TS・性転換・女性化小説(非強制) Part3

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544☆ ◆QT4umEMRFs
 先週の水曜あたりから、グラフィックカードの入れ替えと同時にHDの増設とかもしてたので、ずっと
繋いでませんでした。なかなかスゴイ事になってましたね。

 今回は微妙に「えち」…かな。

「そんなものはいらん」&「大量投下ウゼェ」という人は、スルー願います。
いやもうほんとに、イヤな人はお願い。

NGワード「ボクたちの選択」
545ボクたちの選択(443):04/06/08 02:48 ID:QXgLDoxG
>415
 ―――そして、その時感じた痛みは、頬だけではなかった――。

■■【69】■■
 雨は相変わらず降りしきっている。
 時計を見ると、由香が健司の家に傘を借りに行って14分が過ぎようとしていた。いくらのんびりとし
た彼女でも、もうそろそろ戻ってきても良い頃だ。そう思いながら健司は小さく溜息をつくと、視線を正
面に固定したまま目を瞑った。
 男としての“限界”が近付いている。
 ――そう思った。
「それにしても良く降るよな」
 その“限界”の「原因」である傍らの少女から、溜息と共に吐き出された呟くような言葉に、彼は頷く
だけで同意した。
 そうしてから、頷くだけでは返事として不十分だと感じて、身体の極一部分が反応しないように細心の
注意を払いながら
「そうだね」
 感情を抑制した言葉で呟く。
 少女の方を見るのは、今はまずい。

 ――――“ゆさり”としていた。

 あの健康診断の時に見てしまった、親友の……親友だった…親友だと今でも思っている「少女」の、隠
されるべき秘密。
 それは、白くて、大きくて、重そうで……そしてやわらかそうであったかそうな、

 おっぱい。

 あの時、頭を殴られたような衝撃に、心まで震えた。下腹部が熱くなって、自分の身体の、そのあまり
の無節操さ、情けなさに、泣きたくなった。
『……けーちゃんに……おっぱい……』
 健司は「おっぱい」が好きだ。
546ボクたちの選択(444):04/06/08 02:49 ID:QXgLDoxG
>545
 「おっぱい星人」なんて、どこの狂ったノータリンが言い始めたか知らない、まっとうな人間なら知性
を疑いかねないような呼称で呼ばれるのは我慢出来なかったけれど、それでもやっぱり「おっぱい」が大
好きだった。特に、世間では「巨乳」とか「爆乳」とか言われている「でっかいおっぱい」が大好きだっ
たし、健康な高校男児らしくその手の本だってビデオだっていくつか持ってて家族に知られないように隠
していたりなんかする。
 血の繋がらない兄のパソコンをこっそり借りて巨乳系サイトを見たのなんて一度や二度じゃないし(も
ちろん後でバレてしっかり怒られた)、ビデオも「レンタルで借りる」なんて、今時の高校生なら誰もし
ない方法はもちろん取らず、クラスメイトの友人から無修正のビデオをダビングしてもらったりもした事
だって、あるのだ。
 従姉妹のれーちゃん(岬 玲奈)にふざけ半分で胸を押し付けられたりすれば、いくら従姉妹とはいっ
ても正直な身体はそんな分別など聞きやしないから、いつもドキドキしてた。

 女の子のおっぱいには男の甘い幻想がいっぱいに詰まってる。

 それは真理だと思う。
 やわかそうで、あったかそうで、“ふにふに”“ぷにぷに”しているしてそうで、顔を埋めるときっと
女の子のいー匂いがするのだ。
 そして健司はその「甘い幻想」に股間を熱くしてしまう、健康優良男児だった。
 けれど、健康な高校生男子であれば“そうなってしかるべき”反応であっても、相手が自分の“親友”
であるなら話は別だった。
 決して“そうなってはいけない”相手だからだ。
 「彼」とは、小さい頃から一緒に遊んできた。
 小学校三年生で初めて出会ってから、一緒に勉強して一緒に遊んで、一緒に悪戯なんてものまでしたこ
とがある。それまで笑顔の仮面を被るしか知らなかった自分が、初めて人の迷惑になるようなことをした。
それは「彼」と一緒だったからだ。「彼」と一緒なら恐くなかった。「彼」と一緒なら、なんでも出来る
ような気がしたのだ。

