1 :
名無しさん@ピンキー:
801とか禁止な。
紂王×だっきとか、武王×邑きょうとか……そんなん。
誰か見せて
あー、なんか昔どっかの封神スレにあった
十二仙の嫁とかやって見て欲しいかも。
この場合は女オリキャラでもいーや。
いい忘れてたけど、このスレ藤崎版ね。
……なんかえらそうやな。
お願いします。誰か書いてください。
男ばっかの漫画やん。
女体化アリ? ホイッスルのスレみたく。
5 :
名無しさん@ピンキー:03/05/21 01:23 ID:fyTI4Uss
この漫画人気ないの?
6 :
名無しさん@ピンキー:03/05/21 14:40 ID:5JF+P301
封神か……なつかし。
でも男女の比率が限りなく悪くないか>1よ。
比率は悪いが女はそれなりにいることはいる。
ダッキ・王貴人・キビ・高蘭英・金光聖母
竜吉公主・碧雲・赤雲・蝉玉
女キャラは皆結構エロイ服着てたが藤崎の絵だといまいち色気がない罠。
どうでもいいが最終巻の太公望がいまいち男に見えない…
あ、
>>7の太公望は「最終巻の表紙の太公望」な
どうでもいいが漏れのID:cz6Izc6I惜しい。
もう少しでcz6Iの反復だったのに。
9 :
山崎 渉:03/05/22 02:18 ID:xrMBzNXC
━―━―━―━―━―━―━―━―━[JR山崎駅(^^)]━―━―━―━―━―━―━―━―━―
10 :
名無しさん@ピンキー:03/05/22 02:56 ID:t200V4BE
恋愛要素低かったよな、この漫画。
蝉玉と土行孫くらいだろうか。しかし恋愛ではない。
藤崎そういうの入れたくなかったんだろうか。
原作では竜吉とヨウゼンのエチーシーンとかあったのに。
11 :
名無しさん@ピンキー:03/05/22 13:25 ID:0CVKK1Lg
職人来ないかなァ
12 :
KINO:03/05/22 13:44 ID:3lHheSh1
女体化ではなく、太公望を女性という設定でいいなら
コミックスにそって細かくはないですが、
書きたいとは思うのですがよろしいでしょうか?
望ちゃんがいるじゃないかー。
14 :
名無しさん@ピンキー:03/05/22 13:58 ID:VTbheI8x
どぞどぞ>12
だらだらと書かせていただいてもいいでしょうか?
予定としてはいろんなキャラに太公望が絡まれていくんで…
エロまでながかったり色々ありますがお付き合いしてくださいませ。
異説封神演技
〜〜朝歌異聞〜〜
「御主人〜、ご主人はどうして仙人になったんすか?」
霊獣四不象。太公望の忠実な配下である。
「ん〜〜〜、そのうち話すよ」
風に吹かれ、黒髪が揺れる。
年のころは16,7であろうか。
太公望と呼ばれる少女は目を細めて天を仰ぐ。
「それよりもスープー、朝歌はまだ?」
「もう少しっすよ、御主人」
導師服に身を包み、手には宝貝、打神鞭。
一見すれば少女と少年の狭間に思える。
「まぁ、わしと二人の長旅になろうが、よろしく頼むぞ、スープー」
「御主人、そのわしってのはなんとかならいっすか?」
「すまんな、こればかりは……」
静かに微笑む顔はまだあどけない。史実を背負うにはまだ幼すぎる。
「殷の皇后は傾国の美女らしいし…まったく世の中の男は女に弱いのう」
くすくすと笑いながら太公望は四不象の頭を撫でた。
ー傾国の美女ー
殷の皇后を表すにふさわしい言葉。
四不象はちらりと自分の上に横座りする主人を見やる。
傾国までは行かなくても悪くはないはず。
その黒髪と濃紺の瞳。
形のよい唇は無意識に男を誘う。
ただ、本人にその自覚がないだけで。
「殷の王様は女好きっすからね〜。ご主人も気をつけないと」
「山育ちのサルにほれる男もそうは居るまいて」
いくつもの集落を飛び越えて、二人は朝歌を目指す。
王都朝歌では一人の導師がくつろいでいる。
名は申公豹。三大仙人のと同格の力を持ちながら導師に甘んじている男である。
「申公豹、面白いものが見えるよ」
「私は少しばかり面白いものは見飽きてるのですよ、黒点虎」
「崑崙からの導師だよ」
「放っておいても害はありませんよ」
「可愛い子だよ」
申公豹の手の動きが止まる。
「それならば話は別です。さぁ、行きますよ、黒点虎」
やれやれと刻点虎はため息をつき主人を乗せ宙を飛ぶ。
殷王の李氏までは行かないが、この男も興味のあるものには貪欲だ。
「本当にその導師の容姿は麗しいのですね?」
「僕の目から見ればね」
「なんだか、怪しくなってきましたね」
黒点虎は主人の声は聞かずに太公望を目指して進む。
「あ、見えてきたよ」
前に回りこみ、申公豹は始めて太公望と対面する。
「し…申公豹様!?」
驚いたは四不象。
「はじめまして、あなたが太公望ですね」
「スープー、こやつは?」
「三大仙人よりも強いといわれる最強の導師の申公豹様っすよ」
太公望はきょとんとしている。言われてもピンとこないなりをした男。
まるで西の国の異聞でみた道化師のだからだ。
「封神の書に、私の名前はあるのではないのですか?」
そういわれ紐を解く。
その動作の一つ一つに申公豹は目を細めた。
「確かに」
まっすぐに少女は申公豹を見つめ返す。
「ならば…私と勝負しますか?太公望」
「………無益な殺生は好かぬ。皇后を討てば良いだけの話であろう」
太公望は知っている。
この男が自分よりも強いことを。
本能が警告を発するのだ。
「こうしませんか?もしあなたが勝ったならばあなたの配下に下りましょう」
「いや、わしは勝負はせぬ」
「どのみちあなたは私と対峙するのですよ」
「………」
「私が勝ったならば、あなたの時間を少しだけもらう。どうですか?」
言葉の意味を理解しかねる顔。
申公豹は口元だけで笑った。
「時間……?」
「そう、あなたの使う時間を少し私にください。決してあなたの命を脅かすことはしません」
静かに太公望は打神鞭を申公豹に向ける。
「その言葉、忘れるでないぞ」
同じように申公豹も雷公鞭を構える。
「行きますよ、太公望」
雷公鞭の放った光は殷の全土を多い、多くの導師たちを震撼させた。
無論、皇后をも。
そして、太公望も。
「スープー、大丈夫か?」
とっさに風の防護壁で雷の直撃は免れたものの、太公望の体力は限界に近かった。
「大丈夫っすよ、御主人」
煙幕の中、お互いの声だけが生存の証。
「きゃ!?」
ぐいっと手首を掴まれ、振り返る。
「約束どおり、あなたの時間をいただきますよ」
申公豹が微笑む。
「……どうする気じゃ」
「四不象、明日の夕刻、ここにきなさい。そうすれば太公望は返してあげます」
「ご、御主人に何する気っすか!?」
「あなたは知る必要はありませんよ。でわ」
申公豹はそのまま太公望を抱き寄せ、黒点虎を走らせる。
己の住まう洞穴に。
「何をする気だ!?」
「あなたの時間をもらったのは私です。あなたにどうこう言う権利はありません」
館の扉を開けるのももどかしいのか、申公豹は乱暴に蹴り上げる。
太公望を抱き上げたまま、寝室に足早に向かう。
褥に静かに落とし、覆い被さってくるのを見て漸く太公望は何をされるのかに気づいた。
「止めんか、この様なこと」
「私はあなたに興味があるのですよ」
「仙人、導師の間に子を孕む事は無に等しい。意味を成さぬ」
続けようとした太公望の唇を自分のそれで塞ぐ。
息が詰まるほどに長く長く。
離れるのを惜しむかのようにつっと糸を引く。
申公豹の手はその間も導師服を脱がしていく。
一枚一枚落とす毎に太公望の体の線が浮き上がってくる。
「やめ…」
未成熟な身体。品定めをするように唇を落とす。
押しのけようとする手を押さえつけ、太公望の体に纏わりつく全ての布を剥ぎ取っていく。
そして、同じように申公豹もその体を太公望の前に晒した。
「生まれて5000年たちますが、私をここまで誘った人は久しぶりですよ…太公望」
申公豹は優しく笑む。
だが、それですら今の太公望には脅威となるのだ。
幼い胸に顔を埋め、甘く噛み跡を付けていく。
「…ぅ…ぁ…」
羞恥に顔を覆う手をそっと外す。
その指を一本一本銜える。
「…子をなさぬ行為など…意味があるのか…?」
「その意味をあなたに教えてあげますよ…」
指先が秘裂の上をなぞる。
押し殺した声と荒い息だけが部屋に響いていく。
静かに内壁に沈ませると、太公望の体が強張った。
「…あなた…初めてなのですね…」
幼くして仙人に入門した太公望は色恋には遠い生活をしてきた。
時折抜け出して垣間見た下界で、知識としては得ていが、経験はまったくなかった。
「光栄ですよ、あなたの最初の男になれることが…」
脚を割り、入り込む。
力なく太公望はその体を押し返そうとする。それが無駄だとわかっていても。
「太公望…あなたが暴れたりしなければそんなに酷くはありませんから…」
感触を確かめるように、ゆっくりとした浸入。
熱さとその狭さに申公豹は唇だけで笑う。
「っ……!…」
唇を噛んで声を殺す。
「…太公望…」
耳朶を噛まれ殺していた声が放たれる
「…んぅ…っ…!…」
「ここがあなたの弱点ですね…」
一度崩れれば、あとは同じだった。
そのまま、一気に奥まで突き上げる。
「〜〜〜〜〜〜!!」
咄嗟に口を手で覆う。
「太公望…」
目尻からあふれる涙。それが今の太公望の気持ちだった。
痛みと衝撃。
「苦しいのなら、私に掴まりなさい…こうやって…」
その手を自分の背に回させる。
太公望にとっては初めて感じる他人の感触と体温。
体を隙間無く合わせて、申公豹は何度と無く太公望の体を突き上げていく。
「あっ…ああ…ふ……」
上気した顔。縋る様に太公望は申公豹に抱きつく。
「や…あぁ…!!…」
おそらく、生まれて初めて漏らす嬌声。
お互いが貪欲に感触を味わおうと体は動く。
それは忘れたはずの人間の本能。
一対の雄と雌ということ。
「あ…ああああああ…!!」
申公豹の奔流を胎で受け止め、太公望は意識を沈めた。
「…ん……」
「気がつきましたか?」
男の腕の中、だるそうに目を開ける。
「………」
「何か言ってくださいよ、太公望」
ふいと背を向ける。
「太公望」
「…呂望」
「?」
「太公望と名乗る前のわしの名前じゃ…」
ようやく夜の帳が下り、あたりに虫の声が響く。
「…呂望というのですか?」
「そうじゃ…昔に捨てた名前だがのう…」
離れていれば肌寒ささえ感じる。ほんの少し前までの熱さは消えていた。
「時間は…?」
「太公望、明日の夕刻までは返しませんよ。四不象にも言ってあります」
唇を重ねて再び体を重ねる。
それは遅すぎる朝が来ても終わることは無かった。
西に日が傾くころ、四不象は約束の場所で待っていた。
正確にはどこにも動くことができず、ずっとこの場所にいどまっていたのだ。
「スープー」
「御主人!無事だったんすね!」
佇まいも導衣も離れる前と寸分かわらない。
「太公望」
「………」
「あなたが強くなって私を討つ日を待っていますよ」
引き寄せて軽く唇を合わせる。
「…呂望、また、会いましょう」
それは耳元で囁く低い声。
「申公豹様!?」
「行きますよ、黒点虎」
向かい風をものともせず、申公豹は何も無かったかのように消えて行った。
「御主人…」
「スープー、それ以上言うと打伸鞭で打つぞ」
四不象もそれ以上は聞かなかった。
太公望がすべての封神を終えるのはこれよりも十数年も先のこととなる。
とりあえず、朝歌異聞で書かせていただきました。
封神は相手を選ぶには不自由しないので
この後の呂望ちゃんはひじょーに苦労するわけですが…
李氏チュウ王(字がでませんなぁ)やら武成王やら、ヨウゼンやら…
そして常に狙ってくる申公豹(w
だらだらと投下させていただきますので生暖かく見守ってください
一応、朝歌制圧のところまでは考えてるんで
ゆっくりと投下させてくださいね。
27 :
名無しさん@ピンキー:03/05/22 22:33 ID:hbLOGw73
KINOさんサイコーーー!!次回作にも超期待!ちなみにウチは黄天化らぶ!
