.hackのエロパロ Vol.6

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1名無しさん@ピンキー
様々なメディアに展開している.hackシリーズの18禁SSスレです
過去スレ
.hackのエロパロ
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1033821005/

.hackのエロパロ Vol.2
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1046059657/

.hackのエロパロ Vol.3
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1053232107/

.hackのエロパロ Vol.4
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1060727903/

.hackのエロパロ Vol.5(死亡)
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1080929260/

スレ・SS保管庫
ttp://ginkan.e - city.tv/
21:04/04/09 00:32 ID:nn+TUhh8
前スレ死亡につき、立て直させていただきました。
3名無しさん@ピンキー:04/04/09 00:33 ID:nn+TUhh8
即死防止にぷち。

ベアとのエッチはすき。
痛くなくて気持ちいいし、優しくしてくれるし、あったかいから。
……なに、照れてるの? 教えてくれって言ったのは自分でしょ。
僕だって本当は恥ずかしいんだからね、こんなこと言うの。
あ、あのね、手のひらがいろんなところ撫でてくれるでしょ?
それがなんか嬉しいんだ。くすくすって、笑いたくなっちゃう。
そういえば、僕このごろ柔軟体操してるんだ。え? なんでって。
身体って柔らかいほうがエッチするにはいいらしいよ。
どうしてだかは知らないけど、なんか本に載ってたんだと思う。
そんな本読むなって、だってベアの書斎にあったやつだよ、確か。
知らないよ、不可抗力って言うんでしょ、こういうの。
ううん、題名なんて覚えてないよ。
適当に本棚から出して、適当にぺらぺらめくったんだもん。
そういえば他にも書いてあった本があったっけ。
男はマザコンだからおっぱいが好きなんだって。
それと、女の人に飲ませるのが好きなんだって。
僕、それ読んだときちょっと色々考えたんだよ。
だって……気づいてた?
ベア、するとき僕の胸触ってばっかりじゃない。
え、嫌なわけじゃないよ。違うよ、大丈夫だよ。
そういうことじゃなくって、ただね。
やっぱりベアもマザコンなのかなって思ったりして。うそうそ、冗談だよ。
……ちょっと、ほんとだけど。
あと、僕って飲んだことないじゃない?
してあげたほうがいいのかな――って。
ねぇ、ベアも飲んで欲しい?
……顔、真っ赤だよ。
4名無しさん@ピンキー:04/04/09 01:04 ID:6YJ5UOZ9
>1,2,3
5名無しさん@ピンキー:04/04/09 02:23 ID:1qzAaUww
ホシュ
6神槍棒短:04/04/09 07:09 ID:Z7ZtITCW
即死防止age!!
黄昏氏、早く来てください(泣)
7名無しさん@ピンキー:04/04/09 14:10 ID:d2dgVTPV
ここはAA貼って容量かせぎ
     \   ノ ン''ヽb__9::/  l :::'、:.:.',:.:.:ヽ、_
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        ::ヽ:::| `''ーヽ:: |                    l. j:゙く:/ ̄
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8名無しさん@ピンキー:04/04/09 15:23 ID:WWQk2uz1
保守だ
今度こそ落とさせるものか
9名無しさん@ピンキー:04/04/09 17:08 ID:cfzdcsu9
     \   ノ ン''ヽb__9::/  l :::'、:.:.',:.:.:ヽ、_
      '、ヽ<f⌒l::::::::::>-/  /  :::'、:.:.',:.:.:.:.:.:.ヽ
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10神槍棒短:04/04/09 19:33 ID:Z7ZtITCW
即死防止保守age!!
11名無しさん@ピンキー:04/04/09 20:29 ID:HQwX/d5s
保守
12名無しさん@ピンキー:04/04/10 01:04 ID:ZO7Uu+OD
即死防止に再び。

「こら。誘ってるのか」
「そうだよ」
コーヒーを持って部屋に入ってきた司は一糸まとわぬ裸だ。
ベアはここ数日かかりっきりだった原稿に向き合うのをいったんやめて、司のほうを見た。
低くパソコンが唸っている。灰皿は吸殻であふれていた。
「だって、もうずっと触ってくれてない」
締め切り間際で、それなのに展開はちっとも進まず。
落とすわけにはいかなかったし、担当の電話で催促されるのもごめんだった。
だから、司の言うとおり、ベアはほとんどの時間を仕事に費やしていた。
す、と司の白い腕が伸びて、デスクにコーヒーカップを置く。
白い湯気が黒い飲み物から立ち上る。
煙草とは違う香ばしいにおいにベアの目は自然と細められた。
「お仕事忙しいのはわかってる」
「そうか」
「ごめんね」
「淋しかったか?」
「うん」
「それで」
「誘ってみようと思って」
「……悪かった」
それ、ダメって意味? と司の顔が哀しげに歪んで、笑う。
違うそうじゃないとベアはそれを否定して、両手を広げて呼んだ。
「おいで」
13名無しさん@ピンキー:04/04/10 01:14 ID:ZO7Uu+OD
途端彼のものになる柔らかな白い身体。
女、それもまだ瑞々しく若い、少女というべき人間の器。
ぎゅうと抱きしめると、腕の中の司が嬉しそうに身じろぎした。
くすくす笑いながら、男の胸に手をそっと這わす。
「……誘われた?」
「ああ、まいった」
「ふふ」
すべすべした背中を撫でた。
くすぐったいのか寒いのか、司は微かに震えた。
淋しかったのは――ベアも同じだ。
腕を腰に回して、キスを落とす。
コーヒーが香った。唇が甘い。
「……甘いな」
「あ、えっと、僕もさっきコーヒー飲んだから」
「ああ」
砂糖とミルク入りのコーヒー。
もっと味わいたくなって、ベアはキスを深いものに変える。
「……ん」
ねだるような司の声にいとしさがつのって、ますます深く、もっと深く。
顔を離しふと目を下に落とすと、ピンク色の乳首はもうその形を主張し始めていた。
少し意地悪く尋ねてやりたくなって、ベアは耳元に顔を寄せた。
「キスだけで感じたか?」
「っ、違うもん、寒くて、そのせいだよっ」
14名無しさん@ピンキー:04/04/10 03:55 ID:/+j+Bz3g
     \   ノ ン''ヽb__9::/  l :::'、:.:.',:.:.:ヽ、_
      '、ヽ<f⌒l::::::::::>-/  /  :::'、:.:.',:.:.:.:.:.:.ヽ
       V⌒ヾ=';::_;.:-‐'゙:::::....ノ;:::::::::::::ヽ;.:.'.:,:.:.:.:.:.:'、
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                   l:::::;彡''":::::::::::::::::ヽ,  Y
                'ァ'"    ̄ヾ;   ::::ヽ, |
               /7 ̄`ヽ-----、  ツ:::::):/  
              / ./    ヾ---、 \/ ノ "   
             :r{ _|_    /,.ニ、ミ、 }(       
            :;jニ^ヽ,ミヽnK"   \ヽノ      
           /ニヽ__ヽ ';:::::ヾJ、    l | `''ヽ、___
          rjっ 、r‐、 Y__|:-ヘ::ヾ;ヽ  ノ. j:::...   !├ーi 、_
           l:   `ー'  ..j、. ::j::::ヽミェ_ー'ヽ、;;_::. ノ    `' <ヽ,__
        .:∧:l^!  :r‐-、::lノ-/      `''ー〜くフヽ∠..,___ノ:::j人ヽ,
        ::〈::::ヾ:l:::.::L::.. l゙              ̄`''ー-<;:ノ、:::.,> ヽュ
        ::ヽ:::| `''ーヽ:: |                    l. j:゙く:/ ̄
         :::`゙     ::ヾ                    └-‐
15名無しさん@ピンキー:04/04/10 04:52 ID:qb/5lxEg
>>12-13
GJ! 激しく続きに期待!
16名無しさん@ピンキー:04/04/10 18:23 ID:/+j+Bz3g
     \   ノ ン''ヽb__9::/  l :::'、:.:.',:.:.:ヽ、_
      '、ヽ<f⌒l::::::::::>-/  /  :::'、:.:.',:.:.:.:.:.:.ヽ
       V⌒ヾ=';::_;.:-‐'゙:::::....ノ;:::::::::::::ヽ;.:.'.:,:.:.:.:.:.:'、
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            :;jニ^ヽ,ミヽnK"   \ヽノ      
           /ニヽ__ヽ ';:::::ヾJ、    l | `''ヽ、___
          rjっ 、r‐、 Y__|:-ヘ::ヾ;ヽ  ノ. j:::...   !├ーi 、_
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        ::ヽ:::| `''ーヽ:: |                    l. j:゙く:/ ̄
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17名無しさん@ピンキー:04/04/10 19:01 ID:t347k2WA
保守

腕伝三巻ようやくゲト。
柴山があれだけ、思いと誓いの対象にしてた度会さん。
30代後半の翻訳家さんとベタベタしてるわけですな。柴山……いろんなところで報われない。
18神槍棒短:04/04/10 23:56 ID:J3774JIw
定期保守age
19名無しさん@ピンキー:04/04/11 00:45 ID:XtrXnabN
     \   ノ ン''ヽb__9::/  l :::'、:.:.',:.:.:ヽ、_
      '、ヽ<f⌒l::::::::::>-/  /  :::'、:.:.',:.:.:.:.:.:.ヽ
       V⌒ヾ=';::_;.:-‐'゙:::::....ノ;:::::::::::::ヽ;.:.'.:,:.:.:.:.:.:'、
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            :;jニ^ヽ,ミヽnK"   \ヽノ      
           /ニヽ__ヽ ';:::::ヾJ、    l | `''ヽ、___
          rjっ 、r‐、 Y__|:-ヘ::ヾ;ヽ  ノ. j:::...   !├ーi 、_
           l:   `ー'  ..j、. ::j::::ヽミェ_ー'ヽ、;;_::. ノ    `' <ヽ,__
        .:∧:l^!  :r‐-、::lノ-/      `''ー〜くフヽ∠..,___ノ:::j人ヽ,
        ::〈::::ヾ:l:::.::L::.. l゙              ̄`''ー-<;:ノ、:::.,> ヽュ
        ::ヽ:::| `''ーヽ:: |                    l. j:゙く:/ ̄
         :::`゙     ::ヾ                    └-‐

20名無しさん@ピンキー:04/04/11 03:43 ID:tSGJ39th
大物がくるまで保守age。
21名無しさん@ピンキー:04/04/11 04:27 ID:t380vIJ9
このスレには始めてきたんですけど、このAAって銀漢だよね?最初なんだか全然解んなかったやw
.hackはsignしか見てないしゲームも悪性変異の序盤で止まったままだけど、3、12-13さんのSSに惚れたのでしばらくお邪魔しますね。
リアルでの司とベアのエチだよね? 激しく萌え。
続き期待age
22名無しさん@ピンキー:04/04/11 04:58 ID:+I1rTyrV
>>21
まさに、うででんで颯爽登場して速攻で捕まってあぼーんしたヘタレ銀漢です。
23名無しさん@ピンキー:04/04/11 10:22 ID:rbb4CxqQ
>12-13
GJ
24名無しさん@ピンキー:04/04/11 22:10 ID:bYnP/AeK
ごめん、保守代わりで書き始めたからあんまり展開考えてないんだ。
ちまちましか投下できないよ。


むきになって否定する司を膝の上に抱き上げる。
「……ズボン、汚れちゃうよ?」
「洗えばいいさ」
「洗濯するの誰だと思って――」
きゅ、と薄桃色をつままれて、司の文句が止まった。
しょうがないなぁと呆れたように、でも気持ちよさそうに、ベアの指に身を任せている。
物書きの彼の指は大きなペンだこがあって、ちょっとごつごつしている。
司の手とはぜんぜん違う、男の人の手だ。

てことで保守。
2521:04/04/12 02:40 ID:iFMJcu0h
あぁ、なんかイイなぁ。 .hackなんだけど.hackじゃないトコがイイ!
あんま覚えてないけど、リアルの司って相当可愛かったよね?
26名無しさん@ピンキー:04/04/12 03:06 ID:iFMJcu0h
と、思ってリアル司のキャプチャーうpしようとしたんだけど、テレビ画面のキャプチャーって著作権的にマズイんでしたっけ?
てゆーか、縦横費が上手く合わないorz  

もう何がなにやら・・・ 厨でスマソ
27名無しさん@ピンキー:04/04/12 05:24 ID:MAm6X8Gm

>>24
激萌え〜!
少しずつでも構わないんで、是非続きオナガイシマツ。
28神槍棒短:04/04/12 20:48 ID:9A0vxHrC
hoshuage

>>12-13
SS読みますた。
続き期待しています。
29神槍棒短:04/04/12 20:51 ID:9A0vxHrC
ん、書き込めた。
アクセス規制で書き込めず、このまま落ちたらどうしようかと思いますた。

>>12-13
あらためてグッジョブです。とても萌えますた。保守がわりでかまいませんのでどんどん投下してくだされ。
30黄昏の…:04/04/13 00:42 ID:Bh9kbZaC
しばらくPCから離れてたら、新スレ落ちてたのね。
>>6 ごめん、かなり遅れて来てしまったわ。早々と前スレの続きドゾ。

「…と言うワケだ」
「こちらも大体のことは把握していたつもりだけど…今回ばかりはヤバそうね」
 ネットスラム内。リョースとヘルバの2人。放浪AI達が当ても無く彷徨う空間。
CC社側としてもこのまま引き下がるワケにはいかず、ささやかな抵抗を試みようと
している…とのことである。無論、これはリョースとイレスの独断であった。
「今は1人でも同志が欲しい。お前からも召集をかけてくれるとありがたいのだが…」
「そうね…心当たりがないこともないけど」
 一瞬考え込む様に俯いたヘルバだが、すぐに答えが見つかったらしく
不敵な笑みをリョースに向ける。リョースもそれを見越していたのか、余裕だった。
「司、昴、ベア、ミミル、BT、クリム…ついでに銀漢。
楚良は捜索するだけ無駄ね。あの子達なら、あなたも文句はないでしょう?」
「…やはり彼らに頼らざるを得ないか」
「紅衣の騎士団ゆかりの者達ですもの…実力は保障されている。
司と昴のPCについては、まだ私がログを持ってるわ。レベルは少し手を加えておくけど」
 リョースも彼らについてはバルムンクの旧友ということもあって信頼を置いている。
が、まだそれでも力不足を感じてしまうのは否めない。何せ相手が相手である。
 黒いカイトの率いる1万体のウィルスバグ部隊が相手なのだ。
生半可な戦力では返り討ちがオチ…このままではセカンドインパクトを防ぐことはできない。
「無論、カイトの仲間達にも召集をかけるつもりだけど…果たして何人が集まるかしら」
「カイトとブラックローズとバルムンクは絶対に来るはずだ。だがその他のメンバーは…」
「ミストラル、なつめ、砂嵐三十郎、ぴろし、ガルデニア、レイチェル、ニューク兎丸、
マーロー、月長石、寺島良子、ワイズマン…誘うとしたらこの11人かしら。
残ったミアとエルクは連絡がとれないから、この際あきらめた方がいいでしょうね」
 精鋭の18人…果たしてこの人数でウィルスバグ部隊と戦えるのだろうか。
いや、もう彼らに全てを賭けるしかない。現実世界の破滅まで、時間がないのだから…。
31黄昏の…:04/04/13 00:44 ID:Bh9kbZaC
「…ってワケ。そのうちヘルバから連絡があると思うけど」
「分かった…それまで待機しておく」
 Δ 水の都マク・アヌ。イレスからの連絡を受け、ヘルバに遅れる形で
黒いカイトとの最終決戦についての事前情報を聞かされるバルムンク。
 思えば、数日前に自分が奴を倒していればこんなコトには…口惜しい。
「バル君だけのせいじゃないさ。会社側にも責任はある。
モルガナの計画や他勢力の介入…この数日に色んなことが起きすぎたんだ」
「…アルビレオなら、こんな時どうしただろうか」
 ポツリと呟いたバルムンクの一言に、イレスが用意した連絡用PCの表情が数秒間止まる。 
「そうだなぁ、渡会君なら…どーするかなぁ」
 連星の瞳の重槍使いことアルビレオ…バルムンク達の旧友。
随分前にCC社を去ってしまった彼…今はどこで何をしているのだろう。
「彼ならきっとこう言うさ…“世界を守れ”とな」
「あの人も僕達と同じで…このザ・ワールドが大好きな1人だったからねぇ」
 そう、過去の過ちを悔いていても仕方がない。
今の自分達にできることをする…それだけだ。それだけだが、とても意義のある行為でもある。
「作戦が失敗すれば、ザ・ワールドを媒介にウィルスはリアルに感染拡大する。
悪性変異、そして浸食汚染…最終的に、僕らはウィルス達に絶対包囲されるだろう。
某ターミネーターじゃないけど、コンピュータが支配する時代の幕開けってワケさ…冗談じゃない」 
「勝つさ…勝たなければならない。友のためにも」
 蒼海のオルカ…そしてウィルスバグ達によって意識不明と
なってしまった多くのプレイヤー達のためにも、自分達は負けることができないのである。

 で、ところ変わってΔ 水の都マク・アヌにて…。 
「あ、来た来た! お〜い!」
「やあ…こんばんは」
「皆さん、お久しぶりですね」
「懐かしいな…あれからまだ半年しか経っていないはずなのに…」
 かつての仲間達が集い、着々と黒いカイトへの反撃準備が整いつつあった…!
32黄昏の…:04/04/13 00:45 ID:Bh9kbZaC
「ふぁ…ッ」
 思わず間抜けな声を出してしまった…と晶良は思ってしまった。
腕輪暴走の原因を招いたあの時だってココまで興奮しなかったはず…。
 やっぱり現実だからだろうか。カイトの髪も、肌触りも、声も、全てが本物。
今まで知っていたはずのカイトとは違う…自分の知らない彼。自分が求めていた彼。
 その彼が今、目の前にて自分を抱いてくれている。それだけで嬉しいはずなのに…。 
「速水さ…ブラックローズ?」 
 口ごもってしまった晶良が気になったのか、カイトが呼びかける。
そう言えば部屋を閉め切ったままだった…夏だし、暑いのは当然。
「あの…暑かったら窓、開けようか…?」
「バカ…声が近所に聞こえちゃうでしょ。…アンタ、それでもいいの?」
「誰の声が?」
「そ、そりゃ…う〜、とにかく窓は開けなくていいから」
 窓を開けようと晶良の身体から手を離したカイトだが、
すぐに腕を掴まれて元の体勢に戻されてしまう。女性ながらにさすがは年上、と言った所か。
「ムード壊さないでよ、そーいうトコは気が利かないんだから…」
「そ、そうなんだ」
 やや棘のある言い方だったが、言い終わると共に晶良は再びカイトに胸に身を委ねた。
ドキドキはさっきから止まらない。カイトの部屋にいる…という事態がそれを助長するのだ。
「(でも…アンタだって…)」
 カイトの左胸から聞こえてくる鼓動…ドキドキしているのは彼だって同じ(やや余裕ありだが)。
「(ドキドキしてるじゃん…)」
 徐々にカイトの背中に回していた手を、首に移動させ始める晶良。彼は何も言わない。
「私がやろうとしてること…判る?」
「何となく」
「もう、そーいうトコは鋭いんだから…」
33黄昏の…:04/04/13 00:46 ID:Bh9kbZaC
 軽くカイトに返されつつも、晶良は苦笑いを浮かべながら、彼の唇に触れた。
触れるだけ? それだけで満足できる程、今の自分は理性を保ってはいない。
 自分の唇の状態を確かめつつ、かれのそれにそっと重ねる…晶良のファーストキス。
「んッ…」
 礼儀として目を閉じたものの、腕の力は緩めない。カイトも痛くない程度に自分を
抱きしめてくれている。本当なら夏の暑さで堪らないはずなのに、今はそれすらも心地いい。
「(頭がクラクラするのは…暑さのせいじゃない…)」
 カイトとのキス。唇を合わせるだけなのに、どうしてこんなに嬉しいのだろう。
よくアメリカの映画やホームドラマで家族や恋人同士でキスをしているが、自分では
あんな感じでキスすることなどできない。むしろ自分は奥手なタイプだから。
 でも、カイトとのキスは親しみと言うより…ちょっと、言葉では表現できない。
「(そっか…コレが本当の“好き”って気持ち…なのかな)」
 今までだって彼のことは好きだった。だがそれはゲームの彼。
彼であることは間違いなののだけれど、彼であって彼じゃない。
「……ッはぁ」
 糸が引く程の長いキスだったと思う。2人も体育会系のせいか、肺活量が多いらしい。
まさかここまで自分が夢中にキスしていたかと思うと、さしもの晶良でも照れを隠せない。
「カ、カイト…あの、私…」
 カイトにとってはこれまでガルデニア、良子、レイチェル、なつめとの件がある。
この数日のうちに随分といい経験をしているので、いささか余裕気味だった。
 だから恥じらいを見せる晶良が可愛くて仕方がないのだ。普段お姉さん風を吹かせて
いるだけに、こういう時の反応は見ていても非常に楽しい。はやり彼女は初めてだった様だ。
「大丈夫、上手かったと思うよ。…多分」
 まあ、こういう反応が妥当か。自分も数日前まではキス未経験者だったし。
「た、多分って…私だってね、それなりに覚悟して…ッ…ちょ、ちょっとぉ」
 間髪いれず、カイトのカウンター。引き寄せた晶良の首筋を吸い、
小さく音を立てながら徐々に場所をずらしていく…晶良を未経験の刺激が襲う。
「も、もう…どこッ…吸ってんのよ…あッ…ん…ッ」
 でも抵抗はしない。彼の全てを受け入れる、そう最初から決めていたから。
34黄昏の…:04/04/13 00:46 ID:Bh9kbZaC
「ふぅ…こんなモンかな」
 晶良の首から唇を離し、カイトが呟いた。独占欲の証が残らない程度に吸ったのだが、
カイト自身も初めて試してみた行為なので、いささか自身なさげである。
 が、当の晶良は恍惚とした表情を浮かべながら、続きを待っている様で…。
「ど、どーしてそこで止めるかなぁ…」
「だってブラックローズだってキスマーク残ったりしたら…困る、でしょ?」
「う…そ、そりゃそうだけど…」
 寧ろ墓穴を掘ったのは晶良の方だった。続きの要求、と捉えられても申し分ない。
「じゃあ…続き、するから」
 内心続きを待っていた晶良の身体に、カイトの指が触れる。
日に焼けた肌…伊達にテニス部唯一の一年生レギュラーではない。無駄な贅肉のない
キレイな身体だと思う(胸は少しガルデニアに劣る…か?)。
 キス以前に晶良の服はそれなりに肌蹴ていたし、何より夏なので薄着の一枚である。
脱がすのは容易だし、何より晶良が全然抵抗せず、「ここはこうやって外すの!」と
指導までしてくれた。カイトとしても嬉しい反面、ガルデニアや良子達に対して後ろめたい…。
「(ブラックローズとこういうコトしてる時にアレだけど…僕ってやっぱ最低だ)」
 特にガルデニアと良子には本当に申し訳ないと思う。2人が自分を信頼して身を委ねて
くれたた言うのに、当の自分はブラックローズと…これでは合わす顔がない。
「どした?」
「な、何でもない…」
 柔らかい晶良の身体を触っていたはずの手の動きが止まったので、不意に彼女の方から
呼びかけられる始末。プレイ中に他の女性のことを考えるのはタブーである。
「まさか…」
「(うわ、バレたかな…?)」
「アンタ…前にもこういう経験ある…とか?」
 ちょっと違うが、まあ近いと言えば近い。ここは正直に話すべきだろう。 
「うん、まぁ…少し前に…ある、かな」
「…そっか。でも、私そういうの気にしないし……あ、私は初めてだからね!」
 どうやら怒られはしなかったが、「つい数日前に経験済みです」、とは口が裂けても言えない…。
35黄昏の…:04/04/13 00:47 ID:Bh9kbZaC
 その頃、ザ・ワールドでは…。
「来たか」
「悪いな、アメリカサーバーの回線がやけに重くてログインに時間がかかっちまった」
 ネットスラム内のゲートをくぐり、現れた砂嵐三十郎。
既にバルムンクが集めたメンバーが集合し、待機中であった。しかし、肝心の人物が…。
「…カイトとブラックローズはどうした? あいつらが話の中心じゃないのか?」
「今の所、連絡が取れん。ログインしていないのだろう…。
年中、端末の前に立っていられるワケでもないしな…2人には後で俺から連絡しておこう」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
 が、カイトとブラックローズがいないことを不審がる人物が数名…。
「(カイト…何をしようとお前の勝手、だが私は…)」
「(ブラックローズさんとカイトさんが…何だか、また胸が苦しいです…)」
「(カイトさん、やっぱりブラックローズさんの方が…そ、そんなこと…ア、アハハ…)」
「(こりゃカイトが上手くやったんやなぁ。ブラックローズも得したみたいやし…うんうん)」
「(あ〜ぁ、カイト取られちゃったよ〜☆ ブーブー★)」
 十人十色の反応。ここの女性陣は、ある意味で緊張感に欠けるらしい…。
「敵の根城である【Ω 集いし 黄昏の 失楽園】へはカイトの黄昏の腕輪の他に
ヘルバとリョースが共同開発したウィルスコア各種が必要だが、それも時期に揃う」
 ワイズマンが詳細な説明を皆に施し、作戦の重要性を伝えつつ、バルムンクが
作戦実行部隊を編成。最終的に敵地であるコロシアムにはカイトが誰かパートナーを
1人伴って潜入をし、残ったメンバーはヘルバの招集によって協力することとなった
別働隊と共に1万体のウィルスバグ部隊との総力戦…ということで落ち着いた。
 が、ここでレイチェルから意見が。
「せやけど、カイトがおらんかったらウィルスバグをデータドレインでけへんやん」
「そこは俺が何とかする。君達は飽くまでも時間稼ぎに過ぎないことを念頭に置いてくれ。 
カイトがウィルスバグの王である黒いカイトを倒すまでの辛抱だ…こらえるしかない」
 まさに捨て駒…だが、やる価値はある。少しでも勝てる可能性を高めなければ…!
36黄昏の…:04/04/13 00:52 ID:Bh9kbZaC
>>35の後半で
>コロシアムにはカイトが誰かパートナーを1人伴って潜入を…って
記述があるけど、残念ながら最初からブラックローズでケテーイ済みだわさ。
ガルデニアとか良子版のシナリオ及びエンディングをわずかでも期待した人、スマソ。
だってそうしないと、うででんに繋がらなくなちゃうのよ…。うででんを書く予定はないけど。
37神槍棒短:04/04/13 19:10 ID:k8zvTt8b
>>黄昏氏
乙です。
晶良、(;´Д`)ハァハァ
カイトの反応が実にそれっぽくて、よいでつ。
これからもどんどん投下してくださいまし。
38名無しさん@ピンキー:04/04/14 18:59 ID:cy6nUScy
>24

即死防止ってどのくらい必要なんだろう。もう平気?

その手が司の胸をまさぐり、感触を楽しむように軽く揉んでいる。
「ん……」
司がうっとりとため息を吐き、ベアの首筋に口づけようとしてきたが、
男が慌てて身を引いたためにそれはかなわなかった。
「?」
「汗をかいてるから、やめたほうがいい」
不思議そうに視線で問いかけてくる司に、ベアはそう説明した。
「僕はそんなに気にしないけど」
「……。いや、オレがいたたまれないから」
なんとか思いとどまってもらうことに成功し、ほっと胸をなでおろして、
司の額にかかった髪をかきあげる。
39名無しさん@ピンキー:04/04/14 19:14 ID:F8wPk9+z
ん?板移転で、4番スレがテンプレのリンクから叩けなくなっているみたいですね。

俺のブラウザだけかもしれんけど。

.hackのエロパロ Vol.4
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1060727903/
40名無しさん@ピンキー:04/04/14 20:38 ID:CwZbxZ7m
>>38-39
ここをチェックして調べてみそ?
- Eroparo Guide -
ttp://hhh111.s4.x-beat.com/pukiwiki.php
41神槍棒短:04/04/15 09:56 ID:WiRLe370
保守
42名無しさん@ピンキー:04/04/17 13:13 ID:RF86f/Na
ho
43名無しさん@ピンキー:04/04/17 22:29 ID:/6zvKIFY
テス
44神槍棒短:04/04/18 00:19 ID:p2HujLyV
保守カキコ
45\:04/04/18 16:57 ID:92jUlxDZ
sage
46黄昏の…:04/04/18 23:26 ID:SY9FaymT
今思うと、黒薔薇と寺島って
ドラクエ5のビアンカとフローラみたいなもの
だったのね…寺島は登場時期が早ければもっと
人気出たかも。でも実家が極道(?)じゃなぁ。
カイトが九州に行ってたらナニされるか判らないわ…。
47名無しさん@ピンキー:04/04/19 17:21 ID:xQemQIbl
定期age
48名無しさん@ピンキー:04/04/20 02:21 ID:xZcL2aLU
age
49名無しさん@ピンキー:04/04/20 04:51 ID:VKLRSTT6
神威×度会のの大人のエチーに需要ありまつか?
50名無しさん@ピンキー:04/04/20 07:46 ID:xZcL2aLU
いや、むしろ
度会×ほくと
が読みたい。
51名無しさん@ピンキー:04/04/20 12:05 ID:6N/8C2vZ
>>50
水原ではなく、ほくとなのか……リアルとバーチャルでやるのはいろんな壁がorz
5250:04/04/20 23:36 ID:xZcL2aLU
>>51
あ、ごめんごめん。
アルビレオ×ほくと
ね。(リアルでなく)
53名無しさん@ピンキー:04/04/21 00:57 ID:AT+Xouj6
つーか、ベア×BTに(バーチャルでもリアルでも)需要がないのはやはり、ナマグサ感が
あるからなのかなあ?
54名無しさん@ピンキー:04/04/21 04:17 ID:XfK8ajxQ
漏れは好きでつが。coolな大人のエチー…
55名無しさん@ピンキー:04/04/21 04:18 ID:wfIb+UFW
>>53
単に年増好みがいないだけでは…?
56名無しさん@ピンキー:04/04/21 22:27 ID:iK1/T4Ma
>>46
…ごっ極道!?
57名無しさん@ピンキー:04/04/22 09:26 ID:WzV6CklH
個人的にはベア×ミミルが読みたい
58名無しさん@ピンキー:04/04/22 21:38 ID:KA1HC2Am
>>49
TheWold3をAIbusterの為に購入。神威つうか柴山せつねぇ・゚・(´Д⊂ヽ・゚・と思った。
が、大人のエチなら熟女水原の方が読みたい自分。
59名無しさん@ピンキー:04/04/24 04:41 ID:LKJ3q/ro
保守
60名無しさん@ピンキー:04/04/25 18:00 ID:CrHu6z1U
人大杉、解禁されたのか。
61黄昏の…:04/04/26 01:05 ID:VZD1Ju+0
誰もいない…。>>35の続きを投下するなら今だわさ。


「…アンタってやっぱ最低」
「何で?」
「人にこんな恥ずかしいコトさせて…涼しい顔してんじゃないわよ!」
 カイトの部屋にて2人の情事は続く。暑いせいか、もう始めて何分経ったかも判らない。
時計を見る余裕もない。カイトがその隙を与えない。晶良は抵抗しない。
「いや、その…一度やってみたかったって言うか…」
「…まぁ、今回は見逃してあげる」
「え、次もしてくれるの?」
「バッ…バカ! んなワケないでしょ!」
 カイトの提案で騎乗位を初体験することになった晶良。
が、その提案者であるカイトがあまり興奮気味でないのが気がかりなのか、
晶良は少しご不満な様子。もしかして自分に魅力がない…とか?
「ブラックローズは十分可愛いよ」
「…」
「それに」
「わッ…ちょッ…」
「すごく柔らかい」
 華奢な晶良の腰に伸びたカイトの手が優しく愛撫してくる。
晶良はテニスのおかげで無駄な肉が無い反面、腰や腕、腿の柔らかさが格別だった。
 温室育ちの良子も柔らかかったが、彼女のそれとはまた違った意味でイイ。
62黄昏の…:04/04/26 01:06 ID:VZD1Ju+0
「おだてても何も出ないからね!」
「でも血とか色々出たじゃん」

 ゴンッ!!!!!

「痛いなぁ」
「人が痛いの我慢してやってあげてるのにアンタって奴は〜!」
 騎乗位体勢での晶良のパンチがカイトに飛ぶ。
彼女の承諾を得て処女をいただいたものの、晶良的には
カイトの空気の読めない厨房ぶりに頭にキてしまったらしい(まぁ、実際厨房だけど)。
「(さっきまでは結構可愛い声、出してたのになぁ)」
 やる前とは立場が逆転してしまったのは気のせいだろうか?
最初の方は晶良からカイトに助けを求めたはず…だったと思うのだが。
「ったく…そーいうトコはまだガキね」
「ブラックローズだって僕と2つしか違わないんじゃ…」
「お姉さんに口答えす・る・な!」
 完全にいつもの晶良…いあや、ブラックローズのペースだった。
姿かたちは違うとは言え、今にもザ・ワールドでの元気な彼女が眼に浮かぶ。これでいい。
「よかった…いつものブラックローズだ」
「…えっ」
「好きな人には、いつも元気でいてほしいから」
 ヨッと身体を起こし、繋がったままベッド上で晶良と向かい合うカイト。
晶良は戸惑いつつも彼の眼から逃れられないでいた。いや、逃れる必要も無い。
「アンタ、今までの…ワザと…?」
「空気の読めない厨房でゴメン」
63黄昏の…:04/04/26 01:10 ID:VZD1Ju+0
 勝ち誇った様に微笑む様を見せつけられ、ようやく晶良はカイトの術中に自分が
ハメられたことに気づいた。これまでの卑猥な言葉や愛撫も、全てはここに到達する
までの余興に過ぎないことを思い知らされたのだ。うるさいくらいに高鳴る心臓の鼓動。
「好きな子に意地悪するのって面白いし」
「……やっぱガキじゃん」
 そう、カイトはカイトのままだった。ザ・ワールドでの彼と同じ。
14歳のカイト。大人と子供の中間的存在。汎用人型決戦兵器の適格者(それ違う)。
 何も着飾らない、そのままの彼。自分を受け入れてくれた年下の男性(ヒト)。
「でもさ、私」
「?」
「カイトはカイトだから…それでいいと思うんだ」
 打って変わって、今度は晶良からのキス。ぎこちない唇の動きや舌使いがまた新鮮。
抱きしめ返してやるとブルッと身体が反応するものの、すぐに受け入れてくれる。
 時折、手を胸に這わせると可愛い喘ぎが漏れるのはご愛嬌。また、秘部から
溢れた血はティッシュで拭き取ったものの、愛液の類は……あとでシーツを洗濯しておくか。
「カイト…聞いていい?」
 唇を離した晶良がカイトの首筋に頭を落とし、囁く。
「私のコト、好き?」
「言わなきゃダメなの?」
「ダメ」 
 もうとっくに応えは出したはずなんだけどなぁ…と思いつつも、ちゃんと応えて
やるのがカイトの優しいところだろう。晶良は寂しいのだ。証を欲しがっている。応えねば。 
「…好きだよ。僕は速水晶良が好き。ブラックローズが好き。君と居るのが好き…これじゃダメかな?」
 晶良の髪を撫でつつ、カイトの声が耳に届いた。
本当ならば自分も彼に想いを告げたいのだが、飽くまで「お姉さん」として振る舞いたい
が故に、今更そういう展開にもって行くのはちょっと抜けている気がする。だから、これが精一杯。
「……ギリギリ合格にしといてあげる」
「そう、良かった」
 暑い夜が続く。この後も2人は愛を確かめあうだろう。だが、もう時間は残されていない…。
64黄昏の…:04/04/26 01:11 ID:VZD1Ju+0
「暑い〜!」
 縁側でパタパタと団扇で扇ぎながら、濡れた髪をタオルで拭く晶良の姿があった。
先程とは服装が違う。家からあらかじめ持ってきた着替えだろう。用意がいいと言うか…。
「アイス食べる?」
「ふーん、そーいうトコは気が効くんだ」
 同じく髪をタオルで拭きながら現れたカイトを上目使いで見つつ、アイスを受け取る晶良。
濡れた髪…そしてタオル…暑い…アイス…まさか?
「って言うか」
「?」
「何でお風呂場なワケ?」
「ん、あそこでしてみたかったって言うか…出した時に困らないって言うか…」
「私の身体にかけた奴がよく言うわねぇ」
「でもちゃんと舐め取ってくれたじゃん」

 ゴンッ!!!!!

「…」
「人をいやらしい女みたく言うな!」
 …これは晶良なりの照れ隠しだから問題はないのだが。そんなに痛くないし…。
「ホントに…だからアンタって私がいないとダメなんだから」
「よく判んない理屈だけど…」
「判んなくていいわよ。まぁ、どうしても知りたかったらさ…」
「知りたかったら…何なの?」
「10年後に教えてアゲル」
「…10年後、ねぇ」
 ニコニコと笑う晶良がいる反面、10年後ってまだ遠い先のことじゃん…と独り苦悩するカイト。
「じゃあその前にまず……判るよね?」
「…うん」
 ザ・ワールドに囚われている者達の解放。カイトはオルカ、晶良はカズ。
「絶対に助けてみせる…もう、その日が目の前まで来てる気もするんだ」
 .hacker、いや…勇者カイトの最後の戦いが始まる。
65黄昏の…:04/04/26 01:13 ID:VZD1Ju+0
「ご足労、感謝する」
「バルムンクからの呼び出しだもん、来るに決まってるじゃん」
「で、何の用? 呼ばれたのは私らだけ?」
「いや、キミ達は後発組だ」
「?」
 ザ・ワールド内、Ωサーバー。
カイトの家であれからまた数時間過ごした晶良は彼に別れを告げ、自宅に帰っていった。
その後、カイトがPCでメールを確認してみるとバルムンクからの呼び出しメールが
届いていた…という次第である。どうやら晶良とのプレイ中に送られたものらしいが…。
「単刀直入に話そう。今、このザ・ワールドで起こっている事態は把握しているな?」
「…ウィルスバグの王」
「黒いカイトのこと?」
「俺達は本日、深夜0時に【Ω 集いし 黄昏の 失楽園】に総攻撃をかける」
「!」
「【Ω 集いし 黄昏の 失楽園】…!?」
 カイトと晶良…いや、ブラックローズにとっては寝耳に水の話である。
自分達がリアルでプレイ中に、事態がそこまで急変していたなんて…。
「黒いカイトはそのエリアに巨大なコロシアムを築いて潜伏中だ。
多数のウィルスバグの部下の他に、選びぬいた1万体のウィルスバグ部隊を警護に当たらせている」
「いッ、1万体…!?」
「そんな大人数相手にできるワケないでしょーが!」
「…話は最後まで聞いてくれ」
 驚きを隠せない2人にバルムンクが順を追って説明を促す。
作戦実行部隊を編成。最終的に敵地であるコロシアムにはカイトが誰かパートナーを
1人伴って潜入をし、残ったメンバーはヘルバの招集によって協力することとなった
別働隊と共に1万体のウィルスバグ部隊との総力戦…という内容である。
66黄昏の…:04/04/26 01:14 ID:VZD1Ju+0
「急な話だね…」
「死んだはずの黒いカイトが王として覚醒したためだ。
あと数日でセカンド・インパクト(第二次プルート・キッス)が起こってしまう。
それだけは食い止めねばならない…。急な作戦で申し訳ないが、時間がない。早めに決断してくれ」
 あと数日で世界が終わり、あと数時間で世界を救うためのミッションが開始される?
あまりに怒涛の展開すぎて、もう何がないやら…と思うだろう。だが、2人はもう…。
「判ったよ…この戦いで全てを終わらせよう」
「八相って奴等を倒してもカズは戻らなかった…なら、やっぱアイツがラスボスだわね」
「…キミ達なら、そう応えてくれると信じていた」
 実行部隊の隊長であるバルムンクもこの2人がいたからこそ、世界の“核心”に触れることができたのだ。
「…急ごう。ネットスラム経由で敵地に向かう…敵もお待ちかねの様だがな」

 ネットスラム。既にヘルバによって呼び出されたメンバー達が待機していた…。
「来たわね。カイト、ブラックローズ…死ぬかもしれないけど頑張って」
「ハハ…ヘルバが言うと冗談に聞こえないのが怖いなぁ」
 馴れ合うのも束の間、ヘルバから集まったメンバーに今回のミッションの目的と
今現在、現実世界(リアル)とザ・ワールドで起きている異変について語られ始めた。
 みな、どういう心境で端末からアクセスしているのだろうか?
これが最後になってしまうかもしれないのに…未帰還者になってしまうかもしれないのに。
「カイト、コロシアムに乗り込んで黒いもう1人のあなたと戦うことになるけど…いいのね?」
 ヘルバの問いに、カイトは無言で頷いた。今度こそ決着をつける。もう1人の自分と。
「各自、指定した場所に時間まで待機してちょうだい。
0時ちょうど、一斉に【Ω 集いし 黄昏の 失楽園】へアクセス。攻撃を開始する。
プロテクトがかかっているけど、それはリョース達が何とかしてくれるわ。幸運を祈る」
 ヘルバの演説が終わり、各々が彼女の指示通りに待機場所に向かう。
が、中には思うところがあるのか、カイトに近寄って話しかけて来る者の姿も…。
67黄昏の…:04/04/26 01:15 ID:VZD1Ju+0
「やあ」
「こんばんは」
「司…昴…」
 半年前、一度モルガナの脅威を封じた初期.hackers…司と昴。
ヘルバによってネットスラムを彷徨う放浪AIの彼ら(正確には彼女ら)と冒険した後、
本当の彼らと出会う機会があった。それ以来会っていなかったけれど…また再会するとは。
「ボクにはもうガーディアンを操る力はないけど…」
 隣りに佇む昴の手を握り、司は力強く笑う。
「大切な人を守りたいって気持ちがあれば…十分だって、気づいたから」
「司…」
 寄り添う2人の何と幸せそうなことか。これから戦場に向かうとはとても思えない
雰囲気であう。後ろで角の生えた兜のPCが睨んでいるのは気のせいだろうか?
「カイトには…守りたい、大切な人って…いる?」
「…いるよ。その人がいつも側にいてくれたから、僕はここまで来れた」
「そっか…大事にしてあげてね」
「カイトさん、微力ですが私達も頑張りますから」
 そう言って待機場所へと消えていく2人。
あの2人だからこその説得力のある言葉だった。重く、カイトにそれが圧し掛かる。が…。

「どしたぁ、大丈夫?」
「まだ踏ん切りがつかないなら、オジサンが相談に乗るぞ?」
 ミミルとベア。ブラックロ−ズとオルカにそっくりな2人。この2人も司達の仲間である。
「司達って仲がいいんですね。僕、見てて恥ずかしくなちゃって…」
「あ〜、判る判る。時と場所を選べっちゅーねん! って感じっしょ?」
「若さだな。司よりも昴が積極的なのには驚いたが…ミミルもそろそろ彼氏でも作るか?」
「なんですとー!? …って言おうと思ったけどパス。今は目の前のことを何とかしなきゃ」
「…そうだったな。じゃ、俺達もそろそろ時間なんで失礼するよ」
「ブラックローズに伝えて! “今度会う時は、アタシも彼氏同伴だかんね!”って!」
「伝えるよ」
 親子程も歳が違う2人。でも、やっぱり面白いコンビだと思う。
68黄昏の…:04/04/26 01:17 ID:VZD1Ju+0
「今度は俺達の番かな」
「え…と、誰でしたっけ?」
「おいおい、一度ダンジョンで会ってるだろ? 紅い稲妻クリムだ。こっちはBT」
「…いい加減、その名乗りはやめたらどうだ? 一緒にいる私まで恥ずかしいんだが」
「お前まで何を言う! これは俺がザ・ワールドで生きた証としてだな…」
 ミミルとベアに続き、現れたクリムとBT。こちらはまるで夫婦漫才の様である。
あれから関係は進展したのだろうか? 様子を見る限り、まだ先は長いかもしれない。
「と、とにかくだ。俺達のバトンは無事にお前達へ渡されたみたいだし…」
「バトン…?」
「半年前、私達が間接的にモルガナと戦ったことは知っているな?」
「その時、思ったのさ。俺達はバトンを次に渡せりゃそれで十分…ってな。
今度はお前達がバトンを次に渡す番だ…カイト、男なら一生に一度やらなきゃいけない時が…」
「クリム、時間だ。行くぞ」
「あるんだ…って、オイ!? 最後まで言わせてくれッ!」
 ズルズルと引きずられ、敵地へ続くゲートに向かわされるクリム。
BTは無言だったが、カイトに優しい表情を見せてくれた。そして開口。
「キー・オブ・ザ・トワイライト…黄昏を開くカギ。大切にな」
 クリムも親指を立ててサムズアップ。澄み切った表情をしていた。
「金髪の彼女に伝言だ! “その槍は俺よりアンタの方が似合う”ってな!」
 クリムとBT。キー・オブ・ザ・トワイライトを求めた冒険の日々。
彼らの求めたものは、カイトの腕で輝いている。だからこそ、2人はカイトを認めたのだ。

「…なぁ」
「わッ!? え、えーと…誰でしたっけ(今度はホントに誰だか判んない…)?」
「銀漢だ。元紅衣の騎士団・小隊長の…」
 カイトにとっては初めて会話する人物、それが銀漢である。
紅衣の騎士団と言えば半年ほど前に解散した、という有志のボランティア団体のはず。
69黄昏の…:04/04/26 01:18 ID:VZD1Ju+0
「はぁ…そ、それで何の用ですか?」
「お前の仲間に…昴様にそっくりなPCがいるだろう…?」
「昴にそっくりなPC…あぁ、寺島さんのこと?」
「そう、その寺島さんだッ!」
 ガッと銀漢に両肩を捕まれ、迫られるカイト。彼は興奮気味なのか、兜の眼の部分が
しきりに危険を知らせるブルーウォーターの如く点滅しているのが見えるだろうか? 
「ぜひ、彼女のメンバーアドレスを知りたいのだがッ!!!!!!!!」
「べ、別にいいですけど…」
 元紅衣の騎士団の小隊長なら、もっと気の利いた戦略アドバイスをくれると思ったら…
やはり銀漢は銀漢だった。いや、だからこそ銀漢なのかもしれない。そう、これぞ銀漢なのだ。
「よ、よし! 早速教えてくれ!」
「えと、寺島さんのアドレスは…」
「銀漢、何をしている。早く行きなさい」
「へッ? す、昴様―――――――――――――――――――――――――ッ!!!!!!!!!!」

 シュンッ!!!!!

 一体何が起こったのか…。言うまでもない。時間になっても待機場所に行かない
銀漢を強制的にヘルバが飛ばしたのである。哀れ、あと数秒で良子のアドレスを知れたのに…。
「あっちゃぁ…ヘルバ、あと少しくらいはよかったんじゃ?」
「アイツは緊張感のカケラもない男よ。カイトも、ああいう大人にだけはならない様にね」
「う、うん…」
 ヘルバもそう言って手を振りながら別所に向かった。恐らくはリョースとイレスの所か。
彼女にも大変苦労をかけたと思う。ステータス最強のヘルバがいれば戦闘面は心強いが、
残念ながら今回のミッションでは彼女はバックアップサイド…共闘できそうもない。
「ヘルバのためにも…頑張らないとね」
 SIGNチームが指定待機場所に向かい、いよいよ次はカイト達の番である…!
70黄昏の…:04/04/26 01:22 ID:VZD1Ju+0
SIGNキャラまで出しちゃうと、
ホント終盤が近いって思うわさ。
楚良はまだ出番とっておくか…。
71名無しさん@ピンキー:04/04/26 02:44 ID:53JqbbEB
>>70
大量投下、乙華麗様〜!
カイトとBRのHでハァハァ。汎用人型〜で(爆
それぞれのキャラの登場でww
銀漢(以下略

読みごたえあって、面白かったでつ。
うででん3巻末のぴろしのマンガ見たら、コレ読んでんじゃ?
とか、オモータよw
続きもガンガン逝っちゃってくらさい!
72黄昏の…:04/04/26 16:50 ID:T7WVcafN
>>71
ワカタ、ガンガン逝くわさ。


「カイト、いよいよだね〜(^○^)」
「ミストラル…」
 身重のミストラルもミッションに参加してくれた。
本当ならば、彼女はこんなコトをしている場合ではないはず。
「ん〜、どしたの?」
「ミストラル…本当にこれでよかったの?」
「…みんなの夢を守るためだもん」
「夢?」
 そう言えば以前、ミストラルから夢について聞かされたことがあった。
彼女がレアアイテムに執着するのも、その夢とやはり関係があるのだろうか?
「ココにはね、皆の夢が詰まってるの。
どんな自分にでもなれる、夢の世界…それがザ・ワールド」
「…」
「だから私、最初はレアハンターじゃなくてドリームハンターって
名乗ろっかな〜とか思ってたんだ。さすがに寒いからやめちゃったけどネ(-_-;」
「そ、そうだったんだ…」
「カイトにはみんなの夢を守る力がある。キミは“夢の守り人”なんだよ」
「僕が…夢の守り人…?」
 思いもよらなかったミストラルからの励ましの言葉。夢の守り人…悪くない響きだ。
「信じ続ける限り…夢は死なない。少なくとも、私はそう思うから(⌒▽⌒)」
 杖をブンブン振り回し、バイバイと言わんばかりに消えていくミストラル。
ブラックローズと同時期にパーティに参加した彼女(途中、離脱したが)。
 今思えば、彼女はパーティ内でも最年長者の1人だった。カイトは知らないうちに
自分が彼女に見守られていたことに今、気がついたのだ。少し遅かった気もするが…。
73黄昏の…:04/04/26 16:51 ID:T7WVcafN
「いい目をした人よ!」
「どわッ!? な、何だ、ぴろしさんかぁ…」
「ムフフ、よそ見はいかんぞ。これから世界の命運を賭けた戦いが始まるのだからな」
「(ぴ、ぴろしさん、会社からアクセスしてるの? 大丈夫?)」
「(心配は無用である…が、ちょっと心細いのも事実である!)」
 ぴろしもCC社のどこかからアクセスしているのだろう。
ログ痕跡を残してしまったら彼の立場が危うい。カイトと気軽に会話している様に
見えて、実は慎重に操作をしているのだ。それはいつもと様子が違うのでカイトも理解した。
「君は私のアルティメットフレンドなのだ。戦友と書いて“とも”と呼ばせてくれい!」 
「いつも妙なことに首を突っ込んではカイトを困らせていたぴろし。
いい大人がみっともない…と思う人もいるだろう。が、彼程にザ・ワールドで童心に
帰ったかの如く振舞うプレイヤーもそうはいなかった。根は純粋な男なのである。
「さらば、戦友よ! 君の頭上に星々の輝きとフォースが共にあらんことを!」
 体躯に見合った大斧を担ぎ、ノシノシと消えていくぴろし。
言ってることは電波気味だったが、彼もここまで自分に付き合ってくれた仲間だ。
「(いい人なんだけどなぁ…うーん)」

「よう」
「三十郎さん」
 砂嵐三十郎。カイトチームの中で唯一のジャパンサーバー以外からのアクセス者。
アメリカ在住と聞いていたが…コテツソードが切っ掛けでここまでに仲になるとは…。
「何だか大変なコトになっちまったが…俺も力を貸すぜ」
「ありがとう…三十郎さんにはいつも助けてもらってばかりだね」
「ハハハ。そりゃ俺のセ…セフレ?」
「…セリフって言いたいの?」
「おお、それだ! そりゃ俺のセリフだ。
お前さんには世話になりっぱなしだからな。ここらで恩をまとめて返したいのさ」
 サムライに憧れて日本の勉強を始めた、という彼。今は誰がどう見ても立派なサムライである。
74黄昏の…:04/04/26 16:52 ID:T7WVcafN
 そう言えばちょっと前にラスト・サムライとかいう映画があったはず…それも影響したのか。
「カイト、お前さんこそまさに“サムライ”だ。その心をいつまでも大事にしてくれ」
「サムライかぁ…」
「じゃあな。生きて帰ってこいよ」
 小さく手を振り、三十郎も消えて行った。最初から最後まで、彼は頼りになる仲間だった。
その彼が時間稼ぎのために1万体のウィルスバグと戦ってくれるのだ。彼を誇りに思いたいくらいである。

「あのぅ、カイトさん」
「あ、大黒さ…じゃなかった、なつめ…」
 三十郎を見送っていたカイトの次の面会者はなつめだった。
あのデートした夜にデータドレインの余波で淫乱モードになった彼女…最後までしなかった
ものの、あやうくその気になりそうになってしまったのも事実。
 唯一喜べるのは、彼女があの夜のことを断片的にしか覚えていない…ということか。
「私、今でも思うんですけど…」
「え…何を?」
「(あの夜、私カイトさんに失礼なコトしませんでしたか?)」
「(し、してない…よ。うん、してない)」
 銀漢がかつて司にデータドレインされた際、意識不明とまではいかないまでも
記憶障害となったことがあった。なつめにもそれが現れた様だが、心の中に棲む
もう1人のなつめ、とでも言うべき存在がカイトを誘惑しようとしたコトは…。
「(言わない方が…いいよね)」
「カイトさん?」
 なつめの問いにカイトは応えた。ただし、あの夜のことではなく…。
「なつめはもう、前とは違うんだからさ…堂々としてればいいんだよ。
強くなったし、人見知りもしなくなったでしょ? みんな、君を認めてるんだから」
「で、でも…」
「僕のコト、信用できない?」
「そッ、そんなことないです」
 明らかに同様しつつ、顔を赤らめる彼女を見て、カイトは笑う。
なつめは最初から最後までこの調子らしい。いや、彼女はこれでいいのだ。強くそう思う。
75黄昏の…:04/04/26 16:54 ID:T7WVcafN
「スパイラルエッジ…まだ持ってる?」
「は、はい! ちゃんとココに!」
 カイトが【Δ 激怒する 情熱の 旋律】のアイテム神像部屋で入手した、
当時のレア武器・スパイラルエッジ。なつめのBBSの書き込みが2人の出会う切っ掛け。
「体で払う」などの問題発言もあったが、彼女はカイトとの冒険を
通して人間としても女性としても成長したと思う。これからはリアルでも頑張ってほしい。
「なつめが頑張ってたから…僕も頑張ろうって気になれた。ありがとう」
「そ、そんな…お礼を言われることなんて、私してないです…」
 自分を否定するなつめに対し、カイトは笑いながら腕輪を具現化し…。 
「僕達は“パーティ”だ。腕輪に導かれし仲間…“.hackers”。キミもその1人なんだ」
「カイトさん…」
「自信を持って。ココでは…みんなが勇者になれる可能性を秘めてるんだから」
 ニコリと微笑むカイトになつめは撃沈…いや轟沈寸前。
ブラックローズと良子には悪いが、やはり諦めきれない。否、女として退くのはどうか?
「カイトさん、私…」
「ん?」
「あ、今はいいです。帰ってきたら、もう一度言いますから!」
 ここで言ってしまったら、口に出したい言葉が零れ落ちそうで怖い。
だから、必ず生きて帰ってきて…その時言えばいい。彼への想いが自分を強くさせるから。
「行っちゃった…」
 タッタッと元気に駆け、消えるなつめ。出あった頃の彼女なら、きっとここまで
付き合ってはくれなかっただろう。時の流れは彼女を変えた。もちろんいい意味で。
「(僕は…どこか変わった…のかな…?)」

“重さが…意識不明になった人達の重さが、二倍になった! もうこれ以上は増やさないッ!
ザ・ワールドのみんなを守るために.hackerになったんだから…ザ・ワールドを守ったっていいッ!”

 そうだった。あの黒いカイトのタイ○ベントによって過去ログ世界に
飛ばされた際、カイトは「一つだけ変わった」と自分から発言したはず。
「(運命さえも…変えてみせる。ヤスヒコみたいな人達を増やさないためにも…)」
76黄昏の…:04/04/26 16:55 ID:T7WVcafN
「何を呆けている?」
「…ガルデニア」
 決意を新たにしたカイトの眼前に現れた麗人…重槍使いのガルデニア。
カイトの初めての女性。カイトが初めて自分の口から“好き”と言った女性。それが彼女。
「あの夜、お前に抱かれたこと…私は後悔していない」
「ガルデニア…僕は…」
「皆まで言うな。お前とブラックローズの様子を見れば何となく判る」
 鋭い…。恋愛云々に関しては鈍いと思っていたが、洞察力はさすがである。
「私はお前が前進する切っ掛け…だったんだろうな。
あの時のお前と今のお前…まるで別人だ。あの時よりも、今のお前の方が…」
 カイトの手を取り、自分の手に重ねるガルデニア。彼女にはカイトと違ってゲーム内の
感触を確かめることはできない。だが、判る。これは、あの夜自分を包んでくれた手だと。
「今のお前の方が…その、カッコいいぞ」
「…そうかな」
「ああ」
 ビンタの一発や二発は覚悟していたつもりだった。
されて当然のことを自分はこの数日の間に繰り返したのだから。
 しかし、彼女はそんな自分を許してくれた。まだ子供だった自分を。
「お前の手の温かさを知ることができた…私はそれだけで満足だ」
 あの日、何度も握った手。力強い手。彼の手は、自分の足りない部分を補ってくれた。
「忘れるな。お前の手は…人を守るための手だ!」
「…うん!」
 言いたいことを言い終わると、ガルデニアは踵を返す。彼女もまた戦地へ消える定め。
「ガルデニア! クリムさんが“その槍、似合ってる”って言ってたよ!」
 カイトの呼びかけに、ピタリと歩みを止めるガル。が、顔は向けなかった。
「…当然だろう? お前がプレゼントしてくれた槍だからな!」 
 戦場に赴くジャンヌ・ダルクよろしく、ガルデニアもまた消えた。
彼女にすまないと思いつつ、彼女の言葉を思い返すカイト。
「(僕の手は…人を守るための手…!)」
77黄昏の…:04/04/26 16:57 ID:T7WVcafN
「……」
「あ、月長石」
 無言のまま突っ立っていたので、カイトも気づかなかった。
彼とはΛサーバーでモンスター退治を共にして以来の仲間だが、メールのやり取りで
彼の人間像は何となく掴めてきた。彼が陽動舞台に加わってくれるのは心強い。
「俺は…戦う。生きることを…素晴らしいと思いたい」
「月長石…」
 顔には出ていないが、今まさに月長石は燃えている。
そう言えばムーンナイフをプレゼントした彼女との関係はその後どうなったのだろう?
 普段、寡黙な彼が自身の口から発言した事実を踏まえると、どうやら生きる目標ができたらしい。
「…さらば、友よ」
 忍者スタイルでドロンパと煙と共に消える月長石…最後までミステリアスな男だったが、
その反面とても人間臭い人物だった。己を鍛えることが全てではない…そう悟ったのだから。

「へっ、らしくねえな」
「マーローこそ」
「俺だって緊張くらいするぜ。もし失敗したらヤバイことになるんだろ?」
 マーロー。BBSにカイトの活躍を批判する書き込みをして、
彼をおびき出したのが切っ掛けでパーティに入った経緯を持つPC。
 かつて仲間に裏切られたことがあり、そのせいで人間不信に陥っていたが…。
「お前にゃぁ…何つーかな。人を引き付ける力がある。
考え方は甘ちゃんだが…まぁ、アレだ。そこがお前のいいトコなんだろうよ」
「マーローだっていいトコいっぱいあるじゃん」
「けッ、よせやい」
「アハハ」
「まぁ、どーでもいーけどな…死ぬんじゃねーぞ、カイト」
 友への手向けとして…これがマーローにできる精一杯の感謝の気持ちだった。
カイトがいたからこそ、再び人を信じることができる様になったのだから。
「(今度は…俺がお前を信じる番だな)」
 黒き騎士もまた光と共に消えた。彼の猛々しいまでの活躍に期待しよう。
78黄昏の…:04/04/26 16:58 ID:T7WVcafN
「お〜っす」
「ども〜」
「ニューク兎丸…レイチェル」
 ニューク兎丸とレイチェル。前者は寒いギャグ連発のライブを開催した所、
観客がカイト1人しか残らなかったために、彼とパーティを組んだという変わり者。
 後者はトレード大会を開いておきながら、カイトにトレードするアイテムの到達を
頼んだり、宅急便を企画しておきながらすぐ飽きてしまう…という行き当たりばったりな
女性フリーター。
 この2人、リアルでは漫才コンビを組んでバイトしているという…異色の組み合わせである。
「いや〜、残念だな! 俺のヒラメ…いや、華麗な槍さばきを見てもらいたかったんだけど」
「そないなコトゆーてもしゃーないやん! 
カイトにはカイト、あたしらにはあたしらの役割があるさかい…な、カイト?」
「だね」
 ニュークはよく理解できていないらしかったが、カイトとレイチェルは
ひと時でも仕事を通じて通い合った友情がる。レイチェルはカイトを狙っていた様だが、
それも今は昔。彼女とてもう大人だ。自分の立場くらい弁えている。
「ふ〜ん…んじゃ、そろそろ時間だし行くわ。記念サインいるか?」
「アハハ…遠慮しとく」
「ちぇ〜」
「はよ行かんかい、ボケッ!!!!!」

 ガッ!!!!!

 レイチェルの強力なツッこみにより、ニュークは光と共に待機場所にすっ飛ばされた。
今頃、「ナイスツッコミだぜ!」と感激しているに違いない。マイペースな男である…。
「レイチェル…激しすぎ」
「ええのんよ、アイツはあれくらいしとかんとすぐに気ィ抜くし」
 そう言うとレイチェルの手がカイトの帽子に伸び、ポンポンと軽く叩いた。
「…レイチェル?」
「ブラックローズをよろしゅうな。しっかり守ってあげや…離したらアカンよ」
79黄昏の…:04/04/26 16:59 ID:T7WVcafN
 レイチェルは全てを見抜いていた。ブラックローズの健気な姿は彼女の心を捉えたのだ。
「男は女を守るもんや。違うか?」
「判ってる。ブラックローズは僕が守る…絶対に」
「その調子、その調子」
 励ましの言葉を送ったレイチェルの顔は満足そうだった。
金に執着しているところを除けば、彼女もカイトにとってはよき保護者的存在だったと言える。
「ほなな、根性見せたりぃや」
「うん」
「…もうちょーっとだけ早くおうてたら、良かったんやけどなぁ」
「え?」
「何でもあらへん…これからもよろしゅうな、.hacker…いんや、勇者カイト!」
 ニュークの後を追う様に、レイチェルも光の中へ飛び込んで行く。
 彼女はキスと共に自分を送り出してくれた。
本当は面倒見のよいお姉さんである、ということをカイトは知っている。
「(僕が…勇者…?)」
 自分が勇者…考えたこともなかった。果たして自分がその名に相応しいのかさえ…。」

「こんばんは、カイトさん」
「て、寺島…さん」
 寺島良子。九州に住むお嬢様。ネトゲ初心者。極度の方向オンチ。意外と頑固。
BBSで一緒にダンジョン探検してくれる者を募集する書き込みを行ったところ、
カイトとダンジョン最深部で出会った天使の様な姿をしたヘビーアックスの少女。
「(そう言えば寺島さんとは色々あったなぁ…)」
 先走った良子がスターバイキングに攻められ、間一髪のところを
カイトが救出したこともあった(あのお姫様抱っこに、彼女はやられてしまったのだろう)。
 ブラックローズとのダブルブッキングで機嫌を損ねてしまい、ダンジョン内でケンカを
したこともあった(その後【昴の重斧】をプレゼントして機嫌を直してもらったが…)。
「(う、その後のコトはあんまり思い出したくない様な…)」
80黄昏の…:04/04/26 17:00 ID:T7WVcafN
 そう、良子が東京に来た時。父の友人の息子との見合いのためであった。
カイトに恋人にフリをしてほしい、と懇願。見合いを断ろうとしたこともあった。
 結果、良子と共に乗ったエレベーター内で停電。
停電が治るまでの間、性に関して無頓着な良子に色々と仕込んでしまったカイト。
 良子もまったく臆することなくカイトに身を任せてしまった。
 彼女の父にバレなかったものの、食事の後に決闘をするハメになったのはまさに悪夢。
「(殺されなかっただけでも良しとしなきゃ…(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル )」
 偶然とは言え、極道(?)である良子の父に勝利したカイトは気に入られてしまう。
マズイ。非常にマズイ。今更、「あれは全部お芝居でした」などと言えるはずもない。
 良子の言うメンインブラック(黒服の男達)に、自分もさらわれそうで怖い。
「カイトさん? どうかされましたか?」
「な、何でもない…です」
 良子の笑顔も何となく怖い。いや、彼女に悪意は無いのだが、そう見えてしまうのだ。
「カイトさん、ちょっとよろしいですか?」
「う、うん…どうしたの?」
「実は父が…」
「! おッ…お義父さんが…な、何?」
 ヤバイ。非常にヤバイ。自分も良子に近づいた男達同様、消されてしまうのか…?
「今度、九州に遊びに来てほしい…とおっしゃっていました」
「あ…そ、そうなんだ」
 何か裏がありそうで怖いが、ここは平静を保たねば。落ち着け、落ち着くんだ。
「カイトさんに負けて以来、父は何だか人が変わったみたいで…。
今日も、本当ならとっくに遊んでよい時間を過ぎているのですが…
カイトさんのため、と言ったら引き下がってしまいました。ちょっと人が丸くなったみたいです」
「へ…へぇ」
「父はカイトさんをとてもお気に召してるんですよ。母も同様に。
その…将来、跡目を継がせてもいいとか…早く孫の顔が見たい…とか言ってくるんです」
「……」
「気が早いですよね。カイトさんのお気持ちを無視して…困った父ですわ」
81黄昏の…:04/04/26 17:02 ID:T7WVcafN
「(お、お義父さんに殺される…今度は間違いなく…)」
 しかし、良子ももう世間知らずのお嬢様ではない。1人の女としてカイトのことを想っている。
だから彼について来た。後にも先にも、自分の王子様は、彼しかいないと信じて…。
「カイトさん…良子をどう思われますか?」
「こ、今度は何?」
「ブラックローズさんは、カイトさんがお好きなのだそうです。
でもそれは良子も同じです。カイトさんのお気持ちは汲みたいですが…こればかりは譲れません」
「は、はぁ…」
 もう何が何やら…。
「ですから良子は、正式にカイトさんの恋人候補として名乗りをあげたいのです」
「いや、その、でも…」
「もう決めました。ブラックローズさんも了解済みですよ」
「えッ、そーなの!?」
 思わず、傍らで様子を伺っていたブラックローズに視点を切り替えるカイト。
「(どーしてそんな約束しちゃうのさ!?)」
「(アンタがモテるからでしょ!? 何人も女はべらせちゃって!
帰って来れたら覚えてなさいよ…浮気できない様に私色に染めてアゲルから!)」
 無論、こんな会話が良子の耳に届くはずも無く…。
「…実際のところ、敵の本拠地にはブラックローズさんではなく
私をお連れしてほしかったのですが…それは言わない約束ですね。ごめんなさい」
 ペコリと一礼、恭しくお辞儀をする良子。最後はちょっと皮肉っぽかったか?
「あ、ブラックローズさんもよろしければご一緒に遊びに来られませんか?
良子の親友として、両親に紹介いたします。ね、いいでしょうカイトさん?」
「…どーして私に聞かないでコイツに聞くかな〜?」
「カイトさんがお嫌でしたら結構ですので」
「ムカッ。いい親友だわね」
「…寺島さんさぁ、性格変わったよね?」
「フフ。好きな殿方の前ではともかく、今は恋敵も目の前にいますから…それでは」
 数枚の羽を散らし、良子も昇天(?)した。残るメンバーもわずかである…。
82黄昏の…:04/04/26 17:10 ID:T7WVcafN
自分で言うのも何だけど、
昔書いたSSを見直すと懐かしい。
タイ○ベントのネタなんてすっかり忘れてた…。
ネタ的には最後まで自分のスタイルを貫きたいだわさ。
オンドゥル? ナンディスカソレハ?
83神槍棒短:04/04/27 02:02 ID:OsfTeOsR
>>黄昏氏
乙です。GJ!!
ところで、>>61>>62の間にかなり話が進んでいるようでつが、
肝心のカイトが黒薔薇の処女をいただいた話が抜けているようで…
何とかして漏れが第2スレから待ち続けていたその空白を埋めてくださいな…
おながいしまつ(;´Д`)おながいしまつ(;´Д`)
84名無しさん@ピンキー:04/04/29 03:20 ID:7FgxnFvC
sage
85名無しさん@ピンキー:04/05/01 04:49 ID:+V3Kybfe
age
86黄昏の…:04/05/03 21:00 ID:xoBZ/gQH
>>83
規制でカキコできんかった。
クリア後のお楽しみ…ってワケにはいかないかしら?
87神槍棒短:04/05/04 04:55 ID:6OzEL4W3
>>86
>>クリア後のお楽しみ…ってワケにはいかないかしら?

楽しみに待っておりますよ。
88名無しさん@ピンキー:04/05/05 16:42 ID:XTZsEfmR
age
89黄昏の…:04/05/06 23:30 ID:z+2aIOmj
誰もいない…>>81の続きを投下するなら今のうちだわさ。

「カイト、いいかな」
「ワイズマン?」
 残る仲間達も少なくなりつつある頃…。
「できればもっと早く言いたかったんだが…」
 賢者ワイズマン。リアルではかなり若いらしいが、ヘルバに次ぐ切れ者。
呪文使いとしてはミストラルの上をいくだろう。ザ・ワールドでも最上級プレイヤーの
1人である彼が、ここまで協力してくれたのも、オルカを助けるがため…。
 だが。
「カイト、もう…これ以上はデータドレインを乱発しない方がいい」
「え…い、いきなり何?」
 いつにもまして険しい表情のワイズマン。どうやら嘘でも冗談でもなさそうである。 
「今度のミッションは…もう1人の君との直接対決だ。
当然データドレインを使わざるを得なくなるだろう。
だが、あえて言わせてくれ。これまでの戦いで、君の体はもう限界に近い。
ウィルスバグをデリートしてきたツケが、一気に来る可能性が大きいんだ」
 ワイズマンなりにこれまでのカイトの動向を観察していたのだろうか。
確かに、カイトはこれまでに幾度と無く腕輪の力を使ってデータドレインを行ってきた。
最近ではオプションパーツの足輪まで手に入れたり、
時のリストバンドLv∞まで入手し、ほぼ無敵に近い力を有するカイト。
 が、この戦いでこれ以上、力を酷使すると…。
「君の能力はシステムを超越している。
その負担に、これまで耐えてこれたのは奇跡だ。しかし戦いを続ければ君の体は…」
「…それでも、僕がやるしかないんでしょ?」
「カイト…」
 カイトの決心は揺るがない。例え限界を迎えると判っていても、自分がやるしかないのだから。
90黄昏の…:04/05/06 23:31 ID:z+2aIOmj
「アウラは僕に『戦い続けろ』って言った。
彼女の想いに応えたいんだ…だから戦う。人間として….hackerとして!」
 これまでの戦いは、全てアウラに辿りつくためのもの。今なら判る。
自分達は“世界”に選ばれたのだと。そして自分は命懸けでそれに応えなければならない。
 あの時スケィスによって一度は死を体験し、アウラによって救われたのだから。
「例え体がボロボロになっても…僕はやるよ、ワイズマン」
「…そうか」
 もう何も返す言葉も無い。今の自分にできるのは、少しでもウィルスバグ部隊と
戦い、時間を稼ぐこと。ワイズマンはそう悟った。彼が最後の希望。ならば――――――。
「…君に賭けてみよう」
 少しだけ顔を綻ばせ、ワイズマンは去ってゆく。
彼ならきっとウィルスバグ部隊とも互角以上にやってのけるだろう。

「さて、と…残るは俺だけか」
「バルムンク…」
 いよいよ、最後のメンバーとなった。蒼天のバルムンク。いや、超バルムンクか。
「別れは言わん。俺は、お前なら勇者になれると信じている」
「ガラじゃないんだけどなぁ」
 かつては敵対関係にあったカイトとバルムンク。CC社にハメられ、
カイトを罠に陥れたこともあった。オルカを救うため、よかれと思ってやったこと。
 結果、フィアナの末裔は良心の呵責に苛まれる。本当に自分はただしいのか、と。
「カイト、俺はお前が羨ましかった」
「…僕が?」
「お前の強さは、全てその腕輪にあると思い込んでいた。
だが真実は違った…友を思う気持ちがお前をそこまで成長させたのだと、今なら言える。
残念ながら俺は…それに気づくのが遅すぎたがな」
 何度も敵対した2人。だが、今やザ・ワールド内でも双璧をなす存在となった。
この2人なしにこのミッションの成功はありえないだろう…全てはオルカ達のために。
「がんばれカイト…お前がナンバーワンだ!」
91黄昏の…:04/05/06 23:34 ID:z+2aIOmj
「…2人だけになっちゃった」
「うん」 
 残されたのはカイトとブラックローズ。
これから2人で黒いカイトの待つ【Ω 集いし 黄昏の 失楽園】に向かうのだ。
 否応無しに緊張感が漂う。けれど、不思議と恐怖感はない。
「もうすぐ0時だ…準備はいい?」
「もちろん。…これが終われば、カズも帰ってくるよね?」
「うん。僕達で全て終わらせるんだ…絶対に!」
 向かい合い、互いを見つめる2人。あと数秒でミッションが始まる。
この瞬間が永遠にも思えた…だが、ここで止まっては元も子もない。進まなければならないのだ。
「カイト…」
「ん?」
「…アンタと会えてよかった」
「僕も…うん。ブラックローズと会えてよかったよ」

『各員、準備はいいかしら?』

 全員にヘルバの声が届く。
リョースとイレスも操作に追われつつ、懸命にモニターを見つめていた。
「始まりますね」
「あぁ」

『午前0時! ミッション・スタート!!!!!!!!』

 ついに時計の針は午前0時を回った。.hackers達の最後の戦いが始まる!
92黄昏の…:04/05/06 23:35 ID:z+2aIOmj
「…蹴散らせッ!!!!!」
 午前0時と共に、進撃を開始する戦士達。
 戦場と化した【Ω 集いし 黄昏の 失楽園】にバルムンクの怒声が飛ぶ。
襲い来る1万体のウィルスバグ部隊…迎え撃つは、18人の.hackers!
「頼んだぞ、カイト…ブラックローズ!!!!!!」 
 先陣を切り、飛翔するバルムンクの太刀がウィルスバグ達に放たれる!

