紡ぐ言葉なんてもういらない。気持ちを伝える手段なんて、いくらでもある。例えばほら、こんな風にして――。
軽い衣擦れに続いて、ケープが滑り落ちると真冬の雪のように真っ白な肩が、素肌があらわになって
、うっすら濡れそぼった唇が触れようとした刹那。
「!」
聴覚の隅にこびりつく、ドアノブを捻る音。続いて空気が流れ、そこに誰かの気配がそこに生まれる。
「ち――ちょっとあなたッ! こ、この私を差し置いてナニをやってるで御座いますかッッ!!?」
野望と策謀をはちきれそうな胸いっぱい秘め、いざやってきてみれば、これだ。
淡い月明かりの下、豪奢に仕立てたドレスを乱れさせた半裸の女性が標的にのしかかり、
今まさに唇を落とそうとしているではないか。 深窓の姫君を思わせる装束より露わになった、
乳白色の素肌が窓からの夜光に映え煌びやかとしているのが無駄に絵になってて、何だかとっても癪だ。
それまで身体の線を隠した装束で覗えなかったが、重力に従って引き伸ばされた乳房は今にも乱れた衣装からこぼれ落ちそうで、
しなやかな曲線を描くウエストは抱きしめただけで折れてしまいそうな。
彼がすでに目覚めてさえいれば、たちまちの内に誘惑の虜になっていただろう、
その女神の如き肢体の持ち主は果たして、本当の女神様なのだから世の中たまったもんじゃない。
「……? こより――ちゃん……? その、格好」
顔だけをこちらに向け、この度まじかるナースへの変身は汎用人型決戦兵器の運用の如く国家予算で賄われていたという、
凄い事実が判明したわくちん界の女王・女神マヤは呆然とメイド魔法少女を見上げる。何やら捲し立ててはいるが
、不自然に両頬を紅くし、熱っぽく息を荒げているのが見てとれた。
「ど、どうも……お……お取り込み中だったようで……すみません……」
たまたま目があったポソ吉がすまなそうな挨拶を返す。
お互いがどうして此処に!? というよりもどうしてお互いが!? ということを追求したいようだ。
因みにマヤには小麦がまじかるナースとして覚醒する前からまじかるメイドの正体は分かっていたことだ。
彼女に教えなかったのは単に、
「その方がいろいろと面白!」という、至ってノートの死神チックな理由からだった。
対してこよりは、至って憮然としながらもやおらびしぃっっ! と邪道女神を指さし、
「…女神マヤ。どうして貴女が此処にいるのかは存じ上げませんし、
敢えて問いもしませんが――わたくしはその男に用があってきたのでございます。邪魔しないでもらえますかしら!?」
「あらあら? 京介君に用――ね……くすくす。『だが断る』――といったら、わたくし、どうなっちゃいますの?」
詰問めいた物言いに臆することもなく、女神はゆったりと上半身を起きあがらせ、嫣然と問いかける。
「もちろん、私も“何の用”なのかは敢えて問いませんけど……くすくす――♪」
「――! 邪魔だてするのであれば……!」
何故だろう。今微かに、背筋が震えた。その怖気を振り払うように、手を宙に閃かせ魔杖を召喚する。
「このまじかるメイド、容赦せん! でございますですわ。わくちん界の住人は地上では魔法は使えず、
加えて頼みの綱の貧乳ナースが此処にいない以上! 聖衣の無い聖○士、ガ○ダムの無いニュー○イプよろしく女神といえどもただの人!
素人パンピー! 一般ピーポー村人A! どう? 違いまして?」
「成る程……ね、どうやら、本当にまた寄生されちゃった様、ですね……でも確かにあの時
、あんぐらーは私の中に戻したはずなのに、おかしいですねぇ、ほわーい?」
こよりのいかにも必死だな! って感じの台詞が耳に入ってるのかいないのか、
もしくは右の耳から左の耳まですっぽ抜けてしまったか(たぶん、これが正解だろう)、マヤは可愛らしく口元に指をあて小首を傾げてみせる。
「トイレはすませましたか!? 神様にお祈りは!? 部屋の隅でガタガタ震えて命乞いをする心の準備はOK!?
ふっふっふ。あまりに私が恐ろしくって、声もないようで御座いますわねぇ♪ そういえば……あの時の借り
、まだ返してはいませんでしたわね」
こよりスティックのヘッドをマヤに向け、魔力を一点に収束させる。
「宜しい、この際伊達京介は後回しにして、まずは貴女から――」
六芒星の浮かび上がる水晶が、禍々しいオーラに囚われ鳴動する。
宿った黒々としたカオス・エネルギーは全盛時と比肩しても、いやそれ以上か。
全快の力の発露に、こよりは愉快げに口元をつり上げる。
「おほほほほほ♪ 復活早々、まーさかクソ忌々しい貴女から始末できるなんて思いもしませんでしたわ♪
だけど、殺しはしない……女神を私の下僕にできるなんて、私としても光栄の至り。
いざ、下克上! それではみーなさんお待ちかね〜、リベンジ一発目、復活の雄叫びレッツ・ビギ――!?」
勝利を確信し、ついつい饒舌となるこよりだったが。
「ちうぅうぅうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅッッ!」
やたらめったら生々しい擬音にうしちちメイドは声を失う。
「ん♪ んふ――んん……! ぁふっ、ちゅぷ、ちゅっ、ちゅくぅ、は、ん……ぁ……ん……ン、んン〜〜〜〜っっ♪」
「んなッ!? なッ! あ、え――えぇッ?」
目に飛び込んでくるのは睦み合う唇と唇。舌と舌。否、一方的に貪っているだけか。狩るものと狩られるもの。呆気にとられるタヌキメイドを余所に
、ぬらぬらと照り光る口唇が京介の唇全体を滑り、包み込み、口腔を赤い舌でこじ開け、奔放に這い回る。その内に潜まれた舌を捕まえ
、蠢く舌と上下の唇を使って器用に引き出し舐め回す。傍目にはお互いの舌が絡んで、輪舞を踊ってるようにしか見えない。
「ちゅくっ! ちぷ……ちゅぷ……ぅん、んむ、ふぅあっ、あんっ♪ はぷぁっ、ちゅ、ちゆぅうぅ、ぷちゅ、んっ!
ぁんんっ! く、ふっ――れりゅれりゅ……んうっっ! ――ぷぁあっはッ……♪」
……はーっ、はーっ、はーっ、はーっ……。
――だけど、狩られてるのは実の所マヤに他ならなかった。名残惜しそうに離れたくちびるからは堰を切ったように
、乱れた息が吐き出され接吻の余韻に背筋を巡る電流にぞくぞくっ! 身を震わせる。
京介が何もせずとも自分の魂はとうに狩られてしまっているのだ。いつだって、
心の奥にまで染み込んだことだったが改めてそう自覚するだけで躯の芯から熱くなってくる。
「――くすっ……♪」
そして、朱唇の間で淫靡に糸惹く銀糸を、刺すような、熱い視線の主に見せつけるように流し目をくれ
、小さく勝ち誇ったように笑む。
「……ッ!」
険を露わにするこよりを見ようともせずに、マヤは再び、奈落の底を覗く深い深いキスに没入する。何故か先ほどと同様
、肩をわなわな震わせ、不自然なまでに貌を赤くして抗議するこよりだが、
それ故にキスに没頭しながらも左手はあさっての方に何かを探っているのに気づかなかった。
「ですからッ、この私を無視して色事にうつつを抜かしてるんじゃねーでございますですわッ!
この色情女神! まったく女神は女神でもメ○ミマガジンの方なんじゃ――――」
「えい♪ 隙あり、です♪」
ベッドに立てかけられたそれを捕捉し、投げつける。
――ひゅんっ、と何か長いものが迫ってくるのが見えて――。
「はへ? ――ぷぎゃっっ!!」
目を丸くしたときには遅かった。女神の杖の先端がものの見事に額に突き刺さりスティックを取り落とし
、あえなく転倒する。その衝撃で転がったポソ吉の頭が壁に直撃してしまった。
「ばたんきゅ〜〜」
「……あ、いたたたッ……ですわ――……ッ!?」
女神は間髪入れず体勢を低く飛びかかり、こよりを難なく組み敷く。
「――あ、うぅ……っ! く……!」」
「んふふふ♪ 残念! 捕まえちゃいましたっ♪ 折角、もう少しだったのにねぇこよりちゃん?
