エクソダスギルティ

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8nameless:04/01/20 03:32 ID:i5Yjiy1Y
 凄惨な絶叫を残して、兵士は牢獄から引き出される。そして部屋の隅で震えている兵士を立たせると、あの兵士の処刑を命じた。
 ザザンは胸の前で服を押さえ、こちらを睨んでいるスィーを振り向く。
 「ぶっ…部下の統率がなってないじゃない……」
 「……そンな身体をしテいるからデモあル」
 「なっ…!」
 怒鳴ろうとしたスィーだったが、何かが身体を覆った。ザザンが羽織っていた、漆黒のマント。
 「明日は早イ。さッサと寝るこトだナ」
 「………」
 スィーは無言で、彼のマントにくるまった。



 翌朝。予定通り、スィー、ラーライラ、ティティの三人を収容した三台の檻車は、ジーナ・イー城へ向け出発した。檻は外から見えないように、小窓以外は殆ど密閉されているのだが、沿道の住民達は物珍しそうに見物している。
9nameless:04/01/20 03:33 ID:i5Yjiy1Y
 「……コの辺りで休ムぞ」
 「はっ」
 リリーヌは頷き、兵士達に休息を命じた。
 人気のない荒れ地。崖から殺風景な景色が見渡せた。崖の反対側の山も、同じく殺風景である。崖の下に微かに枯れ木の森が見え、つい最近まで緑があったことが想像出来る。
 ザザンはスィーの檻に近付くと、しきりを外した。
 「……大丈夫か?」
 「……ヤケに優しいじゃない」
 彼の目的は、自分の持つウィルの鍵の筈だ。まあ正当な王位継承者である自分が捕らえられるのは分かるが、それでも何故、こう自分に気を遣うのだろうか。
 「困ル……」
 「え……?」
 「今……お前に何カアっては……」
 「それって…一体どういう…」
 思わず尋ねかけたスィーを、ザザンは手を挙げて制する。暫く山を見ていたが、突然剣を抜いて怒鳴った。
 「全員陣を組メ!」
 「なっ何なのよ!?」
 「盗賊ダ……」
 「……え……」
 地響きや雄叫びが、どんどんと大きくなってくる。山肌に土煙が上がり、馬に乗った百人ほどの男達が見えてきた。
10nameless:04/01/20 03:34 ID:i5Yjiy1Y
 一方的だった。騎士団でも盗賊でもない。
 ザザン唯一人。唯一人が、圧倒的だったのだ。必要最小限の動きで長剣を振るい、忽ち屍の山が築かれる。殺していると言うよりは、一撃で命を奪っている……そう見えた。集中的に浴びせられる矢さえ、マントを翻して絡め取る。
 不意に馬の嘶きが聞こえた。恐らく流れ矢が当たったのだろう、スィーの檻車を牽いていた馬が突然走り出す。
 「スィー様!」
 ラーライラの叫びで、ザザンも事態を悟った。恐慌をきたした馬は、崖に向かって一直線に走っている。
 「きゃあああっ!?」
 直ぐに地面が途切れた。馬の足が空を切る。
 (え……?)
 視界が黒で覆われた。檻の天井が飛び、中で呆然とするスィーを引き上げると、ザザンは彼女を自分の胸に引き寄せた。
 「ザザン様ァ!!」
 微かに遙か上の方から、リリーヌの叫び声が聞こえた。



 (……ん……?)
 パチパチと、何かが弾ける音が聞こえる。目を開けると、オレンジと赤の光が踊っていた。少し経って、それが火である事に気付く。
 (……私…?)
 「……気が付いたカ?」
 「!!?」
11nameless:04/01/20 03:36 ID:i5Yjiy1Y
 焚き火の向こうに男が座っていた。炎で金色の仮面が照らされている。
 「……ここは?」
 「崖の下ダ」
 体を起こすと、何かがずり落ちた。漆黒のマント。急拵えの寝床から出て、彼女は焚き火を挟んでザザンの向かいに座る。
 「……お礼なんて言わないからね」
 「………」
 「あなたは……ネーネを殺した」
 自分の義母を。ラーライラの実母を。
 だが、その言葉が秘めている色は、怒りでも恐怖でもなかった。
 (……何だって言うのよ、一体…)
 胸の辺りでモヤモヤしているものを振り払うかのように、二,三度頬を叩く。すると、目の前に何かの肉が差し出された。
 「……鳥ノ肉だ」
 警戒するスィーにそう教える。
 「……お腹なんて減ってないわよ」
 その言葉を否定するかのように、彼女の腹部から奇妙な音が響いた。
 「………」
 「食え。お前ニ死なれテハ困る」
 今逃亡するのは諦めよう。辺りを覆う濃霧にウンザリしながら、スィーは焙った肉を口に運んだ。
 「霧は嫌いカ?」
 彼女の考えを見透かしたかのように、ザザンが尋ねる。
12nameless:04/01/20 03:39 ID:i5Yjiy1Y
 「少なくとも“今は”ね」
 「私ハ好きダ。あの……あノ空を見ズに済ム」
 「空どころか、2メートル先も見えないわよ」
 「………そウだな」
 「笑ってるの……!?」
 「イヤ…」
 首を軽く振ると、ザザンは背後の大岩に凭れた。
 「……私が寝てる間に、変な事しなかったでしょうね?」
 自分の身体を見回しながら、スィーが言う。仮面の下からは返事がなかった。
 「……ちょっと…」
 「………」
 溜息を吐いて立ち上がると、焚き火を回り、ザザンの前に仁王立ちする。
 「聞こえてるんでしょ? 返事ぐらいしなさいよ」
 「………」
 業を煮やして、肩を掴んだ。
 ……が。
 ザザンの身体が揺れ、上体が地面に倒れた。
 「え……?」
 凭れていた岩肌に、赤黒い染みが広がっている。
 「ちょっ……」
 動かないザザンの身体を回した。背中のプロテクターが砕け、そこから血が流れ出している。
13nameless:04/01/20 03:40 ID:i5Yjiy1Y
 「……!!」
 酷い傷だった。手を伸ばそうとして、ふとスィーはその手を止める。
 (……ネーネ…)
 目の前のこの男…。この男が、ネーネを…。
 傍らに立てかけている長剣。それに、無意識に手が伸びた。ずしりと重い、銀色に光る剣を両手で持ち上げ、逆手に構える。
 「………」
 が、剣は下降し、元の場所に戻った。スィーは胸を押さえ、暫く呼吸を整える。そしてザザンを仰向けに寝かせると、今度は仮面に手を伸ばした。
 頭の後ろの留め金を外す。彼が起きる様子はなかった。そこで更に呼吸を整え、仮面を両手で掴む。
 「……っ…」
 目を瞑って、一気に仮面を持ち上げた。それは何の抵抗もなく持ち上がり、手から離れて地面に落ち、乾いた音を立てる。
 ゆっくりと目を開けた。
 「……!」
 想像していた顔と全く違う。ほぼ自分と同じか、少し上くらいの年齢だろう。
 先ず、左頬の三本の古傷が目に入る。刃物などではなく、もっと切れ味の悪い……獣か何かの爪で付けられた傷だ。汗を滲ませている、整った顔。何だか異世界の人間のような……そんな雰囲気を纏っていた。
 「ザザン……」
 力無い呟きが、その顔の上に落ちた。

