>>50 最後に
「り、飛行場を目指した。」
追加です。
良スレ保守
http://a dult.csx.jp/~database/index.html (スペースを抜いてください)
当方の保管庫にこのスレのSSを収蔵しました。
自分の作品を転載して欲しくない方は仰って下さい。削除します。
正式に作品名、作者名を付けたいという場合も仰って下さい。
誤字脱字、リンクミスなど発見されましたらご指摘下さい。
前世の夢を見ていた。
私はかつて住んでいた城の自分の部屋の窓際に立っていた。
過去夢を見るのは何年ぶりだろうか。
私は窓際から、過去の私を、映画のスクリーン越しに眺めるかのように見る。
部屋の中で私は一人の男性と接吻ていた。
相手は前世の兄くんだ。
この時のことはよく覚えている。
このあと、兄くんは辺境の地に戦争へ出て、棺に収められて帰ってくる。
私は兄くんの死を悲しみ、毒をあおってあとを追った。
気がつけば暗く、冷たいところにいた私。そこに、死神が現れてこう言った。
「お前達は兄妹でありながら夫婦の契りを交わした罪により、永遠に結ばれることの無い転生を繰り返すだろう。」
それは現実になった。
私と兄くんは、今世にいたるまで、共に三度の転生を果たした。
だが、死神の言葉どおり、私と兄くんは兄と妹として生まれ落ち、その度に罪を繰り返した。
結ばれないと分かっていても繰り返す。
いや、結ばれないからこそ繰り返す。
それは四度目の転生。今世においても同じだった。
誘いをかけるのは私。初めは拒んでも、それを越えれば、あとは堕ちるだけ。
兄くんが離れ、部屋を出た。
そこで目が覚めた。
「・・・・」
うっすらと目を開ける。
外は朝を迎えていた。
差し込む日の光。
棺から出て外を覗きこんでいるうちに、脳が覚醒してくる。
上着を羽織ってリビングに出る。
そこには兄くんが朝食を用意して待っていた。
「おはよう千影」
「おはよう・・・兄くん」
朝食を食べ終わり、ソファに腰掛ける。
隣には兄くんがいる。
「どうした?」
「・・・なんでもない」
兄くんの顔を見ていたのに気付かれたようだ。
今、私と兄くんには時間が無い。
兄くんは気がついていないことだが、転生は無限ではない。
永遠に繰り返すかのように思えるこの転生にも、いつか終わりが来る。
そして、それは近い。
あと、三度の転生をしないうちに、兄くんの魂は消滅する。
正確に言えば、私の元に還ると言うべきか。
元々、私と兄くんの魂は一つだった。
それがある時、何かをきっかけに二つに分離し、結果私と兄くんという存在が形作られた。
だが、兄くんを形作っている魂が、存在し続ける力を転生のたびに弱め、限界が来ている。
兄くんの存在をとどめる方法として、私は一つの結論にたどり着いた。
何者にも邪魔されない、何者にも束縛されない、二人だけの世界に逝こう。
私は、そのための儀式を果たした。
あとは兄くんを連れて行くだけだ。
ある夜、寝静まった兄くんを私の部屋の魔方陣へと運び出した。
男性である兄くんを背負うのは苦労した。
その苦労ももうじき報われる。
魔方陣の上で呪文を唱え、目を閉じればそれで終わり。
私と兄くんは、その世界に立った。
「千影・・・?」
「お目覚めかい?兄くん」
「ここは、どこ?」
「ここは・・・二人きりの世界だよ」
「二人きりの世界・・・?」
「そうだよ兄くん。私達は誰にも邪魔されない世界に来たんだ。」
「それって・・・」
「フフッ・・・さぁ、おいで兄くん」
私は纏っていた衣服を脱ぎ捨てる。
ここは影絵の街。
私と兄くんだけの世界。
牢獄であると同時に、絶対空間。世界の裏側。
何人にも侵されざる領域。
私は今日も最愛の人、兄くんと体を重ねる。
= 完 =
NATOのセントリーの機内では、レーダー操作員たちが広い半円形をなして彼らに向かってくる多数のブリップを見守っていた。
