「なっ、なんで…」
髪の毛からポタポタとお湯をしたたらせながら、呆けたような表情でわたし
を見るリョウト君。
身体にバスタオルを巻きつけただけのわたしの姿に、今更ながら目が釘づけ
になる。
「こんなに広いんだから、二人で入っても問題ないわね」
「そんなっ、僕出ま…」
そう言おうとして、自分が馬鹿正直に入浴しようとしていた、つまり全裸に
なって身体を洗っていた事実に気づき、慌ててバスタブへと飛び込む。
「あらあら、まだお湯も張ってないのにそんなところへ入ってどうするの」
言いつつわたしはスポンジを手に取る。
「ほらっ、出てらっしゃい、洗ってあげるわ」
「いえ、そんなっ、遠慮します」
「そんなに怖がらないで、こっちにいらっしゃい」
「怖いんじゃないです、そうじゃないですけど、やっぱりこんなこと…」
惑乱して涙目になるリョウト君。
カワイイ、カワイスギル。
「この期に及んでつまらないこと言わないの」
そう言って私はまだ足元までしかお湯の溜まってないバスタブへ彼を追って
入ると、その背中にピタリとくっつく。
「はぅ」
ふふふ、わたしの胸がバスタオル一枚ごしで背中を刺激したようね。
「さあ、いい子だからおとなしくしなさい」
ボディシャンプーをたっぷりつけたスポンジをリョウト君の身体に這わせる。
とりあえずはまず胸板や腹部、あたりさわりのない場所を擦っていると。
「どうして、どうしてこんなことを…」
何度も繰り返した言葉を、また口にするリョウト君。
「仕事よ、そう、コレが私の新たな任務なの」
嘘は言ってないわ、一応メイロン氏から依頼は受けているのだから。