 なのに。

 健司の“親友”だった「けーちゃん」は、ある日突然「女」になった。
 いや、「女だった」と聞かされた。
547ボクたちの選択(445):04/06/08 02:51 ID:QXgLDoxG
>546
 そして、毎日少しずつどんどん、どんどん…ホントの「女」になっていった。今の「彼」は、もう胸も
“どかん”とブラウスを内側から突き破らんばかりにふくらんでいるし、セミロングの艶やかな黒髪もさ
らさらで、細い腕も小さい手も白い首も肩も足首だって細くて華奢(きゃしゃ)で、どこからどうみても
可愛らしい「女の子」だった。しかも、たぶん、きっと、誰が見ても『美少女』と呼ばれてもいいくらい
の(「美しい」というより、本当に「可愛い」といった感じではあったけれど)。
 さっき触れられた時に感じた「彼」の手は、健司の知っている手では無かった。いつか、昼休みにソラ
先生から逃げる時に握った手も、もう健司の知っているものでは無かった。ほっそりして、少しひんやり
して、そして頼りないくらいにちっちゃかった。
 鼈甲(べっこう)のカチューシャなんてして、学校指定の女子制服…丸襟のブラウスにチェックのミニ
スカートを身に着けて、紺のハイソックスに学校指定のクツを履いた「彼」は、健司から見ても御世辞ヌ
キに可愛らしいのだ。
 そして健司は思った。
 結論付けた。

――もう、あのけーちゃんは、どこにもいない――

 自分が憧れ、目標にし、求めた、強くて優しくていぢわるで、プライドが高くてちょっと乱暴な「山中
圭介」という「男の子」は、もうこの世にはいないのだ、と。
 それは彼にとっては、心の中で輝き続けていた「星」がその輝きを曇らせてしまったほどの事実だった。
「……ぅ……」
 自分の想いに没入していた健司は、小さく聞こえたうめくような声に“はっ”として圭介を見下ろした。
 「彼」の顔は、俯いているために顔が見えない。けれど、左手で鞄とサブバッグを持ったまま、右手で
自分を抱くようにしながら左手の二の腕を掴んでいた。凶悪なまでにヴォリューム溢れた胸がえっちなカ
タチに変形し、腕の間から盛り上がっているのが目に飛び込んでくる。
「…どうしたの?」
 慌てて目を逸らしながら問うものの、応えは無い。
「けーちゃん?」
「…なんでも………」
 押し殺したような声が聞こえた。
548ボクたちの選択(446):04/06/08 02:52 ID:QXgLDoxG
>547
 なんだか、立っているのも辛そうだ。健司は不安になって周囲を見回したけれど、人影は無く、由香の
姿もまだ見えない。
『学校に戻ろうか』
 一瞬、そう思う。
「……ぅくっ…」
「けーちゃん!」
 健司は、“ふらっ”とよろけ崩れ落ちそうになった圭介を慌てて支えた。その腕を、「彼」がぎゅっと
掴んで胸に掻き抱いた。
 「頼れるものは、この世でもうこの腕しかないのだ」と、そう言われた気がした。
「けーちゃんっ!!」
「ば……聞こえてる……耳元で…叫ぶなって…」
 健司は鞄を足元に置き、自分の左手を抱くようにして身体を支える圭介の左手から「彼」の鞄を取り上
げた。
「持つよ」
「…いい…って……」
「どうしたの?体調悪いの?風邪引いた?」
 健司は矢継ぎ早に声をかけた。
 「彼」が心配だった事もあるけれど、本当は左腕にふにふにと押しつけられる大きくてやわらかな乳房
を意識しないようにしようとするいじましい行為だった。
『…あ…』
 カチューシャで押さえられた黒髪が、健司の頬をさらさらと撫でる。少女の体温が腕を伝い、そして少
女から“ふあっ”と立ち昇ってくる香りは、まぎれも無い“女の子の匂い”だった。雨で濡れたのに…い
や、雨で濡れたからこそ強く香ってくる、頭の芯を揺さぶるような、甘くしびれる…芳しい香りだった。
「け…あ、だ…」
 じわ…と染み込んでくるような甘美な“やわらかさ”と、神経を侵すような陶然とする“いいにおい”
に、健司はただ、おろおろとうろたえるしかない。それは、何の心構えも無いままに振るわれた、不意打
ちの剣のようだった。容易く身体の奥深くまで刺し込まれ、官能を露にしてしまうのだ。
「…はぁ……」
 その時、健司の葛藤を知ってか知らずか、圭介は大きく息を吐いた。
 溜息のようなその熱い吐息は、健司の剥き出しの左腕を撫で、彼の身体の中に蹲(うづくま)ってずっ
と“その”機会を窺っていた『ケモノ』の尻尾を踏んづける。
549ボクたちの選択(447):04/06/08 02:54 ID:QXgLDoxG
>548
 その『ケモノ』は「女の子にさわりたい」と願う健康的かつ思春期真っ只中の男の子には誰でも棲んで
いる類(たぐい)の、至極まっとうなものだったけれど、時々、それ以上の事を渇望したり「行きつくと
こまで行っちゃえ!」と“暴動を煽動する狂信的革命家みたいな行為”を嬉々として行うような、そんな
危険な『ケモノ』でもあった。
 どきんどきんと心臓が高鳴り、体の奥から黒くて大きくて逞しいケモノが「この女の子とえっちなこと
したい」「めちゃめちゃにしたい」「自分の好きにしちゃいたい」などと喚き散らしながら身を起こそう
としているのを感じる。圭介の鞄を持った右手がその鞄を地面に下ろして、“そのまま、自分の左腕に縋っ
ておおきくてやわらかくてあったかくていいにおいのするおっぱいを押し付けてくる少女を抱き締めてし
まえ”とでも言いたげに小刻みに震えた。

