「……、でな、耳たぶは、前から噛まれても後ろから噛まれてもひうってなんねん」
この三十分、ともの顔からはゆるゆると緊張感が抜けている、忘我の相。彼女の元気の
印、ホットパンツから突き出た足は何度か組替えられて、今は軽く押しつけているかかと、
女の芯の部分衣服越し。下着こすれると、お尻がきゅっと締まる。何度目かの唾を飲む智。
「その間さあ、乳首は? 」
「やあらかく、いじっとんねん。それに脇の下もな、さわさわされるとひゅうって、なんねん」
「おお、脇も感じるところ、古の伝説どおり、だな」
「黒沢先生に乾杯や」
形ばかりの乾杯が終わると、智はまた脚を組替える。乳房が、張った感じ。触ったらど
んな感じだろ。さりげなく股間に手を当ててみる。親指で軽く押してみる。ん、充血して
るかも。勝手に想像してみる。どんな男の人なんだろう。大阪の話は詳細に渡っているの
に、肝心の相手についてはこんな感じの人、と言うことしかわからない。
「脇の下は、キスしてあげてもいいねんで。こうやってな、軽くキスしながら、ちろちろ
舐めてぇ」
ふんふん。のりだす智の瞳は少年の好奇心から女の好奇心へと変化している。いつのま
にかジャンパースカートのボタンを外して、あらわになる大阪の肩。汗に湿ったシャツ。
「でさ、あそこでした感じ、どうだった? 」
「あそこて〜? 」
「まんこ」
今までの淫蕩な流れを断ち切るような無粋な単語。しかし、ピクリともしない大阪。
んー、おまんこはなあ。舐めたりいじったりのほうが気持ちええよ。そうか、まんこはそ
んなによくないのか。いや、悪いわけやないんやけど、ずっと触ってたほうが、ずっと、
お互い感じあえてええねん。そーか、まんこはだめか、まんこ、まんこ、……大阪!!
「え〜? なに? 」
「なんで少しも恥ずかしがらんのだ、おまえわあ!! 」
なにが? 人がまんこいってるのにぃ、恥かしがらないなんて羞恥心ってもんをなくし
ちまったのかぁ? ん〜、ちゃうねん。なにが! だって大阪ではそういわへんもん。
「ちっ、すんでる場所が違うと通じない言葉があるってことか!! 」
じゃあなんていうんだ、大阪!!
大阪はにこにこ。その胸元は咲き誇る桃の花に染まって。ふと、すえた汗の匂い。
「で、はじめてのちんこはどうだった? 」
「そんなん、入れてないよ」
「じゃ、あそこは何もしないのかよ」
男の人のものやなくても愛し合う方法は幾らでもあるで。なに? おとなのおもちゃ?
そんなん必要ない、これや!! 突き出す中指、ゴールドフィンガー。
でも、そしたら相手の人気持ちよくないんじゃない? その問いに、大阪は不思議な笑
いを送る。見下すような慈しむような。
「あたしも指で感じさせるねん」
なんだそれじゃあ初体験じゃないじゃん。なんで? だってさ、エッチってチンコ入れ
なきゃさー、イかないでしょ、チンコ入れないと。そんなことない、愛があればイける。
でもチンコ入れたほうが気持ちいいんでしょ。それ、思い込みとちゃうかな。違うね、
やっぱり入れないと本当に初体験じゃないね。やーい、こ、ど、も、こ、ど、も。
「ともちゃん、そんなにちんちん好きか? 」
「……あ、いや、好きかといわれると」
「あたしは好きやない。入れたことはないから嫌いっていえへんけど、好きやない」
ピしりとした言葉に、思わず口篭る智。濡れそぼった下着が冷えてくる。静かに、火照
った身体酔いから醒める。
「ともちゃんな、おめこは好きどうしやからするんよね」
あ、う、うん。嫌いなものどうし、したりする? 例えたら失礼やけど、木村先生とし
たい? い、いーや、全然、ぜーんぜん。
ぶるぶる首を横に振る冗談じみたオーヴァーアクションの智。おどけて笑いに逃れよう
としたのに、大阪は許さない。まるで許さない。
そやろ、好きやから一緒になりたいねん。うん。
したらおめこって愛する行為の一つやんか。そうかも。
でもともちゃんは、ちんちん入れへんとエッチしたことにならんていう。
「ほならや、事故でちんちん無くなった人はどないすんの。エッチできんってこと? も
う、愛し合うことも、出来んってこと? 」
「そ、そしたら、心と心で」
心だけで、イケるか、アホ!!
思わずびくっとする。大阪の目は据わっている。
確かに、心の触れ合いだけで成り立つ愛もある。でもな、心だけやのーて、心も身体も
一緒に気持ちよくなりたいもんと違うか?
