BASARA、7SEEDS、巴がゆく、シカゴ、龍三郎シリーズ、etc.
頑張ってる女性キャラ達に愛の手を。
SS神の降臨をお待ちしております。
3 :
名無しさん@ピンキー:04/04/26 21:35 ID:EgkdTpTc
余裕で3get
好きですよ田村由美。
4 :
名無しさん@ピンキー:04/04/26 21:39 ID:ImtXbmhO
俺も好き。
4get
5get
6 :
名無しさん@ピンキー:04/04/27 02:37 ID:jO81Bsug
即死の予感がするが一応あげてこう
更紗タソハァハァ
即死の悪寒がいたしますですね・・・
ではリクを。
王道の「朱理×更紗」
禁断の「タタラ×更紗」
マイナーの「穂積×廉子」 おながいします。
少女漫画スレがあるんだからそっちでいいんじゃねーの?
柿人×銀子、浅葱×更紗で書いてみたい・・・
けど無理ぽorz
即死しないようにカキコ。
職人さんの降臨は、すぐには望めないかもしれないから、
それまではマターリ萌え話かな?
朱理は女慣れしたようなこと言ってたけど、女官を端から
食ってたんだろうか?
隠し子がボロボロ出て来たりしてw
カップリング的には、切なさで柿人×銀子(
>>9タソがんがって!)、
エロさで座木×茶々に期待。
11 :
名無しさん@ピンキー:04/04/27 20:50 ID:IYitwT9Y
お市さん×菊音ちゃんでひとつおながいしまつ。
12 :
名無しさん@ピンキー:04/04/27 23:10 ID:BQebPmjy
>>11の市×菊に同意しつつ。
昔、どこかのBASARAスレで、女性キャラの処女・非処女話を
見たような気がするんだけど、野郎はどう思いますか、と
保守がてら妙な話題を振ってみる。
四道×千手と言ってみるテスト。
千手姫はやっぱり生涯一度きりのセクースなんだろうなあ。
四道ってオヤジがアレだから、かえってその辺に関して
すごく潔癖そうな気がするなー。
14 :
名無しさん@ピンキー:04/04/28 08:00 ID:OnkXdRow
15 :
名無しさん@ピンキー:04/04/28 23:26 ID:wXCGrB1c
即死防止
BASARAファンが多いのかな?
7種でキボン
理由シリーズの
龍之介×蝶子
ひーすけ×風子
とかどうよ。
17 :
名無しさん@ピンキー:04/04/29 00:21 ID:a7raIN94
理由シリーズって、一瞬何だかわかんなかったよ
そういう表現もあるのか、
と言いつつバサラで、ひーちゃんの初夜とか
18 :
名無しさん@ピンキー:04/04/29 04:13 ID:Jh4eNUJy
/⌒ヽ
/ ´_ゝ`) すいません、今夜はメチャクチャに・・・
| / 不便ですけど・・・
| /| |
// | |
U .U
タタラ赤の王よみたーい
カザン×千草←角じい
大河的だったなー
21 :
名無しさん@ピンキー:04/04/29 23:15 ID:A13qhYHS
天満屋とアイリスとかどうよ
なっちゃんと後家さんのその後を誰か書いておくれ
この際エロでなくても
>12
浅葱がすごく気になる
童貞かどうかよりも、処女かどうかの方が気になって眠れない
青の王に食われてるような激しい悪寒
伊織×巴を切に希望・・・・
24 :
名無しさん@ピンキー:04/04/30 03:24 ID:MgFRap8w
タラのその後(間違いなく爛れた生活)が読みたいとか思う私は
このスレ的にダメですか。そうですか(´・ω・`)
ガンガレこのスレあげ
蝉ナツ書きたいが、どう転んでもレイープになっちゃうヨ
蝉はヤリチンか童貞か、激しく皆さんの意見を伺いたいのですが。
26 :
名無しさん@ピンキー:04/05/01 01:56 ID:XvlkL0+a
即死って30レスだっけ?
>25
個人的に童貞きぼーん。てか、書いて
あげは×さらさキボン!!!
28 :
名無しさん@ピンキー:04/05/01 23:56 ID:/ODYE+FN
あげ
29 :
名無しさん@ピンキー:04/05/02 04:31 ID:2UPlTxQB
タラはたしかにあの後乱れただろうなー
あれ、獅子王×タラの息子がウコン王だっけ?孫?
30 :
名無しさん@ピンキー:04/05/02 13:44 ID:miX5IXbr
即死回避に協力age
浅葱×更紗と市松×菊音と聖×薫子が読みたいかなー。
>>15 BASARAも好きだがシカゴも好きだ。
>29
二人の子が嫡流となって鬱金王へ続いた、と書いてあるだけで
明記はされていない。100年前の話だから息子ではない。孫ぐらいか
「技よ、技が大切なのよっ」「私開眼しました」の具体的なSS希望
市×菊でエロまったく無しですが、保守がてら・・・
柿人×銀子、きぼん
「もう、いいじゃーん。なあ、菊音ー。いい加減、新婚旅行に行こうぜー」
「お市さん、しつこいっ!
行かないっつってんでしょ!
だいたい、あたしたち、結婚なんてしてないしっ!」
なにかあると……いや、何もなくともすぐこれだ。
市松のことは嫌いじゃない。
むしろ、本当は好きだ。
けれど意地を張り通してきてしまった手前、今更素直になれない。
市松の執拗な追跡から逃げているうちに、近くを流れる川まで来てしまった菊音は、
大きなため息をついて川原の石をこん、と蹴った。
「あいたっ!」
「へっ!?」
人の気配なんて感じていなかったせいで、必要以上に驚いて、菊音は声のした方を見た。
「痛いのだす」
声の主は釣竿を片手に、石が当たったらしい膝をさすり、口を尖らせていた。
「あっ!多聞さん!」
「だす」
「こんな所にまで……」
この人の行動範囲は一体どうなっているのだろう。
そんな事を考えながら、多聞の傍まで行くと、菊音は後ろで手を組んで足元に置かれた桶を覗き込んだ。
多聞は竿を引き、糸を手繰った。
魚が桶に追加される。
「相変わらず、釣りの名手なのね」
「違うのだす。みんな、寄ってきて欲しい欲しいと思うから、魚が逃げてしまうのだす。
腕は関係ないのだす」
その言葉に菊音は市松の顔を思い浮かべ、また深くため息をついてしまった。
「ホント……誰かさんにも聞いてほしいわぁ。その台詞」
「……だども、逃げようとする魚がいれば、追いたくなる人が居るのも仕方がないことなのだす」
自分が逃げなくなったら、市松は追ってこなくなるのだろうか?
分からない。
分からないけれど、そうなったら、きっと寂しくなってしまう。
菊音はしゃがみこんで、多聞が針に餌を付ける様子を眺めた。
「でもね、つかまった後を考えると怖いから、逃げるのよ」
釣り人が竿をしならせ、錘がぽちゃんと水面に落ちる。
「んだども、うまい魚は何度も何度も食いたくなるものなのだす」
魚は食べられたらそれっきり。
この人は分かって言っているのかな、頭の端ではそう思ったけれど、菊音はにじんでくる涙を隠して、抱えていた膝に額を擦りつけた。
「菊音、菊音。新婚旅行はどこに行く?」
「だから、結婚してないでしょっ!」
口をわざとらしく突き出して、顔を寄せてくる市松から逃走しようとする身体を必死に抑え、菊音は彼を睨んだ。
「じゃぁ、結婚しようぜ。嫁に来いって前から言ってるじゃん」
「お市さん。お市さんはいつもそう言うけど、私の気持ちは考えて、くれてるの?」
いつもと違う対応をした菊音に驚いたのか、市松はすぐには口を開かなかった。
ただ、きょとんとして、まじまじと菊音を見つめている。
菊音は菊音で、逃げずにその場に居るのが精一杯だった。
「菊音は俺のことが好きなんだろう?」
「はあ?」
当たっているとはいえ、どうしてそういう結論になるのか。
唐突な回答に菊音はめまいがした。
「何を根拠に……」
「本当に嫌なら、どんな手段でもあるだろう?菊音なら」
確かにそうだ。
発明品を使ったことはあっても、怪我を負わせるようなものは使ったことがない。
本当に嫌なら、夜、逃げ出すことだって十分に出来るのだ。
そんな事、考えもしなかった。
そう思ったら、力が抜けてきて、菊音はいつの間にか笑っていた。
それを見ていた市松も満足そうに笑みを作った。
「よし笑ったな。じゃぁ、さっそく祝言を……」
「だっかっらっ!どうしてそこに飛ぶの、お市さんはっ!」
「じゃあ、結納を……」
「そういうことじゃなくて」
「じゃあ、どういうことだ?」
いざ聞かれると、自分がどうしたいのか分からない。
菊音は先よりずっと手に持っていた螺旋回しを手の先で弄びながら、思いついた答えを口にした。
「少しは、こ……、こっ、こっ、恋人同士っぽいことを……」
「なるほど」
もっともだ、と頷く市松を見て、菊音は自分の言った事に今更顔を赤くした。
が、それもつかの間、市松が言葉を続けた。
「じゃぁ、菊音。目を瞑れ」
「ええっ!?」
せいぜい手を繋ぐとか、その程度しか考えていなかったため、菊音は照れるより先に驚いてしまった。
「『ええっ!?』じゃなくて。恋人らしいことをするんだろう?」
「おっ、お、お市さん……それって、こ、……恋人っぽいことなの?」
「じゃぁ、恋人っぽいことってどんななんだ?」
「う……」
そう言われてしまうと、手を繋ぐぐらいは更紗とだってしていたことだから、違う気もしてきた。
かといって、混乱し始めている頭では正常な回答を導き出せない。
菊音は言葉に詰まってしまった。
「菊音……」
「お市さん?」
声に顔を上げると目の前に市松の鼻があり、次の瞬間、頬に何かが触れた。
「っ……」
以前、別れ際に額に落とされたキスとは違って、悲しくなかった。
悲しくないのに、何故だか目頭が熱くなって涙がにじんだ。
「あ、あれぇ?」
慌てて手の甲で目をこすると、市松は何も言わずに大きな手で頬を包み込んできた。
先ほどとは反対の頬に唇が落ちてきて、菊音は目を固く瞑った。
肩が強張っているのが自分でよく分かる。
鼻の頭や瞼や額。
市松の柔らかい口付けをいくつもいくつも受けるうちに、菊音の身体は弛緩していく。
なんだか、くすぐったくて恥ずかしいのに、すごく心地よくて、菊音はいつまでもこうしていたい気持ちになってきて、いつの間にか詰めてしまっていた息をほう、と小さく吐き出した。
その唇を市松の唇が塞いだ。
それは今まで顔中に降らされていたキスの雨と同じように、柔らかくて、特別なもののようには感じられなかったが、口付けはそこで終わってしまった。
市松の顔がゆっくりと離れていく気配がする。
親指で頬を撫でられて、菊音がようやく目を開けると、市松は傷痕だらけの顔で優しい笑みを浮かべてくれていた。
照れくさいながらもつられて微笑む。
女の子で良かった。
菊音はまたそう思った。
(了)
お市さん×菊音ちゃん、キタ ━━━━━(゚∀゚)━━━━━ !!!!!
エロなくても、可愛くて萌え萌えなので美味しくいただきましたw
多聞さんが出てきたのも楽しかった。
続きか他の作品もお待ちしてます。乙でした。
うむ。禿しくGJでごわす。
お市さんの猛進っ振りといい
菊音たんのしおらしくなる瞬間といいウマー
太郎×八千代を書いてるんだけど、京都弁がよくわかりません。
多少不自然でもいいなら投下しますが?
41 :
名無しさん@ピンキー:04/05/05 13:51 ID:RyLRt4w/
42 :
天満屋:04/05/05 19:26 ID:tnMEo0zM
んじゃ、いきます。
43 :
天満屋:04/05/05 19:28 ID:tnMEo0zM
琵琶湖に出発する直前、太郎は一人の女と会っていた。
二条通の桜の枝に「逢いたい」と文を結ぶと、その日の夕方には彼女から場所のかかれた返事が吊られていた。
返事の短冊を握り締め、指定された宿の部屋へ向かうと、既に八千代は待っていて、のんびりとお茶など飲んでいる。
「太郎ちゃん、ずいぶん急やねぇ。いきなり呼び出して。またどっか行くん?」
「あ、あぁ。今度のは大仕事やで」
彼女に自分の仕事は教えていなかった。
ただ、今回の仕事が自分にとって、いや日本という国にとって、
何かとてつもないものになるであろうことを太郎は確信していた。
「はい」
八千代の入れてくれたお茶を飲んで一息つくと、どちらともなしに二人は奥の部屋へと向かった。
一組の蒲団が置かれているだけの質素な部屋だ。床の間にすら掛け軸も何もなく、ただ一輪、名も知らぬ花が花瓶に刺してあるだけだった。
特に話もせず、蒲団の上に寝転がる。沈黙すら有意義な時間に思える女はそういない。
無言で見つめあうと、自分でも思いもかけない言葉が口から漏れた。
「…ええか」
「どうしたん? いつもそんなん言わへんのに」
その声に、八千代は不思議そうに聞き返す。
それもそうだ。八千代とはもう長い付き合いのはずなのに、一体何を了解させようというのだろう。
44 :
天満屋:04/05/05 19:29 ID:tnMEo0zM
床に敷いてある煎餅蒲団に八千代を押し倒すと、そのまま素早く着物の前をはだけさせた。
くるくると帯を解くと、何度見ても生唾を飲んでしまう、蝋細工のような白い肌が、羞恥で微かに朱に染まっている。
蒲団に倒れこんだ八千代の背中に腕を回すと、太郎はそのぽってりとした唇に口付けた。
『くちゅぅっ』隠微な音を響かせながら、舌の粘膜同士が絡まり合う。
八千代の口内から溢れた唾液が、彼女の細い首筋を糸のように伝い、胸元まで滴り落ちた。
その雫の筋を自分の舌で絡め取りながら、空いた手を胸の突起へと向かわせる。
既に硬く尖ったそこを指の先で摘み上げると、八千代の身体が小さく震えるのが分かった。
「っ…ぁあっ…やめぇ」
「なんや。気持ちよくないんか?」
にやりと笑って訊ねれば、言葉にならない声が途切れ途切れに答えようとする。
「ぁっ…き…もちえっ…くぅっ」
「ん。女は正直なんが一番やで。正直モンには、もっとええことしたる」
ふっと耳元に息を吹きかけながらそう言って、片方の手はそのままに、もう片方の手を脚の間に滑り込ませる。
太腿の間の淡い茂みを掻き分け、柔らかい場所に指を這わせると、そこはもう刺激を待ってじっとりと濡れていた。
そのまま敏感な部分に指を当て、くりくりと押し動かすと、八千代の身体が指の動きにあわせて白い蒲団の上を跳ねた。
「はぁ…ぁんあ…っふ」
「可愛いわ、八千代」
45 :
天満屋:04/05/05 19:29 ID:tnMEo0zM
産毛が逆立ち、じんわりと汗ばんだ肌をいとおしく抱き留めて、太郎は再び八千代に口付けた。
太郎ののどに流れ込むこぼれ出た唾液すら、彼女のものだと思うと上等の甘露のように感じられた。
そっと唇を下のほうへ移動させる。蜜で溢れた場所に口付け、わざと卑猥な音を立てて嬲り上げると、八千代はすすり泣く声を上げつつも、ぎゅっと背中にしがみついた。
形よく手入れされた爪が太郎の肌に食い込み、素肌に跡を付ける。
「ひゃぁっ、も…やっやぁ…はんっ…。た、太郎ちゃ…も、お願…い」
「ん」
何もせずとも、八千代の姿を見ているだけで熱くなったそこを、とろとろに溶けた彼女の身体にあてがった。
八千代はいつも苦しそうな顔をするので、必ず強く肩を抱き寄せて瞳を見つめてやらねばならない。
他の女相手なら面倒に思った行為が、彼女に対しては全く苦でなく、
むしろその顔を見ているだけでも十分満たされるわけに気付いていないわけではなかった。
…けれど自分の仕事を考えれば、真剣な交際を申し込む事などできようもない。
こうして遊びと割り切って付き合う事が、自分の中での最大の譲歩だった。
「あ、あぁっ…太…郎ちゃ…んっ」
「八千代…八千代、好きやで」
「ほ…んっま…に?」
「ああ、お前ほどええ女、京中探してもおらんわ」
「あ…た…ろちゃ、う、ちも…たろうちゃ、あやあっ…んのことっ」
「俺の事が?」
「す…あぁっ、やあぁっ、くっぅっ」
必死で己のほうを見る八千代をつい苛めたくなり、つい激しく腰を突き上げてしまう。
いやらしく背中や尻を撫で、耳の中まで嘗め回しながらの腰使いに、八千代の息は荒くなる。
46 :
天満屋:04/05/05 19:30 ID:tnMEo0zM
「…八千代、俺もな…」
「はっ…なっん、やの…ぉ?」
目に涙をためて悶えながらも聞く姿が美しく、太郎はさらに深く抽挿を繰り返した。
先ほどを遥かにしのぐ快感の波に対して、八千代に耐えるすべはなかった。
その刺激で絶頂に達したのか、八千代の身体はびくびくと痙攣を起こした。
「…お前の事大好きやで」
その言葉が聞こえているのかいないのか、次の瞬間、太郎が精を放つと同時に、八千代はがっくりと首を落として、意識を飛ばしてしまったのだった。
安宿の古びた畳から突き出た繊維が、ちくちくとほの白い背中に刺さる。
その刺激に、太郎の腕の中でまどろんでいた筈の八千代はふと目を覚ました。
振り向けば、いつの間にか身支度を済ませている男と目が合い、二人して苦笑を漏らした。
「悪いな。起こしてしもうたか」
「ううん。……また、寝てる間に出てくつもりやったん?」
その言葉には答えずに、男は少し顔をゆがめた。考えている事を当てられると、必ず同じ顔をするのだ。
その顔が、けれどいつもより幾分こわばっている事に、八千代が気付く事はなかった。
47 :
名無しさん@ピンキー:04/05/05 22:11 ID:iIUdmLcN
>>33-37 いやん素敵!そうそう。菊ちゃんが素直になるまでの過程って
想像するだけで激しく萌えますな。ワシは多聞さんも好きなの
で余計うれしょい。乙ですた。よければまた書いてねん。
多聞さんと誰かのラブラブってないのかなあ。すごく理解のあ
る大らかな女性と幸せになってほしい気がする。ダメ?
48 :
天満屋:04/05/05 22:52 ID:YcpVpapZ
へたれSSですいません。
とりあえず自分の欲望に突き動かされてしまいました。
49 :
名無しさん@ピンキー:04/05/06 06:25 ID:P8LrIt1b
>33
最萌えカプキタ━━━(*゚∀゚*)━━━!
ほのぼの萌えました。
>40
投下前が>41なので。おこしやすー
良い…つか、切ないのう。太郎ちゃん…・゚・(つД`)・゚・ ウワアアン
50 :
33:04/05/07 01:07 ID:v7+o5qSK
反応くださった方々、ありがとうございました。
また機会があったら、何か書かせて頂きたいと思います。
>>43-46 タロー×八千代モエー(*´Д`)
すごく良かったです!
次の作品、楽しみにしています!
51 :
天満屋:04/05/09 13:21 ID:22upGVwq
レスくれた方ありがとうございます。
連続ですみませんが、浅葱×更紗投下しちゃいます。
淡路島に流れ着いた二人を妄想してみました。
コミックをお持ちの方は、19巻のP131〜132を見てみてください。
52 :
天満屋:04/05/09 13:22 ID:22upGVwq
「僕と行こうよ」
いつだって自信たっぷりで、偉そうで、そんな姿ばかり見てきたから。
震えながら自分の身体を抱きしめる浅葱のその言葉に、あたしは心を動かされたのかもしれない。
だってあたし達は同じなのだ。
常に兄の影に隠れていた幼年時代。
双子でありながら添え物に過ぎない己の存在の軽さが辛かった。
誕生日には、大きなケーキと村人達からのたくさんの贈り物の横で、一人膝を抱えていた。
兄と違い、自分が生まれ落ちた事は誰からも祝福されないのだと思いながら。
浅葱も、きっと同様の苦しみを味わったのだろう。
…人々が朱理に惹かれる理由は分かる。あの強さ、美しさ。傲慢さと紙一重な性格ですら、彼は魅力に変えてしまう。
あたし自身、そんな彼の姿に恋したのだ。
けれど朱理とは、あたしの過去を共有することはできない。彼はひどく恵まれた人だから。
この思いを共有できるのは、同じ境遇の者だけ。
誰かと比べられ、そして必ず敗北感を味わってきた者、己の命の不必要さを知っている者。
そう、きっとあたしは待っていたのだ。自分と同じ惨めさを、痛みを抱えて生きてきた人間を。
53 :
天満屋:04/05/09 13:25 ID:22upGVwq
「浅葱、あんたと行くことは出来ない。けど…今だけなら自由にしてもいいよ」
あたしはそう言って、岩陰にもたれた。浅葱は驚いたように、目を瞬かせる。
「…タタラ?」
浅葱の細い腕が、おずおずと背中に回る。その指先が戸惑いで微かに揺れていた。
その迷いを振り払うかのように腕に力が入り、あたしはぎゅっと抱きしめられた。
その想像以上の力強さに、胸が締め付けられる。
あたしは『タタラ』になれたけど、彼が『朱理』になれる日は永遠に来ないのだ。
あたしと違って、彼はいまだに劣等感の檻の中から抜け出せずにいる。
「君は…」
その言葉をさえぎって、あたしは浅葱の頬に口付けた。母親がするように優しく。
そのまま浅葱の身体を地面に倒し、今度は唇に触れる。
氷のように冷たいそこが、徐々に熱を帯びていく。
「あいつが好きなんだろ」
「あたしは、仲間が一番大切だよ。だから、浅葱を救いたい」
「救う、だって? この僕を」
「うん」
あたしは自分の服を剥ぎ取ると、浅葱の手の平を心臓に導いた。速まっていく鼓動が手に伝わる。
「…抱くよ」
「うん」
あたしは、ぜんまい仕掛けの人形みたいに何度もうなずいた。
54 :
天満屋:04/05/09 13:27 ID:22upGVwq
浅葱の手が、あたしの胸をやわやわと揉みしだく。くすぐったくて身体をよじると、彼は楽しそうに笑って、脇腹や首を器用に撫で回した。
「ははっ、あははっ…ひゃっ…苦っし…」
息も荒く笑い転げるあたしを横目に、浅葱は指を胸の先端へと向かわせた。
2本の指でそこを挟まれ、ぐりぐりと押しつぶされると、自然と声が出てしまう。
しかも浅葱は、触れていないほうの側の胸に尖らせた舌先を近づけて、チロチロといたずらを仕掛けるものだから。
「あっ、ゃあぁっ、…さぎぃ…はぁっ」
そのまま強く乳首を吸われ、目の前がちかちかとする。
「タタラ」
呟きながら浅葱は、左手を服のすそへ侵入させる。内股に温かい指の感触を感じて、あたしはほぅとため息をついた。
下着の奥はもう濡れていて、指がうごめくたびにねちゃねちゃといやらしい音を響かせた。
波の音しかしない静かな島で、それはひどく恥ずかい物に感じられた。
浅葱の指は最も敏感な部分を執拗に攻める。指の腹で転がし、突付きまわし、時折かりっと形よく手入れされた爪でそこを引っかいた。
その凄まじいまでの刺激に、あたしの身体はびくっと痙攣する。
「いぁあっ…だめっ…も…、ぃっちゃぁっ…!!」
55 :
天満屋:04/05/09 13:28 ID:22upGVwq
目を開くと、心配そうに見つめる浅葱の顔がすぐ近くにあった。
「経験不足のタタラには刺激が強すぎたかな」
いつものあの余裕満々の口調で言われ、あたしはついむっとする。
「そ、そんなことない」
「じゃあ次は、もっと激しくするよ」
浅葱はニヤリとして再びあたしを地面に倒すと、また指をそこへ這わせた。
けれど今度は、熱くぬめった奥へと関節を沈めてゆく。
中をかき回されて、何度もずっぽりと出し入れされ、気付けば指の数はいつの間にか2本に増えていた。
2本の指がそれぞれ異なった方向に動いて、あたしを攻めたてる。
入れたままくいっと指を折り曲げられれば、性感帯に直接の振動を受けて、嫌でも感じてしまう。
脂汗が流れ落ち、背中がぞくぞくとする。
「あさぎぃっ…こんな…ぁっ、はぁっんぅ…」
「…タタラ」
「…なに…?」
「ありがと」
それは多分、あたしどころかこの世の人間の誰もが聞いたことないんじゃないかと思えるほど素直な彼の言葉だった。
けれどあたしが感激する暇もなしに、浅葱は腰に自分の体重を思い切りかけた。
56 :
天満屋:04/05/09 13:30 ID:Jq8Xfyst
「ひゃぁっつ」
熱い塊が、あたしの身体を侵食する。その感覚だけであたしの意識は消え去りそうだ。
叫びもむなしく、浅葱は何度も繰り返しあたしの身体を貫いて、強く腰を前後左右に突き動かした。
あたしは声をからしながらも、しっかりと浅葱の顔を見つめていた。
「ふぁっ、も…あたし…」
「いいよ、タタラ」
身体の奥で何かが弾けた気がした瞬間、あたしも絶頂を感じて後ろに倒れこんでしまった。
「僕は朱理と似てる?」 それとも…いまだに出来の悪い弟のままかな」
「朱理は赤い…燃える炎のような人だけど、あんたは蒼く穏やかな海みたい。
炎と海を比べても仕方ないでしょ、全然違うものなんだから。あんたはあんたよ」
「僕は…僕」
浅葱はあたしの上に乗ったまま、肩に顔をうずめ、声を出さずに泣いた。
それはまるで、幼い子供のようだった。
そしてあたしは、自分の片割れであるこの人を少しでも救えた気がした。
たとえそれがあたしの自己満足でしかないとしても、きっと重要な事なのだ。
57 :
天満屋:04/05/09 13:35 ID:Jq8Xfyst
…ってすいません。ageちゃいました。
天満屋さん、乙です。
浅葱×更紗って言うよりも、このカプって、
精神的にはタタラ×浅葱なのかも。
ところで、浅葱の「よく手入れされた爪」って
群竹さんがしてるのかよ、と思ってしまったw ごめん。
保守してみる
保守
浅葱×更紗良かったです。
お互いの心情も良く描かれていたし。
バサラキャラで浅葱ファーストの自分は大満足でした!
>47
多聞さんは夫婦でのんびり全国釣り行脚できるような人と結婚しそう。
むしろナギや桜田の嫁が想像できないわけだが。
ナギは一生独身では。
昔はプレイボーイでならしたそうだがw
桜田さんも独身っぽいなー。
保守がわりにでもなればと獅子王×タラの爛れた生活の序文を置いてきますね。
殺そうと思えば簡単に殺せる。そんな無防備な背中だった。だからこそ、タラは獅子王を
殺すことができないでいた。
王の妃として城に留まることになってから三日目、タラは城から少し離れた所にある離宮
に連れていかれた。派手好みの獅子王の趣味なのか、豪奢な装飾の施された輿に乗せられる。
タラはこの離宮で、自分が殺されるのだと思った。
昨日、タラは王の目の前で文官を一人刺し殺し、三人に斬りかかり、ほどなくして取り押さえられた。
そうした理由は簡単だった。そいつらは玄象たちのことを貶した。名前は出さなかったが、すぐわかった。
気付いた時には身体が動いており、手が血に濡れていた。手袋をしていないと柄が滑る。
取り押さえられたのは、血で刀を取り落とした時だった。
それから座敷牢に入れられ、今に至る。何故か刀は取り上げられなかった。最初から獅子王は
タラが刀を持つことを許していた。というよりも関心がなく、ただ「好きにしろ」とだけ言った。
離宮に着き、侍女に案内されるままについていくと、寝室に通された。異国から取り寄せられた
と思しき天蓋つきの大きな寝台が置かれている。その他には調度品らしきものが数点飾られているだけだ。
「来たか」
何の抑揚もない声が背後から投げかけられる。振り返らずとも誰なのかわかった。
「あたしを、殺すの?」
タラは背を向けたまま尋ねる。
「何故そう思う」
「昨日、斬りつけたから」
「ああ、あのことか。あれは久方ぶりに面白かったぞ」
くつくつと軽薄そうに笑い、獅子王はタラに近づいた。腕を掴んで引き寄せ、髪を引っ張って
強引に上を向かせる。
「まだ殺しはせん。早く阿呆を産み、俺を愉しませろ。それがお前のいる意味だ」
爛れた生活キタ ━━━(゚∀゚)━━━ !
本文も襟を正して待ってます。
保守
爛れた生活に禿しく期待。
続きマダー?(AA略
67 :
天満屋:04/05/28 00:48 ID:fhINddw7
58様&61様、感想ありがとうございました。
>浅葱の「よく手入れされた爪」って 群竹さんがしてるのかよ、
あああ、そんな感じしますね(w
「群竹、爪」とか言いいながら横柄に手を投げ出して、切らせる、みたいな。
>>64様
ご先祖様方、皆大好きなんで期待してます!
個人的には鍋三とアイリスが最萌えカプなんですけどね。
>>64 マジキタァァァァ!!!!
リクしてはみたものの、本当に来るとは…夢みたいです。素直に嬉しい
キレてるタラがかなり(・∀・)イイ!!
期待してます。
保守。と、続きマダー?
70 :
イクラ:04/05/31 12:52 ID:4GXmpMUl
皆様方、レスどうもありがとうございます。一週間に四百字詰め原稿用紙二枚分程度しか
書けない遅筆な小生ですが、どうかご容赦下さいませ。
>天満屋さん
鍋三とアイリスも良いですよね。「るぁぶ。そうゆう発音なのね」のくだりが特に好きです。
では、短いですが>64の続きいきます。
獅子王は有無を言わせずタラの身体を抱き上げ、そのまま寝台に向かって乱暴に放り投げる。
束の間の無重力の後、タラは自分の身体がどこまでも沈みこんでいくような感覚を受けた。
思わず「わっ」という短く情けない悲鳴を上げてしまう。
物心ついた時にはすでに、牢屋の固い地面に藁で編んだ筵を引いただけの所に眠っていたし、
玄象達と共に行動するようになってからは、板の間に布団を敷いて皆で眠った。寝台の柔らかさは、
タラが今までに感じたことのないものだった。
そういえば、とタラは思い出す。玄象達に助けられてすぐ、熱いお風呂の入り方がわからなくて
溺れかけた時と少し似ている。そんなに昔のことではないのに、あの時がひどく懐かしい。
タラの顔に表れたわずかな郷愁に目ざとく気付いた獅子王は、それを壊すべく荒々しく口付けた。
舌を差し入れ、口腔を蹂躙するが、タラは抗いも応じもしない。ただそこにあるだけだった。
獅子王は自分が木偶を抱いているような気分に陥り、ふっと醒めた。
「何故、何もしない」
自分の身体の下にいるタラに向って尋ねる。
女といえば、今まで二種類しかいなかった。残虐無比な獅子王に恐れおののく者か、
媚びへつらう者か。どちらも退屈で面白みがなく、行為の後、しばしば戯れに首を切り
落としてみたりなどした。
よくよく考えてみれば女だけでなく、男も同じ二種類しかいない。即位当初は若人だと甘く見て
あれやこれやと具申してくる者はいたが、先王の代からの重臣を不敬罪で切り捨てて以降、
ふつりといなくなった。
「あたしに、何かしてほしいの?」
タラは静かに問い返した。獅子王を見据える瞳は生気こそないが何か念のようなものが
宿っている。
獅子王は微かに心が沸くのを感じた。
イクラさん〜
「小生」なんていうあなたに萌え。
続き待ってます。
いくらさん!GJ!
続きが楽しみだ〜!!
続き期待しつつあげちゃう
イクラさん降臨お待ちしていますっよ・・・。
天満屋さんも新作期待です!
期待しつつ保守
76 :
イクラ:04/06/17 22:23 ID:yKa7itMl
「そうだな……」
手の甲に顎を乗せ、暫し獅子王は思案する。目の前の女を昂ぶらせ、牙を剥かせる術を欲した。
敢えて逆らってくる者を捻じ伏せることに歓びを見出す性癖――ありていに言えば嗜虐趣味だった。
獅子王の目に赤黒い傷跡が止まる。それはゆるく握られたタラの両の手のひらにあった。
よくよくみれば甲の方にも小さいが同じような跡がある。何かで手を貫かれたようだった。
「これは何だ」
細く骨っぽいタラの手首を掴み、親指で傷跡をえぐるようにしながら獅子王は尋ねる。
返答に大した期待はしない。僅かでも痛みが顔色に表れれば良いと思った。
タラは奥歯をぎりっと噛み締め、ほんの少し眉を寄せたが、一瞬きの後、綺麗に消えうせる。
美しい表情だった。薄く開いた唇の間からは獣の牙が見え、瞳孔が開いた金茶の眼からは
纏わりつく闇が見える。より強く爪を立てても、もう眉の一つも動かさない。
獅子王は何か得体の知れない情動に突き動かされ、タラの纏う衣を剥ぐ。帯はそのままで、
上半身だけが剥き出しにされる。淡い桜色の差した肌だった。獅子を屠り、数多の者を殺してきた
女傑とは思えぬほど華奢で、傷などもほとんど見あたらない。
(鶏がらで洗濯板だな)
獅子王は心中で率直な感想を呟く。肌の質感は好ましいが、もう少し胸にも尻にも肉付きが
ある方が良い。それにこのような身体で丈夫な阿呆が産めるか。次からはもっと肉を食わせよう。
「……抱かないの?」
神妙な顔をしていつまでも身体を仔細に見つめている獅子王に耐えかね、タラは尋ねる。
どうこうされるのには耐性があるが、ただ見られるだけというのには抵抗がある。
「ほう、抱いて欲しいか」
初めて自発的に言葉を発したタラに、獅子王は目を細める。
「好きにすればいい」
「ならば捨て置け。俺の勝手ぞ」
「……落ち着かない」
「これから閨事をするというに落ち着いてどうする」
「やっぱり抱くの?」
「さぁ。このまま落ち着きのないお前を見ているというのもまた一興」
タラはその言葉に露骨に嫌な顔をする。獅子王はそれを無視し、身体の起伏を視線で追った。
77 :
イクラ:04/06/17 22:32 ID:yKa7itMl
せめて週一ペースで、と思ってたんですが遅れてすみません。
莫迦なもんで夏風邪患ってました。
あとこっそりと>25さんの蝉ナツに期待。
イタイイタイイタイ・・・・!獅子王はS王。
でも続きすっごく気になります!お待ちしております。
お体に気をつけて。
79 :
33:04/06/19 03:43 ID:k8+hfJ2Y
お邪魔します。
理由シリーズからパパ×ママですが、エロは薄いです。
すみません。
80 :
33:04/06/19 03:43 ID:k8+hfJ2Y
死んだんだって聞かされていたパパが帰ってきた。
気が弱くてママにはとても敵いそうもない人だけど、でもすごく優しい。
それがボクのパパだった。
夢にまで見たパパがいる生活がいよいよ始まる。
派手な再婚式の後、ボクはパパの膝の上に乗っかって、甘えさせてもらったんだ。
最初はちょっと恥ずかしかったけど、だんだん楽しくなってきて、気がついたらもう十一時。
よい子はとっくに寝てる時間だ。
もう少しパパと遊んでいたかったけど、ボクはいい子だから、おやすみなさいを言って部屋に戻った。
再婚とはいえ、新婚の二人には気を遣わなくっちゃね。
81 :
33:04/06/19 03:45 ID:k8+hfJ2Y
部屋に戻る。
パジャマに着替えて、脱いだ物をきちんとたたんで、ボクはベッドに潜りこんだ。
身体は眠いといっているのに、パパが来た緊張と興奮のせいか、ボクはなかなか寝付けない。
何度も何度も寝返りを打ったけど、やっぱり寝付けなくて、ボクはトイレに行くことにした。
隣の部屋のパパたちにボクが起きているって気づかれないように、ボクは気を遣ってドアをそっと開けて閉め、足音を忍ばせておトイレへ。
用が済んでちょっとすっきり。
これならすぐに寝られる。
パパたちはどうしてるかな。
もう寝ちゃったかな。
パパたちの部屋の前まで来たとき、ボクはそう思って足を止めた。
ボクはただ仲良くしていてほしいな、っていうそれだけの気持ちでそうっとパパたちの部屋の戸を、二人に気づかれないようにほんの少しだけ開けた。
ひょ〜!
キスだよ、キス。
パパとママはまだ着替えないままでキスをしてる。
ママが、いつもだらしなくしてて、わがままし放題のママがおとなしくして、ほんの少しだけほっぺたを赤くしてパパと抱き合ってる姿はなんだかすごく不思議で、
ボクはつい、そんなママを見つめてしまった。
心臓がどきどきしているのが分かったし、覗きをするのはよくないって分かっていたけど、ボクはなぜだかそこから離れられなくなっていたんだ。
82 :
33:04/06/19 03:46 ID:k8+hfJ2Y
「ん……っはあ」
ママが苦しそうに息をして、パパから顔を離した。
良く見えなかったけど、舌が……舌が、出ていませんでしたか?
ママはうっとりとした顔でパパを一度見つめてから、おでこをパパの肩に乗せた。
な、なんだろう、これ以上見てはいけない気が……。
でも、ボクの足は固まってて動かない。
目も、ママたちに釘付けになってしまっている。
って言うか、パパ!
なぜママのお尻を触るの!?
「あっんっ……もう、せっかちなんだから」
???
「蝶子を目の前にして我慢する方が無理だって事くらい、分かってるだろう?」
?????
「あっ!首は……やあ……」
パパがママの首にキスをすると、ママがボクの知らない声を上げた。
「や、なんて嘘ばっかり。蝶子はこうされるのが好きだったじゃないか」
「……誕生日は忘れてたくせに、そんな事ばっかり覚えてるのね」
「誕生日だって忘れてたわけじゃないさ。ただ、仕事が……」
「よしてよ。今はそんな話、聞きたくないわ」
「そうだね。僕も今日はこんな話はしたくないよ」
ママが……ママがしおらしいんですが。
しかも、なんか、気のせいか、ママのお尻が揺れて、揺れて……。
83 :
33:04/06/19 03:47 ID:k8+hfJ2Y
二人はまたキスをした。
今度はさっきより、もっと乱暴な感じで、パパは相変わらず、しかも両手でママのお尻を触って、っていうか、揉んでいて……。
ああ、それは通販で五万円もしたワンピースなのに。
そんなにしわくちゃにしたら、アイロンをかけるのが大変だーー!
って、そんな事より、このまま見てちゃダメだ、ダメだ。
部屋に、部屋に、戻らなきゃ……。
そう思うのに、ボクはまだここを離れられないでいた。
「はッ……」
ママの背中が弓みたいなカーブを作って、ママの顔がパパの顔から離れた。
さっきのは見間違いじゃなかったみたい。
やっぱり舌が……。
「お、お願い……」
『お願い』?『お願い』?ママが、お願い???
「どうしたんだい?」
「焦らさないでよ……」
「このくらいで焦れたのかい?」
「相変わらず意地悪なのね……」
意地悪??パパが???
「蝶子のお願いが聞けるのはこういう時しかないからね」
パパがくすりと笑った。
その笑顔はいつものパパだったけど、その口ぶりは確かになんだか意地悪だった。
84 :
33:04/06/19 03:47 ID:k8+hfJ2Y
「ちゃんと……触ってよ」
節目がちになったママが言う。
「どこを?」
「どこ、って……」
ママはパパを見上げて、睨みつけたみたいだったけど、横から見てても全然怖くない。
むしろ、赤くなったほっぺたはどことなく可愛い……かも。
「服の上からは嫌よ」
「そうだね。じゃぁ、脱いで」
『脱いで』?脱ぐんですか??
僕の頭はすでにパニック。
そんなボクの存在に気づいていないママはパパの腕からするりと抜けると、パパに背中を向けた。
「ファスナー……下ろしてよ」
言ってることはいつもと変わらないのに、ママのこの変貌ぶりは何なんですか?
パパはパパで言われた通りにファスナーを下ろしーーーて、なんで手を胸に持って行くのっ!?
「あっ……うっ……」
「十年前とちっとも変わってない……」
パパがまたママの首にキスをすると、ママは小さな悲鳴を上げた。
「ちょっ……痕、つけないでよっ」
ママが相変わらず怖くない顔でパパを睨んだけど、パパは全然動じない。
「そう?ごめんね」
笑ってそう言うと、またママの首に顔を押し付けた。
85 :
33:04/06/19 03:48 ID:k8+hfJ2Y
散々、首やらほっぺやらにキスをされて、胸も揉まれて、そのせいか、ママはもうぐにゃぐにゃだった。
パパはそんなママのワンピースをあっさり脱がして、後ろから抱きついたまま、ママとベッドに倒れ込んだ。
ママの髪が乱れて、広がる。
パパがママのパンツの中に手を入れた。
ボクはもう、何がなんだか分からない。
驚く余裕もないまま、ほんの少し開けたドアの隙間から、ずっと二人を見つめてる。
「あっ、だ、だめ……」
「駄目なのかい?僕はもう、これ以上は我慢できないよ?」
「うそ……」
「嘘じゃないのは、分かってるだろ?」
「……だったら、早く……」
息を途切れさせながら、ママはまたお願い、と言った。
86 :
33:04/06/19 03:49 ID:k8+hfJ2Y
あれは、なんだったんだろう?
ママがお願いを言った後、パパはママのお尻に……多分、おちんちんを……入れてた。
それから、パパがママの名前を何度も何度も呼びながら、すごくママをゆさぶって、ママはすごくやらしい声を出して、最後に悲鳴を上げて二人してベッドに沈没。
ボクはそこで我に帰って、今しかないと思って慌てて部屋に戻ってきたわけなんだけど、パジャマは汗でびっしょりだった。
心臓はどきどきしてるし、顔は熱い。
やましい気持ちもあるけど、ジェットコースターに乗った後みたいなふわふわした感じが全然抜けない。
ボクはもう一度ベッドに潜りこんで、お腹の下に手を伸ばしてみた。
いつもと違う感じがする。
ボクも大人になったらあんな事をするのかな……。
それはちょっと、怖い気がする。
明日の朝、パパとママに普通の顔で会えるかな……。
今夜はきっと眠れない。
(了)
龍ちゃん・・・いけない子だな(・∀・)
>33様乙です
薄いどころかなかなかの作品、楽しませていただきました
保守
ROM専だったけどたまには応援。どの作品もイイ!
スレ自体のまったりした雰囲気もとてもいい。こういう良スレがずっと続くといいと思います。
懐かしいときめきを思い出しました。はまったなぁ。
気が向いたら市菊のラブラブエチーきぼんとか言ってみるテスト。
ほんと、手が空いて気が向いたらでもいいんでお願い……。好きなんだ…。
書き手のみなさん、無理せずがんばってください。
続きも楽しみにしてますYO!
91 :
名無しさん@ピンキー:04/07/01 00:44 ID:ieV5SWhA
そろそろあげとこう
保守
爛れた生活の続きキボン
市菊いいですね。
職人様方の作品を楽しみにしてます。
ノ 市菊に私も一票。エロに至るまでの菊ちゃんのココロの動き、陥落する
瞬間、萌えどころ満載ですな。
多聞さん、色恋に無縁そうだけど、読みたい。すーごく優しそう。
菊ちゃんて、下ネタに免疫なさそう。
銀子さまのところでおげふぃん教育されてるとも思えないし。
お市さんの課題は多いなあ。俺好みに染まれと喜びそうな気もするが。
一瞬、「紫の上(ゲンジストーリーの方の)」という単語が頭をよぎって、
お市さんの場合シャレになってないことに気がついた。
自分はむしろ、菊ちゃんは色々詳しいと思う。
四君子の一人だし、作品上では「大きな仕事は初めて」っぽい感じだったけど、
どっかに侍女として入り込んで・・・ということはざらにありそうだから。
でも、それを見せない、感じさせないようにしているんでは、と。
で、市松はそれを知った上で、あえて「俺好みに染まれ」と・・・(w
市菊いいねぇ。
菊ちゃんって幼く見える顔立ちだけど、酔った時とかに凄く
色っぽくなりそうな気がする。
で、お市さんが悩殺されるw
ゆうべここ読んでから寝たら、市菊の妄想大爆発の夢を見てしまった。
もうね、菊ちゃんのこと可愛くて仕方ないっていうお市さん。素直になれ
ない菊ちゃん。ああああたまらん!
この2人、結構身長差あるよね。ああまたツボだわ。
読みたい、読みたい・・・(延々続く)
>98
その夢をSS化しる!
100 :
33:04/07/10 16:35 ID:abQYfRts
>100
>97じゃないけど許す。
>98
身長差も良いが、それも含めて体格差がツボだ。
お市さんは良いカラダしてるし。
(田村先生、ぶち抜きヌードをありがとう)
102 :
98:04/07/10 22:05 ID:aUvNfi6p
>100
期待してます。(屮゚Д゚)屮 カモーン 菊ちゃんに優しくしてあげてね。
>101
おっしゃる通り!あ〜カラダの傷を数えてみたいっす。萌え萌え。
おお!
実は>33さんの市菊めちゃ好きだったので嬉しィ!
がんがれ〜。
104 :
90:04/07/11 01:00 ID:+mNq2POW
>100
うわわわわ嬉しいです。
市菊言ってみるものだなあ。
ふたりともそんなにメインキャラ!!って感じじゃないのに人気あってしあわせ。
楽しみにしてます!
らぶらぶまんせ〜!!
>>100 97ですが、もう全然OKです(興奮のあまり、日本語が変w)。
33さんのSS好きだったから、凄く嬉しい。楽しみ〜
106 :
101:04/07/11 10:03 ID:u9XdX15L
>105
本人出てきたんで謝っとく。
ごめんね、勝手に許しちゃって。
>>106 97=105です。思いは同じだろうから、気にしないで。
そういえば二人して酔っ払ってた時あったよな、市菊。
えろえろえろーってなったんだったねw もう大好きこの二人。
110 :
33:04/07/13 00:31 ID:zl0cHE6a
嬉しいレス、ありがとうございます。
今週中には上げたいと思っております。
期待しないでお待ちいただけたら幸いです。
>110
ノシ 期待せずにおらりょうかw ラブーなのだといいなあ(;´Д`)
>111
禿げ同。楽しみにしてまつ。
ラブーでエチーなのだといいなあ(;´Д`)
お市さん×菊ちゃんが祭りになってる! 嬉しいから、よーしパパ便乗しちゃうぞ。
エロなしですが、>33さんを期待待ちで、軽めのおつまみ程度にドゾ。
わくわく
115 :
113:04/07/13 14:15 ID:2leawJu+
「貴方は『菊』で、お市は『松』だから」
そう言って紫の上に誂えられた白打掛は、菊花と若松の地紋の上に、羽根を広げた比翼の鶴が絹糸で刺繍されている、というものだった。
出来上がった打掛を目にした時は、「上さまも、うまいこと言うなあ」などと、自分の大事であるにも関わらず、どこか暢気に構えていたのだが。
いざこうして、互いの名に掛けた柄の打掛に袖を通し、夫婦固めの式を数分後に控えて、という状態を迎えると、『妻』という自分に新しく与えられる立場に対して、自覚も覚悟もほとんど持っていなかったことを思い知らされる。
「嫁に来い」という言葉だけなら、それこそ、求婚という行為の希少性とありがたみを忘れそうになるほどの回数を耳にしていたというのに──
「そろそろ嫁に来る気になったか?」
「昨日も一昨日も、まだだって言ったでしょ」
「一晩寝て起きたら気が変わるってのは、よくあることだからな」
「プロポーズって、日課としてするものじゃないと思うんだけど」
「女冥利に尽きるだろ?」
「そういう問題じゃないの!」
「文句の多い奴。お前がとっとと嫁に来れば、万事解決だぞ」
そんな会話を毎日のように交わしていたのは、つい先日までのことだ。
深く考えれば照れが現れてしまうことを自分でも知っていたから、勢いに任せて憎まれ口と悪態ばかりで応酬していた。
軽口を叩き合いながらも次第に惹かれていく自分をどうしようもできずに、相手の不遜な態度と口の悪さに甘えていたのだと思う。
自分が必死になって意地を張っているのは、分かっていた。そして多分、相手もそれを見抜いていた。
もしかすると、彼の方が菊音自身よりもよく理解していたのかもしれない。
だからこそ、あっけらかんとした笑顔で「嫁に来い」などと言い放っては、どこか子供じみた強情を通していた娘が素直に頷くようになるのを待っていたのだろう。
116 :
113:04/07/13 14:15 ID:2leawJu+
──だが、頷きはしたものの。
それと、婚儀に臨んでの緊張感とは、全くの別問題である。
大きく息を吸い込んで、できるだけゆっくりと吐き出す。それでも、早鐘を打つ心臓は、全くその速度を落としてはいなかった。絹地の上から押さえた胸は、手の平にはっきりと鼓動を伝えている。
もう一度、深呼吸。少しは落ち着いたかなと、わざとらしく菊音は呟く。大した変化が生じていないことは分かりきっていたが、この際、冷静な観察は無視した方が賢明だ。
たかが、祝言じゃないの。お市さんの横で、大人しくしてればすぐ終わる、そうよね、うん。そうだよ、結婚なんて、誰でもやってることじゃない。
そりゃ確かに、終わった後には…えーと、その、しょ、初夜、ってやつが控えてたりもするけど……いや、夜のことは今は考えないようにしよう、とにかく…
「おーい」
不意に、背後から呼びかけられた。びくんと、白絹に包まれた身体が撥ねる。
「生きてるか?」
余りにも場違いで縁起の悪い台詞が、投げかけられる。花嫁に対する台詞としても問題だが、花婿が口にする言葉としてもいささか問題だ。
だが声の主は、全く気に留めた様子もなければ、悪びれた気配もない。黒羽二重の羽織の袖を無造作に組んで、部屋の入口に佇んでいる。市松が軽く肩をすくめて見せると、白く染め抜かれた沢瀉の紋が、微かに動いた。
「返事ぐらいしろよ。何度も呼んだぞ」
「あ…、そう、だった? ごめん、ちょっとボーっとしてた」
何とか応じた自分の声が上ずっていた。こっそりとついた溜息は、僅かに震えを帯びている。相手に、悟られていなければ良いのだが。ちょっと心配になって、そっと目線だけを上げてみる。
117 :
113:04/07/13 14:16 ID:2leawJu+
真っ直ぐに──相手の視線が、注がれていた。
市松は先程と同じ位置に立ったまま、じっと菊音を見つめていた。右手に持った白扇を手の中に弄びながら、ほんの少し小首を傾げるような姿勢で。
含みのあるような目でもなければ、良からぬことを企んでいるといった体でもない。ただ無心に、敢えて言うなれば、僅かな驚きを宿した表情で、目の前の少女に眼差しのほとんどを預けている。
「な……、なに?」
向けられた視線にどう反応して良いか分からず、戸惑った疑問の声が漏れた。
それでなくとも、緊張に全身を強張らせた状態で、まともな思考はあまり残っていない。いっそのこと、いつものように明るく笑い飛ばすなり冗談で雑(ま)ぜっ返すなりしてくれれば、こちらも相応に言い返せるものを。
半ば八つ当たりじみたことを考えていると、ようやく市松が口を開いた。どこか、まだちょっと意外だとでも言わんばかりの様子で。
「お前、結構美人だったんだな」
「………へ?」
我ながら、間の抜けた反応だとは思った。投げかけられた言葉が、咄嗟に受け入れられない。
「驚いたなー。可愛いとは思ってたけど」
ぽかんとする菊音をまっすぐに見据えたまま、しみじみと市松は頷いている。辛うじて残っていた理性が、ようやく、おぼろげながらも相手の言葉を飲み込み始めた。連れて、顔に朱が昇っていく。
「…え…っと、あ、あのっ…」
「うん、やっぱ美人だ。すっげえ綺麗」
そう言って、破顔一笑。
とどめの一言と心底嬉しそうな笑みに、「お世辞なんか言ってどうするの」と用意した憎まれ口が、跡形もなく焼き尽くされた。
「…あ……、ありがと…」
気恥ずかしさが──そして、認めたくないけれど、ほんの少しの嬉しさが──、震える声を掠れさせた。
美辞麗句や巧言令色とは無縁の男だと知っているからこそ、直截な誉め言葉に照れてしまう。花嫁衣裳の内側で、全身が茹だっているような気分だった。
118 :
113:04/07/13 14:17 ID:2leawJu+
不意に、火照った頬を両手に包まれた。驚いて目を見張る。上がりそうになった小さな悲鳴は、喉の奥に吐息ごと飲み込んだ。
「ちょ…っと! な、何してるの!」
「何って。この状況で、やることは一つだろ?」
小さく笑いながら市松が、菊音の顎に指を掛ける。軽く上を向かされた顔と相手との距離がさらに縮まった。
「わ、待ってってば!」
「………嫌、か?」
男の囁きと一緒に、吐息が零れる。唇に落とされたその熱さと、低い囁き声の穏やかな調子に、菊音は肩をびくりと竦めた。
卑怯だと思う。そんなにも優しい声音で囁かれたら、こんなにも距離を詰めて問われたら、嫌だなどと言えるわけがない。
「…紅が、落ちる、から…」
嫌じゃないとは、言わない。言えない。素直に言ってなんかやりたくない。
「じゃ、尚更暴れるな。手元が狂うだろ?」
俺は、多少狂っても良いけどな。皮肉っぽく付け加えられたのが悔しくて、上目遣いに市松を睨む。余裕たっぷりの視線と余裕の欠片もない視線がぶつかって、絡み合った。
爪の背で、頬を撫でられる。くすぐったいのか気持ち良いのか恥ずかしいのか、自分でももう、よく分からない。
軽く息を吸い込んで、それを止める。瞳をぎゅっと伏せると、意を決して菊音は顔を上げた。
白衣と黒衣を伝わる体温、耳に心地良い低い声、屈託のない笑顔。何もかもが、腹立たしい。腹立たしくて、そして──
「紅が落ちるようなやつは…夜に、な」
どこか淫猥な口調で囁かれて、思わず目を見開いた瞬間。
そっと、唇が重ねられた。
119 :
113:04/07/13 14:17 ID:2leawJu+
ごめん…
改行エラー出まくったんで、エロパロ板ガイドとか見てきてました。
もしかして待っててくださったのかしら、>114さん、ごめんなさい。
天鏡湖に沈んで逝ってきます。
>>119 誤爆から飛んできました(w
原作知らないけど、雰囲気あって上手いと思います。
ほのエロ的でいいと思った。
121 :
名無しさん@ピンキー:04/07/13 15:08 ID:vW37fDbj
同じく誤爆から飛んで来た。気を付けなきゃね。
でも、作品巧いから逝くな。ガンガレ
ごめんなさい。ageちゃいました。俺が天鏡湖に沈んで逝ってきます。
>113
美人というやり取りの時の二人が、いかにもらしくて良かったです。
菊ちゃんも凄く可愛いし、おつまみどころか、深ぁく堪能させてもらいました。
乙です!
