ほぼ1ヶ月ぶりです…(:´Д`)
長らくお待たせして申し訳ありません。
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一行はクレセントを離れ、次の街へと向かった。
石版の手がかりを得ようと必死で聞きまわったが、大した情報も仕入れることが出来ないまま時間だけが過ぎた。
結局その日も、少し肩を落として宿へと戻った。
「見当がつかないと動けないな…」
バッツは込み合った食堂内の椅子に腰掛け、骨付き肉に齧り付いた。
レナが酒を注ぎ始めたのをクルルが目にし、クレセントでの出来事を思い出しがっくりとうなだれた。
また自分が運ばないといけない、そう考えると好きなものも上手く喉を通らなかった。
「滝ってイストリーしかないでしょ? やっぱりあそこなのよ」
レナは葡萄酒を口にし、さらにもう一本の瓶を開けた。
「でもあの滝のどこにあるの? それに滝の側には近づけないし…」
そこでファリスがふと口を挟んだ。
「上から行けないんだったら下からはどうなんだ? あの飛空挺、潜れるようになったんだろ?」
瞬間バッツの目に光が戻った。骨から肉をむしり、皿に骨を置いた。
「それだ。もしかしたらあの滝の側の洞窟に繋がってるかもしれない」
ふと視線をずらすと既にレナが出来上がっている。
だがクルルははっきりと意見が聞こえたらしく水を卓に置き、言った。
「明日一度行ってみようよ。もしかしたらもしかするかもしれないし」
かくして一行は明日の手筈を整え、部屋へと戻っていった。
――ふいに夜中にファリスは目が覚めた。
窓からは妙に明るい月の光が差し込んでいる。今夜は満月らしい。
他のベッドからは寝息と寝返りの衣擦れの音しか聞こえない、静かな夜だった。
すっかり目が冴えてしまい寝付くには時間がかかりそうだった。
明日は朝早く出るのに、目が覚めてしまった事に微かな苛立ちを覚えファリスはふと隣のベッドを見た。
すぐ側にバッツの姿があった。もっとも、反対側を向いてしまい顔は見えないが。
ファリスの頭に過ぎったのは――クレセントでのあの出来事だった。
媚薬を飲まされたとはいえ、本当に自分から欲してしまったことは紛れもない事実だった。
男独特のあの匂い、熱い吐息、舐めるような視線…それらを次々と思い出し、ファリスは一人顔を赤らめた。
布団を頭まで被り、必死で気を紛らわそうとはしたが次々と思い出していく。
次第にファリスの身体に小さな炎が点った。
ファリスは激しく頭を振り、布団を跳ね除けて窓辺へと立った。
月はいやに大きく、明るかった。
あまりに見惚れすぎていたせいだろうか。
月の持つ魔力とやらに惹かれていたのだろうか。
ファリスは後ろから迫る人影に気づかなかった。
底溜りではあるが僅かに残った媚薬の瓶を手にしたバッツが、すぐ後ろに立っている事に。
眠くなかった。むしろ、目が冴えて全然寝られなかった。
バッツは虎視眈々とこの機会を待っていたのだ。
ファリスが覚まさなければそのままベッドに入ればよかったし、起きたら起きたで都合がよかった。
寝たふり利をし、すぐさま布団に入り寝息を立てれば誰しも寝ているように錯覚する。
バッツは静かに僅かな残りの媚薬を口にし、瓶を自分のベッドの上へと投げた。
布団がクッションとなり、割れる事も音を立てることもなかった。
それでも、ファリスは気がつかない。
バッツはゆっくりファリスの後ろに立ち、その身体に腕を回した。
「――!?」
声にならない声を上げ、ファリスはとっさに後ろを向いた――その瞬間を逃しはせず、
バッツはファリスに口付け、抱き寄せた。口内に舌を入れ、ファリスの中を翻弄する。
「うん…んんんっ…! んん…んんん!?」
そのままバッツは、ファリスの中へと媚薬を流し込んだ。
量がわずかな為、ファリスはわけもわからないままそれを飲み込んだ。
口内に入った瞬間のあの僅かな味が、ファリスにクレセントの夜を再度思い出させた。
「ん…はぁっ! はぁ…はぁ…」
ファリスはバッツから唇を離した。少しずつ熱くなっていく身体に、ファリスははっきりと何を飲まされたのか理解した。
バッツはそのままファリスを反転させ窓の外を向かせた後、しっかりファリスに抱きついた。
窓の外には誰もいない。それに部屋は二階にあるおかげで人目にもつかない。
「や…っ…! こんなとこ…誰かに見られたら…オレ…オレ…」
ファリスは顔を赤らめ、僅かに身体を振るわせた。
「こんな夜中に誰も外なんか歩かないぞ…多分な」
そう言うや否やバッツは静かにファリスの身体に手を這わせ始めた。
寝巻きのボタンを器用に後ろから外し、双丘へと手を伸ばす。
期待と薬の効果もあるのだろうか、頂の蕾は微かに赤く熱を帯び、立ち上がり始めていた。
バッツはそれを親指と人差し指で摘み上げながら周辺を優しく撫で、絶妙な力加減で揉み上げる。
たちまち胸からえも言われえぬ快楽が生じ、自然と口から甘い声が漏れた。
「っ…はぁっ…! あっ…ん…っ! あ…はぁ…あっ…」
バッツがすっとファリスの耳元へと顔を近づけ、小さく囁いた。
「あんまりでかい声出したら…二人とも起きちまうぞ? …いいのか?」
言い終わると同時にバッツは大きく立ち上がった蕾を摘み上げる指に一気に力を込めた。
「やっ…あはぁぁんっ!! やっ…はぁ…っ…! だ…めぇ…っ…」
ファリスは出窓の枠に腕をかけ、必死で姿勢を保っていた。
胸からの快楽だけで、既に腰が砕けかけている。立っているのもやっとの状態だ。
バッツは右手をファリスから離し、先程脱がせ、床に落したファリスの寝巻きを足で拾い上げ、手にした。
そのまま寝巻きをファリスの顔にかけ、袖を頭の後ろで軽く結んでやった。
それによりファリスの視界はほぼ完全に奪われてしまったが、それがバッツの目的でもあった。
窓へと手を伸ばしバッツは鍵を開け、大きく窓を開けた。
ほんの少し冷たい夜風が部屋へと大きく入り込み、カーテンを大きく揺らした。
月の光を受け、ファリスの身体はより一層艶かしく見えた。
「なっ…に…?」
バッツは顔をファリスの耳元に近づけ、小さく呟きながら再び胸へと手をかけた。
「ファリスのやらしいその格好…外から見てる奴がいるぞ…ほら…」
きゅっと頂の蕾を摘み、指で弄ぶ。ピリピリと電撃が走り、火が点る。腰が砕け、濃蜜が溢れ出るのがわかった。
「や…やぁぁ…っ! 閉め…てぇ!」
無論、窓の外には誰もいない。深夜であるが為、誰も外にはいない。
万が一外に誰かいたとしても、部屋は2階。明かり1つ無い場で、外から姿が見えるとは考えにくい。
だが視界を奪われたファリスにはわからなかった。
ただわかるのは――冷たい夜風と、バッツの呟く声。そして、次々と与えられる快楽だけだった。