【天使禁猟区】由貴香織里総合 No.2【伯爵カイン】
1 :
щ(゚д゚щ)カモーン:
★由貴香織里の漫画、「天使禁猟区」や「ゴッドチャイルド」他短編集
総合エロパロスレッドです。
★職人さん随時募集中。降臨お待ちしております。
★同性愛は基本的に禁止の方向でお願いします。
(ただし需要があった場合はその限りではありません。)
★人がいないときはみんなで雑談でもしましょう。
★職人さんは一回の投下の後、「続く」や「終わり」の
言葉を文末にいれてくださると助かります。
☆以下の投下途中の作者皆様、お帰りをお待ちしておりますので、
不都合なければ是非お戻りください
・原宿様……ミカエル×ベリアル
・依知様……ルシファー×アレクシエル
・ナジ様……アスタロト×ベリアル
前スレ 「天使禁猟区でイこう」
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1050321911/
2get&1さん乙
1さん乙!
うはぁ!前の落ちたのか……。
1さん乙。そして保守書き込み。
保守保守。
まさか落ちるとは・・・
あ、1さん乙華麗。
>1さん乙!
ウリー×ドール萌え(書き逃げ)
保守
ラファエルの女天使遍歴を…。
百戦錬磨な彼でも、純粋?な頃が会ったはず。
10 :
ミンロウド:04/01/09 20:45 ID:uBdVP5vj
再び1さんお疲れさまです。
そっかー。量は関係なかったのですね。
じゃ、ちょっとまとめて投下します。長くて読みにくいかもしれませんが
どうぞご容赦ください。
……あー……ラフィ×バビいつか書きたいなぁ。
で、やり直しやり直し。
改めてお断りさせていただきます。
私の書いているのはオリジナルキャラクターモノなので
その類が苦手な方はお手数ですが、作品名とさせていただいている
アイゥオーラ 、をNGワードにいれてくださると幸いです。
私も作品に関係があるときは上記コテハンで書き込みをしますので
合わせてNGワード登録をしていただければと思います。
割と特殊な傾向であることは自覚するところでございますので
スレのほうが賑わって参りましたらサイトでもつくってそっちにひっこもうと
考えています。それまでは多少ご迷惑でもよしなにお付き合いくださいませ。
前スレがDat落ちしてから初めて来た方のために。
ストーリーは、一言で言うと、落ちてた女の子を拾ったら記憶喪失らしくて
身元不明なので拾った責任で預かるハメになったミカちゃんの話です。はい。
*
月が笑ったおくちみたいにお空で泳いでいた次の朝のことデス。
ワタシはジブリール様のお部屋に新しいユリを飾ってカラ、中のお庭に出てペルム・プリント
の苗木にお水をあげていまシた。近くに植えてあるムーンリル――サラ様がつけて下さった
ワタシと同じ名前の花 デス♥ ――の中に一つだけまだ花の閉じきってないのんびりや
さんがいたデス。
サラ様が救世使と共に行かれてモウどのくらいになるでしょうか。サラ様のこと思い出し
マス。サラ様、お元気でしょーか。ワタシいなくても平気でしょうかね?
早く早くジブリール様がお目覚めになればいいってお祈りシマス。またもう一度サラ様と
お茶が飲みたいデス。いっぱいいっぱい聞いて頂きたいコトありマス。デモ他の聖巫女いう
デス。『ジブリール様がお目覚めになるときはサラ様が亡くなったときなのよ』っテ……。
ジブリール様に会えるときはサラ様が亡くなったとき。ジブリール様目覚めて欲しいです
ケド、サラ様に早く亡くなって欲しいだなんてワタシ決して思ってないデス。
どうしたらいいのかワカリマセン。
開きっぱなしのムーンリルの花の傍にしゃがんでいたらちょっと涙が出てきたです。気づ
いたらそのお花も閉じていて、ワタシ長い間そうしていたみたいでした。ベールの端っこで
涙ふいて、立ちました。
こんなことじゃいけないデス。サラ様に笑われてしまいます。救世使様と一緒で、きっと
サラ様はお幸せデス。だからワタシの寂しさなんかどーってありまセン。我慢できるデス。
サラ様は長生きして幸せに過ごされて……いつかジブリール様として戻っていらっしゃいます。
ワタシはジブリール様のおそばで、ずっとずっと待っていますデス。
ガッツポーズして、大きくなったほうのペルム・プリントの木にお水をあげようとしたら影が
かかりました。雲が出てきたのかと思って見あげたデス。ペルム・プリント、お日様にヨク
当たらないと綺麗な色が出まセン。
デモ違ったです。雲じゃなかったデス。
ソレは羽を広げて舞い降りてきた天使様デシタ。
「よっと」
着地なさって、肩に担いでいた女の方降ろしマシタ。
赤い髪で、ほっぺたに龍の刺青がしてある、男の方としてはチョット身長の低い方で、見た
ことある方デス。救世使様と一緒にいらした方。怒ってラファエル様を殴ってらした方だった
です! お名前は確か四大天使の――
「ミカエルさまー、目が見えませーん」
そうミカエル様デス。お連れになった金髪の方はクラクラして目をまわしてらっしゃるよう
でした。手の甲を顔に当てて上を向いてマス。
「ほっとけ。そのうち見えるようになる。おい、お前!」ミカエル様ワタシを呼びました。
「ジブリールどこだ」
「エエット」
ワタシ迷いましたデスけどご案内いたしました。ミカエル様がお先にたたれたので金髪の
女の方、急いで追いかけようとなさったデスがお目のほうがヨク見えていないらしくてふらふら
してたデス。
「大丈夫デスかー? 歩けるデス?」
傍にいって支えて差し上げたら、片目開けてワタシを見上げて、
「ごめんなさい。ありがとうございます」
びっくりしました。とっってもジブリール様に似ておいでデシタのです!
「〜〜、ミカエルさまー」
「とれーんだよお前は。待ってるか、来んならさっさと来い!」
まじまじ見てみるとそれほど似てもいないみたいデス。この方瞳の色濃くて髪も薄い金
ですし、お鼻のすじもジブリール様の方が際立ってます。一瞬同じお顔をしているかのよう
に見えましたけど、 面差しがひどく似てる感じなのでそう見えるみたいデスね。
その方はしばらく歩くともう大丈夫、と言ってワタシの手離しました。瞳の横のほうでみる
とやっぱりジブリール様に似てるデス。背丈はずっと低くても、姿勢とか、歩き方とか 、これ
で髪を隠してジブリール様ととりかえごっこしたら、ワタシより長くバレないかもしれまセン。
「あ、そこのお部屋デス」
前を歩いていたミカエル様に教えて差し上げますと、ミカエル様は扉を開けて中に入って
いかれマシタ。その金髪の方も入っていかれました。ワタシも入ったデス。
ジブリール様は椅子に腰掛けてらっしゃいマス。今朝みたのと、昨日みたのと、一昨日
みたのと、一年前みたのとも同じ表情で、少し憂いを秘めたようなお瞳も伏せがちにお美しい
ままで座ってらっしゃるデス。
ミカエル様はそんなジブリール様の傍まで行って、お話しかけになったです。
ワタシもジブリール様に話しかけることありマス。けれどジブリール様はお答えしてくれる
ことありまセン。ミカエル様は『アレ』とか『下層に行くときに』とか言ってます。ジブリール様
のおことばきこえてるのでしょーか?
金髪の方ドアの傍に佇んでジブリール様とミカエル様を眺めてらっしゃいマス。目を細めて、
それはいとおしそうに、微笑みながら眺めてらっしゃいマシタ。小さく、おことば発されたデス。
小さすぎて聞こえなかったデス。
「んじゃ貰ってくぞ」
と言ったミカエル様ジブリール様の髪の毛を一本抜かれマシタ!
「えっ!?」
ワタシ慌ててジブリール様にかけよりましたデス。ミカエル様は早足に身を返して、
「おっしゃ、行くぜ」
金髪の方にお声をかけられて出て行ったデス。金髪の方、ついていこうとなさりました。
開いたドアの向こうまでいって、振り返って頭を下げられたデス。ジブリール様にだったのか
ワタシにだったのかはわかりまセン。とても丁寧に頭下げられました。あげたお顔は優しい
優しいご表情だったデス。サラ様がわらったときとはマタ違った感じの……そうデス、ワタシが
精霊天使だったころに一度だけ見たジブリール様の微笑みかたに、そっくりだったのですわ。
そして、行ってしまわれマシタ。
ワタシはボーっとしながらジブリール様の前で膝ついてジブリール様をみたです。
「ジブリール様……」
ご返事はやはりなかったデス。一点を見つめていて。ワタシを見てくれなくて。笑ったり
怒ったりしてくれていたのが嘘だったみたいに。
ワタシ何度も何度も話しかけました。
でも、ジブリール様のおことばは、ワタシには全然聞こえなかったデス。
*
脳天に、叱責ともなう手刀を頂こうとも、褪せぬ喜悦はなにゆえか。
実に単純なこと。
『神の如し者』の名を戴く能天使の長であり、四大元素・炎を司る天使ミカエルは数日間
非常に忙しくしていた。珍しいことに、事務作業的な面倒を片付けていたからだ。活字を
読むのが大嫌いである彼が進んでその面の仕事をやりたがるはずもない。
溜まりに溜まった処理すべき書類と他部署との連動ごとの膨大さは長い間放置して
あった賜物、片づけるのに一日や二日の時間では到底足りる道理がない。
それでも優秀なカマエル副官が、大部分を肩代わりして行っていて、彼に届いている
仕事の実際はその倍以上だということを踏まえれば、まだしも楽と言えぬこともない
はずであるが。
その間、彼の預かり女、ルシアはちょこちょこと 手伝いに仕分けや済んだ書簡と期限
切れの書契廃棄と掃除に勤しむかたわら、緑茶に入れないミルクの謎に挑戦していたが、
結局理を得ることはなかった。
ようやく、ほとんどに決着がついた夕べのこと。食事の終わる寸前のこと。
「明日、物質界遊びに行かねーか?」
この言葉を喜ばずして、一体何を喜ぼう?