(;´Д`)ハァハァ/lァ/lァ/ヽァ/ヽァ ノ \ア ノ \ア
(;´Д`)ハァハァ/lァ/lァ/ヽァ/ヽァ ノ \ア ノ \ア
・・・ぶっ(鼻血)
言う事ありません。ありがとうです。
市菊祭り!!市菊祭り!!(大興奮)
33様もお待ちしとりまする!!!
キタァァァ(゚∀゚)ァ( ゚∀)ァ( ゚)ァ( )ァ(` )ハァ(Д`)ハァ(;´Д`)ハァハァ
・・・たらー(はなぢ)
アリガトウアリガトウ!私の脳内で市菊がコミック化して台詞をまわして
おります。「うん、やっぱ美人だ。すっげえ綺麗」も、萌え死に〜!
小物の描写も(・∀・)イイ!! 文章もんまい!おながい、また来て!んで、
菊ちゃんがプロポーズに頷いた場面を披露してくで。エロなくていいから。
120ですが、ちと原作ぐぐてみました。
原作自体というよりも書かれている田村先生のアマ時代?作品は何度か読んだ経験があるのを思い出し。
絵に華やかなイメージのある方なので、>113の書かれた作品も原作のイメージが十分に感じられました。
着物描写の巧みさと文章展開の上手さ、セリフの萌え度もかなり高レベルだと思います。
━━━ヽ(ヽ(゚ヽ(゚∀ヽ(゚∀゚ヽ(゚∀゚)ノ゚∀゚)ノ∀゚)ノ゚)ノ)ノ━━━!!!!
・・・・・グッジョブです!
寝る前に覗いたら神キテルー!
菊ちゃんかわええー!!!
お市さんもかっこええー!!!!
gjgjgjgj−!凄くイイ!
市菊いいよ!スゲーいい!
ところで、蝉ナツ細々と書いてるんだけど、需要はあるかね?
>129
ノシ クレ!他のカポーもあればクレ!
>130
おぉ!お返事ありがトン。
では書き上げ次第投下します。
132 :
33:04/07/15 02:21 ID:pHhwqwwB
市菊キタ━━━(゜∀゜)━━━!!!
>>113さん、ウマー(゜Д゜)
目茶苦茶萌えますた!
>>129さん、蝉ナツ期待してます!
自分の方、上がりましたが、菊ちゃんが色っぽくなりませんでした……
激しくスマソ_| ̄|○
133 :
33:04/07/15 02:23 ID:pHhwqwwB
ようやく春になったとは言っても、雪はまだそこかしこにしっかりと堆積している。
その雪が夕日を受けて赤橙に染まる紫黒の大路を、市松は愛馬のトープを自分の屋敷に向けて走らせていた。
紫の上が関東に行くための護衛を二ヶ月勤めた市松は、今日、ほんの今しがた帰郷した。
菊音の待つ屋敷に帰るのはのは二ヶ月ぶりだ。
正式に婚約して以来、菊音は市松の屋敷に住んでおり、普段は紫御殿の近くの孤児院で子供たちの面倒を見ている。
生来の子供好きと、発明好きが役に立っているらしい。
だが、おかげでこの二ヶ月は離れ離れだった。
紫御殿に紫の上を送り届けるやいなや、市松は市松同様、旅の疲れが残るトープを飛ばしてきたという訳である。
屋敷の屋根が見えてくる。
菊音はきっと、また何か新しい物を発明していて、それを見せてくれるに違いない。
いや、もしかしたら、案外自分が居ない間に料理の練習でもしていて、手料理を食べさせてくれるかもしれない。
そんな事を考えていたら、トープの俊足さえ遅く感じられてきた。
ようやく屋敷に着くと、市松は門をくぐるかくぐらないかのところで転げるようにトープから降りた。
玄関には向かわず、緩む顔をそのままに庭を回って直接菊音の部屋へ向かおうと、一歩大きく踏み出した。
その瞬間、
「あっ!トープ!」
不意に後ろで声がした。
思わず前につんのめりそうになるのをどうにか堪えて、後ろを向くと、想い人の菊音はあろうことか、自分より先にトープの首に抱きついていた。
ほんの一瞬、不満を覚えはしたものの、無邪気な笑顔で、お疲れ様、と言いながらトープの首を撫でる仕草に、市松の不満はすぐさまどこかへ消え去った。
「菊音ーっ!俺も帰ったぞ!」
腕を広げて走り寄ると菊音はすかさず一歩下がってから、
「お市さんもお帰りなさい」
と、少し視線を外して言った。
腕が空ぶってしまったのは残念だが、菊音の頬は僅かに染まっていたから、市松はそれで満足した。
134 :
33:04/07/15 02:25 ID:pHhwqwwB
それでもついつい、菊音にあれこれ求めてしまう。
「菊音。お帰りのチューは?」
顎を突き出し、自分の唇を指す市松。
「っはあ?そんなものありませんー」
「えー。いいじゃんかー。愛しの旦那様が半年振りで帰ってきたんだぞ?」
「半年じゃないでしょ。二ヶ月。
だいたい、誰が旦那様なのっ!まだ結婚してないでしょっ!」
毎度繰り返されるやり取りがたまらなく嬉しくて、市松は更に身を乗り出した。
「菊音には二ヶ月でも俺には半年。いや百年ぐらいの時間だったんだからさー。
いいだろ?チューしよ、チュー」
「ちゅうちゅうって、ネズミみたいに……もう、恥ずかしいなっ」
ふくれっ面を作りながらも、いっそう赤く染まる頬を見ているだけで胸が何かに満たされていく。
すぐ目の前に居るのだから、いくら相手が身軽な菊音とは言え、すばやく手を廻せば、簡単に抱きしめられる。
抱きしめて、自分からキスをしてしまえばいいと思う反面、菊音からしてほしいと思ってしまう。
どうにか言いくるめて、そういう方向にもって行けばいいのかもしれないが、市松は駆け引きなんてものは知らない。
戦でも色恋沙汰でも、飛騨の市松はいつでもただ押すだけである。
市松は再度、
「菊音。お帰りのチュー」
と唇を突き出してみた。
菊音は赤いままの顔で俯いて、視線を足元に泳がせ、それから、あたりを見回してからほんの少し背伸びをして来た。
菊音の唇が、自分の唇にほんの一瞬触れて、そして去っていった。
顔の筋肉が溶けるかと思うほどに緩む。
菊音にそのままの顔を向けると、菊音は小さな声で、お帰りなさい、と言った。
そして、言うやいなや市松の横をすり抜けて自分の部屋へと向かって走り出した。
「菊音!今日の夜は酒飲もうな」
小さな後姿に声をかけると、菊音は背を向けたまま右手を上げて小さく手を振り、部屋のある方へと曲がって行った。
姿が見えなくなってなお、しばらくの間市松はそこに立っていたけれど、表情筋が再活動を始めると市松は、
「お疲れさん、走ってくれてありがとな。今日はお前も休め」
そう言って、トープを撫で、厩へと引いていった。
135 :
33:04/07/15 02:26 ID:pHhwqwwB
――夜。
二人の周りには数えるのが面倒になるほどのお銚子が転がっていた。
「それでねー。銃って言うのを見た時にー、あれと同じもの作るのは無理だけどー、似たのならーって、思ってねー」
空の拳銃型水鉄砲の引き金を引きながら、菊音がそれを作ったときの事を呂律の怪しい口調でしゃべっている。
酒のせいか息遣いも少しおかしい。
水鉄砲についての何度目かの講釈を終えると、菊音はそれをぽいと放り、箸を手にした。
何かつまもうと思ったらしく、卓を眺めたが皿は皆、とっくの昔に空になっていたから、菊音は仕方なく空の箸をゆっくりとした動作で口元に運び、口寂しいのか箸を噛んだ。
酒のせいで溶けた目の周りがほんのりと赤く染まっている。
箸を咥えた唇が時折小さくちゅ、と音を立て、市松は身体がうずくのを感じ始めていた。
「菊音、まだ何か食うか?」
「え?……ああ」
菊音は呼びかけに顔を上げ、しばらく市松の顔をじっと見てから、俯いて口を尖らせ、要らない、と言った。
「口が寂しいんだろう?」
問いかけに、視線だけがこちらを向く。
誘われている気がするのは、自分が菊音に飢えているせいか、と自問自答していると、菊音が何か決意したように口を開いた。
「お市さん……!」
「どうした?」
「と、隣に行っても、い、いかなっ」
また表情筋がどこかに消えていく。
「おう!もちろん。なんなら、膝の上でもいいぞ!」
市松が膝を叩いて、両腕を大きく広げると、立ち上がりかけていた菊音は、
「えー。膝は、いくらなんでも恥ずかしいよう」
と、言った。
136 :
33:04/07/15 02:27 ID:pHhwqwwB
それでも、傍に来た菊音に市松が、来いよ、と手を差し伸べると、菊音はその手に自分の手を重ねて、お邪魔します、と遠慮がちに膝の上に腰を下ろした。
片腕にすっぽりと納まってしまう華奢な肩を抱き寄せると、菊音は抵抗することなく、頭を左肩に乗せてきた。
繋いだままの手をなんとなく握ったり解いたりするだけなのに、押し倒してしまいたい衝動に駆られる。
その衝動をどうにかやり過ごそうとしていると、顎に菊音の唇が触れた。
「……菊音?」
菊音はゆっくりと、どこかけだるそうに頭を上げ、空いていた手を市松の肩に置いた。
「お市さん……」
酒気を帯びた息が唇に触れる。
「目ぇ、閉じて」
恥ずかしそうに笑ってそう言う菊音に、市松の理性は危うくそのたがを外しそうになった。
しかし、菊音からこんなことを言ってくるなんてことは今までに無かった。
酔った時、いつもと違う色香を纏うことはままあるけれど、それでも誘っていたのはいつも自分の方である。
市松は身体の内側で増幅する興奮を抑え込み、言われたとおりに目を閉じた。
「開けないでね」
「おう」
「……開けちゃダメだよ?」
「うがーっ!!開けないって!」
思わず目を開けて吠えると、菊音が目の前でじっとこちらを見ていた。
珍しくこちらを直視するその表情にもどきりとする。
これ以上耐えるのは正直、かなり難しい。
それを菊音に悟られないように、市松は咳払いを一つして、改めて目を閉じた。
137 :
33:04/07/15 02:28 ID:pHhwqwwB
「おかえり、お市さん」
菊音はそう言うと、唇を押し付けてきた。
先ほどとは違って、きちんとしっかり触れてくる。
触れていた鼻先が一度離れ、唇も少し遠ざかった。
けれど、すぐにまた、今度は傾斜をつけて唇が塞がれた。
唇の隙間が消えて、繋いでいた手が強く握られる。
腕の中の身体が熱い。
いや、熱いのは自分かもしれなかったけれど、市松にはもう区別がつかなくなってきていた。
口の中で舌を大人しくさせておくのが困難になってきた。
抱いていた肩をそっと引くと、菊音は促されたとおりに顔を引いた。
ふ……とこぼされた小さな息が火照った口元を冷やす。
薄く目を開くと、菊音と目が合った。
いつもなら、すぐに伏せてしまうその視線を今日は伏せない。
潤んだ目で微笑むと、菊音はまた顔を自分から寄せてきた。
遠慮がちな舌使いが唇を嬲ってくる。
ほんの少しの動作だというのに、それ以上されたらおかしくなりそうで、市松はその舌を唇で捕らえた。
「んーっ!」
菊音が抗議の声を上げたけれど、それには応じず、そのまま菊音の口を塞ぐ。
触れ合う舌先が甘くて、市松はしばらく菊音の舌と唇を味わうことに没頭した。
ゆっくりと互いに唇を食んでは舐め、吸っては離しとするうちに、肩に置かれた菊音の手が、きつく寝巻きを握り締めてくるようになった。
焦れているのだろうか。
それともただ、空気を欲しているだけなのだろうか。
いずれにしても、市松に菊音を開放してやろうという気は起こらず、市松は繋いでいた手を菊音の腕へと登らせていった。
138 :
33:04/07/15 02:28 ID:pHhwqwwB
市松の手が二の腕にたどり着くと、菊音は小さく、おそらく無意識に肩を竦めた。
かまわずに手を身体へと移し、パジャマの上から胸を探る。
指先に微かに触れた突起を手がかりにして、その周囲を幾度か指で柔らかく押してやり、それにつれて顕著になってきたその先端を指で擦る。
「んっ……ん、う……」
市松が指を動かすたびに菊音は小さく声を漏らし、絡み合っている舌がぴくりと跳ねた。
その声がもどかしそうに、焦れているように聞こえて、市松は親指と中指できゅ、とそれを挟み込んだ。
「っ!ふ、あっ!」
不意に菊音の顔が離れ、二人の唇の間に溜まっていた唾液が堰を無くして、市松の顎へと落ちた。
「あっ……あ、ごめんね」
飲んで酔うのはいつものことだが、今日はやはり何か違う。
菊音は口を近づけてきて、その雫をちゅ、と吸った。
そしてそのまま、おずおずとしたふうではあるけれど、自分から唇を寄せてきた。
いつもよりちょっと積極的な菊音を堪能したい。
そう思うのに、身体が急かしてそうさせてくれない。
市松は軽い口付けを返すと、パジャマの裾を捲りあげた。
139 :
33:04/07/15 02:29 ID:pHhwqwwB
「えっ!あ……」
市松の手に簡単に納まってしまう、乳房と呼ぶにはあまりにも緩すぎる傾斜と淡い桃色の乳頭が顔を出し、朱が菊音を耳まで染めた。
きつく目を閉じてしまった菊音の鼻の頭に一つキスをして、市松は顔を身体の方へと移した。
舌でそっとその先端を撫でてやる。
「くっ……ふ、はッ」
声を抑え込んでいるせいで荒くなった菊音の息が耳にかかり、市松をさらに高めていく。
舌を押し返してくるようになったそれを唇で捕らえると、菊音が頭にしがみついてきた。
目の前の胸が荒く上下している。
そろそろ……と思い、パジャマを手放すと、それは目の前に落ちてきた。
さすがに鬱陶しい。
「菊音、ちょっと、放せ」
「……へ?な、なに?」
「頭だ、頭。ちょっと放せ」
「あ、うん」
市松の言葉をようやく理解した菊音は市松から腕を解いたが、その腕ですぐに胸元を隠してしまった。
「その手も」
「えぇ……だって、恥ずかしいよう」
消えそうな声で訴えられたが、なだめてやる余裕はもう無くて、市松はパジャマを引っ張った。
「おっ!おいち、さんっ!」
「すまん、菊音」
「え?あ、ちょっと、たんっ……」
140 :
33:04/07/15 02:30 ID:pHhwqwwB
市松は剥ぎ取るように菊音からそれを脱がすと、そのまま座布団の上に押し倒した。
菊音は両腕で胸を隠し、真っ赤な顔を背けている。
何か言いたかったけれど、言葉が上手く出てこなくて、何も言わないまま市松が菊音の腰に手を置くと、菊音はほんの少しだけ腰を浮かせた。
堪えきれずに、下着も一緒に引き下ろすと、菊音が慌てて身体を起こした。
「あっ!うそ、やっ!」
とっさに身体を隠そう捩られた腹から尻のラインが、意図せずに市松を誘う。
「……菊音があんまり色っぽいから、ついな」
菊音の両脇に手をついて市松がそう言うと、菊音は口を尖らせた。
「お市さん、すけべよ」
「バーカ、惚れた女の身体に欲情しない男が居るかよ」
市松が同じように口を尖らせると、少し不服そうだった菊音はその言葉に僅かに俯いた。
俯いたけれど、菊音は両腕を遠慮がちに市松の首へと伸ばしてきた。
菊音の身体は見えなくなってしまったけれど、首に絡められた腕と頬に押し当てられた唇が愛おしくて愛おしくて、市松は片腕で菊音を抱いて、再度座布団の上に菊音を寝かせた。
再び唇を重ねてから、市松は菊音の身体に手を置き、脇から腰へと滑り降りていくと、手の下の脚に力が入るのが感じられたけれど、菊音は脚を閉じずにいてくれた。
その間に手を入れる。
指先にぬるりとした感触が伝わってきた。
その流れに誘われて指を進めていく。
「あっ!……ふうぅ」
周りの肌にも刺激を加えながら中指の先を身体の中心へと差し込むと、菊音の唇が離れた。
141 :
33:04/07/15 02:31 ID:pHhwqwwB
市松の肩にすがりつき、眉根を寄せて声を殺そうと唇を噛んでいる。
顎に口付け、指では入り口をくすぐる。
指をもう一関節沈め、鎖骨に鼻っ面をすり寄せて、そのすぐ下の柔らかい肉を吸う。
「んッ!」
「すまん、痛かったか?」
菊音の声に市松が慌てると、菊音は小さく数度、顔を横に振った。
「へ、平気だよ……」
謝罪の意を篭め、今しがた自分がつけた跡に口付けて、市松はまた唇を下へと移していった。
乳房を通り過ぎ、鳩尾を経て舌先でへそを擽る。
寝巻きの肩を握り締めていた菊音の手が、市松の頭に添えられ、髪に指が絡みついてきた。
それにつれて菊音のこぼす息も荒く、切なくなっていき、市松の唇の下では菊音の腹がひくひくと震えた。
顔が手と同じ位置まで来たところで、市松はそれまで微かに動かしていた指を更に奥まで進めた。
「はっ!あううっ……!」
声と同時に指が締め付けられ、熱い雫がとろりと手の甲まで流れてきた。
「ふ、……ん、んんっ!」
自分の指と菊音の身体の境に舌を這わせ、その奥を押すたびに菊音はびくびくと身体を震わせる。
かみ殺した声が市松の耳を打ち、市松は耐え切れず菊音から指を引き抜いた。
菊音が詰めていた息を短く吐き出した。
「菊音、もういいな?」
市松が顔を上げて問うと、菊音は目尻に涙を滲ませて、こくりと頷いた。
142 :
33:04/07/15 02:32 ID:pHhwqwwB
寝巻きの帯も解かず、そのまま菊音の上に身体を移すと、菊音の手が襟元にかかった。
「お市さん……ずるいー……」
口を尖らせてそう言いながら、市松が寝巻きにしている浴衣の胸元を引く。
「菊音も意外とすけべじゃん」
思わず笑ってそう言うと、お市さんは女心が分かってないのよ、と言われてしまった。
けれど、否定は出来ない。
帯を解きながら舌を出して誤魔化すと、菊音は、
「でもいいの。お市さんだから」
と、また首に手を伸ばしてきた。
上体を菊音に預け、身体の中心を合わせる。
「いいな?」
もう一度尋ね、菊音が同意したのを確認すると、市松は菊音の中にゆっくりと己を沈めていった。
「ん……く、ふっ」
汗ばんだ肌と肌がぴたりと重なり、菊音が首にしがみついてきた。
それに合わせるように、身体の芯も締め付けられる。
耐え難い快感に市松は自分を抑えることが出来ず、すぐさま身体を揺らし始めた。
繋がった箇所から、濡れた音が響いてくる。
「あっ!は……ぁうっ!」
菊音が寝巻きの背を握り締めているのが分かる。
別々に過ごしていた二ヶ月間の言いようのない想いが今更のように首をもたげてきて、市松はそれをかき消すように動きを荒くしていった。
「菊音……ッ」
「お……いち、さっ……あ、んぅッ!」
目の前にある赤い顔が、顰められた眉が愛しくて思わず名を呼ぶと、菊音は答えてくれた。
喘ぎながら自分の名を呼んでくれる。
もはや自分を制御できず、市松は菊音の身体を抱きしめ、喉元に食いつき、ひたすら攻め続けた。
「ひぁあッ!……あんっ!ふ、うッ!」
菊音も小さな身体で市松にしがみつき、市松の動きに合わせて噛み殺す余裕のなくなった嬌声を上げ、蠢く肉壁が市松に絡み付き、きつく締め付ける。
華奢な身体全てで抱きしめられ、市松は菊音の中で果てた。
143 :
33:04/07/15 02:34 ID:pHhwqwwB
市松は菊音の荒い息遣いを耳にして、慌てて身体を起こした。
意識が途切れていたのはほんの僅かの時間だったらしく、菊音はまだ小さな胸を喘がせていた。
菊音の真隣に横たわり、袖を通したままになっていた浴衣を菊音にかけてやると、菊音の細い身体はすっぽりとそれで覆うことができた。
菊音の顔は上気した顔をしばらく眺めていると、菊音が目を開けた。
「よ。だいじょぶか?」
その問いを聞いてから少しの間、菊音はぼうっとした顔で市松を見ていたが、何を言われているのか認識すると、菊音は市松の寝巻きで顔を半分ほど隠して小さく頷いた。
酔いがだいぶ醒めたのか、先ほどまでの大胆さはなくなっている。
「寒くないか?」
首が横に動く。
それを見てから、市松は菊音の頭を撫で、ふと思いついたことを口にした。
「なーなー、菊音もさー、寝るとき浴衣にしろよ」
疑問符の浮かんだ目がこちらを見てくる。
「その方がすぐに脱がせられるじゃん」
市松がそう言うと、菊音は落ち着き始めていた顔をまた赤くして、
「お市さんのすけべっ!」
と、こちらに背を向けた。
上半身を起こして顔を覗き込む。
「いいじゃん、いいじゃん。お互い楽だしさ」
「しーらーなーいー」
「ちぇー」
「せっかく、帰ってきたのに、そんな事ばっかり」
菊音の頬がぷくっと膨れ、市松はその言葉に胸の辺りがくすぐったくなって、更に身を乗り出した。
「えっ!なになに?なんだー。菊音も俺に会いたかったんじゃーん」
こちらに背が向いているのをいい事に、その頬にちゅ、と軽いキスをすると、菊音はその頬に手を当てて、小さな声で、それでも市松の耳に届くように、
「もー。好きな人に二ヶ月も会わないでいて、寂しくない女の子がいる訳ないでしょ」
と、言って頭まで市松の浴衣に潜り込んだ。
(了)
うわぁぁぁ…寝る前に覗いて良かった……
GJ!グッジョブですーーー。ハァハァ…!
2人ともかわいすぎや……!!今夜はいい夢見れそうだ。
33様、また期待してますので、是非!!是非っ!!
うっうっうっ・・・・゚・(ノД`)・゚・感涙・・・。GJです・・・うっうっうっ
もうね、幸せの絶頂ですじゃ。菊ちゃんカワエエし、お市さん
優しいし。やっぱりこの2人最高〜!萌え死にしますた。
ありがとうございます、33さん!またおながいしまつ!
97=105です。
うわー、萌え萌えです。
二人の掛け合いが最高だし、菊ちゃん可愛いし、
お市さんの無骨さもいいし、もうもうもうっ!(落ち着け)
いいものを読ませてもらいました。33さん、ありがとう。
市菊またキテルー!!!
(*・∀・)イイヨイイヨー!
萌!
萌!
萌!
もぉ―――――――えぇ―――――――――っ!!!!!!!!!
やばい。
寝れないかもw
149 :
113:04/07/16 06:38 ID:ujlSd27S
レス下さった方、ありがとうございます。
こんなにたくさん頂けるとは思ってなかったので、嬉しがりながらもちょっとオタオタ。
まさか原作未読の方からも頂けるとは。これを機会に是非ご一読を(回し者)。
>>33=
>>132 も、ももも、萌え…っ(*´Д`) ハァハァ
菊ちゃんがほのかに積極的で可愛いです。
「おかえり」のチューということは、当然、「行って来ます」のチューもしたんですねw
ところで。
素で「誤爆って何? もしかして私、どこぞで晒されてる?」と不安になってました。
エロパロ板ガイドを探すときにあちこちのスレ開けまくって、やってしまったようです。
今の今まで誤爆に気付いてなかったよ… 自分で発見して、悲鳴上げました。死ね私。
ヨリニヨッテアノスレニゴヴァーク… ○| ̄|_
>>149 そんなあなたに(・∀・)萌えw
>>33 しっとりエロのなかに萌え要素てんこ盛りでよかったです。
情緒があって良いなあと(・∀・)イイ
誤爆スレからきましたけど、ちょっと原作読んでみようかと思います。
本スレにいる秋チームハァハァタンは、こっちにきて何か書けばいいとおもたw
152 :
33:04/07/17 23:27 ID:2K0IhVIf
レス下さった方々ありがとうございます。
また機会があったら何か書かせてくださいませ。
こんばんは。
さて柿人×銀子を投下しますが、外伝で銀子が柿人を
追い出したところからのIFもしも的話になっています。
154 :
153:04/07/19 02:08 ID:rXPFYVZH
去っていく背を見る内に、私は笑う声を止めた。
何をしているのだろう?柿人への求めを平然と踏みつけられた。去れと命じたから、平然と去られている。
憎い、憎い、憎い。私がどんな仕打ちをしても受け止め続ける。何を命じてもその通りにする。それでいて、私がずっと望んでいる事はいつも叶えようとしない。
その裏に嫌悪や侮蔑があれば私も同じものを返せるのに、ただ側に居続けるだけの男だ。
その男に、自分が思っている通りの事を与えられずにいる、私は。
このまま感情を全て閉じ込めて、本当に言いたい事を忘れてしまって、何も言えなくなるのか。
それはいや。
閉じていく扉の方へ手を伸ばしたけれど、届くはずもない。それでも腕を伸ばして、布の端を掴んで、そちらへ体を引きずっていく。脚が動かないのも忘れてそうしてしまった事に気付いた時、体が宙に放られ、床に転げ落ちた。
「何をなさっているのです……!」
痛い。顔から落ちなかった事は幸いだった、でも進まないといけない。そう思って這い進もうと床に手をあてていると、まだ聞くはずのない扉の音に続いて、ここにあるはずのない腕が頭上から抱えて、体を起こそうとしてくる。
温かなその腕と戻ってきたその匂いに、気付けば腕を回してしがみついた。私とは違う、動き、歩く事の出来る、しっかりと肉のある両脚だ。
しようと思えば、この男は自分で歩いて、私から永久に離れる事が出来るのに、必ず戻ってきた。何度も、何度でも、私が何を言おうと、帰ってくる。これからもきっとこの脚で帰ってくる。
いつか、倒れてしまわぬ限りは。
考えは一度浮かび上がってくると、まさに今、それが現実になったかのように恐ろしさで体を震わせた。柿人は動かない。その脚に傷つける為でなく、爪を立てた。そうでもしなければ、また自分が笑い出してしまいそうだった。
「愚か者がどこかへ行こうとしているから、それを引き止めたのよ」
しがみつく力を強める。
そうすれば、この男が倒れて起き上がるのを、私がいつまでも待つ幻を見ないで済む。
「どこかへ行ってしまうなんて、私は許さないわ……」
男が勝手に決めている事だ。倒れるまでのほんの一時を、私が言うままに生きる。そして永久に、去る。
155 :
153:04/07/19 02:08 ID:rXPFYVZH
分かっているのだろうか。その時、私には何も残されていない事になる。私は今も何もないのに、そう思う。
今度は傷つける為にさらに爪を立てて、離す。
「寝かせて」
言うと抱えようとする姿が目に入る事になる。柿人の抱え上げ方がもっとも心地よい。私の体は揺らぐ事のない確かな腕と、表情を澱の下に沈めた眼差しの中で元通りに寝かされる。身体に異常のない事を確かめようとした手の袖を掴む。
私のどこにそのような力があったのだろう。むしった服は、遠くに放り捨てた。後には柿人の体が残る。
もう機能を果たさない事は、見ただけでは分からなかった。けれど医師でもある柿人が言うからには、嘘ではないのだろう。
「もっと、傷をつける気になったわ」
まだ掴んでいた腕を引くままに側へ寄ってきたので、腰に手を回し、口をつける事は容易かった。
かつてそうしたように、ゆっくりと舐めた。味はよく分からない。でも、これも傷だ。
「このような事をしては」
柿人の声は欲情とはほど遠く、沈んだままでいる。
「黙って」
かつて手にこうした時と同じだとは、言わないままにした。
柔らかい。男の体がこんなに柔らかくなるとは知らなかった。私にとって男とは、恐ろしくて強くて、爪を立てる事でしか私には抵抗する術がないものだった。
その中でももっとも恐ろしいと思っていて、先程まで、入ってきて引き裂いてくれれば、私は何もかもを踏みつけられるようになると思っていた箇所は、何の力もない。
体の傷が力を奪ってしまう。それは柿人もだったのか。
口から離すと、唾にまみれたまま元通り垂れ下がる。見ていると、胸の辺りに何かが湧いてきた。
「背を向けて」
言う通り、柿人は背を向けた。
広い背の一面にある火傷の跡に、血の筋が重なっている。私が先程までつけ続けた傷だ。
この傷があるから、この男は私の側から離れない、そう思っていた。
「この傷が治って欲しいとは思わないわ……」
掌をあてて言った。
156 :
153:04/07/19 02:09 ID:rXPFYVZH
問うべきは、何をしているのだろう、ではなかった。
私は、周りを本当に見ていたのだろうか?例えば、この男の傷は?
掌から温かさが伝わってくる。失った人と過去を思い出す。彼らの為に、火傷の痛みを、傷の痛みをこの男が忘れないでいるように、と願った。
それで十分だった。
腕を柿人の肩に回して、背後から抱きついた。
「役立たずだからどうだというの、技だけだから……それが何」
怪物を、私の可愛くも疎ましい浅葱を、迷宮に閉じ込めたと思ってきた。
何の事はない、ここがもう迷宮だ。いつからかは分からない、でも全てがこの奈落の中にある。
すがりつきたくない、私はこの男に夫を殺され、そしてその夫が何を言ってくれたのかもおぼろになってしまった。許したくない。
「おまえであればそれでいいのが分からないの」
去っていかないで。
回していた手に、手が重ねられたのを感じた。
「よろしいのですね、銀子様」
そう言ってやっとこちらを向いた顔に、手で触れた。
「泣いているの?」
「いえ」
その言葉通り、その目から涙をこぼした柿人の姿は一度も見ていない。今もその顔は乾いている。
柿人の手がゆっくりと私の髪に触れ、頬に触れた。頬を指で撫でられて初めて、私は自分がずっと涙を流していたのを知った。
私は。罵られ、蔑まれて奈落に居続けよう。
それでも、この男を失いたくない。
だから、許して。私を。
この男の傷のように、私の体に重くのしかかってくる陰に、心の中で囁いて、そして今だけ消した。
やっと、私は柿人の腕の中にいた。唇が私の髪をまさぐる。柿人の呼吸と背でうごめく掌も感じる。私が大切なだけの存在ではないという印に、耳の後ろから首筋にかけて、跡をつけられていく。
「あ……はぁ……」
あげる声は細く、答えるように跡は肩に降りてきて、腕を滑り伝っていく。
157 :
153:04/07/19 02:11 ID:rXPFYVZH
手を握られて思わずそこへ目を向けた。こんな風に柿人の手を握って来なかった。指の一本一本が、手の形と力とを教えてくれる。握られたまま手首を唇で擦られて、それでもっと触れたくなってしまう。
指を絡ませようとして柿人の手を握ろうとすると、その手は変わらずされるままでいて、こちらの指が固い指と絡み合った時、思いかけず強く握られた。
そうなるのが当然だったかのように、絡みあっている手を引き寄せると、手の甲に唇を持ってきて、軽く触れた。
「……っ」
けれどその直後に私も喉からその下の骨の辺りをくすぐられて、どちらが息を止めたのか分からなくなった。そんなところに骨がある事も、くすぐったいという感覚も忘れていた。
柿人はどうなのだろう。腕や肩を、髪を私が手で撫でさする事が、くすぐったく感じているだろうか。
胸の脇を指の腹で撫でられながら、脇の下に近いところから腹にかけてを蹂躙される。手がもうすぐ脚の間に至るところで、逸れ、膝頭に置かれる。
「柿人……もっと……触れるのよ……」
その体が熱くて、全身を触れられたらどうなるか分からない。
それなのにもうすぐ、というところで指が体を避ける。私が忘れていたぐらい体を熱くしておいて、求めているようには触れず、まれに触れたとしてもすぐに離れる。それで余計に熱くなる。
「早く……ん……」
「まだです」
耳を噛んできておいて、そんな事を言う。
「まだ、足りない」
胸を爪の先で輪郭をなぞられてから、手で胸を包んでくる。
「はぁ!ああ、あ……」
そうしながら、時折、背も何度も撫でられ、引き寄せられる。
髪に差し入れていた指で頭をとらえる。
「は……なら……せめて……吸って……」
引き寄せると、胸を吸われた。意外な形で。
「……あ……」
それは舌遣いも何もなかった。手が背に回されたまま動かない。口に含まれているだけのようなそのやり方は、何かを思い出させた。引き寄せていた髪を撫でる。
158 :
153:04/07/19 02:12 ID:rXPFYVZH
これは怪物ではない。私と同じ、脚の間に虚ろになった存在を抱える男だ。
そしてかつて赤子だった。なら、怪物もいつか。
「もっと、吸って……はああん!」
舌先で転がされ、吸い方も赤子のものではなくなっていく。
手が腹の下を撫で始める。不意に離れて両の腿へ飛ぶ。腿から、隠そうとしているふっくらとした肉付きに少し触れたのに、尻に移って掌で撫でてくる。
「どうして、やめ……て……」
柿人の手に合わせて、いいように自分の体が踊っている。好きなようにされていて、屈辱は感じなかった。体が心に傷を刻みつけるのではない、体と心が溶け合わさっていく気分を、ずっと味わいたかった。
柿人には何の益もないというのに。
胸から顔を離させたところで、どうにか身を曲げて唇を重ねようとする。うまくいかず、軽く擦れるだけに終わる。もう一度身を寄せ、上唇をはさみ、唇の端に触れ、再び擦ってからようやく重なった。
こんな事をしたのは、この男にだけだ。ただ、私が口の中で感じたいと思ったのも、この男だけだ。
「柿人……まだなの……?」
指はまだ体をさまよっている。
焦れる。女は弱いから嫌い。乞わなければ何も手に入らない。でも男の持つ力が好きという事でもない。
「……いや……いやよ……柿人……かき……ひと……お……」
もう、何でも構わない。肩にすがりつくと、柿人の指が、隠れていた先を摘み、分かれ目を弄る。
「ああっ、あ、あああああ!……ああー!」
柿人。
心の中で何度もそう叫ぶ。
柿人は指の戯れを止めようとしない。ぬるみを擦りつけ、音を立てさせる。いつまでも弄られていたかった。でも、それだけではいけない。
腕を掴んで、戯れを止めさせた。柿人の体が覆い被さってきて、私を抱き締めた。私もそれに応える。
「よろしいのですね」
私の目を見て、そう言った。そうして欲しかったなど一言も言わなかったのに、してくれた。
重みを感じるけれど重くない柿人の体が、注意深そうに自分で位置を変え、私の体も位置を変えられる。
体が擦り合わさる。
「あ……」
159 :
153:04/07/19 02:13 ID:rXPFYVZH
「何か、傷めましたか」
余程、呆けた顔をしていたのか、そう声をかけてくる。首を振った。
「違うわ」
怖くない。男の体が頭上にあるのも、体を重ね合わせる事も。
「続けて……ん……はぁん……ああ……」
体が引き裂かれない。擦られ続ける内に、奇妙な感覚がこみ上げてくる。
こみ上げて来るまま、もう一度来ようとするのを感じる中で、それは言葉になった。
「あ!あ……あ、好き、……よ……柿人……」
「許していただけるなら……私もです」
柿人の動きが早くなって、私からまた言葉を奪おうとする。
「やっと聞けた……!」
それだけは、言えた。
風の音が聞こえる。木々の音も。
たったこれだけの事で、奈落が今までとは違って聞こえる。
「……私の望みはあなたに生きてもらう事でした。その為に何をしても構わないと」
私が離そうとしないので、抱き合ったまま、柿人は言葉を口にする。
「ですが、その傲慢をもっとも押しつけてしまったのは、他でもないあなたでした。それにもっと早く気付けば」
「いいのよ。私の願いの一つは今、叶ったもの。遅すぎることはないわ、形は少し変わったかもしれないけれど、同じよ」
その背をさすりながら考える。明日はもう少し、明るい所へ出てみよう。柿人の手を借りなくとも、雨が降ってしまっても、そこへ行く方法を考える事は出来る。私の別の願いを、柿人はきっと叶えないままにするだろうから、考える時間だけは私に残される事になる。
そうして、光の射す所で全てを見回せば、全てが違って見えるかもしれない。
怪物も、赤子になってくれるかもしれない。
「明日、連れていってくれるかしら、外へ」
「……はい。なら、明日は庭へ」
「そうね、庭へ行きましょう」
そして無花果の樹を見よう。
花を咲かさずについた実かもしれない。
けれど地に落ち、闇に沈んだ罪の果実は、やがて芽をふき、未来に連なる樹となる。
終
160 :
153:04/07/19 02:18 ID:rXPFYVZH
以上です。では逃亡します。
柿人×銀子キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!
雰囲気(・∀・)イイ!!
でも、何かが脳内処理されてしまっている感じを受けてしまいました。
次回作期待!
>>153 gjですー。
私はこういうの好きなんだけどな。萌えよりもしっとり系。
もしこの通りの展開になっていたら…
ところで、今日はお市さんの誕生日じゃなかったっけ。マイナス●歳おめでとう。
多聞さん・・・相手が人魚でもいいから読みたい。(´・ω・`)
多聞さんはかなり好きだ。
嫁に行くならこういう人だ。
生活能力は・・・あるようで今一つないけど。
でも、サバイバルには長けてるからくいっぱぐれることはなさそうだよw
166 :
イクラ:04/07/27 23:49 ID:wyC6Yn7A
>76の続き。ようやく終わりです。
猫の舌を思わせる、どこか湿っぽくざらりとした視線だった。視線が身体の上を走るたびに
肌が粟立つ。口を一文字に引き結び表情を出さぬよう努めても、肌に直接現れるそれは隠し
ようがなかった。
獅子王は目を閉じるようにゆったりとまばたきをした後、口の端を吊り上げ悪漢の如くに嗤う。
これくらいにしておいてやろう、タラの耳元に顔を寄せ、聞き取れるかどうかといった小さな声
で言い、獅子王は露にされている部分にふれる。鳥肌立っているためお世辞にも好ましい感触
とは言えなかったが、唇を這わせ、撫ぜていくうちに元のすべらかなさまを取り戻していく。
傲岸不遜な態度を取り続けていた彼にしては恐ろしく丁寧な愛撫だった。
何人かで押さえつけられ、無理矢理身体を開かされた経験しかないタラにとって、獅子王の
行為はある意味不可思議なことであった。そのせいなのか、次第に呼吸も緩やかではあるが
乱れてくる。
獅子王の手が帯を解き、タラの腰から太腿のあたりまでをぴったりと覆っていた黒い布を
ふくらはぎの所まで引きずりおろす。衣の端が身体にかかってはいるが、これで身に纏って
いた物はすべて取り払われた。
タラは抵抗らしい抵抗はしなかった。できなかった、とも言える。原因のわからない動悸に
悩まされ、獅子王のなすがままにされる他なかった。
「そんな顔もできるのか」
驚いたように、嘲るように、獅子王は言う。内太腿に唇をあてがったまま言ったため、言葉は
微妙な振動となってタラの身体に伝わる。
「ぃっ……」
びくり、と誰の目にも明らかなほど痙攣するのを抑えられなかったタラは、上気していた頬を
より染める。表情こそ能面のように硬いが、顔はいっそ憐れなほどに赤い。
「本当に可笑しな女だな」
獅子王は言う。前よりも秘部に顔を近づけ、今度はより意図的に。タラが何に反応を示したのか
見逃す彼ではなかった。
167 :
イクラ:04/07/27 23:51 ID:wyC6Yn7A
この時、タラの内ではっきりとした嫌悪が生まれる。無関心という殻を破り、自ら這い出てきた。
どうしてここまで執拗に辱めを受けなければならないのか。面白い世継ぎが見たいのであれば
早く仕込めばいい。獣の如くに――それは獅子王というひとりの暴君に対する嫌悪ではなく、
自分を組み伏せ嗤っている男に対する嫌悪だった。
同時に、タラは自分に対しても嫌悪をいだいた。この程度のことで感じてしまった自分が
ひどくみじめで情けなかった。いっそこの場でこの男を殺してしまえたらと思う。
だから――タラがすっかりおとなしくなったのだと油断した獅子王が自らも衣服を脱ぎ、
首のあたりが覗いた時――タラは、がぁっ! と狼の唸り声に似た声をあげ、咽喉元に
喰らいついていた。
が、獅子王が右腕で咽喉をかばう方が一瞬早く、タラは腕に噛みついたままの状態で寝台に
強く押しつけられた。ぐりり、と後頭部が擦れ、熱が生じる。
「面白かった、が、冷めたわ」
と言い、獅子王は強引に腕を引き抜く。タラの牙は鋭く、腕には四箇所赤いものが滲んでいた。
獅子王は腕の痕を舐め、服を適当に羽織る。
「そういえば、名をまだ聞いていなかったな」
部屋を出て行く直前、獅子王は立ち止まり、思い出したかのように言った。振り返り、
寝台の上から動かないでいるタラをうながすように見る。
「……タラ」
「たら? 冴えぬ名だな。まあどうでもいいが。
また来るぞ、タラ」
痕を舐めた時についたのか、そう言って笑った獅子王の口は紅を差したかのように赤かった。
獅子王が去った後、タラは唾を吐き、唇と歯を手の甲で拭った。掠れた朱の線が甲に走る。
血の味はいつまでも口の中に残っていた。
〈終〉
キタ Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒(。A。)!!!!
超GJ!!!!ずっと待ってたので嬉しい。
折角綺麗にまとまってるので気が引けるけど…
できればその後も読みたいといってみる
保守
蝉ナツ執筆中と言う
>>129様、遅ればせながら応援しております(,,・д・)
タラ×獅子王良かった〜〜〜〜〜!
漏れも
>>168タン同様この設定での続編キボンヌです。
172 :
イクラ:04/08/06 17:41 ID:iFOlO30D
まず、細切れで読みづらい上に期間が大分あいてしまってすみませんでした。
次からはまとめて投下するようにします。
あと、レスをくださった方どうもありがとうございました。
続編、ちょっと書いてみたいなあと思っていたのでそう言ってもらえると嬉しいです。
いつ頃書き終えるかわかりませんが、出来上がり次第投下します。
やった〜〜〜〜!
イクラさんガンガッテ下さい!!
>>172 間あいちゃってもまとめサイトさんが
作品別に保管してくれてるから大丈夫ですよ〜。
何にしてもGJ!
久々に萌えますた。
スマソ↑ここスレはまだ入ってないらしい…
このスレの書き手さん&ロム住人さん方に質問です。
エロパロ板SS保管庫にログ残っても大丈夫ですか?
かなりレベルの高いss書き手さん多いので
ロム専としては投下時期被ってても作品別にまとめ読みできるので
(もちろん著作権は各作家様に帰属)
非常に便利でありがたいのですが。
>177
大丈夫ですよー。
179 :
33:04/08/16 09:48 ID:gBWwbYJx
自分も構いません
180 :
名無しさん@ピンキー:04/08/18 00:29 ID:mOQD4mLL
よろし
200レス前の時点でログ保存の話が出てるってすごいな。
あ、別に煽りとかそんなじゃなくて、ただの保守なんだけど。
2スレ使っても雑談だけなトコもあるから
200レス前にそこそこの長さの7作品あれば上等じゃない?
183 :
名無しさん@ピンキー:04/08/21 00:29 ID:3iRBydU4
以外と出ない(?)揚羽×更紗(タタラ)がかなり読んでみたいです。どなたか宜しくお願いしますm(_ _)m
多聞さん・・・(´・ω・`)
市松×菊音
>33-37
>115-118
>133-142
太郎×八千代
>43-46
浅葱×更紗
>52-56
獅子王×タラ
>64 >70 >76 >166-167
柿人×銀子
>154-159
パパ×ママ(理由シリーズ)
>80-86
自分用に書き出してみた。
職人さんたちありがとうですと言ってみる私はこのスレの1
保管庫の件はどうするんだい?
ロム専は正直どうでもいいが書き手の返答待ち?
>>186 保管庫はあった方が便利だし
レス番が若いにしてはSSが多いし、かといって自分らで保管庫作るには少ないし
SS保管庫に入れてもらうのが手っ取り早い気がする
ではあちらにお願いしてきます。
五巻の表紙を見て以来蝉ナツ萌えが止まらない〜。
だけど本編がシリアスでエロに結びつかない〜。
困ったものだ。
ほしゅ
台風コワイカキコ
南の人は大変だよね保守カキコ
保守
197 :
33:04/09/06 01:02 ID:ap0ze2ML
皆様が好きなカプって誰×誰ですか?
よければ、参考にさせてください。
横道な好きな自分ですが、今はハヤト×千手という邪道を画策しております。
198 :
33:04/09/06 01:19 ID:ap0ze2ML
横道じゃなくて、王道ですね……
字書き失格_| ̄|○
市松×菊音
聖×嫁(名前失念)
多聞×人魚
市松×菊音いちおし。
いくつ読んでも読み足りねぇ…
浅葱×チビ緑もかわいかったので好きだ。
成長後はさぞ美男美女になったかと。
202 :
33:04/09/07 01:00 ID:U+yJ5AFy
市菊好きな方が多くて嬉しいです。自分も好きなので。
ハヤト千手考えてたんですが、市菊先に書いてしまったので、エロ無しなんですが、投下させてください。
203 :
33:04/09/07 01:02 ID:U+yJ5AFy
いつものように菊音が物作りをしている時だった。
「おーっす、マイスイートハニー菊音ー。遊びに来たぞ!」
複雑な部分の細工に集中していただけに、よく聞きなれた声と口調、そしてセリフに菊音はがくりと脱力させられた。
そんな事などお構いなしに、声の主、市松は作業場兼菊音の部屋へ、どかどかと入ってきた。
「よう、菊音。ん〜?また、なんか作ってんのか?」
真後ろに立ち、肩越しに手元を覗き込んでくる市松の気配に、菊音は鼓動が乱れるのを感じた。
それでも何事も無かったかのように、出来るだけそっけなく、
「そうよ。作業中なんだから、邪魔しないでよ」
と、菊音は応じた。
しかし、市松がそれでそうかと部屋を出て行く訳がない。
「そう言うなよ。せっかく遊びに来てやったんだからさー。いらっしゃいのちゅーでも」
「し・ま・せ・んっ!」
「じゃあ、会えて嬉しいという親愛の情を示す抱擁を」
「しーまーせーんー。……もうちょっとで終わるから、用があるならそこで待ってて」
作業を妨害される事は本意ではないけれど、かと言って、出て行って、と言う気も起こらず、菊音は空いている椅子を手にしていたニッパーで示した。
「ちぇー」
市松は子供のように口を突き出して、しぶしぶといった風にそこに座った。
「あとちょっとだから」
菊音はもう一度そう言って、作業に戻った。
204 :
33:04/09/07 01:02 ID:U+yJ5AFy
市松はしばらくの間黙っていたが、菊音がそれまで使っていた道具をしまい、はけで関節部分などのゴミを払い始めると、口を開いた。
「なー、菊音ー。今日はなに作ってたんだ?」
「義手よ」
「義手?俺はちゃんと両手あるぜ?」
「誰がお市さんの義手だなんて言ったのよ。これは朱里の」
「朱里?赤の王か?」
市松の声質が少し変わった気がしたので顔を上げると、市松は両腕を胸の前で組んで座ったままで、表情は大して変わっていなかった。
けれど、先ほどの口調はどこか怒っていたように聞こえたから、菊音は首を傾げた。
「そうよ?……だって、片手じゃ不便じゃない」
「まあな」
やはりいつもと少し調子が違う。
菊音はもしやと思い、義手を持ったまま、市松の方をきちんと向いてにんまりと笑い、
「お市さん、もしかして……やきもち?」
と尋ねてみた。
205 :
33:04/09/07 01:03 ID:U+yJ5AFy
市松の眉が一瞬ぴくりと上がった。
しかし、今度は市松の方がにまりと笑った。
「なんだ、菊音。妬いてほしかったのか?」
「はっ、はあっ?な、なんでそうなるのっ!」
せっかくたまには自分のペースに乗せてやろうと思ったのに、それが災いしたらしい。
市松は組んだ脚にひじを乗せ、頬杖を付いて、自信たっぷりの笑みを浮かべた。
「だってなぁ……」
「だ、だって何よっ!」
「まあ、たまには俺専用の道具でも作ってみてほしいけど……」
「けど……?」
「菊音は俺との子供を作るという、他の誰にも出来ないこと」
「お市さんのバカーっ!」
バコッ!