14nameless:04/01/20 03:41 ID:i5Yjiy1Y

 うっすらと目を開ける。
 「……気が付いた?」
 女の顔が見えた。漆黒のマントを羽織い、こちらを覗き込んでいる。
 「マントじゃ合わなかったから、私の服を使ってあげたわ。……感謝しなさい」
 そう言って、身体に巻かれている赤い布を叩いた。痛みが走り、顔を少し歪める。
 「あ、痛かった?」
 「………マーサ…」
 「え…?」
 いきなりザザンはスィーの腕を掴むと、その身体を強く抱き締めた。
 「なっ…ちょっ…」
 「………」
 「ねぇってば! なっ何すんのよ!」
 顔が暖かい。……暖かい?
 忘れていた感触に戸惑い、ザザンはスィーを離すと、顔に手を当てた。
 「……これのこと?」
 声の主はそっと、金色の仮面を差し出す。
 「……スィー…?」
 「そうよ、スィーよ」
 「…そうか」
 大きく息を吐き出すと、彼は再びその場に寝転がった。
 「……ねぇ、マーサって?」
 少しはっとした顔で、ザザンはスィーを見る。
 「寝言で言ってたわよ」
 「…………」
 「あと…フレアとも」
 「……!!」
15nameless:04/01/20 03:44 ID:i5Yjiy1Y
 (あれ?)
 ザザンがそっぽを向いた。僅かに見える頬が赤い。
 (ひょっとして……照れてるの?)
 身体をずらして、彼の顔を真正面から見ようとした。するとザザンも首を回し、そっぽを向き続ける。暫くぐるぐると回っていたが、やがて彼女の方が諦めた。
 「……割とフツーの顔なのね」
 「……………」
 「………傷の手当てしてあげたんだから。これで貸しはチャラよ?」
 「……分かっている」
 「ならいいわ」
 と、ザザンの腹から妙な音が聞こえる。それにつられたように、スィーの腹も空腹の合図を出した。
 「…………」
 「俺は…どのくらい眠っていた?」
 「丸一日よ。待ってて、肉はまだ残っているから……」
 そう言って、彼女は拳ほどの大きさの肉を差し出す。
 「……いらん」
 「何言ってるのよ」
 「お前が食べるんだ。お前だけは、何としても生き延びろ」
 「……私を殺したかったんじゃないの?」
 「いいや…。……スィー」
 真剣な表情で、ザザンはスィーを見上げた。
 「お前が最後の希望なんだ…お前こそが…」
 「……ワケわかんないこと言わないの」
 肉を引きちぎると、やや乱暴に彼の口に押し込む。突然の事に咳き込みながらも、ザザンは無言でそれを噛み切った。
16nameless:04/01/20 03:46 ID:i5Yjiy1Y
 「……何故殺さなかった?」
 「へ?」
 「憎いのだろう? 俺が。お前の義母を殺した俺が…」
 「……確かにね」
 咀嚼していた肉を飲み込む。
 「一旦は剣を手に取ったわ。……でも止めた」
 「止めた……何故だ?」
 「何となくよ…」
 突然ザザンは笑い出した。口を開けて大声で笑う。咳き込むまで笑った。
 「な…何よ…」
 「いや……俺も、お前と同じ事を言ったことがある」
 「え……?」
 「丁度……今みたいに崖から落ちてな。…その時、立場は逆だったが」
 「逆って……ひょっとして、あなたも……」
 「ああ………」
 ふと遠い目になる。暫くどこかを見ていたが、やがて再び口を開いた。
 「マーサ…俺の母だ。血は繋がっていないが…。マーサは、跡形もなく焼き殺された」
 「誰に……?」
 「………フレア…俺の…妻だ」
 「え…ええええっっ!?」
 今度はスィーが大声を上げる。
 「結婚してたの!? その若さで!?」
 「……ああ」
 「妻って……結婚した後に、何かあったの?」
 「いや、マーサが死んだのは、結婚する前だ」
 「えええっっ!? それってつまり……母親の仇と結婚したの!?」
 「そうだ」
17nameless:04/01/20 03:48 ID:i5Yjiy1Y
 「何で!?」
 「フレアも……苦しんでいたんだ」
 上体を起こした。
 「人間を忌み嫌っていた。顔に火傷を負わされ、顔には布を巻いていたが……丁度今のようになったとき、彼女の素顔を見た。……火傷なんてなかった。あったのは、美しい女の顔だった」
 「……………」
 「スィーよ…この世界をどう思う?」
 「どうって……大災厄によって滅びちゃった後の…」
 「いいや」
 静かに首を振る。
 「大災厄は、旧世界の人間が引き起こした」
 「…!?」
 「文明が進みすぎ、自然を軽視した。……驕り高ぶった人間が、自ら招いてしまったことなんだ。……スィー。お前が必要だ」
 「どうしてよ…?」
 「お前の背中にある紋章…それは、“神の杖”の紋章だ」
 「……あ! やっぱり何か…」
 「見なくても分かる。……マーサにもあったんだ」
 「え…?」
 「神の杖と悪魔の杖が交わるとき…世界は破滅する…古い伝承だ」
 「悪魔の杖……?」
18nameless:04/01/20 03:50 ID:i5Yjiy1Y
 「この星を汚したのは悪魔などではなく、人間自身だ。……お前ともう一人…悪魔の杖が揃えば、星は癒される。破滅などない。
 文明を手放すのを拒んだ人間が、勝手に作ったものなんだ。………お前は…病んだ星の文明か、あの暖かな自然……どちらを選ぶ…?」
 少し喋りすぎた……そう思って、ザザンはまた寝転んだ。
 「………」
 「混乱するのも無理はない。……少し休む。煮るなり焼くなり……好きにしろ」
 目を閉じた。暫くしてから、地面にポツポツと小さな染みが出来る。
 「……何で…私が泣いてるのよ………何で…」
 微かに自嘲した。
 「バカッ……何なのよ、一体……」
 一体…何故だろうか。
 「殺せなく…なっちゃったじゃない……」