本当のところ。実際のところ。彼女は記憶が戻らないとされているが、たまに一人で考え事
をしている折には思考にかかる靄の向こうに確固たるものがつかめそうになることもある。
たぶん、それをしかとつかんだなら、いまは脳から出せぬ様々な秘密が既知のものと
して把握することができるのであろう。
だが、手はのばさない。
記憶などいらない。
彼の傍にいられなくなるなら、そんなものカケラだって要りはしない。
そうして彼女は薄く、笑った……。
*
「行って来いよ」
「え……でも……」
ただようバニラとチョコレートの甘い香り。
ルシアは表面的ばかりは戸惑いを見せながらもちらちらっと視線を送って、だがすぐ
我慢しきれない顔を隠しきれずに肩をあげる。
「すぐ、すぐ行ってきますから!」
身を返し、子どもっぽくたたたたっ、と軽い音を立て舗道を靴底で叩き走り行く。先ほど
例の店を見かけてから通り過ぎ、この地点まで来る中、ずーっと気にしているのを気づか
れていないとでも思っていたのだろうか。
移動クレープショップ。
欲しいなら欲しいと言えばいいのに。初めて見る物質界に興奮しきって 人目を引くほど
はしゃいでいるのに、静かにしろと放った手刀が効いているのに違いなかろうが。
雑踏の往来に突っ立ってるのもなんなので、端によって戻ってくるのを待つ。
物質界に来るのは幾年ぶりか。前に来たのは地球の時間が止まっている最中だから
――動いてる物質界に来るのはたいぶ久しぶりということになる。
何も、権天使以上の位には禁忌の物質界へ遊びに来るのにまで、いくら保護観察対象物
だとはいえルシアを伴わなくてもいい。留守番をさせて、誰ぞから通信や訪問があったなら
手が離せませんとでも言わせておけば。なのに彼女を誘ったのは、それほど、大した
理由があるわけじゃない。
すっげぇ喜ぶんだろうなって、思っただけだよ。
誰とはなしにいう。なんでもないようなことで無邪気に感嘆する様子はなかなか新鮮味が
あって面白いから。ちょっとした間違いを指摘してやれば豊かな反応を示して落ち込んだり
不思議がったり して。……あえていうなら 、横や後ろに彼女がいる居心地が別段悪く
ないことは、あげてもいい。
遅ェ。列を作っている様子もない店でクレープ一つ買うには釣りが返ってくる時間が過ぎた
頃、ミカエルは顔を上げて彼女の軌跡を見やった。
見なかったことにして、通り過ぎるだろう。もし、関係がなかったならば。
「あの、馬鹿」
経過も事情もへったくれもなく、場景ままを述べると、彼女は、ナンパされていた。
男三人に女が一人では明らかに数が合わないだろうに、キャンピングカーの類似品の
ようなクレープショップの前で背丈のひっくい少女を囲み、男たちは馴れ馴れしげに肩に
触れたり腕をとったりと。
今でさえ、その男たちのように生まれ持った黒色の髪が気に入らないらしい若い男女が
染めて明るい色をしていのが稀少でないゆえ、この国を普通に歩くこともできるけれど
(300年前ならとっつかまってる)、ミカエルがそうであるように染色、脱色では決して出ない
色合いの髪はなにをせずとも目立つ。並んで歩けば輪をかけて目立つので、せめて、
結い上げようとも半端ない長さの髪だけは 肩口すぎまで短かくして、ジブリールの髪を
より混ぜた紐で結び、伸びないよう抑制している。とはいえこの国の人間にしてみたら
ルシアはまるきり外国人。柔らかい物腰や拠り所なさそうなそぶりはいかにも世間知らずの
それであり、だますにしろ遊ぶにしろ 言語が通じるならてごろに感じられるだろう。
ルシアは事実をよく飲み込んでなく、困惑よりむしろ怪訝そうに彼らを見返している。
ミカエルの視線に気づいた。ミカエルさま、と彼の耳には届かない声で名を呼び、
彼らの隙の抜けて戻ってこようとする。が、腕を掴まれてそれも叶わない。
嫌だが、仕方ない。
「俺のツレになんか用か」
行くとルシアはうろんげに周りの男たちを見上げ、ミカエルに顔を向けた。笑ってる
余裕があるなら自分でなんとかしろ。思うがしかし笑みの中にも薄く念が込められてる
のを気が付かないわけにはいかなかった。
どーすっかな。殴りあいになっても困らないが人通りで騒ぎになるのはまた面倒だ。
男たちはミカエルの存在を特に重視もせず、自分たちだけで話を続ける。
「ミカエルってあれじゃん? エライ天使の名前だろ? なに、こんなのにそんな名前
ついてるわけー?」
本人だ、バーカ。
「しかも様、だってよ。もしかしてなりきりってやつ? 私は前世が天使だとかいってる
ネットで集まってるデンパ」
「やーだな、痛い子ちゃんー?」
「ま、かわいーからいいじゃん。ねー、こんなのよりさあ、俺たちと遊ぼうぜ。いいところ
いっぱい案内したげるからさ」
ルシアの表情があっけにとられていた。まま、言う。
「お断りします」
「つれねーなー。そんなにこっちのガキがいいの?」
「こいついっちょまえに龍のタトゥーなんかしてるぜ」
「ペーパータトゥーだろ。すげーな、ガイコクじゃこんなのも売ってんだ」
「おいお前」
身長差の加減でどうしてもミカエルが見上げる形になるのがいっそう調子づかせるのか、
ミカエルに対して哀れなほど軽率にその肩に肘を乗せる男一人。ニヤニヤといやらしく
笑みながら、耳元に口を寄せて囁く。
「痛い目みたくねーだろ? あの子置いて、どっか、行け」
ミカエルは黙って腕を払いのけた。さほど力を込めてはいないが――
「いってぇなぁ。ヒトがせっかく穏便に済ましてやろうとしてんのによぉ」
「ちょっと調子に乗りすぎなんじゃないのー?」
もう一人寄ってきて、一人がルシアの腕を掴んで拘束している。不穏な空気に辺りは
人が避けて行き過ぎていく。男たちは既に何事もなしにこの場を収める気にはない様だ。
背のある男二人に詰め寄られても、ミカエル自身はわずかたりとも動揺や引けをとる
ような態度はない。当然だが。
拘束された手の中でルシアがばたばたともがいている。不快も露わにきっぱりと、
「触らないで」
彼女の腕をつかんでいる方は酷いなあ、などと気楽にせせら笑っている。
「んだその目。人の国に来て礼儀がなってねーんじゃねーのー?」
「女連れで呑気にガイコク見物か? ナマイキなんだよ、 さっさとひっこめば怪我
しなくて済んだのによぉ」
交互につけてくる因縁も所詮はサルの戯言だ。受け流して隙をつき、当て身でも喰らわ
せてトンズラすればいいやと思っていた矢先。
「なんとか言えよこの、チビ!」
殺そう。
先に練っていた思惑を全部覆す。殺そう。
「お? 怒ったのか? 何度でも言ってやるよ、ちーび、ちびちび、おちびちゃーん」
いくつかのことが同時に起こった。
ミカエルの肩を押しやった男の手に火花が爆ぜる。
凛然と言い切る声は高く。
「その人に、触らないで」
と。
男の――ミカエルにとって左にいた――頭がもとあった場所から体ごと、跳ぶ。右の
男は一瞬では状況が理解できない。ルシアを捕らえていた男は向こうで鼻から血を
噴出して膝を突いている。
ミカエルも思わず瞠目する。顔を朱に染めたルシアがいる。蹴り飛ばしたのだ。
「んなッ!?」
「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああッ!!」
ルシアは、彼女に向かって猛抗議をとばそうとした右の男の顎を跳躍と共に殴りつける。
体制をくずした腹を蹴り、男の口からこぼれた唾液が頬を汚したのを気にかけることも
なく振り払うように裏拳。
女の悲鳴。
何やってんだ? あいつ。ミカエルは、怒りも忘れて妙に、冷静になって、ことを眺めて
いた。いい動きだ。戦闘訓練もあながち無駄ではないらしい……。
地に伏していく男をなにか言葉にならない言葉で絶えず罵りながらルシアは下から
背中に手を回した。神経質そうにその手が震えている。
マズい――
起こり得ることがわかったわけではないが嫌なものを直感して、ミカエルは彼女の腕を
掴んで引いた。ルシアはまだ責め足りぬとばかり、引きずられながら掴まれていない
ほうの腕を振り回して 真っ赤な顔で今度こそもうめちゃめちゃに喚き散らす。
一秒唾を飲む間を置いて、発声のいい甲高い叫びが響き亘る。
「呪われろ!」
なんだそりゃ。
「許さない! 絶対許さない! 絶っ対に許さないッ!!」
後ろ向きにたたらを踏むような格好で腕を引かれるルシアは興奮しきって先ほどから
ぶつぶつと、というにはあまりにも大きな声で怨嗟の声を散々に振り撒く。 時々『呪われろ』
とか、『地獄に落ちろ』とか程度の低い、しかしやたら怨念のこもった言葉も吐く。
おかしい。
彼は、どちらかといえば、騒動に巻き込まれるよりは中心にいるほうであり、仲裁に
入るよりは仲裁をされるほうに属するはずだ。決してこんな、キレて大騒ぎしている女を
引きずって走るようなことは今まで一度だってあったことがない。
ズレている。意識に上らないまでもそれはしっかり感じていた。
大分離れて追ってくる者もなく、人気のない公園の一角まで来て、ミカエルは掴んで
いた彼女の腕をはなし――握りこんだ鉄拳を打ち下ろす!
短い悲鳴。の割りに大して痛くもなさそうな顔で頭を抑えるルシア。
「バカかお前は! いきなりなにしてんだ!」
「アキエルの喧嘩用の必殺コンボでうまいこと決まると3日はご飯が食べられないそうです!」
「誰がンなこと訊いたァッ!?」
二度目。さしものルシアもこれには少々眉をしかめた。
「この国は治安がいいぶん騒ぎがあっとすぐサツが来やがんだよ! おかしなマネすんな
って言っといただろ!?」
「だって!」珍しいことに口答えが返される。「ミカエルさまを侮辱されて黙っているだ
なんて!」
忌々しげに路を踏み、怒りに燃えた瞳も薄く紫がかって朱をのぼらせた頬を飾る。
「たかがただのいち人間が軽々しくミカエルさまに触れて! でもそれだけなら許せま
しょうとも! あんな下卑た男にミカエルさまが侮辱されるなんて! チビだなんて!
チビだなんて! それは仕方ないことじゃない、躯がお若いのだから! 背が他の男性
よりお低いのは当然じゃないの! 比べるのが悪いんだわ! それをさもミカエルさまが
劣っているかのように背の低さをバカにするなんて! 許さない! チビだなんて!」
「連呼すんな!」三度目でようやくの沈黙。
「ミカエルさまだって」怒りのあまりか三度の鉄拳がためか、目端を滲ませながら、すん、
と鼻を鳴らすルシア。「お怒りにはなられていたでしょう?」
「俺は……いいだろ」
疲れて――少なくとも精神的には疲れた気分になって、近くのベンチに腰を落とす。
「俺のことで俺がキレんのはいいだろが。そこでてめえが口挟むことじゃねぇだろ」
大きく息を吐く。そういやァ、そもそもなんでこいつが怒ってやがんだ?