菊音の手にあった、義手から拳が飛び、鈍い音と共に市松の額に命中した。
「あたっ!」
「もうっ!なんですぐ、そういうこと言うのっ!」
顔から火が出る、という表現がぴったりなほど、顔が熱くなるのを感じながら、菊音はきりきりと飛び出した拳を巻き戻した。
206 :
33:04/09/07 01:04 ID:U+yJ5AFy
「あつつつつ……そう、怒るなよ」
市松は額をさすりながら、椅子から滑るように降りて菊音の前に膝をついた。
「お市さんてば、そんな事ばっかり」
市松に求められる事が嫌な訳ではないけれど、いつも唐突にしかもダイレクトに言うのだけは勘弁してほしい。
俯いて拳を義手の手首にはめ直している菊音の頭に、市松がそっと手を置いた。
いつもなら、いいじゃーん、と抱きついてきそうなところで、不意に頭に手を乗せられ、菊音は思わずぎゅっと目を瞑って肩をすくめると、額に唇が落ちてきた。
「菊音がその気になったらな」
離れていく唇が告げる言葉に菊音が顔を上げると、市松は菊音の髪を一度梳いて立ち上がった。
「…………」
何か言いたいのに、何を言っていいか分からなくて、ただ市松を見上げていると、市松は親指と人差し指で円を作っていつものように笑った。
「早くその気になれよ。俺はいつでも待ってるからな」
「あ……お、お市さんのすけべっ!」
本当はもっと違うことを言いたい筈なのに、菊音はそうとしか言えずに、笑いながら部屋を出て行く市松の背を見送った。
(了)
うわぁぁ!
こんな夜中になんとなく覗いたら嬉しい事が起きているよ〜!
>33さんいつもありがとほ………!
幸せな気分になりました。GJ!!
33さん、ありがとう!萌えますた。
ドキドキしながら読みました。菊ちゃん、いつも素直になれないけど
そこがまた可愛いですね。お市さんの余裕の態度もたまらん。
エロも良いけどエロ未満も良いな。この2人の場合は特にそう思う。
両腕を広げて待っているお市さんの胸に突進する菊ちゃん、てのが
読みたいな。体格差に激萌え〜。
また書いてください。お待ちしています。
おお、素敵作品が・・・(;´д`)ハァハァ
33さん、ありがとう!
久々に巴読み返しだら、伊織×巴なんて読みたくなっちまった。
もしくは敵同士になる前の上総×巴とかw
市菊またキテルー。
33さん、乙です。良いものを見せて頂きました。萌え。
このカプって、「お市さん」という呼び方が菊ちゃん専用なのが好きだなあ。
(ついでに、「お市」は紫の上専用だと思う)
他の人に使われてムッとするような大人気ないお市さんを妄想してます。ごめん。
ついでに言うと、
「俺は薫って呼ぶで」の聖×薫子も好きだ。
「ナベゾーさん」の天満屋×アイリスも好きだ。
保守しとこう
保守
保管庫もう新作入ってる。
すごいね。
座木茶々キボン
那智と朱理が相撲取るシーンがあるよね。
あそこでふと不安になったんだけど、あの世界の男どもってフンドシなのかな。
いやごめん。ふと思っただけなんだ。聞き流してくれ。
じゃあ女の下着はどうなんだとか、京都ってかなり和服文化だったよなとか
増長さんはオンでも和風だよなとかお市さんはオフは和服だよなとか
そんなことまでは言わないから。ゴメン。ホントごめん。保守しにきただけなんだよ、本当は。
今は反省している。
215 :
名無しさん@ピンキー:04/09/22 21:11:17 ID:+eljMbsd
保守期待age
イクラさん書き終わりましたらぜひ投下を!
楽しみに待ってます〜
216 :
215:04/09/22 21:17:35 ID:+eljMbsd
板が壊れてたのかorz
>210さんと同じく聖×薫子、天満屋×アイリス好きです
だーれもいなくなったのだすbyたもん
いるにはいるが文才がない
おなじく
220 :
33:04/09/28 23:46:47 ID:6UTEQ5rd
保守がてらに短いのを落とします。
「女神が落ちた日」というコミックに載っている、「きねづかん」という短編のパロなんですが、
知ってる方、いらっしゃらなかったらすみません……
ちなみにエロくもなんともありません。
221 :
33:04/09/28 23:49:14 ID:6UTEQ5rd
いつものように公園で、三人仲良く日向ぼっこをしていた時の事だった。
「あんっ……もう。ダメよ、こんな明るいうちから」
後ろの植木の間から艶めいた女の声が聞こえて、三人は同時に後ろを向いた。
「いいじゃねぇか。おまえだって……ホラ、その気じゃねぇかよ」
「……バカ」
三人が同時にゆっくりと正面、砂場の方へと顔を戻すと、その中の一人が、
「聞いてはいたけど、最近の若い人って大胆ねぇ……」
まさか目撃するとは、とため息をついた。
「やあ、俺らの頃なんざそんな事を口にするのもはばかられたってぇのになぁ」
「あら、良ちゃんは女泣かせで通ってたじゃないの」
「昔取ったきねづかだあな。今じゃ、ぎっくり腰でそれどころじゃねぇのさ」
言っている内容のわりに、落ち着きを失わない幼馴染の老女に、年のわりには背の高い老人が鼻に指を入れながら笑って答えた。
「でも、あんなのはダメだね」
今度は、それまで黙って三味線をいじっていたもう一人の老女が口を開く。
「お春ちゃん?」
「あんな誘い方じゃあ、女はその気にならないよ」
「まあなぁ。だが、あんな女じゃ、男も普通はその気にならねぇぜぇ?
少なくとも俺たちが現役の頃、女はもっと恥じらいがあって、そのくせ色っぺえ声を出してたもんだがねぇ」
「さすが女泣かせの良ちゃんねぇ」
丸顔の老女は胸を張って熱く語る老人を見て、楽しそうにくすくすと笑った。
「まったくだね。あの程度の誘いに乗るようじゃ、男も女もたかが知れてるってもんさ」
細身の老女はべいんと三味線を鳴らして言った。
「お春さんも昔は色っぽかったよなあ」
「昔はね」
「良ちゃん。お春ちゃんはね、昔はミス男殺しだったのよ」
「……ほう、そりゃぁ……すごい」
三人の後ろの気配はいつの間にかなくなっていた。
(了)
知ってますよ!
雰囲気出てますね〜。
ほしゅしとくのだすbyたもん
し、渋い!渋いよじっちゃんばっちゃん!
多聞ちゃんには、「ほすすとくのだす」と言ってほしいような。
市松とか紫の上とかは今の地名で言うなら仙台で良いと思うんだけど、
鹿角の人たちはどうなるんだろう。
秋田県の鹿角で良いのかな。でも「多聞の柵」はどう見ても青森県内だし。
秋田県弁と津軽弁はまったく別の言葉らしい(と、秋田出身の母が言っていた)。
とか言いながら、厳密にやられたらかなりイヤだなあ。
仙台弁のお市さんとか、ウチナーグチを遵守する今帰仁・ユウナとか、「〜でごわす」なハヤトとか。
ごめんなさい、揚げ足取ってるみたいだね。>223
???とってるんじゃないの???
まあ、時代が違うんだから、別に今のままでなくてもいいのではなかろうか。
229 :
223:04/10/03 21:37:55 ID:apYASkX7
>>226 うんにゃ、つっとももきにすてないのだす(・∀・)ノシ
多聞ちゃん好きなんだよなあ。並んで釣りしたいんだな。
エロパロには縁がなさそなんだけど、やっぱやるときゃやるのかしら。
あっ!い、イってしまうのだす・・・ッ!
とか?(w
232 :
イクラ:04/10/05 01:42:55 ID:rImyfn9Q
>231
正常の範囲内だと思われます。
むしろいぢめたいと思っあqwせdrftgyふじこlp
全部書き終えてから〜と思ってたのですが遅々として進まないので、
とりあえず書き終わった前半部を投下させていただきます。
残すは後半部だけなので前回より見づらくはならない、はず。
233 :
イクラ:04/10/05 01:45:56 ID:rImyfn9Q
一枚の肖像画があった。幾年を経てきたのかはわからないが、所々色褪せ、かすれている。
描かれているのは一組の男女だった。共に豪奢な衣装を身に纏っている。顔の部分のかすれが
特にひどく表情はわからない。
一組の老夫婦がその肖像画の前に佇んでいる。男の方は足が悪いのか、杖をつき、もう一方の
腕を女の肩にあずけていた。
悪いのは足だけはでない。男の顔には死の影が色濃くあらわれている。
男は懐から小さく折りたたまれた紙を取り出すと女に手渡した。女は渡された紙と男の顔を
交互に見、ゆっくりと紙を開く。
「王家の滅びがお前の望みだったのであろう。好きにするがいい」
かつての自分達が描かれた肖像画を見上げ、かつて獅子王と呼ばれた男はしわがれた声で言う。
女――タラはゆっくりとまばたきをし、紙をたたむ。引き結ばれた口は何かを言う気配はない。
獅子王は視線をタラの方に戻し、口許だけで笑った。
「今まで言ったことはなかったが……」
――愛して、いたよ。
黒檀の机の上には十数枚もの図面が無雑作に散らばっている。王城を描いたものがほとんどだが、
その中のいくつかにはあるはずのない城の地下と仕掛けらしきものが書かれていた。数日前までは
嬉々として進めていた計画であったが今では色褪せてしまっている。城の崩壊などどうでもよくなるほどに
獅子王は懊悩としていた。無表情、と言っていいほど窓から外を眺める横顔には何の感情もない。
しかし身の内では何かが荒れ狂っていた。
正体はわからない。なぜか不快な気はしないが、己の感情がここまで動くものだと知ったこととに
少しおののいてもいる。
原因は思い起こすまでもない。心当たりなど一つしかなかった。器量が良いわけでも髪が美しいわけでも、
ましてや艶かしい身体つきをしているわけでもない。よほどのことがないかぎり目もくれることも
なかったであろうあの女。あれを正妻にしてから何かがおかしかった。いや、もっと正確に言うなれば
一目見た瞬間からおかしい。なにゆえ「妃となれ」と言っていたのか。子を生ませるだけであれば
何も妃である必要はない。妾や侍女であってもかまわないはずだ。
234 :
イクラ:04/10/05 01:48:39 ID:rImyfn9Q
幼少の頃、父によって無理矢理あてがわれた四条の方という貴族の娘が形だけの正室に
納まっていた。だが獅子王はこれを廃し、タラ――白樺離宮に住んでいるため、獅子王以外
には白樺の方と呼ばれた――を正妃にしていた。もちろん反対する者は多数あったが一様に
悲惨な末路を辿り、側近の半分以上の顔ぶれが代わった。側近、と言ってもころころ代わる
ものなので獅子王は名も顔も覚えていないし、これといった感慨もない。
獅子王は目蓋を伏せ、右の腕にしるされた薄桃色の痕に手を当てる。こうするとわずか
ではあるが心が静まった。
心地よく冷たい風が頬を撫ぜ、髪を揺らす。
馬を走らせ、こうして風を受けている時だけタラの気は晴れた。きらびやかなだけな離宮は
どうも性に合わない。あんな所に籠っていると腐り果ててしまう。することなど何一つなくただ
時間だけがある、というのは剣で切りつけられるよりも苦痛だった。止まっていると、洪水の
ように押し寄せてくる思考にさいなまれ、心の痛みが眩暈と頭痛となってあらわれる。たとえ
形の上だけであっても駆けていれば痛みも思考も風に溶けていった。
遠駆けの話を持ち出したのは獅子王の方からだった。毎日毎日鬱々とした顔で外を眺めていた
からかもしれない。従者を二人付ければ、という条件付きで許された。護衛か監視かはわからないが
従者二人どちらも馬の腕は大したことなく、タラが普通に走らせているだけでもすぐに距離がひらく。
今もまた小さな点に見えるほど後方にいる。
タラは仕方なく手綱を引き、二人を待った。以前の彼女であれば、人が隠れるに適した茂みの
近くで立ち止まることなどなかったであろう。
ぶぅんっ、という風を切る音に最初に気付いたのはタラの乗っている馬だった。高くいななき暴れ、
危機を知らせる。だが。タラは左の肩に矢を受け地に落ちるまで、気付くことはなかった。
235 :
イクラ:04/10/05 01:50:39 ID:rImyfn9Q
「――起きたか」
意識を取り戻し、最初にタラの目に入ったのは獅子王の顔だった。声も表情も、
微かに怒気を孕んでいる。
タラはゆっくりとあたりに視線を巡らせる。見覚えのある、しかし慣れることのない華美な内装。
どうやら自分に宛がわれた部屋に運ばれたらしい。
とりあえず上体を起こそうと手をつこうとするがなぜか右の手が動かない。不思議に思い右方に
目をやると手はそこになく、かたわらに座る獅子王の合わせた手の中にあった。
タラは何か言いたげな視線を包まれた手にそそぐが獅子王に気付く気配はない。
「何だこのザマは」
タラが何かを言う前に獅子王は怒声を浴びせる。
「俺を殺すことも、王家に禍を残すこともなく死ぬつもりであったか」
ぎゅうと音がするほど強く、獅子王はさらに手を握り締めた。一体どれほどの時間そうしていたのか、
骨ばった手は白蝋のように色をなくしている。
「好きで怪我したわけじゃない」
「ならばもっと早く目を覚ませ。二日も眠りおって」
言われてようやく、タラはあれからかなりの時が過ぎていたことに気付く。気を失った時と
まわりの明るさが同じだったので今までまったく気付かなかった。
「……じゃあ、その間、ずっとここに?」
タラの問いかけに獅子王はわずかに視線をそらし、
「昔、熱が出た時など乳母によくこうしてもらった。こうすると、早く良くなる」
と呟くように言い、手を握りなおす。重なった手はそれ自体が熱を発しているかのように
ひどく熱かった。
236 :
イクラ:04/10/05 01:51:44 ID:rImyfn9Q
「タラ」
名を呼ばれ、タラは心臓をぎゅうとつかまれたような感覚を覚える。自分のことを「タラ」と
呼ぶのは、今となっては獅子王しかおらず、また、あまり頻繁に呼ばれるわけでもない。
そのせいなのか、呼ばれると心がゆれ動いた。
「俺よりも先に死ぬことは、許さぬ」
生まれながらにして人ではなく王であった彼は、労わりの言葉を持たない。今までそうする
必要などなかったから。命ずるだけですべてが済んだ。命ずることしか知らなかった。
獅子王は誓約のごとくに静かなくちづけをする。タラはそれが自然であるかのように
受け入れていた。互いの唇は二日という時により渇いていたが重なり合うことによって
すぐに馴染んだ。
「……おとなしいな」
微かに濡れた唇が離れ、その片方が言葉を紡ぐ。
「また噛みつかれると思ったのだがな」
口の両端が吊り上がり笑みを形づくる。瞳には、猫科動物特有のいたずらっぽい光が
宿っている。
嫌な予感にタラは眉をひそめ心持ち後退するが、それですでに覆い被さってきている
獅子王がどうとなるものでもない。押しとどめるように手を突き出してみるがこれもまた
意味をなさなかった。
「肩に傷が……」
「二日も眠っていたのだ。治っていないはずがない」
――何なら俺が確かめてやろう。
この状況下では何を言おうと逆効果になるらしい。獅子王はくつくつと笑い、タラの服に
手をかけた。
237 :
名無しさん@ピンキー:04/10/05 15:50:20 ID:Lj5Xj0/H
>>233 イクラさんありがとう〜〜〜!!
いやいいですね。
過去回想から始まるのも個人的好みではありましたが
獅子王タラに惚れてる…。惚れてますよ。
後半期待しまくってますよ!!
過去回想から入ってるんですね。
この後のエチ展開楽しみに待ってます。
エロ〜いのが読みたい・・・
期待しながら保守。
4日に1レス、これ応用。
亀レスですが
まさか浅葱×更紗が読めるとは・・・感激でした。
また、いつか、ぜひ!
3日に1レス、これ基本。
_| ̄|○
一秒差とはすごいね
強く生きてください
「群竹、手紙は?」
洗濯をしている群竹のところに浅葱がひょいと顔を出した。
「ああ、浅葱さま。今日はまだ、郵便屋が来ていないんですよ」
「今日は、って・・・昨日も一昨日も、先週からずっと、手紙、来てないじゃないか」
口を尖らし、不機嫌になる浅葱に群竹はふっと笑みをこぼす。
「タタラからの手紙をお待ちで?」
「何を馬鹿な事、言ってるんだよ。手紙は、って聞いただけだろ」
ふん、と背を向け、浅葱が部屋を出て行く。
群竹はその背を見ながら、目を細める。
タタラが日本を離れてもう10年になるだろうか。その間、日本は混乱し、戦は以前と変わ
らず絶えなかった。今は熊野を後ろ盾に隼が中心に立ち、ようやく混乱は治められようと
している。王族の男子はただ二人残して全て死に絶えた。外の国へと旅立った赤の王朱理と、蒼の王浅葱。
外国にいる朱理は勿論のこと、浅葱もまた政治の世界から離れ、今は田舎で作陶に勤しみ、
静かに暮らしている。タタラの手はずで浅葱の茶碗が海外へと紹介されたのはつい最近の
事。美しい藍色と緑色の陶器は海外で評判になり、浅葱の名は海外の風流人の間でじわじ
わと広がっている。タタラの手紙は頻繁に届くようになり、浅葱はそれを何より楽しみに
しているように見える。自分の陶器が評判になった事よりも、浅葱にとっては陶器のこと
で頻繁に届くようになったタタラからの便りの方が嬉しいようだ。
「まだ、浅葱さまのお心にはタタラがおられるのですね・・・」
群竹はそっと溜息をつく。
「ねぇ、群竹ってば!」
急に声を掛けられ、群竹はばさばさと洗濯ものを落とす。
「ミドリ!びっくりしましたよ、そのような大声で」
「ごめん、ごめん。だって何回も呼んだのに気付かないんだもの、群竹ってば」
首を傾げて、にっこりと微笑む少女はミドリ。迷子だったのか、捨てられたのか、浅葱が
育てた―――――勿論、群竹も一緒に育てたのだが―――――少女もようやく13歳。すく
すくと育ち、すらりと伸びた手足が美しい。薄茶色の髪は成長するにつれ、黒々とつやや
かになり、その漆黒の瞳と合わせてこのまま成長すればさぞや美しくなるだろう、と思わ
せる。性格は二人のどちらにも似ず、素直で明るく邪気がない。
「群竹ってば、また一人で洗濯なんてして。私が手伝う、って言ってるのに」
ミドリが群竹の手の洗濯ものを奪って、ぱんぱん、と叩いて干し始める。
「ミドリ。あなたは今、勉強のお時間のはずでは?」
「うーん、でも、こうやって群竹と一緒にいるほうが楽しいの。浅葱は全然、手伝わない
し。群竹一人じゃあ、可哀相」
しかめつらをしようと思うが、その無邪気な笑顔を前にして群竹も思わず微笑んでしまう。
「浅葱さまに怒られてしまうではないですか」
「じゃあ、私も一緒に怒られてあげる」
ミドリがぺろりと舌を出す。
陽光の下、二人は笑いながら庭いっぱいに洗濯ものを干す。白い布地がひらひらと風に舞
う。
「平和だなぁ、あいつらは」
浅葱は窓からきゃらきゃらと笑う二人の姿を眺めて、ふう、と溜息をつく。
「こっちはイライラしてるって言うのにさ。何だよ、タタラったら。今まで、毎週手紙を
くれてた癖にさ。どうなってるんだよ、全く。こっちは忙しい時間を割いて読んでやって
るって言うのに」
と、青い空に一点の黒い点―――――――それはどんどん近づいてくる。
「群竹、鳥さんだよ」
ミドリが指を指す。
浅葱はミドリが指差す方向をぼんやり見つめる。と、その視線が凍りついた。思わず窓か
ら身を乗り出す。ばさばさと羽音が近づいてくる。あれは―――――――――
浅葱は更に窓から乗り出し、待ちきれないかのように窓をくぐると外に下り、駆け出した。
背後で群竹が自分を呼んでいる声が聞こえる。浅葱はそれを無視して走った。
どこか懐かしい飛翔する鳥の姿。太陽を背に飛ぶ鳥を見上げ、浅葱は目を細める。鳥にば
かり気を取られていた浅葱は近づいてくる馬の蹄の音に気付かない。鳥がひゅうと降下す
る。視線を下ろすとようやく近づいてくる蹄の音に気付いた。遠くに煙るように見える、
馬に騎乗する姿。肩には、鳥をのせて――――
(まさか、そんな筈はない。ああ、でも----―――――――)
その姿が近づくにつれ、浅葱は鼓動が高まり、固まったように動けなくなる。
手を大きく振って、誰かが自分の名前を叫んでいる。
「浅葱ぃーーっ!!」
ひらりと馬から身を下ろすと、待ちきれないようにその人物は浅葱の方へと駈け寄った。
駆け寄る勢いもそのままに浅葱に抱きつく。反動で二人はどすんと折り重なって芝生に倒
れた。浅葱は己の体の上にいる女を見つめる。
「タ・・・タタラ?」
「浅葱、浅葱、浅葱!ああ、あんたったら全然変わらない!もっと顔を見せて、浅葱!」
浅葱は頬をぐいと挟まれ、顔を引きよせられた。すうっと気が遠くなる。
(―-----------これは、夢か?)
浅葱は自分の体の上で、笑顔で顔をくしゃくしゃにしながら、はらはらと涙を流す更紗を
ぼんやりと見つめた。
もう、誰も少年には間違えないだろう。そのふっくらとした唇、自分の頬に触れるほっそ
りとした指、浅葱は初めて会った女のように更紗を見返す。
が、そのきらきらと強い光をたたえる瞳が、他の誰でもない、タタラという事を物語る。
浅葱は夢見るように、無意識に更紗の顔に手を伸ばす。と、更紗の耳の方に触れた浅葱の
手が、カチンと冷たい石にぶつかった。
「ピアス」
「そうだよ、浅葱がくれたピアス。ずっと、ずっと付けてるんだよ」
鼓動が高まる。言葉を吐こうと思うが、浅葱の口は固まって動かない。
「浅葱?」
更紗がにっこりと笑う。そして浅葱をぎゅうと抱きしめた。
浅葱は目を閉じる。
浅葱はその柔らかな腕の中で、二人で駈けた、あの日々が急流のように押し寄せるのを感
じた。
更紗を抱く腕に力をこめかけた瞬間、浅葱はぐっと歯を噛み締めた。と、ぐい、と更紗を
自分の体から引き離すと、立ち上がってぽんぽんと土を払った。
「・・・タタラだって変わらないよ。いつまでも乳臭いまんまで、さ。大体、なんだよ、
いきなり押し倒したりして。子供みたいに。それで子持ちとはね、全く」
更紗はきょとんとするとぷっ、と吹き出した。
「浅葱、ほんとにあんた、変わらないね。そのしゃべり方」
くすくすと涼やかに更紗が笑う。ちらりと浅葱は更紗を見やって、眩しいものでも見つめ
たように視線をそらした。
「何の用だよ?連絡もしないで来るなんてどういうつもり?」
意地悪気に言う浅葱の声に更紗はにっこりと微笑む。
「ごめんね、会わない、って言われたら、嫌だった」
浅葱はゆっくりと視線を更紗に戻す。
「・・・まだ、ほんの少しの時間しか経ってない、あれから。いい思い出も、いっぱい。
でも悲しい思い出も、まだほんの最近の事みたいに、ある。私の顔を見たら、浅葱も辛い
事を思い出すかもしれない。でも。でも、会いたかった」
真っ直ぐに見つめる、その視線―――――――――
「会い・・・たかったって?僕に?」
浅葱がつぶやく。更紗は深く頷いた。
「うん。とっても。とってもとっても会いたかった」
どうしよう、エロエロの方がいいっすか?
久しぶりにBASARA読み返したら、こういうの書きたくなったんスけど。
少しでも読んでくださる方がいらっしゃるなら、また、二、三日中に戻ります。
252 :
名無しさん@ピンキー:04/10/19 18:13:51 ID:9+pcBfUb
期待あげ
>251
激しく待ってます
>>251 大変すばらしいです
キャラが原作のまんま違和感ないです
続き楽しみに待ってます
期待sage
でもできればどっかにエロを…
じゃないと単なるスレ違いなんで
スレ違いと言われれば、そうなのかもしれないけど…。
続きは激しく気になります。
エロエロは難しいので(如何せん更紗はエロとは程遠い・・・)
「小エロ」くらいで続き頑張ります。
週末くらいに投下出来ればいいなぁ。
スレ違いじゃなくて、板違いじゃないの?
でも、このスレエロがないのも多くない?
小エロがあるなら大丈夫。
作者さん、がんばってください。
微エロ風味ならよかったような気がする。
初期の頃通ってたスレは薄いのもOKだった。
浅葱が更紗に手を伸ばそうとした瞬間―――――――
「浅葱!」
ミドリはぎゅうと浅葱の服の裾を引っ張り、自分の方に引き寄せると更紗を睨みつけた。
傍らには群竹が立ち、静かに三人を見つめている。
「浅葱、この女の人、誰なの?」
どこか刺々しい口調でミドリが浅葱に問う。
「この人が、タタラですよ」
黙する浅葱の替わりに群竹がそっと答える。
「群竹に聞いてるんじゃないもん!」
更紗はその様子を最初はぽかんと眺めていたが、ふふ、と笑うとミドリの目線に合うよう
軽く身を屈めた。
「ミドリちゃん、よね?初めまして。私、更紗。浅葱の古い、お友達」
「・・・あなた、死んでる事になってるのに。どうしてここにいるの?」
「ミドリ」
群竹が諌めるようにミドリの頭をぽんぽん、と叩く。
「浅葱さまとタタラはお話があるようです。私たちは先に戻りましょう」
何か言いたげにミドリはちらりと更紗をもう一度見やったが、群竹に手をひかれ、あきら
めたように去っていった。
その姿を見送ると、ぷっ、と更紗は吹き出した。
「ミドリちゃん、妬いてるんだね」
「あんたに?何か勘違いしてない、タタラ?」
浅葱はぶすっとして続ける。
「小さい時はまだもう少し可愛気があったのに。最近は手に負えないよ」
「群竹さんから、ミドリちゃんの話を聞いた時はびっくりしたけど。でも、何かいいね」
更紗が浅葱の顔を覗き込んで言う。
「最初、『ママ』って呼ばれてたんでしょ?」
浅葱はかっと顔を赤くした。
「群竹かっ!群竹ってば、そんな事まであんたに言ったの?」
くすくすと更紗が笑う。
「浅葱の事、心配だったから。最初の頃、群竹さんに手紙いっぱい出してたの。群竹さん、
マメだね。律儀にいっぱい返事をくれた」
「僕は全然そんな事聞いてないぞ!」
「聖さんからもいっぱい手紙が届いたよ。浅葱が最初に焼いたお茶碗、一番に見せてもら
えて嬉しかった、って。那智からも、浅葱と仲良くやってるって」
「全然あいつらなんかと仲良くなんてしてないよ。どいつもこいつも全く・・・!」
更紗はそっと浅葱の手を握った。
「話したい事、いっぱいあったけど、何かどうでも良くなっちゃった。浅葱の顔、見たら・・・
胸がいっぱいで」
更紗は涙ぐむと、くすんと鼻をすすった。
「・・・泣き虫も、相変わらずなんだな」
浅葱はふん、と鼻を鳴らすとハンカチを更紗の顔に押し付けた。更紗は泣き笑いになる。
「浅葱は本当に変わらない・・・」
空はいつしか美しい茜色に染まっていた。
「ミドリ、何をそんなに不機嫌にしているのです?街に降りるのは好きだったでしょう?」
夕闇迫る山道を、群竹はミドリを乗せ、馬を駆る。前に座るミドリはずっと無言のままだ。
「浅葱、知らない人みたいだった・・・」
振り返ってミドリは群竹の顔を仰ぎ見て、問う。
「浅葱、どこにも行かないよね?ミドリと群竹と、ずっと一緒に居てくれるよね?」
「浅葱さまが何処に行かれると言うのです?」
「わからない、わからないけど・・・何か、寂しいの。変かな?」
「変じゃないですよ。そんな顔をしないで。ミドリは安心してて良いんです」
「本当に?」
「本当です」
にっこりミドリが微笑んだ。
「群竹は嘘をつかないものね。ミドリ、安心した」
ミドリが前を向くと、群竹は顔を曇らせた。
(浅葱さま・・・あなたには、守るべきものがあるのですよ。お忘れ無きよう―――――)
「群竹さんとミドリちゃん、何処に行ったの?」
「街に降りたんだ。ちょうど、お祭りをやってるみたいだし。ミドリは街が好きだから」
「ふーん?」
更紗は首を傾げると、テーブルにならんだおかずをつまむ。
「浅葱、料理が上手だね。全部、すごく美味しいよ」
「・・・そんな風にがっつかないでよ。綺麗に盛り付けたんだから、ちゃんとそういうの
も見て食べて欲しいよね、全く。あんたにそんな事言っても無駄だろうけどさ」
ふふふっ、と更紗は笑う。
「お腹空いてたんだもん。港に下りてから、ずっと休み無く走ってきたから」
「道理で。タタラ、あんた臭いよ。汗臭い」
「やっぱり!?自分でもそう思ってたんだけど・・・」
くんくんと更紗は自分の服の匂いを嗅ぐ。浅葱はそんな様子を見て、ふうと溜息をつく。
「もう、腹はいっぱいだろ。風呂にでも入ったら」
「いいよ、浅葱が入りなよ。背中、流してあげようか?」
「な、何言ってるんだよ。馬鹿じゃないの?」
軽く赤面して浅葱がぷいと横を向く。と、思いついたように浅葱は呟いた。
「そうだ」
「何、浅葱?」
「ちょっと歩くけど、温泉があるんだって。行ってみる?」
「温泉!?行きたい!」
「そう言うと思った」
肩をすくめる浅葱を更紗は微笑ましく見つめた。
「浅葱・・・ちょっと歩く、って・・・全然ちょっとじゃないじゃない!」
急な山道を歩く更紗がぜいぜいと息を上げる。
「タタラ、外国へ行って軟弱になったんじゃない?それに、なんか、太った?」
「太ってない!浅葱こそ・・・あれ、浅葱、なんか逞しくなったね」
「鍛えてるから。みっともないのは、嫌だ」
つん、と澄ましてずんずん前を進む浅葱。ちらりと振り返って更紗を見ると、浅葱は歩く
速度を少しだけ、落とした。
「・・・ほら」
浅葱は背中を向けたまま、手を更紗に差し出す。更紗はその手を握った。
「有難う、浅葱」
「ふん」
(浅葱、あんた、「触るな」って言ったよね、昔。今は、こうやって手を差し出してくれる
んだ・・・)
しばらく歩いて二人はようやく温泉にたどり着く。
「見て見て、浅葱!お猿さんが入ってる」
「誰かに似てるよな・・・」
ぼそりと浅葱が呟く。
「そうだね。朱理も温泉が大好きで、でも、ほら、あんまり向こうには無いから」
朱理、という名前が更紗の口から出るのを聞いて、ぴくん、と胸のどこかが痛む。
「・・・今、何してるの、あいつ。放っておいていいの?あんた一応、人妻なのに」
「朱理は今沖縄にいるの。志麻ちゃんと今帰人に子供が生まれたから、名付け親になるん
だって。仕事も一段落ついたから、ちょっと骨休めしてる」
(奴は、知ってるの?あんたがここにいる事を知ってるの―――――?)
浅葱はその問いを飲み込む。
「知らないよ、朱理は」
更紗はそう言って、浅葱の顔を真っ直ぐに見つめる。
「ううん、知ってるのかもしれないね。『昔の仲間に会ってくる』って言ったら、何も言わ
なかったから」
浅葱はぷいと背を向けると、岩場に腰掛けた。
「入ったら?上がるまで見張ってるから」
「いいよ、浅葱が先に入りなよ」
「ふうん・・・じゃあ、僕、あっちの方にいるから。灯り、二つあるから一個置いていくよ」
浅葱はすたすたとその場を後にする。
体が、熱い。
浅葱は湯に頭までつかると、その中で目を閉じ、ゆらゆらと揺れる水の中に身をまかせた。
息が続かなくなると、顔を出し、冷たい岩に顔を押し付ける。
「熱い・・・」
体が、胸が、熱い。
朱理と子まで成した更紗を、自分のものにしたいなどとは思っていない。
10年の時は、長く、自分の心も変わったはず。
なのに。
「何で、今更現れるんだよ・・・」
泣き笑いのような笑顔も、強い光を放つ瞳も、少年じみたほっそりとした体も変わらない。
(「一緒に行こうよ」)
「馬鹿な、事を言った・・・」
昔の事だ。更紗はとうに忘れてる。僕に会いに来たのもほんの気まぐれ。
くすりと浅葱は自戒するように苦笑する。岩に顔を押し付けたまま、ぼうっとする浅葱の
耳にちゃぷちゃぷと近づいてくる水音が聞こえた。
「浅葱?大丈夫?」
肩をつかみ、心配そうに見つめる瞳。
「タタラ・・・」
「のぼせたの?大丈夫?」
更紗が浅葱に近寄る。ぼんやりと浅葱は更紗を見て、呟いた。
「二回目だ」
「何が?」
「その粗末な胸を見るの、網走の時と、今とで。二回目」
ばっと更紗が胸をタオルで隠す。
「あああ浅葱ぃっ!」
浅葱はその腕を掴むと、更紗をじっと見つめた。
「どうして・・・」
浅葱は呟く。
「どうして、来たの?」
「だって、浅葱、あんまり静かだから倒れてるんじゃないかと思って」
生真面目に答える更紗を見て、浅葱はくすりと笑った。
(どうして、僕に会いに来たの――――?って聞いてるんだよ、タタラ)
浅葱は腕を引き寄せると、更紗をそっと抱きしめた。
「あ・・・浅葱?」
その細い肩に浅葱はそっと口づけた。更紗はじっと動かない。更紗の吐息が、浅葱の肩に
かかる。
(熱い―――――)
浅葱は更紗の唇に自分の唇を合わせた。更紗が一瞬体を堅くする。が、更紗は目を閉じた
まま、浅葱の腕の中に体を預ける。浅葱は、静かに体を離した。
「・・・どうして、抵抗、しないのさ」
「・・・そろそろ、上がろうか。あっちで服に、着替えてくるね、浅葱」
更紗の姿が湯煙に遠ざかる。夢のように、後姿がぼんやりと薄闇に消えていく。
更紗が岩場に座っている。近づいてくる浅葱に気付くと更紗は軽く微笑んで手を振った。
「あったまったね。ほかほかする」
「・・・この辺は夜、急に涼しくなるんだ。湯冷めしない内に戻るよ」
立ち上がった更紗がふらっと体を崩す。
「タタラ!」
更紗の体を浅葱が抱える。
「湯あたり、しちゃったみたい。ちょっと、くらくらするけど、大丈夫」
浅葱は無言で更紗の体に自分の上着をかけると、岩場に座らせた。
「浅葱が、風邪引いちゃうよ」
「僕は、結構頑丈になったんだよ」
二人は無言でしばらくその場に佇む。
「灯りが消えそうだから、戻るよ。歩けるの?―――って言っても、かついでなんてあげ
ないけど」
「もう、大丈夫」
浅葱が更紗に手を伸ばす。更紗は立ち上がって、その手をきゅっと握る。浅葱に手を引か
れ、二人はゆっくりと歩き出した。
「っくしゅん!」
「ほら、浅葱、やっぱり風邪引いたんだよ」
家に着くなり、浅葱はくしゅんくしゅんとくしゃみをし出す。
「お布団敷いてあげるから、浅葱、休んでて」
うるさいな、大丈夫だ、と言い張る浅葱を無理やり寝かしつけると、更紗はさっさと浅葱の部
屋から出て行った。
浅葱は瞼を閉じる。
会えば欲しくなる。言葉を交わせば、もっと傍に居て欲しいと思う。もう、何もかも遠い過去の
話だと、終わった事だと思っていたのに。
けほんけほんと咳き込み、熱っぽい体を持て余して、浅葱は寝返りを繰り返す。
と、かたりと襖が開き、更紗が盆を片手に入ってきた。浅葱の傍らに、そっと腰を下ろす。
「・・・ごめんね、起しちゃった?」
「・・・別に。最初から、眠ってないから」
浅葱はぷいと背を向けると、また咳き込む。更紗はその背中を軽くさする。
「浅葱、これ、ハーブティーなの。風邪にとっても効くんだよ」
更紗が枕もとの壁にたくさんクッションをあてがって、浅葱の背を起こしてやる。浅葱は黙ってハーブティーを受け取ると、ひとくち口に含んだ。
「苦…何、これ?」
「カモミール。カミツレ、って言うのかな、日本では」
「ふうん…」
浅葱はその香り強い茶をゆっくりとすする。一口飲む毎に、体が温かくなっていくようだ。
「相変わらず、薬箱だね、タタラは」
「昔の癖が抜けないのかなあ。今でも薬草とか、いつも持ち歩いてるの」
ふふっ、と更紗が笑う。
「でも、一番私の薬箱を使ったのは浅葱だよ。今だって、ほら、役に立ったでしょ?」
更紗は浅葱の手からカップを取ると盆に戻し、浅葱の胸まで布団をかけてやった。
「じゃあ、ゆっくり休んで。具合が悪くなったら呼んでね、隣の部屋に居るから」
浅葱は立ち上がろうとする更紗の手を掴んだ。
「居てよ」
浅葱は自分の口から出た言葉にびっくりする。でも、言葉は止まらない。
「ここに、居てよ・・・」
更紗は小首を傾げて、浅葱の顔を見つめると、すとんと枕もとに腰を下ろした。そして、浅葱
の手を軽く握る。
「眠るまで、こうしててあげる。昔、ナギによくこうして貰ったんだ」
(僕も、昔、してあげたよ、タタラ・・・・あんたは知らないだろうけどね)
「浅葱にも、こうしてもらったね」
浅葱ははっと更紗の顔を見る。
「ナギから聞いたの。あの時、浅葱、固まっちゃって大変だったね」
浅葱は顔を背けると、瞼をぎゅうと閉じた。
甦る。奔流のように駆け巡る、思い出。殺そうとした。共に戦場を駈けた。互いに刃を向け合
った。
(「ここはまかせたよ、浅葱――――」)
涙が、零れる。体が震える。
「どうしたの、浅葱。どっか痛い?あさ―――――」
浅葱は更紗を引き寄せて、ぎゅうとその胸に抱き寄せ、自分の体の下に組み敷いた。
「浅葱、何を――――――」
浅葱は更紗に口づける。余りに強い抱擁に、更紗は驚き、体を離そうとした。
「タタラ」
呼ばれて更紗は浅葱の顔を仰ぎ見る。
「浅葱・・・」
(―――泣いているの?)
浅葱の顔は痛みに耐えているかのように歪んでいる。涙が一粒、ぽつりと更紗の顔に落ち
た。更紗は浅葱の頬に触れ、そっと額に口づけると、浅葱を抱きしめた。
(――――浅葱を選ぶと言った。「タタラ」なら、地獄の底までつきあう、って言ったのに、
私は――――)
更紗の服は浅葱に簡単に取り払われてしまう。口づけは深くなり、あたたかい体に更紗は
包まれる。ほっそりとした指が、更紗の髪の毛をすく。腕は、力を弱めて背中を抱く。
更紗の首元に熱い吐息がかかる。浅葱の唇は左耳に触れ、耳朶のピアスごと甘く噛み締め
られる。唇は再び更紗の顔に戻り、口を塞ぐ。
更紗は自分が熱に冒されているように、頭がぼうっとする。ぼんやりと、浅葱の顔を見つめる。
片方だけのピアス。
私にくれた、あんたの心の片方。
心弱い、傷つきやすい子供。
誰かが言った。
更紗はたまらず、ぎゅうと浅葱を抱きしめた。
(泣かないで、浅葱)
胸に抱かれ、浅葱はその乳房に口づける。更紗は浅葱の髪の毛を優しく撫ぜる。浅葱の熱
い固まりが足に触れる。更紗はそれを愛おしく思う。そっと、それを手で包み込むと、更
紗は自分の中に導いた。
熱いものが体を貫く。浅葱が深く、吐息を漏らす。更紗の指は浅葱の背中と髪をゆっくり
と彷徨う。彷徨うごとに、浅葱の身体は熱くなり、更紗を貫くものも熱く、堅くなる。
浅葱が自分を突くごとに、更紗は頭の芯がぼうっとなるのを感じる。ゆらゆらと、水の中
を漂うように体がふわりと軽くなっていく。
それは、どこか神聖な行為のように更紗には思えた。
まるで、祝福を与えるように。
浅葱は更紗の中にすっぽりと包まれるのを感じる。しっとりと湿った、更紗の肌。濡れそ
ぼる、更紗の中。抱きしめているのは自分なのに、まるであたたかな毛布にくるまれてい
るかのように浅葱は安心し、ゆっくりと更紗の中を彷徨う。
きゅう、と更紗の中が締まった時、浅葱は自分を更紗の中に吐き出した。
やっぱり、更紗はエロくならんですわ。すんません。
小エロまで辿りつくのに長い事長い事・・・
更紗、避妊しなくてだいじょーぶ?と、書きながら思ったり。
続き、どーしよーう。読んで下さる方がいるなら、ちょっと頑張って続けます。
ノシ 今リアルでずっと読んでただす。切ないのだす。続けてほしいのだす。
ジーンとしました。
エロだけじゃなくて、中身の濃い読みがいのあるお話ですね。
浅葱のキャラが、なんというか、原作のまんまでお見事。
相変わらず意地悪なんだけど、優しさが滲み出ていて切ない。
二人の遠慮の無いかけあいもいい感じです。
…私も、続けてほしいなぁ…(ボソッ)
いっそ妊娠してもいいよ。
とか言ってみたり・・・すみません。
もしもサイトとか持ってるならヒント教えてほしいです。>作者様。
更紗もいいんだけど、焼き餅やくミドリちゃんに萌。
ちゃんとエロも入っているのだから、別にかまわないのでは。
カップリングは本編と違ってても大丈夫だと思う。
スレの最初でもいろんな組み合わせで要望が出てるし。
さすがに妊娠までいくのはあれだけど。
更紗×浅葱キタ〜!
やはり浅葱には更紗と幸せになって欲しかった。
浅葱の切ない心情も細かく描かれていてとても良い作品でした。
ありがとうございます!
まだ終わってないしw
期待しております>ネ申様
本編で実現しえない組み合わせが読めるのは、二次創作の醍醐味ですね
応援してるのでがんばってくださいな
個人的には更紗×浅葱というより、タタラ×浅葱だなあ
何が違うって言うわけでもないんだけど、なんとなく
つまり、エロくない事が板違い、スレ違いにはならないわけで。
っていうか、誘導先が個人サイトって何かのギャグ?
いちおーヤってんだから、まったく無問題だろ。
キャラの取り合わせが気に食わないってなら、スルーできない方が厨。
つーわけで、続き期待してます。
エエですなあ・・
じっくりマターリ読ませて頂いてます
みんなに萌えです。すばらしいです。
続きを期待してまふ
どんとこいやで
がんがってください
浅葱はその瞬間、強く更紗の体を抱きしめると、何事かを呟いて、そのまま更紗の体の上
に崩れ落ちた。
静かな部屋に、浅葱の荒い息だけが響くのを更紗は聞く。どこかぼんやりとしながら、更
紗は浅葱の熱い体を抱きしめ、無意識に浅葱のさらさらとした髪の毛をゆっくりと撫でる。
「浅葱。体が、熱い、よ?」
浅葱は何も言わない。荒い息はいつしか緩やかな吐息に変わっている。
(眠ったの?)
更紗はゆっくりと体を離すと、布団から出ようとした。
浅葱の細い腕がそれを制する。
「――――眠るまで、居てくれるって言った」
ふふ、と更紗は笑って軽くそれを払って、布団の中に浅葱の腕をしまう。
「居るよ。でも、浅葱の風邪が心配。何か、冷たいものを持ってくるね」
更紗は立ち上がると、小さい足音を立てて部屋から遠ざかった。
浅葱はその足音を聞きながら、きっと戻ってこないだろうと思う。
同情なんて堪らない。
でも、同情でも良かった。
更紗の体の中、自分はどれ程幸せだっただろう。
数分前の出来事が、夢のように感じる。
この手は更紗の肌に触れたのか、この唇は更紗の肌へ薔薇色の刻印を刻んだのか、あの細
い腕は自分を抱きしめたのか――――――
思い返すごとに、それは遠ざかっていく。
浅葱は痛みに耐えるかのように体をまるめる。
きっと、玄関の扉が閉まる音がする。馬に駆け寄る更紗の足音が、駆け出す馬の蹄の音が
もうすぐ――――――
と、足音が近づいてきた。襖の開く音。人の気配が浅葱の方へとゆっくりと近づき、ひん
やりとした手が浅葱の額に触れた。
「汗、拭かないと」
更紗は絞った手拭で、浅葱の顔の汗を拭き始める。冷たいタオルの感触が心地よい。浅葱
はされるがままに、腕を取られ、背を起こされて汗を拭いてもらう。
「はい、お水」
更紗に促され、こくんと浅葱は水を口に含む。素直に自分に従う浅葱の様子に更紗は微笑
むと、そっと浅葱の体を横たえた。そして、その手を握る。
「―――――行ってしまうのかと、思ったけど」
ぽつりと浅葱が呟く。
「子供がいるの、二人」
更紗が浅葱の手を握ったまま語り出す。
「女の子と男の子の双子なんだ。最初、浅葱の名前をつけようと思ったよ」
ゆっくりと浅葱が更紗に顔を向ける。
「浅葱は私の大切な人。ずっとずっと、大切な人。それを、覚えていて欲しい」
更紗の手が、浅葱の髪を梳く。その手を浅葱は掴むと、手の甲に唇を押しあてた。
「・・・来てよ」
浅葱の言葉に更紗は首を傾げる。
「もう一度だけ、来て」
浅葱の手が更紗に伸び、更紗はそれに身を任せる。
浅葱は更紗を抱きしめると、その髪の香りをかいだ。
もう、こんな風に会う事はない。
こんな風に抱きしめる事もない。
タタラは人の記憶の中にだけ生き、自分が抱いているタタラもその夢の欠片。
浅葱は更紗に口づける。更紗は瞼を閉じ、無防備にその体を浅葱の腕の中に預ける。
更紗は感じる。
浅葱は、「タタラ」を抱いているのだと。
浅葱が体の一つ一つに口づける度に、思い出はそこから溢れ出し、共に駈けた日々が甦る。
この手は人を殺め、その手は血にまみれた。その日々を、浅葱は自分の身と引き換えに終
わらせようとした。蒼の王として、討たれ、滅びようと。
会って、何かを言いたかった訳ではない。ただ、会いたかった。その瞳が今は何を映して
いるのか、見たかった。
「浅葱、浅葱」
更紗はタタラに戻って呟く。
浅葱はその唇を塞ぎ、手は更紗の肌を彷徨う。更紗の唇は浅葱の首もとに触れ、小さく薔
薇色の染みを作る。
浅葱の細い優美な指が更紗の乳房を包み込む。柔らかなそれに、浅葱が口づけた。その頂
きの小さな赤く色づく果実を口に含むと、それを甘く噛み締める。噛み締められると、
更紗は背中にぴりりと電流が走ったかのように感じて軽く背をそらした。
漏れる吐息は浅葱の唇で封じ込められ、封じ込められる先から乳房はほっそりとした指で
揉みしだかれ、更紗は体をくねらす。口づけは甘く、深くなり、更紗は自分の体が熱くな
っていくのを感じる。
浅葱の指が更紗の中に入る。細い浅葱の指が自分の中でゆっくりと動く。動くたびに腰の
ずっと奥の方から熱いものがこみ上げていく。こみ上げるものは更紗に甘い嬌声を上げさ
せ、そして体の中からは熱い蜜を吐き出させる。熱い浅葱の体よりも、ずっと熱いものが
腰の奥でどくどくと鼓動を始める。
「タタラ」
浅葱が更紗の顔を両手で包み込む。
「僕のこと、忘れないで」
ああ、この顔だ――――――、と更紗はいっそ切ない気持ちになる。
どうして忘れられるだろう。いつも、いつも、心配しないでよ、と言いながらその顔は
あたたかい手を求めていた。冷たい言葉の後の、どこか後悔したような、顔。
更紗は浅葱を抱きしめると、その頬に、額に、唇に口づけた。
浅葱は瞼を閉じ、その接吻の一つ一つを胸に刻み付ける。
熱く堅くなった己を、浅葱はそっと更紗の体に差し込んだ。
ゆるゆると蜜を吐き出す更紗の中は、熱く、柔らかくそれでいてみっちりと、浅葱自身に
食らいつく。
それは快楽の手段ではない。
心を合わせること。
浅葱は更紗に包まれ、もっともっと一つになりたい、と己が動くのを止められない。
更紗は甘くしびれるような熱い奔流が自分の中を駆け巡るのを感じる。
浅葱が動くごとに、自分の中がきゅうと締まって、浅葱を引きとめようとする。
熱い体は自分のものなのか、相手のものなのか、二人は自分の体が何に触れ、どんな風に
動いているのかも判らない。
「タタラ、タタラ」
誰かが自分を遠くで呼んでいる。更紗は呼ばれるごとに、自分の中を貫くものが熱く、
堅くなり、そして勢いを増して自らの中に深く深く入り込んでくるのを感じる。
腰の奥の熱い凝ったものが、突かれ、どんどん大きくなって更紗の体中を痺れさせる。
更紗は無意識にぎゅうと浅葱の体を自分の方へと強く引き寄せ、深く口づけた。
浅葱は口づけに、身を解き放たれ、更紗の中へ一層深く入り込むと、抱きしめられるまま、
己の精を更紗の中へと放った。
浅葱は、崩れ落ちるように更紗の腕の中へ身を投げ出した。
更紗は子を抱く母のように浅葱を抱きしめ、その額に一つ、口づける。
「浅葱――――」
(忘れないよ、ずっと――――)
更紗の柔らかい腕に抱きしめられ、浅葱は一筋涙を流す。浅葱はすがるようにその胸に顔
をうずめると、そのまま深い眠りに落ちて行った。
暖かい日の光で浅葱は目覚めた。
がちゃんがちゃんと台所から音がする。
浅葱は起き上がろうとして、額にのせられた冷たいタオルに気付く。顔に触れると、熱は
既に引いている。
身づくろいを済ませると、浅葱は台所の方へと向かった。
「あ、おはよう、浅葱」
更紗が戸棚の高いところに、皿を取ろうと背を伸ばしている。
「何、やってるのさ」
「何って、朝ご飯―――――」
皿がつるりと更紗の手から滑り落ちそうになるのを、浅葱が更紗の体ごと受けとめる。
「ありがと、浅葱」
「朝からバタバタ何してるのかと思ったら。うるさくて寝てられないよ。このお皿だって
すごい高級なものなんだからね。割れたらどうしてくれるのさ」
更紗の手から皿を奪い取ると、ひょいとそれを戸棚に戻す。
「あんたは、座っててよ。見ちゃいられないから」
「でも、浅葱、あんた風邪―――――」
「治ったよ」
ぶすっと答える浅葱を見て、更紗は微笑む。
朝食の準備をする浅葱を、更紗はにこにことしながら見つめる。
「・・・何、見てるのさ」
「ううん、何か嬉しくって」
「ふん。変な奴」
浅葱は軽く赤面する顔を隠すように、背を向けると朝食の準備をし始めた。
「美味しいっ。やっぱり日本のご飯は良いねっ」
「朝から食べすぎなんだよ、タタラは」
「後片付けは私がするね。浅葱はしないんでしょう、後片付け?」
「・・・群竹か・・・」
あいつは何でそんな余計な事ばっかり、と溜息をつく浅葱を更紗は微笑ましく見つめる。
「ねえ、浅葱?」
「何だよ」
「今度、おいでよ」
浅葱は真っ直ぐに自分を見詰める更紗の視線を眩しそうに見返す。
「外国は広いよ。浅葱の大好きな綺麗なものもいっぱい。勿論、嫌な事もいっぱいあるけ
ど・・・でも、おいでよ、いつか」
浅葱は沈黙する。更紗は静かな声で繰り返す。
「いつか、おいで」
「・・・いつか、ね」
「ミドリちゃんと一緒に」
「一応、群竹もね」
「約束」
更紗は微笑むと、浅葱に手を差し出した。
「ふん」
嫌そうに、浅葱は握手をし返す。
更紗の微笑みが、暖かい日差しとともに浅葱を包み込む―――――
「それだけで、いいの?茶碗」
「うん。これだけあれば充分。浅葱の焼き物は向こうで本当に評判良いの」
「当たり前だよ。せいぜい高く売ってよね」
「そうだね。浅葱の旅行資金にする為にも」
更紗が浅葱の焼き物を丁寧に梱包して、荷物をまとめる。
「じゃあ・・・行くね」
「うん・・・」
「また」
晴れやかに更紗が笑う。
「いいよ、もう来なくて」
浅葱はぷいと顔をそむける。くすりと更紗が微笑む。
「そうだね、次は、浅葱が来ればいい」
浅葱はゆっくりと更紗に顔を戻す。更紗は、最後に浅葱を抱きしめると、その頬に軽く
口づけて馬の方へと駆けて行った。
「浅葱、本当だよ!いつか、おいでよ!」
馬の上から手を振る更紗。
浅葱は、それを見送る。そして、姿が見えなくなってからそっと手を振る。
「またね、タタラ」
浅葱の顔には微笑み。
爽やかな風が、浅葱の髪を揺らす――――――
たたずむ浅葱の耳に蹄の音が聞こえる。ぼんやりと眺める浅葱の目に、騎乗する二人の人
影が映った。
馬から小さい人影がひらりと下りると、浅葱に駆け寄って抱きついた。
「浅葱、ただいま!」
「ミドリ」
「ただ今戻りました、浅葱さま」
「群竹。もう、帰って来たの?」
「はい・・・ミドリの機嫌が悪くって。早く浅葱さまに会いたいと駄々を捏ねるものです
から」
はあ、と溜息をつく群竹にミドリがじゃれつく。
「ごねてなんかないよ。群竹が『浅葱さまはちゃんとご飯を召し上がっているでしょうか、
浅葱さまはちゃんと布団を掛けてお眠りになられているでしょうか、浅葱さまは、浅葱さ
まは』って、すっごーく心配そうだったから戻ってきたんじゃない!」
ミドリはにこにこと笑ってそう言うと、ふと真顔になって浅葱に向き合う。
「・・・道で、あの人とすれ違ったよ。タタラと」
ミドリが浅葱にしがみつく。
「笑ってた。またね、って手を振ってた。ミドリ、ちゃんと挨拶もしてないのに、笑って
くれた」
「ミドリ」
群竹がミドリの頭を軽く撫でる。浅葱はミドリの手を握って言った。
「また、会えるよ」
どこか、清々しい笑顔を浅葱はミドリに向ける。
「また、会える。今度、行ってみよう。ミドリにも、外の国がどんなだか、見て欲しい気
がするし」
「浅葱さま・・・」
「三人一緒で?群竹もよね?」
ミドリがにこにこと問う。
「群竹も。三人一緒で。群竹がいないと荷物持つ人間がいないだろ」
浅葱が意地悪そうに笑う。群竹はそれを見て、微笑む。
「ご飯を作ったんだ。二人とも、まだだろう?」
「わーい、浅葱のごはん!お腹ぺこぺこ!」
ミドリが家へと駆けていく。
「浅葱さま・・・」
群竹が浅葱に近寄ると、自分の首もとからスカーフを取り外し、それをふわりと浅葱の首
もとにかけた。
「差し出がましいようですが・・・ミドリにはそれは見せない方が」
浅葱は顔をばっと赤くした。更紗が残した、薔薇色の印――――
「ばっ、馬鹿。群竹!何を勘違いを―――――」
「いえ、私は何も。あっ、痛いですよ、浅葱さま。叩かないで下さい」
群竹は顔を赤くして怒る浅葱を見て、そっと微笑む。
(「三人一緒で」と仰って下さいましたね・・・)
「・・・お帰りなさいませ、浅葱さま」
深々と群竹が礼をする。
「お前が帰ってきたんだろう?変な奴。さ、腹が減ってるだろう?家に戻るぞ」
二人が並んで家へと歩きだす。
浅葱は一度だけ振り返ると、その青い空を見つめた。
(またね、タタラ――――――)
浅葱は微笑み、背を向けると家へと戻っていった。
<了>
長いし、エロは少ないし、作者の妄想にお付き合い頂きまして有難うございました。
自分のサイトなんて持っていないし、BASARAのサイト自体が少なくなってきた
昨今、書き込めるのここだけだったりするので・・・長文、本当に失礼しました!
