ミライはモップを離して振り向き、すぐ近くにいたブライトを見つめる。彼もきょとんとした顔をしていた。
今、私はなんて言ったの? そして彼も…私とブライトの子ども? ミライは思わず自分の口を抑える。
「ご、ごめん。ミライ。何言ってるんだ。僕は」
「いいえ、私こそ…」
気まずかった。決め付けるような話をしてしまった。何でこんな話になってしまったのだろう。
なんだか気恥ずかしくて、ミライは話題を転じる。
「ブライト……、まだ顔が白いわよ」
腕を伸ばしてブライトの顎についた粉をはたく。顔に触れたミライの手に驚いていた彼の表情は、すぐに
優しい笑顔になった。
「……君だって」
ブライトもミライの頬に手を伸ばし、指で拭う。頬に触れた彼の指が温かいとミライは思った。
彼の瞳は、かすかに潤み、熱を帯びている。ミライはブライトの真剣な眼差しに絡めとられ、視線を外せなかった。
──思えば、全く違和感なく、言葉が口をついて出たのだ。ブライトと自分との子どものことを。
それくらい自然と、ブライトと共にいる将来が描けてしまうのは、なぜだろう。
頬にあったブライトの手が移動し、顎を持ち上げた。いつのまにかモップの柄を離していたもう片方は、ミライの背を引き寄せる。
ミライはまぶたを閉じた。二人の顔が次第に近づき、唇が触れあった。
やったー!続きだ〜!
毎日ここに来るのが日課になってます。。
しかも、気になるところで終わってる!
こ、これからどうなるのかな!
ワーイ!
ブライトさんとミライさんラブラブだー。
粉まみれなのに良い雰囲気で素敵です。
会話の内容も、いかにもこの二人らしくて良いですね。
次回が待ちどうしいよー。(ワクワク)
浮上
ミライさん、もてもてだなあ
ブライト、よかったねえ
以下2レスにミライとブライトのSSの続きです。
苦手な方は、スルーお願いします。
その時、貯蔵庫の扉が開いた。
「あーっ! チューしてる!」
レツの声に驚き、ミライとブライトはすぐに身体を離し、お互いに背を向ける。なんてところを見られたのだろう。
こんな場所なら、人目につくことは分かっていたはずなのに。
「レツ! だめっ」
フラウは再び貯蔵庫にレツを引き込むと、自ら扉を閉める。
『ごめんなさい。私たち、何もみてないから! 続けてください!』
フラウの必死の声が扉の向こうから聞こえてくる。
ミライはブライトと顔を見合わせた。続けてください、だなんてフラウは面白いことを言う。二人は同時に吹き出した。
「フラウ、いいのよ。出てきて。こっちこそごめんなさいね」
笑いながら、扉の向こうにミライは声をかける。
『でも』
「そんなに恐縮されるとこっちが困るよ」
ブライトも苦笑しながら言う。
少しの間があって、フラウとレツが済まなそうに出てくる。
「ミライ姉ちゃん、ブライトさん、ゴメンナサイ」
「本当にすみませんでした」
頭を下げる二人に、ミライは困ったようにブライトを見る。ブライトは、そんなミライに頷いて、二人を宥める。
「謝らなければならないのはこちらの方だ。すまなかったな。それより、話し合いはどうなった?」
「ええ、話はつきました。レツも分かってくれましたし、レツの気持ちもわかったから」
「これからも、俺たちはずっと一緒だって決めたんだ」
レツはフラウに続いて言った。レツの目はわずかに赤い。泣いたのかもしれなかった。
「二人でどんな話をしたの?」
ミライは気になった。
「…内緒だよ。なあ、フラウ姉ちゃん」
「ええ、二人だけの秘密です」
フラウは微笑んでレツの頭をなでた。愚問だったのかもしれない。二人の間にはしっかりと信頼が築かれているのだ。
「そうね。つまらないこと聞いてごめんなさい。みんな心配しているわ。早くカツ達に教えてあげないとね」
「はい。私も粉だらけだし…。あっ、でもここのあと片付けをしないと」
フラウは慌てたように言う。
「ここは私たちがやっておくから」
「でも、レツがやったことですし、きちんとさせないと」
フラウはすっかり母親の顔だ。
「いいから、今回は許してやろう。もう行っていいよ。みんな心配している。カイにも報告してやってくれ」
「ブライトさん、ありがとう」
「こんな悪戯は、次はなしだぞ」
すっかり素直になったレツにブライトは甘くなる。
「本当にすみません。ミライさん、ブライトさん」
「いいのよ、早く行って」
「良かったわ。話し合いがついて」
ミライは嬉しかった。フラウに手を引かれるレツを見送る。
「さっきのチューのことは誰にも言わないから!」
レツは、振り返って無邪気な笑顔で言った。
「こら、レツ!」
レツの言葉にフラウは怒りながら、厨房を出て行った。
ミライとブライトは再び、二人きりになる。
ブライトも何か言おうとしたが、少し気まずそうに頭を掻いた。ミライも無言になる。
二人になったからと言ってさっきの続きをする訳にはいかないし、不自然だ。
それに、まったく口づけをすることにためらいを覚えなかった自分にも、ミライは少し驚いていた。
『僕はいつまでも待っているよ』
ふと、彼にそう言われたのを思い出した。ブライトは、自分のことを待ってくれていたのだろうか?