騒ぎを起こすと言う点ではややずれた返答に、ルシアはつんけんながら真面目に言う。
「いーえ。私は私のことよりミカエルさまのほうがだいじですもの。それで贖って私は
怒らせていただきます」
「……?」
今、なんつった?
場違いなセリフを聞いた気がして目をあげる。彼女はかなり薄くなったものの、まだ
熱っぽい顔をして口を軽く尖らせていた。
「だって……だって、そうじゃありません? ありえないわ。大事なひとを貶められて
怒らないなんて」
「………………」
思った。この女は、ばかだ。しかも掛け値なしの。口にも出した。
「バカだなお前」
「そうですね」即座に肯定された。一つ間があって付け足される。
「でも、阿呆じゃありません」
顔はもう元の白さを戻していた。
表情に出ないように、ミカエルはうつむいてそっぽを向く。
ミカエルに対し、彼女と同じように思っているものは、控えめにも少ないなどとはとんでも
ない数がいる。だが面と面をあわせてそういうものは、いない。そういったことは本人に
言うものではない。礼儀からいっても。実情がどうあれ、ミカエルの地位では下のものは
そうであって然るべきなのだから。
ルシアは、ばかだ。身の程知らずというより、無知だ。自分とミカエルにある立場の
遠さをわかってない。こんなことも平気で当人を前に言う。
ルシアは、ばかだ。
だから……。
……アホらし。
無言で、両足をあげ、下ろした反動で立ち上がる。歩き始める。
「ミカエルさま?」
「あの菓子」うつむきがちに振り返る。陰になって、顔色が彼女に見えないように。
「欲しかったんだろ? ……あんなとこじゃなくたって買えっから」
嬉しそうに表情を明るめたのをみて、ふと思い出す。
「お前、拳平気か?」
相当力を入れて殴ったはずだ。戦闘訓練をしているとはいえ、純粋に殴り合いの稽古を
しているではない。それなりの経験者ならともかく、素手で殴れば傷めもする。
案の定。
「でもこれ」歩きながら彼女は小さく肩をすくめる。「私がやっても治らないですよ」
どういうわけか痛みを感じないようで、うっちゃってしまってもかまわなそうに言う。
だからといってほっといては悪化するだろう。ミカエルは嘆息する。
「俺、治療系は苦手なんだけどな」
「風に属するちからですものね」
ルシアは首を傾ぐ。確かにそうだが、使えないことはない。
なんとなく彼女の頭をわしわしと撫でると……殴ったあたりが、腫れていた。
「……悪かったな」
「なにがです?」
「なんでもね」
こいつはばかだ。
でも、悪い奴じゃない。
記憶を失くす前は一体どんな奴だったんだろう?
*
心の淵が呟く。いくたびも。とめどなく。仄かに。
偽るな。
誰が? 私。
何を? さあ。
誰に?
偽り。嘘。何のための嘘? 騙す嘘。保身の嘘。慰めの嘘。……守れないとわかって
する約束、嘘。
違う。
……自覚がない。とは、私は私にさえ嘘をついている?
ありうるはなし。記憶を閉じ込めたオルゴール箱。鍵を持ちながら、差し込んでまわして
みることができずにいる。
だって怖い。
"今"はかりそめのモノ。それでも私は幸福を感じている。"今"を失うのは怖い。
だから、箱の中で"昔"が『出せ』と。お前は自分を得て完全なモノになる。だから出せと、
出して本当の自分になりなさいと言うのだ。
それが正しいのだと、本当は私もわかっている。
でも嫌です。
おそらく元の私はまったくただの天使。いなくなっても誰も気づかない程。悪ければ、
悪魔。
どうであれ、私にいくべきところがあれば、帰るべき場所があるなら……いいえ、
なかったとしても。
ミカエルさまのそばに、いられなくなってしまうでしょう?
"今"は一変して、であうことの出来たみんなとは離れることになる。少数とは関係を
続けていくこともできるだろう。けれど、けれど、いと高きに座す大天使さまとはもう、
話すことも一緒にお茶を飲むことも、背中を追いかけて歩くことも、笑いかけてもらう
ことも、ぜんぶぜんぶなくなってしまうでしょう……?
そうなるくらいなら不完全なままでいい。
たとえいつか箱の開く日が来るとしても、せめてそれまでは一秒でも長い時を。
嘘をついて自分を騙しても、この心をつらぬくためにはそれでいい。
それで、いい。
× to be continued ×
1回落ちたの?保守Sage
ミンロウドさま、乙です。いつも楽しませてもらってます。
ルシアの正体が気になります〜。
保守
即死回避sage
>1乙!
ミンロウドさんも乙!続き楽しみにしてます。
>>1乙!
漏れも書き逃げ。ラファ×ベリ萌え。
ついでにアスモ×ベリもっと萌え。
二人の出会いからアスモのオヤジが若き日のベリ子に
フォーリンラブした瞬間とか(*´д`*)ハァハァ
おー、即死クリアしましたね。
書き逃げだったらラジ×シャト萌え。
*
時間とともに隅に追いやられていった太陽が、最後の抵抗に空の半分を薔薇色に燃え
あがらせたのもすっかり藍に喰いつぶされて、今は情けばかりにチラチラ光る星々をちり
ばめた黒の天蓋が 、堂々たる様子で人の世の頭上を覆っている。
我先争うように吹きつける強い風。彼女は舞う髪を押さえ、初めての眼に映る光景に
ほぅ、っとため息をついた。同じようなものを見たことがある。
『とても綺麗よ。よく行くの。あんたにも見せてあげたいわ』
そういったシャルが代わりにと収めてきてくれたグラフに映っていた、メギドの丘に咲いた
輝く花たち。夜ごとに死者を慰む幾千もの花々だ。美しかった。あたたかい光はなるほど、
死者のみならず、悼むものの心さえ癒されよう。
しかしこちらはまた性質の違った美しさを誇る。まるで艶やかに飾った宝石。悼みでは
なく昂揚を誘い、心を躍らせる。雲が光を照り返し、街は明るく夜を制した喜びにか、不思
議に昼より高く賑う。 反面、とりどりの色を持って強大な闇を払うさまは、一応には人ならぬ
身である彼女にはひどく健気にも映るのであった。
月が悲しいのだ。親指の爪大の月は小さい。月面の模様もしっかりみないとわからない。
あんなに小さな月だから、闇に差す光がたりないから、人は電飾で夜を照らすんだわ。
星明かりも 微かにしか見えない。
「月も、昔はもっとでっかくって綺麗だったんだけどなァ。いつのまにあんなにちっこく
なっちまったんだか」
たったひとりの彼女の光は後ろから言う。
知らずに口に出したのかと思ったが、なんてことはない、このビルの屋上に上がった
時、真っ先に言ったことばへの返事。
「ミカエルさま」
「ん?」
「恐竜みたことあります?」
「……ねぇな」
期待したのだが。ミカエルは白亜紀にはまだ生まれていないらしい。ではいつ生まれた
のか、御年は幾つなのか。尋ねても教えてはくれない。
タイミングを計っているうちに日が暮れてしまった。
あれから、喧嘩の際背中からだそうとしたもののことを訊いたら、ルシアはあからさまに
目をそらしたので、逃げる彼女の背中に手を突っ込んだらナイフが出てきた。刃渡り十数
センチの赤い刀身に金字で『ルビスト』と銘打たれたナイフは、 クレステルに賭けで勝って
貰ったとか。賭け対象は、
『あのー、ハンデ付きの、百メートルダッシュ……』
さすがに少しあきれた。
気を取り直して、場所を変え、霊気のポイントでアストラル力を溜めたり街で物を買った
りと一日遊んでいたのだが。
気づいたのだ。
無邪気にわらう彼女が時折、砂時計のあるひと粒が落ちゆくようにほんの一瞬だけ、
ひどく痛ましげに目を細めるのを。
まだどこか痛むのか? と問おうとしても、言葉に出す前に流し去られてしまう。
よく笑うから、逆にその一瞬がひっかかる。
気にせぬように努めても、一瞬が不意に心臓をたたく。
強い風の中、ビルの屋上で、月が小さいと嘆いていた。星がたくさん見えないと不満
そうだった。そして今は興味深そうに、たかい手すりにかかとを上げて夜景を眺めている。
「あら?」
かかとを下ろして、彼女は顎を上げた。
「なにかしら? この香り」
「潮だな」
海が近いのか。まだ連れていってない。
「塩?」
「海のにおいだよ」
「海?」
浮いた調子で振り返る。ミカエルは小さく苦笑した。
「行くか?」
「はいっ!」
すごい。
海。砂浜。強い風。高い波。
すごい。
「まっっっくろですね!」
「夜だからなァ。でもま、このへんは昼間でも大して青くみえねーけどな。もっと南の方に
行きゃあ、遠くまで底がみえっけど」
「わぁ……」
彼女は靴を脱ぎ捨てた。寄せては返す波間に足を差し入れて、水に浸って弾力のある
砂を踏む。
冷たい。ばしゃばしゃと蹴散らすと飛沫があがる。波がうちまくところまで歩くと膝が洗わ
れて真直ぐたっていられない。頑張っていたがどうにもこらえきれず、強い波に足をとられ
てやっぱり転んだ。
素敵。
頭までどっぷり海につかって、息をはいた。
ここには元素の全てがそろっている。
風。水。土。……火。
素敵。
背中の中心がちりちりと痺れる。今なら翼ものばせそう。
浅瀬に、腰をついて水面に顔を出す。濡れた頬に風が冷たい。波が体を横向きに過ぎ
ていく。うつむいた。
泣きたい。
声をあげて泣きたい。
みんなみんな涸れ果ててしまうまで。心も涙もことばさえも。
だめ。泣いてはだめ。
まだ悲しくない。まだ痛くない。まだ私は。
まだ。
目を開けた。
波打ち際に、ミカエルはいる。
このひとのそばにいる。
知っている歌を唄うことはあまりない。ほとんどがミカエルの知らない歌であり、詩だって
不明瞭で、唄うというより口ずさんでメロディをなぞっているに近い。
ごくごくたまには、庭先に出て木の手入れをしているときなどには、根元に腰かけて
朗々と吟じていたりもする。ほそっこいからだのどこから出しているのかと、不思議に
なるほどしっかりと落ち着いた声音で。
下半身を潮に落として、つまさきを海面に出してみたり、バタつかせてみたり、水を
掬っては流し、掬っては落として遊びながらの唄は前者。
唄い始める前も、あの一瞬が浮かんだ。今回はほかより長かった。
でも、必ず笑う。
理由をきいてみたいが、言葉にしてみると妙にばつが悪い感じがする。
