1stガンダムで目指せ自分至上最高SS 2

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1名無しさん@ピンキー
落ちたので立て直しました。

  前スレ
  ガンダムで目指せ自分至上最高SS
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/103774/(dat落ち中)

1stガンダムのキャラで萌えるSSが読みたい。
エロも大事だが、そこに至る過程も大切にしたSSを
皆で作っていけたらこんなにうれしいことはない。

リレーあり、連載あり、感想ありのエロSSスレッドにしてい
こうではないか!

詳しくは>2以降
2名無しさん@ピンキー:03/10/29 15:54 ID:j8aoRKgZ
◇約束事
・ できるだけファーストガンダムのキャラをメインで
(舞台は1stでなくてもOK)
・エロ推奨でも面白ければプラトニックでもOK
・リレーSSは開始した人がタイトルを決めること
・SSを新たに始めるときは連載またはリレーかを前もって宣
言すること
・リレーおよび連載の場合名前欄にタイトルと通し番号を入
力する
・続きうpする場合は前作のリンクを入れるとなお良い
・連載の場合はコテハンまたはトリップをつけると間違いが
起こりにくいかもしれない
・好みは人それぞれ、お互いを尊重 感想も常識の範囲内で
書き込むこと
・sage進行で!(メール欄にsageを入れる)

連載もリレーも未完で終わらせないように皆で協力よろしく

3名無しさん@ピンキー:03/10/29 16:15 ID:j8aoRKgZ
アムセラの最後のSSのログ持っている人いたら貼ってくれ!
あと即死しないようにレス頼む!
4名無しさん@ピンキー:03/10/29 17:51 ID:Ir+byvd6
新スレ  キタ━━(━(━(-( ( (゚∀゚) ) )-)━)━) ━━ !!!!!
>1 乙です。

以下、前スレの最後のSSのコピペ

勝手に妄想  アムxセラ編

 セイラは自室を訪れたブライトにあのシャアが兄であることを告げた。
ブライトは傍受していたテキサスでの会話からおおよその見当がついていた
のだろう、少し驚いてみせただけでこれまでのふたりのいきさつを尋ねた。
しかしセイラはそれについて答える事をやんわりと拒絶する。ブライトは
これ以上詰問したところで細かい事情は聞けそうにないと詮索する事を諦めた。
正直、興味のある話であるが今は過去を探るよりもこれからの事に目を向けねば
なるまい、と別の質問をセイラに投げ掛ける。
「・・・で、艦を降りるつもりなのか?」
「いえ、もうそれもできないでしょうね。ホワイトベースに愛着もあるし、それに
できもしないことをできると信じている兄を思うと、刺し違えてもいいって」
 セイラは苦し気に答えると次第に心の内を露にしてゆく。感情的になるセイラの
意外な一面を目の当たりにしてブライトは少し戸惑うが、それだけこの兄妹には
自分が想像もつかない複雑な過去があるのだろうと思う。少し平静を取り戻した
セイラは困惑するブライトに感情的になった事を侘びると兄がくれた金塊を託すのだった。
『――ごめんなさい。キャスバル兄さん』
  兄のいうことに逆らった事など無かったセイラはひどく胸が痛んだ。ましてや、
自分の身を案じての事なのだ。
「その方がいいのか?」
 セイラの憂いを含んだ瞳に苦渋の選択であろうと察したブライトの口調は優しかった。
『本来ならば即刻、スパイ容疑で処罰ものだがな。俺も甘いな・・』
 ブライトは自分を皮肉るのだった。
「私がすっきりします。こんな自分勝手な言い草はないと思いますけど」
 ブライトはセイラらしい答えだと思う反面、虚勢を張っている彼女を痛々しく
思う。
5勝手に妄想  アムxセラ編:03/10/29 17:52 ID:Ir+byvd6
「セイラの選んだ道はつらいぞ」
「承知しているつもりよ」
 そこにはいつもの凛としたセイラがいた。ブライトはセイラの深く澄んだ蒼い瞳の中に揺るぎない
意志を見て取った。
「頭で考えるほど楽なことではないと思うがな。ま、あてにするぞ、セイラ」
 不器用なブライトなりの激励である。
「わかっているわ」
 ブライトの気持ちを汲み取ったセイラは勝ち気そうに笑みを浮かべる。ブライトはトランクを
手にすると部屋を後にした。ひとりになったセイラは深い溜息をひとつ吐くのだった。
 ――本当にわかっているの?セイラは自問する。ただ、できる限り兄を近くで感じていたい
だけではないのか?その気持ちが全く無いといえば嘘になる。しかし、自分の身を呈してでも
兄の驕慢ゆえの行動をやめさせたいというのも嘘では無いのだ。
 セイラは誓う。決してホワイトベースのクルーを裏切る様な真似だけはしまいと・・・。
 
 アムロとの約束の時間が近付くとセイラは重い足取りでアムロの部屋へと向かった。部屋の前
に着くと大きく深呼吸して気持ちを落ち着ける。
『きちんと話をしなければ・・』
 セイラは意を決すると背筋をピンと伸ばしドアをノックする。
「・・・」
 セイラは返事がないのに首を捻りつつ数回ノックするがやはり反応が無い。
『いないのかしら?』 
 肩透かしを喰ったセイラは引き返そうかと踵を返すが、やはり扉の向こうにアムロが居る気が
してならない。セイラは反転するとドアに手を延ばしノブをゆっくり廻してみる。
『ロックされていない?・・』
 セイラは静かにドアを開け、部屋の中の様子を窺った。するとこちらに背を向ける形で椅子に
腰掛けているアムロをみとめた。
6勝手に妄想  アムxセラ編:03/10/29 17:54 ID:Ir+byvd6
「アムロ、入るわよ?」
 セイラは後ろ手で音がしないようにドアを閉めるとそっとアムロに歩み寄った。
『眠っているわ・・』
 無防備に眠るアムロの顔にセイラは見入ってしまう。こんな風にゆっくりとアムロを見た事など
ない。癖が強いが柔らかそうな髪、長い睫毛、新しい発見をする度にセイラは喜びを感じるのだった。
『ふふ、こんな子がガンダムを操ってジオン軍を震撼させているなんてね・・・』
 まだ、あどけなさが残る寝顔を眺めていると自然と笑みが零れてくる。
『ずっと、こうしていられたらいいのにね・・』
 ささやかな願いであるが戦争の真っ只中に身を置いている自分達には到底叶わないことだ。
セイラは遣る瀬無さに胸が締めつけられた。
『――ほんと、よく寝ているわ・・・』
 あまりに気持ち良さそうに眠っているアムロの姿をみていると起こすに忍びない。このところ
立て続けの戦闘に心身とも疲れ切っているのだろう。
『話はまた今度ね・・』
 話を先送りにする口実が出来た事にセイラは胸を撫で下ろすのだった。
『このままじゃ身体が冷えてしまうわね・・』
 アムロに毛布を掛けようとセイラはベッドから毛布を取ってくる。
「アムロ、今はよく休みなさい」
セイラはアムロに小さな声で話し掛けながら毛布を掛けてやる。
7勝手に妄想  アムxセラ編:03/10/29 17:55 ID:Ir+byvd6
「・・ん、うぅん?」
 アムロは眩しそうに目を開け、伸びをすると掛けられた毛布がずれて足元にばさりと落ちる。
「あっ!」
 セイラは毛布を拾おうと咄嗟に身体を屈める。目を覚ましたアムロの視界には眩いばかりの
金髪が広がっていた。
「・・・セイラさん?」
 アムロの呼び掛けにセイラは顔を上げた瞬間、お互いの視線がぶつかる。アムロはセイラの顔を
瞬きするのも惜しいかのように凝視する。アムロの真直ぐな瞳にセイラは急に気恥ずかしくなり
思わず視線を逸らしてしまう。
「ご、ごめんなさい。起こしてしまったわね。・・・あっ!?」
 セイラはバランスを崩してアムロの方へと倒れ込む。アムロがいきなりセイラの腕を掴み
自分の方へと引き寄せたのだ。
「何するの!?」
 アムロはセイラの言葉を無視すると空いた方の腕をセイラの背中に廻し、セイラをきつく
抱き寄せるのだった。
8名無しさん@ピンキー:03/10/29 22:37 ID:ab/zJEOc
>>1
乙です。
即死防止に、即席SS執筆してみます。
9名無しさん@ピンキー:03/10/29 23:20 ID:t35TSV1Q
>>8
期待しております!

10名無しさん@ピンキー:03/10/29 23:22 ID:t35TSV1Q
忘れてた・・・。

>>1
乙です。新スレありがとうございました。
11名無しさん@ピンキー:03/10/30 01:04 ID:MF/7tDPI
即死防止のためのSSです。
時間が無いので、できについては**相当**大目に見てください。
なにせ、8の書き込み時間から、今までの間に書いたので……。
あと、バイト数は十分だと思いますが、即死判定には発言数が
不足するようなので、やや細切れにしてアップします。
12名無しさん@ピンキー:03/10/30 01:05 ID:MF/7tDPI
(1/6)
第29話「ジャブローに散る!」異聞
ジャブローに無事帰還したホワイトベース。
そこで乗組員たちは身体検査を受けることになった。

  *

ミライ、フラウらが検査を終えて着替えているところにセイラが駆け込んできた。
「あら、セイラ、遅かったじゃない?」
「なんでも、書類不備だって、一人だけ時間がかかったの。
まったく官僚主義なんだから…」
そういいながら、あわてて連邦軍の制服を脱ぎ、下着姿になると上から検査衣をまとった。
「まだ受付時間に間に合って?」
「えーと、あと5分で受付終了みたいです」
「そう、ありがとう、フラウ。どうにか間に合ったみたいね」
そういいながら、検査衣をまといながら器用にブラをはずすと、セイラは奥の診察室に駆け込んでいった。
13名無しさん@ピンキー:03/10/30 01:06 ID:MF/7tDPI
(2/6)
中に入ると、看護師がイライラしたような態度で待っていた。
「セイラ・マスさんですね。あなたで最後ですよ」
「申し訳ありません。手続きに手間取って…」
「では、まずこの薬を飲んでください。そして、検尿、身長、体重の順に測定します」
そういうと、看護師は液体の薬をセイラに渡した。
セイラはそれを飲み干すと、検尿コップを持ってトイレに歩いていった。
気が急いていたため、看護師の目が怪しく光っていたことも気づかずに…。
14名無しさん@ピンキー:03/10/30 01:07 ID:MF/7tDPI
(3/6)
検査自体は滞りなく行われていた。
視力、聴力、血圧…そして、最後の脳波検査へと進んでいた。
セイラは頭にいくつかの電極をつけられて台の上に横になっていた。
「じゃぁ、その状態で15分、動かないでください。それで検査終了ですから」

横になって数分後、セイラは自分の身体に違和感を感じていた。
(な…なんなの……あそこが…熱い…なんで…こんなところで…)
セイラは思わず太ももをくねらせる。
「あぁ、動かないでください。またやり直しです」
「す、すいません」
しかし、15分という時間は長い。
気を抜くとつい腰を動かしてしまう。
15名無しさん@ピンキー:03/10/30 01:08 ID:MF/7tDPI
(4/6)
セイラがこのような状況になっているのには、実は理由がある。
それは、セイラに目をつけた連邦の某士官が、看護師を買収したのだ。
まず、はじめに飲まされた薬は実は媚薬であり、薬の効き目が現れるまで他の検査を行って時間を稼いでいた。
そして、今の「脳波検査」とは名ばかりで、検査など行われていない。
逆に、電極からは脳の性行為をつかさどる部署に微弱な電磁波を流していた。
加えて、現在、セイラが頭を乗せている枕の横からは、無味無臭の媚薬が霧状に散布されている。
16名無しさん@ピンキー:03/10/30 01:09 ID:MF/7tDPI
(5/6)
「はい、OKです。お疲れ様」
何度か中断したために、終了するまで30分ほどかかった。
セイラは台から降りたが、脚に力が入らない。
にじみ出た愛液で下着はビショビショになっている。
「どうしました?」
あわてて看護師が寄ってきて、さり気なくセイラの胸を触る。
「うっ」
胸は痛いほど張っており、触られただけで快感が全身を巡る。
「どうしました?大丈夫ですか?起こしますよ」
そう言いながらセイラの背中に回ると、わきの下から手を入れて両手でセイラの胸を触る。
「あぅっ……」
媚薬の効果、そして身体が刺激に飢えていたこともあり、セイラは服の上から触られただけでイッてしまった。
17名無しさん@ピンキー:03/10/30 01:10 ID:MF/7tDPI
(6/6)
「先生、先生!」
看護師があわてて医師を呼びに走る。
医師の診断は「欲求不満に起因する性欲異常」という、あまり聞いたことのない病名だった。
それから1週間ほど。
セイラは「治療」という名目でこの計画の首謀者の士官や医師、看護師から散々陵辱されるのだった。
18名無しさん@ピンキー:03/10/30 01:52 ID:AxtS3R6r
駄文スマソ。
最近、SSが書けなくなって、無理やり書いてもこの程度。
スランプなのか、才能が枯渇したのか、体力がなくなったのか……。

