はズイと女の傍にしゃがみ込むとその両肩の手を置いた。
「ちょ…ちょっと!痛いじゃないの!!」
抗議の声を無視し中邨は押し殺した声で詰問した。
「昨夜、何があった」
「…」
問いかけの内容の為か、両肩から来る痛みの為かお妙は中邨から顔を背けた。
「答えろっ!」
鋭い侍の声に世慣れしているお妙の躰もビクッと震える。
「…判らない…判らないんだよ」
「判らない?お前は昨夜の事も憶えておらぬのか!?」
お妙は力無く頭を振った。
「本当に憶えてないんだよ…」
「…あり得ぬ事ではないか。では、もう一つだけ聞かせてくれ。」
中邨はお妙の肩から手を離すと無造作に置かれていた着物を手渡してやった。
「お前が夕べ最後に会った者はだれじゃ?憶えている限りでよい。教えてくれ」
手渡された着物をギュっと握りしめながら、お妙はおずおずと顔を上げた。
「たしか…」
壁に押しつけた尾咲の瞳は朦朧としていた。
ふりほどこうと道満の腕に絡んだ指には全く力が入らない。
「尾咲…」
「イヤ…」
顎に指をかけ、クイと自分の方を向かせると道満はゆっくりと唇を奪った。
己の唇に感じる尾咲の唇は意外な程に冷たく、しかし絶妙な弾力をもっていた。
「ふふ…」
満足げに目を細め、更に深く唇を求めていく。
「んぅ…」
弱々しい女の抵抗はもはやその意味を成さない。尾咲は今や道満の操り人形も同然だった。あの夜のように…。
男の舌が唇を這い、自分の唇を濡らしていく。
〜ダメ…コイツは…コイツだけは〜
なくしかけた意識の中で尾咲は自分自身を叱咤する。
〜コイツにだけは!…〜
舌が入ってきた。それは尾咲の舌に絡みつき、歯茎を這い、口中を犯した。
息苦しさに目を瞑り、弱々しく道満の躰を押し返す。
しかし、道満は許さない。後ろ髪と顎を掴むと、更に更に激しく深く貪っていく。
「う…う…」
いつしか固く瞑った尾咲の目頭から涙が頬を伝い落ちていた。口端からは陵辱者の物と混ざり合った涎が溢れ着物を汚している。
「っふぁ…」
「っかはっ はっ…」
長い間一つに溶け合っていた二人の唇が離れた。
「おねが…ヤメテ」
「俺を見ろ。尾咲」
道満の言葉には逆らえきれない甘い響きがあった。
「あ…」
涙に潤む瞳で見上げた先には、かつて愛した男の顔があった。800年前、確かに自分を愛していてくれた男だった。
「俺を…俺の顔だけを見ていろ」
その男は尾咲に命じると両の掌で彼女の胸のふくらみを包み込んだ。
「ああっ ダメ…」
「動くな…乱れていく顔を俺に見せ続けろ」
式を打ち込んだ相手の声に逆らえる訳も無く、尾咲は従うしかなかった。
「くく…」
イヤらしく口元をつり上げた道満はじっくりと指を動かし始めた。
「ぁう…」
指を食い込ませる度に押し返してくる女の肉の感触に道満は満足した。
墜とされた女は自分の言いつけを健気に守り、顔を上げ続けている。
乳房を揉まれ、乳首を摘まれる度に切なげに目を細め、かすかに喘ぐ赤い唇を晒し続けている。
「可愛いなぁ…お前は」
その顔に甘言を吹きかけてやりながら、ゆっくりと襟元を開いていく。
華奢な肩がまず目に飛び込んできた。
地味な色の着物だったため、そこから徐々に露わになってくる肌は薄暗い廊下の中で白く光っていた。
「ヤァ…」
胸が男の視線と外気に晒されていくのを感じ、尾咲は声を上げた。
自分の意志から切り離されてしまった躰が恨めしい。
「ハァッ」
直に胸をなぞられ吐息を漏らしてしまう。着物越しの愛撫とは桁違いの鋭い快感が尾咲を襲った。
「ほう…もう、こんなに固くなっているぞ。尾咲…しゃぶっていいか?昔のように…」
〜ダメ〜
涙を流しならイヤイヤと首を横に振る尾咲。
「フッ…どうれ」
哀願を無視し道満は腰をかがめ、尾咲の胸に顔を寄せた。
「…綺麗な躰だぜ…800年経っても忘れられないよなぁ…この肌」
両手で乳房を寄せ、その柔らかい肌に顔を埋めていく。
「うっ…」
頭上で尾咲が呻く声が聞こえた。
たまらず舌を伸ばす。目の前の純白の肌を自分の唾液で汚していく。
己の行為に興奮した道満はビクビクと痙攣する乳首を口に含んだ。
「ひゃんっ…!」
コロコロと舌に当たる感触を楽しむ。
「やっ…あん! あ…」
尾咲の声も熱く滾り始めていた。両手で道満の頭を抱きしめ、わずかに残された力で自分の胸に押しつけていく。
「んっ…道満…ああっ!」
術者の許しが降りないため天井を仰ぎ続けている女の声が生々しく耳に届く。
乳首を嬲りながら道満の手は後ろに周り、尻を撫で始めた。
分厚い肉の感触が心地いい。乳房とはまた違った弾力が陵辱者を楽しませていく。
「尻が熱いぞ もしお前が良かったら、昔のようにしてやろうか?」
「…」
尻を可愛がる手が両手に増えた。
無抵抗の女の尻をいいように弄ぶ。
「さあ尾咲、どうするよ?」
「ああ…卑怯者ぉ」
ののしる尾咲の声は甘くとろけかかっていた。
「卑怯?そうか…卑怯か…そうまで言われたら引き下がらざるを得んなぁ」
「く…」
尾咲は唇を噛んだ。
「どうするのだと聞いてるんだっ」
道満の歯が乳首を潰した。
「ひっ!! ぁあ…」
乳首を噛まれた鋭い痛みは危険な快楽に一瞬で飲み込まれた。
ガクガクと膝が笑い躰が道満の上に崩れ落ちる。
「尾咲…どうして欲しい?」
「…お願い もう、してぇ…昔のように して…道満…」
自由にならない躰に憎き相手の、昔の男の指や舌で植え付けられた快楽がついに尾咲を屈服させたのだ。
「そうか…いいのだな?」
「いじわる…お願いだよ、道満 」
「クク…」
道満は尾咲を無理やり立ち上がらせると、こう命じた。
「脱げよ、尾咲。そしてそこに座って股を広げろ。俺に見せるんだよ。そうしたら可愛がってやる…昔のようにな」
ハッと尾咲は道満の顔を見つめた。
「そんな…ひどい…そんなこと…!」
だが、その言葉とは裏腹に震える尾咲の手は着物の帯にゆっくりと伸びていった。
ほしゅ
「ほうら見ろ…帰ってこねぇじゃねぇか、尾咲の奴…」
源蔵は賽子を懐にしまい込むと立ち上がった。
「兄上…」
「見てくる」
慌てて十蔵が立ち上がった。
「私も行きます」
「お前は俺達の"奥の手"だ。ハナから"奥の手"がでしゃばるなよ。」
十蔵はそれでも不安そうに兄のといっても実際は妹の顔を覗き込んだ。
「この躰で無茶しようなんざ考えちゃいねぇよ。それより…この躰の匂い、見失うなよ」
「…御意!」
「じゃ、ちょっくら探してくらぁ」
簡単に言うと源蔵はさっさと部屋を出ていってしまった。
激しい雨が瓦を叩く音に熱い喘ぎが絡み合っていた。
脱ぎ捨てた着物の上に座り込んだ尾咲は言われるがままに道満に向かって脚を大きく開き、言われるがままに指を使っていた。
「あ…うぅん…んっ」
「そうだ…いいぞ、尾咲…拡げて見せろ…」
「ハ…ハイ」
濡れぼそった指先がその襞をおずおずと拡げていく。
「フフ…」
道満はゆっくりと尾咲の脚の間にしゃがみ込むとじっくりとその様を眺め始めた。
より強く視線を自分の最も淫らな部分に注がれ、思わず尾咲が顔を背けた。
激しい羞恥に苛まされながらも、尾咲の指はそこを包み隠していた花弁を押し広げていく。
「あっ!?」
外気に晒されたそこから、ゆっくりと蜜が垂れてしまった。
「…くっ」
あまりの情けなさに唇を強く噛みしめる。
「尾咲よ、こっちを向け」
逆らえない尾咲の躰が道満の要求に応える。
「今のお前のソコはどうなっている?教えてくれ尾咲」
「!?」
「お前の口で、今ココがどうなっているのか言えと言っているのだ」
道満は尾咲の手首を掴むとむき出しにされた秘部に押し当てた。
「ひっ!」
尾咲の背がビクンと反り返る。
「お前のココは…?」
「は…あ、アタシのソコは…」
「どうなっておるのだ?」
「…熱くて…もう濡れてて… ああ…何か欲しいの」
〜ダメ…ダメッ!!〜
頭の中で力無い抵抗の声がむなしく響いた。
「何が欲しい?指か…?」
「イヤッ 指じゃヤダ…細すぎて…足りないの」
「舌は?」
「ダメェ・・・舌じゃ嫌 奥に欲しいのぉ…奥まで…埋めて欲しいの…ああ、道満…お願い」
道満が促さなくても既に彼女の指は自分自身を責め立てていた。
「んっ…ダメ…もうダメだよ 頂戴…道満のソレ くれないとおかしくなっちゃう…」
股間をまさぐっていた手が道満のソレに伸びる。
「ああ…コレ…」
着物の上から既に固くなっているイチモツを探り当てた尾咲は、うっとりとそれをしごき始めた。
「…ふ…浅ましいなぁ尾咲」
そんな道満の言葉はもはや耳には入らない。尾咲は身を乗り出して道満のそれにむしゃぶりついてきた。
98 :
1 です:04/07/11 23:59 ID:Puo1ZoiF
ダラダラ続けて申し訳ないです。
言い訳にしかなりませんが自宅PCの外付けHDが逝っちゃいまして
途中まで書きあがっていた”コレ”がキレイサッパリ無くなってしまいました。
今、再度書き起こしている最中です
今この屋敷には9人もの人間がいるというのに、異常なほどにその気配が無い。
「…幽霊屋敷だな…これじゃ」
苦笑する源蔵に声がかかった。
「だ、誰だい!?」
「その声は…義介さんかい?」
「う…あんた源蔵さんかっ!」
「あからさまに怪しむなよ…尾咲を見なかったかい?」
義介は障子から首だけ覗かせていた。外の様子を伺っていたのだろう。
「いや…先刻からこうやって周りを眺めていたけど、あの姐さんは見かけなかった…」
「そうか…」
「い、いなくなったのかね?神隠しにあったのかい!?」
「厠へ行くと言って、戻ってこねぇ」
「ああ…」
義介は頭を振った。
「雨は止まないし、この風じゃおいそれと外は歩けねぇ…お加枝ちゃんを殺した奴が誰なのかも分からねぇ!なんでこんな事に…」
「さあな…あんたたちは俺らを疑っているようだけど、正直こっちも訳が分かんねぇ。ま、お互いうまい事、生き残ろうや。あんたもくたばるには早いだろう?」
「あ、当たり前だ!国にはお涼を残してきてるんだ!まだまだ死ねないよ…」
「カミさんかい?」
「娘だよ! 年の頃はあんたと同じくらいだがね…あんたよりずっと器量良しよ!十両賭けてもいいね」
「…そりゃ、死ねねぇなぁ。まだまだ頑張んねぇとな…邪魔したな」
源蔵はそのまま義介の前を通り過ぎ、家の奥へ向かおうとした。
カツン
「!?…何だい、何か今音がしなかったかい!?」
義介の声は悲鳴に近かった。
「したねぇ…」
前方の闇に目を凝らすが、動く物はない。
ふうっと息を吐くと、源蔵は再び奥へと歩み始めた。
「あうっ!」
道満に突き飛ばされて尾咲は床に転がった。
投げ出された足首を掴むと陵辱者はグイっと自分の方に引き寄せる。
「こんなに濡らしやがって。仕方の無い奴だ…」
「あ…ヤァ」
自由を奪われ淫靡な刺激に打ち震えている女体は既に妖狐の本性を晒しつつあった。
耳も爪も、そして尻尾さえもが道満の指の動きにピクピクと踊っている。
「はぐ…ん…」
「獣そのものだな。イイぜ尾咲、その方が俺もイイ…」
道満は指を引き抜くと、替わりに散々尾咲にしゃぶられ、唾液にテカる亀頭を押し当てた。
「いくぜ…」
前ぶりもなく根本まで埋める。
「ひいっ…!!!」
一気に貫かれて歓喜の悲鳴を上げる尾咲。
散々焦らされ、待ちわびたモノをようやく自分の中に納めることが出来たのだ。
「あっ ああっ 道満ん…イイ イイよっ!もっとぉ…」
快楽の前に羞恥の壁も崩れたのか尾咲の両脚は憎い敵の腰を抱え込み、その腕は陵辱者の首に回された。
「あ…ぁうっ あっ ああっ…激し…っっ!」
道満は激しく腰を打ち付ける。まるで尾咲を壊そうと言うかのように。
「すご…あっ 突いて…もっとっ あぁ んっ んっ んっ!!」
男の勢いに女は満足に喘ぐ事も許されず、ただ荒い息を吐くのみだった。
屋敷の主、助蔵は昨日とはまるで人が変わってしまったようだった。
人なつっこい明るい笑顔は消え失せ、その表情は石のように固い。
彼の前には筵が掛けられた加枝の遺体が横たわっていた。
「…」
その様子にさすがの源蔵も声をかけることが憚られた。
「加枝…どうして?どうしたらいいんだ…」
102 :
雨宿り 二日目「猜疑」:04/07/14 01:30 ID:dGBde1iN
父の嗚咽が耳を打つ。
これは話を聞くのは無理だと踵を返したその耳に助蔵の声が響いた。
「どうしたら…またお前と暮らせる…?どうしたらお前を生き返らせる?」
生き返らせる? 生き返らせる…だと?
生活続命の法 金鳥玉兎集裏三巻 源九郎判官伊予守義経
芦屋道満 多々朗太 九曜の血 ゴウザ 十蔵 阿部晴明
助蔵の言葉は、つい先日体験した胸くその悪い出来事を源蔵に思い出させた。
「いけねぇ…それだけは願っちゃいけねぇよ…」
「…あんたか…」
「人は生まれて生きて死んでいく…死んじまった御霊をいつまでも縛り付けていると、お加枝ちゃんが成仏できねぇぜ…」
「…」
「こんな時に悪いんだけどよ…聞かせてくれ。お加枝ちゃんがいなくなった時、他に誰かいたか?」
「……あの時は…」
尾咲への陵辱はまだ続いていた。
両手の爪で壁板をひっかきながら、身の内から襲いかかってくる快楽の波に必死にしがみついている。
「いっ んぐっ ひゃあぁんっ ひぃっ!」
尻尾の根本を掴み、尾咲の腰を持ち上げながら道満は欲望を吐き出し続けている。
「一体っ 何回っ達したのだ!!? 尾咲、いくぞ!」
「やっ… もうっヤダ!! そんなに激しくしないでっ…ああああっ!!」
乳房を力一杯握られ乳首を指先で摘まれる。
「痛っ…許して…あっん 許してぇ 我慢できないよ…」
「ふっ…我慢などっ しなければよいっ!!」
一段と強く、そして奥に道満の男根が尾咲の中に突き入れられた。
その圧迫感…もはや耐えられられなかった。
「あっ あぁああああああっっ!!」
一際高い嬌声と共に道満のモノをくわえ込んだまま達してしまう尾咲。
そして
「ん!?…コイツめ…」
「やぁ…見ないでぇ…」
尾咲は失禁していた。道満がゆっくりと男根を引き抜くと、ソレは音を立てて床を叩き始めた。
「イヤッ イヤァッ!」
一度吹き出した尿は止まらず、その様を道満は余すことなく眺め続けた。
「フフ…イケナイなぁ尾咲…人様の家を汚すなんて…どれ、躾しなおしてやろう」
絶頂感に打ち震える尻を鷲掴みにすると、尿の上で滑る躰を引き寄せた。
「あ…そこ…」
道満のモノを感じ取った場所は花弁ではなかった。
「いやっ 道満!そこは堪忍してっ!!」
「ダメだな…これは躾だ」
無情に言い放つと道満は尾咲の花弁の傍でひくつく、もう一つのすぼまりにモノを埋めていった。
「あ!? ああああっ!!」
痛みに我慢できずに上げた絶叫の中に、尾咲が初めて知る快楽への甘い響きが匂っていた。
「いた…尾咲!」
どれほどの時が経ったのだろう?
源蔵が厠の前にフラフラしながら立っている尾咲を見つけたのは?
「どうしたんだよ、お前?ぼうっとして…何か臭えぞお前 まさか、洩らしたんじゃネェだろうな!?」
いつもなら真っ赤になってくってかかってくる尾咲なのだが、目の前にいる妖狐は相変わらずふらつきながら俯いているだけだった。
「…おい、尾咲…尾咲っ!!」
源蔵の大きな声にようやく反応した尾咲は顔を上げた。
「!! やられた…」
尾咲の顔に黒い札が貼られていたのだ。
飛び退く源蔵の姿に反応したのか、すかさず尾咲が床を蹴った。
右手の爪が鋭く伸びている。
「十蔵っ!!!」
叫びながら尾咲の爪をかわしたまでは良かったのだが。
「ぅわっ!」
脚がもつれ仰向けに倒れ込んでしまう源蔵。その上に襲いかかってくる尾咲。
咄嗟に振り下ろされる手首を掴んだがその腕力は尋常な物ではなかった。
「くっ…!」
みるみる目の前に迫ってくる鋭利な爪。
脚をばたつかせ何とか尾咲を振り除けようとするが、相手はがっしりと馬乗りになっているので果たせない。
カツン カツン
「!!?」
尾咲と死闘を演じる源蔵の耳に音が響いた。乾いた音が。
カツン カツン カツンカツンカツンカツン
「ヤベッ! 尾咲っどけコラッ!!」
死に物狂いで尾咲を押しのけようとするがビクともしない。
カツンカツンカツンカツンカツンカツン
「ぐっおおお…」
乾いた音と尾咲の爪が自分の命に近づいてくる。
源蔵の脳裏にあきらめの影が走った時、ドタドタと床を走る音が響いた。
「十蔵!」
源蔵が名を呼ぶと同時に伸びてきた腕が尾咲の札をむしり取った。
「………あ!?」
ふっと力が抜けた尾咲を乱暴に押しのけると飛び起きる。
「な!? オメェ…!」
窮地を救ってくれた男は十蔵では無かった。
「痴話喧嘩にしては激しいのう」
源蔵の目の前にいたのは十蔵ではなく中邨主税だった。
「あ…音…」
気が付けばあれほど自分の周りで鳴り響いていた乾いた音が嘘のように消えていた。
「音?」
「あんた、聞こえなかったのか?カツンカツンて…」
「いや、知らぬ」
「…あんたが…来てくれるまでは…してたんだけどな…」
そう言う源蔵の目は険しく、疑心に満ちたものだった。
「兄上!」
不意に中邨の後ろに十蔵が現れた。
中邨も接近に気づかなかったのか、驚き刀の鍔に手をやる。
「おせぇ…」
「兄上…主殿が…」
「助蔵さんが…?」
「加枝殿の隣で…」
「…まさか…」
呆然とする源蔵の耳を甲高い声が打った。
「とぼけんじゃないよっ!!」
お妙だった。鷺之丈を後ろに引き連れ、廊下の向こう側で仁王立ちしている。
「あんたたちの仕業だろ!あんた達がきてから胡散臭くなったんだ!!」
「死に様は?」
お妙のヒステリックな声を無視して源蔵は十蔵に尋ねた。
「加枝殿と同じような有様」
「むごい事をするではないか」
中邨が源蔵達を見下ろしながら言い放った。
「何…だと?」
「全くむごい…」
中邨の手は相変わらず鍔に添えられている。
「…俺達がやったと?」
「その通りだ…」
中邨の無機質な声に無言で十蔵が立ち上がった。
「…待て、十蔵」
その広い背に声を掛けてから源蔵はチラっと床に伸びている尾咲に目をやった。
「兄上…?」
「道満がいねぇ」
「あの男も、お主らが始末したのではないか?」
「…くどい!」
異様なほどに長く降り続ける雨音とお妙の罵声が響く中、男達は無言で睨み合った。
「雨宿り」 〜二日目 猜疑〜 おしまい
hosyu
109 :
名無しさん@ピンキー:04/07/17 21:26 ID:kYhZCMME
ドキドキしながらage・・・
「で、結局俺達が一番怪しいと…こういう訳だ」
源蔵、十蔵、尾咲の3人は屋敷の一番奥に位置する奉公人達の支度部屋に押し込められた。
他の人間達と一番離れた部屋である。
「いや、本当に疑われているなら…我らを縛り上げて目の届く所に置いておくか、この屋敷から追い出すのが道理かと」
「道理、ねぇ」
積み上げられた布団の山に背をもたれさせながら源蔵はせせら笑った。
「道理で命が守れるのかよ…いざ死ぬ目に遭ってみな。そんなモン吹っ飛んじまうぜ」
「兄上…」
「ふん…あの中邨って侍、どういうつもりなのかねぇ…で?」
「?」
「道満は?」
十蔵はゆっくりと首を横に振った。
「完全に気配がありませぬ」
「油断するなよ…野郎、絶対屋敷のどこかにいるぞ…」
「御意!」
ふうとため息をつくと源蔵は部屋の隅っこで両膝を抱えている尾咲を見やった。
「…」
顔を伏せているので表情を見ることは出来ないが、時折肩が震えるところを見ると泣いているのだろうか?
尾咲が道満に遭遇した事は間違いない。そして、源蔵に襲いかかって来た時の尾咲の状態をみれば何をされたかも容易に察しがついた。
〜まいったな〜
かける言葉が見つからない。いや、言葉をかけていいものかも分からない。
源蔵が複雑な思いで見守る中、ふと尾咲の頭が動いた。
組んだ腕からわずかばかりに涙に潤んだ瞳を覗かし、チラッと源蔵を見やる。
「…」
またすぐ顔を埋めてしまった尾咲をしばらく見つめていた源蔵は傍らの十蔵に声をかけた。
「十蔵、ちょっと周り見てこい。待ってるだけってのはどうにも…」
ん、という顔で十蔵は兄を見下ろした。
「しかし…大丈夫ですか?お二人だけで?」
「大丈夫じゃねぇよ!あんまり遠くまでは行くなよ」
「はあ」
あまり乗り気のしない顔で十蔵は立ち上がった。
「何かありましたら、すぐ…」
「わかってるよ」
まるで源蔵に追い立てられるかのように十蔵の大柄な躰が部屋から出ていった。
「…」
しばらくして、のそのそと尾咲が立ち上がった。
替えの着物に着替えたとはいえ、尾咲の躰からは陰惨な陵辱の名残が匂い立っていた。
妖狐なのだから当たり前だが、人間離れした美貌の顔も恥辱に歪んでいる。
とてもではないが十蔵に見られたくない姿だった。部屋の片隅にうずくまり一生懸命に躰を縮込ませていたのは十蔵の視線から逃れたい為だった。
道満に汚されたこの躰を見られたくなかった。
まるで幽霊のように、音もなく部屋を出ていこうとする尾咲を源蔵が呼び止めた。
「…何処いく?」
「……躰、洗わせて」
「ん…」
源蔵に止める気は無かった。
あえて尾咲に目をやらず、天井を見上げながら掌の中で賽子を転がす。
「……ありがと」
障子を開け、部屋を出ていく女の消え入りそうな声が源蔵に届いた。
しばらく賽子を振っていた源蔵は頃合いを見計り腰を上げた。
障子を開けると一声かける。
「十蔵」
「ここに…」
明かりが届かない廊下の影からヌッと十蔵が現れた。
「道満は?」
「未だに」
「…ヤツは?」
「それも…」
「尾咲を見張る。他の連中は…面倒見切れねぇ」
「…」
「に、しても…よく降る雨だぜ…」
源蔵の言葉通り雨は一向に衰えずに降り続いていた。
彼らがこの屋敷に雨宿りをしてから二回目の夜が始まった。
Hosyu
114 :
名無しさん@ピンキー:04/07/25 00:23 ID:bkhchCSS
age
ほ
hosyu
まあとりあえずアニメ放送まで我慢だ
118 :
名無しさん@ピンキー:04/08/07 16:50 ID:WuW3PMQZ
у⌒⌒ ヽ
ノノノ (((( 三三
ノ⌒⌒~\”]Д[”/二二二二二二二二二二■二フ
ノ__ ノ ゲー 三三
ノ
ぬおぉぉーーーっっっ!!!久々登場の 地虫十平衛が
このスレを死守してくれようぞ!!!!!!
アニメ化は嬉しい。
嬉しいが同時にとっても不安だ
120 :
転載:04/08/10 11:29 ID:GaJonxQW
__ /⌒ヽ,r--‐‐--、,ヘ__,,.‐‐-、ヾll‐‐-、
,ヘ, -‐- 、ヘ,, -‐- 、,´ ,、,、`ヽ 、、、 ,,,, )) ゝ`゚皿゚')⌒ノ)⌒ヽゞ ,、,、)ノ`ヽ, )、,、,、,、)
⌒lミi´'==^l|⌒从 从) ソ_,:._ヽl´ ミ ,, /゙ゞヽ,,( ソ、l ,)*´┏┓`)-_-) ゚ -ソ*・ヮ・リ
. '´ヽト ゚皿゚ソ)り´∀`)ヾト´A`)|,| 从メwソゞ从 ::从 `0ノ0 丶ソ ヽ `_フ⊃y/リ,ヽソ,)
<`ヽlリノ>\ヽy/ > ヽy/ > リ゚/Д゚,ヾ从 `皿´从ヽωllつ==∞=) ヽ/_l==l__> _==」
(/__|=l_| /_|=l__| ヽ__]ニ[_)ノvvv )(__ヽゞlリヾ ) ノ>ノ/ ̄ソヽ_ノノ>ノ |゚ ゚| |┼┤
|_人_/ (__人_ノ |__ノ__丿ノ ^^ノ (, ニhnn`、hnnU(___)__)UU |__」 しl_ノ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
甲賀軍団
121 :
転載:04/08/10 11:32 ID:GaJonxQW
r,、
./⌒\;
, -‐- 、___ ,--‐ゞ.( ) __ , -‐- 、
(ノ `ヽr'´ ヽゝ~`^´`´ゞ. 、,-‐‐ ~( ll ) ミl| ♯ | ,、,、,、、,r'´ (、,、,、,、 ., -‐- 、
(゚ー゚<i LlL!l」┃^)il|lVl||li.ゞミ゙,ノ,,、ソ、,~ト゜A゜イ( =、,= ノ)ヾ,vwv^| i´`'´ヽ|!゚ー゚*(ノ=ヽ、) )
(ヽノ,| |゚ ヮ゚。l┃ ミト゚只 ゚ヽ「lノノ`0 ´l.└-y/´人゚Д゚ イ人(゚Д゚ |(・∀・ i!/ヽy/(`Д,´イヘ^)
<_lσl_」ヾィ'´l.O-ゝヾゞノソ|cl[_l、∀/ l_ .ゝノ |⌒(レリノ丶ソ(ヽy//|<ヽy/ |_l==l__l(ノ=ヽ_) ´
|゚ ゚(_lfi=l__┃__,`‐&─' l」 |‐∞─| l==∪ )l_|=|_>、|=∞=´|_|==l_=l |゚ ゚| | .ソ
l___|l_l__|┃ |___|_ヽ し'^ヽ_| し⌒ヽ_ヽ_人__ソし'^ヽ_|Ll_|_|_l_」.ヽ_| ヽ_ .ヽ,
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
伊賀軍団
見事じゃ!!
室賀豹馬がリアルだ・・・
弦の字のボンボンぶりむき出しのプニプニほっぺがプリティだ。
ごめん甲賀の弾正、弦の字、豹馬、地虫まで
わかったんだがそっから右がわからん
>>120甲賀(右から)
甲賀弾正、甲賀弦之助、室賀豹馬、地虫十平衛、風待将監、
霞刑部、鵜殿丈助、如月左衛門、陽炎、お胡夷
>>121伊賀(右から)
朱絹、蛍火、蓑念鬼、筑摩小四郎、雨夜陣五郎、
小豆蝋斎、夜叉丸、薬師寺天膳、朧、お幻
サンク
すげー
保守
陽炎 「弦之助様、夜伽に参りました・・・」
弦之助「そうか、ではこちらに・・・って、違うだろ!あかんやん!俺死ぬやん!」
陽炎 「私の中に弦之助様のやや子が宿るのなら、それはそれでばっちぐー。
無論、今夜の私は・・・ヴァリヴァリの危険日!」
弦之助「いやいや全然ばっちぐー違う!」
陽炎 「ふふふ、待ちかねましたわ・・・!」
弦之助「聞けよ、人の話!」
陽炎 「毒の息が問題というなら、私の豊満な胸肉にうずもれていれば無問題。
さあ、参りますわ!」
弦之助「いーやーーー!?」
・・・つづかない。
131 :
名無しさん@ピンキー:04/08/22 00:07 ID:36n6ykCg
不覚にもワロタ
>>130の対処法
ひ、ひどいです。弦之介様。
, -‐- 、 , -‐- 、ヘ
( 、,、,、,、) (从 从 ヽヽ <しっかり見とけよ。俺を毒で殺したくなかったらな
∞||*;ヮ;リ (’∀’り丿、),.-‐‐-、_
|リヽy/ヽ ((( ( \ . (^(、ノ`ヽ、 )
/__lっ=l_o .) ィ⌒`ヽ咋#゚ ヮソ<弦之介様ぁ、陽炎は本望にございます。
|__/ 儿と、_入`_,つ λ う ア、ア、ア!
134 :
名無しさん@ピンキー:04/08/23 22:13 ID:N8pSk8Bt
バジリスクのエロパロは難しい・・・。
書き込んでくれなきゃ感想もらえないぞ!
136 :
名無しさん@ピンキー:04/08/30 20:31 ID:MvnR6n/1
hosyu age
137 :
名無しさん@ピンキー:04/09/02 01:25 ID:Ucc/Cu76
ほ
138 :
名無しさん@ピンキー:04/09/06 01:46 ID:aTbtb87F
あげて保守しておこう。
139 :
名無しさん@ピンキー:04/09/14 23:27:56 ID:JcFhEbA7
ageて保守じゃ!
抜かるでないぞっ 皆の者!!
hosyu
ほ し ゅ
そういえばこの前のアッパーズの付録(?)
結構良かった・・・特に螢火のヒップラインが・・・
保守保守ホシュ
144 :
名無しさん@ピンキー:04/10/19 23:45:23 ID:OlQ+PKTx
Age
「柳生」が正式発表されれば、また盛り上がるかね?
146 :
名無しさん@ピンキー:04/10/25 23:13:40 ID:fZJpsEMm
アッパーズ終わったね…
>145
>146
そうだね
Y十Mが今から楽しみ!