 霧が少しだけ晴れた。
 (……池があったんだ)
 池と言うよりは温泉である。少し自分の体を嗅いで、思わずしかめっ面になった。
 (ザザンは……まだ寝てるわよね…)
 傷は深い。
19nameless:04/01/20 03:52 ID:i5Yjiy1Y
 (……流石に、この臭いはね…)
 マントを外し、ビリビリになった服を脱ぎ捨てた。水不足のこのご時世で、こんな風呂は贅沢すぎるかも知れない。
 「……ふぃぃい……」
 思わずそんな溜息が漏れた。
 「あ〜、ライリーにも教えてあげよっ」
 既に自分が囚われの身であることさえ忘れかけている。

 ジャリッ……

 「……え?」
 「まだ…自然があったのか」
 ゆっくりと振り返る。ザザンが温泉を見つめ、顔を綻ばせていた。
 「きゃあああっ!!」
 「自然は…死に絶えたわけではない」
 「きゃあああぁぁぁ!!」
 「こうして…たくましく生き残っている。人間如きに、自然を思い通りにする事など出来はしないのだな」
 「きゃあああぁぁぁ!!」
 「まだ希望はある。母なる心を癒し…病を治す事は可能だ」
 「いやああぁぁぁあ!!」
 「また……あの青空を…」
 「いやああぁぁぁあ!!」
 「碧の海を…」
 「きゃあああぁぁぁ!!」
 「花々や、木の…」
 「いやああぁぁぁ!!」
 「…………」
20nameless:04/01/20 03:53 ID:i5Yjiy1Y
 「きゃあああぁぁぁ!!」
 「……五月蠅い」
 多少苛ついたように、ザザンが言う。
 「変態!助平!強姦魔!」
 「……最後のは取り消せ。襲ったりはしない」
 溜息を吐いて立ち上がり、その場から離れようとした。が、足首を掴まれる。
 「何か…別の意味で失礼ね」
 「ふんっ……」
 「あ! 鼻で嗤った!」
 「子供に興味はない」
 そう言った次の瞬間、景色がぐるりと回転し、ザザンは温泉の中に突っ込んだ。
 「……何をする」
 「誰が子供ですってェェ!? マザコンザザンちゃぁぁん?!」
 「……本気で怒るぞ」
 「おーおー、やって見せなさいよ! イ○ポめ!」
 ラーライラが聞けば、卒倒してしまいそうな言葉遣いだ。突然ザザンは彼女の背後に回った。
 「……え?」
 胸に手が伸びる。
 「ひあっ…!?」
 が、それだけだった。ザザンは彼女の耳元に口を寄せ、そっと囁く。
 「もう…止めてくれ。……このままでは…」
 背中の紋章。男の手がそれを撫でた。肩に、明らかにお湯ではない、暖かい液体が落ちる。
21nameless:04/01/20 03:57 ID:i5Yjiy1Y
 「このままでは……本当に…襲ってしまうぞ…」
 「…………いいじゃない」
 「……?」
 スィーは身体を回した。顔を背けるザザンの頬に掌を添える。
 「ねぇ…一つ聞いても良い? ………その…フレアさんを好きになったとき……どんな気分だった?」
 涙の跡を、そっと指先で撫でた。彼は目を閉じる。
 「……罪悪感だ。恨む事しかしようとしなかった……自分の未熟さ故の…」
 「それなら…同じ体験をしたあなたなら……変だとは思わないでしょ?」
 「………」
 「私が今…抱いてる気持ちも…」
 「………アーレスだ」
 「?」
 「ザザンではない。俺の名前は………アーレスだ」
 「そう…。アーレス……」
 掌に力を入れ、顔をこちらに向かせる。
 (綺麗な瞳……)
 哀しさ。寂しさ。そんな色を秘めている気がした。スィーはそっと顔を近付け、彼の唇に口付ける。
 「アーレス…」
 そっと…まるで心に刻むかのように呟き、彼女はアーレスの胸に身体を預けた。
 「……ん……」
 指が胸の上を這う。アーレスはスィーの腰に手を回すと、彼女を抱き上げ、桜色の突起を唇で挟んだ。
22nameless:04/01/20 03:59 ID:i5Yjiy1Y
 「ぁうっ…」
 豊満な乳房を押し上げるようにして揉みほぐし、唇で挟んでいた突起を舌で転がす。
 「っぐ……ぅぁ……」
 (やだ…変な声が出ちゃう……)
 スィーの身体が仰け反る。長い髪が、水滴を飛ばして揺れた。体の中がだんだんと熱くなる。
 アーレスは掌を広げ、乳房を包み込んだ。そしてゆっくりと、掌全体を使うようにして揉む。頭の上から喘ぎ声が聞こえてきた。
 「ふぁっ……ぁぁあっ……うっんっ…ひっあああっ」
 身体が水面から離れた。広げてあったマントの上に寝かされ、スィーは荒くなった息を整えようとする。しかし、アーレスの指が下腹部を這った。
 「あっんっ…」
 金色の、湿り気を帯びた茂みを掻き分け、彼女の一番敏感なところへ至る。
 「やあっ…!」
 身体がひくひくと痙攣する。頭の中に電気が走ったような気がして、自分が快楽を感じているのが分かった。本当にこのまま溶解して、自分の肉体が消えてしまいそうな錯覚を覚える。