ちなみに、もう1案あったんだけど、書こうと思ったら相当の長編になる
ことが分かったので断念した。

即死防止のために、次発言で「幻の(1)」だけアップさせてもらう。
19名無しさん@ピンキー:03/10/30 01:53 ID:AxtS3R6r
ア・バオア・クーでの激戦は、かろうじてジオンの勝利となった。
その一因として後世の歴史家は、発艦直後、流れ弾に当たってRX-78が撃破されたことをあげることが多い。
その戦いでジオングはわずか1機で100余機のGMと10隻を越える艦船を撃破したが、
RX-78がいれば互角に戦えたはずだ…と。

損傷を受け、ア・バオア・クーに着底を余儀なくされたホワイトベースクルーにとって、脱出は至難であった。
救命艇の不足などで多数の人員が逃げ遅れ、ジオンの捕虜となった。
そしてその中の3人が、今、ギレン総帥の前に引き出された。
ミライ・ヤシマ
セイラ・マス
フラウ・ボウ
の3人である。

Not To Be Continued
20名無しさん@ピンキー:03/10/30 01:56 ID:AxtS3R6r
さて、20ゲット。あと5〜10発言ぐらいすればよさげだね。
>>19は「ギレンに責められるorやられる三人娘」なんだけど、
今の執筆速度だと完成まで3年はかかりそうなのでGive UP!
続けたい方がいらっしゃればご自由に。



21名無しさん@ピンキー:03/10/30 06:38 ID:YWIj3xiE
>>20

と言わずに続きを書いてオクレヨ。
ギレンに責められる3人……(;´Д`)ハァハァ



22名無しさん@ピンキー:03/10/30 10:36 ID:B7pfDkXQ
>>20
是非とも、書いてくらはい(;´Д`)
23名無しさん@ピンキー:03/10/30 18:46 ID:YWIj3xiE
>>1
サンキュー!
職人の皆様、頑張ってくらさい。
24名無しさん@ピンキー:03/10/30 21:59 ID:eO22TIOg
おうわーすごい!
新スレ立ったと思ったら新作まで・・
ありがとうございます。
身体検査イイゾ!1週間の治療内容を詳しく・・・
25名無しさん@ピンキー:03/10/30 23:35 ID:EECjvzxD
保守がてらかきこ。
>>12-20を書いたものです。
18にちょっと書いたのですが、最近スランプで、文が荒いんです。
某所に投下しようとしているSSなど、一ヶ月近くかけてようやく5発言分。
スランプを脱出したら、いずれ投下しますので、当面はご容赦を。
26名無しさん@ピンキー:03/10/31 01:14 ID:+R/zj6ZI
お待ちしております。期待...
27名無しさん@ピンキー:03/10/31 02:18 ID:+hO9vUcz
一応、保守。
28名無しさん@ピンキー:03/10/31 13:30 ID:1krB0jRN
アムセラ イイ!!
続き、期待
29名無しさん@ピンキー:03/10/31 23:19 ID:4tfA9ghD
アムセラ期待しつつ保守。
30名無しさん@ピンキー:03/11/01 00:18 ID:XOLZ0n9c
終局である。
セイラとアムロが生身でエッチするなど、すでに即死防止ではない。
スレ住民に科せられた宿命なのだろう。
ホワイトベース3人娘をギレンの黒い欲望が包んでいく。
機動戦士ガンダム、次回、『(即死からの)脱出』。
このスレは、生き延びることができるか?
31名無しさん@ピンキー:03/11/01 09:23 ID:jI2zLKUm
ちなみに即死防止にはどのくらいのレスがつけば大丈夫なのだ?
容量も関係あるみたいだけれど…
32名無しさん@ピンキー:03/11/01 10:59 ID:UMz+XfWC
>>31
詳しいことは秘密になっているので判らない。
容量は5KBとか言われているけど、すでに14KBあるからOKと思われる。
レス数は20といわれていたけど24〜25で落ちた例もある。
まあ30超えれば大丈夫だろう…ということで。
33名無しさん@ピンキー:03/11/01 15:50 ID:7bMzS1ZK
35落ちたのを見たことがあるのでageとこう
age無くても保守は出来るが
3431:03/11/01 17:41 ID:jI2zLKUm
>>32
ありがとうです。
最近、エロパロも圧縮が激しいみたいだし落ちない様に
気をつけねばなりませんね。
35名無しさん@ピンキー:03/11/01 17:45 ID:SbN4z7H+
>>34
圧縮は激しくないよ。
即死が激しいだけで。

つーか、ネタも無く「○○のエロパロキボンヌ」
だけでスレ立てるから…。
3635:03/11/01 17:48 ID:SbN4z7H+
しまった…。書いてみて、最後に
「人が、そんなに簡単にエロパロ書けるわけ…ない…」
と入れておけばよかった…

と、これで36発言。
あとはマターリ行っても大丈夫でしょう。
37名無しさん@ピンキー:03/11/01 22:58 ID:9RWLT1jM
セイラのもろいとこが好きだ。
それはフラウにもミライにもないんだよな〜
38名無しさん@ピンキー:03/11/01 23:45 ID:pXCunSz9
ハアハア・・・・・・・
39名無しさん@ピンキー:03/11/05 13:38 ID:u4dFoPs7
アムxセラまだぁ〜?
40名無しさん@ピンキー:03/11/07 00:27 ID:FyMsCMHU
前スレのコピペ、どうもありがとうございます。
長い間かかった割には、ほとんど話が進んでいません。どうか御容赦願います。

以下、アム×セラのお話です。苦手な方はスルーでお願いします。
41勝手に妄想  アムxセラ編 :03/11/07 00:30 ID:FyMsCMHU
>7

 セイラは両手をアムロの肩にあて、押し返すことで逃れようとするがアムロはそうはさせまいと
更に抱き締める腕に力を込める。
『アムロに、こんな力があるなんて・・・』
 この数カ月の間にアムロはセイラが思う以上に心身とも逞しく成長していた。思う様に動けない
セイラは、アムロの腕の中で身じろぎするしかなかった。
「・・・嫌ですか?なら、離します」
 アムロは悲し気にくぐもった声を出す。
「えっ?・・・」
 セイラは思いがけないアムロの言葉に身体を強張らせてしまう。
『そんなこと無いわ・・』
 本意では無いものの、アムロと決別するつもりだったセイラはここで気を許しては駄目だと喉まで
出かけた言葉をぐっと飲み込んだ。
「――お願いします。もう少しだけ、このままでいさせて下さい・・・」
「アムロ・・・」 
 自分の事を必要としてくれるアムロの気持ちが嬉しくて切ない。
(僕が守りますから・・・)
 セイラはアムロの言葉を思い出していた。セイラは今し方、アムロの寝顔を見つめている時に
誰かを守りたいという気持ちを初めて知った気がした。今はそれを教えてくれたアムロにその言葉を
贈りたいと思う。
『部屋に来る前の決意がこうも脆く崩れてしまうなんて・・・』
 セイラは自分の弱さを笑いながらも今はただ、自分の心に素直でありたいと思うのであった。
42勝手に妄想  アムxセラ編 :03/11/07 00:33 ID:FyMsCMHU
『――もっと、強く抱いて。そして私を離さないで・・・』
 セイラは抵抗する力を緩める。そして、その願いを込めてアムロの首に腕を絡めると、
きつく抱き返すのだった。自分にもそんな情熱的なところがあったことが少し照れ臭い。
しかし、それ以上に女としての悦びがセイラの心を満たしていくのであった。
 寄り掛かるセイラとアムロの重みが椅子に掛かり『ギィ』と背もたれが軋む音が静かな
部屋に響く。アムロは先程まで全身を強張らせて自分を拒んでいたセイラが、今は自分を
受け入れてくれている事に嬉しみを感じずにはいられなかった。緊張が解けたセイラの身体は
しなやかで暖かい。
『もっと、あなたを感じたい・・・』
 更なる欲望がアムロの頭を擡げ始めていた。

 その身体の線を確かめるべくアムロは、廻した手をゆっくり、且つ慎重に背中から引き締まった
腰へと滑らせていくのだった。
 セイラはその手の動きがこそばゆく、身を捩る。もっと触れて欲しいと思う気持ちと裏腹に身体
が勝手に逃げようとしてしまうのだった。その行為が自分を避けるものでは無いと確信するアムロ
はその背中を再び抱き締めると、少し首を内側に捻り、セイラの豊かで麗しい金髪に顔を埋めてみる。柔らかいその金髪から仄かに良い香りが漂い、アムロの鼻腔を甘くくすぐる。アムロはセイラの髪に
手を伸ばすと優しく指で梳かしつけながら、その官能的な感触と香りにすっかり心を奪われていた。

43勝手に妄想  アムxセラ編 :03/11/07 00:38 ID:FyMsCMHU
「セイラさん・・」
 アムロの吐息混じりの柔らかい声がセイラの耳を甘く擽る。セイラはアムロの呼び掛けに
応える様に頭を擡げると、潤んだ蒼い瞳で間近にあるアムロの横顔を捉える。アムロもまた
首を動かし、セイラの薄桃色に紅潮した顔を正面に捉えると熱を帯びた額をセイラの額へ
押し当てた。セイラは息遣いが掛かる程に接近したアムロの顔をまともに見る事が出来ない。セイラは更に頬を上気させると恥じらいの表情を浮かべるのだった。
『セイラさん、可愛いな・・』
 アムロはいつも凛としたセイラの意外な一面を知って素直にそう思った。口に出すとまた『生意気よ』とたしなめられるのだろうと想像するとつい、口元が緩んでしまう。  
――僕だけが知っているんだ・・・。こんなセイラをみんなに知らせたい様な、誰にも
知られたく無い様な不思議な気分にアムロの胸は一層、ときめくのだった。そしてアムロは
まだ伝えていなかった言葉を口にする。
「――あなたが好きです・・・」
 言いながら、アムロは澄んだ瞳でセイラの瞳の中を覗き込む。アムロの瞳の眩しさに
セイラは直視し続けられずに少し俯くと瞳をそっと伏せる。 眼を閉じていても感じる
アムロの熱い眼差し・・。それに応えなくては・・・。
『答えは解っているのでしょ・・』
 セイラは自分自身に喝をいれる。意を決するとゆっくり瞼を開く。ちらりと上目遣いに
アムロを見た途端に視線がぶつかるのだった。今度はセイラも視線を逸らす事無く、アムロ
の真直ぐな瞳を受け入れる。絡み合う視線が、離れかけたふたりの心を再び近付けていく。
セイラは白い手の平をアムロの頬に宛てがうと細く長い指をつたわせ、愛おし気に愛撫する。
『私も、あなたが好きよ・・』
 セイラは言葉の代わりに熱く火照った唇をアムロの唇に押し付けるのだった。
44名無しさん@ピンキー:03/11/07 23:25 ID:rySvF+iR
やばい!
45名無しさん@ピンキー:03/11/08 14:55 ID:A9b1obTG
続きキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!