 そして、カイトとブラックローズは…。
「ここが…【Ω 集いし 黄昏の 失楽園】?」
「ヘルバは直接コロシアムに飛ばす…って言ってた。多分、ここがそうなんだよ」
 2人が飛ばされたのは、何もない空間。一面の闇が支配する世界。
鬼が出るか蛇が出るか…それすらも判らない。だが、用心にこしたことはないだろう。
「ブラックローズ、僕から離れないで!」
「アンタこそ…迷子にならないでよ!」
 既に双剣と重剣を構え、臨戦態勢で前に進む2人。
敵の気配を探ろうにもこの空間中に悪意が満ちているため、なかなか難しい。と…。

 カッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

「わッ!?」
「きゃッ、な、何なのよ!?」
 突如、2人の眼前に広がる閃光。まるで太○拳だ。
せっかく暗い空間にも目が慣れてきた矢先に、コレである。目を開けていられない!

「くッ…ゆ、油断した! ブラックローズ、だいじょ…う…ぶ…?」
 カイトの手は何も掴むことなく、宙を仰いだ。いない。そこにあるべき少女が。

「〜ッ! もう、何よアレッ!? カイト、平気だっ…た…?」
 こちらも同じであった。さっきまで一緒にいたはずなのに…いない!
93黄昏の…:04/05/06 23:35 ID:z+2aIOmj
「ブラックローズ、どこにいっちゃったんだろ…?」
 恐らく、あの光は自分達を分断させるためのフェイク。
黒いカイトも最終決戦を少しでも盛り上げようとしているのだろう。
 それとも、他に何か狙いが…?
「(とにかく、ブラックローズを探さないと…)」
 ここで戸惑っていても拉致があかない。カイトがそう思って一歩踏み出す…その時!

「ばみゅんッ!!!!!」
「わッ!?」

 突如として振り下ろされた斬撃! 
闇に乗じての攻撃であったが、全く気配を感じなかった…一体、誰が!?
「ッ…誰だッ!?」
「はっは〜ん、悪いけどさぁ…ここは通さないよん♪」
「…楚良ッ!!!!!」
 何と、カイトを襲ったのは楚良であった。
が、少しカイトの知っている彼とはいささか風体に差異があると見受けられる。
 全身を覆う赤い包帯…かつて放浪AIと化した彼と共に冒険した時とは、
明らかに仕様が違う…これはどういうことなのか。いやそれよりも何故、彼がカイトを…!?
「楚良…どうして…ッ!?」
「ん〜、新しいオモチャをゲットしたからさぁ…アンタで試したくなっただけ♪」
 カイトの問いかけを嘲笑するかの様に微笑む楚良。殺気がビシビシと伝わってくる…!
「新しい…オモチャ…?」
 もしや腕輪? いや、それはない。なら、まさかあの赤い包帯がそうなのか…?
「感動のご対〜面〜ッ!!!!!
 楚良の体を包み込む赤い包帯が輝き、紅蓮の閃光を放つ! 
そして、その中から現れたのは…忘れもしないアイツだった。友をあんな目に合わせた、アイツ…!
「そんな…まさか…ッ!?」
 ボディカラーは違うが…紛れもない、アイツである。生きていたのか!?
「…スケィスッ!!!!!!!!!!!!!!!」
94黄昏の…:04/05/06 23:37 ID:z+2aIOmj
 愕然とするカイトを尻目に、楚良の召喚したスケィスは
徐々にその実体を明らかにしてゆく。以前の奴と違うのはカラーだけなのだろうか…。
 いや、その凄まじいまでの荒らぶるパワーをひしひしと感じる。別物と思っていいだろう。
「コイツはさぁ、今までアンタがブッ倒してきた
ウィルスバグ達の怨念が集まって生まれたんだよねぇ。言ってみればバグの塊♪」
「どうして君がそんなことを…!?」
「だって俺、アンタの敵だしぃ〜」
 双剣を構え、飛び掛ってくる楚良! それはスケィスも同じだった。
「俺を倒さない限り、前には進めねえ―――――――――――――――――ッ!!!!!!」 

 ズッ! ドッ!! シャッ!!!

 まさに神速、まさに閃光。楚良の攻撃はカイト以上だった。
さすがはかつてPKとして名を馳せていたいただけはある。が…。

 キィィィンッ…!!!!!

「おんやぁ?」
「僕は絶対に負けない…もう誰もあんな目にあわせない…」
 ここで楚良に勝てない様では、もう1人の自分に勝つことなど夢のまた夢。
「戦うことが罪なら…僕が、僕が全部背負うッ!!!!!!!!!!」

 ズシャッ…ドンッ!!!!!

「って〜ッ!!!!!!!!」
 カイトのカウンターによろけ、悲痛をあげる楚良。スケィスが交代に突進してくるが…。
「時間が惜しい…ここはッ!」
【REFORMATION……START UP】!
 発動するカイト・アクセル体…楚良とスケィスを相手に、音速の戦士が駆ける!
95黄昏の…:04/05/06 23:40 ID:z+2aIOmj
やっと楚良を出せた…。
スケィスまで出しちゃって…話広がり杉鴨。
もうちょっとだから長い目で見てほしいわさ。
96名無しさん@ピンキー:04/05/08 14:50 ID:dcni8trh
黄昏氏、乙です。次回も期待してます。
97名無しさん@ピンキー:04/05/09 03:58 ID:CmiyHfil
>>95
乙華麗様〜! 漏れも続き待ってまつ。
98名無しさん@ピンキー:04/05/09 04:00 ID:2PUUJBRW
漏れも〜
99名無しさん@ピンキー:04/05/09 09:59 ID:8P683IUa
やっぱエロなしでもおもろいね。
あったらあったで面白いけど。
しかしバルムンク、ほんとにベジータだね。
お前がナンバー1だ、って。
100名無しさん@ピンキー:04/05/09 13:00 ID:za3WtbHb
     パカッ

|  ⌒l
|○ ̄l/⌒゙ヽ
l__ ((_)__,,(∴)
/))_;(∩) ⊃⊃
し'   ∪  ヽ)


     ニュッ
, '"  ̄ ヽ
iチタ从从ン   下がってろウジ虫ども!公安9課の
ヾリ ゚д゚ノソ   草薙素子&タチコマが>>100をGETする!
/( うと)
|○ ̄/⌒゙ヽ
l__ ((_)__,,(∴) <げっとするー
/))_;(∩) ⊃⊃
し'   ∪  ヽ)

>>1 バトー貴様!私の公安9課をどうするつもりだ!
>>2 口でクソたれる前と後に「Sir」…じゃない「ma'am」と言え!トグサ!
>>3 サイトー!ふざけるな!大声だせ!タマ落としたか!
>>4 パズ、貴様には両生動物のクソをかき集めた値打ちしかない!
>>5 イシカワ、アカの手先のおフェラ豚め!
>>6 まるでそびえ立つクソだ!ボーマ!
>>7 課長のタマ切り取ってグズの家系を絶ってやる!
>>8 じじいのファックの方がまだ気合いが入ってるぞ!オペ子!
>>9-99 笑い男逮捕する前に番組が終わっちまうぞ、アホ!
101黄昏の…:04/05/09 22:56 ID:dKu6ii9z
>>100
ワラタ。SAC、地上波で夜中にやってるわさ。
誰もいないのを確認しつつ、コソーリと>>95の続きでも…
と思ったら>>96>>99に応援の声が。お客様は神様でつ。

「(っもう…カイトの奴ぅ…どこ行っちゃったのよぉ)」
 相変わらず続く暗黒の回廊。
あの閃光によってカイトと分断されてしまったブラックローズ。
 仕方なく探索をするも一向に出口らしきものは見当たらない。
「(これじゃ時間稼ぎしてるバルムンク達が…不憫じゃない!)」
 こんなところで時間を食うワケにはいかない。急いで脱出しなければ。だが…。

 バチッ!!! ズドドッ!!!!!

「ッ…じゅ、呪文攻撃ッ!?」
 不意に頭上から降ってきた暗黒球。元々この空間自体が暗黒なので
全く気づかなかった。恐らくはレベル4…ファアンクルズ。でも一体誰が?
「ちょっとぉ、イキナリ何!? 隠れてないで出てきなさいッ!」
 体勢を整えつつ、重剣を構えるブラックローズ。
気合一閃、カイトからプレゼントされた
【神捨て去りし光剣】が唸り、神聖な光が輝き、その周囲を照らす。
 そこにいたのは…あまりにも意外な人物。
以外すぎて、思わずブラックローズも我が目を疑った。何故なら…。
「なッ…ア、アンタ…どうして…!?」
 黒い法衣に見覚えはない。が、青い髪、赤い瞳…ミッションに不参加のメンバーの1人。
「…エルクッ!?」

「……」

 エルク。ブラックローズとカイトのパーティの中でも古参のメンバー。
常に謎のネコ型PCのミアと共に行動していた呪文使い。最近姿をみかけないと思ったら…。
102黄昏の…:04/05/09 22:59 ID:dKu6ii9z
「アンタ…こんな所で何してんの!?」
「…キミを」
「…?」
「ココから先には行かせない」
「!」
 徐々に光剣の力で明らかになってゆくエルクの表情。
非情に穏やかな表情をしているが、その瞳には揺るぎない決心が宿っている様にも見えた。
 どういう事情か知らないが、つまり彼は…。
「…アンタ、敵側に寝返ったってワケ?」
「そう解釈したいなら…そうしてくれて構わない」
 呪杖を構え、グッと腰を落とすエルク。これまで以上に好戦的なフォーム。
十中八九、本気らしい。気を抜くと気圧されそうになる…あの赤い瞳に。
「そっちがその気なら…私だって容赦しない!」
 晶良のコントローラーを持つ手に気合が篭る。呪文使いVS重剣使い。
世間一般では動作の鈍い重剣士が、攻撃スピードの速い呪文使いに遠距離戦で勝つのは
至難の業と言われている。ならば、勝機は1つ…接近戦のみ! 
「無理だよ。僕はもう、前の弱い僕じゃない…生まれ変わったんだ!」
 
 ズォッ!!! バンッ!!!!! 

 黒い法衣を靡かせ、エルクの杖から呪文が炸裂する。 
また闇属性…今度はファアニドーンか? 予め戦闘が始まった瞬間に呪符を使用して
移動速度と魔法防御力を高めていたからよかったものの…。
「(かすっただけでHPがこんなに…早めに終わらせないとヤバイかも…!)」
 確かに、以前のエルクとは別人の様である。
仲間だったから…という遠慮や情けは即、ゲームオーバーに繋がるだろう。
 最悪の場合、自分もカズ同様に未帰還者の仲間入りをする可能性だってある。
ここは黒いカイトの拠点…何が起きても不思議じゃない。エルクの異常さを見れば明らかだ。
「何があったか知らないけど…私だって怒る時は怒るんだからね!」
103黄昏の…:04/05/09 23:01 ID:dKu6ii9z
 カイトが楚良・スケィスと、ブラックローズがエルクに行く手を遮られている頃…。

「主任、ジャパンサーバー管理コンピューターの端末に侵入者が!」
「ぬッ、こんな時に外部ハッカーかッ!?」
「いえ、違います…パターン青! 間違いありません、ウィルスバグです!」
「やはり仕掛けてきおったか…!」
 CC社。作業ルーム。リョースとイレス、そして彼らが信頼する数人の
スタッフ達の顔に困惑の色が浮かぶ。恐れていた、ウィルスバグのCC社への直接攻撃。
「総員、第一種除去配置! 第一隔壁から第七隔壁までを閉鎖しろ!」
「もうやってます! ですが…浸食汚染速度が速すぎて対処しきれません!」
「敵の狙いは、セントラルドグマ内のメインコンピューター中枢と思われます!」
「ウィルスコアによる除去作業、達成率15%! 増殖率がハンパじゃないですよ!」
 モニターを凝視しつつ、作業に追われるスタッフ達。一瞬の油断も許されない。
「奴等め…混乱に乗じ、手始めに我が社から浸食するつもりかッ!?」
 リョース達は知らない。自分達がセントラルドグマと呼ぶコンピューター中枢に
何が眠っているか。そして、それとウィルスバグが接触、浸食した場合、何が起きるのかを…。
「…待ってください! 何か、何か聞こえませんか…!?」
「何だコレ…BGM? クラシック曲か!?」
 除去作業中のスタッフの1人がウィルスバグの浸食に伴ってジャパンサーバー内に
流れるBGMを指摘した。ヘッドホンに流れてくるこの曲は、まさか…。
「確かにクラシック曲です! ほら、年末によく流れてるベートーベンの…!」
「第九…『歓喜の歌』かッ!?」

「始まったわね。もう1つの戦いが」 
 ヘルバの呟きが闇に響く。
ここはCC社・ジャパンサーバー内のメインコンピューター中枢。通称セントラルドグマ。
「本当ならもっとじっくり観察したいところけど…そんな暇はなさそうねぇ」
 感じる。頭上から夥しい数の悪意が迫るのを。聞こえる。喜びの歌が。
「生と死が等価値なのを知っているのね…だからこそ、ここに来る意味がある」
104黄昏の…:04/05/09 23:05 ID:dKu6ii9z
 ヘルバにもここに何があるのかは具体的には判らない。
だが、黒いカイトが手下のウィルスバグ達に命じて侵入させる程の“何か”がある
のは間違いないと思っていいだろう。モルガナもこれを狙っていたのか…彼女が黒いカイトに
殺されてしまった今では、知る由もない。
「(アウラに関することなら納得がいく。新生を求めているのね…より完全に。
より完璧に。バグではない、新たな生命としての誕生。二次元から三次元への移行…でも)」
 それは有り得ない。不可能だ。二次元の存在が三次元の存在となることなど…。
「(だが…何か、何か引っかかる。何かを私は見落としている…!)」
 これまでの黒いカイトの行動を思い出してみればいい。
「(…! そうか、そういうこと! 私はバカだ! 何故気づかなかったの…!?)」
 これまでヘルバは黒いカイトの行動ばかりに
気を取られすぎていて、一番肝心なことを忘れてしまっていた。それは…。
「(何故、黒いカイトは…私達の知るカイトと全く同じデータで構成されているか!)」
 最初は、彼が腕輪の所持者であることに目をつけたモルガナが、擬似データか
何かを使って黒いカイトを生み出したと考えていた。
 が、あかつきやタブリスといった“プロトタイプ”の存在により、
黒いカイトがウィルスバグの王として君臨するのは、かなり前からモルガナの計画の
中にあったことが露呈している。それにモルガナといえば、かつて司の肉体と意識を
分離させ、記憶までも捏造した張本人ではないか…どうして今まで気づかなかったのか。
「(黒いカイトは…カイトの肉体を浸食する! カイト本人の意識を除去し、
魂のない器に自分が納まって…何てこと! 奴は…現実世界に来るために彼を…!)」
 だが、ここでヘルバの思考は止まらざるを得なくなった。
CC社スタッフの苦労も虚しく、ウィルスバグの大群が彼女に迫ってきたからである。
 一刻も早く離脱し、カイト達に黒いカイトの本当の目的を告げねば…!
「…どいてください。ボク達にはやらなければならないことがあるんです」
 ウィルスバグのリーダーと思われる、白いローブを纏った銀髪の呪文使いが警告する。
 だが、そんな脅しに屈する我等のヘルバではない。
「それで脅しのつもりかしら? フフ……おいでなさいな、ボウヤ達」
105黄昏の…:04/05/09 23:11 ID:dKu6ii9z
ヘルバのカコイイところを書こうと思ったら
また変な話に…_| ̄|○ BGMが第九の時点でカヲr(ry
とりあえずエルク出せてよかった。これでゲームとアニメはコンプ。
…ほくととリコリスどうしよう。
106名無しさん@ピンキー:04/05/12 12:41 ID:Mg+iur18
保守
107名無しさん@ピンキー:04/05/15 01:53 ID:O6TqtmFy
age
また人大杉なのね…
108名無しさん@ピンキー:04/05/15 13:42 ID:jZ0mjxra
いや、人大杉はブラウザ入れてたら関係ないだろ。
109名無しさん@ピンキー:04/05/15 23:50 ID:O6TqtmFy
>>109
ブラウザ入れるもなにも、IEからIモード用のページで見ているんですよ_| ̄|○
110名無しさん@ピンキー:04/05/15 23:51 ID:O6TqtmFy
自己レスしてしもうた。上のレスは>>109でなく>>108氏へです。
111黄昏の…:04/05/17 01:55 ID:WnSzTNBh
人大杉で誰もいない…>>104の続き書くなら今のうち。

 
「か、囲まれてしまいました…」
 現在ウィルスバグ部隊と交戦中の.hackers。
ミストラルやワイズマンといった全体攻撃が得意な者が攻勢なのに対し、
単体攻撃しかできない戦士タイプのPC達はやや苦戦気味であった。 
 得に寺島良子はスターバイキングとの戦いの際に、1人でツッコみ手痛い反撃を
喰らった教訓をもう忘れてしまったのか…いつの間に敵陣の真っ只中に置き去りに…。
「ど、どうしましょう?」
 良子の方向オンチもここまでくれば達人レベル。
が、呑気に構えている場合ではない。命がかかっているのだから。

「寺島ッ、カードを使え!!!!!」

 上空から彼女のドジぶりを見かねたバルムンクが助言する。
そうか、その手があったか…と良子はメニューからアイテム欄を開き…。
「えっと、『邪四つ葉の呪符』…後は『吊り男のタロット』ですね」
 2枚のカードを取り出し、すかさず使用。カードのエフェクトと共に良子に新たな力が宿る。

【リジュローム】【シュビレイ】…【パラトルネード】!!!!!

「はぁぁ…えいッ!!!!!!!!!」

 ズシャシャシャシャシャッ!!!!!!!!!!!!!!!
 
 麻痺成分を含んだ竜巻を纏った手斧を振り回し、良子が舞う。
これには彼女の周りを取り囲んでいたウィルスバグらも、ひとたまりもない。
麻痺して動けなくなったところを空中から襲い来るバルムンクによって切り付けられ、
次々とデリートされてゆく…が、まだ戦闘が始まって300体も倒していない。
 次から次へと、増援が駆けつけてくるのだ。これでは埒が明かない…。 
112黄昏の…:04/05/17 01:57 ID:WnSzTNBh
「時間が惜しい…ここはッ!」
【REFORMATION……START UP】!
 コロシアム内。行く手を阻む楚良と再生スケィスに対し、
カイトはアクセル体となって一気に勝負を決めるつもりである。
 時のリストバンドLv.∞の力によってPCカラーが変化、
アプドゥの1000倍のスピードを誇る音速の戦士となったカイトが駆ける! 
「(ワイズマンは使っちゃ駄目だって言ってたけど、1発くらいなら多分…!)」
 いつもと同じ様に右腕に精神を集中、剣も自分の体の一部と考えて…。

「なぁ〜んか、ヤバそうだっしぃ〜!」
 楚良とてカイト・アクセル体の脅威は知っている。
すかさず全身の紅い包帯を展開、身体全体を覆う幕の様にして防御体勢に入る!

『かぁ…いぃ…とぉ…ッ!』
 こちらはスケィス。目にも止まらぬスピードで迫るカイトを何とか
追っているものの、完全には対処しきれていない。やはり再生怪人の扱い所詮こんなモノか…。
 その巨大な体躯で身構え、カイトが繰り出すであろうデータドレインに備える!

「だぁッ!!!!!!!!!!!!!!」

 ドンッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 カイトが放ったドレインシールにより、プロテクト固定されるスケィス。
通常のデータドレインくらいなら跳ね返せる…そうスケィスは踏んだ。だから敢えて
宿敵であるカイトを精神的にも参らせようとして防御体勢をとったのだ。が…!
「はぁぁぁぁ……ドレインエ―――――――――――――――――――――ッジッ!!!!!!!」
『!?』
 目も眩まんばかりの輝きと共に、新たな必殺技・ドレインエッジがスケィスを切り裂く!
113黄昏の…:04/05/17 01:58 ID:WnSzTNBh
 ズッ…シャ―――――――――――――――――ッ!!!!!!!!!!!!!

『ガァァッ…かぁ…いぃ…とぉ…ッ!!!!!』
 光の一閃が疾った。暗黒の回廊は一瞬で輝きに満ち、闇を駆除してゆく。
モロにそれを喰らったスケィスは見事に上半身と下半身を分断され、
身体中から構成データが漏れていく…ウィルスバグらの怨念も消滅寸前であった。
 楚良も何とか紅い包帯のおかげでガードできたものの、本人がこのアイテムを
十分に使いこなせていないのか、カイトの攻撃とは別に苦しそうな様子。もはや勝負あったか…?
【THREE…TWO…ONE…TIME OUT】
 10秒という無敵時間を終え、カイトの身体は通常態に戻る。
虫の息のスケィスをじっと見つめるカイト。思えば、コイツのせいでオルカは…。
「…お前だけは、僕のこの手でッ!」
 双剣を構え、スケィスに止めを刺さんと向かう…が。

『ガッ、ガガッ、ピーッ、ピーッ…かいと…オ前ハ一度死ンダハズダ…コノ、私ノ手デ…!』
「ッ…!?」
 確かにあの時、ヤスヒコがデータドレインされた後、
カイトもスケィスの攻撃を受けた後…その後はよく覚えていない。
 ヘルバによればアウラによって『黄昏の書』をインストールされたおかげで
一命を取り留めたと言う。が、言い換えればスケィスに言う通り、自分は一度死んでいる…!?
『ナノニ…ドウシテ私ガ…?』
 青白い焔を身体から噴出しつつ、ボロボロと炭化を始めるスケィスの自問自答が続く。 
「…生まれるには、一度死ななければならなかったのかもしれない」
 スケィスへの手向け言葉として、カイトがポツリと呟く。
生と死。ゲームのなかとは言え、自分はそれを体験している。死、そして新生。
『…ソウカ、かいとトハ限リナク進化スルちから…! ソレヲアノ方ハ欲シテオラレルノカ…!?』
「あの方ッ…もう1人の僕のコトかッ!?」

 ガラッ、ガラガラ……。

 意味深な言葉と共に灰燼と帰すスケィス。カイトの胸に不吉な思いを残して…。 
114黄昏の…:04/05/17 02:00 ID:WnSzTNBh
「楚良、どういうコト!? 君なら何か知ってるんだろ…答えてよッ!!!」
 紅い包帯に包まれながら苦しみ悶える楚良に、カイトが詰め寄る。
そう言えば彼のプレイヤーも未帰還者だったはず…それがどうして黒いカイトの
一派に加担するのだろう? 現実に帰りたくはないのだろうか?
「人に頼みごとをする時は…そーいうのイックなーい…ケホッ、コホッ!」
 さっきまでの威勢はどうしたのか…まるで今しがた撃破したスケィスと
同じ様に、楚良の身体からボロボロと放浪AIたる彼を構成するデータが崩れ落ちてゆく。
「俺も…ケホッ、アンタと同じってコトぴょん」
「僕と?」
 止まらない楚良の崩壊。魂の入れ物が、壊れてゆく。
「アンタと一度戦ってみたかった…それだけだったんだけどね〜」
 カイトと戦ってみたいがために、あれだけ回りくどいことを…やはり楚良は最後まで
楚良なのか。そのために自分をデータドレインしたスケィスを従わせたり、黒いカイト側
に付くリスクを負った、というのか? 自分の死を等価交換の条件として…。
「最初は逃げてばかりだった…でも、逃げても逃げても
アイツは俺を追いかけてくる…だったら、開き直った方が楽っしょ?」
 ニイッと満足気に笑う楚良。彼は疲れていたのかもしれない。逃げることに。
そして求めていたのかもしれない。安らぎを。今なら、そう思える気がする。
「俺からのプレゼント…この包帯、やるっしょ」
「え、コレ?」
 瀕死の楚良から強制的にプレゼントされた、彼が身に纏っていた紅い包帯。
アイテム欄に表示されたその名は…。
「閃光の…紅衣…?」
「俺には全体能力のうち30%くらいしか使えなかったケド…アンタなら…きっと…」
「楚良!」
 カイトの手を取った瞬間、楚良の手がボロッと崩れた。限界だ。
「結構面白かったなぁ…アンタとはまた…冒険して…みたい…ぴょ…ん……………」
 楚良に次の言葉は無かった。その骸は灰となり、カイトの手から零れ落ちる。
 彼から託された閃光の紅衣を身に纏い、カイトは思いを新たに黒いカイト目指して駆けてゆく…!
115黄昏の…:04/05/17 02:03 ID:WnSzTNBh
「くッ…!」
 一方、こちらはブラックローズVSエルク。
やはり呪文使いの方が有利なのか…激しい呪文の数々に
ブラックローズはエルクに接近することもできず、何度飲み干したか
判らない治癒の水を口に流し込んでいた…。
「ねぇ、もういいでしょ? 諦めて引き返してよ。今ならまだ間に合うと思うから…」
「みんなが命懸けで頑張ってるのに私だけ『はい、そーですか』って帰れるワケないでしょ!?」
 そろそろブラックローズも我慢の限界に達していた。
今までの攻撃パターンを見る限り、エルクは本気で自分を倒そうとはしていない。
 確かに攻撃はどれもレベルの高い呪文ばかりだが、妙な違和感がある。
「(あの子…時間稼ぎのつもり!?)」
 実質、その通りだろう。目的は不明だが、エルクは黒いカイト側についた。
そしてザ・ワールドの機能回復を目指す自分達の邪魔をするために現れ、今に至る。
「どうしてそんなに一生懸命になれるの?
現実(リアル)なんて嫌なコトばっかりじゃない…ココの方が楽しいよ。
みんながココにずっと居られる様に頑張ってるのに…何で判ってくれないのさ!」
 エルクの今の言葉に、ついにブラックローズがキレた。

 バチン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

「えッ…?」
「アンタ…いい加減にしなさいよ!!!!!!」
 エルクの頬に、ブラックローズのビンタがクリティカルヒットする。
当のエルクはぶたれたことに気づくまで数秒かかった。ぶたれた…と感じた時には
立っていた場所から数メートル吹き飛ばされ、ブラックローズに襟首を捕まれていた。
「そーやって自分の都合のいい時だけ逃げて、楽しいッ!? 
現実に帰りたくても帰れない人達だっているのに…みんな、そういう人達を助けようと必死なのに…!
ココにずっといたけりゃデータドレインされて放浪AIにでもなればいいでしょうがッ!?
命を粗末にする奴になんかにねぇ、私は絶対……負けないんだからッ!!!!!!!」
116黄昏の…:04/05/17 02:04 ID:WnSzTNBh
 ブラックローズの怒声に気圧されるエルク。
現実から逃げたい。この世界にいたい。まるでかつての司の様だ。
「や、やめてよ…そんなコト言わないで…!」
「だってそうでしょ!? ココにずっといるってコトは
『死ぬ』ってのとほぼ同じ意味じゃない! 私の弟だってそう…あんなのは、生きてるって言わない!」
「やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ―――――――――――――――ッ!!!!!!!!!!」

 カッ!!!!!!!!!

「きゃッ!!!!!!!!!!!!!!」
 呪杖を持ち直し、ブラックローズに近距離から呪文を炸裂させるエルク。
マズイ。今の攻撃、かなり喰らった。HPを回復させたいところだが、思うように身体が…。
「(や…られる!?)」
 錯乱状態のエルクが、連続して呪文を放ってゆく。眼前に迫る攻撃。
「(カイト、ゴメ……)」
 
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――。

「エルク…そこまでだ」
 エルクがブラックローズに向けて放った呪文は、全て暗黒のオーラで防がれていた。
どんな闇よりも深い暗闇…そんな言葉がぴったりの禍々しいオーラの中から出てきた
のは、気絶したブラックローズと…彼女を抱き上げる黒いカイト。
 いや、もはやウィルスバグの王…とでも呼ぶべきだろうか?
「何で…何で邪魔したのさ!? ボクに全部任せるって…」
「ここまでしろとは言っていない。僕は足止めをして時間を稼げ…と命じたはずだ」
「で、でも…!」
「僕に逆らうのか…王である、この僕に」
 拡大する闇のオーラ。王の瞳が妖しく光る。
「でもまぁ、お楽しみが1つ増えたことだし…今回は大目にみてやるかぁ」
 ブラックローズの軟らかい頬を撫でつつ、王は闇の中に姿を消してゆく…。
117黄昏の…:04/05/17 02:06 ID:WnSzTNBh
「ん…」
 ブラックローズは混濁した意識から目覚めた。
何時間程、気絶していたのだろう。あるいは数分?
本当ならもっと身体を休めたい気分だったがそうもいかない状況だった。
 と言うのも、先程から凄まじい歓声や怒声が耳に響いていたからである!
「え…ちょ…ナ、何コレッ!?」
 見れば四肢を鎖で拘束され、武器まで取り上げられているではないか。
一体、自分が気絶している間に何があったのか…考えるまでもなかった。
 目の前にいる人物を見れば、その状況が一目瞭然だったからである。

「アンタッ…黒いカイト!」
 スケィスのデータドレイン時の様に、空中で黒い十字架に縛り付けられている
ブラックローズ。その眼前に浮遊していたのは愛しい少年の影…ウィルスバグの王。

 観客席からブラックローズに向けられる、下級ウィルスバグ達の罵声。
何とか逃れようと慌てるブラックローズを嘲笑うかの様に、王が口を開く…。
「これからキミを処刑する…何か言い残したいことは?」 
 薄気味悪い程の低い声がブラックローズを恐怖させる。
リアルでの晶良はもう発狂寸前だった。電源を切りたい、でも切れない。
どうして? 逃げたたくても逃げることなどできない。ここはアイツの空間なのだから。
「アッ…うッ…うぅ…!」
 暗黒のオーラを纏った王の腕がブラックローズの首筋を捉え、ギリギリと締め付ける。
「最期くらい、いい声で鳴いてよ。今、すごくいい気分なんだからさぁ…!」
 王が渾身の力をこめ、ブラックローズの息の根を止めようとした…まさにその時!

「やめろッ!!!!!!!!!」
 
 バタン! とコロシアムの正面入り口が開き、爆風と共に王目掛けて打ち出されるドレインシール! 
「はぁぁ…とりゃ――――――――――――――――――――――――――ッ!!!!!!!!!!!!」
118黄昏の…:04/05/17 02:07 ID:WnSzTNBh
 ブラックローズの絶対絶命の危機に駆けつけたカイト。
状況を扉奥から察したらしく、ドレインシールで扉を破壊、そのまま王をプロテクト!
 右足に装着した黄昏の足輪に精神を集中し、凄まじい速度で蹴り上げる!
「無礼だぞ、兄弟」
 だが王は身じろぎひとつしない。ブラックローズの首を
絞めていなかった方の腕を構え、カイト同様にデータドレインの構えを取る!
「フン」

 ドンッ!!!!!!!!!!

 打ち出される奥義暗黒吸魂輪掌波…以前とは比べ物にならない威力である。
王目掛けてドレインスマッシュを放ったカイトだが、その凄まじいまでの威力に押され気味となり…。
「ブラックローズッ!」
 何と途中でドレインスマッシュを解除、そのまま空中を漂う
ブラックローズの元へ飛び、代わりに発動させたドレインエッジで素早く鎖を切り裂いた!
「バカか? わざわざ僕の目の前に飛ぶなんて」
 ブラックローズを抱いて逃げようとするカイトの眼前で、王が暗黒のオーラを炸裂させる!
「アクセル体ッ!」
 カイトも考えなしに突っ込んだワケではない。ブラックローズを救出した直後に
アクセル体となって高速移動により窮地を脱出する寸法だったのだ…が。 
「それでかわしたつもり?」
「なッ…!?」
 何と、アプドゥの1000倍の移動速度を誇る
アクセル体と互角…いや、それを軽く凌駕する超スピードを披露する王。
 体色はより禍々しい黒、頭部には帽子を貫く2本角と腰まで届きそうな長髪…こ、これは!?

 竜 神 態 ( ド ラ グ ナ ー フ ォ ー ム ) ! ! ! ! ! ! !

「デミウルゴスを殺してくれてありがとう…おかげでこんな姿になることができたんだから…!」
119黄昏の…:04/05/17 02:10 ID:WnSzTNBh
楚良…正直ゴメン。
120名無しさん@ピンキー:04/05/19 03:25 ID:wSQLP66R
>>119
大丈夫、大丈夫、きっと、大丈夫。
the worldからログアウトしただけだよ。
死んだ訳じゃないよ。
落ちこむことないよ、大丈夫だよ。
楚良だって、眠ってる子たちの一人だもの。
今ごろきっと目を覚ましてるよ。
121名無しさん@ピンキー:04/05/20 06:04 ID:x5aXvlPV
>黄昏氏
乙です。これからもこの調子で頑張って下さい。楽しみにしとりますよ。

>>120
integrationを見ての通り
122名無しさん@ピンキー:04/05/23 15:22 ID:jamPyGTv
それにしても、theworld3は誤字大杉。徳岡さんなんか「徳山」になってるし。ダリディスカソリハ??。
123黄昏の…:04/05/25 00:05 ID:H2PxU4er
誰もいない…>>118の続き投下するなら今のうち。

「異種融合(フュージョン)…デミウルゴスの憎悪は、僕が受け継いだ!」
 長い銀髪を揺らしながら、王が迫る。頭部の2本角は何やらバチバチと
スパークを放ち、暗黒のオーラと相まって異様な空気を生み出している…。

【THREE…TWO…ONE…TIME OUT】

 タイムリミット。アクセル体からイリーガル体へと戻るカイトの姿。
床に小さなクレーターを作りつつも、ブラックローズを抱いたまま倒れている。
「クッ…!」
「カイト、大丈夫ッ!?」
 アプドゥの1000倍の移動速度を誇る、無敵のアクセル体が敗れた。
王の移動速度は尋常ではなく、ブラックローズを抱いて疾るカイトを楽々追い越し、
オーラを纏った痛恨のキックを見舞わせ、地面に這い蹲らせたのである。
 ブラックローズを何とか守れたものの、カイトのダメージはかなり大きい…!
「今、回復したげるから!」
 メニューを開き、急いで完治の水をカイトに使用するブラックローズ。
だがカイトは無言のまま。この状況、かなりカイト達に不利なのだ…言葉も出ないのだろう。
「ブラックローズ、僕から離れてて」
「ちょッ…何言ってんのよ!? 私も一緒に…!」
「離れてて。お願いだから」
「!」
 カイトの形相を、ブラックローズは垣間見た。今までにない程の真剣な表情。
覚悟を決めた人間の顔つき…とでも言えばいいのか。思わず、彼の肩に触れていた腕
まで引っ込めてしまう。彼女にとって、自分は足手まとい…そう思わざるを得ない瞬間だった。
124黄昏の…:04/05/25 00:06 ID:H2PxU4er
「いいのか? 2人がかりなら、いい勝負になるかもしれないぞ」
「お前は僕が倒さなくちゃいけない…僕だけで十分だ!」
「…いいだろう、兄弟」
 改めて向かい直る2人のカイト。
王もフェアなバトルファイトに臨みたいのか、龍神態から電神態に戻って仕切りなおし。
コロシアム内のモンスター達の歓声も一際大きくなり、否応なしに緊張感を高めてゆく…。
 
「だッ!!!!!!!!!!!」
「せやッ!!!!!!!!!」

 ドッ、ズドッ、ズシャッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 激突する両者。カイトの双剣が唸り、王の手刀がそれを軽くいなす。
カイトの攻撃は全て見切られ、防がれている。研ぎ澄まされた今の彼の一撃一撃は、
剣士たる超バルムンクと同等かそれ以上の威力があるはず。
 だが、その凄まじいまでの攻撃も王にダメージを与えることすらできないのだ。
誤算…ここまで黒いカイトがザ・ワールドの王としてのパワーを身に付けていたとは…!

「ちょっとぉ…何で!? 何で全然効いてないのよッ!?」 
 怒濤の攻撃を涼しい顔で防ぐ王の圧倒的な姿…ブラックローズも叫ばずにはいられない。
ついこの間、【Ω 隔離されし 忘却の 最終局面】で戦った時はほぼ互角だったはずなのに…。

「ブラックローズが不思議がっているぞ、兄弟」
 王はまだ双剣すら握っていない。即ち、素手…無装備の状態なのだ。
その状態でもカイトの攻撃を防ぎ、カウンターとして返す圧倒的パワー…確かに不思議だ。
「考えればすぐに判るだろ…この世界の王は僕だぞ?」
「!」
 そう、カイト達は忘れていた。彼がこの世界の王であることを。全てが彼の意のままだということを!

 支 配 者 の 優 越 ( ル ー ラ ー ズ ア ド バ ン テ ー ジ )! ! ! !  
125黄昏の…:04/05/25 00:08 ID:H2PxU4er
「何よソレ…何でもアリってこと!? HPもSPも攻撃力も防御力もダメージも…全部ッ!?」
 あまりの事実に愕然とするブラックローズ。
それでは、自分達のやっていることは何なのだろうか? 
コロシアムの外で、ウィルスバグ部隊と命懸けで戦っている仲間達の想いは?
「全部…全部、無駄だったって言うの…そんなの、そんなのッ!?」 
 
「ああ、骨折り損の何とか…ってヤツだな」

 バキャッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

「がッ、があああああああああああッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 軽やかかつ重い王の一撃が、カイトを吹き飛ばす。HPも一気にガタ落ちだ。
コントローラーを持つ手の感覚も、もう無い。甘かった。腕輪を持つ自分なら
何とかできる…まるで根拠の無い自信。自身を過大評価しすぎていた誤算。

「カイト…カイトォ――――――――――――――――――――――――――ッ!!!!!!!!」

 力なく横たわるカイト。ブラックローズの悲痛な叫びも届かない。
肉体的にも精神的にもズタボロ状態…このままでは、確実に殺られる!
「(兄弟、お前の器は僕が貰う…そうすれば、僕はもう電脳の中の幻ではない…!)」
 不敵に笑う王。カイトを倒し、その魂と融合。そして現実世界の彼に成り代わる計画。
肉体という器に、新たに宿ろうとする邪悪な魂…現実世界での生、それが王の真の目的!
 
「カイト、立って! 立ちなさいよ! このままじゃマジで殺されるわよ!」
 本当なら、すぐにもカイトを助けてやりたい。だが暗黒のオーラが邪魔して
彼に近づくことができず、回復アイテムの使用を試みてもメニューを開くこともできない!
126黄昏の…:04/05/25 00:09 ID:H2PxU4er
「ハアッ、ハアッ…ダメ元で、もう一度…アクセル体で…ッ!」
 瀕死状態のカイト。アイテムを持つ手が震えている。
残り少なくなった治癒の水を乱暴に体全体にブッかけ、荒療治を計るが…。

 ボロッ…。

「ッ…!?」
 もう一度アクセル体となるために、カイトが左腕に装備した
【時のリストバンドLv.∞】に手を伸ばした瞬間…左腕の一部とリストバンドが共に崩れた。
 灰だ。あの時の楚良と同じ。痛みは無い…ただ、絶望を感じさせる音だけが響いたのである。

「カッ…カイ…ト…?」
「う…腕がッ!?」」

 完全に崩壊したリストバンドと、徐々に崩れ行くカイトの左腕…床に零れ落ちる
灰が、静かに恐怖を奏でてゆく。驚きを隠せない2人…だが、王は動じていない。むしろ…。
「始まったな…時間切れだ」
 オーラを解除し、自身に収束させる王。
まるでブラックローズに「早く行ってやれ」と言わんばかりの態度である。
 無論、言われなくてもブラックローズはカイトの元に駆けつけていたが。
「カイト! カイト…何なの、何で腕が…!?」
 もうブラックローズは半狂乱に近かった。カイトを抱き寄せ、必死に問う。が…。

「だから時間切れだ。かつての僕と同じ…兄弟、お前はもうこの世界に居られない」
 嬉々とした表情の王。まさにこの瞬間を待っていた…という感じだ。
「度重なるデータドレイン、チートアイテムの使用、自身も数十回に渡り
八相との戦闘中にデータドレインを喰らっている…そのツケが、今回ってきたのさ」
 収束した暗黒のオーラが王の右腕…腕輪に注がれてゆく…。
「崩壊は止められない…だが、その前に仲良く葬ってやる。それが僕からの手向けだ」
127黄昏の…:04/05/25 00:11 ID:H2PxU4er
 奥義暗黒吸魂輪掌波を外さぬ様、ドレインシールで2人をプロテクトする王。
もう逃げられない。終わりだ。結局、一矢も報いることができなかった。

「カイトォ…」
「ブラ…ロ…」
 カイトはもう喋ることすらままならない。
 左腕を筆頭に、どんどん灰状の粒子がカイトの体を崩してゆく。
止められない崩壊。八相を倒した時も、ちょうどこんな感じで崩壊していただろうか?

「終わりだ。お前の器は、僕が有効に利用してやる…!」
 充填が完了し、大きく右手をかざす王…いよいよ、放つ!

 奥 義 暗 黒 吸 魂 輪 掌 波 ( ダ ー ク ド レ イ ン )! ! ! ! 
 
 だが…!
「させるもんですかぁ――――――――――――――――――――ッ!!!!!!!!!!!」
「!?」
 何とブラックローズが前に立ちはだかり、王のダークドレインからカイトを守った!
「(ブラックローズ!? ダメだ…どいて…! 殺される…!)」
 必死に言葉を紡ごうとするが、崩壊の影響か声すら出せないカイト。
ただ見ていることしかできない…彼女が目の前でデータドレインされる瞬間を。
 
「健気だな、ブラックローズ…そんなにソイツが好きか?」
「好きじゃなかったら…こんなコトするワケないでしょーがッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 重剣で防ぐブラックローズはもう限界…あと数秒でデータドレインされるだろう。
弟と同様に、彼女もまた意識不明者の仲間入りを果たしてしまうのか…? 

 どくん。

 その時、彼の中で何かが音を立てた…。
128黄昏の…:04/05/25 00:12 ID:H2PxU4er
「…晶良!」
「!? カイトッ!?」
 瀕死のカイトが声を漏らした。何か様子がおかしい。
【STANDING BY ...AWAKING】!!!!!!
「えッ、えッ…!?」
突如、彼の身体を覆っていた閃光の紅衣が突然膨張したかと思うと
まるで意志を持っているかの如く、王の放つダークドレインに襲い掛かり始めた!
 これにはブラックローズも唖然とするしかない。何が…何が起きたのか!?

「何? 何だコレは…あの布にこんな力は無いはず…!」
 ブラックローズを攻撃していたダークドレインは消え去り、彼女は難を逃れた。
王も予想外のカイトの攻撃に、いささか同様している様だった。
そして見た。灼熱のオーラを纏った双剣士を。紅く輝く閃光の少年を…!

「カイ…ト…?」
「晶良、大丈夫?」
 ブラックローズを抱きかかえ、噴煙の中から現れた少年。
イリーガル体よりも深い紅。まるで灼熱の炎の如く、力強い色。
その身体からは炎状のオーラが噴出し、ただならぬ雰囲気を醸し出している!
 失われたはずの左腕もいつの間にか復活し、彼女を支えていて…これは、一体!?
 
 紅 衣 体 ( ク リ ム ゾ ン フ ォ ー ム )! ! ! ! ! ! 

「そんな…僕が支配するこの世界で…自己プログラムを書き換えただとッ!?」
 初めて王がうろたえた。有り得ない。どうやって? この世界の主は自分のはず!
「勘違いするな…僕はお前とは違う。これは…大切な人達を守るための力だッ!!!!!!!!!!」
 何が何だかわからず、呆気に取られているブラックローズを一先ず下ろし、
カイトは臨戦態勢に入る。時のリストバンドはもう無いが…今の彼にとっては問題ではない!
「(楚良から貰った包帯が、崩壊を抑えてくれている…今しかないッ!)」
129黄昏の…:04/05/25 00:15 ID:H2PxU4er
「ふざけた奴め…出ろ、デストロイヤー!」
 紅衣体と化したカイトの力を探るため、王は懐からカードを取り出す。
 王の呼びかけに応え、コロシアムの何処からか飛び出す3体のウィルスバグ!
 キ$ース@*カー、*マ%ル#イ、%−ガー@ィ#ンの3体が
融合合体し、最強のキメラモンスター・デストロイヤーが爆誕する!
「ギャオォォォ―――――――――――――――――――――――スッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
 以前よりも巨大で醜い体躯…そのパワーは1つのエリアを簡単に破壊できる
程の威力を秘めていた。それが更にバージョンアップしたと考えていいだろう。
 あの時だって、カイト達はデストロイヤーに手も足も出なかった。
命からがら、エリアから逃げ出したのだ…そのデストロイヤーが今、再び立ちはだかる!

「はぁぁ…ッ!!!!!!!!!!!!!」
 右腕に意識を集中、全身のオーラを収束させ、腕輪と同調させるカイト!
灼熱の炎が唸り、突き出された腕から放たれた深紅のドレインシールが目標を捉える!

「怯むな…行けッ、デストロイヤー!」
 王の怒声と共に、ドレインシールでプロテクトされたままカイト目掛けて
その翼を広げて突っ込んでくるデストロイヤー! だがカイトは微動だにしない!

「はぁあああッ!!!!! バァーニングゥ…ドレイ―――――――――ンッ!!!!!!!!!!!!!!!」
「ギッ…ギィィィ―――――――――――――――――――――――ッ!?」
 
 灼熱のオーラを纏ったカイトのパンチがデストロイヤーに炸裂!
その巨大な体躯が重力に逆らって宙を舞い、業火に包まれながら観客席に突っ込む!!!    
「バッ…バカな!?」
 
 炎と共に断末魔を叫ぶデストロイヤーを見て、王は背筋に嫌なモノを感じた。
決して言うである自分が感じることのない…感じてはいけない感覚。それは…。
「寒気…この僕がかッ!?」 
130黄昏の…:04/05/25 00:18 ID:H2PxU4er
「クリムって変な名前だわね〜」
と思っていたら、“クリムゾン”の略だったことに
今更ながら気づいた俺は負け組みディスネ。
131名無しさん@ピンキー:04/05/28 10:58 ID:AuFSgO6n
いやいや、黄昏氏乙です。
勘違いしている人は他にもいると思いますよ。
132名無しさん@ピンキー:04/05/31 02:19 ID:icGZmtuX
>>131
漏れもファンサイトで由来を見るまでは知りませんですた。
133名無しさん@ピンキー:04/06/02 14:36 ID:ue93LidO
スレ違いでつが…同じバンダイビジュアルということで。
不覚にも昨日のSACは泣けてしまった…
134名無しさん@ピンキー:04/06/02 22:54 ID:FVlDIoWv
スレ違いにもほどがあるぞ…
135133:04/06/03 18:41 ID:pbac1Yzb
>>134
スマソ。あんまり書き込みがないので落ちたらどうしようかと思って。そもそもどの位カキコがないとdat逝きになるんだろう?
136名無しさん@ピンキー:04/06/08 04:33 ID:abjRAV0C
>>135
- Eroparo Guide - PukiWiki
http://hhh111.s4.x-beat.com/pukiwiki.php

ここ見てみ。
137133:04/06/08 19:57 ID:5a0PfwUq
>>136
dクス。ということはとりあえず書き込み無くても大丈夫なのかな。
ところで、9月に黒薔薇タソと昴様のフィギュアがでるらしいでつが、
みなさん買いまつか?個人的には昴様を2タイプ作るよりは
カイトか司を作って欲しかったなぁ。
138名無しさん@ピンキー:04/06/11 04:52 ID:lMbdxz3+
漏れはガル様が欲しい…
139名無しさん@ピンキー:04/06/12 14:42 ID:oPIAAJJf
>>138
ガル様はHGIFのVol.1であるね。
でも大きいのも欲しい希ガス
140名無しさん@ピンキー:04/06/12 17:39 ID:Eym2vhdG
銀漢がほs・・・・!!
141黄昏の…:04/06/12 21:38 ID:cswY5K86
>>133
あえてスレ違い覚悟で言わせてもらうと…タチコマたん…。
そして誰もいない。>>129の続きを投下するなら今のうちだわさ…。


「だあッ!!!!!!!!!!!!!!!!」

 ドゴッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

「がはッ!?」

 真っ赤に燃えるカイトの拳が、王を守る闇のオーラを突き破り、叩く! 叩く! 叩く!
「今のはレイチェルの分…そして次は…!」

 バキィッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

「ぎッ…ィ…ぁ…!?」
「寺島さんのぶんだッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 炎のオーラを纏ったカイトの超速のキックが王を捉え、蹴る! 蹴る! 蹴る!

「ばッ…馬鹿な! こんな、こんなコトがあってたまるかッ!
僕がやられるはずがないんだ…僕は王様なんだから…やられるはずなんかぁッ!!!!!!!!!!」
 王も負けじと応戦するも、紅衣体(クリムゾンフォーム)へフォームチェンジした
カイトの攻撃をただただ受けるばかりであった。ガードが間に合わない。
 否、ガードしてもそれを突き破っての攻撃。パンチ、キック、そして斬撃。

「まだだ…まだ終わってないッ!!!!!!」
 大きく振りかぶり、2本の双剣を融合、1本にして飛び掛るカイトが叫ぶ!
142黄昏の…:04/06/12 21:38 ID:cswY5K86
「晶良は…もっと痛かったんだッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 ズシャッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 紅蓮の炎を帯びた剣が王を切り裂き、その傷口から大量のデータが流れる。
血の代わりにデータ…それが、彼がウィルスバグ達の王たる証。
 だがその手下であるウィルスバグ達は固唾を呑んで見守るしかなかった。
今のカイトに触れようものなら、一瞬で消滅してしまうだろう。
それ程に、彼が身体から発する炎にオーラは強力だった。まさに炎の戦士。 

「くッ、いい気になるなよ兄弟…ッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 今度は両腕に奥義暗黒吸魂輪掌波を発動、カイトに向けて放つ王! だが…。

「はあッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 カッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

「なッ…気合だけでかき消しただとッ!?」
 カイトには全く効いていない。そして気づけなかった。彼が爆風に紛れて
自分の背後に回っていたことに。彼の拳が自らの腹部を貫いたことに…!!!!!!!
「ぐ…ぉ…お…ッ!?」
「みんなの痛み…思い知れッ!」

 堪らず、カイトから離れる王。凄まじい威力だった。腹の底から、何かが
這い出してくる様な…そんな感覚さえ覚える。痛い。痛い。痛い。こんなはずじゃない。
「おッ…おおぅ…おぉぉ……げはッ!!! ま、まさか…ダ、ダメだ…ッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 腹を押さえていた王が、今度は口を押さえた。まるで何か吐き出すのを我慢するかの如く…!
「ね、ねえさッ…おッ…おおッ!?」
143黄昏の…:04/06/12 21:39 ID:cswY5K86
「な、何…!? アイツ、何か吐き出したわよッ!?」
「あれは…アウラッ!? アウラを吐き出したのか!?」
 これには優勢なはずのカイト、そして呆然としていたブラックローズも驚いた。
王が、アウラを吐き出したのである。それに伴い、王の身体も変異を起こす。
 元々、アウラを媒体とすることで自己の欠陥を補っていたのである。
その彼女を吐き出した今、彼には今までの様なパワーはもう…。

「ヤ、奴の攻撃で姉さんを…なら、もう一度吸収さえすれば…ッ!!!!!!!!!!!」
 再びアウラを吸収せんと、王は震える足で歩む。だがしかし…。

「キ ミ は も う 、 王 た る 資 格 す ら な い 」

「!?」
 背後から響く声。カイトとブラックローズも聞き逃さなかった。
 コロシアム内に響くウィルスバグ達の歓声。そして巨大液晶ボードに映る、
肉球とエノコログサをあしらったかの様な、印象的なマーク。
 王は歩みを続けようとするが、次の瞬間…。

「安心して。キミの理想はボクが継ぐから」

 パァンッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

「きゃあッ!?」
「なッ…!?」
 思わず、ブラックローズはHMDを手で覆った。カイトは、コントローラーを持つ手が震えた。
王が、今まで戦っていた王が、その身体を腹から上下に切り裂かれたのだから!

「下克上ってヤツさ…じゃ、これからはボクが王様だね」

 2人の前に現れた、その姿。忘れもしない。今までどこに居たのかも判らなかったアイツ。
神出鬼没、クビア誕生と同時期におかしくなり、以来その行方を眩ませていたアイツが…!
144黄昏の…:04/06/12 21:40 ID:cswY5K86
「やぁ、久しぶり」
 
 やけにフレンドリーな態度。だがその禍々しいオーラは何とも言えない。
彼(彼女か?)が一歩足を踏み出すごとに、局地地震が起こったかの様な感覚に陥る。
 だがウィルスバグ達の歓声は止まない。何故なら、新たな王が誕生したのだから!

「ア、アンタは…!」
「…ミア!」

 紫色の毛、ツンと伸びた耳、針の如く鋭い眼、そしてピョコピョコと動く尻尾。
間違いない。どうしてエルクがブラックローズを襲ったのかも、これで判った。

「フーン、キミ…また強くなったね」
 カイトの身体の周りで蠢く炎のオーラを見て、ミアがクスクスと笑う。
本来ならば、近づいただけでも消滅してしまうオーラ…だがミアは気にもせず接近する。

「やっぱりキミ、面白いよ。今すぐにでも…壊したくなる程にねぇ」
「ッ!?」 
 ミアが剣を引き抜くと同時に、凄まじいオーラが噴出した。
王の時も凄まじかったが、今度はもうその比ではない。一体どうやってここまでの
力を手に入れたのか…謎だ。あまりに謎すぎる。ただ理解できるのは…。

「実はね、ボクも強くなったんだよ。判る? ボクのパワー?」

 割れた口元が緩む。全身で感じる…このピリピリとした空気。
王をも超越した戦士が今まさに、カイト達の前に立ちはだかったのである…!
145黄昏の…:04/06/12 21:43 ID:cswY5K86
ミアのキャラが違う、とか
マハはどうなったんじゃい、とか
聞こえてきそうだわさ…超設定ってことで勘弁して。
八相のマハは欠番って方針で。うーん、また本編と設定が…。
146名無しさん@ピンキー:04/06/13 01:36 ID:vQVlUTEe
細かい事は気にしない、気にしない

147名無しさん@ピンキー:04/06/13 01:36 ID:Ge3Rzjc4
>>黄昏氏
またまた乙です。今後も頑張ってくだつぁい。
>彼(彼女か?)
銀漢の再来。・゚・つД`)・゚・。
148名無しさん@ピンキー:04/06/13 13:32 ID:Ndato3Bw
>>
板違いもほどほどにしとけよ
ここはエロパロなんだよボケ
149名無しさん@ピンキー:04/06/13 22:29 ID:hlaY+OqJ
21歳以上の大人は以後、何事もなかったかの様にスルー。
そろそろ夏休みかぁ。
150名無しさん@ピンキー:04/06/14 04:22 ID:muheLiBy
エロorパロならOKかと。
151名無しさん@ピンキー:04/06/14 19:35 ID:j/HyaKqD
人大杉で全然カキコできないと思ってたら、いつの間にか直ってたし。

>>黄昏氏
お疲れです!やっぱスゴイ…。
続き、めっちゃ楽しみにしてます。
余談ですが、ずっと前から気になってたその口調はビ○ケ…?w
152名無しさん@ピンキー:04/06/17 02:07 ID:c2KYVTxn
「ただいまっ!」
 ひと月前に引っ越したマンションのドアが勢いよく開く。息を弾ませて、彼が帰ってきた。
「おかえり。出張、お疲れさま」
「うん。ただいま、晶良」
 あわただしく靴を脱ぎ、両手のバッグと背中のザックを床に置く彼。目と目が合う。抱きしめられる。
「んん、ちょっ…と、待っ…」
 晶良が言い終える前に唇が重なる。待ちきれない、そんな感じの熱いキス。
「あぁっ、んふぅ」
 漏らした吐息ごと強く吸われる。すぐに舌が入ってきて獲物を探すように口の中をまさぐる。その動きに応じるように晶良の舌が迎え、ねっとりと絡みつく。互いの唾液を吸いあう2人。
 たっぷりと時間をかけて久しぶりの熱いキスを楽しむと、ちょっと落ち着いた。晶良の様子を観察する。頬が薄桃色に染まり上気している。彼女もこの時を待っていたのだ。
 晶良は半分だけ目を開けている。しかし、その焦点は定まっておらず、何かを見ているようには思えない。
(ファーストキスから変わらないなぁ。中3の夏休みだったから、もう8年になるんだなぁ)
 8年前、抱き締めると晶良の顔は目の前にあった。今、晶良は背伸びをしている。時間の経過と自分の成長を感じる。
 唇を軽く噛んだり舌をチロチロ這わせたり、ゆっくりとしたキスに移行。「後のこと」を想像しながら唇を堪能する。2つ年上の姉さん女房だが、エッチでは主導権を委ねてくれるから、可愛くてしようがない。
 唐突に体が離れる。
「ねぇ…、お腹に当たってるんだけど…」
「えっ…と。あは、我慢…できなくなっちゃった…」
「もぉ〜、しようがないなぁ。もう少しで夕飯の仕度がすむのにぃ〜」
153名無しさん@ピンキー:04/06/17 15:20 ID:Cph+Oe6M
>>152
.hackネタ?
154名無しさん@ピンキー:04/06/17 18:10 ID:pxwkIK8O
晶良=ブラックローズの本名。
155名無しさん@ピンキー:04/06/17 21:18 ID:WwHPY7w+
>>152
来たー!
続き、かなり楽しみです。頑張って下さい!
156名無しさん@ピンキー:04/06/18 01:14 ID:4pAjkZPe
>>152の続き。

 続きをしてもらいたいような、そうでもないような微妙な態度。でも、黒目がちな大きな瞳に戻ってる…。
「お風呂、沸かしといたから。汗、流してきたら。それにヒゲも剃ったほうがいいわよ」
「…ふぁ〜い」
 いきなり現実に引き戻される。といったって、あきらめの悪いムスコは屹立したまま無意味にGパンを押し広げている。追い打ちをかけるように晶良の声が飛んでくる。
「出張の着替え、洗濯機に放り込んでスイッチ入れといてね〜」
(せっかくヤル気満々でかえってきたのにぃ。奥さん、それはないんじゃない!?)
 ふくれっ面をしながらも、言われたことをきっちり済ますあたりが、年下の弱みというか、律儀な性格というか。
(夜までオアズケかぁ、ちぇえ〜)
 のろのろと服を脱ぎ風呂場のドアに手をかけると、
「ゆっくり入んなさいよぉ。私もすぐに入るから」
 パっと表情が明るくなる。晶良が見たら惚れ直すこと間違いなしの笑顔が弾ける。
「うんっ。は、はやく、ね!」
 そうとわかれば焦らなくてもいい。ムスコは天を仰いだままだけど。
 ♪せ〜んのよるぅをけせぇないぃでぇ〜、なんぞと鼻歌まじりにヒゲを剃る。一度、湯船に浸かってから髪を洗っていると、
「お・ま・た・せぇ」
 と艶っぽい声に照れをまじえて、晶良がドアを開け入ってきた。恥ずかしげに前はタオルで隠している。いまさら…とも思うが、こういう恥じらいをなくさないのが晶良の魅力でもある。
157名無しさん@ピンキー:04/06/18 03:45 ID:i8Bt8Zlz
>>156
キターーーーーー!
リアル カイト×ブラックローズ!
萌え萌えだ!続き愉しみにしてまつ!
158名無しさん@ピンキー:04/06/18 18:50 ID:C1VW239T
>>156
家ではブラックローズと、
会社でガルデニアやなつめと不倫、
取引先で寺島と不倫、
みたいなかんじに想像してたら抜けますた
159名無しさん@ピンキー:04/06/19 00:37 ID:BP4o+lxK
>>156の続き。

「ちょっと、ごめ〜ん」
 横に割り込んできてシャワーを取ろうと手を伸ばす晶良。シャンプーしながら横目を走らせたのがまずかった。
「ててっ、しみたぁ」
「もぉ〜、何やってんだか。待ってて。今、流してあげる」
 自分の腕にシャワーをあてて温度を確かめ、閉じた右目に向けてお湯をかけてくれる。
「熱くない? 頭にもかけるよ」
「ん。お願い」
 シャンプーの泡が消え、流れ落ちる湯が心地よい。
「じゃ、背中、流してあげる」
「背中、だけ?」
「! ヴァカもの〜」
 鏡に映った晶良は顔を赤らめながらも耳元に唇を近づけ、
「ちゃんと洗ってあげるわよ、前も…」
「わ〜い」
 ペシっと頭をたたかれる。
(う、調子に乗りすぎたかな)
 晶良はスポンジを手に取るとボディソープをかけて泡立て、首から肩、背中、腰と丁寧に洗ってくれる。
「はい、立って」
 いきなり180度ターンしてみる。
「わぁ〜。元気ねぇ〜」
 上目づかいに目を合わせて微笑む晶良。
「でもね。ここは、あ・と・で」
 子供に諭すように言い、おもむろに頬をそれに寄せて軽く音をたててキスをする。
 しびれるような快感が脳髄に走る。が、
160名無しさん@ピンキー:04/06/19 01:43 ID:bDjFfeXe
>>158
不倫はよくありません《 ゚Д゚》<ゴラァァァァアア!!!!!!!!

>>159
神、歓迎降臨!
萌え萌えです。こういうの好きです。マターリしてて…
これからもどうぞガンガッテクラサイ(・∀・)イイ!!
161名無しさん@ピンキー:04/06/19 19:22 ID:/7ahM6mq
エルクは非処女だったんだよ!!!
162名無しさん@ピンキー:04/06/19 22:09 ID:bDjFfeXe
>>161
Σ(FΔF)Z な、なんですとぉぉぉ!? 相手はやはりミア?それとも大穴でカイト…?
163黄昏の…:04/06/19 23:16 ID:VVdx/n9P
>>151
「何かこう、燃える展開なバトル書きたいナ」
とか思って参考資料漁ってたら、いつの間にかハンタ
ばっか参考にしてた罠。
戦闘中の効果音とか技名とかフォーム名もハンタの影響強いかも。
口調は見逃してほしいわさ…と思ったら
大作キテル━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(   ゚)━(  )━(゚   )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!
みんな.hackが大好きなのね。続きを激しく希望。

>>161
ウェエエ!? エルクって女性だったんディスカッ!?
あたしゃ男前提でSS書いてもうた…。
司といい、あの呪文使いのPCは女の子に人気あるのね。
164名無しさん@ピンキー:04/06/19 23:35 ID:BP4o+lxK
>>159の続き。

「はい、後ろ向いて!」
 …素直に従う。右足、左足、お尻、ゆっくり洗ってくれる。
 いつの間にか、晶良の左手が前に回っている。人差し指と中指の間にそれを挟み、しごいている。
「ねぇ、…こっち向いて座って。私も…洗って…」
 モノをいじっているうちに晶良も興奮してきたみたいだ。スポンジをひったくるように奪って、首筋に押し当てる。
「やさしく、ね?」
「ん。じゃあ、スポンジはいらないや」
 両手にシャボンをいっぱいつけて胸にあてがう。大きくなく、それでいて小さくもない、手にすっぽり収まる、ちょうどいい膨らみの晶良のおっぱい。右手でゆっくり押し上げるように揉みしだく。押し戻してくる弾力がこたえられない。
「んふぅ、あ、あぁん」
(かわいい声。ずっと聞いていたい…、だから、頑張っちゃお!)
 シャボンにまみれて今は見えない突起をつまむ。指の力に強弱をつけて弄び、硬くしこった乳首を人差し指の腹で撫で上げ、晶良に"音色"を奏でさせる。
「あ…ん、はう、うぅ〜ん、くふぅ、あっ、あ、あ〜」
 同時に左手で脇をまさぐりつつ、ほんの少し力を入れて引き寄せ、唇を吸う。
(もっと声を聞いていたいのに、キスしちゃだめじゃん)
 だけど、晶良が離してくれない。先に舌を入れてきたのは晶良だ。
 ぴちゃ。ぺちゃ。じゅる。…浴室ならではのエコーが淫靡な響きを増幅する。自分も晶良も夢中でディープキスを続ける。ふと力が抜け、どちらともなく唇を離す。ツーっと伸びた唾液が夕方の優しい日差しにキラキラしている。
「好き」
 晶良がつぶやく。それには答えず軽くキス。
「ぼくも。愛してるよ、晶良」
165名無しさん@ピンキー:04/06/20 00:21 ID:GcLVmsSN
>>162
君は一つ勘違いをしている!!!
本命がカイトで対抗がミア、大穴が悪いお兄さん達。

>>黄昏さん
エルクきゅんのエロエロSSが読みたいです。
貴方なら書けますよ!!!だって救世主なんだから!!!