基地との距離はおよそ400海里。探知を避けるために低空で侵入してきたが、探知されたので急速に上昇しつつあった。
今やワイルドギース小隊は1200ノットで敵編隊へ向けて突進していた。敵編隊までの距離は180海里。
地上では混乱が生じていた。タワーの要員は、敵の両用戦隊を攻撃するのが先か、敵の爆撃隊を迎撃するのが先か決めかねた。
制空任務の飛行隊が離陸し、続いてペンギンミサイルを搭載したF-16が離陸準備を始める。
彼らは皆、帰るべき基地が残ってくれるだろうかと訝った。
マザーグース中隊が離陸を完了し、敵機に向かい始めた。
しかし、最初に接敵するのはワイルドギース小隊だ。
『セントリー・オスカーよりワイルドギース、第一波は全部で16機、おそらくフルクラムだ。
四組に分かれ、四機のダイヤ形編隊をとっている。
距離および高度はそれぞれ、50海里エンジェル32、55海里エンジェル19、60海里エンジェル44、60海里エンジェル25。
『第二波は36機、おそらくブラインダーないしバックファイアだが、隊形の詳細はまだ分からん。距離は100海里、高度はおよそ
エンジェル10から20』
「了解。ワイルドギース・ワンより全機。封鎖解除!」
ワイルドギース小隊は機首のAPG-66レーダーを作動させた。
たちまちレーダースコープに目標が表示されていく。
「タリィ・ホー!」スーザンは戦闘開始の雄たけびを上げ、続いて言った。
「みんな、スラマーで行くわよ」
『了解』
「フォックス・ワン!」
彼女は目標をロックオンし、プランに従って回避不能域の外縁から続けてAMRAAMを4発放った。ほぼ最大射程での発射だ。
僚機もほぼ同時に発射し、16本の煙が空に弧を描いた。
フルクラムは不意を討たれた。
彼女は知らなかったが、これがノルウェー方面でのAMRAAMの初実戦であったために、ソヴィエト戦闘機のレーダー警戒装置には
AMRAAMの発振パターンが記録されていなかった。さらにノルウェー空軍に中射程ミサイルが配備されたという情報も届いてい
なかったので、攻撃を受けるのはまだ先だと皆が思っていた。
続けざまに9機が空中で爆発した。1機は至近弾を受け、大破した。激しく揺れる機体を制御しようとパイロットが試みる間も
機体は落下していった。6機は完全にかわし、反撃の態勢を取った。
ワイルドギース各機のレーダー警報機が鳴った。右前方から閃光が上がってくるのが見える。
アラモ中AAMが飛来しつつあった。アラモは赤外線誘導とレーダー誘導の二種を混ぜて撃つことが多い。
スーザンは最大出力にして横転し、さかさまになった。そしてチャフとフレアをたたき出し、急降下しながら半横転する。
8Gの圧力を受け、うめき声が出る。彼女は、座席を傾けることにしたF-16の設計者に心から感謝しつつ機体を水平に戻した。
ミサイルを探すが、どこにも見えない――まくのに成功したようだ。
その時、敵機が見えた。
「ワイルドギース・ワン、敵をジュディ。交戦する」僚機も次々と敵を視認し、交戦しつつあった。
ミサイル回避機動中に敵は彼女のケツにつきかけていた。しかしF-16の高い旋回性能で状況は逆転する。
9Gの左旋回――さすがにこれはこたえた――で敵を振り切り、彼女は逆に敵の後方に占位した。グッド・トーン。
「フォックス・ツー!」
左翼端からサイドワインダーが飛び出し、旋回している敵のエンジンノズルに飛び込んだ。
一機のフルクラムがF-16に接近し、高方位角射撃を浴びせて撃墜したのを見て、彼女はそちらに機首を巡らせた。
彼女は敵機の後ろ下方に占位、敵はまだ気付いていない。彼女は機関砲を使うことにし、短いバースト射を浴びせて撃墜した。
このパイロットは脱出し、パラシュートの白い花が開いた。
アンダヤ島を守備するノルウェー軍の大隊戦闘団がアンデネス近辺に集結しつつあり、砲兵隊が汀線に砲弾を撃ちこんでいた。