 あと3秒遅かったら、イロイロとまずい事になっていたのは明かだった。

「けーちゃーん!健司くーん!」
 由香だった。
 その声を聞いた途端、健司の身体から“すうっ”と『熱』が抜けた。メルトダウン寸前まで行ってた原
子炉が、ギリギリの土壇場で冷却水の供給を受けて、急速に通常運転へと移行していくみたいな感じがし
た。
「お、来たな」
 気がつくと、圭介が身を起こして平気な顔をして言った。
「けーちゃん……あの……あれ?…体調おかしかったんじゃ……」
「ん?ああ、もうヘーキ」
 そう言って圭介は「ははは」と笑った。
「なんか、オマエが緊張してるのが面白くてさ、ちょっとからかっただけ」
 そう言いながら「びっくりしたか?」と、いたづらっぽい顔で圭介は笑った。その目は、小学校の時に
一緒に悪戯をして見つかった時の目と、そっくりだった。
「なんかさー食いモンに当たったみたいで、急に……」
「は?」
「いやー…やっぱり昼に食べた弁当のオカズがまずかったのかもしんないなぁ」
 圭介は「まいったまいった」と言いながら健司から鞄を受け取り、走ってくる由香に小さく手を振った。
550ボクたちの選択(448):04/06/08 02:55 ID:QXgLDoxG
>549
『からかった?……俺を?』

 急に、心が冷えた。

 自分がこんなにオロオロして、ドキドキして、それでずっとずっと悩んで“むにゃむにゃ”してたのに、
圭介は「からかった」と言った。
 そして、笑った。
 心配している俺を、笑った。
 健司はそう思った。
 今までも圭介に笑われた事はあるし、ズケズケとひどい事を言われた時だって何度もある。それでも嫌
いになんてなれなかったのは、「彼」は基本的に相手を傷つけようとしてそういう風にするような人間で
はないのだと、知っていたから。それは元気付けるためであったり発奮させるためであったり、とにかく
健司をポジティブな方向へと持っていこうとするためのものだったとわかっていたから。