まァ、いいか。考えるのも面倒だ。聞いてどうにかなるものでもないだろうし。
「お前さ、よくうたってるよな」
「……私には唄しかありませんでしたから」
首を傾げ、遠い彼方を見つめて、ルシア。
「言葉も何もわからないころに、私が持っていたのは唄だけでした。どうして知っている
のか私にもわからないけれど、吟じるべきものが自分のうちにあることだけはわかって
いました。だから唄ったんです。たくさん。それしか、できなかったから。もうクセですわ」
「記憶がねェのに唄だけ知ってんのか?」
「ええ。詩の意味は言葉を覚えるまでわかりませんでしっ……んっ」
顔までの高さの波がぶつかって、言葉が途切れる。彼女は立ち上がって首を振った。
唄う。
みんな何かを持っている みんな何かをもっている
後ろから来る女の一列 みんな何かを持っている
一人は右の手の上に 小さな青玉のほうとう
一人は薔薇と睡蓮の 馥郁と香る花束
器用に、つま先で弧を描きながらターン。
一人は左の腋に 革表紙の金字の書物
一人は肩の上に地球儀 一人は両手に大きな竪琴
わたしにはなんにもない わたしにはなんにもない
身一つで踊るよりほかに わたしにはなんにもない
「……さしずめ私なら、身一つで唄うよりほかに」
「ふーん」
「もしかしたら、私ってものすごい唄好きで、世界中の唄を全て集めては覚えていたの
かもしれませんわ」
「そいつァすげぇ」
まだあがってくる様子はない。ミカエルは波の届かないところに座った。
「ミカエルさまは、あんまりおうたいになられませんわよね」
「お前ほど歌なんか好きじゃないんでね」
「あら。お上手なのに?」
「……聞いたことねぇだろ」
返答は予想外だった。
「ありますよ。えーと……昔々催された、上級天使が神の御前でうたうイベントの中に
四大元素天使の重唱が……」
「はぁ?」
確かに、昔そんなものがあった。しかも、あれは。
「とても綺麗でしたよ。神の前でうたえるのは男性だけでも、ジブリールさまだけは特別
だって……」
「待て。それ記録残ってんのか!?」
「はい」
マジでか。
あれは実に拭い消したい記憶だ。しばらく思い出してみたこともなかったし、誰かの
口にのぼっているのも聞いたことはない。とうに忘れ去られているものだと。
「書物にもたくさん称賛が残ってましたわよ。『中でも驚くべきは炎の天使ミカエル、その
歌声である。私はかの堕天使ルシファーがかつて栄華を誇った時分に、たった一度だけ
彼の歌を聴いたことがある。それは今となっては悔しいほどに美しく感じられたものだ。
だから、四大元素天使の重唱と聞き、自然と双子の弟君のミカエルの歌はそれに相似
するものだと、思った。ああ、私は恥じ入るべきだ。なんという愚かな思い込みだっただろう。
かの方の歌声は決して堕天使と相似などするものではなかった。他のどの天使と比べ
ようと、誰に劣ることもない素晴らしく美しい調べであった』……とか」
暗記すんなそんなもん。
「あれはなァ……」そうだ。あれはジブリールのアホが。
『あなたが言い出したことですもの、約束をたがえたりはしないわよね?』
クソが。
「……賭けに負けたんだよ。忘れろ」
「はあ」
ルシアは体中にへばりついた服を引っ張り、空気を通した。垂れた髪を根元から絞って
いるうちに、手を止め、頬をかく。
「質問してもよろしいですか?」
「なんだ?」
歌のことかと思って、ミカエルは眉をしかめた。
彼女は幾度か深くうなずいて、脈絡もなく酷く無神経な質問が発した。
「ミカエルさま、背丈、気にしていらっしゃる?」
ガクッと、肩の力が抜けた。
決まっている。百六十センチに満たない少年の姿は、永い間彼の深いところに刺さった
爆弾つきのナイフ。爆弾はミカエルが自分で設置した。これ以上奥まで差し込むつもり
なら、触った途端に爆破してやると。
が、あまりにもあっけらかんと尋ねられたので、怒る気にも――むろん彼女を傷つける
つもりにもなれず、かといって答えをはぐらかして済ますような芸当も得意じゃない。
「……悪ィか」仕方なく認める。
「ですよね」ルシアが頷く。
「私思うんですけど、ミカエルさまが背丈など気にする必要なんてありますの? 私も
いい加減……見ればわかる通り小さいですけど、気になんてなりませんのに」
「てめぇは女なんだからいくら低くたってかまわねえだろ」
「では世界に一人しかいないあなたの背丈がいくつでも、かまいやしないじゃありませんか。
背の高さで価値が決まったりはしないでしょう? ミカエルさまは、ミカエルさまなんですもの」
無邪気に、ナイフを押し込んでくれる。この女は一体何考えてやがるんだろう。
何が言いたいのだろう。
「俺は俺、か」
『他人にどう思われようと構わないじゃないですか』
「昔、同じこといった女がいたぜ」
自嘲めいた笑みがこぼれる。
真直ぐな髪。落ち着いた物腰。喋り方。死に顔すら見たのに、記憶の姿は昔のまま。
彼女は、去った。兄を選んで。いや、初めから選択などされていなかった。彼女には、
道は一つしかなかった。
『お覚悟を! ミカエル様――っ!』
「そいつは、悪魔になっちまったけどな」
ルシアはなぜか楽しそうにふふふ、と笑う。
「悪いひとですねぇ。
……それで? そのかたの裏切りが、私と同じ言葉の否定なのだと思われたのでしたら、
それは違いますよ。絶対に違う。そのひとが何をおもってあなたを裏切ったのだとしても、
最後には私がぜんぶ否定します。違う」
彼女が沖に向かって歩くと、急に腰まで沈んだ。胸に波の力を受けて、次に顔を洗われて、
まっすぐ振り返る。まるで詩でも奏でるように、柔らかい声は続ける。
「あなたがあなたである価値は、あなたでなくば得られない。外見が同じでも、声が同じでも、
同じ遺伝子を持っていようとも、そんなことは全然関係ない。
あなたがあなただから、ミカエルさまが世界で唯一のミカエルさまだから。
だから、私は――」
「お前っ! 後ろ……!」
気づいて飛ばした喚起も時遅く、ひときわ高い波が、彼女を呑んだ。
同じ波がミカエルの足元に届いたとき、目前の海には誰もいなかった。
× to be continued ×
36 :
ミンロウド:04/01/15 00:59 ID:WyE+8YJA
ぐ は っ _| ̄|○
ごめんなさい! 知らなかったんです!
ほんっとに知らなかったんです……! うああ……恥ずかしい……
なんのことだかわからない方は本スレをごらんください……。
皆様に心から謝罪いたします。
‖
‖
('A`)
( )
| | って首吊ってても仕方ない。即刻書き直しをせねば。
すいません。サイトとか作ったとしたらちゃんと改訂させて頂きます。
あう。細かいところが大分変わるなー……
見てきますた。えーと……食に関して、で良いのかな?
うん、「食べる必要がない」のと「食べられない」のとは違うので、
あんまり気にしなくて良いと思いますよー。
||
\
と、言うわけ紐をチョッキンとな( ^ ^)/ ||
上手く着地できるよう、頑張って下され!
38 :
ミンロウド:04/01/15 20:59 ID:LYujMFWo
>37
川 ひるるっ どうもわざわざありがとうございます。
∧_∧ 着地いたしましたー
( ゚ A゚)
/つ⌒0 知らずに書いてしまったものはどうしようもないので
Σ l/ ´_ゝ`) ポスッ えー、皆様。今までの食関係の大部分の描写はどうか
| / な か っ た こ と に 。
| /| | これからはちゃんとそっちにそって書きますゆえ。
// | | よろしくお願いしますー。
U .U
あぁああぁぁあ〜ミンロウド様すみません!
私ったらいつも楽しませてもらってる身分で余計な事を!!
>天使はあまり食物からエネルギーをとらない。
>行商のおばちゃんが売ってたような水晶からエネルギーを抽出?するから。
>上級天使になればなるほどそれが顕著で、お茶程度しかとらなくなる。
これは「天使による」とも書いてあるんです。
ミカちゃんみたくいつも暴れまわってる天使は
多分食べ物も併せてとらなきゃエネルギーが足りませんよ〜!
というわけで問題ナッシィング!
続き楽しみにしてます〜
40 :
ミンロウド:04/01/17 17:25 ID:ERyk/qNQ
>39
コ コ の 方 だ っ た ん で す か !? ……うわぁい。
いえ、助かりました。もっと書く前に知れてよかったです。
知っているのと知らないのでは描写が変わってきますから。
ただ……出来れば半年前に教えて欲しかったかなってくらいで(苦笑
頑張って続き書かせていただきます。
*
天が裂け地が破れ海が零れ太陽が失われた。
闇の絹はそれぞれの亡骸を抱き鎖の終わりまでうたい続けた。
全ては同じものとなり個の意味は尽きた。
巡れ。巡れ。巡れ。
数ではなく環。理由のない全。永遠なる不変。
あるのは記憶。願い。力。
故に沈黙を殺し産まれ出よう。
さて、楽園はどこだ?
*
(どこだ――ッ!?)
タールめいて黒い夜の海。浜辺を打つ波。
すぐに顔を上げるだろうと、暫時静観していたのが間違いだった。彼女は投薬されて
いたのだ。突如として呑み込まれた衝撃は驚愕と合わせて充分だっただろう。でなくとも
泳げるかどうか知れたものではない。やっと思い当たって海に目を凝らしても黒以外の
影はなく。これだけ経ってうちあげられない。
離岸流に流されたのだ。
潮水が浸入して重い靴を、脱げばよかったと思った頃には時間を争った。経てば経つ
ほど流される。見つけにくくなる。
(いらねぇことしやがって――)痛罵する。(あの女が悪魔なわけねーだろに!)
いくら睨もうと目の前に変化はない。もう目を使っても無駄だ。
閉じる。
感覚を鋭敏に。出来るだけ鋭く尖らせて。
どこだ? 彼女の気は。まだ近くにはいるはず。さんざ連れていたのだ。探せる。
幻視するように感触を探して気を這わす……。
「――っ!?」
右の額に鋼線で貫かれたような痛みがはしる。
いた。あれだ。けれど、あれは彼女の気というよりは。
「痛ッ!」
ツン、と額にもぐりこんだ鋼線にひっぱられる。考えるのは後だ。
誰も見てんじゃねえぞ――!