コメント下さった方たちも本当に有難うございます。とっても励みになりました。
でも更紗〜、二回も生でやっちゃって、妊娠したらどーすんねん!
風邪引いてる浅葱を素っ裸にしてえっちしてどーすんだよ!
エロパロに分類するには惜しいくらい、レベルの高い文章ですね
作者ご本人かと思うくらい、キャラもよく掴んでらっしゃる
まさか浅葱×更紗が読める日がこようとは、夢のようです
お疲れ様でした ひそやかに再降臨をお待ちしてます
いや〜、切ないです。美しく、優しい作品でしたね。
どんどん引き込まれて一気に読んでしまいました。
浅葱、良かったね。きっともう大丈夫だね・゚・(ノД`)・゚・
読後感も爽やか。いやいや、お見事でした。
ありがとうございました。良ければまた書いてくださいね。
本当に良い作品でした(涙)
浅葱への愛が溢れていましたよ。
幸せな気分になりました。更紗にとっても浅葱は大事な
ひとだったんだね・・。すばらしい作品ありがとございました!
お疲れです!
ここに来てほんとによかったです。
浅葱×更紗、良かった・・・
オイラ、別に浅葱萌えじゃないんだけど。
終わるのがさみしかったよ〜・゚・(ノД`)・゚・
続きが読みたいような、余韻がずっと続きますね。いえ、綺麗に完結してるのですが。
このカップリングって、独特の空気が流れていて好きだなぁ
似たもの同士のような、姉弟のような、ボケツッコミコンビのような・・・
ほのぼのしたやりとりの中に漂う切なさも、胸をつきます
311 :
名無しさん@ピンキー:04/10/24 18:29:15 ID:Gsz4sJob
良かったです!!
浅葱と結ばれていれば、どんな感じだったのだろうとは思ってたけど、
こんなお話が読めて嬉しかった!
またこのカプで見たいです!
アタイは揚羽ラブだけど・・・(笑)
神様ありがd
3日に1レス、これ基本。
多聞だす。ほすすとくのだす。
○年△月xx日
きょうはひいらぎせんせいに「このこをたのむぞ」といわれた。
たのむ、ってどういうことかな?
わからないけど、ちいさくてしろくてふわふわしてあかんぼうはかわいい。
てのひらをにぎるとわらったきがした。うれしい。
○年△月xx日
あかんぼうは「あさぎ」というなまえらしい。
うめわかがほっぺたをつねっているので、けとばしてやった。
ずっとあさぎがなくのでそばにいてあげる。あさぎはすぐねむった。
ほかのあかんぼうよりかわいいな。なきむしだけど。
○年△月xx日
ひいらぎ先生のくんれんはきびしい。
今日もいっぱいおこられた。
あさぎは今日もねつを出した。
気になってみにいったら、白の王があさぎをだっこして、泣いてた。
どこか、いたいのかな、白の王さま。
○年△月XX日
白の王が女の子を拾ってきた。
珍しい。
女の子の仲間は初めてだ。
よく笑って、よく泣く。もうはいはいを始めてる。
「菊音」って名前だって。
蘭丸が菊音のおむつをはがして、「ついてない!」って叫んでいる。
うるさいから突き飛ばしてやった。
おむつを直してあげようとしたんだけど・・・何だろう、あれは?
ひいらぎ先生に聞いてみよう。
○年△月XX日
ショックだ。
ひいらぎ先生から、今日は色々と教わった。
女の子と男の子は色々違う。
梅若と蘭丸はとたんに菊音に冷たくなった。
僕くらいは優しくしてあげよう。
○年△月XX日
浅葱様は今日も熱を出されている。
女官も付かないでお一人で休まれている様子なので、お水を持っていこうと
思ったら白の王に止められた。
白の王はとてもお美しい方だけれど、時々とても怖い顔をされる。
浅葱様が気になる。
○年△月XX日
菊音が木から落ちた。駆け寄ったら、失敗した、って言いながら笑ってる。
とっさに受身をとったんだろう。普通だったら骨が折れてる。
柊先生の訓練が菊音に対しても僕たちと同じ内容になった。
梅若と蘭丸が面白くない顔をしている。
僕も精進しなくては。
○年△月XX日
ある女官が最近私に馴れ馴れしい。やたらと体に触れてくる。不愉快だ。
浅葱様がいるところでも馴れ馴れしいものだから、後で浅葱様に嫌味を言われてしまった。
憂鬱だ。女は苦手だ。
○年△月XX日
今日は部屋に文が投げ入れられていた。甘ったるい香りのする文だ。
浅葱様に見つかったらまた何を言われるか判らない。破り捨てる。
が、塵箱に入れているところを女官にちょうど見られた。
女官が泣き出すので仕方なく肩を抱いて慰めてやったけれど、ますます泣き叫んで
自分の体を僕に預けてくる。
なし崩しに今晩逢う約束を取り付けさせられた。
憂鬱だ。
○年△月XX日
今日は何も書きたくない。
あんな・・・汚らわしい。
○年△月XX日
やはり書いておかねば。こんな事でいつまでも気を病んでいても仕方がない。
女官の部屋を訪れると、彼女は薄物一枚で長椅子に寝そべり、酒を飲んでいた。
酒と何か甘ったるい香のかおりが気持ち悪くて、退室しようとしたが、また泣き叫びそう
なので仕方なく室に入った。
酒を勧められたので、一口飲んだら体がかあっと熱くなった。
その後は・・・
駄目だ、やはり明日、書く。
○年△月XX日
まだ気分が悪いのだが。やはり書いておかねば。
酒を飲んだ。そうすると体が妙に熱くなって、足がふらふらするので女の隣に腰掛けた。
女が酒を注ぐので、また口に含むと何だか頭がぼう、っとしてきた。
そうすると女がしなだれかかってきて、自分に覆い被さってきた。
紅をつけたふっくらとした唇が自分の唇を覆った。突きかえそうとしたけれど、腕に力が
入らない。女は自分の薄物を脱いで、一糸纏わぬ姿で私にすがりつく。
そうすると、私の「それ」に手をあてて何やらゆっくりと動かし始めた。
自分の体の熱さがそこへと集中していくようで、どんどん大きくなっていくのを感じた。
その頃には私も着物を取り払われて、裸にされていた。
女は私の「それ」に口づけると、口に含んだ。
吸われて、どんどん熱く大きくなっていく。
女を自分から離そうとしたけれど、体がしびれたように動かない。
背中にぞくぞくと何かが走る。その流れがきゅうっと脊髄のあたりを熱く走って、
頭が真っ白になった。
「それ」からどくどくと何かが出る感覚があった。
ぼんやりと女の顔を見ると、口元から白い雫を垂らしてにんまりと笑っている。
あわてて着物を身に着けて、もつれる足で外に出た。
背中でけらけらと笑う女の声が聞こえた。
恐ろしい。
すいません、すいません、すいません〜!!
馬鹿馬鹿しいっ!
いえ、四君子の人たちはセックルした事あるのかなぁ、なんて思って。阿呆。
群竹は口で逝かされてしまいました。
性格がカワイイからなぁ。浅葱にはナメられてるし
阿呆なんて言わずに続けてほしい。
>四君子の人たちはセックルした事あるのかなぁ
最たる問題は梅と蘭のような気がするのは気のせいでしょうか。
群竹日記、面白い。
だんだんエロに近づくところが。
だんだん成長してくのがイイ!ね!続きキボン
○年△月XX日
私は病気になってしまったようだ。
しかも毎夜、悪夢にうなされる。
決まって、あの女官の夢だ。
赤い唇と、べろりと伸びる舌。その長い舌が私の体を責め苛む。
私を喰らいつくそうとするかのように体中を舐め、噛み付く。
悲鳴をあげそうになって朝、起きると。
何という事だ。
大きく、堅くなっているのだ、私の一部が。腫れあがっているなんてものではない。コチコチだ。
きっと私は病気に違いない。
柊先生に聞いてみようか。でも病気だと知れたら、ここにはもう置いてもらえないかもしれない。
しばらく様子を見るしかない。
○年△月XX日
病気が悪化している。
信じられない・・・この年齢になって、粗相をしてしまうとは。
今迄で一番生々しい悪夢だった。目覚めても尚、女の匂いを感じる程。
女は蛇となって私にからみつき、緩くきつく、繰り返し私を締め上げる。
いやに鋭敏になって屹立する「それ」も又、ぎゅうと締め付けられ、ふっと解放されたかと思う
と、今度は長い舌でなぶられる。何という責め苦だろう。
ざらざらとした舌が上へ下へと私の「それ」を舐めまわし、先端をちろちろと舐めつくす。
思わず、声を出してしまった。
自分の声で目覚めると、自分の着物がべっとりとした白い膿のようなもので濡れている。
朝、こっそりと井戸へ洗いに行く。
こんなところを浅葱様に見られたら、命を絶つしかない。
私の体はどうなってしまったのだろう。
○年△月XX年
安心した。
意を決して柊先生に病気だと告白したところ、先生はちょっと困ったようにお笑いになられ、
それは健康な男子であれば誰でも起こる事、と説明して下さった。
「それでは、柊先生も朝、『それ』が屹立するのですね?」と、嬉しくなって質問すると、
途端に目を細められ、不機嫌になってしまわれた。
無言で立ち去られようとする柊先生に追いすがって、何か失言したかと謝罪すると、
静かな怒りをたたえた恐ろしい眼で私を見られ、
「梅若と蘭丸は去年、お前と同じ悩みを私に告げたのだが…群竹はいささか成長が
遅いのかもしれぬ」と言われた。
しかも、
「そうだ、群竹。浅葱様もご同様にお悩みの時期かも知れぬ。浅葱様には群竹から教えて差し上げよ。
浅葱様を頼んだぞ」
などと仰る!
確かに幼少のみぎり、浅葱様を頼むとは言われたものの、一体どのように切り出せと・・・柊先生!
気が重い。
適当なところで終わらせます。
こんな下らないものを読んで下さっている方達、
コメント下さった方々、本当に有難うございます。
本当にここの住人の方たちは良い人ばかりですね。感涙。
○年△月XX日
浅葱さまがまた寝込まれた。
秋も深まり、夜は寒さが厳しい。それなのに浅葱さまは寝間着を着たがらないものだからすぐ
風邪を召されてしまう。
熱が大分下がったという事を聞いたので、様子を窺いに部屋へ伺った。
具合がよろしいのだろう、すやすやと子供のような安らかな寝顔で寝てらっしゃる。
起こすのも忍びないので、そっと戸を閉めて立ち去ろうかと思ったか、冷たい空気が外から入
り込んだせいか、浅葱さまが目覚めてしまった。
小腹が空いたという事なので桃を差し上げる。
「群竹は優しいな」といつになくしんみりと仰る姿が切ない。
その桃は白の大師からの差し入れですよ、と真実を明かしたくなる。が、それは白の大師から
きつく口止めをされているので言い止める。
この季節に桃を手に入れるのは難しいだろうに。
白の大師のお心遣いが伝われば、さぞや浅葱さまもお喜びになるだろうに。
浅葱さまが気付かれない時に、白の大師が浅葱さまを見つめる視線は柔らかい。
私ごときがこんな事を考えるのは非礼ではあるけれど、浅葱さまが臥せっているこのような時
にこそあのような視線で浅葱さまを見つめて差し上げればよろしいのに、と思わずにはいられない。
このような心境で、柊先生から言われた例の事は言える訳はない。
断じて言い訳ではない。日にちを改めるだけの事。
気が重い。
○年△月XX日
浅葱さまの体調も今日はかなり良いようだ。
剣の練習にも戻ってこられた。
練習が終わると、桃の礼なのだろうか、茶を一緒にどうかと誘って下さった。
邪魔な梅若も蘭丸も居ない。今しかない、と思われた。
他愛もない話をしてから、何でもないように浅葱さまに尋ねてみた。
「浅葱さま、朝に体の一部分に異変があったりはしませんか?堅くなっていたり、立ち上がっ
ていたり、ほら、寝間を汚してしまったりとか――――」
皆まで言わぬ内に、顔を真っ赤にされた浅葱さまに頭を叩かれ、部屋から叩き出されてしまった。
失敗だ。
柊先生、申し訳御座いません。
○年△月XX日
群竹の奴め。
知った風に教え諭そうとした!腹が立つ!
でも、まあ、安心した。
自分だけに起こっている事かと思ったけれど、どうやらそうではないらしいし。
群竹なんかに聞くのもしゃくだけど、柊先生に聞くのはもっとしゃくだからね。
仕方ないから群竹の部屋までこっちから出向いてやった。
部屋に群竹がいないから、しばらく待っていたら、部屋の隅に隠すように置かれた鍵の
掛かった小箱が見えた。
ちゃちな鍵だから三秒で開けてしまえた。
群竹の奴、何をこそこそと隠しているのかと思ったら、日記なんか隠してるし。
そうか、健康な男子には起きて当たり前のことなのか。梅若と蘭丸が自分より早かったという
事が腹立たしい気がする。後で軽い毒でも仕込んで茶でも持って行こう。
それより女官と群竹だ。
あいつ、僕に隠れてそんな事をしているなんて!許せないね。
群竹、見てろよ。
群竹の日記は面白いから、また読もう。勿論、鍵を掛けなおして同じ場所に戻しておいた。
あいつは鈍いから気付かないだろうな。馬鹿な奴。
そうか、あの桃は姉上が。姉上、有難う。
浅葱日記に萌えてしまった(´Д`;)ハアハア
これはだいたい何歳くらいの頃のお話でしょうか?
朝立ちの心配やら初体験やらだから15歳前後かな?
GJですた!
おもしろかったすー >日記
登場人物が会話してるのより、間接的なところがけっこういいかも
○年△月XX日
部屋に誰かが入ったのだろうか?何が変わっている訳ではないけれど、しっくり来ない。
まあ、いい。それより浅葱さまだ。
珍しく機嫌が良ろしかったので、今日こそは、と思い「例の事」を説明申し上げようと試みた。
が、浅葱さまの方から逆に心配されてしまった。
「言わないでおこうと思ったんだけど・・・実はこの前の朝、井戸で群竹の姿を見たんだ。
・・・気にするなよ。健康な男なら誰でもそうなるんだから。病気とか、そんな風に思っちゃいけ
ないよ。何かあったら僕に聞くんだよ。恥ずかしい事じゃあないからね」
あの姿を見られていたとは!不覚。
赤面する私に優しく大丈夫だ、と微笑む浅葱さま。浅葱さまのお優しさに私は涙が出そうだ。
私は浅葱さまに、一生お供しようと心に決めた。
そういえば梅若と蘭丸がずっと腹を壊している。何か悪いものでも食べたのだろう。
女官は相変わらずにやにやと意味ありげに私に笑いかける。悪夢を見なくなったと思えば、
現実が悪夢のようだ。幸い、女の口が堅いのかこの前の事は誰にも気付かれてはいないよう
だが。ああ、鬱陶しい。出来る事なら斬り捨ててしまいたい。
今日は柊先生に頼まれて、白の大師の付き添いでこれから堺まで出向く。
浅葱さまが私の居ぬ間、風邪でも召されなければいいのだが。
○年△月XX日
群竹のあの顔!真っ赤になっちゃって、可愛いね。
笑いを堪えるのに大変だったよ、実際。
腕は立つのにあんなに騙され易いんじゃあ、柊先生がひそかに考えてる四君子には選ばれ
ないだろうね。可哀相な奴。
ああ、そろそろ僕も女を知らなきゃいけないかな。
姉上以外の女は全く魅力的だとは思えないけどね。
そうか、あの女官は口が堅いのか。いい事を知った。
まあ、不細工ではないし、田舎臭くもないし、適当かもしれない。
一夜限りの伽くらいなら、我慢してやってもいいかな。
幸い、姉上も群竹も居ないしね。
○年△月XX日
疲れたね、全く。
何故、世の阿呆どもはこんな下らない事にうつつを抜かすんだ?
女は簡単だった。
夜更けに部屋まで行って、扉をノックしようとしたら背後から「浅葱さまではありませんか、
如何されましたか?」なんてにやにやして声を掛けてきた。
部屋に入ると甘い香の匂いに気分が悪くなりそうだった。女は官服からだらしない薄物に着
替えて、上目遣いに僕をいやらしく見つめる。何だか寒気がしてきたから震えると、
「まあ、浅葱さま、お寒いのですか?」なんて言って馴れ馴れしく体を寄せてくる。
がたがた震えてたのは、風邪の前兆だったのかな。別に、あんな女ごときを恐れてたんじゃな
い。部屋も寒かったしね。
寝台に上がると、女が僕の着物を取り去った。震えがひどくなってきたから、「お寒いんです
ね」って女が言うと、女も裸になってぎゅうって抱きしめられた。
体を裏返されて、首筋から背中に舌を這わされると、ますます体がざわざわした。ひんやりし
た手がいきなり僕の「それ」に触れるからびくん、ってなった。女の手は何本もあるみたいに、
それをしごいたり、撫ぜたり、一時も休まない。その間、ずっと僕の体を舐めている。そうする
と――やっぱり、風邪を引いてたのかな――体がどんどん熱くなってきて、腰の奥がずうん、
って重くなって「それ」が熱くなっていくのを感じた。女は僕を仰向けにすると、乳首のあたりを
舐めたり、噛んだりした。僕が目を閉じてる事を良い事に、大胆にも熱く堅くなったそれに唇を
這わして、横笛でも吹くみたいに唇で上下になぶるんだ。頭がぼうっとしてきて、気が付くと女
が僕の体に馬乗りになって、「それ」を自分の中に収めようとしてた。
ああ、何だか眠いよ。明日続きを書く。
○年△月XX日
今日は一日眠ってた。体がだるくって。
ああ、昨日の続きね。
女は僕に跨って、そそり立った僕のを股にはさもうとしてた。そうしたら、ぴちゃって、音をたて
てするりと女の中に入った。
あったかくて、湿ったものに包まれて、きゅっと締め付けられるような感覚。女はゆらゆらと僕
の上で動いて、僕の手を自分の腰の方へと導いた。僕は手を女の腰にあてて、リズムを取る
ように揺らしてやった。そうするとどんどん女の中に自分のが深く突き刺さっていく。
痛みをこらえるような顔をしてるから、体を引こうとしたら女が笑って「お優しい方」って言って、
肩に接吻をした。
ますます女の動きが激しくなって、僕のそれが女の中の壁に絡め取られて、まるで吸盤に吸
いつけられているような感じだった。痛いくらいに締め付けられた瞬間、熱いものが僕の腰
の方から急に頭の方へと流れて、何かが体の中で爆発したと思った。
気が付くと、僕の隣で女が荒く息を吐いていた。
そういう時って、接吻の一つでもしてやるんだろう、って思ったから顔を寄せると女は笑って僕
の唇に手を添えて止めた。
「浅葱さまはいつか恋がお出来になる御方。その時まで唇への接吻は、その御方の為に
取っておかれた方がよろしいですよ」って。
笑った顔が、ちょっと姉上に似てたかな。唇がふっくらしたとこくらいだけどね。
この僕が女ごときに恋なんてする訳ないじゃないか。僕の好きな女性は姉上だけ。
僕は、恋なんてしないし、女になんて金輪際接吻だってするもんか。
339 :
柊日記 1:04/11/05 23:37:00 ID:bOJYly/z
○年△月XX日
女官が無事に役目を果たしたようだ。
これで梅若、蘭丸、群竹、そして浅葱さまは一応女を知った事になる。
どんなに腕の立つ猛者でも女に狂わされる事がある。
女は利用する事こそあれ、利用されてはいけない。
女によると、幸い、梅若と蘭丸は女は快感を得るだけの道具だと考えているらしい。
群竹に到っては、女が好きではないようだ、と言う事だ。まあ、それは気付いてはいたが。
浅葱さまは―――
「浅葱さまは母にすがる子供のように私に抱きついておいででした。あの冷たい瞳の奥には
人一倍さみしさを抱えていらっしゃるようにお見受け致します。あの御方が女性に魅かれた
時、それは真実の恋となるでしょう」
浅葱さまには白の大師のためにももっと冷酷になって頂かねばならない。
そろそろ、関東にでも出向いて頂く頃合かもしれぬ。
私は残酷か?
浅葱さまは幸せになって良い御方なのに。
女に狂わされているのは私かも知れぬ。
これは私の罪。
浅葱さまを人身御供にしている――ただ一人の女性を生き永らえさせるだけの為に。
浅葱さまが真実の恋を見つけた時、白の大師も解放されるのだろうか。
浅葱さまもご自分の居場所を見つけられるのだろうか。
銀子様、私はそれを見届けたいような気が致します―――
つー事で締めは柊先生で。締めなのにエロなくてすんません。
私の勝手な妄想ですが、浅葱はこの後、女とやっても接吻はしなかった、
つまり更紗がファーストキッスのお相手という事で・・・(有り得ねぇーよっ!)
長々と失礼致しました。たまにはこういう軽いのもいっかな、と。
上で、その後の浅葱を書いたら、若干疲れましたので。また、リハビリして
いつか戻ってこれたら、と思います。本当にお目汚し失礼しましたっ!!退散!
浅葱の日記よかたです
日記の人GJ!面白かった。
>>340 あなた様の再降臨に望みをかけて、このスレを巡回し続けます。
柊先生のオチまでついて、涙が出そうに感動しました。・゚・(ノД`)・゚・。
そっかー、関東の偽青の王にはチッスされなかったのね。救われた気分だ。
日記の人、いつかまた再降臨してくださいませ、お疲れ様ですた。
多聞ちゃんのお話が読みたいのだす。スケッチ風でいいのだす。
脇役中の脇役だからなあ。ああ文才がほすぃ(´・ω・`)
多聞をエロに導くのは限りなく難しい気が・・・
色恋に関して、恋はまだしも、色にはほど遠い人だからねー
私も大大好きなキャラなんだけど。
347 :
33:04/11/11 23:36:20 ID:AsIpsctx
オリキャラと絡めてもいいなら、なんとか出来そうかも。
いいでしょうか?
ろくなのにならなかったらすみません。
>>347 345だす。をををを!ぜひ!ぜひ!ぜーひー!お願いします。
ああ、市×菊で感動させていただいたうえに多聞ちゃんのお話まで
書いてくださるとは。後光が見えます。・゚・(ノД`)・゚・待ってます。
>>33様っ!お待ちしておりますっ!ああ、嬉しい〜っっ!!
市x菊もしみじみと良い作品でしたね。待ち遠しいですっっ。
・・・神様降臨の前に、拙作を投下してよろしいでしょうか。
>>33様ご降臨前の暇つぶし、前座、って事で。
長いし、エロ少ないので恐縮です。
朱理と更紗の二人が日本を離れて既に数年が経つ。
彼等は黄帝国から海路、欧州を目指し、そして今再び黄帝国へと戻ってきた。
港に降りると、更紗たちの船より一足先に入港した船があったのだろう、船着場で男達が
荷を降ろしたり、がやがやと忙しげに動き回っている。
「この前来た時よりもずいぶん港が賑やかだね、朱理」
「キリンもなかなか上手く国を治めているらしいな」
「帝、元気かなぁ」
他愛もない話しを朱理としながら、港をぶらぶらと見て回る更紗の耳にふと懐かしい言葉
が飛び込んできた。
「朱理、あの人達がしゃべってるの、日本語だよ!」
更紗は久方振りに聞く日本語に興奮して朱理の服の裾にしがみついた。
朱理が船を指差す。
「見ろ、堺屋だ」
見ると、風にはためく帆布に堺屋の屋号。
「うわぁ・・・懐かしい」
と、がやがやと作業する男衆の一人がびっくりしたような顔をして、駆け寄ってきた。
「あっ、赤の王!ちごた、朱理さん!」
「あっ、お前、堺屋の次男!」
朱理は驚いて、思わず大声を出す。
「朱理さん、よかったー!茶々さんから、あんたらがこの国に来はる大体の日付は聞いて
んやけど、こんなに簡単に会えるとは思うてませんでしたわ。菊音さんから新しい義手も
預かってますねん。いやあ、ほんま、奇遇ですな」
「茶々から聞いたの?私からの手紙、ちゃんと届いてたんだ」
更紗は懐かしい名前を聞いて、思わず破顔した。
「・・・日本は、今、どうなんだ?」
朱理が堺屋に尋ねる。堺屋は真剣な朱理の瞳を受けて、ふっ、と微笑んで答えた。
「まあ、何やごたごたしてますけど、商いの場はご覧の通り広がりましてん。ほんま、私
らはあんたらに足向けて眠れませんわ。そや、ここで立ち話も何やから、ゆっくり酒でも
呑みながら話でもしますか?」
「更紗、お前も来るか?」
「ううん、私、この辺、ぶらぶらしてる。後で、顔を出すね」
更紗は腰を落ち着けるより、まずは久しぶりに踏んだ揺れない大地を歩き回りたかった。
石造りの欧州の都に砂漠育ちの更紗は少々辟易していたので、砂漠や草原が恋しくてたまらない。
「そうか、判った。あまり遠くまで行くなよ」
朱理は更紗の胸中を計ったようににこりと笑うと、堺屋に連れられて酒屋へと向かった。
歩き出した二人の背中を見つめる更紗の肩をとんとんと叩く者がいる。振り返ると、自分
よりも一回り背丈の小さい少年が更紗を見上げている。
「更紗さん、ですよね?」
「うん、そうだけど・・・あなたは?」
「僕、蘇芳の都の者です」
「蘇芳の人がどうしてここに?」
にこにこと少年が微笑んだ。
「これからの時代は商人の時代だ、って僕の両親が。だから堺屋さんに頼み込んで働かせ
て貰ってるんです。って言ってもまだ使い走りみたいな事しか出来ないけど・・・」
「そうなんだ、偉いのね」
「そんな事ないです。こんな風に自由に職業を選べるのも、更紗さん達のお陰です」
ぺこりと少年が頭を下げる。
更紗はまだ幼さが残っている、けれど真剣な少年の顔を見つめると、微笑んだ。
少年も嬉しそうに微笑み返す。
すると、「あっ、そうだ」、と言って少年が船に戻る仕草を見せた。
「僕ったら肝心な事を忘れてました!更紗さんに、茶々さんから預かっているものがある
んです。船から取ってきますから待っていてくれますか?」
少年は船へと駆け出した。
程なくして息を切らした少年が戻ってくると、彼は風呂敷に包まれた、両手にすっぽり
収まるくらいの小さな荷物を更紗に差し出した。
「何かな、これ?」
少年が小首を傾げる。
「僕も知らないんです。でも、茶々さんが更紗さんに絶対に絶対に渡すように、って・・・」
「そっか、有難う」
更紗は少年に判れを言うと、小箱を肩から下げた袋に入れ、ゆっくりと歩きだした。
途中、宿屋の軒先の酒屋で堺屋と飲んでいる朱理を見つけて手を振る。朱理が更紗に、
あんまり遠くへ行くなよ、と再び声を掛ける。更紗は笑って頷くと、そのまま歩を進めた。
街の外れまで歩くと、まだ広い草原が残っている。更紗は爽やかな風を思い切り吸い込んだ。
小高い丘の上に大きな木を見つけると、更紗はそこまで歩いていって木陰に腰を下ろした。
袋から少年から貰った荷物を取り出し、風呂敷の結び目を解いた。
きっちりと封をされた小箱の上に、茶々の字で「タタラへ」と書かれた封筒が載っている。
「相変わらず『タタラ』って呼ぶんだから」
更紗はくすくすと笑い、茶々の手紙を読み始めた。
タタラ、おっと、今は更紗だったね。ごめんごめん。
いつも手紙、有難う。皆、あんたが元気にやってるのを嬉しく思ってるよ。
赤の王も―――まあ、元気なんだろうね。
もしも今、朱理が傍に居るなら、この手紙は一人で読んで欲しいから封筒に戻しておくれ。
意地悪で言ってるんじゃないよ。多分、これを読んだらあんたは馬鹿みたいに素直だから、
感情がすぐ顔に出ちゃうだろ―――この手紙は揚羽についてだから。
「揚羽!?」
思いがけない名前を目にし、更紗は思わず目を見開く。
更紗は一縷の望みを抱いて、茶々からの手紙に目を戻した。
京の、王城跡を掘り起こしてたんだよ。放っておく訳にも行かないからね、とりあえず更
地に戻さないと。それに、揚羽があんな冷たい土の中で眠ってて良い訳はないからね。
サカキが連れてきたシファカって言うのは使えるね。ずいぶん土木の技術が黄帝国では
進んでるもんだ。作業も順調に進んだよ。―――って言っても、今迄掛かったけどね。
城が崩れてかなりの土砂が流れ込んだから、正直言って揚羽の事は諦めてたんだ。
座木なんて「あいつの事だから、絶対ふらっと戻ってくる。無駄だ」って言ってたしね。
でも、やっぱり揚羽は居たよ。
揚羽の装束と眼帯が見つかったんだ。
奇跡だね。いや、正直、複雑な気分だよ。
揚羽の遺骨は焼いて灰にして砂漠に戻してやった。城の下で眠るよりずっと揚羽らしいだろ?
あんたを誰より可愛がってた揚羽だ。灰の半分と、眼帯をあんたに送る。
持っていても良いし、空に還してやってもいい。好きにしておくれ。
―――正直、これを送るのは迷った。でも、今は間違ってないと思ってる。
いつ日本に戻るんだい?みんな、楽しみに待ってるよ。私もそろそろ海が恋しい。もしか
したら、どこかの海で会うかもね。
また手紙を書くよ。変なもん食って腹壊すんじゃないよ。
茶々
(揚羽――――――)
更紗は手紙を握り締め、魔法にでもかかったように動けない。
膝の上の小さな箱。
更紗はゆるゆると視線を下ろすと、魅入られたかのように箱を凝視した。
どれだけの時をそうしていたのだろう。更紗はゆっくりと腕を動かし、その箱に触れた。
更紗は深く深呼吸をすると、思い切ってその箱を開けた。
白い、砂のような灰。
更紗はそっと、その灰に触れる。
見つめる更紗の瞳から涙が一滴零れ、それが灰の中にぽとんと落ちた。
更紗は蓋を静かに閉じ、箱を抱き締めると、瞼を閉じた。
(「必ず守るから、安心してろ」)
揚羽。
(「何をしてほしいか言え。なんでも聞いてやる。動いてやるから」)
揚羽。
(「おまえは新しい国のために生きろ」)
揚羽。
(「――――借りはもう、返してもらったよ」)
「あ、揚羽ぁ――――・・・っ!!」
兄のように、父のように、母のように、友のように――――その全てであった人。
揚羽、揚羽、と更紗は叫び、箱を抱き締め、体を折って慟哭する。
「どうして、どうして、こんな・・・!嫌だ嫌だ嫌だーーーーーっ!!」
風が、更紗の髪を揺らす。
赤い夕陽が更紗を紅に染める―――
「おう、更紗!」
店先でまだ飲んでいる朱理が戻ってきた更紗を見つけて、声を掛ける。
「更紗はん!朱理さん、ザルですわ。ここの酒屋の酒、呑み尽くしたんとちゃいますか?」
「更紗、ここの宿屋はなかなか気が利いてるぞ、こんな飲み屋があるくらいだからな。
今日は遅いし、ここで休むぞ」
「・・・うん、判った。先に部屋に行ってていい?朱理はまだ飲み足りないみたいだし」
ようやく顔に微笑みを作って、更紗は今が薄暗くて良かった、と思いながら足早に宿屋の
中に入った。
灯りも点す事もせず、薄暗い部屋の中、更紗はぺたんと床に座り込む。
理解していたはずなのに。
―――――揚羽はもうこの世には居ないのだと。
判りきっていた事なのに。
―――――もう、あの笑顔を見る事はないのだと。
あの暖かい胸に抱きしめられ、自分を癒してくれる事はない。
あの広い背中で自分を守ってくれる事はない。
あの優しく厳しい声を聞く事も、もう、ない―――――永遠に。
更紗は止めなく流れる涙で濡れる両目を手で塞ぎ、嗚咽を堪えるように体を折った。
(揚羽――――――)
「揚羽、揚羽」
更紗は泣き疲れ、力尽きると床へと崩れ落ちた。
カタリと扉が開く音がした。
窓を開け放して眠ってしまったのだろうか、風がここまで爽やかに吹き込む。
体の上に日が差しているかのように暖かい。更紗は心地よさに再び眠りに戻ろうとする。
乾いた風が、更紗の髪をさらりと揺らした。閉じた更紗の瞼を風がくすぐる。
柔らかい風に乗せて、人の気配が更紗に近いてきた。
「タタラ」
呼ばれて更紗は、顔をゆっくりと声の主の方に向ける。
柔らかな光りがあたりを照らしている。更紗は急に目に飛び込んだ光の眩しさに目を細め
つつも、人影に視線を凝らす。
青い装束に身を包んだ「その人」が微笑みを浮かべ更紗を見つめている。
更紗は光を背にしたその懐かしい姿へと手を伸ばす。
彼はその手を掴むと、暖かく、たくましい胸の中に更紗の体を抱き寄せた。
「揚羽・・・」
更紗は涙を流しながら、その体にすがった。
「すごく、すごく、会いたかった」
「・・・相変わらず、泣いてばかりだな、タタラ」
低く涼やかな声。
誰とも違う、その柔らかな声音。
更紗は、揚羽に抱きつき、ただ揚羽の名を呼び続けた。
この辺で半分です。
堺屋さんの関西弁は・・・見逃してください。本当にすいません。深くお詫びします。
こっから、揚羽さんとのからみなので朱理ファンの方、スルーして下さいまし・・・
熱く乾いた風が頬を撫ぜる。
目を見開くと眩しい陽光が更紗の目に刺さる。それよりも眩しい揚羽の笑顔。
更紗はいつの間にか草原に身を横たえていた。
そして、その華奢な体は既に生まれたままの姿となって揚羽の体に包み込まれている。
揚羽の腕はあくまで優しく、だが力強く更紗の体を抱き締めている。
更紗は恐る恐る顔を上げる。昔と変わらない、美しい瞳が―――両眼が―――自分を見
つめている。微笑んでいるその揚羽の顔を見て、更紗は再び涙を流す。
涙に濡れた瞼に、柔らかな揚羽の唇が落ちる。瞼に、額に、頬に、唇に揚羽の口づけが
繰り返し落とされる。更紗はくすくすと笑った。
「どうした、タタラ?」
「揚羽の睫毛が顔にあたって・・・くすぐったい」
揚羽はきょとんとしたように目を見開いたが、再び微笑みを浮かべて、その唇を更紗に
押し付けた。
大きな掌はすっぽりと更紗の小さな乳房を包み込み、唇は更紗の陽に焼けた肌を彷徨った。
更紗はうっとりと揚羽の動きに身を任せる。暖かな大きな体が更紗をくるみこみ、更紗は
隙間一つ作りたくないかのように揚羽に身を寄せる。
「・・・洗濯物」
更紗が呟くと揚羽は怪訝な顔をした。
「あったかい太陽の下で風に吹かれてる洗濯物の気分、今の私。太陽と風が、揚羽」
「お前が洗濯物か」
ふっと笑うと揚羽は更紗の乳房に口づけた。更紗は甘い痺れに体をよじらせた。
「ひゃ・・・ん」
脇腹を舐め上げられて、更紗が一層高い声を漏らす。
揚羽は気にせず、更紗の肌に舌を這わせ、その手は柔らかく更紗の尻を揉みしだいた。
後ろ髪を軽くつかまれ、首を揚羽に晒す姿勢になると、更紗の首筋は揚羽に口づけられる。
首筋からゆっくりと舌は耳元へと移動し、吐息をふうっと吹きかけられ、耳朶を甘噛み
される。
くすぐったさに逃げようとする更紗の体はしっかりと右腕で抱きかかえられ、空いたもう
片方の手が更紗の小さな乳房の頂きをつまみ、吐息は熱く耳元へかかる。
揚羽は更紗の体を抱きかかえると、ちょうど母親が赤子を抱くように自分の膝の上に
座らせた。更紗は甘えるように揚羽の体に身を預ける。
更紗の指先は揚羽の口の中で丹念になぶられる。更紗は腰の奥の方が熱くなり、そこから
とろとろと蜜が吐き出されるのを感じた。蜜は揚羽の腿にまで落ち、それを一すくい揚羽
は指で拭うと、更紗の口の中に指を収めた。
更紗は自分の蜜ごと揚羽の指を味わう。
瞼を閉じ、一心に自分の指を味わう更紗の様子に揚羽は面白げに瞳を光らせると、指をそ
ろりと更紗の濡れそぼる場所にあてた。
更紗の背中がぴくん、と反り、反動で揚羽の指をがり、と噛んでしまう。
「あっ、揚羽、ごめん」
揚羽が笑って更紗の頭を自分の胸に押し付ける。
「お前は、黙って大人しくしてろ」
言う先から揚羽の指はするりと更紗の中へと入れられ、ゆっくりと更紗の中を掻き回す。
更紗は思わず声を漏らし、その自分の声に恥ずかしくなり、ぎゅっと唇を噛み締めて揚羽
の胸に顔を押し付ける。
が、すぐに堪らなくなって更紗は噛み締めた唇の隙間から喘ぎ声を漏らす。
揚羽は指を二本に増やして更に攻め立てた。
「ああ・・・ん」
更紗が嫌々をするように首を振る。構わず揚羽は中を掻きまわす。
充分に濡れそぼった更紗の中を指で堪能すると、揚羽はゆっくりと更紗の体を倒した。
頭を抱き、唇をそっと自分の唇で塞ぐ。
更紗は夢見心地で揚羽に問う。
「ねえ・・・揚羽?」
「どうした?」
「揚羽は―――今、何処にいるの?」
「どこにでも。お前が会いたいと思うところに」
「そういうものなの?」
「そういうものだ」
揚羽はにっこりと笑うと、更紗の体を抱き締めた。
揚羽の熱く堅くなったそれが更紗の体を貫く。大きなそれを収めて、更紗は喉元まで貫か
れたような気がして小さく悲鳴を漏らす。
揚羽の体が動くごとに、更紗の悲鳴は嬌声に変わる。浅く、深く、更紗の体の隅々まで
知り尽くしているかのように揚羽の体は動き、更紗に喜びの声を上げさせる。
更紗は流れる水に押し流される小舟のように、どんどん快感の淵へと流される。
体の一つ一つが快感を生み出すスイッチのように、揚羽に触れられる度に、口づけられる
度に、更紗の体は快感を増していき、ほとんど失神しそうになってがくがくと体は揺れた。
更紗の脚は持ち上げられ、揚羽の肩に乗せられた。更紗は自分がとても恥ずかしい姿をし
ているのを頭の奥でぼんやりと理解はしていたが、体は更に快感を求めて揚羽の腕を強く
掴んで引き寄せてしまう。
揚羽は導かれるままに、一層腰を深く更紗の中に熱く張ったそれを差し入れた。
更紗の脚がぴんと張り詰め、きゅうと中が締まる。
揚羽は勢いを増して、深く深く更紗の中を突く。
腰の奥から殆ど痛みにも似た快感が背中へ駆け上り、更紗の頭の中で何かがぱちんと
はじけた。
「揚羽!」
更紗が絶叫した瞬間、揚羽のそれからどっと熱い奔流が流れ出て、更紗の中を満たしつくした。
ゆっくりと更紗は目を見開き、揚羽が微笑んでいるのを見てその顔に手を伸ばした。
髪の毛に触れ、更紗の指は柔らかい揚羽の髪の中を彷徨う。
揚羽が白い小さな花を更紗の髪に飾った。
更紗はそのビロードのような花弁に触れ、ふくふくとした香りを発する花を見つめると
有難う、と小さく揚羽に呟いた。
瞼が揚羽の唇で塞がれる。
更紗はうっとりと瞼を閉じ、揚羽の甘い口づけに身を任す。
と、覆い被さる揚羽の重さが軽くなっていくのに気付いて更紗は目を開いた。
あたりが白い光に覆われている。揚羽の姿も光に埋もれつつある。
光に絡め取られてしまったように、更紗は自分の体を動かせない。
更紗は懸命に指先に意識を集中させ、逃したくないかのように、震える手をようやく伸ば
すと揚羽の腕を掴んだ。
「嫌だ・・・」
揚羽は涙を流す更紗の頬に口づけた。
「行かないで、揚羽」
更紗は最早目も開ける事が出来ず、かすかに揚羽の唇の感触だけを薄れ行く意識の中で感
じる。視覚と触覚を失いつつある更紗の耳に、揚羽の声が響く。
「前・・・」
(何?聞こえないよ―――揚羽)
「前へ―――」
更紗は風にふわりと包まれて、光の中に投げ出された。更紗の体は重力の戒めを離れて、
風に舞う。
更紗の体は実体を失くし、一片の花びらのように風に揺れる。
更紗は見えない目でくるくると花びらが風と戯れるのを見る。
風は花びらを運ぶ。地に落とさぬように、風が花びらを吹き上げる。
風と花が交わり――――そして花びらはゆっくりと大地へ帰っていく。
(前へ、進め――――タタラ)
「おい、更紗」
揺さぶられて更紗はゆっくりと意識を戻す。
「いつまで寝てるんだ、更紗。もう朝飯の時間だぞ」
「朱理・・・?」
「珍しいな、お前が俺より遅くまで寝てるなんて」
「うん・・・?」
「まだ寝ぼけてるな」
朱理が笑ってくしゃっと更紗の髪の毛をかき回す。
「俺は先に下に下りてるから、顔を洗ったら食堂に来いよ」
朱理は立ち上がると階下へと向かう。と、おお、そうだ、と更紗に振り返って言う。
「いい夢でも見てたのか?お前、寝ながら笑ってたぞ」
早く降りて来いよ、と声を掛けると朱理は軽い足音を立てて階段を下りて行った。
「・・・夢」
更紗は呟き、のろのろと起き上がると布団の上に座り込んだ。
座ると、部屋の隅に置いてある小箱が目に入る。
「揚羽・・・」
更紗はふと、自分の拳が強く握り締められているのに気付いて、それを開いた。
白い、小さな花。
更紗はその花弁に触れる。しっとりとしたビロードの感触。そして、その香り。
(「揚羽は何処にいるの?」)
(「どこにでも、お前が―――」)
「――――私が、会いたいと思うところに」
更紗はもう一度だけその花の香りを嗅ぎ、一筋涙を流して―――微笑んだ。
「遅いぞ、更紗!もう腹がぺこぺこだ」
「朱理、待っててくれたの?」
「お前と食べた方が飯が美味いからな」
朱理は更紗が席につくなり、店員を呼ぶと品書きを指差して、あれこれと注文する。
ぱくぱくと食事をする朱理を見つめて、更紗はにこにこと笑った。
「何だ、お前は食べないのか?今日はキリンのところまで遠出しようと思っているから
今の内に食べておかないと体が持たないぞ」
「今日これから?早速?」
「当たり前だ。動ける内に出来る事はどんどんするぞ。前へ、前へ、だ」
「前へ―――」
更紗は朱理を眩しげに見つめた。
「朱理」
「なんだ?」
口元に飯粒をつけた朱理が顔を上げる。
「大好きだよ、朱理」
「なんだ、急に」
「大好き」
ちらりと照れたような顔を浮かべる朱理の顔を見つめ、更紗は心から湧き上がる幸せに、
顔に大きな笑顔を浮かべた。
サダナさんと会った草原に寄らせてもらおう。
あそこに、揚羽を放とう、いつでも風が吹くあそこに。
風は揚羽をどこに運ぶのだろう。
風は海を渡って、揚羽を日本に運ぶだろうか。
風はいつでも、そこに。
風はいつでも―――ここに。
(前へ、進め。タタラ――――)
<了>
お粗末でしたっ!!
あまりに都合の良すぎる内容に呆れられた方、お許し下さい。
創作関西弁(もどき)に不愉快になられた方、本当にごめんなさい。
読んでくださった方たち、有難うございました。
逝って、もっと精進しますorz
また、いつか・・・(さすがにネタ切れ)
感涙…(ノ_<。)
素晴らしい作品をありがとうございました!
マジ泣けます。
更紗ってば朱理がいるのに〜っ。ムキーッ!
でもイラスト集か何かで「BASARAキャラで本当に好きな人は?」って言う質問に
更紗が「揚羽」って答えてたの思い出した。
作者さんありがとう!
感動しました!! (T。T)
これで揚羽が報われるといいなぁ。
いつまでも更紗を見守っていてほしいです。
作者様〜ありがとう☆
揚羽話うれしいです!涙が出ました。
これで揚羽も、報われるかなぁ。
揚羽、風になれるんだね。よかった…作者さんどうもありがとう。・゚・(ノД`)・゚・。
保守。
ここ、はじめてのぞきましたが、良作ぞろいですね!
特に揚羽×更紗には涙〜。
作者さん、GJ!
ごめん、良スレなのでage。
ここの作者さん達、再降臨待ってるze!勿論、新人さんもカモーン!