私にウイルスをとりつかせて、あんなことーやこんなことー、あ、駄目、そんなことまでッ! とかさせてみたかったんでしょっ?」
「くぅっ、うぅ……ぬ、抜かりましたわ……よもや、こ、これまでのはおとり…」
「ノンノンノン、違いますよ♪」
Noォ、これはボクシングではない。とばかりににっこりやんわりと否定したマヤはおもむろにこよりの首筋に舌を這わせる。成熟した女の芳香と
、よく湿らせた生暖かい舌先が汗ばんだ敏感な肌にねっとりと張り付く。
「ひゃっ!? んんっ! な、なにを……ッ?」
「見くびってもらっては困ります。私はね、こよりちゃん……私の王子さ――京介くんとだったら、こんなこと、
いつでも何処だって……例えばそう、こんな風にね――ん、んん……っ!」
さらに湿った唇を滑らせ、上にスライドする。右手はその果肉の詰まったバストを鷲掴んで、
きつめのメイド服の上から押し込むように揉みし抱き、その頂点の突起を探り当て、親指と人差し指でくりくりと摘み捻る。
「くぁッ! んっっ!? や、やめ……っ! て……はぁっ、あッ!」 「ぷぁっ! だから――ね? 解るでしょ、こよりちゃん。
おとりでも、ましてや演技なんて……誰が見てようが関係ないの……だって自分自身の気持ちに、嘘なんてつけない……そうでしょ? ねえ?」
耳元に、吹きかけるように囁いてみせる。この場にあっても女神の表情は泰然自若としていたが、右手だけは粗暴にこよりのうしちちをぐにぐにする。
アンバランスなまでに盛り上がった双丘全体に指を這わせて、やがてはざらついた布の表面から一点、真っ白な生乳ひしめく谷間の、深い、深い合わせ目にずぶりっ!
と二本の指を差し込み、一気に付け根まで沈める。
「――あ……あッ!」
「すごいわ――本当に大きなおっぱい……わたくしの指先から全部入っちゃった……ちょっと、オドロキです……♪」
マヤの長い指を第三関節まで丸ごと呑み込んでしまった胸の谷間の違和感に、こよりは小さく声を上げてしまう。
だが本番はこれから。指を全方位から包む乳肉のむちむちとした弾力感と、汗の滑りを愉しむかのように
、ぱっつんぱっつんのメイド服にどうにか収まる、今にも弾け出そうな乳谷間を掻き回す。
――にゅぐ……っ、ぐにゅ……ぐにゅっ、ずにゅ……!
「ひあっ!? あっ、あん! ――っ」
否、『掻き乱す』といったほうが正しいのだろう。暗く深い底を探るスコップで掘り進むように指を曲げ
、張りつめた乳肌を掻き分け、汗で滑る柔肉の裡で暴れさせる。
――な、に、何ですの、これは……!? うそ、ちくびも触られてな――のに、なんで、こんなっ…!
人差し指と中指を暖かな乳肉の海で泳がせるたびに鋭い痙攣がそこを発生源にして迸る。未体験の快感だが、
それは異様なほど秘唇を掻き出されるのに似ていて、こよりの肉体から徐々に力を奪っていく。
それも時折小麦に負けた憂さ晴らしに、やがてはいつの間にか彼女を想ってしていた自慰行為のそれを上回るものだ。
利き腕で秘処やクリトリスを、右手で豊かな乳房を自ら愛撫するよりも強烈な何かが、
マヤのたった二本の指が乳の谷間を自由に泳ぐことによって生み出されているのだ。
烈しく掻き回せば掻き回すほどに軟らかな肉の切れ込みがどこまでもいやらしく、猥雑に歪んでいくのがマヤの視覚を好くさせ
、服の上からでも判る大きな乳首の突起が薄手のメイド服を突き破らんばかりに尖りきっているのが、こよりの翻弄され具合を如実に語っていた。
「はっ――! あっ! あ! んあ、そ――そんなっ! そんな強く、おっぱい、掻き回さな……ッ!
いで、くださッ! いませ――ふぁ、はッ、んんッ! ぁあぁあッッ!?」
「くすくすくす♪ 可愛いですよ――? こよりちゃん、おっぱいの谷間に指突き入れられただけで、そんなにえっちになっちゃうなんて……敏感なのね
、ほら、現に、今もこうしておっぱいがぴくん、ぴくんって震えて――小麦ちゃんが言ってたみたいに、本当に破廉恥でえっちですけべなメイドさんなんですね
……えぇと、何でしたっけ…? 確かうしちち――そうそう、うしちちえろメイドさんっ!!」
やっと思い出しましたっ♪ ととても嬉しそうに空いた手の人差し指をぴんと立たせてみせる。
「えっ!? や…あっ、ち――違っ…ちがっ……!」
涙目で、頬を緋に染め否定するも依然として汗ばんだ谷間を蹂躙されまくっては声にならない。
ふるふると顔を振るわせるので精一杯だ。
「違いません♪ そんなに牛みたいな無駄に大きな胸をして、しかもその服の下にはブラもつけていないのに、
こんなに感じやすいなんて――えろメイドさん以外の何者でもないでしょ〜、こよりちゃん? そんなフシダラ100%な有様で
、よく今まで平気で生活してこれたものですねぇ……だいじょうぶ? ほんの一寸触られただけでもこよりちゃんったらとってもとっても露出狂でえっちだから
、身体が反応しちゃってすぐ変な気分になってたんじゃないの? そのたびに、今みたいに恥ずかしげもなく服の上から乳首立たせてたりして……くすくすっ」
謳うようにねっとりと、囁きかけながらもマヤの指はいっこうに休まる気配はない。
ミキサーのような無機質ささえ感じられる勢いでぐにゅぐにゅと乳谷間を犯し、左手は浮き出た右乳の突起を摘んで引っ張るといった絶え間なく脈絡のない愛撫に
、こよりのえろえろボディは性急な反応を示すばかりだ。マヤの幽かな吐息にさえぴくぴく痙攣させるモモンガ耳に届く囁きにも返す言葉が見つからず
、ハスキーな喘ぎだけが口をついて出る。
「――いやぁっんっ! っは! ぁ、あぁ、こんなのっ、お、おっぱい、おっぱいのたに、ま、が……んっ!? くぅっ! はぁ、だめっ! あ、あ!? ちくび、ひっ、引っぱらない、で――!」
「ふぅっ……それにしても全く、詰めの甘さは相変わらずですね。何も変わってない。あんぐらーを貴女の中から回収する前と、何も、かも――これじゃあ喩えまた小麦ちゃんと対峙しても
――結果は視えているから………」
「んぁんっ! ふぁっ…! くふっ!? ぁ――――?」
汗と摩擦でぬちゅぬちゃといやらしい音さえし始めた乳間から指を引っこ抜いたマヤは、二本の指を立てて乱れた吐息で上下するバストに埋める。
そのままつつー、と下方にスライドしていき、
「はぁーっ、はぁーっ、はぁー……あっ!? ぅう、んっっ! ひっ――! な、何ですのっ……?」
繊細な指がゆっくりと躯を這い伝うと背筋がぞぞぞ、と泡立ち、全身を仰け反らせるもマヤの躯がしっかりと上乗せられて逃げられない。
「クス、この期に及んで『何?』って……こよりちゃん、あなたまだ理解(わか)ってないようですね?
自分の立場というものを。わざわざ小麦ちゃんが出向くまでもないの。
ああ見えてあの子、今まで長い間私たちのために頑張っておつとめしてくれたから、まぁその、戦士の休息とでもいいますか
、作者が登場させるのまんどくさがってるとでもいいますか、所謂一つの、うん、有給休暇みたいな? といってもボランティアですけど。従って――」
――くちゅっ!
「――あッ!? やんっ! そ、そこっ……そこは――あぁ……っっ!」
指は順調にスカート下の股間まで伝い下り、その奥の謎めいた場所へと辿り着く。スカート内に手を這わせると閉じこめられた空気が熱でむっとし
、指先で触れたショーツは既に汗とアブノーマルな乳愛撫で溢れ出した蜜汁にまみれ、ぴっちりと肌に張り付き下着としての役目を果たしていない。
「この私、わくちん界の女神マヤが直々にこよりちゃん、再び闇に囚われた貴女を――――癒してさしあげましょう。くすっ、さぁ、トイレはすませましたか?