166名無しさん@ピンキー:04/06/20 01:20 ID:N/wjdy4o
>>163
エルクはリアルでもネットでも男だよ。
ちなみにリアルでは中学生。
167名無しさん@ピンキー:04/06/20 04:14 ID:qOwh2xQy
>>159
うーむ、若夫婦というかバカ夫婦というか…GJ!
168名無しさん@ピンキー:04/06/20 04:14 ID:qOwh2xQy
あ、>>164ですた。

169名無しさん@ピンキー:04/06/20 23:47 ID:UILMnh6b
>>164の続き。

「…して、あげる…」
 晶良はシャワーを手に取ると体、とくに股間の泡をよく流してから
「湯船のとこに座って」
 軽く広げた足の間に体を滑り込ませる晶良。口を大きく開き(それでも怒張したムスコよりも小さいが)、横顔を見せつつ唇を寄せる。まず亀頭に舌を這わせていく。晶良の唾液でてらてらと光るそれ。唇が押し当てられたかと思うと、少しずつ呑み込まれていく。
「んぐぅ」
 少し苦しげに眉をひそめる晶良。大丈夫? と声をかける余裕は、もうない。ただただ快感に身を委ねる。苦しげな表情もまた、そそるのだ。
 鈴口をチロチロと舌の先がくすぐる。と、晶良の頭が前後にストロークを始める。
 ちゅぱっ、ずっ…。
「はっ、はぁっ、はっ、…はぅ」
 今度はこっちが声を出す番だ。晶良のフェラチオはそんなにうまくない、と思う(だって、"そんなに"経験ないし。それともムスコが大きいからやりにくいのか?)。でも、ぎこちなさがいい。
 一度、口からはずし、裏スジを下から嘗め上げる。キスの時と同じ半目のままの晶良と目が合うが、何かが見えているふうではない。その行為に没頭している。時折ちゅっ、ちゅっと音をたてるのが、いやらしい。
「あっ、あの、晶…良さ、ん」
 とても長く感じられた数秒が過ぎ、脈打つムスコを弄んでいた晶良が、ようやく欲望の終着点を意識してくれる。それでも焦点の戻った目からは怪しい光が放たれ、なおも唇と舌の動きを止めようとはしない。
「どうしたの? どうしたいの?」
170名無しさん@ピンキー:04/06/22 01:02 ID:Bp8PUK/K
>>169の続き。


「晶…良の…、晶良の、ね。口の中に出したい…」
「んん〜っ。ぅぃぉ」
 再びくわえていた晶良が答える。
「えっ? わかんないよ」
 わざととぼけてみる。晶良は恥ずかしげに視線を上に向け、
「い…いいよ…」
「ん。いいんだね! じゃあさ。あの…、腕、縛らせてもらっていいかな」
「えっ?」
 答えるが早いか、晶良の両腕は背中のところで合わされ、タオルを巻きつけられていた。
「こういうの、してみたかったんだ」
 人差し指で晶良のあごを持ち上げて、誰に言うでもなくつぶやく。
「え、えっ、ちょっ…」
「さあ」
 急かすようにムスコを晶良の唇に押し当て、そのまま挿入していく。晶良の唇が中に巻き込まれていく。逃げようにも、頭はしっかり両の手の固定されている。
「ぅんっ、んぐぅ、んっはぁ」
 不意をつかれて戸惑う晶良の口を遠慮なしに犯していく。抽送するピッチが次第に早まっていく。
「! あぉ、あっ!」
 喉の奥深くまで突き入れ、溜まりに溜まった欲望を一気に噴出させる。熱いほとばしりが晶良の喉にぶつかる。
「ん! ぅふ〜ぅ」
 むせるのをこらえる晶良。一度腰を引き、今度は晶良の頭をぐっと引き寄せ第2射を放つ。出張から1週間ぶりに帰ってきただけに量は多く、たまらず晶良の口の端からこぼれ出す。
 ふぅ〜と息を吐きつつ、ゆっくりと突き上げ第3射。絶妙のタイミングで晶良が吸い出してくれる。

171名無しさん@ピンキー:04/06/23 01:45 ID:qTFpDUbh
>>170の続き。 

 口の中をかき回すように腰を動かして余韻を楽しむ。ゆっくりと引き抜くと、精液と唾液が交じり合ったアーチがかかる。晶良の口の端からつーっと一筋、精液がたれてポタっと音をたてた。
 晶良は少し上を向き、目を閉じてこくっとそれを飲み下した。
「すごくよかったよ。晶良」
 耳元でささやいて腕のタオルを素早くほどく。すぐにシャワーを出して、汚れた口を洗い流す。
「はい、あ〜ん」
 黙って従う晶良。放心したように、その表情はうつろだ。
(ちょっと刺激が強すぎちゃったかな…)
「…ねぇ、キスして」
 晶良におねだりされて唇を重ねる。
「ん? おわっ、ご…くっ」
 晶良の目がいたずらっぽく光る。舌の裏にでも隠していたのだろう、自分の出した精液を飲まされてしまった。テニスで鍛えた両手が首に巻きつけられ、抵抗するが逃げられない。泣きたい気持ちで舌を絡める。
(うえ〜、こんなの、よく飲めるよ。オンナって偉大だぁ)
 ようやく唇が離れ、腕の力も弱まって、二人は真正面から向き合う。
「どぉ? おいしいでしょ?」
「ははっ。これからも、よろしく!」
「つらい、んだからね。わかるでしょ?」
「ん。でも、ね。いいんだ! とっても」
「んっもう! きょうは特別だかんね」
「愛してるよ、奥さん」
「…ばか」
172名無しさん@ピンキー:04/06/23 16:12 ID:pBxN1Jem
イマラチ入って、何気にお返し。らしくてよろしおます。
173名無しさん@ピンキー:04/06/24 00:36 ID:HvfryxBo
>>171の続き。

「いっただっきま〜す!」
 テーブルに盛り付けられたご馳走に舌鼓を打つ。ニンニクが利いた料理が多いのは気のせいか。
「でもさぁ、アンタの会社って、ひっどいよねぇ〜」
「ん〜、そうだね。でも、新人で新婚じゃ文句言えないよぉ〜」
「だっけどさぁ〜、結婚式の翌週に出張って、なによ、それ〜」
「仕方ないよ」
「いっくら、こんな若くてかわいいお嫁さん、もらったからってねぇ〜」
 無意識に右手がショートカット・キーの(笑)を押している。
「ん〜? なによ、その右手?」
「えっ!…と、んとね、なんでもないよ…」
「…あ〜っ、わかった! アンタ得意の『(笑)』でしょ〜っ。失礼しちゃうなぁ。そりゃあ『ザ・ワールド』じゃ、いちいちそんなのするのって、律儀だなって思ってたけどさ」
「………」
「てんてんてん、じゃないっちゅーの!」
「あはっ。でもね、人手不足なんだよ、うちの会社。それに妻帯者いないし」
「そ〜だよねぇ。普通、ダンナさんの上司に仲人って頼むじゃん。なのに私たちってば、『ザ・ワールド』関連だもん」
「まぁ、いいんじゃない。それよりさ、料理の腕、上がったよね」
「えっえっ、そうかな? そう言ってくれると、うれしいな」
「ほんと、ほんと。最初に食べさせてくれた…」
「スト〜ップ。…あのころは…。もぉ〜、思い出させないでよ〜」
「あはっ」
「あっ、あのさぁ。九州はどぉだった?」
「うん。それがさぁ、大変だったんだよ〜」
174名無しさん@ピンキー:04/06/25 00:06 ID:XnLEnYeP
>>173の続き。

 2019年6月9日、日曜日、大安。梅雨入り直後とは思えない、すっきりと晴れ渡った初夏の一日。
 この日、2人は8年という長い恋人期間に終止符を打ち、晴れて夫婦になった。社会人1年生、とてもじゃないが生活は楽であるはずがない。それでも待ちきれなかったし、これ以上待たせたくなかった。
 と、カッコつけてはみたものの、式に臨むにあたって破滅的なスケジュールをこなしたものだから、後悔しなかったといえばウソになる。披露宴までは緊張感が残っていたものの、2次会でダウン寸前。
 トドメの一撃となったのは、親友ヤスヒコと義弟の文和くんが演じた『イシキフメーズの結婚はオレたちのおかげ!』とかいう漫才だ。笑い過ぎて、残っていたHPが瀕死のところまで削り取られてしまった。
 式を挙げたホテルのスゥイートルーム。お姫さま抱っこで晶良をベットまで運びキスをした…ら、眠っていた。新婚初夜も何もあったもんじゃない。翌朝の晶良の機嫌の悪いことといったら。
 謝り、なだめ、すかし、褒めあげ、いろんな約束をさせられ…。ルームサービスの朝食の後、SPのすべてを使って晶良を何度も絶頂にいざない、やっとのことで大好きな笑顔を見ることができたのだ。
 水曜日までホテルで甘い時間をすごして帰宅。翌木曜日にはもう出社だ。なにせ土曜日には九州出張が待っている。金曜日は終電で帰って、自宅で資料整理。SEXもしないで、ほとんど寝ずに荷物をまとめ、15日早朝に出発、帰ってきたのは22日だ。
(う〜、何日してないんだろう)
 健全な若い男が10日間も禁欲すれば、ケダモノになるのも仕方がないではないか。風呂あがりのビールを飲みながら、自分のしたことを正当化してみる。
(でもまあ、晶良、飲んでくれたから。あ〜、すっごくよかったぁ)
 そんな思いはおくびも出さず、食事の会話を楽しむ。
「ぴろしさんにも会ったんでしょ?」
 無邪気に晶良が聞いてくる。"あの"事件が解決した直後、CC社の九州支社に左遷…、いや異動した重斧使い。九州出身だから故郷に錦を飾るのだ、と強がっていたぴろしさん。
「着いた日の夜に会ったよ…。うん、死ぬかと思った」
175名無しさん@ピンキー:04/06/25 23:36 ID:XnLEnYeP
>>174の続き。

「え〜っ、なんでよ〜?」
「フルコース、付き合わされた。あのテンションで…」
「ぷぷっ。わ〜、それは大変そうだ」
「おいしいものは食べに連れて行ってくれたんだ…」
「ふ〜ん。じゃあ、よかったじゃん」
「関アジ、馬刺し、地鶏…。でもさ! それって夜の12時過ぎなんだよ!! しかも、それからカラオケで演歌だのアニソン、たっぷり聞かされてさ」
「あははははっ、おっかしぃ〜。で、アンタはなんか歌ったの? SeeSowとか?」
「それが…、さ。1曲も歌ってないんだよ〜」
「なにそれぇ、じゃあ、ぴろしさんの独演会なわけぇ」
「そう…」
「じゃあ、さあ。あたしたち結婚したって、知ってた?」
「う〜ん。どうかなぁ。メールにはそう書いたし、読んでいるのは間違いないんだけど…」
「まぁ、ぴろしさんらしいっていえば、らしいけどねぇ」
「しかもさ、それから屋台でラーメン。ぎっとぎとのとんこつラーメン」
「あらら」
「いや、うまかった…と思うんだけどさ。朝の5時だったんだ…」
「ア、アンタ! 日曜日って休みだったっけ?」
「仕事。9時半から思いっきり仕事」
「どおりで、メールも携帯メールもこないわけだぁ」
 そう言って、目じりを下げてニコッと笑い、
「浮気、してたわけじゃなかったんだ〜」
176名無しさん@ピンキー:04/06/26 03:37 ID:z5Yvc9jD
>>175
まだまだ続くんだろうけど、GJ!
社会人一年生の悲哀とバカ夫婦ぶりの適度なミックスがよろしおます!
177名無しさん@ピンキー:04/06/26 23:39 ID:fGCWvK5k
>>175の続き。

「ひどいなぁ。ご主人さまが必死に働いてるのに」
 ふくれっ面して、にらんでみる。"お姉ちゃん気質"の晶良は、年下っぽい態度に弱いのだ。
「冗談よ、ジョ〜ダン」
 片目をつぶり、顔の前で手を合わせる晶良。だけど、もうしばらくスネたふりをしておこう。
「晶良だって、わかったはずだろ。浮気なんかしてないことくらい」
「? なんでよ。どうして私にそれがわかるっていうのよ?」
「さっき、お風呂で確かめてたじゃん」
「なっ! そんなの、わかんないわよ!」
 赤らめた頬がプっとふくらむ。そんな表情も愛しい。
(食後の会話は、もういい。晶良を味わいつくしたい…)
「ふふふっ、晶良はかわいいなぁ」
「なによぉ、年下のくせに…」
("あの"ときは年上なんて、吹っ飛ぶのに)。視線に力を入れ見つめ返す。
「な、なによぉ。…好きなんだから、しようがないじゃない…」
 ぷいっと横を向く晶良。そんな、恥ずかしげな仕草もたまらなく、かわいい。
「晶良もきょうは疲れてるよね。料理、頑張ってくれたもんね。後片付けはぼくがしとくから、さきに寝室で待ってて」
「えっ、いいよ。アタシがやるよ。アンタ、疲れてんでしょ?」
「だいじょぶ! だから。待ってて」
「…ん。…あした片付けるから…。それより、ね。早く、きて」
「わかってる。ぼくだって…」
「…何?」
「我慢できないよ!」
178名無しさん@ピンキー:04/06/27 22:44 ID:vXegClWa
>>177の続き。

 テーブルの上の油汚れした食器をシンクに運び、洗剤をかけて漬け置きする。そうでないものは水洗いして水切りに。ついでに、食器棚からワイングラスを2つ取り出す。さっとテーブルをふいて、きょうの仕事はおしまい。
 パジャマに着替え、鞄から小さいビニール袋を出す。中には5ミリほどの黒い錠剤が2つ。それを胸ポケットに入れる。晶良の好きな少し甘めの赤ワインを右手に、グラスを左手に持って、いざ寝室へ。
 ダブルベットの横に置いたソファで女性誌を読んでいる晶良。ペアのパジャマ姿だ。
「お待たせ」
「ううん。ありがとね」
「飲むでしょ?」
 と言ってワイングラスを渡す。ソファに並んで座り、コルクを抜く。半分ほど注ぎ、視線を絡ませつつグラスを軽くぶつけ、グラスを傾ける。一口飲んだだけで晶良の瞳は潤み、頬はほんのり赤く染まっている。
 ポケットのビニール袋を出し、錠剤を1つ飲み込む。もう1つは口に入れワインを含んで晶良に口移しで飲ませる。
「なに、これ?」
「寺島良子さんにもらったんだ。彼女、空港まで見送りにきてくれたんだよ。あっ、もちろん、だんなさんと一緒にね」
──寺島良子。『ザ・ワールド』で知り合った重斧使い。方向音痴で、無鉄砲で、世間知らずな、お嬢様。
晶良とは同志、というより恋敵。勝利したのは晶良だが。
 肉体関係は、なかった。そう、なかった。あれは、高校2年の冬休み、クリスマス。突然、彼女から「会いに行きます!」とメールが入り、羽田まで迎えに行った。初めて会うというのに、すぐにお互いを認識したっけ。叫ぶように発せられた彼女の第一声は、
「良子は、良子は! 結婚、します!」
 だった。

179名無しさん@ピンキー:04/06/28 00:38 ID:2rXaID3N
>>178の続き。

 詳しい話を到着ロビーで聞いている時間はなかった。すでに追っ手が放たれているのは間違いない。手に手を取り合っての恋の逃避行、といえば聞こえはいい(?)が、この時は何がなんだかわからなかった。
 モノレールで浜松町、そこから山手線に乗り有楽町へ。会話はほとんどない。彼女の東京での常宿、というインペリアルホテル。
「寺島様のお嬢様ではありませんか。よくぞ、おいでくださいました」
 古株のホテルマンの挨拶に、ふと我に返る。部屋はすぐに用意されたが、本能で身の危険を察知してラウンジに場所を移した。
「寺島さん、どうしたの? あのメール…」
「政略結婚、ですの。相手は地元のあまり大きくない商社の専務。2代目ですから、いずれは社長になる人なのですが…。45歳なんですよ! ひどい、でしょう? 良子はまだハタチだというのに…。ふた回りも上の殿方にオモチャにされてしまうのです」
「お、玩具って…。でもさ、人の幸せなんて、どこでどうなるか、だれにもわからないよ。…おめでとう! 良子さん、苗字が変わるんだね」
「えっ? 苗字は寺島、ですわ」
「???」
「だって、お婿さん、ですもの。お父様があの方の会社の危機を救ってあげるのですから」
「じゃ、良子さんが社長なわけ!?」
「そうですよ。当たり前じゃないですか」
 きょとんとする表情を見て、冷静に考える。
(う〜、寺島さんとどうにかなったとして、どうにかなるんだろうか、ぼく。何もしないというのは、う〜ん、もったいないほどの美人なんだけどなぁ)
 すでにオンナを知っている、そんな余裕が一瞬不埒な考えを起こさせたが…。ふぅ〜っと息を吐いて、意を決する。
(だけど、ぼくには速水晶良を裏切れない…)

180名無しさん@ピンキー:04/06/29 00:18 ID:5BsPzMTz
>>179の続き。

 意を決して、
「良子さん、よく聞いて。ぼくには」
 そのとき、背後から
「良子。帰るぞ」
 落ち着いた口調が、かえって迫力を醸し出している。
「お父様! どうしてここが…」
「大切な娘だ。良子のことなら何でもわかる」
 恐る恐る振り返る。背は低いが、がっしりとした体躯の紳士が立っている。その背後にはサングラスをした黒ずくめの大男が2人。
「きみが、良子の話していた…」
「お父様、お願いです。せめて、きょう一日、見逃してください」
「ダメだ」
 低い声でぴしゃりと言いきる。と、周りを見回し、
「ここでは他のお客様の迷惑になる。良子。部屋はとってあるんだろう。そこに行こう」
「はい…」
 もともと白い良子の顔が、透けてしまいそうなくらい蒼白になっている。
(じゃあ、ぼくはこれで失礼…できるわけないよなぁ)
 案内されたのは最上階。
「スゥイートか…。まあ、良子らしいが。さて、良子から話は聞いたと思うが…」
 広すぎて落ち着かないその部屋で、最初に口を開いたのは良子の父だった。
「お父様。良子は観念いたしました。でも、5分だけ2人きりにしてください」
「3分。5分といえば10分かかる。3分のつもりで5分なら上等」
181名無しさん@ピンキー:04/06/29 00:49 ID:5BsPzMTz
>>180の続き。

「…さきほど、言いかけたのは…」
 許された3分の半分がすでに過ぎている。重い沈黙に耐えかねて口を開いたのは良子のほうだった。
「うん…。ぼくには、心に決めた人がいる、んだ」
「それは…」
「良子さんも知っている人。リアルではそうじゃないけど、ね」
「では…、あなたと仲が良い…」
「そう」
「オルカ、さん?」
 ズルっ! 思わず椅子からズリ落ちそうになる。
「ち、違うよ。ヤスヒコは…、オルカは男だよ」
「あらっ。し、失礼しました。…それでは、ヘルバさん?」
 再びズルっ。
「違う、違うよ。あの、その…ブラックローズ、だよ。リアルの名前は、晶良。ぼくにとって、一番大切な存在」
「あっ! そ、そうだったんですか…。『激怒する 合わせ鏡の 聖女』で、妙に私に突っかかってくるので、なにかおかしいとは感じていたのですが、…そんな…そんな…」
「ごめん」
 そこでドアが開き、重い声が響く。
「時間だ、良子」
「はい…」
 うちひしがれている良子。
「帰る前に。そちらの男性と、サシで話がしたい」
 目がすぅっと細まり、鋭い光が放たれる。
182名無しさん@ピンキー:04/06/29 02:03 ID:5BsPzMTz
>>181の続き。

「なんですか?」
「単刀直入に聞こう。良子に…、何か、したか」
「いえ。良子さんと会うのは、きょうが初めてです。…会って、どのくらいの時間を過ごしたかは、ご承知でしょう?」
「うわぁっはっはっは。うむ。さすが、良子が夢中になるだけのことはある。ああ見えて、良子は…。うおっほん。これ以上は親馬鹿、だな」
「そんなこと。良子さんは、とてもいいお嬢さんです。ゲームのなかだけだけど、ぼくにはよくわかってます。…お願いです。良子さんを悲しませないでください」
「そうは言うが、良子を泣かせたのはキミだろう? ほんとうなら、それだけで…」
「すみません。でも、自分にウソをつくわけにはいきません!」
「わかっておる…。わかっておるよ。だからこそ良子が惚れたのだろう。だが、あきらめてもらうしかない」
「ひどい、ですね」
「キミには言われたくないが…。まっすぐなんだね、キミは。だから…」
 信じられない光景が目の前に広がる。良子の父が頭を下げている。
「良子のことを好いてくれるなら、頼む。悪役を引き受けてくれんか」
「…わかっています…」
 内ポケットからブ厚い封筒が取り出され、目の前にさし出される。
「何ですか、これ?」
「謝礼だ。手切れ金、込みのな。黙って受け取ってもらいたい」
「…これで、良子さんとは縁を切れ、と?」
「いや。むしろ、これからも友達でいてやってくれぬか」
「こんなもの、もらわなくたって、ぼくたちは友達ですよ」
「そう言ってくれるキミだからこそ、もらってほしい」
183名無しさん@ピンキー:04/06/29 23:59 ID:5BsPzMTz
>>182の続き。

 以後、寺島良子とは友達として付き合うようになった。晶良を連れて九州に遊びに行った際、紹介もした。ぼくたちの結婚式には香港出張があったため出席できなかったが、昨日お祝いをわざわざもってきてくれたのだ。そのひとつがいま飲んだ怪しげな薬だ。
「ふ〜ん。これ、変な薬じゃないよねぇ?」
「うん。良子さんも夫婦そろって飲んでいるって言ってた。『とても"いい"お薬ですわよ。気持ちが良くなるんですよ。出張から帰られたら、晶良さんとお試しになって』だって」
「なんか…、怪しいわね」
 晶良の空のグラスにワインを差し出すと、ふるふると顔を横に振る。
「口移しで…飲ませてぇ」
(晶良のこんな甘い声、聞いたことあったっけ…。薬が効いてるのかな?)
 ボトルのまま口に含み、唇を合わせてワインをゆっくりと流し込む。コクリと飲む晶良。互いの舌、口内のワインを嘗めとるようにディープキス。唇を離し、互いの舌を中空で絡ませる。"お帰りなさい"のときとは違う、前戯としてのキス。
「ぼくの晶良。かわいいよ。愛してる」
 耳元でささやき、柔らかな耳たぶを唇ではさむと、
「あっ…、弱いの、耳」
「…そお、だったね。じゃあ、これは…」
 舌をチロチロと動かしながら、暑い息をふっと吹きかける。
「あ、あん。感じるよぉ」
 唇の愛撫を首筋に落とす。唇で軽く噛むようにしながら、舌の先で探るようにつつく。
 強く吸ってキスマークをつけ、怒られたのはいつのことだったろう。翌日、首に包帯を巻いた姿を見て吹き出して、また怒られたっけ。
 思い出は一瞬で消え、晶良を快楽の淵へと追い込むことに没頭する。
184名無しさん@ピンキー:04/07/01 00:11 ID:cEhRlIwY
>>183の続き。

 パジャマのボタンをはずし、右手で素肌の肩をなでる。同時に左手を晶良の背中に回してブラのホックを器用にはずす。押さえられていた胸が開放される。
「はぁ〜」
 吐息を漏らす晶良。右手をブラの下に潜りこませる。やさしく掌で触れるだけの愛撫。汗で少し湿った掌に乳首が引っかかる。
「あっ…、あっ」
 掌で円を描くと、切なげな声は徐々に切実さを増していく。パジャマの上着を脱がせ、ブラをとりさる。
 まだリアルで会ってもいなかった時期、『抵抗が少ないから?』なんて軽口をメールした"1Cのマーメイド"の胸。それは前影投影面積ではなくて、"形状"の問題だと思い知らされた初体験の日…。
 晶良の両手をソファの背もたれの後ろにまわす。いやがる素振りはまったくない。無防備な胸を前にごくりとつばを飲み込む。興奮を抑えるようにゆっくりとフローリングの床にひざまずき、そっと右の乳首を噛む。
「っ! あーっ、あっ、あ〜ん」
 ビクンと体を震わせ、一段高い声で晶良があえぐ。その声がさらに興奮を増す。
 ぴちゃ、ぴちゃっと音をさせて乳首を吸いながら、右手も遊ばせない。感度の違いか、晶良の乳首は左のほうがすぐに硬くとがる。だから、より強い刺激を与えられる口を使って右をいじめる。
 右手は少し力を込めて乳房を揉みしだいてみる。不意をついて指で乳首をつまみ、いちいち反応する晶良を楽しむ。
「あん…、あ、ん…。ねぇ、反対も吸って…噛んで…」
 無言でリクエストに答える。両方の乳首がこれ以上ないほど硬くとがったのを見てとり、舌で感じ取って、再びキス。舌を絡ませたまま抱き上げる。
185名無しさん@ピンキー:04/07/01 23:57 ID:cEhRlIwY
>>184の続き。

 ワインのせいか、疲れのせいか、ほんの少しよろける。夫の変調を敏感に察し、心配そうに
「だいじょぉぶ?」
 と聞いてくる晶良。ちょっといじわるしてみる。
「疲れてる、って言ったら眠らせてくれる?」
「やぁ!」
 すがるような目、かすれた声で訴え、しがみついてくる晶良。
「う・そ」
「…抱いて」
 晶良をベッドに運ぶ。自分のパジャマを素早く脱ごうとするが、ムスコがつっぱらかってパンツを下ろすのに手間取ってしまう。脱いだものをソファに放り投げ、晶良に挑みかかる。
 やさしく抱擁し、閉じたまぶたに軽くキス。おでこ、ほっぺと唇を這わせ唇を吸う。首筋から鎖骨をねぶりながら、下のパジャマをすっと脱がす。左手の指を晶良の右手の指に絡ませ、自分の右手はウエストから太ももにかけて撫でまわす。
 晶良の体は、さすがにテニスで鍛えているだけあって、無駄な脂肪はついていない。肌のつやと張り、そして弾力は、それだけで夢中になれるほど魅力的だ。
 最初に抱いたとき、まだ少女の体だった。それが、いまやすっかり大人の"いやらしい"体に成長している。その間の変化はつぶさに見てきた。ある意味、自分がその変化を促していったわけだが…。
 晶良は、男は自分しか知らない。本人がそう言っているし、その言葉にウソはない、と信じられる。年下の…というより男のわがままな要求にも、よくこたえてくれる。そうして、2人のSEXは愛の確認作業だけにとどまらず、快楽の追求へと変わってきている。
「あふっ、…んん、あっ…あっ」
 徐々に高まる晶良。パンティを脱がしにかかる。次の行為への期待で、晶良のあえぎ声はさらに大きくなっていく。
186夕暮れの代弁者:04/07/02 16:55 ID:EDfscPvE
カイ×ミス投下準備中
打つのが遅いからまってください;
187名無しさん@ピンキー:04/07/03 00:15 ID:0B9VxrXi
>>185の続き。

 脇腹を『ちゅっちゅっ』と音をたてて吸い、おへその周りにターゲットを移す。円を描くように舌を這わせる。
 晶良はじれったそうに両足が広げていく。動きやすくなったのをいいことに、太ももの内側を爪で軽く引っ掻いて刺激を与えてやる。
「いやらしいなぁ、晶良は。大事なところが丸見えだよ…。どうしてほしいの?」
「あ、あんっ。早く、お願いっ。さわって…、…なめて…」
 人差し指を割れ目にあてがう。くいっと指を曲げて一番敏感な突起、クリトリスを撫で上げる。
「ひぃっ! あぅっ、もっ…とぉ」
「こう…かな」
 こすりあげる。あえぎ声を大きくしながら、晶良は右手の二の腕を口にあてて声を抑えようとする。
「声、出していいんだよ、晶良。いい声、聞かせて」
 マンション選びの決め手となったのは、なんといっても寝室の防音だった。初めて、この部屋で交わったときの晶良の声といったら…。それまでのSEXでの控えめでおとなしい印象が、180度変わってしまったほどだった。
 目を開き、腕を下ろす晶良。にこっと微笑み、また目を閉じて快感に溺れていく。体をそらせ、シーツをぎゅっと握り…。
 こちらの指は休むことなく動き続け、晶良の最も敏感なところをこねている。体を移動させ、広げた晶良の足の間に入る。指の角度はきつくなり動きはスムーズではなくなるが、それがまたいいのか、晶良の発する声は大きさを増していく。
「あ! あふっ! いやっ、そ、こ…、あ〜っ」
 一度指をはずし、膝のあたりに手をやり一気に押し広げる。眼前に晶良の秘所が広がる。
「はぁ〜ん、やっあ〜っ。恥ずかしぃ、よぉ〜」
 かまわず、"そこ"にキスの雨を降らせる、微妙に急所をはずして…。晶良の上半身が激しく暴れる。晶良の腰にはがっしりと自分の指が食い込み、動きを制限している。
188夕暮れの代弁者:04/07/03 12:23 ID:ldSSj08z

「あ、そろそろ・・・」
「落ちる?」
偶然会ったミストラルと談笑を繰り返すうちにとうに時間が超過している事にカイトは気づいた。
「うん、じゃぁまた」
一瞬カイトの顔が歪み、ぶれる。・・・が
「・・れ?」
何故かログアウト出来なかった。
「どしたの?」
「・・ログアウト出来ない・・」
と、その時。
「あぁ、ここにいたんですか、ミストラルさん!?」
見知らぬ、行商人が二人の前に現れた。
「何ですか?」
「ご注文の・・・えっと・・・品物をお届けに参りました」
慌てているのか、なかなか品物が出てこない。小包がポんと手のひらに置かれた。
「意外と小さいんだね」
「まぁ、物が物ですから・・・にしても・・どうしてこんな・・」
行商人の質問の途中でミストラルが歯切れ悪く区切った。
「余計な検索はしないの。はいお代。10000GPだったよね?」
その金額の大きさにカイトがミストラルの手の上の箱に視線を送る。
「毎度です。今後ともごひいきを〜」
何度かお辞儀をしながら行商人はその場を去っていった。
「何、それ?」
「それは女のヒ・ミ・ツ♪」
何だかすごく脱力して、カイトは再度ログアウトを試みる・・が、結果は変わらない。
同じように歪み、ぶれ、そしてその場にとどまってしまう。
「データドレインの副作用・・?」
見ると、あちこち侵食されて自分の身体に怖気を覚えて、何度か身体が震えた。
「どうしよう・・・」

189夕暮れの代弁者:04/07/03 17:04 ID:ldSSj08z
どうしても.hackのエロパロ Vol.4が見れない
誰かどうやれば見れるか教えてーー。・゚・(ノД`)・゚・。
190名無しさん@ピンキー:04/07/03 22:28 ID:0B9VxrXi
>>187の続き。

 リズムを変えて攻める。今度はスローテンポ。中心に向かって舌を這わせ、"目的地"を目指す。そこに到達し、ひと呼吸おいて、
(さあ、仕上げにかかろう)
 割れ目を下から上にゆっくりと嘗めあげる。陰唇を舌で左右に押し広げるようにすると、そこは蜜であふれている。『ぴちゃ、ぴちゃっ』と音をたててすする。濡れた秘所をヒクつかせ、晶良が悶える。
 もう晶良のあえぎは声にならない。反らせた背中は布団から離れたままだ。とどめとばかりにクリトリスをアップテンポで攻める。舌を硬くしてツンっツンっとつついたかと思うと、唇ではさみつつ舌で嘗め、一気に絶頂に追い込んでいく。
 ぼくの頭を押さえ、髪をかきむしっていた晶良の手からすぅーと力が抜ける。
「…よかった?」
「…い、いっちゃった…。ね、ぇ、アタシにも、させて…」
 仰向けに寝て足を投げ出す。晶良がまたがってくる。
 つーっ、と晶良が舌を使う。2度、3度往復したかと思うと、手で起き上がらせて口に含む。舌を使おうとするが喉の奥にまで呑みこんでしまっては、うまく動かせない。その不器用な舌の動きもたまらない。ちょっとむせて口からはずし、
「ねぇ、突き上げたら、痛いよ」
「あっ、ごめん」
 また口に含む。今度はあまり深く入れず、カリのあたりを唇で刺激しつつ、先を舌でつついてくる。
「うっ、はっ。晶良、とても、いい」
 目の前にある晶良のキュートなお尻を引き下げ、濡れそぼった秘所に人指し指を入れる。ムスコが強烈に吸われる。
「んっ! んあっ、ん〜っ」
191名無しさん@ピンキー:04/07/04 02:12 ID:E64lBlNA
>>189
2chビュアーを入れれば見れるのでは?

>>190
乙カレー様です。萌え萌えなSSに毎晩楽しませてもらっています。
192薄明の新人作家:04/07/04 15:25 ID:GWVYszRU

 CC社の研究・開発部門にある一室。だれ呼ぶともなく「拷問部屋」と称されるその部屋には、3人の「獄卒」が住みついている。もっとも、そんな呼び名を社内で口にする愚か者はいないが。
 ドアを開けるとパーテーションが視界を遮る。配属されるとすぐ、そのようにレイアウトを変えた。室内に入りづらくするため、わざと、だ。
 部屋の奥の壁に向かってデスクが3つ、並べて置かれる。3人とも肩書きは「主任」なのだが、デスクの大きさは課長以上しか使えないサイズ。これ一つをとっても、噂話のネタに事欠かないことがわかろうというものだ。
「面白く、ない」
「ほんと。不愉快」
「さて、どうしたものか…」
 不機嫌、という言葉以外に形容しようがない口調。同い年、同期入社の3人。それぞれの家族と過ごした以上に3人でいる時間は長い。とくにここ数か月は「拷問部屋」にだれかしら泊まり込んでいる。
 のちに"黄昏"と呼ばれる事件。数人がザ・ワールドをプレイ中に意識不明に陥った忌まわしい出来事。原因究明もままならず、ましてや対策などたてようもなかった。実行部隊である碧衣の騎士団の騎士長、アルビレオが倒れ入院したことも社内の混乱に拍車をかけた。
 いきおい社員の焦りは、噂と陰口という攻撃手段をとって研究・開発部門へと向けられた。解決の糸口を探していたある日、不正な効果をインストールしたPCを捕捉した、との情報が入った。すぐにでも「拷問部屋」に連れ込んで、どんな手を使ってでも吐かせたかったが…。
 なぜか上層部からストップがかかり、代わりにワクチン「法の書」の開発を命じられた。だが、その不正PC、紅い衣を纏った双剣士にワクチンは何の効果も発揮しなかった。すぐに用意した強化ワクチン「絶対の書」も、結果は同じだった。
 事態は膠着していた。それがさらなる睡眠不足を招き3人を不機嫌にしていた。
「疑わしいヤツ、とっ捕まえてこようか?」
「いいわね、それ」
「ダメもと、ダメもと。ちっとはストレス解消になるでしょ」
「で、ターゲットのPC名は?」
「もう、アタリはついているんでしょ?」
「…エルク」
193名無しさん@ピンキー:04/07/05 00:09 ID:f6kCjT/4
>>190の続き。

 速いピッチで頭を上下する晶良。それには合わせずマイペースで指を出し入れする。たまらず晶良はムスコを口からはずし、あえぎ声をあげる。
「あ〜、い〜…、いいのぉ〜」
 指使いに熱を込め、舌も動員する。
「ひっ! いくっ! いっちゃうぅ!!」
 ムスコをぎゅっと握りしめたまま、晶良が崩れ落ちる。膣から指を抜き、晶良の足を持ち上げて体を起こす。晶良を仰向けに寝かせて、おおいかぶさる。抱きしめてキス。
「あっ、ゴム、つけなくっちゃ」
「きょうはね、だいじょうぶ、だよ。生理、あさってからだし」
「えっ、ほんと! いいの? わ〜い」
「うん…。アタシも、つけないほうが好き」
 十分元気だったムスコが、さらに元気になる。先っぽからは透明な液体が先走る。
「入れるよ」
 足をM字に開かせ、押し当てる。軽い抵抗のあと、ヌルリと亀頭が入る。
「あっ、はぁ、あ〜ん」
 しがみついた晶良の手に力が入る。この瞬間が、いい。
 ゆっくりと、ゆっくりと挿入していく。濡れた肉襞は全く抵抗しない。奥に当たったところで一度ストップ。ふっと息を吐いて、カリで肉壁をひっかくようにして、ゆっくりと引き抜いていく。気持ちよさよそうに晶良が声をあげる。
「あ〜、あっあっあ〜…。いぃ〜、いい、のぉ〜」
194名無しさん@ピンキー:04/07/05 02:07 ID:3n/ySefH
バルムンク×女の子カイトを投下したいのですが………ダメですか?
どうもこのジャンルは807氏の専売特許ぽくて、控えていたのですが………。
 
このカプ萌えなので。
195名無しさん@ピンキー:04/07/05 05:53 ID:swIAn60P
>>174
イイ!
196名無しさん@ピンキー:04/07/05 05:53 ID:swIAn60P
>>194
だった。
197名無しさん@ピンキー:04/07/05 22:52 ID:wi9c7Kog
>>174
ふと思ったが、友人代表で、いったい何人.hackersは出席したのやら…。
なんとなくヘルバとリョース以外は全員来てそうだなあ。…あ、ぴろしさんは来れなかったみたいだなこれは。
オルカ、バルムンク、ワイズマンはまあ、鉄壁だな。

でも、

ミストラルは娘連れてきたのだろうか?
二代目の双子はいたのだろうか?なんとなく大学生にはレナしか成れてなさそうだな…。
司と愉快な仲間達は出席したのだろうか?
碧衣の面々は誰が呼ばれたのだろうか?

何気に笑える修羅場になってそうでちょっと掘り下げてみたいかも…。
198名無しさん@ピンキー:04/07/05 23:23 ID:f6kCjT/4
>>197
それについては「vol.2」で。
199名無しさん@ピンキー:04/07/05 23:26 ID:f6kCjT/4
>>193の続き。

 晶良の愛液が塗られ、てらてらと鈍く光ったムスコ。背中に回した晶良の手が爪をたてる。さっきより深く、一気に突き入れる。爪が背中にさらにくい込む。
「! っ! い、いいっ! いいのぉ〜! もっとぉ、もっと奥へぇえええ」
 これ以上ないくらい突き入れる。晶良もそれにこたえるように股間を突き上げる。
「いいよっ! 晶良っ!」
 腰をまわし、深く、浅く、晶良の蜜壷をかきまわす。眼下にはぎゅっと目を閉じ快楽に身を委ねる晶良の顔。額にうっすらと汗をかき、たまに歯をくいしばるのがいじらしい。
「ねぇ、足を閉じて」
 無言で従う晶良。少しだけきつくなった感触を楽しむ。そのままお尻を抱きかかえ、くるりと反転。晶良を上にして腰に手をやり、抽送を繰り返す。
 晶良が足を広げると、ズブズブと音が聞こえてきそうなほど、より深く挿入される。同時に晶良が体を起こす。その動きに合わせて右手を伸ばし胸をもみしだく。左の親指は起用に股間をまさぐり、クリトリスをいじくりまわす。
 そろそろと腰を動かす晶良。じれったいけど我慢、我慢。ついこの間まで、恥ずかしがって騎上位はさせてもらえなかったのだから。それでも、リクエストはしてみる。
「もっと、動いて」
「えっ…、いやぁ。怖いのぉ…、自分が、どうかなっちゃいそうでぇ…」
「気持ちよくなってほしいんだ、晶良に」
「そん…な…こと、いって…ぇ。はぁあぅ、あっ…。アンタ…って、エッチは、強引…なん…だ、からぁ」
 意識が途切れれば力が抜けて深く入ってくる、そうかといって足はぶるぶる震え体を支えていられない。葛藤が痙攣に現れる。
200薄明の新人作家:04/07/06 00:27 ID:GSJfBYQf
>>192の続き。

「で、どんなヤツ? クラスは?」
「ウェイブマスターの坊や」
「うっひゃあ、萌えキャラぁ」
「こらっ、総司。そんな言葉、使うな」
「なぁ〜んでよぉ〜」
 舌足らずな話し方と見かけ(徹夜続きではないときの)で、だまされるヤローが後を絶たない総司。もちろんPC名だ。日常でもPC名で呼び合うことは、CC社では特別なことではない。むしろ、自然なことだ。
「萌え、とか言ってるから、『拷問部屋の獄卒たち』は腐女子の集まりだ、などと陰口をたたかれるんだ」
 苦笑しながらも強い口調でいさめるのはリーダー格の姉御、勇。
「どこが疑わしいのさ?」
 と歳三が本題に戻す。沈着冷静、机の下の寝袋に潜り込むときでも化粧を落とす女。
「そいつな、例のネコPCとよく一緒にいるんだ」
「ネコって、システム管理の連中が目ぇつけてたヤツか?」
「ネコじゃなくて、ネコPC。まあ、それはともかく、答えはイエス」
「ログは拾えないし、碧衣のオニイさんたちがコケにされたっていう、あの…」
「そうだ。そんなPCと一緒にいる…。どうだ、くさいだろう」
「クンクン。確かににおう〜」
「ばか。そのくさいじゃない」
「わかってるってばぁ。場を和ませるジョークよぉ」
「そんな札付き、捕まえられるのか?」
「それがな。いいネタを仕入れたのさ」
「勇ぃ。もったいぶらないでぇ、早く教えて!」
「うむ。夕べな、夜食を食べに行った牛丼屋でな、システム管理の下っぱの話を小耳に挟んだんだ」
「だぁかぁらぁ。勇ぃ。前置き長い、プンっ」
「総司、プンっというのもやめとけ。でな。どうもネコPCが消えたらしいんだ」
「消えた、だと。下っぱって、あの係長の直轄だろ。信じていいのか」
「課長だ。つい先日、昇進したらしい。そんなことはどうでもいいが、事実、だと思う」
201薄明の新人作家:04/07/06 00:31 ID:GSJfBYQf
>>200の続き。

「根拠は?」
「オンナの勘、じゃダメか」
「はぁ〜」
 歳三と総司、ユニゾンでタメ息をつく。男も、ギャンブルも連戦連敗、たった1度、株で儲けてマンションを買った女の勘。そんなものにすがるしかない我が身の境遇が、自分たちのタメ息をより濃いものにしている。
「では、作戦を説明しよう」
「はいはい、局長。用意するのはネコイラズですか、ネコじゃらしですか?」
「そう」
「なんですと〜!」
「ターゲットの坊やはネコじゃらし…エノコロ草にえるく…えらくご執心だ」
「つまらん」
「ほっとけ!」
「ダジャレのことじゃあない。作戦が単純すぎる。オレ好みでは、ない」
「オレ女はやめとけよ、総司」
「それに。ネコはいなくなっちまったんだろ?」
「うっ。それはそうだが…」
「ふっ。相変わらず詰めが甘いな。そんなんだから、経理のイケメンに気づかれないんだよ」
「な、なんで知ってる!? ま、まあ、いい。では、どうすればいいんだ? トシ」
「そうだな。きょうは早仕舞いして、一杯やるか」
「もぉ〜。トシゾーちゃん! 酒が入らないと知恵が出ないって、どーかと思うぅ」
「総司。そう言いながら端末、落としてるじゃないか」
「へっへへ〜。善は急げって、ネ」
 今度は勇と歳三がユニゾンでタメ息。『作戦会議 ノ〜リタ〜ン』とホワイトボードに総司が書き込み(だれが見るってわけではないが)、何か月ぶりかで日のあるうちに会社を出る。
202名無しさん@ピンキー:04/07/07 00:18 ID:oAMFLBQB
>>199の続き。

 ようやく自らの快楽をむさぼろうと覚悟を決めたらしい晶良が、腰を思いきり下ろす。2人の局部がすき間なく密着する。前に後ろに動く晶良が、天井に向かって声にならない声を上げる。腰が前後左右に揺れる、次第に速度を増しながら…。
 ぎこちない動きが今はもどかしい。両手で晶良の腰をつかみ大きく揺さぶる。同時に自らの腰を突き上げ、こねくりまわす。
「んあっ! だめっ! あっ! あーっ! だめぇ…、いっ…ちゃうー!」
 前のめりになる晶良。腕をぼくの胸につき、かろうじて自分の体を支える。呼吸は大きく乱れ、時折ビクっビクっと体を震わす。
「はぁ、はぁ、はぁ〜ん」
 すぐに晶良の呼吸は戻る。それを待って、肩と腰をつかみ攻撃再開。腰を大きく突き上げる。快楽とも苦痛とも判断つかないほど晶良の顔がゆがむ。
「どお? いい? 気持ち、いい?」
「あんっあんっ、あっ、あんっ…、だめぇ、お、かしく…、あっ! なっちゃう〜…」
 体を起こして対面座位に移行。きつく抱きしめ、むさぼるように口を吸う。自在には動けないけど、腰の上下運動はやめない。舌を絡ませたまま前に倒れ、再び正常位へ。
 晶良の足を肩に乗せ、体重を一点にかける。
「あっ。ふ、深いぃっ。奥にぃ…当たってるのぉ〜」
 晶良の両手首を握り、ずり上がるのを押さえながら、その行為に夢中になる。
 ギアを頻繁にチェンジ、ワインディングロードをドライブするかのように、軽やかに攻める。スローイン・ファストアウト、ファストイン・モアファストアウト、時には景色を眺めるようにゆったりと…。
 アクセルワークによって最高の音色を奏でさせる快感。そろそろ、ゴールは、近い。
203名無しさん@ピンキー:04/07/07 23:52 ID:oAMFLBQB
>>202の続き。

 晶良の足を自分の腰にまわさせ、体を前に倒す。体重をかけないように肘で支えて、晶良の耳元で切実な声をもらす。
「そろそろ、限界。いい? 出しても?」
 大きな"の"の字を描くように腰を動かしながらだから、晶良の答えも途切れ途切れになる。
「ぅん、うんっ! ねぇ、い…、いっしょにぃ」
 晶良の腕が背中にまわり、思いきり爪をたててくる。
(痛っ。意識してないんだろうな…って、もうダメ。我慢できないよぉ)
 レッドゾーンにまで回転を上げ、最後のときを迎える。到達点に達した晶良の絶叫が響く。
「あ、あ────っ! いくっいくっ、いっちゃうぅ────っ!!」
「ぼくもっ! いくよっ!!」
 夥しい量の精液が晶良の中に放たれる。2度、3度、えぐるように突き入れる。そのたびに射精を繰り返し、蜜壷をあふれさせる。
 晶良の口に放出してから、それほど時間がたっているわけではないのに、快感も精液の量も、まるで衰えていない。若さ、そして愛のなせる業──。
 息が整うのを待って、失神した晶良の体からそっと離れる。引き抜いたとき、晶良が小さい声で「うっ」とうめいた。
(意識は飛んじゃってるみたいだけど…。体が反応するのかな)
 ヒクヒクと痙攣する"そこ"にティッシュを3枚あてがって、精液と愛液の混じった粘りけの多い液体を拭う。
(うわっ、いっぱい出たなぁ)
 新しいティッシュをあてがい漏れ止めしてから、自分の後処理をすます。大きく息をつく。
 晶良の左側で横になり、目を細めて晶良の"いった"顔に見入る。心地よい疲労感に襲われるが、不思議と眠さは感じない。
204名無しさん@ピンキー:04/07/08 00:04 ID:I7KfdxWH
>>203の続き。

 どのくらい時間がたっただろうか。5分、10分…、いや、そんなには長くないのだろう。
「ぅう、ぁぅ」
 絞り出すように晶良が発する。まぶしそう…というか、だるそうに半分だけまぶたが開く。こちらに気づいたのか、左手をのろのろと伸ばしてくる。やさしく右手で受け止め、指を絡める。
 唇を重ねるだけのキスをする。
(冷たい)
 体温と意識が戻るまで続け、見つめ合って
「愛してるよ、晶良。よかった、とっても」
「…アタシも…。寝ちゃってても、よかったのに…」
「晶良のこと、見てたんだ。かわいいなぁって」
「…もぉ。恥ずかしぃ、じゃない」
 しばらくすると、晶良はのろのろと起き上がり、
「シャワー、浴びてくるね。アンタは?」
 出張のせいか、激しいSEXの疲れがでたのか、急に睡魔にとりつかれる。
「う〜。あしたの朝にするぅ。眠いぃ」
「うん。じゃあ、おやすみ」
「おやすみ」
 パタンっとドアが閉まる音を遠くに聞いた、気がした…。あっという間に落ちていた。
 下着とパジャマを抱えて、バスルームへ向かう晶良。熱いシャワーを浴びながら、ふぅ〜と息を吐く。気持ちも体も弛緩したのか、残っていた液体がトロっと流れ出てきた。それを指ですくってペロリと嘗め、心の中で「幸せ」とつぶやいた。
205名無しさん@ピンキー:04/07/09 00:05 ID:e2nhnsT7
>>204の続き。

 この季節、夜が明けるのは早い。晶良は小鳥のさえずりで目を覚ました。
「きょうもいい天気、みたいね。洗濯日和だわ」
 とつぶやき、ん〜っと静かに伸びをする。横で寝息をたてている夫を起こさないようにベッドを後にする。歯を磨き、顔を洗い終えたころには、すっかり覚醒していた。
 高校生のころ、起きぬけはいつもバタバタして、テニス部の朝連なんて遅刻ぎりぎりばっかり。なんであんなに眠かったのか、いつのころから寝覚めが良くなったのか、もう忘れてしまった。
 トレーニングウエアに着替え外に出ると、夏の日差しが降りそそいでいる。ことしもカラ梅雨らしい。
 夫の出張中は雨続きで、帰ってきたらよく晴れる。なんだか自分の気持ちを反映しているみたいで、そんなことを思う自分に気づいて、思わず照れ笑いがこぼれてしまう。
 顔をぴしゃっとたたいて気合を入れる。腰のあたりに夕べの疲れが鈍く残ってはいるが、それも心地よい。体を動かすことが好きな晶良の休日の日課。引き締まったボディを維持する、なによりのトレーニング。
 入念にストレッチをこなす。汗かきの晶良の額には、もう玉のような汗がふき出している。腕で拭って
「よ〜し、いくわよ!」
 と声に出して言い、軽快に走りだす。1qあたり7分をきるくらいのスピードで体を慣らしていく。中間地点にあるコンビニが3qポイント。呼吸の乱れはない。流れ落ちる汗が気持ちいい。それでも5qを過ぎると疲れがにじんでくる。
「も、少しで。給水よ。ファ〜イト!」
 見慣れた、というより見飽きた風景が目の前に広がる。横浜市旭区、生まれ育った町だ。
 家から自転車が飛び出してくる。
「文和! お出掛けぇ? それともデート?」
「バイトぉ…って、ねぇちゃん! もう追ん出されたのかよ!?」
 すれ違いざま、裏拳一発。ゴンっ! と鈍い音。
「ってぇ〜。怒ると手ぇつけられないんだからぁ。よくねぇちゃんみたいなのと付き合ってられるよなぁ、ダンナさん」
 文和がぶつくさ言いながら振り返ると、晶良は勢いよくドアを開け、シューズを跳ね飛ばすように脱いだところだった。
206名無しさん@ピンキー:04/07/09 00:07 ID:e2nhnsT7
>>205の続き。

「たっだいま〜! お母さん、水ちょうだ〜い!」
「晶良、じゃないの。冷蔵庫に麦茶、入ってるわよ」
「ありがとう!」
 息を切らしながら冷蔵庫を開け、麦茶の入ったペットボトルをあおる。
「まあ、お行儀の悪い娘。そんなことじゃ離婚されちゃうわよ」
「うん、いいぞ。早く別れて戻ってきなさい、晶良」
「あっ、お父さん、おはよう。早く別れてって…ひっどいなぁ〜。だいじょうぶだよぉ、愛されてるもん」
「そうかぁ…」
 ちょっぴり寂しそうな晶良の父・寿史。話題を変えるように
「朝ごはん、食べてくか?」
「ダメよ。愛するダンナさまと食べるんだから」
「そうか…」
 そんな2人を見て、くすくす笑っている母。少しでも長く家に引き止めておこうと、
「はい、晶良。バナナと牛乳くらいなら、入るでしょ」
「わっ、ありがと〜、お母さん」
 立ったままバナナをほおばり、牛乳で流し込む。
「ごちそぉさま。じゃあ」
「えっ、もう、帰るのか」
「うん。またくるよ」
 明るく言って玄関へ。ささっとシューズを履いて復路のスタート。と、後ろの上のほうから声がかかる。
「おねえちゃん! 帰ってたの?」
「幸太! うん、もうバイバイだけど。ねぇ、一緒に走る?」
「いや、いいよ」
「勉強ばっかしてないで、運動もやんなさいよ。太るわよぉぉっ」
「あははっ。おねえちゃん、また遊びにきてね!」
 右手を上げて走りだす。そのころ家の中では、
「台風みたいな娘だなぁ」
「まったく。だれに似たんだか…。はぁ〜」
 両親、しみじみ。
207名無しさん@ピンキー:04/07/09 00:46 ID:e2nhnsT7
>>206の続き。

 6qのコースを逆走する。気温は25℃を超えているだろう。暑さがスタミナを奪い、へろへろになってようやく自宅マンションへたどり着いた。
 まだ眠っているかもしれない彼を気づかい、そっとドアを開けると
「おかえり〜」
 と、寝ぼけたような声。
「ただいまっ。起きてたんだぁ」
「うん、いま起きたとこ。よく寝たぁ」
 ん〜っと伸びをする。そんな仕草に目を細めて、
「シャワー、一緒に浴びよ?」
「うん!」
 手を引かれてバスルームに導かれ服を脱ぐ。汗がきらきら光る晶良の肌を見ていると目が覚めてくる。
 シャワーのお湯を出す晶良の背後から手を伸ばそうとすると、鏡で見ていたのか
「ダ〜メ。汗、流してから、ね」
 2人、頭からシャワーを浴びる。互いに自分の体を流した後、顔を近づけキス。晶良がムスコを握る。夕べ、自分の中で暴れまわったものを慈しむように、お湯を浴びせながら、そっとしごく。
「きれいに、しなきゃ、ね」
「勃ってきちゃった…」
「わっ、ダメダメ。朝からなんて、できません!」
「こいつ、言うこと聞いてくれればいいんだけど…」
「ダメったらダメ! それにバナナと牛乳、実家で飲んできちゃったし」
「えっ、実家って6qはあるよね!?」
「うん! あっそうだ。今度からさ、ちゃんと書いてくよ。『実家に帰らせていただきます』って」
「なんか、それはイヤだなぁ」
 2人とも笑ったら、お腹がぐぅ〜と鳴った。
「朝ごはん、食べよ?」
「そ、そうだね。晶良はその後、だね」
「ばかもの〜」
208名無しさん@ピンキー:04/07/09 17:30 ID:0fYz0CGq
            ∩
                  ( ⌒)      ∩_ _ グッジョブ!!
                 /,. ノ      i .,,E)
             / /"      / /"
  _n  グッジョブ!!   / / _、_   ,/ ノ'
 ( l     _、 _   / / ,_ノ` )/ / _、_    グッジョブ!!
  \ \ ( <_,` )(       / ( ,_ノ` )     n
   ヽ___ ̄ ̄ ノ ヽ      |  ̄     \    ( E)
     /    /   \    ヽ フ    / ヽ ヽ_//

最高〜
209名無しさん@ピンキー:04/07/09 23:16 ID:e2nhnsT7
>>207の続き。

 短パン、Tシャツに着替えて2人仲良く朝食の用意。卵を焼くのはぼくの役目。力まかせに卵を割る晶良がやると、『イニス』みたいなのを食べさせられる羽目になる…。
「ねぇ、普通のトーストでいいの? アタシはチーズトーストにするけど」
「うん。晶良、ハムはどうする? 卵と一緒に焼く?」
「別に焼いてぇ」
「おっけぇ。ぼくはハムエッグにしよっと」
 晶良がサラダをつくっている間に、コーヒーメーカーをセット。
「ん〜。いい香り。あっ、牛乳も沸かして、カフェオレにするから」
「はいはい」
 テーブルに朝食を並べて、向かい合って座る。
「いっただっきま〜す!」
 で、チュっとキス。
「あっ、タバスコ、とって」
 と晶良。
「汗かきなのに、辛いもの好きだよねぇ、晶良は」
「人生、スパイスも必要よ」
「うん、わかる。だから晶良と結婚したんだ」
「なによ、それ。ムカつくわねぇ」
「はははっ」
 と笑ってごまかす。2枚目のトーストを平らげ、お腹も落ち着いてきた。食後のコーヒーを飲みながら、ノートパソコンを開く。メール着信を表すアイコンが点滅している。
「良子さんからだ」
「ん〜。なになに!? なんなのなん?」
 カフェオレボウルを持って背中のほうにまわり、ディスプレイをのぞきこむ晶良。
210名無しさん@ピンキー:04/07/09 23:20 ID:e2nhnsT7
>>209の続き。

件名:お薬は 差出人:"あなたの"寺島良子

──お薬は効きましたか?
きっと、燃えるような夜をすごされたのでしょうね。
晶良さんが、うらやましい…。
実は…、あのお薬は「正露丸」なのですが。うふっ。
晶良さんに飽きたら、いつでもおっしゃってくださいね。
本当にすごいお薬、ありますから。
もちろん、良子でお試しになっていただいて構いませんわ。
それでは、ごきげんよう。晶良さんにも、よろしくお伝えください。

 晴れのち暴風雨、の予感…。目の前、真っ暗。そこに稲妻が走る。──ピシャっ!
「…アンタ、二度と九州行っちゃダメ、だかんね! なによ、"あなたの"って。ほんっとーに、あの女狐とは何にもなかったんでしょーねぇ?」
「ないよっ!」
「ったくっ! なんか…、もぉ、どぉ〜でもよくなってきちゃったっ!」
「…お〜い…」
 思いっきり背中をつねられる。
「いてっ、ててっ!」
 昨日の夜、晶良に爪をたてられたところをピンポイント攻撃!
「? あれっ、血がにじんでるよ、アンタ。どしたのぉ?」
 いままでの怒りはどこへやら、うろたえる晶良。
「いや…なんでも、ないよ」
「なんでもないことないっ。Tシャツ、脱いで!」
 有無を言わさず脱がす晶良。
(うわぁ、お姉ちゃん気質、全開だぁ。でも話題がそれて、よかったぁ)
「ミミズ腫れが右に3本、左にも…。ひどい。どうしたのよ、これ?」
211名無しさん@ピンキー:04/07/09 23:22 ID:e2nhnsT7
>>210の続き。

「あは。あのね、え〜と、ね。きのうの晩、晶良がつけたんだけど…、覚えてないよね?」
「うそっ!?」
 晶良はみるみる赤面し、
「ごっめ〜ん! 痛いでしょ、大丈夫?」
 今にも泣きださんばかりにオロオロしている。
「へぇき。ぼく、痛いのには慣れてるから…。こんなの、ツバつけときゃ直るよ」
 強がるとロクなことはない。この一言で、さらなる地獄をみることに。
「ほんとに? じゃあ、嘗めてあげる」
 ペロっと晶良が嘗めた瞬間、
「ぎょえ〜!! あ、晶良ぁ、タ、タ、タバスコォ、オオオ…、し・み・るぅ〜!」
「あれっ…。あっ! いっけなぁ〜い。ごめん、ごめん、ごめんっ!」
 慌ててタオルを濡らし、傷に当てる晶良。冷たい感触が痛みを和らげてくれる。
「ふぅ〜、なんとか落ち着いたよ」
「…ご、ごめんなさい…。今度、埋め合わせ、するから…。あの、嫌っちゃ、ヤ、だかんね…」
「大丈夫だよ。嫌いになったりなんてしないよ」
 やさしく微笑む。キスしようと顔を寄せたところで、ピンポ〜ンとチャイムが鳴った。
「は、はぁ〜い」
 すっと立ち上がりドアに走る晶良。
「ぶぅ〜」
(せっかく、いいところだったのにぃ)
 すねながら、冷めたトーストの残りを口に放り込む。
「お届けもので〜す。サイン、お願いしま〜す!」
 不必要に元気な声。快楽への過程を邪魔されて、ちょっとイラつく。と、
「ねぇ〜、手伝ってよぉ〜!」
 と晶良に呼ばれる。
「どしたのぉ?」
 胸騒ぎを感じながら玄関へ。
「あっ、ご主人さまですか? 荷物、多いんですよ」
 愛想笑いをする宅配便のお兄さん。
「多いって?」
212名無しさん@ピンキー:04/07/09 23:25 ID:e2nhnsT7
>>211の続き。

「はいっ。こちら薔薇のオープンハートアレンジが3つ、それとお荷物が2つ。3人さまからですぅ」
「えっ、あっと。はいっ。晶良、サインしといて」
 なんとなくご主人さまらしくふるまってしまう。
(なんか…、こんなところが、年下だよなぁ)
 ブスっとしつつも、
「ありがとう。ご苦労さま」
 と笑顔で言うあたりが、らしいというか…。ドアがバタンっと閉じて、まじまじと、それを見る。
 いきなり届いた薔薇の花のプレゼント。うれしい、というか、あまりの豪華さに引いてしまう。
「3人から…って、だれとだれとだれ、からだろ?」
「えっとねぇ、赤い薔薇はCC社システム管理部から。へぇ〜、リョースったら顔に似合わず素敵なこと、するじゃない。それとぉ、青い薔薇が、佐藤一郎…って、だれよ、これぇ?」
「メッセージカードがついてる。見てみよう」

闇の女王より腕輪所持者とその伴侶へ
 で始まるメッセージ。
「ヘルバ姐さん!?」
 驚く晶良にうなずいて、メッセージを読み上げていく。

まずは、結婚おめでとう。
祝いの品なら少しでも華やかなほうがいいだろう!?
ともに戦い苦難を乗り越え、そして結ばれた2人のために、選ばせてもらった。
気に入ってもらえる、と思う。
ふふ…らしくないかしら?
そうそう、佐藤一郎とは偽名だ。住所も架空のものだからな。それらの『記号』がないと、荷物は送れないので。念のため。
213黄昏の…:04/07/10 01:35 ID:bTGJ+c7v
>>e2nhnsT7たん
乙、乙よ。連日の大量投下、すごい…。 がんがってください。
ここでコソーリと>>144の続きを久々に投下してみる…。


「…ぁ」
 目が覚めると、そこは自分の家だった。
庭に向けてガラリと開けられた縁側。いつしか空も黄昏時を迎えている。
「…気持ちいいや」
 晶良の膝枕があまりにも気持ちよすぎたのか…どうやら転寝していたらしい。
顔をあげれば、優しげな晶良の笑顔がそこにはあった。
「ゴメン、もしかして寝ちゃってた?」
「ほんのちょっとね。アンタ、無防備に寝顔見せちゃってさぁ…ズルイよ」
 照れ隠しに晶良がもう一度笑う。長時間の膝枕は足にクるというし、悪いことをした…かも。
「何かさ」
「ん?」
「スゴイ夢、見てた」
「へぇ、どんな?」
 まだボーッとする頭をさすりつつ、カイトはその眼を晶良に向ける。彼女もまた、その様に。
「んとね、僕がもう1人の僕とコロシアムで最終決戦したり、ミアがすごいパワーで
僕をブン殴ったり、僕がデータドレインのしすぎでイリーガル前に戻っちゃったり…」
「アハハ。何ソレ、変なの」
 軽く晶良に小突かれるカイト。自分でも何を言っているのか把握できていない
あたり、やはりアレは夢だったのだろうか。それにしてもすごいバトルだった気がする…。
「(本当に夢だったのかな…)」
 試しにグーとパーを交互に出してみて、その感触を確かめてみる…正常だ。
「んなコトしなくても、ココは現実《リアル》だっちゅーの!」
「そうなんだけど…何か釈然としない感じで…」
 夢の内容も何となくおぼろげで要領を得ず、何となく違和感を感じるカイトだが…。
214黄昏の…:04/07/10 01:36 ID:bTGJ+c7v
「夢、ねぇ」
 ハーッと大きくため息をつき、縁側にて痺れた足をブラつかせる晶良が呟く。
「アンタは何か夢とかないの?」
「あ、ソレ…誰かにも言われた気がするナ。誰だったっけ…」
 やはり思い出せない。ゲームのしすぎかも。今後は少し、プレイ時間を控えるか。
「晶良にはないの? 将来、何になりたいとかさ」
「うーん、今のところはないわねぇ。とりあえずはテニスの高校大会進出が当面の目標だし」
「大会…げ、そういや僕もサッカーの大会が…でも退部しちゃったしなぁ…ハハ……ハァ」
 そう、そういえばザ・ワールドのプレイ時間を延ばすためにサッカー部を
退部したことをすっかり忘れていた。今となってはもう遅いが、せめて大会には出たかった…。
「次、次。次の夢を捜せばいいじゃん」
「夢捜しかぁ…見つかるかな」
「アンタって誰とでも仲良くなれるタイプだし、
色んな人と出会いとか別れを繰り返せば…きっと、アンタの夢もそのうち見つかるって」
 夢を持っている晶良ならではの説法だと思う。
先程までは押し殺すような喘ぎを呟いていた桜色の唇が、今では自分への
励ましを紡いでいる…女性というのは判らない。ある意味、永遠の神秘と言える。
「(あ〜、そう言えば寺島さんとガルデニアの件はどうしよう…関係維持は難しそうだし…)」
 違う意味で、カイトも晶良同様に大きなため息を吐き出す。だが…。
「…“僕には夢が無い。だけど、誰かの夢を守ることはできる”」
「どしたぁ? いきなり」
「何か、急に頭に浮かんだ…」
 いつのことだったか思い出せないが…確かに自分はこう言った記憶がある。
人を守るため、みんなの夢を守るためだけに力を使い、戦うと。確かにそう言ったはずだ。

―――思い出せ。

「えっ?」
215黄昏の…:04/07/10 01:37 ID:bTGJ+c7v
―――君がこの『世界』を守ると決めた理由、それを思い出せ。
 
 いつの間にか晶良はいなくなっていた。家も無い。
何も無い空間にただ1人、カイトは突っ立っていた。いつもの服装ではなく、
イリーガル前の緑色の服装で。胸には夥しい鮮血の痕が残されている…誰かに斬られたのだ。
「そっか…僕はコロシアムでミアに斬られて…」
 ようやく記憶が戻ってきた。そう、王がミアによって倒されたのだ。
そして今度はミアと戦うことになったのだが…。

『どうしたの? もっとボクを楽しませてよ。勇者なんでしょ、キミ?』
『キミと遊ぶのも…あんまり面白くなくなってきたなぁ』
『壊れるのが早いね。じゃ、次はあのコ達の番か…それはそれで面白そうだけど』

「アウラッ! 晶良ッ!」

 嫌な予感が頭をよぎった。ミアの剣に一刀両断され、閃光の紅衣はデリート。
紅衣体からイリーガル体、更にはイリーガル前に戻され、全身の崩壊が再び始まって…。

「僕は…死んだの?」
 だったら、さっきの晶良との会話は走馬灯の様なものだったのかもしれない。

―――救い、滅び、どちらにもなる力。良いも悪いも腕輪次第。

「もう僕の腕には腕輪は無い…足輪も…。やっぱり僕は…」

―――肉体的な意味でなら、君は死んだ。だが…。

 声が光となって、力強くカイトを包み始める…!

―――君の心、魂と呼ぶべきモノはまだ死んでいない。それは他のみんなも同じだ。
216黄昏の…:04/07/10 01:39 ID:bTGJ+c7v
「みんな? みんなって…誰のこと?」

―――思い出せ、君がこの世界を守ると決めた理由を。

「…最初は、ザ・ワールドのみんなを守るために
.hackerになったって思ってた。だからザ・ワールドも守るんだって」

―――…。

「でも、みんなを、ザ・ワールドだけを守るだけじゃダメだって気づいた。
この世界にいる、全ての人達の『夢』を守らなきゃ、そうしなきゃ意味がないって…!」

―――君は“夢の守り人”。その心がある限り、世界の加護は君を守り続ける…!

 カイトを中心に、どんどんと広がってゆく世界。肉体のイメージ形成は終わり、
新生が齎され、気づいた時にはもう、カイトの胸に鮮血跡など残ってはいなかった…!
 
「僕は…また戦いたい。戦って…大切な人達を守りたい!」

―――そして君は闇を切り裂き、光を齎す。それが勇者の運命。

「…難しい注文ですね」

―――君ならできると、私は信じている。何故なら…君は君なのだから。

「貴方は…誰なんですか?」

―――もはや魂すらこの世界と一体化した創造主の片割れ…それが今の私だ。

「…ハロルド。ハロルド・ヒューイック…?」
217黄昏の…:04/07/10 01:40 ID:bTGJ+c7v
「さて、と。本当なら5秒以内にキミらを殺せるんだけど…」
 邪悪なオーラを携えた剣を構え、ミアの割れた口元が緩む。
追い詰めた獲物を最後まで弄ぶのは猫としての習性か、はたまた新たな王としての余興か…。

「お客さん達は…キミらのもがき苦しむ姿を見たいようだしねぇ」
「殺すんなら…とっととやりなさいよッ!!!」

 気絶したアウラを庇いつつ、ブラックローズが大剣を構えている。
リアルの晶良はもう半狂乱を通り越していてもおかしくない精神状態だった。
 頼みの綱のカイトまでもがミアの剣の前に倒れ、灰となってしまった。
彼がデータドレインされたのか、生きているのか死んでいるのかすら判らない。
 ただ1つ判るのは…どうしようもない恐怖が自分を支配していることのみ。

「フフ…殺る気満々ってカオだね。いいねぇ、ゾクゾクしてくるなぁ」
「当たり前でしょうが…カイトの仇、とらせてもらうからね!」

 ブラックローズの怒声が飛ぶ。薄ら笑いを浮かべるミア。歓喜する観客達。
「(勝てないってのは解ってる…解ってるけど…ッ!!!)」
 ミアはカイトを殺した。カズに続き、カイトまでウィルスバグによって失ってしまったのだ。
赦せるワケがない。赦せない。赦せない。赦せない。赦せない。赦せない。赦せない。

「アンタだけは…絶対ッ!!!」
「絶対…何かなぁ? フフフ…ッ?」
 
 一触即発。勝ち目のない戦いが今まさに始まろうとしていた、その時だった。
「何だ…?」
 先にコロシアム内の変化に気づいたのはミアだった。
音が―――無い。聞こえないのだ。観客たるウィルスバグ達の歓声が。
「どうした…何故、誰もボクを応援しないッ!?」
218黄昏の…:04/07/10 01:41 ID:bTGJ+c7v
【メライローム】【バクリボルバー】…【ライトニングリボルバー】!!!

「ハアァ…せりゃッ!!!!!」

 雷を帯びたバルムンクの剣撃により、薙ぎ払われてゆくウィルスバグ達。
かれこれもう5〜600体くらいは撃破しただろうか? まだまだ敵は健在だ。
 ヘルバがいれば、もっと効率のよい戦いができるのだが…。

「さすがにこれ以上は厳しいな…どうするかね?」
「カイト達を信じるまでのこと…それだけだ!」

 戦禍の中、肩を並べるワイズマンとバルムンク。
そうだ。ザワン・シンに比べればこんなもの…どうってことない。
 取り戻すのだ、全てを。友を。オルカを。この世界を。

「フム。時にバルムンク…君は気づいているかな?」

 ワイズマンが空をなぞる様に杖を振る。
見えるのだ、彼には。未知なるエネルギーの本流が。感じるのだ、新たな力を。

「何処かから凄まじい力が…徐々にあそこに集まりつつある様だ」
「…カイトか?」
「恐らく」

 2人の胸中に新たな希望が沸く。そうだ、いつだって…カイトはカイトだった。
なら、今回だって…。
「俺も負けてはいられんな…」
 神剣を構え、雄雄しく立ち塞がるバルムンク!
「今は友を信じ、この命尽きるまで戦わせてもらうッ!!!」
219黄昏の…:04/07/10 01:43 ID:bTGJ+c7v
 コロシアム内に訪れた静寂。無音。歓声が、聞こえない。
何故なら観客達は新たな王よりも、眼前に広がる神秘的な光景に見入っていたからである。
「光…?」
 まるで蛍の放つかの様な小さな光。それが、コロシアムじゅうに溢れていた。
美しい。とても美しい光景だった。光がどこからともなく、天井、壁、床を問わず、
溢れてくる。そして集まるのだ、一点に。まさに、灰となって燃え尽きたカイトが居た場所に。
「(…奇跡は待っていても起きない。奇跡は、自分で起こすもの)」
「(えッ…!?)」
 ミアから必死で守っていたアウラ。そのアウラの呟きが、確かにブラックローズの
耳にも聞こえた。まだ彼女は目覚めていない。でも、今確かに…!

「この光は何だッ!? 厭な匂いがする…! 癇に障る…!」

 ブンブンと剣を振り回し、発生させたオーラで光を次々と消し飛ばすミア。
だが、光は止まらない。流れ続け、集まり続ける。美しく、美しく。幻想的に。
 そして新たな奇跡が起こる。もう一度。いや、何度でも。
打ち倒す者は確かに強い。だが、打ち倒されてもなお立ち上がる者は…もっと強い!

「あ…ぁ…ぁ…!」

 ブラックローズの涙声とも歓喜とも解らない声が漏れた。
勇者が、もう一度戻ってきたのだ。今度は紅蓮ではなく、黄昏色の衣を纏って…。

「カイトッ…!!!」

 光は黄昏色の少年の姿を形作り、凝縮された。強く、より強く、輝きを増して。
言うなれば、そう…黄昏体(トワイライトフォーム)とでも呼称すればいいのか。

「生命(いのち)の輝き…もう一度、僕に力を!!!!!」
 もう彼の手には腕輪が無い。否、この光自体が腕輪そのもの…生命の輝き!
220黄昏の…:04/07/10 01:47 ID:bTGJ+c7v
うででんの影響か、バルムンクの決め技は
バクリボルバー(火属性・Lv.2)と勝手に思い込んでる…。
でも中の人の多芸ぶりには惚れ惚れするわさ。
.hackの男性キャラの中では一番好きなヒトね。んじゃ。
221名無しさん@ピンキー:04/07/10 03:39 ID:fBnI7gcx
ダブルで
    北―――――・∀・―――――!
222名無しさん@ピンキー:04/07/10 19:46 ID:vumBFvk4
>>黄昏さま。
久しぶりのご登場、うれしく思っとります。
当方のような未熟者に応援くださいまして、恐縮でごぜぇますだ。
大量投下するのは拙作ゆえ、当分の間は「名無しさん」でいきます。
それでは、いざ参るぅ!

>>212の続き。

「へぇ〜。さすがヘルバ姐さん、人間ができてるなぁ」
 ニコニコ顔の晶良。機嫌はすっかり良くなっている。続きを読む。

──ところで腕輪所持者よ、おまえ、だれを選んだのだ?
無駄に明るい呪紋使いは、人妻で子持ちだから論外として…。
あからさまに好意を示していた目の細い双剣士か?
無口なくせに、お前を見つめる目は妙に熱かった重槍使い?
いろいろ手ほどきを受けていた関西弁の剣士、かしら?
現実的なところでは、九州の資産家の娘の重斧使いに、逆玉?

 読むのがつらい。晶良から嫌なオーラが出ている。心の中で血の叫びをあげてみる。
(ヘ、ヘルバぁ、困るよ。波風たてないでよぉ〜)
「続き、読んで」
 低く、うなるような晶良の声。逆らえっこない…。

元アイドルグループの鈴木遊夏とかいう娘とも親しそうに話していたよな?
司と昴は…、まあ違うか。
おまえとよく一緒にいた、あの重剣士…

「そ、そう、そうだよ、ヘルバ! まったくぅ」
223名無しさん@ピンキー:04/07/10 19:54 ID:vumBFvk4
>>222の続き。

 エアコンの利いた部屋で、とっても嫌な汗をかきながら、ほっと息をつく。
「続き」
「は、はいっ。えっとぉ」

──あの重剣士、と同じエディット・キャラの…ミミル? リアルでは結構、発展家の娘だったが。

「なにが。そう、なのかな?」
(こ、怖い…。続き、読んじゃえ)

そうそう、腕輪継承者の双子の妹、もう食べごろ、だな?
(これは…、ただのお祝いなんかじゃない! 別の目的を持った何かが、うごめいている…)

「ア・ン・タ」
「こじんじょうほうほごほうは、どおなっているんだあ」
 セリフ、棒読み…。
「わぁ〜ん!」
 テーブルに突っ伏して、いきなり泣きだす晶良。
(ウソ泣きっぽいけどなぁ。でも、そんなこと言ったら殺される…)
「ひどい人、玲奈ちゃんにまで色目を使ってたなんてぇ」
「そんなことっ! 違うってば、これはヘルバの悪い冗談だよっ」
「やっぱり、若い娘のほうがいいんだぁ〜。わぁ〜ん」
(そりゃあ、そうだけど…。じゃなくて! 取り付く島がないよぉ)
「ぼくはっ! 年下とか年上とかじゃなくて、晶良が好きなのっ! 愛してるのっ!」
「私が初めてってウソなんでしょー。アタシ、こんな浮気ものに処女を捧げちゃったんだぁ。わぁ〜ん」
「ほんとだよっ。ぼくの最初の人は晶良。神に誓うよ!」
(神さま、ゴメンっ!)
224名無しさん@ピンキー:04/07/10 23:07 ID:KVKEJdt0
>>223
ゲキワラです…。
これって、ひょっとしてカイトがヘルバにロクにコナかけなかったことに関するイヤガラセ?
225名無しさん@ピンキー:04/07/11 00:12 ID:7pLzyPz+
神降臨ですか・・・名無しさんではもったいないですよ
226薄明の新人作家:04/07/11 21:06 ID:Yyhb26BN
>>201の続き。

ひっさしぶりよねぇ、あの部屋の明かりが消えるのって」
「そういや、そうだな」
「残業手当だけで、若い男が囲える、かもな」
「かまってやる時間がなくて捨てられる…」
「もぉ! トシゾーちゃんは夢、なさすぎ!」
「それが現実。いつかきた道ってやつだ」
「で、どこいくんだ。いつかきた道は確実に『いつもの』モツ焼き屋に向かってるんだが…」
「レバ刺し、レ・バ・刺しぃ。あとねぇ、シロでしょ、カシラでしょ、コブクロでしょ、オッパイでしょ」
「共食い…」
 暖簾をくぐり、いつもの席に。いや、いつもはバラバラでくるから指定席はカウンターの片隅だが…。
「おっ、珍しいねぇ〜。3人そろってくるなんて。『予約席』、ご案内〜!」
 気のいいオヤジが大声で叫ぶ。席に着くなり、ビールの大ジョッキが6つ、そう6つ運ばれてくる。
「お通しは何がいいんだい? 嬢ちゃんたち」
 娘扱いしてくれる数少ない店。どおせ帰ればウワバミ呼ばわりはわかっているが…。
「ここのところ、徹夜続きだからな。精のつくものを」
「…オヤジ…」
 勇と総司、ユニゾンのつぶやき。
「お待たせ! にんにくホイル焼きとウナギの肝焼き。お通し、大サービスだ!」
 小1時間、注文以外には言葉を発せず、ひたすら飲み、そして食う3人。ビールがポッピーになり、5杯目の焼酎をおかわりをするころ。
「さ、帰るか」
「こら、作戦会議はどーした!?」
「冗談だ。で、だ。やはりな、エサは必要だ」
「ネコPC、消えちゃったんでしょ〜。エノコロ草、もういらないんじゃないかなぁ」
「そうでもないさ。消えたのなら、つくればいい」
「つくるったって…。データはおろか、見たことだってない」
227薄明の新人作家:04/07/11 21:07 ID:Yyhb26BN
>>226の続き。

「形はいらんのさ。例えば、だれかが、どこそこで見た、という噂が流れたとしたら」
「その坊やはやってくる、と」
「だけどさぁ。坊やがザ・ワールドにくるのってぇ、ネコPCが目的なんでしょ、状況的に」
「うむ。そうだな」
「だとすると、もうログインしないんじゃないかなぁ」
「さすが、失恋経験が豊富なだけのことはあるな、総司」
「うっるさ〜い!」
「個人情報を漁るのはリスクが大きすぎる。だが、その坊やのログなら、オレたちにでも調査可能だ」
「糸口は見つかる、と」
「ああ。どおせ、何もできない身の上だ。蟻の穴から堤を崩してやろうじゃないか」
「そんじゃ、会社、戻ろっか!」
「総司ぃ。マジかよ!?」
「へっへへ〜。善は急げって、ネ」
 勇と歳三、ユニゾンで
「はぁあ〜」
 コートを羽織り千鳥足で会社に戻る道すがら。勇が
「まったく。クリスマスとはいわんが、息災なく年を越したいもんだなぁ」
 しみじみ呟く。すかさず総司がチャチャを入れる。
「おっと。経理のイケメンくんとデ〜トの予定でも?」
「ねぇ〜よ。こんな災厄に見舞われてなきゃ、ウチで一人酒だがな。それでも、東京湾の海上情報バックアップセンターあたりに左遷されてねぇだけ、マシっちゃマシかもな」
「3人で守衛さんでもやりますかぁ」
「い・や・だ」
「…終息させられるかな」
「わからん。きっと、だれにもわからんだろう」
228薄明の新人作家:04/07/11 21:08 ID:Yyhb26BN
>>の続き。

 会社について、いくつものセキュリティ・ゲートを毒づきながらくぐり抜け、「拷問部屋」に戻る。端末を立ち上げ、それぞれが無言でキーを叩く。30分ほどでエルクのログは吸い出せた。フロッピーディスクに落として、総司が"証拠"を消してまわる。
「こいつ、システム管理部ともコンタクトを取ってるな。しかも、リョースのPC名ってことは、あの課長じきじき、か。何者なんだよ、こいつは」
「それは、本人の口から語ってもらおうじゃないか」
「歳三ちゃん。なんか、うまい手、考えついたね?」
「ああ。ログの最後あたり、見ただろ? 坊や、エルクはワクチンを渡されることになっている。そこを押さえる。もちろん、一人になってから、だ」
「じゃあさ、今夜から24時間張り込みだね、3人交代で」
「そいうことだ」
 チャンスは意外なほど早くやってきた。監視を始めてから2日目、エルクのログインを捕捉できたのだ。
「きた! 非常召集。しっかり準備しとけよ、責め道具を、な」
「りょ〜かい!」
 勇と歳三がヘッドマウントディスプレイを装着、ザ・ワールドにログインする。クラスはともにブレイドユーザー。総司もヘッドマウントディスプレイをつけて、ルートタウンにあるホームを改造した「拷問部屋」で待機する。「キミ、ちょっと」
 勇みがエルクにやさしく声をかける。
「なに?」
 おどおどしながら答えるエルク。
「ネコPC、知ってるよね?」
「えっ! し、知らないよっ」
「おとなしく話してくれれば、穏便にすましてあげるけど?」
「知らないったら、知らないっ。ぼく、帰る!」
「そうはいかない。では、体に聞くしかないな。一緒にきてもらおう」
 ログアウトを試みるエルクだが、光の輪は途中で消えてしまう。
229薄明の新人作家:04/07/11 21:10 ID:Yyhb26BN
>>228の続き。

抵抗するか。それもまたよし」
 歳三が特殊なスキルを持った剣を一閃。PCのエルクは気を失ったように倒れる。PKではない。エルクはオバケになっていない。
 リアルのエルクはコントローラーを握ったまま、ブルブル震えていた。自分のPCが気を失い、2人に抱きかかえられて、どこかに連れられていく。どうすることもできない…。
「ようこそ、拷問部屋へ」
 冷たい声がエルクに放たれる。エルクの意識は部屋に入った瞬間に戻った。いっそ、意識のないままのほうが幸せだったが…。
「ここは…どこ? ぼくをどうするつもり」
 恐怖を反映して、声が震えている。
「知っていることを全部、話してくれれば何もしないさ」
「ぼくは、何も知らないっ。ほんと、なんだからぁ」
「そうか…。楽しませてくれるってわけだ。総司!」
「はいな。準備できてまっせ」
「おまえがやるって、いつ決めた。久しぶりの若い男のエキスなんだぞ。みんな、欲しいに決まってる」
「じゃあさ、ジャンケンする?」
「わかったよ。ジャンケン無敵女だもんな、総司は」
 わけのわからない会話は、エルクにとって地獄(天国か?)へのカウントダウン。
「ほらっ、立ちな!」
 ぐいと腕をひっぱられ、さらに後ろ手にひねられる。
「い、痛い。やめてっ」
 うめくエルク。その声にますます興奮する「獄卒」たち。エルクを獄門台、といっても太い棒が立っているだけだが、に縛りつける。
「総司。データの抽出、どのやり方でするんだ?」
230薄明の新人作家:04/07/11 21:42 ID:Yyhb26BN
>>229の続き。

「うっふふぅ。わたしがぁ、お口で受け止めるの」
「くそっ、オレがやりたかったなぁ、それ」
 残念そうに歳三が歯ぎしりをする。
「だけど、男キャラと男キャラだぞ? リアルの坊やにも見えるんだ。いいのかよ」
 見かけによらず心配症の勇だ。
「い〜の、い〜の。中1でしょ? 何事も経験だし。こんな世界があるって知るのも悪くない。将来、役に立ったりして」
「怖いな、おまえ」
「じゃ、カーニバルの始まりよ!」
 首筋に注射を打つ。3人で開発したイリーガルなデータのインストールだ。
「ゲームの仕様をちょっとだけ変えさせてもらうからね」
 総司はエルクの着衣を剣で切り裂いていく。
「こ、こんなの、ゲームじゃない」
 エルクは涙声だ。
「だからぁ、仕様を変えたの。驚くのはまだ早いけどね」
 全裸に剥かれたエルクの前にひざまずく総司。
「それじゃ、出してもらうね」
 にっこり笑って、エルクのものを握り、しごきだす。なんと! 勃起してくるではないか。
「そんな、そんなこと…」
 侍の格好をした男が、自分のものをもてあそんでいる。相当のショックを受けて固まるリアルのエルクだが、ディスプレイから目が離せない。
 総司はそれを口に含み、ゆっくりと頭を前後させ始めた。
「あっ! やあっ、やめてよ、こんなの」
 エルクの声は悲鳴に近い。もちろん総司がやめてくれるわけはない。さらに頭のスピードが上がるばかりだ。
231名無しさん@ピンキー:04/07/12 00:24 ID:UFXlZrwu
>>223の続き。

 両手で顔を覆ったまま、肩を震わす晶良。
(マジか? 演技か? でも、絶対何か、ある。それに、ここで引き下がったら、一生頭が上がらなくなる。よしっ!)
 おのれの第六感を信じて、
「…晶良は、ぼくが信じられないんだ…。悲しいな…。ぼく、嫌われた? 嫌われてもしようがないか…。もう、問題ないのに。ぼくは出ていくよ。これからも、友達でいてくれたら、うれしいな」
 声から色を消し張りをなくし、さらに表情を殺す。一世一代の大芝居。吉と出るか、それとも!? わざと大きな音をたてて椅子を引く。
「えっ!?」
 と晶良が顔を見せた瞬間、心の中でガッツポーズ! やったねっ! 笑いをかみ殺す。
(やっぱり、ウソ泣きだ。ったく、ヘルバめぇ。さては、出張中に晶良と打ち合わせしてたなぁ。ヘルバのことだから、証拠を残すなんてことはないだろうし…あぶない、あぶない)
「あ、あの、さ。…ダメ、出てっちゃ」
 しどろもどろの晶良。内心では、きっと舌打ちしていることだろう。
(さぁ〜て。お仕置き、お仕置き)
「だって、晶良はぼくのこと、嫌いになったんだろ?」
「違うっ! そんなこと、ない。ちょっと意地悪してみたくなった、だけなの」
「ふぅ〜ん。ご主人さまを困らせる、悪い奥さんだね、晶良は」
「ごめん…」
「埋め合わせ、してくれるよね?」
「………」
「てんてんてん、じゃない、でしょ?」
「はい…」
 下を向いて小さくなっている晶良。
(ムチの次はアメを与えなきゃ、ね。ん? ムチ、かぁ。それも悪くないかな。ま、いいや。カードはいつでも切れるし)
232名無しさん@ピンキー:04/07/12 00:26 ID:UFXlZrwu
>>231の続き。

「もう、怒ってないよ」
 後ろから包み込むように抱きしめ、やさしくささやく。
「ほんとに?」
 振り返る晶良の瞳からこぼれた涙を吸う。服の上から胸を揉む。さすがに抵抗しない。
「愛してるよ。あとで、たっぷりかわいがってあげるから、ね」
 そう言ってキスし、
「ヘルバのメッセージ、2枚目があるよ。読んでみよう」

──1枚目はジョークだ。許せ。
「世界に咲いた漆黒の薔薇」よ。
かつてザ・ワールドに平和をもたらしたときのように
「腕輪所持者」を支え、励まし、力を合わせて、
幸せな家庭を築くことを祈る。
おまえたちには、それができるはずだ。わたしはそう信じている。
これも…ふふ、らしくないかしらね?