375 :
名無しさん@ピンキー:04/11/21 01:32:50 ID:JSHD90OF
・・・って言って、あがってないし。
逝ってきます・・・orz
376 :
名無しさん@ピンキー:04/11/25 09:33:54 ID:GEdfVgol
保守age
377 :
名無しさん@ピンキー:04/11/28 23:30:26 ID:vzN04Xrd
33様待ちage
378 :
33:04/11/29 00:12:32 ID:Ed5glHG+
>>377 遅くなっていて、すみません(汗)
あと一週間、待ってやってください・・・
379 :
名無しさん@ピンキー:04/12/04 00:48:35 ID:YEAeefz1
hoshu
380 :
33:04/12/04 03:50:03 ID:UL0HCfst
書くといってから随分時間が経ってしまってすみませんでした。
あまり多聞さんぽくなくなってしまった気もするのですが、投下します。
あと、オリキャラが相手なので、そういうのが苦手な方はスルーでお願いします。
381 :
33:04/12/04 03:50:44 ID:UL0HCfst
その日も多聞は岩場で釣りをしていた。
成果はまずまず。
けれど、今日の夕食には少し足りない程度だったから、多聞はまだ釣りを続けることにした。
暖かな春の日差し、程よい東風、心地よい波の音。
「絶好の釣り日和なのだす」
誰もいない海辺で、そう呟いて餌を付け、また竿をしならせる。
こんなことを繰り返すうちに、多聞はいつの間にか眠ってしまった。
「……ん。…………もん」
「ん……」
誰かが呼ぶ声で、多聞はようやく目を覚ました。
気づけばあたりはだいぶ薄暗くなっており、太陽は海へと潜り込もうとしているところだった。
「ああ、寝てしまったのだすな」
「こんな所で寝ていては風邪をひくわ」
女の声に、顔をそちらに向けると、髪の長い女が心配そうにこちらを覗き込んでいた。
「おお、あんたが起こしてくれたのだすか。ありがとうなのだす」
女は、安心したようにほっと息を吐くと、にっこりと笑って首を横に振ったが、その拍子に水滴が多聞の顔に飛んだ。
よく見ると女の髪は濡れている。
びしょ濡れというほどではないが、服も濡れて体に張り付いているようだった。
「あんた、濡れているではねえですか。あんたこそ、そのままじゃ、風邪をひいてしまうのだす」
多聞は寝ている間も握っていたらしい釣竿を脇に置くと、上着を脱ぎ、それを女に手渡そうとした。
しかし、女はまた首を振り、口元には笑みをたたえつつも、眼に涙を浮かべてこちらを見ている。
「風邪を……ひいてしまうだすよ?」
相手に上着を受け取る意志がないと判断すると、多聞は上着を女の方に羽織らせてやった。
382 :
33:04/12/04 03:51:39 ID:UL0HCfst
「…………」
「家はどこだすか?送っていくのだす」
多聞は、太陽がすっかり姿を消し、かろうじて朱を残している水平線を見て立ち上がると、無言で上着を握り締めて俯く女に手を差し伸べた。
「……もん…………」
「……?オラの名前を知っとるのだすか?」
女は多聞の手にすがるようにして立ち上がると、悲しげな目をこちらに向けた。
「沙門……どうして……」
「さもん?オラの名前は多聞だすが……」
女が眉を寄せる。
目から涙が溢れて頬を伝った。
「あんた……誰か、探すてるのだすか?」
「あなたを、……あなたをずっと探していたわ」
「それは、おそらく人違いなのだす」
多聞が冷たい手を引こうとすると、女は多聞の腕にすがり付いて、強く首を振った。
「どうして?どうして、そんなことを言うの?だって、あなたはここに来てくれた。
私が少し場所を間違えてしまったから、あなたを待たせてしまったけれど……」
「それはたまたまなのだす。オラは晩ご飯の魚を釣りに来ただけなのだす」
「ええ……ええ、あなたはいつだって釣り場で私を待っていたわ。だから、今日も……」
「困ったのだす。どう言ったら、分かってもらえるべか」
頭の中からいいアイディアでも見つけ出そうというように、多聞が頭をかくと、女はひんやりとした頬を胸に寄せてきた。
383 :
33:04/12/04 03:52:34 ID:UL0HCfst
「何も言わないで……。会えたから、それでいいのよ」
「あんたー……ええと……」
女の冷たすぎる身体と言動にさすがの多聞も困惑し、さらには呼ぶ名が見当たらなくて多聞が口ごもると、女はそれを察したのか、胸に寄り添ったまま顔だけを上に向けた。
「吉祥と……いつものように名前を呼んで」
「きちじょうさんだすか。吉祥さん、あんた冷たいでねえか。寒いから、とりあえず、オラたちのところに行くべ」
多聞が女の両肩に手を置くと、女はようやく顔を離した。
そして、また多聞の方を向いて、
「……寒いの?」
と、首を傾げた。
「オラはこのくらい寒のはは平気だすが、あんた、濡れてしまってるでねえか。
このままだと、あんたこそ風邪をひいてしまうのだす」
多聞がそう言うと、女は静かに自分の手にどこか虚ろな視線を向けた。
「寒くは、ないけれど……」
「んだども」
多聞が口を開きかけると、女の冷たい腕が首に巻きついてきた。
「沙門が寒いなら、暖めてあげるわ……」
女の身体が押し付けられる。
服が濡れているせいで、やけに輪郭がはっきりと伝わってくるけれど、体温は人間のものとは思えないほどだった。
384 :
33:04/12/04 03:53:27 ID:UL0HCfst
「き、吉祥さん、ダメなのだす。風邪をひいてしまうのだす」
多聞は再度そう言ったけれど、女の耳には届いていないようだった。
「暖かい……」
「ま、待つのだす……」
冷たいのにまとわりつくようなねっとりとした息が首を撫で、喉が凍りつくような感触に、多聞は言葉を上手く紡げなくなってきた。
「待てないわ……。ずっと探していたのよ?」
女の手が首から肩へ、肩から背へと滑り落ちてきて、多聞はぞくりと身体を震わせた。
「き、きちじょ……」
「いいのよ、沙門。そのままにしていて……」
月明かりでかろうじて見える女の瞳は、もはやこちらを見ていない。
冷たい風に乗って、かいだことのない奇妙な香りに鼻がくすぐられると思った瞬間、手がさらに下へと降りてきて、尻を撫でられた。
「なっ!なにを……」
なにをするのだすか、と言いたいのに、口が固まって動いてくれない。
首を這う女の舌と、後ろから前へと腰を伝ってくる手の動きに、どうにか女から離れなくては、という多聞の意志とは裏腹に、身体は快感を感じる度合いを強めていく。
「や、やめっ……」
女の肩を掴み、身体から引き剥がそうとしてみても、腕に、身体に力が入らない。
そのくせ、肝心な場所だけが女を強く押し返していた。
「ああ、沙門……嬉しい……」
女がするりと腰の紐をほどいた。
「まっ、つのだ……す……」
潰れそうにかじかむ喉をこじ開けてはみたものの、その声は掠れ、これまで同様、女の耳には全く届かなかったようだった。
385 :
33:04/12/04 03:53:58 ID:UL0HCfst
女の手が容赦なく身体に触れる。
「あ、うっ……」
冷たく自分を包むそれに身体が粟立った。
それなのに、女の髪から漂ってくる奇妙な香りに当てられてか、多聞の熱は一向に収まらず、多聞は女の身体にしがみつくしかなかった。
「沙門……苦しいの?」
女の指が形をなぞり、敏感場所を撫で上げていく。
「もっ、もう……」
やめてほしいのだす。
その肝心の言葉が出てくれない。
女の手が慰めているかのように、ゆっくりとなめらかに幾度も往復する。
「はっ、あ……く……」
背を伝い、頭まで駆け上がってくる快感に支配されそうになる理性を留めることに多聞は必死になった。
「いいのよ……このまま、いってしまって?」
それを見透かしているかのように、女が囁き、先端の亀裂をぬるぬると指が辿る。
冷たいくせに、ぬるい誘惑を帯びた言葉が多聞を攻め、多聞は頭を左右に振った。
「だ、ダメ……だす……」
「ふふ……やっぱり、あなたは意地っ張りね」
「ちが……あッ!」
女の手に力が入り、耳を噛まれ、多聞はびくりと身体を反らした。
これ以上なにかされたら、本当に限界が来てしまう。
それは分かるのに、抵抗しなくては、とも思うのに、身体はもうどういう反応を示していいか分からなくなっていた。
「き、ちじょ……さんん……」
かろうじてそれだけ言うと、唇が耳に触れた。
386 :
33:04/12/04 03:54:31 ID:UL0HCfst
「お願い。ここで、私で、いって……」
その声の含んだ物悲しい雰囲気に一瞬気を取られた瞬間、自分を包む力が強まった。
「あ、……ふ、うっ…………ッ、うあぁっ!」
その力と、更なる動きに耐えきれず、多聞は女の手へ向けて熱を放った。
がくがくと身体が震え、身体から熱が引いていくと同時に、脚からも力が抜けていき、多聞は後ろの岩にもたれかかった。
女は恍惚とした表情で白濁に塗れた手を眺めていた。
息がうまく出来ずに喘いでいると、女は恍惚とした表情のまま、多聞の足元へと膝をつき、多聞の膝へと手を伸ばしてきた。
「きちじょ……さん?」
「沙門……私を、愛して……」
寄せられた顔と開かれた口に、多聞はとっさに身体を起こして、今度こそ女の肩を押し返した。
「や、やめるのだす!」
女は悲しげに見上げて、
「どうして?」
と聞いてきた。
多聞は、手早く服を直し、腰紐を付くと、女の前に膝をついて、女の手を取った。
「オラは、あんたの言う、さもんさんではないのだす。だから、そんなことをしてはいかんのだす」
「でも、あなたはここで待っていてくれたわ?」
「たまたまなのだす」
多聞は釣り道具の箱から手ぬぐいを引っ張り出すと、それで女の手を拭いながら言った。
「あんたには、すまんことをしてしまったのだす。だども、これ以上は絶対にいかんのだす」
「どうして?」
「オラはさもんさんじゃないのだす。したら、さもんさんは悲しむべ」
女の目から涙がぽろりと落ちた。
「……沙門は、どこ?」
「分からんのだす。だども、さもんさんは、きっとどっかであんたを待っとるのだす」
手ぬぐいを脇へとやると、多聞は女の手を握り締めた。
387 :
33:04/12/04 03:55:26 ID:UL0HCfst
女はしばらく、その場で泣いた。
多聞は夜風から女を守るように、彼女の肩を抱いていた。
冷たい風が吹き、月明かりが雲に隠れると、女はゆっくりと身体を起こし、
「行くわ……」
と、言った。
「途中まで送るのだす」
と多聞が立ち上がると、女は小さな笑みを浮かべて顔を横に振った。
「さようなら」
女はそう言うと、波の音のする方へと歩き出し、闇に溶けるように姿を消した。
更にしばらくして雲が切れ、月が再び取り戻した明かりの中、多聞が足元に転がっていた釣り道具を拾い上げ、足場の悪い岩の上を歩き出すと、どこからともなく、
「ごめんなさい。ありがとう」
という声が耳に届いた。
振り返ったが女の姿は見えない。
多聞は月明かりの下で僅かに頬を染めた。
(了)
いやーん、多聞ちゃんキターーーーーーッ!!
作者さん、GJ!GJ!GJ!
なんか、ミステリアスでいいですねぇ。色々な解釈が可能な
面白い作品だと思います。うーん、嬉しい。よくぞ多聞をエロに導かれた!GJ!
389 :
33:04/12/05 00:20:23 ID:oad2xjlh
>>388さん
ありがとうございます。
というか、今更気付いたんですが、誤字脱字がめちゃくちゃ多すぎ……_| ̄|〇
にもかかわらず読んでくださった方、ありがとうございました。
そして、本当にすみません
>>33さん
待っておったのだす、多聞ちゃん。オリキャラもいいもんだすな。
人外の女(きっとベッピン)、月夜の幻想的な雰囲気、良いです。
きっと「多聞が行く!日本全国釣りバカの旅」の途中にはこういう
不思議な体験もあったに違いないと思います。
それにしても、多聞ちゃんやっぱり理性的。ああああ大好き!
ありがとうございました。今夜はいい夢が見られそうです。ホワーン
キガムイタラ、マタカイテクダサイマセ。ゼヒ。ヒソカニヒソカニオマチシテイマス。
391 :
350:04/12/05 01:15:29 ID:en0kc1Do
>>33さま。
多聞って本当にエロに導くの難しいキャラだと思うのです。
にも関わらず、本当にGJだす!尊敬します。オリキャラもイメージ膨らみますねっ。
師走のお忙しい中、お疲れ様でした!
392 :
395:04/12/07 20:25:07 ID:QesiHKM5
>>33様。
またのご降臨をお待ち申しております。堪能致しました。じゅる。
多聞ちゃんってば、んもう可愛い!まさか童○を奪われた訳ではないですよね?
ん?だったら多聞の○貞は誰が奪ったんだぁ!?
あっ、クッキー食い残し。失礼しました!
>33氏
個人的には喘ぎ声に田舎っぽさをもうちょい……と思ったけど
それ以外は違和感無かった。やっぱ(゚Д゚)ウマー
395 :
33:04/12/12 22:06:37 ID:iE2b031X
読んで下さった方、感想を下さった方、ありがとうございました。
機会があったらまた書きたいですが、次はエロにしようとしても多聞ちゃんはエロってくれなさそうです・・・_| ̄|○
色々と精進させていただきます。
4日に1レス。これ応用。
3日に1レス。これ基本。
398 :
33:04/12/25 02:06:57 ID:nWVdDRGh
皆様、メリークリスマスです。
保守代わり、こりずに市菊を落とさせてくださいませ。
399 :
33:04/12/25 02:07:40 ID:nWVdDRGh
「なぁ、菊音ー。なんだよ、この真っ赤な服」
「文句は言わない!今日は私の言うこと聞くって約束したじゃない」
「しかし、これは赤過ぎないか?」
「いいから着る!」
「……へーい」
確かに約束はしたけれど、こんなに妙なものを着るハメになるとは思っていなかった。
市松が溜息混じりに返事を返すと、菊音はちゃんと着替えてね、と念を押して部屋を出て行った。
赤い上着に赤いズボン、そして赤い帽子。
どれも裾には白くて柔らかい布が付けられている。
ブーツとベルトは黒いが、どう見たって格好がいいとは言い難い。
むしろ、滑稽と言った方が早い。
孤児院の子供にプレゼントを配るために、何故こんな格好をしなくてはいけないのか理解に苦しみ、市松は思った。
異国の祭りはおかしい、と。
400 :
33:04/12/25 02:08:24 ID:nWVdDRGh
着替え終えてしばらくその場で待っていたが、菊音が来ない。
市松は赤い帽子を持って部屋を出た。
三角形の帽子の先に着いた白い球体を弄りながら縁側を通ると、角のある茶色い何かが馬車に何かを積んでいた。
「なっ!?」
さすがに驚いて声を上げると、その茶色い鹿のようなものがこちらを向いた。
「あっ!お市さん。ちゃんと着てくれたのねー。似合ってる、似合ってる」
角のある着ぐるみを着た菊音はそう言って笑い、自分の角を両手で持って、似合う?と小首をかしげた。
はっきり言って、おかしい。
しかし、その仕草がちょっとかわいくて、市松は笑って頷いた。
「よかった……」
菊音が少し照れて、自分の頬を撫でた。
そんな菊音の頬に自分も触れたくて、市松は縁側から雪の上に降りた。
「似合ってはいるが、菊音。なんだそれは?」
「えー?トナカイだよ」
「鹿かと思った」
本当は頬に伸ばしたい手を角に伸ばし、市松は答えた。
「うーん……確かに私も最初はそう思ったけど、でも、角の形が違うでしょ?」
菊音が自分の頭の上の角を見ようとして首をかしげた。
「そう言われると、そんな気も……」
「もう。ちゃんとクリスマスの説明したのにー」
そうは言われても、トナカイという鹿に似た動物が赤い服を着た老人の乗ったそりを引いて宙を飛び、子供たちにプレゼントを配って歩くなどという話をされても、ぴんとくる訳がない。
401 :
33:04/12/25 02:09:10 ID:nWVdDRGh
そんな思いが顔に出たのだろう。
菊音は頬をぷくっと膨らませると、馬車の荷台から何か白いものを取り出した。
「もういいよ」
”くりすます”を楽しみにしていたらしい菊音のぞんざいな言い方に、少し申し訳ない気持ちになったが、分からないものは分からない。
異国の祭りにいつものペースを乱されて、菊音をなだめる言葉を捜していると、菊音が白いものを持った手をこちらに伸ばしてきた。
「菊音?」
「はい、これ、サンタさんの髭ね」
一瞬期待した別のことを覆されて、またいつものペースが遠のいていく。
「髭も付けるのか……」
「そうよ。髭がなかったらサンタさんじゃないもの」
「ふーん……」
やはり理解しがたく、口を尖らせると、菊音の表情が不安そうになった。
「お市さん、こんな格好するの、ホントはすごく嫌?」
その表情を見て、ようやくいつものペースが戻ってきた。
「まあ、嫌とまでは言わないけどな。菊音との約束だし」
菊音から付け髭を受け取る。
「やっぱり嫌なんだ」
「そうじゃない」
「でも、嫌そうだもん」
やはり菊音は”くりすます”が好きらしい。
再び頬を膨らませて、そっぽを向いてしまった。
402 :
33:04/12/25 02:10:14 ID:nWVdDRGh
市松は髭を付けようとしていた手を止めて、身をかがめた。
「何よう……」
「くりすますも、ガキにプレゼントをやるのも、この格好をするのも嫌じゃない。でも、俺もプレゼントが欲しい」
「えっ……あ、い、一応、お市さんの分も用意して、ある、よ?」
予想外の答えに、嬉しくなって顔が緩みそうになったが、それを抑えて市松は、
「お、何?」
と尋ねた。
菊音が目を逸らす。
「な、内緒。帰ってきたらね!」
「へー。当ててやろうか?」
「当たらないもん」
「いーや。当たるな」
姿勢を戻して反り返り、にまりと笑って見せると、菊音が見上げてきた。
「へー。じゃあ、何よう」
「ずばり、菊音だ」
思ったとおり、みるみるうちに菊音の顔が真っ赤に染まっていく。
「ばっ、ばっ、バカー!!そんなわけっ……」
「なんだ、違うのか。俺は欲しかったのになー」
「もうっ!お市さん、ホント、そればっかり!!」
そう言って勢いよく回れ右をした菊音をすかさず捕らえると、トナカイの角が鼻に当たった。
それでもめげずに、後ろから両腕で菊音を抱きすくめると、菊音の動きがぴたりと止まった。
「いいじゃーん。帰ってきたら、頂戴」
「や、やだもん」
「ちぇっ。どうせ嫁に来るのにー。俺はプレゼントとして、俺をやるぞ?」
市松がそう言うと、目の前にある小ぶりな耳まで赤みが増した。
403 :
33:04/12/25 02:11:29 ID:nWVdDRGh
こういう反応を見るたびに、押し倒したい衝動に駆られてしまう。
それでも菊音が嫌だというなら、いいと言うまで我慢しよう。
市松は顔を傾け、
「じゃあ、今日はほっぺただけ貰っておくな」
と頬に唇を落とし、菊音を解放した。
「う〜〜〜〜」
頬をさすりながら、小さく唸っている菊音を見ながら、にやけている口元を隠すように髭を付け、
「菊音ー。そろそろ行こうぜー」
と言うと、菊音がこちらを向いた。
「もー。お市さんのせいで時間に遅れそうじゃない!」
確かに時間に遅れるのはまずい。
季節行事ともなれば、紫の上も来るはずだ。
「……そうか、すまん」
付け髭のせいでもぞもぞとかゆい頬をかいてあやまると、トナカイが近づいてきて両手でサンタクロースの襟を掴んだ。
「おっ、おっ、お詫びに、プレゼント、貰うからねっ!」
言葉と同時に襟をぐいと引かれ、思わず前かがみになった市松の唇に髭と菊音の唇が触れた。
柔らかいぬくもりはすぐに離れてしまい、髭だけが唇を撫でていた。
「き、菊音。もっかい。髭が邪魔だった!」
市松が伸ばした手をすり抜けると、菊音はあかんべえをして、
「早くしてね、サンタさん」
と、馬車の荷台に乗り込んでしまった。
「えー」
「えー、じゃなくて!上さまに怒られても知らないからねー」
馬車の中まで菊音を追おうとしたけれど、確かに紫の上より後に着くはまずい。
市松はしぶしぶ、けれど付け髭の下で口元を緩めたまま、御者席に乗り込んだ。
(了)
404 :
33:04/12/25 02:11:57 ID:nWVdDRGh
すみません、今更気づきましたが、エロがなくてすみませんでした。
いやーん初めてリアルタイムで読めちゃった!!
素敵なクリスマスプレゼントどうもありがとう(^-^)
ほんわかしてて、本当に可愛らしい二人だなぁ。
GJ!でした!!
可愛いよぉー
コスプレの二人をイラストで見てみたい。
掛け合いが、いかにもな感じで楽しかった。GJ!
33さん キテタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!
市菊のこのビミョーな距離、もどかしいけど萌えるわァ。
この二人って、ホント微笑ましいというかなんというか、好きだ!
クリスマスに思いがけず可愛いプレゼントいただきました。
ありがとう33さん!
しみじみ、良スレだ。
GJです!!
神さま キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!
それも一番大好きな市菊だわ〜。
ステキなクリスマスプレゼントありがと〜!
ほすすとくのだす。みんな良い年を迎えるのだす。
あけましておめでとうございます!
ってことで新年一発目のほっしゅ!
保守
誰かエローいのを書いてくださる神はおられんもんかのう…
ほす
415 :
名無しさん@ピンキー:05/01/13 17:14:40 ID:CuZbq0v2
ことすもよろすく ほす
保守します
なんか、萌え話はないもんですかねえ
417 :
名無しさん@ピンキー:05/01/24 10:47:48 ID:SS9Nif4K
保守
職人さんщ(゚Д゚щ) カモーン
市×菊の本番キボンヌ
4日に1レス。これ応用。
7日に1レス、これ・・・?
3日に1レスは基本らしいよ。
423 :
名無しさん@ピンキー:05/02/10 23:48:27 ID:sEEKAUEN
ほす
3日に1レス、これ基本。
4日に1レス。これ応用。
年末以降、急にレスが少なくなっちゃったけど、今このスレ見てる人って何人くらいいるのかな。
とりあえず1 ノシ
2
ノシ 3だす
3ノシ
4ですた(´;ω;`)ウッ…
5?
6
7種
8〜ノシ
9
436 :
名無しさん@ピンキー:05/02/20 17:54:19 ID:YvRqYrW8
10ノシ
11・・・かけないけどいる・・・
12だす。神降臨をひたすら待っていすのだす。
13 ノシ
14 ノシ
人がいないわけではなく、職人さんが冬の時期なんだね。
まあ、誰だって忙しい時もあれば、萌えにテキスト生産能力が追いつかない時もあるわけで。
まったりとお待ちしております、神々。
すでにナンバー言ってるんで、次の点呼は15からでドゾ。
15 ノシ
16 ノシ
17 ノシ
けっこういるんですね。
書き手さんはどのくらいいるんだろう?
甘いのもいいけど、不本意ながらも体を任せてしまうような状況にも萌え。
18ノシ !
甘くも不本意でもない、多分一人くらいにしかウケて貰えなさそうなの投下
しやす。書き手のどんじり、投下しまーっす。
「・・・ここ・・・何処だろう?」
どれくらい走り続けたのだろう。まだこの異国の地の事情に暗い更紗の目にも、その界隈
はいかがわしく、危険に見えた。暗い路地の片隅で、いかにも堅気の人間には見えない
男たちがじっとりと湿気を含んだ暗い眼で更紗を見つめる。
更紗は少しでも日の差す路地を目指して早足で歩き出した。
(日本では命を狙われた事だって何回もあるのに・・・!何て私はやわになったんだろう・・・
ああ、ナギ、揚羽・・・浅――)
諍いの始まりがどんなだったか更紗には思い出せない。
確か、すれ違った美しい女性を振り返ってひゅう、と口笛を吹いた朱理を見て、ちくりと
嫌味を言った事だったか。どこか揚羽に似ている透明な瞳を持つ男性を見て、思わず更紗
が立ち止まってしまった事か。
お互い、慣れぬ異国の地での生活に疲労困憊していた。差別で泊まるところを探すのにも
苦労する程。思いとおりに行かない旅に疲れ果て、いつもだったら口に出さないような言
葉が朱理の口から、更紗の口から飛び出す。
「そうだよね、朱理は私と会う前にも綺麗な女の子といっぱい遊んでたんだよね」
始めこそ我慢した様子で適当に更紗をなだめていた朱理だったが、その嫌味ったらしい
更紗の口調にイライラとした様子を隠さず、すたすたと早足で歩き出した。
「聞いてるの?私だって日本に居た時は――」
「しつこいぞ、更紗!」
高ぶったその声に更紗は黙り込む。
「過去の女たちが一体どうだと言うんだ!お前が初めての女でじゃなきゃ我慢ならぬの
か!?それともお前が日本に居た時は揚羽やら浅葱やらに愛されてそれは幸せだったと
言いたいか!?」
「そんな事を話してるんじゃあないでしょ!?」
更紗があきれたように叫ぶ。
「じゃあ、何だと言うんだ!口を開けば日本の事ばかり。そんなに帰りたければ――」
「もう、いいよ!聞きたくない!」
更紗はどん、と朱理を突き飛ばすと涙を拭って背を向けた。
「更紗!!」
咄嗟に朱理が引きとめようと手を更紗に伸ばしたが、それを邪険に振り払って更紗は
駆け出す。
背後に朱理の声を聞きながら、更紗は息を切らして走りつづけた。
更紗はぐるぐると迷路のような暗い小路を歩いた。何度も同じ場所に出てしまい、
そのたびににやにやと笑う男たちがじりじりと近づいてくる気がする。
「娘さんや」
「ひっ」
手首をいきなりつかまれ、更紗はその手を払った。
「おー、乱暴な事じゃの。久方ぶりに同郷の人間に会えたかと思ったらこんなに無礼な
娘とはの」
手をさすり、上目遣いに更紗を見つめている老婆がにやりと笑った。
「あ・・・ごめん、なさい。てっきり物盗りか何かだと」
更紗ははっ、と気付いたように目を見開いた。
「お、日本語!!おばあちゃん、日本人なの!?」
「そんな悠長な事を話している場合かの。お前さん、あやつらの手に握られているのが
何か判ってるのかい?」
はっとして更紗が男たちに目を向けると、彼らはこれ見よがしに鋭い光を放つナイフを
くるくると掌で玩んでいる。
「おばあさん、お願い。どうやったらこの小路を抜けられるの?さっきからぐるぐる
同じところばかりまわっている気がするの。教えてくれる?」
「タダでは教えられんの」
にやにやと老婆が笑う。はたと老婆が更紗の耳に光るピアスに目をつける。
「おーおー、久方ぶりの上物だ。この国にはサファイアを好むご婦人達が多くての。
それと引き換えになら教えてやらん事もないな」
更紗は自分の耳にぐいと伸ばされた手をばっ、と払った。
「これは――あげられない」
ふぉっふぉっ、と老婆が笑う。
「ならば、切り刻まれるか。それとも穴が開くまでその細い体を嬲(なぶ)られ――」
更紗は老婆なぞいないかのようにきっと男たちを睨みつけ、その人数と、強さを測った。
そして周りに武器になりそうなものはないかとあたりに目を走らす。
「4・・・5人。あれだけウエイトがあれば、動きも鈍いはず・・・」
更紗は唯一武器になりそうな木切れを手にすると、はっしと男たちに対峙した。
(ナギ、揚羽、浅――、私に力を頂戴!!)
男たちに挑みかかろうとした瞬間、今迄ただの壁だと思っていた空間に扉が現れ、更紗はそこに
手を引かれて連れ込まれた。
「全く――強情っぱりな」
吐く言葉とは裏腹に、どこか面白げな口調で老婆は思いがけぬ早足で更紗の腕を引いて
すいすいと暗闇を進んでいった。
「お、おばあさん!どこへ――イタッ!!」
天井からぶらさがる何かぶにょぶにょとした物体にぶつかり更紗は小さく悲鳴を漏らした。
(嗚呼――、思い出す・・・私、こんなトンネルを昔くぐった・・・そしてそこから
始まったんだ・・・あの刀、ちゃんとハヤトは大事にしてるなかなぁ?)
更紗はどこか心地よいデジャヴに捕われて、暗闇を老婆の手に引かれるまま進んだ。
ふと気付くと大きな木作りの頑丈そうな扉の前だった。
「茶でも飲んでいけ。同郷の若い女よ」
ギイイ、と鈍い音を立てて扉が開くと、思いがけない陽光の射す温かな部屋が現れた。
「あっ、この薬草、ナギが使ってた!これも、これも!ねえ、おばーちゃん、これって
火傷にすっごい効くんだよね?」
ふぉふぉっ、と老婆は笑った。
「ただのお馬鹿な観光客かと思いきや・・・御前さん、なかなか興味深い御仁だの」
ぐつぐつと甘ったるい香りを放ち煮えたぎる鍋から、一すくい柄杓で取って液体を茶碗
にあけると、老婆はそれを更紗にすすめた。
訝しげにその液体を見つめる更紗の腕を軽く叩くと老女はくっくっと笑う。
「お前さんを見殺しにする事ならあの時出来たであろう?人を信頼する事も
忘れたかえ?」
ぴりぴりと過ごしてきた、ここ数ヶ月の出来事を反芻して、更紗はうつむいて老婆に
謝罪した。
「そう・・・だよね。ごめんなさい。そして、有難う。これ、頂きます」
ずずず、と更紗はそのどろりとした液体を啜る。
「あまーい・・・」
ふわりと身体が軽くなるような気がする。
「これ・・・何?すごく、落ち着く・・・」
老婆は懐から鈍い光を内側から放つ、水晶に似た珠を取り出すと更紗の前にかかげた。
「少し、横になりなされ。ほれ、これが見えるかの?この珠を見つめて御覧。御前さんが
今、一番会いたい人の顔が見える筈だぞえ・・・」
老婆の言葉は最後まで聞こえなかった。
その柔らかな不思議な光を放つ珠を見つめていると、更紗はとろりと眠くなり、腰が
ぐずぐずと重くなり、座っているソファに身が崩れていくのを感じた。同時に意識がどこ
か心地よいところに連れて行かれる。
意識の遠いところで如何にも面白そうな老婆の声がうっすらと聴こえる。
「御前さんの会いたい人は――ふぉっふぉっ、こやつは既に三途の川を渡っておるのう。
女子と見まがう程の美形。片目だけというのが更に色気を放っている。次は――御前さん
はずいぶんと面食いと見えるわの。ははぁーん、こやつは気高い生まれ。我と同じ匂い
を感じるの。預言者・・・なる程。面白い。盲しいているが、誰よりも眼が開いている。
ふんふん・・・だが、お前さんが一番会いたいのはこやつ等ではないの。ほれ、心を開い
てみ・・・お前が今恋焦がれているは誰ぞ・・・?ほほー、なるほどなるほど。くくくっ。
やはりタダで逢わせてやる訳にはいかんのう。ほれ、そのサファイアを頂くとするかいな・・・」
「やめ・・・」
(やめ・・・て。そのピアスは・・・・がくれたのよ!私が会いたいのは・・・朱・・・。
違・・・う・・・あ・・あさ・・・)
「浅・・・」
はらりと更紗は涙を流した。
「道理で・・・」
ぐったりソファに横たわる更紗を見つめ、老婆は呟く。
「そのピアスを渡さないはずじゃの。だが、取引成立だ。貰うぞ、その愛しい人間の
よすがを――」
(「止めてーーー、あ・・・ぎ。あ・・・浅・・・」)
「浅葱ぃい!!」
「おい!!」
誰かが自分の肩を揺さぶる。
「おいってば、タタラ!」
ゆっくりと瞼を開けると、そこには髪をさらさらと揺らして、意地悪気な表情で自分を
見下ろしている端正な顔。
「いつまで寝てるんだよ、タタラ。こんな外で寝てたら、春だっていったって風邪
引くだろ」
自分の身体には男物の上着が掛けられている。
「浅・・・葱?」
「起きたなら、それ返してよ。寒いんだから、実際」
浅葱は更紗の上に掛かっていた自分の上着を剥ぎ取る。しかし、その唇は紫色で、
ずいぶん長く更紗がその上着の下で安らかに眠っていたかを物語っている。
「浅葱」
「何だよ、阿呆みたいに僕の名前を繰り返しちゃって。さ、帰るよ。昼寝も済んだだろ?」
「帰る・・・?」
はあ、と浅葱が溜息をつく。
「い・え・に帰るよ。判る?家に帰るよ、タタラ。ぼ・く・た・ち・の・い・え。
僕達の家。わかる?すぐそこ、見えるよね?」
真っ直ぐに指差す向こうにはどこか見たような平屋の家。
ぽんぽん、と土を払って浅葱が立ち上がる。そして、更紗に手を差し出した。
「タタラ――本当にどうしたの?寝ぼけた?」
ふっ、と浅葱が笑う。
「帰ろ。家に」
更紗はその差し出された手を握り締めた。
「あー・・・最近群竹サボってるなぁ。見てよ、タタラ。この洗いものの山」
炊事場にどっさりと汚れた食器が山積みになっている。
ふふふっ、と更紗は笑った。
「いいよ、私が洗うから。浅葱は休んでて。ほら、身体が冷えたでしょ?お風呂に
でも行ってきたら?私、洗うから」
かちゃかちゃと洗い出す更紗の横に立って浅葱が憮然とつぶやく。
「いいよ。一緒に、片してあげるよ。あんた、不器用だから絶対茶碗の一枚くらい割るし」
ツンとした横顔で、懸命にごしごしと食器を洗う浅葱を見て、更紗はコツンと自分の
額を浅葱の肩にぶつける。
つまらなそうに、だが頬を赤らめて、ふん、と呟く浅葱の様子。
と、けほん、けほん、と苦しそう咳込む浅葱を見て更紗は思わず声を上げた。
「ほら!風邪引いた!昼寝してる私なんて放っておけば良いのに!」
だって、と浅葱はうつむく。
「一応、お母さんだし・・・さ、タタラ」
更紗は驚きに目を見開く。
「え・・・?」
「止(や)めろよ、ウザったいから、そういうの!何回聞けば良い訳?」
赤面して浅葱が口を尖らす。
「え・・・?」
更紗が呆けたように浅葱をぽかんと、見詰める。
ふう、と浅葱が深く溜息を吐くと更紗を睨みつけた。
「だーかーら!あんたはね、妊娠してるの。だから、長い時間立ってたり、良くないん
だよ!わかる?だから、あっち行っててよ。腹減ってるなら何か作ってあげるからさ!!」
全く妊婦は扱いづらいよ、何で群竹はこんな時に熊野に行ってるんだよ・・・とぶつぶつ
呟く浅葱を炊事場に残して更紗はふらふらと居間へと向かった。
(「あんたはね、妊娠してるの――」)
照れたような、その甘い言葉を聞きながら更紗はぺたんと床に膝をついた。
(更紗。思い出せ、思い出せ!あんたは異国の地にいた。それで朱理と、そう、朱理と
喧嘩して、怪しい路地に出て――そして、あのおばーちゃんに会って・・・そうよ、あの
おばあちゃん!『一番会いたい人』にどうたらこうたら・・・それでそれで・・・)
「タタラ」
涼やかな声がして更紗ははっと振り向く。
「固形は無理なんだよね?スープ、作ったから・・・」
片耳にきらきらと輝くピアス。更紗は、眩しげに浅葱を見つめた。そして片手は無意識に
自分の片耳にあてられる――何があっても外そうとはしなかった、ピアスがそこには無い。
「スープだったら、大丈夫だろ?ほら、あの・・・ご飯、食べるよ」
更紗はいっそ泣きたい気分で浅葱に抱きついた。
「満腹ぅ」
更紗が、うーっと腹をかかえて牀榻に横たわる。
「妊婦ってエイリアンだよね・・・」
浅葱は深い溜息を吐く。
「ちょーーーーーっと、浅葱!その言い方はないでしょ!?このお腹の中にはあんたと
私の・・・」
はっ、と更紗が言いよどむ。
大体、更紗には今日一日の記憶しかないのだから仕方ないと言えば仕方ない。
だが、思いがけなくスラスラと出た『あんたと私の』、という言葉にとまどったような表情
を見せている更紗を見詰め、浅葱がふっ、と微笑えんだ
「タタラ」
甘やかな口付けを更紗におろす。頬に、首筋に、そして唇に。深く、強く。
うっとりとその接吻に更紗が酔い、そして更紗は太腿に熱い、堅い物を感じた。
更紗はそのいきどおったものに手を伸ばす。
浅葱は更紗の額に口づけた。
「駄目だよ。妊婦さん。まあ・・・僕だって、我慢する事ぐらいは知ってるんだから」
更紗は自分を愛をしくを見つめる浅葱の瞳を見つめると、思わず涙を流した。
「タタラ、タタラ」
腹立たし気な、それでいて愛情に溢れる口調で浅葱が呟く。
「止めてよ、そういうの。タタラに泣かれるとどうしていいのか判んないよ」
浅葱のひやりとした指が更紗の乳房を覆った。
「あ・・・」
「駄目だよ、って言ってるのに・・・そういう、声」
浅葱の細い指が更紗の背中をつつ、と這う。
「ね、タタラ・・・」
浅葱が熱い吐息を更紗の耳に吹きかけながら言う。
「子供が産まれたら、僕たちとは――今の時代とは全然関係ない名前を付けよう」
浅葱がそのまっすぐな瞳を更紗に向ける。
「『あゆむ』ってどう?歩んで行くんだ.。道を真っ直ぐ」
浅葱の唇が更紗の髪に埋もれた。
更紗はそのしなやかさに思わず背をそらせ、己の小じんまりとした乳房を浅葱の顔に
突きつける姿勢になる。まだ青く張ったその乳房に柔らかな浅葱の唇がそっ、と這う。
くるりくるりと舌先で転がされ、更紗の乳房は、耐えられないようにその頂点をつん、と
浅葱の前に立たせた。
「タタラ・・・」
ゆるりと、その頂きをなぶられ、更紗は乳房から腰のずんと奥まで熱い火柱が自分を焦がすのを感じ、
今度は恥ずかしげもなく腰を浅葱に突き出した。
「浅葱、浅葱・・・」
「駄目だよ、タタラ・・・だって、タタラのお腹の中には・・・」
「ゆっくりだったら、大丈夫」
更紗は堅く張った浅葱のそれを自分の濡れそぼったそれにあてがうと、ぐい、と腰を打ち
つけた。
「ねえ、浅葱・・・」
「な・・・に?」
浅葱が息を荒くして応える。
更紗も心がふうっと空中に放り出されたような快感に見舞われて、言葉がそれ以上
出せない。
無我夢中で、だが、決して激しくはならずに浅葱が己のいきりだったそれを更紗の
腰深くに打ち付ける。
くくく、と更紗の中で大きい浅葱のそれが自分の敏感になった天井を打ち据えた時、
更紗は思わず絶叫した。
「浅葱、浅葱――!!」
熱く放たれた液体で自身を満たされた時、更紗は気を失いそうな快感の中でその涼やかな
美しい男性(ひと)の声を聞いた。
「タタラ・・・僕の・・僕の――」
(「愛しい人―――」)
はっ、と気付くとタタラはにやにやと笑っている老女の前に身を投げ出していた。
「おばあちゃん、あなた一体・・・」
更紗が思い通りにならない身体を懸命に起こそうとする。
「黙っておいで」
キラキラと輝く珠を老女は懐にしまった。
「ああ、久しぶりにこの珠も栄養が行き渡って・・・私も生き返るようじゃの」
ふぉふぉっ、と笑う老婆の腕に更紗はようやくの思いで、手を伸ばして触れた。
「浅葱・・・は?何処?」
老女が思いがけなく悲しげな瞳で更紗を見詰めた。
「お嬢さん。この珠は人の心の奥底を見詰めるんじゃよ」
更紗は目を閉じた。その頬に一筋の涙が光る。
「悪意はこの珠の養分となる。遂げられなかった想いはこの珠を肥え太らせる。だが、
それ以上に――」
老婆はふう、と溜め息をついた。
「だがそれ以上に、身を切る程の切ない慕情は――」
ちらりと老婆は更紗を見詰めた。
「時をねじらせる奇跡を起こらせる事もあるとか」
更紗はずうん、と腰の奥に重さを感じて再びソファに崩れた。
「だがな、お前さん、代償を支払わなきゃならんぞ」
どこか辛そうに老女がつぶやく、
「日本、日本――私もどれだけ愛した、憎んだ男が彼の地に居たであろう?私の心は
とうに老いて、己も自分が誰だったかとうに思い出せぬ。だが妖かしとなっても、
この心に残る慕いは何なのだ――」
瞬間、若く美しい、見知った娘の顔を更紗の前に現れた。そしてその甘美な口から
呟きが漏れた。
「私の愛しい・・・」
炎が更紗を包み込んだ。
「ひい・・ら・・」
「おい、おい、更紗」
心配そうに見詰める、男の顔。
「大丈夫・・・か」
浅黒い肌の、きらきらと瞳の下のうっすらとした隈。
「朱理?」
「心配したぞ」
うっすらと汗をかいた額を朱理がぬぐう。
「三日三晩、眠ってたんだ、お前。変なうわ言ばかり」
「・・・」
何て言ってた?貴方以外の男の名前を口にした?
台詞を飲みこんで、更紗は朱理を見詰めた。
「たまたまな、日本語の通じる亜細亜人の産婆がいて・・・これがまた怪しいばーさん
だったんだが。お前が身篭っていると・・・」
しかし、あのばーさん、どっかで見たような気が・・・とぶつぶつ呟く朱理を更紗は茫然
と見詰めた。
自分を見詰めているかと思った朱理が、更紗をたまらず愛しそうに抱き締めた。
「悪かった・・・お前がそんな状態とは知らず・・・」
頬にはきらりと光る涙。
「朱・・理・・・?」
にこりと明るく朱理は笑う。
「男かな、女かな?いや、どちらでもいい。五体満足、元気に生まれ来れば」
晴れやかに笑う朱理を見ながら、更紗は鈍い腹の痛みを抱えて、下腹をさすった。
「ところで、更紗。お前、どうしたんだ。ずっと大事にしてたピアスが・・・」
更紗は耳に手を添えた。
(「そのサファイアを頂くとするか・・・」)
耳の奥に残る、その暗く重い、そしてどこか永遠の悲しみと業をはらんだ声。
「お・・・落としちゃったんじゃあないのかな?」
更紗は思わず涙声になって蒲団をかぶった。
「おい、おい、更紗・・・?」
「ごめん、朱理、ちょっとだけ一人にして」
朱理は妊婦はこんなもんなんだろうか、と思いながらその場を離れた。
あのおばあさんは誰?
どうして私にこんな?
あれは夢だった。
違う、夢じゃない。
あの指の温かさ、熱い吐息。夢であるはずがない。
「浅葱・・・」
更紗は声を殺して嗚咽した。
人は、幾数回も人生の岐路に立つ。
幾千回も選択を迫られる。
そして、幾万回の一つの生のみしか生きられない。
その内の一つをかいま見た私は幸せなのか。それとも、この上もなく不幸なのか。
更紗の耳奥に響く声。
(ひ・・・いら・・・)
愛する男への悲鳴。どこか愉悦を含んだ、叫び声。想いを殺して、死んで行ったあの女性
(ひと)は幸せなのか?末期に愛しい男の名前を呼べたあの女性は?
そしてどうして私に「彼」を会わせてくれたのか――
更紗は腹を抱えて、切なげに顔を顰める。
(私は、誰の、子を生むんだろう――?)
そして愛おしそうに腹をさすった。
瞳を閉じた更紗の瞼には意地悪そうに微笑みを浮かべた、美しい人の微笑。
更紗は眠りに落ちた。
(更紗、いつまで寝てんのさ――)
次に、私の肩を揺らすのは誰?
<了>
お粗末。
どっちかって言うとヒカルのが○○ぎに似てるんだけど。
浅葱が好きな私を許してください・・・
(*^ー゚)b グッジョブ!!
せつなかたよー銀子さまも…
リアルタイムキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
洗い物中の二人がなんだかほのぼのでよかったです。
ちょっち朱理がかわいそうな気もしますが気のせいって事でw
久しぶりにきたら浅葱×更紗が!!
もし二人が結ばれていたらこんな感じだったのかな。
素敵な小説をありがとー!!
467 :
447:05/02/22 21:33:01 ID:3n80RN+i
ここの住人さんたちは本当に優しい人ばかりですね・・・
銀子なら「柊」じゃなくて、「柿人」って呼ぶよな、と投下後に気付きました。
しっかり原作読み込んで、精進してからまた来ます。ごめんなさい。
次はまた揚羽を書きたいな♪もしくはまた浅葱でも良いですか・・・(汗)?
GJですた。
汗など流すことなく、心ゆくまで浅葱だろーが揚羽だろーが!
しかし、これだけSS投下されてるのに、いまだに
主人公王道カプ(朱理×更紗)が出てこないというこのスレは一体w
個人的には、萌えさえあればそれで良いんだけど。
ほす
王道カプがないのは、本編でも既にヤっちまっていて
想像の余地がないからでは?
でも、読みたいよね、朱理x更紗。ここの職人さん達の筆力なら
かなりのものが期待されると思われ。
ほすすとくのだす
ほすするのだす
473 :
33:05/03/11 13:36:26 ID:g5Jh1cFh
保守がてら、また市菊です。
というか、菊音です。
474 :
33:05/03/11 13:37:03 ID:g5Jh1cFh
今日もお市さんに抱きつかれてしまった。
しかも後ろから。
最近のあたしは隙だらけだ。
更紗ちゃんたちのおかげで前よりは落ち着いた国になったと思うけど、物騒なことに変わりはない。
前みたいな危険な任務はほとんどないけど、一応まだ隠密っぽいことすることもあるのに……。
こんな隙だらけでいいのかな。
「あーあ」
あたしは思わず声に出してため息をついてしまった。
誰も居ない部屋なのに、今のを聞かれていなかったかと慌てて周りを見回してしまう。
ホントに、いつからこんなに隙だらけになっちゃったんだろ。
お市さんが、隙あり!って抱きついてくるたんびに、恥ずかしいのとは別に、そんな隙を見せている自分に戸惑ってばっかりだ。
あたし、いつも何考えてるんだろう。
お布団を敷きながら、あたしはお市さんに抱きつかれた時、何を考えていたのかを思い出そうとした。
「えーっと、そもそも今日は、再来週ある鹿角との会議の段取りを決めるために、紫御殿に行ったのよね」
自分自身に言い聞かせるみたいにして、口に出す。
「それで、その時の護衛につく人たちに持ってもらう新兵器でも開発しようかと思いながら歩いててー」
掛け布団を広げ、押入れの中の枕に手を伸ばす。
「お市さんが護衛隊長のはずだから、お市さんにも何か作ろうかな、って……」
475 :
33:05/03/11 13:37:45 ID:g5Jh1cFh
あたしはそこで思い出した。
枕を抱えて、壁に寄りかかる。
あたしはそこから、ずっとお市さんのことしか考えてなかった。
作ろうかな、って思ったけど、作ったらきっといい気になるからやっぱりやめよう、って考えた。
お市さんの腕なら、ぽっと出の暗殺者なんて簡単にやっつけられるし、って。
でも、お市さんは短気ですぐにキレるし、そうすると思いもかけなくドジをしたりするかもしれないから、
やっぱり作ろうかな、とか、やっぱりやめようかな、やめてあたしも一緒に護衛に回ろうかな、とか、
でも一緒に行くって言ったら、やっぱりまたいい気になっちゃうだろうな、とか。
ずっとそんな事を考えながら歩いてたら、
『隙ありっ!』
って抱きつかれたんだった……。
すごくびっくりして声を上げたら、
『そんなに嬉しかったか?』
「って、嬉しいわけあるかー!!」
枕を反対側の壁に投げつけてみたけど、あたしは恥ずかしくって、どうしていいか分からなくって、でも、ドキドキしてた。
毛皮の上からでも分かるお市さんのおっきな手があたしの肩をしっかりを捕まえてて、
そんなに太くないくせにめちゃくちゃ筋肉質な腕ががっちりあたしを抱きしめてて、
背中には大きな腕が当たってて、耳にはお市さんの唇が触ってた。
顔が熱くなってくる。
お市さんの感触があたしの胸に、肩に、背中に、耳に湧き上がってきて、あたしの心臓はまたドキドキし始めた。
476 :
33:05/03/11 13:38:23 ID:g5Jh1cFh
「あー!もうっ!明日も早いんだから、寝る寝るっ!」
動悸を誤魔化そうとそんな風に口に出して枕を拾って、お布団に潜り込んでみたけど、一度強く打ち始めた心臓はなかなか落ち着いてくれない。
敷布はひんやりしてるのに、顔はどんどん熱くなっていく。
ぎゅっと目を閉じて、他の事を考える。
こないだ作ったカラクリ人形はまた失敗。
どうして歩いている途中で壊れちゃったんだろう?
ごろりと寝返りを打って、壁を見る。
やっぱり胴体が重すぎたのかな。
お市さんが馬車まで運んでくれたから助かったけど、あたし一人じゃ運ぶのがちょっと無理だったもんね。
お市さんは軽々と運んでたなあ。
嫌な顔も見せずに。
でも、ご褒美が欲しいとかって……。
あたしはまたお市さんのことを考えてた。
他にも色々、お市さんとは全く関係ないことを考えようとしてみたけど、結局行き着くのはお市さん。
分かってる。
あたしの頭は完全にお市さんに侵食されてるんだ。
「ババコンなのに……」
そんなことは関係ないし、実際はそんなんじゃないって分かってるけど、あたしの口から出るのはいつでも否定形。
477 :
33:05/03/11 13:39:02 ID:g5Jh1cFh
どうして素直になれないんだろう。
お市さんはあんなにアプローチをしてくれてるのに。
と思いながら、アプローチを通り越してるお市さんの言動を思い出したら、笑いがこみ上げてきた。
なのに、目の前がじわっと滲んで、目じりから涙が落ちて枕に染みた。
「あれぇ……?」
パジャマの袖でごしごし目を擦ったけど、涙は後から後からこぼれてくる。
悲しいのとは違うのに、なんでだか涙が止まらない。
「ああ……」
あたしは、まだ“かさね”と名乗っていた頃、更紗ちゃんと話したことを思い出した。
悲しいのと違うのに、泣けちゃうことってある、ってことを。
そうか、あたしは自分で思ってる以上にお市さんが好きなんだ。
そう気がついたら、またぼろぼろ涙が出てきた。
もしかしたら、お市さんがあたしを好きだと思ってくれてる以上に、あたしはお市さんが好きなのかもしれない。
すごく無意味な比較が頭に浮かぶ。
でも、だから、今の距離がちょうどいい。
これ以上近くなったら、あたしがしてきたことがきっとばれちゃう。
そしたら、お市さんはあたしを嫌いになるかもしれない。
嫌われるなら我慢できるけど、軽蔑されたらきっと死んじゃう。
今まで、思ったこともないようなことが、次から次と頭に浮かんできた。
前にあったことは無かったことに出来ないなんて、よく分かってるつもりだったけど、
それでも、やっぱり、無かったことにしたいことはある。
あたしは久しぶりに、昔、侍女としてもぐりこんだ先でのことを思い出した。
任務としては大したことじゃなかった。
アル中変態オヤジの動向を逐一報告する。
それだけのことだった。
相手は金があるだけのバカな貴族だったから、命にかかわるようなことは何もなかった。
ただ、変態のお付き合いはほぼ毎晩。
その時はそれが任務の一部だと思ってたし、そう教育されてたから、別になんとも思わなかった。
478 :
33:05/03/11 13:40:12 ID:g5Jh1cFh
今更そのことが首をもたげてくるなんて、思ってもいなかった。
お市さんの強烈なアプローチを拒んじゃうのは、もしかしたらそれが原因だったのかもしれない。
もし、受け入れたら、やっぱり、……やっぱり、たぶん、する、よね……そういうこと。
傷数えろ、とか言ってくるし。
涙の跡を指でこすりながら考える。
少し顔が熱くなる。
ドキドキする。
お市さんはどうやって触ってくれるんだろう。
きっとちゃんとキスとかするんだろうな。
耳に触っていたお市さんの唇の感触を思い出しながら、自分で自分の唇をなぞる。
普通は道具とか、使わないって聞いたけど、使わないよね?