>27さん、どうも〜。
コミックスにそって書いていくと思うんで
天化、飛虎、ヨウゼンの3人の太公望の取り合いとか、
姫昌(若いころ)を思いながら発と絡む太公望とか、
ゆっくりと書いていきますんで
多少の誤字脱字、
変換不能な文字などは生暖かい目で見守ってやってください
29 :
名無しさん@ピンキー:03/05/22 23:11 ID:hbLOGw73
次回作を期待しつつ、封神演戯を読み返している次第です・・・・改めて読むと、女性がマジ少ない。しかもまともな人が少ない。 イイ女とは縁遠い漫画だと改めて実感しました(泣)
30 :
名無しさん@ピンキー:03/05/22 23:16 ID:xfMSEoVL
31 :
名無しさん@ピンキー:03/05/22 23:18 ID:hbLOGw73
武吉×太公望もありですよね〜。しかし、太公望は男との絡みはいくらでも出てきそうですね。まわり男ばっか・・・竜吉とか雲ショウ三姉妹(女?)とかいるけど・・・
32 :
名無しさん@ピンキー:03/05/22 23:54 ID:1IZKi1tI
業者がくるのでSAGE進行にしませんか?
下がりすぎたら救出AGEの方向で…
どうでしょうか?
現在第二話をかいてます。
道は長い…
異説封神演技
〜〜宮中孤軍〜〜
皇后の妹を人質に太公望は朝歌に降りる。
はじめてみるその凄惨な有様は思わず目を覆うほど。
石琵琶の貴人を抱え王宮の扉の前に。
「何用だ、子供」「いえ、皇后様に謁見を」
押し問答を聞きつけたわけでもなく、静かに扉は開く。
「あなたが太公望?」
「皇后……」
目の前にいるのは自分の家族を奪った女。
そして、自分が倒すべき女。
皇后が一歩進むたびに兵士たちはみな傅く。
「はじめして、太公望」
太公望はそっと膝を突く。
「こちらこそ、皇后陛下」
「李氏さまに会いたいのでしょう?わらわに付いてくるといいわ」
申公豹に聞いていたよりもずっと幼い容姿。
しかしながら、自分の忠実な配下とそしてーーーーーー
妹を討ち取った導師。
油断はならない。同じ策士。
静かに背後を歩く少女に皇后は策を巡らせた。
「李氏様、太公望という導師が来ておりますわ」
殷王李氏はそう言われ、太公望のほうを見る。
「ほぅ…これは…」
皇后までは行かないが後宮の女たちよりもずっと整った顔立ち。
知性と同居するあどけなさに李氏は目を奪われた。
「太公望というのか?」
「はい、李氏様」
「望みはなんだ?」
「ここに珍しい石琵琶が御座います。なんでも妖怪が宿っているようなのです」
太公望は流々と石琵琶の話をする。
その声と話の面白さに李氏は吸い込まれていく。
「わたくしを李氏様の下で働かせていただきたいのです」
宮中に太公望がいるのならば皇后の目を盗むこともできる。
李氏は快諾する。
「宮廷音楽家として…ここにおいてくださいませ」
しっとりと見つめられ、引ける様な男はいないだろう。
そう、太公望は好色な李氏の弱点を突いたのだ。かつて皇后がしたように。
それは皮肉にも申公豹に抱かれたからこそ、得たことでもあった。
与えられた一室には必要最低限のものは揃っていた。
「御主人、うまく行ったっすね」
「スープー、まだまだやることがたくさんありすぎる。皇后はわしを…泳がせるだろう」
太公望とて、馬鹿ではない。
皇后の裏をかかなければ確実に自分が死ぬことを知っている。
入り込むのは簡単だ。だが、宮中には誰一人仲間はいない。
「今夜は寝るとしよう、スープー。明日のことは明日考えよう」
寝巻きに着替え、褥に入る。
窓の外から漏れる月明かりはいつもと変わらない。
うとうとと眠りについて半刻ほど過ぎた頃。
「…太公望」
「!」
口を押さえられ声が塞がれる。
「申公豹、何しにきた」
四不象を起こさないような小声。
「私は宮中の客ですからね。ここにいてもおかしくはないでしょう?」
にこにこと笑う。
「ならば自分の部屋に戻ればよい。わしは眠いのじゃ」
布団を被り直すと太公望は申公豹に背を向ける。
「おや、冷たいですね。あんなに愛し合ったのに」
「なっ…あれは勝負の時の約束を守っただけじゃ!」
「大きな声を出すと四不象が起きてしまいますよ?」
太公望を組み敷き、申公豹は不適に笑う。
この状況を他に解釈できるほど四不象は愚鈍ではない。
「なんのつもりじゃ」
「あなたに皇后のことを話そうと思いまして」
「ならば、茶を酌み交わしながらでもいいのではないのか」
「ただでは教えられませんよ、太公望」
耳元に息を掛けられ身を捩る。
「なんの情報もなしに動けるほどここは甘いところではありませんよ…彼女は
千年以上生きてますからね……仙気もあなたではかなわないでしょう」
そう言いながら寝巻きの紐を解いていく。
「あなたにあってから人恋しいと思うようになったのですよ」
手をとり、自分の着衣に掛けさせる。
そして、脱がせるように、そっと促す。
「私の寂しさを埋めてくれませんか?代償としてあなたに悪い情報は与えませんよ」
これは取引だと太公望は自分に言い聞かせる。
仙道が肉欲に溺れるなど醜聞にもできないことだ。
「……皇后は……」
「後でゆっくりと教えてあげますよ…」
月光の下の肢体は劣情を誘うには十分すぎる代物。
二つの体が絡みあう。
しかし、違うのは今度は決して声を上げることができないということ。
いくら勝手知ったる四不象でも、己の痴態を晒すことは出来ない。
「…どこまで耐えられますかね、太公望」
首筋から舌を這わせ、浮き出ている鎖骨を軽く噛む。
「…んっ…っ…」
初めてのあの夜よりもずっと鋭敏になった身体。
攻め立てる男の指をしっかりと絡めとろうと妖しく締め舐る。
「随分と、濡れる様になりましたね…呂望…」
開発したのは自分だと、申公豹は心で呟く。
言えば太公望は烈火の如く怒るのが想像に容易い。
(それはそれで楽しいのですが…あまり虐め過ぎても可愛そうですしね…)
唇を噛みすぎて、滲む赤い雫。
それを舌で舐め取り、歯列を割って舌を絡ませる。
まるで別の生き物のようにお互いを貪り合う。
(まぁ、彼女には見えてるんでしょうね…私のこんな行動さえも)
忘れるように申公豹は太公望の身体を愛撫する。
何度か抱いた体とはいえ、まだまだ未開発なものだ。
「呂望…口を開けてください…」
自分の指を咥えさせると太公望は強く吸い上げてくる。
声の代わりに。
(なら、見せつけてあげますよ。人間の営みを…妖怪には無い、行為を…)
太公望に気づかれないように申公豹は笑う。
くちゃくちゃと音を上げる秘部を攻める指。
そのたびに太公望は強く指を吸う。
上気した顔。とろんとした目。
口腔を弄ぶ指を引き抜くと、申公豹は己の分身を太公望の中に予告無く埋め込んだ。
「!!!!!」
必死に声を殺す。
二人分の重みを受けた褥がぎしぎしと音を立てる。
「…ひ…ぅ…!…」
塞ぎきれず漏れる声。
「…呂望…気持ちいいのなら、声を出してもいいのですよ?」
ぶんぶんと首を横に振る。
そんなことになれば傍で熟睡している四不象が起きてしまう。
申公豹が動くたびに結合した部分が音を立てる。
声を出せない太公望の代わりとばかりに。
「…ん…くぅ…ふ……っ…」
今、自分に抱かれているのは仙人でも道士でもない、一人の少女。
たった一人で宮中に乗り込み、女狐を探す。
「…し…申公豹…っ……」
荒い息。爛れた感情。熟れた月。
人間はどんなものにでも欲情を感じる業の生き物。
「…呂望……」
耳に舌を挿し込み、息をかける。
太公望の最大の弱点だ。
「あぁっ!!!」
それに合わせて動きを早める。
「ひぁっ…や…あ…っ!!」
身体は感情とは裏腹に「もっと」と男を求め、締め付ける。
答えるように突き上げ、胎の底を目指す。
「…っ…呂望……」
「…!!…ああああああっ…!!!!」
受け止めきれずに零れる体液が腿を伝う。
どろりとした感触に太公望は呻いた。
「…呂望…?」
「スープーは……?」
ぼんやりとした瞳。
それでも気にかかるのは四不象のことらしい。
これには申公豹も少しばかり面白くない。
「四不象なら朝まで起きませんよ」
「?」
「あなたがいない間に一服盛りましたからね」
「なっ!!」
「でも、よかったでしょう?いつ起きられるかとどきどきして…」
「騙したな!申公豹!」
「言わなかっただけです」
怒り心頭の太公望を宥めすかして、申公豹は皇后のことを話し始めた。
皇后は狐の妖怪仙人。
体中を覆う宝貝。
宮中には人間形態の妖怪仙人がそこかしこに配置されている。
まさに、宮中孤軍の状態だ。
「ううむ…さすがのわしでも動きが取れぬのう…どうしたものか…」
身体を起こし、月を見上げる。
(父上、母上、兄弟たち…)
全てを奪った憎き女。
「呂望?」
「申公豹…」
「なんです?」
「人恋しいというのはなぜ生まれる?」
5000年前から月は人の営みを、命の繰り返しを見てきた。
そして今も素知らぬふりをしながら、自分たちを照らしている。
「父も、母も、兄弟も、一族も…皇后に殺された」
「………」
「この気持ちは…なんなのじゃうな…」
長い睫が憂いを帯びる。