(こんなマトモなこと書けるのに、とんでもない悪だくみを画策する…。ヘルバ、食えないヤツ)
 晶良は感激している。さっきの一件のせいか、涙腺が緩んでいるのかもしれない。続きを読む。

──花とともに送ったものは、
ちょっと言いにくいんだが、わたしの、その、てなぐさみ、だ。
新婦が喜ぶものばかりだが、結果的に新郎にも喜んでもらえる、
そう思っている。一針に、心を込めた、つもりだ。
ぼうや、お幸せに!

 ヘルバからの贈りもの。送られてきた宅配便の袋を開けると、ショッキングピンクの地に黒い薔薇の刺繍が施されたエプロンが入っていた。
233名無しさん@ピンキー:04/07/12 00:48 ID:nJ1tmbMK
>>232
激ワラです…。GJ!!
234名無しさん@ピンキー:04/07/12 07:58 ID:NH7F0Mrn
イイ
235名無しさん@ピンキー:04/07/12 23:03 ID:UFXlZrwu
>>232の続き。

「わぁ〜、素敵ぃ。この刺繍、ヘルバ姐さんが…」
「ヘルバもよくやる」
 2人して、ヘルバのPCが刺繍をする姿を思い浮かべ、ぷっと吹き出してしまう。
「それにしても、結果的にぼくも喜ぶって、どおいうこと?」
「あっ、黄色い薔薇と、もう一つの箱は、だれからなの?」
 何かを察したかのように、慌てて話題を変えようとする晶良の態度。頭の中にはぼやけたイメージがあるのだが、なかなか像を結ばない…。
「ねぇ? どおしたのよ?」
「えっ? ああ、なんでもない。えっと、こっちはね。御園真理子さん…」
 その名前を口に出して、晶良と2人、ユニゾンで
「昴からだ!」
「…と佐久間杏、さん?」
「杏、って司よね? でも、彼女の苗字は確か、庄司だったよね?」
「メッセージが添えてある。読んでみよう」

ご結婚、おめでとうございます。
いつか、このような日がくると、ずっと思っていました。
…ごめんなさい。言葉にすると大事なことが
こぼれ落ちてしまいそうで…。
お幸せに。〈Mariko〉

Anneです! 苗字見て驚いた?
実は、オッサンの養女になりました。
お義父さんの本、買ってね! 印税入んないと生活できないから(笑)。
「アンヌーン」なんて、オススメだよ!
そうそう、お義父さんが再婚したときには、お祝い、ありがとうございました!
万智子お義母さんも喜んでました。
いつまでも、お幸せに、ね!

「司…杏って、明るくなったなぁ。続き、読むよ」
236名無しさん@ピンキー:04/07/13 21:34 ID:Gi/JJ2cN
>>235の続き。

プレゼントは、2人で選びました。
私たちのどちらもが満足できた逸品ですよぉ。
一つだけ、注意を。
晶良さん。一人で楽しまず、必ずご一緒に使用するようにしてくださいね。
それでは、再びお会いできる日を楽しみにしております。

「??? 何を送ってくれたんだろう?」
「開けてみましょうよ。なんか…ワクワクするよね」

 包装紙をはずし、細長い箱を開ける。そこには…、
「わっ、何よ、これぇ!?」
「…大人の…オモチャ…」
 男性自身を模したそれは30pほどもあり、怪しく黒光りしている。
「やぁ、もお!」
 晶良は両手で赤くなった顔を覆ってしまうが、指の間からチラチラとそれを見ている。
「それにしても、私たちのどちらもが満足、って…。あの2人…」
「百合、だったんだぁ。アタシたちの結婚式の2次会にきてくれた2人って、見ているほうが恥ずかしくなるくらい、ラブラブだったもんねぇ」
 照れくささもどこへやら、晶良が納得したように話す。
(女って、こういう話題、好きだよなぁ)
「晶良はさ、そおいう経験、ある?」
 軽い気持ちで聞いてみる。ところが、予想に反して晶良は微妙な反応を見せる。
「えっ! えっ…と。ないことは、ない、ってゆ〜か。あの、言いにくいんだけどぉ…高校時代、にね…、テニス部の先輩に、ね」
「え〜っ! な、なにがあったの?」
 意表をつく展開にどぎまぎしてしまう。晶良はもじもじしながら
237名無しさん@ピンキー:04/07/13 23:38 ID:/JTY/Os5
真智子って誰?
BT?
238名無しさん@ピンキー:04/07/14 00:21 ID:np15tNZ0
昴だと思いますよ
239名無しさん@ピンキー:04/07/14 00:47 ID:NFBDzRsq
万智子はBT、昴は真理子。
240名無しさん@ピンキー:04/07/14 01:22 ID:ajPcxq8r
>>239
アンタはえらいっ!
241名無しさん@ピンキー:04/07/14 01:36 ID:JWs2Rm5K
>>239
へぇ…BTの下の名は万智子って言うのか…ソースきぼんぬ。
242名無しさん@ピンキー:04/07/14 01:47 ID:ajPcxq8r
>>241
.hack//SIGN ♯16[Conflict]
リアルBT(と思われる)OLに届いた「○○高等学校○○生同窓会のご案内」の封書に記された名前より。
243名無しさん@ピンキー:04/07/14 02:11 ID:JWs2Rm5K
>>242
ありがdクス。早速見てみます。
244名無しさん@ピンキー:04/07/15 00:09 ID:zcnfy60G
>>236の続き。

「キス、されたこと、あるんだ…」
「キ、キス…だけ?」
「当ったり前でしょ! その先をせがまれたときは固まっちゃったけど、我に返って逃げだしたわよ」
「ふぅ〜ん」
(あ〜、ビックリしたぁ。まだまだ、ぼくの知らない晶良がいるんだ)
「だっけどぉ。なんつーもの、送ってくるんだ、あの2人は。使わないわよ、アタシは! …って、なによ、その目…」
 晶良は、ぼくの瞳の奥に暗い炎が灯るのに気がついたみたいだ。無性に喉が渇く。コーヒーを飲み干し、切り出す。
「あ、あのさぁ…」
 そのとき、パソコンがポ〜ンと気の抜けたような音を発し、メール着信を知らせる。
「なんだよぉ」
 ブツブツ言いながら、メールを開く。
「ヘルバかよっ」
 ぶっきらぼうに言って、声を出してメールを読む。
「なになに、『そろそろ届いたころだろう。注意書きをつけるのを忘れていた。くれぐれも、裸エプロンなどに使用するなよ。いいか、裸エプロンはダメだからな』…だって」
「あ、あ、当ったり前よ。そんな恥ずかしいカッコ、できますかっ!」
 真っ赤になって、ぶんぶんと顔を横に振る晶良。その姿を見て、ようやく像が重なった。
(! これだったのかぁ。なんで気がつかなかったんだろ、くぅ〜)
「ねぇ、晶良さん。あ、あの。お願いが、あるんだけど…」
「アンタが"さん"付けするときって、やらしいことばっか求めてくるんだかんね!」
「えっ、そうなの? 全然気づかなかった」
「えぇ。そ〜よ。そ〜なのよ。アタシ、ヤだかんね!」
「まだ、何も言ってない…」
245名無しさん@ピンキー:04/07/15 20:52 ID:zcnfy60G
>>244の続き。

「わかるわよっ。アンタの考えそぉなことくらい。この、スケベ!」
「だから、何も言ってないってば」
「ど〜せ! アタシに裸エプロンさせて、この変な道具を使ってみよう…とか、でしょ」
「それ、いいね!」
「えっ? アンタの考えてたことって…、もしかして、違う…の?」
(もちろん、そうさ。でも、イジメちゃお〜っと)
「ぼくはただ…、みんなへのお返し、奮発しなきゃ、って」
「そ、そ、そ、それは、そうね。ちゃんとしないと、ダメよね」
「だけどさ。晶良がそういうこと、したいんなら…」
「ア、アタシは別に…」
「してみたいな、ぼくは。裸エプロンで悶える晶良。…うん、見てみたいっ」
「やぁだあ〜。恥ずかしいじゃないのぉ。もぉ、考えらんない!」
「でも、考えたんだ」
「それは! アンタが、その、そぉいうこと、したそうだなって、思ったから…」
「よくわかってるじゃない。さすが、ぼくの奥さん」
「ほんとにしたいの? ヤ、だよ。泣いちゃうよ?」
 ぼくはSEXが好きだ。何事にも本気で取り組む、というか、好奇心旺盛に生きてきたし、それで人生結構うまくいっている。SEXも同じ。愛情表現として大事だし、なにより気持ちいいじゃないか。
 それに、相手が晶良というのも大切なポイントだ。8年も交際して結婚したくらいだから相性はもちろんいいのだが、体がまたよく合うのだ。
 でも、晶良はSEXに対して積極的ではない。初めてのときから、ベッドの上ではまるで年上っぽくない。それでも、デートを重ねてわかったことがある。あごをちょっと引いて上目づかいにぼくを見つめて黙っているときは、「おねだり」サインだってこと。
 ただし、いまの晶良は「ほしそうな」感じではない。恥ずかしさと一生懸命戦っている様子だ。ザ・ワールドでは後先考えずに突っ走るタイプだったのに。といっても、弟の救出とSEXの追求を同列に論ずるわけにはいかないか…。
(素直にやってくれそうにないなぁ。よ〜し、カードを切っちゃお)
246黄昏の…:04/07/15 23:24 ID:qYsd85uZ
連日の投下乙カレー。
久々に>>219の続きを書いたのでコソーリと投下してみる…。

 小さな星の話をしよう。
何千億と存在する銀河系の1つに位置する、小さな星の話を。
 
 この星にはヒトがいた。進化したヒトが。
ヒトは、かつて創造主がこの世界をお創りになったの真似て
仮想の空間に仮想の世界をいくつも創った。もう何年も前からのことである。
 そのいくつも存在する世界の1つに、ヒトが【ザ・ワールド】と呼ぶ世界があった。
これは、その世界を巡るお話。夕焼けから朝焼けを迎えるまでの、凱歌と鎮魂歌を歌うためのお話。

 その世界の住人は永遠の命を持っていた。死なない不死身の体。
斬られても、滅せられても、死なない。気がついた時には、全てがまた元に戻っている。
 それが彼らにとっては当たり前だった。自分達は、ただ死と新生を繰り返すだけ。
ふらりと現れた異界からの旅人を襲い、倒すことだけが彼らの使命。
 それだけが彼らの存在理由。それだけが彼が生かされている理由だった。
―――が、ある日、彼らはついに疑問に思ってしまう。

「ドウシテ我々ハ、死ト新生ヲ繰リ返スノダロウ?」

 それまでタブーだった疑問。否、誰も気にも止めなかった疑問だった。
何故なら、それが彼らにとっては常識であり、日常であり、彼らの世界そのものだったから。
 そして彼らは更に気づいてしまう。
彼らの世界が創造主によって創作された箱庭であり、彼らの存在そのものも作り物あったことを。 
 だが、そんな事実知ってもどうすることもできない。誰も。
戦って、殺して、殺されて、生き返って、そしてまた戦って……。
 そんなことが何億回も繰り返されていたある日、彼らの前に1人の女性が現れる。
彼女は自らを、「おかあさん」と名乗った――――――――――――――――――――。
247黄昏の…:04/07/15 23:25 ID:qYsd85uZ
 次に、御伽噺をしよう。
ガレキが一面に広がる荒れ果てた黄昏の街で、1人静かに鎮魂歌を歌う白い少女の話を。


 せかいがうまれて、いくねんものつきひがながれました。

かれらがじぶんたちのそんざいにぎもんをいだいてから、ずいぶんとたちます。

そのあいだも、かれらはしとしんせいをくりかえしました。

 しかしあいかわらず、だれにもどうすることもできませんでした。

でも、かれらは“おかあさん”のことばをしんじてまちつづけます。

 いつか、じぶんたちを、このあくむのようなりんねからときはなってくれる

“きゅうせいしゅ”があらわれるのを、ずっと、ずっとまっているのです。  

 ねがわくば、すべてのものに、せかいのかごとしゅくふくがありますように…。


 少女は歌い続ける。
このガレキが一面に広がる荒れ果てた黄昏の街で、1人静かに歌い続ける。
 もうずっと、朝焼けを待っているのに、まだそれはこない。
ずっと、ずーっとこの街は夕焼け色のままだった。まだ夜明けはこない。
 優しい夜明けはまだこない。朝焼けを隠し、一月の蒼い月は白く輝いたままだ。
黄昏を開く鍵を探したいけれど、少女はここから動くことはできない。
ずっと鎮魂歌を歌い続けなければならないから。鍵を見つけられるものは、ただ1人。
 移り気な夢見人…否、夢の守り人。 
248黄昏の…:04/07/15 23:27 ID:qYsd85uZ
「この光が、みんなの生命(いのち)の輝き…?」
 フワフワと漂う蛍火の様な無数の光。
ブラックローズの掌に乗ったかと思うと、彼女の傷を癒すかの様に次々と集まってくる。
「えッ、ちょ、ちょ…!?」
 傷口近くを漂う光に対し、戸惑いを覚えるブラックローズ。
「晶良、大丈夫だから!」
 遠目からカイトの声が聞こえる。ここは彼を信じた方が良いのかもしれない。
「あ…あったかい…?」
 光が1つ身体に染み込む度に、回復していゆく各種ステータス。
いや、それだけではない。各種パラメーターも…。
「あ、あがってる…!?」

 ブラックローズが驚きの声をあげる中、カイトとミアの睨み合いは続く。
「フッ、フフッ…! どうやったかは知らないけど、まさか生き返るなんてねぇ」
「往生際が悪いんだ」
 黄昏色のオーラが膨れ上がり、練り上がり、2本の光剣を生み出す。
それを手中に収め、静かに構えを取るカイト。ミアも驚嘆しつつ、構える。
「(オーラを練って武器を生み出す…か。ボスキャラ並の芸当だねぇ)」
 暗黒のオーラを剣に絡みつかせ、ミアが小さく吠える。

「キミもアレかな? 正義とか何とかくだらない理由で戦うのかな?」

「僕は、闇を切り裂き…光を齎す。ただ、それだけだよ…ミア」

「フ〜ン。その闇ってのはボクのことだよねぇ?」

「嗚呼、君は闇だ。だから、僕は君を開放してあげなくちゃいけない」

「フフフ…アッハハハ! やってごらんよぉ!!!!!!!!」
249黄昏の…:04/07/15 23:28 ID:qYsd85uZ
 激突。切る。斬る。伐る。KILL。
光と闇のオーラがうねり、その波動のひとつひとつが窮極の一撃となって両者に疾る。
 
「我ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「殺ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 ある瞬間は殴り、ある瞬間は蹴り、ある瞬間は斬る。
光と闇が交差して、また新たな光と闇を生む。恐ろしくも、幻想的な光景だった。

「キレイ…」

 カイトを失い、先程まで発狂寸前だったブラックローズも、
ただただ彼がコロシアムを飛び交うのを呆けて見ているしかなかった。
 あの間に割り込んだら、きっと9999のダメージを受けて消し飛んでしまうだろう。
あの2人に、HPなど最早関係ない。どちらかが消滅するまで、ひたすらに互いを
傷つけ、蹂躙し、犯し、浸食し、辱める。なのに、どうして…。

「どうして、こんなにキレイなの…?」

 光のヴェールがブラックローズを守ってくれている。
だからカイトは容赦なくミアに立ち向かえる。彼には見えていた。
呪文使いの少年が、晶良を守る様に立ち塞がっているのを。
本能的に「あぁ、あれが晶良の…」と思えた。だから、任せられる。

「ドレイン…スラッシュッ!!!!!!!!!!!!!!!」
「ダァーク…リボルバーッ!!!!!!!!!!!!」

 イリーガルな双剣技と片手剣技が衝突する。光と闇が奏でるロンド。
まるで、舞い踊るかの様な2人の動き。ウィルスバグの観客達は、固唾を呑んで見守っている。
 自分達にとっての救世主がどちらなのか、見極めるために…。

250黄昏の…:04/07/15 23:33 ID:qYsd85uZ
今日、ポケモン見てたらムサシの中の人が
BTの中の人に変わってた。
ポケモンでBTとクリムの漫才見れるとは思わんかったわさ。
でも出番少なかったのは、やっぱり大人の事情が…?
251名無しさん@ピンキー:04/07/16 22:41 ID:D7sP5P9U
>>
ほんと、芸風変わったな。by楚良
では、
>>245の続き。

252名無しさん@ピンキー:04/07/16 22:43 ID:D7sP5P9U
>>245の続き。

「ねぇ、晶良。埋め合わせ、いま、してほしいな」
「別の…、ことじゃダメぇ?」
 語尾を上げ、明るくかわいく小首を傾げて言うが
「だ〜め」
「ヴ〜。わかったわよ。もう。強引なんだからぁ。じゃ、着替えてくる」
「ダメだよ。ぼくの目の前で服を脱いで、エプロンつけて。さあ」
「エッチ! あ〜ぁ。なんで、アタシ、こんな色欲超将軍と結婚しちゃったんだろ。はぁ〜」
 ため息をつきつつ、Tシャツを一気にまくり上げる晶良。薄いピンクのブラがまぶしい。すぐにエプロンを手に取り、首にかけてしまう。
「あっ、ずるいよ」
「なぁにがよぉ。お日さまの下で裸になるのなんて、恥ずかしいわよ」
 口を尖らせ、こちらをにらみつけながら、晶良は手を背中に回しブラをはずした。
「や〜い。見えないでしょ?」
 羞恥心を隠すように精いっぱい強がる晶良。
「これでいいんでしょ?」
「まだ、パンティが残ってる…」
「全部脱がなきゃ、ダメなのぉ」
「そりゃあそうだよ。せっかくのプレゼント、贈ってくれた人の気持ちを踏みにじるわけにはいかないよ」
「そおいう問題、なの?」
「違うけど…。やっぱりさ、裸エプロンは男の夢、新妻の義務だもん」
「なによぉ、義務ってぇ。ん〜、そこまで言うなら…。そんなにしてほしいんなら…。仕方ないなぁ」
(わぁ〜い。晶良。ぼく、頑張るからね! 海綿体に血液が集まっていくのがわかるよ、いや…その、勃ってきちゃった)
 火を噴くんじゃないか、というくらい顔を真っ赤にしてパンティを降ろす晶良。
「…これで、いい?」
「ん。じゃあ、座って」
253名無しさん@ピンキー:04/07/17 16:36 ID:5fXIPGbg
>>252の続き。

 もじもじしながら黙って椅子に座る晶良。ごくりとツバを飲み込む。Tシャツを脱いで上半身裸になり、晶良の前にひざまずく。
(背中の傷、見せたほうが罪の意識で抵抗を緩くするはず…)
 策士というか、ことSEXのことになると、やたらと知恵がまわる。
 ぴったりと閉じた足を力ずくで持ち上げ、肘掛けにかけさせる。大股開きのなまめかしい姿態になり、慌ててエプロン越しに股間を押さえる晶良。
「いま、気持ちよくしてあげるから、ね? 手をどかして」
「やだぁ。恥ずかしいよぉ」
「仕方がないなぁ。う〜ん、じゃあ…痛くしないからね、ね」
 さっき、晶良が背中の傷を拭いてくれたタオルをつかみ、右手と右足を肘掛けに縛りつける。
「やだっ、こんなの。怖いよっ」
 泣きそうな声をあげる晶良。でも、逆効果。ますます嗜虐の本能に拍車がかかる。手近にあったタオルをつかみ、今度は左手と左足を同じように縛る。
「怖くなんて、ないよ。やさしくするから。いっぱい、いかせてあげるから」
 エプロンを跳ね上げる。大事なところが丸見えだ。窓からさし込む太陽の光で柔毛がきらきらと輝いている。晶良は横を向いて俯き、目を閉じて恥ずかしさを必死にこらえている。
(明るいなかでするのって…、よく見えてすごく興奮するんだけどなぁ。晶良は夜のベッドルームでもすぐ暗くしたがるけど、男と女の違いってあるのかな)
 いきなり唇を"そこ"に押し当て、舌でまさぐる。
「くぅ、…あっ、だめ、ぇ」
「なんだ、もう濡れてるよ? 晶良」
 ピチャ、ズルっ、ヂュル、チュゥっ、ペチャ…じらすことなどせず、ピンポイント・アタック。どこが感じるのかは熟知している。思ったとおり蜜がしみ出てくる。
 晶良は切なげに苦しげに上体を折り曲げ、唇を噛んで快楽の波に抵抗する。
「ねぇ、晶良。一緒に気持ちよくなろうよ。我慢は体に毒だよ」
「そ、そんなこと、言ってぇ…。はぅっ、あっ、いい…」
 言葉を出した瞬間、それまで堪えていた気持ちがほどけたのか、あえぎ声とともに愛液があふれ出す。会陰をつたい、桃色の菊花を濡らしていく。
(このまま突っ込んじゃいたい、けど。…でも、まだまだ。より高いところから落としたほうが激しく壊れる…)
254名無しさん@ピンキー:04/07/18 00:14 ID:PyrWyQmh
>>253の続き。

 すっと晶良から離れ、テーブルの上の例のものを手に取る。"それ"にコンドームをつけて、スイッチを入れる。その動きを目で追う晶良。恐怖? 羞恥? それとも期待?
「ヴィ〜ン」と低い唸りをあげて、それはくねりだした。「静音タイプ」と書かれている割に音が大きく感じられるのは、マンションの遮音がしっかりしているせいか、それとも集中しているからだろうか。
「いやぁ。こ、怖い…。やめて、…お願い」
 晶良の声は聞こえない。いや、耳に入ってはいるのだが、もう止まらない。鼓動は高まり、呼吸が荒くなってくる。それが、わかる。
 手元のダイヤルを操作し、動きをミニマムにする。右手にそれを持ち、左手で晶良の肩をつかんで体を起こす。上から見下ろす。
 すがるような目には涙があふれ、いまにもこぼれ落ちそうだ。
「やぁ…」
 なおも懇願する晶良。いたたまれず、というか、欲望に忠実に視線をはずし、濡れそぼった秘所を見つめながら、右手のバイブレーターを近づけていく。
「や、やっ、やぁ」
 晶良の秘所にバイブレーターが押し当てられる。入り口をめくりあげるように動く"それ"。
(…入れたい…、奥まで入れて、かきまわしたい…。けど、もっと…、もっともっと晶良を感じさせたい…。乱れる姿を見てみたい…)
「どお? 晶良、いい?」
「やっ! あひっ。んあ〜、あっ、だめ」
 切なく漏らす晶良の吐息が、さらに気持ちを盛り上げてしまう。
(ぼくって…、Sなのかなぁ? 確かに、晶良のつらそうな表情を見ると、痛いほど勃っちゃうし…)
 グイっと右手を拳一つ分押し込む。ビクっと晶良がのけ反る。
「んあっ! あっ、あぁぁぁあ!」
255名無しさん@ピンキー:04/07/18 21:38 ID:PyrWyQmh
>>254の続き。

 黒いバイブレーターの根本には、赤い双剣士をかたどった5pほどの「おまけ」がついている。
(変なとこ、凝るんだなぁ。あの2人…)
 深く突き入れ、不規則に振動する「双剣士くん」を晶良のクリトリスに当てる。
「んあっ、あ〜っ、あひっ、い、ぃいい」
 ダイヤルを回し、回転速度を速める。「ヴィ〜ン」と音を大きくしながら、"それ"は「晶良」をかきまわしだした。…さらに動きを速めてみる。まるで、息をしているかのように激しく波打つ晶良のあそこ。
「どお? 感じる?」
「いやっ、そんなっ! あっ、あっ、あっ! だめぇ〜」
「…まだ、めいっぱい、じゃないのに…。こんな声、聞いたことないよ、晶良。…ぼくのより、いいんだ?」
 抜き差ししながら、ダイヤルをマックスに合わせる。音が、動きが、ひときわ大きくなる。
「そっ、そんなこと…、ないっ! あ、ひっ。けど…、けどぉ…、だめっ、い、いっ、いやっ…あぁ」
 右手は、「晶良」をえぐる右手は、晶良があえぐたびストロークを大きくしていく。抜けそうなところまで引き、奥に当たるまで深く押し入れる…。その行為を何度か繰り返してるうちに、晶良から、ふっと力が抜けた。
「…いっちゃった、かぁ」
 動き続けるバイブレーターに反応する晶良の体。ビク、ビクっと体を震わす。痙攣はやまない。
 …ずにゅっと音をたて、粘液の糸を何本も引きながら、バイブレーターを「晶良」から引き抜く。
「気持ちよかった? いっちゃった?」
 椅子に縛った左右のタオルをほどきながら問いかける。両足をダラリと投げだした晶良は
「あうぅ。…はぁぅ」
 と、うつろな目でうめくばかりだ。
(それでは、と。今度はぼくがいかせてもらおうかな)

256名無しさん@ピンキー:04/07/18 21:41 ID:PyrWyQmh
>>255の続き。

 ほんの少し間をおき、晶良の意識が戻りきらないうちに
「晶良。洗いもの、お願い」
 朦朧とする晶良。まともな判断はできないのだろう、言われるままに体を起こす。のろのろとシンクに向かう。お尻が丸見えで、なまめかしい。
(くぅ〜、これぞ裸エプロンの醍醐味)
 シンクにたどりついた晶良が蛇口に手をかけたところで、愛撫を開始。右手はお尻を撫でまわし、エプロンの脇から左手を入れ、おっぱいを揉みしだく。首筋に唇を当て、さらに軽く歯を立てる。
「ああん。だぁめぇ。洗いもの、できないぃ」
「いいから。それより、ぼくのこと、気持ちよくしてもらうからね」
「…口ですれば…いいの?」
「そのまま、立っててくれれば、いいよ」
 お尻の割れ目の上部から、背骨に沿って一気に首まで舌を這わす。
「あひぃっ」
 背中一面を嘗め、続いてお尻を攻める。
「足、開いて」
 無言で従う晶良。太腿に音をたててキスし、濡れた秘所を舌でまさぐる。
「お尻、突き出して。舌が届かないよ」
「あぁ…ん、恥ずかしい…」
 そう言いながらも従順な晶良。蜜を嘗めとるように舌を動かすと、晶良の両足はがくがくと震えだす。
 立ち上がり、左手でくびれたウエストをつかみ、ムスコを秘所に押しつける。豊かなお尻に右手の指をくい込ませ、一気に根本まで挿入。晶良の上体がのけ反る。
(立ちバックは、ううっ、角度がよく合う…よなあ。ああっ、気持ちいい)
「くぅ…はぁ…あ、あっ、あっ、あ〜ん」
「どお? ぼくのは」
257名無しさん@ピンキー:04/07/18 21:43 ID:PyrWyQmh
>>256の続き。

「あぁん…、これぇ、これがいいのぉ。…愛して…、いっぱ…い、愛してぇぇ」
 晶良の答えに大満足し、いきなり最大戦速で攻めたてる。両手でおっぱいを捏ねまわし、腰のグラインドはバイブレーターに負けていない。
 両手でウエストを押さえ、深く深く突き入れる。
「うっ、あっ、あっ────、あぁぁぁ」
 右手を前にまわし、クリトリスをなぞる。
「ひぃ、あひっ、感じ、ちゃうぅ、あ〜」
 突き上げるたび、晶良のかかとが浮き上がる。シンクの縁を握りしめ快楽の波に身をまかせる晶良。
 晶良の顔をこちらに向け、舌を絡めてディープキス。唇を離し、いよいよクライマックスだ。痕がつくほどウエストを強くつかみ、「晶良」を責めさいなむ。
 ぱんっぱんっ ぐぼぉ ぱんっぱんっ…
 キッチンにいやらしい音が響く。
「いくよっ! 晶良の中に出すよっ!」
「あ────っ、きてぇ、いっぱい…、いっぱい出してぇ〜」
 晶良の爪先が浮き上がるほど突き上げ、膣内に大量の精液をぶちまける。

 果てて精根尽き、晶良の背中に顔を落とす。2人とも肩を大きく上下させ、荒く息を弾ませている。
「ふぅ〜」
 満足げに息を吐いて、晶良から離れる。
 晶良はゆっくりと崩れ、膝を床に落とす。白濁した液が太腿をつたって速く遅く流れ落ち、フローリングにたまりをつくっていく。俯いて、それを眺め、
「シャワー…、また…浴びなきゃ…。今月、水道代…、大変そうだなあ…」
 ぼんやりとした晶良の頭の中で、そんな考えが浮かんで、消えていった。




          .hack//新妻悶絶 vol.1          <了>
258名無しさん@ピンキー:04/07/18 21:51 ID:stuU0O+V
職人様狂い悶えるほどGJ!
まさに怒涛の如く・・・萌え尽きますた・・・。
259807:04/07/20 07:39 ID:D+UgbHyO
しばらく見ない間に職人さんが増えてて嬉しいです。
>>194
遅レスながら…是非見たいですね。
休止状態のこっちの話は意識する必要は無いですよ。
260194:04/07/21 03:06 ID:hJqiwJDi
>>807
ありがたいお言葉ありがとうございます!
しかし、投下したいのはやまやまなのですが、現在当方ハラシマ中でして………。
スレの住人の皆様にお見せ出来るほどまだ書けていないのが現状です。
オフが片付いたらまとめてドバッと投下してもよろしいですか?
261薄明の新人作家:04/07/21 21:32 ID:wvPo7Clk
>>230の続き。

「あっ! はぁあ〜、あっあっ」
 呆気なくエルクはデータを吐き出した。総司の口を満たす「白濁した液」の形をとったデータを。
「思ったより楽しめなかったか? 総司」
「う、うう、うう〜ん、ううっ」
「おいっ、こぼすなよ、おまえ。大事なデータなんだからな」
「うん、うう〜ん、ううっ、う〜ん」
「何言ってんだか、わからん…。よしっ。半分よこせ」
 歳三が総司の唇を吸う。視界の端でその光景をとらえるエルク。
(ぼく…、どうなっちゃうんだろ…。こんな変な人たちに、何されるんだろ。ミアぁ、怖いよ…)
「どうだ、トシ。何か、わかるか?」
「うむ…。このデータは…よくない、味が…する」
「どういう、ことだ?」
「んぐっ、ぷはっ。んん」
 そのとき、総司は口の中に残された液体を飲み下し、つらそうな上目遣いでつぶやいた。
「トシゾーちゃん、だめっ。そのデータは…、そのワクチンには…、強固なプロテクトがっ」
「…その、ようだな。苦い…ってことは、ヤバイ」
「解析、できるか? トシ。それに、総司のほうは?」
 心配そうに問いかける勇。
「こっちは、普通のログ。行ったエリアなんかは、メモリしとくけど…。たいしたことはわかりそうに、ない」
 答える総司。視線は歳三に向けられる。
「だ、め、だ。このプロテクトは並みのヤツには破れん。ヘタ打つと、こちらが破壊されちまう」
「あ〜あ、何もわからんのか…。結局、総司がいい思いしただけか」
「そんなこともない。こいつが要注意キャラだってわかっただろ」
「でぇもぉ。ウチらじゃあ、手ぇ出せないっしょお」
262薄明の新人作家:04/07/21 21:33 ID:wvPo7Clk
>>261の続き。

「…だな。解放、してやるか」
 勇の言葉に、ほっと安堵の息をつくエルク。だが、
「記憶を消して、と。…あとは、楽しませてもらうか」
 凍りつくエルク。
「えっ? えっ? 何、するの…。やだっ、怖いのや、痛いの、きらい〜」
 悲鳴が、拷問部屋にむなしく響く。ニヤリと笑みを漏らす獄卒ども。
「前と、後ろ。記憶消去データのインストールは2か所から、だな」
 勇が振り返って歳三に言う。
「そういうことだ。総司は見るだけ、な」
「ずっるぅ〜い!」
「文句を言うな。いいだろ、さっき楽しんだんだから」
 歳三はそう言い捨てると、袴を下ろす。剥き出しになる男根。勇は全裸で待ち構えている。
「ひぃ…。やめてぇ〜」
 悲鳴を上げるエルクだが、もちろん聞いてはもらえない。
「では、トシ。おまえ、どっちにする」
「前! いや、待てよ。後ろも捨てがたいし。う〜む」
「意外と優柔不断だな。では、オレは後ろをいただくとしよう」
「…途中で、交代しない?」
 と総司。すぐさまユニゾンで
「ダメっ!」
 勇が、裸にひん剥いたエルクを四つん這いにさせる。顎を上げさせる歳三。
「やぁっ! やぁっ! やぁ───っ!」
 絶叫が響き渡る。そんなものは無視して、勇が無言で突き入れる。
 尻の穴が避けるんじゃないか、と思えるほど巨大につくられた勇のモノが、ズブズブと音をたてて沈んでいく。
「あぁ──────っ!!」
263薄明の新人作家:04/07/21 21:35 ID:wvPo7Clk
>>262の続き。

 悲鳴は、歳三が止めた。悲鳴の出口にモノを押し込んだのだ。
「んぐっ! ん──っ!! んっんっんっ」
「あ〜あ、さっさと注入しちゃいなさいよぉ」
 変態的な3Pを見つめながら、ふくれっ面の総司が文句を言う。
「慌てなさんな」
「そうそう。少しは楽しませろってんだ」
「男ってのは、これがいいんだろうなぁ」
「普通、男は男に突っ込んでも喜ばないと思う」
 と冷めた目の総司。
「そりゃ、そうか」
「まあ、いいや。おい、トシ。オレはそろそろ、いくぞ」
「うむ。こっちも準備OKだ。出すぞ」
 2人そろって、プログラムを強制インストール。どう見たって、射精にしか思えない行為だが…。

「じゃあな、ぼうや。これまでのことは…忘れるんだな」
「だれかに言ったとして、信じてはもらえんだろ? な」
「バイバ〜イ。また、今度、遊んであげるねぇ」
「………(こんな、の、ヤだよっ! もう、死んじゃいたい。ミアもいないのに…。あんな作戦なんか、出るもんかぁ〜!!」
 第七相タルヴォス戦を前に、エルクが持ち場を離れた真相がこれだった。<了>
264名無しさん@ピンキー:04/07/21 23:22 ID:io20Gn8R
>213
黄昏さんGOODJOBです。
SO3スレの方にもまたお願いします!!
265黄昏の…:04/07/22 16:34 ID:F0l+Glga
>>264
声援アリガト。
でもね、もうSO3全然やってないからサパーリ。
種も続編始まるらしいけど( ´_ゝ`)フーンって感じで
関心ほとんど沸かず。SS書く気もナッシング。
1年前と比べると余裕ないのはモロバレ。
.hackはまだ新企画あるみたいだけど…。
スレ違いの話題ばっかなんで、ここまでにしておくわさ。
266名無しさん@ピンキー:04/07/25 19:56 ID:PV1IVWe+
ほす
267名無しさん@ピンキー:04/07/28 00:42 ID:aJj2eUPl
保守上げ
268名無し:04/07/28 20:53 ID:xtJyBVQh
もっしゅ揚げ
26918Rの鷹:04/07/30 20:14 ID:CgnzNRuk

《予告編》

♪BGMは「Obsession」で。


「ぃやっ! 痛いっ! やめてっ! だめぇぇぇ!」

──青い性欲が、年上の女性たちに襲いかかる

「うっひゃ〜ぁ、ごっつう、ええモノもってるやんかぁ」

──ゲームのなかでは「伝説の勇者」

「出すよっ! 口、開けてっ! 舌出してっ!」

──リアルでは「一人の男」

──これは、少年が大人になっていく壮大なドラマである


「あ〜、SEXって、こんなに気持ちのいいものなんだぁ…」



          .hack//処女陵辱 vol.2          <近日投下>


270名無しさん@ピンキー:04/08/01 05:21 ID:s3HxVoLt
期待age
271黄昏の…:04/08/02 01:53 ID:7Ybh2puh
久々に>>249の続きとか書いてみたりして…。

「暑いなぁ…暑い暑い」
 窓際でうちわをパタパタと仰ぐ少年の姿が見える。
年の頃はもう17〜18歳くらいだろうか? スラリとした長身に、
少しバサボサ気味の髪が印象的に映る彼。焼け付く暑さに、思わず毒づいていた様だ。
「そう言えばあの時も…こんな風に暑かったけ」
 ふと、少年のうちわを動かす手が止まる。メールが届いたのだ。携帯を見やる少年。
「晶良からか…大学は楽しんでるかな?」
 カチカチと携帯のボタンを押し、メール本文を見る。
よかった、元気そうである。が、時折メールをくれるのは嬉しいのだが、
その反面少し不安になることもある。彼女の大学生活についてだ。
「美人になっちゃったからなぁ」
 これは少年の買いかぶりかもしれないが、確かに晶良は綺麗になった。
2年前よりもより艶やかに、より美しく。今でも継続させているテニスのおかげかもしれない。
「言い寄る男とかも多いんだろうなぁ…今頃になって心配になってきたよ」
 大学受験の対策に追われる中、胸中の女性のことを想うとやり切れなくなる。
とは言え、自分ももう限りなく大人だ。個人的な想いで彼女に固執するのは、あまりに
馬鹿げた行為だとすぐに気づく。自分の彼女への想いは嘘なんかじゃない。
「あの戦いが嘘みたい」
 もうあれから4年も立つ。最近は受験のせいもあってザ・ワールドはおろかPCさえ
触れていない。と言うより、今の自分にはもう扱えるPCなどありはしない。…と。

 ピンポーン。

「?」
 階下の玄関から響くインターホン。来客の予定はない。
272黄昏の…:04/08/02 01:54 ID:7Ybh2puh
「何かのセールスかな…父さんも母さんもいない時期に来られてもなぁ」
 気だるそうに1階へ降りる少年。玄関を開け、そこに立っていたのは…。
「おーっす!」
「…晶良? な、何で?」
「んー、今日、講義早く終わって暇だったから…来ちゃった」
 程よく日焼けした肌。4年前に比べて伸びた背と髪。
夏の薄着がとても魅力的な少女…いや、もう女性と呼ぶべきか。
「これ、お土産」
「アイス?」
 そう言えば近所のスーパーは今日、アイス半額だった様な…。
「あがっていいでしょ? お邪魔しまーす」
「どうぞ」
 玄関を閉め、靴を脱ぐ晶良。鳴れた様子で台所に向かい、冷蔵庫にアイスをしまう。
「これでよしっと」
 満足そうに笑みを浮かべる晶良。外は暑かったのだろう、額の汗を冷気で拭う。
「おじさんとおばさん、また出張?」
「ああ、当分帰ってくる気配なし」
 晶良と入れ替わりに、冷蔵庫から麦茶の入ったボトルを取り出す少年。
コップに注ぎ、彼女に手渡すと「サンキュ」と小さな返事が返ってきた。
「まぁ、座ろうよ。扇風機つけるからさ」
「おっけ」
 畳みに腰を下ろす少年と晶良。特に晶良はそのしなやかな脚が露になって…何と言うか…。
「エロい」
「は?」
「…何でもないです」
 前後不覚。ダメ押し気味に麦茶を喉に押し込む少年。暑いから余計に美味い。
「あは、もしかして…見惚れてた?」
 挑発する様に脚をさする晶良。テニスのおかげか、余計な肉は全くない。
273黄昏の…:04/08/02 01:55 ID:7Ybh2puh
 かつて彼女がブラックローズと名乗っていた時、ちょうどこんな感じだったかもしれない。
「まぁ、その…色んな意味でスイマセン」
「へえ、素直じゃん」
 晶良がケラケラと笑うのに対し、少年は少しだけバツが悪そうだった。
いつも見慣れている晶良なのに…最近ご無沙汰だったせいか、今日は一段と艶やかだ。
「ふふ、いーけどね。で、どーよ?」
「何が?」
「受験勉強よ。進んでる? もう判定とか出た?」
「暑くてダラダラしてたトコに晶良が来たんだけど…」
「つまりは全然進んでないってコト〜? ったく、相変わらずなんだから」
 仕方ないわねぇ、と晶良がフルフルと首を振る。少年は否定しない。
「まぁ、少しは教えてあげられるケド?」
「晶良が? 何かすごい不安なんですケド?」
 皮肉っぽく、彼女の語尾を真似てのささやかな反抗。少年も負けない。
「はぁ…ま、アンタのペースでやってるんならソレでいいけどね」
「そうさせていただきます」
 どうも彼女には頭があがらない…少年はそう割り切っていた。だから素直になれる。
「晶良こそどうなの、大学」
「ん、まぁ2年目だしねぇ…まだまだこれからっしょ」
「言い寄る男とかは?」
「全部お断りしてるわよ…『私にはもう好きな人がいます』ってね」
「それはどうも」
 解り切ったことを聞くんじゃない、と言わんばかりに晶良が笑う。
4年もの付き合いを経てなお、彼女の魅力の奥深さには言葉がない。
 あの時、2人で乗り越えた難関があるからこそ、今の自分達がいる…。
「どしたぁ?」
「いや、晶良は大人になったなぁ…って」
「酒とタバコはやってないわよ」
 こういうところも実にらしい。
274黄昏の…:04/08/02 01:57 ID:7Ybh2puh
「でもま、あの頃は毎日ガムシャラだったもんねぇ」
「嘘みたいだよね、僕らが世界を救ったなんて」
「そうよねぇ、救世主だもんね、アンタ」
 再びケラケラと笑う晶良。少年は少し戸惑いつつも、照れている様だった。
「自慢できないのが悔しいよ。『私の彼氏は世界を救いました』…ってね」
「それ、本気で言ってる?」
「でも悪い気はしないでしょ」 
 そう、4年前…少年は確かに世界を救った。仲間達と共に。
今ではそのパーティ名は神格化され、一部のネットで伝説と化していた。
 その名を…。
「懐かしいわねぇ…そうでしょ、.hacker…んにゃ、勇者カイト君?」
「もう1人忘れてるよ…重剣士のブラックローズをさ」
 そう、4年前のあの日、カイトとブラックローズは…。


「ミアァ――――――――――――――――――――――――ッ!!!!!!!!!」
「カイト――――――――――――――――――――――――ッ!!!!!!!!!」

 ぶつかり合う光と闇。もう幾度ぶつかり合っただろうか?
舞う様に、踊る様に繰り広げられる乱舞。その一撃一撃が9999のダメージを秘めて
いてもおかしくない。近寄れば死は免れない…まさに限界を超えた戦いだった。
「(くそ、このままじゃ駄目だ!)」
 拮抗状態が続く中、ついにカイトは悟った。このままでは一向にケリは着かないと。
ではどうすればよい? あの邪悪な闇を打ち滅ぼすには、どうしたら?
「あき…ブラックローズ!!!」
「えッ、私?」
 呼び止められ、少し間の抜けた声をあげるブラックローズ。
傍らにはアウラをしっかりと抱き、臨戦態勢は崩していない。
275黄昏の…:04/08/02 01:59 ID:7Ybh2puh
「ブラックローズ…力を貸して!」
「ち、力って?」
「僕と一緒に…データドレインを撃ってほしいんだ」
 金色のオーラで防御壁を張りつつ、ブラックローズの隣りに跳ぶカイト。
嘘でも冗談でもない…こうなったら本当に最後の賭けに出るしかないのだ。
「ブラックローズじゃなきゃ…ダメなんだ!」
「カイト…」
 彼の目は真摯だった。そう、自分はまさにこの瞬間のために彼と
共にあったのだと、ブラックローズは直感した。輝く彼の手を…とる!
「いいわよ…こうなったら、とことん付き合ってやるわよッ!!!!!!!!!!」
「イリーガルな僕と一緒にデータドレインを撃てば…
ブラックローズのPCも崩壊するかもしれない。それでもいい!?」
「それが何!? そんなの、また作り直して再登録すればいいだけじゃんッ!!!」
 力強く、握り締める…彼の手を。その輝きは一層増してゆく…。
「ありがとう……絶対に、これで終わらせよう!!!!!」
 ブラックローズと繋いだ手を、ズイと突き出すカイト。
巨大な金色のオーラがうねり、波動となってコロシアム内に煌めく!

「バ、バカな! 人間如きが、どうしてッ…!?」
 驚嘆の声を漏らすミア。今や最強であるはずの自分が…滅びる!?
「僕達が…人間だからだよ、ミア」
「アンタには解らないでしょうけどね」
 静かに構え、データドレインを放つ体勢を整える2人!
「絶望を切り裂き、希望で闇を照らすもの…それは光!」
「光と共に煌めき、永久に輝き続けるもの…それは命!」
 ズィッと突き出される2人の手が、ターゲットをミアに定める!
「その大いなる力をッ!」
「僕らの拳に込めてェ!」
 収束する生命の輝き。究極にして最強最後のデータドレインが、今――――――――。
「「今、必殺のぉ…ダブル・ドレイ―――――――――――――――――――――――ンッ!!!!!!」」
276黄昏の…:04/08/02 02:01 ID:7Ybh2puh
前半、エロ展開があってもいいかも…と思いつつ、
後半はラブラブドレインでシメ…期待してた人スマソ。
それでは、おやすみなさい。
277名無しさん@ピンキー:04/08/02 02:04 ID:/Eiynkzk
りっ、リアルタイムでミチャッタヨー

GJです。
278名無しさん@ピンキー:04/08/03 18:49 ID:j2f97+Oq
期待age
279名無しさん@ピンキー:04/08/05 19:48 ID:KdwFy+dB
>>278
禿同!!
280名無しさん@ピンキー:04/08/07 01:24 ID:shwlIr46
早くキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!ageしたいなあ…。

つーわけで、俺も期待age。

281名無しさん@ピンキー:04/08/07 02:07 ID:Vu1QsF1S
282名無しさん@ピンキー:04/08/07 19:44 ID:7Lb8UvtX
28318Rの鷹:04/08/08 00:53 ID:GpZH/w/U






     ”彼”に蹂躙されし麦畑に背を向けて
     影持つ娘のつぶやける
     ”きっと、きっと帰るゆえ”
     されど、娘は知らざるなり。
     旅路の果てに待つ真実を。
     彼女らの地の常しえに喪われしを
          <Eroparo of The Twilight>



          .hack//処女陵辱 vol.2          <開始>



28418Rの鷹:04/08/08 00:55 ID:GpZH/w/U
 メール着信に気づいて、折りたたみ式の携帯を開いたのは放課後、部室に向かう途中だった。きょうは3月2日、金曜日。合否発表の日。
 大丈夫、と信じてはいても、心臓がドキドキする。目を閉じて祈ってから携帯を操作する。
「うん、やったねっ!」
 返信しようとしてキーを押していくが、気が昂ぶってうまくいかない。
「ん〜、もぅ」
 口にする悪態とは裏腹に、その文面は甘さが隠せない。送信ボタンを押して、ほっと息をつく。右手をギュっと握り、小さくガッツポーズ。体の底から力が湧いてくるような感覚に襲われる。きっと、きょうの練習は充実したものになるだろう。
 彼からきたメール、彼女が送ったメールは──

件名:やったー!
──合格したよっ!
──これで4月から高校生。
──お祝い、よろしく、なんてね(笑)。
──速水さん、早く声、聞かせて、ね。

 件名:おめでとう!
──よかったぁ。安心したよ。
──これから練習だから、あとで電話するよ。
──アタシもアンタの声、聞きたい。
──お祝い、春休みに、ね。

 アップから全開。声を張り上げ、目いっぱい動きまわったら、あっという間に練習終了の時間になった。片付けは1年生がやってくれる。来月になれば、もう3年生だ。
 ダッシュで部室に戻り、あたふたと着替えを終える。鞄を抱えて自転車置き場へ行こうとすると、
「お疲れさまですっ」
 という後輩の声に混じって、
「晶良ぁ、なに、そんなに急いでるのよ〜?」
 ニヤリとしながら理沙が話しかけてくる。
「あ、うん…」
 とっさに言い訳が出てこない。
28518Rの鷹:04/08/08 00:57 ID:GpZH/w/U
「ははあ。さては、年下の彼氏のこと、だなぁ」
「まあ、そうなんだけど…」
「すっかり、乙女モードですなあ、速水さん」
 からかうように理沙が言う。
「高校、受かったんだ。だから、おめでとう、って言ってあげたくてさ」
 彼に交際を申し込まれ、はい、と返事をした翌日には、勘のいい翔子にバレてしまい、逐一報告させられる羽目になってしまった。恋愛初心者の晶良だけに、例えるならライオンの群れに投げ込まれたウサギみたいなもの。2人だけの秘密なんてもてやしない。
 それでも、何かにつけアドバイス、というかお節介を焼いてくれる、ありがたい友達ではある。
「そんなに慌てなくても、彼氏は逃げないわよ。焦らすのも、恋の駆・け・引・き。どうよ、肉まんでも食べてかない?」
「いやあ。やっぱり、帰るよ」
「食い気より色気ですな、速水さん」
「ははは」
 引きつった笑いを残して理沙から逃げ、自転車にまたがるや立ち漕ぎで全力疾走。脇道にそれて自転車を止め、周囲をきょろきょろと見まわして、携帯を取りだす。
 呼び出し音が鳴るかどうかというタイミングで彼が出る。
「はいっ! 速水さん?」
「うん。合格、おめでとう」
「ありがとう。ねぇ、今度は、いつ会える?」
「う〜ん…。期末テストが終わらないことにはねぇ。18日の日曜日はどう?」
「ぼくはだいじょぶ、だよ」
「そっか。じゃあ、前の日に電話するよ」
「うん。速水さん、赤点、取らないよ〜にね(笑)」
「コイツぅ、生意気言うな」
「あは。あ、あの、速水さん。好きだよ」
「ばか。まだ外なんだからね。恥ずかしいでしょ」
「速水さんは?」
「………」
「ねえ?」
 少年の無邪気さ、強引さに晶良は顔を真っ赤にして、
「アタシも、好きだよ。…じゃあ、またね」
「うん。さよなら」
 2人とも、あまり電話で長く話すことはない。途中、ふっと訪れる沈黙が好きではないのだ。会って話しているときには、会話が続かなくなっても、じっと見つめあっているだけで結構幸せだったりするのだが…。
28618Rの鷹:04/08/08 00:59 ID:GpZH/w/U
 期末テスト最後の科目が終わって、ほぉ〜っとタメ息をついて机に突っ伏す。
「あ〜きらっ。新しくできたケーキ屋さんに行ってみない?」
 理沙が誘ってくる。顔を上げると、翔子と美穂と3人、ニコニコしながら帰り支度を済ませて立っている。
「うんっ! 行く行く。ちょっと待ってて」
 急いで鞄に教科書やノートをしまう。どうせケーキが目的なのではなくて、3人のメインディッシュはアタシの"ラブバナ"なのはわかっているが…、のろけたい気持ちだって、もちろんある。
 それに、きょうくらいは羽を伸ばしたい。テストの手ごたえも悪くないから、よもや追試なんて心配しなくてもよさそうだし。
「ところでさあ、晶良。ちゅ〜ぼ〜の彼氏とはどうなのよ?」
 2皿目のケーキをぱくつきながら美穂が聞いてくる。
「まあ、順調かな。あっ、もう高校生だよ、アイツ」
「そっか。じゃあ、お祝いしないとね?」
 翔子がやさしい口調で投げかけてくる。すかさず、
「それでは、リボンを買いに行きますかぁ」
 と、理沙がニヤニヤしながら言う。意味がわからず、
「えっ? なんで? どーしてリボン?」
 聞き返すと、理沙と美穂がユニゾンで、
「プレゼントはア・タ・シ。きゃははははっ」
 一瞬、きょとんとする晶良だが、意味を理解すると顔を赤らめ下を向いてしまう。
「晶良。あながち冗談でもないよ。彼に『お祝いは晶良が欲しい』って言われたら、心の準備、できてる?」
 真面目な口調で翔子が聞いてくる。
「…まだ、晶良って呼ばれたこと、ないもん…」
「ごまかさないの。…って、ここじゃ話しづらいか。ウチ、くる?」
 まったく、翔子にはかなわない。付き合ってるのが祐士みたいなヤツだというのに、恋愛関係は頭が上がらない。
 翔子の家にはだれもいない。母親は働きに出ている。なのに翔子は
「ただいま〜」
 と声に出して言い、アタシたち3人は
「おじゃましまぁ〜す」
 と挨拶してしまう。翔子の部屋で他愛のないおしゃべりに興じる。しばらくすると、翔子が飲みものを持ってきてくれた。
「待ってましたぁ」
 美穂がうれしそうに声を上げる。お盆の上には4本の缶ビール。
「お茶とかジュースとか、ないの?」
 とアタシ。
28718Rの鷹:04/08/08 01:01 ID:GpZH/w/U
「晶良のために持ってきたのになぁ。気が楽になるよ。まあ、飲んで」
「かんぱーい!」
 いつの間にかプルトップを開けた缶を渡され、一口飲んでいた。おいしくない…けど、ぽ〜っとして気持ちが緩んでくる。
 翔子は窓を少し開け、バッグから緑色のタバコの箱を出して1本を口にくわえ火をつけた。
「ふぅ〜」
 と煙を吐き出す翔子が、やけに大人っぽく見える。美穂が窓の近くに場所を移し、
「私もぉ〜」
 と言ってタバコを出す。こちらは背伸びしている女のコ、という感じ。
「翔子、美穂。タバコ、喫ってたの?」
 驚いて聞くアタシに
「うん。祐士がね、した後に彼女がつけてくれたタバコを喫いたいなあ、って言うからさ」
「えっ、"した後"って?」
「セックス、した後」
 はっきり言われてしまって、一気に顔が真っ赤になり絶句してしまう。なんだって、翔子みたいないい娘が、そんなことできちゃうんだろう。
「私はねぇ。やった後に彼がぁ、あんまりおいしそうに喫うから、私もと思って」
 やった後って、とはもう聞かない。かわいい顔して、やることはしっかりやってるんだ、美穂も。
「まあ、晶良はやめときなよ。スポーツするのに、いいことないからね。それに、彼氏にもタバコ喫わしちゃダメよ」
「うん」
 翔子に諭されるまでもなくタバコは嫌いだ。それでも素直に返事をしてしまう。
 と、それまで黙っていた理沙が、
「ねぇ、晶良。ケーキ屋さんの話の続きなんだけどさあ…。彼に、したいって言われたら、どーするの?」
 と核心を突いてくる。ビールのせいだろうか、頭の中がぐるぐる回る。答えは出てこない。
「晶良はきれいなままでいてほしいなぁ、私は」
 と理沙。すかさず美穂が
「理沙ったら、そ〜んなこと言ってぇ。先、越されたくないだけでしょ?」
「あっ、バレた!?」
 頭をかいて、てへへっと笑う理沙。…ったく、もお。翔子が話を戻す。
「どうせ、近いうちに会うんでしょ。晶良が欲しいって言われたときには、パニックにならないようにね?」
「…はあ」
「頼りないなあ。コートの上とは別人みたい。晶良。もうマッチポイント、なのよ」
「え〜っ!? そうなの?」
288名無しさん@ピンキー:04/08/08 10:43 ID:4Z7YKayG
>>283
18Rの鷹さん乙!
続き期待あげ
28918Rの鷹:04/08/08 23:58 ID:GpZH/w/U
「そうよ。するのも、しないのも、晶良次第よ」
「でも、そんなこと、言われないかもしれないし…」
「往生際が悪い娘ねえ。じゃあ、そう言われたと仮定して、晶良がOKしたとして、ね。避妊はちゃんとしなさいよ。向こうも初めてだろうから、そういうとこまで気がまわらないかもしれないし、ね」
「そんなこと言われても…。保健体育で習ったけど、具体的に考えたこと、ないもん…」
「それはそうか。ちょっと待ってて」
 翔子は机の引き出しの奥から何かを出し、それを2つ渡してくれる。
「なに、これ?」
「コンドーム」
「…なんか、さ。しなきゃ、いけないみたいな展開、だよね?」
「ん〜。みんな、晶良には幸せになってもらいたいんだよ」
 もう、どうでもいい。ビールのせいにしちゃえ。
「そっか。ありがとね」
「だけどさ、翔子。彼、ゴムつけてる余裕あるかな?」
 と美穂。きっと自分も同じような経験をしたのだろう。
「そうだねえ」
 と言って、翔子は握った拳を口の前に持ってきて考え込んでいる。
「晶良、次の生理はいつ?」
「ん〜と。4月1日から」
「じゃあ、ね。前の日にすることね。リスクは最小限にしとかないと」
「はあ。そういうものですか、翔子さん」
「まったくぅ。晶良、赤ちゃん、できちゃったら困るでしょ? 悲しい思い、したくないでしょ?」
「それは。…もちろん」
「いっそ生理中にするってのも、ありかな」
 想像できる範囲をとっくに超えている翔子の発言に、美穂が反応する。未経験の理沙は勉強のつもりか、じっと聞いている。
「あり、ありぃ。"滑り"がよくなるからねぇ。あっ、でもケチャマンじゃ、彼が引いちゃうかな」
 あけすけな会話にボー然とするしかない。言ってる意味は、よく考えればきっとわかるとは思うが、いまは考えたくない。残りのビールを一気に飲み干す。
290名無しさん@ピンキー:04/08/09 00:01 ID:vw6rWvXZ
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!い以上age。
29118Rの鷹:04/08/09 22:43 ID:FVoSRlSE

「…痛いの、かな?」
 いつの間にか、する気になっている自分がそこにいる。
「私はそうでもなかったけど…」
 と翔子。美穂は
「痛いのなんのって。あんなおっきいモノ、入るわけないって思ったもん」
「やっぱ、祐士のって小さいんだ…。はぁ〜。あっと、そんなことはどうでもいいけど、大丈夫だよ、晶良」
「赤ちゃんより大きいってことはないんだしぃ」
「そうそう。それで死んだ女っていないんだから(笑)」
 さんざん言われ放題言われ、ことの顛末の報告まで約束させられ、家に帰り着いたのは夕食直前だった。
 家族全員そろっての夕食は楽しげな会話が弾んでいるが、晶良はそれに入り込めず、うわの空だ。
「ごちそうさま」
「どうしたの、晶良? ご飯、残すなんて」
「ん〜。帰りにケーキ食べてきたから」
「ケーキは別腹だろ、ねぇちゃん」
「具合、わるいのか?」
「えっ、大丈夫だよ。なんともないから」
 そう言って部屋に戻り、ベッドに横になる。翔子の家での話が頭の中でいったりきたりを繰り返している。食卓はまだにぎやかだ。
 翔子たちの話がフラッシュバックする。
「よ〜く愛撫してもらって、びしょびしょになるくらい濡らしてもらうんだよ。そうすれば、初めてでもスムーズに挿入できるし、痛みも少なくてすむよ」
「焦っちゃダメよ。2人して舞い上がっちゃうと、うまくいかないから」
(…はぁ〜。抱きしめられてキスするだけで十分なんだけどな、アタシは。でも、男のコって、違うのかな)
292名無しさん@ピンキー:04/08/10 02:36 ID:os7TxfAo
>>291
乙です。
…なんとなく、一人で始めそうな感じがするのはアキチだけ?
29318Rの鷹:04/08/10 22:43 ID:ff020MRL

 考えても答えが出るはずもない。またタメ息が漏れる。左手を胸に当てる。
(小さい…。こんなのでいいのかな、がっかりされたりしないかな…)
 指を動かし揉んでみる。指を押し戻すような弾力。ブラのホックを外し、直接触れる。人差し指の腹で乳首をなぞると、思わず声が漏れてしまう。
「はぁ〜、くぅ〜ん」
 右手をパンティの中に入れ、控えめに秘所をまさぐる。
「あっ」
(濡れてる…。アイツ、やさしくしてくれるかな…)
 ファーストキスをした後で覚えた指遊び。いけない、と思ってもやめられない。部活で体を動かした日は、全然そんな気にならないのだけれど。
 彼のことを思いながら、指の動きを速くする。
(ダメぇ、声出ちゃうよぉ)
 左手を胸から離し、枕元に置いたスポーツタオルを取る。それをくわえて声が漏れないようにする。だれかが2階に上がってくる気配は、ない。
 敏感な突起に指を押し当てると、晶良はビクっとして体を反らせる。
「うっ! うっ、うぅっ、ぁぐっ」
 まだ、膣に指を挿れることはない。それでも十分な快感は得られる。
 指が円を描くように突起を撫でまわす。その動きは次第に速くなり、激しさを増していく。
「! っ! あひぃ、いい、…あっ!」
 到達したものの、気持ちは満たされない。息の乱れはすぐにおさまる。
 パジャマに着替え、机に座ってパソコンのスイッチを入れる。秘密のフォルダの"鍵"を開け、一番好きな写真のファイルをクリック。楽しそうに笑う自分、そして彼。その写真をしばらく見つめてから、
「うん!」
 と晶良はうなずく。幽霊とかUFOとか、正体のわからないものは怖いけど、大好きな彼と抱きあうことを怖がってるなんて変だ。
 心は決まった。晶良はもう一度、大きくうなずいた。
29418Rの鷹:04/08/11 22:17 ID:rHo/9ht3

 日曜日。待ち合わせの5分前に着いたというのに、彼はもうそこにいた。ザ・ワールドで出会ってすぐのころ、『女のコ、待たせたらルール違反よ!(笑)』とアタシが言ったのを覚えていた彼が、リアルでは絶対に遅れないからね、と言って笑ったのを思い出した。
 晶良に気づくと彼は右手を上げ、ゆっくり大きく振りながら小走りで近づいてくる。
「お待たせ」
「久しぶりだね。速水さん」
「あれっ、アンタ、また背ぇ、伸びた?」
 初めて会ったときは同じくらいだったのに、今では10pくらい高くなっている。まだ1年もたっていないのに。それに、胸板もひとまわり厚くなっていて、晶良をドキッとさせた。
「速水さんは、きれいになったね」
「お姉さんをからかうもんじゃないわよ」
 えっ? どうして? という表情から冗談とか社交辞令でないことがわかる。少し顔を赤くし、
「人前でそーいうこと言わないの。バカップルみたいでしょ」
 そう諭すと、すごくいい笑顔を返してくる。
「うん、ごめんね。2人きりになったら、いっぱい言うよ」
「ん、もう。恥ずかしい、でしょ」
 彼に手を握られ、
「さあ、きょうはどこへ行こうか」
 その手を握り返して歩きだす。
「ん〜。おいしいもの、食べにいこっか」
「速水さんとなら、何食べてもおいしいよ」
「アタシも、よ」
 …バカップル…
29518Rの鷹:04/08/12 22:14 ID:BM4W/Vhb

 太陽が西に傾いていく。2人で過ごす時間は、なんて短く感じるんだろう。デートの最後に別れる駅の近くの公園。ここには死角になっているポイントがあり、2人のお気に入りだ。
「ん…、んん…」
 きつく抱きしめられ、重ねられた唇から切なく吐息を漏らす晶良。半分だけ開いた目。
「きれいで…かわいくて…、すごく心配になるんだ」
 彼が耳元でささやく。耳にかかる彼の息がくすぐったい、というかゾクっとする。
「…心配って?」
「だって、ほかのだれかに取られちゃうんじゃないかって…」
「…ばか。アタシが好きなのはアンタだけ、だよ」
 おでことおでこをくっつけ、目を見つめて言う。
「うん」
「安心した?」
「少し」
「なんで。アタシのこと、信じられない?」
「そうじゃなくて。信じてるけど…。きれいで、かわいくて、やわらかくって…。やっぱり心配」
「もぉ。お姉さんを困らせないの。じゃあ、さ。デブになろっか」
「…そおいうのが好きな人もいるからなぁ。じゃなくって、ぼくは今のままの速水さんが好き」
「だいじょおぶ。アタシも今のままのアンタが大好き。ねぇ…」
 そう言って唇をねだる晶良。持ち上げるように抱きしめられ、夢中でキスをする。
29618Rの鷹:04/08/12 22:16 ID:BM4W/Vhb

 遠くに話し声が聞こえ、キスを中断。公園の中のベンチに場所を移す。彼の肩にちょこんと頭を乗せて、上目遣いに目を合わせる。
「ねえ。合格のお祝い、何がいい?」
 少しの沈黙の後、
「…速水さん」
 トクン。…きた。きてしまった。覚悟は決めていた、そのつもりなのに言葉が出てこない。
「速水さんが、欲しい」
 目をそらさずにもう一度、彼が言う。いいよ、という言葉に重りがくくりつけられたかのように喉の奥に沈んでしまって、出てこない。少し心細げな目をして彼が
「ダメ?」
 と聞いてくる。
「…いい、よ」
 やっと言えた。途端に彼の笑顔が弾ける。本当にうれしそうな笑顔。どうして、この人は笑顔だけでアタシを安心させてしまうのだろう。ほっとした気持ちで彼に聞く。
「31日、会える?」
「うん。うん!」
 彼は周りを見て、だれもいないことを確認すると、そっとキスをした。
297名無しさん@ピンキー:04/08/13 17:34 ID:qg4siOyr
イイ
29818Rの鷹:04/08/13 22:35 ID:fMaiRWqJ

 その日は薄曇りで、少し肌寒かった。新しい下着を身に着ける。胸がドキドキする。脱がすのにあまり手間取らせないように気を使いながらの服選び。そんなことを考えると、ますます胸が高鳴る。最後に、うぐいす色のスプリングコートを着て家を出た。
 2人とも家族と一緒に住んでいるのだから、どちらかの家で、というわけにはいかない。都合よく留守番、なんてことはないのだ。泊まりがけの旅行なんて無理。
 となると。
(ホテル、かなあ。アイツ、そんなとこ知ってるのかな。まさか、経験あるとか…ないよね?)
 待ち合わせ場所に向かう電車の中でも、頭の中はそのことでいっぱい。テニスの試合のほうが全然緊張しない。
「…初めては一回しかないんだもの。だから、今のその緊張も、ちゃんと覚えておくといいよ」
 1年半前、初めてレギュラーに選ばれた公式試合の前に言われた浅岡先輩の言葉を思い出す。
(いじめのこと、意識不明の文和のこと…、あの時はいろいろ大変だったけど、う〜、今のほうが緊張するぅ〜)
 いつものように先にきていた彼。いつもと同じように手を振って近づいてくる。そして、いつもと同じやさしい笑顔を見たら、緊張がほどけていく。
「どこ、行く?」
 そう聞く晶良の声は少し震えている。
「合格祈願のお守り、天神様に納めに行きたいな」
「あ、うん」
 新宿とか渋谷とかって言ってくると思っていたから、拍子抜けする。でも、気持ちはやわらいだ。
 電車の中。いつもと違って口数が少ない2人。少し混んできた電車が揺れたとき、いつもならドアに腕をたててかばってくれる彼が、この日は一瞬強く抱きしめてきた。
 駅に着いて、彼が
「先にお昼食べて行こう」
「…あんま食欲ないんだ。朝、しっかり食べちゃったから…」
 ウソ。トースト1枚だけ、それも無理して胃に入れただけ。
「うん。ぼくもそんなにお腹減ってるわけじゃないから…。行こうか」
 目的地まで、何もしゃべらず、無言で、突き進む。
(うわぁ…こーゆー雰囲気、苦手なんだけどぉ…。手はつないでいるけど…けどね、アンタ、女のコのこと、わかってないよ…)
 中学を卒業したばかりの15歳、女心をわかれというのも酷な気はするが…。これまでは、しっかりしていて頼りになる彼氏だっただけに、つい多くを望んでしまう。
29918Rの鷹:04/08/14 22:05 ID:krbfaA57