148 :
名無しさん@ピンキー:04/11/09 00:36:08 ID:Gjyk6601
柳生が待ち遠しい・・・
外では静かに雨が降り続いている。
東街道・関宿の旅籠の一室、屏風の裏で陽炎はたらいに水を張って体を拭っていた。
風呂に入るなどという贅沢はできずとも、陽炎は幸せだった。
卍谷で暮らしていたときには想うことしかできなかった弦之介と、部屋は違えど一つ屋根の下で寝泊りすることができるのだから。
ちゃぷん。手ぬぐいを水に浸すと、その冷たさが己の運命のように思えた。
忌々しい考えを振り払おうと、陽炎は頭を軽く振った。
「弦之介様……」
主の名前をつぶやくと、その甘い吐息はそのまま毒に変じて、行灯の光に魅せられていた羽虫を一匹、地に落とした。
弦之介のことを思っているだけで体が熱くなってくる。水の冷たさも今の火照った体には心地よく感じられた。
「弦之介様」
もう一度、主の、いや想い人の名前を呟く。
手ぬぐいをたらいの中に沈めてしまうと、陽炎は水を拭おうともせず、己の胸元に手を伸ばした。
大きく、はりのある白くなめらかな胸に手を添える。そして、そのままゆっくりと指を動かしていく。はじめはおそるおそる、しだいにきつく。
指から伝った水のしずくが胸をぬらした。
「ぁ……」
陽炎の唇からとけるような声が漏れた。
弦之介の指を想い、豊かな双丘の形をゆがめていく。
むにむにと指の隙間からこぼれるようにしながら陽炎の指は動いてゆく。
指の動きは激しくなり、やがてふくらみの頂点、桜色に色づいた突起に触れた。
「っつ……はぁ」
ぴくりとあごをのけぞらせ、うっとりとした表情のまま愛撫を続ける。
今の陽炎の表情を見れば死ぬとわかっていても、里の人間がそれでもかまわぬと陽炎を抱きたがるのもうなずけるほどに、艶っぽい。
陽炎はこくりとつばを飲み込むと、片方の腕をするするとむっちりした太ももに降ろしていった。
一瞬ためらったが、指を尖らせ、秘所に触れる。そこはすでに潤みきっていた。
「くぅん……はぁ、弦之介さまぁ」
つぷりと秘所に沈めた指をゆるゆると動かしていく。
「あっ、あ……んっ、はぅう」
かみ締めるようなあえぎ声が屏風に跳ね返り、それがさらに陽炎を興奮させた。
半開きになった口の端から、一筋のよだれが零れ落ちた。
徐々に陽炎の声が大きくなっていく。快感に耐え切れずに声を抑えることができなくなってきているのだ。
くち、くちゅと粘性の水音が部屋に響く。
「弦之介さま、くぅ……あ、ああ、弦之介さまぁっ」
ひときわ大きな声で主の名前を呼ぶと陽炎はたらいのふちにもたれるようにして崩れ落ちた。
「陽炎はいい女じゃ……それゆえにな」
陽炎がいるのとは別の部屋で、左衛門と豹馬は酒を酌み交わしていた。
盃を舐めるようにしながらの左衛門の言葉にも、豹馬は何も言わない。
豹魔の口ではなく、耳がぴくりと動いた。
目が見えぬかわりに、豹馬の聴覚は異常に発達している。その耳が、いま、旅籠の別室にいる女が果てる声を聞き取ったのだ。
「それゆえに……おそろしい」
重ねて左衛門が呟いた。
やはり豹馬はそれに応えず、しかし、心中で呟いた。あわれな女よ、と。
わずかの間、気を失っていた陽炎は目覚めると、いまだ意識がはっきりしないのかのろのろと体を拭い終え、緩慢な動作で着物をまとった。
その目はいまだに夢と現をさまよっているようにぼんやりとしている。
「弦之介様……」
つぶやくと陽炎はふわふわとした足取りで部屋を出ていった。
部屋に誰もいなくなったとき、行灯のまわりで息絶えている羽虫は一匹ではなくなっていた。
ぬお〜GJ!!
陽炎イイねぇ〜
よく分からんのだが、バジのアニメファンドって何だ?
一般からの個人投資を求めているのだが・・・アニメ化する金が足りないって事なの?
いや、そうじゃないだろ、要するに投資家連中が「アニメは
いい金ヅルになる」って今更思い出したってことじゃないの?
154 :
名無しさん@ピンキー:04/12/03 23:36:15 ID:tlJOYjN5
ひとまずageるぞ
どーてーの小四郎に手ほどきする朱絹ハァハァ
保守
保守
158 :
名無しさん@ピンキー:04/12/29 23:29:21 ID:MFTVqzE+
とにかく保守
>>149-150 原作での左衛門と豹馬のやり取りを上手く活かしてるし
エロくてよかったよ。GJ!
160 :
名無しさん@ピンキー:05/01/21 23:49:13 ID:fL4PIjum
age
161 :
名無しさん@ピンキー:05/01/31 22:10:27 ID:P2QCFYkH
ほしゅ
左衛門×陽炎が読みたいでつ・・・
どなたかおながい!
左衛門じゃ死ぬからな、どう考えても……。
164 :
名無しさん@ピンキー:05/02/25 23:14:57 ID:SYI0A3/P
くのいちの性技を朧に指導する朱絹キボン!
練習台は蛍火で・・・
陽炎×朧だったらどうだろうか。嫉妬ゆえに朧を責める陽炎。
左衛門×蛍火なんていかがでしょうか
↑ むごい組み合わせだw
でも萌えるかも・・・
168 :
名無しさん@ピンキー:2005/03/29(火) 07:54:50 ID:6a3dc88J
age
sagehosyu
hosyu
いつから、だろうか。
己がけっして死なず、けっして老いない体だと気付いたのは――――
いつから、だろうか。
己の齢を数えるのをやめたのは――――
いつから、だろうか。
己の伴侶となるも、子を産むことも無く死んでいった女を数えるのをやめたのは――――
いつから、だろうか。
幼くして二親を無くし、いずれ己の主となるあの少女に対して、父親が娘に向けるかのような眼差しを持ったのは――――
いつから、だろうか。
その眼差しが少女の“女”を意識し、煩悩と獣欲を孕んだものになったのは――――
ウウ・・・ダミダ、鬼畜ではない前戯オンリーの天膳×朧のSSを書こうとしたのだが、これ
の続きが書けない。
エロガ・・・エロガカキタイデス、アンザイセンセイ orz
大体の話はできたんだが、この後どうやってつなげるか分からない。
文才が無い自分が情けないポ。
173 :
名無しさん@ピンキー:2005/04/06(水) 00:20:28 ID:Co6dNiWL
ガンガレ!
漏れがついてる。
いつの間にかアニメ化決定してたんだな
アニメ化に伴ってここもにぎわうことを祈る
175 :
1です:2005/04/12(火) 06:42:08 ID:lG5umpcR
ごぶさたしています。
今さらなんですが、>112の続きを投稿させて下さい。
保守にはなりますので・・・
カツン
音が聞こえた。
「ひっ!!」
頭から布団をひっかぶったお妙はガクガクと震えながら固く瞼を瞑った。
カツン カツン カツン カツン カツン
乾いた音は段々と大きくなり、そして響く間隔は段々と狭まってきた。
「〜〜〜っ」
恐怖のあまり、砕けんばかりに食いしばった歯がきしむようだ。
「……?」
音がしない…
あれほど近づいてきた音がぱったりと止んだのだ。
突然襲ってきた静寂がお妙を混乱させた。
「なによ…誰もいないよね…?」
おそるおそる布団から顔を出してみる。
目に飛び込んできたのは静かな暗闇だった。
「あ…」
何も無い。
闇しかない。
「…ふぅ…ちきしょう…何だってこんな事に…」
敷き布団に向かって一人毒づく。
どうせ布団は答えてくれない。
カツン!
「!!」
音がした。 顔のすぐ横で…
「ひ…ひ…」
恐怖で麻痺していく頭でお妙は何とか理解した。
いま眼にした闇が夜のものでは無かった事を…
「ひぎゃああああああああ!!!」
耳をつんざくほどの悲鳴は何故か部屋の外には漏れなかった。
闇がお妙を悲鳴ごと飲み込んでしまったから…
カララと風呂場の戸を開けると中から盛大な悲鳴が出迎えてくれた。
「…何だい?あんた…?」
縮こまって躰を必死に隠そうとしているのは鷺之丈とかいう役者だった。
「な…なにさなにさっ ひ、人が湯を使ってる時に…っ!!」
「はぁ?あたしも湯を使いに来たんだけど…?」
「で、出てっておくれよっ!人を呼ぶよっ!!」
この鷺之丈という役者は女形である。女形たる者、日々女を観察し、その言動を研究し男である自分の中に"女"を作り上げていく。
従って普段のしゃべり言葉も女のそれになってしまうのだが、不運なことにそれが尾咲の勘に触りまくった。逆鱗に触れたと言ってもいい。
「・・・何だってんだい、ああっ!!?」
いきなり洗い場で両膝を抱え込んでいる鷺之丈を蹴り飛ばすと、頭ごなしに一喝する。
「男のクセに気色ワリィんだよっ! 役者だ〜? なりだけ似せてもテメェなんぞに"女"が判るかってんだよ!! 女を軽く見んじゃネェよ!!」
芋虫のように丸くなった役者の体を足で小突き回しながら、尾咲は後手に風呂場の引き戸を閉める。
「大体、テメェ女を抱いた事が有るのかよ!? コラッ! 無えだろ! テメェみてぇな気色悪ぃ男なんぞに帯解く女なんていねぇよな! あ? だからか?だからテメェ女形なんてやってんのか!? 屑だなオイ! テメェは屑だっつってんだよ!!」
女の足に踏みつけられ、女の声に罵倒され、女形「鷺之丈」はシクシクと嗚咽を漏らし始めた。
「何〜? 泣いてんのかよ!?テメェ? 根性ねぇ〜! 一応男たぁ思ってたんだけどなぁ・・・ ダメだな、テメェは・・・半端だ! 男じゃねぇし女にもなりきれねぇ!! 半端者なんだよ! お前は半端者だ!!」
この身を道満に汚された屈辱と怒りの炎が筋違いに鷺之丈を焼き尽くす。
不条理だがこうなった女をやり返せる程、役者は男ではなかった。
「イラつくね〜! オイッテメェ"ついて"んのかよ!? ついてんのかって聞いてんだよ!!」
思いっきり蹴り飛ばされ鷺之丈の身体は上を向いた。
「おっ!? っと・・・」
ブンと目の前に転がり出た逸物を目にして尾咲は言葉を詰まらせた。
そそり立っていた。
血管が太い幹に蛇のように絡み付いていた。
「・・・なんだい・・・」
ゴクッと女の喉が鳴る。
「感じてたのかい? 女に蹴られて勃っちまったのかい?」
イキナリ尾咲はソレを踏みつけた。
「ぎゃうっ!!!」
男の悲鳴を無視して尾咲は足の裏で、そいつの感触を楽しみ始めた。
鷺之丈の逸物は熱く脈打っていた。
「なんだい・・・なんだい・・・!」
襟元か自らの手を忍び込ませて、汗と道満の唾液でベトつく乳房を引き出しながら尾咲はペロッと唇を舐めた。
尋常では無い淫靡が顔に張り付いている。
「ホントに男のコレはしょうがないねぇ・・・女とみれば見境なしかい!? ええっ! 女がイヤがろうが何だろうがブチ込むことしか頭に無くなっちまうんだろ? どうなんだい!」
ぎゅぅうっと踏みつけられて鷺之丈は犬のような悲鳴を上げた。
それと反比例してモノは更に硬さを増し、浮き出た血管はどす黒く染まり今にも破裂しそうだ。
「・・・硬いねぇ・・・こんな硬いモノいれちまったら女は狂っちまうねぇ・・・・・・冗談じゃないよ!!」
荒い息を上げながら尾咲は足の裏と指で男のモノを嬲り始めた。
「うぅ・・・ふぅ っく」
「何だよ? 何だよ、その声は!!? 気持ちいいのかよ? 男のクセに女に嬲られてよがってんのかよ!? 男のクセに・・・男のクセに・・・!」
狂気な光をその瞳に宿しながら妖狐の女は巧みに足の裏で男の逸物をしごきあげていった。
「・・・どいてくんねぇかな」
「通ればよかろう?別に邪魔立てする気は無い」
「・・・じゃあ、その腰の物をしまっちゃくれねぇかな?」
源蔵はうんざりしながら中邨に言った。
無理、とは分かっていた。
太刀を正眼に構えた武士相手に無事で済む道理は存在しない。
いざとなれば、後ろの十蔵に頼むしかない。
「俺達は湯を使いたいだけなんだけど、さ」
「湯はだれぞ先に使うておるぞ」
中邨の表情は石の様に固い。いや、無表情だ。一切の情をかなぐり捨てている。
抜いた切っ先からは惜しげもなく殺気が放たれ、侍が源蔵達と事を構える気が充分であることを物語っていた。
「・・・・・・兄上・・・」
たった一言だが十蔵の意思は兄に伝わった。
源蔵は振り向きもせずに頷くと、静かに一歩踏み出した。
クッと中邨の腰が下がる。
「 アンタは俺達が下手人だと思ってるようだけどな・・・今、俺達は湯を使ってる"仲間"の事が心配でならねぇ。 通させてもらうぜ」
小柄だが羽織の上からも筋肉質であることが伺える中邨の身体が猫科の獣のようにしなっていく。
恐怖が無い訳ではない。
しかし源蔵は足を止めなかった。
「・・・お主達を下手人とは思っておらぬ」
これ以上圧縮しようが無い程の緊張感の中、意外な言葉が中邨の口から放たれた。
「九曜様のお子たち・・・かような殺生に関わるとは思えぬ」
ピクリ、と源蔵の眉が上がった。それでも歩みは止めない。
「おめぇ・・・鎌倉付きか・・・?俺達を張ってやがったな?」
源蔵と中邨の距離が、見る間に"零"に近づいていく。
「なのに俺達を下手人扱いした」
「・・・孤立させた方が見張りやすいのでな」
既に源蔵は中邨の間合いに足を踏み入れいていた。なのに中邨の腕は動かない。
源蔵の背後に立つ十蔵の鋭い眼光が侍の腕を押さえつけていた。
「話は弟が聞く」
言い残すと源蔵は二人を後に湯室に向かった。
「・・・兄君を止めねばならぬ」
しばしの睨み合いの後、中邨が呻くように声を出した。
「ここで呆けている場合ではないのだ!十蔵殿!!」
十蔵は強く静かな眼差しを武士に向けたまま返した。
「兄上に任せ申す・・・」
蛍火たんはミミズ千本
活気あげ
「ほうら・・・どうだい?」
湯船に腰を下ろした尾咲は器用に足の指で鷺之丈のモノを可愛がっていた。
「ふっ・・・やめとくれ・・・ああぁ」
「気色悪い声上げてんじゃないよ! 気持ちいいのかい?」
「・・・」
キッと尾咲の眉が上がり、男根の裏筋を撫でていた足の親指が爪を立てながら幹にめり込んだ。
「痛っ」
跳ね上がる男の身体を、もう片方の足で押さえつけながら女は男を嘲りを含んだ眼差しで見下ろした。
「おやおや、痛かったかい? 素直に答えなかったから痛い目に遭うんだ。聞かれた事にはさっさと答えな! 気持ちいいんだろ?」
グッと広げた親指と人差し指が鷺之丈のカリ首をきゅっと挟んだかと思うと、ゆっくりと抜いていく。
敏感な部分がその摩擦に打ち震えた。
「・・・っ」
「ふふ・・・」
女形に残る男の尊厳を文字通り踏みにじりながら、尾咲は恍惚の表情で自らの股間に滑らせた指を蠢かしていた。
「いいよ・・・アンタのその情けない声、ゾクゾク来るよ・・・さあ、言っちまいな!気持ち、いいんだろぅ?」
無様に湯床で身悶えしながら役者は呻く様に答えた。
「ああ・・・気持ちいぃよ 姉さんの足が気持ちいいんだよ!」
半ばヤケで答えた男の目じりからは、うっすらと光るものがこぼれている。
「あはっ!なんだい?泣いてんのかい!? 男のクセに!」
彼女の指は自らを深く貫いていた。ブルブルっと湯船に下ろしたお尻が震え、上と下の唇からだらしなくよだれを垂らす。
蛍火のエロぎぼん
おさきたん(*´Д`)ハァハァイイヨーイイヨ
「おいおい、すげぇなぁ・・・」
こっそりと湯殿の引き戸に隙間を作り、そこから中の様子を覗いていた源蔵はごくっと喉を鳴らした。
「尾咲の奴、トサカに鼻血が登っちまってんな・・・ヤダねぇ、怖いねぇ、女って奴ぁ・・・うっわぁ痛そ」
女に踏みつけられて痛いのか気持ちいいのか?のたうち廻る鷺之丈を同情と哀れみと蔑みが混じった目で見物しながら、ふぅっとため息をつく。
「あのオカマ、いや女形(おやま)にゃ気の毒だが、アレで尾咲の気が済むならありがてぇぜ」
ヒィヒィ悶える鷺之丈の声が、戸の隙間から女の息遣いと風呂から立ち上る湯気に乗って顔に当たる。
その湯気に隠れて見え隠れする妖狐の脂の乗り切った肢体が、その胸や腰の丸みが源蔵の眼を焼いた。
「チッ 切ないねぇ・・・勃ちたいってのに勃たせるモノが無ぇってのは・・・ なあ、」
苦笑いしながら兄は振り返った。
「十蔵・・・ ? テメェ!!」
思わず大きな声を出して立ち上がる源蔵。
背に立ったのは当然弟の十蔵とばかり思っていたのだが、目の前にいたのは折れた太刀を杖代わりに、全身血だらけで立ち尽くしている中邨だった。
「げ・・・源蔵・・・殿・・・」
「てめえっ!十蔵はどうした!?」
息も絶え絶えの侍の胸倉を掴んだ源蔵の背中に、イキナリ蹴りが飛んできた。
「わっ」
「グゥウッ」
源蔵はともかく、中邨は今にも死にそうなうめき声を出しながら床に転がった。
「大の男が二人して・・・おんなの湯浴みを覗き見かい!?」
源蔵の背を蹴り飛ばしたのはもちろん尾咲だった。
怒りに打ち震え、ピンと立った耳を隠そうともしない。
「待て待て、悪かった!謝るから先にこいつの話を聞かせろ!」
殺気だった女に言い訳など通用しないことを知っている源蔵は、素直に謝りながら傍らで伸びている中邨を覗きこんだ。
「おい!どうした?十蔵は!?」
「十蔵・・・さん?」
その名と血だらけで床に伸びている中邨の姿が呼び水となり、尾咲は急に理性を取り戻した。
「な、何だい・・・?どうしちまったんだい・・・十蔵さんは!!?」
その豊満な体から湯を滴らせながら、源蔵を押しのけるように中邨に掴みかかる。
「 む・・・し・・・ 蟲・・・だ 」
「蟲?」
釣り上げられた魚のように口をパクパクしながら中邨は必死に声を出した。
「ちょ・・・待て!ゆっくりしゃべれ!死んじまうぞ、お前!!」
慌てる源蔵を尻目に尾咲は屈み込むと、有無を言わせず血を吹く男の口に自らの唇を押し付けた。
「げっ! オイ・・・」
呆然とする源蔵の前でしばらく中邨と唇を合わせていた尾咲は、やがて顔を離すと床に吸い込んだ血を吐き出した。
「・・・どうだい? 少しは楽になっただろ?」
口の周りとその白い肌を男の血で染めながら尾咲は静かに中邨に語りかけた。
「かたじけ・・・ない・・・」
静かに眼を閉じながら、侍は二人に起こった事を話始めた。
「・・・何の気配も無く、いきなり雨戸が破れ・・・蟲が、でかい蟲がワシを弾き飛ばして・・・いくつもの足で踏みつけて・・・十蔵殿はそ奴に捕らえられ・・・闇の・・・中へ・・・」
「十蔵さんが・・・」
「す・・・まぬ すまぬ・・・」
「・・・オメェが謝る事じゃねぇよ、十蔵なら心配いらねぇ!そんな蟲なんぞにムザムザ殺られるタマじゃねぇよ。そうだろ!尾咲。」
「でも・・・」
先程の風呂場とは一変、もう泣き出しそうな顔で源蔵を見返す女。
珍しく可愛いらしい態度で、何よりも一糸まとわぬ艶姿なのだが、体中に中邨の血がベッタリついているので、ヨシヨシと抱き寄せる気にはなれない。
「そ、そんな顔すんなって!探しに行こうぜ、アイツをよ」
ポンと叩いてやったその肩は意外な程細く、女らしかった。
「お、おそらく・・・あの蟲が・・・全ての げ、下手人・・・」
中邨の言葉に源蔵は小さく頷いた。
「 "俺たち以外のもう一人" だ・・・ゴウザの奴、もっとはっきりと教えとけってんだ」
源蔵の独り言に尾咲が不思議そうな顔をする。
「何?」
「何でもねぇよ、行けるか?」
「も、もちろん!」
「・・・そうかよ」
源蔵は部屋から持ってきていた浴衣を女に投げた。
「あ、ありがと」
「ふぅ、血まみれの年増と化け物屋敷を散策とはね・・・」
「うるさい、ガキ」
〜まだ無理してるな〜
源蔵は頭をかきながら尾咲から中邨へ目を移した。
「・・・ご武運・・・を・・・」
「・・・・・・・・・おう」
これが男達の最後の会話となった。中邨の眼は閉じたままだ。
もう開く事はない。
「あ・・・」
尾咲も死を感じ取った。
悼ましそうに侍の死体を見つめる。
「チッ しゃぁねぇな!」
源蔵は大きな声を出した。出さねばやりきれなかった。
「同じ屋敷に雨宿った縁だ。仇とってやるぜ、おっさん! 行くぜ、尾咲」
「・・・ああ」
ズンズンと屋敷の奥へと歩み始めた源蔵の後を追いかけながら尾咲は風呂場に声をかけた。
「役者崩れ!そこから出るんじゃないよ!!」
「は、は〜い」
と、風呂場から情けない声で鷺之丈の返事が聞こえたその時!
屋敷が揺れた。
思いっきり横っ面を張り倒された様な衝撃が家全体を襲った。
「何?」
「ぐっわ!」
何とか踏みとどまった尾咲と無様に雨戸に叩きつけられた源蔵。
「テテ・・・」
ぶつけた肩をさすりながら源蔵はにやっと笑った。
「探す手間が省けたみたいだぜ、尾咲」
「そうだね」
言いながら妖狐は源蔵の襟首を掴むとグイッと後ろに押しやった。
「おいっ」
意外なほど強い力に源蔵は尻餅をついた。
「アンタ・・・その身体が香菜瑚嬢ちゃんの身体だって事忘れるんじゃないよ・・・」
「・・・わきまえてるつもりなんだけど、な・・・」
下から見上げる尾咲は、湯と血に濡れた身体に薄い浴衣がべっとりと張り付き、その柔らかい線を存分に見せ付けていた。
すぐ眼と鼻の先にある尻などは、割れ目までがくっきりと見えている。
「おめぇこそ・・・ケガすんじゃねぇぞ」
「イヤらしいっ どこ見てんのさ、色餓鬼!」
罵りながらも尾咲はすっと腰を下ろした。
別に源蔵に見せ付ける訳ではなく、すぐに跳べるようにだ。
両の手の爪を伸ばし、全神経を研ぎ澄ます。
中邨は気配もなくいきなり、と言っていたがそれは人間の感性の話である。
尾咲の、妖狐の鋭敏な感覚を無効化することは出来ない。
「!! 来る!」
言うなり彼女は尻餅状態の源蔵を飛び越える形で退いた。飛び越えざま、空中で再び襟首を引っ掴むと源蔵を後ろに放り投げる。
その刹那、雨戸がぶち破られ、まるで漆でも塗りたくったかのような太い丸太が一瞬前に尾咲が立っていた床板を突き破る!
いや・・・丸太などではなかった。無数の足が生えている。蠢いている。
胴体だ。蟲の身体だ。
「っ痛ぅ・・・オイ、この身体は香菜瑚のモンだぞ!丁寧に扱えよ」
乱暴に扱われたせいで、擦り傷が出来てしまった首筋を撫でながら源蔵は尾崎に文句をたれる。
「会えたよ、源蔵。どうする?こいつ・・・」
キッと眼を吊り上げながら目の前のモノを睨みつける尾咲。
「さて、と・・・ホントは十蔵を先に見つけるつもりだったんだけど、な・・・」
頭を掻きながらゆっくりと源蔵も立ち上がった。
「ケリを付けれるかな?俺たちだけでよ・・・」
キター!!復活乙!!
その声に呼応するかの用に蟲が動き出した。
二人の周りから一斉に木の軋む嫌な音が鳴り始め、天井から埃と木片がパラパラと降り注ぐ。
やがて、廊下の闇から白い影がゆっくりと近づいてきた。それに伴い声も・・・
女の熱い喘ぎが低い地響きの中に響き渡る。
「ヒッ!」
「・・・何てこった・・・」
眼に映るモノが何なのか?それを理解したとき、源蔵と尾咲は言葉を失った。
「あっ・・・やっ 離して・・・ ああっ! ・・・そんなぁ・・・」
男根に貫かれ、結い上げた髪も乱れるがままに犯されているのは駿河のお妙だった。
「んっ 許して・・・ 許して・・・」
身を焦がす程のおぞましい快楽に声も濡らしながら、お妙は必死に訴えかけた。
問題なのは犯している方だ。
「アンタ・・・あんたは・・・」
源蔵は呆然と呟いた。
知っている男だ。この家で共に雨を凌いだ男だ。
「義介・・・」
富山の薬売りだ。そのはずの男だった。
「アンタ・・・何やってんだよ・・・」
「・・・無駄だよ、源蔵・・・もう人じゃない」
尾崎が低い声で宣言した。
男の身体は裸だった。上半身が。
下半身は蟲だった。
両腕で女の肩を掴み、後背位で突き上げるその度に力無く揺れる女の白い脚の間から真っ黒な蟲の腹が見える。
「うぇっへへへ どうじゃ?ええ? いいじゃろ? ん? どうじゃ・・・どうじゃ!!」
欲望にひんまがった顔は、もはや一片の理性も感じられない。
恐怖とどす黒い快感とで身体に力が入らない女を人形のように扱いながら、蟲は優越感に酔った。
「あぁっ やっ いやぁあ・・・」
ぼろぼろに破れた着物から覗く肌は血にまみれていた。
「痛い・・・あ・・・許して・・・ 殺して! もう殺してぇ」
熱い息の狭間にひねり出した言葉は、化け物に犯されている人間の女の最後の理性だったのか?
「おいおい そりゃ酷いじゃないか、お妙さん! 気持ちいいんじゃろ? こんなにワシのモノを締め付けておいて! ええ?ホレ・・・ほぅれっ!!」
「ヤァアアアアッ!! 殺してっ 殺してぇえ!!!」
首を振りたくりながら女は絶叫した。
「ヒヒヒ・・・ これはどうじゃ?」
女の柔肉の中で、蟲のモノはどの様に蠢いたのか?
一瞬息が詰まり、次にお妙の口から迸ったのは耳を塞ぎたくなるような卑猥な声だった。
「 もっと! もっと!! 」
がっしりと蟲の腹に押し付けられた尻を振り、駿河のお妙はおねだりを始めた。
「それやって! もっと突いとくれ!! ああ・・・腰が壊れちゃうっ」
目の前で繰り広げられる異様な光景に当てられた源蔵達は、なす術もなく人間の女が蟲に屈服する様を見上げていた。
「おお! 締める・・・ いいぞ、お妙さん! うぉっ どうじゃ!? ん?ん?」
快楽を無心で貪る女の細胞がどの様に蠢いたのか?だらしなく涎を垂れ流しながら蟲は猛烈な勢いで腰を叩き付けた。
「はっ ダメ・・・もうだめっ ああっ いい! こんなの・・・こんなっのぉ・・・っ」
自ら両手で血まみれの乳房を掴み上げ、その先端を指で押しつぶす。
「おぉうっ! コレはたまらん!! こんな女ぁっ初めてじゃ!!」
義介は後ろから腕を伸ばし、お妙の首にゆっくりと指を巻き付けていった。
「! やめろっ!!」
源蔵の言葉が終わらぬうちに、傍らの尾咲が飛び出していた。
まるで火矢のように義介に迫り、伸ばした爪を横殴りに喉笛を狙う。
「尾咲っ 危ねぇっ」
「なっ!?」
白く水晶のように鈍く光る爪先が後一息で喉に食い込むその刹那、彼女の死角から飛び出してきた蟲の足がその背中をしたたかに打ち据えた。
「あぐっ!!」
突っかかった勢いが凄かった分、弾き飛ばされた勢いも激しいものだった。
「おい・・・大丈夫かよ!?」
思わず駆け寄る源蔵の頭の上から嘲笑と声が降ってきた。
「うぇっへへへ 大丈夫かい、尾咲さん そんなに焦らなくても、すぐ可愛がってやるよ・・・こぉんな風に!」
声の次に源蔵たちに降りかかってきたのは
悲鳴と 血と 骨が砕け肉が裂ける音
はっと振り仰いだ二人の顔が見る間に血に染まる。
朱に染まった視界が写した物はまさしく地獄絵図だった。
お妙は貫かれていた。
血を噴出す女の股間から押し入った蟲の男根の、亀頭に当たる部分は女の口から飛び出していた。
お妙は貫かれていた。
ミチミチッと一度聞いたら生涯耳について離れない音が静かに響いている。
大きく口が裂けてしまった駿河のお妙の瞳から苦悶の涙が流れていた。
「何・・・ ナンダコレ 何だよ・・・何なんだよっ!!!」
あまりの光景に源蔵の心は大きく揺れ動いた。
「あ・・・ああ・・・」
ガクガクと肩が激しく震える。いや、体中が痙攣している。
「げ、源蔵! しっかりおし!!」
尾咲の叱咤の声は源蔵に届いているのか?