「寂しいという、気持ちですよ…呂望」
「そうか…」
後ろから抱きすくめられて胸元に回る手に、自分のそれを重ねる。
「あなたに会うまで私も…自分にこんな気持ちがあるとは思いませんでしたよ」
「………」
「私も寂しいのです。あなたと同じように」
「…いずれわしはお前を討つ」
「楽しみにしてますよ。あなたが私を殺しに来る日を」
夜明け前に申公豹は宮中の自室へと戻っていった。
この国は少し壊れている。
そして、おそらくは自分も。
「んん〜〜〜、よく寝たっす!御主人、おはようっす!」
「おはよう、スープー」
「御主人、なんか朝から色っぽいっすね〜」
「な…なに言うかスープー。わしはそういう冗談は好かん」
道衣に身を包み、宮中を散策する。
朝の光がまぶしい。
「どこに行くっすか?」
「この国の武成王に会いに行くのじゃよ、スープー」
太公望の横を、四不象はふわふわと飛んでいる。
「御主人、虫にでも刺されたっすか?」
「虫?」
「ここんとこっすよ」
首筋を突付かれ、思わず夕べのことを思い出してしまう。
「ああ…確かに虫じゃな。しつこい虫がおるのだよ」
太公望は笑う。
朝日が、一日の始まりを告げていた。
とりあえず第二話です。
書けるときににまとめてUPさせていだきますので。
他に書き手さん着てくれるといいなぁ。
しかし、封神って序盤は申公豹との絡みが多い漫画だと
読み返して思ってしまった。
いちおう、自分なりの太公望のデフォはあるんですけどね。
おいおい書けたらと思います。
801かよ。。。
KINOさんグッジョブ!
萌えました
萌へ。
善 哉 。 善 哉 。
久々に指が痺れるSS読んだよ続きがんがってくれ
女体化と女性という設定でというのの違いがよく分からない…
49 :
名無しさん@ピンキー:03/05/23 18:13 ID:AVWe98Cl
>48
女体化は男だったものがなんらかの(クスリとか)で女の体になってしまうことで、
女性と言う設定ははじめから女だったものとして、じゃなくて?
>2の話題がどこにあったか誰か知らない?
探してみたけど見つからなかったんだよなー
どうもです〜。
801ではないんですが、う〜ん。
徐々に望ちゃんも女性的になって行きますんで
お待ちください。
進めていくうちにエロなしの話を投下するかもしれません。
それはKINO個人が書きたい話しと
進めていくうちに必要な部分だったりとか。
ただ、エロを書くのではなく、
話をきちんと作ってそこに至りたいというか。
(実力はないのですが、理想はあるんですね)
>女体化は個人的に駄目なんで、女性という設定で進めさせて
もらってます。
長い長い話になるとは思いますが、
お付き合いください。
>他の書き手さん、来ないかな〜。
KINOも他の封神読みたいです。
51 :
天化好きの道士:03/05/23 21:09 ID:AW092hFT
KINOさん、おひさ〜〜。ウチはかなり興奮しながら読ませていただいてます〜。次の回も楽しみにしてます!
天化x呂望は個人的に書きたい話があるんでお待ちくだされ〜。
現在第三話製作中です。
とりあえず、これをUPしないと他のキャラに
絡ませる事が出来ないという罠(w
今夜中にはUPできるんではないかと思いますんで
またーりお待ちください。
異説封神演義
〜〜王都脱出〜〜
策士、策に溺れるという言葉がある。
太公望と皇后の智謀合戦。
結果として太公望は目の前で姜族を虐殺される。
失意呆然。
そんな太公望を混乱に乗じて武成王は自宅に匿う。
心身ともにぼろぼろに状態は目も当てられなかった。
「あなた、着替えを持ってまいりましたわ」
「おお、すまないな。悪ぃが頼む」
さすがの武成王でも相手が仙人でも少女の体に触れのには抵抗があり、
妻の手を借りていた。
あれから一週間。太公望は目を覚ます気配すらなかった。
傷は癒えても、心の傷は癒える事は無い。
「太公望殿…」
「こんな幼い子に…仙人界という所は斯様なところなのですか?」
二人には仙界入りした息子がいる。
年のころはおそらく太公望の外見と大差無い。それが一層二人の心を締め付ける。
「…う……」
「太公望殿!」
「太公望さん」
ゆっくりと体を起こし、頭押さえる。ずきずきと痛む感覚が、自分は生きていると
訴えている。節々の痛みも生存の証。
「武成王…」
状況を理解できない太公望に武成王はこの一週間のことを話した。
太公望は死んだことにして、皇后の目を晦ました。
姜族の事。
太公望は眉一つ動かさずに聞いていた。
いや、表情すら、作れないのだ。
「肋骨と折れてっから、しばらくは養生しな」
声は、ただ、響くばかり。
痛むのは骨でも肉でもなく、もっともっと奥。
目の前で失われていく、命。
父も、母も、兄弟も、そして、姜族。
自分の力の無さ、不安、恐怖。
忘れていたものがぐるぐると回りだし、胸を締め付ける。
まるで、空気に溺れるように。
「何の用だ?」
「もう、前に進むのは止めませんか?好きでやっている封神計画でもないのでしょう?」
「………………」
「あなたが傷つくのを見るのは心苦しいのです」
「申公豹」
「?」
「わしは…封神計画を降りる気はないよ…誰になんと言われようとも…」
「その傷で行くのすか?宝貝も持たずに?」
「それでも、行くしかないのだよ…」
その細い肩に運命は容赦なく降りかかる。
これから幾度となく、痛みも躊躇いも雨のように降るだろう。
それを塞ぐ傘はない。持つ事も出来ない。
ただ、打たれることしか出来ない雨。
「呂望、見なさい」
黒点虎がどさりと四不象を落とす。
「スープー…」
「皇后が転寝しているときにかっぱらってきました。毒抜きもしてあります」
細い指を解いて、打神鞭を握らせる。
「これで私に借りができましたね。倍にして返していただきますから」
「申公豹…」
「それから」
彼が手渡したのは一輪の白百合。大輪では無く、楚々とした美しさ。
「これは私から、あなたにです。呂望」
「その名で…呼ぶな」
「嫌です」
黒点虎に跨り、申公豹は宙に帰る。
「呂望、私に借りがあることを忘れないように」
「……ああ…」
ほんの少しだけ、心が温かい。
「御主人…?」
「スープー、いつまで寝ておるのじゃ、行くぞ」
同じように太公望も宙に帰る。
「スープーが寝ている間に色々考えておった…わしにはまだまだ力も味方も少ない」
風は追い風。
太公望の髪を優しく書き上げる。
「行くぞ、大きな味方を作りに!」
太公望の去った宮中では狂ったような晩餐が繰り返されている。
皇后は夜な夜な処刑された罪人の臓物を貪っていた。
滴る血さえも、彼女を彩るその美貌。
その姿に武成王は殷の滅亡を予感した。
「李氏様」
「おお、どうした?」
褥に潜り込む。
「いい夢を見せて差し上げますわ…李氏様」
彼女に性欲というものは無い。妖怪に何かを求めても無意味な事なのだ。
それでも、彼女は人間の肉の体を満足させるために殷王の上で踊る。
李氏自身を舌で嬲り、自らの中に埋め込む。
それは彼女にとっては何の意味もない事だった。
術をより長く持続させる事と、宿主であるこの体の生理的欲求を満たすため。
「あああ…李氏様…!…」
喘ぐ声も彼女の本能ではない。
それはただ、男を喜ばせための道具。
(申公豹もこの男もなにが楽しいのか…)
豊満な胸をまさぐる手。
腰を抱かれ、突き動かされても、それは体だけが感じる事。
彼女の目的は別なのだ。
(いずれ申公豹には聞けるときがくる…わらわはそれまでこの男を操ればよい…)
それぞれの夜は更けていく。
それぞれの思惑を乗せて。
第三話です。
これでようやく他のキャラが出せます。
本当はここでも申公豹とのを書こうかとも思ったのですが、
それは他の話のときに使いたいので…
59 :
名無しさん@ピンキー:03/05/24 13:33 ID:NHOMPzQ7
書くの早ッ
あ>49だけど、見つかりました。
おもしろいこと話してたんだなー。
60 :
名無しさん@ピンキー:03/05/24 14:22 ID:ibFwivcu
61 :
名無しさん@ピンキー:03/05/24 16:10 ID:h+Ld2b6e
62 :
名無しさん@ピンキー:03/05/24 17:30 ID:8PDYuIPH
【学校教育は間違っている!!!既存の学説にとらわれない考えで科学界に革命を起こそう!!!】
「魂の量子論」、「ランゲージ・クライシス」および「間違いだらけの科学法則」はいずれも作者の革新的かつ独創的な考えがにじみ出ているサイトです。
今回のおすすめは「間違いだらけの科学法則」、この中でも特に「ケプラーの法則」については専門レベルの内容となっています。
また、相対性理論についてもその教材として広く用いられている「双子のパラドックス」を他の書物とは異なる独自の方法で説明しています。
http://www1.kcn.ne.jp/~mituto
63 :
名無しさん@ピンキー:03/05/24 23:20 ID:cPjcFcId
KINOさん乙かれー! 大分後の方になるだろうけど、四不象×胡喜妃の絡みがきになり!