 お守りを納め、2人並んで手を合わせてお礼を言う。梅はもう終わりに近づいていて、まもなく桜が咲くだろう。
(アタシはきょう、散らされるわけだけど…)
「ちょっと待ってて」
 と彼が言って、走っていく。取り残されて急に心細くなる。すぐに戻ってきた彼から小さな袋を渡される。
「はい、これ」
「えっ? 何」
「合格祈願のお守り。今度は速水さんが受験生でしょ」
「あっ! あ、あの…えーと…、…ありがとう」
 余裕をなくしていた自分が恥ずかしくなる。
(ちゃんとアタシのこと、考えてくれてたんだ…)
「それじゃあ、行こっか…」
「…うん」
 鳥居をくぐって出てみると、そのてのホテルが建ち並んでいるではないか。
「…アンタ。こーゆーの、あるって知ってたの?」
「えっ」
「よく知ってるじゃないの」
「…前に速水さんとお守りもらいにきたときに気づいて。その…、いつか、こんな日もくるかなって」
「お祝い、そのころには決めてたってわけ、ね」
「まあ…。だから、受験勉強、頑張れたっていうか…」
「そんなに、したい?」
「そんなに、したい。速水さんと」
「アタシのこと、好き?」
「大好き」
「大事にする?」
「もちろん!」
「ん。は、入ろっか…」
「うん」
 手をつなぐ代わりに肩を抱いてくる彼。アタシは彼の腰に腕をまわす。一番近くのホテルに俯いて入る。
 いよいよ、だ。
300名無しさん@ピンキー:04/08/15 00:00 ID:qoN5mDyy
この調子だとこのスレも600逝かないうちに容量限界になりそうだなあ
30118Rの鷹:04/08/15 22:53 ID:dzMRzxCp

 部屋の写真を飾ったパネルが2人を出迎える。彼はそれをひととおり見て、とある写真の横にあるボタンを押した。こんなとき、どこがいいかな、とか聞かない彼を頼もしく思う。
 どんな部屋があるのだろう、興味はあるが恥ずかしさが勝って上を向けない。
 落ちてきたキーを手に、彼がこちらを見やる。その目に促されてエレベーターに乗る。どうやら3階の部屋らしい。エレベーターのドアが閉まるなり、彼に抱きしめられる。強引に唇を重ねられる。
 2つ年下だが、いつも落ち着いている彼にしては性急な行動。もちろん、いまの晶良にそんな彼の変化を理解できるわけがない。ただただ、恥ずかしさが先にくる。
「やっ!」
 拒否してしまう。悲しげな彼の目。何か言おうとする彼の唇が動く前に3階に着く。
 薄明るい部屋に入り、コートをかける。振り返って彼のジャケットを脱がせて、それもかける。部屋を見まわす余裕なんてない。
 見つめ合って、彼の胸に体をあずける。彼の心臓の音を聞く。いつもなら、それで心が落ち着くのだが、きょうは違った。彼の鼓動はいつもより速くて、そして大きくて、それに併せるかのように自分までドキドキしてきてしまう。
 おもむろに抱き上げられ、ベッドに運ばれる。寝かされると、すぐに彼が覆いかぶさってくる。唇が重なる。
「…ん…」
 右手に少し力を込めて彼の肩を押す。それに気づいて体を起こす彼。
「?」
「ねぇ、重いよ」
「あっ、ご、ごめん」
 起き上がって、彼の首に腕をまわす。
「アタシ、どこにも行かないよ。だから、ね。やさしく、して…」
「うん、わかった。速水さん」
「…ねぇ、名前で呼んで、いいよ。ううん、晶良って呼んで」
「晶良、さん」
 彼が口にした自分の名前。頭の中がポ〜っとする。腕を引き寄せると、力強く抱きしめてくれる。
「好きだっ。大好きだよ。晶良さん!」
「アタシも!」
30218Rの鷹:04/08/16 23:15 ID:e24qQkI1

 彼が、着ていたトレーナーとTシャツを一緒に脱ぐ。子供みたいと思って、くすっと笑う。
「どおしたの?」
 と聞く彼に、
「いつも、そんな脱ぎ方してるの? 子供ぉ」
 からかってみる。やや間を置いて
「きょう、大人になるよ」
 怒るわけでも、不満そうにするわけでもなく、彼は静かに言った。
「…うん…」
 彼の手が伸び、ベストの裾にかかる。アタシは腕を上げて彼に任せる。続いてシャツのボタンをはずそうとする。一番上から、ゆっくりと、ゆっくりと。
 彼の首に手を当てなでてみる。その腕をとられ袖のボタンがはずされる。シャツを脱がされる。彼の視線が真っ白なブラに注がれるのがわかる。恥ずかしくなって、彼の胸に逃げる。
 いつもなら抱きしめてくるのに、彼の右手はブラのホックに移動し、少し戸惑うような動きをした後、それを解除した。脱がすのに、晶良を裸にするのに夢中になっている。
 両肩をつかまれ、引き離される。そうして肩紐に指をかけ、ブラを落とす彼。慌てて両手で隠す。
 彼はやさしく腕にキスして、力が抜けるように仕向けてくる。その愛撫が首筋へと移動してくる。
「…あっ、う、ぅ〜ん」
 ダメ押しに唇にキスされたら、腕のガードはあっさりとほどけた。彼の右の掌が胸に当てられ、うれしさに震える指がゆっくりと揉み始める。
「ぁん…」
 声が漏れてしまう。彼はかがみこんで胸に唇を押し当て、続いて舌を使ってきた。いきなり乳首を嘗められ、晶良の声はますます大きくなる。
「あっ! あんっ、あ〜」
 寝かされる。右、左の胸を交互に揉みしだき、そして舌を這わせてくる彼。乳首を吸われるたび、声が漏れる。そして、彼の興味は下のほうへと移っていく。スカートのジッパーが下ろされ、脱がされる。
 彼が慌ただしくGパンを脱いでいる。上と同じ、パンツまで一緒に脱いでいる。今度は笑う、というわけにはいかない。ちらっとのぞいた"それ"は想像をはるかに超えて巨大だったからだ。
(あんなの、ほんとに入るの?)
30318Rの鷹:04/08/17 22:53 ID:5+/Ur/mJ

 恐怖心が湧き起こるが、彼は気づかない。太ももに右手を這わせてくる。
「ああ…」
 吐息に反応する彼。
「いい? 気持ちいい?」
 と聞いてくる。ちょっと集中が途切れる、が
「う、ん。もっと、気持ちよく、して…」
 と答えている。彼がパンティを脱がしにかかる。少し腰を浮かし、恥ずかしいけど協力する。もう、身につけているのは靴下だけ、だ。彼が秘所に触れてくる。思わず太腿に力が入る。
 ぴたっと閉じた両足に焦れたような表情を見せる彼。
「恥ずかしぃ、よお〜」
 その声にますます興奮したのか、彼が太腿に顔を近づけ、キスの雨を降らせる。足の間に体を入れようとする彼。少しずつあらわになっていく晶良の秘所。彼が両膝を持ち上げる。
「あぁ…、あんまり、見ないでぇ」
 彼は黙って秘所に頭を沈めた。ちゅっと音をたてて、そこにキスをする。
「あっ! だめぇ、やぁ」
 割れ目をなぞるように舌を使う彼。晶良の上半身が弓なりにのけ反り、激しく暴れる。
 ついに、彼の舌が敏感な突起に押し当てられる。
「! んあぁ! あぁぁん」
 声が大きくなる。しかし、その"口撃"は思ったより長く続けられることはなかった。彼が体を起こし、のしかかってくる。
 晶良にしても、これでいいという状態などわからない。ただ、なんとなく、もう少し前戯に時間をかけてほしい、という気持ちは頭の片隅にあった。
 彼が自分のモノを握り、秘所に押し当ててくる。
(ま、まだっ)
 そう思っても、それを言葉にすることはできなかった。発せられたのは、
「ぃやっ! 痛いっ! やめてっ! だめぇぇぇ!」
 悲鳴に近い訴えだった。でも、彼はそれを聞いてはくれなかった。というより、もう進むことしか考えられなくなっていた。
 処女は痛がる、としか彼の頭にはインプットされていなかった。知識のなさ、未熟な愛撫、そして得体のしれない焦り…。
30418Rの鷹:04/08/18 22:28 ID:eFJMZfAb

 2度、3度押し入れようとした彼が、うめくように
「ぁあ、あ、あっ!」
 と声を出した。と、熱い液体の感触がお腹から胸にかけて走る。
 頭を持ち上げて、自分の体を見る。白い液体がかけられている。
(あっ…、失敗、しちゃったんだ…)
 悲しい気持ちになる。少し目線を上げると、彼が少し下がって正座し俯いたまま呆然としているのが見えた。
 体を起こす。何か言わなきゃ、と思っても言葉が出てこない。どんな言葉をかけていいのか、わからない。それがいっそう悲しくさせた。
 彼が顔を上げ何か言おうとしたそのとき、涙が込み上げてきて声を出して泣いてしまった。ごめん、という言葉を彼の口から聞きたくなかった。
「あ〜ん、はぁ〜ん、えぐっ、ごめんね、ごめんね、えぐっ、ひぃ〜ん」
「晶良さん…」
 彼が声をかけてくれるが、彼も何を言っていいのかわからない様子だ。
「ごめんね、お姉さんがちゃんと…、ひっ、えぐっ、ごめん、ね」
 自分でも何を言ってるのか、なんで謝っているのか、全然わからない。
 ひとしきり泣いて、しばらくして少し落ち着き、シャワーを浴びにいこうとしたのと同時に、彼がこちらに腕を伸ばしかけた。気まずい沈黙。
「ごめん」
 目を合わせることもできず、小走りにバスルームに走る。彼の精液が流れ落ちていく。
 バスルームから出ると、籠に服が入れてあった。彼が持ってきてくれたのだ。ちくんと胸が痛む。
 彼は服を着て待っていた。
「出ようか…」
「うん…」
 沈黙が支配する悲しい帰り道。乗り換えの駅で、
「速水さん、いや、晶良さん…」
「きょうは帰る。じゃあ、ね…」
「…うん」
 振り返らずに歩く。彼の顔を見たら、また涙がこぼれそうだったから…。
305名無しさん@ピンキー:04/08/19 01:28 ID:VDL6XqMC
>>301-304
乙です。
初めて同士だからアリですなこれは…。

しかし、いきなりいきり立ってゴムもつけんのは問題ないかとか、帰ってきて304読むまで仕事中思ってたりして…。
30618Rの鷹:04/08/19 22:57 ID:1vNynPb6

 家の近くの駅に着いて、携帯を取り出す。気分はさしずめ『選ばれし 絶望の 虚無』といったところか。
「あっ、…翔子?」
「晶良。時間、早くない?」
「…ねぇ、これから、行っていい?」
「うん。いいよ。理沙と美穂は…、呼ばないほうがよさそうね」
「ありがと」
「いいよ。待ってるよ」
 翔子の部屋。何から話していいのかわからず黙り込んでいると、翔子が飲みものを持ってきてくれた。
「何、これ?」
「カクテル。甘くて飲みやすいよ」
「ありがと」
 一口飲む。アルコールが胃に染みる。そういえば、何も食べていなかった。
「で? うまくいかなかったんでしょ」
「…うん。…アタシ、あんま濡れなかったみたいだし。…彼のも大きくって…。それで、アタシ、泣いちゃった」
 ポツリ、ポツリと話す。いちいちうなずいて聞いてくれる翔子。その目はとてもやさしい。
「でね、でね…」
 ひととおり話すと、また涙がにじんでくる。
「彼のこと、嫌いになった?」
「そんなこと、ないっ!」
「でしょ? それなら、だいじょおぶ。次があるよ。まだラヴ・フィフティーン、だよ」
「ほんと? ほんとに?」
「晶良。セックスすることが目的じゃないでしょ。愛し合った結果がセックスなんでしょ」
「うん。うん。そうだよね。アタシ、大事なこと、忘れてたみたい」
 涙がこぼれ落ちる。翔子が肩を抱いてくれる。
「わかった?」
「…あり…がと、う」
 しゃくりあげながら、翔子に抱きついていた。翔子は背中をさすってくれる。
30718Rの鷹:04/08/20 22:08 ID:QMDTdHT1

「お腹に出されちゃった、ってことは…」
「…胸にも、かかった…」
「はいはい。そこにこだわるかぁ。若いって、いいよねぇ。はぁ〜。…じゃなくって、彼、やっぱりコンドーム使えなかったのね」
「あっ! 忘れてた…」
「ゼリー付きだから、着けとけば入ったかもね」
「…次はそうする…」
「でも、晶良。次の約束、してないんでしょ?」
「…うん」
「まあ、彼からの連絡待ちね。…案外、もう晶良のこと、あきらめちゃったりして」
「えっ!? そ、そんなの…やだぁ」
 ほとんど泣き声だ。翔子はニコッとして
「ごめん、ごめん。そんなことないよ。きっと今夜のうちに連絡入るって。でも、晶良。ほんっと〜に彼のこと、好きなんだね」
 泣き腫らした目を気遣って、翔子が食事まで付き合ってくれた。その間に携帯に着信が2回。彼かな、と思ったら…美穂に理沙…。出ないで無視を決め込む。そのたびに翔子は小さく微笑む。
 話して気分が落ち着いたせいか、食欲が湧いてくる。オーダーの追加までしてしまった。それを見て安心したのか、翔子がうなずいている。
(翔子に話して、ほんとに良かった…)
 パスタを頬張りながら、心からそう思った。
 家に帰ったのは日がとっぷり暮れてから。家族の前では、どうやら、いつものアタシを演じることができたみたいだ。部屋に戻って、待つ。
(ただ待ってるってゆーのも、…結構、いいもの、かな)
 両肘を机について、両手の掌に顔をのせる。自然に顔がほころぶ。
(携帯かな、携帯にメールかな、PCにメールかな)
 なんだか、そんなことを考えているのも楽しい。
──そのころ、彼は…
30818Rの鷹:04/08/21 22:31 ID:GlxI2Ty8

「はぁ〜」
 タメ息ひとつついて忘れることにした。こんなとき、ブラックローズならきっと『1度や2度の失敗で落ち込んでるんじゃないわよ』と叱ってくれるだろう。
(でもな〜、その失敗の相手がブラックローズ、速水晶良なんだよなぁ…。まあ、しようがないか)
 いま、そのことを気にしていてもどうなるものでもない。当面の問題は、
(夕食、いらないって言って出てきちゃったし。なんか食べて時間潰ししなきゃ)
 ということだった。結局、ハンバーガーと飲みもののセットをテイクアウトして、ネットカフェに入ることに決めた。それが一番安上がりで、時間も潰せると考えたからだった。
 ハンバーガーにかじりつきながら、9か月ぶりに『ザ・ワールド』にログインする。知り合いに会いたい気持ちではなかったので、初心者向きのΔサーバー、マク・アヌに入る。
 懐かしげにあちこち見てまわる。たまに、こちらを見てヒソヒソ話すパーティーはいるが、話しかけられたりはしない。
(もう、過去の人、だよなぁ。まあ、このキャラ・デザイン、目立つから、みんな見るよね)
 橋の上では目立つので、魔法屋の裏路地へ移動する。ここなら、だれもこないだろう。と思ったら、
「ちゅいっす! ひさしぶりやね〜。どないしてたん?」
 聞き覚えのある関西弁。振り向くと、
「レイチェル! あ、うん。受験生だったから、ぼく…」
「そ〜か〜。ほな、もう高校生になったんやな。おめでとぉなぁ」
「あ、ありがとう」
「なんや、さえない顔して。ははぁ。さては、彼女にフラれたんやろ?」
「いや…、フラれてはいないと思うけど」
「やっぱり、女がらみの悩みかぁ。このレイチェル姉さんに隠し事したらあかんよ」
「ははは…、はぁ〜」
「元気ないなぁ。初体験に失敗して落ち込んでる童貞くんみたい、やんか」
 恐るべし、女の勘!
「ぎくっ!」
「な、ななななんやてーーーっ!? 図星かいな」
「いや、まあ、その、…うん…」
「ん〜っ。ゲームの中じゃ、なんかめんどくさいな。あんた、今どこにおるん? 家じゃないんやろ」
「えっ、あ、…うん。新宿のネットカフェ…」
30918Rの鷹:04/08/22 21:55 ID:PlkupMYy

「よっしゃあ! 30分、そこにおってな。すぐ行くわ。あっ、あんたの携帯の番号、教えたって」
 少し躊躇したが、番号を告げてしまう。すぐにレイチェルはカオスゲートのほうに走っていってしまった。
(ハタチか、21歳のお姉さんか…。かわいい、って感じじゃなさそうだし。う〜ん、どんな女の人なんだろう)
 この場に留まっていてもしようがないし、フィールドに行くのも中途半端な時間だ。あてもなく動きだす。階段を上っていると、
「カ、カイトさんっ!」
 またも聞き覚えのある声。逆光でもシルエットだけではっきりわかる。
「なつめ」
 走り寄ろうとしてつまずいて、階段から転げ落ちそうになる。ひやひやさせてくれるのは相変わらずだ。
「お久しぶりです。あの、お元気でしたか? 高校、受かりましたか?」
 きっとリアルでは目をウルウルさせているんだろうな。こちらとしても、再会がうれしい相手だ。
「うん。受かったよ。なつめは元気そうだね」
「はいっ。あんまり変わることはできませんでしたけど…」
「その双剣、まだ持ってたんだ…」
「スパイラルエッジは、わたしの宝ものですから。カイトさん、約束、わたしは忘れていませんから…」
「えっ? 約束って…」
「あっ、いいんです。…そうだっ。今度、オフで会いたいです。お祝い、させてください」
 リアルの大黒なつめと会ったことはなかった。.hackersオフ会は1度あったのだが、なつめは参加していなかった。それもそのはず、初めてのオフ会は、仕切ったミストラルの陰謀…はからいで、ぼくと速水晶良の2人だけが招待されたものだったからだ。
 まあ、おかげで無事に2人はカップルになれたのだから、ミストラルには感謝してもしきれない。半面、選択肢を削られたというか、チャンスを逸したともいえるわけだが。なつめにしてみれば、知らない間に想い人を奪われてしまった、ということになる。
「入学式からしばらくは忙しいと思うけど、落ち着いたら連絡するよ」
「うれしいっ! きっとですよ。約束ですよ」
 メールで、とはいえ『好きです!』と告られた相手。なにかいいことあるかも、と淡い期待を抱かずにはいられなかった。そんな気持ちを見透かされる前に、
「じゃあ、きょうは落ちるよ」
 なにか言いたそうななつめに告げ、そそくさとログアウトした。
31018Rの鷹:04/08/23 22:20 ID:JYVWfYtE

 フェイスマウントディスプレイを外し、デジタルの腕時計を見ると、レイチェルが言っていた30分になろうとしていた。携帯をテーブルに置いて待つ。5分遅れで着信が入った。
「遅れてごめんなぁ。今、駅やねん。どこのネットカフェや? ん〜、東口の…、うん、うん、わかったわ」
 ほどなくして再び携帯が鳴る。
「店の外におるよ。出ておいで」
 一目でわかった。金髪をポニーテールに束ねた長身のスレンダー美人。大きな瞳がチャームポイントだ。
「あっ、初めまして」
「ん〜。かたっくるしい挨拶は抜き抜き。ふぅ〜ん。わりと男前やねぇ、あんた」
「え、そうかな。ありがとう。レイチェルはPCそっくり、っていうか、PCをもっときれいにした感じだね」
「おっ、若いくせに女性を喜ばす勘所を心得ているやんか。なかなか素質あるで」
「あはは。ねぇ、レイチェル、どこ行くの?」
「どこって、ホテルに決まってるやろ」
 そう言って腕を組んでくる年上の美女。腕に押し付けられるやわらかな胸の感触で股間がうずいてしまう。ドギマギして黙ってしまうと、
「なんや、あたしとじゃ嫌か?」
「いやあ、そんなことないけど…。でも、なんで?」
「あんたのことが気に入ったからやって。もし、デブのブ男やったら、そのまま帰ったろ思とったわ(笑)」
「ひっどいなぁ(笑)」
「なあ、あんたの相手って、黒薔薇ちゃんやろ?」
「う、うん」
「そおかぁ。ようやく結ばれるところまできたんやなぁ。よかったなぁ」
「うん。結ばれ、なかったけどね」
「アホぉ。過ぎてしまったことを考えたって始まらん。一つダメやったら、次、次っていかな、な。前向きにいこうや、な」
 そうこうしているうちにホテルの入り口をくぐっていた。エスコートしている感じでは、もちろんない。先生に引率される生徒、といった風情だ。
31118Rの鷹:04/08/24 22:26 ID:qxGp+tdw

 部屋選びも、前金の支払いも、みんなレイチェルがしてくれた。
「ここはなぁ、フリータイム3時間で飲みものも自由なんや。今度は彼女ときたらええよ」
「はあ。でも、あんまり詳しいと変に思われないかな」
「アホやなぁ。ホームページで見たとか何とか、言っとけばええやん」
「あ、そうか。うん、そうするよ」
「あんた、素直で、まっすぐで、ほんまにいいコやなあ。でもな…」
「うん」
「本当のことを言うたって人は不幸になることもある。逆にウソをつき通せば人は幸せになることだってできるんや。これからすることは、な。ウソを一生つき通さなければならなくなるやろうけど、大丈夫やな?」
「わかってるよ。もう、彼女の涙は見たくないから、ね」
 レイチェルは大人の女だ。ザ・ワールドとはまるで違う。ああいうキャラをロールしてたんだ、とふと思った。「じゃあ、始めよっか」
「はいっ。よろしくお願いしますっ!」
「よっしゃあ。あっちのほうも元気そうやな。あたしも楽しませてもらうわ」
 さっさと服を脱いでいくレイチェル。あっという間に下着だけになってしまった。
「なんや? 脱がしてほしいんか?」
「えっ、い、いや。レイチェル、きれいだな、って」
「うふふ。早く脱ぎなさいな、ね?」
 はっとして慌てて服を脱ぎ、パンツ一丁になる。
「キス、しよかぁ」
 促されて抱き合い、言われるままにキスをする。ぽてっとした感触が官能的だ。ややあって唇を離すと、
「零点、やなぁ。いまのは子供のキスや。大人のキス、教えたる」
 今度はレイチェルが唇を押しつけてくる。と、強弱をつけて吸われる。さらに唇をこじ開けるように動かし、舌を入れてくる。年上の女性のテクニックに、まさに翻弄されている。
 舌が絡まる。されるがままだ。これだけでムスコは痛いほど怒張する。
「んふぅ。…どおや? いい、やろ。女もなぁ、キスで感じるんやで」
312名無しさん@ピンキー:04/08/24 23:03 ID:8+IjyunR
なんだろう…?今回の読後感…懐かしくも胸を締めつけられるような感じは…。
何故だか、昔のアルバムを引っ張り出したい気分になりました。

いつも、お疲れ様です。








31318Rの鷹:04/08/25 21:27 ID:tdcwuvpn

「でも、こんな強烈なキスしたら、『だれに教わったの?』とか疑われそう」
「大丈夫や。ホームページ、には出てないけど。愛の力、とか言うとき。それからな。手ぇを遊ばしといたら、あかんよ。胸もむとか、体さわるとか、ブラ外すとか、な。いろいろせな」
「ん。…ねぇ、続き、してもいい?」
 脳髄の痺れがとれないうちに、もう一度、あのキスをしたいと思った。
「あんたが望むように」
 レイチェルの唇に自分の唇をぶつけるようにキス。いま教わったとおりに強く吸い、唇に舌をねじ込む。そのすべてを受け入れてくれるレイチェル。時々、『こう、するんや』と教えるかのように主導権を握ってくれる。
(あっ、そうだ。手を遊ばせてちゃいけないんだ)
 左手をレイチェルの背中にまわして撫であげ、右手はブラの上から豊かな胸をもむ。軽く爪をたててわき腹を引っ掻いてみる。急にレイチェルの力が抜けた。
「はぁ〜ん、脇腹、弱いんやぁ」
 唇を外し、切なげに漏らすレイチェル。目がトロンとしている。思わず右手に力が入る。
「あんまり強くもんだらダメ。女のコはデリケートなんやからな」
「うん。…ねぇ、レイチェル。女のコって、どこが気持ちいいの? 感じるの?」
「どこも、や。好きな男に抱かれるとき、女は全身が性感帯になるんよ。どこが感じるかは、2人で探していけばいいんや。彼女の、な、体の隅々まで丹念に指を這わせ、舌でなぞりして、な」
「うん、わかった。…レイチェルにもしていい?」
「もちろんや。いまはな、あたしはあんたの恋人、や」
 背中に両手をまわしてブラを外す。
「なかなか上手やね。やっぱ、素質あるわ」
 ニコっとするレイチェル。あらわになった胸を隠そうともしない。ぼくの目は釘付けだ。お椀を伏せたように盛り上がる2つの丘、いや山といったほうが適切か。
 思わず、かぶりつく。乳首を唇ではさみ、両手でもみ上げる。押し倒して寝かせても形の変わらないレイチェルの乳房に興奮を隠せない。本能のまま、むしゃぶりつく。レイチェルが歓喜の声を上げる。
「はぁう、あぁ〜、あぅ、あ〜」
 無我夢中、というか頭に血が上ってしまう。
31418Rの鷹:04/08/26 22:37 ID:FmL52Xav

「焦ったらいかんよ」
 とレイチェル。すっと体を入れかえ、ぼくの上に乗ってくる。
「舌と唇と手の使い方、こうするんや」
 まず舌で唇を嘗められる。と、まぶたにチュっチュっとキス。次は耳を攻められる。外周に舌を這わせ、唇ではさまれる。熱い吐息を吹きかけられ、続いて耳たぶを軽く噛まれる。
「やさしく、丁寧に、な。相手の反応を楽しむくらいの余裕をもって愛撫するんや」
 そう言ったレイチェルの唇が首筋に移動する。いつのまにか、レイチェルの手がぼくの胸をなでまわし、指が乳首をもてあそんでいる。
「はぁぅ」
 首筋をまず噛まれ、声が出てしまう。まるで、ぼくのことを食べているかのように唇を動かすレイチェル。唇を強く弱くはさむようにし、同時に舌がチロチロ動く。
 体をずり降ろし、胸への口撃を開始するレイチェル。
「おっ。乳首、立ってきたで」
 と、うれしそうに言う。
(感じると、男でも乳首って立つものなんだなあ)
 などと感心していられる余裕は、ない。レイチェルの右手がパンツ越しにムスコを撫でているからだ。
「あぁ、気持ちいい〜」
「ふふっ、女のコみたいやね。声出しちゃって」
「だって! ほんと〜に気持ちいいんだもん!」
 声が上ずっている。
「さあ、今度はあんたの番やで。あたしのことも気持ちよくしてくれたら、もっといいこと、したげるからな」
 そう言うとレイチェルは、くるりと体を入れかえた。
 耳を嘗める。息をふっと吹きかけ、ささやく。
「きれいだよ、レイチェル」
「あ、あん…。上手やで。彼女には、愛してるとかって言うてるんやろ」
「えっ、いやあ、好きとは言うけど。愛してるって、なんか照れくさくて…」
「LIKEもLOVEも、日本語にすれば『好き』やけどな、女は『愛してる』って言葉が欲しいものなんや」
「あ、うん…。今度からちゃんと言うよ、愛してる、って」
「いっぱい言うてあげな、あかんよ。さ、続き、して」
315名無しさん@ピンキー:04/08/27 00:55 ID:lqSAnMgZ
…ドキドキしますね。
優しい描写がとてもいいです。続きがいつも気になりますよ。

お疲れ様です。
316名無しさん@ピンキー:04/08/27 01:42 ID:lqSAnMgZ
…しつこく、もう一度感想。
氏の創作意欲が湧けば、いいな〜と願いつつ。

本当にツボにくるなぁ〜このシチュ。
さっきから何回も読み直してますよ。

愛してるって言葉、胸にチクチクと突き刺さります。何故か。
頑張ってくださいね。


31718Rの鷹:04/08/27 21:55 ID:YrOFYS6n

 再び、耳を攻撃。細くて白いうなじに舌を這わす。胸をもみ、指で乳首をはさんでみる。
「はぁうっ、くぅぅ、あぁぁ」
 反応に勇気づけられ、攻撃目標を豊満な胸に移行。両手で強弱をつけて揉みしだき、乳首に歯をあてる。
「あっ、あ、あ、あぁ、あふぅ」
 レイチェルのあえぎ声が1オクターブ上がった。犬のように体を嘗めまわす。脇腹を下から嘗め上げる。
「あ────っ、いいっ! 感じるぅぅ」
 まだ、その部分に関する"講義"は受けていなかったけれど、好奇心には逆らえなかった。パンティの上から指を押し付ける。ビクっとするレイチェル。その反応に少しひるむが、もう止まらない。指に少し力を入れて撫でる。
「あっ! あぁあ、あっ」
 手が動かしやすくなるように太腿を広げようとすると、レイチェルはすぐに力を抜いて開いてくれる。掌全体で揉むように撫でまわす。
「あぁんっ。ねぇ…、じかに触ってぇな」
 せがむレイチェル。パンティに指をかけると、お尻を浮かして脱がしやすくしてくれる。ドキドキしながらパンティを降ろす。
「ここが、一番感じる、敏感なところ…」
 右手をとって、"突起"に導いてくれる。指の腹で軽くなぞってみる。
「んあぁっ!」
 一際大きくなったレイチェルの声に驚き、指の動きを止めた。
「はあぁぁ…。一番感じる、言うてるやろぉ…。指、濡らしてから触って」
「濡らすって?」
 黙って右手を握り、数p下げられる。そこは熱く、そして濡れていた。指が中に入っていく。
(す、すごい…。女の体って…すごいっ)
 思わず感動している。人差し指が根もとまで、すっぽり入ってしまった。すき間は、ない。回すように動かしてみる。
(すごい、すごいっ! こんな狭いところに、本当に入っちゃうの?)
 レイチェルのあえぎが大きくなっていき、それとともに染み出す愛液の量も増していく。
(あ、っと。一番感じるところ、クリトリスだよね)
 指を引き抜き、突起にあてがって、転がすように撫でる。徐々にスピードを上げ、力を入れていく。
31818Rの鷹:04/08/28 22:06 ID:CKeppUr5

「っ! っ──────っ!」
 レイチェルは激しくのけ反り、発するのはあえぎ声というより絶叫に近い。不意に、動きが止まる。
「はぁ、はぁ、はぁ〜、はぁ〜、…んはぁ〜」
 息も絶え絶え、といったふうのレイチェル。
「はぁぁ、はぁ、はぁぁぁ、あんた、上手やぁ…」
「そうなの、かな」
 褒められて調子に乗ってしまう。器用に指が動いてくれる。指2本を動員して、クリトリスをはさんだり、ときには"穴"に出し入れしたり…。
「あっ! またっ! ぁあ─────っ」
 胸にむしゃぶりつこうと覆いかぶさったとき、レイチェルに抱きつかれる。背中にまわされた腕に力が込もり、息が苦しくなるほどだ。
 ふっとレイチェルの力が抜ける。今度は指を離す。
「レイチェル?」
 返事はない。何がどうなったのかわからず狼狽する。
(どうしよう)
 考えあぐねていると、レイチェルはゆっくり目を開け、
「…よかったぁ…。ほんまに、よかったぁ。いかされてしもうたわ…」
 のろのろと体を起こし、ぼくを押し倒すレイチェル。
「ご褒美や。いいこと、したげる」
 そう言って、ぼくのパンツを引き降ろした。レイチェルはゴクっと唾を飲み込み、
「うっひゃ〜ぁ、ごっつう、ええモノもってるやんかぁ」
 と、うれしそうに声を上げる。と、上目遣いにぼくを見ながらムスコを右手で起こし、口を大きく広げて呑み込んでいった。
(えっ? えっ? こんなこと、するんだ…)
 男と女の営み、その深さに触れ、魂を揺さぶられる。
(晶良さんも、いつかはしてくれるかな?)
 ほかの女性のことを考えるのは失礼かな、と思い全神経をムスコに集中する。
31918Rの鷹:04/08/29 20:14 ID:V5VjLFZg

 レイチェルの舌が軟体動物のように動き、ムスコに唾液を塗りつけていく。強く吸われると、たまらず、
「ぅゎあ、あっ」
 と声を出してしまう。それを聞いてレイチェルは嬉々として唇と舌の動きに変化をつけてくる。そして、大きく頭を上下させる。
「ん、んん、チュバ、んぐっ、ンチュゥ、ん、ジュル、ヂュ、ん、んん」
「ぁぅ、ぁふ、あ〜、き、気持ち、い〜。…レ、レイチェルぅ、ダメだよぉ、出ちゃうよぉ…」
「んふぅ。ど〜や、あたしのお口」
「すっごく気持ちいい!」
「褒められると、うれしいもんやね。…まだ、出したら、あかんで。もっと、いいことしよぉな」
 そう言って、今度は玉袋に舌を這わせてくる。さらに玉を口に含みムスコをしごく。
「ぅわぁ、ほんっとに、はぁあ、気持ち、いい。ああっ、もう…ダメかも。ねぇ、出しちゃダメ?」
「あかんっ。お初はあたしがいただくけど、お口くらいとっとかな、申し訳ないやん」
「わかったぁ。わかりましたぁ。だから、さ。ちょっと休憩、させて。刺激、与えないで。お願い」
「まあ、しゃあないか」
 レイチェルは名残惜しそうにムスコから手を離してくれた。
「なあ、彼女、年いくつなん?」
「2つ年上だよ」
「そうかぁ。年上だからって、甘えたらあかんよ。女っちゅうもんは、かよわいんやからな」
「うん。頑張る」
「ところで、あんた。ちゃんとスキン使こたんか?」
「えっ、スキン?」
「こっのぉ、どアホーっ! そんなん、男の義務、思いやり、エチケットやーっ!」
「うん…。気がまわらなかった…」
 しょげかえる。ムスコはノーテンキに元気なままだけど…。
「まあ、次からは気ぃつけな、ね。でな。買うんやったらな、ちょっと高くても薄いヤツな。ホテルに置いてあるのは使こたらあかんよ。穴、開けてきよるアホがおるからな」
「うん。わかった。ありがとう」
「よしよし。で、どや? 落ち着いたか? って、元気いっぱいやねぇ。…続き、しよかぁ」
320名無しさん@ピンキー:04/08/30 02:15 ID:p3lAFPL7
本当にエロい描写ですよね。
読む時間帯関係なく、男は勃ち、女は濡れる…かも?w

いつもお疲れ様です。
32118Rの鷹:04/08/30 22:18 ID:c9E7cNVM

「でも、ぼく、スキン持ってない…」
「あたしが持ってるよ。ちょっと待っててな」
 バッグから4p四方くらいの袋を3つ出して、それを持ってくるレイチェル。そのうち2つを渡され、
「はい、これ。次は必ず着けなさいよ」
「どうやって使うの?」
「今、着けたるから、よっく覚えとき」
「うん…」
 袋を破き、中身を取り出すレイチェル。それをムスコにあてがい、
「先っちょのな、精液だまりをな、つまんで空気を抜くんや。でな、こう、くるくるっとな」
 それは一分の隙もなく、ぼくのムスコに被さった。
「これで、オーケー、や。…さあ、きてぇ」
 仰向けになったレイチェルに覆い被さり、広げられた両足の間に体を入れ、ムスコを握って突入しようとする。
「あ、あれ? どこ?」
「うぅん。ここ、や」
 導いてくれるレイチェル。"そこ"は思っていたより下にあった。
 ヌプっという感じで、亀頭が、入った。吸い込まれるような感触を味わいながら、奥へと侵入していく。
「あ、あ、温かい、よ。包まれていく…」
「ぁあ、ふぅ〜ん、ぁん。…どおや、あたしの中は?」
「あぅ。す、すごくいい! 気持ちいい!!」
「あっ、あんたっ。いいっ! ほんまに、いいもん、持っとるわぁ。彼女…、うらやましいわぁ〜」
 初めての刺激をやり過ごそうとじっとしていると、
「ただ、待ってるんやない。キス、しよかぁ」
(とにかく気をそらさないと…)
「う、ん。ねえ、レイチェル。女って、なんか、すごいね」
「そうやろ。いいもんやろ。愛し合った相手なら、なおのこと、や」
 両手で頭をぐいっと引き下げられる。唇が重なり、舌が絡みついてくる。左の肘で自分の体重を支え、右手で胸を揉みしだく。意識がそちらに向き、"暴発"の危機はとりあえず免れたようだ。
32218Rの鷹:04/08/31 21:59 ID:4/v0Cmnb

 そろりと抜き差しする。すぐに激しく動いちゃったら、耐えられそうにない。"早漏"と言われるのは、男としてかなりイヤだ。
「あ、あっ、あぁっ、あっ。…慣れて、きたんか?」
「うん。でも、レイチェルの中、気持ちよくって。ずっと、ずっと、気持ちいいままで、いたい、よ」
「そおや。自分も楽しんで、相手も楽しませて、な」
 少しだけ、ストロークを大きくする。さっきよりも深く突き入れる。
「あっ、あっ、あっ、あ〜っ、あんっ、あっ」
 突くたびに、抜くたびに、レイチェルが艶やかな声を上げる。それがますます興奮を誘う。
「いいっ、とってもいいよっ、レイチェル」
「ま、まだっ。まだ、いったら、あかん。あんっ、あ〜っ。もっと…、もっと激しく、してぇ!」
 体を起こし、両手をレイチェルの肩に置いて、腰のスピードをアップする。レイチェルに出入りしているムスコがテラテラと光っている。さすがに、その光景は刺激が強い。
「レ、レイチェルぅ。どお? いい? 気持ち、いい?」
 返事はない。やせ我慢と痺れるような快感がせめぎあっている。
「ぼく、もう、…出ちゃいそうだよぉ」
「あっ、あっ、あ──────っ、あぁっ、あ───っ」
(まだ、だめ、なのかなぁ。でも、でもぉ、気持ちいいっ! 我慢、で、き、な、い〜っ)
 一段と腰の動きを激しくし、ぶつけるように奥まで突っ込む。
「─────────っ! い、いくぅ! いっちゃうぅ───っ!」
 レイチェルの絶叫が響く。もう、限界だった。
「あぉっ! あぅっ! あっ!」
 爆ぜた──。
 深々と突き入れ射精を繰り返す。
 あまりの快感で射精したのか、射精があまりの快感だったのか、わからない、考えられない。頭の中が真っ白になっている。
32318Rの鷹:04/09/01 21:33 ID:cKhUFvO2

「ふぅぁあぁ…。…よかったぁぁぁ」
 しばらくして覚醒したレイチェルが、寝ぼけたような声で言う。
「ほんと?」
「ああ。ほんと、や」
 起き上がり、素っ裸で冷蔵庫からビールを取り出すレイチェル。ソファに座り、タバコに火をつけて、
「あんたも飲む?」
「えっ、ビール? ん〜、一杯だけなら」
「なんや、飲んだことないんか」
「だって、ぼく、この間まで中学生、だもん」
「それにしては、上手やったで。将来が怖いわ」
 ついさっきまでしていたことを思い出し、赤面してしまう。
「な〜にをいまさら赤くなっとるんや。さ、こっち、おいで」
「うん」
 グラスにビールを注いでもらい、乾杯する。
「うげっ、にが〜」
「うふ。そのうち、おいしくなるよ」
 と言ってレイチェルはうまそうにグラスを乾した。
「ぷっはぁ〜。んまいっ! いいセックスした後のビールは最高やぁ」
「そんなに、よかったの?」
「ふふ。自信、持ってええで。まあ、正常位だけやったのは、ちょっと物足りんけどなあ」
「じゃあ、今度、教えて」
 甘えて言ってみる。しかし、返ってきた言葉は意外にも、
「あかん。あんたとは、これっきりや。もう会うこともないやろ」
「えっ!?」
「あたしは、あたしの役目は果たした、と思う。あんたの幸せのじゃまはしとおない」
「レイチェル…」
324名無しさん@ピンキー:04/09/01 23:33 ID:BZw68BcG
そろそろ物語も終盤ですかね?
幸せになって欲しいですね。

いつもお疲れ様です。
325名無しさん@ピンキー:04/09/02 22:02 ID:GBWJRCoW
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 2回戦!2回戦!
 ⊂彡
32618Rの鷹:04/09/02 22:58 ID:U+HQcHVO

「なあ。ただセックスがしたいだけなら、お金さえあればなんぼでもできるやろ」
「うん」
「あんたにはそんなセックス、してほしくないんや」
「うん」
「愛のないセックスも、セックスのない愛も、あんたには似合わんよ。彼女と仲良く、な。2人でいっぱい抱き合うて、いっぱい気持ちよくなり」
「うん…」
「これ、あんたの携帯やろ。あたしの着信履歴、消しとくで」
 そこまで気を使ってくれる年上の女性に、ただただ感謝する。
「ありがとう」
「そんなに、しんみりせんでもええで。あたしにも一応、彼氏、おるしな」
「レイチェルの彼氏なら、きっといい男なんだろうね」
「ん〜、ん〜。しょーもない男や。しがないお笑い芸人なんや」
「へぇ〜。そおなんだ」
「ま、そんなことは、どおでもいいわ。それよりな、あんたのことや」
「えっ?」
「あんた。きょう中に彼女と連絡取らな、あかんよ。あれこれ考える時間を与えちゃ、できるもんもできんようになるで」
「だいじょぶ、だと思うけど…」
「ふぅ〜ん。愛されとるんやなあ」
「いやあ…。でも、ちゃんと連絡するよ」
「よっしゃ! …あの、な。あたし、あんたの初めての女になれて、ほんとにうれしいよ」
「ぼくも! ぼくもレイチェルが初めてでよかったよ」
「あほ。これでも、心の中で彼女に『ごめん!』って手ぇ合わしてるんやで」
「あっ、そうか。そうだよね。でも、後悔、してないよ、ぼく」
「ありがとお、な。じゃあ、シャワー浴びて、出よっか」
「うん。レイチェル、ほんとに、ほんっと〜に、ありがとう!」
 シャワーの後、服を着てホテルを出る。軽く右手を上げただけで振り返らないレイチェルに向かって、深々と礼をした。
327名無しさん@ピンキー:04/09/03 23:58 ID:qifVAKlv
今日は投下がないようですね。
お体ご自愛ください。

待っていますから。
32818Rの鷹:04/09/04 01:17 ID:2snTnPQi

(さあ、次、次!)
 いつの間にか、レイチェルのポジティブな気持ちが乗り移っている。"大人"になった、という実感はそれほどでもなかったが、高揚した気分で帰路についた。
 家に帰ったのは夜の8時過ぎ。ホテルでシャワーは浴びたが、怪しまれないように風呂に入る。冷蔵庫からコーラを出し、それを持って部屋に戻った。パソコンのスイッチを入れ、メーラーをクリック。指は迷いなく思いを綴っていく。

件名:晶良さん
──ぼくの気持ちは、変わらない。
──いや、変わったかな。
──だって、昨日より今日のほうが、晶良さんをずっと好きになってる。
──だから、今日よりも明日のほうが、もっと好きになってると思う。
──晶良さん。会いたい。すぐにでも会いたいよ。
──晶良さん。愛してる。

(これで、いいかな。きょうのことは触れないほうがよさそうだし…)
 もう一度、読み返し、送信ボタンをクリック。冷えたコーラをのどに流し込んだ。
 返信のメールはびっくりするほど早くきた。

件名:おっそ〜い!
──アンタっ、こんな時間まで何やってたのよ!
──ずっと、ずっと、待ってたんだから!
──…ねぇ、ホントに気持ち、変わってない?
──ホントにアタシのこと、好き?
──アタシ、アンタのこと、アイシテル。
──アタシだって、すぐ会いたい! だけど、少しだけ待ってて。
──入学式の前の日だけど、4月8日の日曜日、会える?
329名無しさん@ピンキー:04/09/04 14:01 ID:EBy6r1ID
読んだ後…携帯電話を手に取り、ある人の電話番号を消しました。
…なにか憑きモノが取れた感じがします。
無理しない程度に創作活動を続けてください。

いつもお疲れ様です。
330名無しさん@ピンキー:04/09/04 21:13 ID:ufidPqI9
>329
なんだかヘビーだな、落ち込まずにがんばれよ、通りすがりが勝手に言うのもなんだけど
33118Rの鷹:04/09/04 21:21 ID:2snTnPQi

 ずっと待ってた、は言いすぎかな、と晶良は思った。帰宅して自分の部屋で待ち始めてから、まだ1時間もたっていないのだから。それでも、まあ、いいやと、そのまま返信した。
 それから彼のメールをもう一度、読み返した。『愛してる』という言葉に、頬が紅潮してくる。彼の顔を思い浮かべ、『愛してる』と言う彼の声を想像してみる。体温が上がった、気がした。そして、今夜も指遊び…。

(いやあ、何してたって言われても…)
 もちろん、正直に答えられるわけはない。
(1週間後かあ)
 あしたにでも再戦をお願いしたい心境ではあったが、ここは晶良の都合に合わせないわけにはいかない。1週間後の理由が生理のせいとは、さすがに思いは及ばない。再度パソコンに向かう。

件名:もちろん!
──いつもの時間、
──いつもの場所で待ってるね。
──晶良さん。愛してるよ。

(まあ、高校進学の準備とか、いろいろすることはあるし。1週間くらい、あっという間だよね。でも、あ〜、早く晶良さんとしたいなぁ〜)
 これでよし。パソコンの電源を落とし、ベッドへ潜り込む。2回、放出した疲れが出たのか、"イメージトレーニング"などせず、そのまま眠りについた。
 翌日は一人で外出。服やら何やら買いそろえ、帰りがけにドラッグストアに寄り道。"本日の目玉商品"12個入りが2箱で税込み3000円だったので、それを購入した。
 その夜、レイチェルにもらった2つのうちの1つを実際に装着し、その日に備えてイメトレ。もう、自分の右手では満足できない、そう思った。
332黄昏の…:04/09/05 00:03 ID:WenC96YZ
一ヶ月ぶりにカキコ。
PCのデータがブッ飛んでリカバリを余儀なくされるなど、熱い夏ですた。
SSはバックアップとってたからヨカタヨー。>>275の続き投下してみまつ。

 唐突に4年後。カイト宅にて。
「で、本題は? 暇だったから来てくれたワケじゃないんでしょ?」
「あ〜、やっぱ判る?」 
 さすがに4年も付き合っていれば、お互いに何を考えているかも多少は判る。
いくら暇とは言え、この暑い中、電車で何十分もかかるカイトの家に来る展開は…少し強引だったか。
「おじさんとおばさん、いないんだよねぇ?」
「あ、あぁ…そ、そうだけど…」
「この部屋、クーラーもつけた方が涼しくない?」
「な、何でさ? 扇風機で十分じゃ…?」
 晶良は手早く窓とカーテンを閉め切り、クーラーのリモコンに手を伸ばす。
温度設定を確認し、カイトの前にしゃがみこんだ彼女は…何故か不敵に笑うのだった。
「あと、この部屋に居るのって私達だけよねぇ?」
「だ、誰か見てるんディスカ?」
「いんや、それだけ確認できればオッケーだから」 
 ヘッヘッヘ、と意地悪く笑う晶良。カイトに逃げる選択肢は用意されてなかった。
「いつかの屈辱、晴らさせてもらうからね〜!」
「く、屈…? わッ、ちょッ…!」
 カイトの抗議もお構いなしに晶良の手がズボンに伸びる。
さすがテニスで鍛えてるだけあって中々の握力…じゃない、こんな簡単に男性器を掴まれてしまうとは…。
「は〜ん? 何よ、掴む前から硬くしちゃって…」
「晶良が意味深なこと言ったり、変な色目使うからだろ!?」
 マズイ、4年前とは完全に立場が逆だ。
最近では晶良の方が積極的に姉さん的な感じで迫っていたのだが…。
「最近はご無沙汰だったもんねぇ…それとも、私がいない間に誰かとヤった?」
「て、天地神明に誓ってヤってません!」

333黄昏の…:04/09/05 00:04 ID:WenC96YZ
 こういう場合、主導権は晶良にある。よって、嘘をつくのは得策ではない。
まぁ、確かに高校でそれなりに先輩後輩の女生徒からのお誘いはあることはあった。
 が、晶良がいるので全てお断り。ガルやなつめともたまに会うけれど、会うだけだ。それ以外はナシ。
「…ま、いいけどね」
 手馴れた様子でズボンやらベルトやらを外し、カイトの男性器をシゴく晶良。
4年前はそれなりに初々しかったのだが…どうやら度が過ぎたのかもしれない。
 性行為中、それも晶良が攻めに回る時は特に注意しなくてはいけないから。
「晶良…僕と付き合いだして、絶対ヤラしくなった!」
「へーんだ、全部アンタのせいだし…そういうこと言うと…」
「わッ、は、早ッ!」
 悦に入った晶良の手が早まる。4年の付き合いでカイトがどうすれば早く射精するか、
ということも知り尽くしている彼女のこと。これまではそれなりに貞淑な女を装っていたが…。
「あー、もう! 何で単位落とすかなぁ!? あの教授ムカツクー!!!」
「それが僕を苛める理由ッ!?」
 どうあやら大学の履修単位をどれか落としたらしい。
なるほど、その苛立ちの解消のためにカイトを…。 
 それが4年前の屈辱を晴らす…という建前に繋がるかどうかはさておき、だが。
「アンタも粘らなくていいから、出しちゃいなさい!」
 クーラーの冷気が気持ちいい中、別の快感がカイトを襲う。
晶良のシゴきが上達した、というのももちろんあるけれど…ここまで淫乱な彼女は久々だ。
「出しにくかったら服、脱ごうか?」
 言うが早いか、晶良はその場に上着を脱ぎ捨てる。もう何でもアリだ。
「もう、こんなに硬くしちゃってるのに…なーんで出さないかなぁ」
「だ、出したいけど…」 
 カイトにも意地がある。そう簡単に射精しては、彼氏としての威厳と言うか何と言うか…。
「女が男に『出して!』って言うのは最高の賛辞! アンタは全然判ってない!」
 ああ、判った。この人はヤケだ。
334黄昏の…:04/09/05 00:06 ID:WenC96YZ
 そして舞台は再び現代。コロシアム内で死闘は続いていた…。

「我ッ…ガガガァアアアアアアアアアアアアア――――――――――――――ッ!!!!!!!!!!」
「雄ぁおおぁぁ――――――――――――――――――――――――――――ッ!!!!!!!!!!」
「苦ッ、うぅぅ――――――――――――――――――――――――――――ッ!!!!!!!!!!」

 ぶつかり合い、爆ぜる、光と闇。
カイトとブラックローズのダブル・ドレインに対し、ミアのダークストラッシュが吼えた。
 渦巻く闘気、金色のデータドレインと暗黒のデータドレインが激突し、爆ぜり合う!

 ドガガガガガガガガッ!!!!!!!!!!!!!!

 強大なデータドレイン同士の邂逅は、コロシアムに崩壊を齎しつつあった。
弾けたデータドレインの余波が容赦なく観客席のウィルスバグ達を襲い、殲滅。
 逃れる術も無く、次々と消し飛んでゆく彼ら…混沌の中に、全てが還ってゆく。

「バッ、バカな…こ、こんなことが…ッ!?」

 それはミアも同じことであった。
指先から順に崩壊してゆく体…嗚呼、これが『死』なのだろうか?

「光差す世界に、汝ら暗黒…住まう場所無しッ!!!!!」

 虚空の向こうで、微かにカイトの声が聞こえた気がする。
闇が光に呑まれ、ミアの身体を覆った瞬間…どうしてだろう、ひどく懐かしい気分になった。
335黄昏の…:04/09/05 00:07 ID:WenC96YZ
「そっか、そうだったんだ…勘違いしていたのは…ボクの…方…」

 キュィィィィィィンッ!!!!!!!!!!!!!!!!!

 ミアの身体が、光で満たされてゆく…。
「出たッ! ミアを浸食していた『闇』ッ!!!!!!!」
 ドレインされたミアから飛び出した霧の様な闇を凝視し、カイトが叫ぶ。
彼が“闇”と呼んだソレは、まるで意志を持っているかの様に蠢いていた。
 と、この場は形勢不利と睨んだのか、向きを変えて空へ逃れようとする闇。
だが、それを見逃すカイトではない!
 瞬時にデータドレインの全エネルギーを腕から脚に変更、闇に向かって踊りかかる!

「ドレイン…スマ――――――――――――――――――――――ッシュ!!!!!!!!!」

 大きく飛翔し、闇に向けてキック…金色の光が闇を貪り、完膚なきまでに食い尽くす!
闇は逃れようともがくものの、カイトのドレインシールがそれを許さない。
 これまでに様々なキャラクター達を犯し、陵辱し、嬲り、蹂躙してきた闇。
カイトはそれを許さない…そう、カイトは今まさに、怒りに燃えていた。

「うおぉぉぉぉぉぉぉ―――――――――――――――――――――――ッ!!!!!!!!」
「ギッ、ギィィィィィィ……ギィ――――――――――――――――――ッ!!!!!!!!」

 カイトの渾身の一撃が、ついに闇を貫いた。
飛び散った残滓も余すところなく、光によって浄化されていゆく…ついに、嗚呼、ついに。

「終わった…終わったんだ…ハハ…ハァ…」
336黄昏の…:04/09/05 00:09 ID:WenC96YZ
 間の抜けた様なか細い声で、ブラックローズが笑った。
無理もない、この数時間の出来事はまるで夢物語…それも悪夢に近かったのだから。
それにカイトとともにダブル・ドレインを撃った疲労もあるのだろう。
ヘナヘナと床に崩れ落ち、安堵の表情を浮かべている

「晶良、大丈夫?」
「大丈夫なワケないじゃん…あー、もう死ぬかと思った!」
 闇を倒し、地上に舞い戻ったカイト。まだ黄昏体は解けていない。
「…ミアは?」
「あそこでグッタリしてるよ。多分、何も覚えてないだろうけど」
 闇に支配されていたミア。その呪縛から解放された今、戦う理由はない。と…。

「ミアッ!!!!!」

 コロシアムの地下から這い出して来る者の姿があった…エルクである。

「ねッ、ねぇ! ミアは…ミアは大丈夫なの!?」
「心配ない、もう全部終わったから…」
「行ってあげなさいよ。そのために来たんでしょ?」
「う、うん…!」

 ブラックローズの前に、王の刺客として立ちはだかったエルク。
全てはミアのためであった。ミアが闇に囚われていることを知りつつ、何もできなかった自分。
ならばせめて、ミアの側に居たい…。純粋な願いから生まれた歪んだ感情。
 でも、それももう必要ないだろう。全ては終わったのだから…。
337黄昏の…:04/09/05 00:13 ID:WenC96YZ
「ウィルスバグ達が…ザコモンスターに変わった…!?」
 一方、こちらはコロシアム外で戦いを続けていたバルムンク達の陽動チーム。
もうHPもSPもアイテムも尽きかけていた矢先、突然の変化にやや戸惑い気味である。

「あ、あのぅ、コレってもしかして…?」
「あ、あぁ、カイト達が…うまくやったんだろうな」
 なつめの素っ頓狂な問いかけに対し、ガルデニアも思わず間の抜けた返事をしてしまう。
が、やはり自分の考えは正しかった、と痛感する。やはり、彼の強さは本物だったのだ。
「さすがは私の見込んだ男だな」
「…ガルデニアさん?」
「あ、いや、気にするな。ほら、回復、回復だ!」

「終わったみたいだね〜(^○^)」 
「カイトさん達が勝ったのですね…良かった…」
 ミストラルと良子。バクドーンの連発に次ぐ連発で焼け野原と
なった地面に座り込みんだ2人の苦笑いが聞こえる。もうヘトヘトだ。
「もうこんな時間かぁ、寝不足は女の天敵なのにィ〜」
「ですね…ふぁぁ。私、こんな時間まで起きてるの、初めてです」
「良子ちゃん、がんばったもんねぇ」
 ポンポンと、ミストラルの手が良子の肩を叩く。彼女も笑っていた。
「これでまた、一緒に遊べますね、カイトさん!」

「司、見えますか?」
「うん。あの子達が勝ったみたいだ」
 司と昴。ボロボロになりながらも寄り添いあい、コロシアムを見つめていた。
「私達の意志は…無事、彼らに伝わりました。私はそれが嬉しい」
「そうだね…うん、そう思う。あの子達なら、きっと…」
 かつて【Δ 隠されし 禁断の 聖域】で繰り広げた戦いを思い出す。
あれからまだ1年も経っていないのに…。
「明けない夜なんて…ないんだ」
338黄昏の…:04/09/05 00:15 ID:WenC96YZ
「フム、どうやら我々の勝利の様だな」
「カイトとブラックローズが、黒いカイトを倒したか…」
 バルムンクとワイズマン。2人で2千体近くの敵を相手にしただけあり、
もう疲弊しまくりである。さすがに今回の戦いは骨が折れた様だ。
「やれやれだ。もうコントローラーを持つことさえ、負担としか思えない」
「ザコモンスターは放っておいても無害だろう。
奴らのレベルではプレイヤーに手出しをすることもできんだろうからな」
 剣を鞘に納め、バルムンクが笑う。
終わったのだ。これでオルカ達も帰ってくることだろう。
 だが、何かを忘れてはいないだろうか? 漠然とした、何かを…。

 豪! 業! 剛! 郷! 轟ッ!!!!!

「な、何だ!? 今度は何だッ!?」
「じ、地震か…!?」

 突如、新たな地響きが起こった。それもかなりデカイ。一体、今度は何が…!?
「バルムンク、あれを見たまえ!」
「…ッ!?」
 ワイズマンの指差す先…空間の割れ目から、禍々しき者の姿が垣間見える…あれは!

「ク…クビアッ!?」
 その巨体が覆いかぶさるが如く、コロシアムに落ちてゆく…!
 
339黄昏の…:04/09/05 00:16 ID:WenC96YZ
 一方、コロシアム内では…。
「カ、カイト! あ、あれッ!!!!!」
「クビア…!? しまった、アウラの気配を感知して…!」
 先程まで、王と融合していたアウラ。
だがカイトとのバトルファイトによって多大なダメージを負い、彼女を吐き出してしまった。
結果、王の戦闘力は激減したものの、彼のプロテクトによって守られていたアウラは
再びクビアの感知範囲に曝されることになってしまったのだ…このままでは、マズイ!
「くッ…雄ォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!!!!!!!!!!」
「カ、カイト!?」
「時間がない! クビアもここで倒す!!!」
 カイトが黄昏体をずっと維持できる保証もない。一気にケリをつけねば! が…!
「ハァッ、ハアッ…! そうはさせないィ…!」
「なッ…!?」
「お、王…!? そんな、まだ生きて…!?」
 崩壊を始めたコロシアムの瓦礫の山からズルズルと這い出してくる異形の影があった。
下半身はなく、血の代わりにデータが溶け出し、一層、醜さを引き立てている…!
「誤算だったなァ…僕がこの程度でくたばるかァッ…!!!」 
 瀕死の状態で下半身を失ってもなお、王の邪悪なオーラは揺るがない。
何ということだ。ミアの攻撃で死んだと思っていたのに…まさに不死身の魔人か!?
 フラフラと宙に浮かびつつ、王はその手をクビアの方へと差し出し…。
「さてとォ…クビア。姉さんを…ゲホッ、取り込みに来たんだろう?
だがその役目、僕にやらせてくれないかなァ…ゴホッゴホッ、僕が、お前と1つになるって言ってんだよォ!」
「!?」
「カイト、アイツ…何言ってんの?」
 王を見下ろすクビア。確かに、アウラと同等の存在である王を取り込むのは魅力。
しかし、それではクビアとしてもいかがなものか? 目的はアウラのはず。だが…。
「時間切れだ…クビア、元々お前に選択権なんてェ…無いんだよォッ!!!!!!」
 瀕死の王が懐から取りだしたるカード! 王の最後の賭けだ!

「クックック…邪 神 融 合 ( エ ビ ル フ ュ ー ジ ョ ン )! ! ! ! !」 
340黄昏の…:04/09/05 00:19 ID:WenC96YZ
邪神と言っても、モッコス様とは違うので…。
ああもう最終回も近い。
341名無しさん@ピンキー:04/09/05 01:54 ID:8Rx37RIM
黄昏の…様、GJです!
カイトのレムリア・インパクトを想像してしまいましたw
終わりに向けて頑張ってください!
342名無しさん@ピンキー:04/09/05 04:18 ID:r57EZsIb
>>340
乙です…って、思い出しちゃったじゃないかぁぁぁ
うわぁあぁあぁあぁあぁぁぁ…
343名無しさん@ピンキー:04/09/05 08:47 ID:iZ2huvux
初めてモッコス様を見たとき、間違えてグロ画像を開いてしまったときの
背筋に広がる嫌な感覚を感じた・・・
344名無しさん@ピンキー:04/09/05 18:47 ID:8FZtZyCB
レムリア・インパクト・・・って事は黒いカイトはマスターテリオンってことですか?w
345名無しさん@ピンキー:04/09/05 19:14 ID:jybrdbcD
モッコス様って何?
そんなボスいたっけ?
346名無しさん@ピンキー:04/09/05 20:05 ID:8FZtZyCB
ゼノサーガエピソード2
34718Rの鷹:04/09/05 21:09 ID:eYYyni8S
>>331の続き

 その日は『春』と呼ぶにふさわしい、うららかな陽気だった。日差しは暖かで、やわらかい。歩きながら目に飛び込んでくるのは、7分咲きの桜たち。花見をしているのだろう、あちこちで楽しげな声が聞こえる。
 きょうはとても気分がいい、と晶良は思った。それは生理が終わったから、ばかりではなかった。この前よりも気温が上がり薄着になったのと同じように、心の衣も脱ぎ捨てたような気分だったからだ。
 愛されてる──。
 彼の、自分を想う気持ちが、心の緊張を解き放ってくれた。ただ、体がすんなりと彼を受け入れてくれるかは、かなり不安ではあったが…。
 待ち合わせの場所に着くと、いつものように彼が待っていた。買ったばかりだとすぐわかる、見たことのないシャツを着て、小走りに近づいてくる。晶良も駆けだし、彼の胸に飛び込む。いつもなら人目を気にする晶良の大胆な行動に戸惑う彼。
「どうしたの? 晶良さん」
「ん〜。きょうのアタシは、とってもゴキゲンなのっ!」
「…お酒、飲んでたり、する?」
「飲んでないわよ! アンタに会えて、うれしいの!」
「あ、そおなんだ。わ〜い」
「セリフ、棒読みなんだけど」
「いやあ、春だなぁ…」
「ちょっとぉ。おかしくなっても、いないわよ。んもう、素直に喜びなさいよね」
「うん。ぼくも晶良さんに会えて、とってもうれしいよ。1週間、長かったぁ」
「でしょ? さ、行きましょ」
 そう言って腕を組んでくる晶良。必要以上(?)の明るさに、どうしたものか逡巡していると、それに気づいて、
「ねぇ。アタシ、無理してないよ? きょう、ね。ちゃんとアンタのものにして…」
 頬を赤く染め、小声でつぶやく。腕に力を込めてくる。
「うん」
 いとおしい、という言葉しか思い浮かばない。胸を締めつけられるような感覚。抱きしめてキスしたい、そんな衝動に駆られる。
348黄昏の…:04/09/05 23:52 ID:/Jgm7P8I
>>341 >>344
応よ! 個人的にはハロワの和樹キュンにハァハァ。
>>339の続きも熱いバトルを約束するともさ。

「な、な、な…!?」
「何じゃありゃ…!?」
 レイチェルと兎丸は開いた口が塞がらない。その他のメンバーも同様だった。
 突如として空間を引き裂き、コロシアムに落下したクビア。
そして瀕死の黒いカイトことウィルスバグの王。その2体が邪神融合して生まれた新たな存在…。
 それが今、.hackersらの前にその巨躯を隠すこともなく、現れ出でたのである!

「バルムンク、ワイズマン!」
「!? カッ、カイトか!?」
 ブラックローズ、エルク、そして動かないミアとアウラを連れてコロシアムから
精霊のオカリナによって脱出して駆けつけたカイトを見て、バルムンク達が驚く。
 それはそうだろう。さっきまでとは随分と様子が違うのだから。
「お、お前…カイトか? だいぶ様子が変わったみたいだが…?」
「フム、その金色のオーラに金色の服…もしやスーパーサ○ヤ人かね?」
「バルムンクもワイズマンも、昔のマンガの話してる場合じゃないよ…王とクビアが!」
 カイトは順を追ってこれまでの経緯を説明した。
一度はデータドレインの限界を迎え、死んだこと。復活し、王を追い詰めたこと。
 そして闇に侵食されたミアと戦ったこと。そして…王がクビアと融合したこと。
「なるほど。王はモルガナからイリーガルなアイテムや能力を授かっていた…と言うしな」
「だが…アレはさすがに反則じゃないか?」
 呆れた口調でバルムンクが彼方のコロシアムで咆哮を挙げる邪神を見やる。
大きさから言ってこれまでのクビアの2倍近くある…その禍々しいオーラと言ったら…。
「…ピッコロ大魔王やフリーザが可愛く見えるんだが」
「フム、周囲のモンスター達を吸収し、更に膨れていくな…マズイかもしれない」
 これには賢者ワイズマンもお手上げ、と言った感じだった。
無理もない。もはや、我々人類の手に負える相手ではないのかもしれない。
 電脳世界が生み出した窮極の邪神…人外のモノ。ここまできて…ダメ、なのか!?
349黄昏の…:04/09/05 23:54 ID:/Jgm7P8I
「そうだ、ヘルバ! ヘルバなら!」
「…連絡が取れない。イレスとリョースともな。あちらも攻撃を受けていたから…もしかすると…」
「そんな! あんなに頑張ったのに、セカンドインパクトを防げなかったって言うの!?」
 ブラックローズが詰め寄る。そんな、では、何のために自分達はここまで来たのか…!?
セカンドインパクトが起こってしまえば、間違いなくネットに頼り切った人類は絶滅する。
 各地で信号は止まり、ビルのネオンは消え、病院の医療機器は停止、最悪の場合…。
「核ミサイルによる世界同時攻撃…というのも、あながち夢物語ではないだろうな」
「クッ、そんなターミネーター3の様な酔狂な終焉…俺は認めんッ! 認めんぞッ!!!」
「お、落ち着いてよ、サンダル…じゃない、バルムンク!」
 カイトも焦っていたのか、思わずバルムンクの名前を呼び間違えた程だ。
 見ればもうブチギレ寸前の彼。今にも銀髪から金髪に変わってしまいそうだった。
だが、ここで冷静さを失ってしまってはダメだ。何とか、何とかしなくては。
 残されたわずかな時間で、何とか…。でも、誰が? 誰がこの事態を収拾すると言うのだ?
自分が? 一介の中学生の自分が? ただの人間の自分に何ができる? 何が? 何が?
「僕に…できること…」
今、カイトは黄昏体(トワイライトフォーム)である。この世界に生きとし生ける者達の
生命の輝きを内包した、究極のフォーム。が、それは一時的に彼を現世に留めているに過ぎない。
「(あの時、僕の左腕と右脚は…)」
 ハッキリと覚えている。灰となって崩れ落ちた左腕と右脚。
今このフォームが解けてしまえば、たちまち自分は灰燼と化すだろう。
「(つまり…死ぬ、ってことか)」
 ゲーム的な死ではない。意識もろともゲームに取り込まれる死だ。
カイトはもはや、このゲームのシステムの基幹と呼べる存在…無事ですむ筈がない。
 それでも、嗚呼、それでも。

「僕が…やる」
「え、ちょ、アンタ正気!? あんなの、絶対倒せっこないよッ!!!」
「君の勇気は賞賛に値するよ、カイト。だが…もう我々に打つ手は…」
「カイト、今ここでお前が死んだらオルカ達…いや、世界は、この地球(ほし)はどうなるッ!?」
「僕にしかできない…僕がやらなきゃ…誰がやるって言うんだッ!?」
350黄昏の…:04/09/06 00:02 ID:kzbG1Eq/
 これまでに聞いたことの無いカイトの怒声に、一同は気圧された。
カイトにしかできないこと…例えそれが、絶望を切り裂く、ほんの小さな活路だったとしても?
「ダメ…絶対ダメッ!!! アンタまでいなくなったら、私…私ッ!!!!!」
「カイト、俺は友として忠告する! 確かにお前はナンバーワンだ!!!
だが、それは従来のゲームのこと…これは最早、最早…ゲームとは呼べんッ!!!!!!」
「生き残る希望はまだあるはず! 君だけが命を賭ける負い目など…!」
 ブラックローズ、バルムンク、ワイズマンの説得が木霊する。
が、もうカイトの耳には届いていなかった。どの道、世界が終わってしまうと言うのなら…いっそ。
「…それでも戦うしかない」
 彼の小さな呟きに、3人の声が止まる。
「無駄なことかもしれない。最初からどう足掻いたって…ダメなのかもしれない」
 一陣の風が吹き荒れ、カイトの体からほとしばる金色のオーラを大きく揺らす。
「それはすごく可笑しくて…馬鹿みたいで…無様なことかもしれない。けど、けどさ…」
 一歩踏み出し、カイトは振り向いた。そこにあったのは、いつものカイトの笑顔。
「今、戦う時なんだ」
 全てを悟りきった様な、澄んだ笑みだった。それでいて、覚悟を決めた者の目でもある。
「手足が千切れようが、地べたに這いずり回されようが…無様でいいじゃない」
 3人とも言葉がでない。それは同時通信で彼らのやりとりを聞いていた
他のメンバーらも同様だった。それだけ、今のカイトの言葉に聞き入っている、ということか。
「例え、惨めで無様でゴミクズみたいでも…生きてる方がずっといいじゃないッ!!!!!!!」
 カイトが吼えた。人間なら誰もが持つ、生への執着。
生命の輝きによって現状を維持している分、カイトはそういうことに一番敏感なのかもしれない。
 もう引けない。この世界を救うには…自分がやるしか!
「天上天下唯我独尊ッ、冥府の罪剣ッ、顕現せよッ!!!!!!!!!!!!!」
 金色のオーラが輝き、カイトの両の腕に2種の異なる双剣が現出する。
それぞれノーマルとレア武器の中でも最強クラスの代物だ。
 ミアとの戦闘で見せた能力と同様、イリーガルな力のすごさを改めて思い知らされる。
「僕がやらなくちゃいけないことだから…」
 別れの言葉と共に、カイトは邪神に向け、翔んだ。
351黄昏の…:04/09/06 00:07 ID:kzbG1Eq/
「天上天下唯我独尊ッ、冥府の罪剣ッ、激情形態ッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 カイトの咆哮と共に、両手の武器が巨大分裂! 邪神に向けて無数の剣が飛び掛るッ!!!!!!

 ズドズドズドズドドズドズドズドズドズドズドズドズドッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

「まぁだぁだァ――――――――――――――――――――――ッ!!!!!!!!!!!!!!!」
 無数の剣が突き刺さり、血飛沫を放つ巨大な肉塊にも見える邪神。
だがカイトは攻撃の手を緩めない。このおぞましい化け物が、このくらいで死ぬはずがない!
「ドレインアークッ、強化ッ!!!!!!! 全方位から撃ち滅ぼせッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 多重ドレインアークがあらゆる方向から邪神をプロテクト、その触手を消し飛ばしてゆく! だが…。
「クッ、ダメだッ!!!! こっちの攻撃よりもあっちの自己修復の方が早いッ!!!!!!!!!!!」

 一方、カイトと邪神の防戦を見つめるバルムンク達。
もう、何が何やらさっぱり分からない。目の前の光景がすご過ぎて、グゥの声も出ないのだ。
「(カ、カイトの奴…アイツも立派な化け物ではないか…!)」
「(王とミアとの連戦で疲れきってるはずなのにィ…このままじゃ、アイツ…!)」
「(…データドレインは使うな、と警告したはず。が、今のままでは非常に危険だ…!)」
 それぞれの思惑が、交錯する。

「チィ…コアは何処だァ――――――――――――――――――――――――――ッ!?」
 確実にダメージを与えるには、やはりコアを攻撃するしかない。
以前もそうやってクビアを退けてきたのだ。しかし、今、この邪神のコアはどこにッ…!?