ブルブルと震える自分の手を呆然と見つめている。
「源蔵!!」
「おい、待て・・・ 今、起きる・・・なっ 香菜・・・」
呻きながら血にべとつく床にうずくまってしまう。
「源蔵っ!!」
激しく打ち付けてしまった腹を押さえながら、尾咲は相棒に駆け寄った。
〜まずい・・・ね〜
頼みの十蔵の安否も分からず、自分も満足に動けない。まさに飛車角を失った状況で敵の懐にいつまでも居座ってはいられなかった。
「源蔵、立ちな!退くよ・・・」
頭上の義介を睨みつけたまま源蔵に声をかける。
「退く?」
返ってきたその声に尾咲は背筋が凍りついた。
「あんた!? か、香菜瑚嬢ちゃん!!」
「え・・・やだ 何これ・・・・・・・・・血!!?」
驚愕と共に香菜瑚は血まみれの床から逃れるように飛び起きた。
「や!どうしてっ あ・・・」
ぬらりとする感触に自分の掌を眺める。まだ温かい血がベッタリと付着していた。
「いやぁあああああ!!」
喉も張り裂けんばかりに絶叫する少女を尾咲は力いっぱい抱きしめた。
「逃げるよ、嬢ちゃん!」
「どこへ行こうっていうんだい?まだまだ夜はこれからじゃないか」
卑しい笑い声が少女の耳を打った。
「え?」
「見るんじゃないっ!!」
遅すぎた。香菜瑚は見てしまった。
人と魔が混ざり合った禍々しい蟲の姿を。
もはや声とは思えないほどの悲鳴を上げながら、少女は尾咲の腕の中で暴れだした。
ドサッ
すぐ背後で物音がした。
思わず振り返った尾咲が見たものは、膨張し続ける蟲の性器に耐えられず、真っ二つになって床に落下してきたお妙の骸だった。
「ひっ」
さすがの妖狐も身が強張ったその時、その隙をつくかの様に香菜瑚が腕の中から抜け出してしまった。
「あっ・・・!」
慌てて香菜瑚の襟首を掴もうと伸ばした手を邪魔する様に幾本もの足が振ってくる。
「しまった!嬢ちゃん!!」
蟲の足で遮られた視界の向こうから香菜瑚の絶叫が聞こえた。
「ヒヒ・・・ヒヒヒ・・・どうやら源蔵さんじゃないようだねぇ・・・この身体の本当の持ち主かい?源蔵さんも苦労してるんだねぇ ヒヒッ」
足がざわめき、出来た隙間を無理やり抜け出した尾咲を義介は見下ろした。
201 :
雨宿り 二晩目「明鏡止水」:2005/05/05(木) 22:07:31 ID:ZL0VJtFD
「姉さんも・・・人間じゃないだろ?え?・・・ヒヒヒッ でも別嬪にゃ変わりない・・・おとなしくしてな!」
岩でも降ってきたかのような衝撃と共に尾咲の身体は再び床に叩きつけられた。
「ぐぅう・・・」
苦悶するその背を無数の足が小突き回した。
「ぐぁっ あっ がぁっ」
「ヒヒ・・・」
すでに彼女の浴衣はボロキレとなり、たわわな乳房も豊満な尻もそれらを隠す物は何も無かった。
「イイ尻じゃ!でっぷりと脂がのってうまそうじゃ!どれ、振ってみぃ!!その尻を振ってみぃ!」
蟲は尾咲の尻を蹴り、踏みつけ、そして蹴った。
「あ・・・あ・・・」
ついには床にぐったりと伸びてしまった尾咲を見て満足げな溜息を漏らすと、蟲はそのどろどろの視線を先に捕らえた娘に移した。
あまりの恐怖に放心した娘はぐったりと男の腕の中に納まっていた。
すぐ目の前にあるうなじの白さに満足げに眼を細めると、義介は舌を伸ばした。
長い。
見る間に口から伸びた舌は三尺はあるだろうか?まるで蛇を口の中にしまいこんでいたようなものだった。
「いただくぜ、お嬢さん・・・」
狂気に眼を血走らせながら義介はうなじをその長い舌で舐め上げた。
「ん・・・」
ピクッと身体が震える。しかし香菜瑚の意識はまだ深い霧の中だった。
「ヒッヒヒッ・・・」
義介は舌を休めなかった。
ベロリとうなじから頬へと時間をかけて舐めてから、可憐な唇をなぞり顎へ、そして白い柔肌が誘う襟元から中へ・・・
「ん・・・ んぅ・・・」
その敏感な肌をねぶり舐められる刺激に、機械のように反応だけしていた少女の息は、やがて熱い物へと変わっていった。
着物の中に潜り込んだ舌は乳房に巻きつき、滾々と染み出る唾液にまみれさせながらその弾力を楽しみ、頂の蕾さえも器用に絡みついた。
「んぁ や 」
明らかに紅潮してきた頬に唾液を滴らせながら、舌は微妙な力加減で乳首を摘む。
半開きになった唇の端から唾液が光り、とろんと開いた瞳は濡れていた。
「はぁ・・・」
紡ぎ出る吐息も悩ましく、香菜瑚は無意識のうちに腿をすり合わせ始めた。
「感じてきよった・・・こんな可愛い嬢ちゃんが! おうおう、もう少し待っとれよ〜」
舌を伸ばしたまま器用にしゃべりながら蟲は舌を脇まで伸ばした。
「んっ んふ・・・」
なすがままの少女は荒い息を漏らしながら身を震わせるだけだった。
ジュチュ ジュ
着物の中から湿った粘着音が絶え間なく聞こえてくる。
蟲の唾液が身体に塗りつけられていくと共に少女の愛らしい口から漏れる息が喘ぎに変わっていた。
「あっ んっ ダメ・・・ダメです はぅっ じゅ・・・うぞ・・・さっまぁ」
無意識に上げた手が義介の頭を抱えた。
狂喜した義介が臍を擽っていた舌先をさらに下へ潜らせた。そこはもう充分潤っているだろう。
そんな蟲の身体に衝撃が響いたのは、まさに淫猥な舌が香菜瑚の淡い茂みを通り抜け、股間に潜り込んだときだった。
衝撃の直後に訪れたのは身を八つ裂きにされんばかりの激痛だった。
「がぁああああっ!!!」
思わず香菜瑚を放り出し身体を廊下中に打ちつけながら蟲はのた打ち回った。
自分の身に何が起こったのか? さっぱり見当もつかなかった。
「な、何じゃぁあ!?」
ヒィヒィいいながら痛みのする方へ目をやる。
そこには無残にも長い身体のほぼ中央でぶった切られた己の体と、その向こうには勝手にのたくり暴れている千切られた半身が写った。
「かっ 体が!!?」
先程までの余裕綽々ぶりが一気に吹き飛び、義介は間断なく襲い掛かる激痛をただ堪える事しか出来なかった。
「う・・・ぐぅぐぅううう!」
堪えるしかないとは言うものの、それはとても長時間我慢していられる痛みではなかった。
「ヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁ」
白熱する脳が意味の分からない唸りを上げさせ、義介は両手で頭を掻き毟った。
「ぢ、ぢくしょう!! 誰だぁあっ グゥウ・・・ ひでぇ事しやがる!!」
涙と鼻水をだらしなく垂れ流しながら、誰に当たるでもなく上げた咆哮に答える声があった。
「俺だが?」
がっと眼を剥いた闇の中に一人の男が立っていた。
「な!!? 貴様ぁ!」
「俺が、やった。」
「・・・あ・・・」
義介に痛めつけられ息も絶え絶えの尾咲がその声に反応した。
「・・・・・・道満・・・?」
チラッと尾咲に目をやると道満はゆっくりと義介の方に歩みだした。
「やってくれるじゃないか?たかが蟲ケラが。 油断したとはいえ、見事だったぜ。俺を地ベタに埋めるまではな」
「ぐ・・・」
「だが、次がよくねえ。あんな見よう見まねの結界で、俺をいつまでも縛り付けられるワケ、ねぇよな?」
道満が一歩進むと蟲は一歩(?)後ずさる。
義介の顔は痛みに変わり恐怖が支配していた。
「くっ・・・ この人間風情がっ!!」
「あ、そうそう・・・」
蟲は目の前のちっぽけな人間を押しつぶそうと、思いっきり仰け反らした上体を床めがけて叩き付ける。
「アイツも、あれぐらいの結界でおとなしくしてる奴じゃない」
蟲の腹が道満の頭に激突する間際、床を突き破り光の弧が飛び出した。
「ふっ」
ニヤリとする道満の目の前で、その光は豆腐を包丁で切るように何の抵抗もなく蟲の体を切断した。
「ぎぃやあああああああああっ!!」
再び真っ二つにされた蟲の胴体は、潰すはずだった男を挟むようにして床に激突した。
「よう、十蔵」
その声に導かれるように床板の一部が弾け飛び、一人の男がゆっくりと立ち上がった。
「ああ・・・」
その男の横顔に尾咲は思わず涙をこぼした。
「・・・十蔵さん」
「お、尾咲殿!」
全身傷だらけの尾咲の姿に十蔵の細い目は一瞬大きく見開いた。
駆け寄り、優しく抱き起こそうとする男の腕を尾咲は止めた。
「あ、アタシより・・・香菜瑚嬢ちゃんを・・・」
「香菜瑚殿!?」
「・・・そこに倒れてるぜ」
道満が指差す先に少女が倒れていた。血まみれで・・・
「かっ香菜・・・!」
言葉を失う十蔵。
「ごめん・・・なさい・・・」
うなだれる妖狐の女が呟く謝罪の言葉・・・
静かに尾咲の体を床に下ろすと、大男は無言のまま香菜瑚の元へ歩み寄った。
全身が生臭い血に覆われ、外傷が見当たらない。
「・・・」
震えるひざを床に付き、震える指先を義妹に伸ばす。
「あ・・・」
大きな手で、細い肩を優しく抱く。
愛しげに綿のような華奢な体をその胸に抱く。
「 香菜瑚ど・・・ 」
優しく語りかける十蔵の顔面に、抱いた少女の鉄拳がめり込んだ。
「悪ぃな、俺だ・・・」
「あ、兄上・・・?」
「後から来るとは思ったが、ちぃっと遅すぎじゃねぇか?コラ」
鼻血をだしながら慌てて十蔵は兄に謝った。
「不覚・・・でした」
「まったくだ!」
源蔵は弟の腕から飛び出すと体中掻き毟った。
「うぇえ・・・気持ちワリィ!ナメクジが体中這ったみてぇだ!」
「あの・・・お怪我は?」
「心配すんな、どこもねぇ。ちなみに舐められただけで香菜瑚の観音様も無事だぜ」
「あ、兄上っ!!」
真っ赤になった十蔵をからかいながら源蔵は床に伸びている蟲に眼をやった。
「哀れなモンだなぁ、おい」
切断面から体液を垂れ流しヒクヒクと痙攣する蟲と義介。
しかし、最初に千切られた下半身の方は家の奥でまだ暴れているらしい。
細かい振動が収まらない。
「全く・・・これだから蟲は好かないんだ・・・」
肩をすくませ道満は屋敷の奥へと足を向けた。
「オイ・・・」
源蔵の声を無視し陰陽師は尾咲の前で一旦歩みを止めた。
「大丈夫か?尾咲!?」
憎悪に満ちた目で女は男を睨みつけた。
「よくもぬけぬけと! 殺してやるっ!!」
「今夜は無理だな。」
道満は平然と見返した。
「体を治せ。そうしたらまた相手してやる」
「クッ・・・」
悔しそうに歯噛みする尾咲を残し、道満は闇の中に消えていった。
「義介・・・おめぇ、ハナッから化け物だったのか?」
源蔵の問いに蟲はしゃがれた声で答えた。
「・・・違うね・・・こいつはこの家に来たときは人間だった・・・」
「はぁん、オメェこの家に巣くってたのかい。それで雨宿りに来た義介に取り付いた」
源蔵の推理に蟲はいびつな笑みで答えた。
「取り付いた? 違うね! この人間は俺と一緒になりたがったのよ!!」
パカッと開けた口から赤い血と黄色い体液がゴボッと吐き出された。
すでに義介を救う手段は無い。人間らしく死なせてやることも出来ない。
化け物のまま死んで行くしかないのだ。
「・・・一緒になりたがった? 嘘をつくな」
静かな怒りを湛えて源蔵は否定した。
「お前なんかと一緒になりたがる程酔狂な奴じゃなかったぜ、この人はよ!」
「うぇへっへ・・・いいや、嘘じゃないね 俺は言ってやったのさ。
この家からすぐに出て行けば命は獲らない。
ただ、お前が俺と共になるならお前はここにいていい。
俺と一緒になれば今まで出来なかった事が思うがままだ
侍に頭を下げる事もない 役人にイジメられることもない
今まで手も出なかった女も好き放題に出来る
うまくやれば"金"という奴もたくさん手にいれられる とね」
源蔵の瞳は怒りに細まった。
「誘ったんじゃねぇか」
「ああ、誘ったさ! だがそれに乗るも乗らぬもコイツ次第! 俺は命を獲るとは一言も言わなかった・・・ コイツが自分で決めたのさ!! 何の迷いも無く俺と一緒になると言いやがった」
ヒヒヒとあざ笑う蟲の声が嫌に耳に付いた。
ひとしきり蟲に笑わせた後、源蔵は静かに口を開いた。
「いつ取り付いた? ああ、いいや。 もうそんな事聞いても意味が無い。覚悟するんだな、蟲ケラ」
その言葉に妖蟲は最後の力を振り絞って身を起こした。
胴体のほとんどを切り離されているとはいえ、その背丈は十蔵を凌ぐ。
「調子に・・・乗るなよっ!人間ごときが 虫けらとはお前らの方だ!!」
〜そのとおりかもしれねぇ〜
すでに死相が浮かび始めている義介を見上げながら、源蔵は静かに思った。
〜誘ったのはコイツだが、誘いに乗ったのは義介だ・・・ったく人間って奴はよ〜
勝負はついていた。
いつの間にか、家の奥で暴れていた下半身の気配が無い。
道満がきっちりケリをつけたのだろう。
「人間がぁ・・・」
威勢よく起き上がった割には、自らの体を支えられないのか?蟲はふらふらと体を揺らしている。
「何を望んだ?」
悲しみをその声に乗せ、源蔵は義介に最後に問うた。
「何を願った?」
力ない義介の瞳が源蔵の顔を見た。
「"人"を捨てて何を得た?」
その返答は無かった。
「十蔵・・・死なせてやってくれ」
「・・・御意」
すっと源蔵の前に出た十蔵は、刀を抜くでもなく静かに義介を見つめた。
義介の口から最後の言葉が聞こえた。
「・・・お涼・・・」
蟲の最後のわめきが聞こえた。
「人間がっ 人間がっ 人間がっ!!!」
崩れ落ちるように、蟲は十蔵に襲い掛かった。
曇りなき鏡のごとく
静かなる水のごとく
明鏡止水
明鏡止水
ただ、鞘から刀身を抜いただけのように見えるその動きだけで義介と蟲は死んだ。
命を失ったモノが樵が切った木のように無機質に傾き、倒れ、終わった。
「・・・」
無言で義介の顔を覗きこむ源蔵。
「・・・お涼・・・孫娘だったな。おめぇ・・・もしかしてお涼のために・・・」
義介がその問いに答えられる道理はなかった。
「兄上!」
「あ?」
弟を見上げた眼が眩しさにくらんだ。
「あ・・・朝、かよ?」
「雨も・・・上がりました」
「ああ、上がったねぇ・・・」
ゆっくりと立ち上がると源蔵は尾咲に声をかけた。
「死んでる?」
「・・・死んでない」
ぶすっとした顔で答える妖狐。
「待ってな、羽織るもんと薬探してくる。十蔵、尾咲んとこについててやれ」
「御意!!」
「え? ええ!? ちょっ!十蔵さんっ い、いいっ!大丈夫!!」
尾咲の悲鳴に近い声を聞き流しながら、源蔵は大きく穴の開いた天井から覗く朝の空に眼をやった。
「よぅく、晴れてらぁ・・・」
「雨宿り」 〜二晩目 明鏡止水〜 おしまい
「雨宿り」 完
213 :
1です:2005/05/05(木) 22:23:01 ID:ZL0VJtFD
随分勝手をやらせてもらいましたが、ようやく完です。
エロくなくてすいません。
さて、バジもアニメ放映が始まり、ヤンマガにも柳生の連載が始まりました。
このスレも賑わってくれればいいなあと思う今日この頃です!
職人サンGJ!
バジの小四郎×お胡夷とか今サイト用に書いてます
なんかネジ足りない同士っぽくて好きなんですよね〜
友達しか同志がいませんが(ノ∀`)
上手い!読み応えたっぷりでした。職人さん乙!
やっぱ、源蔵っていいキャラだよな。尾咲との後日談とか原作でもっと読みたかったよ
216 :
1です:2005/05/09(月) 22:12:34 ID:I2qmmTCA
>214
>215
レスありがとうございます!
こんなダラダラした話になってしまいましたが、一応目指したのは「カッコイイ源蔵」でしたw
誤字脱字や設定間違いなど後悔しまくりですが、一応完結できたのでヨシとします・・・^^
ところでヤンマガの柳生忍法帖、千姫がカッコいいですよね〜!!
若き千姫と幼い天秀尼様のほのぼの百合SSでも読んでみたいです〜
217 :
名無しさん@ピンキー:2005/05/15(日) 23:04:24 ID:SK6H2PKc
天に住まう皆々様に申し上げる
地に住まう皆々様に申し上げる
海に住まう皆々様に申し上げる
我 皆々様の恩恵受け 命紡ぐ人の子也や
我 皆々様の御力 畏れ敬い奉る者也
天に住まう皆々様に申し上げる
地に住まう皆々様に申し上げる
海に住まう皆々様に申し上げる
我 力なき者なれど 一片の望みあり
我 永代の刹那に 皆々様の御力望みし者也
天の許し
地の許し
海の許しあるならば
我 皆々様の御名 永続と称えん
天と地の狭間に
地と海の狭間に
海と天の狭間に
我が望み結実せしめん その御力
光となりて闇滅しせしめん
我が望み 聞き届けたまえや
我が望み 成し現したもうや
我が望み age!!
218 :
名無しさん@ピンキー:2005/05/18(水) 23:06:45 ID:BbMY3WsY
リクエストはいいのかな?
出来れば蛍火と夜叉丸で。
___
,´ ,、,、`ヽ
| ソ_,:._ヽl
|ヾト´A`)|,| <弦之助様のおならはくさくないよ
/ヽσ/ヽσ
) )
んふっ!
保守
天膳と陽炎の新婚生活ネタとかどうだろ
同衾の度に野垂れ死ぬ新郎
そんな・・・そんな新婚生活・・・!!
・・・イイ・・・
224 :
1です:2005/06/01(水) 20:23:37 ID:YnBMyaK0
半分ほど開けた障子から静かに風が舞い込む。
照らす明かりは差し込む月光のみ。
乱れた寝巻きはそのままに、汗にべとついた髪に指を潜らせながら女は傍らの男に眼をやる。
男は彼女の夫で
男は死んでいた
「懲りない馬鹿・・・」
呟きながら青白い月光に浮かばせた顔は美しく、それゆえに感情を失った瞳が際立った。
「・・・」
無言のままに死体の手を取る。
すでに「生」の証である体温は殆ど失われ、人の体がただのモノに変わろうとしていたその刹那・・・
ト・・・クン
ありえない。
何故死体が脈打つのか?
トクン トクン トクン トクントクントクン・・・
キュッと握っていた手が握り返され、死んだ夫の瞼が痙攣し始めた。
「・・・お前さま・・・」
静かな、そして氷のように冷たい女の声に答えるように男の目が開いた。
225 :
1です:2005/06/01(水) 20:25:49 ID:YnBMyaK0
死より目覚めた薬師寺 天膳は声の方を、己の妻の顔を見つめた。
「・・・美しいな・・・お前は」
「・・・・・・嘘・・・つき」
「何と・・・?」
>222
こんな感じでしょうか?突発的に出だしだけ書いてしまいました^^
後はどなたかお願いします(無責任だな〜)
1さん凄いw
スゲwwwww
Y十Mはさくらちゃんが一番かわいい!
二番目に好きなのはお品さんだったりする
229 :
1です:2005/06/10(金) 22:33:35 ID:jEP2X/Mi
この極貧スレも来週で一周年を迎えます。
ここまで持ったのも皆様方のおかげです。
というわけで勝手に一周年記念にと、小物のSSを書こうかなと思ってます。
蛍火で・・・
この娘、本当に難しい・・・
今まで以上にヘタレな出来になりそう・・・
230 :
名無しさん@ピンキー:2005/06/11(土) 01:48:39 ID:52F37aqy
>214、馳せ参じまして候。
・・・・・うーむ、GJ!!
>1、心待ちにしておりまする。
左衛門・おこいまだ〜チンチン
朱絹小四郎…/ ,' 3 `ヽーっ
233 :
通りすがり:2005/06/12(日) 17:56:57 ID:hzfeXBj1
「小四郎殿……中に入りましょう。
こんな所にいつまでもいては風邪をひいてしまいます」
長時間雨に打たれていたのだろう。
小四郎はすっかり冷たくなってしまっている。
朱絹は身体をそっと身体を離そうとした。
しかし、小四郎はそんな朱絹の背に手を廻すと、彼女を強く抱きしめた。
「こ、小四郎殿?」
冷たい雨の中、川の中に居るというのに朱絹の身体は熱を覚えた。
男は朱絹の胸に顔を埋め、呻くように言った。
「朱絹殿かどうかさえ分からぬとは……」
「雨のせいで音も匂いも流れてしまっているのです。
わたくしとてこの状況で後ろを向いていたとしたならば、
来た者が誰かなど正確に判断できはしますまい」
言葉を選んでいることを悟られないようにしながら、
朱絹は小四郎の頭をそっと抱きこむと、
朱絹の背に廻されていた腕の力が強くなった。
「朱絹殿……頼みがござる」
「わたくしに出来る事でしたら」
「せめて、せめて朱絹殿だけはいつでも貴女と分かるよう、
貴女を俺に刻み込んではくれますまいか」
「小四郎殿……」
男の申し出に朱絹の鼓動は早くなり、
身体はもはや水を冷たいとは感じなくなっていた。
234 :
名無しさん@ピンキー:2005/06/12(日) 20:16:48 ID:ZIyJS4jK
あうん・・・(ガンガレ!!)
ひいぃ!ありがとう!
236 :
1です:2005/06/14(火) 22:36:06 ID:ynUNUfOq
通りすがり殿!
頑張ってください!!
待っちょります
祝!一周年!!
237 :
蛍の舞う光景:2005/06/22(水) 22:47:28 ID:RSlMiZMK
「はぁ・・・」
蛍火は溜息をつき、夜空を見上げた。
今夜は待ち望んだ夜
あの方が帰ってくる。
たった一月ほどの別れ
されどその少女にとっては悠久とも思える時の流れ
何故?
何故、これほど陽が落ちるのが遅いの?
どうして何時までも月が出ているの?
いかに少女の小さな胸が締め付けられ、淡い想いに焦がされようとも日の巡りは変わらない。
少女はただ待つことしか出来なかった。
そして今夜を迎える。
先に届いた文で首尾よく任を果せた事を伝えた夜叉丸は、里に戻る日を文の最後に記していた。
忍びとしては行ってはならない行為だった。
もし、その文が敵の手に渡ってしまったら?
里に戻る日を逆算され、待ち伏せにあったら?
238 :
蛍の舞う光景:2005/06/22(水) 22:48:52 ID:RSlMiZMK
「夜叉丸ともあろう者が・・・」
薬師寺 天膳は眉を顰めたものだ。
無論、天膳にはわかっていた。里の者もわかっていた。
最後の一文が誰に宛てた物なのかを・・・
それ故に天膳も、里の者も・・・お弦婆でさえも、その事をそれ以上口には出さなかった。
「が、しかし・・・」
小豆老はそれでも小言を口にした。
「まあ、何だの・・・・・・戻ってきたら、お主の口から言い聞かせよ・・・」
蛍火がむっと眉を上げるのを見届けた老人は肩をすくませた。
「ま・・・・・・・・・良かったの・・・」
今度はキョトンと丸くなった蛍火の目を見届けた老は、再び肩をすくませると蛍火の元から去っていった。
「・・・恥ずかしい爺様だ・・・」
その様子を影から覗き見しながら唸る蓑念鬼の脇で、クスクスとこみ上げる笑いを堪えきれない朧。
「いいえ、可愛いお爺様よ」
袂で口を押さえながら、朧はなかなか笑いが収まらない。
もうたまらなくなって、蓑の背中に顔を押し付け笑い続ける始末。
「むむ・・・姫様!?」
驚いたものの満更ではない念鬼はニヤける顔をそのままに、自慢のひげをしごいたものだ。
239 :
蛍の舞う光景:2005/06/22(水) 22:50:17 ID:RSlMiZMK
「蛍火・・・」
愛しい男を待つ少女に声をかける者がいた。
「朱絹?」
「遅いわね・・・」
その言葉は何気ない風でありながら、どこか含むものがある声色で放たれた。
「・・・すぐに戻ってこられるわ」
無機質に言い返す蛍火の語気は静かに強い。
自分の言葉を信じて疑わない強さだ。
〜だけど〜
それでも朱絹は思わずにはいられなかった。
〜もし、帰ってこなかったら・・・?〜
ありえる話だった。
起こっても不思議ではなかった。
〜いくら待っていても、戻ってこなかったら?〜
口には出せなかった。
彼女の眼を真正面から見つめる少女の瞳がそれをさせなかった。
「すぐに戻ってこられるわ」
強い・・・とても強い言霊・・・
「・・・」
フッと朱絹は息を抜いた。
240 :
蛍の舞う光景:2005/06/22(水) 22:51:24 ID:RSlMiZMK
「そうね・・・お邪魔だったわね。それじゃ・・・」
静かに蛍火の視線を見返すと、朱絹は彼女に背を向け歩き出した。
〜それでも・・・・それでも帰ってこないかも知れないのよ〜
雨夜が動いた。
配下の忍びに命が放たれる。
『夜叉丸を探せ!見つけ出して蛍火の元へ導け!!』
その動きはすぐに里中に知れることとなった。
「陣五郎の奴・・・馬鹿げた話だっ!」
天膳は忌々しげに部屋の中を歩き回った。
「こんな手のかかる忍びがいるか!? ええいっ 小四郎!」
音も無く障子がひかれる。縁側には一人の忍びが控えていた。
「夜叉丸を・・・探せっ」
「蛍火の元へ?」
「・・・お前がそうしたいなら、そうしろ!」
「・・・御意!」
そこに居た忍びは居なくなっていた。
「チッ」
舌打ちすると天膳は開け放たれたままの障子から覗く満天の星空を見上げた。
「馬鹿げた話だっ」
おおお!
