復活で砂!
714 :
名無しさん@ピンキー:04/07/25 10:57 ID:v0XSVetI
age
よりによってジュビロw
荒らし騒動も一段落したようなので、第2話の続きを投下したいと思います。
スレ容量が心許ないようですが、SS管理人様に問い合わせたところ、大丈夫との事でしたので…
あと、今回は百合表現が含まれております。
>>693から
数分後、僕たちは気まずい雰囲気のままリビングのソファに掛けたガブリエルさんの前で正座していた。
「全く、心配して来てみれば昼間から男なんか引っ張り込んで。わざわざ魔法の勉強もお休みして来たのというに…」
「あぅ…ごめんなさい」
先程の恥じらいぶりとは打って変わり、ガブリエルさんはすごく不機嫌だ。説教は30分にも及んでいる。
ひたすらあやまるソラさん。僕は気まずさに何も言えない。
「ところでソラちゃん」
ガブリエルさんが僕をチラリと見る。青い瞳がさらに冷たく感じられる。怖い…
「は、はい?」
ソラさん。声、裏返ってますよ。
「あの子、誰?」
「今更かよ!」
思わず某芸人風に突っ込むソラさん。しばらく静まるリビング。ソラさん、外したか?
しかし、ガブリエルさんが突然吹き出すと、ソラさんも釣られて吹き出した。そして2人で笑い転げた。
ひとしきり笑い転げると、ガブリエルさんの表情も場の雰囲気もすっかり和んでいた。
「え〜っと、この子は建ちゃん。一応私のヒト召使い。すごいっしょ?」
「へぇ〜ソラちゃんも立派になったものですわねぇ。雇い主の私よりも先にヒト召使いを手に入れるなんて。お幾らでしたの?」
「いや、拾ったの。てゆーか、ウチの前に居たのを捕まえたの」
得意絶頂のソラさん。つーか、捕まえたって……
しかし、ソラさんの「拾った」という言葉を聞いたガブリエルさんはニヤリとわらって、
「ところでソラちゃん。この家と土地は、誰の物でしたっけ?」
「ガブのでしょ?」
「……という事は、ここに堕ちて来たモノは…」
ここでソラさんはしまったという顔をして、大声を出す。
「ダメダメダメダメダメ!!ぜ〜〜ったいダメ!」
負けじと大声を張り上げるガブリエルさん。
「欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい!!欲しいの〜〜〜!」
……あんたら、子供か?
ヒートアップする2人の大きな駄々っ子。反対に冷める僕。温度差は開く一方。ん…温度?……熱?……あ…。
「はっくしょん!!」
思い出した。今、酷い風邪を拗らせてるんだった。思い出したら思わずおっきなくしゃみが出た。
ぼくのくしゃみにソラさんとガブリエルさんもはっとする。
「あら、ごめんなさいませ。すっかり忘れていましたわ」
こうしてようやく昼食。ソラさんが少しだるそうに仕度をした。
「今日のメニューは、シーフードリゾットで御座いまぁ〜す」
とってもおいしそうだ。やっぱりソラさんはすごいなぁ。
「ところで、ガブリエルさんは料理しないんですか?」
「ガブはねぇ、料理裁縫洗濯どれもみ〜んなダメなんだよ」
横からソラさんが嬉しそうに答える。ガブリエルさんは顔を赤くして、
「そ、そんな事。使用人がいるのに私がする必要なんて有りませんわ」
「そんな事言っちゃって。だからいつまでも出来ないんだよ」
追い討ちを掛けられ、ガブリエルさんは黙り込んでしまった。
昼食後、僕は片付けを手伝うと薬を飲んだ。
しばらくすると効いてきたのか、すごく眠くなってきた。
「すみません。ちょっと眠くなってきたんで、部屋に戻ります」
「はい、お構いなく。ゆっくりお休みになって」
部屋のベットに倒れこむと、僕はすぐに意識を手放した。
「ふふふ…お薬が良く効いているみたいですわ」
ガブリエルさんの妖しげな笑い声が聞こえたような気がした。
「…さて、つぎはソラちゃんの番ですわ。覚悟はよろしくて?」
ガブが妖しく笑ってわたしをソファに押し倒す。さっきバカ騒ぎしたせいで頭が割れそうに痛い。嫌な予感…。
――ちゅ…くちゃくちゃ
ガブがわたしの唇を奪う。そして、貪るように舌を絡ませながらわたしのパジャマの上を脱がし、パジャマでわたしを後ろ手に縛る。
抵抗してみても、今のわたしの力じゃあっさりと押さえ込まれる。
「…っはぁはぁ……や…やめて。お願い…」
「うふふ…最近私が来なかったから、溜まっていたのでしょう?子供に手を出すなんて…」
「そ、それは…その……きゃう!!」
――くちゃり
いつの間にかわたしは下も脱がされていた。ガブの少し冷たい手に私の大事な所をゆっくりイヤらしい手つきで撫で上げらた。
思わず嬌声を上げてしまったわたしを見てガブは目を細める。
「それに、熱は汗をかくと引きますのよ…」
ガブはそう言うとしつこく愛撫を繰り返す。
「ちょ、あん!あっ…やめっ…にゃあ!!」
「ほ〜ら、もうこんなに。ソラちゃんはやっぱり欲求不満でしたのね」
わたしの愛液で濡れた手を見せ付けるガブ。もう、一体どうしちゃったの?
