【妖怪】人間以外の女の子とのお話3【幽霊】

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375270 ◆W/KpcIbe5Y

「気持ち…よかった?」
「は…はい…。よ、よかったです……」
俺の問い掛けに、沙羅は顔を真っ赤にさせ、俺の首に手を回しながら答える。
「そう…か。それで……頼みがあるんだが…………。俺の仲間になってくれないか?」
「え? わ…私がですか?」
意を決した俺は、沙羅を見つめながら頼み込んだ。沙羅は目を丸くさせながらつぶやいた。
「ああ。今すぐに、とは言わないさ。正直言って、沙羅の腕前には今はまるで遠く及ばない。
でも、いつか必ずふさわしい腕前になってみせる。その時でもいい…お願いだ。仲間になって欲しい」
沙羅の肩を抱き、説得する俺。沙羅は何も言わず、しばらくじっとしている。

「それは……………無理です」
「な、何故!?」
長い沈黙ののち、沙羅の口からは拒否の言葉が出た。思わず俺は反射的に問い直していた。
「確かに芳樹様の演奏に、心魅かれるものがありましたのは事実です。
きっとこれから、私でもかなわないくらい、素晴らしい演奏が出来るようになると思います。
でも、先ほど申しましたとおり、私はこの社に祀られている身です。
芳樹様お一人のそばに、ずっといるわけには参りませぬ」
「で…でも……」
それは、酔っているときの戯言だろう? そう続けようとしたが、沙羅が言葉を続ける。
「大丈夫ですよ。その志をお持ちである限り、いつか必ずや、
私などよりもふさわしいお相手が、芳樹様の前に現れますよ」
「いつか、じゃない! それが今なんだ!!」
諭すように語り掛ける沙羅の言葉に、ブンブンと首を振りながら俺は叫んでいた。