続き超期待
蛍火かわええ
244 :
通りすがり:2005/06/28(火) 02:43:51 ID:2D76syFV
>>233です。
続きかいてみたので、落とします。
少し長いですが、ご了承下さい。
小四郎×朱絹の和姦ものです。
245 :
通りすがり:2005/06/28(火) 02:44:15 ID:2D76syFV
小四郎は一人で歩けると言ったし、実際彼は一人で歩けたけれど、
朱絹は小四郎の手を引いて川から上がった。
小屋には朧と天膳、陣五郎が居るから、小屋に戻る訳にはいかない。
小屋とは反対、林の方へと手を取り合って歩きながら、朱絹は、
まるで自分が誘っているようだと思った。
雨が小降りになったのか、それとも木の枝が雨の雫を遮っているのか。
身体を打つ雨は少し弱くなってきた。
小四郎が足を止めた。
「朱絹殿」
名を呼ばれ、足を止めて振り返ると小四郎が繋いでいた手を強く握ってきた。
「どこまで行かれる」
「あ……」
自分が目的もなく歩いていた事に気づいて、朱絹は返答に窮した。
この辺りには、皆で雨露をしのぐために使っている場所の他に
小屋や家は一つもなかった。
多少長く歩いた所で、二人が身を寄せられる場所などないのだ。
朱絹は今更、皆に気づかれぬ所まで離れたいと思っていた自分に気づいた。
「いえ、ただ……どこか、雨をしのぐ場所をと……」
自分の気持ちを悟られぬようにそう言うと、小四郎が唇を噛んだ。
246 :
通りすがり:2005/06/28(火) 02:44:34 ID:2D76syFV
「こ、小四郎殿?」
「申し訳ない。そのような気遣いまで朱絹殿に……」
「何を申されますか」
「しかし、俺が……」
気がつくと朱絹は小四郎に抱きついていた。
「小四郎殿……もう、何も申されますな」
「あけ…ぎぬ……」
他人行儀な呼び方などして欲しくなくて、朱絹はそこで小四郎の唇を塞いだ。
驚いた小四郎が顔を引いたけれど、朱絹は構わずその頬に手を伸ばし、
「わたしにも、貴方を刻み込んでくださりませ」
と告げた。
小四郎の顔がこちらに向いている。
目は見えずとも、おそらく自分を見つめてくれているのだろう。
朱絹は彼の手を取ると自分の頬へと引き寄せた。
小四郎が自ら、もう片方の手も使って頬に触れてきた。
始めはぎこちなく動いていた指が次第に滑らかに動くようになって来た。
その動きが朱絹を高めていることを知ってか知らずか、
小四郎の指は朱絹の頬に留まらず、瞼を、鼻梁を、唇を丹念になぞった。
247 :
通りすがり:2005/06/28(火) 02:44:58 ID:2D76syFV
繰り返し繰り返し触れられるうちに、小四郎への想いに火照っていた
朱絹の身体はそれ以上の熱を帯び始めていた。
瞳が熱に潤んでいるのが自分で分かる。
小四郎の顔が僅かにかすむ。
「小四郎……どの……」
言い知れぬもどかしさに耐え切れなくなった朱絹が小四郎の腕にすがりつくと、
彼は一度強く唇を嬲り、乱暴に朱絹の唇へと自分のそれを押し付けた。
歯と歯がかちりと音を立ててぶつかり、僅かな痛みが歯茎に走った。
けれど、小四郎は唇を離そうとはせず、朱絹の唇を貪り始めた。
始めは唇を吸うだけだったが、次第に齧り付くように歯を立て、
味わうように舌を這わせ、小四郎は朱絹の意識を揺らがせる。
そして、彼の色事には疎そうな無粋な動きが却って朱絹の心を揺さぶった。
「ふ、ぁ……う…んっ……ぅ…」
朱絹が声を零せば零すほど、小四郎の動きは強くなる。
彼に答えたくても、彼の乱暴な、けれどどこか縋るような仕草がそれを拒む。
「こし……ろっ………」
息を継ぐ間にやっとの思いで目の前の男の名を呼ぶと、
小四郎はようやく我に帰ったかのように動きを止めた。
248 :
通りすがり:2005/06/28(火) 02:45:18 ID:2D76syFV
「あ……朱絹、どの…すまぬ。つい……」
明らかに狼狽している様子を見て、朱絹の中には彼に対して
愛しいと思う気持ちまで生まれ始めていた。
改めて彼の手のひらを自分の頬に押し付けて、首を左右にゆっくりと振り、
何も問題は無いのだと言うことを伝えながら、朱絹は言った。
「いいのです……ただ、あまりに貴方が愛しくて、
私を乞うて下さる貴方が愛しくて……」
ですから、と朱絹は男の両の頬を包み込み自分の方へと引き寄せた。
「ですから、もっと乞うて、貴方を私に刻み込んで下さりませんか」
「あけ、ぎぬ……」
やはりよそよそしい言い方など聞きたくない。
朱絹は踵を上げ、小四郎の唇をぴたりと塞いだ。
「ん、ぉ……」
僅かに小四郎の唇からたじろいが伝わる。
忍びとはいえ、女からけしかけるのは軽率かと思いはしたが、
朱絹は自分の衝動を止められぬまま、小四郎の唇を貪った。
舌をくぐらせ、隙間を埋めて、漏れる息も零してしまわぬようにと
手を逞しい首へ移すと、小四郎の手が背へと落ちてきた。
249 :
通りすがり:2005/06/28(火) 02:45:35 ID:2D76syFV
そしてそれは背を通り過ぎ、腰を経て、朱絹の柔らかな双丘を鷲掴みにした。
「っ……!」
身体は意識していた以上に高まっていたらしく、
そうされただけで朱絹は自分の内から零れ落ちる熱を感じ、眉を顰めた。
小四郎の口内を探る動きが一瞬止まってしまったが、
今度は逆に小四郎が同じ動きを朱絹に与えてきた。
やはり不慣れだ。
この期に及んで、冷静にそんな事を考えている自分が居る。
けれど、それにも関わらず、それともだからこそなのか、
必死に自分をまさぐる手を、舌をもっと欲しいと思ってしまう。
この男に自分だけを刻み込みたいという欲が沸いてしまう。
朱絹は自分の欲に従って、更に小四郎に身体を寄せた。
小四郎の男が、下の腹に感じられた。
まるで、自分をおまえに刻み込みたいのだ、と言っているかのように
朱絹の柔らかな下腹を圧してくる。
小四郎自身もそれを分かっているのだろう。
着物の裾がたくし上げ、腰巻も捲り上げ、彼の手は既に朱絹の内腿へと
侵入を始めていた。
早く彼を刻み付けて欲しいという思いに、淫らに彼を望んでしまっている
自分に対する羞恥が混ざり、朱絹はその手から逃れるように腰を引いた。
250 :
通りすがり:2005/06/28(火) 02:45:53 ID:2D76syFV
しかし、それは小四郎に自分の身体を更に押し付けることにしかならない。
小四郎の動きはその荒さを増し、雫が伝わった箇所に彼の指が触れた。
小四郎もそれが分かったのだろう。
指はその水跡を伝い登り、朱絹が熱い雫を零す源へとたどり着いた。
「朱絹……あけぎぬ…っ」
小四郎が掠れた声で名を呼んだ。
混ざり合った唾液にまみれた男の唇が、同じように濡れた朱絹の唇の上を滑る。
男の無骨な指が往復しながら身体の中へと沈んで行く。
「こし…ろっ……」
自分の名を呼ぶ声に応えたくとも、上手く息が継げない。
小四郎が内を乱すせいで、立っているのもやっとだった朱絹は
思わず身体を反らし、大きく喘いだ。
唇が離れた事で不安になったのか、冷静さを取り戻したのか、
小四郎は朱絹から手を放し、動揺した声を出した。
「あ……朱絹、どの……す、すまぬ」
首を横に振ってみたが、目が見えない小四郎はその間を不穏なものと
勘違いしたらしく、また、すまぬ、と言った。
251 :
通りすがり:2005/06/28(火) 02:46:12 ID:2D76syFV
その事に朱絹は心臓を掴まれたかのような痛みを覚えた。
離れてしまった彼の手を掴んで朱絹は言った。
「貴方が謝る様な事は何も……何も無いのです、小四郎殿」
「しかし、俺は……貴女の許しを得る事もせず」
「その様なものはいりませぬ。……小四郎殿」
朱絹は彼の手を引いたまま数歩下がり、背後の木にとん、と背を預けた。
小四郎は躊躇いを隠せないまま朱絹に引かれるまま数歩進み、
彼女が止まると彼も足を止めた。
「小四郎殿……貴方をわたしに、と申したではありませんか。
貴方もわたしを、と申して下さった」
濡れて解け難くなった帯をどうにか解くと、朱絹は肌蹴た胸元へと
彼の手を引き寄せ、己の乳房の上にそれを重ねた。
「あ、朱絹殿……」
「わたしを……淫らな女とお思いにならないで……」
生娘のように声を震わせながら、朱絹は小四郎の腕を掴んで自分の方へと引き、
再び彼の唇へと自分の唇を触れさせた。
離さずにそのまま唇を深く絡ませ、舌を覗かせると、
僅かな躊躇が感じられはしたものの小四郎も顔を押し付けてきた。
252 :
通りすがり:2005/06/28(火) 02:47:34 ID:2D76syFV
乳房に触れているだけだった指が肌に食い込んでくる。
小四郎の動きがまた荒いものへと変わり始めた。
痛みは感じるが苦痛ではない。
むしろもっと、もっと、と言うように朱絹は小四郎の頭を両手で抱え込み、
舌で小四郎の口内を蹂躙した。
小四郎もそれに応えてくる。
腰の辺りを探っていた手が腰巻の結び目を解き、朱絹は燃えそうなほどに
火照っていた下肢にひやりとした外気が触れるのを感じ、
それに続いて小四郎の分厚い手のひらを脚の付け根に感じた。
それだけでまた身体はねっとりとした雫を生み出す。
直に触れられたのは先ほどの数秒だけだったというのに、
今はまだ触れられていないのに、朱絹の身体は狂おしいほどに高まっていた。
もうこれ以上は待てない、と片手を小四郎の頭から首へと落とし、
そして胸へ、腹へと手を辿らせて、朱絹は小四郎の腰帯に指をかけると、
それに合わせるかのように小四郎の指が身体の入り口を行き来し始めた。
253 :
通りすがり:2005/06/28(火) 02:47:53 ID:2D76syFV
「ふ……うっ………」
指が僅かに差し込まれると、そこに留まっていた粘液が今まで以上にあふれ出し、
脚から膝へと流れ落ちるのを朱絹は感じた。
きっと小四郎の指にも伝わった。
これまで既に自分から彼を誘う言動をしてきたにもかかわらず、
朱絹は羞恥に眉を顰め、舌の動きを無意識のうちに鈍らせた。
動きの鈍った口の隙間から荒い息遣いが数度聞こえ、小四郎が息も継がずに
自分を貪っていたことを伝えてくる。
それからまた、小四郎は唇に吸い付き、口内を巡ってきた。
指も更に沈められ、雨の中でも聞こえるほどはっきりとした粘質の音を
朱絹から引き出している。
羞恥に愉悦が混じって朱絹はめまいを覚えながらも、自分も貴方が欲しいのだ、と
小四郎の肩にすがりつきながら、手を小四郎の屹立したものへと触れさせた。
肩がぴくりと跳ねたが、小四郎が躊躇う様子は感じられなかった。
小四郎の熱塊を手の平で包み込み軽く扱くと、小四郎は小さく呻いて唇を離した。
254 :
通りすがり:2005/06/28(火) 02:48:08 ID:2D76syFV
「朱絹……」
二人の唾液に濡れた唇が自分の名を紡ぐだけで、
これ以上ないというほど高まっている筈の欲情が更に増す。
「小四郎殿……もう、おねがい……」
朱絹は小四郎に手を添えたまま、自分の方へとそれを招いた。
小四郎は指を朱絹から引き抜くと、濡れたままの指で朱絹の尻を鷲掴んだ。
朱絹の乳房が赤くなるほどそれを揉みしだいていた手を脚に添え、
小四郎は朱絹の片足を持ち上げた。
しとどに濡れた秘部を大きく開かれ、朱絹はそこを見られぬ安心感と
見てもらえぬ切なさの間で揺れながら、熱が滲み始めた小四郎の先端を
そこへと押し当てた。
「小四郎殿……っ」
「朱絹……あけ、ぎぬっ……」
先端が熟れた場所を掻き分けるようにゆっくりと侵入してきた。
「あ……っ、は………」
指では得られなかった熱さがこみ上げてくる。
「小四郎……」
愛しさに名を呼んだ次の瞬間、朱絹の身体は強く貫かれた。
255 :
通りすがり:2005/06/28(火) 02:48:29 ID:2D76syFV
「んあぅっ!」
いちどきに熱い塊に身体を押し上げられ、身体が仰け反る。
ずちゅ……と淫猥な音がして小四郎の身体が僅かに引かれた。
縋るものを求めて小四郎に抱きつこうとしたが、抱きついたかどうかのうちに、
朱絹は再び小四郎に強く貫かれた。
「ひ…ゃうっ!……こしろっ…………ア、ぁあッッ!!」
名を呼ぶ間も与えられないほどに朱絹は繰り返し、
小四郎の乱暴とも言える抽送を受けた。
木に押し付けられている背中が痛い。
痛いが、目の前で獣のように息を荒げ、自分を貪る男にそうされているだけで、
そんな痛みさえ朱絹にとっては快感に感じられた。
「朱絹ッ!……朱絹ッッ!」
荒い息遣いに混じる掠れた声が自分を呼ぶ。
それに応えて彼の名を呼びたくとも、小四郎の荒い動きはそれを許してはくれない。
「……ッ!ああッッ!……い、ぁ…………んくぅッ!」
今この瞬間、彼の目が見えていたら、自分がどれだけ乱れているか、
どれだけ彼を欲した瞳で彼を見つめているか分かってもらえるのに……。
快感の波に飲み込まれそうになっている心の端で、朱絹はそんな事を感じた。
256 :
通りすがり:2005/06/28(火) 02:48:45 ID:2D76syFV
「あ……あけ、ぎぬっ……」
壊されてしまうかと思うほどの動きをどれだけ繰り返されただろう。
意識を手元に留めておくのがもうほとんど不可能になってきた頃、
小四郎の指が今まで以上に尻に食い込み、朱絹は更に限界まで押し上げられた。
「あッ!……こしろぉぉっ!」
残っていた最後の気力を振り絞って彼の名を呼ぶと、最後にもう一度突き上げられ、
朱絹は身体の中で爆ぜる小四郎を感じながら意識を手放した。
それと同時に小四郎に絡み付いていた脚からも、彼を抱きしめていた腕からも
力が抜けて、朱絹は糸が切れた人形のようにぐにゃりと崩れた。
「あ、朱絹っ……どの!」
そんな朱絹を感じたのか小四郎が慌てて差し出した腕へと、
朱絹は微かな笑みを浮かべて落ちていった。
257 :
通りすがり:2005/06/28(火) 02:49:07 ID:2D76syFV
しばらくして朱絹が目を開くと、目の前には小四郎の顔があった。
あまりに近くにその顔があるせいで動揺したが、
すぐにどうやら彼の膝に居るらしいことに気づいた。
逞しい腕がしっかりと背中を支えてくれている。
顔を覆う布のせいですぐには分からなかったが、
息遣いからしてどうやら眠っているらしい。
次に気づいたのは、小四郎が帷子しか身に着けていないという事だった。
何があったのだろうと、辺りを見回すと先ほどまで小四郎が
身に着けていた物は自分の上に置かれていた。
川の水と雨に濡れ、少し重くなってしまったそれは、
雨露をしのぎ、暖をとるのに適切なものとは言いがたかったけれど、
小四郎の気遣いが嬉しくて、朱絹は小四郎の肩にそっと頬を寄せた。
雨はほとんど止んでいる。
そろそろ戻らなくては天膳あたりが気づくだろう。
いや、もう気づかれているかもしれない。
けれど、まだもうしばらくこうしていたくて、
朱絹は今すぐ小四郎を起こすことはやめにした。
(終わり)
GJ!!
233殿、乙! 天晴れでござる!!
か、神ー!
小四郎童貞卒業おめでとう
小四郎×朱絹……萌えぇ。朱絹さん可愛すぎ!
通りすがり殿、GJでした。
ここ数週間の悶々とした欲求が満たされました。
最後までは読めないと半ば諦めていましたが…激しくGJ!
262 :
1です:2005/06/28(火) 21:42:48 ID:Y69Uo08V
通りすがり殿、超GJ!!
いいもの読ませていただきました!乙です。
こちらは、まだ途中なのですが、240の続きを投下させてください。
遅くてすみません・・・
263 :
蛍の舞う光景:2005/06/28(火) 21:44:42 ID:Y69Uo08V
その星空を同じく蛍火も見上げていた。
「・・・」
里がざわついている。
〜何かあったのかな?〜
自分達のために20を超える忍びが放たれた事なども知らず、ただ少女は待ち続ける。
約束のこの場所で。
問題の「待ち人」の首根っこをひっ捕まえる為に、影の集団は里を飛び出していった。
・・・夜叉丸は 辰の方角から戻るはず・・・
・・・西末の峠 東の要石 六郎杉を探れ・・・
・・・全ての忍び道の見張りには繋ぎをつけた・・・
・・・世話のかかる「夫婦」だな・・・
・・・祝言には呼んでもらわにゃ!・・・
・・・全くだ 散れぃ!!・・・
影が弾けた。
264 :
蛍の舞う光景:2005/06/28(火) 21:46:12 ID:Y69Uo08V
〜お願い〜
野を流れる夜風に髪をたなびかせながら蛍火は月に祈っていた。
〜もう少し・・・少しでいいから、もっと強く照らして・・・あの方がここに帰って来られるように・・・ 私をすぐに見つけられるように〜
あと僅か数刻で、「今日」が終わってしまう・・・
あの文に記してあった日が
夜叉丸が自分との約束を破ったことなど一度たりともない。
信じている。
でも、少女は月に願わずにはいられなった。
これ以上待っていたら気が狂ってしまう。
ふと、気配が動いた。
天から顔を下ろすと、そこには一人の若者が立っていた。
見間違うはずもない。待ち望んだ男だった。
たおやかな風が草葉を揺らす。
月から降りてきた光が辺りを白く染め上げる中、二つの人影は微動だせず静かに向き合っていた。
あれほど焦がれた相手がようやく戻ってきたというのに、本心を打ち明けるともう泣き出しそうなくらいに切なかったのに、蛍火は目の前の夜叉丸に声をかけられない。
『お帰りなさい!』
と言いたかったのに、言ってやりたいのに・・・声が出せない・・・
口を開き、何か言おうとすればもう堪えきれずに泣き出してしまいそうだったから・・・
涙を抑えるのに必死だったから・・・
265 :
蛍の舞う光景:2005/06/28(火) 21:47:26 ID:Y69Uo08V
戻ってきてくれた夜叉丸に涙なんて見せられない!
白い光の中に居る愛しい男に、少女は精一杯の笑顔を作ってみせた。
「何泣いてんだよ・・・」
「・・・え? 泣いてないです」
否定する声も震えていた。頬を伝う涙の感触に少女は気がつかなかった。
笑顔は作れていなかった・・・
「ごめんな、心配かけちまって・・・」
「あ・・・ あ・・・」
もう、限界
「夜叉丸様ぁあっ!!」
蛍火は両手を広げ迎えてくれる胸の中に飛び込んでいった。
押し付けた頬から伝わる、夜叉丸の温もり。
自分を優しく包みこんでくれる夜叉丸の匂い。
力いっぱい愛しい相手の逞しい身体に腕を廻す。
もう、もうこんな思いはしたく無かった。
片時だって離れられない。離れたくないっ!
266 :
蛍の舞う光景:2005/06/28(火) 21:48:54 ID:Y69Uo08V
泣きじゃくる蛍火の頭をポンポンと男の掌が叩いた。
「蛍火、ただいま」
少女は男の胸に顔を埋めながら答えた。
「お帰り・・・なさい」
・・・ケッ 馬っ鹿馬鹿しい! こんな茶番見てられるかっ!!・・・
・・・見たく無ければ帰ればいい。役目は果した・・・
・・・お主、かぶりつきだな・・・
・・・何だ?オメェ泣いてんのか!?・・・
・・・某、こういうのに弱くて・・・
雨夜の放った忍び達は忠実に役目を果していた。
六郎杉から里へ降りてくる夜叉丸を発見。よう、久しぶり、などと呑気に挨拶するガキをひっ捕らえ、蛍火の待つ野まで全速で戻ってきたのである。
任務の締めくくりとして、蛍火との再会を見届けた一同だが、問題はどこまで見届けるかであった。
・・・お主ら、何時まで此処にへばり付く気だ・・・
・・・小四郎!・・・
・・・任は果した。去れ・・・
・・・ほう、天膳の犬がワシらに指図するか?・・・
・・・生意気な若造め・・・
・・・おやめなさい・・・
一瞬、緊張が走ったその場を諌めたのは女の声だった。
267 :
蛍の舞う光景:2005/06/28(火) 21:50:06 ID:Y69Uo08V
・・・朱絹どの・・・
・・・おお、朱絹・・・
・・・大の男衆が子供の覗き見など、褒められた事ではありませぬ・・・
・・・いや、しかし ・・・
・・・お役目、ご苦労様でした。後はこの朱絹が引き受けます・・・
穏やかだが、一歩たりとも退かない意思がにじみ出ている声であった。
・・・ フンッ 退くぞ・・・
その声の余韻がまだ響き終わらぬ内に、忍び達は姿を消していた。
続いて小四郎も身を翻したのだが、その裾を掴む指があった。
・・・あ、朱絹どの?・・・
・・・小四郎どのは駄目です・・・
・・・なっ 何故?・・・
・・・後学の為に、ちょっと覗かせてもらいましょう・・・
・・・えっ それはっ・・・
などと、外野が揉めている一方で
「落ち着いたか?蛍火・・・」
夜叉丸は腕の中の少女を覗き込んだ。
「うん・・・ごめんなさい・・・」
ようやく泣き止んだ少女は男の身体に寄りかかり、うっとりと目を細めながら答えた。
268 :
蛍の舞う光景:2005/06/28(火) 21:51:10 ID:Y69Uo08V
「なんで・・・謝るんだよ?」
「夜叉丸様、お疲れなのに・・・わたし・・・」
やれやれと首を振りながら、夜叉丸は蛍火の頬を撫でた。
「あ・・・」
「お前、馬鹿だな。そんな事気にするなよ。久しぶりなんだぜ、蛍火・・・」
男の掌に導かれるままに顔を上げる。
「夜叉丸様・・・」
「お前に会いたくてよう・・・お前のことが頭ん中一杯で・・・」
嬉しすぎる夜叉丸の言葉。
「わたしも・・・夜叉丸様の事ばかり・・・何度も今夜のことを夢で見ました」
「これは・・・夢じゃない。 俺はちゃんと、此処に居るぜ」
「嬉しい・・・」
消え入りそうな蛍火の声。その目頭からは一旦引いたはずの涙がまた月光に光っていた。
「また泣いて・・・」
「ごめんなさい・・・」
「いいさ・・・泣けよ、好きなだけ。ずっとついててやるよ・・・」
「あ・・・」
頬に添えられた手に力がこめられ、鼻の頭に夜叉丸の息がかかった。
蛍火が目を閉じるのと、唇が重なったのは同時だった。
269 :
蛍の舞う光景:2005/06/28(火) 21:53:57 ID:Y69Uo08V
・・・ほら、小四郎どの。ちゃんとご覧にならなくては・・・
・・・二人に悪ぅござる!もう引き上げましょう!・・・
・・・駄目です!小四郎どのは幾らなんでも遊び気が無さ過ぎます。天膳殿もご心配なさっています・・・
・・・天膳様が?・・・
・・・ですから、ちゃんと学んでいただかないと・・・
・・・いや、しかし ・・・
「んっ」
ピクッと蛍火の眉が動いた。
夜叉丸の舌が彼女の唇をなぞり、ゆっくりと割り入ってきたのだ。
「ん・・・ふ」
腰に廻された腕に力が入り、男の身体が優しくのしかかってくる。
抗うことなく、草の寝床の上に身を落としていく蛍火。
その間も夜叉丸の舌は止まることを知らず、蛍火の口の中をなぶるように動き回った。
息が苦しくなっても少女は男にしがみつき、男の欲望を精一杯受け止めている。
ようやく息も絶え絶えの蛍火から顔を離した夜叉丸の目は不気味なほどギラつき、ケホケホと咳き込みながら横たわる少女の肢体を舐めるように視線でなぞった。
「ダメだ・・・蛍火・・・ 俺・・・俺もう」
興奮で喉が渇き、しゃがれた声で唸りながら男の指は少女の襟元に伸びた。
「我慢できねぇ・・・ここで・・・いいか?蛍火 ろくに風呂にも入ってないから臭いかも知れないけど・・・」
「夜叉丸・・・様ぁ・・・」
見上げる蛍火の瞳も濡れていた。
先程までの歓喜の涙ではなかった。
「夜叉丸様の・・・お好きな様に・・・ わたしも・・・」
月明かりの中で少女の頬が紅潮していた。
濡れた唇が震えている。
「・・・抱いて・・・夜叉丸様のお好きな様になさって下さい・・・もう、待てないの・・・」
続き期待〜
せっぱつまってる二人ハァハァ
デバガメな二人もハァハァ
しばらく来なかったらスレがうれしい事になってる・・・!
両方とも萌え〜〜
273 :
蛍の舞う光景:2005/07/01(金) 00:13:22 ID:fR++tV2E
濡れた声が男の耳を打った。
「蛍・・・!」
若い夜叉丸に、一月もこの肌から遠ざけられていた男にこの言葉は効きすぎた。
着物の襟を掴んだ両腕を力いっぱい広げる。
「あぅっ!」
自分達を照らす月光に透けてしまいそうなほど白い、蛍火の柔肌が目に飛び込む。
若い女の体臭が、蛍火の匂いが夜叉丸の頭を包み込んだ。
誘っている
蛍火と蛍火の身体が・・・ 甘い匂いを餌に誘っていた。
「ふっ!・・・」
鼻息荒く、襟を掴んだままの着物をぐいぐいと引き下ろす。
脱がそうとしているのではない。引きちぎろうとしているのだ。
「痛っ! ま、待って 帯・・・帯がっ 夜叉・・・ダメ! 無理っ」
蛍火の上げる小さな悲鳴など耳に入っていないのか?
「ふっ・・・ぐぅ!」
顔を真っ赤にさせながら夜叉丸は娘の身体を地面に押さえつけ、邪魔な布地と格闘する。
途中、ビリッと布の裂ける音が幾度か鳴り、それと共に蛍火の肌が少し冷たい空気に晒されていく。
274 :
蛍の舞う光景:2005/07/01(金) 00:14:40 ID:fR++tV2E
「はっ・・・はぁっ」
やがて少女の幼い胸元が、常軌を逸している男の目にさらされた。
ヒリヒリするほど乾燥した口の中に、みるみる唾液が溜まっていく。
うまそうだ・・・
もはや「色」なのか「餓」なのか区別がつかなくなった欲望を、頭と心に溢れさせながら夜叉丸はなだらかな谷間に顔を押し付けた。
「あうっ!」
組み伏せた身体が跳ねる。
手荒く扱われ、さらに火照った肌を吸われる。
その度に、まるで鞭打たれたかのような刺激が蛍火を襲った。
男の唇は容赦なく動きまわる。
細い首筋にむしゃぶり付き、鎖骨の線に舌を這わせ、胸元の膨らみ始めた柔肌を食いちぎらんばかりに吸う。
甘い。
前から思っていた。蛍火の汗は甘い。匂いもそうだがまるで蜜のようだ・・・
夢中になって吸う。味わう。
頭の上から蜜の主の甘い声が響く。
275 :
蛍の舞う光景:2005/07/01(金) 00:16:21 ID:fR++tV2E
・・・いかがですか?小四郎殿・・・
朱絹の問いかけに小四郎は答えられなかった。
幼き頃から見知っている二人の、特に蛍火の見たことも無い、聞いたこともない姿と声。
小四郎は真っ赤になって俯くしかなかった。
・・・蛍の声、可愛いですね・・・
・・・あんな 手荒く扱われているのに ・・・
・・・手荒く?・・・
朱絹は闇の中でクスッと笑った。
・・・傍から見れば、そうとも見えますわね・・・
・・・違うのですか?・・・
相変わらず顔を上げられないでいる小四郎の耳元に、真っ赤な唇を寄せると朱絹は答えた。
・・・ ち・が・い・ま・す ・・・
「あ・・・ あぁ・・・」
羞恥と期待に蛍火は顔を背けた。
上に乗っている夜叉丸の身体が邪魔をして目では見えないが、片方の胸がはだけられた。
見られている。
夜叉丸に見られている。
276 :
蛍の舞う光景:2005/07/01(金) 00:17:56 ID:fR++tV2E
〜触られちゃう〜
当然襲い掛かってくるだろう刺激に身体を強張らせるくのいち。
しかし夜叉丸の手は何時までたっても触れてこない。
モゾッと男の身体が動いた。
「あ・・・ヤ・・・」
夜叉丸は頭の位置をずらすと蛍火の方を意地悪く見やった。
開けた蛍火の視界の中に、自分の乳首が写った。
まだ夜叉丸以外の男に触れさせた事の無い蕾・・・
それを味わうことを許された男がゆっくりと舌を伸ばした。
まず、舐め方がいやらしい。
長く伸ばした舌を少女に見せつけながら、木苺のような乳首に降ろしていく。
「ふぁうっ!!」
敏感な胸の頂に、ネチャッと粘着質の感触がまとわりついた。
声を抑えられるワケがなかった。
あまりの衝撃に仰け反り、そしてまた視線を胸に戻した。
見たかった。
自分の乳首が夜叉丸の舌に嬲られる様を。
見ながら感じたかった。
277 :
1です:2005/07/01(金) 00:19:17 ID:fR++tV2E
申し訳ない!
今日はここまでです・・・
スイマセン
乙!!
てか、小四郎に何故か萌えた。
エロいなあ
朱絹のお姉さんっぷりに萌えますた(*´Д`)
1さん乙!
+ +
∧_∧ + ツヅキ
(0゚・∀・) タノシミニ
(0゚∪ ∪ + マッテルヨ
と__)__) +
282 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/02(土) 03:35:03 ID:n++ibLkL
1さま、通りすがりさま、ありがとうございます。
極 楽 浄 土 は こ こ に あ る
283 :
蛍の舞う光景:2005/07/03(日) 23:14:09 ID:hLBcXM6J
間断なく襲い掛かる甘い刺激に濡れる視界の中で、ソレは彼女の望んだ通りのものだった。
ねっとりと男の唾液にまみれた自分の乳首。
思いのままに吸われ、自分が弄るときよりも固く高く勃っている。
〜いやぁ〜
羞恥に駆られる蛍火の目の前で夜叉丸の舌が蛭のように絡みつく。
舌先でつつかれ、転がされ、軽く歯を立てられる。
「あっ っん っくぅ・・・」
零れ落ちる少女の甘い声。
まだまだ幼さの残る果実にかぶりつきながら、男は上目遣いに声の方を仰ぐ。
目が合った。
涙に濡れた瞳 唾液に濡れた唇 幼き欲望に支配された顔
「あ・・・」
その顔を見られたくない蛍火はキュッと瞳を閉じ、顔を背けてしまう。
しかし
刺激がこない。
自分の身をたっぷりと舐め上げた舌が動かない。
〜いや・・・どうして? 夜叉丸様・・・意地悪しないで〜
舌は動かない。
284 :
蛍の舞う光景:2005/07/03(日) 23:15:12 ID:hLBcXM6J
〜 あぁ・・・ やっ 舐めてぇ・・・夜叉丸様 お願いっ! 舌を動かして・・・ 〜
動かない
「あ・・・」
一度火をつけられてしまった身体が耐え切れる訳は無かった。
おずおずと目を開け、愛しい男を見る。
また、目が合った。
自分の乳を頬張りながら、夜叉丸は待っていた。
「はぁ ああ・・・」
目が離せない。男の視線に捕らえられたのだ。
蛍火は分かった。いや、分かっていた。
男は望んでいる。
自分も望んでいる。
お互いが望んでいる事なのだ。迷う必要は無かった。それに自分の"女"が早く早くとせかしている。
「舐めて・・・」
おねだりした。
男に乳首を舐めて欲しいと甘えた。
声は期待にかすれていた。
285 :
蛍の舞う光景:2005/07/03(日) 23:16:14 ID:hLBcXM6J
恥ずかしすぎて、濡れてしまった。
男の目は自分を捉えて離さない。
目を合わしたまま、夜叉丸は口の中でピクピクと痙攣する乳首に再び舌を触れさせた。
「ぅあぁぁああ・・・」
歓喜の声が辺りに響き渡った。
・・・ほら、ね・・・
・・・は?・・・
・・・蛍火はちっとも嫌がってはおりませんわ・・・
それは朱絹に言われなくても分かる。
でも、何故?
もの問いたげに、年上の人の顔を見る小四郎。
苦笑しながら年下の子の顔を見返す朱絹。
・・・男と女は ・・・
その言葉を耳にした瞬間、無意識に小四郎の顔が背く。
・・・だ〜め・・・
すっとその頬に手を廻し、男の顔を自分の方に向け直す。
・・・男と女は見た目ではありませぬ・・・
頬に当てた掌にチクチクと無精ひげが刺さる。
・・・見た目と本音は全く違います。その奥を見ないと・・・
286 :
蛍の舞う光景:2005/07/03(日) 23:17:40 ID:hLBcXM6J
・・・奥?・・・
・・・例えば・・・
朱絹は夜叉丸に組み伏せられ、悶え喘ぐ蛍火を見やった。
・・・あの娘が、この一月どれほど寂しがっていた事か・・・
・・・それは わかります・・・
頬に添えた手をそのままに女は男に顔を近づけた。
・・・身体もですよ?・・・
・・・あ ・・・
またしても俯いてしまう小四郎に追い討ちをかける朱絹。
・・・あの子、もう女ですから・・・
ゆっくりと頬をなぜるようにして手を離す朱絹。
・・・一ヶ月も抱かれなかったのです。あれ位でもまだ大人しい方かも・・・
小四郎は無言のままだった。
・・・女を、軽蔑なさいまして?・・・
・・・いえ、そんな・・・
顔を上げた男の目に、朱絹の優しい微笑みが映った。
・・・良かった・・・
「俺、俺さ・・・ お前のこと想って・・・毎晩、してた」
ペロっと乳首を舐め上げながら夜叉丸は白状した。
287 :
蛍の舞う光景:2005/07/03(日) 23:18:42 ID:hLBcXM6J
「他の女とは姦ってねぇ・・・」
夜叉丸の手がズルズルと蛍火の身体の上を這い、脚の付け根に向かっていた。
裾は当に乱れ、真っ白い太ももが月光を反射している。
その奥は・・・
もう滴っていた。
蜜が後から後から溢れてくる。
「お前は・・・?寂しかったか? 慰めたりしたか?」
軽く目を閉じながら少女はうわごとのように答えた。
「は・・・い 私も寂しくて、毎晩・・・あうっ」
男の指が茂みを抜け、ソコにたどり着いたのだ。
「ここ・・・ ここをか?蛍・・・」
ヌチャ
ちょっと触れただけで音がした。
「く・・・んっ」
「スゲ・・・何だよこれ スゲェよ・・・ おい、蛍 スゲェよお前!」
「やぁっ もう・・・」
「もうって何だよ? お前、どうやって慰めてたんだよ? 指?指でしてた?」
「・・・うん」
288 :
蛍の舞う光景:2005/07/03(日) 23:19:36 ID:hLBcXM6J
男はぐいっと顔を近づけた。
「指だけかよ?」
チュプッ
いきなり中指が差し込まれた。
「ひっ・・・!」
声にならない声をあげる蛍火。
中に押し入った中指は熱烈な歓迎を受けた。
「熱・・・お前、熱いぜ・・・?」
「あっ・・・ゴメン・・・はぁっ」
「謝るなよ・・・で?」
「え?」
夜叉丸はこだわった。
「お前、指だけじゃないんだろ?」
蛍火は慌てて顔を夜叉丸の視線から反らす。それだけで答えを言っているような物だった。
「何だよ?言えよ・・・言わねぇとイイ事してやんねぇぞ!」
その言葉通り、夜叉丸は指を動かさない。
無意識の内に刺激を求めうねる蛍火の襞が、腰が、太ももが切なげに蠢く。
「意地・・・悪 今日の夜叉丸様、イジワルです・・・」
289 :
蛍の舞う光景:2005/07/03(日) 23:20:22 ID:hLBcXM6J
半分泣きが入っている蛍火。
〜可愛い〜
その泣き顔を間近で楽しみながらも指だけは決して動かさない。
「やぁ・・・もう嫌い・・・」
ついに本泣きになってしまう少女。
「教えてくれよ・・・蛍火 教えてくれたら、良くしてやるぜ・・・俺、お前の事、本気だから」
べそをかく少女の頬に優しく唇を落としてやる。
「して欲しいんだろ・・・教えてくれよ、俺だけに」
所詮、少女にとって不利すぎる駆け引きだった。
これ以上焦らされて我慢できる訳が無かった。
早く弄って欲しかった。いや、指なんかで収まりがつくはずも無かった。
「あのね・・・」
ようやく少女の口が開いた。
でもこれは、彼女にとって最大の秘密であった。
里の者であろうと知られてはいけない秘密。いままで夜叉丸にも黙っていた事なのだ。
「教えてくれよ、蛍・・・」
久しぶりに再会した恋人の甘い声。体中を駆け巡る疼き。
少女はついに禁忌を破った。
「・・・・・・蛇・・・」
290 :
1です:2005/07/03(日) 23:23:19 ID:hLBcXM6J
何か、途中でageてしまった様ですね。
すみません。
で、今日も少しだけしか投稿できませんでした。
すみません。
全部書き上げてから、うぷした方が良いのでしょうか?
1〜2レスだけチマチマ投下して自分語りウダウダ、というスタイルだと
色々文句を言われてしまうケースも多々ありますが、
今現在の分量なら問題ないんじゃないですか。
ペースは別に問題ないと思うけど、あんまり「すみません」というのはどうだろう。
謝るならやめれ、って事になるわけで。
それはさておき、続き期待してます!
293 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 21:33:57 ID:YpfHkXlm
1さま、いつも楽しく読ませていただいてます。
ありがとうございます!お世話になっております(笑
書き手さんのペースで万事おkだと思います。
292の方の言葉は少し乱暴だと思いますが、
止めるたびに謝罪は無しで全然かまいません。
まったり行ってください。
うpしていただけるのがとっても幸せなのです。
今後もかんがってくださいね!心待ちにしております。
>>293 絵板とかでもしょっちゅう言われてることだし、292の言葉は乱暴ではないと思う。
なんか藻前の書き方にモニョルものがある。
1さんは小説投下するたび「すみません」とか詫びの言葉を入れてるし、
正直なんだかな…な部分も無きにしも非ず。
295 :
1です:2005/07/05(火) 23:02:31 ID:af2wQCrP
皆さん、レスありがとうございます!
