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現れては消え、一つに纏まっては解ける。
収縮し、拡大し、拡散し、そしてまた収縮する。
様々な色彩の乱舞。
その中から拾い上げた「いろ」は、泣きたくなるくらい優しい色をしていた。
彼は、いっしょうけんめい、いやらしいことを考えまいとしていた。
戸惑いながらも、それでもなお、前と同じように親友として見てくれようとしていた。
それが、強く強く、胸に染みた。
『ああ……健司……オマエって……』
こんなにも純粋で、純朴で、馬鹿がつくくらい正直な人間はどこにもいない。
『こいつと親友でよかった』
これからもずっとずっと友達でいたい。
『友達でいい』
嫌われるより、ずっといい。
そう思う。
そう思った。
もしそれが自分の心を偽っているのだとしても、その偽りを通そう。
自分に言い聞かせよう。
コイツには、そうすべきだ。
圭介はそう思った。
「けーちゃん?どうしたの?」
気がつくと、健司が心配そうに顔を覗き込んでいた。
「…え?あ、う…ううん。なんでも…」
圭介は慌てて身を引いて、ぷるぷると首を振る。セミロングの艶やかな髪が濡れたまま頬に当たり、ちょっ
と痛かった。