すごくバカなことを考えてると思う。
でも、あたしのことを嫌いにならなかったら、軽蔑しないでいてくれたら、ちゃんと普通にしてくれるのかな。
胸、おっきくないけど、いいのかな。
貧乳マニアとかでもないよね。
あのオヤジは少し膨らんできたらお払い箱にしてくれたけど……。
そういえば、さっき抱きつかれたとき、ちょっと腕が触ってたけど、どう思ったんだろ。
あんまり意識してなかったかな。
ちょっと触ってみる。
479 :
33:05/03/11 13:40:47 ID:g5Jh1cFh
ない、とは言えない……よね。
前に会った茶々さんほどしっかりしているわけでもないけど。
やっぱり、胸とか触られるんだよね。
揉んだりとかされるのかな……。
お市さんの大きな手が頭に浮かんだ。
「っ……」
自分で触っていたくせに、お市さんに触られたような錯覚に囚われてあたしは思わず息を呑んだ。
慌てて手を離そうとしたけど、胸の先っぽがパジャマに擦れてあたしの身体は勝手に跳ねた。
硬くなってる……。
パジャマの上からそっと指で撫でてみると、やっぱり硬い。
お市さんのこと、考えたから?
感じてると、こうなるって言うけど、そうなのかな。
そしたら、お市さんになんか言われたりとかするのかな。
『菊音、感じてるだろ』
とか。
お市さんの声が耳に響いて、あたしはまた慌てた。
いつの間にかお市さんとしてるところを想像してる。
さっきまでは、ばれたら嫌われちゃうとか考えてたくせに、嫌われないっていう前提でこんなことをしてる
自分に気がついて、あたしは慌てて遊んでた左手で胸に触ってた右手の手首を押さえた。
両手を握り合わせて、ぎゅうっと目を瞑る。
しばらくは何も考えない、何も考えない、ってそれだけを頭の中で繰り返したけど、それは無理で、
あたしはまたいつの間にかお市さんのことを考えてた。
480 :
33:05/03/11 13:41:29 ID:g5Jh1cFh
あたしはお市さんの腕の中で、何にも知らない女の子みたいにただじっとして、
お市さんがくれるキスにただ答えるだけ。
キスなんてまともにしたこともないのに、お市さんに唇を啄ばまれてるところを想像してる。
お市さんはやっぱり慣れてて、それは少し残念だけど、でもそのおかげで優しく服を脱がせてくれる。
『きれいだな』
とか、安っぽい小説みたいなセリフを時々言われて、笑っちゃうけど、でも嬉しくなる。
首とかにもキスして欲しい。
ただの想像なのに、あたしの勝手な妄想なのに、心臓だけじゃ物足りなくて、
あたしの身体は耳の下の動脈さえもどくどくどくどくと強く打っていた。
「お市さん……」
呼んだらお市さんはきっと優しい顔で、でもきっとちょっと意地悪な顔であたしのことを見てくるんだろうな。
『どうした、菊音?』
って。
きっと、分かっててもそうやって聞くんだ。
身体が、……あそこが、熱いよ。
言わないと駄目かな。
そもそも、言ったら……さわ、さわ、……さわって、くれるのかな。
バカなあたしは想像の中なのに、どもってしまった。
パジャマの中に手をしのばせる。
481 :
33:05/03/11 13:42:06 ID:g5Jh1cFh
触ってほしいよ。
自分で触れ、とかそんなことは言わないよね?
ああ、ホントに私は普通を知らない。
侍女の間で回されてた変なロマン小説で読んだ嘘臭い知識しかないんだ。
それなのに、身体は触られたら、そういう状況になったら十分反応するようになってる。
最低だ。
そう思ってるのに、まだ頭の別の部分ではお市さんのことを考えてる。
あの指が身体を撫でながら、……あそこに触ってくるのかなあ。
ぱんつの上から?
それともいきなり中に入れちゃうのかなあ。
とりあえず上から撫でてみると、もうすっかり染みててあたしの頭は、またお市さんの声を勝手に作り上げる。
『菊音、もうこんなになってるじゃん』
「お市さんのせいよ」
言ってみたいセリフを口に出して言ってみる。
そういう身体に仕立てられたからじゃなくって、お市さんが好きだからこんなになるんだ、って思いたいから。
言ったらお市さんはどう答えるんだろう?
なんでだか、今度は想像できない。
『嬉しいよ』
なんて、小説の主人公みたいなことは言わない気がした。
482 :
33:05/03/11 13:43:06 ID:g5Jh1cFh
先が想像できないのは、そんなことにならないって、心の奥では諦めてるからかもしれない。
「ふ、……うっ」
もう何も考えたくなくて、あたしは指を動かし始めた。
枕に顔を埋めて、お市さんの顔だけを思い出しながら、ぬるぬるになってしまったところを指で往復した。
「んっ…う……あ、くっ」
もどかしさが募って来て、耐え切れずに指を入れる。
「ん、くっ……」
咽の奥から漏れる声を押し込めようと、唇を噛み締めて身体が一番欲しがるところを何度も刺激するうちに、
あたしは簡単に上り詰めてしまった。
しばらくそのまま、ぼうっとしていたけど、やっと動こうっていう気になったから、あたしはお布団から這い出した。
枕元に置いてある鼻紙で冷たくなった指を拭う。
なんだかすごく空しい。
空しすぎて涙も出なかった。
お市さんのことを考えながら、こんなことをしたなんて自分でもいまいち信じられない。
自分のことなのに、なんだか別の世界の出来事みたいな気がしていた。
それでもくしゃっと丸められた鼻紙と、感触が悪くなってしまった下着は、
今したことが現実のことだって物語っている。
またお市さんに知られたくないことが増えてしまった。
あたしは大きくため息をつくと立ち上がってお手洗いへと向かった。
(了)
GJ!
エロいよー良いよー。ニヤニヤしながら読んでしまいましたw
ところで。
菊ちゃんて、登場時から処女だと思ってたんだけど(早い話がお市さんがファーストの相手)、
やっぱり密偵関係のお仕事のときに、見知らぬオヤジに頂かれてたりしてるんでしょか。
「ヤっててもおかしくないよなあ」と思いながら、「初めての仕事で紫黒に行ってる」みたいなことを
群竹さんだったか誰かが言ってたような気がする…(記憶あいまいスマソ)
菊語りキテター!
男の裸も平気だし任務であれこれやってても不思議ないけど、
群竹さんへの純情一直線を見るとまだ?と思える。
菊ちゃんは耳年増って感じするな。
ほす
さらにほす
ほす
hosyu
保守
保す
ほすすとくだす
多聞ちゃんって何歳くらいかなあ。30くらい?
24ぐらいかと思っていた・・・
ほすするだす
さらにほす。このスレおちたら寂しいどす。
多聞ちゃんは30代にはなってると思う。
増長さんも結構行ってると思うし・・・
30代。あぶら乗ってて美味しそうだw
「大地」のキャラクターデータに載ってるのでは?
つか、外伝読む限り、増長と同じ年齢だと思うんだけど。
確か誕生日は10/10だったと思う…(持ってる人確認ぷりーづ)
10月10日生
てんびん座
AB型
172cm
だそうだす
499 :
名無しさん@ピンキー:2005/04/16(土) 21:44:43 ID:XoabtiEW
だめ
500(σ´D`)σゲッツ!!
人いないだすなあ…
多聞ちゃんと市菊以外に萌えキャラとか居る?
とか話を振ってみる。
上のはかなり今までに出てるんで。
503 :
名無しさん@ピンキー:2005/04/22(金) 02:06:39 ID:a0Uih2DL
なにげに茶々の姐御&座木とか萌えるのだが。
>503
好きだなあ、その二人。
個人的には、萌えるよりも燃えると言った方が近いような気もするけど。
ハヤトとナナちゃんとかどうでしょう。
いくつになっても小学生みたいな純情一直線やってほしい。
>>502 萌えるというか・・・緑と浅葱のその後は気になる。
家政婦になってしまった群竹さんも。
那智と薫子も好きだったりする。
どんとこいやでー の初夜話なんか読みたいかもw
>507
いざコトに及ぼうとしたらば、
幼なじみやら両家親族やら列席者やらに覗かれて
ブチ切れなひーさん、という図式が頭から離れないのですが。
薫子はそんな事言っていたが処女なんだろうか。
むしろ聖は童貞なんだろうか
未亡人マニアじゃなかったっけ、聖
後家殺しw
眼だけで孕ませてそうだな、ひーさんw
視姦?
3日に1レス。これ基本。
3日に1レス。これ基本。
3日に1レス。これ基本。
5日に1レス。これ…人いなさ杉_| ̄|○
いるよー(・∀・)ノシ
も一人いるよー(・∀・)ノシ
ロムさんが多いのかな。
前に点呼があったとき、10人以上居たよね。
神様光臨キボン(´Д`*)
ワタシも〜! (・∀・)ノシ
神様〜!!
ここにもいます! ノシノシ
お市さんと菊音のツヅキを!
・・・ちょっと贅沢いってみただけです。
(/ω\)アア・・・
菊音っておとこだよね
工エエェェ(´д`)ェェエエ工
女の子です
朱理×更紗で片手Hキボンヌ
「増長は エチーのときもクソ真面目」 多聞だす。
言っとくけど、男はチンコや無いで
>528 てくにっくやな。
531 :
33:2005/05/22(日) 00:24:06 ID:iF1NeF40
>>530 はぁとやな。
と、流れ切ってすみません。
朱里×更紗で甘めです。
また、本番には至っておりません・・・orz
532 :
33:2005/05/22(日) 00:24:51 ID:iF1NeF40
「更紗……」
嫌がるあたしの首に散々キスしたり、舐めたり、噛んだりしてた朱里が
それまでの行動をぴたりとやめて、どこか不機嫌そうな声を出した。
「……なに?」
朱里のせいで頭がくらくらしてるのと、距離が近すぎるせいで朱里の表情はイマイチ良く分からない。
ただぼうっと目の前にある形のいい顎を見てると、それが動いた。
「前々から思っていたんだが、なんなんだ、このピアスは」
「……ピアス?」
「そう。なんで蒼いピアスなんかしてるんだ、おまえは」
「あお……」
朱里の言葉を反復するみたいに呟いてから、あたしはようやく朱里が何を言っているのかが分かった。
左の耳にしてる蒼いピアス。
あたしがまだタタラとして国王軍と戦っていた時、その戦いのさなか、
浅葱がタタラ軍を去る時、あたしに残していったものだ。
国王の正式な跡継ぎとしてあたしの前に立った浅葱と対峙した時、耳につけて以来、
ずっと着けっぱなしだった。
それを鏡で見ると、その時のことや今の浅葱のことに思いを馳せたりはするけど、
基本的には着いてるのが当たり前になってたから、最近じゃほとんどそれを意識することがなかった。
あたしはなかったんだけど、朱里はそうじゃなかったらしい。
口をへの字に曲げると、あたしから身体を離してしまった。
533 :
33:2005/05/22(日) 00:25:58 ID:iF1NeF40
朱里が腰を落としたせいでベッドが軽くそっちの方に沈んだ。
「……浅葱からもらったんだよ。前に」
朱里は浅葱が嫌いだ。
詳しく説明すると大変なことになると思ったから、あたしはそれだけ言いながら身体を起こした。
だいぶ恥ずかしくなくなったけど、まだなんとなく裸をまともに見せられなくて、
毛布で身体を隠してから朱里の方を見ると、案の定、朱里は眉間に皺を寄せていた。
朱里は苛立たしげに右手の拳で自分の膝を叩くと、あたしが予想した通りのことを言った。
「そんなものは外せ!」
浅葱も朱里のことは嫌いだとか言ってた気がするけど、ホントこの二人は仲が悪いな。
仲良くして欲しいのに。
なんて、言えないけど。
それはさておき、外せと言われても、身体に馴染んでしまったものを外すのは、意外と簡単じゃない。
「……いいじゃない、別に」
「良くない」
無駄だろうとは思ってたけど、やっぱり……。
どうしても外したくない、っていう訳じゃないけど、出来ればこのままにしておきたい。
うっかり外して、失くしたりするのは嫌だから。
「どうしても?」
「どうしても」
真顔で目を逸らさないで言ってくる。
タタラと赤の王として、こうやって視線を交わしたことは何度もあったけど、
更紗に戻ってからのあたしは、朱里のこういう視線に弱い。
ドキドキして、じっと見詰め合ってるのが照れくさくなる。
その動悸を誤魔化すために、どうして?と不毛な質問をしようと思ったら、朱里の方が先に口を開いた。
534 :
33:2005/05/22(日) 00:27:14 ID:iF1NeF40
「オレが抱く時は、他の男からの物は身体から外せ」
すごく意外な言葉だった。
これっていわゆる、やきもち?
なんだか、体中がくすぐったい感じで顔がにやけてくる。
あたしはすごく嬉しくって、身体を乗り出した。
「ねえねえ、じゃあ、じゃあ、例えばハヤトからもらった物でも?」
「当たり前だ」
「サカキさんからのでも?」
「そうだ」
「ナギでも?」
「当然だ」
「角じいでも?」
「なんでそんなにしつこく聞くんだ!」
朱里は火でも吐きそうな感じで声を大きくしたけど、あたしの嬉しい気持ちは大きくなるばっかりだ。
「普段はしてていい?」
「…………」
朱里の眉間にまた皺が寄って、『ホントはやだ』っていう心の声が聞こえた気がした。
でも、その時はその時でまたこうやって話せばいいや。
あたしは朱里の唇に軽いキスをすると、ピアスを外した。
535 :
33:2005/05/22(日) 00:28:14 ID:iF1NeF40
それをベッドの横のテーブルに置くと、朱里がやっと納得したみたいな顔になって、右手を伸ばしてきた。
あたしを抱いてくれるただ一本の腕。
こうやって差し伸べられるたびに、あたしの胸は愛しさでいっぱいになる。
自分の手を重ねて朱里の左膝に腰を下ろす。
朱里は色々しようとして、色んな風にあたしを座らせたり、寝かせたりするけど、
あたしはこの場所にいるのが一番好きだ。
あたしの身体を支える腕がない朱里の変わりに、彼の首に手を廻して自分の重さを支える準備をする。
時々、解けちゃうんだけどね。
何度か軽く唇を啄み合ってから、遊ぶみたいにして舌を絡めるうちに、あたしの中の世界は朱里だけになっていく。
他のことは何にも考えられなくなって、あたしは身体中で朱里を求めるようになる。
今日はやきもち妬いてくれたりなんかしたせいか、いつもより余計にそうなってる気がする。
ああ、あたし、ホントに朱里のことが好きでたまらないんだな……。
右腕だけでも、朱里は十分にあたしの心も身体も包んでくれる。
胸が触れ合って、大きな右手に身体を撫でられるだけで、あたしは幸せな気持ちでいっぱい。
朱里、好きだよ。
キスしてて、口でそれを言えないけど、代わりに自分から唇や身体を押し付けてみたりして、
それを伝えようとすると、朱里はちゃんとそれを感じ取ってくれる。
キスが深くなる。
首を攻められてたせいで熱くなってた身体がまた、さっき以上に熱くなってきた。
ただ抱き合ってるだけじゃ我慢できなくなってきてる。
こないだ朱里が言ってたみたいに、あたしから触ってみようかな……。
536 :
33:2005/05/22(日) 00:29:31 ID:iF1NeF40
どこをどうやって触ろう。
って考えてたら、朱里の手が耳を触ってきた。
さっきまでピアスがあったところを指で触ってる。
「ぁ……だめ……」
くすぐったさに思わず顔を離してしまったのに、朱里はやめるどころか、耳全体を指先でくすぐってきた。
「……しゅ、りっ!」
やだ、くすぐったい、ぞくぞくする。
身体に力が、入らない……。
「手、やぁ……」
頭がぐるぐるして、どうにかなっちゃいそうで、やめて、って頼みたいのに、変な声しか出てくれない。
どうにか腕に力が入れられたから、身体ごと離れようとすると、朱里の顔が見えた。
涙のせいで滲んで見えた顔は、不敵に笑ってる。
まだ何かするつもりなのかと思ったら、朱里は自信たっぷりの声で言った。
「消毒してやる」
「……へ?」
言ってることが分からなくて、気を抜いてしまった瞬間、今度は朱里の唇が耳を含んだ。
熱い息が耳に入ってくる。
「あっ……ぁあうっ!!」
「あいつのピアスなんかが着いてたんだからな」
「やうーっ!……あさぎっ…は、バイキンじゃ……」
バイキンじゃないのに、って言おうとしたけど、今度は耳たぶに舌が触ってきて、
そのざらついた感触のせいで、あたしは言えないままベッドに押し倒された。
537 :
33:2005/05/22(日) 00:30:04 ID:iF1NeF40
「どんどん敏感になっていくな」
飛んでた意識が戻ってきたあたしの顔を上から見下ろしながら、朱里は嬉しそうに言った。
「朱里のせいでしょ」
覗き込んでくる朱里をじとっと睨んだけど、朱里は更に嬉しそうに笑って、
そんなあたしの瞼にキスをした。
まだ身体中が熱い。
朱里がキスをくれた瞼がひときわ熱い。
心臓も、まだどきどきしてて、左の耳はまだなんだかくすぐったかった。
あたしからもキスがしたくなってきて、口をちょっと尖らせると、
朱里は顔を寄せてきて、あたしからのキスを受けてくれた。
二人でくすくす笑いながら軽いキスを繰り返す。
またキスが深くなってきたけど、気にしない。
あたしは朱里に首に腕を絡めた。
お腹が空くか、眠くてどうしようもなくなるまでには、もう少し時間がありそうだ。
(了)
GJですよ!
539 :
名無しさん@ピンキー:2005/05/22(日) 05:39:09 ID:uoqXG+6m
きゃ〜!なんか、いいですねえ!!
すごく二人の雰囲気出ててGJです!
またBASARA読み返したくなりましたvv
久しぶりのSSキター!
ほのぼのだけどほんのりエロくて、萌えました。
でも一言だけ、無粋だとは分かってるけど。
「朱理」だよ。
うわ(汗
キャラの名前を間違えるとは…
本当にすみませんでした。
>>540さん
ご指摘ありがとうございました。
3日に1レス。基本だす。
番外編KANATAのエチーだけどあれは
一回目が更紗が上で二回目が座(ry・・・?
「(片手でも)やり方はいろいろある」という台詞から鑑みるに、
>543さんのご指摘でFAではないかと。
「技よ、技が大切なのよ」の銀子さまは、上に乗ってそうな気がする。
茶々はデフォで上のような気がする。
穂積は廉子の尻に文字通り敷かれてそうな気がする。
ゴメン、言ってみたかっただけ。
片手でのテクニックを磨く朱理の許に謎の荷物が!
[特製ディルド付き義手]
菊ちゃんがそれを作るんですか。
誰の何を参考になんて質問は、お市ファンとしては絶対にしないぞ。
4日に1レス。これ応用。
>545
朱理の反応としては
1.面白い、早速今夜つかry
2.道具に頼るなど、このオレがするかー!
3.質感がダメ、形が悪い、大きさがうんぬん→作り直せ
菊「文句が多いなあ。じゃあ、まず大きさからね。はい、脱いで」(メジャーを取り出す)
朱「ど、ど阿呆! 少しは慎みってもんがないのか、お前は!」
菊「好きな人以外のアレなんて、シメジかモヤシよ。興味ないわ」
朱「誰がシメジだー!」
シメジ…小さいのが密集してるのか・・・
「白い綿のようなものが付いていることがありますが
カビではありません。問題なく食べられます」ってかw
せめてエリンギと…(;´Д`)
554 :
549:2005/06/10(金) 03:31:26 ID:LsPdhYhP
朱「国産の安いやつで良いからマツタケとか言えんのか」
菊「エノキよりマシでしょ」
朱「orz 更紗…弁護を頼む」
更「シメジもエノキも美味しいじゃない、バター焼きとか」
多分、更紗は会話の意味を理解していないと思います。
って言うか、ごめん、調子乗りすぎた。
途中で生で中田氏までやっておきながら
会話の意味を理解してない更紗萌え
ほしゅ
4日に1レス。基本?応用?
3日に1レス。これ基本。
応用は4日に1レスだけやないで〜
5日に1レスやな
7月ほしゅ
2日に1レスも基本やで。
七夕なので保守。
追い山ならしにつき保守
hoshu
566 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/20(水) 00:52:22 ID:Savywtt7
たまにはageてもいい?
ほしゅ
昨日ウナギを食べたのだす。ほすするのだす。
巴と海さん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
お市さんの誕生日に何もできなかった…
と、今日になって気が付いた。
お市さん、獅子座かあ。ぴったりだな。
カニ座じゃなかったっけ。>市松
573 :
570:2005/08/08(月) 00:36:58 ID:4zrtBlaG
>571
ゴメン、誤解させてしまいました。
お市さんは7月22日生まれで蟹座です(イラスト集「大地」より)。
つまり、私が10日間もド忘れていた、というわけで…
574 :
571:2005/08/08(月) 00:49:03 ID:PCv3Y0mT
>>573 ノシ いやいや、私がおっちょこちょいなだけだす。
お市さんって華やかなオーラが出てるからつい。
あの…よければ多聞ちゃんの誕生日教えてください。デヘ。
ほしゅ
3日に1レス。これ基本。
ほすだす
最後の投下から3ヶ月か…
待たねば為らぬ何事も。待ちますぞ。
でも、職人様たちはまだこのスレにいるの?(不安)
ノシ
>579
どの神か知らんが、俺はお前を信じる!
ほすすとくのだす
5日に1レス これ基本
, ノ)
ノ)ノ,(ノi
( (ノし
┐) ∧,∧ ノ
..|( ( ....:::::::) (
 ̄⊂/ ̄ ̄7 )
(/ 保守 /ノ
..  ̄TT ̄
も、燃えているだす。熱いのだす。
保守ついでに。
こないだ、京都の四条にあるお店にお昼食べに行ったんだけど、
舞妓さんのうちわが壁に貼られてた。
祇園近くのお店ではたまに見るので、フーンと眺めてたら、
その中に「市 菊」という名前があった。
一瞬、動揺してしまった。
神様仏様職人様、どうか、どうかお願いします…アゲ
587 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/09(日) 23:28:20 ID:lt66J/o4
ほすだす
どういう内容で、ってリクしないと職人様も書きにくいのかもしれないなぁ
じゃあ、じゃあ、市×菊の本番!
ひたすらお市さん主導で甘く優しく(;´Д`)ハァハァ
>589
連載中スレの「紫の上対白の王、姑対決」を見てみたいw
(すれ違いスマソ)
よーしパパ誰も上げなさそうなのをリクしてみるぞー。
ハヤトとナナちゃん。
個人的に、ハヤトは「WAKABA」まで童貞だと思うが、いかがですかー。
保守。
茶々と座木でおながいしまつ。
>591
茶々と座木って良いなー
私も読んでみたい。
やっぱり茶々が主導権握りっぱなしなんだろうか
hoshhosh
私もお市さんと菊ちゃんの本番でリクを…
雷蔵ちゃんと一水さんあたりも捨て難いなあ。
596 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/21(金) 01:47:19 ID:ACI95k2m
3日に1レス。これ基本。
ついでにそろそろあげておく。これも基本。
>>591 それはもうくるおしく読みたいカプの一つだ
ところでその二人の場合、どっちが攻めなんだろうか
普通はきっと茶々の誘いとかでなりそうな感じだけど、
命令されるまでも無く野獣な座木とか
愛情以前に自分の嗜好と興味本位で女王に走る茶々とかも
ちょっと読んでみたかったりする。
598 :
sage:2005/10/31(月) 00:13:55 ID:w5ZBhFgE
茶々×座木 キボン!
保守
600(σ´D`)σゲッツ!!
ほっしゅほっしゅ
, ノ)
ノ)ノ,(ノi
( (ノし
┐) ∧,∧ ノ
..|( ( ....:::::::) (
 ̄⊂/ ̄ ̄7 )
(/ 保守 /ノ
..  ̄TT ̄
3日に1レス。これ基本。
ほすすとくのだす
605 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/27(日) 21:00:48 ID:30UvvC7q
そろそろあげて保守するのは基本ですか
7種新刊ほす
ほすだす
905マロン名無しさんsage2005/12/07(水) 19:17:02 ID:???
SMランキング
筋金入りのドM 揚羽 群竹 柊 カロン シラス サカキ 羅生
M 運天 市松 多聞 今帰仁 錵山 橘 志麻
-------------------------------------------------------------------------ノーマルライン
ややM 更紗 那智 座木 雷蔵 ハヤト エリック
ややS 千手 紫の上 菊音 芭蕉 ユウナ 茶々 民紀
-------------------------------------------------------------------------ノーマルライン
S 朱理 ナギ 聖 風の梟 増長 蛇タン エジ 千草タン 蘭丸 梅若 角ジイ 最上 まーくんのおばさん 夜刀
筋金入りのドS 浅葱 白の大師 四道 水の鹿 火の狐 四道父
───────────────
連載中スレより。面白かったので持って来ました。
>>608 ちょww角じいとまーくんのおばさんSなのかよww
角じいはMだと思う。
てか、まーくんのおばさんワロス
角じいはツンデレM、浅葱はSだが微m程度は入ってると見た
んー?朱理がいない
角じいはどっちかっていうとSだと思うかな
揚羽のドMは揺らがないだろうが
>>612 Sの欄の一番最初にいるように見えるのは私の目がおかしいのか…?
この遅さなら言える
夜刀って馬じゃないの
Sな馬なんだよ。
最初の頃は落馬させてたし。
と、マジレスしておく。
夏のAが好きだぁぁぁ!
しかも雹×繭という、実質数ページくらいしか絡んでないカプが大好きだ。
でもこの二人じゃ、時間軸の関係上絶対に話作れないんだよなorz
ありえないくらい萌えたのに。正直7種じゃダントツなんだけど
>>574 遅レスになりますが、
多聞さんの誕生日は、10月10日です。
十月十日、つまり、胎児がお母さんのお腹の中にいる期間とリンクさせてる?のかな
ああ、板違い…
>>616 雹の妄想で(ry
多聞はどこまでも中道な人なのでSでもMでもないと思う
確かに、多聞に「痛いだすか?」と攻められたり
「痛いのだす、良いのだす」とか言われたりしたら、萎えるな。
>>619 「痛いのだす、良いのだす」 ハゲワロスwww
前髪よけたら白目むいてたりして。
「痛いだすか?」い、言われてみたい…
多聞〜Mの場合〜
「あ、うっ!」
多聞は声を上げてこちらを見た。
相変わらず、判るようで分からない顔つきをしている。
けれど、その頬は明らかに紅潮していて、
身体に与えられる痛みを苦痛と感じているとは到底思えないものだった。
痛いのかどうか尋ねてやると、多聞は、
「叩かれたら、痛いに決まっているのだす」
と、普段どおりの口調で、けれどどこか掠れた声で答えた。
痛いなら可哀想だ。
やめようか、と問うと、僅かではあったが困惑の色が浮かんだ。
見逃さずに言い分を聞くため、耳を寄せてやる。
「だども……」
いつもと違って、歯切れが良くない。
ちゃんと言ってくれないと分からないと告げると、
多聞は困惑しながらも、紅潮し始めた顔で、
「あんたにされるんなら、痛いだけではないのだす」
と、教えてくれた。
多聞〜Sの場合〜
木刀が背中に飛んできた。
痛みに思わず声をあげてしまうと、淡々とした口調で、
「痛いのだすか?」
と、尋ねられた。
いたわりがあるのかないのか分からない問いかけに
ただ頷くと、また木刀が飛んできた。
「だども、それが好きだから、もっとと言ったのはあんたなのだす。
嫌ならそう言ってくれれば、すぐにやめるのだす」
口調はあくまで淡々としている。
どんな顔でこんなことを言うのだろう。
ふとそう思って見上げたけれど、何を考えているのかは
いつもと同じで分からない。
答えを迷っていると、多聞はまた聞いてきた。
「やめるのだすか?」
その口調は淡々としていたけれど、
こちらがやめて欲しくないのを分かった上での質問であることは明白だった。
ちょっと出来心で書いてみました。
でも、個人的に、多聞ちゃんはやっぱり果てしなくニュートラルでいてほしいw
>>621-623 あけましてGJ!Mのほうが想像しやすいな。
んだどもヌートラルでいて欲しい気持ち、わかるのだす。
つーか、ヌートラルに決まってると信じているのだす。
天然のテクニシャンなのではないかと…(;´Д`)ハアハア
ほしゅ
保守…と言いつつ、ナギのプレイボーイ時代が読みたい!と、リクエストしてみる。
平気で嘘をつく人っぽい
628 :
名無しさん@ピンキー:2006/01/14(土) 21:46:46 ID:08MJmE0I
浅葱×ミドリの源氏物語が読みたい。
ミドリって拾われた頃、5歳になるかならないかくらい?
浅葱って10代だよね。実は浅葱とミドリって15歳くらいしか違わない??
アリだと思う
あ〜、育てつつ調教…みたいなw萌える〜w
ミドリちゃんの思春期なんて萌えるかもしれない
ミドリちゃんの、ママを好きになっちゃった葛藤もとい、
大人になっていくミドリへの浅葱のとまどい
631 :
名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 14:51:14 ID:2W1A0QTz
昔の書き込み「その後の浅葱」(04年)読んで、激しく感動しました。
すぐ後の「群竹日記」シリーズもいいですね。
どなたか、またパロ作って下さい!
632 :
名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 13:46:06 ID:nqQSg0vu
浅葱ネタ熱望。
巴の作品ってあった?最近読み返したらまたはまってしまった…
634 :
名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 11:54:43 ID:mEySSSuC
ほしゅ
3日に1レス。これ基本。
3日に1レス。これ基本。
ほしゅー
ほすだす
多聞ネタ面白杉
神の降臨を待っております!
ほすするのだす
4日に1レス。これ応用。
642 :
浅葱:2006/02/28(火) 20:47:33 ID:Jl2iUG3z
3日に1レス?
どうして僕がこんな事してやらなきゃいけないのさ。タタラ。
643 :
多聞:2006/03/03(金) 17:20:15 ID:w8SgrOgM
3日に1レスするのだす
それが掟なのだす
3日に1レス滞ってるよ!!!
3日に1レス。浪漫だよ、浪漫。
3日に1レス。
一緒にしようよ…
647 :
朱理:2006/03/19(日) 17:25:52 ID:I4jEy91m
阿呆!3日に1レスができてないじゃないか!
オレにそんな作業させるな!
648 :
新橋:2006/03/23(木) 00:26:53 ID:+3mYIT9k
クー! クー!
どんなに神が降りてこられなくても、このスレを支えてきたのは
3日に1レスなのです!
続ける事にこそ意味があるのです!
突然だが質問。やはりこのスレ、女性が多いのだろうか?
カップリング・視点希望って現状何が多く求められてるんだろう。
荒れそうだと思ったらスルーしてくれ。
>>650 女性です。
個人的な希望なら浅葱×更紗
蝉丸×ナツなんかもいいかも。
3日に1保守がてら、質問回答。
女性ですが、基本的に原作に沿った形でのカプ希望。
(本当のカプじゃなくてもいいけど、接点がある者同士)
原作の流れからあり得ないようなカプだと、ちょっと
イメージがわかないので。
653 :
名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 19:05:06 ID:oIfg2wfs
最下層を見届け保守あげ
654 :
dsd:2006/04/04(火) 20:28:32 ID:GsdKs2BT
おっと保守保守
657 :
回覧板:2006/04/11(火) 14:07:34 ID:Qge/W/Wb
聖×薫子
天満屋×アイリス
那智×後家さん
増長×さゆりさん
市松×初めての女
>658
の最後は菊ちゃんじゃなくてオリキャラってことか?
660 :
見てるよ:2006/04/17(月) 13:41:18 ID:CPN+3oH4
質問回答
当方女です。
私も原作よりのカプが良いです。
市松×菊音大好きです。
保守させて
確かに、原作準拠カプだと、読んでて安心感というか、説得力というか…はあると思う。
(言い忘れたが、当方も女性)
で、>659を読んでふと思ったんだが、このスレ的にオリキャラってのはどうなの?
「鹿角の女スパイとの悲恋とか」なんて、一瞬萌えてしまった私は、謝った方が良いんだろか。
お約束すぎるという点に関しては謝るってばゴメン。
市松はそこそこ女性経験あって良いと思う。
ただしあくまで遊びで。
で、本気になった相手は菊音だけって言うのが良い、と思うんですがダメですか?
市松は相手を大事にするだろうから、本気になった相手と別れるってのは
あんまり考えられないので、本気の相手は菊音だけが良いです。
女遊びが出来ちゃう男って、女をどこかで軽く見ている男だから、
原作の市松の描写からは考え難いなぁ。
菊音は女ということで軽く見られたり馬鹿にされたり・・・に敏感な
タイプだから、市松がそういう男なら惹かれなかったと思うし。
かつて本気の相手がいたけど、いろいろあって別れてしまった・・・
みたいなイメージで、私は捉えてる。
恋の哀しみも苦味もちゃんと知っていて、なおかつ脳天気にも
振る舞える大人の男。だからこそ菊音も惚れ込んだ、とか。
市松の過去の(本気の)女性に、ちょっとだけ焼き餅を妬く菊音も
見てみたいしw
確かに上様至上主義な市松が女を軽く見るってのはありえないかも。
そしてやきもちを焼く菊音っていいですね。
市松はやきもちあんまり焼かなさそう。
自信たっぷりに「だって菊音は俺を選ぶだろ」って言いそう(笑)
何年かして梅若たちと決着をつけたときみたいに
とりあえず自分の中の区切り的な清算するために
群竹に菊音が会いに行ったりとかしたらさすがに
ちょっとは機嫌悪くなるかもしれないけど(笑)
きっと止めない。行ってこいって言うと思う。
そんで最後には両手を広げて菊音を迎えたりとか
しそうな感じがするんですよ。市松は。
有言実行で一生大事に大事に愛してるって言い続けてくれそう。
>自信たっぷりに「だって菊音は俺を選ぶだろ」って言いそう(笑)
市松なら言いそうw
菊音が群竹に会いに行くエピソードもいいね。
例えば市松との結婚直前に挨拶に行くとか。
「群竹さんと少しだけ似ている人です」
「その人が私に似ているのではなく、私がその人に似ている
だけでしょう・・・幸せに」
で、帰って来て涙ぐみながら報告する菊音に、「俺の次に
いい男だな」と呟いて、呆れられる市松――
ドリームしてしまったw
市松と群竹さんって外見は正反対だけど、忠誠心の厚さや
誠実さがよく似てると思う。
>666-667
そういう短編既にあるよ。
結婚決まった菊ちゃんが群竹さんに告白しに行って、お市さんが出迎えるってやつ。
>>668 田村さんが描いた短編? それとも二次創作かな?
>669
作者本人の。
確か文庫版の最終巻あたりで見た希ガス
うる覚え(ryなんで載ってる本は違うかもしれんがスマソ
671 :
666:2006/04/30(日) 21:05:23 ID:wZJMDXfJ
>668マジですか?
うわぁ、文庫の方チェックしてなかった…
そんな素敵市菊があるなら買おうかな。
情報ありがとうございます。
文庫の最終巻でおk。
出番はちょびっとながら、市松はかなり度量のでかい男だと感じさせられます。
珍しくレスが進んでいるのは、GWだからか、このスレにお市ファンが多いのか…
BASARAばっかりなので、微妙に心苦しいけど
七種の需要はあるんだろうか。
嵐×ナツ、ハル×花、秋ヲ×蘭、源五郎×あゆ
涼×小瑠璃だの、何か微妙にありえないカプばっか
気になって、肩身が狭い…
GWだし、何か書いてみようかとうずうずしています。
>>673 ぜひぜひ!待ってます!
七種よみたひ〜!
GWだし神職人さんの降臨激しく希望!
待ってます!
涼×小瑠璃が好きです〜。
ご飯大盛りに感謝していた涼にびっくり
文庫版BASARA最終巻を買おうと思って渋谷の本屋巡ったけど、
自分がハシゴした4件に最終巻がなかったorz
みんな買ったのか!?
>677
生きろ。がんがれ。
あくまでお遊びなら、本スレでも指摘されてた茂のBL臭で
涼・安吾との3角関係読んでみたいな。精神面重視で。
668で教えてもらった文庫最終巻買ったです。
市菊!ブラボー市菊!2頁だけでもかなり嬉しい。すごい嬉しい。
「心おきなく幸せになろう」って物凄いエエ台詞かと思いますvv
お市さんかっこいいーーー!
教えてくださってありがとうございました!
>681
「エエ台詞」が「エロ台詞」に見えた。
ごめん。
では久々に…
3日に1レス。
今日は龍三郎シリーズを読破!
龍三郎とリエちゃんたちももう大人になっててもいい頃…と妄想
こっちも久々に、4日に1レス。
職人降臨を待ってますよ。
685 :
33:2006/05/17(水) 20:52:31 ID:TzjeKNEC
座木×茶々書いたんで落とします。
イメージ違ってたらすみません。
686 :
33:2006/05/17(水) 20:53:06 ID:TzjeKNEC
「座木、入るよ」
返事が聞こえる前に扉を開ける。
茶々がそうするのはいつもの事だったけれど、今日の彼女の胸中はいつもと少し違っていた。
同じ大きさの期待と不安が行ったり来たりしているせいで、朝から落ち着かないでいた。
今日は座木の最後の包帯が取れる日だ。
熊野で自分を助けた時に全身に大火傷を負い、身体中何箇所も骨を折った。
タタラが助けに行ってくれなかったら間違いなく死んでいた。
あの時の事を思い出すと、今でも弱い自分に激しい怒りを感じる。
今もまたその怒りが胸の辺りまでこみ上げてきていたが、
「茶々」
座木の声を聞き、包帯が取れた彼の姿を見た瞬間、その怒りは完全にではないものの、影を潜めた。
ずっと無理な運動を止められていたせいで筋肉が多少落ちてはしまっているが、
広い肩や厚い胸板は変わっていない。
消せない痕はあるけれど、火傷はほとんど良くなっているようだった。
「もうどこも悪いところはありませんよ」
ナギが包帯をまとめながら、穏やかな口調で言う。
彼が言うのだから本当なのだろう。
「ですが、急に激しい運動をしたりしないで、徐々に身体を慣らしていって下さいね」
ナギは念を押すようにそう言うと、はさみを道具箱にしまい、丸めた包帯を持って部屋を出て行った。
687 :
33:2006/05/17(水) 20:55:14 ID:TzjeKNEC
ナギが部屋から出て行くと、茶々は座木の傍へと歩み寄った。
「痛みはもう無いのかい?」
肩に残る火傷の痕に指を近づけながら問うと、
「ああ。急に無理な力を出すと、骨がきしむだろうとは言われたが」
座木は身体を見回しながらそう答えてくれた。
その言葉に心にあった不安が一気に押し流されていき、緊張が解けた茶々は座木の隣に
大きな安堵のため息と共に腰を下ろした。
「珍しいな。茶々からそんな風に気が抜けるなんて」
目を細めながらそんな事を言う座木がにくたらしい。
誰のせいだと思っているのだ。
「心配事が一つなくなったからねえ。気も抜けるってもんじゃないの」
「心配させたか」
「……座木が居なくなったら、誰があたしの後ろを守るんだい?自分の心配だよ」
「そうか」
『そうか』じゃないよ、まったく。
なんのかのと言いながら、こちらの事を全て見透かしているような目が気に入らない。
気に入らないけれど、分かってくれていると思うからこそ、背中を、そして全てを預けられる。
こちらを向いている顔に手を伸ばし、頬に触れると、細い目が微かな笑みを作った。
その手を太い首に下ろしてこちらに引き寄せる。
自分でも首を少し傾け、目を細めると、唇が重なった。
688 :
33:2006/05/17(水) 20:56:06 ID:TzjeKNEC
緩く唇を咥えて、ゆっくりと顔を離す。
「今度あんなことしたら、ただじゃおかないからね」
首から手を離し、指を鼻先に突きつけると、彼は小さな笑みをたたえたまま、ああ、とだけ言った。
男でこの状況にあったら、もうちょっと何か言っても良さそうなものなのに、
気が利かないとかいう次元ではなく、本当にこの男は自分からは何も望んでこない。
それが常になっているとは言っても、これだけ久しぶりなのだから……。
不満めいたものが茶々の頭をよぎったけれど、彼女はすぐにそんな自分の想いを否定した。
いや、そうじゃない。
これが自分たちの関係なのだ。
命じるのは常に自分。
従うのは常に彼。
小理屈はいらない。それでいい。
茶々はもう一度、彼の首を自分の方へと引き寄せた。
先ほどより深い口付けを交わす。
唇を食み、角度を変える。
久しぶりに触れた座木の薄い唇は、茶々自身が思っていた以上に彼女を煽った。
彼に身体を押し付け幾度もそれを繰り返すうちに、座木の腕が腰に廻ってくると、
茶々は更に身体を彼に預けて、二人はベッドに倒れこんだ。
689 :
33:2006/05/17(水) 20:56:51 ID:TzjeKNEC
離れてしまった唇の間で荒い息遣いを繰り返しながら、至近距離で数秒見つめあう。
自分の身体の下にある彼の身体は、痩せたとは言っても相変わらず広くて、
自分がこうして乗っていても絶対に壊れたりしないという安心感を与えてくれた。
本当によかった……。
そう呟いてしまいそうになった唇を茶々は自分で塞ぎ、また彼の唇を貪り始めた。
色々な想いが頭の中をよぎったけれど、唇を深め、舌を潜らせているうちに、
それらの事に意識を回せなくなってきた。
座木は何もしない。
背を抱く腕の力が強くなっただけだ。
けれど、それだけで十分に彼の体温が伝わってくる。
自分が頭を抱きこんで、乱暴に舌を絡めれば絡めるほど、伝わる体温が高くなってくる。
唇が離れてしまわないようにしながら、脚を座木の脚の間に入れると、
腿に硬いものがはっきりと触れてきた。
そこで、ようやく茶々は座木から顔を離し、うっすらと笑みを浮かべた。
息を整えながら濡れた唇を指の腹で拭い、真下の男を見下ろす。
「こっちも問題ないみたいだね」
「運が良かったらしいな」
「本当にね」
疼きに急かされ、適当に相槌を打って、茶々は座木の胸に口付けた。
火傷の痕に指だけでそっと触れ、そのすぐ脇に赤い跡を残す。
690 :
33:2006/05/17(水) 20:57:42 ID:TzjeKNEC
腕に目をやると、ひときわ大きな痕が目に入った。
「刺青……消えちまったねぇ……」
鳩尾へとキスをすると、ひくりと腹筋が震えた。
「っ……ああ、背中も半分近くは消えてるらしい」
「……いい絵だったのにね」
わき腹にある深い刀傷を横目で捕らえながら、
若干浅くなってしまった腹の隆起を唇で辿っていくと、
胸の間に座木の屹立が触れた。
「……服が邪魔だね」
腰紐を緩めて服を引っ張ると、それが顔を出した。
とうの昔に見慣れたものの筈なのに、目の前にすると動悸が激しくなる。
疼く身体の隙間を埋めたくて、どうしようもなくなってくる。
茶々はそれに軽く口付けてから、自分の服に手をかけて身体を起こした。
「茶々……」
冷静を装ってはいるものの、少し掠れた声は彼も余裕がなくなってきている事を伝えてくる。
いつもだったら、この程度で余裕をなくしたりしないくせに……。
今日、いつもとは違う風になっているのは自分だけではないらしい。
そう思うと茶々は嬉しくなった。
「溜まってんのかい?らしくないね」
服を脱ぎ捨てると、茶々は彼の腹に跨った。
「誰かさんが珍しく遠慮してくれたおかげでな」
まだ完全には準備が整っていなかったけれど、そこを座木に重ねただけで、
身体の芯は熱を零し始めた。
691 :
33:2006/05/17(水) 20:58:12 ID:TzjeKNEC
「無理して使えなくなったら、笑い話にもならないからね」
身体を前後に揺らして、口の端を上げて見せる。
「茶々……」
「なんだい?」
脚に伸びてきた手をぺしりと叩いて、そっけなくあしらうと、今度は両手が腰に伸びてきた。
その手に自分の手を重ねたけれど、
『焦らすな』
と、座木に言わせたくて茶々は身体を揺らしながら、どうかしたかい、と更に尋ねた。
しかし、座木は期待に応えてはくれず、腰から脇へと大きな手を登らせて、
「傷が残ったな」
と言った。
確かに錵山将軍との戦いで受けた傷は完全には消えなかったけれど、
そんな事は今どうでもいいではないか。
身体に残った傷なんて、今に始まったことではない。
それなのに、
「なんで、今日に限ってそんな事言うのさ」
「駄目か?」
この状況にもかかわらず、ベッドから自分を見上げてくる座木の小さな笑みは優しい。
ああ、もう、今見たいのはそんな顔じゃないのに。
私のせいで歪むあんたの顔が見たいのに。
「傷の事なんて、今はどうでもいいじゃないか」
「それもそうだな」
まだ不満は残るものの、多少は納得のいく返答をした座木の腕を引っ張って彼を起こすと、
茶々はその逞しい首に腕を絡め、笑みを形作っている彼の唇に唇を重ねた。
692 :
33:2006/05/17(水) 20:58:44 ID:TzjeKNEC
それまで脇に添えられていた座木の手が尻へと滑り降りてきて、茶々の身体を持ち上げた。
自分で擦り付けていたせいで十分に潤った場所に、先端がもぐりこんできた。
重なっている唇を舐めながら、自分からゆっくり身体を落としていく。
答えるように舌を食んでいた座木の唇がその動きを止め、
喉が小さく鳴る音が耳に届き、ちょっとした優越感が茶々を支配した。
ほら、やっぱり余裕がなかったんじゃないか。
しかし、それもほんの数瞬のことで、今度は座木の舌が唇に触れてきた。
まるで、舌も欲しいんだろう、と言われているような動きで、
せっかく感じた優越感はどこかに行ってしまったけれど、その動きは同時に、
座木を焦らそうという思いも茶々から奪っていった。
堪えきれずに、舌を差し出すと座木の舌が絡みついてきた。
ゆっくりと堪能するように舌を絡め合おうとしたが、身体は思惑通りには動かず、
茶々は身体を座木に押し付けながら、絡まる舌を貪り始めた。
座木も合わせて身体を動かし、舌を絡めてきてくれる。
「んッ!…ふ……ぅんンッッ!んあッ!」
凄い速さで理性やさっきまであった座木に対するプライドがどこかへ去っていく。
唇の端から零れる自分の声すらも、茶々の理性を麻痺させる要素にしかならず、
久しぶりに味わう痺れが身体を上から下へ、下から上へと駆け巡る。
その快感をもっと欲して、茶々は更に身体の動きを強めようとした。
693 :
33:2006/05/17(水) 20:59:26 ID:TzjeKNEC
けれど、そうするより先に左足を膝から掬われた。
あまりに急なことで身体のバランスを崩し、ただ絡めていただけの腕で彼にしがみつくと、
そのまま身体がゆっくりと倒された。
離れてしまった唇で大きく息をした瞬間、座木の重さが茶々を貫いた。
「……ッッ!!」
その勢いに身体が仰け反り、声にならない掠れた嬌声が茶々の口から上がった。
座木は動きを止めず、繰り返し茶々を貫いた。
耳元で座木が荒い息遣いを繰り返す。
その息遣いにさえ、身体は反応し、茶々は脳髄が痺れるような感覚を味わった。
「あッ!……アァッ!……っ、座…ッ、……ぃ、…あ、ああッ!!」
座木が動くたびに声が上がる。
片足を抱えられ、そんなに奥まで入らないというほど身体に押し入られ、
それでも茶々は座木にしがみついて、意識が途切れるまで彼を求めた。
「急に激しい運動はしないように、と言ったのですが……」
「む……いや、まあ、あの二人なら身体を鍛えているから大丈夫でしょう」
「しかし、女性一人を抱えるというのは、思いのほか力を使うでしょう?」
「や、まあ、それはそうなんでしょうが」
「……角じい。おハルさんにお茶でも入れてもらいましょうか」
「そうですな。……おお、そうそう、ナギさま、タタラたちが沖縄から持ってきた
なんでしたか、砂糖菓子のような……あれを食べましょう」
この日、この二人は食堂で夜を明かすこととなった。
(了)
いい!!
オトナなふたりだねー
熊野で結婚式終えた2人の初夜を・・・
>695
想像してみた。
「ハヤト、目を逸らすな! 後学のためだ!」
「い、いや、オオオオレはっ! て言うか無理無理無りりり」
「ええい何をしている聖! とっとと始めんか、この馬鹿息子っ!」
「あのヘタクソっ、アレで女が喜ぶかっての! あたしが教えて…」
「誰か茶々を止めてくれ」
「更紗ちゃんに記念写真送ろーっと」
「ハメ撮りはやめとけ、菊音。どーしてもってんなら協力してやるから」
「ひーちゃんファイトやーっ!」
すまん、隣室しか想像できなかった。
>696
会話の順番は
???
ハヤト
聖の親父さん
茶々
座木
菊音
市松
那智
で、いいのかな? ゴメン最初の人が誰だかわかんない…(TT)
33様GJ!GJ!
有難う神様!!!!
699 :
696:2006/05/19(金) 02:10:27 ID:ojkTieah
>697
最初の人は、何だかんだ言って一番かぶりつきで見てそうな角じいでお願いします。
残りはあたり。
どうでも良いが、お市さんがサラリと下品な単語を口走っていることに今頃気が付いた。
700(σ・∀・)σゲッツ
33さんはキスの描写が巧い。エロい。
久々に来たら…
神降臨バンザイ
一番下までさがっとる、AGE!
>>699 サラリと下品な単語を口走っていても違和感を感じなかった…お市さんゴメソ。
いずれ7種も最終回で幾つかの組み合わせが決まったら妄想出来る様になるんだろうか。
小瑠璃は初恋が実って欲しいので安居、あゆは源五郎あたり、
虹子は超大穴で十六夜あたりにかけてみるか。
播ちゃんと涼は予測できない。
増長とさゆりさんの馴れ初めが気になる。
あの増長が押して押して押しまくったところなんて想像できない。
なんか奥さん強そうだし。
小瑠璃・涼が見たい希ガス
逆ならともかく、涼を攻める小瑠璃は思いつかん…
>706
「押して押して押しまくった」というのは自己申告で、
「頼んで頼んで頼み込んだ」挙句に現在は尻に敷かれている…
というのが予想。というか希望。
なんか奥さん強そうだし。
>709
激しく同意。
「押した」じゃなくて、「頼み込んだ」に1票。
えーとね、「拝み倒した」がぴったり来る希ガス。
「頼む。やらせてくれ!」
拝み倒した、もしくは泣きついた。
増長さんが加速度的にヘタレに
奥さんにだけヘタレというのは萌える。
7種の涼と虹子はやってる気がするんだがどうだろう。
一回くらい経験しといた方がいいだろう、とか色気のない理由で。
しててもおかしくない気がする。>涼と虹子
でも、なんか、すばらしく作業的なエロのような。
涼の本命、虹子じゃなさそうな感じだしなあ。
作業的なエロw
そんな感じの二人書いてみてよいか。
需要なさそうだけど。
がんがってください!