セイラさんに『ぶちゅう』とされてみてぇー!
46名無しさん@ピンキー:03/11/08 15:11 ID:xULA/K7b
私はそんな下品な音は立てなくてよ。
47名無しさん@ピンキー:03/11/08 22:48 ID:A9b1obTG
そ、そうですね。セイラさんに限ってそのような事は…。
どうか、無礼をお許し下さい。

>44
今更だが、なにが『やばい』のか気になるな…
48 ◆dLceq1HdyU :03/11/09 01:11 ID:XmvVq1wK
ご無沙汰してます。
こりずにSSを連載させてください。エロが少ないし書き上げのペースが
遅くて申し訳ないのですがよろしくお願いします。

またまたミライさんの話です。以下3レスです。苦手な方はスルーをお願いします。
49提案(1) ◆dLceq1HdyU :03/11/09 01:13 ID:XmvVq1wK
 あふれてきた涙をそのままに、ミライは声を絞り出す。
「死なないでください」
 言わずにはいられなかった。ずっと胸によぎる不安、これがスレッガーの危険を意味しているのだとしたら……。
 なのに、立ち止まった彼は少し困ったような顔をして、髪をかきあげただけだった。
「ミライ少尉、人間、若いときはいろんなことがあるけど…。今の自分の気持ちをあんまり本気にしないほうがいい」
 伏し目がちにスレッガーは言った。
「どういうことでしょう?」
 私の気持ちは気づかれている。当然だとミライは思った。こんな緊迫した状況の中、スレッガーに会いにきたのだ。
 何か、決定的なことを言われるのだろうか。まだ、自分の気持ちを言葉で伝えてもいないのに。
「……まあ、いいでしょう」
「中尉……」
 想いすら口にさせてくれないのだろうか。ミライはスレッガーの真意を測りかねた。
「おれは、少尉の好意を受けられるような男じゃない」
「…スレッガー」
 彼は何を言うのだろうか。
50提案(2) ◆dLceq1HdyU :03/11/09 01:14 ID:XmvVq1wK
 スレッガーは続ける。
「おれにとっちゃ、少尉はまぶしすぎるんだ。世界が違うんだな」
 世界が違う。どういうこと? 胸が苦しかった。眩しいとか、世界とかじゃなくてあなたの気持ちは?
「でも」
 スレッガーは反論しようとするミライを遮るように、人差し指にはめていた指輪を外し、ミライに手渡した。
「安物なんだがね、おふくろの形見なんだ。宇宙でなくしたら大変だ。預かっておいてくれよ」
 ノーマルスーツ着用のため、無骨なグローブの上から指輪を受け取る。金色に鈍く光るそれをミライは握りしめた。
 ──形見の指輪。思いもよらない預かり物に、ミライは何も言えなくなる。
「すまない」
 スレッガーは安心したように微笑んで、歩き出す。その笑顔は、彼らしくない愁いを含んでいるような気がした。
 ミライがスレッガーを呼び止めようとした時、攻撃を受けたのだろうか、艦が大きく揺れた。
「あっ」
 ミライの身体が揺れに耐えられず、スレッガーの方へ流された。
 スレッガーは腕を伸ばしてミライの腰を支える。スレッガーの顔がすぐ近くにあった。
 間近で見る彼の青い瞳は、さまざまな感情を宿しているように見えた。
 彼が何を思うのか知りたい。もっと近づきたい。そう思ったら、ミライは自然にまぶたを閉じていた。
 温かい息が頬にかかり、少し乾いた唇が、重ねられる。
 触れあうだけの、静かな口づけをミライは受けとめた。
 だが、その時間は長くは続かない。
「指輪を頼むよ。少尉」
 そう言い残してスレッガーは行ってしまった。

 ミライの手の届かない、うんと遠いところに。

51提案(3) ◆dLceq1HdyU :03/11/09 01:15 ID:XmvVq1wK
「あなたはずるいわ」
 ミライの指には緩すぎる指輪。手のひらに乗せた金色の指輪を見つめながら、ミライは小さくつぶやく。
 世界が違うと言いながら、彼はミライに口づけをした。
 スレッガーの真意は聞いていない。そして、ミライは自分の想いを伝えることもできないままだ。
 ──なのに、スレッガーは遠くにいってしまった。

 宇宙世紀0080年1月。ジオン共和国と地球連邦は、終戦協定が結ばれ、のちに一年戦争と呼ばれる戦いは終結した。
 ア・バオア・クー侵攻において乗艦であったホワイトベースが大破したクルーたちは、とある連邦軍の基地の兵舎に収容されていた。
 戦後の事後処理、調査があるという名目で、彼らはずっとこの兵舎に閉じ込められていた。

 たいした調査もされず、ミライは暇を持て余している。せめて基地内で、雑用などの労働をさせてほしいと訴えてはいるが、なしのつぶてだ。
 部屋にじっとしていると、いつも考えるのはこの戦いで命を失っていった人たちのことだった。
 特に、スレッガーとの、ソロモン攻略戦のさなかでのやりとりはしきりに思い出すのだ。
 物思いにふけっていたその時、部屋の訪問を伝えるベルが鳴った。指輪をしまい、ミライは訪問者の入室を許可する。
「ミライ…ちょっといいかな」
 ブライトだ。いつもきちんと制服を着こなし、姿勢の良い彼だが、今日はどことなく疲れをまとっているようだった。
52名無しさん@ピンキー:03/11/09 18:32 ID:HUi8j6bI
な、なんと・・これはもしや念願のブラxミラでは!
ありがとうございます〜
53名無しさん@ピンキー:03/11/09 23:48 ID:nCQA0f2T
新作キタ─────!!
54名無しさん@ピンキー:03/11/10 23:30 ID:ijAp79Y7
新作、キタ━━(゜∀゜)━( ゜∀)━(  ゜)━(  )━(  )━(゜  )━(∀゜ )━(゜∀゜)━━!!!!

アムセラも、ついに…?(;´Д`)ハァハァ
 
続き、お待ちしとります。
55名無しさん@ピンキー:03/11/15 01:06 ID:mmCp4I2y
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1035/10354/1035464774.html
↑前スレがhtml化してた!!!!
56名無しさん@ピンキー:03/11/15 01:17 ID:AxIgBtND
ttp://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1065367248/180
180 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:03/11/13 00:32 ID:EezoTGtq
(中略)
BBSPINK のすべての板で dat 落ちスレが html 化されました。
www2 サーバは負荷の具合から見て、夕方4時頃作業したようですから、
それ以前に落ちたスレは html 化されていると思います。
57名無しさん@ピンキー:03/11/16 16:24 ID:CFFAiLGy
MS少女ってのは駄目なのか?
(キャラじゃないもんな…
58 ◆dLceq1HdyU :03/11/16 22:20 ID:KeDYvefh
遅くなりましたが、以下2レスにミライさんの話のつづきです。
エロまで全然到達せず・・・。申し訳ないです。近々エロが入るようにします。
苦手な方はスルーをお願いします。
59提案(3) ◆dLceq1HdyU :03/11/16 22:21 ID:KeDYvefh
「いらっしゃい」
 ブライトに椅子を勧めて、ミライはお茶の準備をする。
「今日もいつもどおり?」
「ああ。相変わらずだ」
 ブライトは連日、軍の上層部に呼び出されていた。わずかな時間ができると、こうしてミライの元を訪れる。
「大変よね。あなたも、そしてアムロも」
 アムロは、特殊な能力を持つ可能性があるとして、調査を受けている。
 そしてブライトも、ホワイトベースの艦長を務めていたという立場上、調べる事項が多いのは仕方の無いことかもしれない。
 しかしミライは一度聴取を受けただけで、音沙汰なしだ。
「でも、私も辛いわ。ただ何もせずに無為に過ごすのもね」
 ミライはブライトの前に淹れたての紅茶を置き、自分もカップを手にブライトの向かいに座る。
「……思い出してしまうのか? これまでのことを」
「ええ」
 ブライトは自分のことをよくわかってくれている。自然に通じ合うのだろうか、とミライは思った。
「……忘れたい訳じゃないのよ。ただ、まだ、ね」
「時間が必要か」
「ええ。なのに、することがないでしょう? どうしても、考えてしまうのよ。死んでいってしまった人たちのことを」
 ブライトには素直に、思っていることを言えるのだ。
「そうか。まだ、あの戦いから一月も経っていないんだものな」
「……」
 そう、あの壮絶な戦いからまだ日も経っていないのだ。ミライはうつむいた。
「連日の取り調べにも辟易するが…、何もすることがないのも辛いだろうな」
「いいえ、あなたのほうが大変よ。愚痴をこぼしてごめんなさいね」 
 ブライトの方がよほど疲れているはずなのに、気を使わせてしまったようで、ミライは申し訳なく思った。
「君の愚痴ならいくらでも引き受けるよ」
 ブライトはわずかに笑みを浮かべ、紅茶を美味しそうに啜ってから、切り出した。
「だったら…。手伝ってほしいことがあるんだ」
「なにかしら」
「子供たちのことさ」
60 ◆dLceq1HdyU :03/11/16 22:22 ID:KeDYvefh
ごめんなさい↑(4)でした。
61提案(5) ◆dLceq1HdyU :03/11/16 22:23 ID:KeDYvefh
 ブライトの話はこうだった。
 カツ・レツ・キッカの三人のこれからの事をフラウ・ボゥに相談されたという。もし、彼ら三人の親が見つからなかったら
彼女が彼らを引き取りたいというのだ。
「フラウの決意は揺らがない。相当なものだ。だから、僕としても協力することを約束した」
「そうなの……。フラウは、偉いわ。そして、強い。私も見習わなくてはね」
 フラウは、これから先のことを考えているのだ。ミライは自問する。自分はまだ、これまでの出来事に捕われている
だけなのではないだろうか? 
 しかしブライトは話を続けるので、その疑問は取りあえず頭の隅に追いやる。
「それでだ。僕ももちろん助力するが、いかんせん取り調べがあって、まとまった時間が取れない」
「私、お手伝いするわ」
「それを頼みたかったんだ」
 即答するミライを見て、ブライトは嬉しそうにする。
「そこでまず子供たちの親の消息探しをしなければならない。……しかしなにせサイド7だからな」
「そう、ね」
 思えば、あれが始まりだった。二機のザクが強襲し、それに伴う戦闘でサイド7は滅びたも同然なのだ。
ホワイトベースの乗艦確認ができていない人たちはきっと…。
 ミライにとっても、それは思い出すことすら堪えがたい出来事だ。ティーカップを手のひらで包みこみ、目を伏せた。
「君も、そこでお父さんを亡くしたんだものな……」
「ええ」
 ブライトにとっても辛いことのように、苦しげに言う。ミライの気持ちを慮っていてくれているのが、とてもよくわかる。
「君の辛いことも思い出させてしまうことになる。それに子供たちも辛いだろう。だけど、これからの手続きをする上でも、必要なんだ」
「ええ、協力するわ。こんな辺境の基地でできることは限られているかもしれない。でもやれるだけの事はやりたいわ」
「ありがとう。感謝するよ」
62名無しさん@ピンキー:03/11/17 07:21 ID:VTwMwgeU
続きがキタ!!

>近々エロが入るようにします

激しく期待しております。(;´Д`)
63名無しさん@ピンキー:03/11/20 00:13 ID:MV52rRNw
おー、続き、うれしいです。

そのころハヤトはフラウに猛烈アタックか??
そして頼みの綱のアムロは・・・
まずい、まずい、また脱線スルヨ
64 ◆dLceq1HdyU :03/11/24 12:57 ID:35YizlwC
非常に申し訳ないのですが、事情により、今週はSSの更新ができません。
待っていてくださった方、申し訳ありません。

来週始めまでには、かならずうpさせていただきます。
65通常の名無しさんの3倍:03/11/24 22:02 ID:5KRzCwiz
余り無理はなさらないで下さいませ。

マターリとお待ちしております。
66名無しさん@ピンキー:03/11/26 10:24 ID:WgOxQZdA
楽しみにしてますよ!
ところでミライさんセイラさんは人気だけど、フラウ派はここにはいないのかな
67名無しさん@ピンキー:03/11/26 16:14 ID:7sTN3ifP
>>66
はーい。ノシ

しかし相手がなぁ・・・。
アムロだと最終的にはかわいそうなことになるし、
ハヤトだと悪いが正直(;´Д`)ハァハァ ムリ。
68名無しさん@ピンキー:03/12/01 23:24 ID:cGhm8a75
続き、まだーーー?
69 ◆dLceq1HdyU :03/12/02 23:31 ID:GOnKFilp
おそくなって申し訳ありません。
以下4レスにミライとブライトの話の続きです。
70提案(6) ◆dLceq1HdyU :03/12/02 23:32 ID:GOnKFilp
 
 ミライの部屋から自室に戻ったブライトは、一安心した。
 戦争の終結からこっち、沈んでいるミライにずっと気を揉んでいたのだ。
 このことによってミライが元気になるきっかけを掴んでくれたらいいとブライトは思っていた。 
 ベッドには脱ぎ散らかした衣服が重ねてあり、寝る場もない状態だ。普段なら几帳面に部屋を整頓するブライトなのだが、
近頃は面倒に思えてしまう。
「ミライの部屋とは大違いだな」
 苦笑しながら衣服を隅に追いやり、ベッドに横になる。
 彼女の部屋に行くと、いつも美味しい茶を振舞ってくれる。このひとときがあるから、毎日の大儀な任務も耐えられるのだ。
 ──ミライ、この戦いで君を失わなくて本当によかった。けれど、君は失った人たちのことを想い、消沈している。
 君にはそこから立ち上がって欲しいと思っているんだ。
 ブライトは心の中で、ミライに語りかけていた。