言われてみれば、確かに謝まりまくりですねw
おっしゃるとおりです。
今、うpしている話は次で完結させようとボチボチ書いています。
気長にお待ちくださいw
、 l ‖_ >:=‐  ̄ ̄「 l| l } 、 ヽ んっ んんっ…
ヽ 、i`─ '´ ___ | ll ⌒; j 、 ヽ
\ヽ r,ニ、‐‐'‐' u .l ll '_ノ 、 ヽ
` \"\):、 | l| `、 ヽ 、 ヽ
ヽ ゞ'^ ! ll `、 ヽ 、 ヽ
丿 .:::. | l| \ ヽ、 、 ヽ
丶、_ | l|/lヽ `>=‐- ミヽ `、
`⌒ヽ_ | l| | ハ /´ `ヽ 、
チュパ / /. `´| l| | l / 〃 `、 、
チュパ / / | l| | l' 〃
このレスを見た人はコピペでもいいので
10分以内に3つのスレへ貼り付けてください。
そうすれば14日後好きな人から告白されるわ宝くじは当たるわ
出世しまくるわ体の悪い所全部治るわでえらい事です
>>296 天ちゃんはやる必要があるな
体の悪いところが治る以外、彼ではどうしようもない。
298 :
蛍の舞う光景:2005/07/12(火) 23:43:11 ID:CcjGaoIo
〜うわぁ〜
蛍火の告白は聞き耳を立てている朱絹をも驚愕させた。
〜あの娘ったら〜
驚愕と共に熱い疼きがやってくる。
・・・朱絹どの?・・・
・・・え?はい!?・・・
・・・蛇って?蛇を何に使うのですか?・・・
・・・はぁ!?・・・
それを女の朱絹に聞いてしまう辺りが、天膳の心配の種なのだ。
勤めて穏やかな笑顔を作りながら、朱絹は心の中で深い溜息をつかずにはおれなかった。
「蛇って・・・お前・・・蛇で慰めてたのかよ!?」
グッと指が深みに刺さる。
「あぅっ・・・」
快感と痛みを同時に味わい、蛍火の細い眉が苦悶に歪む。
「どんな事してもらったんだ?」
「やっ・・・やぁ・・・」
必死に夜叉丸の視線から顔を背ける少女。
それは恋人に対する背徳行為を恥じるが故の事だった。
299 :
蛍の舞う光景:2005/07/12(火) 23:44:20 ID:CcjGaoIo
そう。
それは裏切り。
たとえ他の男の者では無く、ただの畜生だとしても。
たとえ本気では無く、ただの遊びだとしても。
それは裏切り・・・
夜叉丸以外の者にこの身をゆだねてしまった・・・
これは裏切り以外の何物でもない。
「蛇・・・に・・・イイ事してもらってたのか・・・俺なんかいなくても・・・平気って訳だ・・・」
「そんなっ 違います! 私寂しくてっ 夜叉丸様の事を想っ んんぅっ!」
「・・・想って蛇に可愛がってもらってたのか?」
「いっ・・・痛 やめっ夜叉丸さ・・・まぁ・・・」
男の指は少女の股間に根元まで埋まっていた。
「どんな声を聞かせてやったんだ?蛇に・・・」
乱暴に指を引き抜く。
「ヒッ」
鞭で打たれたかの様に少女の身体が跳ねる。
指の動きは過敏に反応する少女を無視し、激しさを増していく。
「あっ かっはっ・・・っ」
300 :
蛍の舞う光景:2005/07/12(火) 23:45:24 ID:CcjGaoIo
少年の手首がくねる度に少女の押し広げられた花弁から蜜が飛び散り、辺りの草に夜露のようにしがみつく。
むせ返るような雌の匂いの中で夜叉丸は常軌を逸しつつあった。
自分のモノだと思い込んでいた女が、まさか蛇に寝取られていたとは。
相手がヒトではないから、などという考えなど頭に浮かびもしない。
悔しかった。
情けなかった。
あれほど可愛がり、自分の印を幾度となく注ぎ込んだ身体が蛇に汚された。
自分の印が蛇のぬめりで剥がれてしまった。
そうだ!
もう一度!
この身体に刻み込まなければ・・・!
自分の印を。精を!
その思考が男の我儘に過ぎない事など、今の夜叉丸に理解できるはずが無い。
今、為すべき事。それは一つしか思いつかなかった。
301 :
蛍の舞う光景:2005/07/12(火) 23:46:24 ID:CcjGaoIo
蛍火の股間から聞こえる濡れた音は、息を潜めその様子を伺う男女を包み込んでいた。
あれから口を開かないところをみると、この純情青年にも『蛇』の意味がわかったらしい。
それよりも・・・
・・・ん・・・
思わず声が漏れてしまい、朱絹は慌てて唇を噛んだ。
耳に届く蛍火の声。彼女の蜜が男の指にかき回される音。
まるで猫が水を舐めるようなその音は朱絹の耳よりも股間に響いた。
着物の奥でわずかに太ももをこすり合わせる。
困ったことに弾む息を抑えられない。
蛍火のせいだ。
〜つられる様では、私もまだまだ・・・〜
ゴクッ
隣で男が唾を飲み込む音がした。
〜やだ〜
まさか自分を見ているのでは?
恐る恐る小四郎の様子を伺うと、男は身を乗り出すようにして若い二人の営みを凝視している。
ほっとする傍ら、何だか腹立たしくも思えた。
隣で顔を紅めらせ、体を熱くしている一人の女がいるというのに全く気づかない。
この辺りも天膳の心配の種なのだ。
〜もう、小四郎どのは〜
必死に上がる吐息を抑えながら朱絹は半ば恨めしそうな目で青年を睨んでやった。
その瞳は潤んでいた。
302 :
蛍の舞う光景:2005/07/12(火) 23:47:14 ID:CcjGaoIo
何の前触れもなく体を起こすと夜叉丸は帯に手を伸ばした。
結局解かなかった帯は土にまみれ、廻しが乱れてはいたがそれでも少女の身体をしっかりと巻いていた。
「あ・・・?」
激しい指使いで秘唇を突きまくられ、意識が白濁した少女はまるで生暖かい人形のようだった。
「ふっ」
短い吐気と共に少女の身体を裏返す。
「きゃっ!」
着物の両襟を肩口の下までずり下げられている為、腕を動かせない蛍火はなす術も無く冷たい地面に頬を付けた。
「蛍・・・」
男は地面に投げ出された着物の裾を乱暴にめくり上げる。
「・・・っ」
目の前に現れた真っ白い肉の丸みに続けようとした言葉が出てこない。
これを何度夢見たことか・・・この一月というもの、これの手触りを思い出すたびにどれだけ苦しんだことか!
「蛍火・・・」
掌で尻の柔らかみを存分に味わう。
303 :
蛍の舞う光景:2005/07/12(火) 23:48:26 ID:CcjGaoIo
「はうっ」
肌に指が食い込む度に地面に組み伏した蛍火から声が上がる。
至極の弾力が指を控えめに押し返す。
「蛍・・・蛇と俺とどっちが良かった?」
「あ・・・そんな・・・」
弱々しい声。
「腰、上げろよ・・・」
「やだ・・・」
更に弱々しい拒絶。
男は無視して、腕を腰に廻した。
「やっ・・・嫌ぁあっ!」
少女は悲鳴を上げた。
自分の取らされている格好に、いかに愛する男の前だとしても思わず悲鳴をあげずにはいられなかった。
尻を突き出している。
いや、
男に尻を差し出している。
顔を地面につけ、両手は動かせず、そして自分のもっとも恥ずべき箇所は男の目に見えるようにさらけ出していた。
304 :
蛍の舞う光景:2005/07/12(火) 23:49:24 ID:CcjGaoIo
『好きにして』
ヒトとヒトがお互いの意思を伝える"言葉"などよりも、この姿は雄弁に男に語りかけていた。
小柄な蛍火であるが、目の前に置かれている尻の量感は圧倒的なものだった。
その奥に見え隠れする、少女の隠された唇が夜叉丸に訴えかけている。
『好きにして・・・どうしたの? 私のお尻よ・・・ あなたの物なのよ・・・』
無論、そんな事は夜叉丸の勝手な妄想に過ぎないのだが、事ここに至ったオスの思考は総じて狂っているものである。
小四郎と違い蛍火という最良の相手に恵まれてはいるが、念鬼辺りに言わせるとまだまだヒヨッコである夜叉丸がこの光景の前に正気を保っていられるハズが無かった。
「・・・」
無言で忍装束の紐帯を引きちぎるように解く。
衣擦れの音がして、少年の鍛え上げられた下半身が白い月光の中に際立つ。
あ・・・
それを見た女達が甘く粘りのある吐息を漏らす。
一人は後ろ目に
一人は遠目に
猛々しく隆起する少年のモノを食い入るように見つめる。
305 :
蛍の舞う光景:2005/07/12(火) 23:50:34 ID:CcjGaoIo
「夜叉丸さまぁ・・・」
〜夜叉丸・・・〜
女達の秘唇がその言葉に続く
欲しいの
息使いが獣のようだった。
夜叉丸も小四郎も
蛍火も朱絹も
「はっ・・・はっ・・・」
震える腕で捧げられた蛍火の腰を掴むと、少年は自分の逸物を待ち焦がれている少女に宛がった。
「ふっ・・・!」
「ひぁっ!!」
神鳴りにでも打たれたかのような衝撃が背骨を通して全身を貫いた。
「ぐっ 」
それだけで射精しそうになるのを死にもの狂いで押さえ込むと、夜叉丸は一気にソレを突き入れた。
306 :
蛍の舞う光景:2005/07/12(火) 23:51:24 ID:CcjGaoIo
一瞬の抵抗を潜り抜け到達したソコは地獄のような極楽であった。
熱くて きつくて
温かくて 気持ちよくて
気が狂いそうだった。
逸物を少女に突きたてる度に亀頭を熱い舌が何枚も舐め上げていく。
腰を引く度に雁首を濡れた指先がなぞっていく。
「っくっ・・・っ ぅあ ああっ」
迸る蛍火の可愛い歓喜の悲鳴をどこか遠くで聞きながら、夜叉丸は知らず知らずの内に歯を食いしばっていた。
気を抜けば腰がすぐに砕けてしまいそうだった。
全身の血がソコに集中しているのか、頭がフラフラする。
もはや、蛍火に自分の印を刻むとかいう余裕など吹っ飛んでしまっていた。
「あっ はんっ! あぁ 夜叉ぁ 夜叉ぁああ!」
夜叉丸のモノが熱く打ち込まれる度に目の奥から火花が飛び、視界が白く染まっていく。
矢継ぎ早に襲い掛かる強烈な快感に、意識を飛ばされそうだ。
〜腰が・・・壊れちゃうっ〜
パンッ
「ヒィ!!」
307 :
蛍の舞う光景:2005/07/12(火) 23:52:28 ID:CcjGaoIo
自分の尻が夜叉丸の腰とぶつかり乾いた音が響く。
〜もっと突いて〜
・・・っくぅ・・・
もはや限界であった。
朱絹は唇を噛み締め、二人から視線を反らした。
どんなに息を整えようと、火照る身体を押さえられない。
濡れ滴る果肉を止めることなど出来はしない。
火をつけられてしまったのだ。
既に自分の身体から発する発情の匂いに小四郎は気づいているだろう。
いくらなんでもソレの意味する事は分かるはずだ。
知識や経験がなくても、オスの本能が理解する。
ほら、今私を見ている・・・
焼きつくような視線に顔を上げると、逃げる暇も無く視線に捕らえられた。
男の瞳も濡れていた。
「ひゃうっ あっ はぐっ! まって・・・ いっ・・・そんな 」
「ふっ! うっ 蛍・・・蛍っ!」
一月ぶりに味わうお互いの肉。
無事再会を果した、若い恋人達の行為はもはや愛し合う事ではなく、食い合いと化した。
308 :
蛍の舞う光景:2005/07/12(火) 23:53:09 ID:CcjGaoIo
「うぁっ ああっ! っくぅんっ」
「っ ふっ っく! ぐっ」
身動きの取れない蛍火は快感を逃すことも出来ず、その全てを受け続けるしかなかった。
執拗に舐られた乳首が土のざらついた感触に苛まされ、ヒクつく菊門には夜叉丸の指が筋を伝って中に潜りこむ。
「やっ! ダメ・・・ああっ駄目 やめってぇ・・・」
全く異質の感触に蛍火は涙と涎を垂れ流しながら逃れようと腰をくねらした。
「そこ・・・きたなっ はぁっ! か、堪忍してぇ・・・」
どんなに尻を振ろうとも、がっしりと腰を抱え込んだ夜叉丸の腕からは逃れられない。
逆に更に深く腰と指を埋められた。
「あああああああっ!!」
伊賀の夜に少女の声が響いた。
309 :
蛍の舞う光景:2005/07/12(火) 23:54:58 ID:CcjGaoIo
・・・
・・・
柔らかい
逞しい
・・・
・・・
綺麗、だ・・・前から、そう思っていた
世話のかかる男(ひと) 子供みたい
・・・
・・・
前から、もしあなたと・・・そうなれればいいと・・・
言ってくだされば良かったのに・・・
・・・
・・・
そんな事 言えるはずがない あなたが私の隣にいるなんて・・・夢でも無理だ
今は・・・隣におります
・・・あ 朱絹どのが 隣に・・・私の隣に・・・
・・・いいえ あなたの腕の中に・・・
柔らかい・・・白い・・・綺 麗・・・だ・・・
あ・・・ あ・・・
草が揺れた。
310 :
蛍の舞う光景:2005/07/12(火) 23:56:10 ID:CcjGaoIo
引きつるように背筋が震えた。
膝がガクガクと笑う。
もはや意地の張りようもない位に限界だった。
「っぐ 蛍! すまねっ だめだっ オレ・・・もうっ」
「やっ やっ やぁ やぁだぁあっ!」
蛍火の非難の声は届かない。
腰を打ち付ける度に男根にまとわり付く蛍火の肉は、幹をしとどに濡らし、締め、あます所無くしごきあげる。
「くはぁ・・・」
悶える蛍火の着物ははだけ、背中に浮き沈みする背骨の線がいっそう激しさを増していく。
「あっ あヒッ あああ はっ 夜叉・・・さっまぁああ」
絶頂に向けて肉の命ずるがままに腰を振りたくる夜叉丸の動きに、蛍火も次第に高みへと引き上げられていく。
「ひゃっ んんんぅ・・・いっ いい! いいの!!」
「っが! はぐっ!! っく・・・ 蛍・・・蛍・・・ふっっ!」
根元からせり上がってくる異常なまでの圧迫感。
抑えられない。これ以上は持たない!
心の臓が破れてしまいそうだった。
「ダメだ ああ! 蛍っ! いっちまう! 俺っ イっちまう!!」
男の熱い声が全身を擽る。
311 :
蛍の舞う光景:2005/07/12(火) 23:57:05 ID:CcjGaoIo
直に触れられてはいないというのに、その声が少女を極みまで導く呼び水となった。
「はっん んっ きて・・・いいわ! きて・・・きてっ!!!」
一際強く、そして深く突き上げられたその時。
「ぐっ!! くぅ・・・っ」
「ああっ!? ああぁああああ!!!」
蛍火の身体に一瞬力が入り、ついに弾けた。
夜叉丸はこの一月溜め込んでいた精を蛍火の中に放出していた。
いや、まるで命までも、自分自身までもを彼女に注ぎ込んでいるような錯覚があった。
思わず膝を着く。
しかし、その隆起はまだ少女の膣の中にあって自分の"印"を注ぎ続けている。
「あ・・・ まだ 入れる・・・の?」
その身を震わしながら蛍火はうわ言のように呟いた。
身体の力が完全に抜け落ちてしまった少女は、ただただ無抵抗に少年の射精を受け続けていた。
無言で着物の襟を正す朱絹。
忍びとは思えぬたおやかな指が紺の布地を滑る様はさながら一枚の絵のようであった。
その傍らでは胸元の乱れをそのままに、小四郎がしょげ返って座り込んでいる。
・・・小四郎どの・・・
優しい問いかけ
312 :
蛍の舞う光景:2005/07/12(火) 23:58:13 ID:CcjGaoIo
でも返事の声は聞こえない。
・・・初めはうまく出来ないものです・・・
女の慰めは男にどう届いているのだろう。
後悔した。
この純朴な青年に少しばかり色を教えてやろうとしただけなのに。
それなのに、自分が不甲斐なく若い二人に釣られてしまったばかりに・・・
明らかに異性との睦みあいなど経験のない、この青年に癒えようも無い傷をつけてしまったのではないか?
・・・恥ずかしぅござる・・・
かすれた声がようやく聞こえたのは、それからしばらく経っての事だった。
・・・私が不甲斐ないばかりに、朱絹どのに・・・
・・・いえ・・・
女は首を振った。
男の自侮を否定すればするほど傷を深めるだけだとは分かっていたが、そうするより他は無かった。
・・・不甲斐ないのは私の方です。小四郎どの?・・・
うなだれた姿はまるで石のようだった。
・・・
言葉が続かない。
その打ちひしがれた姿に胸の内に熱いものがこみ上げる。
・・・私を、軽蔑なさいましたでしょう?・・・
・・・いえ・・・
313 :
蛍の舞う光景:2005/07/12(火) 23:59:12 ID:CcjGaoIo
力なく、それでも男は首を振った。
・・・いえ そんな事は・・・
静かに朱絹は目を閉じた。
こんな小四郎を見たくはなかった。
何よりも小四郎をこんなに打ちのめしてしまった己の未熟が許せなかった。
・・・今宵の事は・・・
ゆっくりと腰を上げる。
・・・どうかお忘れくださいまし・・・
男の返答は無い。
しかし、これ以上自分が小四郎の傍に居る事は許されなかった。
・・・お忘れくださいまし・・・
最後にその言葉を残し、朱絹の気配が消えた。
・・・
ドンッ
拳が砕けんばかりに地面を殴りつける。
・・・ 忘れ・・・られのうござる ・・・
それは己の痴態の事か、それともあの時の朱絹の姿か?
小四郎はただ静かに月光を浴び続ける事しか出来なかった。
314 :
蛍の舞う光景:2005/07/13(水) 00:00:10 ID:CcjGaoIo
蛍火は夜叉丸の腕の中に居た。
「ん・・・」
頬をその胸板に押し当ててみる。
温かい。
「ふふふ・・・」
「どうした?蛍火・・・」
愛しい男の優しい声が聞こえる。
「夜叉丸様が・・・いる」
「? 当たり前だろ、帰ってきたんだから・・・」
「嬉しい」
きゅっと胸板に顔を埋める。
多少はにかみながら、夜叉丸は少女の頭を撫ぜてやった。
掌にこびり付く土の塊。
「ごめんな、無理しちゃって・・・痛かったろ?」
「・・・・・・気持ちよかった・・・です」
顔を埋めながら恥ずかしげに告白する蛍火。
「・・・俺も・・・良かった。こんなに凄いの初めてだったぜ・・・こんなにイイなら、しばらく離れてみるのも悪くねぇかも・・・」
「嫌!!」
315 :
蛍の舞う光景:2005/07/13(水) 00:01:04 ID:CcjGaoIo
蛍火の悲痛な声が夜叉丸の言葉を遮った。
「もう離れるのは嫌! 夜叉丸様の馬鹿っ!」
夜叉丸の胸にしがみつく少女の肩は細かく震えていた。
「もう離れたくありません!お願い・・・そんな事言わないで・・・」
「な!? イヤ・・・悪い!蛍火、すまない・・・」
慌てて夜叉丸は蛍火を引き剥がし、その顔を覗きこむ。
端正な顔が悲しげに歪んでいる・・・
「ごめん! 俺も本当はお前と離れたくないんだ・・・変な事言っちまった!許してくれ・・・」
「独りは嫌なの・・・待つのが怖いの・・・」
ベソをかく少女の唇にそっと自分のソレを重ね合わせる。
「俺は必ずお前の所に戻ってくる。今日も戻ってきたろ?絶対、お前の所に戻ってきてやるよ・・・」
「でも・・・」
堰を切ったように少女は嗚咽と共に、今まで隠し通してきた不安を口にした。
「死んじゃったら?」
「え?」
「私より先に死んじゃったら? 私は何を待てばいいの!?誰を待っていればいいのよ!」
再び胸に頭を押し付けてくる少女の告白。
その言葉はズシンと胃の府に落ちた。
「・・・死なない・・・」
316 :
蛍の舞う光景:2005/07/13(水) 00:02:16 ID:CcjGaoIo
ポツリと口にする。
「お前を残して死んだりするかよっ!お前を独りぼっちになんかさせるかよ!!」
「・・・絶対?・・・」
涙に乱れる声で少女は問い直した。
「絶対だ。俺がくたばる時はお前を殺してから死ぬよ・・・」
「絶対!?」
バッと蛍火は頭を上げた。
その涙に濡れる瞳は無視できない悲壮感と真剣さが込められていた。
「絶対に私を殺してくれる?」
夜叉丸はその瞳を真正面から受け止めた。
そして約束した。
「絶対だ。俺が死ぬ時はお前を殺してやる。お前はずぅっと、俺のものだ」
少女の顔に笑みが戻った。
なんともいえぬ、笑顔だった。
「嬉しい・・・私、夜叉丸様の手で死ねるのですね!?独りにならないのですね?」
「約束するぜ。この月に誓って・・・お前を独りにしない」
「夜叉丸・・・様・・・」
二つの唇が一つに溶け合い、それを蛍火の涙が濡らした。
やがて、再び地面に横たわる二人の姿を月が無表情に照らしていた。
願わくば、この二人の想いが
どうか成就せんことを・・・
完
317 :
1です:2005/07/13(水) 00:13:29 ID:N6RUxk0V
完結です。
いざ書いてみると、やはり蛍火は難しかったですw
この娘らしさっていうのが、なかなか掴めなくて苦労しました。
ウチの田舎じゃアニメ版の放映してないし・・・
ああ、観たいなぁ!
GJ!
折角だから朱絹×小四郎も読みたかったなぁと。
319 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/13(水) 02:15:11 ID:3C3HgeRg
あげ
池波正太郎の世界なら
忍び同士のカプもとりあえず一回ぐらいはラヴラヴできるんだけどな。
山風の世界はシビアであるがゆえに切ないね。
今まで吸盤娘が最萌かと思ってたけど、蛍火もイイネ(・∀・)!
小四郎にも危うく萌え死ぬところだった。
>>1さん、GJ。マジでGJ。また是非頑張ってください。
>>1 GJ!
ただエロいだけでは終わらないところがなんとも。
>>1 GJでした!
小四郎不憫w
後の四人の運命を思うと、何とも言えないホロ苦さが漂いますね。
すごく良かったです。
保守
朧と弦之介のエロとか見てみたい。
初々しそう
326 :
1です:2005/07/25(月) 00:14:49 ID:a4HdmWyr
まだ結末をどうするかも考えていないのですが
Y十Mでひとつ・・・
327 :
身の内:2005/07/25(月) 00:17:08 ID:a4HdmWyr
江戸城本丸の真新しい畳の香りが強く立ち込める中、徳川家康の野太い声が安堵と労いの言葉を響かせていた。
居並ぶ家臣、大名の前に見世物の様に座らされている若い女性は、今やこの国の覇者となった武将を真正面から睨めつけている。
先の大阪夏の陣にて落城の最中にある大阪城から生還した女。
徳川千姫
わずか八つの時に豊臣に嫁に出され、十九の時にその夫を殺された。
その全てが、今目の前でワザとらしく好翁を演じている男の仕業であった。
良かった
心配した
心もとなかったであろう
スゥッと眼が細まる。
祖父の言葉のあまりの白々しさ。聞いていられなかった。
私に対しこの男は嘘しか言わない。
328 :
身の内:2005/07/25(月) 00:18:24 ID:a4HdmWyr
大阪の秀頼と淀は自分に対し素直だった。素直に憎しみをぶつけてきた。
あの方達の方がよほど親しみが持てた。
そんな想いを知ってか知らずか?久しぶりに会合した孫娘にはしゃぐ祖父を演じていた家康の口から、彼女の神経を逆なでする言葉が飛び出した。
「大阪城なんぞでその命、散らさずにすんだの?」
「あ?」
大御所の長話を千姫は一言で断ち切った。
ざわつく周りの声が次の瞬間一斉に鳴り止む。
彼らとて戦国の武士である。感じ取った。
殺気
祖父と孫娘との間に、隠しきれない殺気が飛び交っていた。
大阪城なんぞ?
あそこは私の死に場所だったのに!
あそこに私を追いやったのは、あなたではなかったか!?
生前、大阪の淀君は祖父を称してこう呼び捨てた。
『狸親父』
〜 まったくですわ お義母さま 〜
329 :
身の内:2005/07/25(月) 00:19:32 ID:a4HdmWyr
ゆるり、と千姫は立ち上がった。
「どうかしたかの?お千や・・・気分でも悪いかの?」
老齢のため窪んだ眼に鋭い光を湛えながら、家康は可愛い孫娘に猫なで声を浴びせた。
周囲の祖父の傀儡武将共の視線が自分に集中する中、姫はその端正な口元をニッと釣り上げた。
「 いいえ、大御所様 ここは居心地が悪いのです・・・
私、豊臣の女ですから 」
静まり返る広間をゆっくりと見回す。
居並ぶ男達からは、たしなめる声は掛からず、眼を合わせる事さえ避ける者もいた。
〜 こんな者共に・・・秀頼様は・・・お義母さまは・・・ 〜
まだ発育しきらぬ乳房の内にドス黒い怨嗟の炎が吹き上がりとぐろを巻く。
ゆっくりと正面を向き直り、徳川家康を見下ろすように一瞥すると千姫は足早に大広間から退室した。
小姓たちが大襖を閉めるのを待っていたかの様に、居並ぶ殿様たちの口から不満が噴出したのだった。
330 :
身の内:2005/07/25(月) 00:20:33 ID:a4HdmWyr
「暗い・・・」
ふと声が漏れた。
日はまだ天空にあり、外では飯炊女達が昼飯用の米を研ぎ始めている時間。
少女の部屋にも障子越しに温かい日の光が幾重にも差し込んでいる。
暗くは無かった。
だが少女の瞳には、もう日の光でさえ暗いとしか感じ取れなくなっていた。
豊臣の千代姫
取り上げられたその名。全ての光を徳川に奪われた少女であった。
331 :
身の内:2005/07/25(月) 00:21:30 ID:a4HdmWyr
「ほっほっほっ 千姫様、この老いた耳にも届きましたぞ!」
「自由に振舞って良し」との家康の許しを得ながら、その実一切の自由を奪われ、日がな一日部屋に閉じこもっていた千姫の元にその客人が現れた。
「何じゃ、御坊か・・・」
うんざりしたような口調で姫は客人の顔を見る。
訪れたのは南光坊天海和尚。
千姫自身から、法衣に身を隠した妖怪と評価された人物である。
「『私は豊臣の女』とは・・・いやはや、命の大恩人であらせられる大御所様に、引いては葵の御紋に甚だ無礼な言葉!何を考えていらっしゃられる!?」
その嫌らしく冗談めかした物言いに姫は苦笑した。
「なんじゃ、あの事か? アレについてわらわに面と向かって物を言うたのは御坊が初めてじゃ!あの場には十万石、二十万石という禄高を持つ侍が大勢いたというのに・・・」
ニンマリと天海は引きつったような笑みを浮かべた。
「その禄高が重荷となって、皆姫様に文句が言えないのでございます。」
「フン!」
文字通り鼻で笑って千姫は手にした、扇子をパチンと閉じた。
「わらわは家を滅ぼされたのじゃ!その程度の男達の手でな!あれ位では気が済まぬわ」
「う〜む・・・」
天海は困った困ったと眉間にシワを寄せた。
332 :
身の内:2005/07/25(月) 00:22:33 ID:a4HdmWyr
「千姫様のお心にそれほどの棘が刺さっておいでとは・・・いや、お心が傷ついておられようとは思ってはおりましたが・・・」
タンッと扇子が畳に突き刺さる。
「御坊なんぞに・・・何が分かる!!?」
端正な顔立ちが憎悪と苦痛に歪んでいる。
扇子を持つ手に力が入り、竹細工が悲鳴を上げる。
そんな主の様子に、幼い千姫付きの端女の二人が恐怖に固まる。
「家だけではないぞ・・・彼奴らに家族をも皆殺しにされたのだ!」
バキッと扇子が折れた。
「ヒッ!」
少女二人が思わず悲鳴を上げる。
部屋の空気は凍りついていた。
嫌な沈黙がその場を支配する。
「皆奪われてはおりますまい・・・」
天海の声が響いたのはそれからしばらく経ってからの事だった。
「何・・・?」
「国松様の刑は免れぬでしょうが・・・千代姫様ならば、お命を救うことが出来るやも・・・」
和尚の言葉は途中で遮られた。
「二人が生きておるのか!?」
千姫には伏せられていた事実だった。
「生きておるのか!!?」
333 :
身の内:2005/07/25(月) 00:23:26 ID:a4HdmWyr
「まだ、ご存命にてございます・・・」
「本丸へ行く!!」
折れた扇子を投げ捨てると千姫は立ち上がった。
天海も二人の少女も呆気に取られる程の勢いであった。
「ひ、姫様!」
「お待ちを・・・」
止め立てする声を袖に振り、千姫は部屋を出た。
「国松様は救えませぬぞ!」
背を追いかける天海の声。
「黙れっ古狸!!」
それを打ち砕く千姫の怒声。
「・・・」
本丸へ猛進していくその姿を見送る天海の顔には、いつしか老獪な笑みが浮かんでいた。
334 :
身の内:2005/07/26(火) 23:48:09 ID:NYs+ulsD
何故?
何故だろう?私はまだ生きている・・・
両親と兄は殺されたというのに。
私もあの男に殺されるハズだったのに・・・
あの日、あの男に呼び出された時にはようやく死ねると思った。
嬉しかった・・・
だって父君や母君とまたお会いできると思ったから・・・
でも、生かされた。
生きていけと言われた。
「不憫だから」って・・・
私は・・・懐かしい父君や優しかった母君の元へは行ってはいけないの?
兄君にも会えないというの?
酷い・・・
桶に張られた冷たい水の感覚が千代姫を現実へ引き戻した。
335 :
身の内:2005/07/26(火) 23:49:12 ID:NYs+ulsD
考えても詮無い事だった。
もはやこの命は、私の生きる道は駿府の大御所の手中にあるのだ。
幼心にもそれは容易に理解できた。
この上は、父母、そして兄の仇であるあの老人の目に留まらぬ様、ひっそりとしたこの山寺で仏門の道を歩んでいくしかなかった。
この命、燃え尽きるまで・・・
「天秀!天秀!!」
「は、はい!!」
突如、後ろから厳しい声が飛び千代姫は飛び上がった。
振り向かずとも、厳しい姉弟子の声と知れた。
「はい、ではありません!何ですかっこの廊下は!?」
「あ・・・あの、朝のお勤めを・・・」
「それは分かります!何故、こんなに廊下が濡れているのかと言っているのです!!」
そういう尼の指し示す廊下は確かに濡れ光っていた。
「あの・・・あの・・・」
「雑巾をしっかり絞っていないからこうなるのです!」
「はい・・・」
少女の手の中にある雑巾は、廊下を拭くにしては多過ぎる水を含んでいた。
336 :
身の内:2005/07/26(火) 23:50:10 ID:NYs+ulsD
持っているだけで水滴が零れ落ちている。
「ほら、早く絞りなさい!」
姉弟子の叱咤の声に千代姫は、その小さな手で力一杯に布を絞った。
含まれた水分がにじみ出て、柔らかい姫の肌を伝う。
「天秀っ 雑巾を絞りなさいと言っているのが分からないのですか!?」
「え・・・?」
その小さな手が、それこそもみじの葉のように赤くなるまで力を込めていた。
「そなた、それで絞っているつもりか!?」
それなのに姉弟子の声は七歳の身体を鞭打つ。
「絞りなさい、天秀!!」
天秀 天秀尼
今の、これからの私の名前。
父と祖母につけて頂いた千代という名は捨てさせられた。
もう、此処で天秀尼という尼僧として生きるしか残された道は無いのだ。
歯を食いしばり手の先から伝わる痛みに絶えながら、天秀尼は更に力を込めて雑巾を絞った。
荒い布地に耐えられず掌の皮が破れ、汚れた雑巾に朱の斑点が染み込んでいった。
337 :
身の内:2005/07/26(火) 23:51:31 ID:NYs+ulsD
東慶寺の山門を徳川千姫がくぐったのは、豊臣の千代姫がこの寺に出家してから一月あまり経ってからの事であった。
本当ならばもっと早く訪れたかったのだが、諸々の事情がそれを許さなかった。
客殿に通され、しばらく待つと障子の向こうから懐かしい声が聞こえた。
「入りゃ」
久しぶりの再会に、少なからず心躍った千姫の許しと共に開いた障子の向こうで千代姫は深々と頭を下げた。
それこそ、額が廊下の床板に触れ合うまで頭を下げたのである。
「え?」
思わず、千姫の口から困惑と驚きの声が漏れた。
その声に合わせるかの様に頭を上げた千代姫の顔を見て、千姫は言葉を失った。
三ヶ月
彼女に最後に会ったのは三ヶ月前・・・
たった三月で人はこうも変わってしまうのか?