自分も七種を進めてるけど、時間とれなくてかけない…。
「案外、たいしたことなかったね」
幾つか深呼吸を繰り返して、涼の胸をつき起き上がった虹子の一言に、涼は危うく崩れ落ちるところだった。
今の言葉と、冬の空気と、声を抑えようとした行為の結果、唇が切れそうだ。
「……そうか?」
一方の虹子は緩慢な動作ながらも、淡々とベッドを降り、タオルを発見して身体を拭いていく。
ほとんど汗をかいていない。
涼の方は伸ばし続けている髪が汗で背中に張り付いてうっとうしいことこの上なかった。
「うん。でも、未来で初めてはやっぱり避けて正解ね。疲れたわ」
そういう意味での、たいしたことなかった、か。
それなら涼も同感だ。紛らわしい言い方をするから、一瞬本気で落ち込みかけた。
未来に行ったら当然考えられるのが生殖のことで、一度くらいは経験しておくべきことだと思った。
家と一人部屋とベッドと布団が保障されている今のうちにだ。
それに虹子があっさりのってきたのは意外といえば意外ではあった。
女の最初はこだわりをもってなされるものらしいという認識は涼でも持ち合わせていたのだが。
「涼? 聞いてる?」
どうやら、お互いにとって特別な体験とはならずに済んだようだ。
今や他の誰よりも見慣れた顔がいつもより綺麗に見えたりはしなかったので、安堵する。
「シーツはどうしようか」
破瓜の血や諸々で汚れたシーツを、洗濯には出せないだろうということだ。
それは今、涼に蹴られて下の方で丸まっている。
「今夜にでも燃やして、新しいの取ってくるさ」
そういう恥ずかしいものを洗濯する当番が、男女別に密かに結成されているらしいのだが、それに出す気はない。
その部分を切って洗って引き裂いて、もしものときにストックしておくのもいいかもしれない。
「悪いわね」
「ま、俺のだからな……で、どうだったよ?」
虹子がベッドに座り直し、髪を手櫛で直す。
「何が?」
「行為自体じゃなくて中身の方」
我ながら陳腐な問いに思え、虹子もまた肩をすくめる。
「わかるはずないでしょう。痛いだけ」
「そういうもんか」
「そのようね。涼、この年で風邪引いて脱落するつもり?」
タオルが涼の顔に投げつけられる。
汗を拭き下だけはいて、時間を確認しようとカーテンの隙間から月の位置を確認する。
シャワー室がまだ使えない時間だし、外での水浴びは避けたい季節だ。
虹子を帰すにも半端で、それに皆は涼と虹子の間柄はそういうものだと誤解しているから、
直接卯浪にでも見咎められなければ朝帰りに問題はないはずだった。
しかし、起床時間まで三時間弱。寝ない方がましな時間帯だ。
ふと思いついて、パジャマまで着込んだ虹子の、襟の部分を引っ張った。
「虹子、ためしにヨくなるまでしてみねえ?」
「ご冗談」
こういうときばかり、虹子は笑う。
「……ちぇっ」
だから、涼も笑う。
ここで頷くような女ならば、溺れるような女ならば、一緒にはいない。いられない。
恋も友情も、尊敬も憐憫も、甘っちょろい感情は安居たちに任せればいい。
「朝まで、一眠りするか」
「そうね」
虹子は涼の差し出した手をとらず、自ら涼の隣に寝転がった。
彼女のパジャマ越しの体温は、温かすぎず冷たすぎず、ちょうどよい具合に涼を眠りに誘う。
向かい合う唇を舐めると、どちらのものかわからない、血の味がした。
完
以上、七種の涼×虹子で。
お粗末さまでした。
718さん=673さんのを楽しみにしとります。
7種キタコレ!!
虹子モエス。719さん乙でした!
ゴチでした!最高ッス、までぃで!
涼が年相応のコっぽいのがイイ。とてもイイ。
724 :
719:2006/06/13(火) 22:50:38 ID:moYIbBQj
感想ありがとうございます。
うれすぃ。
この二人好きなので、ネタさえ出ればまた書きたいと思います。
本編が悲惨な分、ほのかに幸せだとうれしい。
726 :
719:2006/06/19(月) 00:22:38 ID:3B1k65qF
雹話投下します。
連投すいません。今波が来てしまってるもので……
しかし、本当に悲惨な人たちだ……
変な夢を見た。
なんともやりきれなくて、でも甘い、全体的にはとてもよい夢だった。
「雹!」
ぼーっとしながら朝食をとりに食堂へ向かうと、盆を手にしたところで名前を呼ばれた。
「おやおや、チーフも僕もなしでくりくり同盟の集会か?」
あかざと草矢と鵜飼が揃っている。
同盟は主に小瑠璃人脈で集まった面々でクラスもばらばらなので、これだけ集まることはそうはない。
「偶然、集まってさー」
「眠そうだね、雹。早い割に」
起床時間よりもまだ少し早い。食堂には人もまばらだ。
「夢見が悪かったんだよね」
本日のメニューは定番、卵焼きに味噌汁、おひたしと漬物だ。
「すっごい好みな子が、僕の腕の中にいるのね。腕枕みたいな感じで」
あかざが熱心に、草矢が無言で、隣の鵜飼が興味ないというポーズをとって耳を傾ける。
「なんだけどさ、下半身がどうやっても動かないんだな」
三人が一様に笑いをもらす。
僕には笑い事ではなく、なんだかやけに切実で切迫した気分が胸の辺りに残っていたけれど、それも皆の笑いに紛れる。
「抱きしめようにも抱きしめられず、離れようにも離れられず」
「で、どうしたのさ」
「夢精しちゃった」
鵜飼が盛大に牛乳を噴き出し、草矢とあかざがため息をつく。
「そういうことこういうところでさらりと言うから雹はもてないんだよ」
「ツラはいいらしいのにな。せめて食事中は止めとけ」
「今、後ろの女子二人が遠ざかったぞ」
言われて後ろを振り向くと、こちらを窺っている女子と目が合ってすっごく汚いものでも見たかのようにそっぽを向かれた。
ちょっと傷ついた。
「三人ともほとんど食べ終わりじゃないか。それに別にもてなくてもいいよ。好きな子もいないし」
「えー、好きとか関係なしにえっちしたいとか思わない?」
後ろの子たちが席を立つ。あかざも大概だ。
僕は少し、声を小さくした。
「別に思わないなあ。最近、サカってる奴らが多いな。お前も含めて」
「だってさー」
あかざが口元のほくろのあたりをかく。
「俺、涼の部屋の隣なんだよ」
鵜飼がぴくりと肩を震わせた。涼と安居に対して、鵜飼のライバル意識は強い。
「時々、彼女が出入りしてるの見かける」
「ああ、虹子、だっけ」
「そうそう。ほら、前の蛙騒ぎのときも朝っぱらから一緒にいたけど、最近出入りが頻繁でベッドがきしむのとか聞こえるし、気になるっったら」
「先生に通報しろよ」
「そういうならお前がしろよ、鵜飼」
「嫌だね。女にかまけてる奴なんかに構いたくない」
「あ、噂をすれば、だね」
草矢の視線を追うと、涼と噂の彼女が入ってきたところだった。
涼はいつもながらの崩れた着方にぼさぼさ頭で、虹子はジャージをしっかり着こんでいる。
虹子が小さく欠伸をしたので、僕らは話の流れからなんとなく照れてしまう。
どちらとも僕はクラスが被っていない。
が、涼はクラスの垣を超えた有名人だし、この二人が付き合い始めたというのは、皆に衝撃を持って受け止められたニュースだった。
いわゆるラブラブな雰囲気はまったくないが、授業以外は常に一緒にいるんじゃなかろうか、というくらいの密着振りだ。
涼はずっと一匹狼だったからこの関係は周りを煽って、一時期、カップルが乱立した。
全員で注目してしまっただろうか、涼に睨まれて食事に戻る。
「安居くんとは正反対だね。彼はストイックみたいだけど……」
「あいつは女にも構えない野郎だからな」
ふんと鼻を鳴らす、鵜飼以外の三人で顔を見合わせた。
鵜飼は安居や涼が気になって仕方がないのだ。そういう上を気にしすぎるところがある。
安居には多分気にもしてもらえていないだろうに。
「そういう鵜飼はどうなんだ?」
「何が」
「彼女とか」
鵜飼はまた、鼻息荒く箸を置いた。
「そんなもん、作ってどうするんだよ。未来に行けることになったら離れ離れだろ」
それもそうだけど、出来の差がはっきり出てきた今では、未来に真剣に行きたい奴ばかりでもないので、つい恋愛に走ってしまうのもわかる。
未来に行けなくても、滅亡のその日まで好きな子と一緒に生きて死ねるなら、それでいいじゃないか?
「でもそのものでなくてもさあ、エロ本とかAVとかほしい! 外に出てった奴ら、送ってくれればいいのによー」
「実物しかないから、皆ぎらぎらしちゃうんだね」
「深夜テレビじゃ足りないのか?]
「あんまエロくないし、見つかると懲罰房だし」
「永遠の禁欲か、卯浪の嫌味と懲罰房に耐えての一時の快楽か、それが問題だ」
生きるか死ぬか、それが問題だ。昔の文豪まで持ち出してくる問題か、草矢。
「まあ、右手が恋人じゃ悲しいってのはわからないでもないけどね」
言った先から、皆が凍り付いているので僕は彼らの顔を順繰りに見渡した末に真後ろを向いた。
「おっはよーん、皆!」
「や、やあおはよう、小瑠璃」
慌てて、皆自分の隣に小瑠璃のスペースを作る。
小瑠璃はここにいる面子にはそういう対象じゃない。妹のようなものだ。
ただし、くりくり同盟には約一名、小瑠璃に恋しているのがいたりもする。
「右手がどしたって?」
「な、なんでもないない」
「そう、ないから!」
「小瑠璃は気にしなくていい!」
「ちょっとね、僕の夢見の話をしてただけだから」
「夢? 雹くん、夢とかよく見るの?」
小瑠璃が自分から話をそらして、僕の隣にすとんと腰を下ろしたので、皆でほっとした。
「うん、見るよ」
「そっかー。あたしも見るよ! よく変な寝言言って、繭ちゃんに心配されちゃう」
いつもの名前が出てきた。
「あれ、今日は『繭ちゃん』は?」
「レポート書いてるよ。書き上げてから思いついたことがあるんだって。先にご飯行って、って言われちゃった」
「なかなか会えないね、小瑠璃の『繭ちゃん』とは」
小瑠璃の親友の繭ちゃんは、僕とは縁が薄いみたいだ。
選択クラスが違うし、当初100人はいたし皆ライバルだから、知り合えない子がいてもおかしくないのだけど、
小瑠璃と親しくなってもその親友とはなぜかすれ違う。
「残念だなあ」
小瑠璃は笑って、ご飯を飲み込んで、お箸をテーブルに刺す勢いで立てた。
「繭ちゃんに会いたくば、あたしを倒していくのだ! なーんちゃって」
小瑠璃も結構失礼だなあ。僕は純情なのに。
繭ちゃんと会えたのは、最終テストが始まってからだった。
小瑠璃の話を聞きながら薄々思っていたけど、やっぱり好みだったので、ラッキーだ、なんて思った。
そのときは。
僕の腕の中には繭ちゃんがいる。
もう、瞼が開くことはない。三日にも満たない、とても短いお付き合いだった。
僕は結局、童貞のまま死ぬんだなあ、なんていつか見た夢と、一足先に死んでいる下半身のことを思う。
小瑠璃のことを好きだったやつは風車の事故で死んだ。草矢も、あかざも死んだ。多分、鵜飼も。青葉も。僕もこれから逝く。
だとすれば、死後の世界は結構楽しいんじゃないだろうか。そんなものがあるとすればだけど。
指先が痺れ、感覚が遠のいていく。
左手でなんとか繭ちゃんの手に握られたライトを探り当て、小瑠璃にモールスを送る。
遺していく小瑠璃に繭ちゃんの言葉を一言でも多く伝えなければいけない。
繭ちゃんの顔を拭う。
視界が霞んでもう、よく見えない。
かえって汚しているのではないことを願う。
早く来てくれ、小瑠璃。
僕が繭ちゃんを追って夢の世界へ滑り込む前に。
この現実に存在していられる間に。
早く来ないと、僕は向こうで、繭ちゃんを僕のものにしてしまうよ。
完
733 :
719:2006/06/19(月) 00:32:48 ID:3B1k65qF
730の空白の行は間違いです。
すいません……
雹、泣ける。。。
719サン、ステキv
7種に飢えてるのでありがたいです。
おいしくいただきました。ウマウマ。
735 :
719:2006/06/21(水) 22:19:26 ID:Q6gYpT8r
ありがとう。
私も飢えてます……
ほすするのだす
ほすなのだす
738 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/30(金) 15:15:04 ID:Tq+FYdZe
そろそろageとく。これ基本。
739 :
719:2006/07/02(日) 23:19:29 ID:Dp48piyM
続き?投下させていただきます。
小瑠璃←涼×虹子かな。
なんかいろいろ暴走してきた気がする……。
子の刻と一口に言っても二時間の幅がある。
雨の中待つのも嫌になって、回避できたのかと思い始めた頃だった。
吐き出された小瑠璃を見つけ、複雑な気分になる。
小瑠璃も三馬鹿も優秀なはずだが、やはり駄目だったのか。
徒労に終わらなかったことに複雑な思いを抱きつつ、川に入って小瑠璃を引き上げる。
動かない風車が気になって、見に行った中には木彫りがあった。
修理が小瑠璃たちに回されて、気になって来てみたら案の定だ。
岸に下ろし、脈と息を確認する。
小瑠璃の身体は虹子よりも小さく、虹子よりも少しばかり全体的な肉付きがよく、
くるくるの髪は虹子のようには指を通さずにすぐに止まり、ペンライトをとるために、
わずかに触れた胸は布越しにでもわかるが、虹子よりも体積が少ない。
束の間の自嘲が手を止めた。
女に関する全ての基準は虹子にならざるをえない。俺が部屋を出てくるとき、俺の教本を枕に寝入っていた、虹子もそうだろう。
それを悲しいなどと思うのを、自分に許すわけにはいかない。
なんのためにここにいるのか。生きているのか。馬鹿馬鹿しい。
「安居……」
触れた布の奥の生命が無事だと示すように、小瑠璃が甘えたような声を上げる。
俺はほとんど拍子抜けして笑い出しそうになった。
どんな夢見てんだ、小瑠璃。
俺は安居の部屋に向けてモールスを送り、電気が消えるのを待って、ペンライトを小瑠璃の手に握らせその場を立ち去った。
*******
戸口の物音で、わたしは覚醒した。時刻は零時過ぎ。
隣のベッドを見れば、涼がいない。いつの間に出て行ったのだろう。
涼の部屋に引っ越してからしばらく経つが、涼の気配に慣れすぎている気がする。これでは困るのではないだろうか。
多少反省しつつ、警戒しつつ、わたしは明かりをつけて戸口へ近寄った。テストはもう始まっている。罠ということもありえた。
「涼?」
声をかけると、ゆっくりと扉が内側に開く。
ずぶぬれで涼が立っていた。
「……何してるの」
テストが始まっていることに、まだ他の誰も気づいた様子はない。
火事が起きる日まで、わたしたちはせっせと準備をする。
防寒具にテント、バックパック、手斧など武器類、保存食、食器類、着替えや布、その他諸々を2人分。
その日がいつになるかわからない以上急ぎたいが、皆に気取られるわけにもいかず、動くのは授業中や夜中、人目がないときだ。
今夜は、2人で職員室に忍び込んだときのような大雨で、ろくなことはできなくて互いのクラスの教本を交換して読んでいた。
その後わたしは寝入り涼は出て行ったのだろうが、この大雨の中に、いったい何の用があったのだろう。涼の手は空だ。
「……涼?」
涼の手元から顔まで目線をあげる前に、わたしの視界は涼の髪で埋まる。
抱き締められたのだ。本当におかしい。
「涼?」
髪を掻き分け、顔を確認しようとすれば、強引に唇を重ねられた。
身体を持ち上げられて、運ばれていく。身長差があるのでいかんともしがたく、涼の後ろで扉が閉まる。
そのまま、涼のベッドに運ばれ、投げ出され、すぐに涼が覆いかぶさってくる。背中が少々痛い。
最初の木彫りが置かれてから寝食を共にしているけれど、こういうことはなかった。
いつ何があるかわからなくて、それどころではない。
ようやく視界が開けたと思ったら、もう涼の指は服の下で動いていて、鎖骨の辺りを這い回る唇に背中にぞくっと震えが走る。
「先生! 要先輩!」
人の声がする。夜中にうるさいことだ。
あれは安居くんだろう。要さんを先輩と呼ぶ人は彼くらいだ。安居くんが感情的になる事態が何かあったのだ。
「涼……」
制止しようと、涼の肩にかけた私の左手を彼の右頬が抑える。
「構うな」
空いた片手を彼のもう片頬に滑らせると、指先が濡れた。
「今日はもう、何も起こらない」
涼がそういうからにはそうなのだろうけれど。
やがて物音が一通り走り去るまで涼はじっとしていて、最後の足音が消えたところでまた動き始める。
「りょ……」
濡れてて気持ち悪いから、脱ぐか止めるかどちらかにして。
そう言おうとしたのに、また口を塞がれた。
もうこれは止めてくれる気はなさそうだ。わたしの身体はほとんど露出させられている。
諦めて、涼の服を脱がせることにした。服は濡れて凍りそうに冷たいのに、その下の肌は熱い。
涼の体温は高い。夏は一緒に寝たくない。冬でよかった。
これだけは脱げない、涼の長髪の水分を、脱がした服で拭き取る。
その間に涼は勝手に進み、いつのまにやら下をいじられて、わたしが涼がもうその気でいるのを悟ったときには遅かった。
今度は息を吸い込んで声にする前に、唇を重ねられた。
そのまま片手で肩を、もう片手で足を押さえられて、涼が入ってきた。
お互いほかに相手などいず、装うには親しすぎて、これはいつも恋人じみた行為にはならないけれど、睦言などないけれど、
本能で接しているけれど、今日は異常だ。
わたしはまだ、準備ができていない。
痛みで反射的に動いても逃げ場がない。
応える形になるだけだ。自由になる手で引き離そうにも力負けし、脚の動きは涼を悦ばせるだけ。
背中に爪を立ててもこたえる様子がない。
口の中に入ったままの舌を噛むとそれにも構わずに更に深く進めてきて、噛み切ってしまいそうで結局わたしが諦めた。
遠慮のかけらもない動き方にも、抵抗する気をなくせば気持ちがよい。
頭の芯がしびれてくる。
唇と舌が離れていって、代わりに指を押し込まれる。
腰の動きの乱暴さは少し緩くなっても変わらないのに、涼の指先は丁寧になった。
口の中の指にわたしが歯を立てても、もう片手はわたしの髪を梳き、身体を撫でる。
わたしは、少し離れた涼の顔に手を伸ばした。
肌の前に、水分に触れたような気がしたとき、また突きたてるように動きが激しくなる。
安らぎかけたところをまた揺らされて、今度はどう反応してもやめてくれず――
やがてわたしは気を失った。
目覚めたのは今度は、寝苦しいからだった。
あれからどれだけやられたんだろう、股がべたつく。
「涼。重い」
わたしに覆いかぶさったままで、涼は熟睡している。耳元で喋ったのに、起きる様子もない。
おぼろげな記憶を反芻する。
記憶の隅々をチェックするのは癖になっているが、気をつけるまでもなく最初から最後まで、らしくない行為の数々。
いつになく、髪を梳いたのは何故。
何度も合わせたこの身体を確かめるようだったのは何故。
わたしに何も、喋らせなかったのは何故。
吐き出すだけ吐き出して勝手に眠り、軽くいびきすらかいている涼に腹が立った。
この時期に子どもでもできたらどうしてくれる。
わたしに話さないことを、わたしが飲み込んでやる道理はない。
飲み込んでやれる、そんな場合でもない。
2人で未来に行くのか、2人で落ちるか、それとも――
どちらかが落ちてどちらかが残る、それだって十分ありうる。
だからわたしたちは、これ以上を共有してはならないのだ。
どうにか身体を移動して眠る涼に口付けを落とす。
次に起きたら、涼は何もなかったかのような顔で振舞うだろうからその前に。
唇を噛み、歯を舐め、歯列を割ってその奥に、わたしは涼がわたしに含ませた毒を返した。
翌朝わたしは、風車の事故で三人が死に、小瑠璃ちゃんが助かったことを、知った。
完
745 :
719:2006/07/02(日) 23:28:54 ID:Dp48piyM
743はおわかりでしょうが4/5で。
お粗末さまですorz
面白かった。ぶはー。
719さんは自サイトにSS載せてたりしないの?
あるなら探す。
747 :
719:2006/07/04(火) 23:15:53 ID:m6QtwnSJ
ありがとう。
サイトは持ってますが、まったく別ジャンルっす。
涼と虹子の関係は本スレでもおもしろいくらい諸説あって、
どこに転ぶにもまだ確定には程遠いので、おおっぴらに叫びにくいというか……
とりあえず、「最後に〜」のシリーズ終えるまではここで書かせてくださいなー。
そうですか。わっかりました。
まだ続くんですね。嬉しいな、楽しみにしてまーす。
749 :
719:2006/07/06(木) 20:46:50 ID:LO0h+sJy
なんか自分で違和感あるなあと思ったら、
たむさんは「俺」じゃなくて「オレ」表記なのだった。
お詫びして訂正。
>>748 いつでも終われるようにいつでも「完」だったりするのですが……
まあ、一応あと2編…
ほ
俺は暑いのは苦手だす。
が、ほすはするのだす。
ほしゅほしゅ。
そして719たんに応援エール。
753 :
719:2006/07/18(火) 23:43:17 ID:s6pQA0l1
鹿角の皆さんにならって保守。
私はしばらく書けそうにありませんが、ちょっと確認したい……。
ここって単行本未収録分のネタバレはまずいですかね?
個人的にはOKデスガ。
冒頭に注意書きしとけばいいんじゃねっすか?
755 :
719:2006/07/21(金) 22:31:10 ID:WlBKG4Ub
異論ないようなので、冒頭に注意書きして、ということで。
これだけじゃなんなので。
>>706あたり見てて
「さゆりさんは最初多聞が好きで志麻ちゃんのようにあの手この手でがんばるが、
ことごとく相手してくれず、思い余って夜這いをかけ……ても失敗、
無理を悟ったさゆりさんは、多聞とずっと付き合ってられる増長を見直し、
彼を惚れさす策を練りだすのでした……」
という話を考えたが、書けなかったことをここに告ってみる。
756 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 01:12:28 ID:Zuxi6+ia
お市さんお誕生日記念あげ
1時間ちょい遅れたのは見逃してくれい。
757 :
33:2006/07/24(月) 00:19:47 ID:iGAnBnBm
お市さんの誕生日ということで、ちょっと遅れましたが、市菊です。
エロ無し、かなり短いです。
758 :
33:2006/07/24(月) 00:20:23 ID:iGAnBnBm
「きっくっねー!」
市松の来訪を予想していた菊音は、その声を聞いてすぐさま振り返った。
これまた予想していた通り、市松は抱きつくべく両腕を広げて迫ってきている。
が、予想していたので、菊音はそれを難なくかわした。
市松の腕が目の前で勢いよく宙を切り、腕はその勢いで市松本人を抱きしめそうになった。
「なんだよ、マイハニー菊音。つれないじゃーん。今日は俺の」
「ハイハイ、誕生日ね」
菊音はため息混じりに応じる。
本当はそんな態度を取りたい訳でもないのだが、ちょっとでも油断するとすぐに話が大きくなるから、
ついつい態度がぞんざいになってしまう。
「おっ。覚えててくれたとは」
「そりゃぁ、一週間も前から毎日言われてれば、嫌でも覚えますー」
「と言うことは、ちゃんと希望通りのプレゼント」
「用意してあるわけないでしょっ!」
「えー。いいじゃーん。菊音とのひ・と・」
「だーかーらー、用意してないってば」
何度言えば分かってもらえるのだろう。
というか、何故ここまで拒否しているのに、一向にめげないのだろうか。
あきれる反面、ここまで来ると尊敬してしまう。
そして、ここまで意固地になって拒否している自分にも、菊音は若干の疑問を感じるようになりつつあった。
けれど、慢性的にこういうやり取りをしていると、きっかけが見つからない。
どういうタイミングで市松の申し出を受け入れればいいのか分からなくなってしまっているのだ。
最近、いつも考えてしまうことを考えていると、珍しく市松が本当に拗ねたような顔を見せた。
「なー。ホントに何もないのか?」
つい、『あーりーまーせーんー』とやりそうになったが、それはさすがにぐっと堪えた。
ちゃんと用意してあるのだから、ここでそんな事を言ったら渡すタイミングを逃してしまう。
「……あるよ」
市松の顔がぱっと明るくなって、また両腕が広げられた。
その腕をするりと逃れてしゃがみこみ、菊音は足元に置いてあった大きな工具箱の蓋を開けた。
「言っとくけど、お市さんのリクエストとは違いますからね」
頭の上から市松が覗き込んでいる気配がする。
それだけでドキドキする。
それなのに、どうして素直に市松を受け入れられないのか。
菊音はまた最近よくする自問自答を繰り返しながら、工具箱の中から一升瓶を取り出した。
立ち上がって市松の方を向くと、市松はとても嬉しそうな顔をした。
市松が時々見せる優しい笑顔だ。
一瞬見惚れてしまっていたことに気づいて、菊音は慌てて一升瓶を差し出した。
「はい。お誕生日おめでとうっ」
市松の大きな手がそれを受け取る。
自分が持っているととても大きく感じるのに、市松が持つと小さく感じるから不思議だ。
「さんきゅー。菊音。
もちろん、菊音も一緒に飲むんだろ?」
「当たり前でしょー。じゃなかったら、そんな高価なもの……」
そこまで言って、市松の顔がにんまりしたことに気がついた。
「やっぱり、ちゃんと用意してくれてたんじゃーん。菊音とのひ・と・よ」
やられた、と思ったが、まあ、飲み始めたら変なことにはならないだろう。
また何か反論しそうになったけれど、出そうになった言葉の代わりに菊音はびしりと市松の顔を指差した。
「その代わり。……おつまみはお市さんの担当だからね!」
759 :
33:2006/07/24(月) 00:25:17 ID:iGAnBnBm
(了)
すみません、行数制限で上のレスに入りませんでした。
乙〜
市菊好きカポーなのでほのぼのよかった
乙でした。両腕広げて待ってるお市さん萌え。
この2人ってこうだよね。
んで2人してべろんべろんに酔いちくれて
しまいにゃ「エレエレエレエレー」なのかね。
早くくっつけ!まったく。
GJ!GJ!GJ!〜!
いやあ、やっぱ良いよ市菊。
763 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 00:07:06 ID:9DjSOx3g
おぉぉぉ。
かーみぃがきたー!
3日に一度じゃなくなってるけどほす
765 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 17:27:44 ID:cs+9Iqik
久々の市菊嬉しいです〜v
33様相変わらずすばらしいです。
ありがとうございました。
766 :
719:2006/07/30(日) 19:44:02 ID:5bCcSL8w
市菊ほのぼのですてき。
なんかこう、紫の上あたりになって彼らの仲人やりたい。
とかいいつつ、ど暗い7種の続きを投下させていただきます…
「できちゃった」
あたしの恋人はまるで不審なものを見るみたいに、あたしを見返した。
「……何が?」
あほかい。
「んもー、決まってるでしょちまき。できたっていったら子どもがよ」
今度はちまきは正座したわたしの身体をまじまじと眺め回し、お腹に目を留めて
「子どもぉ!?」
とすっとんきょうな声を上げた。
「うん、子ども。赤ちゃん」
ちまきはわたしのお腹を指差してぱくぱくと口を開け閉めする。
「オレの!?」
あんた以外に誰がいるっていうのかしら。
「いてっ」
思わず、叩いてしまったじゃないか。
「……マジ?」
「うん、マジ。生理も来てないし」
「だからって……」
「医療クラスのあたしがいうんだから、間違いありません」
そうはいっても、大丈夫、と言ってしまったのもあたしだったりするのだが。
「まつりちゃんが最近冷たいの、もう僕が嫌になったからかと思ったよ」
「そんなわけないじゃん。迷ってたの。いろいろ」
今は大事な時期だから。
ちまきは黙り込んで、もう一度あたしをじろじろ見渡して、最後ににやっと笑った。
「じゃ、2人一緒に外に出る?」
さすが、ちまき。
大好き。
揃って卯浪先生に報告に行った。
卯浪……先生は、口を開け、オーマイガッという感じで机をとんとん叩いた。
「茅巻に茉莉……この時期にか」
「はい。十七になっちゃって、最終テストまであと少しでしょうし、形式は発表されてないけど、当然実技もあるんでしょう?
流れるのは嫌だから」
あたしは医療と火のクラスを選択している。
傷つける方も治す方も、人体のプロフェッショナルになりたかったんだけど、火は格闘技なんかもテストに含まれるんだろうし、
こうなってくるとマイナスだ。
「茅巻は一緒に行く必要はないんだぞ。お前が孕んだんじゃない」
卯浪先生の……もう、呼び捨てでいいや、卯浪のこういうところがきらーい。
ちまきもかちーんときちゃったみたいだ。
「僕の子ですから。これから外で一緒に生きていきたいんです。家族として」
うわー、じーんときた。
家族。いい響き。あたしたちにはないものだもの。
あたしは調子に乗って、後に続けた。
「はい! 私たちは外でしっかりやっていくことを誓います! ここのことは一切口外しません!」「当たり前だ」
卯浪ははーっとわざとらしいため息をついた。
「まったくお前らときたら、なんのために育てられたと思ってるんだ」
恋に落ちちゃったんだから、仕方がないんじゃないんでしょーか。
あたしとちまきは小さい頃同室だった。
そのうち、部屋は男女分かれて2人部屋になって、13歳になったら専門クラスも始まって、食事の時間も自由になって、
めったに会わなくなってしまった。
ちまきは風と土という対文字通り風土特化の取り方で、あたしとはかぶらなかったのだ。
それまではなんとも思ってなかったんだけど、会えなくなったら寂しくなった。
でも、割と最近まではえっちは我慢してたんだよ。
「まあいい、脱落しろ」
あたしたちは2人して、手を叩き合った。
荷物をまとめて、車に乗り込んだ。
持っていくものは驚くほど少なくてほとんど手ぶらだった。
私物、ってものがあたしたちにはほとんどなかったのだ。
お別れも言えなかった。隣でちまきが
「もう一回、あゆちゃん見たかったなあ」
とか言い出したのでどつきたおす。口に出さないでよね。
あたしも安居くんにお別れ言いたかったけど。
助手席の要さんがこちらを向いて笑う。
運転手は卯浪だ。
「そうだ。聞いておきたいんだけど、妊娠したのは事故? 故意?」
走り出してすぐの要さんの問いに、あたしとちまきは顔を見合わせた。ちまきちゃんが口を開く。
「まつりちゃんが、妊娠しない薬も飲ませられてるんだろうとかいうから」
「ほう。そりゃまたどうしてだ」
卯浪が口を挟んできた。
「なんだったっけ、まつりちゃん」
これが最後と思うから、卯浪にもまあ付き合ってやることにする。
「先生たちとしてはあたしたちの生殖機能をチェックしておきたいはずなのに、月に1個しか避妊具くれなかったでしょ?」
1人1個で、2人で2個だ。夜通し一緒にいるのはOKなのに、これって少ない。
闇の物々交換市場の相場では常に上位だった。相手のいない男の子たちが意地を張るからだ。
「涼くんと虹子ちゃんが……この2年くらいだっけ?
あれだけずっと一緒にいて、一月にゴム2個で済むはずないでしょ。
妊娠しない体質ならとっくにはねられてるだろうし、てことは何かあるのかなと思ったの」
涼くんは何度もトップを取ってるから当然一人部屋で、虹子ちゃんとの関係もかなり自由が利く。
2位以下しか取れないあたしたちが夜に一緒にいたいときは、ルームメイトに話を通して別の部屋に移ってもらう、
ていうかなり恥ずかしい手続きを踏まなければならない。
またはカップル同士で部屋交換するとか。
逆にだから2個で足りさせることも我慢次第で可能だったわけだけど、あの2人はそんなもんじゃない頻度で会っている。
「だからね。コンドームはブラフであたしたちの忍耐力を試してて避妊用には本当は何か別の手があるんじゃないかな、って思ったの」
「例えば?」
「もしかしたら、毎日の薬に、カプセルの外側は同じだけど、中身が男女で違う薬があるんじゃないかな、と。
僕もそれ聞いて納得したんです」
と、ちまきが後を引き取った。あたしはつい、弁解する。
「医療クラスでカプセルの中身の分析なんてしないもの」
医療クラスで薬といったら、自然の中で使えるものを覚え、探せるようになるのが主だ。
今、出回ってる薬品については知らないことも多い。解析できる設備もないし。
「方向的には間違ってないんだけど……惜しかったね」
ぼこぼこのろくに舗装されていない道を走りながら、要さんの口調は滑らかだ。
「生殖能力がないのは困るけど、やっぱり自制心も必要なんだよ」
「まつりが裏読みしすぎたってことですか?」
「そうだね」
「コンドームしてても妊娠することはあるらしいですよね?」
「確率は低い。そこは運も実力のうち、だよ。ちまき。まつりも」
納得……はするけど、できない部分もある。
それはつまり、あたしの思考の出発点が間違っていたということ?
「じゃ、あれだけナマでしまくってると思われるのに、あの二人に子どもができないのは?」
要さんが何か言おうとしたけど、卯浪に何か言われて方向転換してしまった。ちまきがあたしを見る。
「あれじゃない? そんなにえっちしてないってことじゃない?」
「えー、セックスレス? じゃあ、どうして一緒にいるの?」
うーん、わからん。それでいいのかしら。
好きだから一緒にいたい。抱き合いたい。一つになりたい。で、一緒に未来に行けたら最高だった。
あの2人にはそんな時間よりも、大切なものがあるのかしら。
長く続ける話題でもないし、車内が静まったとこで、紙コップが前から回ってきた。
「喉が渇いただろう。飲むといい」
しゅわしゅわしてて茶色っぽい。何これ。
「もしかしてこれ、コーラですか?」
ちまきの問いに卯浪が頷く。
おおお、これが骨が溶けると噂の?
「初めてだろう。特別だ」
二人して頷いた。
早速、一口飲んでみると、喉に刺激がしてむせた。
おいしいけどこれって赤ちゃんにはどうなんだろう。
一気に飲まないで少しずつ飲む。
「音楽でも流そうか。何がいい」
要さんの問いに、ちまきが勢い込む。
「新世界より!」
うん、すてきだ。曲名が今の気分にぴったり。
音楽に身を委ねて外の景色が流れるのを見ていると、なんだか眠くなってきた。
外に海のような水溜りが見えた気がした。でも、そんなに近いはずがないような。
「ねえ、ちまきちゃん……」
答えはない。ちまきはうつらうつらとしている。
「今のうちに眠っておけ」
あたしもあまりに眠いので、お言葉に甘えることにした。
次に起きたら、外だから英気を養っておかなくちゃ。
ねえ、ちまき。外に出たら、何しようか。
前にベッドで話したことがあるけど、気兼ねしないでえっちしたいねー、とか、スカート履いてみたいとか、いろいろたくさんありすぎる。
植物の汁じゃなくて、マニキュアしたいな。車を運転してみたいな。自転車も。
赤ちゃんの名前は何にしようかな。
産まれたら、3人のものをいっぱい持つの。
そうだ、名字は何にしようか。
したいことがたくさんありすぎて迷ってしまう。
でも多分。ちまきと赤ちゃんと一緒にいられるだけで、幸せだと思う。
ちまきの手を握ると、ちまきがぎゅっとしてくれた。眠っているときのくせだ。
だからあたしも、2人でベッドにいるときみたいに安心して目を閉じる。
新世界に着くまで、一休みだ。
完
773 :
719:2006/07/30(日) 19:59:13 ID:5bCcSL8w
夏A候補にいたかもしれない人たちの話でした。
夏Bの二人はちまきとまつり。
こっちは漢字があって茅巻と茉莉。
7種いい!
夏Aはドラマがあるから面白いデス。
続きも期待してます。
775 :
719:2006/07/31(月) 23:26:41 ID:5HkJ/Qo0
連投もいいとこですが、最終回行きます!
7月中700番台のうちに終わらせようという密かな野望がw
穀雨の章の単行本未収録分のネタバレが含まれるので、ご注意あれ。
涼×虹子です。
最終テストが終わって一週間後、オレの独房の戸が開いた。
独房というのは比喩だが、灰色の壁にバスルームとベッドだけ、窓はない部屋だ。
検査が終わってすぐに放り込まれて、時折検査と奴らがやってくる。ここがどこかはわからない。
「涼、客だ」
教官の後ろから、見慣れた顔が覗く。
「虹子」
手を軽く広げるだけの挨拶をした虹子を残して、奴は去る。一般教養の気弱そうなメガネだ。
「怪我は平気そうね」
虹子はベッドに腰掛けているオレの隣に座る。
「来られるんならもっと早く来いよ」
一人一人引き離されてろくに口も利いていない。
互いの無事を確認して、生きてたかと思って、それで終わりだった。
「生理が昨日終わったの」
「火事の直前に来なくてよかったな」
虹子はあまり重い方でもないし期間も短いが(その期間死にそうだった女は早いうちに脱落していった)、さすがに多少はつらいと言う。
テスト中にあたったらどうしようかとは思っていた。
「無傷だろ。オレは検査だったが、今までどうしてた」
すると虹子はまたするりと立って、バスルームに入った。
オレも後を追う。
虹子は蛇口をいっぱいにひねり、シャワーの側に回す。
人為的な豪雨が、オレたちを濡らした。
瞬く間に、オレたちの囚人のような白い服は互いの肌の色を写す。服が邪魔だった。
虹子に両腕を挙げさせて、脱がせる。布が口元を通る間に、虹子が早口で呟いた。
「わたしも検査だったわ。精神面のだと思う」
マイクが超高性能でないことを祈り、オレは虹子を抱き寄せ、髪に口元を埋めた。
一応、服や差し入れられる食器、洗面道具なんかに仕込まれていないのは確認してある。
「冷凍されるのが遅れてるのは、安居や小瑠璃の治療待ちかと思ってたぜ」
「わたしたちは一緒に冷凍されても、一度に眠らせられるわけじゃないと思うけどね。この件は前に話したでしょ」
眠らせられるのと冷凍されるのは一時になのか。
他チームが一般人ならほとんど誘拐なんだろうからその2つは別々のはずだと虹子が主張し、
7人の冷凍装置は共通のはずだから冷凍時の肉体条件は出来る限り同じにするに越したことはないはずだとオレが一度に説を主張して、
朝まで結論は出なかった。
今も自説を曲げる気はないが、それは今は問題ではない。
虹子の検査がそういう性質のものなら、つまり冷凍される以前の問題だということだ。
「まとめて、様子見か」
「不安論が出てるんでしょうね、きっと」
「あれだけやってか。バカか」
後悔するなら、もっと早く気付け。
最終テストは、オレたちに宗教色がなかったのがわかる気がするものだった。
死後の世界に夢なんて抱いてはいけなかったんだろう。
オレですら思うのだ。
皆に置いてかれたのは、オレたちの方かもしれない、と。
皆、向こうで幸せにやってるのかもしれない、と。
「だからね、きっと」
虹子からキスしてくるのは珍しいな、とぼんやり思った。
「わたしがここに来てもいいと言われた」
意図を測りかねてぼんやりしていると、虹子が残った下着を自分で脱ぎ捨てる。
本気で、テスト前と変わったところが一つもない。傷の一つすら見当たらない。
オレがつけた爪の痕だけだ。
「一回するだけで七人済むなら、安いと思わない?」
そういう、ことか。証明してみせろと。
あいつらにしてみても、17年間の努力をまったく無にするのは嫌なんだろう。
小瑠璃も源五郎も、鷭も行きたくないと言った。
安居とあゆは口すら利かなかった。
オレたちだけでも大丈夫そうならば、全員大丈夫だということにしようと、そういうことか。
オレの喉から笑いがこみ上げてくる。惨めも過ぎると笑うしかない。
「しっ」
虹子がオレの唇に指を当て、シャワーから浴槽に湯を切り替えた。
まだ少ないけれど、オレも服を脱ぎ捨て2人で浸かる。2人入ってぎりぎりの狭さだ。
手当てされ直すのもしゃくだったので、包帯が取れるまではタオルで拭いて済ませていたと言うと、
虹子が嫌な顔をしてオレの腕の辺りを強くこする。
「汚くはないぞ。ここ3日くらいは風呂ばっかり入ってたしな」
まだ目が疑っている。
「することもない上に、珍しいだろ。狭い風呂」
個室には風呂はない。共同浴場やシャワーにはカメラつきだ。
夏は夜中にこっそり湖で水浴びしてたこともあった。冬はどうしようもなかった。
「そうね。清潔みたい」
腕のあたりを行き来していた指にぐっと力がこもり、下ってきた。珍しい。
何度か指でこすって手を添えて、口の位置を下げる。
虹子は口でするのは好かない。手でするのもあまり好きではないとかで、以前ねだったら自分でしろと言われたことがある。
「大サービスだな、虹子」
湯が上がってくる感覚と口内でいじられる感覚が混ざり合って、かなりクる。
「もうちょっと舌使えよ」
虹子が珍しく感情の見える恨めしげな目線で、湯から顔をあげた。
「噛むわよ」
顔をぬぐいながらそのあたりに、爪を立てる振りをする。
それは勘弁。
「なんならオレも舐めてやるか?」
浴槽の淵に座らせて足を広げさせる。
「あら、大サービスね、涼」
こんなふうに最中にぺらぺら喋るのは、初めてだ。
前戯に時間をかけるのも。
虹子が俺の頭を抱えて、抑えながらも確かな、喘ぎ声を上げる。浴室の空気が震えて響く。
しっかり見て聞いてるか? 覗き魔。
まだ抱き合えます。子どもも作れます。生きていく気があります。
これで満足なんだろう、サディスト先公どもめ。
オレらの一番最初は実験感覚、その後はいつも最小限、どうしようもない欲望を満たすためだけにしか抱き合ってこなかった。
時にはレイプ紛いもその逆もあった。
まともに想い合い、抱き合ってた奴らは皆死んだ。どっちか、どっちも死んだ。
愛情も友情も、全てお前らに殺された。
「せいぜい見せ付けてやろうぜ」
虹子が小さく頷き、風呂を上がる。
おぼつかない足取りを支えて、ベッドに倒れこむ。
虹子のすぐに冷えていく肌がオレの火照りを醒ます。
冷たい体のあたたかい場所に後ろからぶち込みながら、背中に唇を這わせると身体が波打ってオレを高める。
虹子は口でシーツを噛んで耐えている。
「声出せよ」
喉から指を這わせて力任せにシーツを奪い取る。
オレたちは予定通りに来ている。常に先を読み、常に情報収集と交換を怠らず、結果2人で残った。安居も小瑠璃も残った。
それなのにオレは、傷ついている。
半ば泣きそうな虹子の顔に、火事の前最後に抱いた風車の事故の夜がだぶった。
なあ、虹子。
貴士の野郎がオレと安居の前で言ったんだ。
――これから生まれてくる子どもたちは、せいぜい君たちの年までしか生きられない。
これから生まれてくる子どもたちも、オレらの年あたりまで生きられるんだとさ。
てことは、オレらの年の外の奴らは、三十越えられるんだな。
なあ。
オレらの世界は、地球でも日本でもなかったな。
あいつらに作られた虫籠みたいな世界の、終わりの日はあの火事の日だった。
オレらの世界のXDAYには隕石なんて大物は必要なかった。
一旦ベッドの上で抱き合うと、お互いに止まらなくなった。
お互い溜まっていたらしい。
あれだけいろいろあっても傷ついても、やることはやれるものだ。
それとも、あいつらに見られてるから燃えるんだろうか。
今までもどうせ部屋の中も見られてるだろうとは思っていたけれど。
いつも1ラウンドで音を上げる虹子がやめようとしない。
四十八手極められそうだ。オレも閉じ込められた状態で運動ができなかったせいで、なかなか尽きない。
監視されている部屋で一人でやる気にもならない上に、やる気力もなかったせいもあるか。
「取り上げられなくて、よかったね」
虹子が腰を動かしながら、オレが首にかけたままの十字架をいじった。
入ったままで、膝座りしたオレの上に座った状態で、肌の間で揺れるそれを弾くその手をつかんでなんとなく指先を絡める。
4本の手のうち2本をとっさに使えない状態にするのはもったいないと、一緒に歩いているときも肩は組んでも手は握らなかった。
やってる最中はもちろんで、一番無防備になるだけにサイドに置いた武器を取れるように大抵手は空けていた。
こんなことは、最初で最後だろう。
そのまま、下から突き上げるようにすると虹子が空いた手をオレの首に巻きつけた。
耳元で声を聞きながら動かすごとに強くなる手を感じながらいっそこのまま絞め殺せ、と思う。
だけど、そうはいかないこともわかっている。
オレたちは7人でただ一つの罪の塊として、未来へ行く。
今まで虹子と、わいわいやってるやつらを横目に2人で歩いてきたけど、もう辿るべき家路はどこにもなく、馬鹿にする灯りはない。
これからはただ暗闇の中を、7人で歩いていくのだろう。
手を繋ぐ必要はない。見なくてもわかる。臭いがする。
オレたちは、きっと同じように、血にまみれた手をしているのだ。
その日、オレたちは多分初めて、同時に絶頂に達した。
繋いだ手は離れ、虹子の片腕はオレの肩を通り過ぎた背後に伸び、なにもない空間を掴んだ。
完
ぅおお〜!
激しくGJです!
おつかれっした!
涼!格好よかった。面白かったです。
またいつか、投下して欲しい。。。
783 :
719:2006/08/03(木) 22:16:42 ID:Bwlt+W9X
レスありがトン!
涼の口調って蝉とかと比べると実は丁寧でかわいらしめなので意外と難しかった……
では、9巻発売まで名無しに戻りますノシ
七種9巻の発売は9月だそうだほしゅ
ほす
巴がゆくのSSを誰か
巴がゆくのSSを誰か
788 :
名無し:2006/08/17(木) 12:34:07 ID:7H+oeUiA
保守
3日に1レス。これ基本。
処暑だす。ほすするのだす。
懐かしマンガ版から流れてきました
(向こうはパロ禁止らしくて)
エロは書けない未熟者ですが 平にご容赦を
どうしてもBASARA の揚羽を生還させたくて
いろいろ考えてみました
次から投下します
興味ない方 スルーでどうぞ
(ご服用になる前の注意・・この文には原作ではその場に居るはずなしの
「矛盾」が多く含まれております ご服用の際には「読み合わせ」に注意して
正しい読解力をもってお臨み下さい)
・・無限の闇に飲み込まれた筈だった・・
・・だが闇に底があった
「・・・・ですか?先生?・・・・」
「・・・・いや・・・・2日も・・・・もつかどうかじゃが・・・・」
周囲の雑音が意味を持つ言葉になり始め
最後うす絹の覆いを払うように 彼は眼を開いた
「あ、先生!」
「む?・・おぉ、気がついたか」
焦点が定まらず 頭もまだくらくらする
幾人か見知らぬ者の中で
大層小柄な老人がにこにこと話しかけてきた
「よかったのう なぁに若いし見たとこ体力もありそうじゃ
傷は完治する 養生せぇよ」
「あぁほっとしたぜ 今度からケンカするなら
じべたでやってくれんか?夜郎組?」
続いてひときわ眼を引く金髪の大男
「息があるのも放っておけんしな
あの状況で2人運ぶのは 骨おったぜ」
・・では この男が・・オレを地獄から引き戻したのか?
納得できぬ方ごめん編の2
「あとはヤツだけだな」雷蔵は不安げに奥の寝台をみやる
「うむ・・こやつとは比較にならん深手じゃ
この一昼夜に意識が戻らねば 正直きびしいのぅ」
寝台の上には 死人のような土気色の肌の男が一人
その整った美貌をひと目見て 蜂矢はあっと息を呑む
・・大猿!!
「どうした?何も口にせんそうじゃが」
「京の味付けは薄口と聞くがの
病人食なら代わり映えないじゃろが ん?」
芭蕉の問いかけにも 蜂矢は能面の表情を崩さない
「・・心が折れてしまっておる
体の傷は直せても こればかりはのう・・」
さすがの芭蕉も渋面を刻み 考え込んでしまった
揚羽の容態は何も変わらず その夜は更けた
監視用にともされた揺らめく炎に映えて ぞっとするほど美しい
未だ目覚めぬその横顔を眺めながら 蜂矢は自問する
・・大猿よ・・
やつのおかげで多くの同胞が斃れた ・・密も・・
だがどうしたことか何も感じない
あれ程たぎった憎悪の炎は消え去り くすぶりも残っていない
・・オレはどうしたいのだ?
時間(とき)はこぼれる砂のように過ぎていく
翌日の太陽も既に地平の下に隠れてしまった
「そろそろ目覚めちゃどうだ?揚羽よ・・」
毎日様子を見に来ては 雷蔵は語りかける
「お前はオレの弟みたいなもんだ
お前が辛い生き方をしていると知っていながら
オレには何も出来なかった・・
本当に来るんだぜ 新しい時代がよ
・・今度こそ ゆっくり話が出来ると思ってたのにな・・」
横たわる「弟」の手を握りしめる 雷蔵の肩が震えている
大猿よ・・お前はこの男に応えぬのか?
「さぁ 少しどいてね 包帯を替えますからね」
ユウナがてきぱきと手を動かす 寝巻きの合わせを整えながら
「それにしてもキレイねぇ・・なんていうの、「妖艶」ていうか」
「あぁ・・蒼の王の宴で踊ったこいつは そりゃ凄かったぜ
花のようにたおやかで 触れなば落ちんとみえて
時に冷ややかで 挑発的でな ざくりと艶をだす
こうして眠っている姿をみてもな ・・なんかこう・・」
「オレはホモの兄貴はいらんぞ」
え?
一瞬2人は理解できない だが次の瞬間
「あぁぁ・・揚羽!あげはぁ!!」
「よかった 本当に ・・先生!揚羽が!先生!」
重苦しかった病室の空気が いっぺんに和む
雷蔵は男泣きに泣いている
「なんじゃ 更紗にはまだ知らせてないのか?」
「えぇ 助かるかも微妙でしたし 期待をもたせてもと」
「そんなら あす一番に伝えるがええ
きちんと直してやるから安心せぇとな」
「タタラになら会ったさ」眼を伏せて揚羽がいう
「きちんと礼もいっといた・・借りも返してもらったってな・・
・・あぁそうだ たろーちゃんも見かけたな
川岸で恨めしげに手招きしてやがったぜ ははは・・」
乾いた笑いをした途端 少しむせ始める
「こらこら まだあまりしゃべっちゃいかんぞ
これを飲んで休むんじゃ」
和気藹々のやりとりに 蜂矢は背をむける
深夜 皆が寝静まった頃・・
「飯くってねぇそうじゃないか」揚羽の言葉に蜂矢は振り返る
いつから気がついていたんだ こいつ?