ブライトに聞いてみたかった。でも、こんなときに突然聞いていいものか、迷う。
結局彼女は無難なことを口にする。
「さあ、あと少し、早く掃除しちゃいましょう」
「……そうだな」
二人は再び掃除を始めた。
まってました!最近、立て続けに読めてうれしいです。
毎日チェックしてますー
レツの子供っぷりに笑いました。
いいなー。こら!ブライト!もちっと積極的にだな・・・
キスだけなのに、読んでいて心臓がどきどきします
◆dLceq1HdyU さんの作品はどれも暖かさがあって大好きです
純情なお2人が初々しいですね。
ブライトさんもう一押しだよ。がんばれ!って
応援したくなっちゃいました。良い雰囲気だー。(ホクホク)
感想ありがとうございます。
今気づいたんですが、SSのリンクを貼るのをずっと忘れてました。すみません・・・。
以下2レスにミライとブライトのSSの続きです。苦手な方はスルーお願いします。
>129
レツが起こした騒ぎから数日が過ぎた。フラウと子どもたちは、問題もなく、順調のようだ。
しかしブライトは処理を待つたくさんのタスクを目前に、デスクに組んだ手の上に顎を乗せて、ため息をついていた。
仕事がちっともはかどらなかった。
先日、基地に収容されている兵士たちに、今後の身の処し方について調査があった。戦後の事後処理や調査も終盤を迎え、
現地などで徴用されていた兵たちも任務を解かれることになる。
ミライは、今後どうするのだろう。聞きたくても、ためらいがあった。
あの騒ぎの時にミライとキスをしてから、ブライトは彼女にどのように接したらいいのかが分からなくなってしまっていたのだ。
ミライとプライベートの会話をすることを意識的に避ける結果になっている。
キスを彼女は拒まなかった。あの時は感情の高まりを抑えられなかった。ミライがいとおしくてたまらなかった。少し強引だった感もあるが、
嫌なら拒むこともできたはずだ。
ミライは自分のことを憎からず思っていてくれているのだろう。しかし、一度キスしたからといって、すぐに恋人面する訳にはいかない。
彼女の気持ちを確かめる必要があった。
だが、二人になって、彼女の気持ちを確かめるのが恐ろしくもあった。
終戦直後のミライの消沈ぶりには目を覆いたくなるくらいだった。それにくらべて現在はずいぶん表情も明るくなっており、
以前の彼女に戻りつつある。
しかし、彼女の心の中には、まだ、別の男が棲んでいるのではないのか? そんな疑念が頭にちらつき、ブライトに二の足を踏ませるのだ。
こんな事に気に病むのが、自分でも不器用だと思う。もっと一直線にミライにぶつかれないのだろうか、と。
恒例になっていた任務のあとの部屋の訪問もここ数日、ご無沙汰だ。ミライの淹れた美味い紅茶を飲みたかった。
「いい加減に覚悟を決めなくてはな」
状況から、ミライに思いが通じたと自信を持ってもいいはずだった。それに彼女がまだ、自分に心を向けてくれていないのならば、
振り向かせれば良いだけのことだ。最初の一歩を踏み出さねば何も始まらない。
「よし」
ブライトは組んでいた腕をほどくと、猛烈な勢いで仕事にとりかかった。
さらに数日後、兵士たちが集うサロンで、ささやかなパーティーが催されていた。
カツ、レツ、キッカと、フラウ・ボゥが晴れて一つの家族になったお祝いである。
皆に祝福されて、フラウも、子どもたちも嬉しそうだった。
キッカは早速フラウのことを『お母さん』と呼び始めた。カツとレツは、まだちょっと照れくさそうで、『フラウ姉ちゃん』と呼んでいるが。
ミライは苦労して手配したケーキやシャンパンをサロン中に振る舞っていたが、ようやく、一息つくことができた。
少し離れたソファに腰掛け、シャンパンのグラスを傾けていたミライの向かいに、フラウが座る。
「ミライさん、本当にありがとうございました」
「おめでとう。すてきな家族になってね」
「はい」