クレトフ大尉たちは飛行場の外縁部でノルウェー軍の歩兵部隊に遭遇していた。
塹壕から機関銃と無反動砲が発射されている。
すぐ脇の地面に無反動砲弾が突っ込み、ハッチから出していたクレトフの顔にひとつかみの土が命中した。
彼は悪態をつき、顔を拭いながら引っ込んだ。
砲手が同軸機銃で掃射し、敵をけん制する。
「前進継続」
塹壕を乗り越え、敵の後方に回り込むと後部のドアを開き、空挺隊員たちが飛び降りる。
慌てて銃を構えなおそうとするノルウェー兵たちを銃撃が襲い、数分の内に抵抗は止んだ。
「ブローハ1よりゾイド3、敵の抵抗小。目標1へ向け着実に前進中」
滑走路に乗り上げ、エプロンへ向けて進撃する。
そのとき、先頭を走る第1小隊の装甲車2両が続けて爆発した。
『13号より1号、前方に敵戦車』
「くそ、全中隊対戦車戦闘用意。煙幕弾発射」「ブローハ1よりゾイド3、敵戦車隊に遭遇。支援を要請する」
『ブローハ1、航空隊は敵航空隊と戦闘中、砲兵隊は目下展開中だ。独力でやれ。以上交信終わり』
「なんてこった…くそ、当たって砕けろだ!アフガンで行くぞ」
生き残った装甲車が後退をはじめ、第2小隊が展開して滑走路脇の丈の高い草むらに飛び込んだ。
装甲車部隊は後退しながら砲撃を続ける。砲弾が駐機されたヘリコプターの近くに落ちた。
ノルウェー軍戦車小隊もこれは無視できず、駆逐すべく発砲しながら突撃してきた。
第1小隊の2両が続けて爆発する。
突然後ろを進む2両のM48戦車が続けて爆発した。後方に回り込んだ第2小隊が対戦車ロケット擲弾で攻撃をかけたのだ。
残る2両は砲塔を回し、逃げる空挺隊員たちに機銃掃射を浴びせた。
その時、後退を続けていた装甲車部隊がいっせいにレーザービームを放った。その数瞬後を対戦車ミサイルがワイヤーを引きながら
追う。
63 :
48:03/09/09 16:12 ID:lg9/+ZqF
なんかスレストしちゃってるよう(泣
一応続き…エロまで遠そうな予感…
大乱戦になっていた。各中隊はその統制を失い、敵味方が入り乱れての空戦が展開されていた。
スーザンは1機のMiGを左手前方、やや上方に発見した。左旋回中だ。雲海のわずか上を飛んでいる。
素早くスロットルのドッグファイトスイッチを入れ、彼女はフル・アフターバーナーでこのMiGを追った。
垂直に上昇しつつ機体をひねり、続いて45度の急降下、左急旋回で後方に回り込む。
MiGの旋回の内側に回りこみ、ミサイルをセレクト。右にロールをうつ。
MiGは左急旋回でかわそうとするが、彼女はMiGを照準器にとらえつづける。
「フォックス・ツー!」
右翼端からサイドワインダーが飛び出す。MiGの尾部から火の玉が次々と吐き出された。
しかしミサイルはこれを無視し、MiGの右エンジンに飛び込んで爆発した。
「ワイルドギース・ワン、ビンゴ」
『セントリー・オスカーより全機、コードはマーサ。毒が回った。繰り返す、毒が回った』
彼女は毒づいた。敵部隊に飛行場が占拠されたということだ。
この燃料残量では、味方勢力圏まで飛べない。
また、敵占領地域に不時着すると機密保持のために機体は爆破しなければならない。要するに、彼女の機体の命運は定まった。
『ワイルドギース・スリー!敵を振り切れない!』三番機のトーマス・<マック>・ゲイツ中尉から悲鳴のような連絡が入った。
「スリー、どこにいる」カチカチという音。空戦機動で無線機をいじっている余裕が無いのだ。
そのとき、ほぼ正面の下方に逃げまわるF-16とそれを追うMiG-29を見つけた。
「ワンよりスリー、見つけた!頑張れ」
しかしその瞬間MiGがミサイルを発射、3番機は火球となって散った。
「マック!」仇は討つ。ミサイルは撃ちつくしたが、20mmバルカンの弾薬がまだ残っている。
スーザンは太陽を背にして突入した。
スナップ・シュート!