「やめてよぉ……こんなの恥ずかし過ぎだよう」
「あら?ここで止めてよろしいの?」
「え?あ、あの…」
「…続けて欲しいの?」
「…ぅ」
ガブわたしを見下ろしながらニヤニヤしてる。何か怖いよ…
でも、身体はもう押さえがが効かないみたい…
風邪の熱とガブから与えられた熱で、わたしの理性が霞んでいく。
「ほら、黙っていては解りませんわ」
「………して…」
「え?良く聴こえませんわ。もっとはっきり仰らないと…」
ガブは相変らずのエロ笑いを浮かべ、わたしの控えめな胸をふにふにと揉む。
「ぁぅぅぅぅ…」
「う〜ん。いつ揉んでもソラちゃんのおっぱいは揉み心地が良いですわ〜」
ああ、もう限界かも…
「でも、いつも揉んでるのになかなか大きくなりませんのね」
「ぅ…わたし……もう…」
「はい?」
「…ダメみたい」
ああ、さようなら、わたしの理性。こんにちわ、わたしの欲求。
さらさらの黒髪、黒曜石の色をした優しい瞳、しなやかな長い手足、線の細い顔、無駄の無い体。
私にとってソラちゃんは唯一無二の親友でもあり、面倒見の良い頼れる姉でもある。
本当に小さな頃から、私たちは一緒だった。
お互いの事は何でも知っている。性格、好物、性癖…それこそ体の隅々まで。
幼い頃。
私は父親に叱られる度に彼女に慰めて貰った。
幼くして両親と別離した彼女の孤独を私は埋めてきた……つもりだった。
でも、私はいつもどこか不安だった。
いつか彼女が、わたしから離れるのではないかと。
その不安は的中し、彼女は一度私の元を去った。でも、それは親のいない彼女が中央の全寮制の学校に通う為。
あの時、彼女は泣きじゃくる幼い私を抱きしめて、必ず帰るからとあの優しい声で約束してくれた。
そして、3年前彼女は帰ってきた。
10年の年月を経て容姿も内面もすっかり大人びていたが、彼女は別れる前の優しい彼女のままだった。
…でも、不安だった。
また私の元から離れてしまうのではないかと。そうしたらもう二度と帰ってこないのではないかと。
だから父の会社に勤めだした彼女をこの家の使用人として住まわせる事で繋ぎ止めた。
彼女は相変らず頼れる姉であり、親友であり続けた。
私が魔法薬の勉強の事で父親と揉めた時も、彼女は一緒になって父親を説得してくれた。
彼女は、私といる時はいつも楽しそうに笑ってくれる。
でも、私には足りなかった。彼女の全てを知りたかった。
だから、ある時バストアップのマッサージと偽ってそのまま彼女と『体の関係』を作った。
初めて私によって絶頂に追い遣られた彼女は、…哀しそうな顔をしていた。
それでも、その後は彼女から求めてくるようにもなり、私はようやく満たされた。
…なのに。
……それなのに。
学業の都合で2ヶ月ぶりに訪ねた彼女の傍には、見知らぬ少年がいた。
しかも、私が家に着いた時、2人は彼女のベットの中で愛し合っていた。
彼女は私にだけ見せるあの笑顔を彼にも向けていた。
先程の様に、彼女は少年を手放そうとしない。
そして、彼は彼女に好意を抱いている。恐らく彼女も…
私だけが取り残されてしまったようで。
それが私は悲しく、そして怖かった。幼い日の決別シーンがフラッシュバックする。
―ソラお姉ちゃん、ガブを置いていかないで。
――かぷっ…はむはむ……
「ああっ!…ダメぇ!耳はぁっ!んっ…」
ソラちゃんの耳を甘噛みする。彼女はここがすごく弱い。
そして彼女のしっぽを両手で強く握り、扱く。
「うにゃあぁぁぁl!!」
ソラちゃんは目をぎゅっと強く瞑って体をピクンと痙攣させた。どうやら軽く達したらしい。
「はぁはぁ…」
「ふふっ。耳としっぽだけでイっちゃうなんて、かわいいですわ」
快楽に潤んだ瞳。上気した桜色の肌。荒く呼吸をする愛らしい唇。緩んだその端から一筋、唾液が垂れている。
私はぺろりとそれを舐めた。私しか知らないソラちゃんの表情(カオ)……
あの少年も、こんな彼女を見たのだろうか?ふとそんな事が脳裏に浮かんだ。
その瞬間、私は猛烈な嫉妬に駆られた。あの少年にソラちゃんを渡しはしない。渡す位ならいっその事…
――ずぷっ!