神様にお祈りは? って私だったりしますが部屋の隅でガタガタ震えて命乞いをする心の準備はOK? なーんちて♪ ………ってあ、あれれ?」
殊更に陽気に、冗談めかして言うものの目の前の獲物はすっかり戦意喪失気味で、萎縮してしまっている。もはや洒落ではなく怯えた目つきでかぶりを振るばかりだ。
「――……(ふるふるふるふるっっ)」
「も、もう、そんなに檻に入れられたてのマウスみたいな憐憫を誘う目で私を見ないの! 我がわくちん界は癒しの世界。その守護者である私はいわば
、看護婦の神様みたいなものなのです! 凄いでしょー♪ 知ってましたか、あのヘ○ン・ケラーやナイ○ンゲールだって私を拝んだからこそ
、歴史に名を残す偉人となったのですよ? 御利益は家内安全商売繁盛千客万来、ぜーんぶまとめて一括で私にお任せ! えっへん♪
だから心配しないでこよりちゃん」
看護婦の神様を名乗る割にはまるでカルト教団の教祖並の全能ぶりだ。しかも何より大事な「健康長寿」が無いのはどういうことだ。
「それに――ほらっ」
――くいっ、と指を顎にやりこよりの桃色の唇を無理矢理上向かせる。其処に触れるか触れないかの距離まで貌を寄せると
、甘く緩やかな吐息と、荒く切ない吐息とが重なり合い、交錯する。
「あの時の私のくちびる――気持ち良かったでしょ……? 今みたいに頬を紅く染めて私のキスを受け入れて感じてたの
、識ってるんだから。恥ずかしがらなくたっていいのよ、本当言うと私も――ね? こよりちゃんってほら、見た目も声も私にそっくりでしょう?
それで、ね♪ 私、自分自身とキスしてるようで何だか――とても……」
なんだか色々と雲行きが妖しくなってきた。こよりは背筋に怖気が奔るのを抑えきれない。同時にマヤの吐息も、だんだんと荒く速く、艶めいたものとなる。
「……マ……ヤ……?」
「もう一つだけ本音を言うとね、私――わたしはできるコトならもう一度あなたと
、こよりちゃんとキスしたいな、って思ってた。あなたのくちびるに憧れちゃったの……この瞬間もこうして
、突き出されたこよりちゃんの濡れたくちびるを目にするだけで――すごく胸がどきどきして……無性に欲しくなって――だってあの時のこよりちゃん
、凄く淫らで可愛かったから……いいでしょ――?」
有無を言わさず自分の怯えきった表情をしっかりと瞳に宿したまま、マヤはまるでスローモーションのように朱唇を……――。
「――熱い、あついキスを、あげる……。痺れるような、女神のキスを……――♪」
もう少しで、恐慌の拒絶も、悲鳴すら上げるのも甘い粘膜で塞がれる、そう思ったら。
「さぁ――――じっとして……」
――……もう、駄目。
とりあえず、ここまで('A`)
前作ほどではないにしろ、今回もそれなりに長くなりそうなので。
つーか忙しくてDVD買いにいけねーのですよ。なのでおぺ2の感想カキコだけで。
今回は僕のようなこより信者には天国のような出来だったのですよ。
特に、オパーイの描き方がイイ! もうそんなとこまで注目してしまいますよ。
>>573 描く予定ありますよー。小麦×ノーマルこよりたんですね。
というか小麦終了した今、ネタがある限り続けようか、と。
これが小麦ッ子の端くれとして、自分が出来ることかと。
まあ何ですか。何れ小麦×まじかるメイドで大好きな小麦ちゃんにいぢめられて
「いやーんですわっ!」とか悶えるのが描きたいだけなんですけどね?
因みにあのフィギャーは最高ですねぇ。思わず裸エプと脱着後、二体揃えますたよ。
609 :
名無しさん@ピンキー:2005/09/27(火) 19:21:01 ID:lEDIMvGF
ほっしゅ
そんじゃ続き行きますノシ
「あ…あぁッ……! ま、まって……。わたくしの負け……ですから、あ、あ、あやまりますから
、もうしませんから……どうかもう、赦して…………!」
あのつやつやと、妖しい光沢を宿す唇が触れれば、自分は……。
そのしぶとさたるや最凶死刑囚も裸足で逃げ出すこよりは、ここに来てようやく、己の敗北を悟ったのだった。
押しのけるように左手をマヤの頬にやるが、まるで骨が抜かれて軟体になったかのように力が入らない。
薄く開かれた目からは一筋の涙が流れ落ちる。潤んだ視界は正しい像を結ぼうとはしない。
この部屋に突入したときに覚えた予感は実に正しかった。
あの悪寒がこの苛烈で呵責ない現実を忌避しようとしていたのだ。が、蜘蛛の巣にかかった蝶のように後悔したときはもう遅く
、決して逃れ得ない糸に身も心も絡め取られてしまったのだった。
「だめ……だめ……これ以上は、もう……おねがい、だから……」
視界一杯に迫る、底なしに余裕で蕩々とした笑顔にこよりは初めて怖い、と思った。ただ極めてシンプルに純粋で
、窮めて真っ白で真っ当な恐怖。天使のような悪魔の笑顔とはこのことか。
手を動かそうにもやはり撫でることしかできない我が身を厭うしかないこよりだ。
「心配しないでっていったでしょ、こよりちゃん。怖がることなんて無いのですよ、ちっとも痛くなんてしないから
――それどころかいっぱい、いっぱい気持ちよくしてあげるのに……私にとって一番はおうじ――京介クンの唇なのは勿論だけれど
、こよりちゃんのも、また…ね――決して赦されず、天に唾をし神に弓を引き――まあ目の前にいますけど
――黒い背徳の彩(いろ)に塗り込められ、重い十字架を背負う感じがこう、何とも乙なものでして……くすくすくす♪
だから、優しくしてあげますわ……包み込んであげる。珈琲に溶けるクリープのように甘い甘い、このくちびるで……♪」
さっきまでの有頂天なこよりによれば、早々と自分を始末できるのが嬉しいそうだが
、自分としてもこの機会がこんなに早く訪れるとはまさに願ったり叶ったりでいても立ってもいられない感じだ。
最近気付いたが、自分がこうまでもキスが好きだとは。あの北関東の件で目覚めてしまったのかもしれない。
――それなら、それで。
彼女に感づかれないように、唇の端だけで笑む。全く京介ときたらどこまでも罪作りで
、女殺しだ。そんな天性の資質があればこそ、アイドルとしてやってこられたのだろう。
その彼の興味が今は小麦の方に向いているのが、何とも――……。
「――マジカル注射器、ご〜ッッ!!」
勇ましくも舌足らずな雄叫びと共に飛び立ち、
いざ最終決戦地へと赴くまじかるナース小麦の背はあっという小さくなってしまう。
風が舞った後の静寂がついさっきまでの騒ぎを押しやり、
スタジオの一室にはぼんやり座り込んだ女神マヤと開け放たれた窓の向こうを見上げる伊達京介
、二人だけが取り残される。
小麦の安否を気遣う京介に、じっと突き刺さる視線。
ふと振り向くと、きょとん、とした感じに見上げるマヤと目が合う。
「……………………………」
「……………………………」
やだ……そんなに見つめられたら――私――。
我知らず、頬に朱が射すマヤ。京介としては視線を感じて何となく、という程度なのだが彼女には二の次三の次
、振り返ればまじかるティーチャーコマチの一件以来、日々の忙しさに追われかれこれ一年近くも逢えていないのだ。
いや、女神としての執務を抜け出して、折を見て会いに行ったはいったのだがタレント業に忙殺される京介と、
とても逢い引きできるような雰囲気ではなかった。空腹は最高の調味料といわれるように、
ようやく見つけた白馬に乗った王子様――自分を満たしてくれる想い人に逢えないだけで、
どうにも相当に鬱屈した想いが溜まっていたらしい。
だいたい前回のキス一度だけなんて、生殺しだ。
「う……っ」
さて、京介といえば頬どころか全身からピンク色の何かを発散し始めた女神に本能的に後退りする。
ああ、獣の本能。蛇に睨まれた蛙、種の本能。
が、時既に遅し。
「さぁさぁさぁ京介くんっ! 後はふたりっきりでしっぽりたっぷり楽しみましょうっっ♪ ねっ! ねっ? ねっ!?」
「え――えぇ!? ちょっと……! あのっ! ひぃっ!」
がばっ! と赴く衝動のままに不埒な女神は彼に飛びかかり、ごろにゃあ〜ん♪
と猫みたく全身を擦りつける。大人の女性特有の香りと、甘く高貴な香水のブレンドされた芳香が鼻腔に飛び込んでくる。
「う〜ん♪ 相も変わらずたくましいお体! 抱き心地も蝶! サイコーです! んふふふふ、京介クンがイけないんですよっ、
そんなアブない視線で私を誘惑するからッ!」
四肢をじたばたさせながらも何とか京介は抵抗を試みる。
「ち――ちょっと待って――! 視線って、そっちが先にっ! って、うわわッ!?」
「あらららら♪ 声を出しても無駄無駄無駄ァ! ですよ? さすが、スタジオの一室だけあって防音設備もイッツ・パーフェクツ!