「好きやから、触ったりしたい思うんやんか。一緒にいたいんやんか。じゃ、なにか? 爺
さんと婆さんはもう物も役に立たんようになっとるから、愛し合う資格ないとでもいうん
か!! 」
「じゃあさ! 」
むきになって言い返す。
やり込められた悔しさからか、何かと抗うような眼。心の壁に突き当たった獣の目。
「じゃ、別に、男と女じゃなくても、いいじゃない!! 」
そのとおりや。
春日歩はきっぱりと言い切った。
でも、大阪、初体験したって。だれも男の人とエッチしたなんていうてへんよ。え? 智
は混乱する。でも、身長が高くてがっしりしていて、肌はよく焼けてて、大阪抱き上げた
り出来るくらい……。あたしくらい、ともちゃんかて抱き上げられるわ。確かに
初体験、の響きに勝手に男を想像してただけだ。
「じゃ、女の人としたってこと? 」
「それはどーかなあ? 」
え? だって話の流れから言ったら、どう考えたって。
あたし別に、何もいってないやろ。ただ、あたしが初エッチでめちゃめちゃ感じた恥か
しい話をしただけや。な、おっきな秘密の話やろー。それで、充分やん。
「そんならサ、今もエッチしてる、でしょ」
鋭いなー自分。大阪は皮肉に笑って、いかくんをくちゃくちゃ噛んだ。酸い酒の匂いの
中にいかの匂いが混じる。それサ、どんなやつ? 初エッチと同じ人? 違うわ。一回目
はエッチしてもいい人、今は愛してる人。愛してる人? それって女の人?
「さてなー。どーかなー」
じゃ、あたしの知ってる人?
「さーて、教えられへんなあ」 ぽやっとした顔が、意地悪い微笑みを浮かべた。
「好きな人の身体触ってると、幸せな気分になれるんよ」その人、可愛い? かわええよ。
日焼けしたところと焼けてないところのさかい舐めたると、すごいハズカシがんねん。あ
んなぁ、下着の下はカフェオレ色で、日に焼けたところはコーヒー色。でもな、乳首はピ
ンクやねん。そいつ、髪長い? ん? 眼鏡、かけてる? ん? 何考えてんのか知らん
けどノーコメントや。ノーコメント。なんだか、胸がもやもやしてる。
「大阪、意地悪だ」何のこと、ポニーテールが斜めに傾ぐ。
「だって、智ちゃんも意地悪したやろ」
水割り用のペットボトルに直接口をつけてぐいぐい飲む、大阪。口元から水が流れ出る。
飲んでいるよりも、遥かに零れているほうが多い。胸元の薄緑が、濃い緑の染みになる。
「あちゃ〜、こぼれてもおた」口の端をつつと滑る水。涎の跡のよう。
ともちゃあん、脱がせて。
波に揺れるワカメのようにくにゃっと両手を智のほうに投げ出す大阪。うなじが、ぬる
りと光る。
え?
思わず、両手を前に出して、萌黄色のシャツを剥ぎ取った。ちらちら見えていたバンド
型のブラ。乳首が固くしこっている。ぽそん、とシャツを置く。自分の腕から力抜けてる。
おおさか、むね。ああ、これ、楽やねん。ほら、肩から下げるのって、すぐこってくる
やん。左右の突起から突起へのなだらかな線。見逃せない。どうしてだろ?
「おおさか、もし、あたしがレズなんか嫌いだっていったら、どうするつもりだったの?」
「え? でもともちゃん友達やろ」それで友達やめるともちゃんやないでしょ。そりゃそ
うだけど。じゃ、ええやん。でも、普通じゃないじゃない。上ずる声、変な気持ち。
「えへへ、レズなんて言うてないよ、あたし」
なんだよもーっ、はっきりしろ!! ずるいぞ大阪!!
ずるくない。
「ずるいのはともちゃんや」
とろんとした瞳、でも言葉は断定的。
もう、めっちゃかんじてるんやろ、そんなこといって。
あたしと、してみたいんやろ。本当は。
あたしは―― ほんとうは
請われるままに口付ける大阪の頬
大阪の頬を感じる理性壊れるまま
戯れに動かしてみるちろちろと舌
ちろちろ燃えるは欲望青白い狐火
あたしの手は剥き出しの肩抱いて
肩甲骨までにぢりよる十本の芋虫
鍵盤叩くみたいに踊る十本の芋虫
ええよ、ぬがしたって、このブラ
形いい胸手のひらサイズの楽しさ
舐めてるから額にあたる馬の尻尾
大阪の細いうなじ舐めているから
膝が股間にあたってぐりぐりする
大阪が擦りつける膝あたしの芯を
ぬるり、下着の布目粗い、感じる
どや? ともちゃん、膝の感じ?
ひ、くう、とまらないうめきごえ
ともちゃんあかちゃんちゃうの?
舌で転がす乳首柔らか大阪の乳首
乳首に吸いつく唇SUの発音の形
ご褒美あげる、可愛いあかちゃん
ぁ、めえ、ダメつま……まないで
頭の奥キンとする、動き、止まる
敏感な乳首人差し指と親指の餌食
しゅうちゅ、……きないよぉやぁ
「も、と、なめ……ぁいのにぃ」
「いじきたないな、ともちゃん」
おおさかのこえ、とけてる
あたしのからだもとけてる
くふん、ぅん大阪の鼻の奥震える
あたしの舌這う大阪の感じるとこ
両手で広げるふわふわした太もも
縮れた毛は思ったより固くて太い
でも撫でてあげる優しく舌で舌で
そこ、おま、めは、や……ぇてぇ
さかさま言葉さかさまの世界では
まさかの行動、そうそのまさかさ
紫のうてな赤い花弁ひくひく動く
退化した雄しべの皮を舌先で剥く
恥知らず平たくした舌細くした舌
つきさす蝶の舌は大阪の蜜求めて
まるで枯れ果てた犬の水貪るよう
そのたび腰は横へ縦へ前へ後ろへ
優しく包み込んで唇で吸ってみる
なお震える腰、鼻先で感じる柔毛
だめえ、ともちゃんだめえ。とまらんようになってまう。ずっと、してまうの
いいよ、したい、あたししたいよ。ほらさわって、あたしもこんなになってる
だめよともちゃん。大阪の必死な声。
ともちゃんすきなひといてへんの?