「いぎっ!!」
私はソラちゃんの秘部に乱暴に中指を突き入れた。彼女の目が大きく見開かれる。私は指を折り曲げ、彼女のGスポットを刺激する。
同時に親指で彼女のすっかり充血した淫核を捏ね回す。
「い゙っ!痛い!やめて!やめてぇ!!あん!」
痛みと快感に泣き叫ぶソラちゃんに私は異常な興奮を覚えていた。私はもう片方の手で彼女の可愛らしい乳首を揉みしだき、
もう一方のそれを口で吸う。
「はあっ!ダメっ…そんな……やめてよぉ」
「口ではやめてと言いながら本当は感じているのでしょう?いやらしい…」
自分でも驚くような冷たい声でそう言うと、ソラちゃんの表情に怯えが浮かぶ。気丈な彼女の滅多に見せないそんな表情に、
私の異常な興奮はますます高まる。もう少しだ。もう少しで彼女を堕とせる。私がさらに力をかけたその時、
「……めて…やめて…やめて!怖いよぉ!建ちゃん!!」
私はソラちゃんの口から初めて聞いた『怖い』と言う言葉に、私は硬直した。
私からドス黒い何かが抜けていく。私…1番大切な、自分より大切なソラちゃんに…何て…酷い事を……
もう何も考えられない。私の頬を温かいものが……流れて…
怖かった。自分がされている事、見たことも無いようなガブの冷たい表情…でも、本当にわたしが怖かったのは……
…ダメ。言葉にできない。でも、ガブがガブでなくなったんじゃないかって思った。その時、わたしは生まれて初めて心から怖いって叫んだ。
その瞬間まるで魔法に掛かったみたいにガブはぴたりと動かなくなると、ようやくいつものガブの顔に戻った。
そして、ガブはボロボロ泣き出した。
わたしは何とか手首に絡んだパジャマを解くと、ガブをおもいっきり抱き寄せた。わたしの大事な親友、大事な家族。
泣かないでガブリエル…
「…ぅぐ、ごめん…なさい」
「いいよ」
泣きじゃくるガブの頭をそっと撫でる。小さい頃も、わたしはこうやってガブをあやしたっけ。
「どうしたの?ほら、話してごらん?」
「えぐっ…だって、だって…」
「だって?」
「ソラ…お姉ちゃんが、ガブを置いてくって…」
そっか、建ちゃんとあんな事してたからガブ、不安だったんだね。建ちゃんにわたしを取られるんじゃないかって、怖かったんだね。
…それにしても、『ソラお姉ちゃん』か…久しぶりに聞いたなぁ。わたしは、学校の寮に引っ越しをした日の事を思い出していた。
「どこにも行かないよ。わたし、ガブの事、絶対置いていったりしないからね…」
「ひっく…本当?」
「うん。本当。ごめんね…心配させて。でもね、建ちゃんにはね、わたししかいないんだよ。あの子が頼れるの、わたししか…」
何故か目の前が涙でぼやけていた。
「…そうだガブ、建ちゃんはわたしたちの弟って事にしよ?だからさ……ガブ…あの子の事も…お願い…」
「うん…うん」
最後の方、言葉が上手く出なかった。でも、わかってもらえたみたい。
「ありがと」
ガブの背中をゆっくり撫でる。何時しかガブは眠ってしまった。
ごめんガブ…嘘ついちゃった。わたし、ホントは建ちゃんの事……でも、同じくらいガブも大事なんだよ。わかってくれるよね?
わたしはそっと起き上がるとパジャマを着なおした。
そして、昨日建ちゃんが持ってきてくれたブランケットを広げて、ガブと一緒に包まった。
ブランケットの中でガブの寝息を感じながら、わたしはいろいろ思い出してた。
お父さんとお母さんが突然居なくなって、他に身寄りの無いわたしはお父さんの親友、つまりガブのお父さんに引き取られて…
あ、ガブとは同じベットで寝てたっけ。お母さんを早くに亡くしたガブは、とっても甘えん坊で、わたしも寂しくって、
10歳になって、エッチな事を覚えたばかりのわたしはそれでガブに…
………ぁ。
ゴメン!ガブ。わたしのせいでこんな趣味が…申し訳なさ全開でガブの顔をみる。
いつの間にか昇っていた月の光に照らされたガブの寝顔。
とっても、幸せそうだった。
目が覚めると、外はもう明るくなり始めていた。相当寝たみたいだ。
ガブリエルさんの薬のおかげでだいぶ体調もよくなったみたい。水を飲みに部屋を出ると、リビングで2人が眠っていた。
一緒の毛布で眠る2人はとても穏やかな寝顔で、なんか本当の姉妹みたいだった。
もう少し寝よう。
僕は水を飲むと再びベットに潜り込んだ。
以上で第2話終わりです。
ガブリエル、本当は優しいいい娘なんです。
ただ、好意を持った相手が見知らぬ他人とあんな事してたら…
まぁ、全ての元凶はソラなんですけどね(笑)
激しくGJ!
もちろんGJ!続きも期待しております!
しかしこのスレでは百合は貴重ですね
次スレでもがんがれ超がんがれ
ウォォグッジョブ!!!!