加えて外はどこもかしこもウイルスだらけ、何処にも逃げられませんよ? さぁ、潔く覚悟しちゃってください!
それに私、ずっと、ずっとあなたにもう一度逢いたくて――!」
――そうだ、こんなところで油売ってる場合じゃあない。今も中原さんは一人っきりで……!
残念ながらムギ丸のことは忘れていたというか眼中になかった。
「あ、そうそう、申し遅れました。私、みさ……じゃなかった女神マ――きゃっ!?」
「そうだ、中原さんッ!」
弾かれたように立ち上がり、マヤを押し退け扉へと走る。
「――きょうすけ、くん………」
残された彼女はただ呆然と、彼が去った方を見上げるだけだった。
「いやぁ……! わた、し、わたくし……やっと生き返れたのに、こんなっ……すぐに、なんてっ――――」
自分とよく似た声に引き戻されると、眼前には最初の威勢は何処へやら、ようやくしおらしくなりすぎたこよりの眼が一瞬
、ぼうっとした自分の貌を写す。その悲痛なトーンも、表情も今のマヤにとっては嗜虐心を煽る結果にしかなっていない。
乱暴に顎を摘み上げ、荒ぶる感情のままに、
「いいからっ! いい加減に観念なさい! 満たされないのは、お互い様でしょ?
これ以上の抗議はあなたのそのたっぷり苛めて欲しそうな唇で聞いてあげる――!」
「や、やめっ――! だめ、わたくし、まだ……消えたく、な――――んッ! んぶぅッッ!?」
なおも縋ろうとするその小生意気な唇に蓋をして、顎にやった手を後頭部に回し、ぐっと引き寄せる。
サラサラ流れる髪の感触がマヤの指によく馴染み、そうすることで隙間もないくらいに密着した唇をマヤは更にはぷっ…!
と上唇と下唇で包んでくるみ、唾液をこよりの唇全体にまぶして美貌を揺り動かすことによって表面に擦りつける。
――ちぅうぅぅうぅッ――!
間髪入れず蛇のようにのたうつ舌で薄く開いた潤う朱唇の門をこじ開けて、両唇と舌の三層でサンドイッチするように口唇をまるごと挟み込み一気に吸い上げる。
マヤの口腔にこよりのいやらしく突き出された、甘露なグミのような触感が癖になる口唇が飛び込んで、すっぽりと収まる感覚。それを同じくらいに弾力に富んだ
、みずみずしい桃色唇でぷにぷにっ、と慈しむように押しつぶす。
「あっ、んあ……!! ん――ふぅっ! あっあん! ん…っ! んん〜〜〜〜っっ!」
――ひあ……あ……! す、吸われちゃ…ぁあ……う――!? く、くちっ、くちびる…が――――!?
あの屋上で、胡乱な意識で感じたのと同じ甘いキスに唇全体をがんじがらめにされたこよりの困惑を余所に
、順調に口内に侵入した紅い舌はさながら別個の生き物のように歯列を這いなぞる。
一際大きく尖った八重歯の感触を味わってから、満を持して舌と舌を絡ませる。
「――ぁむ……んん――♪ くち……くちぅ、ちゅぷ――あっ、ん……んむ、ぁはっ♪ れる…れりゅれりゅれりゅ――ふぁふ、はァっ、んむっ
、――は♪ ちゅっ……ちゅ、ぁんんっっ!」
「ん……んんっ!? んぅ、ふっ――あむ、ぅう、んぁ、くふっ! むぁっ、んっ――ふ……ッ!」
――や……あっ――! し……舌が、ぐるぐる、ぐるぐるって!! あっ、ふぁん! はっ、やはっ……――!?
目眩く一方的な舌技に身も心も流されるしかないまじかるメイドは、
しかしこの場はまるきり予想の埒外にある場所までをも責められるとは露にも思わず、奔りだした電流に意識を白めかせる。
――ぐちゅっ! ぐちぐちゅぐちゅ――――!!
「――んんッッ!? ぁふぅっっん、んくッ!! ンッんんーーーーッッ!!」
すっかり口唇付近に認識を持っていかれたので、濡れそぼつショーツに張り付いたままの女神の右手を失念しきっていた。
スカートの奥で弾けるような水音を立てさせ巧みに踊る指先の前には下着越しだろうと関係ない。
「はぷっ…んっ――♪ ぁむ、ふぅうっ、ぁうん♪ っふ、ぅむ、ちぷ、ちゅぷ…ちゅくちゅく、ちぅうぅぅ――♪」
「くうっン!? ぅうっふ――! んァ、ぁあっ…♪ ふぅああっ!!くうっう! ぅんぁンッ! ぁう、はっ♪ んく――!? んぅん!! くぅっ――ぅううゥぅぅ!!」
薄紫色のショーツを突き破ろうと、蜜でぴったりと肌に張り付きはっきりくっきりと浮き出た秘部のスジをつつき
、割れ目に沿って白い指を埋め、深いシワを刻む。
めちゃくちゃに掻き乱されるたびに腰ががくがくっ! と震えセクシーな黒のガーターストッキングに包まれた長い両脚をばたつかせる
。宙に浮いた両腕はそれでもなお女神を退かすべく足掻くも背中を這い回ることしかできず、仕舞いには自ら求めるかのようにドレスを引っ掴む始末
。しかも唇が厳重に栓をされて行き場を喪った喘ぎと嬌声は、締め付けられるような呻きとしてマヤの口腔に
、咽喉(のど)の奥の奥にまで吸い込まれる。
――あっああ――――!!? そンなッ、そんなっ……! あそこぐちゃぐちゅって烈しくされたら……あ、あ♪ あっ♪ あっっ!!
「あはっ――――――♪」
触れ合い、融け合う粘膜の隙間から幽かな笑みが、ぶれた自我にすり込まれ、そして――中指がショーツの端から直接
、愛液をだだ漏れさせる秘処の奥に差し込まれた瞬間――。
つぷ――、と存外にあっけない水音がこよりの脳裏に木霊して、何か大きなものが、弾け飛んだ。
ひっっ――!! いっ――――クッ……………うぅッ――――!!?
「あンんッッ――!!? んんッく――ぁんッ!! ぅんんンンーーーーーーーーッッッ!!!」
一際甲高く、激しい呻きがこよりの散々に嬲られつくした唇から迸ったかと思うと、全身という全身がぶるぶるぶるるッッ!!
と弛緩し、女神の華奢な胴体を押し出すバネのように腰が跳ね上がり、秘唇から噴きだした熱い飛沫がマヤの指を叩いて濡らす。
「――んっ……ふっ! ぁ――ん――♪ う……むっ――ンッ――――!!」
――あぁ…………こよりちゃんの声が、私の口の中で吸い込まれて――――震えて…………♪
眼は、口ほどに物を言う。
もはやメイド魔法少女の少女たるすべてを把握している女神は
、止めどなく涙を流す少女に反して眼だけで慈(やさ)しく微笑みながら、花弁に浸した指を休ませようとはしない。
中指で膣肉をぐりゅぐりゅとほじくれば暴れる唇を、貌を、振り乱した蒼いセミロングを左腕と唇だけで支え、決して逃がしはしない。
「んふっ……ふふ……♪ ぁむっ、ちぅう、ぅんん――――♪」
「ふぅンぅッッ!! んぅん〜〜ッ! くっん、んっンッ♪ ぅぅむうぅんゥんゥんン――ぁぁんゥうぅんんっっ!!」
電流めいた甘美な痙攣は唇から、抱きすくめた全身からダイレクトに伝わり、まるでこよりのむちむちした肉体そのものがマッサージ器になったようで
、癒しの女神は眼をとろんとさせてその振動にたゆたう――。
――わたくしも……きもちいいですよ、こよりちゃん……♪
ひとしきり総身を駈けめぐる、オルガスムがもたらす灼熱に酔いしれたメイドはぷっつりと、糸の切れたある○かんのように力を喪い
、躯がふっと軽くなるのに合わせて偏執的な唇の拘束が解かれて背後の壁にへたり込む。くたっ、として、
唇から垂れる互いの唾液が混じったモノを拭おうともせずに、虚ろな視線で見知らぬ、天井を見つめる。
「――あ………? ぁあ……ぅあ――はッ……あぁ……!」
――はぁ……はぁ……はーっ、はーっ……――。
絶頂の残滓に震える唇から掠れた声が擦れて、時折歯と歯がぶつかって小さな音が漏れる。
静かだが重く上下する二つのバストに併せて開放的な吐息が緩やかに吐き出される。
臓腑までも持って行かれそうな吸引で酸欠状態に陥りかけた脳と肺腑に清涼な空気が流れ込んで
、次第に明瞭になりつつある思考が一つの疑問を浮かび上がらせる。そもそもこの情況において、もっとも基本的なモノだったはずだ。
あ……れ……わたくし……ま、だ……――?