 (……!? あっ…ひょっとして…!?)
 「あ…あの、ちょ……ひゃんっ……ア…アーレス……!」
 掠れ声しか出なかった。アーレスは頭を下げると、舌先を下腹部から割れ目まで這わせる。
 (…や…やばっ……この感覚……早く…!)
 何とか手を伸ばし、アーレスの頭を引き上げた。
23nameless:04/01/20 04:00 ID:i5Yjiy1Y
 「……どうかしたのか?」
 「ア…アノ……デスネ。ソノ……実ハ…デスネ……」
 顔をこれ以上ないくらい真っ赤にして、しどろもどろになる。
 (ううっ……折角いい雰囲気だったのに……何で…)
 黙り込んでしまった。アーレスが愛撫を再開しようとすると、首を振って止める。
 「…大丈夫か? ……無理をしなくても…」
 「……私に恥かかせるつもり?」
 「いや。……しかし……」
 何か葛藤があるらしい。
 「………」
 スィーは相変わらず顔を背け、もじもじと悩んでいた。
 (一分でいい。一分でいいから……時間を止めたい……)
 と、アーレスは突然彼女を抱き上げる。声を上げるスィーには構わず、地面の上に座らせ、背後から抱き締めた。
 「……我慢しなくてもいい」
 バレてる。
 「手伝おう」
 彼のこれ程悪戯っぽい声は、初めて聞いた。アーレスは片手で胸をまさぐり、もう片方の手を下腹部に這わせ、足の付け根をさする。
 「あっ、イヤっ…そんな……」
 我慢の限界を感じた。
 「………あ………」
 びくんと、身体が大きく痙攣した。やがて下半身の一点が暖かくなり、足の付け根から琥珀色の液体が、放物線を描いて噴出する。地面に音が響いた。
 「………!!!」
 もはや頬を染めるどころではない。
24nameless:04/01/20 04:02 ID:i5Yjiy1Y
 (初Hしてる最中に……オシッコなんて……!!)
 王位継承者である自分が。
 王位継承者である自分が。
 ごめんなさいネーネ。
 ごめんなさいライリー。
 「……え? ちょっと…」
 再び愛撫を始めようとしたアーレスを止めた。
 「や……こんな…臭いのに…」
 「気にはならない」
 「私が気にするの!」
 そうか…と呟き、アーレスはスィーを抱き上げると、また温泉の中に入る。
 「これでいいか?」
 「ん……」
 男に小用を足す場面を見られた女性は、この世に何人ほどいるのだろうか。分からないが、極めて少ない事は確かだ。マントの上に寝転がり、スィーは自分と目の前の男からたち上る湯気を見る。
 恥ずかしさで目を合わせようとしなかったが、アーレスが頬に唇を当てると、やがて首を回して自分の唇を触れ合わせた。
 「んっ…」
 舌が入ってくる。一つになった口腔で、二つの舌が絡み合った。
 「……むっ……んん…んっ………」
 頭の中が、酔ったようにぼうっとなる。唇が離れた。そしてアーレスの指が、また割れ目を攻める。
 「ん…ああっ!」
25nameless:04/01/20 04:03 ID:i5Yjiy1Y
 ジュグジュグと濡れた音を立てながら、膣内が掻き回されていく。どうしようもないほど下半身が疼き、スィーは何度も身体をくねらせた。汗で湿り気を帯びてきた胸に接吻を受け、その疼きは更に激しくなる。
 彼の頭を抱き寄せ、震える声で男の名前を呼んだ。男も女の名を呼ぶ。
 「ふんぁっ…ア……レス…!」
 「スィー……」
 すっかり硬くなった薄紅色の突起を指で挟まれた時、体中に電気が走ったように大きく震えた。
 「ひあんんっ、はっ……ぃう…くあ…ぁああ…ぁぁっっ」
 スィーは彼の白銀の髪に口付ける。アーレスは顔を上げ、また唇を合わせ、舌で彼女の口腔を掻き回した。下方に伸びた指の動きも、一層激しくなっていく。
 指が離れた。
 「……行くぞ」
 荒い息で声が出ず、コクンと小さく頷く。
 アーレスは下着ごとズボンを下ろし、片手で何とか自分自身を取り出した。既に充分な大きさと硬度になっている。そしてその先端をゆっくりと、肥大したクリトリスに当てた。
 「ぃあっっ!?」
 こんなに大きなものなのだろうか。
 「ちょ…ちょっと……」
 「どうした?」
 「その…ソレってどんな……もの…なの……?」
 少し戸惑いの色を見せたアーレスだが、彼女の背中に手を回すと、ゆっくりと上体を起こさせた。スィーは目線を下げて、初めて見る成人男性のソレに見入る。
 「みんな……こういうもんなの…?」
 「だろうな。………もういいか?」
26nameless:04/01/20 04:05 ID:i5Yjiy1Y
 しげしげと眺められ、彼の顔は久し振りに朱に染まった。が、スィーの手が自身に触れる。
 「っ!?」
 「まぁ……いい…じゃない。私ばっかり……変な声出してさ……」