ガブかわいい。相変わらずソラさんのトラブルメーカっぷりもたまらんw
ガブリエルなら大丈夫なんだが、ガブと略されるとガブスレイを連想してしまう俺_/ ̄|〇
でも、いい話ですね〜GJ
GJ&保守
誰にでもガブリ、ガブリと噛みつくからガブリエル。
を思い出した、関係無いけど。
へたれ猫さんの百合はまだかと期待してしまう俺_/ ̄|〇
ちょっと考えれば直ぐに解ることなんですが、作中、何度か視点が変わりますが、そこがもうちょっと上手く表現できればいいかナァとか思いました。
生言ってすんません。
すんげー萌えました。ホントです。
738 :
65:04/07/30 23:20 ID:ePaQgO4Z
物語設定
「こっちを向いてよ!!ご主人様」とほぼ同じような「ネコ」の国のお話。
(違う所もちらほらあると思いますが。)
一応出来た所まで…
雨の上がりの心地よい昼下がり。
短く切りそろえた黒い髪を風になびかせながら、嬉しそうに走る一人の少年。
胸には大事そうに紙袋を抱きしめている。
年の頃は12、3。パッチリとした黒い瞳、野暮ったい黒縁眼鏡、
服装はこざっぱりとした白のシャツに黒のズボン、そして首には不釣合いな太く重そうな首輪。
この首輪が所有者の印となるので、外せないように金属を溶接してつけてある。
見た目より軽いらしく、走るたびにチャリチャリと軽い音を立て、跳ねる。
その様子を、ギラついた幾つもの瞳が窺っていたのだが、少年は全く気がついていなかった。
739 :
65:04/07/30 23:23 ID:ePaQgO4Z
「ふふ。今回はちゃんとお使い完了しそう♪ 前回の時は、転けて川に落としちゃったんだよね。
今回は気をつけ…うわっ!」
そう言った途端に何かに躓いて、見事顔面から地面に突っ込む。しかも水溜まりの上にビチャリと。
大切な荷物を守ろうと両腕を高く持ち上げたので、受け身が取れなかったのだ。
「うぅ…痛いよぅ。でも、荷物は死守できたからね。」
ドロドロになりながら起き上がると、前に誰かが立っていて、不機嫌そうに鼻を鳴らしていた。
もしや…と思い眼鏡の汚れを拭き取ってみれば、案の定、その人の服が泥水で茶色く汚れていて。
「おいおい、何すんだよ、あんた。俺の一張羅が汚れちまったじゃねえか。」
「ご、ごめんなさい。」
「ごめんなさい済むなら警察はいらねえよな? まあ、許してやらない事もないが…
ちょっと顔かしな。悪いようにはしねえよ。」
気持ち悪いほどの猫なで声を出しながら、腕を掴み、荷物を取り上げてから、
その少年を仲間の待つ路地裏に引きずり込んだ。
難癖をつけて言う事を聞かせる。ごろつき達がよく使う手段の1つだ。
運悪く、この少年が今回のターゲットになってしまったようだ。
数人の男に囲まれて小さくなっている少年。
「服の弁償はお前の体でいいぜ。」
「か、体って…ぼくは…」
「金持ちのメスとちょっと寝ればいいのさ。簡単な話だろ?」
顔を覗き込み軽く顎をしゃくれば、怯えたように目を逸らす少年。
これなら簡単に落とせそうだなと、ニヤつく男達。
「で、でもあの…」
「ん〜お前何処の奴隷だ? ご主人様に迷惑かけてもいいのかい?」
最後の一押しと、所有者の名前が刻まれた首輪に手を伸ばす。
740 :
65:04/07/30 23:23 ID:ePaQgO4Z
「あ、駄目です。その首輪は…」
「ん…キゲンデ・プッラト・シロウ=カズ…」
首輪を掴みそこに彫り込まれている所有者の名前を読み終わる前に、ごろつきが煙を噴いて倒れた。
「ご主人様がトラップしかけてあるんですよ。ってもう遅いですよね…」
名前を聞いた途端に他の男達が顔色を変えてざわめく。
「シロウって…もしかしてシロウ=カズサか? あの、変態魔法研究者…の。」
「ああ〜失礼な! ご主人様は変態じゃありません〜〜〜!!」
「ひい、に、逃げろ! あんなのに係わったら何されるかわかったもんじゃねえ!」
蜘蛛の子散らすとはまさにこの事か…一目散に逃げていく男達。
「ひ、ひどい〜! ああ! 荷物返して下さい〜〜〜!!」
後に残ったのは踏みにじられて無惨な姿となった紙袋が1つ。
「あう…またお使い失敗です…」
741 :
65:04/07/30 23:24 ID:ePaQgO4Z
ぼくは2年位前にこの『ネコの国』に迷い込んでしまった人間だ。さっき難癖をつけてきたのも
ネコの国の住人な訳で、全身毛皮に覆われたネコ姿の半獣。
『ネコの国』の男の人は、大体が半獣の姿をしている。
何でか女の人は、ぼくと同じ人型で、違うのはネコ耳と尻尾がついる所。
ここにきた当初は色々あって、ぼくは身も心もボロボロだった。
そんなぼくに優しく(?)手を差し伸べてくれたのが今のご主人、シロウ=カズサ様。姿は半獣?