 でも、今回はあんまりだ。

 ある日突然、自分が女なんだって明かして、それで俺がそれをどんな風に思ってるか知らないで、それ
であんなことをする。
 あんな風におっぱいを押し付けて、それで俺がイヤらしい考えになったりするのを見てて笑ってた。
 健司は、そう思った途端、悔しくて苦しくて……そしてムカムカした。
 圭介に対してこんな気持ちになるのは、本当に久しぶりだった。
「俺、先に行くね」
 やってきた由香から傘をもぎ取るようにして受け取ると、彼らしくないことに、「ありがとう」も言わ
ずに雨の中へ歩き出した。
「…健司くん…」
 由香がちょっとびっくりしたような顔をしたけれど、構わなかった。
「ちょっと待てよ健司、ボク達といっしょに」
「こないでよっ!」
 我ながら驚いた。
 圭介に、怒鳴る事が出来たなんて。
551ボクたちの選択(449):04/06/08 02:57 ID:QXgLDoxG
>550
「…なっ……」
 その時の圭介の顔は見物だった。鼻白んで、目を白黒させていた。可愛がってた犬に噛み付かれたよう
な顔をしていた。
 もう振り返らなかった。
 ずんずんと歩いた。
 降りしきる雨の中、まるで健司を責めるように傘を叩く雨の中、彼はただ前を向いて歩いた。
 ずっとムカムカしていた。
「けーちゃん!!」
 由香の、悲鳴のような声を耳にするまで。

 崩れ落ちる圭介を、必死に支えている由香をその目で見るまで―――。

■■【70】■■

 後悔。

 泣くことしか出来ない。

 ボクは、いつもいつもそうだ。
 失敗ばかりする。

 ―――――ああ、どうして―――

 急速に暗い闇の中へと意識を引き擦り込まれながら、圭介は胸を掻き毟られるような痛みに心を震わせ
ていた。
 健司をからかったわけじゃ、ない。
 でも、心配してほしくなんか、なかった。
 女に見てもらえないのなら、女みたいに優しくされるのは勘弁だ。
 「女だなんて思えないんだよ」と思うのなら、優しくなんかするな。
 わかってる。
 理不尽だ。
552ボクたちの選択(450):04/06/08 02:59 ID:QXgLDoxG
>551
 それでもそう言い続けるしかない。心の中では、ずっとそう言い続けるしかない。
 でないと、壊れてしまうから。
 あったかくてきもちいい「オマエ」は、そのあったかくてきもちいい心で、ボクに世界で一番残酷なこ
とをしようとするんだ。
 「オマエ」がボクに優しくしようとするたびに、「オマエ」は少しずつボクの心を壊してしまうんだ。
 そう、圭介の心が震える。
 泣いて、震える。

 健司の体温を感じた時、下腹部が“きゅうん”とした。

 直感で、子宮が「啼いた」のだと思った。
 「健司が欲しい」と、まだ男を知らない女の部分が、男のキモチを無視して啼いたのだ。
 なにが、『友達でいい』…だ。
 そんなものはウソっぱちだ。
「健司くん!」
 揺れる世界の中で、健司を呼ぶ由香の声が聞こえた。
 冷たい。
 地面についた手が水溜りで濡れた。じゃりっとした砂が、手の平を擦る。
 そして頭に、肩に、

 雨が。

「けーちゃん!」
「…!?……健司くん見ちゃダメ!」
「ゆ…え?」
「あ、ううん。はやく」
「う、うん」

 ばか。
 なにあわててんだよ。
553ボクたちの選択(451):04/06/08 03:01 ID:QXgLDoxG
>552
 揺れる。
 気持ち悪い。
 吐きそう。
 胃が、ぐるっ…と動く。
 でも吐けない。

「いい?」
「うん」
「お尻、触らないでね?」

 お尻?
 ボクの?