異説封神演義
〜〜天才道士〜〜
宝貝人間との一件を過ごし、太公望は四不象と散歩方々あたりの散策に出ていた。
元々太公望は自分から積極的に相手に攻め入るタイプではない。
ようやく治りかけた肋骨の傷を押さえながら日の光の下、
四不象とのんびり歩く。
「スープー、振り向かずに聞け」
「どうかしたっすか、御主人」
「誰かがわしらをつけておる」
太公望は手にした赤い華をくるくるとまわす。声も表情も何一つ変えずに。
口元には穏やかな笑み。
「この匂いに覚えは無いか、スープー」
それは漂う芳香。甘く甘く、臓腑の奥まで侵食していく。
「ま…まさか…」
「振り返るなと言っておろうが」
「だ…妲己!!??」
「そのようじゃのう」
太公望は手にした花をそのままにゆっくりと振り返る。
立ち込める芳香。漂う色香。それは同じ女が見ても魅惑的な光景だった。
「皇后妲己、何用だ」
「御主人!何でそんなに落ち着いてるっすか!」
その花弁を一枚、唇で落とし、太公望は薄く微笑む。
「本物の皇后妲己がここに来る訳が無いからのう」
淡々と響く声。
「わしはお主が誰なのかも知っているぞ…確か。。。揚任…いや…」
はらはらと華は落ち、足元に赤く沈み積もる。
「揚?」
仙人界で唯一変化の「術」を使う天才道士。
落ちた花弁が打神鞭の起こした風が運び、妲己の姿を解いていく。
「まいったな…名前が知れてることが仇となったらしい」
外套を纏った優美な道士。
すらりと伸びた手足に青灰白の髪。
「よくぞ、見破りました、太公望師叔」
「そしてその天才が一体何の用なのだ?揚?」
「原始天尊様の命により、あなたの下に付くようにと」
宝貝、三尖刀を構えなおし、太公望のほうに向ける。
「あなたの実力の程を見せていただきたく思います。僕は…あなたの本当の力を知りませんから」
踵を返して太公望は歩みだす。
「スープー、先を急ぐぞ」
「そうは行きませんよ、師叔」
揚?の掌から光があふれ、形を成していく。
それは長毛の犬のような生き物になり、四不象の首根っこを咥えて宙を翔る。
「スープー」
「人質をとりました。邪魔もいません。さあ、師叔、僕と勝負を」
「これ!スープー!噛まれたら噛み返さぬか!!」
揚?は太公望の態度に頭を抱える。
本当にこの道士が自分の上に立つ者なのか?
何故に仙人界の幹部はこの者を最重要計画の適任者に命じたのか?
「とぼけるのもそこまでですよ、師叔!!」
三尖刀が生み出す空気の刃。
十重二十重になって太公望に襲い掛かる。
その圧力は大地を抉り出すほど。
「!」
太公望は身動ぎもせずにその刃を受け止める。
まるで何事も無かったかのように。
道衣も、頭布もただの切れ端に。
辛うじて体にしがみついている着衣。留まりきれなっかた血液は血溜りを作った。
「御主人!!どうして避けないっすか!!」
流れる血さえ、太公望を彩る華になる。
「のう、揚?。この勝負、どっちか勝ったとしても無意味であろう?」
「……あなたは自分が傷を負う事を躊躇わない人なのですね」
「いや、わしはお主には勝てぬよ。天才でもなんでもない、ただの道士じゃ」
「師叔…」
太公望に歩み寄り、揚?は目を見張った。
「師叔…あなた…女性なのですか…!?」
「だったらどうしたというのだ?」
「女の顔に傷をつけるなんて…」
「わしは一人の道士じゃよ。それではいかんのか?揚?」
太公望の少し困ったような顔が揚?の心をくすぐる。
「しかし…」
「気に病むでない、揚?」
頬を押さえ、血を拭う。
「なら、わしの頼みをきいてくれくれぬか?」
「師叔……」
「このなりではどうにもならぬ。着替えと薬を取ってきてはくれぬか?」
それは太公望なりに気をきかせたつもりだった。
この男は何を言っても「女」である自分に傷を負わせてことを責めるだろう。
少し甘えたような素振りをすれば、自尊心も満たされるだろうと思ったのだ。
「哮天犬、街までいって師叔にあうものを見繕って来てくれないか?」
「適当なものでよいぞ」
「四不象、君も一緒に行ってくれないか?哮天犬は君のように話すことが出来ないからね」
四不象を銜えたまま、哮天犬は街を目指す。
「なにもスープーを降ろしてやっても…」
「あの方が運びやすいからでしょう」
揚?は自分の外套を裂いて、一枚布にする。
それを先ほど抉って作った太公望の傷口に包帯の代わりに巻きつけていく。
「師叔、すいません…避けるだろうと思って加減をしませんでした」
「かまわんよ、わしもお主の力を見ることが出来た」
「しばらくは僕の道衣を着ていてください」
上着を脱いで太公望に手渡す。
「ならばありがたく借りておくかのう」
細い素足と足首がちょこんと顔を出す。
青草の上、その白さは目を奪った。そう、理性をも溶かすように。
「師叔」
足首を取って揚?は口付ける。
「…なっ!何をするか揚?!!」
「今ここにいるのは僕とあなただけですから」
傷口に唇を這わせて、一つ一つ舐めとっていく。
「揚?!!」
太公望は大教主原始天尊の一番弟子。高位は揚?の師の崑崙12仙と同格である。
ゆえに揚?も「師叔」と呼ぶのだ。
道衣の止め具を外す。
三尖刀は肉を抉るように切りつける。少女の白い肌を無残に腫らして。
「師叔……」
さらしを解くと、柔らかい胸が露になる。掌にすっぽりと収まるような大きさ。
重量は物足りないものかもしれないが、形は良く、つんと上を向いている。
「揚?!」
「お願いです、僕に理由を下さい…あなたの傍にいるための理由を」
「…んぅ…」
太公望の細い体は傷だらけ。
一人で戦い、生きて来た者の体。
胸を揉みしだかれ、なだらかな腹部を舌が這う。
「ひぁ…っ!…」
肉壁を舌が蛭のように這い、流れる汁を吸い上げる。
舌先で責めながら、指を内壁に絡まると、太公望の体が大きく跳ねた。
「ああっ!!」
弓なりになる身体。
尚も揚?は執拗に責めあげる。
指先には溢れた蜜がねっとりと絡みつき、それが更に揚?の男を刺激した。
「…師叔……」
太公望の手を取り、己の股間に導く。
「…わかりますか?あなたに触れるだけこんな風に…」
太公望を抱き上げて唇を合わせる。
絡んだ舌はまるで意思を持ったように互いの口中を蹂躙しあう。
胡坐をかいて太公望を引き寄せて、正面から抱きしめる。
腕の中に納まりきる小さな身体。
「いいですか…?師叔…」
「ここで引けといっても…わしもお主も無理であろう?揚?…」
太公望が困ったような照れ笑いを浮かべた。
揚?の頭を抱え込み、その額に唇を当てる。
そのまま片手を揚?の胸に当て、空いた手で陽根を掴み、
濡れそぼった己の秘所に当てがう。
「!!!」
内側が満たされる感覚と、圧迫される苦痛。
二つの意識が混濁して太公望を昇らせていく。
細腰を抱かれ、引き寄せられる度に繋がった部分からぬらぬらと零れる体液。
胎の奥まで突かれ、太公望は甘く鳴く。
「よ…揚?…っ!!…」
道士二人で戯れに絡めた身体。
己の血を残すことが出来ぬから、仙人は徒弟制度をとっている。
それでも、繋がった身体は熱く火照る。まるで熱に犯されたように。
「…師叔…太公望師叔…」
互いの名をうわ言のように囁き合う。
加速する動きの中、ひときわ高く突き上げられ、太公望の身体が崩れ落ちる。
「あああああっ!!!…揚…?…!!!!!!」
同じように崩れる身体。
疲労が心地よく支配していく。
「…痛い…」
「師叔?」
「腕が…痛いのじゃ…」
当てた布からは血が滲んで滴っていた。
「すいません…加減が…」
「できれば…どこかで水浴びをさせてくれるとありがたいのじゃが…」
汗と体液と血液が付着した身体。
膝の下に腕を回し、抱き上げる。
「そこまでせずともよいぞ、揚?」
「いいえ、僕の責任ですから」
「このようなこと原始天尊様に知れたら…」
「古い体制の方にはこの際引退でも考えてもらいますか」
揚?の唐突な答えに思わす吹き出す。
「よくそのような事を思いつくよのう、揚?」
肌に感じる水はほんの少し冷たく、身体に染みる。
残滓が流れていく感覚が少しずつ内側から熱を奪い取っていくのが分かった。
「そうしていると道士には見えませんね」
「揚?」
凛とした眼が揚?のそれと重なる。
「わしの力になってはくれぬか?わしにはまだまだ味方が少ないのじゃ」
その手を取り、揚?は目を閉じて口付けた。
「はい…あなたがそう望むのなら、師叔」
「お主が居てくれれば心強い、揚?…」
名前を呼ばれるだけで、心が疼く。
この人に必要とされるためなら、自分は何だって出来るだろう。
望むのなら、仙人界を敵に回しても。
(師叔、あなたは信じますか?僕があなたに一目惚れしたなんて…)
濡れた黒髪が日に透けて、輝く。
「どうかしたのか揚??」
「いえ…師叔、無粋な服など着てないほうが綺麗ですよ」
「お主はよくも歯の浮くようなことを次から次へと言えるよのう」
少し赤くなった頬を隠すためにとぷんと太公望は水底に消える。
道はまだまだ遠くーーーーーーーーーー。
リアルでキタ━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━ !!!!!