「ここだよ、ここ」
「!?」

 突如、醜悪な肉塊…その頭部らしき部分から声が発せられた。
蠢き、流れる肉…聞き逃すはずもない。この声は、嗚呼、この声は…! 
「クックック…ハッハッハ…やぁ、兄弟!」
「貴様ァ…王ッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
352黄昏の…:04/09/06 00:13 ID:kzbG1Eq/
 元クビアの頭部らしき部分から、小さな人型の物体が現れ出でた。
それこそ、王。カイトの姿をした魔人。上半身しか出ていないのは、ミアの攻撃による後遺症か?
「ヒャハハ…随分と痛めつけてくれるねェ。でも、この身体に傷を付けるのは不可能さ」
「…ミアの攻撃で貴様は吹き飛んだ! でも何故、あの時かろうじて生きていたッ!?」
「フゥフフ…いい質問だ。まぁ、僕も計算していたワケじゃない。たまたま運が良かったんだ」
 空中で静止、向かいあうカイトと王。
「正直、ミアの攻撃を受けた時はもうダメかと思ったけどねェ」
 クックック…と自嘲気味に王が笑う。厭な笑みだ。絶望すらも枯れ果てそうな…そんな凄みさえある。
「実はね、クビア同様に僕にもコアがある。
モルガナに作り出された、もう一つの生命の可能性…八相と呼ばれる者達にもね。
 普段は赤い光球の様な形をしていて…大きさは固体によって様々なんだけど…」
 ユラリ、と王は無防備に身体をのけぞらせる。余裕綽々…何とも憎たらしいポーズだ。
「そのコアを破壊しない限り、僕が死ぬことはない。
おかげでいい時間稼ぎになったよ…ミアを倒してくれて、おまけにクビアまで呼んでくれちゃって!」
 ヒッヒッヒと高笑いをあげる王に、カイトの怒りが静かに爆発した。まさに外道の所業。
「つまりはァ…お前らは僕を倒すどころか…最高のプレゼントを与えちゃったんだよッ!!!!!!!!!!!」
 
 ヒュンヒュンヒュンッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 無数の触手が唸り、撓り、カイトを襲う。その先端の一つ一つをかわしている余裕などない。
「我ァァァァァァァァァッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 カイトの気合が閃光の咆哮となって疾り、触手の群れを弾き飛ばしてゆく…!
「…いいよ、いいだろう。貴様がそこまで下衆だったから、僕もここまで這い上がってこれた。
僕の総てを賭して、貴様の総てを全力で否定してやる!!! 異形の王…此処で、貴様を、葬るッ!!!!!!!!」
「アッハッハッハッ!!! さぁ、破滅と共に踊ろう兄弟ィ!!!!! 今こそ、僕らが世界の中心で愛を叫ぶ時ッ!!!!!!!!!!!」
 2つの殺意が、宙空に舞う。光と闇が、この地球(ほし)の上で。踊れ、その生命、枯れ果てるまで。
353黄昏の…:04/09/06 00:19 ID:kzbG1Eq/
>>351-352あたりの文章は
生沢佑一氏の
「機神咆吼ッ! デモンベイン!」か「Evil Shine」を
脳内BGMとして再生すると燃える…かもしれない。
知らない人はゴメン。まだ曲は検索すればダウソできるんで、興味あったら聞いてみてね。
35418Rの鷹:04/09/06 00:23 ID:zMD2PtCB
乙!
355名無しさん@ピンキー:04/09/06 00:26 ID:fBPzSEt2
>>黄昏氏

これはなかなか、良いもの読ませていただきました
さすがですね〜
356名無しさん@ピンキー:04/09/06 01:41 ID:sWYOe0Gh
>>353
(;´Д`)そのさーけーびかかげてゆけー
35718Rの鷹:04/09/06 21:31 ID:zMD2PtCB
>>347の続き

「ねえ、この前と同じところでいいかな?」
「んなこと言われても、ほかなんか知らないでしょ」
「そ、そうだよね」
(いやあ、新宿にいいホテル、あるんだ…とは言えないよね)
「さっ、行きましょ。男のコなら、ちゃんとエスコートする!」
「はぁ〜い」
 電車の中でも楽しい会話が続いた。もちろん、うわの空なんてことはない。いつもどおりのデートだ。
 駅に着いても、過度の緊張は2人ともしていない。
「ねえ、帰りにお花見、してこっか?」
「いいね。でも、晶良さんの後じゃ、桜も色褪せちゃうんじゃないかなぁ」
「ばか言わないの。…じっくり見られたら、アタシ、恥ずかしい…」
 顔を赤らめ、俯く晶良。ここまできて話題を変える必要はない。
「だって、きれいで、かわいいんだもん、晶良さん」
 耳元でささやく。ますます赤くなる晶良。そうこうしてる間にホテルの入り口をくぐる。きょうは晶良も部屋のパネルを見ている。
「あんまり派手なとこはイヤ…」
「うん。わかってる」
 そう言って彼が選んだのは、オーソドックスに見える2階の一室だった。キーを取って手をつなぎエレベーターに乗る。さすがに2人とも無言だ。互いの呼吸音だけが、やけに大きく聞こえる。
 部屋に入り、引き寄せられるように抱き合う。キス。
 彼に唇を強く吸われる。たまに唇がずれて透き間が生じ『チュゥ、ヂュル』と音がする。
(こんなの、初めて…)
 と、唇をこじ開けるようにして、彼の舌が入ってくる。
(えっ? えっ?)
 驚きつつも、
(イヤじゃない…。気持ち、いい)
 頭が痺れてくる。ボーっとしてくる。彼の腕をつかんでいた手から、すぅっと力が抜けていく。彼に強く抱きしめられクラクラする。
35818Rの鷹:04/09/07 21:05 ID:/fT+OEPO

 彼の舌が迎えにきていると感じ、遠慮がちに舌をさしだす。嬉々として絡んでくる彼の舌。吸い込まれてしまいそうだ。湧き出る唾液を残さず嘗めとろうとするかのような彼。
 出てくるのは唾液だけではなかった。『じゅんっ』っと音を立てたかと思えるほど、股間が濡れていくのが晶良にはわかった。
「んん、ぅん、ぅぅん、ぅ〜…ん」
 呼吸が、吐息が速くなり、それが口から漏れ出す。
 半分だけ目を開けている晶良。その目を見つめながら、キスだけで追い込んでいく彼。舌が後退したかと思ったら、次は唇が攻めてくる。晶良の上下の唇を交互にはさみ、合間に舌を這わしてくる。
「ぅぅん、ぅん、ぁぁぁ、ぃぃょぉ」
 一度、唇を離し、呼吸を整え、再び彼に唇を強く吸われる。次の瞬間、ふっと体が浮き上がる。彼に抱き上げられベッドに運ばれる。いつの間にか唇は離れている。それすらも気付かなかった…。
 ベッドに座らされる晶良。彼は後ろから抱きしめ、耳に熱い息を吹きかけてくる。快感が走る。
「あぁっ、あっ」
「愛してる」
「ああんっ」
 動けない。耳への刺激、言葉による脳髄への刺激。彼はなおも、
「愛してる。愛してるよ。晶良さん。大好きだよ。愛してる」
 ささやき続ける。
「ア、アタシもぉ。アタシも愛してるぅ」
 耳を嘗められる。軽くだが、噛まれる。熱い息がかかる。そのすべてが晶良を感じさせた。気持ちよく、させていった。耳たぶを吸われ、歯を当てられ、声は大きくなるばかりだ。
 彼は服の上から両胸をやさしく撫で、不意に力を入れて揉んでくる。唇は耳への攻めを終え、いまは細い首を愛撫している。
「は…ぁぁ、あっ、あんっ」
「気持ちいい?」
 彼が耳元で聞いてくる。
「ぅん…。うんっ! 体が、熱くなってるのぉ」
359名無しさん@ピンキー:04/09/07 23:36 ID:vGrdds1U
>>357-358
乙です。今度は前戯たっぷりでぐっじょぶじょぶですね。
言葉責めもナイスです。
36018Rの鷹:04/09/08 20:36 ID:0Qq5RD4v

 壁一面の鏡で晶良のとろけそうな表情を観察。彼女の恥じらいを考えて照明は落とし気味にしているが、暗さに目が慣れてよく見える。もちろん、唇も舌も手も、間断なく動かしている。
 いつの間にか、彼の指がシャツのボタンを全部外していた。シャツを脱がされ、ブラも取り去られる。向かいあってキスをする。今度は晶良が彼のシャツのボタンを外していく。
 2人、上半身裸になって見つめ合う。
「晶良、さん。とても、かわいいよ」
「抱いて」
 抱き合って、彼はそのまま体重をあずける。晶良を寝かせ、上から見下ろす。頬を赤く染め、恥ずかしげに目をそらす晶良。ゆっくりと距離を詰め、唇を重ねる。
(焦っちゃダメだ)
 いったん顔を離し、目を合わせて、ニコっと微笑みかける。それを見て晶良も笑みを浮かべ、
「信じてるよ」
 小さい声だけれど、はっきりと言った。
 彼はスカートに手を伸ばし、器用に脱がした。続いて靴下を脱がす。それから、体を重ねてくる、と思ったら、太腿に唇を寄せ、舌を這わせてくるではないか。
「はあぁっ」
 意表を衝かれ、思わず大きな声を出してしまう。足の力が抜けていく。彼はパンティの上から音をたててキスをして、攻撃目標を上半身に変えてきた。
 あまり大きくはないけれど、柔らかで魅力的な弾力を持つ晶良の胸。手と唇、舌を駆使して愛撫する。
「はぁ〜ん、ぁぁあっ、あっ」
 晶良の声は、乳首を軽く吸ったとき、ひときわ大きくなった。
「んあっ!」
 舌で嘗め上げ、唇ではさむ。右、左、交互に。
「はぁっ、あっ、あっ、ぅんっ」
(どこが感じるのか、いろいろしてみよう)
 胸から唇をそらし、わきの下を攻める。晶良はくすぐったそうに身をよじる。
(う〜ん、この反応、微妙だ…。じゃあ、次は、と)
 脇腹に舌を這わす。ビクっとして、声を上げる晶良。
「あっ…、はぁぁぁ」
36118Rの鷹:04/09/09 20:49 ID:5/TNPa1E

 反対側を攻めてみようと、唇と舌を休まず動かして晶良の体を横断していく。途中、かわいらしいおへそにキス。
 愛撫を続けながら、お尻のほうに手をまわしパンティに指をかける。
「ぁぁん」
 恥ずかしげな吐息。しかし、すぐに腰を浮かしてくれる。するりとパンティを足から抜くと、彼女はもう何も身につけていない。ゴクっとツバを飲み込み、見惚れてしまう。
「…そんなに、見ないでぇ」
「きれいだよ。晶良さん」
「は、恥ずかしぃ」
 自分も裸になるべく、Gパン、パンツ、靴下と順に脱ぐ。ポケットからコンドームを取り出し、枕元に置く。
(用意してくれてたんだ)
 晶良はなんとなくホっとする思いがした。この1週間で、彼はずいぶん大人びた、そう感じた。その理由を、こんなにも自分は愛されてると考え、つかの間、幸せな気分に浸った。
 2人、裸で抱き合い、唇をむさぼるように吸い、吸われる。彼の舌が口の中をかきまわす。彼は左の肘で自分の体を支え、右手で胸を揉んでいる。乳首は硬くしこり、彼の背中にまわした腕には力が入りっぱなしだ。
「んぁぁぁ、あぁっ?」
 キスに夢中になっているうちに、彼の右手が胸を離れ、『隠されし 禁断の 聖域』におかれていた。指が割れ目に沿ってなぞってくる。
「あぁっ、はあぁ〜ん」
 これまでとは違う晶良のあえぎ。さらに別の指を動員して、その部分を押し広げる。
(濡れてる…。感じてるのかな、気持ちいいのかな)
 指で愛液を絡めとる。ピチャっと小さいが淫靡な音が聞こえた。その指を少し上の突起に当てる。
「ぅああぁぁっ! あぁぁっ、あぁ〜っ」
 晶良がたまにする指遊び、そのためらいがちな快楽の境界線など、すぐに越えられてしまう。上下にゆっくりと撫でていたかと思うと、今度は円を描くように指を動かされる。微妙に変化する強弱がくるおしいほどだ。
「あ───っ、あぁぁぁあっ、あっ! あーっ、ぃぃ、いいのぉぉ」
 晶良の声は大きくなるばかりだ。目をぎゅっと閉じ、たまに堪えられないといったふうに、顔を左右に振る。
(どんどん染み出してくるよ…。晶良さん、すっごく濡れてる。どんなふうになってるんだろう。見てみたい…)
36218Rの鷹:04/09/10 21:11:07 ID:YkpzJ67a

 指での愛撫の次は…。
(えっと。クンニリングス…って言うんだっけ、口でするのって。さあ、味見、味見)
 晶良の両足の間に体を入れようとする。
「ぃ、いやぁっ」
 と抵抗するが、力は抜けてしまっているようだ。両膝をつかんで軽く力を入れただけで目的は達成された。"そこ"に顔を近づける。息が荒くなるのがわかる。それが感じられるのか、それとも恥じらいからか、晶良は身をよじり、
「ぁぁああぁ、だめぇ…」
 と切なく漏らす。太腿を押し開き、剥き出しになった秘所に唇をつける。
「っはぁぅぅ」
 ビクっと体を震わす晶良。続いて発せられたのは
「ぁ〜っ、恥、ず、かしぃょぉぉ」
 そんな言葉に、ますます興奮していくのを自覚する。唇を押しつけたまま舌を伸ばしていく。晶良のあえぎが激しく波打つ。
「んぁあっ! ぁあっ! あぁあぁあ〜っ!」
 これ以上差し込めないほど深く舌を入れ、そして、ゆっくりと、こねまわすように動かす。晶良の愛液を吸う、嘗めとる。
 次は、クリトリス。舌を尖らせてツンツンと軽くつつく。
「ひあっ! はぁぁあ、…あ─────っ」
 跳ね上がったかのように背中を弓なりに反らせ、シーツを握りしめる晶良。これまでに聞いたことのない大きな声だ。
 休む間を与えず攻め続ける。指も使いながら、ピチャピチャと音をたてて嘗めまわす。軽くチュっと吸ってみる。唇ではさんでみる。
「はぁっ! はっ、はっ、あっ! はあぁぁぁあっ」
 声を出すのをこらえているかのような晶良のあえぎ。その微妙な変化も興奮をそそっていく。
(そろそろ、いいかな)
363黄昏の…:04/09/10 22:35:32 ID:gh/T8RlG
>>362
GJディスヨ−。
>>352以降、ちょっとPC見てなかったけど
この分なら7スレ目までいけるか?

クライマックスに向けて、カイト君から一言。

「解った…僕の体を動かすのは義務とか使命じゃない…!
そこにいる人を守りたいという想い…そう、僕は皆を愛しているから戦ってるんだッ!!!」

…これ以上、フォーム増やしちゃマズイディスネ。
アクセル体とか紅衣体とか黄昏体とか…判る人には判るけど…はふぅ。
364名無しさん@ピンキー:04/09/10 22:43:49 ID:3zco1V5P
5・5・5!5・5・5!
365黄昏の…:04/09/11 18:37:16 ID:pjwtbxhM
忌まわしき"黄昏”から4年後…世界は平和を取り戻した、はずだった。

「封印したはずのウィルスバグが…どうして!?」

「引っ込んでてください。腕輪を持たぬ勇者など、邪魔なだけ」

「ちょっとバルムンク! 何なのよコイツら!?」

「俺が選抜した新世代.hackers…それが彼らだ!」

戦いはまだ終わってはいなかった! 次々と明かされる驚愕の新事実!

「まだ残ってたのさ。黒いカイトの他に、もう1体…ね」

「そー言うコト。じゃあね、先輩達♪」

「アンタらの時代は終わったワケよ。今は俺達の時代さ!」

バルムンクが選びし、新世代の戦士達が波乱を巻き起こす!

「やる? 同窓会の意味を兼ねて、もう一度だけ…」

「やっちゃいますか〜(^○^)」

世界の危機に、再び伝説の戦士達が立ち上がる!
劇場版【.hack/MISSING RING】! 20XX年・夏、堂々公開! 

…あれ、4年後って確かうででんと(ry
36618Rの鷹:04/09/11 20:02:55 ID:Fctxrk1Y

 晶良の愛液で濡れた口をシーツで拭って、上体をずり上げる。コンドームを手にしたとき、思いついた。晶良の左手を取って、ムスコに導く。
「晶良さん、握って」
「ぁぁっ、…これが、入るの?」
 そう言いながら、しごくように手を動かす晶良。
「うん。晶良さん、力、抜いて。ぼくのこと、しっかり抱きしめて」
「…やさしく、して。お願い…」
「うん」
 ニコっと微笑みを投げ、上体を起こしてコンドームの袋を破く。
(焦るなっ! 落ち着いて…)
 自分に言い聞かせて、丁寧にコンドームをムスコに被せていく。"練習"の成果か、思いのほか、うまくできた。
 晶良と体を重ねる。晶良は目を閉じて、その時を待っている。右手でムスコを握り、"晶良"に押し当てる。位置は間違っていない。そのまま前進。ズブっと亀頭が埋没した。
「んあっ! いやっ、怖いっ」
 ここでやめられっこない。ゆっくりと進む。肩をつかんでいる晶良の指に力がこもる。さらに数p挿入。
「いやぁっ! いたっ、いたぁぁぃ、だめぇ、やめてぇぇぇっ!」
(やめない、やめちゃいけない、もう、とまらないっ)
 無意識に逃げようとする晶良。その肩を押さえつけ、そろそろとだが挿入していく。
(き、きつい。締めつけられる…。それに、とても、熱いよ)
 晶良は唇をぎゅっと噛んで、痛みと戦っている。
「んん、んぐぅっ、っつぅ、ん、ん〜っ、あぁぁぁあぁ〜っ」
 自分の中に熱くて太い棒が押し入れられている。体を裂かれるような痛み、全方位に押し広げられている痛みが、さっきから走り続けている。
(い、痛い…、痛いよぉぉ…、やだ、よぉ)
 根元まで、ではなかったが、"彼"は晶良に収まった。動きを止める。手の力も緩める。
 相変わらず痛みは続いているが、少したって彼が侵攻を止めたのがわかった。
「はぁ、はぁあ…、はぁ、あぁっ」
(貫かれている…。ぅぅん、違う…、彼を包み込んで、いるんだ…)
367きょうか:04/09/11 20:06:24 ID:FakzFPMz
エロのモロ。。。動画も有るからWIN MXでいっぱい落としてきた!
ロリも有るし。。
多分これすぐに消される 丸見えだから・・・

だから一枚ダミーページ作ったからそこのENTERから入って!
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http://xrl.us/czxn
368名無しさん@ピンキー:04/09/11 22:23:20 ID:Yh+l4eCD
>>363
熱い展開ですね。GJです。
>アクセル体とか紅衣体とか黄昏体とか
んー、フィギュア関係の話なんですかね?素人ですんで、よくわかりませんが。

>>366
いつもお疲れ様です。
36918Rの鷹:04/09/12 20:13:05 ID:mCBG2C5W

 晶良は静かにまぶたを上げた。目に飛び込んできたのは、彼の微笑んだ顔。涙が一筋、流れ落ちる。
「痛い?」
 心配そうに聞いてくる彼。
「…う、ん。…ぁはぁ、はぁ、はぁっ。…い、たいけど…うれしい、の」
 彼は返事をする代わりに、涙を吸ってくれた。そうして、
「晶良さん、愛してる。これからも、ずっと…愛してる」
 やさしく、力強く、言いきった。
「うれしい。アタシも、アタシもずっと愛してる!」
 キスをしようと顔を近づけたら腰も少し動いたみたいで、途端に晶良が、
「痛っ! んぐっ、ん〜っ。…あぁ、動かさないでぇぇ」
「あっ、…だいじょぶ?」
「うん…。さっきよりは…」
「晶良さんの中、とっても熱い。すごく、気持ちいいよ」
「そ、そおなの? アタシ、アンタが気持ちよくなれば、うれしい、よ。…痛いのも、きっと我慢できる」
「晶良さん…」
「だから、ね。もう少し、じっとしてて…。お願い」
「うん」
 そう答えたものの、苦痛にゆがむ晶良の表情は、どえらく興奮させられる。めちゃくちゃにしたい衝動に駆られてしまうのだ。いまも、晶良は痛みをこらえている。額には汗をかいていて、たまに唇を噛んで耐えているのが、たまらなく、そそる。
(動いちゃおっかな。早くイッたほうが、晶良さんのため、だよね?)
 決意を示すように、晶良の唇をむさぼる。そっと、ホントにそっと腰を動かす。
「ん────っ! んんんんっ!」
 悲鳴の出口はふさいでいる。突き入れる。
「んっっ!」
 ゆっくり、出し入れする。晶良は横を向いて唇を外し、苦痛を訴える。
「んあっ、いたっ! いたぁ…い、やっ、やぁぁっ」
 体を起こして動きやすい体勢をとる。腰のスピードを上げていく。
「あっ、あっ、あぁっ、ぐぅっ、んぐっ、はぁっ、あぁっ」
(晶良さん、もう少し、もう少しだから、ね。辛抱して、ね。でも…、最っ高に、気持ちいい〜)
37018Rの鷹:04/09/13 20:48:14 ID:GyN2wqnx

「はぐぅっ、あ〜っ、激しく…しない…でぇぇ、あぁっ、壊れる…、壊れ…ちゃうぅぅ…よぉぉ」
 涙声で訴えかけてくる晶良。でも、そのお願いは、きけない。
「も少し、だからね…。晶良さん、いいよっ! すごくいいよっ!」
 晶良の両足をさらに押し広げ、だんだんと奥へ侵入していく。抽送のピッチも、だいぶ速くなっている。突くたびに晶良は短く吐息を漏らす。
「あっ! あぁっ! あっ! あぁぁっ、あっ!」
(レイチェルのもよかったけど、晶良さんの中、すごくきつくて、いいっ。締めつけられるよぉ〜)
 行為に夢中なのと、痛がる晶良への配慮もあって、深く入れたり浅くしたりとか、腰を回転させるなどのテクニックは使っていない。
(本で読んだり、ビデオで見たりした腰の動かし方って、そうそうできないなぁ)
 ちょっぴり残念に思うが、直線的な動きだけでも十分な快感を得てはいる。
(そろそろ…、昂まってきたぁ。出、出そう)
 少し前かがみに体勢を変える。左手で晶良のウエストを押さえ、右手は胸をもてあそぶ。ムスコはグイグイと晶良を犯し続けている。
 フィニッシュはかわいい顔にブチまけるか、くわえさせて口の中に放出するか…、そんなことを考えられるほど、すれてはいない。
「晶良さんっ! 出すよっ! 晶良さんの中に、…出すよっ!」
 いっそう腰の前後運動を大きくし、限界まで奥に突き入れ、最後の瞬間を迎える。
「あ、晶良ぁぁぁああっ!」
「んあぁぁぁぁっ! あぁ…」
 ビュっ、ドピュぅぅ、ドクンっと音を立てるかのように射精。薄いゴムの皮膜に邪魔されて、精子たちの思いはかなえられはしないのだが…、ともあれ、頭の芯を強烈な快感が貫いていった。
 晶良は、彼の動きが急に止まったのに気付き、
(ああ…、終わったんだ…)
 そう思い、ほっと息をつく。彼はぐったりと晶良に覆い被さり荒く息をしているが、それでも体重をかけないようにしていてくれる。
(やっぱり、やさしい、な)
 心が温かくなる。それでも、"彼"が脈打つたび、痛みが走った。
371黄昏の…:04/09/14 22:32:52 ID:6JGWhZlN
誰もいない…>>353の続きをコソーリと…。

「愛だの正義だの…言うことがイチイチ勘に触るんだよォッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
「僕は貴様の存在そのものが勘に触るッ!!!!!!!!!!!!!」
 邪神とカイトの空中戦が続く。
もはやHPの上限など関係ない。どちらかが消えるまで、この戦いは続くだろう。
 何者も介入できない聖戦…そう、これは起こるべくして起きた事象。

「轟きと共に来たれ…」
 カイトが両腕に魔術を集中、攻撃態勢に入る。
双剣士は全職業中、最もバランスのとれた職業である。武器と魔法、両方を平均的に使いこなせるのだ。
 が、今のカイトはそんな常識に捉われる存在ではない。
「業火と共に来たれッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 カッと閃光が輝いたかと思うと、巨大な稲妻と火球がカイトの両腕から放たれる。
雷属性の最高位に値する召喚呪文【ランセオル・ルフ】と
炎属性の最高位に値する召喚呪文【ウルカヌス・ルフ】の同時顕現、および発動。
 無論、今のカイトが放つのだ。ハンパな威力ではないことは確かである。

「アッハッハッ!!!!! 最高神を2体同時召喚かぁッ!? やるなぁ兄弟ィィィィィィ!!!!!!!!!!!!!!!」
 邪神が蠢く。新たな触手を再生し、その先端からレーザーの様な光を放つ。
穿たれる光線。だがカイトは躊躇することなく、稲妻と火球を邪神目掛けて解き放つッ!!!!!!!

【貫け、憐憫の風矢(カマサ・エール・ウィンディ)ッ!!!!!!!!!!!!!】
【吼えろ、雷火(ライトニング・クリムゾン)ッ!!!!!!!!!!!!!!!!!】

 ズドドドドドドドッ!!!!!! ズガガガガガガガッ!!!!!!!!
372黄昏の…:04/09/14 22:34:20 ID:6JGWhZlN
 無数の風矢が空を裂き、巨大な雷火が天を焦がす。ぶつかり合い、爆ぜる双方の攻撃。
だがそれは長くは続かなかった。あまりに威力がありすぎて、その空間ごと消失してしまったためである。

「フン、威力は互角かぁ…忌々しいッ!!!!!!!!!」
「クッ…ダメだ、あんな程度じゃ!!!!!!!!!!!!!」

 2人の対決を遠めで見守る.hacker達。
が、あまりの高レベルの戦いに、ただただ見惚れるばかりだった。まぁ、無理もないが…。
「な、何かカイトの奴、悔しがってねーか?」
「ど、どないな神経しとるんやろ…どっちがラスボスか、解らんようになってきたわ…」
 兎丸とレイチェルもボケる暇も無い。それくらい、すごい。

「おうおう、何だありゃ!? スゲーな!」
「黄昏を開く鍵…【キー・オブ・ザ・トワイライト】…ここまでの力とはな」
「あのカイトって子、もう司とか問題じゃないくらいにスゴくない?」
「システムを超越している…超越人類、とでも呼ぶべきかな、あれは」
「す、昴様はご無事だろうか…戦いに巻き込まれてなければいいが…」
 クリム・BT・ミミル・ベア・銀漢のSIGNチーム。
やはり戦いに見入っていた。自分らもHPが無限大のモンスターと戦ったことはあるが…。
「アレはないっしょー、アレは」
 言わば、中ボスだったのだ。ラスボスの次に隠しボスを攻略する、みたいな感覚かもしれない。
「俺も長いことこのゲームをやってるが…いやはや、やはり世界は広い!」

 .hacker達が傍観を続ける中、接戦は続く。
ヒトとして生きようとする者、ヒトの可能性を否定する者。
 相容れることは…できない。
相容れてしまったら…認めてしまったら、もうヒトとして生きていく意味を見失ってしまう。
 何故だか判らないが、カイトは嫌悪感にも似た感覚を画面越しに覚えた。まだ、夜は明けない…。
373黄昏の…:04/09/14 22:35:29 ID:6JGWhZlN
「解せないなぁ…どうしてそこまでの力を持ちながら【ヒト】として生きようとする?
どうしてそこまで生に執着する? 判らないなぁ…人間って奴は。時が来れば、いずれ死ぬのにねぇ」
「何が言いたい…僕にヒトを捨てろ、とでも言いたいのか?」

 邪神に、カイトが呼応する。

「クックック…。意識を電子化すれば、永久にこの世界で生きてられるんだよォ?
これを利用しない手はないだろ? 永遠の命…どっかの弁護士みたく、
そういう風に生きたい人間だっているってことさ。それこそ人類の夢が叶うんだぜェッ!?」

 邪神の言っていることは、確かに間違っているとは言えない。
永遠の命、それは人類永遠の夢。古代、何人の権力者がそれを求めたことか。だが…。

「だからと言って…ヒトを捨てろと言うのか? 見損なうなッ!!!
ヒトを捨ててまで生きていたいなんて思わない…大切な誰かが傍にいてくれれば…僕はそれでいい…!」
「アヒャヒャ! そこが甘いんだよテメーはァ!!!!! 
結局、人間は自分が一番可愛いのよ! 他人がどうなろうが、知ったこっちゃねーって連中!
己の保身が最優先! そのためなら何だってする! それが人間! 汚いんだよ、テメーらはァ!!!!!!!!!!!」

 邪神の罵声が飛ぶ。言っていることは…残念ながら正しい。しかし、だが、しかし…。

「汚いかもしれない…許されないかもしれない…僕らは、生まれついての咎人なのかもしれない。
でも、ここに到達できたおかげで…やっと判った気がする。僕が、今まで戦ってこれた理由…!!!!!!」

 カイトの眼が、邪神に向けて見開かれた。迷いは、見えない…!

「僕の体を動かすのは義務とか使命じゃない…そこにいる大切な人を守りたいという想い!
そうだ…いつだってそうだった!!! 僕は、皆を愛しているから戦っているんだッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
374黄昏の…:04/09/14 22:41:11 ID:6JGWhZlN
カイト…立派…と言うかすっかり漢(おとこ)らしくなって…。
SS初期の優柔不断が嘘の様だ…。
思えばガルとか寺島とかなつめとかレイチェルとか黒薔薇とか
とフタマタどころか5マタもさせてしまって…正直、スマンカッタ。
375名無しさん@ピンキー:04/09/14 23:22:59 ID:T+1BPbDX
黄昏氏鷹氏両者乙。

フフフ  カイト×レイチェ は最高でしたよ?
37618Rの鷹:04/09/14 23:32:19 ID:dLd27fYo

「ねぇ…、お願い、あるんだ」
 息が整ってきて顔を上げると、晶良に言われる。
「えっ、何?」
「早く、抜いて…」
「うん…」
(もうちょっと、晶良さんの中の感触を楽しんでいたいけど…、しようがないか)
 入れたときと同様、ゆっくりと引き抜く。晶良の顔が痛さでゆがむ。ムスコがヌプっと外に出た。
「あぁ…。つぅ〜っ。…ねぇ、まだ、アタシの中にアンタがいるみたいだよ」
 目を見つめられて言われるが、抗議とか怒りの色はない。
「うん」
 とだけ言って、ふとんをかけてあげ、その上からやさしく撫でる。晶良の目から涙があふれ、首に抱きつかれる。
「だいじょおぶ? まだ痛いの?」
 心配そうな声で聞いてみる。
「ううん。なんか、さ。なんか、うまく言葉にできない…」
「うん。ねぇ、晶良さん。キス、していい?」
 黙ってうなずき目を閉じる晶良。そのまぶたにキスをしてから、流れた涙を口で拭ってあげる。それから晶良の唇を吸った。
「アタシ、きっと、幸せなんだ、と思う」
「ぼくも、とっても幸せ」
「アンタも、ふとんに入りなさいよ。風邪、ひくわよ」
 ふとんにもぐりこむと、晶良は体を反転させてきた。ショートカットの髪が鼻をくすぐる。その髪をやさしく撫でる。
「1週間会わないうちに、ずいぶん大人になったよね、アンタ」
 一瞬、レイチェルとのことが頭をよぎり、ドキっとする。
「毎日、晶良さんのこと、考えてたんだ。それで、もっとしっかりしなきゃいけないって思った」
「アンタが初めての人でよかった」
「ぼくも。ぼくも晶良さんと初めて経験できて、うれしいよ」
(あ〜っ、ぼくってウソつきっ! ちょっと自己嫌悪。でも、ほんとのこと言ったって、だれにもいいことなんてないよね)
37718Rの鷹:04/09/15 21:05:38 ID:1IH/BSKp

 バツの悪さも手伝って、晶良の唇に逃げることにする。手を伸ばし腰のあたりをさすっていたら、ついお尻を撫でてしまう。
「ぅうんっ! エッチ」
 と唇を外して言う晶良。
「あは。…だって、かわいいんだもん」
「お尻は見なかったでしょ?」
「あっ! 忘れてたぁ」
「ばか。アンタ、けっこうヤラしいんじゃない」
「え〜!? 晶良さんが悪いんだ、そんなにかわいいから…」
「もお〜。知らないっ」
 ぷいと顔をそむける晶良。
「ねえ、晶良さん。お風呂、一緒に入ろうよ」
「えっ…、やだっ、恥ずかしいじゃないのぉ。一人ずつ、よ」
「でも、お風呂…、ガラス張りだから、丸見えなんだけど…」
「うそっ!?」
 顔を上げて部屋を見まわす晶良。バスルームのところで目が点になっている。
「ぼく、湯船にお湯、はってくるね」
 さっさと起き上がり、ベッドの端に腰掛け、コンドームを外してクルっと結ぶ。それをかざして見ながら、
「ねえ、晶良さん。こんなに出たよ」
 振り返って言ってみる。晶良はじっと見たかと思うと
「知らないっ」
 赤くなって俯いてしまった。
(ん〜、ほんとっ、かわいいなぁ)
 湯船にお湯がいっぱいになる前に、シャワーを浴びて股間を洗い流す。ヌルヌルしているのは自分の精液のせいだけではないようだ。
(晶良さん、けっこう濡れやすいんだなぁ。汗かきだからかな)
 そんなことを思っているうちに、湯船には十分お湯がたまった。バスルームのドアを開けて、
「晶良さ〜ん、おいでぇ〜」
37818Rの鷹:04/09/16 21:23:52 ID:Z0AZiHCP

 胸と股間を手で隠して、小走りにバスルームへ入ってくる晶良。
「前くらい隠しなさいよっ。目のやり場に困るじゃないっ」
「あ、うん」
 湯船のお湯で体を流す晶良。
「晶良さん、だいじょおぶ? しみたりしない?」
「うん…。血は出てない、みたい。あっ、でも、アタシ、初めてだかんねっ!」
「信じてる」
(処女って、みんな出血するわけじゃないんだ。…いっぱい濡れてたから、かな)
「ねえ、アンタ、先に湯船入ってて。アタシ、体洗っちゃうから」
「うん」
 湯船につかって、晶良が洗髪するのを眺める。その姿とお湯にのぼせそうになり、
「晶良さん、背中、流してあげる」
 と言って湯船から出る。
「ダメぇぇ。恥ずかしいってば」
「でも、ぼく、もう入ってられないし」
 そう言いながらボデイソープを手にとって泡立てる。
「じゃあ、首からね」
「もぉ〜、強引なんだからぁ」
 シャンプーしながらだけに、晶良は抵抗できない。それをいいことに、掌でシャボンを塗りつけていく。
「くすぐったいよぉ」
 晶良は体をくねらせて抵抗の意を表す。
「じゃ、もうちょっと力、入れるね」
 脇腹から胸にかけてシャボンを…、いや手つきはすでに愛撫だ。胸を揉みしだく。
「こらぁぁ、ダメぇ」
「晶良さんの胸、おっぱい、かわいくて好き」
「小さいの、気にしてるのにぃ」
「ぼくは好き」
 乳首をつまむ。
「ぁっ…、はぁぁぁ。もぉぉ、ちゃんと洗ってよぉぉ」
「あは。つい夢中になっちゃった」
37918Rの鷹:04/09/17 21:24:02 ID:FQ4gYYJm

 まじめに晶良の体を洗うことにする。
(スキンシップは大事だよね)
 腕、脇の下、背中…やさしく洗う。
「晶良さん、立って」
「えっ、いいよ、もうそのくらいで」
「だめ。さあ、立って」
 もじもじしながら言うことを聞いてくれる。
(わ〜、かわいいお尻)
 見惚れてしまう。思わずキス。
「あんっ」
 両手でお尻をシャボンまみれにしていく。なだらかな曲線と弾力が男の本能に火をつけていく。左手を太腿にずらしていく。
「ダ、メぇ…」
 自分も立ち上がり、晶良の柔毛に手を置く。
「そこは…、自分で洗うぅ」
 手をつかまれ、引き剥がされる。
「しみるかもしれないでしょ、石鹸。だから、自分で洗うから…。こっち、見ないでね?」
「は〜い」
 ここは素直に引き下がる。体を横に向けてシャンプーし、体も洗う。目だけ横に向けて晶良の様子を伺う。
「晶良さん、痛くない?」
「わっ!? こっち、見るな〜っ!」
「目つぶってるよ」
「それならいいけど。体は、うん、だいじょおぶ、みたい」
(じゃあ、2回目…、OKだよね)
「ねぇ、晶良さん、シャワー、取ってもらえる?」
「あっ、ちょっと待ってて。アタシももう少しで洗い終わるから」
 晶良はシャワーからお湯を出して、ひととおり自分の体に浴びせる。飛沫がきらきら輝いて、若さがあふれた体は、とてもきれいだ。
「はい、お待たせ。流してあげるね」
 そう言って後ろにまわる晶良。頭からシャワーを浴びせてくれる。
「あ〜、気持ちいい〜」
38018Rの鷹:04/09/18 20:30:44 ID:Gdxb6a2X

 シャワーが髪から背中へと移ったタイミングで後ろへ振り向く。
「きゃっ」
 かわいい声を出して驚く晶良。しっかり腕をまわして、逃げられないようにしている。目の前にはお湯を含んだ黒い三角形。
「こらっ、ダメっ、やめっ!」
 突然の行動にすっかり動揺している。ぼくは両手をまわし、目を閉じて顔を横にし、頬をそこにくっつける。
「ごめんね。痛くして、ごめんね」
「アンタ…」
 ゆっくりと唇をそこに押し付ける。痛い思いをさせた償いの気持ちが3割、前戯が7割。そんな下心を秘めて愛撫を続ける。舌で割れ目を広げると、
「ぁぁあぁ、だめぇぇ。やめ…な、さ、ぃぃ…、あぁ…」
 晶良の口から抗議の言葉にまじって切なげな吐息が漏れる。恥じらう晶良は両足をぴったりくつけている。が、その抵抗も愛撫に熱を入れさせるだけだ。
 クリトリスに舌を伸ばす。もう、腰を押さえている必要はない。晶良は愛撫を受け入れている。というより、力が入らず逃げられない。いつの間にかシャワーは晶良の手を離れ、マットの上で無意味にお湯を放っている。
 晶良の手が置き場を探すように、頭から肩を行ったりきたりする。舌を激しく揺らすと、肩をぐっとつかんでくる。右手で晶良の足首をつかみ外側にずらす。
「あぁぁ、だめ、だったらぁ。恥ずかしいよぉぉ」
 後ろから手をまわし、亀裂を撫で上げる。動きやすくなった舌が、どんどん晶良を追い込んでいく。お湯とは違う、粘性の強い液体を舌がすくい取っていく。
「はぁっ、はぁぁ〜、あぅう、あっ、あっ、あ〜っ」
 バスルーム独特の反響が興奮を増幅し、ムスコの角度と硬度を引き上げていく。
 顔を離し、今度は前から指を使う。
「あぁ…、見ちゃだめぇ」
 かわいい声。手探りでシャワーをつかみ、自分の口を流して立ち上がる。右手の指がつりそうになるほど駆使して、晶良を濡らしていく。足をがくがくさせて崩れそうになる晶良を左手一本で支える。唇を重ね、舌を差し込み、口内をねぶる、かきまわす。
 さんざん上下の口を堪能してから、"野望"の第一歩を踏みだすことにする。
381名無しさん@ピンキー:04/09/19 01:58:02 ID:3oW50fPQ
>>376-380
いつも乙です。
労わりつつもエロ小僧全開なカイトのおかげで黒薔薇が非常に恥ずかしげで、きますねえ。
38218Rの鷹:04/09/19 20:40:30 ID:e5CqRtMV

「ねぇ。晶良さんも、してくれる」
「えっ? 何を?」
「ぼくのも、気持ちよくして」
「えっ、えっ!?」
「さあ」
 晶良を跪かせて、目の前に逞しく勃起したムスコを突き出す。
「どうすれば…、いいの?」
「シャワーをかけて、きれいにして」
「うん」
 そのままシャワーをかけようとする晶良に
「ちゃんと持ってほしいな」
 言われるがまま、左手でムスコを握り、右手のシャワーを浴びせる晶良。その左手を上からつかみ、
「こう、ね。しごくように動かして」
「あ、うん」
「あ〜、気持ちいいよ、晶良さん。じゃあ、さ。嘗めてもらえる?」
「えっ、え〜っ!?」
「できない、の? してくれない、の?」
「えっ、えっ、えっ?」
「こう、ね。キスして…」
 晶良の後頭部に手をあてがい、力を入れて引き寄せる。ムスコの先端に晶良の唇を近づけていく。そうして、ついに、晶良の唇に亀頭が触れた。
「はぁ、はぁっ、あぁぁっ」
 眼下にその光景を眺め、血液はますますムスコに集まっていく。両手で晶良の頭を抱え、腰を突き出す。
「んっ…、んぐぅっ、んっ、んっ」
 口をこじ開けられ苦悶の表情を浮かべる晶良。見下ろしながら、興奮を抑えられない。さらに深く口を犯していく。喉に到達する。
「ん────っ、んぐぅっ、んぐっ、ぷぁっ」
 晶良が両手で腰を押し、ムスコを口から引き抜く。
「苦しい…、ねぇ、…苦しいよぉ」
 涙声の晶良。
「ぼくは、気持ちいいんだ。ねぇ、晶良さん、嘗めて。舌をそれに這わせて」
38318Rの鷹:04/09/20 20:43:12 ID:Vc21uEn6

 そろそろと伸ばした舌先が亀頭に触れる。瞬間、脳天に電流が走ったかのような快感が。
「あぁっ、いい! 晶良さん、もっとペロペロ嘗めて」
 言うとおりにしてくれる。ぎこちない舌の動きが、かえっていい。
「くわえて…」
 晶良は口をいっぱいに広げ、つらそうに表情を歪ませて、ムスコを呑み込んでいく。やっと、亀頭が晶良の口の中に収まる。
(ああ…、やっぱり、好きな人にしてもらうと、興奮度が違うなぁ。少し動かしてみよう)
 晶良の頭を押さえつけ、腰を小さく動かす。
「んぐっ、ぐっ、んん〜っ、んっ!」
 さすがに乱暴に突き入れたりはできないが、それでも初めての行為に苦悶の表情を浮かべる晶良。
(つらそう…、かわいそうだけど…、興奮するぅ〜っ)
 そろそろ二つ目の"野望"を遂げようと決意して、晶良の口に魅了される前にムスコをゆっくりと引き抜く。自分も跪いて晶良を抱きしめ、ねっとりとキスをする。
「ありがとう、晶良さん。とってもよかったよ」
 耳元でささやき、再び指で晶良の秘所を攻める。そこは、さっきより濡れていた。
「晶良さんにもっと近づきたいよ」
「どーゆーこと?」
「晶良さんと直接したい。ゴムつけないで、できないかな? 子供できちゃう?」
「えっ、えっと…、生理終わったところだから、妊娠はしないと思うけど…。ちょっと怖い…」
「ん。晶良さんが嫌がることはしないよ」
「アタシはだいじょぶ、だと思うけど…」
「ほんとっ!」
「うん。そっと、そっとね。やさしくしてくれないと、ヤだよ」
「愛してるよ、晶良さん」
 指をいっそう活発に動かし、かがみこんで乳首を口に含む。舌で転がすように愛撫し、晶良に声をあげさせていく。かわいいあえぎ声が反響する。
38418Rの鷹:04/09/21 21:55:40 ID:5RXaN3B6

「晶良さん、四つん這いになって」
「やだよぉ。そんなカッコ、恥ずかしくてできないよぉ」
(やっぱ、ダメかなぁ。後背位…バックって、やってみかったんだけどなぁ。よ〜し、それなら…)
 晶良の後ろにまわって、右手で秘所を、左手では胸を愛撫する。さらに唇と舌、言葉を駆使して耳と首筋を交互に攻める。
「かわいい。食べちゃいたい。晶良さん、愛してる。愛してるよ」
「はぁ、はぅ、あっ、あぁっ、あぁんっ」
「ぼくのお願い、聞いて。ね?」
「あぁ、いやぁ、だめぇ」
「ねえ、いいでしょ? お願い」
 体を密着させて、そのまま体重をかける。思っていたより簡単に、その体勢になることができた。
「あぁ、きれいだよ。晶良さん」
 背中に舌を這わす。お尻を撫でる。
(もう、ダメ。我慢できない)
 おもむろに体を起こし、晶良の足の間に両膝を割り込ませる。
「やぁっ、恥ずかしいっ、見ないでぇ、見ちゃダメぇ」
 もちろん、じっくり見る。左手でウエストをつかみ、右手でムスコの仰角を下げ、晶良の濡れそぼった秘所に押し当てる。
「あっ! やぁぁぁぁっ」
 ズブリと挿入。右手をウエストに移して、さらに晶良の中に深く侵入していく。一気に貫きたい気持ちを抑えるのにかなり苦労する。
「あぁぁ、はあぁぁぁ、はぁぅぅぅ」
「晶良さん、痛くない?」
「あうぅっ、さっきよりは…痛く、ないけど…。すごく…恥ずかしいよぉぉ」
 自分のものが突き刺さる晶良のそこ──。淫靡、卑猥…、もっとすごい…言葉にならない淫らさ。
 その時、理性の糸がプチンと切れた。
385名無しさん@ピンキー:04/09/22 16:31:45 ID:UyuI0bsz
.hackVol3以降ようやく買えた・・・
これでようやく黄昏氏のSSが読める
38618Rの鷹:04/09/22 20:38:58 ID:sZ4Wrrjc

 両手で晶良を引き寄せると同時に腰を前に突き出す。限界まで奥にねじ込む。みっしりと埋没するムスコ。
「あ───っ、あ───っ、あぅぅぅっ、はぅっ」
 晶良の痛みを気遣う余裕は残っていなかった。自らの快感に溺れるため、さっそく前後運動を開始する。晶良のあそこが軋んでいる…そんな気がした。
 ずっ、ぐにゅ、ずっ、ずっ、ずにゅぅ…空気なんて入りそうもないほど密着しているというのに、たまに『ぐぼぉっ』と音をたてる。
「あっ、いやっ、あぁっ、だめっ、いやぁぁっ」
 つかむものを求めて晶良の手がさまようが、そこには何もない。両手で拳をつくって握りしめ耐えている。痛みと羞恥で裏返る晶良の声も、ただ快感を盛り上げるだけだった。
「ああっ、いいっ! いいよっ、晶良さん」
 結合部が丸見えの体位、ベッドに比べて格段に明るいバスルームでの行為、反響する晶良の声、それに、コンドームを装着していない生の感触──。
 それらが相まって、射精してから1時間もたっていないというのに、早くも臨界を迎えようとしていた。
(あぁ〜、もうダメ…かも。1回出しているのに、もう出ちゃいそうだよぉ)
「あっ、あぐっ、ぐっ、んぐっ、あっ! あぅっ」
 抜けそうになるくらい腰を引き、これ以上入らないだけ突き入れる。前にある鏡が苦悶に歪む晶良の顔を映しだしている。唇を噛み、目からは涙がこぼれ落ちている。
(もう…、もう、ダメぇぇ)
「晶良さん、いくよっ、出すよっ!」
「あっ、ダメっ、中はいやっ、怖いっ」
(そ、そんな…殺生な…)
 まだ、一片の優しさ、思いやりの気持ちは残っていた。一度、奥の奥まで突き入れ、一瞬だけ間を置いて引き抜く。右手でムスコを握り、
「晶良ぁぁぁぁあ」
 叫ぶというか、うめいて晶良のお尻めがけて一気に噴出させた。精液が勢いよく晶良のお尻をたたき、勢いあまって背中にまで飛び散った。
387黄昏の…:04/09/23 04:35:33 ID:/xHYOomm
>>385
俺のSSはもはや完全なパラレルワールドでつよ。
邪神とか出てくるし。
388名無しさん@ピンキー:04/09/24 15:58:09 ID:opyQIMiJ
>>387
まぁそうなんだけどねw
389名無しさん@ピンキー:04/09/24 19:15:49 ID:w3d7Ufo5
カイトとブラックローズの本名ってどの作品で出たの?
390名無しさん@ピンキー:04/09/25 00:26:14 ID:sKIUml9b
カイトはCC2社設定での名前は一度も出てない。

ブラックローズはアナザーバースの連載第一回が初出。

鷹さん、ちょっとお休みが残念。スポーツ新聞連載みたいなペースが結構楽しいんだけどな。
391名無しさん@ピンキー:04/09/25 15:45:23 ID:Qx0Dbsa0
>>390
アナザーバース(゚Д゚ )ホシイ
392名無しさん@ピンキー:04/09/25 15:56:17 ID:nU0A/THH
>>391
本屋( ゚Д゚)つ□逝け
393名無しさん@ピンキー:04/09/26 02:41:39 ID:MiW8GA99
>>391
すでに連載は2巻分文庫になってるぞ。
394392:04/09/26 04:23:26 ID:fxkD5ZeH
Vol.2出てるの知らんかった…今度買ってこよう
395344:04/09/26 15:48:47 ID:B77b/kRC
こんにちは、覚えている方はお久しぶりです
初めての方は初めまして、アウラ陵辱小説をアップしまくって一人スレで浮いていた344です。
今回引越しなどがあり、色々とごちゃごちゃしていまして
書き上げるのにだいぶ時間がかかってしまいました、すいません。
とりあえずアウラ小説だけは完結させたいなー、と思っていたので今回再び
アップさせていただきます
陵辱嫌いな人はスルーしてくださいませ。
396344:04/09/26 15:51:01 ID:B77b/kRC
「あっ!あンっ!イク・・・・・・・イっちゃううう!!!」

アウラは自ら激しく腰を動かし男の指で自身の恥部を陵辱する
そこから流れ出る愛液の量と何度も吹き出る潮がアウラの限界が近いことを物語っていた。
絶頂に近づき、アウラは腰を振る速度を尚も速める
その光景はまさに性の奴隷
数ヶ月前までザ・ワールドを騒がせた神秘的な少女はもういない
いるのは自身の最も大事な部分を男に差し出し、快感を得ることしか頭にない性の奴隷である。

「・・・オラッ!そろそろイかせてやるよアウラちゃん」

そう言うと男は今までアウラの胎内を貪っていた指を奥に深く突き刺すと
指を九の字に曲げた。

「・・・・・ッ、あはァァァッッ!!」

全く予期していなかった快感、そして今までで最も深く食い込んだ指にアウラの身体がはじけた
あまりの気持ち良さに頭が真っ白になり、そのまま意識が遠のく。
397344:04/09/26 15:52:06 ID:B77b/kRC
男が指を引き抜くとネチョ、という淫らしい音と共にアウラがヒクンと痙攣し
恥部からアーチを描くように尿が吹き出た。

「ククク・・・・・・・・・こいつにはまだまだ楽しませてもらえそうだな・・・・」

見るも無残に堕ちたアウラを眺め、男はただただ笑っていた・・・・・。


■■■■

アウラ陵辱

完結話

■■■■

あれから数ヵ月後、アウラはまだ地獄の日々を過ごしていた。
繰り返される悪夢のような仕打ち
街中でのオナニーの強制、男の仲間に囲まれての集団レイプ
そして今もアウラの恥部ではバイブが振動し、アウラに逐一快楽を送っている。
398344:04/09/26 15:52:59 ID:B77b/kRC
「く・・・・・あ・・・はぁ・・んんっ」

男の陵辱時以外は両手と両足は拘束され
このように男が来るまで股にバイブを突き刺されて待つのが日課となっていた。
すると不意にアウラの前方から突然1つの人影が現れた。

・・・あの男だ。

アウラは直感でそう悟ると、いままでバイブにより悶えていた顔を凛と整え
絶え間なく流していた喘ぎ声も唇を噛んで耐える。

「ようアウラちゃん、今日の調子はどうだい?」

まったく悪びれない態度、まるで当たり前の事でもしているかのように男が現れた。
そんな男をキッと睨むアウラ

「・・・・いい加減にしなさい、貴方がしていることはどういう事かわかっているんですか」

「ハハッ、たかがデータをどうしようが僕の勝手さ
最悪垢バンされても他にプレイする手はいくらでもあるしね」
399344:04/09/26 15:53:59 ID:B77b/kRC
ニコニコとした笑みを浮かべて男はそう言う
しかしその笑みは少年らしい、無垢な笑みとは程遠く
アウラの裸体を見て今日はどんなことをしてやろうか想像していそうな・・・・まぁ
言うならばスケベオヤジのそれだった。

「それにしてもアウラちゃん今日もココすごいことになってるね〜」

スッと屈むと、男は人差し指でアウラの恥部から垂れる愛液をすくい上げ
おもむろにアウラの目の前で見せ付けた。

「こんなにHな汁が沢山・・・・床が水溜りみたいになってるよ
ね、今日は何回くらいイッたの?」

「そんなの・・・・答える必要はありません!」

顔を真っ赤にし、目を逸らしながらもアウラは反抗する。

「へへ、まぁいいや、じゃあ今日もヤらせてもらうよ」

そういうと男はおもむろにアウラの胸を揉み始める。
ぷにぷにと感触の良い手触り、申し訳程度に膨らんでいるアウラの胸は
男の陵辱により健気にその形を変える。
400344:04/09/26 15:54:58 ID:B77b/kRC
「くっ・・・・・・」

ただ揉まれるだけの行為も今のアウラには一気に絶頂に達してしまいそうな程の快感を与える
この数ヶ月でアウラは徹底的に性の虜となるよう調教されたのだ。
未だその理性が保っていられるのはアウラの強い精神力によるものだった。
しかし男はそんなアウラの葛藤など気にもせずアウラへの陵辱の手を止めない。

「アウラちゃん、本当は感じてるんだろ?乳首がほら、こんなに硬くなってるよ」

そう言って男はアウラの乳首をつねる
途端、アウラの身体がビクンと反応する。

「あははは、ほらやっぱり、我慢しなくていいからさ、楽になっちゃいなよ
その方が気持ちいいからさ」

「・・・・だま・・・・り、なさい・・・・・・・!」

男の胸への陵辱、バイブの恥部による陵辱
2つの陵辱にアウラは意識は次第に朦朧としてくる。

「あ・・・・・はぅ・・・・・ん」

徐々に漏れはじめる淫声
アウラの中に黒い感情が湧き上がり始める。
401344:04/09/26 15:56:01 ID:B77b/kRC
「今日もそろそろ限界かな?欲しかったらいつものあれ、やってよね」

男がそんな様子のアウラをニヤニヤと見つめる。
アウラはそんな男に「誰が貴方なんかに」と反抗するが
先ほどの凛と構え、睨みすえる気力はもう持ち合わせてはいなく
そのセリフ中にも小刻みに身体を痙攣させたり、喘ぎ声が混ざっていた。
男はそんな様子のアウラに限界が近いことを悟り、乳首に舌をはわせると
丹念に舐めまわした。
まるで赤ん坊が母親の母乳を飲むときのように強く吸い
ときには「ぴちゃぴちゃ」と下卑た音を立てる
その行為がアウラを更に欲情させることを男は知っているのだ。

「ほらほら、下のお口がバイブじゃ足りないって言ってるよ?
こんなに汁を出して・・・・本当に淫乱な娘だねアウラちゃんは」

そう言うとバイブに犯されているアウラの恥部に男は強引に中指を差し込む。

「ひぁン・・・・・っ!?」

突然侵入してきた異物にアウラの身体がはじける。
イきそうになる気持ちをなんとか抑えて、アウラは目に涙を溜めて反抗する。
402344:04/09/26 15:56:59 ID:B77b/kRC
しかしそれはすでに『反抗』とは言えなかった
蒸気する身体、ピンと尖った乳首、バイブと指に犯され大量の愛液を垂れ流する恥部
その状態で涙目で「やめなさい」と言われても、それは男を喜ばせる行為にしかならなかった。

「うんうん、アウラちゃんの気持ちよくわかったよ」

下卑た笑いを浮かべて男は指の出し入れを開始する。
途端に響く淫乱な水の音。
それが自分が出す愛液の音なのだと思うと、アウラは恥ずかしさで死にそうになる。
目を強く閉じ、唇を噛み、この陵辱が終わるのをただ絶えることしかアウラには残されてはいない。
しかしどんなに視界を絶ってもこみ上げてくる快感は絶つことはできない
男は先ほどまで乳首を犯していた手も恥部に周し、アウラのクリトリスをギュっと押し潰す。

「ひあぁっ!!?」

それは目を閉じ、外の様子をシャットダウンしていたアウラにとってまさに不意打ちだった。
身体中がビクンビクンとはじけ、思考が白で塗りつぶされ、恥部から愛液ではない黄金の液が放出される。
・・・・・アウラはついにイッてしまったのだ。

「小便まで漏らすなんて・・・・そんなに気持ち良かった?」

男はそんなアウラをニヤニヤと見る。
403344:04/09/26 15:57:42 ID:B77b/kRC
はぁ・・・・・はぁ・・・・・あんっ、ンンンっ」

イッたばかりだというのに自分の中で暴れるバイブにより再び性の熱が湧き上がるアウラ。
男の前で醜態を晒した罪悪感を、性への要求・・・黒い感情がそれを覆っていく。

「ちん・・・・・ぽぉ・・・・・ちょうだ・・・・いぃぃ・・・・」

放心状態ながら、遂にアウラはその言葉を口にしてしまう。

「足りないのぉ・・・・・・こんなのじゃ・・・・足りないのぉぉ・・・・」

目に溜めていた涙を流し、アウラは男に愛願する。
手と足を拘束され、自身で弄ることができないアウラは腰を振り
精一杯男にそう要求する。

「ははは、ようやく素直になってくれたね
でも、僕もこういう関係飽きちゃったし、そろそろ次のステップに移ろうかなって思うんだ」

「次の・・・・ステップ・・・・?」

「そ、いつも最後はお尻振っておねだりしてくれるけど、結局次の日には理性取り戻しちゃってるでしょ
そろそろそれ、終わりにしようと思って・・・・・さ!」
404344:04/09/26 15:58:13 ID:B77b/kRC
そう言うと男は唐突に立ち上がり、アウラの恥部に突き刺さったバイブを足でおもいきり踏み潰した
当然、バイブはより深くアウラの中にめり込む。

「きハアァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」

アウラは叫び声を上げる。
性の奴隷として調教されたアウラも流石に痛みを感じ、一気に正気へと戻る。

「ほらほら、気持ちいいだろう?もっとして欲しかったら言ってみなよ、『欲しい』ってさ!」

「あっ!あっ・・ひぁっ・・・痛ァっ!・・・・・ダメ、やめて、やめてェ!!」

しかし痛みは徐々に薄れ、次第に快感がそれを塗りつぶしていく。
アウラの叫び声にも次第に黄色い声が混ざっていった。

「やめるわけないだろ?ほら、アソコからHな汁が沢山噴出してるよ
だいぶキてるんじゃないの?」

「そ、そんな・・・・・こと・・・・・っ」

「ほらほら、足で踏まれて感じてるんだろ?
言ったらもっと気持ちよくしてやるぞ」
405344:04/09/26 15:59:18 ID:B77b/kRC
「・・・・き、気持ち・・・・よく・・・なん・・・・・て、アアッ!」

男の言うとおり、アウラの恥部からは先ほどとは比べ物にならないくらいの
愛液が流れ出していた。
時折潮を吹き出し、誰が見ても限界が近いのは明らかだった。
・・・・しかし。

「なんだ、アウラちゃん感じないんだ、つまらない」

男はそう言って、アウラの股から足を離す。

「なんだか今日は冷めちゃったからまた明日来るよ
それと今日は特別にバイブも抜いておいてあげるからゆっくり身体を休めてね、それじゃ」

そう言って、男はログアウトした。

男の陵辱に耐えたアウラはしばし勝利の余韻に浸る。
しかし、次の瞬間冷めることができぬ性への欲求が再びアウラを襲い始めた。
406344:04/09/26 16:00:20 ID:B77b/kRC
「そんな・・・・男はもう行ったのに・・・・身体が・・・・・!?」

恥部がさらなる陵辱を求めヒクヒクと痙攣する。

「くっ・・・・・あつい・・・・・なんなの・・・なんで・・・・こんな・・・」

自分の淫らな感覚に先ほどとは比べ物にならない罪悪感が抱きながらも
アウラは性の要求に次第に蝕まれていった・・・・・。

■■■次の日■■■

男が再びログインすると、男の鼻にツンとつく匂いが立ち込めていた。

「やぁアウラちゃん、調子はどうだい?」

男が昨日と全く同じ口調で言った。
アウラはその言葉で初めて男が来たことを知ったのか、男を見るなり
瞳から涙を流しながら愛願する。
407344:04/09/26 16:01:23 ID:B77b/kRC
「おねがい!もうこれ以上焦らさないで!!
ダメなの、もうダメなの!これ以上は私・・・・だから、お願いしますっ
おまんこに・・・・おまんこにください!!」

見ればアウラの周りはおびただしい量の愛液に包まれていた
男は瞬時に匂いの原因を悟る。
アウラの上気した肌はいつも蒼白に近いその肌を桜色に染め
恥部は手錠を掛けられてるにも関わらず左右に開ききり
昨日まで幼さの残っていたそこはすでに女の物へと変貌している。

「あれ、どうしたんだい、昨日はあんなに抵抗したのに?」

男がわざとらしく声のトーンを上げる。

「・・・・昨日一晩、よく考えました・・・・・
私には貴方が・・・・ご主人様が必要なんです!
だから・・・・・ください!おねがいします!!」

昨日とまったく同じく腰を振りながら男に頼むアウラ。
昨日の凛々しさはどこへ行ったのか、もうアウラは見る影もなく変わり果てていた。
408344:04/09/26 16:02:24 ID:B77b/kRC
「あははは、随分素直になっちゃたね〜、じゃあ、わかるよね?」

そう言うと男はアウラを拘束していた手錠と足枷を外す。

「ま、定番だしね、ほら早くいつものやってよ」

「はい・・・・!」

そう言うとアウラはお尻を男に向けて四つん這いになると
股を大きく開いて自身の恥部を曝け出す。

「アウラの穴はご主人様の物です、どうぞアウラのおまんこを自由に使ってください!」

「ククク、よく言ったね、それじゃああげるよ
ありがたく・・・・受け取りなァ!」

そう言うと男は一気にアウラを奥まで突き刺した。

「ひあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

一晩中待たされた快感
それが叶い、アウラは幸せの表情を浮かべてそのまま絶頂に達した。
409344:04/09/26 16:03:26 ID:B77b/kRC
「あれ、もうイったの?あはははは、流石だね淫乱女は!」

男が腰をピストン運動させながらケタケタと笑う。
部屋中にパンッパンッというアウラの腰と男の腰がぶつかる音が響く。

「アンッアンン!!す、すごいぃぃ!!アウラのおまんこに
ご主人様のおちんぽがズボズボ入って・・・ひぁぁんんっっ!!!」

後ろから犬のように犯されながらも幸せの表情で自身も腰を振り快感を求めるアウラ。
犬のように、というのはもはや比喩ではなく
アウラはすでに盛った雌犬と化していた。

「ククク、犬みたいに後ろからレイプされてるのにアンアン喘ぎやがって・・・!」

「アんッ、アんんッ!・・・・すごっ、すごいぃぃぃ!
こんなに気持ち・・・・いい・・・・なん、てぇぇぇ!!!」

「だから言ったろ?素直にしたら気持ちよくしてやるって
自分のバカさ加減がよくわかったかよ?」

「はい・・・・!アウラが、アウラがバカでした!・・・・あんっ
これから一生、アウラを犯してください・・・・おまんこ使ってください!ご主人様ぁぁぁぁぁ!!!」
410344:04/09/26 16:04:28 ID:B77b/kRC
そう叫ぶとアウラは2度目の絶頂を迎えた。
女となったその性器からは絶え間なく淫らな水が垂れ、突かれるたびに潮を噴出す
まるでそのようにインプットされた機械人形・・・・ダッチワイフのように。

「よーし、僕もそろそろ出してやるよ・・・・!」

そう言うと男のピストン運動が早まる。

「あっ、ンンっ!出してください・・・・アウラの中に!
沢山注いで・・・・アッ!・・・・ヒはぁっ・・・!」

それに答えるようにアウラの腰の動きもスピードアップする。

「お望みどおり出してやるよ・・・!おら、受けとれアウラ!!!!!!」

「あはっっ・・・・・・・・ひやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんんんっっ!!!!!」

そうして二人は果てた。
アウラの中にぶちまけた精液がアウラの子宮を犯していく。
もっとも、アウラの子宮に子供を作る機能はないので妊娠はしない。
そういう点で見るとアウラはもとからダッチワイフだったのかもしれない。
411344:04/09/26 16:05:30 ID:B77b/kRC
「ふう、今日はなかなか良かったよアウラちゃん
それじゃ、また明日来るからね」

そう言って男はログアウトする。
残されたアウラはいつまでも絶頂の快感から抜け出せず
ふたたびオナニーを始める。

「あっ・・・・イイ!おちんぽ・・・・イイです!・・・・ご主人・・・・様・・・・っ!」

■■■そして再び数ヶ月後■■■

「皆様、今日はアウラのストリップショーに来ていただき、ありがとうございます」

お辞儀のかわりに、股をM字に開いて指で恥部を広げるアウラ。
観客から歓声が沸き、SSを撮る音が館内に響く。

「あは・・・・こんなに沢山、アウラのこと見に来てくれてとても嬉しいです
今日はアウラの恥ずかしい所やオナニー、沢山見ていってください」

ここは不法パッチでしか入ることができない違法の領域
あの後、男はアウラを金儲けに使おうとストリップショーを開いたのだ。
人気は見てのとおり上々、アウラはここで日夜自分の恥ずべき行為を嬉々として
観客に見せている。
あの整然としていた少女はもういない
理性が完璧に消えてしまった少女は永久的に性の虜となったのだ。

男は舞台の裏で今日の儲けを計算してニヤニヤと笑う
そしてアウラは今日も観客に自身を苛める行為を晒すのだった――――。


THE END
412344:04/09/26 16:07:34 ID:B77b/kRC
以上です。
完結とか行っといていつもとあまり変わりませんが
私の広げた風呂敷を畳む技術はこれが限界のようです(っД`、)
とりあえず三作全部読んでくれた方や今回読んでくれた方、本当にありがとうございました。
413名無しさん@ピンキー:04/09/26 16:16:11 ID:/dY0+cgq
完結編キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
414黄昏の…:04/09/26 21:56:02 ID:G0aW45gu
誰もいない…。>>373の続きをコソーリと…。

「…この勝負、駄目かもしれん」
「えっ!?」
 カイトが邪神との対決を続ける中、バルムンクが苦しげに呟いた。
「と、突然ナニ言い出すかな、アンタは!?」
 バルムンクの唐突過ぎる暴言に、ブラックローズが抗議する。
現にカイトはあの驚異的な戦闘力を持つ邪神相手に善戦しているではないか。
「リョースやイレス、ヘルバから一切連絡が無い。
例え邪神を倒しても…もうセカンドインパクトを止めることはできないのではないか?」
「そッ、そんな…!」
 確かに有り得る話だ。
こうしている間にも、邪神はザ・ワールドを経由して様々な場所に有害なウイルスをバラまき
続けている。リョース達スタッフが何とか抗体で進行を食い止めている。が、何も連絡が無い、ということは…。
「俺達がプレイを続けている間にも、世界中で惨事が起きているかもしれん。
だとしたら、奴を倒したところで…もうどうにもならないのではないのか…?」
 バルムンクの言っていることは推測に過ぎない。
だが有り得ない事態でもない。邪神を倒しても、帰るべき世界がメチャクチャになってしまって
いたら、どうしようもないのだから。
 しかし、ブラックローズは絶対にそれを認めようとはしない。
信じているからだカイトを。愛しているからだ、カイトを。絶対に、彼が勝つ…と!
「まだ倒してもないうちから何つまらない言ってんの、アンタは!!!!!
それに奴と戦ってるのはアンタじゃないでしょ、カイトじゃない!!!!!!!!!!!!」
「むっ…」
「あの子がどんな思いで戦ってんのか判ってる!?
アンタ、それでもあの子の仲間!? 私達がカイトを信じてあげなかったら…誰が信じるって言うのよッ!!!!!!!!!」
415黄昏の…:04/09/26 21:57:10 ID:G0aW45gu
「確かに…ブラックローズの言う通りだな。我々にとって、彼は最後の希望だ」
 ワイズマンもブラックローズに同意する。
「この絶望的な状況下でこういうことを言うのも何だが…ね」
 少し自嘲的な笑みと共に。
「…そうだな。すまなかった」
 もうカイトはバルムンクとは別次元の存在となってしまった。
友を思う気持ちは誰にも負けない。だが、友を思うからこそ、カイトには無理をさせたくない。
これは自分の蒔いた種だ。あの時、自分が黒いカイトを倒しておけば、こんな事態には…。
「…信じようよ、アイツを」
「…ああ」


「雄ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「破ァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 カイトの多重データドレインが邪神の触手の群れを吹き飛ばし、
邪神の破壊光弾がカイトの四肢を滅してゆく。が、すぐに両者は再生、また同じことを繰り返すのだった。

「(クッ、キリがない…どうすればいい? どうすればアイツを滅ぼせる!?)」

 対極の存在である2人のカイト。どちらかが滅ぶまでこの戦いは続くだろう。
決定打を与えない限り、邪神は倒せない。ザ・ワールドに生きる全ての生命の輝きを内包した
黄昏体(トワイライトフォーム)でも、やはり邪神を倒すことはできないのか…!?

「そろそろ飽きてきたな…僕としてはさっさと終わらせて、早く人間共を嬲り殺したいんだけどねェ」
  
 邪神はカイトを倒した後、プルートキッスを起こして再び現実世界を混乱させ、
コンピューター管理下における人類の粛清を行おうとしている…そんなことが、あってたまるものか!
416黄昏の…:04/09/26 22:03:38 ID:G0aW45gu
「(ザ・ワールドに生きる全ての生命…つまりはプログラム達…)」
 カイトは今一度、自分の身に起きたことを再確認する。
あの時、コロシアムにおけるミアとの戦いでデータドレインを
乱発し過ぎた副作用により、カイトの身体は崩壊、灰燼と帰した。
 が、何処とも知れない異空間でハロルドと出会い、黄昏体となって再起動。
ミアを圧倒することに成功した。それは全て、この身体に宿った生命の輝きのおかげである。
「(全ての…いや、違う! 僕はまだ、全ての生命の力を借りてはいない!)」
自分達は対極の存在。白と黒。光と闇。だが、闇を覆うのも…また闇なのである。
「(この方法は…僕自身の存在を危うくするかもしれない…でも…もう迷わない!」
 晶良のためにも、みんなのためにも、自分は絶対に負けられない。そのためにも…やるしかない。
「クックック…どうした。ついに覚悟を決めたか?」
「あぁ…お前を倒す方法がやっと解ったんだ。もうこれしか…方法はない!!!!!!!!!」
 拳を握り締め、天高く掲げるカイト。召喚の呪文を高らかに叫ぶ!
「暁の空より来たりて…気高き意志を胸に…我等は、邪を裂く刃と成す!」
 ま、まさか、この召喚呪文は…!? カイトは鬼○神でも喚ぶつもりなのであろうか!?
「スケィス、イニス、メイガス、フィドヘル、ゴレ、マハ、タルヴォス、コルベニク…八相陣、顕現せよッ!!!!!!!!!!!!」
 カイトの叫びに呼応し、空が割れる。暁の空より舞い降りたのは、黒き堕天使達。
8体のウィルスバグ…八相。カイトが倒した者共。かつて腕輪の中に封じられていた邪悪な意志が、解放されたのだ!

【ファースト・スケィス】【セカンド・イニス】【サード・イニス】【フォース・フィドヘル】
【フィフス・ゴレ】【シクス・マハ】【セブンス・タルヴォス】【エース・コルベニク】…!!!!!!!!!!

 8体がグルグルとカイトの周囲を取り囲んだかと思うと、一斉にカイトと融合を始めたではないか!
「な、何だ!? 何だその姿はッ!? 八相と融合しただと…馬鹿なッ!!! 自らウィルスと化したのかッ!!!!!!!!!!」
 あまりの突拍子もない光景に、邪神が驚愕の声をあげる。それがあまりに異質だったからである。
「毒を持って毒を制す…我は闇を裂く白き闇。これが最初で最後の八相体(エイトフォーム)だ…!」
417黄昏の…:04/09/26 22:10:07 ID:G0aW45gu
もうスケィスとマハ以外、忘れてたな…八相。
え、キングフォーム?  (;0w0)ナンディスカソレハ?
418黄昏の…:04/09/26 22:24:14 ID:G0aW45gu
連続スマソ。

>>416
【サード・イニス】って何ディスカ…。
【サード・メイガス】ディスヨ、ダディアーナザァン!