と言うのか、ほぼネコ。
体はぼくより大きくて、2本足で立って歩く。体はふかふかの真っ黒い毛に覆われていて胸元に白い
差し毛が入っている。瞳は綺麗なエメラルドグリーン。性別、男
仕事は魔法の研究。らしい。ぼくは詳しく知らないんだ。
研究室には絶対に入れてくれないし、聞いても教えてくれないから。
回りからは一目置かれるみたい。昔ご主人様を怒らせた猫が……って噂も絶えない。
変態とか失礼な事言われるようになったのは数年前から。どうもぼくの所為らしい。
『ヒト』って珍しくて、人召使の男は、お金持ちの女性が持つものなんだって。
お仕事の内容も普通は…ええと、その、夜のお供…Hなわけで…
人との間には子供が出来ないから色々いいみたい。
だから男のネコが、男の人召使を側においておくだなんて気が知れない、おかしい…て。
それで『男食い』やら『変態』やら言われるようになってしまったんだ。
でもそれは違うんだよ。だって、だって……
742 :
65:04/07/30 23:25 ID:ePaQgO4Z
そんな事を考えていたら、お家に着いてしまった…
そーと玄関のドアを開けて怖々と挨拶をする。
「あ、あの、ただいま…です。」
そうしたら研究室ってプレートが掛かったドアの隙間から、手だけが現れて荷物をよこせって指が動く。
「あ、あの、ご主人様、その、ええと…」
「…またかよ…」
「ごめんなさい〜!」
そうなんだ、またなんだよね。お使い失敗したの。前もその前もそのまた前も…だけど。
ぼくは本当にドジで何をやっても失敗ばかりで。食事を作れば鍋を焦がし、洗濯すれば染みだらけ、
掃除をすれば物がなくなるか増えるかする。
いつもの事なので、ご主人様も諦めていたのか、呆れたような力の抜けた声。
それでもまだ指は動いていて、ぼくに来いと言っているみたい。
小さくなりながらドアの真ん前に行けば首輪掴まれて引き寄せられて。
「…トラップ発動してる…。 何があった?!」
声を荒げて怒鳴られた。この首輪のトラップは、ご主人様が魔力を込めて作ってくれた物で、
発動したら、また魔力を込めなくてはいけない。それをやるだけでも魔力を無駄に使ってしまう訳で、
うう〜これで2つのポカだ…ご主人様怒っちゃってるんだろうな…
「ええと、あの、その、ぼくがドジしちゃって…」
「体は?」
「え? はい。 何ともないです。」
「はあ、お前はほんっとーーーーーに駄目駄目だな。」
いつもの声の調子に戻っていた。もしかして…心配してくれたのかな? ちょっぴり期待してみたり。
「体洗え、部屋汚すなよ。」
首輪を離してからタオルを投げつけられ、早く行けとばかりに手でシッシとされた。
一気に気持ちは急降下。
743 :
65:04/07/30 23:26 ID:ePaQgO4Z
シャワーを浴びながら自分の体を鏡に映してなぞっていく。
このツルペタで凹凸の無い体って何? 本当はぼく、これでも15歳になる女の子なんだよね…
昔から成長悪くて、チビでガリで女の子の月のものまだだし、
本当貧粗で…って自分で何言ってるんだろ。まあ、これだから男の子で通ってるんだけどね。
何で変な噂流れるのに男のカッコをさせるんだろう…ってずっと不思議に思っていたんだけど、
これはご主人様の優しさなのかも知れないって数日前に知ったんだ。
ちょっと前にお友達になった人召使君に教えてもらったんだけど、
女の人奴隷って体力なくてすぐ死んじゃうとか、闇ルートで売買されてるとか、
使い捨てとか…その訳は知らないけど…あまりいい噂を聞かないそうだ。
ぼく2年以上もこの国にいるのに、何も知らなかった。
人召使いの本当のお仕事も知らないままご主人様の傍で、何もせずぬくぬくと暮らしていたんだ。
744 :
65:04/07/30 23:33 ID:ePaQgO4Z
お風呂から上がって、そのまま出て行ったら何かにふかっとぶつかった。
眼鏡無いからよく見えないけど、ご主人様だ。ぼくが出てくるのを待っていたみたい。
体を少し離してから、ぼくの事を頭上から足先までじろじろ見ている。
隠すような所ないけど…一応タオルで前を隠して、モジモジしながらご主人様を見上げる。
「あの…何か?」
いきなりご主人様がタオルを奪い取って、ぼくの体に触れた。
ご主人様の掌は、柔らかい肉球とその間から生えている毛でふにふにしてとても気持ちが良いんだ。
ここに来た当初はよくこの掌で撫でてくれていたんだけど、1年前からあまり触れてくれなくなった。
全身ゆっくり撫で回されたと思ったら顎に手を添えて顔を上に向かされた。
ご主人様の顔が目の前にあって、宝石みたいな綺麗なエメラルドの瞳がスッと細くなる。
もしかして、ぼくを人召使いとして使ってくれるつもりなのかな…何も出来ないぼくに残されて
いる事ってこの体くらいだから。そりゃ、初めてでどうすればいいか全然わからないし、少し怖いけど、
ぼくご主人様が大好きだから何されたって大丈夫。何だって我慢出来る。
覚悟を決めて目を閉じたら、鼻先とオデコにざらりとしたネコ舌の感触。その後ぺたりと何かを貼られた。
「異常ないみたいだな。」
「へ?」
情けない声出して固まったまま目を開けると、タオルを頭に掛けられ、ご主人様の気配が遠ざかる。
慌ててタオルを外したら、ご主人様の後姿が目に入る。
大きな尻尾を左右にゆらゆらさせながら、そのまま研究室の中に消えていった。
鼻とオデコに絆創膏が貼ってあって、今のはぼくの体を調べてくれていたんだって…
うわ。ぼく、何勘違いしてるんだろう。
男ネコ×女の子です。
こんな感じなのですが、続き書いてもよろしいですか?
やってしまえ。
しかしマジにこのスレ容量死にかけだな。
続き期待してます。
>>737 確かに誰の視点なのかわかり難いですね。(特にソラ視点と建視点の区別が)
次回はもっと注意して書きます。
あと、設定を確認しようとこちむいを読み直したところ、ネコは人と比べると外見と実年齢にギャップがあるそうです。
ということで、以前の設定の年齢は見た目の年齢という事にさせてください。
「ぼく」っ娘キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
(……もしかして…………縦貫?)
続き超期待します
といってもおそらく次スレでしょうが ^ ^;
あしたら待ち保守
このスレの更なる繁栄を願い保守
751 :
65:04/08/07 02:17 ID:abJYfS1f
ノリと勢いでやってしまったので支離滅裂で…すいません。
しっかりと設定作ってからにすれば良かったと後悔先に立たず。
タイトルを付けるのが苦手で、つけてくださるとありがたいです。
緊急避難所で、男性の容姿についてあったのですが、
下の【】の所を付け足していただければ、こちむい と同じになりますよね?