「今朝から起きてはいたんだが しゃべる気力がなくってな
頭がはっきりしたのはいいが あちこち痛くってしょうがねぇ
流石の揚羽さんもまいったぜ・・」
「ま 芭蕉先生は名医だ 任せときゃいいが
食わなきゃすぐにお陀仏だぜ」
蜂矢は答えずにただ見つめる 揚羽はそちらを見ようともせず
「・・なぁ 何が正義かとか 大儀だとか 難しい話は抜きだ
時代に逆らって生きるのもそろそろ疲れたろ
自分自身で道をひらいちゃどうだ?」
蜂矢は答えない
「・・流石の石頭だな 王家と共に滅ぶも本望か
ならいっそ死んじまいな
死んだヤツをどう扱っても 拾ったもんの勝手だろ
そうして いいやつにでも 拾ってもらうんだな」
蜂矢は答えない
いつのまにか隣の男は 安らかな寝息をたてていた
蜂矢の意識も 暗い闇に飲み込まれる・・
「・・朱理ダメだよ きっとまだ眠ってるよ」
「構わん 言わねばならん礼がたまっている
用がすめばすぐに帰る」
どすどすと傍若無人な来訪に 蜂矢は目を覚ました
「あ ごめん 起こしちゃって えっと貴方は・・」
目の前には年端も行かぬ少女 それに・・
「揚羽!どこだ?」
朱理は蜂矢に目もくれず 奥に進んでいく
「どこだ?どこにもおらんじゃないか?」
「無茶じゃ!あの体で抜け出すなど」
芭蕉は憤慨していたが やがてため息をつき
「全く 困ったやつじゃ ひと時も同じ場所におらん」
ユウナは気の毒そうに
「更紗ごめんなさい もっと早くに知らせればよかったね
貴女のことも話してたし あたしてっきり・・」
「ううん いいの もう会ったから」
蜂矢は耳を疑った 皆もあっけにとられる
その言葉は昨夜の揚羽と同じ・・
更紗はにっこりと続ける
「あの時来てくれたの・・
・・生きていてくれたら もういい」
「おーー 蜂矢じゃないか」
たった今気付いたと 朱理が近寄ってくる
「随分と頬がこけたな ますますふけたんじゃないか?
飯くってないんだろ?」
「赤の王 よくぞご無事で」
「その名はもう捨てた 今はただの名無しの朱理だ
そうだ そなたも名など捨てろ!
オレの下で新しいことをさせてやる」
何年かの後・・
砂漠を渡る商隊(キャラバン)が 蒼い民とすれ違うという
時に華麗に 時に優雅な舞を披露しては
砂の原を渡っていくという・・
乙〜。
雷蔵ちゃんできたか。
>>798 誰が救世主となるかは 結構考えた
あんま原作で動きのわからん関東軍のみなさんが
あの竜神を作った 大林組級の土木技術でもって
竪穴をがしがし 掘ってくれたんじゃないかと
(一人じゃさすがに無理だろ)
そのレスキューの模様も ドキュメントにしてもよかったかも
「海猿」ならぬ「大猿」 ナンチテ
では エロが書けるようになるまで
修行しなおします
800(σ・∀・)σゲッツ
呪いの801(σ・∀・)σゲッツ
ムリヤリにFM802(σ・∀・)σゲッツ
ほす
7種のカプ組み合わせって何通りだろうと考えつつ華麗に保守
3日に1レス。これ基本。
806 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 19:23:05 ID:mKu9fFu7
安居→あゆのオナ小説見たい。
あんごってそういうのしなさそうだから返ってドキドキしてしまうw
安居ってそのへん薄そうだよね。
彼女がほしくなった理由も、なんか性欲とは縁遠そうだった。
しかし、7種はなかなか増えないね。
スレ読んでると、書きたいって言ってる人は結構いるのに。
ほす
巴SS自分も読みてーな
上総×ナーナとかキボン
3日に1レス。これ基本。
無意識のうちに抱き寄せられ、くちづけられた。
自分も無意識にそれに応えつつ、ゆっくりと覚醒する。
まだ薄暗い部屋の中、 目の前に広がるのは傷。
優しげに微笑む顔だった。
それが市松の腕の中だと気づいたとき、菊音は慌てて身じろいだ。
なぜ自分がここにいるのか、夕べ自分たちの間に何があったのか、一瞬のうちに思い出す。
夕べ、初めて悟浄と身体を重ねたのだ。
酔っていたし、売り言葉に買い言葉で、意地の張り合いになって、それで。
BASARAってパク○のあれか
>>811 なぜ途中から最遊記になってるのかわからないのだす。
どうせ余所からパクって持ってきたんだろ。
ワロス
816 :
33:2006/09/23(土) 01:58:30 ID:K9+Og/Z7
>>806さんのネタ、拝借しました。
安居→あゆで、オナネタです。
苦手な方はスルーでお願いします。
817 :
33:2006/09/23(土) 01:59:00 ID:K9+Og/Z7
彼女の判断力や冷静さを認めたから、同士になりたいと思い、
共に頑張ろう、というつもりで手を差し出し、握手しただけのつもりだった。
それなのに、彼女の手の感触がなぜか消えない。
普段表情を作らない彼女が、ほんの一瞬見せた笑顔がまだ目に焼きついている。
安居は毛布に包まり直して、大きなため息をついた。
今はこんな事に頭を悩ませている場合ではない。
最終テストがもうすぐ行われるというのに。
「くそっ……」
安居は毛布を跳ね除け、起き上がった。
みぞおちの辺りがむかむかする。
ストレスがある証拠だ。
それだけならまだしも、頭の中に何かよく分からないもやもやとしたものがある。
あゆの、マドンナとあだ名される彼女の顔がまたちらついた。
こんなに誰か特定の女を意識したのは初めてな気がする。
考えろ。
いつものように自分に言い聞かせる。
彼女とは前から知り合いだったけれど、たまにちょっとした会話をする程度の仲だった。
けれど、あれだけある食材の中から、他の植物との判別が難しい毒ゼリを見つけだし、
間抜けな食事当番がそれを使ってしまわないよう、食事当番より先に食材をチェックしに来る、
そんな彼女を見たから、彼女とはただの知り合いでは終わらず、
同志としてやっていきたいと思い、手を差し出したのだ。
818 :
33:2006/09/23(土) 02:00:21 ID:K9+Og/Z7
綺麗な顔とは違って、手はかさついていた。
普段から、他人の分も料理をして、植物を学んでいるせいだ。
そんなのは分かりきっていたことなのに、手を通して、それを実感した。
彼女も七人の中に入れたらいいのに。
そう思った。
共に未来へと行く七人に選ばれ、一緒に未来へ行くのだ。
そこで、そこで……。
「……ああ、なんだ」
下らない。
安居は自分の中にあった正体不明の不快な感情の正体に気づいて、思わず苦笑した。
溜まっていた、というだけのことだ。
そういえば、このところ最終テストの事ばかり気にして、まったく抜いていなかった。
どちらかといえば淡白な方だという自覚はあったけれど、
生理的に溜まってくるものを放置できるほど枯れてもいない。
生活に支障が出ない程度のペースで処理をしてはいたが、それすらも忘れるほど、
最終テストに神経が向かっていたのだ。
それだけ集中しているといえば聞こえはいいが、裏を返せば余裕がないということだ。
おかげで、女と握手をしただけでこの有様とは……。
我ながら情けない。
「久しぶりだな……」
前回、処理したのはいつだっただろう。
茂が部屋を移ってくれたことに感謝しながら、安居はティッシュの箱を手元に引き寄せた。
819 :
33:2006/09/23(土) 02:01:20 ID:K9+Og/Z7
ジャージとトランクスを下ろして、ベッドに腰掛け、まだ熱を帯びる前のものを軽く掴んだ。
自慰を覚えたばかりの頃は、こうしただけで、いや、下手をすると時と場合を選ばず、
何もしなくても簡単に立ち上がり、処理に困ったものだが、この三、四年そんな事もなくなった。
そうはいっても、放っておけば腹の中の不快感は溜まってしまう。
生殖のために必要なものとは言え、厄介なことだ。
目を瞑り、いつだったか何かで見た女の裸を想像して、軽くしごくとそれは簡単に立ち上がった。
が、その瞬間、頭に浮かべた女の顔が、あゆに変わった。
「っ!?」
思わず目を開けると、彼女の顔は目の前から消えた。
もう一度目を瞑って、”女”を想像して、手を使おうとすると、やはり彼女が姿を現した。
こんなことは初めてだった。
いつも、誰だか分からないぼんやりとした”女”をただ思い浮かべるだけで、
具体的な誰かを思い浮かべた事などなかったのに。
間の抜けた格好のまま、安居はため息をついた。
もう勃起してしまっているから、後日改めて、という訳にもいかない。
マドンナ、申し訳ない……。
心の中で彼女に謝罪してから、安居は再び目を瞑り、右手を動かし始めたが、
昔からよく思い浮かべる女の身体に彼女の顔は不釣り合いで、何かどこかスッキリしない。
「はあっ」
安居は大きく息を吐くと、ホントにごめん、と呟いてから、開き直ってあゆの顔をしっかりと思い浮かべた。
820 :
33:2006/09/23(土) 02:01:59 ID:K9+Og/Z7
頭に浮かんだ彼女は表情に乏しい顔で、こちらを見ている。
ジャージを来て、三角巾を頭につけて、片手にはお玉を持っている。
どう考えても、色事を想像するには苦しい格好だが、
脱いだところを想像しようにも、まったく思い浮かばない。
その時、自分自身を掴んでいる手が、彼女の手の感触を思い出し、次の瞬間、腰に微弱な電流が走った。
その痺れがやけに心地いい。
安居は深呼吸すると、もう一度彼女の手の感触を思い浮かべてみた。
やはり今までに感じたことのない、快感が腰に走り、ペニスに走る。
安居は自分でも気がつかないうちに生唾をごくりと飲み込むと、
今度は自分の手の感触を彼女の手の感触に置き換えた。
今、自分を包んでいるのは彼女の手だ。
自分に言い聞かせる。
あゆは相変わらず無表情だが、それでもそんな彼女の手にあるのはお玉ではなく、自分だった。
身体中がぞくぞくしてきた。
足の指が床を掻く。
膝が震える。
あゆが、みんなにマドンナと呼ばれ、ある者は妬み、多くの者は距離をおく彼女が、
自分の猛りを掴んでいる。
821 :
33:2006/09/23(土) 02:03:09 ID:K9+Og/Z7
「あ……ゆっ」
無意識に彼女の名前を呟き、手を動かす。
荒れた手が輪郭を辿り、細い指が弱い部分をくすぐってくる。
「くっ……」
少しだけ彼女の口元が笑った。
限界が近いことを悟られたのだろうか。
ここに居る訳ではない相手の感情を推し量っている自分に気づかないまま、安居は手の動きを強めた。
奥から熱がこみ上げ、先端からは早くもそれが滲み出してきている。
「あ……ぅ……ッ」
早く出したい。
あゆの手の中に放ってしまいたい。
手の動きがどんどん強くなる。
手のひらで、自分がびくびくと脈打つのが感じられ、安居は思わず、
「ご、ごめんッ……ん、…くッ!!」
と口走り、あゆの、正しくは自分の手のひらに熱を放った。
後始末は空しさに加え、あゆに対する気まずさがたっぷりと残るものだった。
手を洗い、再び毛布にもぐりこんで、安居はため息をついた。
腹の中にもやもやと溜まっていたものは消えてくれたが、
代わりに胸の方にそれとは別のもやがかかってしまった。
あゆに後ろめたさが出来てしまったのだ。
しかし、それと同時に、今まで得た事のない充実感があるのも事実だった。
次回こういう事をする時は、おそらくまた彼女を想像してしまうだろう。
安居はまたため息をついて、明日は彼女に合わなくてすむことを祈りながら、目を瞑った。
(了)
>>33さん、GJ!
途中であゆから別の恩納の顔に切り替わったのは小瑠璃でしょうか?w
安居は無意識に二人の女の子の間に揺れてるんですね。
個人的に小瑠璃は涼派の私なんですが、面白かったです。
それにしても、あゆの描写は物凄く良かったです。かさかさの手の設定は旨いなぁーと思いました。
そうなんですよね、彼女ってあんなに綺麗な顔してるのに、お玉持って割烹着着て、ウンチと平気で言ってしまうし、
なんか「かあちゃん」というイメージがあります。まさに(聖)母。
たむさんもただ綺麗じゃなくそういう意味合いも込めてニックネームつけてくれてたら嬉しいな。
すんません。読み違えてました。
いつも思い浮かべてた抽象的な女性があゆの顔に変わったんですね。
どこに小瑠璃が出てきたと解釈してしまったんだ、自分。
ごめんなさいorz
それにしても、良かったです!
33さん、7種も書かれるんすね! 嬉しい!
童貞安居はいろいろときめきますねー。
かわいいったら。
33さんGJ!
今まで安居→あゆにあんま意識してなかったんだけど
33さんのSSで認識が変わりましたよ!新たな萌えをありがとう。
ほす
浅葱に無理矢理ヤられちゃう更紗を誰か書いてくれ…
それいいね。
829 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/30(土) 00:23:00 ID:Dp0SFnpa
浅葱に無理矢理ヤられてる更紗。
そしてその場面を目撃してしまう朱理。
ID:FBbGbE0xの読解力について
とりあえず、半分だけ浅葱x更紗を落とします。
無理やり、出来るのか、浅葱…
朱理の腕が――落ちた。
鮮血がマントをその色に染め替える――
何、これは夢?悪い夢を見ているの?
ああ、でも浅葱が泣いている。
どうして泣くの?あんたが大っ嫌いだった朱理が血を流して苦しんでいるんだよ。
浅葱、泣かないでよ。
体中の血が沸騰する。ただ身体が熱くてよく覚えていない。
斬られそうな朱理を守った。
それを見つめる、惑うたように不審気に見つめる人たちの視線。
「赤の王」を守る自分は穢れか――
泣いてる浅葱。
血を流している朱理。
人を斬り続ける私。
萩原軍が陥ちる――長い一日。
油臭く、まだ火がくすぶる戦場を更紗は馬に乗り――探していた。
「浅葱!」
呆けたように立ち尽くす浅葱に更紗は近づく。
「お疲れ様、大丈夫?」
「タタラさ、もし僕と朱理と、どっちかを選ばなきゃならないとしたら、どっちにする?」
――浅葱は、いつも突然。いつも、何気なく無邪気に自分を痛めつけるような、
傷つけるような質問をする。
(悲しい人――)
「――絶対選ばなきゃいけないの?」
「そう」
浅葱は、稚いこどものような表情をする。
更紗は思わず、湧き上がる微笑みをかみ殺した。
「じゃあ、浅葱にする」
「そう…ありがと」
更紗は痛みをこらえるような笑顔に耐え切れず、後ろを振り向き立ち去ろうと
している浅葱の着物をぐい、と引っ張った。
「なんだかわからないけど、私が信用できない?何かあるなら言いなさい、ちゃんと!
ちゃんと聞いて、一緒に考える!」
ひんやりとした唇が、更紗の唇をおおった。
叫ぼうと唇を開いた瞬間、するりと長い浅葱の舌が入り込んだ。歯茎を撫で回し、歯を
こじあけて更紗の舌に触れる。
「ん、んぐっ――」
(浅葱――!)
更紗は浅葱の背中に手をまわしかける。刹那――
どん!と更紗は突き飛ばされた。
「浅…葱?」
浅葱は、振り向かずに駆けて去って行く。
更紗は、ぽかん、とその場に座り込んだ。
浅葱の舌の感触が残っているのか、自分の口に違和感を抱いて指を入れる――と、
冷たい、蒼く輝くピアスが舌下に残っている事に更紗は気づいた。
ハヤトが、仲間が呼んでいる――まだ戦は終わってないぞ!――と。
タタラは鬨(とき)の声を聞く――タタラ、行け、戻れ、戦の場に!!――だが、
更紗の脚はそのピアスの主に、その己に託した蒼いピアスの意味を尋ねに行かずにはいら
れなく、よろよろと歩を進めた。
「浅葱…?」
主戦場からずいぶんと離れた岩場に、浅葱は座り込んでいた。
「ちょっと浅葱、大丈夫なの?」
「…雪みたいだ、ひらひら、ひらひら」
浅葱はほっそりとした手のひらを空に向けた。
「燃えた、敵の身体なのか、燃えた誰かの髪の毛なのか、灰が冷たい雪みたいだ」
ぶるっ、と浅葱は震えた。
「雪は嫌いだよ――」
パシン!と更紗は浅葱に平手を打った。
「しっかりして、浅葱!まだ戦は終わってないんだよ!」
「寒い……」
呆けたような浅葱の肩を、がくがくと更紗は揺すった。
「浅葱、ちょっと、大丈夫?戻ろう、みんな心配し――」
浅葱の身体がガクン、と更紗の上に落ちた。
更紗が思わず地面に尻餅を付き、浅葱の身体がぐったりと更紗の上にのしかかる。
「僕を選ぶんでしょ?なら、今、ちょうだいよ、タタラ、君を」
「まだ戦の間なのに――何を」
浅葱は更紗の胸元に手を伸ばすと、ぐい、と着物をはだけさせた。
「浅葱、止め――」
両手首をぐい、と強い力で掴まれ、身体に浅葱の身体の重さを受け、身動きが取れずに
更紗は嫌々をするように首を振った。
「止めて!」
浅葱ははだけた胸元に接吻をする。つつ、舌先で乳房を舐める。髪先が、敏感な頂きに
触れる。
「あっ、浅葱!ねえ、今なら冗談で済ましてあげる。止めて!」
ぐいっ、と手首をねじり上げられ、痛みに更紗は身体をひねった。
その隙に、浅葱はするりと更紗の上着をすっかりはだけさせてしまう。
「やっ…」
羞恥に思わず身体を隠そうとする更紗の身体をぎゅう、と浅葱は抱きしめ、耳元で呟いた。
「赤の王は――良かった?」
ぴくん、と更紗は身体を硬くする。
「赤の王と寝たよね?何回したの?どんな風に愛してもらった?朱理は優しかった?」
きっ、と睨みつける更紗の額に口付けると、浅葱は言った。
「僕は、優しくないよ。でも、あんたが僕を選んだんだ――」
嫌がる更紗の着物を全て、乱暴に取り去り、浅葱は圧し掛かった。
岩場に寝そべる更紗の身体は、地面の小石で擦られて血が滲み、浅葱が上で動く度に
痛みに身を震わせた。
「ああ、やだ。血かぁ――頑丈な肌をしてると思ったけど」
浅葱は己の着物を取り去って、面白くなさそうに更紗の下に敷いた。
「痛ければ、叫べば良いのに――ってか、もっと痛くなるんだけど」
浅葱は乱暴に胸をまさぐった。乳房の蕾を捏ね、そして乱暴に引っ張る。
「痛ぅっ――」
「感じやすいところって、乱暴に扱うと一番痛いところなんだよね」
ぐい、と髪の毛を引っ張り、更紗の細い首を天に向けさせると、首筋一面を血が
滲むほどに浅葱は吸った。
「首筋の傷――戦で傷ついた、なんて言えないよねえ」
くっくっと、笑いながら浅葱はさらりと髪を揺らした。
細い身体にどれだけの力が眠っているのだろうと言うくらいに、浅葱は強く更紗を抱いた。
更紗は息を詰まらせて、思わず咳き込む。
浅葱は構わず、咳き込む更紗の口を塞いだ。
「ぐ…ぐふっ。げほっ」
浅葱の舌が、更紗の舌を絡め取る。手は止まらず、更紗の乳房をもてあそぶ。
「あんたの首を絞めた事もあるんだ」
更紗は気が遠くなりそうになりながらも、浅葱を見つめる。
「一緒に行こう――なんて、馬鹿な事を言った」
浅葱はいっそう激しく接吻すると、するりと身体を更紗の下肢に移した。
脚を持ち上げ、太ももに舌を這わす。少年のように引き締まった更紗の身体の中で、
腿だけが白く女らしい。その柔らかな太ももに頬を這わせ、ちろちろと浅葱は舐めた。
「んん…やめ…」
「止めないよ」
更紗は脚を持ち上げられ、己の秘所が露わになっている事をぼんやりと感じた。
(反抗しなさいよ、ばか更紗!)
更紗はぐらぐらと頭を揺らして、ゆっくりと瞳を開いた。
ひらひらと目の前を灰が舞う――
ふわり、と灰片が自分の肩に落ちた。風が、ふわりとそれを運ぶ。
(浅葱――そうだね。寒い、とっても寒いよ)
浅葱は腿に接吻をし、膝の裏を撫ぜた。
ぴくん、と更紗を身体を反らす。
「ふうん…こんなとこも、気持ち良いんだね」
いっそう高く脚を持ち上げると、浅葱は膝裏に舌を這わせ、丹念に舐めた。
右手は足首に、左手は秘所へとそろそろと近づく。
膝裏を舐めながら、浅葱の指は更紗の桃色の秘所へと近づき、その襞に触れた。
襞をくるくるとさまよいながら、ようやく現れ立ち始めた赤い蕾をくっ、と掴む。
「ああっ……いやっ」
浅葱は脚を下ろし、舌と指で更紗の秘貝を開く仕事にかかった。
赤い蕾はまだ開かず、蜜を垂らさない。
浅葱は中指で蕾を捏ね、舌で花びらをゆるゆると揺らした。
「そろそろだね」
冷たい指をつつ、と貝の割れ目に這わせる――と、一本、指を差し入れる。
「痛――っ」
「痛くないよ、だって、君は処女じゃないもの。赤の王のお手つき、でしょ?」
浅葱は秘所奥深くに指を差し入れ、ますます赤く色づき始めた蕾を舐めた。
と、とろり、と蜜がこぼれる。
「ほうら、痛くないでしょ」
くつくつと浅葱は笑うと、ぐぐっ、と指を壷に突き刺した。
一本が、二本になり、その指は左右の壁をくいくいと、刺激する。
その度に、ぴく、ぴく、と更紗の肉環が蠢く。
痙攣しているかのように身体を震わす更紗を見下ろして、浅葱は溜息を吐く。
「営みの前の戯れでこうなら、本当にしちゃうとタタラの身体は壊れちゃうかもね――」
止めて――と、拒むように、更紗の手が動いた。
浅葱はその手を掴み、ぐい、と己の猛りを更紗に突き刺した。
「嫌あぁぁぁぁぁっっ!!」
「黙って、タタラ!」
浅葱は猛りを更紗におさめる。
「ああああああっ!!」
「タタラ!」
浅葱は、ゆるゆると、そして徐々に激しく腰を動かし始めた。
840 :
831:2006/09/30(土) 01:30:36 ID:eT9obOzL
浅葱に無理矢理ヤられる更紗は何とか行けそうだが、
朱理に目撃されるのは難しいなぁ。
残りは、週末に落とします。すんません、細切れで……
うわぁ、浅葱かっけぇ。
「血かぁ」ってところがイイ!
続き楽しみにしてますね。
「浅葱ってば!離して!」
「黙って」
浅葱は叫ぶ更紗の唇を己の唇で荒々しく塞いだ。
「んんっ…っ!」
荒々しい接吻は、徐々にゆっくりとしかし情熱的に更紗の舌をなぶった。
更紗の腕を押さえつけ動きを封じていた浅葱の腕はいつのまにかはずされ、その腕は
柔らかに更紗の身体を包んだ。
甘く、ゆるゆると更紗の中を探るような浅葱の腰の動き。
そして、甘くとろけるようなキス。
更紗は我知らず浅葱の長い舌に促されるかのように、自分の舌をおずおずとからめ始めた。
二人の舌がからまりあい、更紗の腕もいつしか浅葱の身体に回される。
更紗は腰の奥がゆっくりと暖かく、熱くなっていくのを感じた。
(更紗、抵抗しなさいよ……叫んで、暴れて、殴り倒してでも逃げなさい!)
理性を奮いおこし、更紗は目を開けて浅葱を見上げた。
浅葱が静かに自分を見つめている――まるで自分が犯されているかのように、
苦しげに切なげに――深く遠い瞳。
「浅葱」
(何でそんな顔、するのよ。浅葱)
更紗は手を伸ばして、浅葱の頬に触れると、小さく苦く微笑んだ。
浅葱はゆっくりと浅く腰を動かし続ける。かと思うと、急に深く突き刺す。
突かれる度に更紗の身体はビクンビクンと震え、ぴりりと足先にまで甘い痺れが流れて
つま先がピンと反る。
はぁはぁと激しくなる息を隠そうと、更紗はぎゅうっと口を閉じて顔を反らした。
露わになった首筋に、浅葱が唇を押し付ける。
最前の痛めつけるかのような接吻で出来た跡を優しく癒すようなキス。
舌が耳たぶをとらえ、舌で転がす。耳の輪郭をゆっくりとなぞるように舐めると、
浅葱は舌先を耳の中に差し入れた。
「やっ……ん!」
更紗は身体を捻って抵抗するが、太く熱い楔で結び付けられた身体は、動くたびに
ますます深く結びついていく。
浅葱の細く長い指先が更紗の乳房に触れる。人差し指と中指でゆっくりと蕾を
ほぐすかのようにこね回すと、小さな蕾は赤みを増し、赤く大きく色づき始めた。
それを浅葱はかりり、と噛む。
舌先で頂きをなぶられ、転がされ、軽く吸われ始めると更紗は堪らずに嬌声を上げた。
「いやぁ、ああっ…んん!!」
誰かが私たちを探しにやってくるかもしれない。
第一、まだ戦は終わっていないのだから。
後ろから、浅葱もろとも斬り付けられるかもしれない。
(でも、止められないよ、浅葱――)
遠くで聞こえるはずの、戦場特有の荒々しい音が聞こえない。
ただ、少しだけ荒くなっている浅葱の呼吸の音だけに更紗は耳を傾けた。
見上げると、見慣れた、あきらめたかのような悲しい瞳。
無理やり微笑もうと歪む唇。
タタラ、と呼ぶ涼やかな怒ったかのような声。
全部、全部、浅葱なんだ。
信用なんてしてなかった、されてなかった。
敵意が好意に変わったと思った。
(ねえ、浅葱――)
更紗は胸の中で浅葱に語りかける。
それが、どれだけ嬉しかったか、あんたに判る?
更紗は脚を浅葱の背中に上げ、そして腰を突き上げ、いっそう深く突き刺さるように
浅葱を求めた。
浅葱はそれに応えるかのように、更紗の腰の奥まで楔を打ち込む。
浅葱が動く度に起こる、甘い痺れ。更紗はきゅう、と自分の蜜壷がしまり、ひくひくと
蠢くのを感じた。
ふっ、と浅葱は苦笑して言う。
「タタラ、あんまり『締めつけ』ないで。行けなくなっちゃう」
「あ、ごめん……」
更紗は自分の身体の貪欲さに赤面した。
朱の昇った頬に、浅葱がやさしく一つ、キスをした。ぽとん、と浅葱の汗が更紗の口の中
に落ちた。
こくん、と更紗は飲み込むと、更紗は何故か無性に悲しくなって、浅葱にしがみついた。
「浅葱、浅葱、一緒に行こうね。新しい国を――」
(―― 一緒に、新しい国を作ろう)
浅葱はそれに答えず、いっそう激しく更紗の腰を突き上げ始めた。
「ひゃ…ん!んんっ。あ、あ、浅葱」
更に大きく熱く張った浅葱に肉槍が更紗の中に満ちる。くちゅくちゅ、と更紗の蜜が流れ、
互いの腿を濡らした。
更紗は自分がどんな風な体勢でいるのか、どこまでが自分の腕なのか脚なのか、分から
ない――まるで浅葱の中に自分が溶けてしまったかのように。
「あっ、ああ、ああ、浅葱。んっ、んん……!」
ぐい、と腰を突きつけられた瞬間、更紗は腰の奥からの甘い痺れが背中を通り、頭の中
にまで達するのを感じた。
痺れが爆発し、身体ががくがくと震え、頭ががくん、と落ちる――
崩れ落ちる自分の身体を支える浅葱と、ひらひらと雪のように舞う灰、そして月光を背に
きらりと浅葱の頬に光る何かが見えた気が――した。
目前が暗転すると、更紗は気を失った。
「寒…」
更紗は起き上がると、自分が岩間深い死角になっている場所に寝かされている事に
気づいた。衣類も、いささか乱暴にだが整えられている。
「あさ…ぎ?」
更紗は、きょろきょろと辺りを見回し、浅葱を探した。
戦は終わったのであろう、あたりは静まっている。
(そうだ、私、探して――朱理の)
更紗は、立ち上がると、ゆっくりと戦場跡へと戻っていた。
「見つけた」
愛しい人の片腕が、敵味方入り乱れる屍の中に紛れていた。
「ごめんね。朱理」
呟くと、更紗はすがるようにそれを己の頬にあてた。
「冷たい、ね」
つい最前まで己を抱いていた腕、そして今自分が埋めようとしている腕――どちらも、
愛しく、そして切ない程に冷たかった。
「――ここに、埋めるね、朱理」
何を一緒に埋めるんだろう?
更紗を土をかけながら、思う。
体中に残る、愛の残滓。まだ身体に残る疼き。そして、想い。
――タタラ、僕と朱理と、どっちを選ぶ?
タタラなら、浅葱を選ぶ。
更紗なら?
更紗ならどうするの?
更紗は、ただ俯き、土を穴に落とし続けた。
月光の下、罪までも、埋めてしまおうかのように。
<了>
848 :
831:2006/10/01(日) 22:45:09 ID:0GbPZRuB
無理やりヤられたけど、結局和姦になってしまいましたorz
浅葱への想いを持って更紗には生きていって欲しいなぁ、と言う
勝手な願いをこめて書いてみました。
GJGJ!
タタラは優しいコだねー。
面白かった。ありがトン。
やっぱり浅葱はいいねぇ。切なくて。
IFモノで冬チーム三人が無事生存して幸せそうに3PしてるSSが読みたい……が、そういうのは禁忌だろか……。
>>851 別にいいんじゃね?
読みたくない人はスルーすればいいわけだし
>>831 GJです!!
浅葱らしさが出てて良かった!
更紗の目が見えなくなった時に浅葱に襲われるSSお願いします
>>851 いいねー
あの世界なら3Pも有りだと思うよ
3Pかあ!良いねー!
できれば、朱理・浅葱×更紗ものが読みたい…
3Pか〜。
読みたい(書きたい)けれど、潔癖な浅葱と純粋な朱理では難しそう。
単行本の中のイラストで、更紗と朱理と浅葱がパジャマ姿でくっついてるのを見て、
3Pもアリかなと思ったんだけど
あー、ありましたねっ!ナツカシス>3人パジャマ姿。
3人ならんでザコ寝ならイケそうだが、エロはね〜。
更紗を真ん中に、朱理と浅葱の二人が左右からちょろちょろ触ってちょっかい出して
「更紗、赤面〜!どうしよう!?」のレベルで終わりそw
そ、その2人が更紗にちょっかい出してるラブラブなSS書いて下さらぬか〜(*゚∀゚)=3ハァハァハァハァハァッ
更紗には朱理よりも浅葱派より
保守派
浅葱×更紗イイ!!
age
863 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/16(月) 01:18:09 ID:P+M/DrZY
age
ほすするのだす
浅葱×更紗 最高でした。
まさかこんなところで拝見できるなんて…!
甘すぎず辛すぎない絶妙のバランスが最高。なにより浅葱のキャラが原作のまんまなのがよかった。
この二人、原作においても、ボケとツッコミの波長が合ってるだけでなくて、
なんでか雰囲気がエロいよね…と思うのは自分だけ?
いや…もう、ほんとありがとうございました。
次回作楽しみにしています。
浅葱×更紗、本当にGJです!
朱理よりも浅葱とくっついてほしかった>更紗
んで二人仲良く緑を広げる研究しちゃったり、
浅葱が素直?にイチャついたりなんて
妄想に浸る俺。
んで、朱理は仕方ないので志麻と外国を旅して、
今帰仁は死にぞこないの大統領からユウナを奪って・・・
↑こんな結末SS頼むー!!
そんな細かいビジョンがあるなら、
自分で書いた方がはやいんじゃないか?
浅葱は緑を広げる研究なんてしない気がする……
やっても種植えとか水やりは群竹さんにやらせそう
楽しい所しかしない!
ほ
しゅ
おーい!
シカゴのシン×レイ読んでみたひ…
ホシュ!
876 :
名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 18:30:48 ID:OJe01vKL
ほ
ほすするのだす
ふん。何で僕が保守しなくちゃいけないのさ
寒いよう…お母さん
保守ついでに市菊がらみの原作プチネタ
コミックス25巻の26ページ
アゲハが密を倒して「ここは風の吹き溜まりか……」の直後
王城を脱出するカットの中の市菊
手、繋いでるww
読み返していま気付いたよ……萌えた……
>>881−883
ありがとう、なんか久しぶりに市菊萌が補充された…
でもまだたりない…今から外伝TOMATOでも読んでくるかノシ
読みつつ更なる神のご光臨もお待ちしています。全裸で。
>>884 萌えてるとこ悪いが、トマトじゃなくてサラダだぞ。
886 :
884:2006/12/03(日) 19:27:23 ID:1bUM98vF
…orz自分バカス…
ババコン
>887
誰がババだ無礼者
自分が悪く言われたことじゃなく、紫の上をどうこう言われたことに怒る市っちゃん萌え
市菊と言えば思い出すこの時期。
毎年、雑煮を白味噌にするかおすましにするかで、相方と争います。
(相方=関西人、私=関西出身でない関西在住者)
リアル市菊できるのがちょっと楽しいような、でも白味噌の雑煮は受け入れられないような、複雑な心境。
体の傷を数えさせてやるぞ〜
891 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/10(日) 20:07:11 ID:Le3dpKss
4日で何だっけ
892 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/14(木) 12:11:33 ID:6ebOb/i/
ほすしとくだす
893 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/17(日) 20:59:51 ID:xsE6SL3T
3日に1レス!!
保守すっぺ
聖夜だからほすすとくのだす
ほしゅ
浅葱「ふん。たまには僕が保守してやろうじゃないのさ」
あけおめ。
スレがにぎわうことを祈って保守。
あけおめ!
今年もよろしく!
今年初めての900(σ・∀・)σゲッツ
ほしゅ!
市菊はもうかなり出てるし、自分も好きだけど、他にはみんなどのカプが好き?
座木茶々。しかし後半になるにつれ出番も減る。
増長さゆり。増長ヘタレ説浮上。
最後にもう一つ。
サカキシィ。あのキラキラっぷりがたまりません。サカキさんの。
聖薫(←うまい略名が浮かばなかった)
ひーちゃん薫子に押されてそうだよなーとか
初夜はやっぱり覗かれてしまったのかとか
思うと萌える
3日に1レス。これ基本。
那智「聖ーちゃん、今晩こそがんばらなあかんて!」
>>902 BASARAなら浅葱×更紗。
7種なら蝉×ナツ。
BASARA8巻を開いたページを見て、浅葱×更紗を想像し興奮した
ハァハァハァハァ…
保守がてらに話題に便乗
浅葱×更紗と涼×小瑠璃
最終話、浅葱ではなく朱理が去って行ったという設定で、その後の浅葱×更紗を書いてほしい・・・
913 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/30(火) 06:04:54 ID:cn8VrVmJ
ホシュ
保守
915 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/05(月) 01:07:28 ID:jQBAlOeS
ほしゅ
ほすすとくのだす。鹿角も暖冬なのだす。
ハヤト「タタラからチョコもらったー!!」
浅葱「ふん。義理チョコなんかもらっても嬉しくもないね。」
那智「あれ?浅葱、大事に何持ってん??」
補修
念のため保守
マークとミキ・マリは?
花見の季節も近いのだす。
原作設定をまったく無視して、魚住×レイを書いてくれる
神の降臨を期待。そして保守。
>>912様、その設定は私も読みたいぞー。
てな訳で、書いてみた。
しかし。書きながら、無理があると感じたのはやはり田村先生の設定の
緻密さだと思いますた(笑)。嫌だけど、朱理と更紗は、あるべきだったんだなぁ。
泣いて、泣いて、あんたは目覚める。
涙で凍えた頬を手で押さえて、窓から差し込む朝焼けの「赤」を見つめる。
そうしてこっそり寝所を後にするんだよね。
僕は、それを見つめて、また眠っている振りをする――
「浅葱ってば、寝坊!」
大きな声で起こされ、浅葱はもぞもぞと布団から起き上がる。
寝間のまま台所に向かう途中の廊下、焦げ臭い匂いに目が覚めて浅葱は顔をしかめた。
「タタラ――臭い」
更紗は肩をすくめた。
「ええっと――魚、焦がしちゃった」
浅葱は眉間に深い皴を寄せる。
「だ、だってさ、浅葱ってば朝から何品目もおかずが並んでないと機嫌悪くするじゃない!?
忙しいんだよ、色々」
「色々、ねえ――」
水を一すくい手におさめ、それをぱしゃりと浅葱は更紗にかけた。
「冷たっ、何す――」
浅葱は更紗の首に付いた水滴をぺろりと舐めた。
「御飯なんて、要らない」
「浅葱!食べないと太らないよ。あんたってばそんな細っこい手脚――」
「うるさい」
ぬるりと首筋を舐め、耳朶を噛む。
「んん――、やだ、駄目だってば」
ぐずぐずと更紗は床に座り込む。
舌が甘くからみ始めると、はあ、と更紗は吐息を漏らした。
「駄目だって!だって――」
「だって?」
「――ここは、床が冷たいもの」
「だから――良いんだよ」
「え?」
「今に、熱くなる」
ひやりと冷たい床に更紗は倒された。
朝焼けは、いつしか柔らかな朝日に取って代わった。
小麦色にやけた更紗の肌が、陽の光の下、つやつやと輝く。
指先から肩へ、ゆっくりとその肌を愛でるように浅葱は舌を這わせた。
「あっ」
意地悪をするようにちろちろと脇下を舌でくすぐると、更紗はくすぐったさと快感に身をよじった。
「ばか!そんなところに、しないでよ」
暴れる更紗の胸元から、ほろりと小さいけれど十分に柔らかな乳房がこぼれる。
「じゃあ、ここにする」
ふわりと乳房を手のひらにすっぽりと包み込むと、浅葱は頬ずりをし、頬でその頂きを刺激した。
頬に触れる蕾が途端に硬くそり立つ。
「んん、浅葱ってば。やだ」
「タタラも、触って」
更紗の手を、浅葱は熱く硬くなりはじめたところに導いた。
「ゆっくり、触ってて」
「ゆっくり?」
ふ、と浅葱は笑って更紗の額に口付けた。
「うん、ゆっくり。ゆっくり、いっぱい、しよう」
「いっぱい?」
はあっ、と甘く深い吐息を漏らす更紗を見下ろし、浅葱は瞼を下ろす。
一人は慣れてるよ。
寄生したって、一人は一人だったから。
手放したくないものや人なんて、無かった。
だから、そんな風に溜め息を吐くなよ。馬鹿が。
「――あんたに会ってから、ずいぶん不自由になった」
「んん?なに、浅――あっ!」
まだ冷たい指を、ぐっと性急に浅葱は更紗の茂みの奥に刺しいれた。
ぐぐっ、と上の方をなぞるように強く刺激すると更紗は苦悶の表情を浮かべ、嬌声を上げて
背を反らす。と、同時にくちゅ、と音がし、とろりと生暖かい液が浅葱の指を濡らした。
くちゅ、くちゅ、と音を立てながら浅葱は執拗に更紗の中を掻きまわす。
「やっ、あ。やだ!んんんっ――こんなとこで、やだ」
「なら、どこなら良い訳?それとも止める?」
更紗が憎らしげに浅葱を見上げる。
3.
「ほっんとに、意地悪だよね、浅葱」
「下らない。あんたを優しく扱うだけの男が欲しいなら、他の奴を選べば良かったじゃない?」
乱暴なくらいに浅葱はぎゅうと更紗を抱きしめ、ますます激しく指を動かした。
「あっ」
ぴくん、と更紗の身体が震え、すすり泣きのような声を漏らす。
とっぷりと濡れた指をゆっくり抜くと、真珠のようにこりりと硬くなった
クリトリスをゆっくりとなぞる。
と、ますます更紗の声は大きくなり、浅葱、浅葱、と嫌々をするように首を振った。
「あいつ」の名前を呼べよ。
呼んでくれたら、あきらめられる――その方が楽だ。
だから、やめろよ。僕の名前を呼ぶな。「あいつ」の名前を呼べよ、叫べよ。
そうしたら、「あいつ」みたいに、思いっきり乱暴にしてやる――
ぐい、と乱暴に指を引き抜き、間髪入れずに浅葱は己の猛りを更紗に突き刺した。
そうして更紗の腰を抱え、ぐいぐいと押し付ける。
「痛っ。あ、やだ。浅葱」
構わず、浅葱は腰を打ち続ける。
ギシギシ、と木の床が音を立てる。二人分の体重で、更紗の背中は床で擦れて痛いだろう、
だが浅葱は構わずにますます深く腰の奥へと硬くなった肉槍を刺し続けた。
「やだあっ!」
歓喜と悲鳴が混ざった声を更紗が上げるのと、浅葱が生ぬるい液体を更紗の腰奥に注ぎこむ
のは同時だった。
はあはあ、と荒い息を吐く浅葱の髪をゆっくりと更紗は撫ぜた。
己の愛液で湿った床が、ぬるぬると更紗の尻を濡らし、更紗は居心地悪そうに尻を動かした。
その尻をがっちりと掴んで、ガリリ、と浅葱は更紗の耳を甘く噛む。
「んっ…ちょ、ちょっと、待って。だって――」
「タタラ、さ」
「浅葱、さ」
同時に互いに呼びかけ、気まずそうな浅葱をケラケラと笑って更紗が言う。
「やだ!同時よ、同時!何を言いたかったの?」
「うるさい」
「言ってよ、浅葱、から」
ぷんと膨れた浅葱が小さく呟く。
「……悪かったね、背中」
浅葱が更紗の背中を抱いた時、ぬるりとその手を血が濡らした。擦れて、皮がむけて、流血
しているのに浅葱はすぐに気づいた。
「悪か――うん、ごめん」
更紗は、良いんだよ、私ってば身体だけは丈夫で面の皮だけじゃなくって背中の皮も厚いんだ
から、と思いがけない浅葱の謝罪に笑う。
「で、あんたは何を言おうとしたの?」
更紗は遠くを見て、ぱたぱたと脚を揺らす。
「イライラするなぁっ!脚!止めろよ、パタパタ、パタパタ!何か言いたい事あるなら言えって!」
「――浅葱は、復讐するみたいに私を抱くんだね」
低い、声音。
まっすぐに瞳を見据えて更紗は呟いた。
時が、止まる。
「私は、浅葱を選んだ。でも、それを浅葱は呪っているみたい」
更紗は散らばる着物をするりと身に着けて立ち上がった。そうして振り返るとニコリと笑う。
「朝ごはん、食べよ?もう一回、作るよ」
陽の光を背にして、消えてしまいそうな更紗に浅葱は一瞬手を伸ばし、ぱたりと床にそれを
落とした。
もぐもぐ、と無言で浅葱は朝食を取る。
更紗も無言で、浅葱の湯飲みに茶を入れた。
「ね、浅葱……」
「何だよ」
「後悔、しないで」
思いがけない、真剣な声音に浅葱はぎろりと上目遣いで更紗を見遣る。
「あの、さ。ええと、私ね、いろんな気持ちがぐるぐるで。あはは、私、頭が悪いから。だから、
ぐるぐる、ぐるぐる」
ふうっ、と息を吐くと更紗は微笑む。
「でも、だから人一倍、考えた。だから、安心してよ。後悔しないで。私、あんたにこうやって
お茶を注いだり、料理を作ってるの、本当に幸せなんだよ――欲しかったものが、ここにある」
にっこりとした笑顔。
迷いのない、笑顔。
浅葱は思いがけなく泣きそうになって、ごくんと茶を飲み、いつになくもりもりとご飯を口に運ぶ。
「焦げた料理を黙って食べるのは僕くらいだからね」
ははっ、と更紗が笑う。
「そう、でもって、晩御飯は浅葱が作ってくれるの。美味しいんだよ、浅葱のごはん」
「あんたが下手すぎるんだよ……」
「だね」
ぺろり、と更紗は舌を出す。ふん、と笑って浅葱はぷいと横を向く。
風に翻る女達の紅い着物、燃えるような朝焼け、遊女の耳を飾る紅玉――ぴくり、と身体を
震わせ、あんたはそれをじいっと見つめる。
夕餉の前に、ぽんやりと座り、血の色のような夕焼けを見つめる。
でもさ。
でも、あんたはここに居るんだよね。
片耳に、いつかの青い石をつけて、僕に笑いかける。
会ったころの、子供みたいな瞳じゃあ無いけれど、失った何かを何かで補おうなんかしないで、
ここに居る。
「タタラ」
「ん?」
「あのさ、タタラ、って呼ぶの――もう止める。馬鹿馬鹿しい」
きょとんとして、更紗は笑った。
「浅葱」
「何だよ――」
真剣な目で更紗は浅葱を見つめた。
「呼んで。私の、名前」
「うるさいんだよ、あんたは――更紗はぁ」
きゃああ、と嬌声をあげて更紗は食卓を飛び越え浅葱に抱きついた。
「もう、一回!」
「うるさい」
「呼んでよ」
浅葱は仕方なしに口付ける。
「更紗」
「はい?」
きらきらとした瞳で浅葱を見つめる更紗。浅葱は口を歪めて――そうしてにやりと笑った。
「黙れって、更紗」
もう一回、言って――
更紗の言葉が、再び浅葱の甘い接吻にかき消される。
するりと、二人の衣が床に落ちた。
その音を聞く男(女?)が一人。
「朝も晩も、大変ですね――鰻でも、買ってきましょうか。まだまだ、浅葱さまは身体がお弱い
ですからね――精をつけねば、あっ、変な意味じゃないんです、ええ、鰻は大事です、はい」
ひっそりと一人ごちる、群竹。
冷や汗を掻き掻き、町まで鰻を買いに行く群竹を知らず、二人はまた唇をかわす。
――更紗、って呼んで。
うるさいって。
明日はきっと、紅い朝焼けじゃない、蒼い青空が広がるはず。
<了>
3と4の間が、ちと変です。すいません。
浅葱、好きだなぁ。あんなキャラクター、他に居ないから、愛してしまう。
7種だと、誰になるんだろ。
7種もすっげ好きだけど、書きたい気持ちにならないのは、話しがあまり
進んでいないのと、救いが無いからかもしれない。
BASARA、偉大なり。
GJ
GJ!
赤を見つめ続ける更紗の切なさと、そんな彼女を見守り続ける浅葱の
やり切れなさ、そして希望の見えるラストが良かったです。
二人の会話も、いかにもという感じだし、群竹さんにも萌えw
>>931 面白かったよ!
ハルはいつか浅葱のようなインパクトを残せるだろうか。
7種がいまいち意欲をかきたてないっていうのは同意だけど、
7種好きだし、いつか書いてほしいな。
>>923様、912の浅×更リクした者です。本当にGJです!!
浅×更最高ですー
浅葱の過去の傷を癒してくれる相手は更紗しかいないっしょ
BASARAの結末がちょっと残念だったので、書いて頂けてとても嬉しかったです
ありがとうございました
うお、久々に新作来てるー! GJっす。
群竹さんたらw
7種は意欲があっても難しそうだ。
滅亡前は夏A除いて面識のない人がほとんどだし、滅亡後はサバイバルだし。
更紗をちゃんと名前で呼ぶ浅葱、ええなあ!!
良い作品をありがとです。
そしてオチもいい!
938 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/13(火) 19:54:54 ID:CkJXo3JR
basaraは全巻持ってる
最後の2巻が外伝でビビッタw
己の力で保守をしろ!
By 朱理
ここは桃太総受けで
7SEEDS 小学館漫画賞受賞おめ
10巻も相変わらずえぐいね
人居ないね
本当に人いないねー(´・ω・`)
いるけど文才がないんだYO
文才たっぷりの神がいつ御降臨あそばしても良いように、次スレは950で良い?
このペースならもうちょい引っ張っても良さそうだけど…
圧縮近そうなので保守
保守はこまめに
浅×更いいねー
浅葱×白あたりを頼む
7種キボ
新スレは?
圧縮を乗り超えてからでいいんじゃない?
クールに圧縮を交わしましたオメ
ほしゅ
956 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/07(月) 11:19:03 ID:H8G1TgE5
下から2番目(´∀`∩)↑age↑
どなたか今帰仁と志摩の作ってくれないかな?
今帰仁×志摩じゃなくて
志摩×今帰仁で。
更紗×朱理も是非
片手では大変だったはず
義手で色々責めるから問題ない
ナギ「菊音さん、2人に何を送ったんです?」
菊音「××× よーん」
そして>545へ…
7種って人気ないんだな…
まだ話が本格的に進んでない準備段階だからじゃない?
7種はエロ妄想が湧かない
7種はほのぼのなイメージないしな
エロでも陵辱っぽい方がピンとくる
ところで、次スレは980でおk?
愛あるレイープならおk、というか好物だな
7種は男衆が生きるのに一杯一杯でED気味
涼×小瑠璃を書きたくて仕方がないが、
なんか止まって動かない orz
保守
星
保守
浅葱×更紗ー
久しぶりにシカゴ読んだ
シンレイ見たい、書きたいが文才なっしんぐ
『寝たい』の意図が知りたい
意図があったのか…。
でも確かにあのセリフは(;´Д`)ハァハァ
妄想ドカーン
浅葱×更紗の作者さま最高すぎる
また書いてくださいね
保守
過疎化〜
977 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/02(月) 15:26:45 ID:XIWNd1B+
7種は怒涛の鬱展開で確かにエロ妄想しにくい。
ナツ嵐蝉によるほんわか3Pか、修羅化した夏Aによる貴士の娘(花)集団陵辱ぐらいかな、
考えやすいのは。
安居の壊れっぷりに物凄く鬱になりつつも、つい萌えてしまった…
でも重すぎてエロパロにはし辛いかなー。
花はなんか書けないんで、安居×小瑠璃で強姦モノを書きそうな
勢いで萌えている。欝展開だってのに…いや、欝だからこそか。
安居×あゆならすげーなげやりで、味気のない作業的なエロに
なりそう。
需要はあるんだろうか
そんな感じの涼×虹子が既出だし、いいんじゃない?
あの格好で7人揃って放浪中なのが難しそうだが、がんばれー。
つまり、期待されてないってこった。
BASARAなら需要あるからそっちで。
自分は7種の方が読みたいんですけど。
>>979 需要のあるなし気にしなくていーよ。
あなたの書きたいものを読みたい。
蘭→十六夜さん。
十六夜さんお疲れ様でした。
もう次スレいらないね
七種面白くないグロいキモい
BASARAは想像の余地があるからそっちがいい
朱理×更紗キボンヌ
過疎杉
埋め
次スレなしってことでいいのか。
>>979は書かないの?
今、
ごめんなさい、変なところで送信した
979です。
今、書いてるけれど、閉じるなら閉じるでしかたないかなと
そのときには、自分のサイトの裏の裏にでも、こっそりとあげます。
そこまで見つけられるかどうか…できれば次スレほしいな。
職人が来なければ本スレでうざがられる妄想カプ語りでもしてればいいじゃないか。
ダメかな。