「ふふ……っ――♪ キスをしながらびくびくびくっっ! て、体中を震わせてイッちゃったのね……こよりちゃん? どう? トんじゃいましたか?
私の指、こんなぬるぬるのびしょ濡れにして、んっ――これがこよりちゃんの味……くす、此処までくると潮吹きと言うよりまるで射精ね
、しゃ・せ・い。……もう、射精しすぎですよ? 全く何処までインランになれば気が済むんだか、そんなになっちゃうくらいよかったの……?
くすくすくす……♪」
窓の外、下弦の月を背に、ぺろり、とキラキラと輝く愛液を滴らせた指を舐めとるその光景からは、女神としての神性
、清純さは微塵も見あたらず、ただ映し出すは親玉破壊ウイルスあんぐらーの本体という、もう一つの側面のみ。
舌なめずりをし、やや切れ長の眼でこちらを見下ろす様を
、ただこよりは畏れさえ込めた涙も乾かぬ瞳で見上げる。
「ふっ……ふにゃあ…………!」
実に納得いかず認められず変な話だが、こよりはどこまでも無力だった。
この際、魔力の有無は関係ない。考えてみれば自分の術中に陥れたはずの人間に赤い彗星ばりに逆襲されたのも一度や二度ではない
、ある時はウイルスのみならず、自ら完膚無きまで小麦信者を調教してやったのにも関わらず、まさに通常の三倍返しにされてしまった。
そんな走馬燈が通常の三倍の早送りでこよりの脳内にオンエアされた。
「でもね、声を抑えながら、大粒の涙を流して健気に絶頂に悶えるこよりちゃんの貌、
凄く――それも今まで見た中でとびっきりえっちで可愛かったですよ♪ 唇もぷにぷにっと柔らかくて甘くて気持ちよかったし
……もう一度キスしたくて待ちわびた甲斐がありましたわ――ご馳走様、こよりちゃん♪」
良かった。どうやらおおむね満足してくれたようだ。此処まで果敢に責め苦に耐えた自分を褒めてやりたい。
耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍び、もはや精神力の勝利だ。折角拾ったこの命、
この先生きのこるためならば嘘の敗北宣言だって何のその、さしもの女神もこの緻密な計算のもと練り上げられた、
マーヴェラスな頭脳プレーには気付かなかっただろう。
――ふ……ふふふ。女神マヤめ、き、今日の処はこれで勘弁して差し上げますわ――――。
マヤに悟られないよう顔を俯かせ、口元を歪ませる。
これで――やっとこれで帰れる。よし、ここはいったん退いて、態勢を立て直して――とそう心の中で安堵した矢先
、今までのはあくまで片道切符だったことを思い知る。
「もういっそのコト、このまま食べちゃいたいくらい……」
「――――え?」
こよりを覆い尽くそうとマヤの影が落ちてきて――。
「あ……――」
「ああっ、こんなところに極上エアバッグがッッ!」
「んきゃあぁぁぁっっ!?」
そのまま勢い込んで倒れ込んできたマヤはめり込めよ、とばかりに面貌を小麦曰く、
「たわわに実った一品」にダイブし、両手でロケットのように張り出した肉房を押さえつつ真ん中にぎゅっっ
、と寄せることで顔面どころか頭部全体までも乳に埋まってしまう錯覚に陥る。
それに気をよくしたマヤは薄布越しの汗ばんだ体臭までも嗅ごうと、息を吸い込ませる。
「〜〜〜〜♪」
「っ――! やっっ!? やめ、て、やめてっ! やめなさっ――んッ! んふぅッッ!?」
「ぷぁっ、んふっ、いい匂い……こよりちゃんのおっぱいと匂いで、わたくし、チッソクしそ……♪ ううんっ――――!」
羞恥からマヤを引きはがそうとするけども、やはりという何というか、乳の左右に顔を擦りつけられ床に指を立たせることもままならない。
その巨大すぎるマシュマロの弾力でもって形を歪ませる双乳から拡がる電撃に縛られるばかりだ。
「あ――はぁっ♪ おっぱい、おっぱい――! やめっ、てぇ! じゃないと、私、また力が……ぁん! ぁうっ♪ ぅんうっっ!」
可笑しい。いくら何でも、コレは可笑しい。認めるのは実に全く癪でしかないが、確かに自分は、胸が弱い――と思う。性感帯といってもいい。
オナニーで達するときも尖りきった乳首を捻るのが引き金になったことすら何度もある。かつて「任務」で必要に迫られ、
この躯でウイルスを植え付ける「目標」を籠絡せざるを得なくなったときも、乳の谷間にペニスを挟み込み、磨り潰すみたいに擦り立てた挙げ句に生じる
、堅く漲った怒張に乳肉をぐにゅぐにゅと掻き分けられるあの独特の感覚も嫌いではない。
だけどそれにしたって此処にやってきてのこの感じ方は異常だ。それに胸、
というよりもその奥――にあるモノが遙かに疼いて、石炭をくべられたように熱に浮かされてしまう。
「んふふ、さっきは思う存分、そのくちびるを堪能させて貰いましたから――次は、ココで――ね♪ こよりちゃんの身体って、
全身コレえっちなことに使うためにあるとしか思えないから――ココも……こんな凄いおっぱいで、
今までいったい何人の男の人を堕落(お)としてきたのかしら――? もしかして、そうだ? もしかしてこれから京介くんも、このおっぱいで――?」
――ぎ、ぎくぅッッ!
真っ正直に目を大きく見開いてしまうえろメイドだ。それがマヤに見えてしまったのか否か――彼女の背後のベッドに焦点を移すと、
幸か不幸か未だすやすやぐっすりと眠りこける京介だ。
――それにしてもあの男、この騒ぎでよく今まで……信じられませんわね、あんなに、キスまでされたというのに、わたくしなんか呼吸困難にまでなりかけた、というのに……。
訂正しよう。やはり不幸中の幸い、だ。ここで彼が起きてしまったなら今好き勝手に自分の二つの乳房を溺れ貪っている癒しどころか寧ろ卑しの女神がどんな暴挙に出るか
、わかったものじゃない。
「それに……ね?」
「そっ、それに……って――?」
――ごくんっっ!
乾いた喉が、鳴る。不定型な空気を嚥下する。ああ、コレは自分のか、と気付くのに一瞬遅れると
、マヤの貌が。蒼く澄み渡った双眸が焦燥とした自分の貌をしっかりと写し、それから――
「それに、ここでやめてしまったら貴女を元に戻せないでしょ……――」
「え――――? あ」
再び夜の化身のようなマヤの貌が近づいて、額が接触したらそこでふと、意識が途切れた。
――次の瞬間、世界は移り変わりこよりの中で先ほどの走馬燈にも似た映像が再生される。
それは一度自分が浄化され、またこの身体に棲みつき「まじかるメイドこより」としての意識が発現するまで
――それらが当のこより自身にも追いつけない速度で流される。
「……そういうことね。私はてっきりそうなんじゃないかと思ってましたが――」
「あ――――――?」
マヤの声に視界は元の暗い、ありのままの現実を映し出す。
欠けた月だけが光を点す一室と、向かい合わせた自分とよく似た、美しい貌。
「あの日、貴女から取り出したウイルスは間違いなくあんぐらーそのもの。だけど私に回収される直前に秘かに分裂
、剥離して機会をうかがっていたと――どさくさに紛れてこの私の眼をも欺くとは、まんまとしてやられましたが
……そんなに居心地良かったのかしら? 性懲りもなくこよりちゃんに寄生し、
とってもえっちなまじかるメイドの人格が復活、と――どのくらいえっちなのかというと――」
――ぐにゅ! にゅむ……ぐにゅん……。
「だ、だから、わ、たくし、えっちなんかじゃあ、はあぁっ! あっ♪ んっ――」
柔乳に指を埋め込ませたままの両腕を押し込んで、上下にぐにんぐにんっ、と動かす。
細い指の間からはみ出す乳肉の感触までも堪能しようと挟み込み、その奥に息づいてやまないものを探ろうとする。
「このつくづくいやらしすぎるお乳で人のカレシを寝取ろうとしてた、と――どう、違う?」
おもむろに左乳の突起を摘んで、引っ張る。いささか力入りすぎた気もしないでもないが、関知しない。
「んっ!? い、痛いいた、いっ……!」
「あ、カレシっていっても確定された近未来の話とゆーか優先予約とゆーか
、指定席も同然とゆーか今は一時の気の迷いで他のコのこと気になっちゃってるみたいだけどまぁ京介クンも年頃の男の子だし?