これからもよろしくです。
ありゃ…UPしてから分かったのですが、大失態
揚ぜんの「ぜん」が出て無い(´Д`;)
書いた段階で出てるからOKだと思ったのですが…
いっそヨウゼン、呂望の如く「揚」とでも呼ばせるか…
次からはこんなことが無いように気をつけます。
書きながら思ったのですが。現在第四話。
コミックスの2巻の終わりくらいなんですね。
一番書きたいのが姫昌、発、天化との話と、
武吉とのほのぼのエチーなので、まだまだ遠い…
本当に最後のほうに一番書きたい話が連打で来るってのは
藤崎氏も憎いことを…それまでKINOなりの
異聞をだらだらと書かせてください。
>キビちゃんとスープーも面白いかも…
コミックスにあるようにスープー視点での閑話も入れてみたいなとは
おもってます。
個人的にもキビ×スープーはすきなんで(笑
レスくれる皆様、ありがとうございます。
励みになってますので、叱責、その他諸々、お願いしますね。
ほんでようやくもう少しで天化登場です。
天化スキーのかた、お待ちください(´∀`)
一応、18巻の李氏討伐、朝歌陥落までは書くつもりです。
>他の書き手さん、いらっしゃったら、是非おいでください。
KINOも一読者として楽しみに待ってます。
KINO個人は姫昌(若い頃)と呂望きぼんぬ とか言ってみる
あやや、レスが…。
>72さん、どうもです、
今後ともお付き合いくださいませ
封神は久々に書いたのですが、楽しい(´ー`)ノ
>KINO氏
太公望たんに萌えますた(;´Д`)ハァハァ
続き楽しみにしてまする。
>77さんのスレのところ見てきました。
…いかん、エプロンして鍋持って
「お帰り〜。晩飯できとるぞ」なんていってる呂望(女)
想像してきました…
誰を待ってるのかはKINO個人の心に封印しておきまつ。
77さんが書くのもありだと思いますよ。是非是非。
そして第五話、投下させていただきます。
ただ、今回はKINO個人が書きたいものをコミックスから
抜粋してますのでエロが無いのです。
単なる自己満足で書きあげたものです。
自分の中でこの話が無いと、聞仲、天化、姫昌、姫発がだせないので…
武吉もようやく次ぎあたりに出せそうです。
異説封神演義
〜〜〜太子二人〜〜〜
紂王李氏には二人の子供が居る。
先の皇后、姜妃との間にできた太子二人だ。
妲己は子を孕むことは出来ない。
ゆえに太子二人は正当なる次の殷王となるべき存在。
無論、太公望とてそれは知っていた。
王都より離れた小さな村に腰を落ち着け、一ヶ月。
太公望はいつものように四不象と産婦を楽しんでいた。
「御主人、いつまでここにいるっすか?」
「人を待っておるのじゃよ、スープー」
四不象の頭を優しくなでる。
この村でも、太公望は村民に慕われ、また、力になっていた。
政務を投げ出した紂王が本来すべき、治水工事の発案を練り直し、指示を出す。
王政の放棄は辺境の村にさえ、影響を出している。
それは殷の衰退を確実に表していた。
「道士様、お茶が入りましたよ」
「おお、かたじけない」
太公望はいつもと同じように人を待つ。
武成王、黄飛虎は太子二人を己の部下に命じて王都から引き離した。
皇后妲己が次に狙うのは次期殷王、太子二人。
先の皇后姜妃を追い詰め死やったように。
だが、彼はまだ、妲己の本当の恐ろしさを知らなかった。
彼女の最大の武器は手下でも、その美貌と身体でもなく、
智謀だということを。
言葉巧みに太子を連れ出したのはこともあろうか皇后の手下。
「道士様〜〜〜〜!!!」
「どうかしたかの?」
出された菓子に手をつける姿は道士にはおおよそ見えない。
香草茶で喉を潤し、太公望は村人の話に耳を傾けた。
「どうやら待ち人は来るようじゃのう」
最後のひとかけらを口に放り込み、四不象を呼ぶ。
「スープー、待ち人来たる。さぁ、行くぞ」
茶器を静かに戻す。
「用事が終わったら、もう一杯いただきたいのじゃが、よろしいか?」
太公望は何も変わらない。
鉱石の妖怪仙人、二人を相手に太公望は風を打つ。
四不象が太子二人を後方に逃がし、太公望は一人で二人の相手を。
何事にも相性があるように、鉱石に風は分が悪い。
どうにかこうにか相手の頬を少し欠けさせるのがやっとである。
「スープー、あれを!!」
四不象から火の宝貝を受け取り、間合いを詰める。
(相手はよほど固い岩と見た…ならば…)
大地を蹴りながら感触を確かめる。
太公望は足先であるものを探していた。
(あった!!)
力技では到底かなわない。
火竜の宝貝は不規則に炎を生み出し、二人を追い詰める。
どんな鉱石でも、炎の中で液体に成り果てる。
「お主らは妲己に操られているだけじゃ。今、身を引くならばこれ以上は攻撃せぬ」
爆炎と土煙。
ごほごほと太公望は咳き込みながら火竜の宝貝を構えなおす。
「…違う!俺たちは自分の意思で妲己様に仕えている!」
「言うても無駄か…」
炎は二人を包み、その身体を溶かそうと燃え上がる。
「…くぅ…やはり慣れない物は…堪える…」
がらんと手から宝貝は滑り落ち、太公望は膝を突いた。
浮き出た汗。
容赦なく宝貝は同士から体力と気力を奪っていく。
「お前、さてはその宝貝を使い慣れていないな!!」
打神鞭ととり、弧を描く。
風の刃は地盤を抉り、大量の地下水を二人に浴びせて行く。
「それは効かぬといっただろうが!」
「それはどうかのう」
「あ、兄者!体にヒビが!!」
打神鞭から風は舞い、太公望の髪を揺らす。
「どんな鉄でも、熱して冷やせばもろくなる。わしは最初から水脈を探っておったのじゃよ」
「うっ…」
「さて、そのような状態で打神鞭を受けたらどうなるかのう?」
「太公望!もうやめて!二人はだまさていただけなんでしょう!?」
太子二人が庇う。騙されていただけならば罰することは無いと。
言葉が染み渡れば、霞は消えていく。
「もう、悪いことしちゃ駄目だぞ」
「…殿下……」
その言葉は妲己の洗脳が溶けていく証拠だった。
(まだ…完全ではないのだな…妲己の誘惑も…しかし…)
恐ろしいことになってきている。
皇后妲己の傍を離れても持続する誘惑。
(太子にはすまないが…おそらく紂王はもう……)
頭を振り、打ち消す。
「さて、後は両殿下を安全なところにお連れするだけじゃのう」
「そうはいきませんよ太公望」
低く沈む声。それは耳元をかすめ、眼前に舞い降りる。
「彼はいつも朝歌の上を飛んでいる仙人ではないか」
「あの人は…最強の道士申公豹様っすよ!」
仙人界最強の道士。
その言葉に両太子は身じろぐ。
太公望よりもはるか強いといわれるその道士が自分たちが逃げることを由としないのだ。
「二人の太子を朝歌に戻しなさい」
「な…嫌だ!今帰ったら僕らは妲己に殺されてしまうよ」
申公豹は太子を一瞥。
「お黙りなさい。私は今、太公望と話をしているのです」
「どういうことだ?申公豹」
朝歌は今、悲惨極まりない状態にある。
父親である殷王は政務を投げ出し、妲己との肉欲に溺れた。
父の罪は太子二人の罪でもある。
父を捨て、自分たちだけが逃げ延びようとするその根性が気に入らないと申公豹は説く。
「では…どうすればよい」
「私が朝歌に連れて帰ります」
太子二人は嫌だと叫ぶ。
太公望は一息吸い込み、言葉を放つ。
「申公豹の言うことも一理ある。だが…わしは太子を見捨てぬよ。それがわしの主義なのだ」
「甘いですね、太公望。あなたは今から錯乱していく紂王李氏と戦うことになるのですよ」
そして、太子二人は紛れも無く紂王の息子。
正当なる殷の後継者。
「私は予言します。いつか二人が父親のためにあなたと戦う日が来ると」
伏せられた睫。
「助けたことが仇となってもかまわぬよ。恩を売りたくて助けるわけではないから…」
雷公鞭を構える。
ばちばちと雷華が空気を揺らし、光を生み出していく。
「力ずくで行かせていただきます。ちょうどいい機会です。あなたを封神計画から外して頂き、
私の傍に置くこともできますしね」
太公望も打神鞭を構える。
先刻の戦いで太公望の体は限界値に近かった。
風と稲妻が絡み合い、空気の色さえも変えていく。
「双方、宝貝をおさめよ!その二人は仙人会が預かる」
「原始天尊様!?」
太子二人を光が包み、その姿をかき消していく。
「…あの二人も仙人界で鍛えられれば少しはましな性根になるでしょう。あの浅薄な中身を
直すにはいいかもしれませんね…呂望」
ぐらりと太公望の体が揺れ、大地に崩れ落ちる。
「呂望!!」
「御主人!!」
気力を根こそぎ火竜の宝貝に奪われ、太公望は立っていることも困難だった。
「呂望、しっかりしてください。ああ…」
抱きかかえ、木陰に降ろす。
額に浮いた汗と、熱っぽい体。
「黒天虎、何か冷たいものを持ってきてください」
ちらりと四不象を見る。
「それと…私は呂望と話がしたいのです。四不象を連れて行ってください」
「そんな!御主人〜〜〜!!!」
「スープー、わしも少しばかりこやつと話がしたいのじゃ…」
はぁはぁと息をつなぐ。
大樹の下、影の中に二人きり。
肩を寄せ合って、目を閉じる。
「封神の書は見ましたか?」
「うむ…」
「両太子の名が載っていることも?」
「ああ…知っておったよ」
申公豹の手が太公望のそれと重なる。
「彼らの母、姜妃が封神台に飛んだことは?」
「いや…やはりそうなのか?」
太公望の中で疑問符がパズルを合わせるように合致して、ひとつになる。
「呂望…疲れたでしょう?もうやめてしまいませんか?」
「わしはやめぬよ」
その細い肩を抱く。
「妲己は本気ですよ。あなたを殺そうとあの手この手をかけてきます」
「覚悟は出来ておるよ」
「私にはあなたを失う覚悟が持てないのですよ」
それは申公豹から零れる意外な言葉だった。
「申公豹…」
「太公望などやめて呂望として生きてしまえばよいのではないのですか?」
封神計画ならば自分が代行する。
「いや、わしはわしのために封神計画を外れるわけにはいかんのだよ」
この身に流れる姜の戦士の血脈。
「今だけ、休ませてくれ…さすがにわしも疲れたよ…」
くたくたの笑顔。
頭布を解くと、黒髪がばさりと漏れる。
出逢った時よりも長く伸び、下ろしていれば皇后妲己に引けを取らない。
「わしは姜族最後の人間…この計画を外れるわけにはいかんのだ…」
「呂望…」
よほど疲れているのか、太公望は目を閉じる。
「その名で呼ぶな…父と母のことを思い出す…」
妲己によって全てを奪われた少女。
同じように妲己から全てを奪うのかといえばそうではない。
少女は言う。
「自分と同じ思いをするものをなくしたいと。苦しむのは自分ひとりで十分」と。
止まない雨に打たれながら、ただ歩く。
「おやすみなさい、呂望。今の私に出来るのはあなたに肩を貸すことくらいです…」
人間は業深き生き物。
時には妖怪よりも残酷に、殺しあい、血を求める。
歴史も、あのひとも、みな、幸せという名の魔物に取り付かれて。
全ては繰り返される。
なにかの意思の中で。
帰り行く場所は大地ではなく、
その胎の中。
イイっすねー。ラストの文がまた好!