正室と側室の娘という置かれた立場の違いこそあれど、二人の仲は良かった。
338 :
身の内:2005/07/26(火) 23:52:17 ID:NYs+ulsD
それこそ、淀の眼の届かないところでは、お千代は千姫を『姉君』と呼び慕ったのだ。
心中穏やかで無い物を抱きながらも、その無垢な笑顔にほだされて千姫もこの少女を妹のように可愛がった。
三月前までは・・・
輝いていた。
幼い少女特有の無垢な美しさが陽の光を跳ね返す程に輝いていた。
しかし今、その煌きはどこにも見うけられない。
くすんでいる。
幼き身体から発するのは、絶望と諦めの影。
あの天真爛漫な娘とはまるで別人だった。
339 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/29(金) 06:36:57 ID:7xaF70Wh
あげ
続き期待sage
∧_∧
( ・∀・) 保守ね
( ∪ つ
と__)__)
342 :
身の内:2005/08/07(日) 23:32:53 ID:vY6khpD+
「・・・入りゃ、お千代・・・」
「・・・・・・天秀・・・」
「ん?」
「天秀にございます・・・」
千姫の口元がわずかに歪む。
「そう・・・じゃったな・・・」
無感情な顔、声の少女はまるでカラクリ人形の様であった。
「失礼いたします」
天秀尼は客殿の中に入ると、そっと障子を閉めた。
東慶寺から千姫が江戸城に帰還したのはそれから半月程経ってからの事であった。
何があったのか?
出かける時にはあれほど意気揚々としていたこの勝気な姫君が、戻ってきてからというものすっかりと塞ぎこんでいる。
誰に問われても明確な返事をせず、かといって体の加減が悪いわけでもない。
『東慶寺で何があったのか?』
343 :
身の内:2005/08/07(日) 23:33:51 ID:vY6khpD+
人々の関心ごとは更に続いた。
『千姫と千代姫との間にどのような会話があったのか?』
それは、当の本人達でしか知りえないことであるのだが・・・
「姫様・・・千姫様・・・」
「おたしなみは、もう・・・」
見事な金粉細工の施された朱塗りの杯を傾けながら、千姫は自室の障子を開け放ち夜雲の合間に覗く半月をぼんやりと見上げていた。
「・・・」
千姫付きの端女の少女二人は顔を見合わせた。
確かにおかしい。
家康だろうが秀忠だろうが真正面から射抜いていた鋭い眼光は今や力を失い、公然と徳川家を批判罵倒していた勢いが無い。
今宵に至っては食事もろくにとらずに酒をあおっている。
しかも結構な酒量であった。
確かに・・・確かに千代姫との間で「何か」が起きたのである。
344 :
身の内:2005/08/07(日) 23:34:55 ID:vY6khpD+
「・・・椿」
「は、はいっ!」
いきなり主から名を呼ばれ、端女の一人がビクッと身体を強張らせる。
「・・・我は愚かな女か?」
「え・・・?」
「・・・楓」
「はい、姫様」
「我は傲慢な女か?」
「・・・如何なさったのですか?千姫様・・・」
クッと杯に残った酒を飲み干すと、その濡れた唇は自らを嗤った。
「我は・・・愚かで傲慢な女だ・・・人の・・・心を踏みにじる女だ・・・」
ポンと杯を放り出す。畳の上を転がったそれは、楓の膝に当たって止まった。
「姫様、お寝具の支度は整っております」
楓は静かに千姫に告げた。
何があったのかは知らないが、とりあえず今夜は寝かしてしまおうという考えだった。
「ん・・・」
駄々をこねるかと危惧していた二人の心配は、意外なほどあっさりと外れた。
「そうか・・・」
酒に濡れた姫君はだるそうに腰を上げた。
345 :
身の内:2005/08/07(日) 23:35:55 ID:vY6khpD+
幾重にも重ねられた布地がヨレヨレと起き上がる。
「お手を・・・」
「いらぬわ・・・」
と言いながらもふらつく体は無意識に支えを求めた。
「ほら・・・姫様・・・」
「手を私の肩へお回し下さい」
豊臣の最後の姫の一人は端女達に両脇を抱えられながら情けない足取りで寝室に連行された。
同じ月をもう一人の豊臣の姫が見上げていた。
いや、もう姫ではない。
「天秀!就寝の時間ですよ!」
廊下に立つ少女に厳しい声が飛んだ。
「はい、ただいま・・・」
落ち着き払い返事をすると、天秀尼は静かに廊下を歩みだした。
「・・・」
少女を叱りつけたのは彼女の世話を任された姉弟子だった。
「申し訳ありません」
廊下を進むその歩み、すっと頭を下げるその動作。一寸のゆがみもなく、まさしく雅な動きだった。
「本当に姫様ね・・・」
「もう・・・違います」
346 :
身の内:2005/08/07(日) 23:36:59 ID:vY6khpD+
二人は並んで薄暗い廊下を進む。庭を照らす月がその二人を追う。
「先だっての千姫様・・・何があったのじゃ?」
少女はその問いに口元を歪めた。
「・・・私の・・・東慶寺の後見をしてくださると・・・」
姉弟子はその声に少女の苦痛を感じ取った。
「何か・・・言われたのじゃな・・・」
「・・・何も・・・」
二人の会話は途切れた。
沈黙の行進は天秀尼ら新入山者の寝室の前まで続いた。
「お休みなさいませ」
勤めて笑顔を作る少女を不憫に思いながら、姉弟子は静かに答えた。
「明日も早い。早く休みなさい・・・」
『何故、そのような・・・!!』
『すまぬ・・・そのようなつもりでは!』
『酷い・・・』
『お千代!』
『あまりに酷でございますっ』
酒に頼めば記憶が消せるかと思った。
無理だった。
347 :
身の内:2005/08/07(日) 23:38:30 ID:vY6khpD+
返しの為に体に刺さった矢が抜けないように、徳川の女であるが為にあの記憶は消せなかった。
「ん・・・」
ごろんと千姫は寝返りをうった。
今何刻だろう・・・
あれほど酒をあおった割に頭は痛くない。
真っ暗だ。
「うつけだ・・・私は」
あれから何度自分を責めただろうか?
数え切れぬ・・・それでも足りぬ
あの顔 あの瞳
忘れたかった。己の過ちを・・・
あの少女を、たった一人になってしまった少女を深く傷つけてしまった罪を消したかった。
せめて・・・今ひと時だけでも・・・
右手が動いた。
自分の頬をそっと撫ぜ、左手の指がカサカサに乾いてしまった唇をなぞる。
「ん・・・」
敏感な唇から強い刺激が起こる。くすぐったくて・・・ちょっと甘い。
心臓の動機が高まってくる。
絶妙な加減で己の唇を愛撫する指。自分で動かしているクセに自分を焦らしている。
348 :
身の内:2005/08/07(日) 23:39:39 ID:vY6khpD+
頬に添えられた指がうなじへと落ちる。
クンと掛け布団がうねる。
優しく指が曲がり、綺麗に切りそろえられた爪が純白の肌を波立たせていく。
「はぁ・・・」
下唇をなぞる指を舌が迎えた。それに応じるように人差し指が舌に導かれて、口の中に飲み込まれていく。
ぎゅっと眼を瞑り、指の腹を舐め上げる。
自分の舌のなまめかしさに背筋が震える。
若い身体が見る間に火照っていくのを女はぼんやりと自覚した。
指をしゃぶりながら、うなじを擽っていた指をさらに降ろしていく。
寝間着の襟に引っかかった指先が、はしたなくその下に潜り込む。
〜ああ〜
卑しい事をしている。
でもそれで忘れられるなら・・・
千代姫の事を忘れようと自らの身体を這い回り始めた指は、同時に男を思い出させていた。
〜秀頼様〜
あきれるくらいに明白だった政略結婚。
自分はまだ子供で、最初は相手にされなかった。
349 :
身の内:2005/08/07(日) 23:40:48 ID:vY6khpD+
でも、それはそれで気が休まった。
好いた男ではなかったから・・・
しかし、夜毎身体を合わせるようになってからは千姫の心情にも変化が現れるようになった。
初めての男
その指、全身を余すことなく這い回った舌、そして・・・
「んふぅ・・・」
キュッと乳房を掴んだ感触に堪えきれずに声が漏れた。
掌に当たる先端の蕾は固く立ち、コロコロとした感触が生々しかった。
ジュン
下肢が濡れて音を立てる。
「はぅ・・・」
身体を苛む鈍い性感にじんわりと焼かれながら、千姫は微妙に腕を動かし、乳首を転がす。
望んでいた以上の刺激が脳を刺し、布団が跳ねる。
「んっ んっ 」
知らず知らずの内に唇を噛みながら、千姫は熱を逃すように布団を跳ね除け、寝間着をはだけさせた。
〜秀頼様 あぁ・・・〜
落城の憂き目に遭って以来、この身体を男の手に触れさせた事など無かった。
こうして慰める事さえも嫌った。
350 :
身の内:2005/08/07(日) 23:42:05 ID:vY6khpD+
自分で自分を哀れんでいる様な真似は豊臣の姫として出来なかった。
しかしその身体は二十歳に満たず、しかも男を知っていた。
この五ヶ月、求めない日が無かった訳ではない。
その欲求を無理やり押さえつけていたのだった。
「あっ いい・・・」
思わず口走ってしまうほど心地よかった。
その程よい胸の膨らみはすでに殆どが外気に晒され、裾から抜け出した太ももが淡い月光を照り返す。
もう寝間着は腰紐でかろうじて姫の身体にしがみついているだけで、まるで蝶が羽を拡げたように敷布を隠していた。
その白い世界の上で千姫の身体が淫靡な舞を演じている。
両手で胸を揉みしだき、その先端を摘む。
「ヒ・・・ィッ」
自ら紡ぎだした快感に悲鳴を上げながら、足の指を布団に食い込ませる。
「あ・・・早よ・・・早よ・・・秀頼さ・まぁ」
夢を見ているのか?
既にこの世を去っている夫の名を呼びながら腰をくねらせ、太ももをすり合わせる。
滴っていた。
千姫から零れ落ちた蜜は、はだけられた寝間着に染みを作り汚していた。
その一滴一滴が、ようやく快楽にありつけた身体が流す悦びの涙だった。
もう、声を抑えようともしない。
351 :
身の内:2005/08/07(日) 23:42:54 ID:vY6khpD+
抑えようと考える余裕もなかった。
身体が求めるままに声を上げ、卑猥な言葉まで口にした。
指が苛める。
女の本能に支配された指は、もう他人の指も同然だった。
愛撫されている。
誰かに可愛がられている。
それこそ千姫が待ち望んでいた物なのかも知れない。
「ああっ もっとぉ」
頭を激しく振りながら上げた嬌声は、姫の寝室の隣にまではっきりと響いていた。
その部屋には、端女の椿と楓が控えていたのだった。
>>342−351
千姫様の一人エチー…(;´Д`)ハァハァハァハァハァハァ
続きはないのでしょうか?
353 :
1です:2005/08/11(木) 00:33:43 ID:jRCi0UAx
>352
ありがとうございます!
続きはのんびりと書いております^^;
とりあえず、今投下できる分だけをうpさせてもらいます。
354 :
身の内:2005/08/11(木) 00:34:54 ID:jRCi0UAx
「どうしたの?天秀・・・ちゃん?」
なかなか寝付けなくて、しきりにごろごろと寝返りをうっていた天秀尼に隣の布団から声が掛かった。
「あ・・・うるさかった?」
慌てて謝る千代姫に隣の少女はクスっと笑いかけた。
「うん」
「済まぬ・・・あ、ごめん」
「いいよ、私も眠れなくて・・・あの・・・」
尾張の出だというこの少女は、生活環境が激変した天秀尼にとって良き相談相手であり、生涯初めての友達だった。
「何?」
自分とは全く正反対の全く型にはまらないこの同い年の娘は、積極的に千代姫に話しかけ、そして笑いかけてくれた。
生きる気力を徳川家に吸い尽くされた千代姫にとって、それはとても温かく、新鮮で今の天秀尼にとっては無くてはならない人になっていた。
「あのね・・・怒らない?」
「何?」
「えっと、ね・・・この前、天秀ちゃんに会いに来たお姫様、ね・・・」
「・・・」
「・・・天秀ちゃんに意地悪したの?」
「・・・え?」
きょとんと大きくなる千代姫の瞳を真剣に見つめながら、少女は泣きそうな声で再び尋ねた。
「虐められたの?」
「どうして・・・泣いてるの・・・?」
355 :
身の内:2005/08/11(木) 00:36:19 ID:jRCi0UAx
「だって・・・」
グスグスと鼻を鳴らしながら少女は布団から手を伸ばした。
思わずその手を握ってやりながら、千代姫は否定した。
「ちがうよ・・・あの女(ひと)、私の面倒を見てくれるって・・・後見してくださるって・・・
それで此処に来たの・・・」
「嘘!天秀ちゃん 泣いてた!」
「・・・そうだけど・・・でも・・・違うの」
「違うの?」
「うん、だって・・・・・・」
部屋を満たす暗闇の中で、天秀尼は静かに瞳を閉じた。
「あの女(ひと)も、泣いてたから・・・」
十本の指が大きく波打つ腹をなぞる。
目指すそこは黒い茂みの向こう側だ。
己の指先がなだらかな下腹部へと及んだ時、千姫は深い溜息を吐きながら脚を拡げた。
大きく
男を迎え入れる時のように大きく・・・
「ふぁっ あぁ はぁ・・・」
356 :
身の内:2005/08/11(木) 00:37:41 ID:jRCi0UAx
濡れた瞳を瞼で隠し、肩を力一杯すくませながら恐る恐る指を降ろしていく。
もう止まらない もうたまらない
どんなに気丈に振舞っていても、人から鬼姫と呼ばれようとも、所詮は女だと思い知らされる。
快楽を前に我を張れない弱い女だと思い知らされる。
吹き出る汗にベッタリと張り付いた茂みを通り抜け、たどり着いたそこは滾々と湧き出る蜜に浸されていた。
「フッ・・・くっ」
指をこする花開いたその箇所は、何度触れても触れられても本当に自分の身体の一部なのかと疑うほどに柔らかく敏感な肉だった。
ぷっくりと膨れた周りの果肉に指を添え、ゆっくりと左右に開いていく。
ニチュ・・・ミチャ・・・
花弁を覆う蜜がかすかな音を立て、冷たい外気が無防備に向かれていく薄い桃色の襞に触れる。
「ヒグッ! ひゃっ・・・ぁん」
つま先が布団に食い込み、足の指が布地を引きちぎらんばかりに掴む。
自らの指で開いた女陰から一滴の蜜が零れ落ちた。
つぅっと尻の谷間に流れ込む。
「いっ!!」
ビクッと腰が跳ね上がり、絡みついていた腰紐が振りほどかれた。
「いやぁ・・・」
357 :
身の内:2005/08/11(木) 00:39:00 ID:jRCi0UAx
「すごい・・・」
椿の声に楓は頷いた。
「綺麗・・・」
わずかに開けた襖の向こうでは、主である千姫の身体が布団の上で悶え踊っている。
細い月明かりが障子紙を介し、姫の部屋を藍色に染め上げている中、一糸纏わぬ身体はまるでそれ自体が光を放っているかのように鮮明に少女達の目に飛び込んできた。
股間に潜り込んだ腕の淫らな動き・・・
その腕に挟まれ、揺れ動く胸の膨らみ・・・
腰が上がる度に見せ付けられる尻の丸み・・・
「 ぃ・・・いっ・・・ぃや・・・ 」
いつもキリッと真一文字に結んだ唇の間からこぼれる泣き声・・・
「はぁ・・・」
熱い
熱い吐息を吐きながら椿はその細い腕で、ギュッと自分の身体を抱きしめた。
熱い
「・・・熱い?」
耳元で楓が優しく囁く。
「うん・・・」
楓の細い指が頬を撫ぜた。
「汗がこんなに・・・」
358 :
身の内:2005/08/11(木) 00:40:02 ID:jRCi0UAx
言葉と共に吹きかけられる楓の吐息も、また熱かった。
「姫様・・・どうしちゃったの?」
「ん?」
そっと椿の肩を抱き寄せる楓。
腕の中で同い年の少女の華奢な身体は細かく震えていた。
「あっ! ぁ・・・ふっ!!」
襖の向こうの声は次第に大きくなり、息を荒げる二人の少女に打ちつけられた。
「切ない・・・の?」
椿は崩れ落ちそうな自分の身体を抱きとめてくれている楓の腕にしがみつくようにして問うた。
「そう・・・ね、千姫様、切ないの」
「泣いてるよ・・・」
垣間見える千姫の表情は、確かに恍惚というより苦悶に満ちた物であった。
あれほど自分の身体を弄んでいるというのに・・・
性の喜びを受け止めていながら、その高ぶりを性急に求めていた。
何かから逃れるように・・・
「私たち、何か出来ないの?」
「えっ・・・?」
年若くして落ち着きのある楓が戸惑った。
「何かって・・・」
「姫様、泣いてる・・・お慰めしなきゃ」
359 :
身の内:2005/08/11(木) 00:41:43 ID:jRCi0UAx
「・・・手をお貸しするって言うの? でも・・・」
相手は千姫である。
下手に今、手を出そうものなら明日の夕焼けを見ることは出来ないであろう。
「私達、姫様の為に此処に居るのでしょ?」
腕の中から見上げる椿の眼は純粋だった。
ひたすら透き通っていた。
この娘と共に千姫の端女となってから、結構つらい目に合わされた。
慰めたし、慰められた。
恥ずかしくて口には出した事はないが、楓はそそっかしい所のあるこの同僚の少女の事がすっかり気に入っていた。
好きになっていた。
この娘はどこまでも真っ直ぐで、本当に姫様の事が好きで・・・
私のことは・・・どう思ってるんだろう・・・
「いいわ」
暗闇の中で楓は答えた。
椿と一緒なら、どうなってもいい。どんな事でもこの娘と一緒なら耐えられる。そう思った自分が居た。
「姫様をお慰めしましょう・・・」
「うん・・・ありがと、楓」
耳に心地よい声に思わず顔をほころばせながら、楓は静かに襖を開け放った。
保守
>354->359
マチクタビレタ〜
☆ チンチン〃 Λ_Λ / ̄ ̄ ̄ ̄
ヽ ___\(\・∀・) < 続きマダー?
マチクタビレタ〜 \_/⊂ ⊂_ ) \____
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | マチクタビレタ〜
362 :
身の内:2005/08/16(火) 23:45:14 ID:CqG6c0xI
自らの肉を貪り、更に奥へと入り込んでくる指に泣き声を上げながら千姫はどこか遠くで自分を呼ぶ声を聞いた。
男の声ではない。女の幼子の声のように聞こえた。
〜あ・・・千代・・・?〜
白く霞がかる頭の中で千姫は泣かせてしまったあの娘の顔を見た気がした。
きゅ・・・ん
その顔を思い出した途端に胸が締め付けられる。
「はっ くっ 」
荒い息を吐きながら歯を食いしばる。
忘れたいのに・・・!
指を増やす。
「ひぐぅっ・・・!!」
女の指2本程度では、いきり立った男根の太さには及ばなかったが千姫は軽い絶頂を迎えてしまった。
姫の女陰は久しぶりに異物を咥え込んだ悦びに打ち震えていた。
〜足りない〜
363 :
身の内:2005/08/16(火) 23:46:08 ID:CqG6c0xI
一瞬飛んだ思考を取り戻した時に千姫の脳裏をかすめたのがこの言葉だった。
足りなかった。物足りないのだ。
身体がまだ満足していなかった。
まだ心にはあの少女の面影が焼き付いていた。
「千姫様・・・」
「姫様・・・」
ほら、まだ声まで聞こえる・・・
自らを辱めてもまだ忘れられないというのか?
いや、それよりもこの火照ってしまった身体をどう始末しようか?
「・・・」
軽く瞼を閉じ、股間に埋めた指を引き抜く。
ビクッと腰が震えた。
「う・・・ん」
〜駄目 我慢できない〜
一瞬の躊躇の後、再び指を埋めようとした腕に指が纏わりついた。
他人の指が
「なっ・・・!」
反射的に跳ね除ける。
364 :
身の内:2005/08/16(火) 23:47:01 ID:CqG6c0xI
「誰じゃ!?」
「楓にございます・・・」
「つ、椿です、姫様・・・」
何時の間に!?
暗がりの中に自分を挟んで布団の両端にちょこんと座っているのは、確かに端女の二人だった。
「お、お前達・・・」
さすがの千姫も言葉に詰まる。
「姫様・・・お寂しいのですか?」
自慰をしていた女に十四、五の娘が問いかける。
「っ・・・」
普段のこの女人なら槍に手を伸ばしそうな端女の発言。
しかし当の千姫はかぁっと頬が染め、慌てて両の手で慌てて乳房と股間を隠し布団の上で丸くなってしまった。
首を捻じ曲げ顔を敷布に押し付ける。少女達に今の表情を見られたくはなかった。
この痴態を同性の、しかも幼子に見られてしまった。
しかも毎日顔を合わしている娘達に・・・
「何時から・・・」
くぐもった声が聞こえた。泣き声だった。
先程上げていた嬌声ではない。
「少し前から・・・」
「・・・見てたの・・・・・・か?」
365 :
身の内:2005/08/16(火) 23:48:04 ID:CqG6c0xI
部屋の中に入ってきていたのに見ていない訳がない。しかし、それでも千姫は聞かずにはおれなかった。
「・・・はい・・・」
「 ぃゃ 」
布団の中から小さな小さな声が聞こえた。
肩が小刻みに震え始める。
暗闇に目が慣れてきた椿は、丸くなって自分達の視線から必死に逃れようとしている主の背に汗の玉が浮かんでいるのを見た。
何も考えずに顔を近づけ、舌を出した。
「ヒッ・・・!」
少女の舌に肌を舐められ、女は跳ね起きた。
身をかがめていた椿の目の前で乳房が揺れる。
「椿!? 何をするのじゃっ?」
大きな声ではあったが、咎める節はなかった。
いや・・・怯えていた。
「千姫様・・・お慰めいたします」
驚愕が千姫を襲った。
あどけなさを十分残した椿の口からこのような言葉が出るとは!?
興奮に火照った少女の顔が、今度は胸の膨らみに近づいてきた。
「やっ」
慌てて両手で椿の頭を押さえる。
「やめよっ 椿・・・んっ」
366 :
身の内:2005/08/16(火) 23:49:00 ID:CqG6c0xI
いきなり肩口に強烈な刺激が走り、姫は思わず息を詰まらせてしまった。
背に廻った楓の唇が肩に吸いついたのだ。
その柔らかさ!
一瞬にして吐息の温度が上がった。
「は、離れよっ 楓・・・」
後ろ目に睨むその瞳は言霊同様に力が無かった。
チュウ
かまわず吸う。
「ぅんっ!・・・やめよと言うのに・・・」
はぁっと息をつきながら年上の女は身をくねらせる。
「姫様・・・」
唇をゆっくりと首筋に滑らす。
ビクビクッと相手の身体が痙攣し、更に力が抜けていくのが唇を通して伝わってくる。
椿の頭を突っぱねていた腕も、いまや彼女の頭に添えられているだけだった。
椿は頭を上げるとその手を取った。
何の抵抗も無く自分に委ねられた腕を引き寄せ、だらんと垂れ下がっている指にしゃぶりつく。
その指は千姫自身の蜜がこびり付き糸を引いていた。
「あ・・・やっ 椿・・・駄目 駄目、汚れてるから」
367 :
身の内:2005/08/16(火) 23:49:51 ID:CqG6c0xI
そう口にしながらも千姫は自分の指を椿の口から引き離そうとしない。
舌の感触がたまらなかった。
少女の口の中で一本一本丁寧に舐められていく。
自分の卑しい蜜を無垢な少女がしゃぶり取ってくれている。
「は あ・・・」
うっとりと目を細めた千姫の顎に背中から伸びてきた楓の指がかかった。
そっと主の顔を上に向かせると、その五本の指は顎から喉へと這い降りてきた。
「ああ・・・」
なまめかしい声が千姫の唇から漏れる。
そっと唇を離すと今度は舌を伸ばし、その先で擽るようにチロチロとうなじを舐めていく。
しっとりと濡れた汗が塩辛い。
「あっ あっ 楓っ・・・そなた・・・」
再び股間を蜜が濡らしていた。
少女達の舌の奉仕が千姫の欲望を更に掻き立てているのだ。
時間をかけ十本の指をしゃぶりつくした椿は、今度は自分の唾液でてかっているそれに愛しげに頬ずりした。
「姫様の指・・・好きです」
「ん?」
二人の奉仕に完全に身を委ねた千姫はぼうっとした声で聞き返す。
「なぜ?」
「だって・・・こんな綺麗な指見た事ありませんから! 細くて、長くて・・・綺麗」
368 :
身の内:2005/08/16(火) 23:50:56 ID:CqG6c0xI
少女の純粋な言葉に千姫はクスッと笑った。
「有難う・・・」
〜わぁっ!〜
主の意外な反応に椿は目頭が熱くなった。
〜姫様が優しい!〜
さらに擦り付ける頬を指が優しく撫ぜてくれた。
「姫様ぁ」
ごろごろと子猫のように自分の指にじゃれつく少女。
「あぅ・・・」
椿とは対照的に楓は舌を蠢かし続けていた。
耳たぶを唇で挟み、鎖骨のくぼみへ指先を滑らす。
「ん・・・っ ふ・・・くすぐったいぞ、楓・・・」
「それだけで・・・ございますか・・・?」
息だけの声を耳に吹きかける。
「ぅん・・・ お前・・・」
桃色の唇が頬にこすれる。
若い申し分ないその弾力に姫はだんだんと自分が狂わされていくのを実感した。
「心地よくございませんか・・・姫様? 私はもう・・・」
楓の人差し指が鎖骨の線を乗り越える。その指は次第に大胆になっていく。
「私はもう・・・夢見心地でございます・・・」
369 :
身の内:2005/08/16(火) 23:51:48 ID:CqG6c0xI
楓は指先から伝わる徳川の姫の肉体の感触を過敏に伝えていた。
同じ女とは思えないこの柔らかさ。滑らかさ。
まさに女体とはこういう物だと納得させられる。
ああ、後少し指を降ろせば・・・そこは
そこはまさに女体の象徴であった。
椿と楓の舌に静かに掻き乱され、大きくたわみ、揺れる乳房。
その先に息づく蕾は痛々しい程に勃起し、二人の舌と指を誘っていた。
執拗に千姫の指に舌を這わせている椿も興奮に濡れた瞳でその柔らかそうな膨らみを凝視している。
「・・・」
ぐったりと呆けたように首を傾けている千姫も薄めに少女達の関心が自分の胸に集まっているのを察知していた。
視線が柔い肌に粘りつく。
「よろしいですか・・・?」
興奮に掠れた声で椿が尋ねた。
何の許可を求めているのかは考えるまでも無い。
しかし、その許しを口にすることはとても出来なかった。
「よろしいですか?」
今度は楓が耳元で囁く。
370 :
身の内:2005/08/16(火) 23:52:55 ID:CqG6c0xI
この娘達は自分の許しを待っている。
許しを与えない限りソコには触れないのだろうか?舐めてくれないのだろうか?
ゾクゾクっと背筋が震えた。
何て淫靡な誘いだろう。
口に出して言うのか?
自分より五つも年の離れた少女達に頼むのか?
『胸を触って』 『乳首をいじって』
主の自分が端女の彼女達に媚びるのか?
『お願い 可愛がって 気持ちよくして』
言えるわけが無い。
そう思った瞬間に口が開いた。
「よい・・・許す・・・」
それはこう言ったのも同然だった。
『ねえ・・・して・・・』
クスッ
耳元で楓が笑った。
371 :
身の内:2005/08/16(火) 23:53:43 ID:CqG6c0xI
〜嗤われた〜
端女風情に嗤われた・・・
哀れな女と思われた・・・
腰が燃えた。
いても立ってもいられず、太ももを擦り合わせる。
それでも股間からせり上がる興奮の火を止める事は出来なかった。
〜早よ〜
「早よぅ・・・」
淫らな糸に身体どころか心まで縛られていた千姫は自分が何を声に出しているのかを認識できなかった。
はっきりと口に出していたのに・・・
はっきりとねだっていたというのに・・・
「早よ・・・ あぁ・・・してぇ」
許しを得た楓の指と椿の舌が同時に、両の乳首に触れた。
372 :
身の内:2005/08/22(月) 00:23:45 ID:KYcpkvvs
「う・・・ん」
隣の布団で少女が心地よさそうに寝返りをうつ。
眠れない。
どうしても寝付けない。
千代姫はこんな夜になれてしまっていた。
うっすらと見える天板を意味も無く眺めながら、隣の友達の寝息に耳をそばだてる。
『いじめられたの? あのお姫様に』
自分だって姫だった。数ヶ月前までは・・・
もし何かが違っていたら、この部屋で眠れぬ夜を過ごしていたのは、あの千姫だったかもしれない。
『いじめられたの? あのお姫様に』
いじめられてはいない。そう思いたかった。
憎い女ではなかった・・・ハズだ。
ガバッとカビ臭くて薄い掛け布団を頭まで被る。
〜忘れたいのに〜
忘れられない。あの日のあの女との会話・・・
373 :
身の内:2005/08/22(月) 00:24:56 ID:KYcpkvvs
「お久しぶりでございます・・・」
「・・・つらいか?」
何て問いかけだろう・・・素直につらいと言えばよいのか?
そんな事を言ったら、この後どんな仕打ちをされるか分からないじゃないか!
「・・・いえ・・・」
天秀尼は幼心にこの女には逆らってはいけないと考えていた。
この女は自分が大好きだった姉様ではない。
徳川の女だ。
「・・・慣れました・・・」
「そうか・・・」
千姫は目の前にちょこんと座している少女を痛々しげに見つめた。
以前の明るい笑顔を知っているだけに切なかった。
「天秀尼・・・住職殿に先程話を通した。我がそなたの後見となる・・・」
「え・・・?」
きょとんと天秀尼の目が大きくなった。
「千姫様が・・・でございますか?」
「そうじゃ・・・」
千姫は優しく微笑んだ。
丸くなった天秀尼の瞳に昔の面影を見つけたのだ。
374 :
身の内:2005/08/22(月) 00:26:09 ID:KYcpkvvs
「そなたの刑を取り消し、この山寺へ逃しただけでは我の気が済まぬ。これからは我がそなたの面倒をみよう!亡き秀頼様の為にも・・・」
千姫の話を聞いている内に天秀尼は俯いてしまった。
可愛い耳たぶが真っ赤になり、肩が小刻みに揺れだす。
〜張っていた気が緩んだか・・・〜
千姫はその様子を見て勘違いした。
勘違いしたのだ。 優勢である者が故の、勝者であるが故の残酷な勘違い・・・
〜喜んでくれて良かった〜
ますます緩む千姫の口元。下がる目尻。
千代姫には嘲笑っているようにしか見えなかった。
〜この女がっ・・・! この女かっ!!〜
自分の死ぬ機会を奪ったのは!