寛大なおねーさんの私としては若いうちはちょっとぐらいフラフラさせても佳いかな〜っ♪ なんて――そうです
、言うなれば事実上の彼氏……って、誰が二号さんですかッッ!」
――ぎゅっっ!
「んぁあッッ!? え、なんで……っ? わたし、うぅ……な、何も言ってませんの……!」
訊いてもいないことをべらべらべらべら勝手にしゃべっておいて乳首を弄られては立つ瀬がない。
しかし、同じくあんぐらーをその身に宿す自称、癒しの女神は、過激で最高だ。
「問答無用! です――確かに、現時点では小麦ちゃんに後れをとっていますが必ず逆転してみせます……誰にも邪魔はさせない。
あの素敵な唇の感触は未来永劫、私だけのもの……もう絶対、離さない!
だから今のうちに考えられる傷害を一つでも多く取り除く――もとい、こよりちゃん」
左手で愛しむように頬を撫でさすり、乳首をくっきり浮き立たせた左胸を右の掌いっぱいに掴んで押しつぶす。
コリコリとした突起の手触りと柔肉の感触とのギャップに気をよくしたか、女神は表情を和らげて、
「まだ、あなたの中の、もう一体のあんぐらーは定着しきってはいない――何となく解っているんでしょう?
そうです、まじかるメイドとしての露出が不完全な今だからこそ、まだ間に合います…………が、その前に」
なま暖かい息が肌にまとわりつく距離。映像の拡大さながらに目、鼻、口が迫り、煌めく艶やかな長髪が貌にかかったと思うと
、マヤの指が自分の前髪に絡まって、取り払われる。再び、白い額が近づいて反射的に顔を逸らす。
「…い――や……っ!」
「どうして逃げますの? ――くすくす――不思議かしら?
“地上”(ここ)では“わくちん界の住人”(わたしたちは)は魔法は使えないはず。それはその通り。
でもね、これはね――ただ単に、魂を共有して記憶とか、“中身”を覗き見ているだけ……私とこよりちゃん、
私の分身であるあんぐらーを宿した魂を持つ本来ならそんなレアなケースだからこそできること。魔法ではないのよ――」
すべすべとした肌と、肌の接触。そこを通じて、何かがこちらに流れ込んでくる、玄妙な感覚。
こよりちゃんはもし此処に私が来なかったら、京介クンにいったい、どんなことしようとしてたのかしら――――?
そんなような声が、耳に届いたような気がしたときにはまたもぷつっ、と五感と五官が途切れてしまった。
此処はあるいは女神マヤが、京介の寝室にやってこなかった世界といえるかもしれない。
それぐらい、彼女の中に広がっていた光景は非常にクリアでリアルなものだった。
「――ねぇ京介くん。私の悩み、解消してくださいますかしら?」
「な、悩みって……こ、国分寺さん――これは……!?」
視界が一転、伊達京介はこよりの下に敷かれてしまう。誰かが指をぱちん、とさせた音で目が覚め
、身を起きあがらせると、ドアの傍にはたびたび仕事で一緒になることが多いトップ・アイドル・国分寺こよりの姿が。
ただ、様子がおかしい――というか、可笑しいことだらけだ。どうしてこんな時間に? どんな理由で?
一応、友人として家の場所は教えてあるとはいえ、どうやって玄関に入ってこれたのか?
そして、その格好はいったい? 最近、衝撃的な秘密を知ってしまい色々と気になる中原小麦のコスプレとは雰囲気が違う。
敢えて言うなら魔法少女となったときの彼女と近い。
が、やはり――。
「ふふ♪ 国分寺さん、だなんて、ちょっとばかし堅苦しいですわね。『こよりちゃん』って
、名前で呼んでくださっても結構ですわよ? 今から私たちは――そういうカンケイになるんですから……♪
京介くんの返事に関わらず……くすくすっ」
「そんなっ……おかしいよ――! まるで、人が変わったみたい、に……!?」
――胸を押さえて息を荒げながらベッドに躙り寄ってきて、しかし双瞳は爛々とぎらついた光を灯し
、有無を言わさず押し倒してきたのだ。世の男性が夢中になる十七歳現役女子高生を異次元の彼方まで超絶したプロポーションの持ち主だが
、その天然さと不思議なまでに男の気配を感じさせない純朴な人柄から、断じて夜中に忍び込んでこんなことをする娘ではない――と
これまで京介は思っていたのだが。
「『人が変わった』……? ほほほほほっ、そ〜んなことはございませんわ♪ 私はいつもと同じ――そう、再び使命を帯びてこの世に生を受け
――あんぐらー様がこの躯を褥(しとね)とされたときから、私は――それより……はぁっ♪ それよりもほら、京介くん
、私のコ・コ――♪ 触ってみたくない? ねっ、触ってみたいんでしょお――あっ♪ あ……!」
「……!」
むぎゅッ! と熱く弾力あるものが潰れる感触。掌に全く収まりきらない、柔らかなボールみたいなそれは重力に従い
、円錐状に胴体から伸ばされた筒のような房、ふるふる揺れる左の乳肉。手を掴まれ
、誘導されたそこは不可解なまでの高まりと温度を京介に伝えて病まないのだ。
今回はこの辺で。唐突に(?)こより×京介となりますた。ついカッとなって
この先、無駄におっぱいばかり拘った文章が暫く続きますので、その手の趣味が
無い方はご注意を。
さて、やっとDVD観たんですが、見事なまで繋がってませんねーわははは。
何の理屈もなく復活とは、私はまだまだこのアニメを侮っていたようです。
京介くんにシカトされるマヤたんも可愛いなぁ畜生!
しかし、これで終わりとは哀しい……。かつてZガンダム最終回の無人の百式の残骸
の如く、いつでも続けられる終わり方を目指したのでしょうが、これでは生殺しですよ。
でも今は、偽○さん、モモーイさん、そしてスタッフの皆様。
三年間もの長い間、本当にお疲れ様でしたm(_ _)m
僕はこのアニメのおかげで本格的に創作を志し、人生が変わりました。多分。
スレまで立てようとは正直、自分でも思いませんでしたよ。
後追いで観た魂狩りも面白く、隠れた名作アニメだと思います。
まだ見てない人は今大阪で再放送中ですので興味がおありでしたら是非。
最終回の余韻でついついレスが長くなってしまいましたが、
いつか、また小麦ちゃん&こよりたんに会える日を夢見て。それでは。
余談ですが伊平さん、その妄想いただきですw
いずれ、どこかで書かせて貰いますので。
こよりたんを思いっきりダークな人格で書きたいなぁ……。
629 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/01(土) 02:18:24 ID:63T3hSPj
来週でラジオも終わりか〜。
630 :
1 ◆ivHEpplW8k :2005/10/09(日) 03:26:54 ID:PypeVzGR
保守がてら続き投下しようと思うのですがまだ出来上がってないのと
、ついカッとなって描写が余りといえば余りにマニアックになりすぎたので
今回は保留とさせて頂きますorz
スンマセン。
なので、代わりといっては何ですがおまけでお茶を濁させて貰いますれば。
本編に入りきらなかったおまけですので出来は推して知るべし、かと。
またもおぺ2ネタですが。
「待って――――お待ちなさいっ!」
突撃ラブハートな女神マヤのアプローチを振り切り、まじかるナースとして
、最後の戦いへと向かった小麦の下へ駆けつけるべく、京介は独り走る。奔る。直走る。
息せき切って開け放たれたスタジオの出入り口にさしかかったところでようやく追いついたマヤは
、もたれるようにその腕にすがりつく。
「――駄目です京介くん、危険すぎます!」
「は、離してくださいッ、じゃあないと」
――中原さんが……!
「さっきもいったでしょ、外はウイルスだらけだって――敵の、
もうなりふり構わない作戦でこの日本、いや世界中がウイルスに感染され尽くして、
いわばこの地球そのものが巨大なカオス・フィールドとなってしまったのですよ!
そんな、敵の真っ只中でまともに生き残っている者は、今となっては私たちだけ。
そうでなくても生身のあなたが小麦ちゃんの処に行ったって、できることは何も――!」
「だからって!」
――え?