>741
ネコの国の住人な訳で、全身毛皮に覆われたネコ姿の半獣人。
『ネコの国』の男の人は、【大体が半獣か、もさもさのトトロみたいな姿をしている。】
何でか女の人は、ぼくと同じ人型で、違うのはネコ耳と尻尾がついる所。
ここにきた当初は色々あって、ぼくは身も心もボロボロだった。
そんなぼくに優しく(?)手を差し伸べてくれたのが今のご主人、シロウ=カズサ様。姿は半獣?
と言うのか、ほぼネコ。 【今までご主人様のような姿の『ネコ』は見た事がない。】
752 :
65:04/08/07 02:18 ID:abJYfS1f
ここ数ヶ月ご主人様は研究室に篭りっぱなしで、顔を会わせる事も少なくなっていた。
初めのうちはお仕事で大変なのかな? って思っていたんだけど、それだけじゃないみたい。
何となくだけど、ご主人様のぼくに対する態度が変わってきているような気がするんだ…
さっきの事だってそう。前から言葉使いは乱暴だったけど、どこかが前と違う。
ぼくを遠ざけているような、避けているようなそんな気がして。
毎朝、ご主人様より早くに起きて食事のお手伝いとかしたいのに、気が付くと目覚まし時計止まってて。
慌てて台所に行くと、もうぼくの分の朝食がテーブルの上に用意されている。
ご主人様は片付けまで済ませて研究室に。 前は、どんな時だって食事は一緒に食べてくれていたのに…
ぼくも練習がてらおかず1品作って。ご主人様、不味いそれを文句を言いながらも食べてくれていた。
それがとても嬉しくて。話とかしなくても一緒に食事をとれるのっていいなって思っていたんだ。
やっぱりぼく駄目駄目で嫌われちゃったのかな…呆れられて見限られちゃったのかな…
そのうち捨てられちゃうのかな…て、最近悪い事ばかり頭に浮かんでグルグル回っている。
今朝も1人テーブルについて寂しく食事。とても美味しい料理だけど…何だか少ししょっぱい。
そう思ったらスープに何か落ちた。あ、気が付かないうちにぼくの涙で味付けしちゃってたんだ…
「ダメダメ、こんな気弱になっちゃ! ますますご主人様に避けられちゃう。」
ごしごし涙を拭い両頬パシッと叩いて気合いを入れる。そうだ、落ち込んでちゃ駄目だ。
急いで食事を済ませ洗い物をする。食器は、全て割れないアルミ製の物。よく落として割っていたから、
ご主人様が全部交換してくれた。
洗濯物(ご主人様は服を着ていないので殆どがぼくの物。)をまとめて洗濯機に投げ込む。
ボタン押せば乾かしまで完了してしまう全自動洗濯機。これもぼくの所為で交換した物。
ぼくの為の無駄な出費…ぼくって居るだけでも迷惑だよね…って、落ち込んじゃ駄目だってば!
他にも何かお手伝いしたいんだけど、やれば失敗して、
ご主人様の仕事を増やしちゃうから止められているんだよね。
「お前は何もするな!」て、あの柔らかい肉球でポクンとよく殴られたっけ…。
753 :
65:04/08/07 02:24 ID:abJYfS1f
何かぼくに出切る事無いかなって、ご主人様のいる研究室に行ってみる。
いつもはしっかり閉まっているのに、今日はドアが少し開いていた。
その隙間から中を覗いたら、ご主人様がベッドの横で上向きで転がっている。
「ご主人様?」
声かけても返事無くて、かわりに小さな唸り声が聞こえてきた。
入るなって言われていたけど…もし苦しんでいたらって心配になって、そーっと中に入って側に行く。
様子を窺ってみたら、ご主人様寝てるだけみたい。規則正しく胸の白い差し毛が上下してる。
手を伸ばしてその毛を梳いてもピクリとも動かない。相当疲れてるのかな…
根を詰めすぎないでほしいな。何かあったらぼく…
そう言えば…こうやってゆっくりとご主人様をみるのは久しぶりだ。
たまにふくふくする鼻とか、ぴんぴんしている髭とか見ているだけでも心がほわわってする。
前は、ブラッシング、耳掃除、爪の手入れとか身の回りのお世話を遣らせてもらっていたんだよね。
下手なりに頑張って。ご主人様、文句言いながらも終わるまでじっとしていてくれた。
研究室に篭ってからは、ほとんど触らせてくれなくなっちゃった。
いくらやっても全然上達しないから、もう、ぼくにはやらせてくれないのかな…
また涙が出そうになって慌てて頭を振ってやり過ごす。やだな…今日のぼくは少しおかしい。
先日お友達に、ご主人様を喜ばせたいって言ったら、やっぱり一番はエッチじゃないかなって。
ぼくのエッチの知識って学校で習った性教育位だったから、
色々と教えてもらったそれは、びっくりする事ばかりだった。
勝手にそんな事するのいけない事だと思うけど、初めてはご主人様とがいいし、
好きな人とのエッチって気持ちいいものって言ってたし、ご奉仕してあげると男の人は喜ぶみたいだし…
何も出来ないぼくだけど…ご主人様を気持ち良くさせる事位は出来るかも知れない。
もしこれが上手くいったら、ぼくにもお仕事をさせてくれるかもしれないし、
少しはぼくをみる目を変えてくれるかもしれない。
敏感な耳の所に軽く触れてみると無意識の反応でプルルと動く。でも目を覚ます気配は無い。
誰もいないのはわかっているけど、辺りをキョロキョロ確かめてからゴクンと唾を飲む。
保守?