優しい父母、兄の元へ行くのを阻み、つらい現実を自分に叩き付けたのは
〜この女かっ〜
母のように見守る千姫の前で千代姫は憎悪にその心を燃やしていた。
でも
〜いけない・・・逆らうわけにはいかない・・・〜
なんとか未熟な理性が歯止めをかけていたのに、無邪気な千姫はそれを打ち砕いてしまった。
375 :
身の内:2005/08/22(月) 00:27:52 ID:KYcpkvvs
「天秀尼・・・いや、お千代。もうそなたの身内は我しかおらぬのじゃ・・・遠慮せずに頼りなさい・・・」
身内?
今、この女は身内と言ったのか?
身内のはずが無い。では何故自分は此処にいるのだ!?何故この女は以前の暮らしそのままに生きているのだ!?
〜もうやめて!〜
憎かった 悔しかった
嬲り者にされていると思った。そうとしか思えなかった。
「いやっ!!」
不意に響いた少女の泣き声に千姫は唖然とした。
お千代が涙でクシャクシャになった顔で自分を睨みつけている。
その瞳は喜びではなく憎しみで満ち溢れていた。
「なぜ・・・?」
千姫は分からなかった。
何故、自分がそんな目で見られなければならないのかを。
千姫は分からなかった。
自分の言葉が少女の心をズタズタに切り裂いていたのを。
「私の・・・私の身内は死に絶えました!!」
376 :
身の内:2005/08/22(月) 00:29:22 ID:KYcpkvvs
「!」
可憐な少女のあまりに強い語気に、あの千姫がビクッと身をすくませた。
「あなたなぞっ! 徳川のあなたなぞ、身内ではありませぬ!!」
少女は怒りをたぎらせながら席を立った。
「あ・・・」
この時になって、ようやく千姫は己の過ちに気づいた。
「死んでしまいたかったのに!生きていても父君達には会えないのに!!何故そのような・・・!」
「お千代・・・」
「優しかったのに・・・あなたをお慕い申し上げていました・・・それなのに・・・私を嬲るのがそれほど楽しゅうございますか!?」
己の愚かさと天秀尼の剣幕に千姫はうろたえる事しか出来なかった。
「すまぬ・・・そのようなつもりでは!」
「酷い・・・」
「お千代!」
「あまりに酷でございますっ」
言い捨てると少女は勢い良く部屋を飛び出していってしまった。
最後に見たとき、あの女の眼にも涙が光っているのが見えたがそんな事は関係なかった。
〜千姫様・・・私をいじめるつもりではなかった〜
それから一月程経ち、ようやく落ち着きを取り戻した今なら、あの時の千姫の涙の意味が分かった。
377 :
身の内:2005/08/22(月) 00:31:03 ID:KYcpkvvs
〜本当に私を心配してくれていた〜
でも、今さら分かってももう遅いだろうと思った。
せっかく自分の後見人になると言ってくれた人にあんな失礼な態度をとったのだ。
〜もう会うこともない・・・よね〜
別に寂しくはない。あれは徳川の女だ。
家族を奪われてから四ヶ月が経った。もう寂しくはない。
寂しくなんかない・・・
「ん・・・」
隣の少女がまた寝返りをうつ。
「んん・・・父ちゃん・・・」
寝返った拍子に洩れた寝言が耳に届いてしまった。
「!! うっ!」
前触れ無く津波のように涙が溢れてきた。
「うっ・・・うっ・・・」
寂しかった。
汚い布団を噛み、必死で声をおさえる天秀尼。
〜父君・・・母君! 兄上・・・淀様・・・〜
ギュッと布団を握る小さな手に力が入った。
〜 千姉様ぁ!! 〜
378 :
身の内:2005/08/22(月) 00:32:22 ID:KYcpkvvs
「ふぅあ!? あはぁ・・・」
二人の少女に押さえつけられ、千姫は悦楽の吐息を放った。
二つの可憐な唇が両方の乳首に吸い付き、二枚の舌に責められ続けている。
椿は一心不乱に
楓は巧みに、時には歯をつかって
少女達が与えてくれる違った刺激が、千姫の中で調和しじんわりとした厚ぼったい快感がゆっくりと身体全体を痺れさす。
「いいですか? 姫様、気持ちイイ?」
「良い・・・良いぞ・・・もっと・・・」
椿の問いに素直に答える千姫。
久しぶりに他人の指と舌で与えられる刺激。
それと、たとえ相手が少女であろうと、自分の端女であろうと、この身体を他人に、そして夫以外に触れさせている興奮に女は酔っていた。
千姫の求めに応じて楓が優しく吸い上げる。
「あああっ」
襲い掛かる感覚に首を振るたびに長い黒髪が布団の上に乱れ散る。
379 :
名無しさん@ピンキー:2005/08/27(土) 08:03:44 ID:wcQMVVal
age
380 :
名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 05:36:37 ID:Ri3IOssZ
1さん、続き待ってます。(´∀`*)
381 :
名無しさん@ピンキー:2005/09/07(水) 12:48:14 ID:wHUBdaAL
忍耐中
382 :
名無しさん@ピンキー:2005/09/07(水) 23:54:59 ID:/fmvQF/h
ここ、まとめサイトないの?
スマソ。ageてしまった。
ほしゅ
385 :
1です:2005/09/19(月) 23:34:39 ID:0XJVZZm3
自分で拡げた風呂敷をどうやってたたもうか、四苦八苦している内に一月も経ってしまいました。
ちょっと無計画すぎ・・・
386 :
身の内:2005/09/19(月) 23:36:06 ID:0XJVZZm3
楓の舌がゆっくりと柔らかい丘を下っていく。
にじむ汗を唾液で絡み取りながら・・・
「は・・・あ・・・」
チュパっと音を立てながら椿の唇から乳首が飛び出す・・・
「あうっ」
「千姫様・・・私・・・熱い・・・」
チロチロと濡れぼそった乳首を舌先で悪戯しながら、少女は主に訴えた。
「・・・よい・・・お脱ぎ、椿」
先程たっぷりとしゃぶられた指先で、真っ赤に火照った頬を撫でながら千姫は優しく囁いた。
「楓、そなたもお脱ぎ・・・」
腰に絡みつき、臍の周りを舌でなぞっていた少女がその言葉に顔を上げる。
「仰せのままに、姫様」
済ました口調で返事をする少女も息は乱れ、瞳一杯に涙を浮かべている。
いつもの楓からは想像も出来ない貌。
〜女の顔じゃ〜
ゾクン
自分の中の女が揺れた。
改めて自分が女に慰められている実感が湧く。 たまらなかった。
女達の汗と蜜で異様なまでに蒸す部屋に衣擦れの音が響く。
自分の目の前で少女達が、その未熟な肌を、男どもになど任せたらズタズタにされてしまいそうな華奢で儚い身体が露になっていく。
387 :
身の内:2005/09/19(月) 23:37:28 ID:0XJVZZm3
「誰も近づけさせるな・・・」
千姫の言葉は少女達に向けてではなく、天井に向けて放たれた。
「・・・・・・・・・御意・・・」
天井板の向こう側から若い女の声が聞こえた。
千姫を一日中見張っている忍び、伊賀のくのいちだ。
四六時中、厠へ入るときも風呂に浸かる時も千姫はこのくのいちに見られていた。
そして今も・・・
これから起こる事も、これから自分がすることも全て、この姿を現さぬ忍びの少女に漏らす事無く見られるのだ!
千姫の前に二人の少女が立った。
「・・・ほう・・・」
息を乱しながらも千姫は感嘆の声を上げずにはいられなかった。
二人の少女の裸身は美しかった。
まだ女としては未熟な・・・全てが未熟なその柔い身体。
胸のふくらみも尻の丸みも、腰付きも必死に手で隠しているその部分も・・・
無垢
そう、これが「無垢」だと女は思った。
傷一つ無い。男の痕跡などあろうはずが無い純白の身体。
少女たちのその身体はこれから自分に犯される・・・初めてのお手つきが自分なのだ・・・
388 :
身の内:2005/09/19(月) 23:38:31 ID:0XJVZZm3
手を伸ばす。
「あ・・・」
その未発達な股間を隠している少女達の手首を取る。
「いや・・・」
「ん? どうしたのじゃ、椿・・・」
端女は主に軽く抵抗していた。
「は、恥ずかしゅうございます・・・」
「我が見られているというのに・・・そなたらは見られたくないと言うか?」
イジワルな言葉を少女達にぶつける。
「我が身体を舐めまわしたというに・・・そなたらはされたくないのか?」
少女達は困ったように顔を見合わせた。
「我はまだ満足しておらぬ・・・」
我ながら何という事を言うのだろう。
クッと腕を引く。
それでも少女達は逆らう。
「さ・・・」
さらに引く。
少女達の腕が徐々に秘めたる場所から剥がれていく。
目に映る淡い茂み二つ・・・
389 :
身の内:2005/09/19(月) 23:39:35 ID:0XJVZZm3
「ん・・・」
面白い事に大人びて見える楓の方が薄い。
その部分を隠しきれない。
真っ赤に火照ったその部分。
ふっくらと盛り上がり太ももをすり合わせる度によじれる線まで目に見える。
「いやっ 見ないで下さいまし!」
視線に気づいて慌てて取られていない方の手で必死にソレを隠す。
先程まで自分を優しく攻め立てていた楓とは別人のようであった。
「愛いのう、楓・・・」
その言葉に反応したのは言われなかった椿の方だった。
「姫様!・・・あの・・・」
「もちろんお前もじゃ、椿・・・」
優しい言葉とともに、更に手を引く。引き続ける。
「あ・・・」
少女達の抵抗はいつの間にか止み、引かれるがままに膝をつく。
鼻腔を擽る女の匂い
腰を痺れさせる雌の臭い
390 :
身の内:2005/09/19(月) 23:40:35 ID:0XJVZZm3
「さ・・・続きをしておくれ・・・まだ足らぬのじゃ・・・」
恥ずかしげに小声で訴える主。
今まで聞いた事もないように甘くせかす声。
千姫の手がそっと離れた。
自由になった少女達の手は、待ち受ける年上の身体に引き込まれるように伸びていった。
漆黒の闇に洩れる一筋の光・・・
空気が淀み暑苦しい天井裏に下からの熱気が立ち込める。
気配を消すために通常の人間より4倍は遅い間隔で行っていた呼吸が乱れがちになる。
自分の真下で行われている情事の所為だ。
天井板の割れ目から其れが見れる。声が聞こえる。臭いが嗅げる。
見ているのはくのいち。
歳の頃は、今下で一心不乱に指と舌を使っている椿と楓とそうは違わない。
伊賀者だった。
昼はこの屋敷の奉公人として仕え、夜になると忍びに戻り同胞の伊賀者と交代で千姫を見張る。
楓と椿とも顔見知りだった。無論、自分の正体は知らない。
その娘達があろうことか、主の身体を夢中で貪っている。千姫を愛撫している。
〜なんて事〜
実際に目にしていることが信じられない。
職人さんがんばれ
保守
エロなしの弦之介×朧とかって需要あるかな…
へたれだけど、久々に読んだらネタがむくむく湧いてきてw
自分エロ書けないから今まで投下躊躇ってたんだけど、良ければなんか書きたいなあ。
三巻後半朧が天膳にいのちの精をしっかり注がれるSSたのんます
夜叉○×蛍火とか書いていい?
397 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/03(月) 06:40:46 ID:iGA261fO
age
現代ものにパロディってのは反則か…
女教授朱絹と学生小四郎とかミタス
イヤンな教頭天膳
むしろ看病してる内にウブな小四郎に魅かれたという設定を生かして
ナース朱絹と患者小四郎とか
401 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/04(火) 00:25:30 ID:4G7gpqsX
夜叉蛍見たい!
現代パロならまだ「課長薬師寺天膳」か「バジリスク学園」を元にしてくれたほうがいいかな。
403 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/14(金) 07:15:49 ID:plUUaTpP
age
せーらー服の朧タン…
陽炎を犯すたび死ぬ天膳
それでも懲りずにまた犯して死ぬ天膳
ところで陽炎って完璧に天膳にやられたのか?
未遂?
406 :
1です:2005/10/23(日) 23:26:30 ID:MnE8cjHS
一月以上のごぶさたですが・・・
>390 の続きです。
407 :
身の内:2005/10/23(日) 23:27:10 ID:MnE8cjHS
白い花に蝶が二匹群がっている。
舌を伸ばし、指を這わせ、主の着物を脱がせていく。
「んふ・・・」
仰け反る白い首筋に椿の細い指がまるで蜘蛛のように這い回る。
純白の襦袢が乱れ、その生地より肌理細やかな肌が少女達の唾液にまみれる。
「あ・・・っそ・・・こは・・・」
裾が大きくめくられ、汗と蜜に濡れぼそった茂みが露わにされた。
何の躊躇いも無く顔を埋める楓。
舌が伸びた
「あああっ!」
一際大きな声が響いた。
〜!!〜
気配が意識の中に侵入してきた。
「ぅあっ 噛まないで・・・! 楓ぇ!」
「姫様・・・」
「やぁ あっ いやっ そんなっ!」
女達の声を耳に残しながらくのいちの少女は音も無く屋根裏から廊下に移動する。
薄暗い廊下の向こうから、やってくる気配が無警戒に強くなる。
408 :
身の内:2005/10/23(日) 23:28:17 ID:MnE8cjHS
「・・・天海様・・・」
気配の主の姿を認識した少女は少なからず驚いた。
何故、天海上人がここにいるのだ?
「こんな夜更けに・・・」
「ご苦労・・・」
跪く少女を見下ろす男の眼光は、これがみ仏に使える者の目かと疑うほど冷たく残忍な色を光らせていた。
「あばずれは?」
「・・・ご就寝でございます」
廊下にも女達の声が漏れ響いていた。
「ふん・・・!」
天海はその天狗のような高い鼻をならすと、くのいちを睨みつけた。
「もっと 強ぅ・・・強ぅしてぇ・・・」
千姫の淫らな言葉が二人の耳に届いた。
上人とくのいちは無言・・・
ニタリ
やがて上人の口元が厭らしく吊り上った。
「首尾は上々・・・お前と違ってあの二人は実によく動きよる・・・」
409 :
身の内:2005/10/23(日) 23:29:21 ID:MnE8cjHS
「!?」
あの二人とは間違いなく楓と椿のことであろうが、伊賀のくのいちは天海の言葉に引っかかる物を覚えた。
「・・・・・・あの二人・・・ただの端女では? そうではないと・・・?」
天海の窪んだ目は異様な程に光っていた。
「そうではない・・・な・・・」
「姫様 ほら、こんなに・・・」
「もっと・・・もっと口付けてくださいませ! あぁ・・・」
今も響く二人の声
物静かで頭のよく廻る楓
元気が良く誰とでもすぐに打ち解けてしまう椿
昼は二人の先輩として振舞うこの伊賀者の少女も、このほほえましい二人はまるで妹のように思えてならず、可愛がっていた。
無論、この任が解かれるまでの間の縁ではあるのだが・・・
「天海様・・・楓と椿は・・・?」
顔を上げた少女の瞳は蛇のような天海の視線に絡み取られた。
「う・・・」
410 :
身の内:2005/10/23(日) 23:30:22 ID:MnE8cjHS
「ふむ・・・」
しばらく伊賀の少女の顔を眺めていた天海はやがて意地悪く笑った。
「そうじゃな・・・教えても損にはならぬな・・・」
クックッ・・・と嗤うその姿は何か人間離れしたモノを感じさせる。
「あの二人はな・・・甲賀者じゃ」
「・・・そんな!?」
伊賀者は愕然とした。
「あの二人が!? 忍び・・・」
「いや」
天海の粘っこい声が否定した。
「甲賀の出ではあるが、忍びではない。二人とも生まれてすぐにワシが引き取った。」
「ですが・・・我ら伊賀の血に劣る者共でございます!」
少女の心は知らず知らずの内に憤っていた。
伊賀の足元にも及ばぬ甲賀者など、見るも腹立たしい!
知らぬこととはいえ、あの二人と仲良く過ごしていた自分が許せなかった。
「自惚れるではない」
天海の静かな喝が下りた。
「は?」
411 :
身の内:2005/10/23(日) 23:31:35 ID:MnE8cjHS
「そなたらと甲賀の差はさほど無いのじゃ。あの日、あの時・・・安倍川での結末如何では今のそなたらと甲賀は入れ替わっておったかもしれぬ」
「・・・」
「甲賀弦之介と伊賀の朧・・・あの二人が全てを決したのじゃ。一つ間違えれば伊賀が甲賀の憂き目に遭っていたということじゃ・・・ほほ、そうなれば上様も変わっておったのぅ・・・この国の今の在り方も変わっていたかもしれぬ・・・」
天海は畏まる少女の手を踏みつけた。
「くっ・・・」
「ひとつ言うておく。ワシにとっては伊賀も甲賀も手駒に過ぎぬ・・・余計な事を考え、うまく廻らぬような駒はいらぬ」
「・・・・・・はっ」
痛みに顔を歪めながら少女は耐えた。
「お前の換えなんぞ掃いて捨てる程おるのじゃ。駒は駒らしくワシの思い通りに動けいておれば良い。楓と椿の行い、邪魔立てするなよ」
「なにを・・・」
少女は苦痛よりも疑問と不安を優先させた。
「なにをなさるおつもりなのですか? 千姫様にまだ平穏をお与えになられないおつもりですか?」
「ひとつ勘違いをしているようじゃな・・・これは千姫にも感謝される事じゃぞ・・・」
「!?」
最後に力一杯くのいちの手を踏みにじると、天海は淫猥なる宴が催されている寝室に侮蔑の眼差しを向けた。
「しっかり見張れ・・・手出しは無用・・・」
来たときと同じようにドス黒い気を撒き散らしながら天海上人は廊下の闇へと消えていった。
412 :
身の内:2005/10/23(日) 23:32:56 ID:MnE8cjHS
「そうそう・・・」
踏みつけられた手をさする伊賀のくのいちの耳に闇の中から粘っこい声が響いた。
「頼りにしておるぞ・・・甲賀よりも優れている伊賀の狗よ・・・」
クックックッ
既に誰もいなくなった闇を睨みつけるくのいちの耳に、いつまでも天海の嘲笑がこびり付いて離れなかった。
「んむ むむぅ・・・ ふっぅうん」
切なげな姫のくぐもった声が部屋の空気までも濡らしていく。
千姫は口を少女達の唇で塞がれていた。
上も 下も
可憐で過敏な二つの唇はだらしなく開き、それぞれにまだ固さの残る幼な舌に嬲られている。
四肢は既に脱力し、楓と椿の与えてくれる甘く突き刺さる刺激に反応してピクピクと跳ねている。
しばらく無言で主の秘裂の柔らかさと蜜のぬめりを味わっていた楓が、股の間から顔を上げた。
「姫様・・・一度、気をおやりなさいませ・・・」
そういうと少女は指を三本束ね、千姫のわななくソレに押し当てた。
「椿・・・」
413 :
身の内:2005/10/23(日) 23:34:10 ID:MnE8cjHS
「いいよ、楓ちゃん」
お相手している千姫ではなく椿の了承を得ると、楓は一息に束ねた指を奥まで突き入れた。
「ひっ! いっやぁああああ!!」
それまでの舌によるじんわりとした厚ぼったい感覚とは正反対の針を刺されるような鋭い快感に、久方ぶりに膣が咥えた張りがある型さに徳川の姫は堪える間もなく気を放った。
「あああ・・・」
絶頂を迎えだらしなく歪む顔を、椿のみるい胸が優しく包み込んだ。
「千姫様・・・素敵・・・」
少女の声は甘く、そして興奮に潤む瞳はもっと甘く光っていた。
「・・・」
天井からその光景を見張る視線は冷たい。
天海から眼下の娘達が甲賀の血を引く者だと知らされてから、くのいちの椿と楓を見る目はまるで変わってしまった。
〜手を出すな〜
そう天海は言った。
だが、自分が伊賀の里から受けた指示は千姫の身を守ることであった。
天海の指示を受けよとは言われたが、従えとは言われていない。
〜私の役目は・・・忍びとしての任は・・・〜
414 :
身の内:2005/10/23(日) 23:35:17 ID:MnE8cjHS
視線の中にぐったりとした姫の姿が映った。
絶頂の余韻も覚めやらず、その余波に苛まされている身体を少女達に玩具にされている。
徳川の道具にされ、豊臣の鬱憤の捌け口にされ、いま天海にも利用されようとしている女。
〜情を挟むな〜
自戒しながらもくのいちは決意していた。
〜千姫様を あの女(ひと)を守る〜
もし、必要であるならば・・・楓と椿を殺害する。
天海は二人が忍びとして育てられていないと言っていたが、そんな言葉が信用できるとは思えない。
湧き上がる殺気を懸命に堪えながら、くのいちは再び天井に空けた小さな穴から洩れる光に瞳を当てた。
少女達は手際が良かった。
秘め事を始めた時のぎこちなさが嘘のようだ。
慣れてきた、というより馬脚を現したという感じだ。
少女達は掛け布団を器用に丸めると、それを千姫の下腹部に当たるようにうつ伏せに寝かせた。
自然とお尻が持ち上がり、もっとも隠さなければならない場所が少女達の前に無防備に晒される。
415 :
身の内:2005/10/23(日) 23:36:20 ID:MnE8cjHS
楓が姫の両足を押すと、その白い襖は何の抵抗も無く開き中の宝物がくっきりと顔を覗かせた。
二人して顔を寄せ合いながら年上の女陰を観察していた二人はやがてその顔に笑みを覗かせた。
昼間の屈託のない笑顔でもなければ、今まで浮かべていた欲望に彩られた笑みでもない。
まったく別の"笑い"だった。
惜しむらくは、天井の伊賀のくのいちが二人の顔を見ることが出来なかったことであろう。
「・・・姫様ぁ・・・今度はぁ・・・椿がさせていただきます」
わざと語尾を延ばすような喋り方で楓は敷布団に顔を埋めている千姫の耳元で囁いた。
「椿はぁ 私よりも巧いんですよぉ・・・ 姫様、死んじゃいますよぉ・・・」
ピクン
天井の少女が反応した。
身動き一つせずに満身に力を込める。
頬に張り付いた髪を救い上げると、そっと口付ける楓。
「いいわよ・・・椿・・・思いっきりしてあげなさいな」
尻の向こうに回りこんだ椿はその声に無言で頷くと、そのまま顔を尻の肉に埋めた。
「ふぁっ!」
416 :
身の内:2005/10/23(日) 23:37:24 ID:MnE8cjHS
朦朧としながらも慌てて起き上がろうとする身体を押さえつけながら、楓は千姫に囁き続ける。
「あの子、本気になるとすごいんですの・・・私が何度気をやっても・・・いくらやめてってお願いしても・・・自分の気の済むまで舐めるのをやめてくれないんですのよ・・・」
「んんあっ あはっ・・・ヒィ・・・」
「ほら・・・始まった。」
クスクスと笑いながら囁きはせせらぐ小川のように耳に流れ込み続けた。
「今、何処を舐められていらっしゃいますか、姫様・・・あそこ?それとも・・・お尻?
あの子、何処でも舐めますよ・・・」
「ヒグッ や、やめて・・・お願い・・・はぅっ・・・」
楓は大げさに頭を振った。
「あらあら・・・椿! 千姫様はやめて欲しいとおっしゃってるわ」
「ヤダ」
楓の声に一言だけ返すと椿は間髪いれずに再び千姫の熱い肉に顔を押し付け、舌を伸ばした。
熱く滴る秘裂からヒクつく菊門まで、楓の舌は止まることを知らなかった。
「ダメ・・・駄目ぇ お、おかしくなっちゃう・・・!」
千姫の声は既に涙声だった。
「あら、姫様・・・先程我らに向けた威勢は何処へやられました?まだまだ、これからです」
泣きじゃくりながら、下半身から襲ってくるおぞましい快楽に声を押し出される千姫。
日ごろの彼女の凛とした立居振舞とはかけ離れた、哀れな姿だった。
417 :
身の内:2005/10/23(日) 23:38:06 ID:MnE8cjHS
「まだまだ・・・まだまだ・・・終わらない・・・苦しいくらいに・・・イかせてさしあげます」
楓の声だけが頭の中に響き渡る。
「まだまだ・・・まだまだ・・・許してあげない・・・気をやり続けるの・・・イきつづけるの・・・」
口から流れ出た涎が敷布を濡らす。
「気を失っても舐めてあげる・・・気が狂うまで舐めてあげる・・・正気を失うまで・・・舐め続けて差し上げます、千姫様」
楓の声色が変わってきていた。
418 :
身の内:2005/10/25(火) 22:26:08 ID:sPlMFJt1
かける言の葉も、まるで千姫の無我に刷り込ませるようにしつこく、何度も同じ言葉を繰り返す。
繰り返し 繰り返し
その最中でも椿の舌の動きは止まらない。更に深く、更に貪欲に・・・
女陰から肛門にかけてのその部分を、まるで溶かしてしまおうかという勢いで舌を這わしていく・・・
「いやぁ・・・ もう・・・許してぇ・・・」
「先程は・・・まだ満足されておらぬと・・・」
「違う・・・違うのぉ・・・ああんっ!」
快楽につつかれ、跳ねる女体を力任せに布団に押さえ込みながら、楓は唇を耳元へ寄せた。
更に小声に、更に甘く・・・
囁きを続ける
耳たぶに絡まる数本の黒髪をぷっくりとした唇に挟み、蕩けるような熱い吐息を耳朶に絡みつかせながら・・・
「お千代様を・・・御守りしくてはなりません・・・御守りしなければ・・・」
419 :
身の内:2005/10/25(火) 22:27:25 ID:sPlMFJt1
「あ・・・お千代・・・?」
「そう・・・男どもには・・・ましてや家康様などに・・・任せてはなりませぬ・・・」
「無理・・・もうダメ・・・」
「御守りせねば・・・貴女が・・・」
楓の唇を伝いおちた唾液が、とろりと千姫の頬に落ちた。
それはぬったりと跡をひきながら頬の丸みを滑り落ち、灼熱の喘ぎが零れる口元へと辿り付いた。
股間からは両腕で肉付きの良い太ももを抱え込んだ椿の舌が犬のようにせわしなく、赤い谷間を抉り続けている。
「やめっ・・・あっ もっ やぁああぁあ・・・」
もはや言葉にならない泣き声しか聞こえない。
少なくとも、くのいちにはそうとしか聞こえなかった。
「それでも・・・助けたいでしょう? 救いたいでしょう? あの可愛そうな娘を・・・?」
「あ・・・あ・・・」
「姫様しか・・・千代様を救えないのですよ・・・?」
その言葉は伊賀のくのいちには届かなかった。
彼女が瞳に写したのはあまりに強すぎる快感に苦悶しのたうつ千姫の姿と、それに構わず攻め立てる椿と満面に不敵な笑みを浮かべながら何事か囁き続ける楓の姿であったのだ。
動くには情報が不足していた。
まだ様子を見るべきだった。
しかし、伊賀の少女は動いた。
千姫を助ける為に。
いや・・・甲賀の人間を始末するために、だ。
二人の正体を聞かされたその時から、くのいちは平常心を失っていた。
天板を突き破り、部屋内に踊りこむ伊賀者。
淫楽の坩堝と化していた千姫の寝室は、瞬く間に惨劇の場へと変化した。
420 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/27(木) 10:01:49 ID:PXkhfBPz
age
421 :
身の内:2005/11/03(木) 23:53:39 ID:/sdXGhPX
〜なにが忍びではないだ!〜
くのいちの身体が畳に辿りつかぬ内に、千姫のわななく肢体にむしゃぶりついていた少女達は蜘蛛の子を散らすように飛びのいていた。
その跳躍力!