好きな人、いるよ、あたし呟く声
思い出すとこわばる身体、指の先
冷える身体、冷める心、醒める心
思い出せば止まらない涙ぽろぽろ
なにしてるんだろうあたしばかだ
絡み合い溶け合いしていた二人は
今は組み合うだけの不恰好な姿勢
愛がないただ無様に愛だけがない
シャワーを浴びてすっきりした智は、もうパジャマに着替えている。さっき泣いたのが
嘘のようだ。散らかったものを部屋の隅に集めたり、している。
「おまたせえ」
春日が今部屋に戻ってきた。ほや〜っとした顔は緊張感が抜け落ちて、もうすっかりお
休み前。じゃあ、寝ようか。うん、そーしよ。ところでさあ、大阪。
「今日だけ、一緒のベットで寝ちゃ、ダメか? 」
大きな瞳がきょとんと見ている。拒まれるのではないかと智は少し恐れる。
なして? いや、なんか、人肌恋しいっていうかさ。ともちゃん、帰って。えーっ!
「うそうそ、あたしも、今日は人肌恋しいねん」
明かりを豆電球にしてから智は壁際に横になる。大阪がその懐にゆっくりと身を横たえ
る。智は、そおっと抱き寄せた。
「へんなことしないから」
「わかってる」
胸元に、大阪の鼻の頭を感じる。シャンプーの匂いがする。
「へんなこと、しないから」
「わかってる」
胸元から智の匂いがする。頬を押し付けると布越しに、乳首を感じる。
「へんなこと、しない、から」
「……かって、る」
二人の鼓動、とくんとくん。強く波打ちだす。
「あんな、ともちゃん、白百合の小道って知ってる? 」
「しらない」
唐突な質問に、智の気がまぎれた。抱きしめる腕の力は強くなったが、よみがえりそう
だった怪しい感覚は霧散する。
「あたしな、まえ行ってたクラブでは、ただのネコやと思われてたんやけどな、最近スカ
タチかなーとか思ったりするんよ」
マヤーのこと? ちゃうねん。いいながら、額を智の肩口に擦りつける。
「ともちゃんは、行く必要ないな。だって、なんやかんや言って素直やもん」
大阪。なに? 暗がりの中ひっそりとかわされる声。
「あたし、まだあんたの言ってることの真意が掴みきれてないんだけどさ。もし間違って
受け取られてたらどうする? 」
「間違ってたらって? 」
「例えば、さっきのことみたいに、女だけど男、とか、友達なのに恋人、とかさ」
「それは、表現者の問題やな。表現の仕方が下手だっただけや」
そうやって失敗してかんと、あかん。大切なのは人の話を聞くこと。でも言い訳はせん
ようにせんと。謝っても言い訳はいかん。モラトリならそんくらいの心決めなきゃあかん。
そうやって、一人で解決してくつもり?
「一人やない。友達もいるし、恋人もおる」
それ、あたしも入ってるの? 勿論。
それ、ちょっとずるいな。
ずるくないし、覚悟決めとる。
ずるいのはともちゃんや。下手したらあのまま二人朝までエッチしてたかもしれん。い
いじゃん、しても。大好きな人とエッチしてみい。もっと気持ちええよ。
したいからするエッチは、もうちょい余裕できんとだめや。……それに
「それに? 」
「……そんなこと、したら、か、ぅら、……ぃてまぅ」
ん? 覗き込む智、大阪は寝息を立てている。眠りの抜け殻、ふうと息をつく。よかったのやら悪かったのやら。
「そっかー、いいのか」
そのつやつやした髪を撫でながら智は思う。うとうとしながら智は想う。
「あたしも、おとなにならなくちゃなのだ」
眠る大阪をぎゅーして、智は目を閉じる。 口から洩れる決意の呟き、冗談めかして。
……みぃ、あたしのえっちの、とりこにしてやる。
囁きを聞いたように、大阪がぎゅっと抱きしめる、智も抱き返す。
どこかで、懲りない口付けの音。
微かに猫の、鳴く声がした。
黒まんがの人もそうだけど、質も量もどういうレベルだ、この人。すごい。
>>832-834 このセンスが得られるなら悪魔に魂を……無利子で貸してもいい。売るのはちょっと。
つーかマジ凄まじすぎ。同じ文士として、嫉妬を通り越して敗北感すらあるよ。
やはり大阪板の百合萌えスレのやつとつながってんだろうかな・・・
価値観の点で個人的には受け入れがたい部分を感じるにも関わらず、
文才には舌を巻かざるを得ない、というのは大したもので。
俺は敗北とは言わぬ。言いません。
しかし恐るべし、とはつくづく思わされる数少ない人の一人です。
すごすぎて上手く言えないけど
文字列から音楽が聞こえてきた。
まだ今は発展途上なのか、歌に例えれば音程を外している箇所が見受けられるが……将来はきっと(ry
このまま筆力を上げてゆき、さら初作のごとき電波を得たらと思うと戦慄する。
来るならば来てみろ……!