「どこ?」
「保健室。一番近いし、ソラ先生もまだいると思うから」

 揺れる。
 大きな背中。

「大丈夫かな?」
「大丈夫、だと思う。でもたぶん初めてだから」

 ああ……そういえば、あの日もこうして、大きくてあったかい背中に……。

 そして意識が途切れる。
 先に待つのは海よりも深くて墨よりも黒い闇。
 けれど。

 ――――闇は、思ったよりずっと優しく、圭介を包み込んでくれた。
554ボクたちの選択(452):04/06/08 03:04 ID:QXgLDoxG
>553
■■【71】■■
 目が覚めた時、圭介は一瞬、自分がどこにいるのかわからなかった。
 体が、ドロドロに溶けてしまったかのようだ。
 それは、息をする事で、かろうじてコレが自分の体なのだと認識出来る感覚…。
 熱い。
 全身が熱く熱を持っていた。
『…この感じ……どこかで……』
 これと同じ感覚を、圭介はどこかで感じた気がした。
 遠い昔ではない。つい最近の事だ。
 “あの時”…。
『“あの時”?……いつ?』
 思い出せなかった。
 本当に最近だっただろうか?
 本当に経験した事なのだろうか?
 本当はずっとずっと夢を見ていたのではないだろうか?
「……っ…」
 目を開ければ、そこには白い天井があり、仕切られたクリーム色のカーテンから半分だけ、明るい光を
放つ蛍光灯が覗いていた。
「お、起きたか?」
 体がぴくりとも動かず、不意に聞こえたその声に、顔をちょっとだけ動かし目だけで声の主を探す。
 すぐ、ザッ…とカーテンが引かれて、髪の短い、やけに整った顔立ちの女性が顔を出した。
「ソラ…せんせ…」
「まだ体が動かねーだろ?いいから寝てろ」
 同じセリフ、同じ表情。
 いつか前にも、これと同じ会話をした気がする。

 ――――既視感(デジャヴ:Deja-vu)。

 心理学的に記憶の「錯誤」とも定義される感覚。
 記憶の混乱。
 ――頭がぐらぐらした。
555ボクたちの選択(453):04/06/08 03:06 ID:QXgLDoxG
>554
「ここ…は…」
「私がいるとこって言ったら保健室しかねーよ」

 これも――――前に聞いた。

 圭介は、ぼんやりとした頭で『夢』に見たものを思い出そうとして…思い出せなかった。
 今日は何曜日だっただろう?
 思い出せなかった。
 ぐらぐらする視界を無視して、強引に身を起こし、両肘で支えた。
「ムチャすんな。まだ、身体が固定化してないんだから」
「固定化?」
 毛布を首まで被った身体が熱く火照って、全身が汗でじっとりとしている。
 なのに、手の感覚も、脚の感覚も希薄だった。
 のろのろと手を動かす。
 動く…という事は、最悪でも“麻痺している”というわけではないようだ。
「……夢…?……」
 左手で目を覆い、息を吸った。
 喉が焼けるように熱い。

かっ……かはっ…けっ……

 絡んだ痰が、喉でごろごろした。
 ソラ先生が起き上がるのを助けてくれ、ティッシュを差し出して痰を吐き出すように促(うなが)して
くれる。
「夢じゃない」
「え?」
 驚くくらい間近に、端正なソラ先生の顔があった。
「ほんの数時間前まで、お前は女だった」
「女?」
「ああ」
「ボクが?」
556名無しさん@ピンキー:04/06/08 03:07 ID:g4oGpxwI
630 名前:名無しさん@ピンキー 投稿日:04/06/02 06:32 ID:Lf++SCpV
436 名前:名無しさん@ピンキー 投稿日:04/06/01 22:01 ID:O0uUuC2o
毎度こういう議論でスレの空気がギスギスしてくのもなぁ。
「エロパロ板のTSスレの在り方について議論するスレ」的なものが必要
なんじゃないかと思えてくる。