フラウは、嬉しそうに返事をする。今の彼女は本当に輝いているとミライは思う。いっぺんに三人の子どもの母親になるのは、
並大抵な覚悟では済まされない。しかし、彼女なら、持ち前の前向きさで立派な母親になれるだろう。
「ところで、ミライさん。ブライトさんと上手くいっていないんですか?」
「えっ?」
突然、ブライトの話を振られて、ミライはびっくりする。ミライはサロンを見渡して彼の姿を探すが、見当たらない。
「……ごめんなさい。変な事を聞いて」
「いいのよ。でも、ブライトと上手くいくも何も……」
そもそも、ブライトとは恋人になったわけでもない。口づけをしたけれど、それ以来、何も話していない。
それに近頃の彼は、なんだかとても忙しそうで、ミライは声をかけそびれていた。もしかして、ブライトに避けられているのでは
ないかとも思うのだ。ミライの気が重くなる。
「そうなんですか。私、すっかりブライトさんとミライさんは恋人だと思ってました」
「えっ?」
ミライは驚いて目を見張る。
おー!いよいよ物語りも佳境に入ってきましたね?
エロがないのに、ブライトさんとミライさんの微妙な関係に
ワクワク、ドキドキです。
◆dLceq1HdyU様のSSはいつも良いところで、次回へつづく…
なので、もう次が待ち遠しいですよー。
最後までがんばってください。
おおー!
ちょっと来れなかったら、SSの続きが!
面白い〜!!
微妙な関係・・・本当!ごく自然に距離が近くなっていく二人がいいです。
続き楽しみにしています!
感想、本当にありがとうございます。
短いですが、以下2レスにミライとブライトのSSの続きです。
>135
「ミライさん、年末からずっとひどく落ち込んでいたでしょう? そりゃあ、あの戦いで傷つかない人なんて
いないとは思います。でも、ブライトさんのおかげで、だんだん元気になられてるのが目に見えてわかったから。
お二人の雰囲気を見てると、なんて言うか、信頼しあっていてすてきなカップルだと思ってたんです」
「フラウ……」
そんな風に見られていたなんて、まったく気が付かなかった。
「実際は、どうなんですか?」
フラウは、思いきったように聞いてくる。実際は、どうなんだろう?
言われてみて、初めて気付くことがある。自分はどれほどブライトを頼りにしていたか。出会ってから、
ブライトが自分に向けてくれた言葉や行動が、次々とミライの中に甦る。彼は、どんなときだってミライを支えてくれたのだ。
「ブライトは……私にとってかけがえのない存在だわ」
素直に、心からそう思えた。
「やっぱり。すてきだわ」
フラウは感激したように両手を握り締め、さらに続ける。
「私も、ミライさんにとってのブライトさんのような、いい関係を築ける人を見つけたいです」
そう言うとフラウはなんだか意味ありげな微笑みを返し、席を立っていった。
ミライは、フラウの後姿を目で追いながら、ひとりで笑う。
フラウは、そんなことを言いながらも、すでにいい相手をみつけているのではないだろうか。
フラウの清々しさと、行動力はミライも見習いたいと思うのだ。
「ありがとう」
フラウの言うように、過去に捕らわれて塞ぎこんでいたミライを引き上げてくれたのはブライトだった。
そう思うと、まずブライトに感謝の言葉を伝えたかった。そして、自分にとってかけがえのない存在であることも。
ブライトはパーティも出ないで何をしているのだろう? まさか、本当に避けられているのだろうか。
それでも、感謝の気持ちを言いたかった。
ミライは、ブライトを探しに賑やかなサロンを後にした。
寝る前に見に来てラッキー!
ミライさんから告白か?ブライトさんは一体どこに…?
目が離せないーー。
(*´-`*)イイノ〜・°。☆・°・。☆・°
おおー!続編が!おもしろーい!!
やっぱり、忙しくてもここだけは、来るべきだった!
ミライさんが、ブライトへの気持ちに気がついたぞ!
続編がとても楽しみです!