「だからってこのまま何もしないでいろってことですか!?」
京介の剣幕に、一瞬たじろぐマヤ。普段の彼を知る者たちからすれば
、およそ見たことのない表情だ。だけど此処で媚びて、退くわけにはいかないのだ。
わくちん界の女神という前に、彼を想う一人の女として。キッと、気丈に彼を見上げ、
「そ、そうです……っ! 私たちにできることと言えば、まじかるナースの無事を祈って
、彼女が帰ってくるまで此処で待つこと……待ち続けること。あの子の帰る場所を、護るんです。
これはとても大切なことだとは思いませんか? 悪戯に追いかけて
、足手まといになられてはそれこそ元も子もない、あんぐらーの思う壺ですよっ!
小麦ちゃんにも迷惑がかかってしまいます。ですから――」
「僕には、僕には…できない――! こんな処で手をこまねいているだけなんて。
確かに僕が行ったところで、足手まといにしかならないかもしれない。何もできないかもしれない。
それどころか、僕には正直言って今何が起こっているのかさえ分からない。
でも一つだけいえるのは……」
「――?」
「中原さんは、今、この瞬間も何者かと戦っているんです。多分、きっと――――」
貌だけ振り返らせ、彼は言った。
殺し文句を。
「僕たちの未来を、護るために」
「京介――――くん…………」
再び、マヤの湖畔のように澄み渡った眼は京介に釘付けとなり、
力が緩んでしまう。腕を軽く振り切った京介は、
「とにかく、女の子の中原さんがたった一人で戦っているのに、僕だけ安全なところで避難していろだなんて、出来ませんよ……っ!
無力かもしれないけど――きっと、こんな僕にも何かできることがあるはずです」
踵を返して、今度こそ走り去ろうとするも、またもマヤに後一歩のところで腕を引っ張られる
「ま、待って!」
苛立ちげに振り返り、目が合ってしまう。それは、先ほどまでとは明らかに違う、
重く、切ないものを押し殺したような、そんな微妙な表情。哀しげに歪む口元から、
この場にそぐわない、私情ともとれる言葉が紡がれる。
「京介くん……そんなに――そんなに小麦ちゃんのことが、大事――――なんですか?」
私は、あたしは、いったい何を…………?
自分は何者で、今はどんな事態なのか、考えなくても分かるだろうに。
何のために此処まで来たのか。少なくとも彼を慮るふりをして
、こうして独占しようだなんて思いもしなかったはずだ。それこそ
、最後の手段に打って出たウイルスとの苦しい戦いを強いられている小麦に
申し訳が立たないだろう。
「……………………………」
「……………………………」
彼らを取り巻く、世界最終戦争の如き様相を呈した、怒号に怒声、灼ける空、阿鼻叫喚、鳴り響く空気。
いや実際、そうなのだ。この戦いで長きにわたるウイルス、あんぐらーとの決着がつくだろうと言うことだけは
、はっきりしているのだから。
しかし、それらの轟音は今、この瞬間の二人には甚だ無意味であった。世界を
、人類を呑み込む広大無辺なカオス・フィールドの片隅でどれくらいの時間だったか
、隔絶された静寂が流れすぎ、そして。
「ええ――――大事ですよ」
「……――!」
胸が、締め付けられる。唇を、噛んでしまう。
「そう…………」
「僕の大切な、友達ですから」
――……え?
俯かせた目を、上げる。
「だから僕が、なんとかしなきゃ。日頃、お世話になってるし……ね。それに」
「……それに?」
「中原さんと一緒に仕事するとね。楽しいんですよ。お騒がせなところもありますけど
、其所にいてくれるだけで、何だか元気になれるんです。これは僕だけじゃなく
中原さんの傍にいる人みんながきっと同じ気持ちだと、そう思いますよ。口には出しませんけどね」
ああ、そうだ。その通りだ。
こんな朗らかな顔でそう言われては、こちらとしてもやぶさかではないじゃないか。思えば脱線も多かったものの
、まじかるナースとして着実に経験を積み、そして成長してくれた。かつての北関東では
、あんぐらーに次ぐ驚異であったまじかるティーチャーにより洗脳を受けた京介を救い
、今回もまた、重いリスクを背負いつつも大好きな人たちのためにその身を奮い立たせたのだ。
コスプレアイドルという肩書きを持ち、この役目を請け負った動機もそれと延長線上ではあったものの
、今や愛と正義の魔法少女としては『本物』となったといえるだろう。それは、
これまでずっとムギ丸の目を通して彼女を見てきたマヤだからこそ、誰よりも識っていることだ。
「ええ、そう――――そう、でしたね」
一つ頷いた女神もまた、元の柔和な、らしい顔へと立ち戻る。
そして深呼吸、左手に携えた女神の杖を、高々と掲げる。
「京介くん、私にしっかりと掴まっててくださいね」
「え……」
「早く!」
請われるままに、マヤの両肩に手をやる。心なしか頬を紅くした彼女は
、京介の背後の上空から急速に迫りくる、空飛ぶ某有名製薬会社のマスコットキャラクター
、巨大サ○ちゃんを警戒しつつ、
「これから――小麦ちゃんの許(もと)へ向かいます。大丈夫。私に任せてくれるのなら、あっという間ですっ」
――本当ならこの方法は、わくちん界の人間以外、使うのは赦されないのだけど……。
どちらにせよ。あんぐらー回収には自分が必要となる。だから京介をあの部屋で待たせてから自分が
……という算段だったが逡巡などしてられない。それに決戦地へ向かうのならこの混乱で車などの交通手段はおろか
、徒歩ですら危うい。さながら丸腰で猛獣の檻へ突入するようなもの。例え掟に背こうとも最悪、京介だけは無事で帰したい。元々この騒動は自分の分身が――ひいては自分が引き起こしたものなのだ。責任は、総て自分にある。
だけど今は、それでも、今だけは。
まだ眼を白黒させてる彼に向かって。
「――ねぇ、京介くん、私を――女神を信じて……くれますか?」
「……うん。ええと……その――頼みます!」
この期に及んで疑うことは無意味だと悟ったのだろう、
京介は速やかにマヤに身をゆだねた。此処に来るまでに彼は
、いくつも信じられないものを目にしているのだ。
――ありがとう、京介君。あなたは私が、絶対に……。
その覚悟を見た彼女は、かくして京介を腕の中で護るようにして杖を目線へ、水平に構え、強く念じる。
これは、魔法ではない。わくちん界との交信能力を持つ杖を介して行う、願い。
女神はこれを繰り返して地上と行き来していた。
遠く次元を隔てつつも、この世界と表裏を為すところへ思念を送る。
――女神マヤより、わくちん界へ。私と……地上の人間一人の、転送を要請。
場所はまじかるナースの近く。なるべく安全な場所へ。承認――――願います!
果たして、杖の先端の水晶球は出入り口から噴き出す程の眩い光を放ち、二人を瞬く間に包んでしまう。
どうか、無事でいてね小麦ちゃん――けど、そんな風に思われてたなんて……やっぱり、
私、妬けちゃうな……。
「――ん? いま、何て……」
いけない。口に出してしまったようだ。反省反省。
二、三、私はかぶりを振り、殊更冷静につとめようとする。
私は女神として、彼を導かなければならないのだ。
「何でもありませんよ、京介くん。それでは、参ります。私から離れないで――」
消えない絆をその手で繋ぎ止めるように、マヤの細腕が腰に回された刹那
、光がピークに達し二人を掻き消す。コンマ数秒の差で誰もが姿を消した出入り口に巨大サ○ちゃんが殺到する。
無論狭い出入り口に収まるべくもなく、周りの壁を紙のように突き破り、その奥の各インターネットラジオ収録ブース
、スタッフルームなどの何もかもを等しく薙ぎ倒し突き抜ける。
まじかるナースとまじかるメイド、二人の魔法少女がその雌雄を決する高層ビルの傍ら
、既に騒動で廃ビル寸前となった建造物に挟まれた裏道。
何者も立ち入らないその場所へ、二人分の人間を内包した光がわだかまり、霧散した。
「ん――ここは……?」
飛び交う怒声に怒号。灼ける空。爆ぜ震える空気。そこいら中に充満する、不協和音を刻む混乱の気配。
顔を動かし、周囲に目配せをする。少なくとも、空が見える時点で元いた場所とはまるで違うことが知覚できた。
「ふぅ……どうにかこうにか成功したみたいですね。京介くん、着きましたよ? 無事――って……あ……っ!」
――こ、これって……まさかもしかしてひょっとして――。
この体勢は、と温もりの中でマヤは気がつく。お互いの肩と腰に腕が巻き付き
、抱擁を交わす格好となっている。というか、危ない気が付けば、自分の躯がすっぽり京介に埋まっているじゃないか。
途端に、溢れるようだった決意と力が、心から、芯から萎えていく。
腰に回した両腕以外は。ぎゅっ、と満身の力を込めて。
「この近くに中原さんが――……わっ?」
一歩、踏み出そうとする。が、抱き締められたお陰でもつれてしまう。
「あっ、あの? ちょっと、離して…………欲しいん――――」
語尾に向かうに従って弱気になるのが京介の京介たる所以であり
、限界だろう。手は所在なげに額を掻いてたりする。
――す〜りすりすりすりすりすりすりすりすりすりっ♪
「の゛わ゛わ゛ッッ!?」
「むふふふふふ〜っっ♪ やくとく、役得、ですっ! もう、京介くんってば火事場のどさくさにこんなコトッ……マヤ
、もうどきどきです♪ もう胸がパチパチするほど騒ぐ元気玉、っです!!」
そんなこと言われても、むしろこっちがドキドキしてしょうがない。絶叫マシーンに乗る類のだけど。
だが、こんなことにCHA-LA HEAD-CHA-LAでなかった京介にはただただ狼狽えるしかなかった。
特に胸のあたりにぐりぐり押しつけられ潰れる、大きな二つの柔らかい感触がこそばゆさすら感じさせて、緊張を殺ぐのだ。
「どっ! どっちが火事場のどさくさに紛れてんですかッッ! ま、またそんな躯を擦りつけないでっ!?