 触れていた竿を指で包み、少し握ってみると、初めてアーレスの顔が歪んだ。
 「ねぇ…どうするもんなの…?」
 噂で聞いた通りに、握ったまま手首をピストンのように動かし、彼の唯一の弱点をしごき始める。
 「ぅぁ……」
 僅かに開かれた唇から、小さく声が漏れた。暫くすると、手の中の彼自身は微妙な蠢動を始める。
 「……ああ。……そうそう……こうするんだった…」
 腰を曲げ、身体の上下を逆転させると、手で握っているモノにそっと唇を付けた。そのまま口を開いていき、彼自身をゆっくりと口の中に収める。収めきれなかった男根を手でしごきながら、舌を動かして小さな口に含んだモノを何度も撫でた。
 「ぅ……くぁっ…」
 自分の肩に置かれた手を通じて、彼の痙攣を感じる。
 「! ……出…る……?」
 口の中で、男根は一度大きく躍動した。そして次の瞬間、喉の奥に熱いものがぶつかる。
 「……!? ごほっ!」
 堪らず口を離し、咽せ込んだ。
 「…ゥ……苦ぁい…」
 唇の端から白い液体が垂れる。
 「…だ…大丈夫か?」
 アーレスは明らかに動揺していた。その様子を見ていると、だんだん彼が可愛い男の子に見えてくる。
 「……気持ちよかった?」
 微笑を見せたことで、やっとからかわれていることに気付いた。少々憮然としながら、アーレスはスィーの腰を掴む。
27nameless:04/01/20 04:07 ID:i5Yjiy1Y
 「あ。怒った?」
 「いや…」
 「ウソ」
 「怒ってなどない」
 そう言いながら、未だ硬度を失っていない男根を再び彼女の洞窟にあてがった。
 「え? いや、ちょ…やっぱりそんなの入るワケな……」
 が、先端が僅かに彼女の膣内に侵入し始める。
 「!? ぃあぁっっ…!」
 「く……」
 「は……入らないってバ! そんぁ…ひ……っ」
 ゆっくりと…だんだんと、男根は彼女の中に入っていく。
 「…掴んだ方がいい」
 アーレスの肩を握った。
 「ぅあっっ……ぁぁあぁあぁっっ! ひぐあっ!?」
 鋭い痛みが全身に走る。スィーは歯を食いしばり、指に力を入れ、必死でその痛みに耐えようとした。
 (こ…こんなに痛いもんなの!? みんなこんなに痛いの!? 本当にこういうもんなの!?)
 頭の中はそれだけだった。食器棚の角に足の薬指をぶつけたときの、それの何百倍も痛い。いや、比べようがない。身を裂くような激痛に、思わずアーレスの身体を強く抱き締める。
 彼の動きが止まった。
 「……全部入った」
 「ウソ……」
 「本当だ」
28nameless:04/01/20 04:09 ID:i5Yjiy1Y
 確かに、自分の中に自分のモノではないモノがある。そう感じた。痛みに慣れてきて、密着していた上半身を離すと、下を向く。
 アーレスと自分の下半身の一部が、すっかりと一体化していた。結合部から一筋の血が流れていて、膣内の膜が破られた事を確認させられる。
 「…大丈夫か?」
 本当にあの巨大な男根を全て収めてしまったことに、ただただ驚くしかないスィーに向かって、アーレスはそっと尋ねた。
 「ん。……大丈夫…。痛みも、もう……そんなには……」
 「……始めはゆっくり行くぞ」
 そう言うと、彼は腰を前後に動かし始める。
 (え!? ちょっ……)
 「あああああっっ、ふぁっ…!? ひんっ」
 痛みと反比例して、表現出来ないような快感が大きくなっていった。
 多分、あの“かえし”のような出っ張りだろう。それと肉の壁が擦れ、彼女の声が色気を帯びた。
 「ぁはあぁぁぅっ、はくあ……んんっふぅ…」
 臀部の肉とアーレスの腰が打ち合わされ、湿り気を帯びた音が耳に届く。
 (ほんと……に……パンパンとか……鳴るんだ…?)
 そんな思考も、快楽の波によってどこかへ流された。互いの指を組み合わせ、二人で同じ時間を味わう。動きは更に激しくなり、スィーは見えない何かが体内を動き回るのを感じた。それはやがて、暴れながら身体を這い上がる。
 「やはぁっ…ん…な……んか……変……な気分…ぁっ…」
 「俺もだ…。くっ……そろそろか…」
29nameless:04/01/20 04:12 ID:i5Yjiy1Y
 それぞれ絶頂を予感し、腰の動きは極限まで速くなった。彼女はアーレスに抱き付くと、また唇を合わせる。
 自分の中に入っているアーレス自身が、更に大きくなった。次の瞬間、膣内がカァッと熱くなる。
 「ふぁあぁぁあっっっ…!!」
 スィーは背を反らした。自分の中でビクビクと痙攣する男根は、体内に熱すぎるものを注ぐ。
 全てが終わって、彼女はアーレスの肩に顎を乗せ、何度も深呼吸した。アーレスは首を回すと、そっとスィーの頬に口付ける。
 彼女は目を閉じて、そして一度、大きく息を吐き出した。