また増えるかも

631 名前:名無しさん@ピンキー 投稿日:04/06/02 13:37 ID:b/QWYtW3
>>630
アホくさ
単発の議論に1スレ使う馬鹿はいない

と思いたい。

632 名前:名無しさん@ピンキー 投稿日:04/06/02 14:33 ID:jkK7Ftz2
でもこの板見回すと「単発の○○」が結構多い罠。

633 名前:名無しさん@ピンキー 投稿日:04/06/02 15:45 ID:b/QWYtW3
>>632
単発の雑談系なんて無いと思うが?

まさか作品単独のスレのことではないよね?

634 名前:名無しさん@ピンキー 投稿日:04/06/02 16:20 ID:jkK7Ftz2
>>633
単発キャラ、とか単発シチュ、とかね。

635 名前:名無しさん@ピンキー 投稿日:04/06/02 21:09 ID:aA7sZNHr
単発リクエストスレのことかな。
「○○のSSきぼーん」で立て逃げ。
557ボクたちの選択(454):04/06/08 03:08 ID:QXgLDoxG
>555
「ああ」
 じわじわと、ぼやけた頭に記憶が戻ってくる。
 自分がごく自然に自分の事を「ボク」と言った事に気付いた。
『そうだ、ボクは………』
 ある日突然、『星人』の因子が発現して、「女」になった。
 健司と離れたくない、一緒にいたいっていう……そんな想いが原因で。
 それで、手も足も細くなって、おっぱいがすごくでっかくなって…。

 あれは夢じゃない。

「でも今は違う」
「え?」
「自分の身体を見てみろ」
 圭介は毛布を捲り、自分の身体を見下ろした。

 素裸だった。

「うわっ!」
 慌てて毛布を被り、ソラ先生から隠す。
「ばか。脱がせたのは私だ。今さら恥ずかしがってもおせぇよ」
「で…な……えぇ?」
 毛布の中で身じろぎする体が、ウソのように軽かった。
 その感覚に圭介は、一瞬だけ見た自分の胸を、股間を、両手でまさぐった。記憶の中にある、みっとも
ないくらいにでっかいおっぱいも、脂肪のたっぷりついたお尻も無くなっていた。股間には、あの『肉の
亀裂』ではなく、標準よりちょっぴり小さい仮性包茎のちんちんが、小さいながらも自己主張している。
『男………え?………もどっ……た??』
 呆然としている圭介をたっぷり30秒は見つめてから、ソラ先生が口を開く。
「生理が始まったんだ」
「…生理?」
558ボクたちの選択(455):04/06/08 03:13 ID:QXgLDoxG
>557
「そ。私は言ったよな?
 お前が男に戻るには、お前を女にした健司から離れて新しく女に惚れるか、それとも男とイッパツやっ
て膣内に精液を感じ、精神にも肉体にも過剰なストレスを感じさせるしかない…って。
 お前の身体は、男として生きるか、女として生きるか、よりストレスの少ない手段で確実に子孫を残そ
うとしている。
 だから、どちらかの性に固定する前に、どちらかの方法をとれば」
「男に戻れるかもしれない…」
「そうだ。ところがお前の身体は、女性体であれば当然あるべき生理を、精神的にも肉体的にも、子孫を
残す上では障害となるほどの過剰なストレスだと感じた。
 精神的には、もっと他の要因があったのかもしれないが、確かに女性であっても肉体的に、これ以上身
体に負担をかける生理現象は無いからな。
 しかも第二時性徴から準備期間を経て体験したものではなく、つい3週間前まで男だったお前には、酷
なほどのタイミングで。つまり、まあ…簡単に言えば」
 ソラ先生は、そこで一旦言葉を切り、圭介をじっと見つめた。
「お前が女であることに強いストレスを感じたから、身体が女である事を『拒否』したんだ」
「………そんな…」
「そんな?」
「あ、いえ…」
「お前、男に戻りたいって言ってたじゃないか。なら、良かったんじゃないか?」
「…それは…そう…ですけど……」
 久しく失っていた陰茎の感覚。
 毛布の下で、右手で握ってみる。まだ手の感覚は鈍いけれど、陰茎に感じる感覚は確かだ。括約筋に力
を込めると、“びくっ…びくっ…”と動き、はねる。それは男性の象徴であり、アイデンティティの根幹
を成すもの。
 なのに、この胸のもやもやはなんだろう…。