71提案(7) ◆dLceq1HdyU :03/12/02 23:33 ID:GOnKFilp
「ブライト、話があるの」
 ホワイトベースのブリッジで何故かミライとブライトは二人きりだった。ミライが深刻な顔でブライトに話し掛ける。
「なんだい? 改まって」
「私と結婚して」
「……なんだって?」
 ブライトは思考能力が数秒間停止していた。突然のプロポーズ。しかも、愛しいミライから。
 余りにも唐突なプロポーズとは言え、『なんだって?』という言い草はないではないか。
 咳払いをして、言い直す。答えは決まっている。
「ミライ、うれしいよ。結婚しよう」
「だったら……」
 ミライはブライトに近づいてくる。
「さっそく私たちの子どもをつくりましょう」
 言うやいなや、ミライはブライトを艦長席に押し倒す。
 ミライの、柔らかな肢体が覆い被さり、唇が押し付けられた。
「!」
 プロポーズされたかと思ったら、この展開。彼女はこうまで積極的だったろうか。
 ジャケットに手がかけられ、ブライトの衣服を開いていく。
 疑問に思いながらも、夢にまで見たミライの唇の感触に酔いしれ、腕を彼女の背にまわす。
 どれほど、抱きしめたいと思っただろうか。その彼女が今、腕の中にいる。
 しっとりとして、弾力をもった唇もさらに味わいたくて、ブライトは夢中で唇をつきだしていた。
72提案(8) ◆dLceq1HdyU :03/12/02 23:34 ID:GOnKFilp
「ブライト、うれしい……」
 ひとしきり激しいくちづけを交わすとミライは立ち上がり、自らの衣服を脱ぎ始める。
 いつもいつも、妄想していたミライの裸体が次第に露になっていく。ジャケットを肩から落とし、
アンダーシャツもすばやく脱ぎ捨てる。彼女らしい清潔感のあるレースをあしらった白のブラジャーを少し勿体つけて外す。
 そこからはじけるように現れた乳房は、ブライトの想像どおりに健康的にふくらみ、美しかった。
 なだらかな曲線を描くウエストのカーブもしかり。
 思ったとおりの清楚な白いショーツに手がかかる。その先、それはいくら想像しても想像し切れなかった箇所。
 見たいような、もっと後に取っておきたいような……。その楽しみは自分で味わいたいとも思った。
「ミライ、もう我慢できない」
 ブライトは立ち上がり、ミライを抱き寄せると身体を回転させて艦長席に押し倒した。
 夢中になってミライの乳首にむしゃぶりつく。
 舌で、唇で、手のひらで、ミライの柔らかな素肌を味わいつくした。
「ブライト、わたしにも」
 やがてそう言って、ミライはブライトを立たせる。ボトムと下着を一気に引き下ろして、とっくに屹立しているペニスを
そっと手のひらで包み込んだ。優しいけどどこか淫らな手つきに、ブライトはびくんと震える。それだけで、もう爆発しそうだった。
 なのに、ミライはさらに身を乗り出してきた。唇で、舌で、ブライトを可愛がってくれるのだろう。
 ミライの小さな唇が、せまってくる。どれだけ、夢見た瞬間だろう──。
73提案(9) ◆dLceq1HdyU :03/12/02 23:35 ID:GOnKFilp

「ミライ……」
 苦しげに漏らした自分の声に、ブライトははっとして、飛び起きた。
 頭がぼうっとして、状況が掴めずにいた。ホワイトベースの艦長席にいるはずではなかったか──。
「そんなはずないだろう……」
 夢を見ていたのだ。第一、ホワイトベースはもう、存在しない。しかも、艦長席であんなことをするなど有りえない。
 ミライから積極的に迫ってくるなんて、都合が良すぎである。
 どおりで、想像した通りのミライの肢体だったはずだ。
 自分の想いが募り過ぎて、夢にまででてきてしまったのだろうか。
 しかし、やけに現実味を帯びていた。乳房の弾力、ブライトのペニスを包みこむ手のひらの感触。
「まいったな……」
 癖のある黒髪に指を埋め、ブライトは自分の情けなさを呪う。
 たとえ、ブライトの夢の中だとしても、ミライを都合よく、淫らに思いのままにしようとしたのだ。
 そのことに罪悪感を覚えてしまう。
「済まない。ミライ」
 ブライトはこの場にいない彼女に向かって謝罪し、バスルームへ向かった。

 シャワーを浴び、後始末したあとも、ブライトはたった今見た夢のことが頭から離れずにいた。
 ミライとのセックスのことばかり回想してしまいそうになるが、それを頭から追い出す。
 思えば彼女は、重要なことを口にしたのではなかったか。
「……結婚、か」
 ミライと、新しい家庭を営む。これまで考えたこともなかった。しかし考えてみるとこれほど素晴らしいことがあるだろうか?
 とても、良い案を思いついたような気がした。
 彼女なら、春の陽だまりのような優しさで、家庭を包み込んでくれるだろう。 
 仕事を終え帰る我が家。そこに居るのはミライ。想像しただけで、口元が綻んでくる。
 そして、二人の子どもを──。
「…今日はもう寝ないほうがいいだろうな」
 再び淫らな妄想をしてしまいそうになると、ブライトは立ち上がって部屋を出て行った。 
74名無しさん@ピンキー:03/12/02 23:50 ID:x4Uo90R+
続きキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!
お待ちしてました。
夢オチとは思わずに積極的なミライタンにハァハァしますた。
がんばれ!ブライト艦長

75名無しさん@ピンキー:03/12/03 00:05 ID:ntLXQBVL
やったー!ブラミラだ!
パソコンが壊れて久しぶりに来てみれば!
とってもうれしいっす。
夢の中の積極的なミライたん、いい!
艦長!!がんがれ!

しかし、 ◆dLceq1HdyU さんのSSは、テレビ版とかのせりふをそのまま使ってくれるので、おれてきには、とても好きだ。
そして、キャラのイメージが崩れない。すばらしい!
続きをお待ちしております。。
76名無しさん@ピンキー:03/12/07 00:03 ID:ZbGkN5JN
続き、期待age
77 ◆dLceq1HdyU :03/12/09 22:55 ID:nltUCOjR
非常に遅くなりましたが、以下2レスにミライとブライトの話の続きを晒させてください。

苦手な方はスルーお願いします。
78提案(10) ◆dLceq1HdyU :03/12/09 22:56 ID:nltUCOjR
「これが、最後ね」
 ミライはつぶやいた。最後こそは、朗報であって欲しいと願いをこめて。
 カツ、レツ、キッカのそれぞれの家族の消息を探ってもう二週間になる。
 先年の戦争によって、家族や知人と引き離された人は数知れない。様々な機関に問い合わせても、照会結果が返されるまでに、
多くの時間を要した。
 しかしこれまでに返された照会結果はどれも、誰の家族も行方不明という、悲しいものであった。
 そして、今フラウが端末から開こうとしているファイルが、最後の照会結果である。端末の前にミライとフラウは並んで座っていた。
「…そうですね」
 緊張の面持ちでディスプレイを見つめたままのフラウは、わずかにためらったのち、端末のキーを叩く。フラウの指が少し震えていたのが
ミライには見てとれた。

 ディスプレイに、無機質な文字が表示される。
 しばらくの間、二人とも声を出せなかった。
 ──最後の頼みの綱の照会結果も、同じ回答であった。
「いくら行方不明だからと言って、望みがあると思いますか?」
 フラウは抑えた声でそう言って、うつむく。
「フラウ……」
 ミライは肩を落とす彼女の腕に触れる。
「わかってはいます。でもやっぱり、悲しくて……。あの子たちになんて言えばいいの?」
 フラウの俯いた頬から、透明の滴が落ちる。
 自分も泣きそうになるのをこらえて、ミライはフラウをそっと抱きしめた。
 堰を切ったように彼女の口から、嗚咽が漏れた。すがるように額をミライの胸元に押し付ける。
「…あなたがこんなことでどうするの? しっかりしなきゃ。あなたが泣いていたらおチビちゃんたちも悲しむわ」
 励ますようにフラウの華奢な背中をなでる。
「……そうですよね。私がこんなじゃダメですよね」
79提案(11) ◆dLceq1HdyU :03/12/09 22:57 ID:nltUCOjR
「ありがとうございました。ミライさんがいてくれてよかった」
 部屋を出ると、フラウはつとめて明るく言って去っていった。これから、子どもたちを風呂に入れるという。
 彼女の背中を見送り、ミライはため息をつく。
 しっかりしろとフラウを元気付けたが、彼女の、そして子どもたちの心境を思うとミライの胸もつぶれそうだ。
 本当は辛いだろうに、しっかりしなきゃ駄目だなんて言わせてしまった。
 もっと彼女に、思う存分気持ちを吐き出させたほうがよかったのではないだろうか。
 協力すると、ブライトにも言ったのに。
「ぜんぜんフラウの力になれていないわ……」
 ミライは独り言を漏らし、うつむき加減で歩きはじめた。
 どうしたらいいのかわからない。もう一度、フラウに会いに行くべきか? でも、いまさら……。
「ミライ!」
 自分を呼ぶ声にはっとすると、後から、ブライトが追いかけてくるところだった。
「どうだった?」
 照会の結果が届いたことは彼も知っていた。急いで雑務を片付けて駆けつけてきたのだろう。
「……」
 ブライトの顔を見たら悲しみと後悔が一層募ってきた。どうして、私は……。声をだそうとすると
涙があふれてきそうで、ミライは黙ったまま、下を向く。
「こっちで、話そう」
 ブライトはミライの肩に手をやり、近くの部屋に彼女を促した。
80名無しさん@ピンキー:03/12/10 00:25 ID:lezV5UNk
続きがキタ─────!!

次項が激しく楽しみ!!っと・・読んだ先からスミマセン
81名無しさん@ピンキー:03/12/10 00:28 ID:frt5TNfN
続き、お待ちしておりました!
面白い!
しかも、悩みがミライさんぽくてイイ!
私も次回をお待ちしております・・・
82名無しさん@ピンキー:03/12/11 18:36 ID:NaPYildp
あーーー、良い所で終わってるよー。
(それにしても、ミライさんすごく可愛いー)
早くつづきを見たいです。


83名無しさん@ピンキー:03/12/15 22:05 ID:lNwCbx/P
続きはまだかな〜
84 ◆dLceq1HdyU :03/12/17 23:00 ID:+1gZF5zk
多忙でSSの続きがうpできないままでいます。
本当に申し訳ありません。
近日中に続きをうpしますので・・・。
感想をいただけてありがとうございます(涙
85名無しさん@ピンキー:03/12/18 19:40 ID:E534L1Kp
年末にかけて、忙しくなりますからのぉ・・・

マターリとお待ちしています。
86名無しさん@ピンキー:03/12/21 14:43 ID:htSScT/G
      ☆ チン     マチクタビレタ〜
                        マチクタビレタ〜
       ☆ チン  〃  ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        ヽ ___\(\・∀・) < 続きはまだ〜?
            \_/⊂ ⊂_)    \________
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /|
       | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  |
       |  愛媛みかん |/
87 ◆dLceq1HdyU :03/12/22 23:51 ID:0qnbgbeG
非常に遅くなって申し訳ありません。
散々遅れたのに以下、たったの2レスです。本当にごめんなさい。
苦手な方はスルーお願いします。
88提案(12) ◆dLceq1HdyU :03/12/22 23:52 ID:0qnbgbeG
 無人の執務室に促され、ミライは子どもたちの親の消息探しの結果と、フラウの力になれていないことをブライトに告げた。
「彼女だって辛いはずよ。もっと気持ちを吐き出して、少しでも彼女の気持ちを楽にしてもらいたかったのに」
「……そうか」
 ミライの向かいに座ったブライトは腕を組む。ブライトはただ静かに、ミライの話を聞いてくれた。
「そう。こうやってあなたに話を聞いてもらうだけで、心が軽くなった気がするもの。なのにしっかりして、
こんなことじゃ駄目だなんて言ってしまって。追い詰めるだけよ」
 声が震えてしまっていた。自らそれに気づくとミライはまた涙が滲んでくる。
 ブライトは何も言わずにミライを見つめたままだ。何か言って欲しいとミライは思った。ブライトを怒らせてしまったのではないかと
不安になる。
「…君にこのことを頼んだのは間違いだったのかもな」
 やがて、ぽつりと彼は言う。
「君は、まだ落ち着いていないんだ。こんな小さな事で取り乱したりするなんて君らしくないよ」
「わたし、らしくない? 落ち着いていないってどういうこと?」
「ミライは不安定なんだ。あの戦いからこっち、誰だって心に深い傷を受けている」
 心の傷。その言葉を聞いて、ミライの脳裏に浮かぶのは失ってしまった大切な人の顔だ。
 確かに、自分は今、不安定なのかもしれない。ちょっとしたことが気にかかる。
「それは僕もわかっていた。なのに君に余計に辛い思いをさせてしまうのなら…僕も辛い。頼まなければよかった」
「そんなことないわ」
 ブライトにまでそんな思いをさせていたの? ミライは立ち上がる。
89提案(13) ◆dLceq1HdyU :03/12/22 23:53 ID:0qnbgbeG
「あなたはこうして話を聞いてくれるし、他にも色々大変なのに…。そんな風に思っていたなんて……」
 そんな焦ったようなミライの様子をみて苦笑いしながら、ブライトも立ち上がる。
「同じさ。僕も、ミライも、そしてフラウだってきっと相手を気遣う気持ちは同じなんだ。そんなに気に病むことはないさ。今度はその気持ちを彼女に
伝えたらいい」
「ブライト、ごめんなさい。わたし、すっかり弱気だったわ」
「いや、もう少し時間が必要だったんだよ」
 ブライトは執務室のブラインドカーテンを引き上げて窓の外を見つめ、続ける。
「そして、こうやって誰かに話す。そのこと自体に意味があるんじゃないかな」
「確かに、そうね」
 自分ひとりでうじうじと悩んでいたって何も変わらない。ブライトのおかげで、自分は気が楽になり、そして気づかせてもらえたけど……。
 フラウはどうなるのだろう?
「……ミライ、こっちにきてごらん」
 ブライトはミライを窓辺に呼び、窓の外を指さす。窓の外は、大きなテラスになっている。
 そこの端のベンチにはフラウと、ハヤトの姿があった。二人は寄り添い、微笑みを浮かべている。フラウの安堵したような表情。
きっとフラウもハヤトに話をし、元気付けてもらったのだろう。
 嬉しくなってミライは、横にいるブライトを見あげて、微笑む。ブライトも笑顔でそっとミライの肩を抱く。
「フラウにもそういう相手がいて良かったわ。そして、あなたがいてくれて良かった」
90通りすがり:03/12/23 08:20 ID:liuE5dzC
スルーしました。
91名無しさん@ピンキー:03/12/23 20:16 ID:STQUu6wK
なんだか、ふたりがいい雰囲気になってきましたね。
艦長もいい男に成長したもんだ。
フラウの隣にいるのがアムロだったら・・と想像してしまった。(ハヤト、すまん)