こちたら新作マダ-!?
保守!
結局次スレはどうなったの?
こちむいの投下もまだみたいだし。
さて・・・。王城の東ウイング。お姫様とヒト奴隷のみしか立ち入りの許されないこの場所も
朝、昼、夜の一日三回、ほんの一時間程度、女性のみ一般人の立ち入りが許される。
特に夜ともなれば、家事になれていない姫様をサポートするために、料理人や出前持ちが
入ったり、ホームヘルパーが入って掃除をしたりと様々なネコ娘達で溢れ返る時間でもある。
中にはかわった服装のネコ娘もいる。ナース姿のそばかすネコ娘はきっとユナに今日の
業務報告をしにいくのであろう。そして、きっちりとダークスーツを着こなしているのに、
ちょっとすさんだ感じに見えるネコ娘はマナの部屋に消えていく・・・どうやら借金取りらしい・・・
それはさておき、廊下だけではなく部屋の中を見てみれば・・・
最上階の高級な部屋の並ぶフラットの一つには五体満足でソラヤが戻ってきた安堵を、
心の奥に押さえ込んだミルフィ姫がソラヤをくどくどと叱っていた。神妙にミルフィの前で
正座してるソラヤはいつもの無表情とは裏腹にシュンとしている・・・
そして、その2フロア下の、王族としては粗末な・・・端部屋には、何とか借金取りの借金を
返したものの、身内のリナの借金を忘れ、泡を食っているマナがいた。ここぞとばかりに
小言を言うマナの召使い、しかし結局、あっさりと自分の召使いをリナに一晩貸し出すことで
チャラに・・・リナはご褒美のマンガを読んでいた召使いを強引に背負うと狂喜して風のように
1フロア上の自分の部屋に舞い戻る・・・マナも小うるさい召使いがいなくなり、嬉々として
夜更かしし、趣味の実験三昧の時間を過ごすのだろう・・・
そして丁度、マナの部屋から2フロア上のフラットでは…
小奇麗な10畳ぐらいの部屋。それなりのモノながら、ベッドに机、本棚など一通りのものが
そろっている部屋。そしてステレオ・・・カベには一際大きなエイディアの肖像画がかけられて
いた。絵の中のエイディアは髪がロングで両目がちゃんとある・・・若い頃なのだろうか・・・
そんな部屋に文緒はいた。行儀悪く、椅子を傾けてギシギシ言わせながら
今日の出来事に思いを馳せる。
「ふん、ソラヤめ・・・いい気味だ・・・」
階が同じなので、途中までミルフィ主従が前を歩いていたが、ソラヤは気を
損ねた自分の主人に無視されていた。滅多な事で表情を変えないソラヤだが、
人目もはばからず半べそで、ミルフィ姫の気を引いたり、謝ったりしていた・・・
「オレだったら、お館様にあんなコトされたら自殺するぜ・・・」
とぽそりと呟いて自分の部屋、備え付けの魔洸式ステレオにレコードを乗せる。
お気に入りの『ワルキューレの騎行』が部屋に満ちる。目を閉じて音楽に身を
任せる・・・この時間が一番好きだ。レコードは高級品だけど、お館様にねだると
買ってもらえる。
勇壮な交響曲に混じって部屋の外では多くの料理人やホームヘルパーが立ち
働いている物音がした。この、食事時間の度ごとに現れる20人近くのお手伝い
ネコ娘のせいで、他の召使いと違い、文緒のやることはほとんどない。少し
もどかしく感じるが、10年近く経てば少しは慣れた。そしてもどかしさのもう一つの
理由も判っている・・・誰にも言ったことはないが文緒はエイディアの夜伽をした事が
なかった・・・別に不満に思ってるわけではないが、時々その自分だけが持つ劣等感や
羨望で仲間の召使い・・・マナの召使いやソラヤに攻撃的になってしまうのだ・・・
またいつものように遅い反省をする文緒・・・
「お館様、怒っていらっしゃるのかな・・・」
文緒の長い睫が憂いをおびて震える。誰よりも時期女王になりたいお館様は
たとえ皇位継承権30位のゴミみたいな姫様にも負けたくない・・・というかゴミだからこそ
今日の茶番劇の屈辱に震えているに違いない・・・
文緒はそんなコトを思ってゾクゾクと背中を震わせた・・・歳にしては細身の自分の
体を抱きしめるように両肩を抱くと俯く。
『ああ・・・きっと今日、お館様にオレお仕置きされちゃう・・・』
さらりとした前髪を軽く振りながら顔を上げた文緒の瞳はほんのりと潤んでいた・・・
すると不意に・・・
『ガチャリ!』
部屋の扉がノックもなしに開かれる。顔を出したのはネコ耳をはやした
メイドが二人。エイディアの雇っている女官だ。短い休み時間の間だけ
働きに来て、掃除や食事を作っていく・・・その中のボディーガードの心得も
ある大柄なネコ娘二人はずかずかと文緒の部屋に入り込むと無表情に言う。
「エイディア様がお呼びだ・・・」
続けて後から入ってきたメイドが言う
「お前の今日の失態についてお怒りになっている・・・わかっているな・・・」
手に持ったロープを扱きながら言うメイドに文緒は素直に「はい」と頷く。
そのまま、メイド達に向き、上着とズボンを脱ぐと軽く目を閉じた。メイドが近寄る気配・・・
『ああ・・・オレの唯一の仕事が始まる・・・』