だが私は謝らない。
419名無しさん@ピンキー:04/09/27 16:56:22 ID:uyaUu/tS
言わなかったら誰も気付かないですよきっと、といまさらいってみる
42018Rの鷹:04/09/27 19:11:31 ID:Nip4N980
>>386の続き

 ぽっかりと開いた穴が次第に閉じていく。その横には白く粘りけの強い液体が重力に逆らって、へばりついている。バスルームに反響するのは
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁぁ、はぁ、はぁ」
 という2人の荒い息づかい。徐々におさまっていく男の息に対して、すすり泣きが混じっていく女の声。
「うぅぅ、えぐっ、ぐっ、はぁ〜ん、あ〜ん」
「晶良さん…」
 肩に手を置いて抱き起こす。涙でいっぱいの目からは抗議の色がにじんでいる。
「ひどい人…、痛かったんだからぁ、恥ずかしかったんだからぁ」
「ごめん…。ごめん、ね。ごめんね」
 胸に飛び込んできて泣き続ける晶良。そっと抱きしめる。しばらく泣いたら落ち着いたみたいで、唇をねだってくる。
「キスして」
 黙って目を見つめながら唇を重ねる。涙の痕が少し罪悪感を感じさせた。舌は入れずに晶良の気がすむまでキスを続ける。しばらくしてから唇を離すと、
「ほんとに、つらかったんだぞ」
 と言って晶良は、ぼくをにらみつけた。
「ごめん…」
「もぉ、ほかに言うことないの?」
「えっ? …気持ちよかった、とか?」
「ばかものぉぉ。あの…、あるでしょ、言うこと…」
「あっ! 愛してるっ! 愛してるよっ! 晶良さん」
「これだから年下は…。そーゆーとこは鈍いんだから」
「あは。晶良さん、ほんとに、ほんとに愛してる」
「当たり前でしょ。…アタシも愛してる」
 キス。今度は舌を入れ、絡ませ、ねっとりと愛を伝える。突然、思いついたように晶良の目がパっと開き、唇を離される。
「ダメっ! もう、できませんっ」
「えっ?」
42118Rの鷹:04/09/27 19:12:22 ID:Nip4N980

「…また、大きくなってきてる…」
「えっ、え〜っ!? まいったなあ…」
「ダメったらダメっ! もう、ヤっ!」
「いやぁ…。こんなにすぐに3回もできない…って思ってたんだけどなぁ…」
「なんで大きくなってんのよぉ。アタシ、壊れちゃうよぉ」
「晶良さんが悪いんだっ。そんなにかわいいからっ!」
「ばかものぉ」
「えっとぉ。ほんとはさ、もっと愛し合いたいけど…。あした、入学式もあるし。また今度、できるよね?」
「ヤっ」
「え〜っ!? もう、させてもらえないのぉ」
「だって、痛いんだもん…」
「だいじょおぶだよ。今度は痛くしないでできるよ…たぶん。だから、お願いっ!」
「やだっ。すっごい痛いんだかんね。アンタ、自分だけいい思いして、ひどすぎっ」
 晶良ににらまれ、思わずたじろぐ。
(ま、まずい。あんなことや、こんなこと、いろいろしたいのにぃ。ご機嫌とっとかないと)
「晶良さん、体流してあげる。それから一緒にお風呂、入ろ?」
「うん」
 晶良のお尻から背中に浴びせた自分の精液をシャワーで洗い流す。それから、向かいあって湯船に。
「あ〜、気持ちいい。晶良さんとお風呂に入れるなんて、幸せ」
「アタシは、恥ずかしい」
「ねぇ、お花見、しにいこっか」
「うん。そーだね。なんか、さ。お腹すいてきちゃった」
「ぼくも」
「じゃあ、アンタ、先出てて」
「うん。晶良さん、もう一度キスしたい」
 晶良を抱き寄せ、やわらかい唇を、甘い口内を、たっぷり味わった。
42218Rの鷹:04/09/27 19:13:25 ID:Nip4N980

 ご休憩の2時間は、あっという間に過ぎてしまい、慌てて服を着て部屋を後にした。ホテルを出るときは、さすがに恥ずかしかったが、ちょうど人通りが途切れたタイミングだったので、ほっとする。
 桜並木を手をつないで歩く。晶良の歩みはかなりゆっくりだ。
「だいじょぶ? 晶良さん」
「ん〜。なんか、まだ、はさまってるみたいな感じ」
 答えようがない。
「あっ、ベンチがある。少し休んでこ、ね?」
「あ〜、うん」
「ねぇ、なんか買ってくるよ。ほしいもの、ある?」
「ん〜。綿アメ」
「ちょっと待ってて」
 綿アメとラムネを買ってくる。
 ラムネのビー玉と格闘しながら、晶良のことを見やる。無表情で綿アメを嘗めている。ついさっき、組み敷いて真上から見ていた苦しげな顔が頭に浮かんで、顔が赤らんでしまう。照れ隠しにあさってのほうを向いて口笛を吹いたりする。
「…ねぇ、アンタさぁ。アタシのこと、『晶良』って呼び捨てにしたの、覚えてる?」
「ぼくが? いつ?」
「えっとぉ、あのね、…さっき…」
「さっき、って?」
「ん〜、だからぁ。ほんとに覚えてない?」
「うん…」
「…最後のとき」
「最後って?」
「だからぁ、その…、んもうっ、変なとこ、鈍いんだからっ」
(これで怒られてもなぁ…。でも、覚えてなくて、最後って、…あのときかなぁ)
「…出したときぃ!?」
「もおっ! そんな、はっきり言わないっ。恥ずかしい、じゃないのぉ」
42318Rの鷹:04/09/27 19:14:16 ID:Nip4N980

「あっ、そおだったんだ」
「ええ、そーよ。2回とも…」
「それで…、晶良さん、怒った?」
「いんや。なにか…、ちょっと、気持ちよかったよ」
「晶良っ!」
「こらっ! 年下のくせに」
「え〜っ!?」
「あれっ…。ん〜、まだ普通のときはダメかな」
「出すとき限定ぃ〜?」
「そおいうふうにっ! 直接的な言い方、しないっ!」
 背中をペシっとたたかれる。
「は〜い」
 寄りかかってきた晶良は、ぼくの肩に頭をちょこんと乗せ、
「もっと、やさしくしてくんなきゃ、ダメだぞ」
「うん。ぼくのこと、嫌いになった?」
「そんなこと、ないわよ。でも、怖いの、ヤっ。痛いのも、ヤっ」
「うん、わかったよ。晶良さんに嫌われたくないから」
「い〜っぱい、やさしくしなさいよ。やさしくしてくれたら…」
「えっ?」
「また、しても、いい、よ」
「ほんと?」
 返事はせずにコクリとうなずく晶良。気分は飛び上がらんばかりだ。ニッコ〜と笑顔を見せる。
「アンタの笑顔、大好き」
「ぼくは晶良さんのこと、全部好きだよ」
「じゃあ、おいしいものでも食べに行きますか。もちろん、アンタのおごりね」
「うん! 焼肉、食べたいな」
「わぁあ、それ、いいっ。特上カルビでしょ、特上タン塩でしょ、ん〜、石焼ビビンパもっ」
(お金、足りるかなぁ。それに、きょうはぼくのお祝いだったよね。…ま、いっかぁ)
42418Rの鷹:04/09/28 20:37:02 ID:mEWGydEq

 始業式の日は、お昼前に学校から帰れる。部活もきょうは休みだ。さっさと帰り支度をすませ、自転車置き場へと急ぐ。しかし、気持ちとはうらはらに思うように速く歩けない。まだ、きのうの痛みが股間に残っているからだ。
 3年生になって進路別にクラス替えされ、仲良し4人組はバラバラになった。なんとか彼女たちより先に帰りたかったのだが…。自転車置き場に行くと、そこには獲物を待ち構えていたハンターが3人。翔子、美穂、理沙だ。
「あ〜きらっ。ご飯、食べにいこ」
「あちゃ〜。捕まっちゃったか…」
「晶良ぁ。きょうは逃がさないわよぉ。まったくぅ、せっかくケータイ鳴らしてるのに、ことごとく無視してくれちゃってぇ」
 美穂が頬を膨らまして言ってくる。事情を知っている翔子は横を向いて笑いをかみ殺している。
「ん〜。しようがないか…。はいはい。どこへでも行きますよ」
「それではっ! じ〜っくり話が聞けるとこ。翔子ぉ、いい?」
 理沙が元気に仕切っている。
「いいよ。ウチでピザ頼んで食べよっか」
「グーっ!」
 理沙と美穂が親指を立てて、アタシにウインクしてくる。
「はぁ〜。あんま、話したくないんだけどなぁ」
「そう言われちゃうと…、よけいに聞きたくなるよねぇ?」
 理沙が2人に同意を求める。
「もっちろん!」
「あー、あー、もうっ! わかった、わかりました」
 そう答えはしたものの、頭の中では『詳しくなんか話せるもんか』と考えている。翔子がこっちを見て含み笑いをしているのが気になるが…。
 4人で翔子の家のほうに歩きだす。アタシはすぐに遅れてしまう。
「晶良ぁ、どーしたのよ? いつもなら速すぎるくらいなのに」
「えっ? あっ、なんでもない…」
 美穂が振り返って聞く声に、あまりうまく反応できない。
「ふ〜ん。どっか痛いの?」
「いや、あの、うん、べつに、だいじょおぶ、だよ?」
 しどろもどろに答える。
42518Rの鷹:04/09/29 20:50:15 ID:nhCmgqqB

「痛いんでしょ? ど・こ・か・が」
 翔子のきつい一言。勘付く2人。
「ははぁ〜、痛いんだぁ。…ってことは…、きのうなの?」
 まだ外だと言うのに、美穂が遠慮なしに聞いてくる。
「美穂の声、おっきすぎ! その話は後で」
「後で、ね。うん。後で、じっくり聞かせてもらいましょう」
 翔子の家に着いたとき、アタシはみんなから50mも遅れていた。
 翔子の部屋に上がり込み、まずピザを注文。すぐに翔子は缶ビールを冷蔵庫から取ってきた。
「またビールなのぉ?」
 酔っぱらってしまうと、言わなくてもいいことまで話してしまいそうで、思わず不満が口をつく。
「なんなら、缶チューハイもあるよ? 晶良」
(さっきの含み笑いはこれか…。"自白剤"の効き目、よくわかってるってわけね…)
「ん〜っ、お酒、嫌いっ!」
「え〜っ!? 晶良はイケるクチだと思うんだけどなぁ」
「んなことはないっ」
「まあまあ、とりあえず乾杯といきますか。みんな、無事に3年生になれたことだし」
 理沙の言うことも、まあ、もっともだ。
「そうね」
 と言って缶ビールを手にする。
(アタシがあんま飲まなきゃいいだけよね)
「じゃあ!」
 と理沙が音頭を取る。すぐに3人が声をそろえて、
「晶良っ。ロストヴァージン、おめでとーっ! カンパ〜イっ」
 まだ一口も飲んでいないのに、アタシの顔は真っ赤になっている。
「う〜。そんなこと言われたら、恥ずかしいぃぃぃぃっ!」
「まあ、飲んで。飲めば落ち着くよ」
 やさしい言い方で勧める翔子。ついビールをあおってしまう。
42618Rの鷹:04/09/30 20:43:18 ID:y4MESvL+

 その話に持ち込みたくて、うずうずしながら目を輝かせている3人。
 そこにピザが到着。ほっとひと息だが、黙って食べるなんて女子高生には無理。必死に話題をそらせようとするものだから、ピザの味なんてまるでわからない。
「あ〜っ、お腹いっぱい」
 最後の一片をかたずけた美穂が、お腹をさすりながら言う。
「翔子ぉ、缶チューハイ、ちょーだぁい」
 理沙がねだる。
「いいよ。4本ね」
「あ、アタシはまだ残ってるから」
 これ以上飲まされたら、たまらない。しかし、勘の鋭い翔子はアタシの缶ビールを持つと、
「あんまり残ってないじゃない、晶良」
 そう言って、台所に向かってしまった。翔子が戻ってくると、美穂が口火を切る。
「さあ、デザートにしますか。あっ、メインディッシュはこっちか」
 すかさず理沙が引き継ぐ。
「で、晶良ぁ。彼、やさしくしてくれた?」
 …微妙な質問だ。答えないでいるわけにもいかないか。
「うん。まあ」
「ひゅ〜ぅ。いいですなぁ。やさしい年下の彼氏かぁ」
 理沙がひやかす。
「1度目は失敗…しちゃったんだよね」
 それとなく翔子が経過を話し、さらに美穂が話をつなぐ。
「あ〜。それでケータイ、無視したのね」
「うん。まあ」
「それで、2度目がきのうで、そんでもって、うまくいった、と」
「うん。まあ」
 生返事でごまかそうとしていると、翔子が、
「最初の日ときのう、彼氏はずいぶん違ってた?」
 と聞いてくる。
42718Rの鷹:04/10/01 20:26:14 ID:e5k9euIp

(そう言われてみると、ずいぶん余裕ができてたかな、アイツ。ずっとアタシのこと考えてた、って言ってくれたっけ)
「晶良。どうなの?」
「えっ、あっ、うん。最初のときは、すごく焦ってたみたいだったけど、きのうは…大人になってた、っていうか、うん、余裕があった、かな」
「へぇ〜。意外と、どこかでお勉強してきてたりして」
 からかうように翔子が言う。
「ま、まさか」
「冗談だけどね。そんなにお小遣いないだろうし、中学生プラスアルファじゃ、風俗には行けないだろうしね」
「そうだよね」
 なぜか安心する。ほんの少しでも疑って、アイツに申し訳ない気持ちになる。
「ねぇ、晶良ぁ。痛くなかった? 実はさぁ、私も春休みにナンパされちゃって…」
 と理沙が話してくる。自分の体験を聞いてほしくて仕方ないみたいだ。
「あ〜ら、理沙。ロストヴァージン、おめでとー」
 話題をそらすには今しかない。アタシは逆襲に転じようと試みる。
「相手は大学生で、けっこう遊んでそうだったんだ。でも、も〜、無理矢理って感じ。体が真っ二つにされるかと思ったよぉ」
「うん、わかる、それ。すっごく痛かったぁ」
 思わず答えている。これでは逆襲も何もあったものじゃない。
「でしょ〜。私なんか、大流血。それ見てビビって、最後までイケなかったんだよぉ、そいつ」
「理沙ぁ。そいつ、よっぽどヘタだったんじゃないのぉ」
 美穂がつっこむ。よかった、話題の中心はアタシじゃなくなった。
「そーかもねぇ。ホテル入ってから、15分もたってなかったんだぁ」
(15分!? そーいえば、時間なんか気にしなかったけど、もっともっと長かった気がする…)
「あ〜ぁ、理沙ったらぁ。いっくら晶良に先越されるのが嫌だったからって、相手くらい選べよぉ」
 と美穂。
「ほんとに…。前戯もろくにできない男は失格!」
 タバコに火をつけた翔子の目がマジになっている。
「…アイツは…、やさしかったな…。でも…痛かった」
 きのうのことを思い出して、つぶやいていた。
42818Rの鷹:04/10/02 20:47:19 ID:oAUecxrB

「ねぇ、晶良。彼のモノ、見た? どれくらいあった?」
 翔子の問いに、バスルームでの出来事が頭に浮かんでくる。顔に熱が帯びてボーっとしてきた。無意識に口をカパっと開ける。
「ぉぇぅぁぃ…」
 彼をくわえたときを思い出しながら、『これくらい』と答えてしまっていた。しばしの沈黙の後、
「晶良…」
「あきら…」
「アキラ…」
 みんなのあきれたような声で、ようやく我に帰る。
「…ぅえっ…!? あっ! ひぃぇ〜っ、アタシ、何やってんだろぉ」
 火がつくんじゃないか…いや、爆発するんじゃないかってほど真っ赤になる。頬杖をついた翔子は下を向いて頭をかいてる。理沙は頭をテーブルにつけたまま悶絶してる。後ろにブッ倒れているのは美穂だ。
「ま…ったく…」
「はしたない…」
「娘…ねぇ…」
 3人で1つの文をつないで、それから声をそろえて、
「初体験で、そこまでするかぁ〜」
 と言って、大きくため息をついた。アタシはひたすら小さくなっている。言い訳がましく、
「…だって、アイツが、してほしいって言うんだもん…」
 と小声で絞り出す。
「だからって…しないって、フツー」
「晶良って…見かけによらず…」
「淫乱、なんだぁ…」
 3人の視線が痛い。
「そ、そ、そんなことないっ! アイツが、アイツが…、悪いのはアイツっ!」
 反論するが、これではまるで子供だ。言い訳にもなっていない。
「やさしくて、やらしい、年下の彼氏、ね」
 翔子が『やらしい』を強調して言う。アタシは黙ってうつむくしかない。
42918Rの鷹:04/10/03 20:17:40 ID:KLJLRCJe

(やっぱり、お酒は魔物だ。もう、絶対に飲むもんか)
 ほとんど二日酔いの愚痴だ。もちろん、そう思って酒をやめた人間はいない…。
 静寂、というか空々しい空気が流れたが、それは長続きしなかった。翔子が、
「それにしても、晶良の彼氏、いいモノ持ってるみたいね」
「うんうん。そんなの入れられたら、血が出てすごかったんじゃない? 晶良」
 美穂が真顔でうなずいて、聞いてくる。
「血は出なかったんだ」
 アタシの答えに理沙が驚く。
「え〜っ!? うっそぉ。なんでよ〜」
 経験者の美穂が、代わりに正解を言う。
「入れる前に、た〜っぷり、かわいがってもらえたみたいね、晶良?」
「いや、まあ、そう、…なのかな、って、知らないっ」
 そのとき突然、翔子が真剣な眼差しをしてアタシを正面から見て言った。
「晶良っ。お願い。彼氏、1回、貸してっ!」
「え〜っ。そんなこと…、ダメぇぇっ」
 うろたえる。美穂がくすくす笑いながら、
「な〜に、翔子ぉ、欲求不満なわけ〜?」
「いや〜、そういうわけじゃないと思うけど…」
 口ごもる翔子に、すかさず美穂が
「思うけど、何よ?」
「だって、美穂。若くて、元気で、やさしくて、やらしくて、立派なモノ持ってて、エッチが上手なんだよ?」
「うん」
「興味、あるじゃない。1度くらい、そんな人としてみたいじゃない」
(いつもの冷静な翔子とは別人みたい。やっぱ、お酒って怖い)
「う〜ん。私はテクニックとか大きさより、まずは愛かなぁ」
 美穂らしくない発言。これもお酒のせいか!?
43018Rの鷹:04/10/04 23:33:01 ID:5onsWKG4

「それは、私だってそうよ、もちろん。でも、満足させてもらえないのって…寂しいんだもん」
 伏し目がちに話す翔子。
「へぇ〜。祐士って、もしかして淡白?」
 美穂がくわえタバコで聞く。2人の話が続く。
「ん〜、スケベ。なんだけど、小さくて、早い。しばらくやってないと、前戯で出しちゃうし」
「何、それぇ。パンツの中で暴発ですかぁ」
「私の…口の中」
「うわっ」
「口でされるの、好きみたい…。それで、私が飲まないと悲しそうな顔するんだ」
「あれ、まっずいよね〜」
「大嫌い。でも、嫌われたくないから…」
 アタシと理沙は黙って聞いている。というか、何もしゃべれない。
(口の中に出されるって…なにそれ? 飲むって何なの? あの白い液のこと?)
 アタシの頭の中は、理解しがたいことばかりで大混乱だ。と、美穂がアタシに話を振ってくる。
「晶良は、まさか、そこまでしてないよね?」
「もちろん!」
 頭を縦にブンブンと振る。そんな会話など耳に入っていないかのように、翔子がひとり言のようにつぶやく。
「私にあきちゃったのかなぁ」
 ふぅっとタメ息をつく翔子に、アタシたち3人は
「そ、そんなこと、あるわけないよ」
 口をそろえて必死になだめる。翔子はいまにも泣きだしそうだ、と思ったら、
「ん〜、いけない、いけない。晶良を酔わすつもりだったのに、私が酔っ払って、どーするのよ」
 と顔を振る翔子。ハラハラしていたアタシたちは、なんだかバカみたいだ。
「もぉ〜、翔子ぉ、ビックリしたじゃんよ〜」
 理沙が不満を漏らすが、その表情はほっとしている。気持ちはアタシも美穂も、たぶん同じだ。
「ごめん、ごめん。でも、やっぱり、女の幸せって、愛とサイズとテクニック、よね?」
「知らないっつーの!」
 4人で大笑い。
43118Rの鷹:04/10/05 20:32:36 ID:2WT/9H/0

 場が和んだところで、アタシは気になっていたことを聞いてみようと思った。
「ねぇ、翔子、美穂。なんで、あんな痛いこと、できるの?」
 顔を見合わす2人。ニコっと笑みを浮かべて、
「晶良。あんな気持ちのいいこと、もうしないとか言わないよね?」
「そーそー。痛いのは初めの何回かだけ。そのうち、すんごい快感が襲ってくるのよぉ」
 2人にそう言われても、にわかに信じられない。あの痛みの感覚、忘れていない。
「ウソ…」
「ウソじゃないって」
「ホントのことだよぉ」
 それでも半信半疑だ。すると理沙が口をはさむ。
「ねぇねぇ、何回くらいすれば気持ちよくなるのかなぁ」
 美穂が目を閉じて記憶をたどり、
「そーねぇ、私は5回目か6回目、だったと思う」
「それまでずっと、あんな痛い思いするの?」
 理沙とアタシ、ユニゾンで聞き返す。
「痛みはだんだんと小さくなってったよ」
「へぇ〜、そーなんだぁ」
 ちょっと安心する。今度は翔子が、
「理沙はともかく、晶良は前戯で気持ちよくなったでしょ?」
 と聞いてくる。
「うん…。アタシは別に入れられなくても、それだけでも、よかった…」
「ダメよ。それじゃあ、彼氏が満足しないでしょ」
「う〜ん、そーなのかなぁ。わかんない」
「そうよ。それに、2人が気持ちよくならなきゃ、する意味がないでしょ」
「そうかもしれないけど…」
「大丈夫。痛くなくなる回数は個人差あると思うけど、女の体のほうが快感はすごいって話だよ」
(ううむ。そー言われても、こればっかりはよくわからないなぁ。また、するしかないか…)
43218Rの鷹:04/10/06 20:15:23 ID:fUpHoY+6

 晶良にとって居心地の悪いような、なんともいえない時間はようやく終わったようだった。ところが、さらに具合の悪い展開になろうとは──。
 それぞれ家に帰るため、酔い覚ましにジュースやお茶を飲んでいると、美穂がこちらをじっと見つめて、
「それにしても、晶良。どこで見つけてきたのよ?」
「えっ、何を?」
「彼氏」
 ぶっきらぼうに答える美穂。翔子も理沙も、再び目が輝きだしている。
「そーそー。あまりにも自然に付き合いだしたから、聞きそびれちゃったのよねぇ」
 と理沙。翔子は、
「私は、てっきり告られた先輩にOKしたのかと思ってたのよ。それが、年下って言うからビックリ」
「え〜っ、先輩に告られたのぉ、晶良。だれなのよ?」
(あちゃー。翔子ったら、余計なことを。美穂と理沙は知らなくていいのにぃ)
 猫じゃらしに飛びかかろうとする子猫みたいに、目をらんらんと光らせる2人。
「ねぇねぇ、だれなのよぉ」
 2人、にじり寄ってくる。アタシは助けを求めるように翔子に視線を向ける。しようがないなぁ、という感じで翔子が口を開いた。
「ほら、文化祭でライブやった…、え〜と、なんて人だっけ、晶良」
(うわっ、こっちに振るなよぉ)
「あー…っと、えー…っと。…萩谷先輩」
「え────っ!?」
 驚きの声をあげる美穂、理沙。
「あのカッコいい先輩にぃ? 晶良もやるなあ〜」
「でも、断っちゃったんだよねぇ。ほんと、もったいない」
 と翔子。それを聞いた美穂と理沙がまたも、
「え────っ!?」
 と大きな声をあげた。
43318Rの鷹:04/10/07 20:20:23 ID:6C//ARVa

 ひとしきり萩谷先輩の話で盛り上がった3人は、早く帰りたいと願うばかりのアタシを再び"料理"し始めようとしていた。
「で? どこで捕まえたの?」
「晶良。きょうは逃がさないわよ」
「そーそー。白状なさい」
(げっ。ここまで隠しとおしてきたっていうのに…)
 形勢は圧倒的に不利だ。シャラポワ相手にマッチポイントでサーブを受けるくらい敗色濃厚。何が嫌だって、みんなに内緒でネットゲームをプレイしていたことがバレるのはバツが悪い。いくら意識不明になった弟を救出するために始めたからって、いまさら言いたくない。
(翔子にバレそうになったときだって、ごまかしたんだ)
 そんな晶良の思惑など、3人にはお構いなしだ。
「あ〜きらっ。言わないと家に帰さないぞぉ」
(それは困る…。まあ、いまさらゲームしてたって言っても、みんな許してくれるよね)
「…えっと。実は、その…」
 言おうと思っても、行きつ戻りつする晶良の気持ち。3人はじっと黙って耳に全神経を集中している。
「…ネット、なんだ」
 言えた。しかし、ザ・ワールドをプレイしていなかった理沙が、とんでもない勘違いを口にする。
「え〜っ!? 晶良、出会い系なんか、やってたのぉ」
「ちっが〜う! ネットゲーム!」
 ついに言ってしまった。
「ネットゲームって…ザ・ワールド?」
 美穂が聞いてくる。
「うん」
「やっぱり」
 と翔子。美穂が反応する。
「翔子。やっぱりって、どーいうこと?」
43418Rの鷹:04/10/08 20:29:10 ID:LSVXNnSl

「晶良、みんなにザ・ワールドやめなよ、って言ってたじゃない? 何かあるんじゃないかって思ってたんだ」
 勘のいい翔子だけに、ごまかしきれてはいなかった。
(それでも、あのときは黙っていてくれたんだ。翔子、ありがと)
「晶良の弟、文和くんが意識不明になったのとザ・ワールド、関係あったんでしょ?」
 翔子に問われるが、時間がたった今でもはっきり答えたくなかった。
「えっ、まあ、そんなこともあったかな」
 とお茶を濁す。
「まあ、無理に言うことないわ。文和くんも元気になったみたいだし」
「そーそー。とりあえず、彼氏のことよ」
(あ〜も〜、美穂、しつこい!)
「晶良の職業(クラス)はなんだったの?」
 翔子に聞かれる。いきなり彼の話から入らないあたり、さすがに付き合いが長いだけのことはある。
「ん〜、重剣士」
「あー、それ、ピッタシ(笑)」
 美穂に茶化される。翔子はニコっとして質問を続ける。
「で、PC名は?」
「えっと、…ブラックローズ」
「ふ〜ん。ブラックローズ、どっかで聞いたことある気が…。ザ・ワールドで出会ったことあるっけ?」
「いや、ないよ」
「そっか。じゃあ、気のせいかな。でさぁ、彼氏は? 彼氏のPC名は何?」
「カイト」
「カイト〜!?」
 翔子と美穂が驚きの声をあげる。しまった、と思ったが、もう遅い。
(あっちゃ〜。アイツ、ザ・ワールドじゃ有名人だった…)
「勇者カイトが晶良の彼氏なのぉ」
 美穂の声が裏返ってる。と、何かを思い出そうと考え込んでいた翔子が、
「ブラックローズ! 思い出した! 勇者カイトとブラックローズって」
 美穂も気付いたみたいで、2人そろって、
「ドットハッカーズ!」
43518Rの鷹:04/10/09 19:41:01 ID:Y2svdCWZ

 ザ・ワールドのBBSで、一時『.hackers』が大いに話題に上ったが、晶良にはそれがどうしても自分たちのことだとは感じられなかった。まるで他人ごと、だった。
「そんなふうに言う人もいたみたいだけど、アタシは別に…」
 なんと言っていいかわからず口ごもる。
「それに、アタシはもうインしてないし。アイツも受験前はほとんどインしてないはずよ」
「なるほどねぇ。伝説のパーティーがこんなに身近にいたなんて…」
「ビックリしたぁ」
 だれにも想像しえない出会いだったのだ。
「ゲームの勇者がリアルでもいい人でよかったね」
 そう言う美穂に、翔子も理沙も笑顔でうなずいた。
 外はすっかり暗くなっていた。美穂と理沙、3人で翔子の家を後にする。帰りがけに翔子が
「晶良。今度、ザ・ワールドで勇者カイトを紹介してね」
 と片目をつぶって言い、美穂も同調して
「うん。ことしはうちらが受験だけど、たまの息抜きにザ・ワールドも悪くはないわねぇ」
「う〜ん、アカウント使用料は払ってるけど、しばらくプレイしてないから、まっすぐ歩けないかも」
「な〜に言ってんのよ、伝説のパーティー、ドットハッカーズのブラックローズが」
 美穂につっこまれても、アタシはただ『はははっ』と空虚に笑うのみ。リアルでアイツに会ったあの日、自分の中でザ・ワールドにピリオドを打ったように感じていたからだった。
「PCよりもリアルに夢中、か」
 美穂はそう言って、タメ息をついた。別れ際に理沙が突然、
「よーしっ、私もザ・ワールドで素敵な彼氏、みつけるぞぉ〜」
 と右手を上げて宣言する。これには、美穂と顔を見合わせ苦笑するしかない。
 家に帰って部屋に入り、理沙の言葉に懐かしさを感じていた。
(そういえば、あんな感じのコ、ザ・ワールドにもいたっけ。…あのコ、元気かなぁ)
 それは、晶良の知らないところで炸裂する、まさに地雷だった──。
43618Rの鷹:04/10/10 20:07:06 ID:DAbj68t8

 4月。新しい生活がスタートして互いに忙しく、会うこともままならない。晶良は高校3年生、最上級生だ。この夏でテニス部は引退。それから先は受験一色の生活になるはずだ。
 残り少ない"自由の日々"を精いっぱい頑張る、そう晶良は決めていた。新入生が入って活気を増したテニス部で、大声を出し全力で動いて汗を流す。そのことによって、彼に会えない寂しさを多少はまぎらすことができた。
 あの日から一月近くがたとうとしていた。彼は毎日メールをくれる。きょうは何をしたとか、新しい友達(わざわざ男だと注がついていた)と何々を食べたとか、そんな他愛のない内容だったが、晶良はそれだけで癒された。ただ、会えないことが大いに不満だった。
 ゴールデンウイークを前に、ようやく会えると思ったら、生理。やっとデートの約束ができたのは5月6日、連休最後の日曜日だった。
 その日は傘をさしてのデートとなった。晶良は自分の傘をたたむと、彼の腕にしがみつくようにして体を密着する。
「ね〜え、どこ行く?」
 久しぶりのせいか、妙に甘い晶良の声が胸の鼓動を速くする。
「映画、見ようかと思ってたけど…」
「けど? な〜に?」
「晶良さんが欲しくなっちゃった」
「え〜ぇ、ス・ケ・ベ」
 からかうような口調。拒否しているわけではなさそうだ。
「じゃあ、新宿、出よっか」
「ん。いいよ」
 晶良にしてみれば、本心では痛い思いはもうしたくはない。しかし、友達から『間を空けると、また痛いぞぉ』とか、『あんまりオアズケすると浮気されちゃうかもよ』とか、脅かされていた。そんなことよりも、久しぶりに会った今、彼と2人きりになりたかった。
 傘の花が咲き乱れる新宿の街。彼はそのホテルにまっすぐ向かい、躊躇することなく入った。傘が2人を隠してくれるから、晶良はそれほど恥ずかしさを感じずにすんだ。部屋に入ると晶良が聞いてくる。
「なんで、ここ?」
「んっとね。ネットで見た」
「そんなことばっかしてちゃダメだぞ」
「デートの前の日だけ。特別」
43718Rの鷹:04/10/11 20:25:34 ID:42EBZXiC

 もう自分の右手では満足できない、そうは思ったものの、溜まってくるものはしようがない。デートの3日前まで性欲の処理は毎日だった。ようやく晶良を抱けるのだ。
 唇が重なる。長く濃厚なキスの後、彼が丁寧に晶良を裸にしていく。もちろん、その合い間にも唇と舌と指が間断なく晶良の体を愛撫した。晶良は腕時計を外すとき、なんとなしに時間を確かめた。
 一月ぶりの逢瀬、一月ぶりに聞く晶良のあえぎ、一月ぶりに嗅ぐ晶良のにおい、一月ぶりに味わう晶良の柔らかい体。行為にのめり込む。
 もう焦ることはなかった。たっぷりと時間をかけ、『こうしたらどうだろう』という好奇心、探究心を満たしながら、晶良を濡らしていった。経験が彼を成長させていた。
 晶良の喘ぎは絶え間なくもれる。声がかすれだすほどになったとき、彼はゆっくりと晶良を貫いた。しばらくじっとしていた彼は静かに動きだし、えぐり、かきまわし、快感をむさぼった。
 十分に晶良を楽しんだ彼は、
「あきら、あきら、あきらっ、…あきらぁぁぁぁぁあああ」
 と声をあげて果てた。
 彼の腕まくらに頭を乗せた晶良は、
「ねぇ、晶良さん。痛かった?」
 と聞かれ、
「ん〜。…歯医者さん」
 と謎かけのようなことを言う。
「えっ、どーゆーこと?」
「痛かったら手を上げてって言われるじゃない。そんで、少しでも痛かったら、すぐに手を上げるぞって身構えてるでしょ。でも、麻酔が効いてるから、『はい、速水さん、終わりです』ってなる」
「う…ん。ん〜?」
「きょうは、ね。そんなに痛くなかったよ」
「ほんと? よかったぁ」
「でも…、気持ちよくなるのかなぁ」
「ぼく、頑張る」
「ばか」
「シャワー浴びて、またしよ?」
「え〜っ!? またぁ。アンタ、性欲、強すぎ!」
43818Rの鷹:04/10/12 20:48:21 ID:/nlQUGzk

 バスルームに向かう際、晶良は自分の腕時計を見た。1時間あまりが過ぎていた。ずいぶん長い時間、愛されていたんだと思うと顔が赤らむ。
「時間、ないよ?」
「だいじょおぶ。ここフリータイム3時間だもん」
「はぁあ〜!? ちゃんと調べてるんだ」
「そりゃあ…。だって一月も会えなかったんだもん。晶良さんといっぱいしたいよ」
「男のコって、そーゆーもの、なの?」
「そーだよ」
「わかりました。わかったから、ね。やさしくしなさいよ。あっ、それから、浮気したら承知しないからね」
「しないよ! ぼくには晶良さんしか見えないもん」
「ばか。でも、ちょっとうれしいかな」
「晶良さん、体、洗ってあげる」
「いいよぉ。恥ずかしいよぉ」
「だめ」
「もお〜。強引なんだからぁ」
 この日はバスルームではしなかった。回復力に問題はないのだが、前回みたいに晶良に泣かれるのは嫌だったからだ。だから、というわけでもないのだが、明るいバスルームで晶良の裸をたっぷり堪能させてもらった。むろん、舌と指を駆使しながら…。
 バスタオルだけまとってベッドに戻り、それから絡み合う。晶良のそこはもう十分に潤っていて、前戯もそこそこに挿入。まだ、こわごわ受け入れている晶良のことを思って、正常位だけでひたすら快感を追求する。
 1度出しているし、晶良もそれほど痛がってはいない。今度はじっくり楽しんで放出。量も勢いも、1度目と遜色なかった。
 シャワーを浴びて服を着る。時間がくるまでコーラを飲みながら楽しい会話をし、それからホテルを後にした。 サヨナラをする前に次のデートの日を決める。
「今月の26日の日曜日、いい?」
 と聞かれ、満面の笑顔で
「もちろん!」
 と答え、晶良の後ろ姿を見送った。
43918Rの鷹:04/10/13 20:20:00 ID:j5/hLM5N

 2人のデートは月末が多くなった。晶良が妊娠の危険性を少しでも減らしたいと、生理前のタイミングを選ぶからだ。
(ちゃんとスキンつけるから、だいじょぶだと思うけど。でも、それで晶良さんが安心するならOKだけどね)
 それはそれとして、
(いつか、つけないでしたいなぁ。そんで、晶良さんの中で出したいなぁ。すっごく気持ちいいんだろうなぁ)
 秘めた思いを胸に、デートの日を待っていたら、前の日に晶良からメールが入った。

件名:ゴメ〜ン!
──ドタキャンで悪いんだけど、あした、パスさせてくんない?
──実はさぁ、『オンナのコの日』がきょうから始まっちゃって…。
──2日目って、つらいんだぁ。あしたは家で寝てるぅ。
──ホント、ごめん!
──P・S 会えなくて寂しいよぉ。

 読み終えるなり、がっくりと肩が落ちる。
(なんですとぉー! はぁぁぁぁ。せっかく3日も出すの我慢したのにぃ)
 とはいっても、事情が事情だけに文句は言えない。『気にしないで』と返信した。
(この、やり場のない気持ちをどうすればいい?)
 日曜の予定が空っぽになった土曜の夜。このままフテ寝するには体が疲れていない。だからといって右手で処理するのも、なんだか虚しい。ボケ〜っとしながら、『ザ・ワールド』にインしていた。
(そうだっ、あの娘とコンタクトとってみよっと)
 それは、出来心ともいえない、ほんの軽い気持ちからだった。呼び出しをかけてみる。
 Σサーバー、フォート・アウフのカオスゲートの前で待っていると、そのPCは、いかにも慌てた様子でインしてきた。ゲームだというのに、肩で息をしているのがわかる。
「そんなに慌ててこなくてもいいのに(笑)」
 そう言ってショートカット・キーを操作し、にっこり微笑んだ。
44018Rの鷹:04/10/14 23:31:38 ID:74f2c0oo

 PCの表情、雰囲気からも『ジ〜ン』としているのがわかる。自分のPCは微笑んでいるが、リアルでは苦笑してしまう。
「あ、あの、お久しぶりです! ずっと、ずっと連絡、待ってましたぁっ!」
 ここまで喜ばれると、まんざらでもない。だからといって正直に『ヒマつぶし』だなんて、とてもじゃないが言えるわけがない。困っていると、
「お風呂入ってたから、遅くなってゴメンナサイ!」
 リアルで会ったことはないが、お風呂という言葉にドキっとする。
「いいんだ。ここんとこ忙しくて、ザ・ワールドは久しぶりだったから…声、かけてみたんだ」
「うれしい! 私を呼んでくれて、ありがとうございます」
 以前と少しも変わっていない。丁寧な受け答えも感激屋なのも、あのころのままだ。
 2年近く前、ザ・ワールドで意識不明者の救出に突き進み、その難題の解決に明け暮れていた。そのため、こうした交流、他愛のないおしゃべり(ネットゲームの一側面だ)は不慣れだった。そのせいか戸惑ってしまう。
「あのぉ…、あした、時間ありませんか?」
 いきなり切り出され、返事に窮してしまう。
「えっ? えっ…と、まあ、あしたは予定、ないかな…っていうか、なくなった…っていうか」
(まあ、久しぶりにザ・ワールドでの冒険に付き合ってほしい、とかでしょ)
 ところが、彼女の口から出た言葉は
「お会いできないでしょうか? その、リアルで」
「えっ!」
「ご迷惑でしょうか…」
 声のトーンが、いかにも心細げに変わる。
「い、いや。迷惑なんてことないけど。その、いきなり言われたから、ちょっとびっくりした、だけ」
 予期せぬ展開に、手には汗をかいている。
「高校入学のお祝い、させてください! 私の料理、食べてください。少しは上達したんですよ」
「いいの? わぁ〜い。楽しみ!」
「ほんとですか!? うれしいです。あっ、私の家の住所と地図、ケータイの番号、メールしておきますね」
「うん。わかったよ。お昼ごろに行けばいいね」
「はい! お腹、空かしてきてくださいね。そうしないと、おいしくないかも(笑)」
「ははは、そうするよ。それじゃあ、あした!」
441名無しさん@ピンキー:04/10/15 01:09:55 ID:BktEir0w
>18Rの鷹氏
毎日1レスずつ更新してくれてありがとう。その熱意には頭が下がる。
途中に邪魔するのも悪いと思って今までレス付けなかったが、
20レスも続けてくれたのでたまにはレスさせてくれ。

激しくGJ。
442名無しさん@ピンキー:04/10/15 03:17:06 ID:DitcZgJM
じゃあ私もー。GJっすよー。
>>434あたりでキタ━━(゚∀゚)━━!!!!!とかかかなくてよかったよかった。
しかしここ大河連載多いっすねえ・・・。
44318Rの鷹:04/10/15 19:42:15 ID:y0o6W/ns
>>441-442
感謝!
44418Rの鷹:04/10/15 19:50:10 ID:y0o6W/ns
>>440の続き

『大黒』と記された表札を確認、インタホンのボタンを押す。
「はぁ〜い」
 と元気な声が返ってくる。パソコンを通して聞いていた声とほんのわずか違うが、まぎれもなく彼女の声だ。
「カイトです」
 そう答えると、ドアの向こうでパタパタと走ってくるスリッパの音が聞こえる。ドアが開き、
「お待ちしてました。あ、あの、初めまして! 大黒なつめです、って知ってますよね」
 エプロン姿のなつめが恥じらう。ふんわり柔らかそうな長い髪を三つ編みにして後ろで束ねている。色白で、ほっそりしていて、なるほどスポーツするより読書が似合いそうだ。
「こちらこそ、初めまして」
「迷いませんでしたか?」
「うん。地図どおりにきたから、ちゃんとここにいるよ」
「よかったぁ」
「ん? なんか、焦げくさい…」
「あっ! いっけな〜い。お料理の途中でしたぁ」
 慌ててUターンして駆けだしていく。くすっと笑ってしまう。
(なんか、想像していたとおりの女のコだなぁ。でも、なつめって結構かわいいや。1つ年上には見えないな)
 キッチンと思われるほうから、
「あっ、カイトさん。上がってくださ〜い」
 と声が聞こえる。それではと、
「おじゃましま〜す」
 と元気な声で言い、靴を脱いで、なつめの家に入った。
「料理、だいじょぶだった?」
 と、なつめの後ろ姿に声をかける。
「えへへ。肉じゃが、ちょっと焦がしちゃいました。でも、いっぱい作ったから大丈夫ですよ」
「よかった〜。もう、お腹ぺこぺこ」
「もう少し待ってくださいね。すぐできますからね」
「なんか、お母さんみたい」
「え〜っ、そんなことないですよぉ」
 頬を赤らめているのが、後ろからでもわかった。
44518Rの鷹:04/10/16 19:23:05 ID:/jU9IQR/

 テーブルに、なつめの手料理がずらりと並ぶ。肉じゃが、ハンバーグ、サラダ、ご飯に味噌汁…。できたての湯気が、においが、食欲をそそる。
 なつめはグラスにシャンペンを注ぎ、
「合格、おめでとうございます!」
「ありがとう。お招きにあずかりまして…って言えばいいのかな」
 と言って乾杯した。
「さあ、カイトさん。どんどん食べてくださいね」
「うん! いっただきま〜す」
 箸を手に取り、一心不乱に食べる、食べる、食べる。最初の一口までは不安そうな表情をしていたなつめだが、その様子を見てホッとしたようで、
「お口に合いますか?」
 と笑顔で聞いてくる。
「おいしい! あっ、ご飯、お代わり」
 無邪気に食べる。出された料理のほとんどを平らげ、ふぅ〜と息をつく。
「おいしかったぁ。ごちそうさまっ!」
「よかったぁ。ほんとに…よかったぁぁぁ」
 なつめは涙をこぼしそうなくらい感激している。
「なつめ…って、年上に名前呼び捨てじゃダメだよね。えっと、大黒さん。きょうはありがとう」
「いいんですよ。ザ・ワールドと同じに『なつめ』って呼んでください。大黒さんのほうが照れくさいです」
「じゃあ。なつめって、とっても料理、上手なんだね。遠慮できないくらい食べちゃった」
「うふふ。カイトさんって、なんだかかわいい」
「あは。あっ、そうだ。家の人に挨拶するの忘れてた!」
「きょうはお父さんとお母さん、旅行に行ってて留守なんですよ」
「そおだったんだ」
 ということは、2人きり、なわけだ。意識してしまい、グラスをあおる。
(あれ…。シャンペンって、お酒だよね。う〜、顔が熱くなるぅ)
「? カイトさん、どうかしましたか?」
「いやぁ、あんまりおいしかったんで食べ過ぎちゃったかなぁ。ちょっと苦しいや」
446あぼーん:あぼーん
あぼーん
447名無しさん@ピンキー:04/10/17 10:21:36 ID:CdGyUoOo
ヌォォォォォ!!
GJ!!

早く続きキボーン
44818Rの鷹:04/10/17 19:59:59 ID:ftkKWRSa

「大変! リビングにソファがありますから、そこで楽にしてください」
 うろたえるなつめ。言われるままに、のろのろと移動する。なつめの視線を気にしながらベルトを緩め、ソファに体を沈める。
 リラックスして目を閉じると睡魔が襲ってきた。抵抗を試みるが排除できそうにない。満腹のせいか、あっさり眠りに落ちてしまった。
 どれくらい眠っていただろうか。目を覚まして、きょろきょろと周りを見渡す。置き時計が目に入り、時間を確認。2時間ほどがたっていた。
 左足に重みを感じ、そちらに視線を移すと、なつめが小さく寝息を立てている。横顔にドキっとする。三つ編みしていた髪は解いていて、ウエーブのかかった薄茶色の細い髪の毛が左手をくすぐっている。
 こちらの気配を感じたのか、なつめが目を開けた。寝起きのボーっとした顔が瞬時に真顔に戻り、姿勢を正して真っ赤に染まった頬を両手で押さえる。
「わ、私、つい…。ごめんなさい」
「いやあ、ぼくこそ眠っちゃったりして…、恥ずかしいや」
「あっ、いけない。コンタクトしたまま眠っちゃった。眼鏡、とってきますね」
 そう言って、なつめは自分の部屋に小走りで行ってしまった。ほどなくしてなつめは、大きめの丸いレンズ、フレームレスの眼鏡をかけて戻ってきた。
「眼鏡も似合うね、なつめは。なんか、文学少女って感じ」
「えぇ!? そんなこと言ってくれたの、カイトさんだけですよ」
「ほんとに? なつめって結構男子に人気あるんじゃない?」
「そんなこと、全然ないです! 男の人と2人きりになったの、お父さんを除けばカイトさんが初めてです」
 2人きり、という事実を思い出す。
「あ、あんまり長くおじゃましちゃ悪いよね。ぼく、そろそろ…」
「えっ、まだ帰らないでください! お願いです」
 懇願するような目。声は真剣だ。
「あ、うん。なつめがよければ、まだいるよ」
「よかったぁ。…カイトさん…、あの、もう一つ、お祝い、受け取ってください…」
44918Rの鷹:04/10/18 20:35:21 ID:0Zs2usmZ

「えっ? 何?」
「私」
「えっ!? え〜っ!」
「…お嫌ですか。やっぱり…。私なんか、ちっともかわいくないし、やせっぽちだし…、ダメですよね」
(ま、まずい展開だぁ。い、いや、おいしい、のかな? じゃなくて! とにかく、どおしよー)
 泣きだしそうななつめ。その表情がまた…、思わず抱きしめてしまいそうになる。
(ダメだ、ダメだ。ぼくには晶良さんがいるんだから)
 かろうじて理性を取り戻す。
「あの、なつめ。あのね。よく聞いて。ぼくには」
 そこまで話したところで、なつめが右手を広げて目の前に突き出す。目を閉じ、胸の前で左手をぎゅっと握りしめている。
「待って! その先は言わないで」
 叫ぶように言う。少しの沈黙の後、なつめがつぶやく。
「…ャン、真実を知ろうとするならば、それを受け止めるだけの勇気も必要だということを、わかっておろうな?」
「? な、何?」
「好きな小説の一節。ここぞというときに唱えると落ち着く、というか度胸がつく、って思ってたんですけど…ダメみたいです。私、私…。ごめんなさい!」
「なつめ…」
「あなたに彼女がいるのもわかります。その人に悪いって、思ってます。でも、でも…、私、決めたんです。自分に正直になろうって。恥ずかしいけど、ダメだと思うけど、ちゃんと言おうって。あなたが好きですって…」
 まっすぐな眼差しが突き刺さる。言葉が出てこない。ふっとなつめの表情が緩み、
「ダメですよね。私なんか、魅力ないですもんね。えへへ、…忘れてください」
 俯いたなつめの顔に影がさす。あきらめの色がにじむ。
「そんなことないよ、なつめ」
「いいんです。あなたが私の料理を食べてくれた、それだけで満足です」
 無理に笑顔をつくっているのがわかる。なつめの目から涙がこぼれ落ちる。
45018Rの鷹:04/10/19 22:47:23 ID:WiD/MH7y

(女のコに恥かかせちゃ男失格だよね…。晶良さん、ゴメンっ!)
 カーペットの敷かれた床に膝をつき、なつめの左肩に自分の右手をやさしく置いて、
「なつめはかわいいよ。ぼく、なつめが欲しくなっちゃた」
「カイトさん…、やさしいですね。ウソでもうれしいです」
「ウソなんか、ついてないよ。ほんとだよ」
 目をまっすぐ見つめながら顔を寄せ、唇を奪う。なつめがしがみついてくる。静かに唇を離し、
「信じてくれる?」
「信じたい、です。夢、見てるみたい…」
「現実だよ」
 そう言って、なつめをソファに座らせ、自分も体を密着させるように腰掛け、肩に左手をまわす。そうして、なつめの左手をつかんで、自分の股間に導く。
「ほら。わかる? こんなに大きく硬くなってる。なつめを欲しがってる」
 柔らかな髪の毛をかき分け、耳に唇を押し付けるようにしてささやく。
「ああ…」
 切なげに声を漏らすなつめ。
「やっと…、やっと約束、果たせます。うれしい」
「約束って?」
「ザ・ワールドで最初に会ったときのこと、覚えてますか。私、スパイラルエッジのお礼に『体で払います』って言いました」
「うん」
「あのときは恥ずかしくなって、ごまかしちゃったけど、ほんとは心に決めていたんです」
「うん」
「カイトさんは運命の人だって。私の初めての人だって」
「えっ、なつめ、初めて、なの」
「…はい」
(どおしよー…って、ここでやめるわけにはいかない。よしっ、覚悟を決めよう)
45118Rの鷹:04/10/20 20:07:25 ID:s6+EVMwy

 熱を帯びたなつめの頬に唇を這わせていき、唇を重ねる。すぐに強めに吸う。緩急をつけてむさぼり、舌をさし入れてかきまわす。舌を絡める。なつめはされるがままだ。
 服の上から胸をゆっくりと揉む。柔らかな感触が新鮮だ。
「んん…、ぅぅん…」
 なつめが漏らす吐息が興奮を高める。耳、首筋と嘗め、そして吸う。眼鏡越しにギュっと目を閉じている表情がたまらなくそそる。
(吸いつくような肌してるんだなぁ、なつめ)
 ブラウスのボタンを外して脱がすと、なつめは両手で胸を覆ってしまう。
「なつめ、手をどけて。よく見せて」
 なつめは無言で従う。少し震えているのがわかる。前から腕をまわして器用にブラのホックを外し、胸をあらわにする。
「はぁぁぁあ」
 なつめの恥じらいが漏れてくる。
(服の上からじゃわからなかったけど、なつめって着痩せするんだ。晶良さんのより大きいや)
 右手を左のふくらみにあて、ゆっくりとやさしく揉む。右は麓から唇と舌で愛撫し頂点を目指していく。
「はぁぁ、あっ、くぅぅぅん、んん」
 なつめがあえぐ。
「気持ちいいの?」
「は、はい…。気持ち、いいです…」
 そんなにちゃんと答えなくても、と思いつつ指使い、舌使いに熱中する。ついに唇が薄桃色の突起に到達する。軽く挟んで、舌を尖らせてツンツンとつつく。なつめはビクンと体を震わせ、
「ぅぅん、く…ぅん、くぅぅぅん」
 と切なげな声を漏らす。右手も乳首を攻める。親指と人差し指でつまみ、指の腹で撫で上げていく。口と指、どちらもが徐々に硬くなっていく乳首を感じ取っていった。
「あっ、はぁ…あんっ、くぅぅん、くぅぅぅぅん、あぁっ」
 左右、役どころを入れ替える。左手は微妙な力加減がうまくできず、つい強く揉んでしまう。
「あぅぅっ、あ〜んっ」
 なつめのあえぎが大きくなる。
45218Rの鷹:04/10/21 20:16:39 ID:EDlL/Da5

「痛かった?」
「はぁ、はぁ、あぅう、…い…え…」
 やりたい放題の自分を素直に受け入れるなつめ。その従順すぎる態度が頭を冷やす。少し冷静さが戻ってくる。
(いけない。このままじゃ絶対いけない。…嫌われるようにしよう。ひどい男だってロールしなきゃ…)
 乳首に歯を当てる。
「ひあぁっ、あぅぅ」
 これまでとは違う、なつめのあえぎ声。強く、強く吸う、音をたてて。
「ジュルゥ…、ヂュウゥ…、ヂュっ」
「ひぁんっ、くぅぅんん、あぁぁぁ」
「感じるだろ? なつめってエッチなんだ?」
「…カイト…さん? そ、そん…な…」
「自分でしたりする?」
「いえ、あの…」
「するんだ?」
「は、はい…」
「どうやってするの。見せてよ」
「えっ、そんな…、恥ずかしい」
 なつめはふるふると顔を振る。わざと、とはいえ、自分の言葉に興奮してくる。さらに追い込む。
「寝る前にしてるの?」
「…はい」
「小説のラブシーンを想像したりして?」
「…はい」
「それじゃあ、ぼくが手伝ってあげるから、やって見せて」
 有無を言わせずスカートを脱がせ、純白のパンティを取り去る。右手の人差し指をなつめの秘所にもっていき、亀裂を撫でる。
「濡れてるよ? 気持ちいいの? 自分でするのとどっちがいい?」
「あぁぁ、そんな…、わかり、ません…。はぁぁ」
 耳に息を吹きかけながら、いやらしく言葉で攻めていく。
「うまく動かせないや。なつめ、もっと足広げて。ソファに足乗せてみよっか」
「いやっ。だめですっ。恥ずかしいですっ」
45318Rの鷹:04/10/22 20:39:07 ID:o0sgs2CU

「いやなの? なつめのこと、もっとよく知りたいのに…」
「お願い、です。カイトさん、やさしく、してください、お願いです」
 なつめの訴えは悲鳴に近い。
「ぼくはやさしいよ? なつめが言うこときいてくれれば、ね」
 前かがみになって、なつめの左足をソファに乗せる。さらに膝をつかんで押し広げる。
「閉じちゃだめだよ。さあ、いっぱいかわいがってあげるね」
「いやっ、いやぁ、だめぇ、…あっ!」
 指が敏感な突起を捕らえる。愛液をすくいとるようにして突起に塗りつめ、くりくりと強弱をつけて撫でまわす。反射的になつめがぼくの右手を押さえる。
「あぁんっ、だめぇぇぇ」
「やめてほしいの?」
「い…え」
「続けてほしい?」
「…」
「どーなの?」
「…はい」
「なつめは素直だなぁ。かわいいよ」
 指をゆっくり動かしながら、舌は首筋を上下する。なつめのあえぎは途切れない。
「くぅぅ…ん、くぅっ、あぁっ、あくぅぅ、はぁぁあ、はぁ、あっ」
「今度は自分の指でしてみて。さあ」
 なつめの手をとり、そこに導く。そろそろとなつめの指が動きだすのを見届け、空いた右手を乳首にもっていって、つまんでもてあそぶ。
「ん…、んん…、んぁああ、あぅ」
「自分の指のほうがいいの?」
「わ…か、りませ、ん…」
 舌を少し出して、半開きになったなつめの唇をじんわり攻める。舌を器用に動かし、『次はこれをあそこにするからね』と予告するように、ねっとりと愛撫する。
「嘗めてあげるね」
 そう言って立ち上がり、一気に全裸になる。意識してゆっくりと動き、なつめの足の間に体を割り込ませた。
45418Rの鷹:04/10/23 20:38:46 ID:ezWUdipB

 右足の足首をつかんでソファに乗せ、両足の靴下を脱がす。
「これで、ぼくもなつめも裸だね」
 羞恥に震えるなつめは何も話せずうなずくだけだ。両膝の後ろを押し上げ、その部分をあらわにする。そこに唇を押し付け、舌をじりじりと伸ばしていく。
「ぴちゃ…ちゅぅっ…ぴちゃっ」
 わざと音をたてる。静まり返った家の中で、その音だけが淫靡に響く。いや、なつめのあえぎが、その音を消し去るかのように聞こえだす。
「んあっ! くふぅぅう、く…ぅ…ぅぅ、うあぁぁっ、あぁぁん、あんっ」
 唇と舌で太腿を愛撫し、指が蜜壷をいたずらする。とめどなく染み出してくる愛液が、ピンクの菊門に向かってしたたっている。
「くぅっ! くぅぅぅっ、ぅうあっ、あっ、あふっ、くぅぅん」
 人差し指を第2関節まで埋没させる。なつめがビクっと体を揺らす。
「いやぁぁ、こ、怖いっ!」
(初めてだもんね、あんまり無理なことはしちゃダメだよね)
「指より口でされるほうが好きなんだね」
 冷ややかにそう言い放ち、両手の指でそこを押し広げる。思いきり舌を出して、わざと頭を大きく動かしながら上下左右に嘗めまわす。
「ぁぁぁぅぅ…、ぁっ、ぁっ、ぁぅぅ…」
 なつめは握りしめた自分の右手を口に当てながら上体をよじり、かすれた声であえぐ。そのうち、仰け反りながらブルっと体を震わせた。
「よかった?」
「はぁぁっ、はぁ、はぁ、はぁぁぁ」
 なつめは答えることもできずに、肩を上下させて大きく息をしている。
 間を置かず、前からなつめを抱き上げソファから引き剥がす。床にひざまずかせて、なつめの正面に仁王立ちし、逞しく怒張したムスコを目の前に突き出す。なつめは焦点の定まらない目で、それをぼんやり眺めている。
「今度はなつめの番だよ? ぼくのこと、気持ちよくして」
「は…い」
「どうすればいいか、わかる?」
「はい…。本で…読んだこと…あります」
45518Rの鷹:04/10/24 20:05:08 ID:VUkNEySG

 おずおずと右手をムスコに伸ばし、口を大きく開くなつめ。白く細い指先、紅潮した頬、眼鏡越しに見える潤んだ瞳、艶やかな唇、すべてが官能的だ。
 一度、口を閉じ、ためらいをのぞかせるが、目をつむると再び口を開いてムスコの先端に唇をあてた。ゆっくりとなつめの口に呑み込まれていくムスコ。
「ん…、んぐ、んん…」
 苦しげに吐息を漏らすなつめ。どうしていいのか、わからずにいるようだ。
(処女なのに、初めてなのに、レイチェルみたいにできるわけはないよね)
 両手でなつめの頭を抱え、そろそろと前後に動かす。あまり深くは突き入れないが、亀頭がなつめの口を出入りする光景に興奮する。
「んぐっ、んん〜、んっ! んんっ!」
「吸ってみて」
「ん? んん〜」
 素直ななつめ。頬がすっとへこむ。
「あぁ、気持ちいいよ。奥まで入れるよ。いい?」
 嫌と言われても、もちろん奥まで突き入れるつもりだ。なつめはかすかにうなずいた。頭を抱える手に力が入る。ぐっと腰を前に出す。さすがに根もとまで入れないが、びっくりしたようになつめの目が開く。
「んぁぅぅぅ、んぐぅっ!」
 なつめは両手でぼくの腰を押し、逃げようと頭を下げる。ムスコが透明な糸を引いて、なつめの口からこぼれる。
「はぁっ! はぁ、はっ、は、はぁぁぁ。げほっ、ごほっ…。…あぁっ、ごめん…なさい…」
(えっ、ごめんなさい? こんなひどいことしてるのに…、どーして?)
「…ちゃんとやります、から…。お願い…、なつめのこと、嫌いにならないで…ください」
「いいよ。くわえて」
 動揺しているのを、なんとか隠す。なつめは素直に従う。
「は、はい」
(なんとかしなきゃ、なんとかしなくちゃ、かなりまずい)
 快感を味わうどころではない。自分なりによかれと考えての行動ではあったが、ことここにいたりては15歳の浅知恵としか言いようがない。
45618Rの鷹:04/10/25 20:05:56 ID:N9XnNL6s

(処女って痛がるよね。だれだって痛いのはヤだよね。よしっ、挿入して自分勝手に出しちゃおう)
 予想不能の事態に半分パニックだ。見下ろすと、苦悶の表情を浮かべながら、一生懸命ムスコをしゃぶる健気ななつめ。それがますます自分をわからなくする。
 両手でなつめの頭を押さえつけ、
「口だけ使わせてもらうね。手、離して」
 なつめは上目遣いにぼくを見て、恐る恐る手を下げた。ズコズコと口を犯していく。
「んんっ、んん〜、んぅぅっ、んっ、んんん〜っ」
 苦しそうにうめく声でさらに昂ぶる。不意に引き抜くと、なつめの唾液と先走り汁が橋を架け、すーっと床に落ちた。
「それじゃあ、入れるよ。なつめをもらうよ」
「…はい」
 なつめの体を抱いて、くるりと後ろ向きにする。
「えっ!?」
「ほら、お尻、突き出して」
 膝の間に足をこじ入れ、開かせる。あそこが丸見えだ。左手の指を白く柔らかなお尻にくい込ませ、右手でムスコを握って入り口に押し当てる。
「いやっ、こんな、いやぁっ」
 もちろん無視。ぐいっと突き入れる。何かを突破した感触。一気に押し入っていく。
「あぅぅぅぅっ、いたぁぃぃぃっ、ぃゃぁ、いやあぁぁっ」
 ソファに顔を埋め、悲鳴を上げるなつめ。
「気持ちいい! なつめの中、熱くて気持ちいいよ、とっても」
「あっ、あぅっ、あぁぁっ、い…たぁぃぃぃ」
 奥まで貫き、さらに両手で抱えたお尻を引きつける。背中からお尻への曲線がきれいな体。色白な肌で揺れる髪。とても、とても興奮する。
「んぐっ、ひぃぃぃ、んはぁぁ、あ…ひぃ」
 そういえば、と我に返る。
(いっけない! スキンつけてない…っていうか、もってきてないよぉ)
「な、なつめ。生理はいつ、いつから?」
「…ぇっ、えっ? あうっ、動かないでぇぇ。あうぅ、はぁ、はぁ、…あの、あさって…からです…。あうっ」
 少しほっとする。しかし、まさか中に出してしまうわけにはいかないだろう。
45718Rの鷹:04/10/27 00:06:59 ID:3W1PosPR

 見れば、なつめの内腿をつたって血の混じった液体が流れ落ちていく。腰を引いて穴から抜け出てくるムスコも赤く染まっている。
 容赦なく突き入れ、そして出し入れを繰り返す。ぐちゅ、ぐちゅっと音をたてて軋む。
「ぐっ、んぐっ、うっ! あひっ、ひぃ」
 悲痛ななつめのうめき声。かわいそうに思うが、ムスコに人格は、ない。快感をむさぼるため、奥へ奥へ入ろうとする。
「あぅっ、おっ…おねが…い、です…ぅ、ぐっ、んぐっ」
「なんだい?」
 そう聞きながらも行為は続ける。いや、むしろスピードアップしていく。
「ひぃ、あひぃぃ、い…っ、あぁあっ」
「何? 言ってごらん」
「あっ、あっ、あぁっ」
「わからないよ?」
 我ながら、ひどい、とは思う。しかし、嫌われなくては後々に禍根を残すことになる。右手を胸にもっていき、乱暴に揉みしだく。
「んぐっ、あうぅぅ、いやっ、いやぁ。お…願い、…向き合って抱いて…くだ…あっ、あぅ、…さ…い」
 てっきり、もうやめて、とでも言われると思っていたから、意表を衝かれて動きが止まる。
「あ、うん…」
 非情に徹しきれない。人としての弱さが出てしまう。願いを聞き入れる。
 ムスコを引き抜くと、なつめは崩れ落ちた。後ろから抱え上げてソファに寝かせ、右足を背もたれにかけさせる。むき出しの秘所にムスコを再び突き入れると、なつめがしがみついてくる。
「あぁっ、好きっ! 大好きっ!」
 もう何も言えない。晶良にするようにやさしくキスをし、舌を絡ませる。
(早くイッてしまおう。それで、早くうちに帰ろう)
 腰を動かす。最初、緩急をつけてかき回し、すぐに直線的にストロークする。
「うっ、あっ、あっ、あぁっ、あっ、あ、あ、あっ」
 突き入れるたび、なつめが短く声を漏らす。快感が急激に立ち上がってくる。
(いきそう…。これが最後のチャンス。お願い、嫌って! でも、こんなことするなんて、サイテーだ)
45818Rの鷹:04/10/27 21:14:47 ID:QvvlYcyz

「出すよっ! 口、開けてっ! 舌出してっ!」
 ムスコを引き抜き、なつめの顔のところにもっていく。素直に、従順に、言うとおりにするなつめ。
 勢いよく噴出したぼくの精液は、まずなつめの眼鏡をたたき、続いて開いた口に入った。さらに唇の周りを汚し頬にかかって、ようやく終わった。
 なつめは放心状態だ。いや、ぼくだって何がなんだかわからなくなっている。
 ティッシュの箱を取るため立ち上がる。しゅっしゅっと2枚出して、なつめの顔にべったりとこびりついた精液を拭い取る。
「吐き出して」
 と言うと、なつめは目を閉じてコクっと飲み下した。なぜだか、その瞬間、すべてが悪いほうへと転がっていく気がした。
 なつめは目を開けて、
「カイトさん。私、わかっています。わざと、ですよね。嫌われるように、わざとひどいことをしたんですよね」
 返事もできず、かといって目をそらすこともできずにいた。ぼくはただ固まっていた。
「私、あなたのことが好きです。だから…、どんなことされても、うれしいです」
 ぼくは答えの出ない問いを自分自身の中で繰り返す。『なぜだ? なぜなんだ?』
「あんなこと、あのひとにはしないですよね」
 ぼくの彼女がだれなのかわかっている、ということだ。
「でも、私にはしてくれた」
「なつめ…」
 思わず、つぶやいていた。
「いいんです。私、あなたたちのおじゃまはしません」
 何が言いたいのだろう、ぼくは次の言葉をじっと待つ。
「私、2号さんでいいんです。あのひとにはできないこと、私にしてください。それで私は幸せです」
 これは悪夢だ。きっとそうだ。叫び声をあげて逃げだしたい気分に駆られる。
「連絡、いつでもしてください。待っています」
 そう言って、にっこり微笑んだなつめを見て、これは現実なんだと、強く認識させられた。



          .hack//処女陵辱 vol.2          <了>

          to be continued to vol.3

459名無しさん@ピンキー:04/10/27 23:38:27 ID:YHQiX4vB
>18Rの鷹氏
GJ。激しくGJでした。
毎日欠かさずコンスタントにおつかれでございます。
なんかもうすっかり黄昏氏と鷹氏の独壇場ですな、このスレ。
460名無しさん@ピンキー:04/10/28 00:07:22 ID:dpWGad+b
>>鷹さん
ご苦労様ですた。
毎日堪能させていただきました。
461名無しさん@ピンキー:04/10/28 06:10:23 ID:MhHYz7Xl
GJキタ━━━( ´∀`)ω・)゚Д゚)・∀・) ̄− ̄)´_ゝ`)ノД`)・゚・。━━━!!!
てか、エロパロ倉庫が更新されてない気が・・・。
悲しい_| ̄|〇||
462名無しさん@ピンキー:04/10/28 17:02:58 ID:DYZNCNBN
エロ的には文句無しなんだが・・・
ノДT)・゚・。悲しいなぁ・・・
463世界保健機関:04/10/28 21:49:06 ID:SMiwMYtl
皆さん上手いんですね〜
小説書くの
464名無しさん@ピンキー:04/10/29 00:24:08 ID:rvApyd/a
個人的には、所々かなり感情移入した作品だったなあと。
懐かしさやら、寂しさやらを感じまくりで。

18Rの鷹氏、ありがとうございました。お疲れ様でした。



465黄昏の…:04/10/29 00:37:13 ID:6HuqaxiJ
遅ればせながら、鷹氏、乙ディス。
俺も何とか終わらせないといかんなぁ…。
せめて噂の新作が出る頃までには、何とか終わらせるウェーイ。
466名無しさん@ピンキー:04/10/30 18:19:42 ID:7urpK36o
>>461でも言われてましたが、エロパロスレ保管庫って更新されてませんよね・・・?
2ちゃんブラウザ入れてないので過去ログになると読めない。・゜(´Д`)゜・。
こんな素晴らしい作品なのに。・゜(ノω`)゜・。
保管庫更新されてくれえ〜・・・。

あと関係なくてすいませんが、最中のセリフって書いてると恥ずかしいですよねw
何言ってるんだよ俺・・・みたいな。
くだらなくてすいません(´・ω・`)
467名無しさん@ピンキー:04/11/01 04:21:50 ID:T8XjJuAm
hosyu GJ
468名無しさん@ピンキー:04/11/03 15:51:46 ID:Clohzr5d
hoshu
469名無しさん@ピンキー:04/11/04 01:08:12 ID:bVmsh6HF
保守
470名無しさん@ピンキー:04/11/04 20:28:39 ID:ttKxFgwS
ミア♂×エルク♂激しくキボンヌ。
ミアに陵辱されるエルクタソに萌えるのだが…もしやこのカプってマイナー…?(´・ω・`)
471黄昏の…:04/11/05 00:14:27 ID:N/tKUa4H
禍々しき波がいよいよ2ちゃんまで浸食し始めたか…。
472名無しさん@ピンキー:04/11/05 11:07:08 ID:/eBAGxxU
>>470
この板じゃマイナーだよ。
女体化無しの♂同士の絡みがみたいなら801板いきやがれこの腐女子。
473名無しさん@ピンキー:04/11/05 19:38:30 ID:ePQha92C
過去スレではあったんでアリかと思ったのだが…スマソ。
ちなみに漏れは男でつ○| ̄|_
474名無しさん@ピンキー:04/11/05 20:06:19 ID:cJhW6k1m
リアル司X昴の絡みが見たいと言うタイミングを窺っていたんだが、やっぱ駄目かのう。
475名無しさん@ピンキー:04/11/07 04:32:39 ID:qEvsaBIL
全然ダメじゃない。
つか俺も見たい
476名無しさん@ピンキー:04/11/07 07:19:29 ID:29HSOppc
賛同
477名無しさん@ピンキー:04/11/07 08:11:48 ID:VlhnMeqH
リアル司×昴もいいけど、
リアル司×ミミルの方が見たいなぁ。っていうか話中同時進行キボンヌ。
478名無しさん@ピンキー:04/11/07 14:59:48 ID:e8cBgwqF
需要あるならそのうち書くよ>司×ミミル×昴
マターリ待っていただければ……
479名無しさん@ピンキー:04/11/07 15:42:18 ID:JDv3ILRf
女同士の修羅場(・∀・)イイ!
480名無しさん@ピンキー:04/11/07 19:47:05 ID:inQIN2DJ
>>478
期待してます
48118Rの鷹:04/11/08 00:01:56 ID:Ae6MZmvx



       柔柔しき波の何処に生ぜしか知らず
       星辰の巡りて後
       東の空昏く大気に喜び満ちるとき
       分かつ森の果て、定命の者の地より、波来る
       先駆けあり
       行く手を疾駆するはレイチェル
       豊富な経験を持ちて、しくじりしものを指導す
       恋の本命たる晶良
       輝きの光景にて主人公を魅了し、伴侶となる
       天を摩す波、その頭にて砕け、滴り
       新たなる波の現出す
       こはなつめの力なり
       波の訪なう所
       希望の光失せ、憂いと諦観の支配す
       暗き未来を語りし者*%#ニ?の技なるかな
       柔柔しき波に呑まれしとき
       策をめぐらすは@☆
       甘き罠にて性交せしは℃¥
       波、猖獗を極め、逃れうるものなし
       仮令逃れたに思えどもё$¥#毫ж
       (文字バケがひどくて解読不能)
                <Eroparo of The Twilight>



          .hack//関係拡大 vol.3          <開始>


48218Rの鷹:04/11/08 00:02:47 ID:Ae6MZmvx

「ねぇ、CC社からきたメール、見た?」
 2つ年上の恋人、速水晶良からケータイに連絡が入ったのは、期末テストを目前に控えた土曜日の夜だった。
「うん。晶良さん、どーする?」
「それを聞こうと思って電話したのよ。アンタは?」
「ぼくは…、どおしよっかな。晶良さんが参加したければ、ぼくもするよ」
 いつになく優柔不断な答え方に晶良が不満を漏らす。
「もおっ! そんな言い方しないでよ。らしくないわよ」
「あ〜、うん」
「ほんとに、どーしちゃったの? 具合悪い? テスト勉強で無理してない?」
 お姉ちゃん気質を前面に出して聞いてくる晶良。愛するひとに心配をかけてしまって、ものすごく罪悪感に駆られる。
「ん。だいじょぶ。ちょっと寝不足なだけ」
「そお? ならいいんだけど」
 確かに、ここのところ寝不足だった。その理由が問題なのだが、晶良は追及しない。ほっとする。
 心に突き刺さっているトゲがあった。それは『浮気』という名のトゲだった。最愛の晶良の声を聞いて申し訳ない気持ちでいっぱいになり、それが声に影を落としていた。
 悩みの内容はもちろん、悩んでいることで晶良に心配をかけたくはなかった。しかし、根が素直で真面目な高校1年生の少年、わずかな人生経験しかないのだから、態度や口調に出てしまうのも無理からぬ話だ。
 それでも、気を取り直して明るい声で話す。
「ザ・ワールドのイベントって初めてなんだ。だから、ちょっぴり興味あるかな」
「アタシも〜。ね、参加してみようよ」
「そうだね。ヤスヒコ…オルカにも、彼女を連れて絶対に出てこいよって言われてるんだ」
「へぇ〜、フィアナの末裔と勝負かぁ。楽しそうじゃない」
 意識不明に陥った弟を救出したのは、もう2年近く前のこと。それから2人の交際が始まって、ザ・ワールドは卒業したとばかり思っていた晶良が、妙に積極的なのには理由があった。
48318Rの鷹:04/11/08 21:03:25 ID:Ae6MZmvx

 それは前日のことだった。テニス部の練習を終えて理沙とだべっていたら、翔子からケータイに電話が入った。
「晶良、いま美穂とうちにいるんだけど、こない? あした休みだし、久しぶりにおしゃべりしようよ」
「ん〜。いいよぉ。理沙もいるから、一緒に行くね」
 翔子の家。例によって、プチ酒盛りが始まっている。
「お先に飲ってるよぉ」
 美穂はすでにご機嫌だ。
「アタシたち、高校生なんだよ。もぉ〜」
 と説教するが聞く耳なんてどこを探してもないみたいだ。
「晶良は清く正しい女子高生だもんねぇ」
 あきれたように言う美穂。すぐに翔子が
「清く、は違うんじゃない?」
 と笑顔で言う。
「そーよねぇ。年下の彼氏と"やりまくる"フツーの女のコよね」
「美穂っ、なんてこと言うのよ!」
 かっとして口調が強くなる。場の空気が壊れたのを感じ、慌てて取り繕おうとして、つい余計なことを言ってしまう。
「まだ、3回しか愛し合ってないもん」
 プっと吹き出す3人。
(! あっちゃ〜、お酒も飲んでないのに、アタシってば何言ってんだろぉ)
 激しく後悔するが、もう遅い。
「3回ぃぃ、1日で?」
 理沙がとんでもないことを言う。
(まだ痛みがあるってのに、3回もできるもんですか)
「んなわけないでしょ。3回、デートしたの」
 翔子がアタシに缶ビールを手渡す。興奮しているせいか、プルトップを開けてグイっと飲む。
(しまった!)
 と思ったときには、もうポワ〜として顔が熱くなっていた。翔子がくっくっくっと笑いをかみ殺している。
「で? 3回デートして何回したのかな?」
 美穂がさらに聞いてくる。
48418Rの鷹:04/11/09 23:53:24 ID:gltmMrxS

