ある日、僕、奈良健太郎が通う学校と工具楽くんが通う御川高校の合同学習が
行われた。僕や塚本、播磨くんたちが工具楽くんの学校へ行って、一緒に勉強
をするイベントである。
そして、昼休み、卓球部部室でのこと。僕と工具楽くんの2人だけで昼食をとって
いるときのこと。
「う〜ん、もっと握る力を強くしたほうがいいのかな〜…」
右手にパン、左にパック牛乳、視線は机の上に固定の工具楽くん。
「工具楽くん、食べるか考えるかどっちかにしようよ!ねえ工具楽くん!」
「う〜ん……」
危ない。
こういう時の工具楽くんは周りがまったく見えてなくて、ふとした弾みで突拍子も
ないことをする。
なんか面倒なことにならないといいけど……。
「握る……握る……あっ!?」
グシャ。あ〜あ、やっちゃった。
膝の上で持ってた牛乳パック握り潰しちゃった。
握る直前にパックが変な方向向いたみたいで、
ストローから噴き出した牛乳は工具楽くんの股間をじっとりと濡らしてしまっている。
「ああもう、だから言ったのに。牛乳は早く洗わないと臭くなるよ。脱いで脱いで。」
「あ、ああ。ごめん」
そそくさと制服のズボンを脱いだものの
「うわ、パンツにも染みちゃってるよ。まいったなあ。」
赤を基調にしたチェック柄のトランクスの、内股の辺りが濡れちゃってる。
「工具楽くんの学校、男子の制服は薄っぺらい生地だよね。デザインも女子に
比べて手抜きだし、いかにも急造品だよ」
「あ〜、そんなことよりさ、午後の授業中どうしようか?」
「とりあえず体操着にしとく?」
「いや、だから、パンツの方。ノーパンしかないかなあ。」
発言のワイルドさのあまり、ズボンを受け取りながら僕の動きが止まってしまう。
「ノーパン……は、ちょっと……」
僕は口元を引きつらせて反論した。
「でも、どうせみんなわかんないだろうし。ノーパンでいっか」
「工具楽くん……そんなにノーパンで授業に出たいの?」
「そういうわけじゃないんだけどさ、まあ仕方ないかなって」
てへへっ、とか笑ってる場合じゃないと思うんだけど。
「さすがにノーパンはちょっとまずいと思うから、僕の着替えのパンツ貸してあげようか?」
「え、そんなのあるの?」
「うん。体育なんかで汗かいた時に取り替えようと思って。」
「そっか、じゃあ借りよっかな。」
「わかった。ロッカー行って取ってくるよ。ついでに制服も洗ってくる。工具楽くんの体操着
も持ってくるよ。ロッカーの鍵貸して」
鍵を受け取って部室を出ようとしたら、後ろの方から工具楽くんに呼び止められた。
「あ、あのさ、奈良」
「なに?」
「あのさ……オレのパンツも洗ってきてくんない?」
「はぁ!?」
思わず振り返ると、あ、拝まれてる。
「ぱ、パンツぐらい自分で洗いなよ。僕は君のお母さんじゃないんだぞ」
「だってオレこれ脱いだらフルチンになっちゃうよー。フルチンじゃ洗いにいけないよ。
頼むよー」
う、この拝み倒しには弱いんだよなあ。
「まったくもう。君は本当にしょうがないやつだなあ。わかったよ。さあ脱いで脱いで」
「ありがとー!」
工具楽くんはパンツを脱ぎくしゃくしゃと丸めると、顔のイメージよりは大きいものを
ブラブラと揺らしながら僕に駆け寄ってきてパンツをぽんと手渡した。
あのさあ、一応隠そうよ。目のやり場に困るじゃないか。
まあその、困るじゃないかという時はつまりそこを見ちゃってるんだけど。
「もう…。そんなカッコで誰かに見つかったら面倒だから、奥に引っ込んでなよ」
「へーい。それじゃよろしくな〜。」
こうしてフルチンの工具楽くんを部室に残して、僕はロッカーへと向かったのだった。
午後の授業、工具楽くんは僕のブリーフ履きながら受けるのか。
もしかして、僕の下着を意識して、授業中に変な気分になって、チンチンをガチガチに
膨らませて、変なシミ作ったりしてたら……どうしてやろう。
放課後、しっかり確かめないとね。
<とりあえず了>