 (……子供みたい…)
 自分の膝の上ですぅすぅと寝息を立てる青年の長髪を撫でながら、スィーはそっと微笑んだ。
 (起きたら……どんな顔するんだろう…)
 狼狽えるだろうか。
 拗ねてしまうだろうか。
 一人クスクス笑い、アーレスの髪をかき上げ、額に口付ける。
 「………?」
 何かが聞こえた気がした。少しの間首を傾げていたが、急いで膝の上の彼を揺り起こす。寝起き顔も子供みたい……などと言っている場合ではなかった。
30nameless:04/01/20 04:15 ID:i5Yjiy1Y
 「何か…聞こえない…!?」
 「………」
 耳を澄ますと、微かに声がこだましている。霧はすっかり晴れていた。
 「…捜索部隊のようだ。よかったな、これで……」
 そう言い掛けたアーレスの首を、スィーは両手で掴む。
 「逃げるわよ!」
 「逃げる……?」
 「私は今立てないの!」
 一晩明けると、あの痛みはまた甦っていた。
 「……何故逃げる?」
 「ライリーに知られちゃうでしょ! 早くっ」
 アーレスは首を振り、やれやれと言うように溜息を吐くと、彼女に背中を差し出す。
 「……いつまで逃げるつもりだ?」
 「痛みが引くまでっ!」
 困ったお姫様だ。
 「……何よ、それ……」
 「早く背中に乗れ」
 「………ヤダ」
 「は……?」
 「お姫様を抱っこするんだから、もっと相応しいやり方があるでしょ?」
 彼は苦笑を浮かべるしかない。
 「……よっ…と」
 「きゃっ……」
31nameless:04/01/20 04:20 ID:i5Yjiy1Y
 膝の裏と背中に手を回すと、一気に立ち上がった。スィーはアーレスの首に掴まる。
 「さあ、急いで頂けるかしら? 王侯騎士団団長サン?」
 「……了解」
 リリーヌ率いる捜索部隊が二人を見つけるのは、それから二日後のことだった。