一体この量と質とスピードはなんですか。
なんだか百合萌えスレのときにちょこっと指摘したのが
愚かしいことに思えてきました。
しかし
>>839の言うとおりだとすると大阪は百合萌えスレのSSでも
男と交わっていなかったのですか……
あんな感想を述べたのが物凄く恥ずかしい……
くろまんが大王のもう一つの結末を考えてみたのでそのうち書かせて頂きます。
あと非エロで少しグロがあるのでエロが無いと駄目な人や、あずまんが大王のキ
ャラが酷い目に会うのがイヤな人は見ない方がいいと思います。
ちなみに私はこういう物を書くのは初めてなので面白く無いかもしれませんから
あまり期待はしないで下さい。
>こういう物を書くのは初めてなので
本当に?!
(バスッ)
大阪の鼻から上の部分がバラバラに吹き飛び、教室に赤い霧が充満した。
そして智の机の上に何か白く丸い物が落ちた。それが自分の親友の大阪の、否大阪
だった物の目玉だという事を理解したのは数秒たってからだった。智の心に悲しみ
と恐怖がわいたがそれ以上に怒りがわいた。すでに榊も神楽も目をつぶって動かない。
このままでは死は遠くない。嫌、おそらくすでに死んでいる。その顔はとても生き
ているようには思えない。そして男はちよの足に銃口を向けた。
男「いきなり頭はつまらないからな。まずは足からだ。」その時!!
智「やめろこの変態の殺人狂!」智は叫び、そして男に向かっていった。自分の
身可愛さより、自分の親友を3人も殺した男に対する怒りが勝った。自分と男
の距離は近いからショットガンを撃たれる前になんとかできる。そう思い智は男
に向かっていったが甘かった。男は素早くショットガンを振りかぶると智の頭を
殴った。智はその場にうつぶせで倒れる。男「動くと殺すと言っただろう。馬鹿女が。」
そう言って男が銃口を智の後頭部に突きつけた。
続く
(注意!! グロ・レイプ・スカトロ嫌いの人は読まないほうがいいかもしれません。また、神楽好きな人にも推奨しません)
「榊ってさ、どうしてそんなに猫が好きなんだ?」
問われて榊は神楽を見上げた。さっきまで、うずくまり、少し涙目になって猫に噛まれた手を押さえていた。
「――どういったらいいのかな……。かわいいのも勿論ある。だけど、生き物全てが好きなんだ」
少しはにかんだ様に微笑んだ。
「一生懸命生きてるものって素晴らしいと思う。無邪気で素直で、生きることに一生懸命で……。
猫のそういうところに魅かれるのかな」
榊は空を見上げながら、歌うようにいった。
「命ってそういうものだから。どんなときでも生きるっていうことは、とても素敵なことだから」
「ふーん」
神楽は少し潤んだような目でそんな榊を見つめていた。
「まっ、触ろうとするのはほどほどにしておきな! 生傷が絶えないぜ!」
バン、と榊の背中を叩く。「それじゃな」と分かれ道で駆け出した。
(あたしはお前のそういうところが好きなんだぜ、榊)
しばらく、歩いていた。桜並木が心地よい。やや、ごみごみした界隈を通り過ぎたときである。
ふと、何かの悲鳴を聞いた。
「――何だ?」
コンクリート塀の隙間の、裏路地に続く道。悲鳴らしきものはそっちから聞こえた。
「みい! みい〜!」
男が数人いた。耳・鼻にピアスをし、金髪・茶髪に髪を染め上げ、だらしなく伸ばしたり、立たせたりしている。
男たちの中心に子猫がいた。靴底に踏みつけられた子猫が。
「サッカーしようぜ、サッカー!」
「お、いいねそれ」
「その前に、逃げないよう足へし折っておこうぜ」
「ヤニの火で目を潰すってのはどうだ」
みぎゃあ、と再び悲鳴が上がった。
「やめろ! お前ら!」
神楽は大声で怒鳴りつけていた。男たちが一斉に振り返る。
「あぁ? なんだてめえコラ」
「おう、俺たちになんぞ用かや」
神楽は、一瞬、後悔した。男たちはどうみてもまともな人間じゃない。
タチの悪いチーマーの類だった。だが、勇気を奮い起こす。
「そんなちっちゃな猫虐めるなんて最低だぞ。すぐに離してやれよ!」
神楽は榊の言葉を思い出していた。
「そいつは生きてるんだ。生きてるんだぞ。一生懸命息生きている命は、
おもちゃになんかしていいものじゃない!」
男たちはしばし互いに顔を見合わせ、やがて大声で笑い始めた。
「ひゃはははは、聞いたか、オイ!」
「かっこいいね〜、ねえちゃん」
「マジうける〜」
ひとしきりにゲラゲラ笑うと、そのうちの一人、大柄なのが近づいてくる。
「へへ。なんだお前、けっこういい体してるじゃねえか。
どこの学校だ? そんなことよか、ちょっくらそこまで付き合えよ」
一人が神楽の体に手を伸ばした。神楽は反射的に男の頬をはたいていた。
男たちが凍りつく。ぶたれた男の顔が烈しく歪んだ。
「てめえっ ざけやがって!」
男が拳を振り上げる。相手が女だということを忘れたのか、そもそも女だからといって容赦するつもりは無いのか、