MiGはなにがなにやら分からぬ内に死んだ。コクピットを数十発の弾丸が貫通し、操縦士は即死した。
火球が尾を引き、地表に激突して爆発した。その時、海軍の哨戒機から連絡が入った。
『ペンギン・フォーより全機、エプロンに無傷のF-16が残っている。誰か破壊してくれ』
「ワイルドギース・ワン、ミサイルは撃ちつくしたがガンの弾はまだ残っている。これより破壊に向かう」
彼女は機首をめぐらせた。歩兵の携帯対空ミサイルを警戒し、高度を取る。
エプロンが見えてきた。2機のF-16が並んでいる。周囲には整備員たちの死体が転がっている。
彼女は発砲を開始した。
ノルウェー空軍が誇る2機の最新鋭戦闘機は、その兄弟からの銃弾を浴びてたちまち蜂の巣になり、燃料が爆発した。
火球が舞い上がり、暁の空を焼いた。爆風で機体が震える。
エロはなくても良いが萌えは欲しいと思う俺は、わがままなのだろうか・・・
>>66 萌えは無いけど燃えは有るぞと言ってみるテスト
>>67 エロパロ板最高の燃えSSであることはまちがいなかろw
>>66 >>46のスレでは多少は萌えも盛り込んで書いてるみたいだから萌えの概念は分かってるんだろうが・・・
とゆーか並みの軍事小説よりまともな戦闘描写があるエロパロってなによwww
まあこんなSSこそ本スレに投下したら叩かれそうだし、ここを避難所にしてよかったと思う
71 :
名無しさん@ピンキー:03/09/11 04:47 ID:CQpNJx4W
このスレはバッドエンド物
(というか善悪で見ると悪が買っちゃうような)もありでつか?
>>71 ノ
(便乗)
キャラクター(主人公含む)の生死に関わるようなやつもありでつか?
過度のグロや801以外なら、本スレで忌避されそうな作品の避難所にするのもイイかも知れない。
いくらエロ無しスレと言っても、まさか21歳以下が見に来るはずもないし。
ただし、投下前に(元ネタ&BADENDモノ)みたいな注意書きは欲しいな。
75 :
名無しさん@ピンキー:03/09/11 14:19 ID:T6Q69TvY
言ってしまえばレンタルビデオでアダルトの手前に置いてある、
お色気ビデオみたいなもんかい? ここは。
(・∀・)ノシ!自分、死にネタ落とそうと思ってたりします。
基本的になんでもありのスレのほうが揉めないよな。
無理にこんなのは駄目とかこれは書くなとかやると、
それを逆手にとって煽りが暗躍し始める。
>>78 だな。
唯一の決まりは「エロくない」だしな
>78-79
地下闘技場的だな。
エロの使用以外全てを認めます!と。
>>79-80 エロはNGにするの?
エロは有るけど、ヒロインが死んでしまうので本スレで書きにくい、ってのは駄目?