 ……終わりです。妄想の世界に入ってしまってますが。
 勢いで立てたスレッドですが、どうなるんでしょうか…。
 何とか消えないように頑張りたいです。
 それでは・・・。
32名無しさん@ピンキー:04/01/20 04:25 ID:jffgqVer
リアルタイムでNANASIさんキターーー-!!!
激しく萌えさしていただきやした。
エチに到るまでの過程が萌え萌えっす!
33名無しさん@ピンキー:04/01/21 06:01 ID:F6mWRo7V
このゲームってさ、エロゲーになったらしいけど、アーレス×マーサとかあんの?
あるんなら買ってみようかな・・・なんて思ってはいるんやけど。

>>5
楽しませて貰いやした。
よかったらこれからも書いてほしいな・・・と。

一応age
34名無しさん@ピンキー:04/01/21 13:03 ID:MGI02mgs
初代アーレス×アクアキボンヌ
35名無しさん@ピンキー:04/01/21 17:43 ID:ayrYSOue
二代目アーレス×アクアキボンヌ。
つーか、クイズの成績なのか?
アクアが人間になって、一緒に国を作るぞ! ってそっけないエンドだったけど。
36名無しさん@ピンキー:04/01/22 02:08 ID:EGDuWcp8
これでエロパロするといえば…
やっぱ、要望が多かったのに実現しなかったタツタ×ラーライラだな。
37名無しさん@ピンキー:04/01/22 06:18 ID:LpdtA9WP
タツタが死んだとき、思わずガッツポーズを決めてしまった俺ってばもしや少数派?
38名無しさん@ピンキー:04/01/22 12:23 ID:b+0exx7w
>>37
バッキャロー!俺なんて小躍り決めちまったぜ!
39nameless:04/01/23 01:36 ID:F8jZ90ka
タツタ、あまり人気がないんですか?
個人的には、ラーライラとのカップリングは大好きなんですけど。
アーレス×マーサも好きなのですが、書くのは難しかったですね。義母と養子の葛藤が凄まじくて…。
また送らせて頂きます。短いですが、これ以上シーンは想像出来ませんでした。
40nameless:04/01/23 01:37 ID:F8jZ90ka

 【LOOK ME……】

 曲が止む。
 祭壇の中央の女性は目を開けると、ゆっくりと立ち上がった。肌の表面の水滴が篝火に照らされて光り、彼女の姿を一層神秘的にしているような気がする。
 楽器を手にしている人々と短く言葉を交わし、彼女は神殿の外で、こちらに背を向ける青年の方へと歩み寄った。
 「……お待たせ」
 肩に手を置く。彼は剣を収め、自分の義母を振り向いた。
 「…どうだった?」
 質問の意味が分からず、アーレスは首を傾げる。
 「また……見てくれてなかったの?」
 「警備中だ」
 ふぅ…と、マーサは小さく溜息を吐いた。
 「ちょっとくらいは……」
 「その“ちょっと”の間に、何かあっては取り返しが付かない」
 大事な儀式の最中である。彼が過剰なまでに周囲を警戒するのは分かるが、それでも予想していたのと寸分違わぬ返答に、マーサは再び溜息を吐いた。
 「……ちょっと……散歩して行かない?」
41nameless:04/01/23 01:38 ID:F8jZ90ka


 村の外れの小川。草むらにマーサが座ると、アーレスも彼女の隣に腰を下ろす。
 「……もうちょっとこっちに来たら?」
 一瞬…ほんの一瞬だったが、彼は戸惑いを見せてから、僅かに腰をずらした。
 (……どうしたのかしら…)
 嬉しそうに走ってきて、自分の膝に腰掛けていた頃を思い出す。立ち上がってアーレスの直ぐ傍に腰を下ろし、彼の顔を見た。肩が触れ合い、アーレスはビクンと震えてそっぽを向く。
 「……ねぇ、アーレス?」
 「ん…?」
 「何か隠してない?」
 「いや」
 彼のこれ程の即答は珍しい。明らかに何かを隠している……そう思ったが、マーサはそれ以上追求しなかった。
 「………綺麗な月ね」
 「…ああ」
 そう言ったきり、二人とも言葉を止める。アーレスは目を動かして、義母の横顔を盗み見た。

 この世で一番美しい人は?

 もし、そう問われたなら…。
 (やはり……マーサだな…)
 彼女しか考えられなかった。自分が記憶する一番古いマーサの顔と、今こうして自分が見ているマーサの顔。確かに違ってはいるが、不思議と歳は取っていない。いや、年を重ねる毎に、ますます美しくなっていると感じられた。
42nameless:04/01/23 01:39 ID:F8jZ90ka
 (………最低だっ!)
 自分が、である。
 豊満な胸
 綺麗な瞳
 いつも潤っている唇
 滑らかな身体のライン
 そして……繊細で、赤子のように白い肌。
 自慰の妄想の中で、自分は何度育ての親である彼女を汚してきただろうか。そして朝起きて笑顔で挨拶する彼女を見て、何度、心が爆ぜるような罪悪感に苛まれてきただろうか。
 「……ねぇ、アーレス」
 不意にマーサは立ち上がり、歩き出した。ある程度アーレスから離れると、くるりと振り向く。
 「今なら…いいでしょう?」
 「………ああ」
 二,三度深呼吸を繰り返すと、彼女の足は地面から離れた。

43nameless:04/01/23 01:39 ID:F8jZ90ka


 私は彼を愛している。
 自分が育ててきた彼を。
 それも……親としてではなく、一人の女として。
 (私を……見て)
 あの時。彼が初めて、一緒に風呂に入るのを嫌がった時。自分の気持ちに気付き、愕然とした。
 母さんではなく、マーサと…名前で呼ばせていた。確かに、血は繋がっていない。
 (……アブラーム……)
 あなたは何故、彼を私に預けたの…?
 いくら名前で呼んでも、アーレスは自分を母として見ているだろう。しかし、それでも…。
 (私を……見て)
 私を記憶に刻んで。私をあなたの中に居させて。
 (アーレス……)
 踊り終わったとき、不意に抱き締められた。


44nameless:04/01/23 01:40 ID:F8jZ90ka

 妖精……いや、精霊。そう見えた。
 大いなる使命を負う女性。“神の杖の紋章”を持つ、“神の唄”のマーサ。
 遠すぎる存在。
 近寄りがたい存在。
 まるで自分の手の届かない存在のような気がして
 気付いたら、彼女を抱き締めていた。
 「…アーレス…?」
 マーサは少し驚いたように呟く。彼女の声を聞いて、彼はやっと安心した。
 (ここに…いる。……手が……届く)
 だが、うっかりすれば消えてしまうような気がして、アーレスは更に義母を強く抱き締める。
 「アーレス……」
 マーサは目を閉じ、そっと彼の背に手を回した。