祈りながら、力をこめて海の水を噴き上げさせる!
見つけた。掴んだ方向まで一線の噴水の中。水を蹴って翼をのばす。彼女のからだを
抱き留めて、羽をとじる。一瞬の落下感。海に沈む二人ぶんの衝撃。
波に結い具を奪われて、彼女の髪はすっかり元の長さに戻っていた。ようやく上半身が
水面から出て、抱きあげたからだから垂れた金髪は一歩ごとにゆらゆらと波間に揺らぐ。
「ルシア」
乾いた砂面に降ろし、肩を支えて白い顔にはりついた前髪を除ける。額の中央に刻ま
れた青と緑の菱形と三角の徽。そっと手を当てて、消してやる。
「ルシア。目ぇあけろ」
冷たいからだ。力なく上向く顎。液滴を含んで重い睫。
「ルシア」
名前を呼ぶ。
光。ヒカリ。私の世界を照らす、ひかり。
強くまっすぐなあなた。あなたのため。あなたのため。あなたのため。
存在 クズレナイヨウニ
コワレテモ 私
憎悪より激しく ヘイキダヨ
あなたを 絶望よりも強く
悲しみよりも深く ……大丈夫
あなた 怒りよりも色鮮やかに
呪いよりも想いを込めて あなたのため
私 あなたがいるから
閉じた円環がひろがりまわりはじめる。
光明に映し出された。ここにあるものは。
私
祈り
6
ピリオド
証
ヌル
徽
メッセージ
命
形
コトバ
元素の
知らない。
(――そんなことは知らない!)
何も知らないよ。知らない。
……綺麗なあなた。
あなたの髪。深紅に燃える髪は炎を紡ぎだした糸。
あなたのめ。白目がちの瞳は黄玉。
あなたの顔貌。少年のあどけなさを残したかおだち。その身分が決して卑しいものでは
なく、ひいてはただの天使の有象無象とは明確に一線を引かれた存在だと示す。
あなたの手。戦う……手。剣を持ち、幾度となく血に濡れてそのたびに勝ってきた手。
あなたの匂い。強く高く激しく、盛る灼熱の焔。なにもかもすべてを焼き尽くして灰に
する火の香。
二人となきたっとき御方。世界を形作る元素・炎の預かり手。
天使ミカエル。
あなた。
知っているよ。辛いこともあったんでしょう? あなたのその強い心が痛かったことも、未だ触れば血を流す疵が残っていることも。
強くまっすぐなあなた。無垢で綺麗なあなた。
あなたはひとり。
その痛みも喜びも、感じているのは唯ひとり。
代わりはいない。他にはいない。
ああ――あなたの匂いがする。あなたの声がする。あなたがそばにいる。
言わなくちゃ。うんと大事なこと。続きを、言わなくちゃ。
想うだけじゃなくて。それでは足りないから。ちゃんと音に響く言葉で。
赤い髪と金の瞳。頬を駆ける青い龍の墨。
ミカエル。
だから。
「――私は、あなたのそばに、いたいと、おもうんですよ」
私は私が誰であってもかまわないのに。
あなたさえそこにいるなら。
× to be continued ×
「びっくりした……」
目を開けたルシアはぎゅっとミカエルの首にしがみつき、長い長いため息をついた。
「ミカエルさま」
「お……おう」
さっきは気にしなかった、すがりついてくる慣れない柔らかな感触。ミカエルは戸惑ったが、
心底彼女が安堵しているのをどうにも無下には出来ず、仕方なく片手を浅い呼吸を繰り
返す背中にまわしてなだめるようにさすってやる。
か細い腕に精一杯力を込めて、ミカエルがそこにいるのを確かめるか如く彼の首を抱く
彼女。服ごしに触ってとれるからだも段々と温かみを取り戻していくのがわかる。
それにしても。さっきまた言った。『そばにいたい』と。どういう意味なのだろう。
いてもいい。一緒にいると色々疲れもするが、決して彼女のことを嫌いではない。ある種の
鬱陶しさにも慣れたし、身の周りの雑務の手伝いはむしろ助かる。
そばにいたいなら、いればいい。が、今は書類上彼の預かり物となっている彼女だけれども、
その効果は身元判明後までは続かない。意味もなく女を近くにはべらしているのは、ミカエル
の立場を振返ってみれば問題になりそうである。
しかし元々破天荒の問題児で知られているミカエルだ。どうしてもそばにおいておくのだと
言ってしまえばまかり通らないこともない。
彼女は、それらを承知しているからこそ、そうやって言うのだろうか。
(にしても、なんだってこの女はそんなに俺んトコにいたいんだか)
よっぽど居心地がいいのか。それは、監視つきの施設に居るよりはよっぽどましだろうが。
……どうせ、現在そうやって言っていても、記憶が戻ったらどう変わるかわからないのだ。
「……………………」
ルシアの肩に、こうべをあずけた。
「ミカエルさま?」
何か、こたえた。
「さっきの話」
「?」
「さっきの……女の」
裏切りがどうの、とかは言わなかった。
「はい」
海水の匂いに混じって、懐かしい匂いがする。ルシアの匂い。いつ、どこで触れた匂い
だっただろう? 思い出せない。気が遠くなるくらい、化石になったものが生まれるずっと
昔から、この匂いを知っていた気がする。
「その女、下士官だったんだ。ガキの頃から兄貴と、俺に仕えてた」
ルシアがうなずく。
「一次大戦で、俺と兄貴が戦ったとき、兄貴をかばって死んだ」
何喋ってんだ、俺。
「死んだと、思ってた。……悪魔として生きてたって、知ったのはすげぇ最近――こないだ
の三次大戦トキで……笑えねーぐれぇ変わってた」
顔を見てながら、声を聞いていながら、記憶に引っかかりもしないほど。
「また俺が殺した」
ルシアは黙って聞いている。
「バルは兄貴が好きだったんだ。だから、必死で、兄貴に振り向いて欲しくて、あんな風に
なっちまったんだ」
胸がルシアの手におされた。からだがひきはがされた。
突然の拒絶にミカエルが揺らいだとき、両頬が冷たい指に包まれた。目には瞳を閉じた
ルシアだけが映る。
目を瞑ろうかと思った。が、何故そう思ったのかすらわからずに、ゆっくり数えて二秒半
ほど、ルシアの顔を間近に眺めてしまった。
……彼女とキスをしたのだと気づいたのも、触れた温度や甘く溶けるような女の唇を
感じたのも、全ては彼女の胸に抱きしめられたからだった。
「大丈夫」力強い、言葉。「大丈夫」
一体なにがどう大丈夫なのか、一切の説明はなく、また保証するものもなかったが、
ミカエルは驚くほど気が緩んで目を閉じた。
男とは違う、やわらかな女の胸。ルシアのは、それほど大きくないけれど。
細く心もとないからだ。強く抱きしめたなら、すぐにも折れてしまいそう。
からだを離して、ルシアの顔を見た。彼女は立てていた膝を曲げて腰を落とし、抱き
寄せるミカエルの腕に身をゆだねる。
濡れた金髪に指を差し入れられて、顔を上に向けさせられて、彼女は瞳を伏せた。
ミカエルはとても静かに、自分の唇を、ルシアに重ねた。
× to be continued ×
47 :
ミンロウド:04/01/19 02:38 ID:nR0G4o0E
訂正です。101の21行目。
×抱きしめられたからだった。
○抱きしめられ て からだった。
すいません。全然意味が変わってしまいますね。
おおおお!イー感じになってきましたね。
他に職人さんこないんですかねー?
前スレで書くかくっぽいこといってた人、やっぱりやめちゃったんでしょうか。
今度は総合になったからカインのほうもこないかな。
50 :
名無しさん@ピンキー:04/01/24 12:27 ID:yES/NzlW
hosyuage
帽子屋さんでハードエロこないかな、といってみる。
ああ、漏れに文章力があったなら…
>51さん
書かないと文章力は付きませんよ、などとそそのかしてみるw
あー、私もカイン×エメラインで意地っ張りエロ話を書きたくて七転八倒してる…
セリフはこの位でいいのかな、とか闇の中を手探りでホフクゼンシン
共に頑張ろうではないか。
>53
カイン×エメライン(・∀・)イイ!!
マリー×カインはダメなのかな?
王道でマリー×オスカーもいいっすね
>>56 マリー×オスカー…王道?(w
個人的にカインをレイープするミケイラきぼん。
どうでもいいけどIDがSMですよ。
カイン×マリーが見てみたいっす
カイン×マリーイイ!
でもエメラインもいいな…
ドクター×マリーきぼん。
んじゃあ見た目の年の釣り合いが取れる
カシアン(チビのほう)×マリーを…
あー!ドクター×マリーもイイ!!
リフ×マリーはダメ・・・?
リフと…面白いかも。
オーガスタ×アレクシスは王道過ぎて却って駄目かな。
あと、カイン×ビビとか。
マリーはリフのほっぺにチュッてしてるし
下僕(スマン)が伯爵令嬢を・・・って辺りが萌え
でカインがそれ見て茫然自失。
私だけのようなので逝ってきます。
>66
イ`
そのネタ萌え!
ただ身長差がな。まあ、いいか。とにかくそのネタ(・∀・)イイ!
>66
自分もそのネタいいと思う。
書いては見ないかね?