部屋には縄のきつさに呻く文緒の小さな声を打ち消すように荘厳な
音楽が流れつづけていた・・・
そうして、食事や掃除が瞬く間に終わる。20人ほどのネコ娘達が帰り、
二人で住むには広すぎる部屋をエイディアはゆっくりと歩みとあるドアの前に・・・
不自然なほど厚すぎるその部屋のドアを開ける。豪華なエイディアの
部屋にしてはその中は殺風景。シュバルツカッツェ城特有の魔洸照明器具は
無く、あるのは無数の原始的な燭台のみ、天井はごつい梁が剥き出しで、
チェーンやらロープ、そして滑車までが釣り下がっている。カベには
おどろおどろしい首輪などの拘束器具がディスプレイされている。そして
部屋の中心には唯一、エイディアの持ち物にふさわしい、高級そうな
クッションの当てられた、木製の椅子がぽつんと置いてあった。
ゆっくりと歩き、エイディアは椅子に腰掛け、足を組んだ。足を組むと言っても、
くるぶしをもう一方の太ももの上に乗せるという、姫君にしてははしたないポーズ。
しかし今のエイディアの服装に良く似合っているポーズ・・・
手には青くぬめ光るロンググローブ。そしてビスチェとドレスの中間の青色の
ボンテージなスーツはキツキツのピチピチでエイディアの細いウエストを強烈に
強調していた。要所要所を皮ひもで止め合わせたボンテージのドレスはかなりの
露出があり、妖しく、妖艶・・・
巨乳ではないがアンダーの少ないせいで、大きく見える胸は、大胆な切れ込みの
入った胸元のデザインで危うくこぼれそうなほど・・・超ミニの青いエナメルの
皮スカートの裾にはガータベルトが付いており青いストッキングを吊っている。
絶妙なシルエットを誇るエイディアの太ももをキャンバスに繊細なストッキングの
模様を美しく描く。
そして足には青いエナメルのピンヒール。エイディアはそんな夜の女王様スタイルで
ショートの髪をかきあげる。前髪から覗く黒の眼帯。残された片目を細めて
目の前の暗がりに声をかけた。
「ふん・・・貴様のせいで使わなくてもよい気を使ったわ!しかも、女王の前で
イワシ姫に名を成さしめるとは・・・」
歯ぎしりして手に持った鞭をワナワナと折り曲げながら憎憎しげにいうエイディア。
するとくもぐった声が前から聞こえた。
「お、お館さまぁ・・・申し訳ありません・・・」
そこには文緒が跪いて・・・いやロープでギチギチに縛られて座らされていた。
薄手のシャツにスパッツの上から黒いロープは高小手に文緒を縛っている。
これは後ろに回した手を背後で縛るときにそのまま縛るのではなく、後ろに回した
手をお尻の上辺りではなく、肘関節を絞るように首の方に捻られて縛られるキツイ
責めである。しかも余ったロープは菱形の模様を文緒の臍周りに描きながら足に行き、
文緒の足を正座するように固め、なおかつ大きく両膝を開くようにして絞られていた。
手こそ背後で縛られているが、犬が背を反らせながら『チンチン』のポーズを
しているような感じ・・・
「ああっ・・・お館様・・・ロープがキツイです・・・」
苦しそうな声で訴える文緒。しかしその声に甘いモノが混じっているような・・・
「つべこべ言うなっ!今、文緒に許されているのは私に許しを請う事
だけだっ!! 」
『パーン!! 』と鞭が絨毯を叩く。ビクッとする文緒だがエイディアは躊躇せず
髪色と同じ、青くぬめ光る鞭を振りかぶり・・・
「許しを請えっ!それっ、それっ!! 」
『パーン!』『ビシッ!』『パーン!』『ビシッ!』・・・
エイディアは躊躇わずに鞭を文緒に叩きつけた。
「ひっ!ゔあっ!あひいっ!! お館様っ、お許しを、お許しを――!!!!」
身をよじり、伸びあがり、縄で縛られたカラダを悶えさせ、哀願する文緒。
しかし縦横無尽に走る青い鞭。文緒の着ていたシャツとスパッツは弾け、
瞬く間身にズタズタにされていく・・・あまり外に出ることの無い文緒の柔肌に
うっすらとしたミミズ腫れが無数に浮き出ていく・・・
「ふん・・・悲鳴の上げ方ばかりうまくなって・・・」
『シュルル・・・』
と鞭を手に戻し、腰に手を当て、いまいましげに呟くエイディア。軽く息が
弾んでいるが、ほんのりと染まった目の縁や、少し潤んだ瞳はそれが、今の
激しい動作のせいだけではないことを物語っていた。もちろん、肉を弾け
させずに服だけ破れるのは何度もこんなプレイを繰り返しているから・・・
「お、お館さまぁ・・・も、申し訳ありませんっ・・・はふっ・・・」
体中に食い込むロープや、軋む関節、そして熱い鞭の跡に心を乱しながらも、
必死で鞭の洗礼がやんだことを感謝する文緒。
「ふん・・・反省しているのか?・・・」
小さく呪文を唱えながらまたエイディアが億劫そうに椅子に座りながら手を
軽く振ると四方の燭台全てに火が灯る・・・文緒の薄手の服は全て破られ、
皮製の黒いビキニパンツ一つの格好で跪く。大人になり切れていない体に
無数の鞭の跡・・・それを見下ろす椅子に腰掛けた、青いボンテージの女主人・・・
蝋燭の明かりの中、妖しげに揺らめく主従・・・