>81
スレタイの意味を48時間じっくり考えてみるといいよ
萌え話でエロなし(エロゲじゃなくてギャルゲのような展開)もいいのか……
それなら俺でもかけそうよ
エロ描写苦手だしw
85 :
48:03/09/12 20:14 ID:bezSuLxI
なんか風当たりが強くなってきたので、今日か明日中にはアンダヤ上陸作戦の部分は
終わらせようと思います。
>>52 ありがとうございます。お手数ですが、題名を「北の鷹匠たちの死」に変更して頂けますと
幸いです。由来は<バニー>が乗ってる戦闘機のニックネームからです。
次の瞬間、彼女の目の前を曳光弾が過ぎた。反射的に方向舵を蹴り、右に横滑りさせる。
その刹那 彼女の機体の残像を一連の砲弾が裂き、空しく地面を抉った。
左後方、上空に敵機。
劣位戦だ。
機首を強引に引き起こし、対航する。敵機は怯んでわずかに機首をそらした。
彼女はその隙に素早く照準線を敵機に重ね、ボタンを押す。バルカンが短くうなり、銃弾がキャノピーを粉砕した。
しかし、もう1機いた。そいつは鋭く旋回し、左上方から突入してきた。
彼女はアフターバーナーを使って推力を増強し、強引に機首を巡らそうとするが――
ミサイル被弾の衝撃で機体が大きく揺さぶられ、彼女は前に投げ出されてうめいた。
爆発でエンジンがやられ、推力ががくんと落ちた。
すぐ脇を敵機が轟音を立てて通過する。
油圧が急降下し、スティックの脇の警告灯が赤く染まる。機体が激しく揺れている。
彼女はあきらめた。キャノピーを吹き飛ばし、その後に射出座席が続いた。
ノルウェー軍のM48戦車にはレーザー警報機がなく、照射されるレーザーに気付かなかった。
対戦車ミサイルは吸い込まれるように命中し、2両の戦車は煙を上げて擱坐した。
中隊の通信網を歓声が満たす。
「みんな、落ち着け!」クレトフは苦笑いしながら言った。もっともそこは精鋭の空挺隊員、限度は心得ている。
すぐに静かになった。
「飛行場を制圧しろ。飛行機は接収し、情報班に引き渡すまで警備しろ。設備はできるだけ傷つけるな。事前説明どおりだ。
みんな、手早くやろうぜ。行け!」
第2小隊が乗車し、中隊はエプロンや管制塔へ向けて進撃を開始した。
整備員たちがぱらぱらと銃撃してくるが、機関銃の制圧射撃ですぐに沈黙する。
装甲車が管制塔に横付けし掃討するが、そこはもぬけのからだった。
クレトフは中隊本部の装甲車を止め、地図を広げた。
大隊本部の装甲車4両が走ってきた。管制塔を大隊の指揮所にするつもりらしい。
そのとき、空に小さな点が見えた。
見る間に大きくなり、ジェット戦闘機の形となる。発砲を開始した。光の筋が向かってくる。
エプロンの2機の戦闘機が爆発し、接収しようと向かっていた2両の装甲車が慌てて回避機動をとった。
流れ弾が大隊本部に突っ込み、装甲車が続けて爆発した。
轟音とともに戦闘機が上空を過ぎる。
クレトフはハッチから飛び出し、大隊本部の残骸に向かって走った。
燃える装甲車から人影が飛び出し、地面に倒れて転げまわる。火を消そうとしているのだ、と気付いた。
彼は上着をぬいでかぶせ、火を消すと抱き上げた。ひどい火傷だ。助からないだろう。
とその時、その男が口を開いた。
「クレトフ…大尉――」大隊長のパーシン少佐だった。
「ペトロフ大尉は…」クレトフは首を振った。
「そうか…」パーシンは目をつぶった。
「――指揮を譲る…貴様が今から大隊長だ…俺の大隊を…」絶句し、頭を垂れた。
クレトフは十字を切り、少佐の遺体を足元に横たえた。
「――セルギエンコ中尉!」クレトフは副官を呼んだ。セルギエンコは彼の背後で祈りの言葉を短く唱えていた。
「君は今から中隊長だ。コールサインは変えない。分かったか?ゾイド3よりブローハ1、了解?」
「了解しました、同志大尉!」
その時、上空で轟音がして二人は身をこわばらせた。戦闘機のことを忘れていたのだ。物陰に飛び込み、空を仰ぎ見る。
敵機と2機の友軍機が交戦していた。友軍機の片方が火を吹き、地面に叩きつけられたのを見てクレトフはうめき、なにやらつぶやいた。
続いて友軍機がミサイルを発射し、敵機の尾部に命中したのを見て、二人は歓声を上げた。