あ、あの、む、胸がっ、胸が当たって――!?」
「あててるんですよ♪ あはっ、京介くんってばもしかして、私のコト意識してくれてるんですか?
いやですわっ♪ そんな、わたくし、恥ずかしいっ! でも、嬉しいなっ――」
時と場所を選ばずまたごろにゃあ〜ん♪ 状態となってしまった女神は
、それはもう盛りのついた猫のように匂い付けにご執心だ。
「ですから、京介くんも遠慮なんかしなくったっていいのにっっ♪ ひとこと言ってくれさえすれば私、私
、何時だって……あ、もしかして今流行のツンデレさんってやつですか!? もう、京介クンのあ・ま・の・じゃ・くさんっ♪
きゃあ〜っ! やっぱり京介クンってば私のコトが忘れられないんですねっ! マヤ、感激です! ええいもう構いませんわっ
、このアニメも今回が最後、いわば千秋楽、是非ともここは一つ、私と王子、もとい京介クンが今度こそ結ばれて終わる
、真のグランドエンディングで幕を閉じるためにも、あの時私の唇を奪ったセキニン、取って貰いますね――♪ う……ン……っ」
まぁ奪ったのは一方的に一ノ谷の合戦の一騎駆けばりに不意打ち気味にマヤの方だがひとしきりラブコールを捲し立てつつ
、存分に自分の匂いを擦り付けて、マヤはメインディッシュとばかりに朱く熟した口唇を寄せる。
「――すきよ、京介くん……好き。ずっと前から、愛して……あ、あら?」
「あ、中原……さん――――!」
ふと眼を開けると、京介くんが自分を見てくれてない。
そう思うよりも早く、
「中原さんッッ!」
「あっ――!」
中空の一点を凝視していた彼は、やおらマヤを払い、その勢いで尻もちをついた彼女を労ることなく駆け出す。
一際高い、一際濁り澱んだ、障気を孕んだ空気に満たされたビルに向かい、なりふり構わず奔る。
「あいたたた………………はぁっ」
それを見届けて、大きなため息を一つしてマヤは中腰で陥没し土がむき出しになった地面に人差し指でのの字を書きながら
、いじける。
「こんな時まで中原さん、中原さんって……はぁ――。もしかして、わたし、ちっとも京介くんに相手されてなかったりする?
キスまでしたのにな……」
まあ何というか、その、何だ、気付くのが遅すぎた。
かきかき。
「うぅ……どうせ私なんて、私なんて……作中一番偉い人という設定だったのに初登場はKarte3
、1では名前とイメージイラストでしか出てないし、数あるCDドラマなんてこよりちゃんと声同じなのに結局一回も登場させてもらえなくて
、ただでさえ出番が少ない中、やっと、そう、やっと京介くんとキスが出来て、The Soultaker魂狩では散々な目にあったけど
、やっとその雪辱をはらすことが出来たと思ったのに……」
かきかき。かきかき。
「あ、そういえばキャラクターソングも作ってもらえなかったんだっけ……京介クンとデュエットしたかったのにな
。三○目の浮気みたいな曲。くすん、それにしても最後の最後で小麦ちゃんに大きく水をあけられてしまうなんて……いいもん
、いいもん。きっといつか京介くん、気付いてくれるんだから。本当にあなたを必要としているのは、いったい誰なのかって――ううん
、この私が絶対、気付かせてみせるんだから! あたしが一番、京介くんを――」」
かきかき、かきかきかきかき………。
「んふふふ……それにしても京介くんって本当に、素敵……♪ 優しいし、生身の躯でも
、大切な人のためにその身をなげうつ処なんて、ふふふ……私の識ってる頃とちっとも変わってない
――尤もそれが私じゃない誰かに向けられるなんてちょっとというかかなりというか
、激しく癪だけど……駄目ッ! もぅ一刻の猶予もないわ、
この戦いが終わったらすぐにでも京介くんを――今までちょっと悠長にしすぎたから
、まずはデートにでも誘って、ううんその前に小麦ちゃんに協力してくれたお礼が先ね。
とにかく何としても小麦ちゃんよりも先に」
かきかき、かきかきかきかきかきがり……っ!
「それは――小麦ちゃんは確かにいい娘だけどそれとこれとは話が別、
京介くんだけは……『私の王子様』だけは絶対に渡さない――! 渡さないんだから…! あたしを満たしてくれるのは
、あたしを完全にしてくれるのはいつも、京介君だけ……。
あたしの方からどんどん積極的にアプローチして、京介くんにあたしのこと覚えてもらうの……ふふ
、そしてそして今度こそ、あたしたちは――くすくすくす♪ 何時の時代も京介くんは私のもの。
あの可愛い顔も、中性的な声も、なのにたくましい胸板も、女の子のようにか細い腰も
、全部、まるごと……小麦ちゃんにはない年上のおねーさんの魅力で目一杯迫って、
女の子のファンがあれだけいるのに女の子のことなんか全然知らない純情な京介クンの可愛い
、かわいい○○○○○を○○して、若さに任せて焦る京介くんをあたしがしっかりとリードしてあげて
、あたしのために京介くんが十七年間とっておいた――――」
――何か遠くで、
「中原さんッッ!!」
と叫ぶ声がしたような気がしたけど、もう今の女神には届かない。というか
、地面に書かれた文字はもう何が何だか原形をとどめてなかった。そんな不定型な何かを
、マヤの人差し指はグリグリグリグリ……と刻み続ける。
「――をやさし〜く、奪ってあげて……先走りすぎて京介クンだけ先に私の○○○○にたっぷりと○○しても、
笑って赦してあげるの……だって初めてなんだもん、仕方ないよねって……もう
、ベッドで一晩中、朝がくるまで逃がさないの……くすくす――♪
まるごと京介クン……ふふ、フふふ、うふふふふふっ!」
他にも「これがわたしの王子様」だの、
「くすくす……っ! 京介くん、おねーさんが優しくしてあげますからね……♪
おねーさんにぜんぶ任せて、ね♪」とすっかり21世紀の精神異常者、妄想戦士な世界に入ってしまったので。
「――待っててね、京介くん……もう絶対、離さないんだから……!
フフ、うふふふ……ッ!」
ヨゴレになる寸前、オタクの不埒なパワーを得てまじかるナースが復活するまで
、女神マヤはずっとそのままなのだった。
「――ッッ!? い、今背中にアブない視線が…………」
そして、キラーン! と背後で誰かが瞳を妖しく光らせる気配。
「ふふふふふっ♪」
「へ……っ――――?」
おしまい。
さて、先ほどラジオ最終回聴きますた。モモーイさん――もとい小麦ちゃん様、偽○さん、
うpさん、改めてお疲れ様でした。最終回だからといって泣きに浸るというのではなく、
あくまでカラッとした仕上がりがなお一層、「らしさ」があって佳かったです。
思えばSS的にも色々重宝させて頂きました。ポソ吉の設定だとか。また、何時の日にか。
それでは眠いのでこの辺で。
SoulTakerの命かけてフリッカー守ってる小麦ほうが萌え
645 :
名無しさん@ピンキー:
それよく言われることだけどさぁ、そんなに違いがあるとは思えないんだよなぁ。
ソウルテイカーとマジカルての小麦って。違いがあるとすれば演技の質ぐらいだろう。
モモーイの演技がまだフニャフニャだったから健気さが出てるんジャマイカ。