今から聞軍師との対決とかどーなるのかと
わくわくしているのですが……(ドキドキ)
90 :
山崎 渉:03/05/28 13:27 ID:3MGJJ1xD
∧_∧
ピュ.ー ( ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
=〔~∪ ̄ ̄〕
= ◎――◎ 山崎渉
異説封神演義
〜〜天然道士〜〜
西伯候姫昌の嫡男、伯邑考が妲己の策略にはまり死んでから数日。
姫昌は西岐に戻り、同じように太公望も西岐に身をおいていた。
太公望は次期を焦らない。何も知らぬ振りをしながら、時期を見るのである。
「御主人、西岐は平和っすねぇ」
「うむ…朝歌とはこいも違うものかのう」
白桃を片手に街をふらつく。
霊獣付きの道士はどこにいっても目立つ姿。そこかしこで声をかけてくる。
「あれが太公望…」
二人を物陰から見つめる影。
「原始天尊さまも言っておったが、聞仲のことも色々と気になるが…」
妲己、聞仲、申公豹。
朝歌には太公望でははるかにかなわない敵が多すぎる。
どうしたものかと頭を捻るが、そう簡単に妙案が出るわけでもない。
「まぁ、そのうちいい案も降って来るじゃろうて」
「御主人はのんきっすからねぇ」
「スープー、打神鞭で撃たれたいか?」
まるで仙道などの必要無い世界。
「あ…あの…」
そんな二人に声をかける影。
「あなたが太公望さんですか?」
「そうじゃが、どうかしたか?」
人懐こそうな顔で影は言った。
「僕、武吉っていいます。この西岐できこりをやってます!」
武吉は大地に両手を付いて、頭を下げた。
「お願いです!僕を弟子にして下さい!道士太公望の武勇伝を聞いてずっと憧れていたんです!」
聞く耳を持たないという風に太公望は武吉の傍を立ち去っていく。
「待ってください、本気なんです!」
先ほどまで後ろにいたはずの武吉がもう目の前にいる。
「な…なんすかこの人!?ワープしたっすか!?」
「スープー、飛んで逃げるぞ!」
四不象の背に飛び乗り、指示を出す。霊獣の速さは何にも劣らないはずなのだ。
「な…あの人走って追いかけてくるっすよ!!」
霊獣のプライドを打ち砕かれ、四不像は涙声。
「あれは…天然道士というやつじゃな」
仙人、道士は仙人骨を持つものだけが成り得る。無論、太公望とてそうだ。
仙人骨を持つものが仙界入りをしないと武成王や件の武吉のような特異体質になってしまうのだ。
そんな輩が人間界にいては混乱を生じる。
故に仙人、道士とするべく、仙界入りさせるのだ。
「スカウト漏れっすか?」
「だろうな…原始天尊さまも案外いい加減なところがあるしのう…」
砂煙を上げながら武吉はなおも太公望を追う。
「でも、あの人を味方にしたらきっと役に立ってくれるっすよ」
「味方はいいが、弟子は取らん…ん…あれは…いかん!ぶつかる!」
太公望は思わず目を閉じてしまった。
武吉が衝突したのは視察中の一段、西伯公姫昌だったのだ。
「き…姫昌様!?」
武吉も呆然とする。
「父上!大丈夫ですか!!??」
「 妲己の刺客か!?」
姫昌はついた埃を払い立ち上がる。
「す…すいませんでした!!国の宝である姫昌様になんてことを…!!
どんな裁きでも罰でも受けます!!」
瞳と同様にまっすぐな声。
姫昌は穏やかに笑った。
「立ちなさい、青年。いい目をしている…健やかで正しいものだけが持ち得る目だ…
君には人をひきつける何かがある。それは君のもって生まれた人徳だ…
私は君を許そう。傷もたいしたことは無い」
姫昌も元々は武人として名を上げた男。
傷の一つや二つはどうということも無かった。
「姫昌さま………」
「許してなりません、父上」
第四子、周公旦が言い放つ。
国の頭で法規である人間が、自ら法を犯すようなことがあってはならないと。
一度崩れた均衡が戻るのが容易くないことは、殷王李氏が何よりも雄弁だ。
「姫昌様、周公旦様のおっしゃるとおりです。でも、僕なんかを気にかけてくださって
ありがとうございます。やっぱり姫昌様はすばらしいお方です」
かくして武吉は法の裁きを受けるべく、西岐城に幽閉される。
満月が影も纏わぬ夜、太公望はそっと武吉のとらわれた部屋を覗き込んだ。
ひざを抱えて、武吉は神妙な面持ちだ。
「武吉」
「お師匠様!」
「師匠はよせ。第一わしは道士だから弟子は取れぬ。だが…」
太公望は言葉を続ける。
「おぬしにならいい仙人を紹介してやってもいいぞ。同期に面白い奴もおる」
「仙人なら、誰でもいいってわけじゃないんです」
武吉の話はこうだった。
彼の父親は仕事の関係で朝歌にいたらしい。
そして、姜族同様、妲己に殺されたのだ。
武吉がそれを聞いたのはかろうじて武成王に救出された少数の人間からだった。
彼らは口々に太公望を罵った。低脳の道士が薮蛇を突いたからだと。
「みんなはお師匠様が悪いって言います、でも、よく考えれば悪いのは妲己です。
お師匠様は逃げずに一人でも妲己に立ち向かいました」
「すまん…武吉…」
「だから、僕も一緒に戦いたいんです。平和に暮らしたいから」
武吉はなんでもないことのように笑う。
父を死に追いやった原因の太公望を憎みもせず、師と仰ぐのだ。
「心残りは年老いた母のことです…」
「放っておく事は…できんのう」
打神鞭から生まれる風が城壁を打ち砕く。
「御主人…」
「こやつに罪人は似合わぬよ。わしがなんとかするしかなかろうて」
月の下、武吉を乗せて四不象は彼の家へと急ぐ。
太公望は策を案じながら。
母親の元に四不象を残し、二人は西岐の首都豊邑に戻っていた。
「最後にお母さんにあえてほっとしました」
「だから、何度も最後ではないと言っておろうが」
てくてくと並んで歩く。
何度言っても武吉は頑として聞き入れない。
自分が犯した罪を償うというのだ・
「みんな、幸せに暮らせるようになるのが一番ですよ」
「そうじゃな……」
この男を死なせてはならない。
なにかが、そう告げるのだ。
「僕も、こんな世の中じゃなかったら素敵な人と恋とかしてみたかったです」
「……武吉」
「手とかつないだり…」
武吉も年頃の男子である。
「武吉、手を出せ」
「?」
太公望は手袋をはずし、武吉の指と自分のそれを絡めた。
「お師匠様?」
「ああ、これでは気分が出ぬか…」
しゅるりと頭布をとる。
肩の辺りまで伸びた黒髪が一斉に解き放たれ、少し短い前髪が少女の顔を作る。
「お師匠様!?」
「この方がよかろう?」
「お…お師匠様、女の子だったんですか!?」
「一応な」
太公望は普段から女性のような行動はまずとらない。
初見ならば誰もその素顔を知ることはできないだろう。
「お師匠様………」
武吉の緊張が指から伝わってくる。
(世話のやける子供じゃのう……)
人気のなさそうな小屋に武吉を連れ込んで、鍵をかける。
「死に行くならば、心残りが無いほうがよかろう?」
「お、お師匠様!?」
着衣を落とし、武吉に手をかける。
「それとも、わしが相手では不満か?」
目の前にいるのは一人の美少女。
そして、敬愛して止まない師匠。
「よ…よろしくお願いします!」
「わかったからそうきつく抱くな。苦しい」
闇雲に口付けを落としながら武吉は太公望の体を弄る。
細い首も、白桃のような胸も、なだらかな腹部も。
「お師匠さまぁ……」
「これ、武吉、わしに乗っかってるほうが泣いてどうする」
自嘲気味に太公望は笑った。
お互い未完成の身体。
申公豹や楊、李氏紂王とも違う身体………。
「あ…んっ……」
胸を吸われ太公望の腰が浮く。
内壁を指で擦られ、体液が零れてくる。
荒々しく、慣れない愛撫。
それでも、いいと思えたのは武吉のまっすぐな思いからだろう。
(この男を死なせてならぬ…罪人になるべきものではないのだ…)
「お師匠様…いい…ですか…?」
几帳面にも伺いを立ててくる。
思わず吹き出し、武吉の小鼻をきゅっと摘む。
「一々聞かぬでもよい」
そして、自ら武吉の上に乗る。
「ンゥ……っ…!!」
武吉の手が腰を抱き、結合を深める。
「お師匠様の中…凄く…熱いですっ……」
武吉の髪を撫でて、その額に唇を落とす。
どっちが抱かれているのか、わからない。
そんな感覚だった。
自分の内部で脈打つ武吉を感じながら、太公望は腰を動かす。
(道士失格でも何でもよい…わしにはほかにこやつを納得させる方法が浮かばぬ…)
「お師匠様……凄く…綺麗です……」
「お前がそうさせておる…武吉……」
泡沫の夢でもいい。
ぐちゅぐちゅと絡み合う淫音。
動きも、腰を抱く手も強くなっていく。
「お師匠様…僕……」
「かまわん…わしの中で……」
何度か大きく突き上げられ、武吉自身が最奥で膨張する。
そして、弾けるのを感じながら、太公望は武吉の上に折り重なった。
眠る武吉を起こさないように静かに小屋を抜け出す。
目指すは西岐城。
「おぬしが周公旦…西岐でもっとも才覚ある政治家か?」
太公望は静かに、ゆっくりと旦と話す。
真に手腕のあるものならば、殷全体を栄えさせることも可能であろうと。
旦が反抗する暇も与えずに。
そして、失った息子を引き合いに姫昌のことを問い詰める。
国頭がその体たらくではどうするのかと。
武吉の罪についても。
結果、名高い周公旦は一言も返すことができなかった。
旦は逐一、父である姫昌に告げる。
「私の罪か……」
遠くを見る眼。
「旦、武吉は釈放だ。何も言うでない」
「父上がそう言うのでしたら…」
「その道士は賢人だ。ぜひとも話を聞きたい」
「ならば、呼びつけましょうか?」
「いや、私のほうから出向くのが礼儀であろう」
武吉に案内させて姫昌は太公望のいる渓谷へと向かう。
天気のよいときには釣り糸をたれながらこの仙穴で仙気を養うのが日課だった。
「釣れますかな?」
「大物が掛かったようじゃのう」
太公望の傍に腰を下ろす。
「兵の一人も付けずに来たのか?」
「ここは安全ですから」
くしゃくしゃの笑顔。
「暇つぶしに世間話でもしませんか?」
緑のにおいを乗せた風が吹き抜ける。
「お聞きしたい…私はなにを成すべきなのか」
「この国は壊れておる。これ以上あっても民を苦しめるだけじゃ」
「………」
「挙兵して殷を討て。新しい国を作り、おぬしが王になるのじゃ」
「…重いな…歴史の重圧でつぶれてしまいそうだ…」
老賢人は目を伏せる。
「しかし、これが私の天命なのかもしれない」
そこにあったのは老賢人ではなく、殷全土に名を轟かせた名将の姿。
そして、太公望が心を寄せた男の在りし日の姿だった。
100 :
名無しさん@ピンキー:03/05/28 21:04 ID:vEhYjZhw
武吉っちゃんだ〜〜〜!今回も大興奮でした!次回も期待大です!