ところでアムセラの続きはまだ〜?
92名無しさん@ピンキー:03/12/24 22:20 ID:VvWml5aX
ハヤトとフラウが急接近なわけだ
その時アムロは・・・
93名無しさん@ピンキー:03/12/27 20:52 ID:niGE5OBU
お互いに成長しあうカプって、良いモンですな。
94名無しさん@ピンキー:03/12/27 23:34 ID:DnCnInhG
おお、まったり、ほのぼのな展開ですね。
読んでいるこちらまで、ホンワカ気分です。
このお話はこれで終わりですか?
できたら、ブライト艦長にミライさんのことを「ギュ」ってして欲しいんです。
よろしくお願いします。
95 ◆dLceq1HdyU :03/12/30 00:24 ID:IaGc09ZJ
>94
もう少し続きます。よければお付き合いください。

年末と仕事でバタバタしていまして、ミライとブライトのSSの続きはあと数日かかりそうです。
進みが遅くて申し訳ありません。

SSでの参加も激しくお待ちしています。
良いお年をお迎えください。
96名無しさん@ピンキー:03/12/30 15:48 ID:N2JIerdV
◆dLceq1HdyU 様
レスありがとうございました。
続くと言う事を聞いて、うれしいです。
これからもステキなSS、楽しみにしています。
(でも、ムリはしないで下さいね、気長に待っていますから)
◆dLceq1HdyU 様も、良いお年をお迎え下さい。
97名無しさん@ピンキー:04/01/01 02:04 ID:F1psxmVP
今年もよろしく
アムセラ期待
98名無しさん@ピンキー:04/01/01 22:49 ID:Fa5UTvQ6
あけおめです!

>96
激しく期待しています!
99名無しさん@ピンキー:04/01/01 22:52 ID:Fa5UTvQ6
新年そうそう、間違いました。

dLc様・・本年も期待しております。
100名無しさん@ピンキー:04/01/01 23:57 ID:S+A1V9kI
おめでとうございます。
アムセラ、ブラミラのSSの続き、楽しみにしてますよ。
101前スレ184:04/01/05 23:23 ID:4tdDJ9QS
前スレにもはったチャットへの道のりを新スレでも宣伝します↓
ttp://tokushima.cool.ne.jp/boogaloo222/seyla2.html

じつは未だに細々と存続中です。本スレの復活を目論んだりもしたいので遊びに来てください。
102 ◆dLceq1HdyU :04/01/06 22:48 ID:dY7wACPm
非常に遅くなって申し訳ないです。
以下2レスにミライとブライトのSSの続きです。
103提案(14) ◆dLceq1HdyU :04/01/06 22:50 ID:dY7wACPm
 それから、ミライはフラウと共に、子どもたちの引き取りのための手続きに奔走した。
 フラウと子どもたちが正式な家族になるための手順は簡単なものではないが、フラウの頑張りは
感心するほどで、ミライもできる限りの手助けをした。
 しかしそれでも、思うように進まない手続きや、政府機関の誠実とは言えない対応にぶつかることがある。
そんなときは、素直に周りの人たちに相談し、気持ちを伝えて、自分たちだけで問題を抱え込まないように
心がけた。
 何よりミライの支えになったのはブライトだった。話をゆっくりと聞いてくれ、的確なアドバイスをくれた。
 信頼できる人がいることで、ミライの心に余裕が生まれていた。
104提案(15) ◆dLceq1HdyU :04/01/06 22:51 ID:dY7wACPm
 
夕方の食堂は、一日の任務を終えて空腹を満たそうとする若い兵士たちで溢れている。戦争が終結したとはいえ、
周辺の哨戒や、破損して放置されたままの戦艦の撤去などの後始末は残っている。
 しかし、戦いが終わって終始命の危険に晒されることがなくなり、近々帰還が認められる彼らはどこか、嬉しそうに見えた。
 そんな喧騒の中、ミライとフラウは沈痛な面持ちで今日の夕食のシチューをつついている。
「やっと手続きが一段落したと思ったら…」
「すっかり乗り気だと思っていたわ」
 フラウが子どもたちの新しい家族になることはすでに伝えてあった。子どもたちも、『フラウ姉ちゃんが本当の家族になるなら』と
喜んでいたのだ。
 だが、、今になってレツ一人だけが、急にぐずりだしたのだ。
『まだ母ちゃんは生きているかもしれないのに。母ちゃんが戻ってきたら大変じゃないか』
 彼はそう言う。確かに、レツの言うことも尤もだ。
「私のしていることは偽善なのかしら」
 フラウはため息とともにつぶやいた。
「フラウ。そんなことはないわ。ただの同情だけじゃないのはわかってる。もうあなたたちは立派な家族よ」
「ええ。でも、レツの言うこともわかるから……。なんて言っていいのか」
「もう一度、レツと話してみましょうか。みんなにも来てもらってもいいかもしれないわね」
「そうですね。ブライトさんとか」
 フラウは意味ありげにミライを見つめて言った。彼女はミライがブライトを頼りにしていることを知っているのだ。
 意外な言葉にミライは驚くが、負けずに応酬する。
「……ハヤトもね」
「まあ」 
 二人は顔を見合わせて笑う。
「先に食事を済ませちゃいましょう」
「ええ」
 レツのことは気がかりだ。気がはやるが、食事は取らなければならないだろう。
 ミライはパンをちぎり、口に運んだ。まだ焼きたてのようで、温かくてよい匂いがする。思い返してみると、食事が美味しいと思うことも
ずいぶん久しぶりな気がした。
105名無しさん@ピンキー:04/01/06 23:41 ID:wzuS7Aau
続きだ!! 嬉しい。
しかし、よく考えるとフラウもまだまだ少女なのに3人のチビ達の面倒をみようとは・・・。
やっぱり、ハヤトの支えが大きいのかなぁ?
106名無しさん@ピンキー:04/01/08 17:31 ID:Z29VRdrc

107名無しさん@ピンキー:04/01/10 22:35 ID:Bebd4xHi
おー、更新されている。ありがとうございます。
こうやって、ミライさんはブライトさんのこと
好きになっていくんですね。
(ブライトさんが頼りがいのある大人な雰囲気でステキ)
ハヤトもフラウもあの若さで3人を養子にしちゃうんだから、考えるとスゴイ!
沢山の苦労があったんだろうなー。

本編で語られなかったエピソードって感じが、読んでいて楽しいです。
つづき頑張ってください!楽しみにしてます。
108 ◆dLceq1HdyU :04/01/19 23:23 ID:lUUAgpCP
遅くなって申し訳ありません。
近日中には必ず続きをうpします。
109 ◆dLceq1HdyU :04/01/21 23:21 ID:dD2Yfaeu
非常に遅くなりましたが、ミライとブライト(それだけじゃなくなっている)のSSの続きです。
以下2レス、苦手な方はスルーお願いします。
110提案(16) ◆dLceq1HdyU :04/01/21 23:24 ID:dD2Yfaeu
「あなたたち、そこにいたのね」
 子どもたちを捜していたフラウとミライはようやく二人を見つける。
 カツ、レツ、キッカは部屋ではなく、兵士たちのサロンの隅に座って遊んでいた。
「レツ……、どうしても、私があなたのお母さんになるのは、嫌かしら?」
 フラウが、しゃがみこんで話し掛ける。
 カツは、うつむいたまま、おもちゃの車の模型を弄っており、何も答えない。
「レツはね、フラウ姉ちゃんが嫌なんじゃないんだよ。お母さんが死んだ訳じゃないって」
 キッカが声高に言う。お母さんが死んだ、何気なく言ったキッカのセリフはミライの胸を打つ。
 こんなに小さな子の身近に『死』があったことを今更のようにミライは思い知らされるのだ。
「よせよ! キッカ! 何を言うんだよ」
 レツが弾けるようにキッカに掴みかかる。
「でもでも、レツ言ってたじゃない……」
「うるさいっ!」
 レツはキッカの口をふさごうとして、揉みあう。キッカも手をばたつかせて抵抗した。
「あんたたち、いい加減にしなさい!」
 フラウが怒鳴る。
 レツは唇を尖らせてキッカを放す。
「ねえ、レツ…話を聞いて」
 フラウはレツの肩をつかむ。
「フラウの言うとおりよ。レツ。あなたの話もわかるから」
 たまらずミライも声をかける。
 しかしレツはミライに顔を向けたとたん、脅えたように立ち上がり、後ずさった。
 いつのまにか、周りには人だかりができていたのだ。この騒ぎを聞きつけて、何事かとサロンに居た人々が集まってくる。
「なあ、レツ、とりあえず、フラウの話も聞いたらどうだ?」
「そうだよ」
 口々に声をかけられ、レツは口篭もる。
「なんだよ…。そんなにおれが悪いのかよ!」
 レツはそう言って周囲をかき分け、サロンを飛び出した。
111提案(17) ◆dLceq1HdyU :04/01/21 23:27 ID:dD2Yfaeu
「……手分けして、レツを探そう」
 騒ぎに駆けつけたブライトが言う。
「わかった! あたしたちは向こうを探すね」
 カツとキッカは駆け出す。
「じゃあ、おれは一応、チビ達の部屋をあたってみるよ」
 たまたまサロンに居たカイもすぐに部屋を出ていった。
「レツには悪いことしちゃったわね。あんなに大勢の人が集まってたらびっくりするもの」
 ミライは座り込んだままのフラウを助け起こしながら言う。大事になってしまい、レツも驚いただろう。
「そうだな。とりあえず、レツを見つけないと。思いつめて余計に頑固になるかもしれないな」
 ブライトは、ミライとフラウを促す。
「フラウ、レツなら、わかってくれるわ」
 ミライはフラウの手をそっと握る。フラウは、ミライに気遣うように力なく微笑んで、歩き出した。
 サロンを出て程なく、キッカが戻ってくる。
「いたいた! いたよー!」
 キッカはミライたちを食堂の隣の厨房につれてきた。
「レツのやつ、こんなところに立てこもりやがった」
 すでに駆けつけていたカイが指差した先は、厨房の奥にある保存食料の貯蔵庫だった。
大人二人ほどは入れる大きさだ。
「内側からロックしてるんだ」
「レツ! 出てきて!」
 ミライは扉を叩いてみるが、返答はない。
「カギを借りてきた」
 ブライトがコックから借りてきたキーを見せる。
「よしきた」
 カイがキーを受け取り、ロックを解除すると重厚な扉を引く。
「!」
 ──皆の視界が白く煙ったようになった。息を吸い込むと、咳き込んだ。
「うわあっ! なんだよ」
 白い煙の原因が小麦粉だとわかるまで一瞬を要した。レツは貯蔵していた小麦粉の袋を開けて、倉庫のなかから一気にぶちまけたのだ。
「レツ! 何てことするの!」
「うるさい! みんなおれの気持ちなんてわからないんだ! ほっといてくれよ! ここを開けたらまたおみまいするからな!」
 レツは再び倉庫の扉を閉めた。
112名無しさん@ピンキー:04/01/22 00:54 ID:2s1ggIlY
待ってました!
なんか、カイまで出てきて、いいなぁ。
カイは、子供にはやさしいイメージがあって、
本当に、この話がテレビであったかのように想像できます。

次回、楽しみにしています!
113名無しさん@ピンキー:04/01/22 21:15 ID:9QKTA/Xc
なんか良いなー、この展開。
シリアスなストーリーなのにドタバタ感があって、
なんだか楽しくて、読んでいると映像が浮んできます。
WBクルーが、もう家族みたいで、皆優しいし、やっぱり1stはいい!