腰をため、渾身の力を込めて拳を振りぬいた。あたっていれば女性の繊細な顔など潰されていただろう。
しかし、神楽はそれを軽いフットワークでかわすと、男の側面にまわりこんだ。男の拳は虚しく風をきり、虚空に舞う。
勢いで前のめりにつんのめり、ゴミ溜めに頭から突っ込んだ。運悪く、足元に段差があったのだ。
「…………」
男は、しばし頭をゴミ溜めに突っ込んで、逆さに突っ立てられていた。
智がいれば「聖剣エクスかリバーだ! ぎゃはははっ!」などと腹を抱えて大笑いしていたことだろう。
他の男たちもしばし呆然として見ていた。だが、やがて我に戻る。
「この……糞アマがぁ!」
「ぶち殺すぞクラァ!」
逆上して神楽に向かってかかってきた。神楽はビクッ、と身構えた。と、そこへ――
「おい! お前らなにをしている!」
振り向けば、自転車に乗った制服警官が遠くから、こちらへ駆けつけてきている
「やべえ、チャリだ」
「ずらかろう」
口々に叫ぶ。
「……ただじゃ済まさねえぞ」
ゴミ男がそう言い捨てた。男たちは一目散に逃げ出した。
「……ふう。助かった」
神楽は安堵に胸を撫で下ろした。内心、恐怖でいっぱいだった。
だけど、口と体が先に動いてしまったからし方がない。
みい、と足元に例の子猫がじゃれついてきた。神楽は子猫を抱え上げた。
「良かったな、お前。もうあんな奴らにつかまっちゃダメだぞ。――あはは、くすぐったいって」
子猫は神楽に頬擦りした。晴れた、風の気持ちいい日だった。
――それが、神楽にとっての地獄の始まりだった。
「榊〜、今日も一緒に帰ろうぜ!」
「ごめん、今日は用事があって、一緒に帰れないんだ」
榊は本当にすまなそうという顔をする。
「そっか、残念だな……。ま、いいや。またな!」
神楽はかばんを片手に元気良く教室を飛び出した。
(今日は部活ないし、どうしようかな。デパートの自転車売り場でマウンテンバイクでも見てこようか)
校門からでてしばらく歩いたときだった。いきなり後ろからエンジン音が轟いた。
普通に、道路を走っていたものではない。隅に隠して停めてあった状態から急発進させたものだ。よける暇もなかった。
「ぐふっ!」
神楽の体は2、3メートルは吹っ飛ばされた。何度か地面を転がしながら
バウンドして、そのまま動かなくなる。黒塗りのバンから、男が何人か降りてきた。
どれだけ気を失っていただろう――
朦朧とした意識に衝撃と激痛のひびが入った。
痛みと顔を打ちすえる振動が神楽の意識を暗闇からうつつに引き戻した。
「ううっ……」
「オラ! 起きろ!」
男がさらに数発、神楽の顔をぶつ。
「痛い! やァ……」
男たちが神楽の服をひき裂きにかかる。事情が分からず、混乱した頭の神楽は必死に暴れた。
すると、男たちは、今度は握りこぶしで神楽の顔を殴りはじめた。
「があっ! ぐっ! ぐぎゃ!」
「大人くしろやオラ!」
「おい、顔はよせよ。萎えるだろ」
「少々かまわねえよ」
「ひぐぅ!」
苦痛と恐怖に耐えかねて、神楽はわけも分からず身動きをやめた。
血の臭いがする。神楽は鼻血を流していた。背中からも鈍痛がする。激痛で目頭が熱くなった。
「ううっ……」
やがて、視界が涙にぼやけてながらも、苦痛の中、ようやく幾分か周りの状況が分かってきた。
神楽は荒縄で拘束され、男たちに囲まれていた。体をきつく縛られ、両手は後ろ手に、足はひざを曲げ、
股を開くような格好で胴体に固定されている。そんな格好で床にころがされた自分を、五人の男たちが見下ろしていた。
――あのときのチーマー連中だった。
「よお。あのときは随分ナメたマネしてくれたよな」
大柄の、眉毛の無い男がいう。神楽に転ばされたゴミ男である。
シンナー臭い息が神楽の顔にかかった。
「俺をコケにして無事で済むとは思っちゃねえだろ?」
男の口の端が歪められた。
神楽は自分のおかれている立場を理解した。みるみる顔が青ざめていく。
「いや、いや……助けて……!」
へへへっ、と男たちは下卑た笑みを浮かべた。神楽は、普段の溌剌とした勇気のかけらも無く、
一人の、少女になって怯えていた。そんなしおらしげな様子に男たちの情欲と加虐心が掻き立てられる。
「それじゃ、犯っちまおうぜ」
「や、やめて! やめてぇっ……!」
神楽は首を振り振り泣き声を漏らすが、神楽は殴られるのが怖くて暴れることは出来なかった。
男たちの腕が前に突き出たような胸のふくらみを剥き出しにし、スカートをめくって、下着をナイフで切り開いた。
神楽の、やや大きめの乳輪や、肉の花びらが剥き出しにされ、男たちの視線にさらされた。
「いやだああぁぁ! やああぁぁっ! 見ないでぇ!」
神楽は、いつもの男っぽい口調は消えうせ、涙声の、哀願するような弱弱しいものに変わっていく。
だが、無論、だからといって、男たちが手を緩めるはずも無い。