 ――――なんだか、嬉しくない。

 確かに「男に戻りたい」と思っていたはずなのに。
559ボクたちの選択(456):04/06/08 03:16 ID:QXgLDoxG
>558
 どうしてだかわからない。
 でもうれしくない。
 ものすごい喪失感が、あった。
 大切なものを無くしてしまったような気がした。
 胸にぽっかりと、大きな穴が開いてしまったような。
 余分な肉が付いて、動くだけで“ふるっ”と震える体が、ひどくいとおしいと思った。あの身体こそ自
分の本当の身体であり、この男の身体の方が偽りの…“ほんとうじゃない”身体に思えた。
「まだ、混乱しているだけだ。じきに慣れるさ。女の体になった時も、すぐに慣れただろう?」
 確かにそうだ。
 でも。
「…女に戻りたいか?」
「っ………まさか……」
 無理矢理、笑みを浮かべた。
 17年間慣れ親しんだ体よりも、たかだか一ヶ月にも満たない間だけの身体の方が“しっくりきていた”
なんて事は、言えるはずも無かったのだ。
「圭介」
 ソラ先生が、まっすぐ見つめていた。
 その先生の顔が、ゆらゆらと滲んでいる。
 あれ?と思う間もなく、圭介の目から、涙がこぼれた。
 自分でも理由のわからない、なんだか妙に冷たい、そんな涙だった。

「…圭介」

 目を瞑った。
 もう、闇しか見えなかった。
 闇しか見たくなかった。

「……圭介」

 胸が、苦しい。
 切なくて苦しくて、どうしてだかわからないままに哀しかった。
560ボクたちの選択(457):04/06/08 03:18 ID:QXgLDoxG
>559
 その哀しさが、胸を重く押し付けていた。

「圭介」

 ソラ先生の声が、耳朶を叩く。

「…圭介、どうした?苦しいのか?」
「………っ……」
 肩を揺り動かされ、圭介は“ぱちり”と目を開けた。
 そこには白い天井があり、仕切られたクリーム色のカーテンから半分だけ、明るい光を放つ蛍光灯が覗
いていた。
『同じ…』
 現実は現実だ。
 目を瞑ったからといって、逃れられるわけはない。
「痛むか?」
 ベッドの側で、ソラ先生が顔を覗き込んできていた。蛍光灯の逆光と、目が涙で滲んでいるためにどん
な表情をしているのかまではわからない。それでも、彼女の右手が自分の髪を優しく撫でているのだけは、
わかった。
「…せん……せ?…」
 口の中が粘っこい。カラカラに乾いた口内で集めた唾液を飲み込み、ひりついた喉を少しだけ癒す。
「水が欲しいか?」
「…これ……夢…?」
「は?」
 訝しげに眉を顰めるソラ先生の顔を見て、圭介はようやく理解した。そして、掛けられた毛布の中でそ
ろそろと右手を動かし、股間に手を当てる。そこには男のアイデンティティを担う肉の屹立など無く、た
だのっぺりとした布地の手触りだけがあった。
『……さっきのが……夢………』
 男に戻ったのではない。
 その認識に圭介は小さく息を吐(つ)き、そしてそれが安堵の吐息なのか落胆の吐息なのか、自分でも
わからなくなって下唇を嘗めた。
「おめでとう……と言うべきかな?」
561☆ ◆QT4umEMRFs :04/06/08 03:21 ID:QXgLDoxG
>560
ここまで。


次の投下まで「名無し」になります。
コテで他の方の感想は書きませんし、発言も無いです。