うがぁ。山崎来てるし…
武吉の初体験の相手はお師匠様以外考えられませんですた。
現在天化の話作成中です。
>100さん、
どうもです。
期待に沿えるかはわかりませんががんがりますので〜。
>>101 がんがってください! いつも楽しみにしてますんで。
異説封神演義
〜〜武具の達人〜〜
不慮の事故というべきか、不幸と言うべきか。
武成王の妻と、妹であり紂王の第三王妃である黄貴妃が相次いで落命したのだ。
まさに完全なる妲己の智謀。
そして武成王は一族を率いて朝歌を脱する。
聞仲の居ない間の出来事だった。
一族を連れ、目指すは太公望と姫昌の住まう西岐、豊邑だった。
西岐上空は快晴。
太公望は西岐城に客人として住まうことになった。
姫昌たっての願いである。
断る理由もなく、宮中の客人となり、兵法を姫昌や旦と交わす日々。
「兵士のほうも大分さまになってきたのう」
「御主人、あれ〜〜〜」
四不象が空を指す。
「あれは〜…黄巾力士!?原始天尊様の宝貝ロボ!!??」
ずしんと煙を立てながら太公望と姫昌の前に黄巾力士が降り立った。
「太公望に伝令ーーーーー武成王がピンチ!すぐ朝歌に向かえーーー」
「!?」
武成王には恩義がある。
「御主人」
「うむ。急いでくれ、スープー」
太公望は恩義と礼を重んじる。
それは幼少の頃、姜族の正当な頭領として教育されてきた頃の名残だ。
絆、心、礼節。
呂望の名の頃のものを今も抱きしめ、道士として生きる。
「姫昌、わしはすこし出かけてくる」
「ええ、頼みましたよ太公望。私も武成王には恩があります」
「うむ」
四不象に乗り、朝歌を目指す。
その後を武吉が追いかけて。
武成王一族は黄飛虎の父を人質に取られ、動けない状態にあった。
同じく礼節を重んじるこの武人は自分を殺せと刺客に言う。
覚悟を決めた武成王に妖怪仙人が切りかかろうとしたときだった。
「盛り上がってるねぇ、俺っちも交ぜてくれねぇか?」
宝剣の宝貝を片手に現れたのは一人の道士。
名は「黄天化」武成王の二番目の息子である。
「よぉ親父ー、元気にしてたか〜?しばらく見ないうちに老けたな〜」
軽く言葉をかけながら次々に妖怪仙人を切りつけていく。
その剣の鮮やかさ。
天武の才能と血の強さとでも言おうか。
塀の上からふわりと飛び、駆け寄る。
「天化!!」
「親父、兄者、弟者、みんな変わらねぇ…あれ、その小さいのは?」
「ああ、天祥っていうんだ、兄さんが居なくなってから生まれたんだよ」
「ひゅ〜、親父も年だと思ってけどやるもんだねぇ」
「天化!!」
くしゃっと天化の頭をなでる。
「よく帰ってきたな……だが…」
「おふくろと伯母さんのことか?よく出来た人たちだった…俺っち絶対妲己を
許さねぇかんね!」
ようやく一族が全員揃った。
「武成王!」
「おお、太公望殿!」
「遅くなってしまって…」
ひょいと背中から天化が顔を出す。
「あんたが太公望師叔さ?俺っちは天化ちゅーんだ」
「知っておる。道徳のところの門下であろう?」
つかつかと進み、天下はまじまじと太公望の顔を覗き込む。
「聞いてたよりもずっとずっと可愛いさ。俺っちも力になるさ」
煙草を軽く銜えながら天化はにっこりと笑った。
「うむ。妲己の手下は葬ったが…こんどは聞仲の追っ手が来るだろう」
「急がねぇとな」
天化は太公望の傍から離れよとうとしない。
「師叔、俺っち、師叔のこと、好きみたいさ」
「…なんと?」
「だから〜。俺っち師叔に一目惚れしたさ!」
天化はどうやらはっきりとした物言いらしい。何度あしらわれても太公望の傍から離れなかった。
崑崙山同様に仙道の住まう世界、金号列島。
ただ、一点違うのは妖怪仙人の住まうということだった。
聞仲はこの列島の出身である。
むろん、彼の要する幹部たちも同様に。
「師叔、もう寝たさ?」
草原に寝転んで、太公望は星空を見ていた。
四不象もこないであろう、ひとりきりになれる場所。
太公望はそんなところを見つけるのに長けていた。
「いや、まだ起きておるよ。しかしよくここが分かったのう」
「必死に探したさ。師叔に会いたかったから」
珍しく頭布も外し、夜風に髪を泳がせて。
天化も同様に隣に寝転ぶ。
「星が綺麗だと思わぬか?」
そう言って空に手を伸ばす。
あの星の光は数え切れないような時間をかけて、ここに届いている。
手伸ばせば、届きそうなのに、決して届くことは無い。
その手を天化が掴む。
「師叔のほうが綺麗さ」
「わしの一体どこがいいのじゃ、天化」
ため息をつき、太公望は天化の傍に寄った。
莫夜の宝剣を手に飛び回る天化と、今こうして自分の傍に居る天化は同じ人間とは思えない。
戦闘の申し子のような殺気は微塵も無かった。
「師叔は美人って言うか…可愛いさ」
「そんなことも無かろう。崑崙には公主のような本物の美女がいるぞ」
「違うさ。美人は確かにいるさ。でも…」
「?」
「師叔はそれだけじゃないさ。俺っちあんま頭良くないから上手く言えないけど…」
ぼりぼりと頭をかく。
「師叔のこと好きさ。それじゃ駄目?」
転がったまま抱き寄せる。
満天の星空。
「俺っち、師叔としたいって言ったら怒る?」
太公望を上に乗せて、唇を奪う。
「仙道は………」
「俺っち仙界入りして日が浅いから、まだまだ煩悩も欲求も捨てられないさ」
太公望の衣服を一枚ずつ落としていく。
「師叔、俺っちも脱がせて」
鍛えられた剣士の肉体。過酷な修行で天化の身体も傷だらけだった。
隆起した筋肉。形の良い二等筋。
少年と青年の間にある胸板。
「師叔も傷だらけさ。でも、今度からは俺っちが守るから心配要らないさ」
少し膨らみの増した胸。
身体の線をなぞりながら天化はそちらこちらに情痕を付けていく。
「師叔、俺っちにも…して…」
優しい強制。
太公望の手を自分の股間に導く。
熱を持ったそれを太公望はそっと手にする。
恐る恐る口をつけ、舌を這わせていく。
一度口をつければ後は同じだった。
先端を舐め上げて、舌を動かす。
口中で熱さと硬度を上げていくのがありありとわかる。
「…っ…師叔…俺っちも…」
太公望の身体を持ち上げて、腰を自分の顔の上に向けさせる。
「て…天化っ!?」
剥き出しの肉壁に舌をねじ込み、吸い上げる。
「!!!!!」
指で押し広げられて、敏感な部分を舌が容赦なく責め上げていく。
「…やぁっん…やめ…」
「…師叔、ちゃんと続けて…」
促されて、たどたどしく舌を這わせた。
指を絡めて、上下させる。
天化の指を伝って愛液が零れていく。
「師叔…感じやすいほうさ?気持ちいい?」
天化の指と舌に翻弄され、何度も揺さぶられる。
「…ああっ!!…て…天化っ…!!!」
「そろそろ…俺っちも師叔の中…入りたいさ…」
太公望の身体を一度引き離して、組み敷く。
「師叔…」
隙間無く、身体を絡めて、最深部を目指して求め合う。
天化の腕の中にすっぽりと納まる身体。
大地に伸びる手を自分の背中に回させる。
「爪、割れるさ…俺っちの背中ならいくらでも傷つけていいから…」
天化が腰を打つたびに爪痕が増えていく。
快感に流されそうな意識を必死につなぎとめる表情。
(師叔…本当に綺麗さ……)
太公望の美しさは外見だけではなく、内面より浮き出るもの。
それは凛とした強さと、楚々としたものが混在する花のようで。
「…師叔…俺っち…我慢の限界…かも…」
腰骨を掴んで数回強く突き上げる。
「!!!!!!」
重なった息は二人同時。
少しだけ冷たい夜風が肌をさらっていった。
「…天化…重いからどいてくれ…」
余韻の冷め遣らない無い身体のまま太公望は天化の胸を押し返そうとした。
「あ…うん…」
一度離れかけて、天化は再度太公望を抱きしめて、注入する。
「天化!」
「嫌さ。師叔と離れたくないもんね」
舌を出して笑う天化。
「頼むから離れてくれ…重くてかなわぬ…」
仕方ないとばかりに名残惜しげに天下は身体を離した。
引き抜かれる感覚に太公望の身体が震える。
「師叔、もっとこっち来るさ」
離れたくないのは本当らしい。
天下は自分の胸に太公望をかき抱く。
「そういや師叔って、仙人名貰う前ってどんな名前だった?」
「わしか?呂望といっておったよ」
「リョボウ?なんか舌噛みそう」
そんな天下を見てくすくすと笑う。
「同期の輩には望ちゃんとも呼ばれたがのう」
「俺っちも望ちゃんって呼びたいさ」
煙草に火をつける。
「わしにもくれ」
「師叔も吸うさ?意外さね」
天下の吸いさしを奪うと、太公望は慣れた動作で口にする。