男の一人が指を二本まとめて挿入した。
「あふう!」
乾いた秘所を男のガサガサした指が無理やりねじ入った。
特に抵抗はなく、奥まで貫き通される。
「おい、こいつ経験済みたいだぜ」
「いかにもヤリマンって感じだもんな」
神楽は屈辱に唇を噛み絞めた。小麦色の肌のため遊んでいる女のように見られることは
よくあった。初体験も中学のときに済ませてはいる。だけど、そんな外見と体だけで淫らな女に
思われるのが悔しかった。
「ううっ、ぐうっ……」
男の指が膣内を掻き回す。敏感な膣内をいじられ、強い刺激に体をねじらせるが、
男たちは五人がかりでしっかりと神楽の体を固定して離さない。
「こんなヤリマンにはいきなり生チ○ポ使ってやる必要ねえよ。
こんなもんを使ってやろうぜ」
男の一人が道具を手にとった。アダルトビデオなどでよくみる、ペニス型をしたバイブレーターである。
男は指を引き抜くと、やや狭い膣内の抵抗を受けながらも、ねじ込むように神楽のマ○コにバイブを差し込んだ。
「あっ! はあっ」
バイブが栓をするように根元まで差し込まていく……。
「オラ、咥えろ」
「ぐぶぅっ!」
今度は別の男が、チ○ポを無理やり神楽の口に押し込んだ。
神楽の赤い肉厚の唇にこすられながら、男のチ○ポは喉の奥までねじ込まれていった。
別の男はあいている神楽の手のひらに自分のペニスを握らせる。
「ぐぶっ! ううっ!」
そのままの状態で、男たちはしばらくバイブの挿入運動と強制フェラ・手コキをしていた。
神楽の体が間断的に軽く痙攣しはじめ、バイブのスイッチが入れられた。
「ぐぶうっ! うぶうっ!」
膣内に振動が走り、神楽がビクンと体を痙攣させて反応をはじめる。
次第に、意思に反して、声に甘い響きがまじってくる。
「どうした 感じてるのか?」
男に一人が揶揄するようにいうと、下卑た笑い声が挙がった。
神楽は涙を流し、快楽に耐えるため必死に全身に力を入れ、力もうとするが、まるで体に力が入らない。
ただ、チ○ポで閉じられた唇に、たまにできた隙間から、湿り、潤んだ喘ぎが漏れるのみだった。
バイブの挿入運動が行われるたびに、バイブレーターから枝分かれしたはさみ状の突起が神楽のクリトリスを
はさみ上げるようにこする。
そのたびに神楽のビラビラはひくひくと痙攣し、ヴァギナの奥から湧いてくる熱い液を垂れ流しにした。
いつの間にか、体をゆすってしていたささやかな抵抗も、やんでしまっていた。
「おい、こいつ濃い汁出し始めたぜ」
「オラ、もっとしっかりしゃぶれよ」
「うぶっ! うぶうっ!」
男のチ○ポを口いっぱいつめられた神楽は、はじめその臭気で気が変になりそうだった。
だが、心は拒絶しているのに、神楽の体は、その強烈なオスの臭いに欲情し始めた。
“おんな”の部分をいじくりまわされ、複数の指に、道具に、こねくりまわされ、
どうしようもなく躰がうずき始めていた。神楽の“おんな”はどうしようもなく“オス”を欲しがっていた。
「そろそろ、モノホンを入れてやるか」
神楽の女性をなぶっていた男は、バイブを引き抜くと、既に怒張し反り返った己の剛直をつきこんだ。
「はあっ!」
神楽の体が跳ね上がり、その拍子にしゃぶらされていた別の男のチ○ポが抜ける。
「今度はこっちをしゃぶれよ」
「ぐぶっ!」
すかさず別の男が神楽の口を塞ぎ、挿入した男は猛烈にピストン運動をはじめ、
神楽の内奥めがけて激しく腰を突きこむ。
「こいつ、自分から舌を絡めてきやがったぜ」
「オラ、もっと手でしごけよ」
「うぶうっ! うぐう!」
神楽は体中に肉棒を突き刺され、悶絶していた。何本もの肉棒が彼女の体に押し付けられ、
何本もの指が神楽の体をまさぐり、つまみ、握り、こすりあげた。心とは裏腹に、神楽の肉体は悦び、
男たちを受け入れた。いや、心までも男たちを受け入れた。快楽に侵食されて。いつの間にか、
もっと犯されることを望んでいた。そうして、一歩一歩、昇りつめていった――――。
「うおおっ、いくぞ、いく、いくっ!」
男が腰を猛然と前後にゆすり、絶叫を上げた。一方、フェラチオをさせていた男も、同じく絶頂を迎える。
咥えさせられたチンポを、いまや、神楽は自分の意思で舌を絡めていた。二人の剛直は同時に弾けた。
「ぶぐっ! うぶうっ!」
神楽の膣内に、口に、大量のザーメンが流し込まれた。女陰がザーメンとマ○コ汁が混じったものでいっぱいになり、
口の中を生臭い液体が満たしていく。それと同時に。神楽も何人もの男に責められる悦びの中、絶頂を迎えた。
ビクン、ビクンと激しく痙攣し、跳ね、そして弛緩した。神楽は絶頂のかなた、理性も意志も吹き飛んでしまっていた。
力がぬけた口は拒絶しようともせずにそのまま、注ぎ込まれたザーメンを飲み干し、チ○ポが抜かれた後の口は
閉じられずに半開きのままだった。そこから唇とチ○ポの間にはザーメンと唾液の糸が引いた。