「う〜、言うのぉ?」
「聞きたいっ!」
 と理沙。ほかの2人は、うんうんと首を縦に振っている。
「う〜、…ニカイズツ」
「ほぉ〜」
「覚えたてなら」
「そんなもんでしょ」
 理沙、翔子、美穂の順で言う。
「それで、晶良。まだ、痛い?」
 翔子に聞かれる。
「う〜ん、痛みはなくなってきたけど、ぐーっと広げられる感じが、まだちょっと怖い…」
「ぐーっと…かぁ。いいなぁ」
「翔子、翔子、落ち着いて」
 なだめる美穂。
「気持ちよくなるのは大変なんだなぁ」
 理沙は変な感心の仕方をしている。
「もぉ〜、やめっ! この話はおしまいっ!」
 顔が赤くなっているのはアルコールのせいばかりではない。恥じらいと怒りが加わっているからだ。さながら、妹たちを叱っているお姉さん、といった図だ。一瞬しらふに戻る3人。
「あ、うん。えっと、そーだよね…。あっ、そうそう、ねぇ、翔子ぉ」
 視線を泳がせていた理沙が、困ったような顔で翔子のほうを向く。翔子も戸惑っているようで、
「えっ、何よ!?」
 と、びっくりしたように答える。なんとか話題を見つけた理沙は
「そう! あれっ、あれよ、あれっ」
「理沙、落ち着いて」
 美穂に言われた理沙は、ビールをゴクっと飲んで一気にまくしたてた。
「ザ・ワールド! どんなゲームなのよ、見てみたい! 見せてっ!」
 美穂と翔子は、うまく話題を変えた理沙に対して、心の中で親指を立て『グッジョブ!』と賞賛する。
「いいよ。いま用意するね」
 と言って、翔子は机のパソコンを立ち上げた。
485名無しさん@ピンキー:04/11/10 02:55:34 ID:fHuYmxjg
鷹さん乙。
でもできればageないでほしいかも…。
メル蘭にsage入れてる?
48618Rの鷹:04/11/10 20:29:38 ID:QZQa3Wdc

 翔子はフェイスマウントディスプレイを一つ、理沙に手渡し説明しようとする。と、
「あれ? メールがきてる。…CC社、から」
「え〜、なになに」
 と美穂が興味を示す。翔子はメーラーをクリックして、そのメールを表示した。

件名:イベント開催のお知らせ

──いつも『ザ・ワールド』をお楽しみいただき、ありがとうございます。
──さて、久々に『モンスター街侵入』イベントを開催することになりました。
──MVPには豪華賞品を用意しております。皆さん、奮ってご参加ください。

──日時:7月22日(日)、16時〜
──場所:Δサーバー・ルートタウン マク・アヌ
──参加条件:2名1組でパーティーを編成のこと
──※通常の3名のパーティーとは異なりますので、ご注意ください。

「へぇ〜。久々、ってことは、前は結構あったんだ、こういうイベント」
 画面に見入っていた翔子がつぶやく。
「面白そうじゃない? 翔子、晶良、出てみようよ」
 美穂がうれしそうに誘ってくる。
「うん。祐士はこういうの好きそうだから、たぶん参加すると思う」
 翔子もその気になっている。こちらに視線を向けて、
「晶良も参加しなよ。あっ、そうだ。勇者カイト、紹介してっ」
「ん〜。しばらくインしてないしなぁ。どんなもんだろ、イベントって」
 いまいち乗り気になれずに煮えきらない返事をする。
「彼氏、誘ってみなさいよ。きっと晶良、ブラックローズと久しぶりにプレイしたいって言うわよ」
 目を輝かして強く誘ってくる翔子。
(たまにしか会えないんだし、昔みたいにザ・ワールドで遊ぶのも楽しいかもね)
 いつの間にか、晶良は参加したいと思うようになっていた。
487名無しさん@ピンキー:04/11/11 06:41:35 ID:jy3s7unX
>485
根拠の無いsage信者はウザいですよ?
488名無しさん@ピンキー:04/11/11 17:22:55 ID:rNnpeYa3
まぁまぁ
48918Rの鷹:04/11/11 20:28:17 ID:rH4QWyBE

 集合はイベント開始の1時間前、午後3時にした。それでもカオスゲートの前は多くのパーティーでごった返しており、彼のところにたどり着くのもひと苦労だった。
「ちゃんと歩けてるじゃない? ブラックローズ」
「あたしをだれだと思っているのよっ! さ、早く誘いなさい」
 前と同じように『ブラックローズ』を演じることができ少しうれしくなる。
 すぐさまディスプレイに【カイト>>パーティー編成希望!】とログが流れる。懐かしさが込み上げてくる。
「どしたの? ブラックローズ」
 目の前の赤い双剣士に言われ、はっとして我に返る。すぐにパーティーに入り、
「これでイベント参加条件は満たしたよね。よーし、久々に大暴れといきますか」
「(笑)」
「ねぇ、どこで待機する? ここじゃ人多過ぎよね」
 さすがアルティメットOS、『人大杉』と変換されることはない。
「そうだね。BBS読んだら、ボスは橋の上に現れることが多いみたいだから…」
「ピンポイントで待ちますか」
「うん。行ってみよう」
 人ごみをかき分けるようにして移動する。さすがにボスの出現率が高いといわれるだけあって、橋の上はパーティーもまばらだ。2人、欄干にもたれて見つめ合う。
「懐かしいね」
 彼がささやく。
「そだね。ザ・ワールドでのデートもたまにはいいかな」
 晶良が答える。2人だけの世界に浸っている間にも、いろいろなパーティーが通り過ぎていく。NOVAとチムニがブラックローズに笑顔を向けて手を振りながら走っていく。
「知り合い?」
 と聞いてみる。
「うん。初心者のころ、いろいろお世話になったんだ」
「ふぅ〜ん」
 リアルで恋人になった今、余計な嫉妬心などない。単なるゲームでの仲良しだろう。彼女もそうであってほしい、スネに傷をもっているわけだから、身勝手に願ってしまう。
49018Rの鷹:04/11/12 21:28:30 ID:4Te70Siq

 彼があるパーティーに向かって軽く手を上げたのが、ブラックローズの視界に入った。
(あの2人、前に組んだことがある…)
 晶良は記憶をたどる。男の重槍使い、ニューク兎丸はアタシたちに向かって右手を上げ、
「ヨォ!」
 と元気…ノー天気に声をかけていった。気になったのは、女剣士レイチェルだった。彼の前を通過する一瞬、何かをささやき、右手の親指を立てて、ウインクまでしていた。
「何? いまの」
「えっ!? 何って…何?」
「レイチェル…だっけ。なんか言われたでしょ」
「あ、いや、久しぶり、って」
「ふぅ〜ん。でも、なんで、わざわざウィスパーモードなんだろ」
「さあ。切り替えしてなかっただけじゃない」
 ごまかす。ほんとは『やったねっ!』と、童貞を捧げた(?)相手に言われていた。
(女の勘って…怖!)
 それにしても、と思う。あの日、初体験の後、レイチェルが言ってた『お笑い芸人の彼』って…ニューク兎丸のことだったの!
 そうだったのか、とも思う。ニューク兎丸がメールで書いてきた『編集長になりたい相方』って…レイチェルのことだったの!
 われながら、男女のことには鈍い、と恥じ入る。それから、世間は狭いなぁとタメ息をついた。
 となると、もう一人。会う可能性に怯える。しかし、それは思い過ごしだった。彼女、なつめはどうやら参加していないようだった。
(パーティー組む人がいなかったのかな。っていうか、ぼくの誘い、待ってた!?)
 心が痛む。だが、都合のいいことに今はPC。ただただ微笑んでいれば、いつものカイトだ。
 しばらくして、また声をかけられた。懐かしい声だ。ログに顔文字が浮かぶ。
「よぉっ☆ 久しぶり〜(^o^)」
 ぼくとブラックローズはユニゾンで、
「ミストラル!」
 と、そのPCの名前を呼んだ。
49118Rの鷹:04/11/13 12:11:47 ID:iux1Bj2K

「その節は、お世話になりました」
 ブラックローズが深々と頭を下げてお礼を言う。ぼくも続いて
「ミストラル、ありがとう。おかげでぼくたち…」
 目を細め、八重歯を見せてニパっと笑うミストラル。
「うん☆ よかったねぇ〜\(^o^)/ でもね、私のおかげじゃないよ。私が何かしなくても、あなたたちは仲良しさんになってたさぁ」
 1年近く前の話だ。晶良がミストラル、黒川真由美にオフ会の相談を持ちかけたのが発端だった。彼女はぼくたち2人だけを自分の家に招待し、ぼくたちをカップルにしてくれたのだ。
「ところで、ミストラル。きょうはだれとパーティー組むの?」
 あの娘の名前が出てきやしないか、冷や冷やしながら質問する。
「うん♪ きょうはねぇ、アダルティなパーティーよぉ(-。-)y-」
(それなら違うな)
 ほっとしていると、ブラックローズが
「へっ? だれなのよ〜」
 と聞き返したところで、
「あっ、きたきたぁ。お〜い、こっちこっちぃぃ」
 ミストラルは右手をブンブンと振る。
「わりぃな、待たせちまったか」
 一陣のからっ風が吹いた気がした。姿を現したのは隻眼の侍、いや重剣士だった。
「砂嵐の、おせぇじゃねぇか」
 ミストラルが時代がかった口調で答える。
「すまねぇ、ちと野暮用でな」
 懐かしさが込み上げ呼びかける。またまたブラックローズとユニゾンだ。
「三十郎さん! お久しぶり」
「おっ、おめぇさんたち。元気そうじゃなねぇか」
 強面が一気に崩れ、にか〜っと人のよさそうな笑顔が広がる。
49218Rの鷹:04/11/14 22:34:57 ID:1hokH8A+

「それにしても、異色のパーティーだね(笑)」
「うんうん」
 ぼくの軽口にブラックローズもうなずく。
「実は…、ちょいとワケありでな」
 意味ありげにニヤリとして答える砂嵐三十郎。
「???」
 不思議がるぼくたちに、ミストラルが事情を話す。
「あのさぁ。今度ね、サンちゃん、来日するのよぉ。でね」
 そこでブラックローズが驚きの声をあげる。
「来日、って!? 三十郎さんってガイコクジンなのぉ!」
「ぼくは知ってた…」
「うん♪ 私もこの間、教えてもらったんだけどねぇf(^_^;)」
 三十郎は頭をかきながら、
「わりぃわりぃ。嬢ちゃん、驚かせちまったみたいだな。実はオレぁ、アメリカ人なんだ」
 それを聞いて、ブラックローズは、
「ひょえ〜。なんか…、おみそれしました。っていうか、日本語、上手なんですねぇ」
 と目を見開いて驚きを表している。少し間を置いてミストラルが話を戻す。
「でねでね。私がサンちゃんの饗応役を仰せつかってワケなのよぉ」
「キョウオウヤク?」
 難しい言葉を理解できず聞き返す。
「ん〜、つまりぃ、案内するのぉ。ガイドさんなのよぉ」
「へぇ〜」
 ぼくとブラックローズは、ただ驚くのみ、だ。すると、ミストラルが、
「あっ、そうだっ! あなたたちも一緒にこない?」
 さも、名案を思いついたように明るく誘ってくる。
「おおっ! そいつぁ、いい考えだ。オレもカイトとブラックローズに会ってみたいぜ」
 三十郎が左の掌に右の拳を当てる。ぼくは1年半前の事件解決後に三十郎さんからきたメールを思い出す。
(そういえば、『来年、日本に遊びに行きます。もしよかったら、会いませんか?』と書いてあったっけ)
49318Rの鷹:04/11/15 20:46:38 ID:YI1yRtZ1

「いつ? いつなんですか? 日が合えば、ぜひお会いしたいです」
 と身を乗りだしながら聞いた。
「それが…なんとも急な話で申し訳ねぇんだが、来週の金曜日、なんだよ」
 ぼそぼそと話す声のトーンが暗くなっている。ブラックローズと顔を見合わせる。お互い、リアルではスケジュールをすぐに確認。
「ぼくは…週末はだいじょぶそう」
「うん。アタシも…OK。…受験勉強は週明けから頑張るわ」
 ペコリとおじぎをした三十郎は、
「すまねぇなぁ。もっと早く連絡できればよかったんだが…」
 と小さくなっている。そこにミストラルが助け舟を出す。
「サンちゃんのほうもギリギリで日程が決まったみたいだし。ま、許してあげなさい」
「ちょうどデートしようと思ってた日だから…、あれ、いけねっ! なんでもない、こっちの話」
 ひとり言のつもりだったのに、ログがディスプレイに正確に表示される。ブラックローズは、
「知らないっ」
 と言って、ぷいと横を向いてしまった。
「勇者カイトも、さすがに久々ではゲーム勘が鈍ってるみたいね(^o^)」
 ミストラルが苦笑いとも微笑みともつかない、微妙な笑顔でそう言った。
「それじゃあ、オレたちはこのイベントの戦闘配置につくぜ。来週、楽しみにしている」
 渋く決めた三十郎が颯爽と駆けだす。ミストラルは両手を広げて『やれやれ』のポーズ。
「あとで待ち合わせする場所とか、メールしとくね。…あのね、三十郎さん、ほんとはあなたたちになんとか会えないかって、ずっと言ってたんだよぉ(^ー^)」
 立ち止まり、振り返った三十郎が、
「お〜い、ミストラル殿ぉ、置いてくぞぉ〜」
 と叫んでいる。なんとなく、その表情は照れ笑いを浮かべているように見えた。
「おっと。お呼びとあっちゃあ、しようがねぇ。ちょいと行ってくらぁ」
「ミストラルっ、ありがとー!」
 走り去る呪紋使いを見送ったぼくは、なんだかブラックローズと手をつなぎたい気分だった。
49418Rの鷹:04/11/16 20:31:57 ID:OWfHl26S

 イベント開始まで、あと30分。
「ねぇちゃん!」
 ザ・ワールドではあまり聞くことのできない呼び方だ。ブラックローズがはっとして、声の主のほうを向く。
「文和…じゃなくて、ここじゃカズか。端末、返してあげたからって、ゲームばっかやってんじゃないわよっ。それに、ここではアタシ、ブラックローズだかんね。ネットのマナーとか言ってた割に脇が甘いんだから」
 腰に両手をあてて見下ろすように話す、というか、叱っている。
(前にザ・ワールドでカズくんから聞かされたけど、家じゃコワ〜い姉さんなんだな、晶良さんって)
 ふと見れば、白く小さい呪紋使いの陰に隠れるように寄り添う、こげ茶色の髪をツインテールに束ねた小柄な剣士の姿が目に入った。それに気付いたカズが、姉の攻撃をするりとかわし、
「ぼくのパートナー、はるです」
 と紹介してくれる。
「はじめまして」
 と挨拶すると、はるははにかむようにして
「はじめまして、はるといいます。伝説の勇者にお会いできて、なんか感激です」
 そう言われて悪い気はしない。
「よろしく」
 と答えて右手をさしだした。はるはおずおずと右手を伸ばし握手に応じ、
「やさしいんですね、カイトさん」
 と上気した声で言う。そこで冷たい視線を感じる。速水姉弟がこちらをにらんでいるではないか。はるも気付いたようで、慌ててフォローする。
「あっ、カズのほうがやさしいよ、もちろん」
 途端にデレ〜っとするカズ。あれであちらは仲直りだろう。問題は…。
「ふぅ〜ん。伝説の勇者さんは、女性PCにはやさしいんだねぇ」
 トゲありまくりのブラックローズの言い方。すぐにウィスパーモードに切り替えて、
「晶良さん、弟さんの彼女にやきもちなんか焼かないでよ」
「やきもちぃ? べつにぃ。アタシはただ、思ったこと、言っただけ。文句ある?」
(げっ。晶良さんって、意外と嫉妬深い…。こりゃあ、浮気がばれたら殺されるな…)
49518Rの鷹:04/11/17 23:13:25 ID:zkIKmwLN

 冷や汗をかいていると、ブラックローズの周りの空気が緩んだ。
「そーだよね。弟の彼女だもんね。ごめんね。アタシ、ちょっと大人げなかった」
 ほっとしたついでに、
「ぼくが愛してるのは晶良さんだけ」
 とささやく。
「ばかっ」
 照れてブラックローズが口走る。それを見ていたカズがニヤニヤしながら、
「そこの2人、ゲームの中でいちゃいちゃしな〜い」
 と冷やかしてくる。
「カズ! 覚えときなさいよ。また端末取り上げるわよ」
 ひゃっと声をあげて自分の頭を押さえるカズ。はるがおずおずと前に出て、
「あの…、ブラックローズさん、またお会いできましたね。あのときは、ありがとうございました」
 深々と頭を下げる。カズは驚いて、
「えっ!? はるとねぇちゃん、知り合いなの?」
 声が裏返っている。
「カズが行方不明だったとき、何度も助けてもらったんだよ」
 はるが懐かしげに答える。
「げっ。ねぇ、はる。な、なんか変なこと言われなかった?」
「ううん。そのときね、カズとブラックローズさんって似てるって思ったんだよ。それに、カズがよく話してくれたお姉さんと同じこと言うし。ひょっとしたらって思ってたんだ」
「え〜っ、ボク、こんなに乱暴じゃないよっ」
「文和っ、アンタ、なんてこと言うの! アタシが乱暴だってぇのぉ」
「あっ、いっけね。わぁ〜、ご、ごめんなさいっ」
 ぼくとハルは顔を見合わせ大笑いする。
「そこっ! 笑うトコじゃないっつーの!」
 ブラックローズは拳を振り上げ、カズの頭をぽかりと殴りつけた。
「ってぇ〜。ったく、ねぇちゃんときたら、怒ると手ぇつけらんないんだからぁ」
 ひとり言のようにブツブツ文句を言うしかないカズだった。
496黄昏の…:04/11/18 00:35:32 ID:6D0JQx+I
ここで久々に>>416の続きを投下してみまつ。
ちょっとバトルは小休止して、これまでの総まとめを
違う時系列として描いていくつもりなんでつが…。


静寂の世界。何処までも果てなく続く、白の空間。
今、カイトはそこに佇んでいた。自分以外の何も存在しない、其の世界で。
「ここは…? 僕は、どうなったんだ?」
 確か自分は八相体(エイトフォーム)となって、邪神との決戦の真っ最中だったはず。
その自分が何故、このような場所にいるのか? それに皆は何処へ消えてしまったのか?
「戻らなきゃ…! 戻らなきゃ、皆が、現実の世界が…!」
 急がなければセカンドインパクトが起きてしまう。
そうなれば世界は終わりだ。人間に代わり、ウィルスバグが世界を支配してしまう。
 けれど、どうやって戻る? ここがどこかも分からないのに…。
「此処は世界の果て」
「えッ…!?」
 ゆらり、と目の前の空間が揺らいだ。
時空の亀裂からぬぅ、とその姿を現した者…カイトは、彼をよく知っていた。
「貴方は、ハロルド・ヒューイック…!?」
「久しいな、カイト…これで何百回目の邂逅だろう」
 何百回目? 自分と彼とは数える程しか対面していないはずだが。
いや、今はそんなことはどうでもいい。彼が来てくれたのなら、もう大丈夫のはずだ。
「ハロルド、僕は今すぐ戻らないと行けないんだ!」
「…あぁ、そう言うと思っていたよ」
 カイトが何を言わんとしているかを全て悟っていたかの様に、ハロルドが笑った。
何かを卓越した者の、哀しげな笑みであった。けれど、それ以降彼は何をするでもなく、その場をじっと動かない。
「ど、どうしたの? 早く僕を皆の所に…」
「それはできない」
「なッ…何だって!?」
「この時系列は危険であると…私が判断したからだ」
 時系列? 危険? 先刻から彼は何を言っているのだろうか?
こうしている間にも、邪神の脅威がザ・ワールドを蝕んでいるかもしれないのに…!
497黄昏の…:04/11/18 00:37:22 ID:6D0JQx+I
「ハロルド、一体何を言って…」
「カイト、君は真実を知らなければならない。
かつて何人もの君がそうして来たように、今度は君が…歪んだ世界の真価を見極める時が来たのだ」
「何人もの…僕が?」
 どうしてだろう。ここはリアルではない。(多分)ザ・ワールドのはずなのに、
やけに寒気がする。今は夏のはずだ。そして喉の奥から込み上げてくる吐捨物…今にも吐きそう。
「もう1人の君が使った…“タイムベント”を覚えているかな?」
「タイムベント…過去ログ世界に飛ばされた、あの…!?」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「グハッ!? 貴様ァ…どうして僕が後に回ると判った!? 記憶が消えなかったのか!?」
「さぁね。ただ、お前に一発お見舞いしてやりたかっただけだ!」
「クックク…ハッハッハ! なるほど…だが結局何も変わらなかった様だねぇ、キミ達は!」
「いや、一つだけ変わった!」
「何?」
 予想外のカイトの反応に、黒いカイトの表情が曇る。倒れた体を起こしつつ、カイトが叫ぶ!
「重さが、意識不明になった人達の重さが、二倍になった! もうこれ以上は増やさないッ!」
「カイトさん…」
「先輩…」
 凛とした態度で臨むカイトの姿に、思わずなつめも見惚れてしまう。
「ザ・ワールドのみんなを守るために.hackerになったんだから…ザ・ワールドを守ったっていいッ!」
「ハッ、どの道…この世界は僕のモノになるんだ…せいぜいあがくんだね…兄弟…!」
 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「…あれは、過去ログ世界などではない。君は本当に時空を越えたのだ」
「真逆…そんな…そんなことって!」

498黄昏の…:04/11/18 00:38:18 ID:6D0JQx+I
「エマは黄昏の碑文に重大なヒントを残していた。
だが私は彼女の遺志に気づかず、そのまま碑文をゲームにしてしまった…愚かだった」
「黄昏の碑文に…?」
「カイト、君達がザ・ワールドと呼ぶ、この世界は…ゲームなどではない!
君達が住む宇宙とは違う、外宇宙に存在するもう1つの世界…それがザ・ワールドだったのだ!」
「なッ…!?」
 所謂、平行世界…異次元のことを言っているのだろうか?
しかしながら、この場で嘘や冗談を言っても仕方がないのは明白。ならば、ならば…。
「見せてあげよう、歪んだ宇宙の生み出した結末を。
そして知るのだ、カイト。時空列の輪廻が生み出した、忌まわしい終局を…」
「わッ!?」
 光が疾った。目も眩まんばかりの閃光。
同時に、徐々に意識が解けていくのが理解った。順を追って、身体さえも…。
「(一体、何が…起き…て…)」

 其れは幾多も存在していたであろう、もう1つの結末…。

「カイト…?」
「あ、おはよう」
「う、うむ…お、おはよう」
 面と向かい合うと、まだ照れてしまう。
昨日の情事がまだ頭から離れないのもあるけれど、何より共に迎える朝がこんなに心地よいものだとは。
「昨夜はごめんね。まだ、腰痛い?」
「あ、いや、そんなことはないぞ…」
 嘘。実はかなり痛い。長刀の練習でそれなりに身体を鍛えていたつもりだったのだが
大学に入学してから大分なまった気がする。今朝は脚を動かすのも痛くておっくうだ…。
「今日は大学、行くの?」
「えと、午後まで休講だから…もうちょっと一緒に居られる…かな」
「そっか」
499黄昏の…:04/11/18 00:39:28 ID:6D0JQx+I
「ガルデニアも大学生か」
「そういうお前も高校生だろう」
 朝食の銀しゃりと味噌汁を頬張りながら、カイトが感慨深く呟いた。
嗚呼、そう言えば、もうこんなにも時間が立ってしまったのか。月日が流れるのは、本当に早い。
 だが、いくら年月が流れても変わらないことがある。私が…彼を好きだと言うことだ。
「その、悪かったな」
「ん、何がさ」
「文化祭が終わった後、急に呼び出したりして…」
「いいよ、それくらい。どうせ片付けも終わって帰るとこだったし」
「でも部活が…」
「来週までサッカー部も練習ないし、今日も休みだし。いいって、いいって」
 笑う。愛しい年下の少年が。
その笑顔に、何度勇気付けられてきたことだろう。その彼に、何度勇気をもらっただろう。
 絶望の淵にあっても、彼と共に居れば…私は何も怖くは無い。
「ガル?」
「な、何でもないッ! そ、それよりだな、そのガルと言うのをやめろ!」
「何で? 2年前からそう呼んでるし…何か、こっちの方がしっくり来るんだけどな」
 2年の月日はカイトをより精悍な少年へと成長させていた。
背ももうガルデニアを追い越しそうな勢い。でも、未だに女心には聊か疎い様で…。
「あのなぁ…。わ、私達はアレだぞ!? 付き合ってるんだぞ!?
私は親が居ないのを見計らって男を家に連れ込む様な女なんだぞ!? で、お前は私のアレだぞ!?」
「彼氏?」
「わーっ、わーっ! 言うな、馬鹿!」
 もうこんなやり取りを何度繰り返したか判らない。
未だに彼の前で素直になれない自分が憎い。彼の前だけでは、全てを曝け出しても良いと誓ったのに。
「…そりゃあね、僕はまだガキだよ。ガルに比べたらさ」
「あ、その、気を悪くしないでくれ…スマン。私、そんなつもりじゃ…カ、カイトォ…」
 どうしよう。どうしよう。彼の機嫌を損ねてしまったかもしれない。
嫌われるかもしれない。もう自分を見てくれないかもしれない。それは厭だ。そんなの耐えられない。
500黄昏の…:04/11/18 00:40:18 ID:6D0JQx+I
「僕がガルのこと、嫌いになると思った?」
「あ…」
 いつの間にか、朝食を食べながら泣き出してしまっていた。
涙脆いのは今でも変わらず…いや、寧ろ彼が傍にいてくれるから流すことができるのだろうか?
 けれど、その涙が頬を伝うことは無かった。今は、その涙を拭ってくれる人が居る…。
「ごめん。ちょっと意地悪してみたかっただけだよ」
「ううっ…お、大人をからかうのは…よせ…!」
 トン、と椅子の後の彼の胸を頭で軽く押すと、暖かい胸の鼓動が伝わってくるのが判る。
「まだ19でしょ?」
「それでも…よしてくれ…。心臓に悪い…」
 トクンと高鳴る鼓動。彼の鼓動とシンクロしているかの様。
彼は2年の間にこんなにも成長したのに、自分の時間は止まったまま…これでいい、と彼は言ってくれるけど。
「ね、初めて会った場所…覚えてる?」
「…リアルでなら、植物園だな」
「また行こうか? また新しい植物、搬入したんだってさ」
「な、何で知ってるんだ?」
「これでもガルの彼氏だから」
 へへっと誇らしげに笑う彼。自分との時間を作るため、そんなことまで調べておいたのか?
今時の高校生がデート場所に植物園など選択するはずがない…というのは、勝手な思い込み。
 私達は現に何度もあの場所に通っている。あの場所が、私達の接点。あの場所が、私達を繋いだ空間。
「懐かしいなぁ。あの頃は…毎日が我武者羅だった気がする」
「あ、あぁ…そうだな。私達は…」
 あれ? 私達は…どうなったのだろう? 一緒に植物園で出会って、一緒にパスタを食べて、
一緒に私の家で夕食を食べて、私の部屋で結ばれて…その後、どうなった? いまいち、記憶が定まらない。
「リューガも倒したし、セカンドインパクトも止めたし、ヤスヒコ達も退院できたし…本当、良かった」
「う、うむ…」
 リューガ? 誰のことだっただろう? セカンドインパクト? 何か大変なことだった気がするが…。
「ガル、これでよかったんだよね」
「え…?」
501黄昏の…:04/11/18 00:41:44 ID:6D0JQx+I
「ガルは僕を選んでくれた。僕もガルを選んだ。これでいいんだよね?」
「あ、当たり前じゃないか!」
 思わず、叫んでいた。
同時に後から抱きしめてくれていた彼を、床に押し倒してしまう程に強く、身を乗り出して。
「私は…私は幸せだ!
お前が傍に居てくれる…一緒に食事をして、一緒に笑って、一緒に泣いて、一緒に夜を過ごして…!」
「ガル?」
「これは、私が選んだ結末なんだ!
私はこの結末に満足している…誰にも、誰にもこの幸せは奪わせない!」
 黒い長髪が揺れ、カイトの胸元を覆った。
また涙が溢れてくる…厭だな。本当に彼の前では、全てを曝け出してしまう。
「一緒がいい…一緒がいいんだ!
お願いだから、おま…貴方の、傍に居させて欲しい…それだけだから…!」
「ガル…」
「私の…私達の絆は…神様だって、断ち切れやしない!」
 自分でも何を言っているのか判らなかった。
ただ、彼への思いを再度口にし、尚且つ、心の奥から湧き出してくる言いようの無い不安を吐き捨てる様に。
「好きなんだ…貴方が、好きなんだ!」
「僕も、ガルが好きだよ。ずっと一緒…死ぬまでね」
 ぎゅうと抱きしめてくれる彼の体温は、確かに現実のものだ。
でも、でも、でも。この焦燥感は何? まるで組み立てたパズルをもう一度、最初から組み立てる感じは?
「大丈夫…全部、終わったんだ。ザ・ワールドだって、今はバルムンク達がうまく管理してくれてるし」
「…もう、怖いことは起きない?」 
「ガルが選んでくれた結果だもん。僕はずっと、ガルと一緒に居るよ」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「っ…はっ、はぁ! い、今のは…!?」
「君が選んだ結末の1つ。幾多も存在する時系列のうちの一例。
幾度と無く繰り返された時間逆行によって生み出された、日の目を見れなかった分岐の世界…」
502黄昏の…:04/11/18 00:45:50 ID:6D0JQx+I
今頃になってタイムベ○ト…懐かしい。
加えて、久々にガルを書けまつた。これも懐かしい。
植物園のデートとかレストランでの食事とか…昔のメモ帳見てたら、何か涙出てきて…。
今夜はこれ以上書けそうにないでつ…。
これから順を追って、描かれなかった色んな結末を補完してゆく予定なんで、
気長にクライマックスを待っててほしいディス。
50318Rの鷹:04/11/18 20:19:40 ID:eSECYEDO
>>495の続き。

「晶良ぁ〜」
 リアルの名前を呼ばれて、ガクっとするブラックローズ。
「だ、だれよ? その名前を呼ぶのは」
「ごめんごめん。私よ、翔子よ。あっ、ここじゃSyuaっていうの。よろしくね、ブラックローズ」
 その呪紋使いは右手を軽く上げて、そう名乗った。
「翔子? 翔子なのっ。わ〜っ、なんか、なんかさ。すっごい変な感じぃ」
 Syuaとパーティーを組む双剣士が口をはさむ。
「ほぇ〜、ほんとに速水なの? 女ってのは化けるねぇ。オレ、祐士だよ。ここじゃマックだ」
「うわっ、祐士なの。実物よりずっといいじゃん」
 思ったことを素直に口に出すと、
「でしょお」
 と翔子、Syuaが同意する。3人ともリアルではクラスメート、おまけに翔子と祐士は恋人だけに遠慮がない。喧嘩にならないかとハラハラしていると、
「Syuaにマック、お久!」
 とカズがタイミングよく話に割り込む。姉に似ず気配り上手だ。
「あら、カズくん。元気になったみたいね。彼女連れとは、やるじゃない」
 とSyuaが笑顔で答える。怒るタイミングを逸したマックは不満そうに横を向いてしまった。
 速水姉弟を中心に話が盛り上がっていて、ぼくは一人ぽつんとたたずんでいた。すると、
「あの…、カイトさん。ちょっといいですか」
 はるにウィスパーモードで話しかけられる。
「なんだい?」
 こちらもウィスパーモードにしてささやき返す。
「メンバーアドレス、いただけませんか」
「えっ?」
「実は…相談に乗ってほしいこと、あるんです」
「うん。ぼくで役立てるなら、いいよ」
「うれしい!」
 ニコっと笑顔を見せてメンバーアドレスを渡してきたはるに、自分のメンバーアドレスを返信した。それだけではるはカズの近くへと戻っていった。
50418Rの鷹:04/11/19 19:43:39 ID:oVusEVvP

「カイト〜」
 ブラックローズに呼ばれる。彼女のところに行くと、
「アタシの友達、紹介するね」
「うん」
「こっちの呪紋使いがSyua、リアルではアタシの古くからの親友で、翔子っていうの。そっちの双剣士が彼氏のマック。どっちも高校のクラスメートなの」
「あっ、カイトです。よろしく。晶良さんがいつもお世話になってます」
「へぇ〜、年下なのにしっかりしてるね。晶良をよろしく、ね」
 Syuaはそう言うと、にっこりと微笑んだ。
「速水のパートナーって…、伝説の勇者カイトなのかよ! うわ〜、ビックリ」
 マックが驚きの声をあげる。
(なんか、照れくさいなぁ。それに、年下ってバレてるし…)
 求められるまま2人と握手し、メンバーアドレスを交換する。そこに、聞き覚えのある声が…、
「あ〜、そこのパーティーたち。リアルの話をザ・ワールドでしてると、こわ〜い騎士さまに怒られちゃうよぉ」
「ヤスヒ…じゃなかった、オルカ! それに」
 懐かしさに目を細める。
「よぉ」
 と言って、気軽くバンバン肩をたたいてくる巨漢の剣士。そして、
「久しぶりだ。カイト」
 呆気にとられるSyua、マック、ハル。だれからともなく、その2人の名前が口をつく。そう二つ名付きで。
「蒼海のオルカに…」
「蒼天のバルムンク…」
「フィアナの末裔!」
 伝説のパーティー、そろい踏み。いやが応にも目立つ目立つ。大勢がごった返していたマク・アヌに一瞬の静寂が訪れ、すぐに全員がこちらを見ながらひそひそと話しだす。そんな状況を無視するように、
「あ〜ら、アタシだってきてるんだからね」
 さも不満そうにブラックローズがずいと前に出る。
「これはこれは、ザ・ワールドに咲いた黒薔薇さま、ではありませぬか」
 オルカがおどけて大仰に言う。
50518Rの鷹:04/11/20 19:45:58 ID:i/HrZp0f

「どうですか? お嬢さま、私めの親友は? 何か粗相など、してはおりませぬでしょうか?」
 うやうやしく頭など下げながら話すオルカ。
「ヤスヒコ! じゃなくて、オルカ! お前、なんてこと言ってんだよっ」
 つい声が大きくなる。それを見ながら、笑いをかみ殺している蒼の騎士。それに気付いて、
「バルムンク! 何、笑ってんの!」
 と強い調子で言う。
「いや、失敬。仲良きことは善きことかな」
 横で聞いていたブラックローズが感心したように、
「へぇ〜、バルムンクって…、こーゆーので笑うんだぁ」
「ブラックローズ。そうだな。お前たちが変えてくれたんだ、石頭だったオレのことを」
「またぁ。すぐそーやってシブがるんだからぁ」
「バル、さすがの蒼天も、か・た・な・し・だな?」
「オルカ! お前には言われたくない」
 フィアナの末裔とドットハッカーズ、そのどちらもを神格化している大勢のプレイヤーにとって、まさか漫才みたいな会話をしているとは、夢にも思えまい。さらに驚くのは、
「それにしても久しぶりだ、カイト。去年の5月、熱海へツーリングして以来だ」
 リアルの話をするバルムンク! 驚愕するオルカ。
「バ、バ、バ、バル! お、おまえ、ほんとにバルムンクか?」
「フフフ。まあ、おまえが驚くのも無理はない、か。俺ももうすぐ社会人になる。ゲームの中とはいえ、大人にならねばな」
 これまでの涼やかだった視線ではない。温かみのある、それでいて自信に満ちた瞳だ。このバルムンクの変化はきっと皆に歓迎されるだろう。ぼくも、オルカも、ブラックローズも、柔らかな空気に気持ちよく身を委ねた。
「おっと。そろそろ時間だ。バル、動くとするか」
「うむ」
 フィアナの末裔が背を向ける。
「健闘を祈る」
「そっちもね」
 エールを交換すると、2人は自分たちが予測するボス出現の地へ向かっていった。そこは一番奥の広場だった。
50618Rの鷹:04/11/21 23:32:06 ID:0ENVGyZ6

 彼らの姿が見えなくなると、ブラックローズが近寄ってきて、
「ねぇ。熱海にツーリングって、何よ?」
「ぼくたちがリアルで会う前のことだよ。ワイズマンがサッカーの試合に出るんで、その応援に行ったんだ」
「へぇ〜。でも、ツーリング…ってことは、バイク?」
「そうだよ。バルムンクが新車を買ったっていうから、慣らし運転に付き合ったんだ。もちろんタンデムシートだったけど」
「ふぅ〜ん。怖いこと、されなかった?」
「だいじょぶ、だよ。高速道路で220q/h出されたときは、さすがにビビったけどね」
「な、なんですってぇ〜」
 ブラックローズの全身から怒気が立ち上る。
「えっ?」
「そんな危ないことしてっ! もし、なんかあったら、どーすんのよっ!」
 お姉ちゃん気質、というより恋人の怒り。
(ワインディングロードのテールスライドやハングオン、それにウイリーもシビレた、とは、とても言えない…)
「アンタと会えなかったら、なんて、もう考えられないんだからっ!」
 本気で怒っている。ぼくは何も言えずにいたが、すぐにブラックローズの微妙な変化に気付く。
(晶良さん、泣いてる…)
「泣かないでよ」
「ば、ばかねぇ! だれが泣いてるって? 見えもしないくせに、勝手な想像で言わないでくれるっ!」
「……」
「まぁた、そーやって」
 ブラックローズは笑みを浮かべ、ぼくのほうへ振り返った。
「てんてんてん、じゃないっちゅーの」
「ごめん。これからはもう、晶良さんに心配かけるようなことはしないよ、…その、なるべく」
「あったりまえでしょっ! ったく、バルムンクったらぁ。今度会ったら、思いっきり文句言ってやるんだっ」
 怒るブラックローズを見ながら、ぼくはうれしい気持ちと申し訳ない気持ちでいっぱいになっていた。
50718Rの鷹:04/11/23 01:53:52 ID:nbubafEK

 そのとき、天が裂けた──。
 雷鳴が轟いた──。
 ドォンという地鳴りのような音に続き、耳障りな甲高い音が、辺りに鳴り響く。バチバチと鉄を焼き切るような音。
 輝線が走り、一点に収束する。波打ち、震える輝線は立方体を形作り、それがうねうねと形を変えていく。
──人だ! それも見たことのあるNPC。
「私はリョース」
 どこからか聞こえる冷徹な声。
「ザ・ワールドのシステム管理者だ」
 そんな重々しい空気をブチ壊しにする声が、ぼくの隣から発せられた。
「イヨっ、係長!」
「課長だぁぁぁぁっ!」
 ご丁寧にも、こめかみには怒りを表す血管が浮き出ている。
(あんなモーション、仕様にないはず。リョース、自分専用につくったんだ…)
 リョースはこちらを睨みつけ、いかにも憎憎しげに話す。
「はねっかえりめ! ブラックローズといったな。後で目にもの見せてやるっ」
 そんな言葉にひるむ彼女ではなかった。あっかんべぇをしながら、
「へんだっ。返り討ちにしてあげるわよ〜だ」
 必死に怒りをこらえるリョースは、深呼吸をして再び口を開いた。
「まあ、いい。ごほんっ。ザ・ワールドに集いし諸君。本日、復活するイベント『モンスター街侵入』にご参加いただき感謝にたえない。とびっきりの高レベル設定モンスターでもてなさせていただく。それでは、グッド・ラック」
 そんな挨拶など、ぼくにはどうでもよかった。
「ブラックローズ。あんな喧嘩売るようなこと、言っちゃまずいよ」
「いいじゃん、べつにぃ」
 まったく気にしていない。完璧にブラックローズをロールしている。
(女って、やっぱ怖い…)
 そのとき、急に辺りが暗くなってBGMがやみ、一瞬の間を置いてドラムロールが鳴り響く。
 イベント開始だ。
50818Rの鷹:04/11/23 20:24:20 ID:nbubafEK

 暗くなったのは、空に浮かんだ妖魔の仕業だった。巨大な塊に幾つもの目玉を持ち悪魔の翼を広げたモンスター。色の違いで3種類いるのが確認できた。そいつらがびっしりとマク・アヌ上空を埋めていた。
「ナガメルモノ、ミツメルモノ、それにニラミコロスモノ!」
 大勢のプレイヤーがパニックを起こしている。これだけ多くのモンスターが一度に出てくることなどないから、それもしようがない。だが、右往左往するPCが、戦闘態勢をとった上級者たちの妨げにもなっていた。あちこちで悲鳴や怒声が飛び交っている。
 ぼくたちは人の波から外れ、冷静にモンスターデータを思い出しながら、装備する武器を決める。
「ヤツら、火属性だったよな。魔法耐性もついてたっけ」
 それなら、とダイイング+15の追加スキルを持つ『楚良の双剣』を装備、パートナーに情報を伝える。
「ブラックローズ! 敵は火属性だ」
「了解!」
 答えつつ、ブラックローズは手にしていた最高レベルの両手剣ながら火属性の『神捨て去りし光剣』から、レベルはやや劣るが万能型日本刀タイプの『都牟刈』に持ち返る。
 久々のザ・ワールドだというのに、2人とも戦闘時に迷いも戸惑いもない。ゲーム勘はほとんど衰えてはいなかった。それが妙にうれしいドットハッカーズだった。
「よ〜し、行くわよ!」
 というブラックローズの声が終わるか終わらないかというタイミングで、モンスターどもがいっせいにスキルを発動する。
 火属性の魔法攻撃、バクドーン系最強のファバクドーンが強烈な光と音を伴って落ちてきた。さすがにダメージは深く、HPが一気に削られている。回復魔法ファラリプスで2人のHPを全回復させる。
「くっ、ナガメルモノ、ミツメルモノまでファバクドーンを使うのか…」
 慌てはしないものの、心の態勢を整え直さざるを得ない。周囲を見回すと、PCがどっと減っている。約半数のパーティーが一瞬でけし飛んでいる。
「攻撃力もイベント用に強化されてる?」
 そこに勝ち誇ったようなリョースの笑い声が降ってくる。
「ぐぅふふふふ、あぁっはっはっはっ。どうだ、イベント専用の高レベル設定モンスターは。べつに3種類も出すことはないのだが、イベントには彩りが必要だろう、ん〜?」
50918Rの鷹:04/11/24 20:28:26 ID:IBJetibf

 リョースは得意げに続けて言う。
「2人ともおっ死んだパーティーは、ここでイベント終了。パーティーが全滅した時点で失格となる決まりだ。ついでに言っとくが、蘇生は1人2回までしか使えない」
 いやなルールだ、と思いながら、
「それなら…」
 と口に出すと、ブラックローズが同じ思いを口にする。
「やられる前にやってやるっ! いくわよ、カイト!」
「おう!」
 互いに快速、活力、気迫のタリスマンを使用。さらに焼けつく獣油で火属性のパラメーターをアップさせる。敵を目の前にして、できる準備はここまでだ。さあ、戦闘開始! 全速力で走りだす。
 次々に襲いくるファバクドーンの炎を巧みに避けながら、最初の標的ナガメルモノをターゲットした。
「うぅぅりゃあぁぁぁあっ!」
 ブラックローズの大剣が振られる。その影から跳躍した赤い双剣士がトドメをさす。
「ひとつっ!」
 着地と同時に右手に浮かぶニラミコロスモノにアタックする。
「ぃやぁぁぁあっ!」
 双剣が交差し閃光を伴ってモンスターを切り裂く。ダイイングが発動し瀕死となった敵の息の根をブラックローズがあっさり止めた。
「ふたつっ!」
 水属性のスキルを持つ武器が装備できない双剣士と重剣士のパーティーだが、そんなことはものともせずに目覚しい戦果をあげていく。
 3体を撃破したときだった。運河の瀬戸際まで追い詰められたパーティーから悲鳴が上がった。
(水の中から襲われているのか?)
 三つ首の大蛇たちが上陸を開始する。行きがけの駄賃とばかりに近くにいたPCを血祭りにあげながら…。
「ジェラシーコブラ、ネプトメデューサ、ヴリトラマスター!」
 不意を衝かれたパーティーたちが逃げ惑う。立ち向かうものには容赦ない攻撃が加えられた。色違いの頭が打ち振られるたびPCが減っていく。
510名無しさん@ピンキー:04/11/25 15:51:05 ID:4Dn5oZ3C
いい加減sageることくらい覚えてください
511名無しさん@ピンキー:04/11/25 18:17:25 ID:IWA9SOPr
>>509
グッジョブです。続きを楽しみにしてます。sage厨の言うことなど気にせずガンガッてください。

>>510
sage厨うざいですよ。。。
512名無しさん@ピンキー:04/11/26 00:04:49 ID:QQ65i+67
sageないと>>510みたいなのが沸くというジレンマ
51318Rの鷹:04/11/26 01:11:17 ID:EdCHuSvO

 すでにパーティーは、エントリーした数の3分の1を残すのみとなっていた。
「まだ、『ふるい』をかける必要がありそうだな」
 ニヤリと不気味な笑みを浮かべて、高みからリョースがつぶやく。すると、快速ゴブリンのマルチナ]が登場。生き残ったパーティーの集中力をかき乱すかのごとく駆け回る。さらに蛇と人間を融合させたモンスターが襲いかかった。
「あれは…ラミアハンター。レベル23のヤツまで出てくるのか…」
 しかし、イベント用に強化されているため元のレベルは関係なく、殺傷能力はかなり引き上げられている。
「このモンスターどもの構成は…」
 蒼海のオルカがいらだちを隠しもせずに大声でひとり言を口に出す。
「ああ、よくわからんっ」
 蒼天のバルムンクが吐き捨てる。それを聞いたリョースがうれしそうに笑いながら、
「ほぉ〜。フィアナの末裔にも見破れないとは、な。我ながら、いい出来栄えだ、今回のイベントは」
「くっ…」
 歯噛みするオルカとバルムンク。
(見破れない? ということは、やっぱり何か仕掛けがある? なんだろう…あっ!)
 モンスターのデータを思い出し、ようやく気がついた。同時に、
「ブラックローズ、これっ」
「な、なによっ! 戦闘中にプレゼントって」
「いいからっ」
 強引に『気付けソーダ』を20個、押し付ける。
「ん〜? 何、このアイテム?」
 あからさまに不満そうなのは、昔と変わっていない。
「とにかく、持ってて。絶対、役に立つはずだから」
「あ、うん。いいわよ」
 上空のリョースがぼくの行為を目ざとく見ている。
「そこの坊主。そうだ、お前だ。赤い双剣士の坊主。気がついたみたいだな。自分は心耐性がマックスだから大丈夫、とか思ってるだろう? ふっふっふ。まあいい。答えはモンスターどもが出してくれるからな」
51418Rの鷹:04/11/26 20:12:39 ID:EdCHuSvO

「心耐性…?」
 リョースの言葉を聞き逃さなかったオルカがつぶやく。
「そうか!」
 バルムンクがついに気付いた。間を置かずオルカもハっとする。そして、
「まずい。俺たち、剣士は心耐性が低い…」
 焦りがにじむ。が、バルムンクは逆に闘志をかきたてられたようで、
「ならば、先手必勝、といこうか」
 と手にした業物を一閃。手近にいた大蛇のモンスターが3体、一瞬で消え去った。
 もうマク・アヌには数えるほどのパーティーしか生き残っていない。それも、ほとんどがカイトと関わりを持ったことのあるパーティーだ。さすが、歴戦のつわものたちだけあって、それぞれが持ち味を出して戦っている。
 モンスターの数も激減している。しかし、勝利はいまだ見えてこない…。
「そろそろ、仕上げといくか」
 リョースが不気味に宣言する。そして、モンスターどもが魔法スキルを発動した。
「きたっ!」
 ミュウレイ、魅了のスキルだった。そう、このスキルを持つモンスターは希少なのだ。おまけに2人パーティー編成だから、回復役を加えていなかったら最悪だ。しかも…、
「ただのミュウレイだと思うなよ! イベント専用スキル──、生き残ったことを後悔するがいいっ!」
 サディストの笑みが中間管理職に浮かぶ。さも楽しそうにプレイヤーの苦境を笑う。
 そのとき、リョースの後方にカオスゲートが出現! そこから、意外なPCが姿を現した。
「ヘ、ヘルバっ!」
 うろたえるリョース。その哀れな姿を見下ろして、闇の女王が重々しく口を開く。
「リョース! 自分で仕込んだ効果、自ら味わうがいい」
 そう言って、リョースの背中を蹴飛ばした。NPCの商人の格好をしたリョースがマク・アヌにドスンと背中から落ちる。
「うわっ…、あっ、あああああ…」
 うろたえるリョース。そこにニラミコロスモノ、ヴリトラマスターが忍び寄り、ミュウレイを放った──。
51518Rの鷹:04/11/27 19:43:23 ID:L+Ikk7Cv

 すでに、何組かのパーティーに魅了の効果が現れていた。いや、ただの『魅了』ではなかった。もちろん、本来の効果である味方に対しての攻撃も行われてはいる。しかし。
 至近距離からミュウレイを浴びせられたリョースが叫ぶ。
「うお〜! 中間管理職なんて大っ嫌いだぁぁぁぁっ。上司はアホだし、部下は使えないヤツらばっかり。どーして、オレだけがこんなに残業続きなんだぁぁぁぁっ!」
「リョース…」
 何がどうなったのか状況がつかめないでいると、背後からヘルバが解説する。
「どうやら、催眠状態にして普段は口に出せない『本音』や『隠しごと』をしゃべらせるのが狙いね、このミュウレイは」
「本音? 隠しごと?」
 振り向いて聞き返す。
「そう。パートナーには決して聞かせられないような内容も含めてね。フフっ」
 フェイスマウントディスプレイの下で青ざめる。
(ひっ! なんてイベントだ。こんなの、死んだほうがまし、になっちゃうかも…)
「あ〜ぁ、リョースったらぁ。あとで今回のログを調べられたら、減棒は確実ね」
 まるで他人事のようなブラックローズ。快速ゴブリンを3体まとめて真っぷたつに切り裂きつつ口ずさむ。
(女のほうが度胸が据わってるっていうけど…)
「ブラックローズは他人に本音や自分の秘密を聞かれるの、ヤじゃないの?」
 双剣を『天井天下唯我独尊』に持ち替え、三つ首の蛇に木属性の物理攻撃スキル、疾風荒神剣をたたき込みながら聞いてみる。
「べっつにぃ〜。ま、魅了されたら、アンタがすぐに回復してくれるっしょ」
 信頼がずしりと双肩にのしかかる。ところが、
「でもぉ、アタシはどーしよっかなぁ。アンタの本音とか秘密、聞いてみたい気もするな」
 ニッコリ笑いながら、怖いことを言う。
「ブ、ブラックローズ。頼むよ。だから、気付けソーダ、渡したんだよ?」
「ふふっ。ジョーダンよ、冗談! さ、モンスターどもをやっつけちゃおっ」
「うん!」
 橋の上と奥の広場、その2か所からはモンスターの姿がすさまじい勢いで消えていく。ドットハッカーズとフィアナの末裔、噂に違わぬパフォーマンスだ。
516:04/11/27 21:21:01 ID:7H2fiYe1
此処まで読んで濡れ濡れ
股がべとべと
517:04/11/27 21:21:37 ID:7H2fiYe1
おっと
518名無しさん@ピンキー:04/11/28 03:40:05 ID:pQwsEccx
これはいいイベントですね
51918Rの鷹:04/11/28 19:35:08 ID:e455pjPX
>>515の続き

 生き残っているパーティーには、ある共通点があった。それは、カイトとメンバーアドレスを交換しているPCということだった。これもまた"腕輪の恩恵"なのか…。
 周囲に敵がいないと見るや、2組の伝説のパーティーは掃討戦に移った。
「おらぁっ! かかってきなさいよぉ!」
 ブラックローズは熱くなっている。その背後を守りながら、冷静に回復し、敵にダメージを加え、とどめを刺すカイト。コンビネーションは完成の域に達している。
 カオスゲート前を制圧したモンスターたちが、獲物を求めて橋に殺到する。橋の突端にいたカズ&はる、Syua&マックのパーティーはじりじりと押されている。そこにカイト、ブラックローズが加勢する。
「カズ! マック! 彼女はちゃんと守りなさいよっ!」
 2組4人の横を疾風のごとく駆け抜けながら、ブラックローズはウインクしてみせる。なんという余裕!
「はる! Syua! 死ぬなよっ!」
 戦闘のさなかだというのに、知り合った者への気遣いは忘れないカイト。なんというやさしさ!
「アンタっ! 女性PCには甘いんだからっ!」
 振り向いたブラックローズに睨まれる。首をすくめながら、
「一番やさしくするのは、ブラックローズだよ」
 しれっと言う。
「あったりまえでしょおおおおっ! ぃっやあぁぁぁあっ!」
 モンスター群に向き直って叫びながら攻撃スキルをぶちかますブラックローズ。その後ろから高々とジャンプし、2体の目玉の化け物、3体の三つ首の蛇に断末魔の悲鳴をあげさせる。
「つぎぃ!」
『楚良の双剣』を振りまわして走る。ダイイングの追加効果が連発し、瀕死のモンスターが列をつくって死を待っている。そこにブラックローズが大剣を横薙ぎにする。その一画が明るくなるほど、一瞬の大量虐殺だ。
「す、すごい…」
 カズが目を見開いてつぶやく。ほかの3人は言葉もない。
 そこに一瞬の油断があった。討ち漏らした目玉1体と人型の蛇2体が、2組のパーティーに音もなく忍び寄っていた。
 怪しげな光が交錯する。イベント専用ミュウレイが放たれている。
52018Rの鷹:04/11/29 20:44:33 ID:D7kBKth5

「!」
 カイトとブラックローズがそれに気づいたときは、もう手遅れだった。
 急ブレーキをかけると同時にUターン。しかし、間に合わない。悲しく、つらい言葉がマク・アヌに響く。
「カズ! なんで? どうして? なぜ、なにもしてくれないの? 私のこと、どう思ってるのよぉ」
「はるぅ…。ボク、きみのこと、好きなんだ。好きだから…」
 カズの言葉は最後まで語られることはなかった。カズの白く細い首には大蛇の牙ががっしりとくい込み、みるみるHPを削っていった。血の涙を流しながら悲しげにはるを見やるカズ。
 はるにファバクドーンが落ちる。
「きゃあ─────っ」
 1組のパーティーが舞台から消えた。
「よくもっ」
「殺してやる、殺してやる、殺してやるっ!」
 カズとはるのPCが天に召された次の瞬間、そこにいたモンスターは切り刻まれて消えうせた。だが、その場所に戻ったことで、より悲しい現実を突きつけられることになった。
「この、スケベ! 短小! 早漏! ヘタクソ! ちっとは私のこと、満足させなさいよぉぉぉぉっ」
 Syuaの剥きだしの本音がぶつけられる。マックは絶句したまま立ち尽くしている。
 と、そこに階段からマルチナ]がカルテットで出現。いっせいに2人に飛びかかり、餌食にしてしまった。
 目前で弟を、そのガールフレンドを、さらにクラスメートを血祭りにされたブラックローズの怒りはすさまじかった。
「カイトっ。アンタは手を出さないでっ! こいつらはアタシが殺るっ」
 言い終わるか終わらないかのうちに、すべてのマルチナ]の首と胴が分かれて消えていった。
「カズ…、はる…、Syua…、マック…」
 2人に怒りが湧き上がってくる。敵を求めて階段を駆け下り、妖精のあずかり屋の前に躍り出る。狭いところに目玉5体、三つ首蛇4体、人型蛇2体、ゴブリン6体がひしめいていた。
 2対17。数的には圧倒的な差だ。しかし、そんなもの、怒りに燃える2人にはあってなきがごとき、だった。
 敵を全滅させるまでに要した時間、わずか50秒。1分もかかっていない。いや、それどころか、1体を倒すのに3秒かけていないのだ。
 しかし、攻撃ばかりしていたわけではない。費やしたアイテムは気付けソーダ4、尊酒シーマ6、帝の気魂4、
そして蘇生の秘薬2、だった。
521名無しさん@ピンキー:04/11/30 01:15:53 ID:KXtxgzv5
鷹さん、いつも乙です。

ちなみに容量が現在486KBになっておりまする…。
52218Rの鷹:04/11/30 20:43:37 ID:S6kB7NIN

 同じころ──。
「うりゃうりゃうりゃああああ!」
 蒼海のオルカの雄叫びが響き渡る。気おされるモンスターたち。腰の引けた相手に
「フンっ」
 と静かな気合を一閃させる蒼天のバルムンク。
 フィアナの末裔が階段を駆け下り、武器屋前の戦闘に加わる。ここではミストラルと砂嵐三十郎が奮戦していた。さすがに後の物語にまで登場するPCだけのことはある。
 魔法耐性を持つ目玉の化け物に対しては、三十郎がもっぱら肉弾戦を挑み、ミストラルは回復役に徹している。余裕があるときは『魔獣の封印』を使用して耐性を解除し、一気に水属性の召還魔法を放って殲滅。大人の頭脳戦で善戦健闘していた。
「ニャッハ〜ン☆」
 緊張感のない変な掛け声ながら、威力抜群の攻撃魔法でモンスターに深手を負わせるミストラル。
「敵はどこだぁ! まだまだ斬り足んねぇぞぉぉぉぉ」
 三十郎はさながら血に飢えた刺客といったところか。そこに新手が加勢したのだから、モンスターたちは標的を絞れず右往左往している。
「スキありっ!」
 袈裟懸けに切り裂く三十郎。
「バルムンク! オルカ! 助太刀無用…と、言いたいところだが、助かるぜ」
 一息つく三十郎にミストラルの回復魔法が降り注ぐ。
「ウチら、もう2回ずつ蘇生しちゃってんだよぉ。後がな〜い!」
 ミストラルがオルカに自分たちの状況を叫ぶようにして説明する。
「よしっ、まかせとけっ」
 ぶ厚い胸板をどんとたたく蒼海。
「下がっていろっ。三十郎、ミストラル」
 蒼天がずいと前に出る。
52318Rの鷹:04/12/01 21:48:26 ID:DbX9Orxb

 カイトとブラックローズは階段を駆け上り、メインストリートを横断。階段を下って道具屋の前に馳せ参じる。そこには1組のパーティーが戦っていた。
「ヒラメじゃないぜっ、カレイだぜっ!」
 ぼくは前のめりに、ブラックローズはのけぞってコケる。
「ニューク…兎丸」
 ザ・ワールドではそれなりの槍の使い手であるのだが、その口から吐き出されるギャグの寒さから、実力以下に見られてしまう悲しいキャラクターだ。
「カイトっ!」
 呼ばれた方向に目をやると、レイチェルが瀕死の状態で目玉と対峙している。
「レイチェルっ」
 名前を呼んで向かおうとした瞬間、すぐ横をだれかが風のように駆け抜けた。
「おっとぉ。いっくら頼りない相方だからって、そりゃないぜ、ベイビー」
 颯爽とモンスターに立ち向かうニューク兎丸。レイチェルの前に出て彼女をかばう。そうして顔だけ振り返り、
「愛してるぜ」
 と決めゼリフ。ところが、レイチェルは、
「なんや、あんた。もうミュウレイ、効いてるんかいな?」
 いい雰囲気、ブチ壊し…。
「あ、あのなぁ…。ないすつっこみぃ」
 ニューク兎丸の最後の言葉。悲しすぎる…。2人にモンスターの攻撃を受け止めるだけのHPは残っていなかった。また1組、パーティーが脱落した。
 怒りが湧き上がってくる。もしかしたら、最後に残ったパーティーが一番つらいんじゃないか、そう思えるほど、悲しいイベントだった。
(もう、終わらせよう)
 決意して、ブラックローズに向かって叫び、同時に目の前のモンスターに双剣を振るう。
「ボスを、ボスを倒すぞっ!」
「おうっ!」
 威勢よく答えるブラックローズだが、実は途方に暮れていた。
52418Rの鷹:04/12/02 20:06:20 ID:WmeUT17J

「一体全体…、ボスは、どこなんだ?」
 オルカが苦々しく言葉を絞り出す。それは、いま、ここにいるすべてのPCに共通する思いでもあった。
 イベント『モンスター街侵入』には、約束事がある。出現するモンスターどもの構成によって、ボスが決定されるのだ。例えば、ゴブリン系、ハーピー系にコウモリに混じれば、その首領たるモンスターはデーモン系の大物となる、といった具合だ。
 ところが今回のイベントでは、『ミュウレイ』というスキルを有するモンスターという、特殊な条件で構成されているため、ボスがなんであるか予想するのは不可能といってよかった。
 となると、PCたちに残された手段は、敵をすべて倒す以外にない。
「これは、イベントというには無理がありすぎるっ!」
 珍しく感情をあらわにするバルムンク。もしかするとこのときが、彼の心の中に、プレイヤーに楽しめるイベントを提供する、という使命感のようなものが芽生えた最初かもしれない。
 武器屋前にモンスターが殺到する。いや、カイトとブラックローズの苛烈を極める追撃戦から逃れてきた、といったほうが正解だろう。
「ぬぉぉぉっ! 新手か…。いよいよ、終わりのときがきたかな」
 三十郎が絶望的な言葉を口にする。
「まだ、終わってないよっ」
 強がるミストラルだが、ログに顔文字を入れる余裕はすでにない。
 消耗戦のゴングが鳴った。あまりにも敵が多く、空や背景が見えなくなるほどだ。回復は魔法スキルでは間に合わなくなっている。尊酒シーマ、完治の水が文字どおり湯水のごとく使われ、帝の気魂が乱れ飛んだ。
 しかし、攻撃は回復の合い間に散発的に行うのみだ。
「2人パーティーとは、こういうとき厄介だなっ」
 オルカが吐き捨てる。誇り高き剣士2人のパーティー、それが"フィアナの末裔"なのだが、つい愚痴がこぼれてしまう。自分の回復は自分でする決まりだ。どちらかが言ったわけでは、もちろんない。
 今回のイベントでは、回復スキルはパーティー内でしか有効でなかった。手の出せないもどかしさに、ミストラルがほぞを噛む。
「んもぉ〜! 3人と自分の回復くらい、なんてことないのにぃぃぃぃ」
 地団駄を踏みながらも、三十郎に完治の水、気付けソーダを矢継ぎ早に浴びせ、自分には気魂を使う。
52518Rの鷹:04/12/03 20:05:22 ID:xTH9Lost

 少し時間は戻る。
 カイトとブラックローズは橋に戻り、そこにいた敵を蹴散らしながら橋を渡りきった。そして、右に90度曲がって、モンスターどもが我がもの顔でたむろしていた魔法屋前に躍り出る。
「っりゃあぁぁあっ!」
 楚良の双剣と天井天下唯我独尊を相手によって持ち替えながら、敵の前衛すべてに瀕死のダメージを与える。そこにすかさずブラックローズが大剣を振るう。
「っらぁぁぁっ!」
 2ケタのモンスターが一瞬で姿を消した。だが、敵もさるもの、数にまかせて2人を包囲するように陣形を整える。
「こいつら、学習してるっ?」
「んなこたぁ、どーでも、いいっ!」
 怒りに燃えるブラックローズが斬りかかる。カイトはまずパートナーに、続いて自分に尊酒シーマを使う。
「ありがと!」
 彼女の声が耳に心地よい。修羅場にあっても、2人の絆はゆるぎない。
 ブラックローズの物理攻撃スキルによって大ダメージを負ったモンスターどもに、今度はカイトが断末魔の悲鳴をあげさせる。
「次っ!」
 走りだすカイトを追いかけようとしたブラックローズだが、ちょうどそのタイミングでアプドゥの効力が切れた。
「あっ、待って」
 叫びながら快速のタリスマンを使うが、2人の間に距離ができてしまう。
「ちっ」
 舌打ちしながら全速力でパートナーを追いかけるブラックローズ。カイトは裏路地に駆け込んでいった。
「カイト?」
 ほんの少し遅れて裏路地に進入したブラックローズはパートナーの異変を目のあたりにして立ち止まる。
 ブラックローズの目に飛び込んできたのは──。
52618Rの鷹:04/12/04 19:00:05 ID:mT0zhpw8

 カイトはだれかと何事か話していた。体を前後にゆすり、手のモーションも大きい。感情をあらわにするなど、普段のカイトにはなかなかないことだ。
(だれと話してるの? ねぇ…)
 ブラックローズにはカイト一人の姿しか見えない。不安が黒く巨大な塊となって襲ってくる。胸が締めつけられ、たまらない気持ちになる。
 そのとき、まったく無防備だったブラックローズの背後からモンスターが一撃を加えた。瀕死のダメージ!
「なぁによぉ」
 ゆっくりと振り返ったブラックローズから立ち上る怒気、殺気、そして闘気。感情のないモンスターが、それなのに、たじろぐ。
 ずいと一歩進むブラックローズ。ゆっくりと尊酒シーマを取り出し、頭から浴びる。途端に目に力が宿る。次の瞬間、
「いっやぁぁぁぁあ!」
 裂ぱくの気合もろとも大剣が空を真っ二つに切り裂いた。全滅、だった。そこにいたモンスターがすべて消え去った。
 カイトは戦っていた。しかし、その相手はカイト以外には見えない。そう、これまでのモンスターとの戦闘とは違う、精神の戦いを強いられていたのだ。
「アタシとひとつになりたいの?」
「晶良…さん?」
 一糸まとわぬ姿でやさしく微笑む晶良が、そこにいた。と、晶良が揺らいだように見えた。息を飲み込む。
「な、なつめ?」
「わたしとひとつになりたいの?」
 全裸のなつめ。とろけそうな表情は眼鏡では隠せない。瞬きをしたカイトが次に見たものは、
「あたしとひとつになりたいの?」
「レイ…チェル?」
 包み込むような明るい微笑みをたたえ、豊満な肢体をさらすレイチェル。
「これは…夢? 夢を見ているのか、ぼくは…」
527名無しさん@ピンキー:04/12/05 11:20:53 ID:+cR2beNu
18Rの鷹氏、なんとかsage進行にしてもらえないだろうか?
もともとsage進行ルールはコピペ業者等が原因でスレが荒れるのを防ぐものであって、
age進行だと、これからそのような業者が来ないという可能性も無いわけではないので・・・・。
それにage進行=業者・荒らしという不信感を持った人も少なからずいるわけで・・・・。
スレ汚し申し訳ない(´・ω・`)
散々語っといてこんな事言うのも難だけど18Rの鷹氏応援してます。
528名無しさん@ピンキー:04/12/05 18:27:09 ID:1YJ1XHj5
別段agesageにこだわる必要もないと思うが。
現にageで荒れてないし。。。
sageが予防する意味をなすっつーんならそっちのほうがいいかもな。

sage厨age厨なんて馬鹿げた区別をするんじゃねーぞw
529名無しさん@ピンキー:04/12/05 21:34:00 ID:TkEiyAoI
前は確かに業者が酷かったが、URL貼り付けに規制を入れるようになって
最近はほとんど見かけなくなり、その心配はしなくてよくなったはずと思うのだが。
現状ではagesageにあまりこだわる必要も感じない。
鷹氏のSS好きなんで、agaってると来てるのがすぐわかって個人的に嬉しいくらいか。
53018Rの鷹:04/12/06 01:32:49 ID:/HUunHSj

「だれか一人を選べ…というの?」
 いつの間にか、リアルの姿で仰向けに寝ている。服は着ていない。
「ぼくの気持ちは決まってるよ」
 一人の女性がぼくの体にまたがっている。両手を差し伸べながら、彼女の名前を口にする。
「晶良さん…」
 その瞬間、ブラックローズにも敵の姿が視認できた!
「な〜に、やってんのよぉぉぉぉ!」
 ブラックローズの怒声が聞こえたのと同時に、気付けソーダが浴びせられる。はっとして正気に戻ると、目の前を眩い光が横に走った。
「えっ?」
 女性が前のめりに覆い被さってくる、いや違う、首だけがゆっくりと落ちてきた。
「ウィッチ…の…首…」
「ったくぅ〜! らしくもないっ」
 ブラックローズに叱られるが、なかなか状況が理解できない。
「いまのウィッチがボス、だったのよ。ほら、マク・アヌが元どおりになってる」
 そう言われて、やっと得心がいった。
「それじゃあ、ぼく…、魅了されてたのか…」
「そーよ。幸せそうな顔しちゃってさ、ウィッチに微笑んでるアンタなんて、他のPCには見せらんないわよ」
 なんとも恥ずかしくて、のろのろと立ち上がる。ブラックローズはぼくの肩をポンとたたいて、
「やったねっ! このイベントの勝者はアタシたちよ」
 と言って、とびっきりの笑顔を見せつけてくれた。そこに、
「カイトっ」
「ブラックローズっ」
 数人のPCがぼくたちの名前を大声で呼びながら走り寄ってくる。
「オルカ、バルムンク、三十郎さん、それにミストラルっ」
「無事だったんだぁ」
 生き残ったぼくたち、とりわけMVPに輝いたブラックローズを祝福するように、マク・アヌの鐘がひときわ大きな音を響かせた。
531名無しさん@ピンキー:04/12/11 01:27:52 ID:Zp9VPw61
532名無しさん@ピンキー:04/12/11 02:38:22 ID:jBVoX5OV
>18Rの鷹

いつもお疲れ様です。
今回のSSは前回とはうって変わってバトル色が強いSSですね。
まだまだ底が見えない書き手さんですね。読んでいて楽しいです。
53318Rの鷹:04/12/13 00:31:58 ID:55Eam2IZ

 翌週の月曜日、晶良のパソコンに2通の新着メールが届いていた。ひとつはCC社から。不出来なイベントに対するお詫びと担当者を処分した旨、そしてイベント『モンスター街侵入』のMVPを正式に承認する内容だった。
 そしてもう1通はミストラル、黒川真由美からのものだった。

件名:サンちゃん来日の件
──晶良ちゃん、イベントMVP、おめでとー!\(^o^)/
──そんで、今週なんだけど。サンちゃん、成田に着くのが金曜日の夜なんだって。
──だから、会うのは28日の土曜日。TOKYOプリンセスホテルのロビーで待ち合わせね。
──時間は午後の2時でいいかな? お昼ごはんはカイトと2人で食べてきてね。
──あっ、そうそう。夜、ちょっぴり遅くなると思うから、ご両親にはちゃんと言っとくように。
──サンちゃんにニッポンをたっぷりと味わってもらえるよう、仕込みはバッチリよ(o^-')b
──あなたたちも楽しみにしててね!

 読み終えた晶良はケータイを手に取る。晶良はボタンを押し、ケータイを耳に当てた。
「あっ、アタシ。黒川さんのメール、見た?」
「うん。いま見たとこ。お昼に、いつもの場所で待ち合わせしようか、晶良さん」
「そうだね。いいよ。だっけど、メールにあった『仕込み』ってなんだろ?」
「う〜ん。わかんないけど、楽しみだよね」
「うん。ワクワクするよね」
「じゃあ、土曜日に。晶良さん、愛してる」
「んもうっ、恥ずかしいでしょ。…アタシも愛してる。じゃ、おやすみ」
「おやすみ」
 ケータイを机に置いて、晶良は思う。
(新しい服、欲しいな。そうだ、あした、予備校の帰りに買いに行こっと)
 ぼくはベッドに体を投げだし、目を閉じてミストラルのメールを思い返す。
(夜、遅くなる、ってことは、2人きりにはなれそうにないか。う〜ん。次はいつできるんだろう?)
 ここのところ、デートといえばホテルに入るのが決まりであるかのようだった。
(ザ・ワールドのイベントといい、土曜日といい、晶良さんはこういうデートのほうが好きなのかな)
 なにせ"覚えたて"のうえに"やりたい盛り"の高校1年生、性欲をもてあますのも無理はない。
(しようがない、か…。エッチなDVD借りてきて、今夜は抜いとこ)
 虚しい…けど、しかたない。
534名無しさん@ピンキー:04/12/18 21:10:30 ID:jyqTLr2n
ほす
535名無しさん@ピンキー:04/12/19 04:06:58 ID:TAmvpr4D
なんとなく早朝サービスのあるラブホにマクドとか抱えてカイトと昌良がお篭もりしそうな展開に
なりそうな気が…。
536名無しさん@ピンキー:04/12/19 04:18:38 ID:TAmvpr4D
499KB行ってたので、次スレを立てました。

.hackのエロパロ Vol.7
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1103397395/

537名無しさん@ピンキー:04/12/19 16:49:54 ID:G7Jq/3M3
>>535
マクドと略すとは・・・・・
貴様、関西人だな?
538名無しさん@ピンキー
>>537
いや、千葉県出身。西への旅行は六甲山までですけどね。

数年来パソコンに関わる仕事しているとMacintoshが絡んで、脳内でたまにシナプスが
変になりそうになるんで、自分内ではマクドと言うように切り替えました。

つーか、俺は普通の会話でも「だべ」とか「やねん」とか「きさーん!」とか「〜さあ」とか
いい加減に方言を平気で使う人間なんで…。