敵機は煙を吹きながら斜めに落ちてくる。その時機首から何かが飛び出し、パラシュートが開いた。
機体は空中で爆発し、破片が林に降り注ぐ。
脱出した操縦士は風に流され、滑走路脇の草むらにどさりと落ちた。
彼はAKS-74Uを持ち、スリングを肩にかけると立ち上がった。
見ると、敵の操縦士も腰をさすりながら立ち上がっていた。Gスーツでひどく着膨れて見える。
スーザンは自分の運命を呪った。脱出と着地で足を痛め、走ることはできない。滑走路に並んだ装甲車が砲塔を回し、自動小銃を
抱えた兵士たちが走ってくる。
ソ連兵が円をなして取り囲んだ。彼女は拳銃を抜き、スライドを引いた。
露助の手が自分の肌に触れるところを考えると、怖気が振るった。辱めを受けるくらいなら、死んだほうがマシだった。
そのときロシア語の命令が響き、兵士たちは銃を下げると道を開けた。カービンを肩にかけた指揮官と思しき男が歩いてくる。
自分の顔から血の気が引いていくのを感じた。拳銃を握る手に力が入る。
その時男が口を開いた。なかなか見事な英語であった。
「操縦士よ、お前はよく戦った――しかし健闘空しくも敗れたようだ」小さく笑った。
スーザンは場違いなユーモアを感じ、大きく笑って言った。「そのようだな」
「操縦士よ、お前は我々の捕虜だ。手は掛けたくない。その右手の拳銃を渡してはもらえないものか?」
彼女はグロックを差し出した。男は受け取り、その手を小さく上げると拳銃をポケットに入れた。
彼女はヘルメットを脱ぎ、髪をまとめていたゴムバンドを取って肩まである金髪をさらりと広げた。
それを見た兵士たちの間に動揺が広がる。彼女は、ごわごわのGスーツのせいで女だと思われていなかったことを知った。
「ヘルメットは脱がないほうがいい。装甲車の中で頭をぶつけると困るからな」彼は笑った。
実のところ、彼女は幸運だった。空挺隊員たちは、精鋭としての誇りゆえに彼女をレイプするようなことはしないだろうし、また実際
頭にも浮かばなかった。もしも第2梯団で上陸してきた海軍歩兵に捕まっていたら、さんざんにレイプされた挙句に射殺されていた
かもしれない。
「よろしく。自分は陸軍空挺部隊のクレトフ大尉である」彼は「陸軍」という部分を強調して言った。
クレトフは彼女を本管中隊の装甲車に乗るよううながした。
彼女は、少なくとも今すぐに射殺されたり、強姦されることは無さそうだと思い、ホッと息をついた。
しかし、彼女は事情を知らなくて幸運だった。
彼らはノルウェー軍との交戦に向かいつつあった。
<状況説明>********************************************************
ソ連両用艦隊は、第106親衛空挺師団から抽出した連隊戦闘団(=旅団)2個と海軍歩兵(西側で言うと海兵隊)の自動車化狙撃旅団を
2個輸送していた。このうち、ノルウェー海軍の攻撃で空挺大隊戦闘団1個が揚陸艦と共に全滅している。
なお、師団は3個旅団、旅団は3個大隊戦闘団より編成されている。
上陸作戦では、軽武装の空挺部隊が先陣を切った。先鋒を務めたのは、第35親衛空中突撃連隊を基幹とした旅団であった。
上陸時に同旅団のうち2個大隊が85%、80%の損害を出して事実上全滅、1個大隊のみが上陸に成功した。
パーシン少佐、クレトフ大尉たちの大隊である。
ソ軍指揮官は同隊にほか2個大隊の残存兵力を編入した上で先行させた。
その後上陸した第14親衛空中突撃連隊戦闘団はノルウェー軍砲兵隊および同空軍の攻撃を受け、上陸時に30%の損害を出した。
このため、同旅団は上陸後2個大隊戦闘団に再編した。
アンダヤ島を守備していたのは、ノルウェー軍の第37歩兵連隊第1大隊を基幹とする大隊戦闘団、および空軍の基地守備隊の歩兵中隊
であった。同大隊戦闘団は水際阻止を試みた戦闘で1個中隊の損害を出したためノ軍指揮官は空軍基地守備隊を指揮下に編入、空軍基地に
戦車小隊を予備として拘置した。
ノ軍指揮官は地の利を生かした奇襲ならば勝機があると判断、大隊戦闘団のうち1個歩兵中隊が前進しソ連空挺部隊と交戦した。