「はあっ、結構よかったぜぇ! こいつのマ○こ!」
「フェラもよかったぜ!」
「次は俺に代わってくれ!」
「オレ、パイズリしようっと」
すぐに他の男が、虚脱した肉体にむしゃぶりつく。神楽の膣内は精子を中だしをされていたが、
しかし、それにかまうこともない。中出しをした男がリーダー格だったため文句を言えないのもあるが、
みな見境なく欲情していたのもある。
「ひぐうっ!」
立て続けに挿入され、神楽の体が再び痙攣した。イッた直後の敏感なクリトリスが刺激され、
体が激しく跳ねる。ようやく栓をぬかれた口からは喘ぎが漏れるが、すぐに別の男根にふさがれた。
こうして、陵辱はやむことなく続けられた。
「ひぐぅ! またイクぅ! またイクぅ!」
神楽は絶叫していた。自ら求めて。
「もっと、もっとぉ!!」
輪姦は終わりがないかのごとく続いた。神楽は一匹のメスに成り下がっていた。
クライマックスを迎えていたのだ。やがて、迎える死を前にした――
男たちは神楽を陵辱した後も、解放するつもりはなかった。その時点では、
明確に犯行の意思があったわけではなかった。後にそれは裁判の焦点となる。
男たちは神楽を拘束したまま、帰っていった。神楽が犯され、身動きできないように縛られて放置されたのはプレハブ小屋である。
五人のうち一人の親が所有しているものだった。いつも溜まり場にされていたその場所は、もともと人気のないところにあり、
その手の少年が大勢集まったところで、また、少々の悲鳴があがったところで、怪しまれることはなかった。
男たちは翌日から同じチームをはじめとする連中を呼び込んだ。噂はチーマー仲間たちの間にたちまち広まり、
何十人もの人間がプレハブ小屋に詰め込んだ。――神楽を犯すために。
「あひぃ! ひい!」
歓喜のなか、神楽の精神は確実に蝕まれ、壊されていった。
何百回と犯されたヴァギナは擦り切れて、ほとんど感覚がなくなっていった。
肉体が摩滅し、損壊していくに並行して、今度は苦痛が精神にひびを入れるようになった。
日常的なレイプは刺激を欲する男たちによって、ただの強姦とは異なる種のものへ変貌し、エスカレートしていった。
……監禁され、レイプされ続けている間、神楽にはザーメン以外にろくな食事などは与えられなかった。
水をわずかばかり飲ませるくらいであった。その代わりに、面白半分のは暴力は恒常的に加えられた。
神楽の顔は見る影もなく腫れ上がっていった。
「……食べ……もの……食……べ……も……の……」
「うっせーんだよ、メス豚が!」
男が神楽の腹に蹴りを入れた。何度も、何度も、狂ったように。
拘束されてはいなかったが、もう、立ち上がる気力も体力もない神楽は、
腹を蹴られると横になったまま痙攣し、内容物のない吐瀉を続けていた。
顔だけでなく、体中が青黒く腫れ、ひどい内出血を起こしていた。
最近では痙攣も弱弱しくなってきた。監禁七日目のことである。
「そんなに喰いてえんなら、これでも喰えや」
男は、裸ではいつくばる神楽の前に紙皿を差し出した。
――紙皿には排泄物が載っていた。この男が出したばかりの黒々とした糞が。
「ヒャハハハハ、それ最高!」
男たちはバカ笑いを続けた。だが、笑い声はすぐに止んだ。
――神楽は本当に食べたのだ。男たちの糞を。
神楽は皿に盛られた排泄物に顔を埋め、むしゃぶりつくように喰らいついていた。一心不乱に貪っていた。
腫れ上がり、神楽とはとても見分けがつかなくなった顔から、そのつぶれかけた目から、
止め処もなく涙が溢れていた。体に残されたわずかな水分を搾り出すように……。
一瞬の間をおいて、派手な哄笑が響き渡った。これまでで最高の大爆笑である。
「こ、こいつ、マジで喰いやがったぜ、マジでうんこ喰ってやがるぜ! マジキモーっ!」
「ギャハハハハ! ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ! い、いや、よく言うじゃん、ほらあれ、究極の選択。
うんこ味のカレーパンか、カレー味のうんこパンか、どっちかってやつ!」
「アンパンマンがうんこ喰ってるってか! もうサイコー」
「ヒィ――ッ! ヒィ――ッ!」
その「アンパンマン」は男たちの言葉を聞いてはいなかった。
いや、もう聞くことが出来なかった。ただ、思い出していた。あの人の言葉を――
潰された顔の奥で、ただ、あの人だけを想っていた。鈍くなる皮膚感覚の上を走る涙をぼんやりと感じながら、
ただ、あの人だけを想っていた。それだけが、楔となって彼女の命をつなぎとめていた。
「命ってそういうものだから。どんなときでも生きるっていうことは、とても素敵なことだから」
哄笑が続く中、突然、ノックがした。男たちの間に弛んだ緊張感が広がる。
ヘラヘラと、扉に向かった。――だが、直ぐに恐懼することになった。