69 :
66:04/01/31 20:02 ID:psW2Tuxm
>>67,68
お言葉に甘えて書いてみようと思います。
本当は他の方が書いたのを読んで萌え萌えしたいんだけど。
初っ端からやっちゃてたりしてるのとか、
ハードコア物とかどこまで許されるのか。
そこら辺が悩む。
萌えが高じて書いてみました。
嫌な人は飛ばしてください、すいません。
今日は休みだしね(関係無し)。
-------------------------------------------------
くちゅ、ちゅ・・・
「・・・あ、うん・・・っ、いい・・・」
広い部屋の中央に置かれたベッドの端に、1人の髪の長い少女が足を広げて座っていた。
そして、1人の男が方膝を立ててひざまづきながらその少女の股に顔を埋めていた。
部屋の窓にはカーテンがひかれていたが、その隙間から日の光が漏れ、2人を優しく包んでいた。
「・・・ッ あ…っ、ああ…ぁ」
股の裂け目を舌でなぞる度少女は卑猥な声を上げた。
少女の全身は赤く火照っていて、目は今にも泣き出しそうなほど潤んでいた。
金色の長い髪は乱れきって、男の頭にかかっていた。
男はその声が聞こえないかのように、規則正しく、丁寧に少女のそこを舐め続けていた。
少女の秘部はつるっとしていて、そこの割れ目から出る愛液が男の唾液と混じり合い卑猥な音を立てていた。割れ目に舌を差し入れする度に少女は男の頭を抑えよがっていた。
『い・・・いい・・・』
舌が少女の肉芽に触れた時だった。
「やあああっ!」
まるで体中に電気が走ったかのようにビクンとなった。
「ぁ・・・! あ・・・!」
必死になって男の頭にしがみつく。
男は動きを止め、心配そうな目で少女を見た。
「もう、終わりにしましょう。マリー様。」
「・・・いや・・・ダメ・・・。最後までして・・・。」
肩で息をしながら少女は絶え絶えに述べた・・・。
こうなった発端はカインの連日の女遊びだった。
カインは自分は連日出歩き遊んでくるくせに、妹には外に出るな、家にいろ、男と話すな、と厳しくしていた。
「お兄様なんて大嫌い!」
またヒステリックな声が屋敷中にこだました。マリーは泣きながら自分の部屋に走り去ってしまった。カインはというと今更約束をドタキャンするわけにはいかないので、そのまま支度をして出かけてしまった。
マリーのことが気になったこの屋敷の執事リフはノックをしてマリーの部屋に入った。
「失礼します。マリー様。ご気分はいかがでしょうか。」
見ると部屋中央にあるソファーに泣き崩れていた。
「カイン様はあなたを心配しているんですよ。」
「分かってるわ。でもこんなの行き過ぎよ。私だって昔下町を転々としていたから、外の世界がどんなに危険か分かっているし、お兄様だって知らないようなことも知っているのよ。」
そう言うとまた泣き出してしまった。
このまま放って置くわけにも行かないので、少し落ち着かせようとマリーの隣に腰を下ろした。そして頭を抱かかえなで始めた。マリーは一瞬驚いたようだったが、すぐに気を許して再び泣き出した。
「皆、あなたが心配なんですよ。」頭をなでながら話した。
「リフ・・・。」
「何でしょう?」
「リフ、私を抱いて!」
「は・・・!?」リフは一瞬呆然となった。
「だってお兄様は毎晩楽しんでるのよ。私がしたって構わないじゃない!!」
10歳そこいらの少女の理屈にしばし頭が遠いところに行ってしまったような錯覚に襲われた。急いで気を取り直して、マリーに言った。
「マリー様、そういうことは好きな人とするものです。」
「私はリフが好き!」
そういうとマリーはリフの唇に自分の唇を合わせようとした。
「マリー様!!」
急いでマリーの両肩を掴みソファーに抑えつけた。
「ご冗談はよして下さい!」
しかし、勢いが付き過ぎてリフがマリーを押し倒した状態になってしまった。
リフは直感で「まずい」と思った。相手は伯爵家令嬢である。
自分が彼女に手を出したらどんな罰が待ち受けているか分からないのだ。
しかも相手は自分より18歳も(ここ強調)年下の成熟していない少女。
とてもではないが「やる」というわけにはいかない。
しかし、この押し倒された状況にマリーは一瞬目を見開いて驚きはしたが、
すぐに元に戻りリフを甘えたような目つきでじっと見、
そして、リフの頬に手を当てた。
「リフ・・・お願い・・・。」
涙目で彼女は言った。そしてぎゅっと目を瞑った。
「はい・・・。」
マリーの必死の叫びに心が動かされたのか、少し慰めるくらいならと思いリフは静かに横たわっている彼女に口付けた。
「もっと・・・。」
そう言うとマリーの方からも唇を重ねてきた、より深く。
「ん・・・ん・・・。」
いつしか2人で唇を貪る様に求め合っていた。
マリーの顔が紅潮してきた。リフも段々自分が本気になっていくのを感じた。
「マリー様、もうこれ以上は・・・。」
「しかし、マリーの両手はリフの首の後ろに回っており、離そうとしなかった。
「もっと・・・いいでしょ?」
マリーはそう言って口付けし再び2人は貪る様に求め合った。
リフはこのままでは体制がきついと思い、口付けたままマリーを抱かかえベッドまで運んだ。
そしてマリーをベッドに横たわらせると、再び口付けを始めた。
マリーのおでこ、頬から首筋、全身にキスの雨を降らせた。
リフが口付けする度にマリーが体をよがらせる。
「リフ・・・お願い・・・苦しいの。」
そう言いながらマリーは自分の洋服を胸の部分をつかんだ。
リフはマリーの気持ちを察して、優しく洋服の紐を解き始めた。
その間じらさないで、といった感じでマリーがリフを見続けていた。
脱がされていく度に体が紅潮して胸が苦しくなっていくのが分かった。
一糸まとわぬ姿になった。マリーは恥ずかしくないといえば嘘だった。
普段自分の身の回りの世話をしてくれる男性にこんな姿を見せるなんて・・・!
「マリー様、綺麗ですよ。」
そう言葉を発するとリフは再びマリーの体をキスし始めた。
マリーの白い肌に赤い花が咲き乱れていった。
マリーはどんどん自分の体がおかしくなっていくことに気付いていたが、もうこの快楽は止めることは出来なかった。
リフの口付けがどんどん下に降りてきて、マリーの秘所に口付けした。
「・・・っひ!」
突然の快楽にのけぞった。リフは音を立ててそこを舐め上げる。
『気持ちいい・・・』
声には出さなかったが、もっともっと快楽を欲していた。
「・・・あっ・・・うん・・・。」
リフの舌がマリーの秘部を舐め上げるたびに声にならない声を漏らしていた。
リフの舌の温度が快楽を通じて全身に広がっていくようだった。
その熱い舌先がマリーの小さな肉芽に触れた。
「やあああっ!!!」
まるで体中に電気が走ったかのようにビクンとなった。
「ぁ・・・! あ・・・!」
リフは動きを止め、心配そうな目でマリーを見た。
「もう、終わりにしましょう。マリー様。」
「・・・いや・・・ダメ・・・。最後までして・・・。」
肩で息をしながらマリーは絶え絶えに述べた・・・。
「最後まで・・・?」
「そう、入れて・・・リフ・・・。」
「おっしゃられている意味が分かっているんですか?」
「分かってるわ。下町を転々としていた時、泊まった宿屋の相部屋の客がよくやってたもの。」
リフは言葉を失った。
「このままで終わらせないで・・・。」
マリーは息も絶え絶えに、リフの手を自分の熱くなったそこにあてがった。
もう後には戻れない気がした。リフの中で何かが音を立てて崩れ去っていた。
×××つづく×××
出来てしまったので最後まで一気に行きます。
-----------------------
再びリフはマリーをベッドに組み敷き、マリーの秘所に手を宛がった。
成熟しておらず初めて異物を受け付けるそこは指を1本入れるだけで一杯だった。
「・・・んっ!」
指を入れた時、マリーが思わず声を押し殺した。そしてリフのベストにしがみついた。
「楽にしてください。マリー様。下手に力を入れますと痛いですよ。」
言われる通りマリーは出来る限り力を抜いた。リフの指がどんどん体を侵入してくるのが分かる。
いつも紅茶を入れてくれる指、コートを持ってくれる指、頭についた木の葉を取ってくれる指・・・その指が自分の中に入っているかと思うと感じてくる。
「・・・う・・・んん・・・あ、あっ・・・。」
ずぷずぷ音を立てて指がマリーの体に埋もれていく。埋まったら今度は指を出し入れし始めた。
ただえさえ愛液が溢れていたそこは指で掻き回すと一層溢れ返った。
ぐちゃ・・・ぬちゃ・・・くち・・・
1本、2本と指の数を増やしていった。始めはきつかったそこも段々となれていった。
そしてその指を出したり入れたり、指で愛液を絡めて秘所の入り口を撫でたり、小さな肉芽を弄んだりした。
次第にこの異物の動きに酔いしれていった。
「リフ・・・もう・・・。」
涙目の少女が哀願する。
「かしこまりました。マリー様。」
そう言って指を体から引き抜いた。一瞬マリーはビクッと反応した。
そしてマリーは少し起きあがり、先ほどまで自分の体に入っていたリフの指を舐め始めた。
チロチロと舐める小さな舌が心地良い。
「マリー様・・・」
リフはマリーをその優しそうな瞳で見つめた。
そして指をマリーの口から離すと、静かにその口に重ねた。
始めは静かにそしてどんどん濃厚になっていった。
「っ・・・うん・・・ん・・・。」
リフも体が上気してきた。
ベルトを外し、チャックをおろしてそそり立った一物を出した。
そして再びマリーを寝かせ、腰を押さえ、マリーの秘所にあてがった。
「本当によろしいのですか?」
「うん・・・リフだから・・・リフのこと今、世界で一番信じているから・・・。」
リフはその言葉を聞き一瞬悲しげな表情をした。
だが、またいつもの穏やかな表情に戻りマリーの腰を掴み支えた。
「優しくいきます。」
そう言うとリフはマリーの中に腰を鎮め始めた。
ズ・・・ズズ・・・。
「あっ・・・っ。」
リフ自身が中に侵入してくるとマリーは目を閉じてくいしばった。
そして、
「あーっ!」
半分くらいの所で達したようだ。
「いい・・・いい・・あっ・・・リフ・・・。」
「いきますよ。」
そう言うとリフはマリーの腰をしっかり掴み、優しく、彼女の体を壊さないように、ピストン運動を始めた。
「うん・・・あ・・・あん・・・。」
腰の動きに合わせてマリーが喘ぎ声を上げる。
「もっと・・・もっと欲しい・・・。」
その言葉を感じてもっとスピード上げる。
「い、いい・・・いい、・・・。」
長い金髪を振り乱して叫んだ。
「・・・・・っ、マリー様・・・。」
リフもマリーの性器がきついので耐えられなくなり、いきそうになっていた。
「リフ・・・リフ・・・あっ・・・あっあっ・・・。」
マリーは朦朧としていく意識の中、声も絶え絶えに名前を呼び続けた。
「・・・・・・・っ!」
リフも声を押し殺して達しようとした瞬間・・・
「ドサッ」
鈍い音がして2人とも我に返った。
そして音のしたほうを見るとそこには・・・
そこにはこの世の絶望を見たような顔をしたハーグリーヴス家当主が立ちすくんでいた。
床にはマリーの為に買ったテディ・ベアが落ちていた。
「お前達・・・何をやってるんだ・・・。」
そう虫の死ぬような声で呟いたかと思うとその場に倒れ込んだ。
「・・・カイン様! カイン様!」
「え、ああ・・・?」
カインはベッドから起きた。どうやら気を失っていたようだ。
「カイン様! 気が付かれましたか!!」
「う・・・うん・・・。」
カインは今一状況が掴めなかった。どうやら倒れて運ばれたらしい。
「お兄様、連日の女遊びが祟ったのよ。」
マリーが言う。
カインは何があったかを思い出そうとした。
「そう確か俺は出かける時にマリーを怒らせてしまったから、早めにディナーを切り上げて・・・その後マリーの為にテディ・ベアを買って・・・屋敷に戻って・・・その後・・・その後どうしたんだっけ・・・?」
辺りを見渡すと穏やかな表情をした執事と新しいテディ・ベアで無邪気に遊ぶ妹がいた。
「確かその後、マリーのご機嫌を取ろうとして、マリーの部屋に行ったんだ。
で、いくらノックをしても反応が無かったから・・・そう、扉を開けたんだ・・・。そうしたら・・・」
カインが悩んでいると忠実な執事が
「カイン様ミルクティーをお持ちいたしましょうか。」
「ああそうだな。」
「リフ、私もーv」
「かしこまりました。」
和やかな雰囲気が流れている。
「そうだ・・・扉を開けたら・・・マリーが・・・! マリー・・・が!!」
「お兄様どうかしたの?」
「否、何でもない。少々悪い夢を見たようだ。」
そうだ、あれは悪い夢だったんだ。
扉を開けたら体中を紅潮させ息も絶え絶えによがっているマリーがいたなんて・・・。
そしてリフが衣服を乱して、ズボンを下ろしてマリーに・・・!!