以下3レスにミライとブライトのSSの続きです。
苦手な方はスルーお願いします。
>140
ブライトは彼のデスクにも、自室にも居なかった。ミライは兵舎の一直線に伸びた長い廊下を歩いていた。
辺りは活気がなくひっそりとしており、ミライの気分まで心細くなる。
「どこに行ったの? ブライト」
声に出してつぶやくが、その小さな声すらも広い廊下に反響する。静けさがミライの不安を一層あおり、歩みを速めた。
廊下を渡りきると、兵舎の入り口になる。そこに一台のタクシーが止まり、誰かが降りてきた。
「ブライト!」
タクシーから降りたのはブライトだった。
降りるなり声をかけられて、ブライトは驚いたようだ。兵舎の中に入り、ミライに駆け寄る。
「ミライ。どうしたんだ?」
「あなたこそ、どこに行っていたの?」
ブライトが、外出していたとは意外だった。
「ああ、用があってね」
ブライトはそう言いながら、手にしていた包みををさりげなくポケットにしまう。
「そう……。よく外出の許可がおりたわね」
わざわざパーティーの日に外出をすることないのに、とミライは思わないでもなかった。しかしブライトを探しまわった
あてこすりみたいにも思えて、そのことは口に出さなかった。
「ああ。山のような仕事を徹夜で片付けて、やっと上官に外出許可を貰ったんだ」
そこまでして、外出するなんて。なんだか自分たちが軽んじられているような気がして、ミライはブライトを責めるような事を言ってしまう。
「今日は、パーティーだったのよ。あなたにもフラウ達を祝福して欲しいわ」
「……すまなかった。今日しか外出許可が下りなかったんだ」
そう言って、ブライトは、頭を下げる。そこまで謝られると、ミライは自分の方こそ心が狭いような気になってしまう。
「……私も言い過ぎたわ。あなたがどれくらいフラウ達のことを喜んでいるかわかっていたはずなのに」
顔をあげたブライトにミライは微笑みかけ、さらに付け加える。
「ブライトをずっと探して見つからないから、ちょっと怒っただけ」
「僕を、探していた?」
「ええ、あなたに話したいことがあって」
「……僕も、君に話があるんだ」
ブライトは少しの間黙っていた。いつにも増して、深刻そうな顔になるブライトに、ミライは緊張する。
何を言われるのだろうか。少し怖かった。
「場所をかえましょうか」
何とか心を落ち着けたくて、ミライは少し時間を引き延ばした。
「ああ」
二人は無言で長い廊下を歩いた。ブライトの話が何であろうと、ミライも彼に伝えるべき事は言いたかった。
「ここでいいかしら?」
ミライが立ち止まったのは兵舎の中の吹き抜けになったテラスだった。外光を取り込み、開放感のある明るい空間だ。
ここなら気分が暗くならずに落ち着いて話せるし、ブライトの話も聞けると思った。
「ああ」
明るいテラスの雰囲気とは裏腹に、ブライトの表情は固い。彼には珍しく、ポケットに手を入れて落ちつかなそうだった。
何を言われるんだろう。その前に、自分の気持ちを伝えてしまおうか。
「……ブライト」「……ミライ」
二人は同時に互いの名前を呼んでいた。全くもってタイミングが、同じだ。二人は目を見合わせて、吹き出した。
「なんて言うか……、すまない」
「いいえ、こちらこそ」
くすくす笑うミライに苦笑しながら、ブライトは頭を掻く。ミライは緊張がほぐれたような気がした。
「じゃあ、あなたから、どうぞ」
もう、どんな話でも怖がらずに聞こうとミライは思った。
「ああ」
ブライトは真剣な表情に戻り、意を決したように切り出す。
「実は、君に提案があるんだ」
「……?」
思いもよらない言葉にミライは首をかしげる。
ブライトはポケットから取り出した小さな箱をミライに手渡した。
「ミライ。……結婚しないか」
きゃあああああああ!!!!
プ、プロポーズだぁ!
続きが、続きがぁ!早く読みたいです!
『提案』という題名の意味がわかりました。
いつも、素敵なSSをありがとうございます。続きを楽しみにしています!
??
ちょいとテストさせてね
参照文字がなんかうまく出せなくて
だめだ・・・なんでだろ
これなら?
♥
いいぞ、ブライトさん!