ソ軍の2個中隊相当が戦闘力を喪失した時点でノ軍指揮官は撤退を決心した。
ソ軍指揮官は全軍に追撃を命令したが、丘陵地帯の入り口で待ち伏せを受けた。この戦闘中にノ軍戦車中隊が側面攻撃を実施、さらに
砲兵中隊が汀線付近を狙った掃討射撃を実施した。この戦闘でソ軍の1個大隊相当が戦闘力を喪失した。
しかしソ海軍のレーダーによりノ軍砲兵中隊の位置が割れ、ソ海軍およびソ軍砲兵隊との交戦でノ軍砲兵中隊は全滅した。
さらにクレトフ大尉以下の第1大隊がノ軍に対して背面攻撃を実施、この攻撃でノ軍は潰乱、ノ軍指揮官は撤退を決意した。
ソ軍空挺部隊の残存兵力は1個空中突撃大隊相当、1個空中突撃砲兵中隊相当、および通信隊や補給隊、輸送隊、衛生隊などであった。
ソ軍司令官はこれらに第25独立戦車中隊を加えて1個大隊戦闘団に改編した上でこれをアンダヤ島の守備隊とし、ノルウェー本土侵攻は
海軍歩兵の2個旅団で実施することとした。
なお同大隊戦闘団の指揮官には、かつての第14親衛空中突撃連隊長のシマコフ大佐が任命された。クレトフ少佐は空中突撃大隊長となった。
****************************************************<状況説明・終>**
92 :
48:03/09/12 21:48 ID:bezSuLxI
なんか、どこの板じゃ!って感じですが、たぶんエロまで近い…はずです。
てかやっぱ、皆さんこういうの引きますか?なんか神が来てもおかしくないスレなのに
来ないというのは、私のこれのせいかもしれないと思うんですが。
>48
端的に言って、長 杉 だと思う。
掲示板投稿で細切れずつ落とすより、ある程度の量をまとめて
一気に読ませる方が向いている文章という気がする。(漢字が多いから?)
あと、「状況説明」で本編があちこちでぶった切られるのも読む側としては辛い。
内容が内容なだけに、軍事板ならもっとリアクション返ってきそうだけど
さすがに軍板にSSスレは無いか(w
なんか色々検索してみたが、見つからんなあ。仮想戦記の創作スレ、みたいなの。
まあ、粗が探しやすいから2chじゃやりづらいのかもね。
半端じゃない知識もってるヤシとか居るし。
>>93 まとめて読ませるっぽ、に同意。
どうやってエロにもっていくんだw 楽しみにしてますよ48。
ここまでの描写だけでハァハァなのは不許可ですか?
96 :
48:03/09/13 14:21 ID:8d8fj5z/
>>93 軍板のSSスレでは、「自衛隊がファンタジィ世界に召還されました」というのがありますな。
実は私も少し書いて、なかなか好評ではあったんです。ですが絶望的な欠点がありまして、
私は全くファンタジィを知らないのです。エルフって?ゴブリンって?という状況に陥って
撤退を余儀なくされたわけです。
あのスレは書き手と読み手の間の紛争でかなり荒れてしまっていますが、現在復興が進んでいます。
その方面に興味がある方はご一読をお奨めします。
あと、<状況説明>は、あと1つは入れざるを得ないと思われます。
何しろ
>>90-91の内容をまともに書くとかなりレス数を使いますから。
実は
>>91の「アンダヤ島南部の戦い」とか「ノルウェー軍工兵隊の全滅」なんかは
書きたくてしょうがないんですが、完全な板違いが加速しますからやめときます。
>>94 エロへの導入は、おっそろしく古くてださくてありふれた方法になってしまっています。
読んで皆さんが怒らないことを祈るばかりですが、ほかの方法が思いつかないのです。
まあストックホルム症候群は北欧で初症例が発見されたわけですし(汗
とりあえず、後は1つはエロシーンが書きあがるまでは投下しないつもりです。
「ふぅ・・・疲れた。もう寝よう・・・・ん?」
政務に追われ疲れ果てた陽子は自分の寝台の脇机の上に置かれた木箱を見つけました。
陽子の肘から指先くらいの長さの細長い木箱です。蓋には「献」とだけ書かれています。
「これは・・・・・・・」
それが何なのかは知っていましたが実物に手を触れるのは初めてでした。
(それにしても一体誰がこんなものを?)