そしてそして、俺のいない間に2人の下半身が・・・!!!
そんなことありえるわけ無いじゃないか!
・・・何て悪夢だろう。これは何かの暗示なのだろうか。
マリーが危険な目に合うとか(当たってます)、リフが裏切るとか(当たってます)・・・。
それとも夢は潜在意識の表れというが、あれは俺が抱いている欲望なのか・・・?
まさか心の奥底ではマリーを・・・?
それともリフ・・・?(死)
きっと疲れているんだ・・。
当分は家にいよう、それがいい・・・。
悪夢の考察をしている伯爵様は目の前の妹君の首筋に赤い刻印が付いていることには決して気付きませんでした。
おわり。ちゃんちゃん。
以上です。
ここまで読んでくれてありがとうございました。
そして乱文失礼いたしました。
これをきっかけにカインのエロパロが沢山投稿されるといいな。
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!
やっぱりたくさんのSSがあったほうがいいですね。作者様乙です
リフマリキタ━━━(゜∀゜)━━━!!
GJです。
職人様ありがとうございますハァハァ…
白ver.ということは黒ver.もありでつか!?
できればそっちも禿げしくキボン…ハァハァ…
わぁい♪キッター!
乙ですっ!
小悪魔マリー萌え!!
黒ver.にも期待…!!
カイン気の毒な…非常に笑った。
描写では紅茶を入れてくれる指、あたりがすきです。
前スレもう見れるようになった模様。
おお。ホントだ。普通2〜3ヶ月かかるのに、とても早いですね。
保守。
ほ
リフ×マリ乙です!
このカプあまり好きではなかったんだけど読んでたらハマりましたw
GC小説もイイね。
某スレで話題になっているので勇気を出して話を振ってみよう。。。
カインたち(の時代の人)はどんなパンツをはいているのでしょうね?
あと天禁の天使たちの下着事情は現代日本とあんまり変わらんのでしょうか。
ラフィー君がトランクス穿いてたりするのかしら。
個人的にルシファーがすごい気になる。
94 :
682:04/02/08 16:11 ID:AXS9VjiA
基本的に現代と変わらないみたいだけど、女性陣は気合入っているみたいだね。
トランクスというか、ボクサーパンツとかビキニパンツとか……多分穿いてはいるかと。
しかし食物がヒトと違うから新陳代謝も違うわけで、
そうすると「内側から汚れる」ことは殆どない罠とか色々思い浮かぶけれども、
結論としては洋服が現代日本とほぼ同じなんだから、同じと見なして良いと思われ。
ルシ様は穿いていない。に一票(笑)
ID:dCIDNrqeさんグッジョブ!!
リフ×マリ( ・∀・)イイ!
ルシファーはビキニパンツですよ。
嘘です。すいません。ごめんなさいごめんなさいいぃぃ・・・
エロい下着結構着てたね。
しかし恋愛ご法度の天界でセクシーランジェリーなんか売っていいのか激しく疑問。
わいせつだとか言われてタイーホされそう。
ゴムとかと一緒に人間界から仕入れてるのだろうか。
それとも避妊もアストラルパワーでなんとかするのか。
例えばラフィー君なら「風で作られた真空の壁」を自分のXXXの周りに…(w
アレクはあんな服着るからにはタンガ(Tバックっぽいの。下着ラインが出ないので便利。)かノーパンに一票。
ミカちゃんは白のブリーうわなにすんだおまえやめr
あ、でも九雷タンはそんな気合が入ったヤツじゃなくて、
子供が穿いていそうな熊タンプリントでもオケでつ……ハァハァ(w
>>82,83,84,85,86,87,95
遅くなりましたが読んで下さってありがとうございました。
う、嬉しいです。
黒も書いたんですが、鬼畜だしアホな内容なので控えてます(恥)。
>>92 リフ×マリはまりましたか?
ではぜひ今度は・・・。w
他にカインの小説書く人いないのか?
ばんばん投稿してー。
99 :
ミンロウド:04/02/09 01:16 ID:7VRXM5sV
ああっ私は何をしているんだっ
吉良は普段はトランクスでも海ではビキニタイプの水着を着ていると思います。
……じゃなくて。
えーと。一応そろそろ一回の投下分くらい書きたまった(身内に受験生がいるので
どーも書きづらい……)のですが、前回まででわりとくぎりもいいし、
職人さんいらっしゃったし、もうひっこもうかとも思っています。
あ、でも投下する方や予定のほうがまたしばらくないようでしたら、
引き続き保守兼ね投下させて頂きますけれど。
他の方の投下予定とか聞かせて下さると嬉しいです。手間かけてすいません。
>>99 読者ですが投下お待ちしてます
>リフ×マリー 白ver.書いた方
黒ver.きぼんぬ(切実)
ほんと楽しみにしてるので、ミンロウドさんよろしくですぅ(>_<)
あてくしもリフ黒ver.キボン濡。
>100-102
ありがとうございます。m(_ _)m
リフ×マリーの方、黒ver、投下してくださるかな?
下さるなら、こちらに投下するならまたその後しばらくしてからのほうがいいかなー、と
思っているのですが。
ho
目は口ほどにものを言う。とは実に的を射た言い方である。だがやや誤りもある。
目は口よりもものを言う、のだ。極めて正直に。
口上で虚を並べ立てるのは容易だ。真実を音にしなければいいのだから。されど目に
嘘を浮かべるのは天賦の才なしには、訓練でもって抑えなければならない。それも
容易ではない。
律されない目は明らかだ。光は色を帯びて他者にその胸を語ってしまう。
例えば、たかぶって零れ落ちたものは物質と化した感情そのもの。どれほど鈍くて
アホだろうとも、可視の心を見てなお諒せずにいられるものはない。
「いくら謝っても許してくださらないんです! 目も合わせてくださらないんです!」
思考の奥の冷静なところで、バービエルはそんなことを改めて考えていた。
ルナスはあとからあとから惜しげもなく涙をこぼして拭おうともしない。しゃくりあげて
目蓋を閉じればまたあらたに大粒が頬をすべり落ちてしたたる。
「私、そんなっ、そんなにご気分を害するようなこと、を、した覚えがっ、なくてっ、不躾を
承知でお尋ねしても、なんでもっ、なんでもないと、答えてくださらないんですっ!」
クリーム色のテーブルには涙の小池。
ルナスは初めから泣いていたわけではない。暗く、前に少し気にかかった翳りよりも
ずっと深い悲しみに沈んでいるようで、様子がおかしかったので今日は直接尋ねてみた。
なにかあったの?
唇を噛んで、まゆを歪めて、その瞳の揺らめきを抑えようとしたのも一瞬。ぼろっ、と
ひとつ零れてしまえば、あとは逆さにかえした栓なき瓶。
「私、私、もうどうしたらいいかわからなくて……!」
「ルナス、ルナス。泣かないで。ほら」
ハンカチを渡して促すが、このままではそぼ濡れるのも時間の問題。
バービエルは手を伸ばして彼女の肩に触れ、なだめる。涙の勢いは一時より鎮まったが
まだ止まるには到らず。
ミカエルは、気性の激しい天使だ。とはいえ、理由もなしにルナスをかくも泣かせるような
態度をとるわけもあるまい。順を追ってきちんと考えてみるように勧める。
手探るように彼女は話し始めた。
数日前、どこかしら外へ一日遊びに行き、帰ってころは少々よそよそしい態度だった。
しかし決定的に避けられるようになったのは……。
頭が痛くなった。
成程、無理もない。謝られても気まずかろう……。
だが――しかし――それを理解せぬルナスに説いてやれば、きっと慇懃に、丁寧に、
自分の非を悔いながら彼に詫びるだろう……そして、事態がますますややこしくなる。
ほとぼりが冷めるまで待つ他ない。
二度と繰り返させぬために、きちんと別口で注意する必要があるが。
仕方ないのですかし泣き止ませ、一通りの復習と新しいテキストを読ませ、障りない
話をして帰らせた。その際、また目を潤ませていた。
「今のが――迷子の、アリス?」
ルナスと入れ違いに入室してきたのはタルシシュ。生真面目に留めた白衣の襟にかかった
髪を払い、身なりを整えながら。
「ええ。会ったことはなかったかしら?」
「いえ。一度だけ。いたく様子が変わりましたね。前は、もっと」
「そうね」苦笑する。「よく笑うようになったし、よく喋るようにもなったわ。感情の起伏も
大きいし……ミカエル様にお預けして正解だったようね」
「社会適応は難しいと思っていましたが。正直な心持ち、私は貴女方がいくら彼女の
世話をしても無駄なことではないかと思っていたのですよ。
あのようであれば、いずれ天使として仕事につくこともできましょう。普通ならうち捨て
られるものだに、ミカエル様に拾われて、貴女方に恵まれて、あの子は実に幸運でしたね」
本当にね、と笑って同意しようとした時だった。
「どぉぉぉぉぉぉぅ――りぁッッ!!!」
窓が吹き込んだ。四散したガラスを伴って飛び込んできたのは赤毛の長身――。
「っ〜〜〜〜シャル! どこを探させてもいないと思っていたら――あなたって子は――!」
「ストップシャラッププリーズプリーズジャスタモーーメンっ!!」
不思議と切り傷ひとつない彼女は髪と同じ色の瞳を狼狽させながら、青い面で大慌てで
バービエルを押しやり壁の通信装置を乱暴に手早く引っ張り出す。スイッチを入れる。
「エマージェンシー! エマージェンシー! どのくらいかって、ヘクトパスカルでいうと3000!