伊賀の少女のつま先が織り込まれたイグサに着いたときには、甲賀の少女達はすでに内すだれを丸め上げていた紐を切り落としていた。
蛇が唸るような短く鋭い音を立てながら内すだれが淡い月明かりを締め出した。
ほんの一瞬の暗黒
空気を切り裂く音が三度・・・
畳を蹴る音
裂帛の気合
金属が打ち鳴らされる音
短い悲鳴
快楽の果てにいきなり闇に放り込まれた千姫をそれらの音が包み込んだ。
そして
ポタタ・・・
422 :
身の内:2005/11/03(木) 23:54:46 ID:/sdXGhPX
顔に むき出しの乳房に液体がかかった
見るまでもなく、匂いを嗅ぐでもなく、千姫には人の血であることがわかった。
見知った感触だ。
人の血は独特の感触がある。
唐突な騒乱は唐突な静寂を呼んだ。
バシャバシャッと内すだれが立て続けに鴨居から落ち、部屋はまた青白い光りが差し込んだ。
ドサッと重い音が響き、少女の身体が一つ崩れ落ちた。
「・・・あ?」
二人の端女に何度も軽い絶頂を味あわされ痺れる身体を何とか持ち上げた千姫が見たものは自分の身体を挟んで対峙する二人の少女。
「椿・・・それにお前は・・・」
「千姫さま、動かないで下さいまし・・・すぐ済みます」
伊賀のくのいちが姫を制す。
「椿・・・」
幼い顔をした少女の手には、何処に隠してあったのか?長い長い針のような物が握られていた。
「お前・・・」
423 :
身の内:2005/11/03(木) 23:55:45 ID:/sdXGhPX
その顔は今の今まで自分を溺れさせていた少女とは別人のようだった。
忍び装束を纏った少女も自分に付いていた端女の一人であると知れた。
すると・・・
「楓・・・か」
チラッと視線を下ろすと倒れこんだ少女に目をやる。
間違いなく楓であった。
薄明かりの中、うつ伏せに倒れこんだ少女の顔は自分の方を向き、そして既に息絶えていた。
二人の少女が手にした得物の鈍い光
部屋に立ち込める自分の蜜の香りを塗り替えていくきな臭い匂い
そして畳に付いた指先を徐々に濡らしていく楓の血の温み
それらが急速に千姫の意識を覚醒させていった。
普通の女子であるならば、逆に意識を手放してしまうような修羅場である。
しかし、この女にとってそれは日常であった。
「やめよ」
静かな声で二人に命じる。
「手にした物を収めよ・・・」
424 :
身の内:2005/11/03(木) 23:56:41 ID:/sdXGhPX
ゆっくりと身を起こす。
一糸纏わぬ椿の幼いなだらかな胸の膨らみはゆっくりと上下し、対する忍び装束に包まれた乳房は薄明かりの中でもはっきり判るほど大きく動いていた。
「ふん・・・」
豹変した椿は殺気たぎらせる伊賀のくのいちを鼻で笑った。
「とんだ"手馴れ"だな。伊賀者が!」
「伊・・・賀? そうか、お前忍びか・・・」
千姫の声には幾許かの驚きと、諦めのような含みを持っていた。
「何処で生きようと檻の中、か・・・」
「今しばらくのご辛抱を・・・」
伊賀のくのいちの押し殺した声
「今しばらく? その程度の腕でよく言える」
クックッと喉を鳴らしながら椿は手にした針を弄ぶ。
「この粗忽者めっ 動くなと言われておらなんだか!?」
年下の少女の罵りに伊賀者は微妙に顔を歪めた。
「まてっ で・・・お前は何じゃ、椿」
「甲賀者です」
答えたのは伊賀者であった。
「天海様の手の者です!」
「お前もだろう?」
425 :
身の内:2005/11/03(木) 23:57:40 ID:/sdXGhPX
言い返す椿の声は冷静だった。
ふうと千姫は溜息を付いた。
「伊賀と甲賀か。豪勢な事だな・・・」
すっと畳から手を離すと掌をじっと見る。
楓の血がべっとりと付いていた。
「二人とも・・・刃を収めよ」
「できませぬ」
「同じく」
忍びは千姫に逆らった。
「何と・・・?」
千姫の瞳が細まる。それはまるで猫科の猛獣のような・・・
月明かりが少女達の鋼を照らし、その光りを千姫の瞳が照り返していた。
金色に輝く瞳で少女達を見上げる。
「手前どもの主は貴女様ではありませぬ・・・」
椿の返答は至極理に適ったものである。
当たり前の事実。
〜止められぬか〜
臍を噛む思いで千姫は歯噛みした。
忍びを止められるのは主だけ。
426 :
身の内:2005/11/03(木) 23:58:37 ID:/sdXGhPX
護衛対象の自分の言がこの少女達に通じないのは道理であった。
「千姫様!?」
障子の向こうから野太い声が聞こえた。
この屋敷の侍である。
「何かございましたか?」
ただならぬ殺気が部屋の外まで漏れ出していた。
死人も出ている。
大騒ぎになることは必定であった。
今、外の侍を呼び込めばこの二人を止める事が出来るかも知れぬ・・・
いや、無理だ。
死人が増えるだけだ。
「入るな」
「はっ!?」
戸惑った侍の声。
「他の者にも強く言い伝えよ。今、女の正念場じゃ!男が立ち入ること、罷りならぬ!!」
「はっ!!」
千姫はそこらの大名の重宝がられて育った姫君とは違う。戦国の趣をその人生に辿ってきた女である。
その語気はただならぬ殺気を伴って放たれた。
427 :
身の内:2005/11/03(木) 23:59:40 ID:/sdXGhPX
「さて、何故に刃を交える?共に天海の配下であろうが?」
「我が命は貴女を御守りする事です。こ奴らの命は存じませぬが・・・」
手にした小刀の柄を力一杯握り締めながら伊賀者は腰を静かに落とした。
呼応して椿も猫足立ちになる。
一切の贅肉を持たない甲賀の少女の裸身は青い光りの中、息を呑むほどに美しかった。
「お前の命は何じゃ?椿・・・」
ニィッと椿の口元が吊り上った。
「忍びが受けた命は他人の知る所ではございませぬ・・・ただ」
「ただ?」
「貴女様のお命を狙う事ではありませぬ」
「そう・・・か」
「嘘をつけぃ! 先程の楓の言霊縛り、姫様に何を吹き込んでいた!?」
伊賀の少女の語気は真っ直ぐで鋭かった。
「ふ・・・」
楓は一切相手にしない。
寝室の中の緊張感はもう耐え切れない程に高まっていた。
ドヤドヤと廊下を走ってくる重い足音が聞こえる。
侍たちが集まってきたのだ。
428 :
身の内:2005/11/05(土) 20:32:12 ID:LsINZCF5
「姫様?千姫様!?」
「何事!?」
男達の声が深夜の屋敷を喧騒に包む。
「入るでないっ!・・・・・・すぐに済む」
再び千姫の声が男達を制した。
「すぐに済むのであろう?」
その言葉は少女達にも投げかけられた。
もはや自分にはこの二人を止める事が出来ぬことは明白だった。
悔しかった。
「我は・・・本当に何もできぬな・・・他人の心に傷を付け、今幼な子達が殺し合うのを止められぬとは・・・」
自虐の問いに答える者はいなかった。
スゥッと息を吸い込むと徳川の千姫は姿勢を正し、布団の上に正座した。
一切れの布をも身に纏わず、丸裸で正座する女の姿は普通なら滑稽ととられるものだが、今のこの千姫のソレは正に鬼気迫るものがあった。
「・・・済まぬ・・・せめて見届けよう・・・」
その言葉が終わらぬ内に二人の年端の行かぬ少女達は跳躍していた。
伊賀の少女の小刀は空を切り
甲賀の椿の放った針は確実に相手の喉を貫通した
429 :
身の内:2005/11/05(土) 20:36:25 ID:LsINZCF5
〜造作ない〜
一瞬、緊張が解けた椿の眉間に細い苦無が突き刺ささったのは、伊賀の少女の身体が畳に落ちる前の事・・・
おそらく、椿は自分が死ぬ事を理解する間もなく旅立っていったのであろう。
重い音が二つ、部屋に響いた。
一瞬前までは熱く脈打っていた少女達のか身体が今や単なる骸と化し、千姫のひざ元に転がっていた。
「姫様!? 千姫様!!」
「今の物音は一体!?」
「ええいっ!! 御免!!!」
堪えきれなくなった男共が障子を蹴破るようにして、寝室になだれ込んできた。
「うおっ!!?」
「な、何と!!」
男共が見た物は、生まれたままの姿の千姫が三人の少女達の・・・
いや、三つの死体の中央に平然と鎮座している光景だった。
430 :
身の内:2005/11/05(土) 20:37:23 ID:LsINZCF5
「・・・おお・・・」
「な、何と言う・・・」
美しかった。
裸を晒しているというのに、平然と・・・
淡い光りの中に佇むその姿
膝もとの伊賀の少女の首から今も吹き上がる、霧のような血しぶきにその純白の身体を濡らしながらも緩むことなきその瞳
立ち込める死の臭気に歪むことなきその口元
「ああ・・・」
先頭切って乗り込んできた侍が両膝を付く。
続いてその後ろの男共も次々と畏まる。
「千姫様っ! ご無事か!?」
刀に添えていた手を血でぬめる畳に移した侍が裏返った声で尋ねる。
431 :
身の内:2005/11/05(土) 20:38:27 ID:LsINZCF5
「・・・無論・・・それにしても、無力な物じゃ・・・非力な女じゃ・・・
所詮は大御所殿の駒でしか役に立たぬ女子か・・・我は・・・」
「千姫様・・・」
「そなた達・・・そなた達も、我にあまり近づきすぎると命を短うするぞ」
女は寂しく笑った。
男共は奮い立った。
「望むところにござる」
「某、姫に刀を預けてござる。命を預けてござる!」
「拙者も!」
「私も!」
意外なことに家康の孫娘でありながら徳川家に否定的であるこの姫君を、徳川の侍達は否定してはいなかった。
次々と頭を垂れる男共の中、ゆっくりと朱に染められた裸身が立ち上がる。
普段の威気高の彼女からは想像も出来ないような細い肩
顎から首、うなじを描き量感豊かな胸の膨らみを構成する線の婀娜っぽさよ!
腰の広がりからスラリと下に伸びる足
返り血が滴り落ちるその付け根の淡い茂み
異様な様を見せ付ける若い女の姿に男共は再び言葉を詰まらせた。
誰もが女房を、自分の抱え込んだ娼婦を、娘を思い起こし、そして思い起こしたソレを否定した。
432 :
身の内:2005/11/05(土) 22:45:15 ID:LsINZCF5
今、目の前に立つ女は決して劣情をもようさせるような代物ではなかった。
「お召しを・・・誰かお召しを!」
「いや、湯を先に湯の支度を!!」
右往左往する男共を無視するかのように、千姫は畳から襦袢をつまみ上げた。
当然それも楓の血にまみれていたが、千姫は意に介さず袖を通した。
「姫様! お身体が汚れまする!」
「お待ちを!おおいっ!女共!!替えのお召しをっ!」
「 よい 」
静かな声が騒乱を制した。
「これには女の血が染み付いておる・・・我の手元に在りながら、その命を散らした女の血が、な・・・」
シンと部屋が静まり返った。
千姫はべっとりと張り付いた襦袢を纏ったわが身を掻き抱くように両手を肩に添えると、膝をガクンと畳に落とした。
「こんな・・・こんな我に・・・・・・お千代を救えというのか?楓・・・我にあの娘を救えるのか?」
初めてこみ上げた。
だが、それを噛み殺した。
ここで声を上げてしまえば、本当に自分が救いようもない弱者に叩き落されてしまいそうで、それが怖くて耐えた。
「千姫様!? 千姫様っ!!」
「お気を確かに!!」
「女衆!何をしておるっ!?」
433 :
身の内:2005/11/05(土) 22:46:25 ID:LsINZCF5
周りで慌てふためく男共の声が山鳴りのように響く中、千姫は自問を繰り返していた。
〜我に何ができるのか 我に誰かを救えるのか〜
「お千代・・・」
脳裏に彼女の泣き顔が呪縛のように浮かび、消えることは無かった。
「大変な目にお遭いなされましたな。しかし無事でようございました。」
それから六日目にして、ようやく天海上人が千姫の元を尋ねてきた。
「・・・」
憔悴しきった様子の姫君は軽く目を瞑り、天海の言葉を無言で聞いていた。
「千姫様の命運の強さ。この天海、驚嘆いたしました。これも、姫様の日ごろの信心深さあってのこと!御仏が御守りくだされたのでしょうなぁ」
心底嬉しそうな表情で、優しく千姫をいたわりながら言葉をかける天海。
千姫の目が開いた。
天海の元へ端女が茶盆を置く。
「!?」
しかし盆の上にはあるべきはずの茶碗が無く、代わりに三つの物が載せられていた。
434 :
身の内:2005/11/05(土) 22:47:26 ID:LsINZCF5
小刀と
針と
小さく束ねられた髪の毛
「返すぞ」
低く放たれた声は憎悪を隠そうともしない。
「何ですかな?これは」
「髪は楓の物じゃ。針は椿、小刀は桔の得物じゃ」
桔というのは千姫の端女として忍びこんでいた、あの伊賀の少女の名なのであろう。
「・・・」
「・・・」
真正面から千姫の瞳と天海の瞳がぶつかり合った。
「女を道具のように使いおって・・・」
「女ではございませぬ。忍びでございます。道具として生まれてきた者共でございます。」
「妖怪坊主がっ!」
「ここで一戦交えますかな?拙僧も手ぶらでお邪魔した訳ではありませぬが・・・」
天海の顔はまがまがしく豹変していた。
それこそ人の生き血を啜る妖怪かと見間違うほどの顔である。
435 :
身の内:2005/11/05(土) 22:48:31 ID:LsINZCF5
その貌を畏れもせずに見返しながら千姫は静かに襟の合わせに手を伸ばす。
そこには漆塗りの短刀の柄が覗いていた。
チンッ
障子の向こう側から刀の唾鳴りの音が響いた。
この屋敷の侍共だ。
どんと重くのしかかる空気に呼吸が出来ない。
目を凝らせば屋敷中を飛び交う殺気の粒子まで見えそうな・・・
極限だった。
「やめましょう!」
唐突に天海の声が響いた。
「何!?」
「ここで我らが争う意味は無いと、申し上げております。」
何時の間にやら天海の顔から邪気が消えていた。
「貴様っ・・・」
息巻く千姫を片手で制しながら、上人は飄々と語り始めた。
「そも、此度の企ては未だ豊臣に恩義を感じております外様への布石を打つものにございます。」
「何を言い出す!?」
「唯一の生き残りである秀頼殿のご息女、お千代様を仏門に投げ入れ、その後見を千姫様が勤める・・・しかも!」
436 :
身の内:2005/11/05(土) 22:49:54 ID:LsINZCF5
ここで天海の口元はニヤリと釣りあがった。
厭らしい、全く厭らしい爺だ。
「しかも、その後見人の話は大御所様、秀忠様を千姫様が無理やり説き伏せて成る・・・そう!豊臣秀頼様御正室の貴女様が徳川から豊臣の姫君を守る形を見せ付ける事が肝でございましてな・・・」
クックックッと天海が笑った。
「豊臣家への厳正なる処分に不満を抱く外様大名達の溜飲も幾許か下がることでございましょう!」
「・・・そのような三文芝居が通用するものか!」
いえいえと天海は首を振った。
「それが、通用するのでございます」
千姫の細い眉がピクピクと痙攣した。
「・・・何故、楓と椿を動かした!? 癪な事じゃが我は貴様の思惑通り大御所様に掛け合い、お千代の後見となったではないか!?」
「されど東慶寺にて千姫様のお心、砕かれてしまいましたな。楓の文によると相当な深手を負われたとか・・・ 途中で後見の役を降りられでもされたら困るのでございます。」
「それで、か・・・」
千姫は歯噛みした。
何のことは無い。全てはこの天海に仕組まれていたのだ。
「・・・我の弱き心が・・・女三人を死なせたというのかっ」
天海は肩をすくめてみせた。
437 :
身の内:2005/11/05(土) 23:18:40 ID:LsINZCF5
「お気にすることはございませぬ。忍びでござれば・・・」
「黙れ・・・」
「快諾頂けぬ事は承知しておりますが、代わりの者を既に手配いたしましょう。」
「黙れ・・・」
「伊賀がよろしいか?甲賀の生き残りがよろしいか?」
「黙れと言うにっ!!」
ダンッと立ち上がった千姫は短刀を抜き放った。
鈍い白刃の光りが姫の顔を照らす。
苦渋に満ちた顔を・・・
「・・・いいだろう・・・」
しばらくして姫の口から重い言葉が発せられた。
「貴様の思惑通り・・・お千代の後見は続けよう・・・」
「それは重畳。結構でございまする」
にこやかに言う上人に千姫は積怨を込めて吐き捨てた。
「貴様の為ではない!」
「ほう、では豊臣の為にでございますかな?」
キッとその目は元凶を睨みつけた。
「・・・女達の為だ・・・もう、このような事で女を死なせはしない」
「・・・ほう・・・」
天海の声は無表情だった。この男にとって大事なのは、千姫が天秀尼の後見人を続けるという一時であって姫の決意がどうであろうと関係は無い。
438 :
身の内:2005/11/06(日) 22:30:02 ID:ol7nRAvg
「それとな、天海」
心の奥から吹き上がる怒りを無理やり抑えながら千姫は天海に声をかけた。
「貴様のいいように動いてやるというのじゃ。一つ我の頼みも聞いてもらいたいのじゃが」
「何でございましょう?」
ピッと短刀の切っ先を天海の顔に向けた千姫はきっぱりと言い放った。
「二度と我の前にその天狗っ鼻を見せるでない!」
山寺ならではの厳しい寒さも過ぎ去ってから幾月。
天秀尼は健気に忙しい日々を過ごしていた。
寺の見習いは毎日仕事が山積みしていた。
しかもその殆どが、いままでやった事もないようなものばかり。入山したての頃は何度逃げ出そうかと思ったほどにきつかった。
しかし、迎え送る日々がゆっくりとこの少女を変えていった。
既に家族は無く、後見人も恐らく自分を離れていってしまった事だろう。
それはそれで良い事だと、少女は思い始めていた。
もう、豊臣も徳川も関係ない。
一人の僧侶としてこのまま此処に生きていくのが"いい"と幼心にそんな考えが浮かんでいた。
毎日の仕事や見習い修行は辛いの一言に尽きるが、それでも地獄の淵を除いた千代姫の心は新鮮な発見に新たな楽しさを見出していた。
かつて・・・
父に肩車され、大阪城の天守閣から見下ろした町、人、世界・・・
439 :
身の内:2005/11/06(日) 22:31:19 ID:ol7nRAvg
その全てが今、自分と同じ目線の高さにある。
みんなキラキラしていた。みんな驚かせてくれた。時には意地悪もされたけど・・・仲良くなってくれた人もいる・・・
それで充分。
そう思えば、心にかぶせられた重い鉛のような天蓋も嘘のように消えていく。
それで充分だ。
その日もお千代は一番早く起きた。
同室のまだ寝ている先輩達を起こさぬように、そうっと部屋をでると手早く身支度を整え井戸へ向かった。
そろそろ夏の匂いも立ち込めてきたというのに、井戸の周りは雛罌粟が可憐な華を咲かせていた。
夜露に濡れた細い花弁が少女を迎える。
「おはよう!」
雛罌粟たちに声をかけながら、千代姫は桶を井戸に下ろした。
「んっ」
慣れたとはいえ、水を飲み込んだ桶を井戸から引き上げるのはか細い腕には重労働である。
千代姫は奥歯をきゅっと噛み締め、懸命に縄を引く。
高山特有の薄い朝靄の中を少女に近づく影があった。
井戸相手に小さな身体で奮闘していた千代姫は何とか桶を引き上げると苦労しながら持ってきた別の桶に水を移し替えた。
人影は身じろぎする事無く、その様子を見守り続けた。
440 :
身の内:2005/11/06(日) 22:32:32 ID:ol7nRAvg
「よいしょっと・・・」
重い桶を持ち上げ、帰ろうかと振り向いた千代姫はそこで始めて人影に気づいた。
「!!」
驚愕のあまり桶から手を離しそうになる。
「ど、どなたですか!?」
誰何の声に答えはない。
薄い白濁の中、その影は静かに立ち尽くしている。
その影姿は女性・・・
しかし寺の者とは思えない。着物を羽織っている。
「誰なのですか?」
再び問う声にまたしても答えはない。
かわりに影の女性は一歩、天秀尼の方へ踏み出した。
「あ・・・」
白い木漏れ日
立ち込める靄
全てが白で塗り固められたその中で、赤を色づかせる雛罌粟
そこに立っていた女性のお召しも鮮やかな朱
まるで雛罌粟の姫のような
441 :
身の内:2005/11/06(日) 22:34:27 ID:ol7nRAvg
顔はわからない
赤だけがやけにきつく目に映える
美しくて恐ろしく
冷たそうで優しそうで
ついっと赤がもう一歩踏み出した。
着物に押しのけられ細い花弁がねじれる
「あ・・・あ・・・」
思わず後ずさる天秀尼は脚をもつれさせてしまった。
「わっ!」
桶の水諸共に地面に倒れ伏してしまう少女。
突き刺さるような水の冷たさが薄手の布地を通して少女の固い肌を浸らせる。
つ・・・
細い指先が倒れこんだ少女の頬に触れた。
「 千 姫 様 」
靄に包まれた朝日が女性の顔を天秀尼に覗かせた。
無言で千姫は少女の身体を抱き寄せる。
442 :
身の内:2005/11/06(日) 22:35:46 ID:ol7nRAvg
水に濡れた少女は泥に汚れていた。
「駄目・・・お着物が・・・」
少女の声は戸惑いに満ちていた。
前回のような怨嗟の言葉も嘆きの声も出てこなかった。
「 汚れて・・・」
徳川 千姫は土まみれの少女を深く抱きしめた。
見事な拵えの着物が見る間に泥を吸い込み褪せていく。
「・・・いけませぬ・・・」
少女の声はか細く、その身体は震えていた。
「駄目です・・・千姫様 お放しください」
「我を怨め」
「え?」
「我を憎め」
「・・・」
重ねられた厚手の布の向こう側から千姫の温もりが少女を捕らえた。
シンと冷え込む山寺の朝に、忘れかけていた・・・忘れてしまいたかった温もりがあった。
443 :
身の内:2005/11/06(日) 22:36:51 ID:ol7nRAvg
「我はその想いごと そなたを愛そう・・・」
「そ・・・んな」
それは何の障害も受けずに少女の心に響いた。
少女と女の身体がさらに密着する。
頬が触れ合った。
「ダメ・・・」
「何故?」
「汚れて・・・しまうから・・・」
「我は既に汚れている・・・あの男の血を引いてこの世に生まれ落ちた時から・・・」
「ちがう、の・・・」
「ん?」
少女の目頭には涙が溜まっていた。
444 :
身の内:2005/11/06(日) 22:37:52 ID:ol7nRAvg
「わたし・・・」
「ん?」
千姫の手が天秀尼の頭を優しく触れた。
天秀尼の手が千姫の身体を力いっぱいに掴んだ。
「わたしね・・・」
「うん?」
「あの・・・」
「なに?」
千姫の声が優しく包み込んだ。身体と心を・・・
とろりと絹の襦袢に袖を通したような心地よさ・・・
「ごめんなさい・・・」
「ん?」
涙が頬を伝う
言葉が出ない
少女の幼い泣き声を千姫と雛罌粟たちは黙って聞いていた。
「どうして・・・優しいの?」
445 :
身の内:2005/11/06(日) 22:39:20 ID:ol7nRAvg
ひとしきり泣いた後、秀頼の忘れ形見は問うた。
「・・・そうしたいから・・・」
「あんな事、言ったのに・・・」
すっと千姫は身体を離すと、両手を少女の頬に添えた。
「償いにもならぬが・・・約束させておくれ」
「約束・・・?」
「そなたを守ろう この命尽きるまで
そなたを愛そう この命尽きた後も」
添えられた指が優しく離れ、その指先は大地に付けられた。
すでに一介の少女と成り下がった豊臣 千代の前で徳川 千が三つ指を付いている
「せ、千姫様! 駄目!」
「この体 この心 全てそなたの為に尽くそう・・・ そなたのこれからを祈ろう・・・」
「そんな そんな !」
天秀尼はあわてて地面から千姫の手を引き離した。
端正な指に泥が付着している。
それを払い落としながら少女は言った。
「嬉しいです・・・でも、もうお見捨て下さいませ・・・・・・私も・・・忘れますから・・・」
446 :
身の内:2005/11/06(日) 22:40:19 ID:ol7nRAvg
そう・・・それが一番いいのだ 誰にとっても
「我は・・・忘れられぬ」
きゅっと指を握られる。
「そなたの笑顔・・・そなたの声・・・そなたの憎しみ」
ぐっと引かれるままに、天秀尼は膝を付いた。
「そなたの御髪 そなたの瞳 そなたの優しさ そなたの温もり・・・」
「駄目・・・で・・・す」
「忘れられるものか・・・」
だんだんと縮まっていく二人の距離
「駄目・・・駄目です・・・」
震える睫
ぼやける世界の中で二人は自然に瞼を閉じた
引き寄せる腕
引き寄せられる身体
求める心
戸惑いながら受け入れ始めた心
そして 唇
447 :
身の内:2005/11/06(日) 22:41:20 ID:ol7nRAvg
はっと気が付いた時には唇が重なっていた
パラリと乱れ落ちる千姫の髪
睫が相手の瞼を擽る
震える指
包みこむ掌
女の唇が少女の唇を解放した
「こんなこと・・・いけないのに・・・」
幼い唇からの戸惑いの言葉
「二人の契りじゃ」
女の唇から出る身勝手な言葉
「そんな・・・」
「駄目か?」
泥だらけの二人は靄の中、一つに溶け合っていた。
448 :
身の内:2005/11/06(日) 22:42:53 ID:ol7nRAvg
「駄目って・・・」
言葉につまる幼い千代に千は言った。
己の想いの全てを
「千代殿、我の身内になってくれぬか」
「!!」
再び聞くこの女からの"身内"という言葉
だけど・・・何故だろう?
あの時のような嫌悪感が湧いてこない
だけど・・・どうしてだろう?
どうして私はこんなのも嬉しいのだろう
「信じてもいいの?」
思わず口をついて出た言葉
「誓おう」
耳に届いたその言葉
449 :
身の内:2005/11/06(日) 22:43:51 ID:ol7nRAvg
嘘偽り無き真の言葉
「あ・・・」
雛罌粟たちが息を潜めて見守る前で、豊臣の姫と徳川の姫の唇が再び重なり合う。
その柔らかさ、その温かさに心奪われながらも千代姫はそっと千姫の身体を押し返した。
見つめあう瞳と瞳
「信じてもいいの?」
うなずく千姫の瞳は優しかった。母のようであり姉のようでもあった。
一度なくしかけた温もりが再び小さな心を温め始めたのを千代姫は実感していた。
身内、それは家族。
身内になれということは、相手の運命を共有するということ。
相手を己の身の内に入れるということ。
「お千代・・・」
「千・・・姉様・・・」
二人きりの、二人だけの契り・・・二人だけの儀式
二人を死が別つまで、いや命散りし後も結ばれる約束
男共の身勝手で女の命がたやすく消えてしまうこの時代。
時代の激流に翻弄され流され続けた二人の女が今、ようやく落ち着ける場所に辿りついたのだった。
朝日の白と雛罌粟の赤の中、二人の女の手はお互いの存在を確かめあうかのように何時までも離れることは無かった。
完
450 :
1です:2005/11/06(日) 22:48:12 ID:ol7nRAvg
ようやく完結です。
もう途中どうしようかと悩みに悩んでしまいましたが、なんとか終わらせる事が出来ました!
色々おかしな所もあるのですが、その辺りは目を瞑ってやってくださいorz
451 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/07(月) 06:33:48 ID:StpZcwX3
age
452 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/08(火) 01:21:42 ID:RdBpqDA2
乙です!
乙
454 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/16(水) 00:07:13 ID:GwNpAguo
ホシュ
455 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/17(木) 23:35:31 ID:RBWhaPrW
今週号のY十Mを立ち読みして思った。
十兵衛先生。はっきり言わなきゃダメだよ、「色仕掛け」って!
さくらちゃんとお圭さんとお沙和さんがいいな・・・お品さんもいいな・・・
この四人に色仕掛けられたい・・・
俺もエロキャラとして、お圭とお品には期待してるのだが、
今のところこの二人、ビビリ系のおねーさんキャラとして被ってる上に影薄いのがなんとも…
原作読んでるので、この先の二人のエピソードは知ってるが、
二人の役どころ入れ替えてもそんなに違和感感じないしな。
自分はお笛がいいな。
何か初セクースの時とかおっかなびっくりしながらもそのうち好奇心が勝ちそう。
458 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 07:16:40 ID:ieUGwmNK
age
459 :
1です:2005/12/06(火) 23:19:11 ID:QBvvwLI0
以前このスレでバジの現代バージョンの話題が出ていたのを思い出して保守代わりに書いてみました。
何かバカ話になりそうな予感がw
「してあげよっか・・・」
耳元で囁かれる息だけの声
「ここで!?」
蛍火を膝の上で抱きしめながら夜叉丸はその心地いい胸から顔を上げた。
さすがに「何を?」と聞くほどウブではない。
「ここで。イヤ?」
少女の細い指が優しく少年の前髪をすく。
時折額に当たる指先の感触が心地よくて・・・
「い、嫌じゃねぇけど・・・誰かに見られたらマズイぜ」
「こんな時間に理科準備室になんて誰もこないよ・・・怖いの?夜叉丸君」
「そんなんじゃねぇよ・・・」
「じゃあ・・・」
蛍火の顔がゆっくりと迫ってきた。唇に柔らかい感触がひろがり、ついと離れる。
「してあげる・・・」
クスクスと笑いながら、蛍火は夜叉丸の膝の上から降りる。
下着とブラウスと濃紺のブレザー越しに味わっていた少女の温かさと柔らかさを手放すのは夜叉丸にとっては面白くなかったのだが、これから蛍火が"してくれる"事への期待が頭の中を埋め尽くす。
「ねえ・・・」
「え?」
「膝、開いてよ。届かないよ・・・」
ゴクっと少年の喉がなった。
届かないという単語が、やけに生生しく聞こえた。
「わ、悪い」
どもりながら膝を広げると同時に、少女の頭が股間に滑り込んでくる。
「あ・・・」
「どうしたの?」
上目遣いに自分を除きこんでくる少女の顔。
締め切ったカーテンを橙に染める夕日の色よりも赤く染まっている。
「いや・・・」
「興奮してる」
そう言いながらフェルト生地の学生ズボンの股間を両手で優しく撫でさする蛍火。
「ああ・・・」
すでに隠しようもなくいきり立ってしまった息子君が蛍火の手の中で哀れに震える。
「あっ ピクッてなった!」
「おい、蛍・・・虐めんなよ・・・」
彼氏の情けない声にクスクスしながら、少女は白い指先でファスナーの引手を探り当て、ゆっくりと下ろしていく。
小さな金属の擦れる音がやけに大きく響く。
「わぁ・・・」
少女の漏らす感嘆の声が少年を慌てさせる。
「すごい・・・もうこんなに」
たおやかな指が開いた、俗に言う「社会の窓」から待ちきれなくなった夜叉丸の"息子"が飛び出している。
「ぷっ・・・ふふふ・・・」
指でツンツンしながら蛍火はこみ上げる笑いを押さえきれない。
「何だよ!何なんだよっ!」
あまりに元気な愚息に気恥ずかしくなりながら、それを誤魔化す様に夜叉丸は言葉を荒げた。
「やってくれるんじゃねぇのかよ!?」
「ごめん!でも、なんか・・・夜叉丸君のコレって・・・ふふふ」
「何がおかしいんだ!?」
いくら彼女とはいえ、同い年の女の子に男の逸物を笑われてはたまったものではない。
「あのね・・・夜叉丸君のコレって・・・土筆(つくし)みたい!」
「はうっ!!!!!」
無垢な言葉は確実に少年の心を貫いた。氷の矢のように・・・
「ほら!土筆って春になると土からピョコって顔を出すでしょ?今の夜叉丸君のもね、ピョコって出てきて!カワイイ・・・夜叉丸君?」
遅い 遅すぎてもう届かない。
夜叉丸の心は遥か遠くに飛んでしまい、少女の声が届くわけがなかった・・・
「ふう・・・」
バジリスク学園2年亥の組の筑摩小四郎は学園の中庭を重い足取りで歩いていた。
最近全く覇気がない。と自分でも思う。原因は分っている。
分ってはいるのだが、今の自分ではどうしようもない。
恋わずらいがこんなに苦しいものだったなんて・・・!
〜どうしたらいいんだろう? わからない〜
ここ数日繰り返している自問自答。
一目ぼれ。
たまたま目があっただけ・・・むこうは何の気も無しに反射的に自分に微笑んでくれただけ・・・
分っている。そう理解している、けれども・・・
何て切ないのだろう!
「待ちたまえ!」
不意に背中から声がかかった。
背に隙があった。この学園に在籍する者としては決して褒められた事ではない。
〜いかぬ! こういうときこそ心乱してはならぬ・・・!〜
飛び上がった心を瞬時に静めると小四郎は勤めてゆっくりと後ろを振り返った。
「室賀・・・先生」
「これをもっていたまえ」
「は?」
室賀豹馬教師は手にしていた鞄を小四郎に押し付けると、おもむろに彼の襟元に手を伸ばした。
「えっ・・・何?」
「じっとしていたまえ・・・」
豹馬の指は小四郎のカーラーに伸びた。
ビクッと身を固くする小四郎に構わずカーラーに触れた指はすぐにソコから離れた。
「校章が曲がっていたぞ。」
「は?」
「身嗜みもきちんとな。家康様もほら、ご覧になられている」
はっと振り仰いだ小四郎の眼前にはこの学園の創始者であり、現オーナーでもある徳川家康公の銅像が二人を見下ろすように立っていた。
「うおおお! い、家康様が見ている〜!」
465 :
1です:2005/12/06(火) 23:28:24 ID:QBvvwLI0
今夜はここまでです。
続きはどうなるのか自分でもよく分らない・・・
466 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/07(水) 02:32:58 ID:kFDAlY9s
乙です!
小四郎にお胡夷をあてがっt・・・いや何でもないです
豹馬と小四郎…テラワロスwwwwwwwwwwwww
CDドラマ系はバジ学はもちろん、
課長天膳や柳生宇宙旅にも期待が持てるな。
ある日突然、柳生十兵衛に7人もの弟子ができたらどうしますか?
それも……とびっきりかわいくて
とびっきり素直で
とびっきり愛らしくて
とびっきりの淋しがりや。
しかも、そのうえ……
彼女達はみんなみんな、とびっきり!
柳生十兵衛のコトが大好きなんです……
471 :
1です:2005/12/09(金) 00:18:31 ID:f2PgAriE
>469
いやはや、羨ましい限りですなぁ。
加藤の殿様みたいに無理矢理!ではなく、みんなとびっきり!大好きだなんて・・・
どうしますか? う〜ん、どうしてくれよう!
>>469 実際そういう話だしなw
Y+Mもそろそろエピソード順からしてもオッパイ率が高くなってくるはずなので楽しみだ。
473 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 16:11:25 ID:/BkLpBkb
474 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/22(木) 00:25:23 ID:dS1LH9E8
age
475 :
名無しさん@ピンキー:
保守でage