ふと箱の中を見ると一緒に一枚の紙が入っています。陽子がそれを広げてみると
『陽子 王として日々精進するのも大事だが時には息抜きするが良い 夜の伴にされたし 尚隆』
(延王?延王がこれを?・・・・・・・)
陽子はそれを手にとって眺めました。
ちょっと疲れていたのですが好奇心も手伝って陽子はそれを持って立ち上がりました。
「あ、あれ?・・・・ん・・・・なかなか上手くいかないな・・・・」
何だか手が疲れてきました。手に持つとそれは思っていたよりも重いものです。
「冗祐、少し手伝ってくれないか?」
陽子は誰もいない寝室で見えない何かに話しかけます。
「御意」
陽子にだけその声は聞こえました。
「あ・・・そう・・いや、もう少し上・・・違う!下だ・・・そう!そこ・・・ああ!すごい・・・」
陽子は時が経つのも忘れて初めての体験に夢中になりました。
次の日の夜、陽子は祥瓊と鈴を寝室に招き二人にそれを見せました。
「何これ?」
「延王が贈って下さった。蓬莱のものだ」
「ええ?蓬莱の?あたしこんなの見たことなかったな。あたしがいた頃にはなかったのかな?」
「さあ?貴重だろうけどあったことはあったんじゃないかな?」
陽子はそれを鈴に手渡します。
「うーん・・・何だか良くわかんないよ・・・どうするの?」
陽子は鈴の背後に回り手を添えて優しく教えてあげます。
「ほら、ここをこうやって回して・・・・どう?」
「あ、なんかだんだん・・・・あ、そこそこ・・・・あーっ!すっごーい!」
鈴が嬌声をあげて感動しています。
「ねぇー、早く私にも貸してよぉ」
すっかり夢中になっている鈴を見て痺れを切らした祥瓊が不平を言います。
「まあそう焦るな。別に減るもんじゃないし、夜は長いんだ・・・・」
陽子は笑って言いました。
翌朝、眠い目を擦りながら廊下を歩く陽子に顔を合わせた景麒が言いました。
「主上、何やら夜中に騒がしいようですが…それにこの二日ほど目が充血していらっしゃる。寝不足か?」
「そうか?実は延王に贈り物を戴いてな。確かに少し寝不足だ」
陽子はちょっと照れたように笑いながら答えました。
「延王に・・・・」
そう言えば景麒も先日女官が細長い箱を運んでいるのを見た記憶があります。
「蓬莱の物だ。とても精巧に出来ていて、鈴も祥瓊も大喜びだ」
「それはもしや・・・」
「こちらにはないものだから名前を言っても分からないだろうな」
「知っています。×××××××ですね」
なぜか景麒はぼこぼこにブチのめされました。
「まったく!延台輔と来たらろくでもないことばかり景麒に教えて…」
プンプン怒りながら陽子は去っていきました。
こうしていつもの慶の一日が始まるのでした。
おしまい
というネタをちょっと前に少しいじって兄板の萌えスレに落としたら怒られました。
十二国記関連はお堅い怒りっぽい人が多い…
でもエロパロスレは優しい人が多い。
妄想系(SSっぽいものはそう呼ばれる)は兄板ではウザがられる傾向。
(全部が全部じゃないけど)
そのスレの住人が頭が固いとかではなく、スレの空気読めなかった99が(以下略)