続きお待ちしています。

114 ◆dLceq1HdyU :04/01/24 01:04 ID:DGl9TH8b
感想をいつもありがとうございます。本当に励みになります。
以下2レスにミライのSSの続きです。
115提案(18) ◆dLceq1HdyU :04/01/24 01:05 ID:DGl9TH8b
「まいったなあ」
 小麦粉の白煙がおさまると、皆の姿がようやく見てとれた。その場に居た者が全て、粉だらけで真っ白だった。
 一番被害をこうむったのは近くにいたカイだ。まだひどく咳き込んでいる。
「カイ、大丈夫?」
 カイの頭に雪のように降り積もった粉を、ミライは手を伸ばして落とそうとするが、かえって粉が舞ってしまい、よけいに咳き込んでしまう。
「だいじょうぶ、じゃ、ねえな。けほっ。レツのやつただじゃおかねえぞ」
「レツのやつ、やりすぎだ」
 ブライトは眉にしわを寄せてため息をつく。当然、彼も粉まみれだ。
「ぷっ、くくく。みんなまっしろ」
 キッカは吹きだすが、カツにげんこつを喰らって黙る。
 ブライトはそんな二人を苦笑しながら見つめていたが、まじめな顔に戻って腕を組む。
「このままにはしておけないな。……粉まみれついでだ。無理にでもレツをここから出すか」
「賛成。実力行使しかねえよ」
 カイも同意する。
「待って、ブライトさん。私に任せてくれないかしら?」
 フラウがブライトの前に進みでた。
「レツと二人で話をさせてください」
「しかし…」
「フラウに、まかせましょう」
 ミライは躊躇するブライトの背に声をかける。レツと向かい合って、お互いに納得できるまで話したほうがいい。
相手が子どもだからって力づくで押さえ込んでもどうにもならない。話して初めてわかる事だってたくさんあるだろう。
116提案(19) ◆dLceq1HdyU :04/01/24 01:05 ID:DGl9TH8b
「…フラウに任せるよ」
 ブライトはミライに振り向いた。
「じゃあ、これを。フラウ、がんばれよ」
 カイは貯蔵庫のキーをフラウに手渡す。キッカとカツはフラウに駆け寄った。
「フラウ姉ちゃん。あたし、レツも一緒じゃなきゃイヤよ」
「心配しないで。大丈夫だから」
 フラウはキッカとカツの頭をなでて、ロックを解除した貯蔵庫の扉を開ける。
「…開けるなって言っただろ!」
 レツがどなり、白煙が再度たちこめる。フラウも、近くにいたキッカたちも、さらに粉をかぶって真っ白になる。
 しかし、フラウは構わずに扉の中に入っていった。
「……」
 何か争う声が聞こえたが、他の者達は咳き込んでいて良く聞き取れなかった。だが、じきに争う声は静かな話し声に変わった。
 
「……よし、後は任せて、一番白くなった者同士、風呂に入るとするか!」
 カイが、キッカたちに近づいて、頭に手をのせる。再び粉が舞った。
「でも…レツ、大丈夫かなあ」
 咳きこみながら、カツは心配そうだ。
「大丈夫だって、ここで待っててもしかたないだろう。なあ、ブライトさん」
「あ、ああ」
「じゃ、そういうことで。行くぞ、おまえら」
 カイはキッカたちを連れて厨房を出て行った。
 厨房に残ったのはミライとブライトの二人だった。
「ここの掃除、しましょうか」
「…そうだな」
117 ◆dLceq1HdyU :04/01/24 01:08 ID:DGl9TH8b
×力づく
○力ずく
他にも、レツとカツを逆にしてしまったところもありました。
本当にすみません・・・。
118名無しさん@ピンキー:04/01/24 16:33 ID:xiRUK3mM
◆dLceq1HdyU 様、
こんなに早く、つづきを書いて下さるなんて…(涙
ありがとうございます。
どんどん面白くなっていくので、本当に読んでいて楽しいです。
(みんなの、真っ白な顔が目にうかんできます。アニメにして欲しい)
フラウとカツ、レツ、キッカ達はどうなるのか、
ブライト、ミライは…?つづきが気になるー。
お仕事にお差し支えないように、がんばってくださいね。
楽しみにお待ちしています。
119名無しさん@ピンキー:04/01/25 00:56 ID:aoEtpB/w
本当にこんなに早く続きが見れるとは!
とってもうれしいです☆

しかも、キャラの性格が崩れてない!
まるで、1stの続きで本当にあった話みたい。
カイがお風呂に行こうって言って、ミライが片付ける場面、なんか”らしく”てその場面が思い浮かべられました。
しかもミライとブライトの信頼関係がちゃんとできあがっているのもいいです!
台詞、ひとつとっても、◆dLceq1HdyU さまの1stに対する愛が感じられます。
続きを楽しみにしています。
最近、本気で寒いので風邪などひかぬよう、がんばってください!
応援しています!
120 ◆dLceq1HdyU :04/01/27 22:43 ID:DZQsfTjh
感想、本当にありがとうございます。
以下2レスにミライとブライトのSSの続きです。
121提案(20) ◆dLceq1HdyU :04/01/27 22:44 ID:DZQsfTjh
 大まかに掃除機で粉を吸い取った後、ミライとブライトは床にモップをかけていた。
 貯蔵庫の中では、まだフラウとレツが話をしているようだ。
「軍の食料をこんなにしてしまった。始末書を書かなきゃいけないな」
「そうね」
「まったく。だから子どもってやつは…」
 まるで床に非があるかのように、ブライトは力をいれてモップをかける。
「あら、ブライトは子どもは嫌い?」
「嫌いじゃないが…困らせられてばかりだ」
「でも、子どもっていいわ。私、三人の子の母親になれるフラウが、ちょっと羨ましいもの」
 モップについた粉をバケツで洗い落としながら、ミライは言った。
「…ミライなら、いい母親になれるだろうな」
 ブライトはモップがけの手を止め、ミライの後ろ姿を眺める。
「ふふふ。…そうね。カツやレツみたいな元気な男の子が欲しいわ」
「僕は女の子が欲しいな。母親のミライに似た優しい子になるだろう」
「あら、それなら私たちに子どもは最低二人は欲しいわね」
「……えっ?」
122提案(21) ◆dLceq1HdyU :04/01/27 22:44 ID:DZQsfTjh
 ミライはモップを離して振り向き、すぐ近くにいたブライトを見つめる。彼もきょとんとした顔をしていた。
 今、私はなんて言ったの? そして彼も…私とブライトの子ども? ミライは思わず自分の口を抑える。
「ご、ごめん。ミライ。何言ってるんだ。僕は」
「いいえ、私こそ…」
 気まずかった。決め付けるような話をしてしまった。何でこんな話になってしまったのだろう。
 なんだか気恥ずかしくて、ミライは話題を転じる。
「ブライト……、まだ顔が白いわよ」
 腕を伸ばしてブライトの顎についた粉をはたく。顔に触れたミライの手に驚いていた彼の表情は、すぐに
優しい笑顔になった。
「……君だって」
 ブライトもミライの頬に手を伸ばし、指で拭う。頬に触れた彼の指が温かいとミライは思った。
 彼の瞳は、かすかに潤み、熱を帯びている。ミライはブライトの真剣な眼差しに絡めとられ、視線を外せなかった。
 ──思えば、全く違和感なく、言葉が口をついて出たのだ。ブライトと自分との子どものことを。
 それくらい自然と、ブライトと共にいる将来が描けてしまうのは、なぜだろう。
 頬にあったブライトの手が移動し、顎を持ち上げた。いつのまにかモップの柄を離していたもう片方は、ミライの背を引き寄せる。
 ミライはまぶたを閉じた。二人の顔が次第に近づき、唇が触れあった。
123名無しさん@ピンキー:04/01/27 23:47 ID:T0CL78vP
やったー!続きだ〜!
毎日ここに来るのが日課になってます。。
しかも、気になるところで終わってる!
こ、これからどうなるのかな!
124名無しさん@ピンキー:04/01/28 00:29 ID:wvE0oA4G
ワーイ!
ブライトさんとミライさんラブラブだー。
粉まみれなのに良い雰囲気で素敵です。
会話の内容も、いかにもこの二人らしくて良いですね。
次回が待ちどうしいよー。(ワクワク)
125名無しさん@ピンキー:04/01/29 19:05 ID:Fy4HuSWI
浮上
126名無しさん@ピンキー:04/01/31 11:29 ID:dHPVzK6F
ミライさん、もてもてだなあ
ブライト、よかったねえ
127 ◆dLceq1HdyU :04/01/31 23:58 ID:jkIvYEBg
以下2レスにミライとブライトのSSの続きです。

苦手な方は、スルーお願いします。
128提案(22) ◆dLceq1HdyU :04/01/31 23:59 ID:jkIvYEBg
 その時、貯蔵庫の扉が開いた。
「あーっ! チューしてる!」
 レツの声に驚き、ミライとブライトはすぐに身体を離し、お互いに背を向ける。なんてところを見られたのだろう。
こんな場所なら、人目につくことは分かっていたはずなのに。
「レツ! だめっ」
 フラウは再び貯蔵庫にレツを引き込むと、自ら扉を閉める。
『ごめんなさい。私たち、何もみてないから! 続けてください!』
 フラウの必死の声が扉の向こうから聞こえてくる。
 ミライはブライトと顔を見合わせた。続けてください、だなんてフラウは面白いことを言う。二人は同時に吹き出した。
「フラウ、いいのよ。出てきて。こっちこそごめんなさいね」
 笑いながら、扉の向こうにミライは声をかける。
『でも』
「そんなに恐縮されるとこっちが困るよ」
 ブライトも苦笑しながら言う。
 少しの間があって、フラウとレツが済まなそうに出てくる。
「ミライ姉ちゃん、ブライトさん、ゴメンナサイ」
「本当にすみませんでした」
 頭を下げる二人に、ミライは困ったようにブライトを見る。ブライトは、そんなミライに頷いて、二人を宥める。
「謝らなければならないのはこちらの方だ。すまなかったな。それより、話し合いはどうなった?」
「ええ、話はつきました。レツも分かってくれましたし、レツの気持ちもわかったから」
「これからも、俺たちはずっと一緒だって決めたんだ」
 レツはフラウに続いて言った。レツの目はわずかに赤い。泣いたのかもしれなかった。
「二人でどんな話をしたの?」
 ミライは気になった。
「…内緒だよ。なあ、フラウ姉ちゃん」
「ええ、二人だけの秘密です」
 フラウは微笑んでレツの頭をなでた。愚問だったのかもしれない。二人の間にはしっかりと信頼が築かれているのだ。
129提案(23) ◆dLceq1HdyU :04/02/01 00:01 ID:JVaCBAOX
「そうね。つまらないこと聞いてごめんなさい。みんな心配しているわ。早くカツ達に教えてあげないとね」
「はい。私も粉だらけだし…。あっ、でもここのあと片付けをしないと」
 フラウは慌てたように言う。
「ここは私たちがやっておくから」
「でも、レツがやったことですし、きちんとさせないと」
 フラウはすっかり母親の顔だ。
「いいから、今回は許してやろう。もう行っていいよ。みんな心配している。カイにも報告してやってくれ」
「ブライトさん、ありがとう」
「こんな悪戯は、次はなしだぞ」
 すっかり素直になったレツにブライトは甘くなる。
「本当にすみません。ミライさん、ブライトさん」
「いいのよ、早く行って」
「良かったわ。話し合いがついて」
 ミライは嬉しかった。フラウに手を引かれるレツを見送る。
「さっきのチューのことは誰にも言わないから!」
  レツは、振り返って無邪気な笑顔で言った。
「こら、レツ!」
 レツの言葉にフラウは怒りながら、厨房を出て行った。
 ミライとブライトは再び、二人きりになる。
 ブライトも何か言おうとしたが、少し気まずそうに頭を掻いた。ミライも無言になる。
 二人になったからと言ってさっきの続きをする訳にはいかないし、不自然だ。
 それに、まったく口づけをすることにためらいを覚えなかった自分にも、ミライは少し驚いていた。
『僕はいつまでも待っているよ』
 ふと、彼にそう言われたのを思い出した。ブライトは、自分のことを待ってくれていたのだろうか?
ブライトに聞いてみたかった。でも、こんなときに突然聞いていいものか、迷う。
 結局彼女は無難なことを口にする。
「さあ、あと少し、早く掃除しちゃいましょう」
「……そうだな」
 二人は再び掃除を始めた。
130名無しさん@ピンキー:04/02/01 02:38 ID:U5eygyHH
まってました!最近、立て続けに読めてうれしいです。
毎日チェックしてますー