 間違いない。男の…一人の男の手だ。
 (あっという間に……大きくなってしまったわね)
 まるで、少しでも早く自分に追い付こうとするように。
45nameless:04/01/23 01:41 ID:F8jZ90ka
 「……マーサ…」
 「いいの」
 彼女は静かに首を振り、男の手に自分の掌を重ね合わせた。
 「何も……言わないで」
 男は自分の上に被さる。そして顔を近付けてきた。
 秘め事の始まり…接吻の瞬間を隠すように、アーレスの銀色の髪が垂れ、二人を覆う。月も全てを理解しているかのように、厚い雲の中へと隠れた。
 「…んぁっ……」
 閉じていた唇から、少しだけ声が漏れる。アーレスは片手で胸の双丘を撫で回しながら、もう片方の手を下に移動させ、ローブをはだけ、下腹部の茂みに指を這わせた。マーサは顔をやや赤くして、彼の服を掴む。
 「………マーサ……」
 耳元で囁き、首筋に口付けた。マーサの身体が強張り、震える手でアーレスを抱き締める。
 「アーレス…私は……あなたを…」
 目を閉じる事が出来なかった。閉じれば、きっと涙が溢れてしまうだろう。
 「愛してる……マーサ…」
 「…………」
 アーレスはぎこちない手つきで自分の服をはだけると、さっきから硬くなりっぱなしだった彼自身を取り出す。それを、頬を染めている彼女の足の付け根に近付けた。
 「……もうちょっと下よ…」
 戸惑っている彼にそう言うと、手を伸ばし、彼自身を掴む。
46nameless:04/01/23 01:42 ID:F8jZ90ka
 「ぅっ…!?」
 「まだ…子供なのね」
 出来るだけ優しく微笑み、それを自分の中へと迎え入れた。
 「ん…ん……ぅふあっ……」
 「うぁ……!?」
 ズブズブという微かな音を立て、二人の下半身はゆっくりと一つになっていく。そして完全に彼自身が包まれたとき、アーレスは腰を動かし始めた。
 「やっ……そんないきなりっ…」
 声は続かなかった。腰を動かしながら、アーレスの舌は勃起した乳首を撫で、手は膨らみを揉みほぐす。
 「はぁあぁああっ、いっ、あっ……ふっぅっ…」
 一つ。一つになっている。
 ここには二人だけ。二人だけしかいない。
 「………綺麗だ…」
 そう言って、アーレスは自分の下で息を荒くする彼女に口付け、互いの指を組み合わせた。
 「マーサ……マーサッ…!!」
 「アーレス……!」
 絶頂を迎え、マーサはアーレスを強く抱き締める。同じく達し、体を痙攣させたアーレスは、荒い息を吐いた。

47nameless:04/01/23 01:43 ID:F8jZ90ka

 「マーサぁぁっ!!」
 彼が自分の名を呼ぶ。
 「『コズミック・フレア』!」
 灼熱の炎が、自分に向かって放たれる。
 全てがゆっくりだった。
 (アーレス……)
 そんな顔をしないで…。これは……仕方のない事。
 息子同然のあなたを愛した事を、私は後悔していない。
 幸せだった。
 (…さようなら…)
 世界で一番大切な人。
 私が愛するあなた。私を愛してくれたあなた。
 (もし……生まれ変われるのなら……)
 視界が真っ赤になる。自分がこの世から消えていくのが、手に取るように分かった。
 (もう一度……あなたと……)
 一瞬、彼の姿が見えた。その彼に向かって、最後に精一杯の微笑を見せる。

 さようなら…………私を見てくれた人……

48nameless:04/01/23 01:47 ID:F8jZ90ka
終わり…です。
今更、アーレスのマーサの呼び方が心配になってしまったり。
シリアス……もっと妄想して、いつかリベンジを行いたいです。
それでは・・・。
49名無しさん@ピンキー:04/01/23 10:38 ID:DF/Gi+QR
>>1さん乙カレ-

世間じゃアレ扱いだけど、俺は色々と思いで深いんでエクソ好きだよ!
主人公の中じゃアーレスが一番好きだな。シナリオはやっぱ現代だけど。
50名無しさん@ピンキー:04/01/23 18:40 ID:Xzblb83s
現代はどうもキャラが好きになれんかった記憶があるなぁ…
妹の方もイタい子やったし。
51名無しさん@ピンキー:04/01/29 17:31 ID:xzJpOQI4
>>1さん

エガッター(*´Д`)乙!

キャラではやっぱアーレス好きだな。
おなごはアクアなんだが…
52名無しさん@ピンキー:04/01/30 01:02 ID:tBzBPorU
記憶消してもっかいエクソやりたいよ…
53名無しさん@ピンキー:04/02/05 17:53 ID:s5ANJ+r7
アクア×クエイク期待上げ
54名無しさん@ピンキー:04/02/05 23:55 ID:dw0aV+PI
アーレス×アクアに萌えて公式カプに顎を外したのは俺だ・・・
懐かしい・・・
55名無しさん@ピンキー:04/02/18 12:34 ID:qSeBrhEu
アーレス×フレアに萌えて、本編での展開は素直に嬉しかったんだけど
もしかして少数派なのか?
56名無しさん@ピンキー:04/03/03 16:22 ID:9MPxxZRv
57名無しさん@ピンキー
タツタ揚げ