「ほーい、誰だ?」
「警察だ」
「!!」
男たちは凍りついた。全員頭が真っ白になり、立ちつくす。
ドンドンと戸が叩かれ、「早く開けろ」と怒鳴り声がする。
慌てて神楽の体を物陰に隠した。それが精一杯だった。
制服警官がプレハブの入り口に立っていた。
「ど、どうしたんすか、おまわりさん」
「この辺でチーマー風の若者が騒いでるという通報が入った。
お前らシンナーでも吸ってるんじゃないだろうな」
「とんでもない! そんなもの吸ってないっすよ。なぁ」
他の男たちが相槌を打つ。平静を装ったその顔の裏には凍りつきそうな冷や汗が流れていた。
「ちょっと、中をみさせてもらうぞ」
警官が中に踏み込む。乱雑な部屋に顔をしかめながら見渡す。
神楽が隠されている机の後ろからは、警官の顔がはっきりと確認できた。
腫れ上がり、盛り上がった窪みに、小さな裂け目が開いているだけとなった神楽の目にも、
その警官の顔がはっきり見えた。押さえられ、口を塞がれた神楽に自分の存在を知らせる術はない。
しかし、狭い部屋内の全てを警官が点検するのは時間の問題だった。
警官が、体を曲げ、神楽のいる物陰を覗こうとする。男たちが息を呑んだ。そのとき――
「みぃみぃ」
警官は振り向いた。子猫が入り口の近くにいた。――神楽が助けたあの子猫が。
乱雑な部屋にうんざりしていた警官は、そのまま、そこを調べずに立ち上がった。
そうして部屋を出て、立ち去っていった……。
神楽の心はこのときに死んだ。
――監禁より二週間後、ほとんど口を開くこともなくなった神楽は、急にひどく水を欲しがった。
仕方なく男たちが飲ますと、やがて神楽は眠るように息を引き取った。
もっとも、その死に顔は安らかなものとは程遠く、腫れ上がり、生きながら爛れ、蝿が群がっていたその顔は、
生前の彼女を知っているものなら、だれもがそれが彼女だとは信じられないほど酷い有様だったが。
男たちは殺害した神楽の遺体を自宅の焼却炉で何度も繰り返し焼却し、証拠隠滅を図った。
しかし、元々、杜撰極まりない犯行であった。何より、一回きり彼女を強姦した者まで含めると、
実に二百人を越える人間が事件に関与していた。隠しおおせる訳がなかった。
犯人の少年グループはほどなく逮捕された。少女失踪事件発生から一ヵ月後のことである。
……やがて少年達の審判が始まった。拉致段階での殺意の有無が取りざたにされ、
事件の残虐性にも関わらず、少年法の適用により量刑は驚くほど軽かった。
主犯格の無職少年は二年十ヶ月、他の少年らは一年六ヶ月の懲役でそれぞれ少年院を出所した。
事件は少年法の分厚いヴェールに阻まれ、マスコミの俎上に載せられることもほとんどなかった。
地元の消息筋によれば、犯人グループの少年たちは今も反省の色がまったくみられず、笑い話の種にすらしているという。
ちなみに、「被害者少女A」の同級生で友人だった少女が事件を苦にして自殺したと報ぜられたのはその一週間後のことである。
俺がキツかったぐらいだから他の人は相当キツいだろうなあ
先にこのレス読んだ人、前作がダメだったなら絶対読まない方がいいよ
軽く5倍はエグいな
エロ部分はなかなかでした、とは言っておきます>作者氏
助けた猫にも裏切られ……か。もとより畜生に恩返しなんて感情あるわけないけどな。
もはやエロじゃないな…
アレだ、女子高生コンクリ詰事件に似てる。
ある意味あれだ、2chの真髄をここに見た!って感じだな。
それくらい結構エグイとこ突いてると思う。<いいとか悪いとかじゃなく
まあ…、勉強になりましたってとこかな。
なぜこのスレなんだ?
>>874 ごめん、勘違い。なかったことにして。
なぜかブラウザに表示されたスレ名を
隣のを見てしまった。
ここもそろそろ引越しか?
男が引き金を引こうとした瞬間後ろから何かが男のクビをしめた。
「うぐぐっがあああ」男はなんとか手を引きはがそうとしたが、凄い力で引き剥せない。
男はショットガンを後ろに向け引き金を引いた。(バスッ)
後ろにいた人物は脇腹に大きな穴を開けて吹っ飛んだ。
しかしその人物は何事も無かったかのように立ち上がった。
男「なっ・・・馬鹿な」
そこには首から上が無くなり脇腹が一部吹っ飛んだ大山だった。
そして彼は男に両手を地面と水平に上げながら向かっていった。
男「くっ来るな化け物!!」
ショットガンの引き金を引くが、ただ金属音が鳴るだけだった。弾切れである。
その時男の足を何かがつかんだ。男が下を見ると下半身が完全に千切れ上半身だけの神楽がいた。
神楽は手の力だけで男の体を登っていく。
男が神楽を降ろそうとして神楽の顔を押さえると男の親指が神楽の口に入った。
ソレを神楽は食いちぎった。
(ブチッ)
男「ぎっぎぃゃがああああぁぁぁぁ」
親指は根本から無くなり押さえた左手から水道のように血が流れた。
神楽「許さない・・・」