レツの子供っぷりに笑いました。
いいなー。こら!ブライト!もちっと積極的にだな・・・
131名無しさん@ピンキー:04/02/01 05:20 ID:EjgGyM4w
キスだけなのに、読んでいて心臓がどきどきします
◆dLceq1HdyU さんの作品はどれも暖かさがあって大好きです
132名無しさん@ピンキー:04/02/01 21:22 ID:vnFQ4Sxm
純情なお2人が初々しいですね。
ブライトさんもう一押しだよ。がんばれ!って
応援したくなっちゃいました。良い雰囲気だー。(ホクホク)
133 ◆dLceq1HdyU :04/02/06 23:43 ID:AdFnft7g
感想ありがとうございます。
今気づいたんですが、SSのリンクを貼るのをずっと忘れてました。すみません・・・。

以下2レスにミライとブライトのSSの続きです。苦手な方はスルーお願いします。
134提案(24) ◆dLceq1HdyU :04/02/06 23:44 ID:AdFnft7g
>129 
 レツが起こした騒ぎから数日が過ぎた。フラウと子どもたちは、問題もなく、順調のようだ。
 しかしブライトは処理を待つたくさんのタスクを目前に、デスクに組んだ手の上に顎を乗せて、ため息をついていた。
仕事がちっともはかどらなかった。
 先日、基地に収容されている兵士たちに、今後の身の処し方について調査があった。戦後の事後処理や調査も終盤を迎え、
現地などで徴用されていた兵たちも任務を解かれることになる。
 ミライは、今後どうするのだろう。聞きたくても、ためらいがあった。
 あの騒ぎの時にミライとキスをしてから、ブライトは彼女にどのように接したらいいのかが分からなくなってしまっていたのだ。
 ミライとプライベートの会話をすることを意識的に避ける結果になっている。
 キスを彼女は拒まなかった。あの時は感情の高まりを抑えられなかった。ミライがいとおしくてたまらなかった。少し強引だった感もあるが、
嫌なら拒むこともできたはずだ。
 ミライは自分のことを憎からず思っていてくれているのだろう。しかし、一度キスしたからといって、すぐに恋人面する訳にはいかない。
彼女の気持ちを確かめる必要があった。
 だが、二人になって、彼女の気持ちを確かめるのが恐ろしくもあった。
 終戦直後のミライの消沈ぶりには目を覆いたくなるくらいだった。それにくらべて現在はずいぶん表情も明るくなっており、
以前の彼女に戻りつつある。
 しかし、彼女の心の中には、まだ、別の男が棲んでいるのではないのか? そんな疑念が頭にちらつき、ブライトに二の足を踏ませるのだ。
 こんな事に気に病むのが、自分でも不器用だと思う。もっと一直線にミライにぶつかれないのだろうか、と。
 恒例になっていた任務のあとの部屋の訪問もここ数日、ご無沙汰だ。ミライの淹れた美味い紅茶を飲みたかった。
「いい加減に覚悟を決めなくてはな」
 状況から、ミライに思いが通じたと自信を持ってもいいはずだった。それに彼女がまだ、自分に心を向けてくれていないのならば、
振り向かせれば良いだけのことだ。最初の一歩を踏み出さねば何も始まらない。
「よし」
 ブライトは組んでいた腕をほどくと、猛烈な勢いで仕事にとりかかった。

135提案(25) ◆dLceq1HdyU :04/02/06 23:45 ID:AdFnft7g


 さらに数日後、兵士たちが集うサロンで、ささやかなパーティーが催されていた。
 カツ、レツ、キッカと、フラウ・ボゥが晴れて一つの家族になったお祝いである。
 皆に祝福されて、フラウも、子どもたちも嬉しそうだった。
 キッカは早速フラウのことを『お母さん』と呼び始めた。カツとレツは、まだちょっと照れくさそうで、『フラウ姉ちゃん』と呼んでいるが。
 ミライは苦労して手配したケーキやシャンパンをサロン中に振る舞っていたが、ようやく、一息つくことができた。
 少し離れたソファに腰掛け、シャンパンのグラスを傾けていたミライの向かいに、フラウが座る。
「ミライさん、本当にありがとうございました」
「おめでとう。すてきな家族になってね」
「はい」
 フラウは、嬉しそうに返事をする。今の彼女は本当に輝いているとミライは思う。いっぺんに三人の子どもの母親になるのは、
並大抵な覚悟では済まされない。しかし、彼女なら、持ち前の前向きさで立派な母親になれるだろう。
「ところで、ミライさん。ブライトさんと上手くいっていないんですか?」
「えっ?」
 突然、ブライトの話を振られて、ミライはびっくりする。ミライはサロンを見渡して彼の姿を探すが、見当たらない。
「……ごめんなさい。変な事を聞いて」
「いいのよ。でも、ブライトと上手くいくも何も……」
 そもそも、ブライトとは恋人になったわけでもない。口づけをしたけれど、それ以来、何も話していない。
それに近頃の彼は、なんだかとても忙しそうで、ミライは声をかけそびれていた。もしかして、ブライトに避けられているのでは
ないかとも思うのだ。ミライの気が重くなる。
「そうなんですか。私、すっかりブライトさんとミライさんは恋人だと思ってました」
「えっ?」
 ミライは驚いて目を見張る。
136名無しさん@ピンキー:04/02/07 21:18 ID:tdaGpDzj
おー!いよいよ物語りも佳境に入ってきましたね?
エロがないのに、ブライトさんとミライさんの微妙な関係に
ワクワク、ドキドキです。

◆dLceq1HdyU様のSSはいつも良いところで、次回へつづく…
なので、もう次が待ち遠しいですよー。
最後までがんばってください。
137名無しさん@ピンキー:04/02/08 11:45 ID:A0H68Eek
おおー!
ちょっと来れなかったら、SSの続きが!
面白い〜!!
微妙な関係・・・本当!ごく自然に距離が近くなっていく二人がいいです。

続き楽しみにしています!
138 ◆dLceq1HdyU :04/02/09 22:48 ID:QM2JdPxf
感想、本当にありがとうございます。
短いですが、以下2レスにミライとブライトのSSの続きです。
139提案(26) ◆dLceq1HdyU :04/02/09 22:49 ID:QM2JdPxf
>135
「ミライさん、年末からずっとひどく落ち込んでいたでしょう? そりゃあ、あの戦いで傷つかない人なんて
いないとは思います。でも、ブライトさんのおかげで、だんだん元気になられてるのが目に見えてわかったから。
お二人の雰囲気を見てると、なんて言うか、信頼しあっていてすてきなカップルだと思ってたんです」
「フラウ……」
 そんな風に見られていたなんて、まったく気が付かなかった。
「実際は、どうなんですか?」
 フラウは、思いきったように聞いてくる。実際は、どうなんだろう? 
 言われてみて、初めて気付くことがある。自分はどれほどブライトを頼りにしていたか。出会ってから、
ブライトが自分に向けてくれた言葉や行動が、次々とミライの中に甦る。彼は、どんなときだってミライを支えてくれたのだ。
「ブライトは……私にとってかけがえのない存在だわ」
 素直に、心からそう思えた。
「やっぱり。すてきだわ」
 フラウは感激したように両手を握り締め、さらに続ける。
140提案(27) ◆dLceq1HdyU :04/02/09 22:49 ID:QM2JdPxf
「私も、ミライさんにとってのブライトさんのような、いい関係を築ける人を見つけたいです」
 そう言うとフラウはなんだか意味ありげな微笑みを返し、席を立っていった。
 ミライは、フラウの後姿を目で追いながら、ひとりで笑う。
 フラウは、そんなことを言いながらも、すでにいい相手をみつけているのではないだろうか。
フラウの清々しさと、行動力はミライも見習いたいと思うのだ。
「ありがとう」
 フラウの言うように、過去に捕らわれて塞ぎこんでいたミライを引き上げてくれたのはブライトだった。
そう思うと、まずブライトに感謝の言葉を伝えたかった。そして、自分にとってかけがえのない存在であることも。
 ブライトはパーティも出ないで何をしているのだろう? まさか、本当に避けられているのだろうか。
それでも、感謝の気持ちを言いたかった。
 ミライは、ブライトを探しに賑やかなサロンを後にした。
141名無しさん@ピンキー:04/02/09 23:21 ID:+ggpzE9V
寝る前に見に来てラッキー!
ミライさんから告白か?ブライトさんは一体どこに…?
目が離せないーー。
142名無しさん@ピンキー:04/02/10 21:42 ID:I59mQRZo
(*´-`*)イイノ〜・°。☆・°・。☆・°
143名無しさん@ピンキー:04/02/12 23:58 ID:K7Ymvyf8
おおー!続編が!おもしろーい!!

やっぱり、忙しくてもここだけは、来るべきだった!
ミライさんが、ブライトへの気持ちに気がついたぞ!
続編がとても楽しみです!

144 ◆dLceq1HdyU :04/02/15 23:53 ID:qvvNzdiX
以下3レスにミライとブライトのSSの続きです。
苦手な方はスルーお願いします。
145提案(28) ◆dLceq1HdyU :04/02/15 23:53 ID:qvvNzdiX
>140
 ブライトは彼のデスクにも、自室にも居なかった。ミライは兵舎の一直線に伸びた長い廊下を歩いていた。
辺りは活気がなくひっそりとしており、ミライの気分まで心細くなる。
「どこに行ったの? ブライト」
 声に出してつぶやくが、その小さな声すらも広い廊下に反響する。静けさがミライの不安を一層あおり、歩みを速めた。
 廊下を渡りきると、兵舎の入り口になる。そこに一台のタクシーが止まり、誰かが降りてきた。
「ブライト!」
 タクシーから降りたのはブライトだった。
 降りるなり声をかけられて、ブライトは驚いたようだ。兵舎の中に入り、ミライに駆け寄る。
「ミライ。どうしたんだ?」
「あなたこそ、どこに行っていたの?」
 ブライトが、外出していたとは意外だった。
「ああ、用があってね」
 ブライトはそう言いながら、手にしていた包みををさりげなくポケットにしまう。
「そう……。よく外出の許可がおりたわね」
 わざわざパーティーの日に外出をすることないのに、とミライは思わないでもなかった。しかしブライトを探しまわった
あてこすりみたいにも思えて、そのことは口に出さなかった。
146提案(29) ◆dLceq1HdyU :04/02/15 23:54 ID:qvvNzdiX
「ああ。山のような仕事を徹夜で片付けて、やっと上官に外出許可を貰ったんだ」
 そこまでして、外出するなんて。なんだか自分たちが軽んじられているような気がして、ミライはブライトを責めるような事を言ってしまう。
「今日は、パーティーだったのよ。あなたにもフラウ達を祝福して欲しいわ」
「……すまなかった。今日しか外出許可が下りなかったんだ」
 そう言って、ブライトは、頭を下げる。そこまで謝られると、ミライは自分の方こそ心が狭いような気になってしまう。
「……私も言い過ぎたわ。あなたがどれくらいフラウ達のことを喜んでいるかわかっていたはずなのに」
 顔をあげたブライトにミライは微笑みかけ、さらに付け加える。
「ブライトをずっと探して見つからないから、ちょっと怒っただけ」
「僕を、探していた?」
「ええ、あなたに話したいことがあって」
「……僕も、君に話があるんだ」
 ブライトは少しの間黙っていた。いつにも増して、深刻そうな顔になるブライトに、ミライは緊張する。
何を言われるのだろうか。少し怖かった。
「場所をかえましょうか」
 何とか心を落ち着けたくて、ミライは少し時間を引き延ばした。
「ああ」
 二人は無言で長い廊下を歩いた。ブライトの話が何であろうと、ミライも彼に伝えるべき事は言いたかった。
147提案(30) ◆dLceq1HdyU :04/02/15 23:55 ID:qvvNzdiX