こういうSS、嬉しいなあ。
提案、一気読みしました。話の温かい雰囲気が好きです。
いよいよなので待ってます。
申し訳ないです。
ちょっと取り込んでまして、SSの続きは
もう少しかかります。
近日中には続きを出しますので、よろしくお願いします。
>153
いつまでもお待ちしております・・・
非常に遅くなりました。申し訳ないです。
以下4レスにミライとブライトのSSの続きです。
>147
結婚──。ミライは頭の中が真っ白になる。
何も考えられない頭で、差し出された小さな箱を開く。そこには、白くて優しい光を返すシンプルな銀のリングがあった。
このリングを買うために、ブライトは必死で許可をとり、出かけていたのだ。
ミライはブライトに、感謝の意を伝えようと思っていた。ブライトは、自分にとってかけがえのない存在だと伝えたかった。
まだ、自分を待っていてくれたのだろうかと聞きたかった。
しかし彼は、ミライよりもかなり先を見つめていたのだ。見守っていてくれただけでなく、ミライの将来にまで至る、
前向きで素晴らしい提案をしてくれたのだ。
もちろん、その提案に異存はない。ミライは心が温かいもの満たされるのを感じていた。
「……ミライ。返事はいつまでも待つ。君の方の話を聞かせてくれ」
ブライトは何も言わないミライに痺れがきれたようだ。
「私の話は…もういいのよ」
胸が詰まって上手く声が出せない。少し掠れた声で、ミライはブライトに向き直る。
「良くない。聞かせてくれ」
そんなところがいかにもブライトらしいとミライは思う。でもそんな生真面目なブライトだから、ミライは彼が好ましいのだ。
「わかったわ」
「……」
ブライトが、緊張するのが見て取れた。
「ブライト、あなたにお礼が言いたかったの。いつも、私を見守ってくれてありがとう。
あなたは、私にとってかけがえのない存在。だから」
──結婚しましょう。
そう言おうとした時に、甲高い声が被さってくる。
「ブライトさん見つけたー!」
「!」
廊下から、カツ、レツ、キッカが駆け寄ってくる。
「やっと見つけたよー。ブライトさん」
子どもたちはミライとブライトに纏わりつく。
「お前たち、どうした?」
ブライトは、突然乱入した子どもたちに当惑した視線を向ける。
「なんでパーティー出てくれなかったの?」
「どうしてどうして? ケーキあるのに」
「ミライ姉ちゃんも」
口々にまくしたてる子どもたちに、ブライトは投げやりに言った。
「わかったわかった。今から行くから」
「やったあ! 早く行こう」
喜んで腕を引く子どもたちを尻目に、ブライトは困惑した表情でミライを見た。
いったいどこまで子どもたちに邪魔されればいいのかと、問いたげな彼の表情に、ミライは思わず吹き出した。
「楽しかったけど、疲れた……」
自室のベッドにミライは座り込んだ。
結局、ブライトとミライはパーティーに無理やり連れて行かれた。皆に進められるまま飲んで
歌っての大騒ぎだった。
ようやく開放されたのは数時間後。
喧騒の中にずっと居たので頭がぼうっとして、テラスでブライトにプロポーズされたのは
夢だったのではないかと思うくらいだ。でも、夢じゃない。
ブライトから渡されたリングをそっと左手の薬指にはめてみる。ぴったりのサイズだった。
ミライはリングをはめたままベッド脇の小物入れから、もう一つの指輪を取り出す。
金色の、どの指にもサイズが合わない指輪。これを託してくれたスレッガーは、もういない。
彼にはもう二度と逢えない。
そう思うたび、いつもどうしようもなく胸が締め付けられ、悲しかった。でも、それも今日で最後だ。
「スレッガー中尉。ありがとう」
ミライはつぶやいて、少し泣いた。
一時間後、静まり返った廊下のとあるドアの前でミライは深呼吸して、部屋のベルを鳴らす。
「ブライト、私だけど、入ってもいいかしら?」
すぐに部屋の扉が開いた。ブライトは、少し慌てた様子でミライを部屋に迎え入れる。
彼はどうやら入浴直後だったようで、髪の毛が濡れており、Tシャツの上にいつものジャケットを羽織っただけだった。
見慣れないブライトの格好に、ミライは緊張する。
手を後ろで組みながら、何気ないように話を振る。
「いつまで皆と騒いでいたの?」
「ついさっきまでだ。カイのやつが酔っ払ってハヤトと喧嘩を始めて、介抱するのが大変だったよ。
マサキに後は頼んで、やっと戻ってきたんだ」
「そうなの。じゃあ、お酒もたくさん飲んだだろうし、疲れているでしょう? こんな時間にお邪魔して悪かったかしら」
「いいや。そんなことないさ。酒はほとんど飲んでいないし。君から訊ねてきてくれて嬉しいよ」
そう言ってブライトは微笑んで、椅子を勧める。穏やかにミライを受け入れてくれるのが嬉しかった。
ミライは、椅子には座らずに話を切り出す。
「昼間の話の続きを言おうと思ったのよ」
「…そうか」
ブライトが息を詰めるのがわかった。
「さっきも言ったけど…」
いったん言葉を切った。何となく気恥ずかしい。でも、伝えたい。
「ブライトは、私にとってかけがえのない存在なの」
ミライは一歩進み、ブライトに近寄る。そっと左手をブライトの目の前に持ち上げた。
左手の薬指には、ブライトから渡されたリングが光っている。
「あなたと、結婚したいわ」
160 :
名無しさん@ピンキー:04/03/02 00:46 ID:IRQEH9Vp
ネ申きてた。(T-T)感涙
毎日、心待ちにしていました!