迷子スタッフは全員P-1093集合! 二分以内! 全速ダッシュ、スタート!
ああああ大変だわ、大変なんですよバービエル様!」
「どうしたの?」
大変だ、大変だとテキパキとテーブルを片付けて布巾を持ってきて拭く。いきなりバン!
と拭いている卓を両手で叩き、
「大変なんですよ! ヘクトパスカルでいうと3000くらい!」
「だからなにが――」
「シャ―――――――ルッ!」
勢いよくドアが開いて怒鳴り込まれる。たおやかな女顔の青年。ただし酷い形相の。
「なんであと一分いや二十秒が待てない!? 一昨日からこの時間まで徹夜で仕事してて
やぁぁぁぁっとうち帰って寝ようってカード差す間際で僕に何の恨みがあってわけわからん
放送で呼び出すか!?」
「じゃかましゃあ――――ッ!」
あっという間に間合いを詰めてシャルの肩を力の限り揺さぶる彼の顎に、型も美しく
アッパーカット!
「……私の用は、後にしたほうが、よいのでしょうね。バービエル様、いずれお時間を」
タルシシュは、薄い目で肩をすくめ、バービエルに浅く礼をして退出していった。
「それで、なにがそんなに大変なのかしら?」
尋ねる。やたら複雑な関節技を決めながら得意の電撃を喰らわせている (そういえば
彼はシャルと喧嘩をして一度も勝ったことがない)シャルにではなく、先程派手に砕かれた
窓から、真っ赤な顔で息を切らせて現れたアリエルに。
アリエルは切れた呼吸を出来る限り落ち着けて 非難がましそうに口を開いた後、
バービエルの向こうの取っ組み合いを見て失望したように大きく息を吐いてから、言った。
「大変なんです、あっちに、 漏洩しまっているみたいで……!」
やっぱり、裸を見られたのがまずかったのだろうか?
バービエルは特に言及しなかったが、話のその部分で表情に変化がとれた。
物質界でのことではないことは確かだ。天界に戻る前、最後に交わした親愛のキス
だって、ミカエルは返してさえくれた。
バービエルの反応、あのときのミカエルの様子。きっと、絶対アレがまずかったのだ。
他人に決して肌を晒してはならない。思い出せる記憶の初めのほうでまずシャルに
徹底的にいいつけられた。忘れていたのではない。ないけれど。
椅子の上で、体を丸める。膝に頭を垂れて、目の熱さを堪えた。
潮に晒され砂の混じった長い髪を綺麗にするのは時間がかかった。冷えた体も充分
温めなくてはならなかったし、浴室からでて、軽く全身を拭ってから女子の義務であると
アリエルに与えられた化粧水を顔に馴染ませ、それからしっかり水分を追い出すため
髪をタオルでもんで。髪を濡らしたまま服を着るわけにはいかない。
力をつかえば、うまくすれば即座、髪を乾かすこともできただろう。さりとて失敗すれば
目も当てられぬ。焦げてしまっても切ればすぐ伸びるのだが、ではもともと苦労して
洗わずともよろしいということになる。それはあまり感心しない。
うちに、ノックを受けたのだ。
先に入浴するよう言ってくれたのだが、彼だって同じように潮を流さねばならない。
ついつい長風呂をしてしまったが、すでに浴室は空いている。
数秒の停止。のち、ひどく音を立てての閉扉。
……一切の着衣ない姿は、非常に彼を不快にさせるものであったらしい……。
ミカエルは彼女をとてもとても遠ざけたがっている。
かまうまいと思ったのだ。礼を失すとはいえ、彼はさほど作法にこだわらない。早く湯を
勧める方が重要だと。
まさか、ここまで彼の気分を損なうものだとは、思わなかったのだ。
言いつけを守らなかったせいでミカエルを害し、遠ざけられてしまったなら、悔いても
悔いても悔い足りない。
どうしたらいいのだろう。許し乞う言葉も非埋める手立てもない。
閉じた目蓋から熱さがあふれた。
あなたのためになりたいのに。
(ミカエルさま)
私を嫌わないで。
この存在があなたの苦痛になる。笑ってしまう。そんなに悲しいことはない。
ミカエルは自宅の屋根に座り込んでいた。
日もそろそろ暮れゆく。
彼の所有する敷地は広大だが多くが手入れを受けていない。放置されて気ままに
生きている草々は青々と、また微風に生じるひだも茜の日に照らし出されてとても美しい。
今のミカエルには慰めにもならないが。
酷い気分だった。
自己嫌悪と羞恥と罪悪感を混ぜて反吐にぶち込んだみたいな、すさまじい色で臭気を
発して腐っている。
悪魔を狩っても晴れない。冷水を頭から浴びても消えない。
払っても払っても纏わりつく底のない泥。
抑えても抑えても浮かび上がってくる水疱の記憶。
陶器のような白い温度、蜜さながらに甘く溶ける感触。手に残る柔らかなからだ。懐か
しさのする匂。すべてを有する姿態の、映像。
血が熱い。
キスを、初めてした時は決していいモノだと思わなかった。
ジブリールが、あの愚にもつかない音楽会の出席を断ったミカエルに対して、詳しくは
もう覚えていないが――四大の天使として、派閥が、などと直接説得してきたとき。
どうしたら口うるさい彼女を引き下がらせられるかと思案して思いついたのがそれだった。
ラファエルが行うところを非難していたジブリールに、同じことはとても出来まいと。
半分以上は冗談だった。タカを括っていたから言えたことでもある。
『いいわ』
ジブリールは襟首を両手で掴んでひき、驚いていて抵抗する暇がなかったミカエルと
条件どおり、たった一瞬だったが間違いなく、唇を、重ねた。
『あなたが言い出したことですもの、約束をたがえたりはしないわよね?』
悔しさと腹立ち以外、一体何を覚えよう?
今度のは、そうではなくて。
なにか、つかむことのできない別なものが。
衝動としか言い様のない、自らの口付けは思い出しても胸を掻き毟りたくなる。
キスはまだいい。気にするほうがおかしいのだ。挨拶程度、唇を合わせるのは珍しくも
奇異でもない。慣れていないから、もてあましているだけ。現にルシアは何事もなかった
かのように平然としていたではないか。
「〜〜〜〜……っ」
網膜に残る白の肌。
子どもっぽく薄い胸に細い腰。あの柔らかさはどこから来るのかと訝しむほどにとぼしい
肉付き、目立つ骨格。あだあだしさはなく官能的な魅力もなく、もちろん煽情するような
ものもない。
つまらない、躯であったのだ。
なのに印象が強すぎて。
止めようがなく脳裏に映る。そして頭の奥のほうで軽い飢餓感が疼く。それはやり場の
ない怒りにも似ていて。
片手で足りるか足りぬかの回数だが、類する経験をしたことがある。から、わかる。
ごくたまに肉体がとらわれる。アタマとの不和を起こしどうしようもなくなったときは、
やむをえない――男であることに異議はないが、その時ほど肉体の『オス』を嫌悪する
ことはない――解消する。
だが、違うのだ。これは。
ごまかしようなく自分が気づいている。
女なんか、大っ嫌いだというのに。その弱さも、飾り立てては男たちの気を引こうとする
堕落さや信用ならない香も。
でも。
……見るたび肌が透けそうで。
そのうえ彼女の紺青が、全てを見抜いた色で笑うから。
直視など、どうしてできるだろう。
そろそろ、また戻ってくる頃合だ。彼女は不安がっている。急な振る舞いの変わり方に。
見たくない。聞きたくない。触れたくない。髪も匂いも声も肌もあの青い瞳も全部だ。
緩慢に、顔を上げる。夕日は最高に傾ぎだし、空の反対側が少しずつ深くなっていく。
近づいてくる黒い点。船だ。政府の印がうってある。
何をしに来たのだろう。こんな時に。
× to be continued ×
投下のほうないようでしたので書き込ませていただきましたー
やっとエロパロっぽくなってきたかな?
もったいなくも待っていてくださっている方々、切に痛み入ります。多謝。
保守
カインネタが読みたい。カイン×エメラインとか。
すいません。
これ以上をここに投下するのはどうも憚られる気がヒシヒシとしてきたので
ま こ と に 勝手ながらやっぱりサイトに引っ込ませてください……。
言い訳のほうはそちらでしますっ。
いままで長々とどうもありがとうございました。心より感謝しております。
このスレにSSいっぱいきますように。
//yellow.ribbon.to/~mnmore/
115 :
名無しさん@ピンキー:04/02/29 03:02 ID:sDnGWlCu
保守上げ
116 :
名無しさん@ピンキー:04/03/07 13:31 ID:s/kbcX9v
hosyu
117 :
名無しさん@ピンキー:04/03/12 02:32 ID:TBYr3MHq
まったくひとがいなくなっちゃった…
雑談推奨。新しい職人さんもこないかな。
個人的にラジエル×シャト書くかもって言ってた人、待ってるよー。
気になってた下着談義。
ロシエルはデイジェネレーション中はだかんぼだったらしいけど
ノーパン派だったんだろーか。
そしてそっから考えると、ロシエルの性別ってどうなってるんだろう。
アレクのパーツを全部移植してるってことは外側は女?
118 :
名無しさん@ピンキー:04/03/12 03:29 ID:KWB1izlX
ラファ×紗羅キボンヌ。。きっと美しいだろうなぁ。
夢をぶっこわして悪いが、自分はラファ×紗羅×刹那の3Pみたいw
121 :
120:04/03/13 00:39 ID:ktSDtk8w
IDがサド(*ノ_ヽ)イヤン
>120
2人でより、そっち(3P)の方が見たいかもwwラファが本当の意味の愛に飢えてて可愛そうな気がするから、せめて紗羅がイイ夢見させてやんなきゃ!w
123 :
名無しさん@ピンキー:04/03/16 21:04 ID:7dAOIF/3
IEからここに来ようとすると人大杉ではじかれない?
あとミンロウドたんのサイトにも何故かいけない・・・
124 :
名無しさん@ピンキー:04/03/22 23:10 ID:WFOvsTID
hosyu
新作こないかな………