「ここでいいかしら?」
 ミライが立ち止まったのは兵舎の中の吹き抜けになったテラスだった。外光を取り込み、開放感のある明るい空間だ。
ここなら気分が暗くならずに落ち着いて話せるし、ブライトの話も聞けると思った。
「ああ」
 明るいテラスの雰囲気とは裏腹に、ブライトの表情は固い。彼には珍しく、ポケットに手を入れて落ちつかなそうだった。
何を言われるんだろう。その前に、自分の気持ちを伝えてしまおうか。
「……ブライト」「……ミライ」
 二人は同時に互いの名前を呼んでいた。全くもってタイミングが、同じだ。二人は目を見合わせて、吹き出した。
「なんて言うか……、すまない」
「いいえ、こちらこそ」
 くすくす笑うミライに苦笑しながら、ブライトは頭を掻く。ミライは緊張がほぐれたような気がした。
「じゃあ、あなたから、どうぞ」
 もう、どんな話でも怖がらずに聞こうとミライは思った。
「ああ」
 ブライトは真剣な表情に戻り、意を決したように切り出す。
「実は、君に提案があるんだ」
「……?」
 思いもよらない言葉にミライは首をかしげる。
 ブライトはポケットから取り出した小さな箱をミライに手渡した。
「ミライ。……結婚しないか」
148名無しさん@ピンキー:04/02/16 00:24 ID:gl50zGvr
きゃあああああああ!!!!
プ、プロポーズだぁ!
続きが、続きがぁ!早く読みたいです!
『提案』という題名の意味がわかりました。
いつも、素敵なSSをありがとうございます。続きを楽しみにしています!
149名無しさん@ピンキー:04/02/17 21:36 ID:b3uV1CNM
??
ちょいとテストさせてね
参照文字がなんかうまく出せなくて
150名無しさん@ピンキー:04/02/17 21:36 ID:b3uV1CNM
だめだ・・・なんでだろ
これなら?
151名無しさん@ピンキー:04/02/19 00:52 ID:ehAi8rYx
いいぞ、ブライトさん!
こういうSS、嬉しいなあ。
152名無しさん@ピンキー:04/02/20 18:56 ID:WdVUrjvS
提案、一気読みしました。話の温かい雰囲気が好きです。
いよいよなので待ってます。
153 ◆dLceq1HdyU :04/02/23 22:29 ID:siK9TDEU
申し訳ないです。
ちょっと取り込んでまして、SSの続きは
もう少しかかります。
近日中には続きを出しますので、よろしくお願いします。
154名無しさん@ピンキー:04/02/24 00:12 ID:7c6ovBuf
>153
いつまでもお待ちしております・・・
155 ◆dLceq1HdyU :04/03/01 22:09 ID:n3wuzV0j
非常に遅くなりました。申し訳ないです。
以下4レスにミライとブライトのSSの続きです。
156提案(31) ◆dLceq1HdyU :04/03/01 22:10 ID:n3wuzV0j
>147
 結婚──。ミライは頭の中が真っ白になる。
 何も考えられない頭で、差し出された小さな箱を開く。そこには、白くて優しい光を返すシンプルな銀のリングがあった。
 このリングを買うために、ブライトは必死で許可をとり、出かけていたのだ。
 ミライはブライトに、感謝の意を伝えようと思っていた。ブライトは、自分にとってかけがえのない存在だと伝えたかった。
まだ、自分を待っていてくれたのだろうかと聞きたかった。
 しかし彼は、ミライよりもかなり先を見つめていたのだ。見守っていてくれただけでなく、ミライの将来にまで至る、
前向きで素晴らしい提案をしてくれたのだ。
 もちろん、その提案に異存はない。ミライは心が温かいもの満たされるのを感じていた。
「……ミライ。返事はいつまでも待つ。君の方の話を聞かせてくれ」
 ブライトは何も言わないミライに痺れがきれたようだ。
「私の話は…もういいのよ」
 胸が詰まって上手く声が出せない。少し掠れた声で、ミライはブライトに向き直る。
「良くない。聞かせてくれ」
 そんなところがいかにもブライトらしいとミライは思う。でもそんな生真面目なブライトだから、ミライは彼が好ましいのだ。
「わかったわ」
「……」
 ブライトが、緊張するのが見て取れた。
157提案(32) ◆dLceq1HdyU :04/03/01 22:11 ID:n3wuzV0j
「ブライト、あなたにお礼が言いたかったの。いつも、私を見守ってくれてありがとう。
あなたは、私にとってかけがえのない存在。だから」
 ──結婚しましょう。
 そう言おうとした時に、甲高い声が被さってくる。
「ブライトさん見つけたー!」
「!」
 廊下から、カツ、レツ、キッカが駆け寄ってくる。
「やっと見つけたよー。ブライトさん」
 子どもたちはミライとブライトに纏わりつく。
「お前たち、どうした?」
 ブライトは、突然乱入した子どもたちに当惑した視線を向ける。
「なんでパーティー出てくれなかったの?」
「どうしてどうして? ケーキあるのに」
「ミライ姉ちゃんも」
 口々にまくしたてる子どもたちに、ブライトは投げやりに言った。
「わかったわかった。今から行くから」
「やったあ! 早く行こう」
 喜んで腕を引く子どもたちを尻目に、ブライトは困惑した表情でミライを見た。
いったいどこまで子どもたちに邪魔されればいいのかと、問いたげな彼の表情に、ミライは思わず吹き出した。

158提案(33) ◆dLceq1HdyU :04/03/01 22:12 ID:n3wuzV0j

「楽しかったけど、疲れた……」
 自室のベッドにミライは座り込んだ。
結局、ブライトとミライはパーティーに無理やり連れて行かれた。皆に進められるまま飲んで
歌っての大騒ぎだった。
 ようやく開放されたのは数時間後。
 喧騒の中にずっと居たので頭がぼうっとして、テラスでブライトにプロポーズされたのは
夢だったのではないかと思うくらいだ。でも、夢じゃない。
 ブライトから渡されたリングをそっと左手の薬指にはめてみる。ぴったりのサイズだった。
 ミライはリングをはめたままベッド脇の小物入れから、もう一つの指輪を取り出す。
金色の、どの指にもサイズが合わない指輪。これを託してくれたスレッガーは、もういない。
 彼にはもう二度と逢えない。
 そう思うたび、いつもどうしようもなく胸が締め付けられ、悲しかった。でも、それも今日で最後だ。
「スレッガー中尉。ありがとう」
 ミライはつぶやいて、少し泣いた。
159提案(34) ◆dLceq1HdyU :04/03/01 22:13 ID:n3wuzV0j

 一時間後、静まり返った廊下のとあるドアの前でミライは深呼吸して、部屋のベルを鳴らす。
「ブライト、私だけど、入ってもいいかしら?」
 すぐに部屋の扉が開いた。ブライトは、少し慌てた様子でミライを部屋に迎え入れる。
彼はどうやら入浴直後だったようで、髪の毛が濡れており、Tシャツの上にいつものジャケットを羽織っただけだった。
見慣れないブライトの格好に、ミライは緊張する。
 手を後ろで組みながら、何気ないように話を振る。
「いつまで皆と騒いでいたの?」
「ついさっきまでだ。カイのやつが酔っ払ってハヤトと喧嘩を始めて、介抱するのが大変だったよ。
マサキに後は頼んで、やっと戻ってきたんだ」
「そうなの。じゃあ、お酒もたくさん飲んだだろうし、疲れているでしょう? こんな時間にお邪魔して悪かったかしら」
「いいや。そんなことないさ。酒はほとんど飲んでいないし。君から訊ねてきてくれて嬉しいよ」
 そう言ってブライトは微笑んで、椅子を勧める。穏やかにミライを受け入れてくれるのが嬉しかった。
ミライは、椅子には座らずに話を切り出す。
「昼間の話の続きを言おうと思ったのよ」
「…そうか」
 ブライトが息を詰めるのがわかった。
「さっきも言ったけど…」
 いったん言葉を切った。何となく気恥ずかしい。でも、伝えたい。
「ブライトは、私にとってかけがえのない存在なの」
 ミライは一歩進み、ブライトに近寄る。そっと左手をブライトの目の前に持ち上げた。
 左手の薬指には、ブライトから渡されたリングが光っている。
「あなたと、結婚したいわ」
160名無しさん@ピンキー:04/03/02 00:46 ID:IRQEH9Vp
ネ申きてた。(T-T)感涙
161名無しさん@ピンキー:04/03/02 23:18 ID:SxkKjwmW
毎日、心待ちにしていました!
うく〜〜!

スレッガーからの指輪をつけて、こっそり泣くミライたん・・・。
最高っす!
続きを楽しみにしています!!
162名無しさん@ピンキー:04/03/12 22:11 ID:ZPTGHadA
降臨待ち保守〜
163 ◆dLceq1HdyU :04/03/14 01:05 ID:z8qNkG+p
遅くなって申し訳ないです。
以下2レスにミライとブライトのSSの続きです。
少なくて申し訳ありません・・・。
164提案(35) ◆dLceq1HdyU :04/03/14 01:06 ID:z8qNkG+p
>159
「ミライ」
 気がつくと、ミライはブライトに強く抱きすくめられていた。
 苦しいほど強くブライトの腕に抱かれていた。
「…ありがとう。必ず、幸せにするから」
 声を絞りだすようにブライトは言う。礼を言いたいのは自分のほうだ。ブライトが、こんなにも自分を大事に想ってくれるなんて
嬉しくてたまらなかった。
「こちらこそ、ありがとう。あなたの気持ち、嬉しいわ」
 ブライトの目を見て言いたかったが、彼は腕の中からミライを開放する気はないようだ。
 抱きしめられた力の分、ミライを想ってくれている。しかし、受け止めるだけではなく、自分からも気持ちを伝えたかった。
そっと身体を動かすと、抱かれる腕の力が緩められた。ミライはここぞとばかり身体を少し離して、ブライトの目を見上げる。
「あなたのこと……」
 いとおしそうに見つめられていると、なんだか、胸が詰まって続きの言葉が出なかった。
 ブライトはわかっている、というように微笑を浮かべ、顔を近づけてきた。二人の唇が、重なる。
 ブライトとの口づけは、二度目だった。触れ合うことで、愛を確かめるかのように何度も口づけを繰り返す。
 思いあうような口づけは、次第に激しくなり、舌を絡め、相手の唇を自らのそれでそっとはさむ。
 ブライトはそのまま、唇をミライの頬にそして首筋へと移動していった。彼の手はミライの背を優しく撫でてくる。
165提案(36) ◆dLceq1HdyU :04/03/14 01:07 ID:z8qNkG+p
「どれだけ君をこんな風に抱きしめたかったろう…」
 ブライトが苦しげな息とともに吐き出す。
 もう片方の手が、服の上からミライの乳房に触れた。
 触れられたことのない領域に踏み込んで来るような感じに、ミライは身体を少しだけ強張らせた。
 しかし、ブライトは、ミライの身体の硬直には気づかないようで、さらに深く、首すじに口付けられる。
 右の乳房をそっと撫でまわされると、ぞくりとした。硬直した時とは違う身体の反応に、ミライは熱いため息をついた。
 ──結婚するまでは、セックスはしないつもりだった。考え方が古いと友人に笑われたりもした。
結婚すれば、好きなだけできるじゃない。と言ってさらに笑われたのは、いつのことだったろうか。
 ──でも。ブライトの自分を抱いてくれる腕の力強さから、火傷しそうなくらいに熱く伝わってくる彼の想い。
それを受けとめたいと思った。彼の想いに絆されたと言ってもいいかもしれない。
 ミライは、そのまま身体の力を抜き、ブライトの背を抱いた。ブライトに応えたい。同じだけの愛情を彼に返したいと思った。
166名無しさん@ピンキー:04/03/14 21:14 ID:YeRe7s4S
きた。ネ申が・・・
167名無しさん@ピンキー:04/03/15 17:31 ID:fVxKjXKP
イイネー!!最高でつ
がんがれブライト艦長!
168名無しさん@ピンキー:04/03/21 23:43 ID:CPAzQeeR
保守!降臨お待ちしています〜
169 ◆dLceq1HdyU :04/03/24 22:33 ID:/i1BA+/g
申し訳ないです。いろいろあって続きが遅くなっています。
エロエロにすべくがんばりますので、もう少しだけお待ちください。
170名無しさん@ピンキー:04/03/25 22:05 ID:zVAz+ord
ハァハァしながら、待っています。
171名無しさん@ピンキー
いつまでもお待ちしておりますー
◆dLceq1HdyUさんガンガッテ!(゚∀゚)