うく〜〜!
スレッガーからの指輪をつけて、こっそり泣くミライたん・・・。
最高っす!
続きを楽しみにしています!!
降臨待ち保守〜
遅くなって申し訳ないです。
以下2レスにミライとブライトのSSの続きです。
少なくて申し訳ありません・・・。
>159
「ミライ」
気がつくと、ミライはブライトに強く抱きすくめられていた。
苦しいほど強くブライトの腕に抱かれていた。
「…ありがとう。必ず、幸せにするから」
声を絞りだすようにブライトは言う。礼を言いたいのは自分のほうだ。ブライトが、こんなにも自分を大事に想ってくれるなんて
嬉しくてたまらなかった。
「こちらこそ、ありがとう。あなたの気持ち、嬉しいわ」
ブライトの目を見て言いたかったが、彼は腕の中からミライを開放する気はないようだ。
抱きしめられた力の分、ミライを想ってくれている。しかし、受け止めるだけではなく、自分からも気持ちを伝えたかった。
そっと身体を動かすと、抱かれる腕の力が緩められた。ミライはここぞとばかり身体を少し離して、ブライトの目を見上げる。
「あなたのこと……」
いとおしそうに見つめられていると、なんだか、胸が詰まって続きの言葉が出なかった。
ブライトはわかっている、というように微笑を浮かべ、顔を近づけてきた。二人の唇が、重なる。
ブライトとの口づけは、二度目だった。触れ合うことで、愛を確かめるかのように何度も口づけを繰り返す。
思いあうような口づけは、次第に激しくなり、舌を絡め、相手の唇を自らのそれでそっとはさむ。
ブライトはそのまま、唇をミライの頬にそして首筋へと移動していった。彼の手はミライの背を優しく撫でてくる。
「どれだけ君をこんな風に抱きしめたかったろう…」
ブライトが苦しげな息とともに吐き出す。
もう片方の手が、服の上からミライの乳房に触れた。
触れられたことのない領域に踏み込んで来るような感じに、ミライは身体を少しだけ強張らせた。
しかし、ブライトは、ミライの身体の硬直には気づかないようで、さらに深く、首すじに口付けられる。
右の乳房をそっと撫でまわされると、ぞくりとした。硬直した時とは違う身体の反応に、ミライは熱いため息をついた。
──結婚するまでは、セックスはしないつもりだった。考え方が古いと友人に笑われたりもした。
結婚すれば、好きなだけできるじゃない。と言ってさらに笑われたのは、いつのことだったろうか。
──でも。ブライトの自分を抱いてくれる腕の力強さから、火傷しそうなくらいに熱く伝わってくる彼の想い。
それを受けとめたいと思った。彼の想いに絆されたと言ってもいいかもしれない。
ミライは、そのまま身体の力を抜き、ブライトの背を抱いた。ブライトに応えたい。同じだけの愛情を彼に返したいと思った。
166 :
名無しさん@ピンキー:04/03/14 21:14 ID:YeRe7s4S
きた。ネ申が・・・
イイネー!!最高でつ
がんがれブライト艦長!
保守!降臨お待ちしています〜
申し訳ないです。いろいろあって続きが遅くなっています。
エロエロにすべくがんばりますので、もう少しだけお待ちください。
ハァハァしながら、待っています。
いつまでもお待ちしておりますー
◆dLceq1HdyUさんガンガッテ!(゚∀゚)