「天化、わしにはお主の力が必要だ。わしを助けてくれるか?」
「あ…当たり前さ!俺っち、師叔を守るから!」
風が太公望の髪をさらっていく。
「さっきも思ったけど、師叔はやっぱ綺麗さ」
「なにを言うか…」
「必死になって俺っちにくっついてるときの顔なんかたまんなかった」
「て…天化!!!!」
真っ赤な顔で天下の胸を叩く。
「怒った顔もかわいいさ、師叔」
この先の戦は激化していくのは目に見えていた。
戦力は少しでも多いほうがいい。
それが強いものならば尚更だ。
「師叔」
聞こえてか聞こえないのか太公望は振り向かない。
「望」
「その名で呼ぶなとー」
「嫌」
「べたべたと触るなというに」
「もっと嫌。俺っちは師叔を守るから一番近くに居なきゃ駄目さ」
四不象の頭をなでる。
「ってことは天化さんは僕のライバルですね!」
「?」
「僕もお師匠様のことが好きですから!」
「師叔は俺っちのものさ!」
やれやれと太公望は頭を抱える。
少しばかり賑やかに一向は西岐を目指す。
ようやく天化登場です。
KINOの書く天化はこんな感じです…天下のイメージ
壊れた方がいらっしゃいましたら先に謝ります。
一日に二話は大変だということがよく分かりました…
だらだらと自分のペースで投下させていただきます(´∀`)
他の書き手さんも来てくれるといいなぁ
かき忘れ。
レスくれるみなさま、ありがとうです。
KINOは仕事持ちなので一気にUPすることは結構困難なのです。
なので、一話かき終わったら投下、という風に
させていただいてます。
レス、凄い励みになってます。いつもありがとう。
115 :
名無しさん@ピンキー:03/05/29 00:16 ID:IA5K8VFp
そう言えばどっかの会社の小説で雷震子って女じゃありませんでしったけ?
厨王に気に入られて超音波で部下を追い払って厨王に
「お前なんかお断りだ」みたいな事言われてた筈
>115さん、
それは初耳。雷震子も上手く変換できるような気が…
黒髪に褐色の肌ってのは個人的に萌えです。
しかも、発になついてますしね。
kinoさんは最高です!確かそんな話を読んだのですよ
厨王に気に入られる程の美女らしいですよ!!
しかし、封神は読めば読むほどに
紂王ではなく、厨王に思えてくる…
妲己登場前が賢君なだけに殊更。
>117さん、
ありがとうです。ここまで書いてもコミックスではまだ五巻。
ようやく動かしやすい天化が出せてほっとしますた
119 :
名無しさん@ピンキー:03/05/29 19:29 ID:K0e3tUyr
楊ぜんと太公望の話すごく(・∀・)イイ!!
またこの二人で話書いてください!
>119さん、
どうもです。がんがますね〜。
それでなのですが、揚ゼンの「ゼン」が
2CHでは表示不可能なのです。だれか表示可能に出来る方法は
ありませんでしょうか?
無い場合はKINOの独断で揚善とかに字を変えてしまって、
話のほうを続けたいのですが…いいでしょうか?
揚ゼンも無くてはならない人物ですし。
変に漢字当てはめるより、そうやってカタカナのほうがいいかなーと思う。
漢字違うと違う人みたいだし。
>>121 同意。
あと、KINOさん、突っ込んで申し訳ないが「揚」ではなく「楊」ではないかと…
指摘サンクスです。
カタカナのままで進行させていただきます。
異説封神演義
〜〜太師聞仲〜〜〜
殷の太師としてその名をはせる聞仲。
無論、それは太公望の耳にも入ってきてはいた。
しかしながらその力の差は歴然である。
朝歌には妲己、申公豹、聞仲の三人が図らずしも紂王を護しているのだ。
聞仲は殷の太師。
それがぐるぐると太公望の頭の中で回り続ける。
(わしが聞仲なら…ここでわしらを討つ。この場所が最も姫昌に圧力をかけるには
いい場所だからのう…西岐目前のこの地で…)
「師叔、どうしたさ?」
「いや、わしが聞仲ならどうするかと考えていた」
四不象の背にもたれながら、太公望は思案をめぐらせる。
「師叔ならどうするさ?」
「ここで討つ。西岐目の前のこの地でな。武吉、ちと見てきてくれぬか?」
「はいっ!」
武吉は砂煙を上げて駆け出していく。
聞仲は抜かりの無い男。ここで何も仕掛けてこないはずが無いのだ。
「お師匠様〜!怪しい四人組がいました〜!!」
「って…津波〜〜!!!??」
「ここ、山の中だぞ!!!??」
あっという間に水流に飲み込まれる。
「御主人、何事っすか!?」
「どう考えても聞仲の追手の仕業にしか思えんがのう…」
太公望は懐から白桃を一つ取り出し、口をつける。
「なにのんきに桃なんか食べてるっすか」
「落ち着くためじゃよ、スープー。わしまで混乱したらそれこそ聞仲の思う壺じゃ」
「お師匠様、僕みんなを助けます!ライフガードのバイトしてたんでばっちりです!」
武吉が次々と救出するのを確認して、太公望は前を見つめた。
「お前たちが聞仲の刺客か?」
「いかにも。道士太公望」
津波の原因らしき男が答えた。
「崑崙の大幹部の一人、太公望。俺の相手をしてもらおうか?」
長髪の道士、高友乾が球体の中から太公望に水の呪縛を放つ。
四不象に指示を出し、太公望はのらりくらりとその攻撃をかわしていく。
「スープー、接近戦に持ち込んでくれ。わしに考えがある」
槍のように降り注ぐ海水は太公望の衣類を掠め、傷を付ける。
太公望と四不象の息は誰にも乱されない。
「ちょこまかと!!」
業を煮やした高友乾が太公望の頭上に巨大な水の塊を作り、叩きつけてくる。
「!!!」
推定重量想像不可能の水に圧迫される二人。
「お師匠様がミンチに!!」
「まじかい…武吉っちゃん」
「僕、視力は10・0なんです!!!」
おろおろとする武吉。
「いや、師叔はそうそう簡単に死なないと思うさね」
高笑いする高友乾。
次の相手は誰だと言わんばかりに武成王の一行を見据えてくる。
「ふう、ようやく接近戦に持ちこめたのう」
打神鞭を構える太公望。
「生きていたか…」
「おぬしにわしは殺せぬぞ」
「どうかな?おれの武器はただ水を操るだけではないぞ」
足元の海水が持ち上がり、巨大な鎌になる。
「………」
「お前なんてこれで十分だ」
二人の戦いを見守るのは二組。
一つは武成王一族。そしてもう一つはのこりの三人。
すなわち聞仲の擁する九龍の四聖である。
「太公望の打神鞭に関するデータはほとんど無い。ちょうどいい機会だ」
「あいつにもいい運動になるしね」
太公望はいくつもの風の刃を出して水の鎌を打ち砕く。
その度に再生され、空を切ってくるのだ。
「この程度の相手に四聖全員がかかることもないだろう」
リーダー格らしい男が立ち上がる。
「高友乾!あとは頼んだぞ。俺たちは西岐を攻撃する」
「おお、太公望くらい俺が一人で仕留めて見せるよ」
「スープー、追うぞ!!」
「そうはさせんぞ、太公望」
水が縄のようになり、太公望の身体を縛り上げる。
「なっ!」
高友乾が面白そうに笑う。
「お前…女か…それならば他の遊び方もあるな」
そのまま、太公望の身体に今度は触手状の水が絡みつく。
「やめんか!!この…」
もがく太公望。しかし、一向に解ける気配は無く、ますます身体を締め付ける。
当たり一面を包み込む水の壁。
半球の水槽にでも閉じ込められた感じでもある。
「しょうがねぇ、俺っちたちも参戦するか…それに」
莫夜の宝剣を天化が構える。
「師叔にあーゆー悪戯していいのは俺っちだけさ」
岩場を蹴って四聖を追う。
同様に宝貝人間も。
戦闘の匂いに敏感な申し子たちでも言おうか。
「俺はあの王魔とかいう男を追う。あいつが一番強い匂いがする」
それぞれがそれぞれの思惑と思案を抱きながらの戦闘。
ばらばらに散り、その結果無事に西岐上空に着いたのは王魔一人。
「聞仲様のためには先の先を読まなければ」
「のう、お主、こんな顔の道士をみなかったかたのう?」
聞き覚えのある声に王魔は振り返る。
「太公望!!??」
「いやいや、わしは本物を探しておるのじゃ。わしの最愛の人だからのう」
三尖刀を一振りして、姿形がヨウゼンになる。
「!!」
「君の相手は僕だよ」
大地の使い手、陽森の相手は黄家の次男天化。
武具の達人は間合いを詰めながらタイミングと好機を狙う。
「親父は師叔とあの水使いを見ててくれ」
鮮やかな動き。才能を殺すことなく天化の師は育て上げた。
大地が盛り上がり、天化を包もうとする。
莫夜の宝剣でその土を切り裂けば、陽森も執拗に仕掛けてきた。
「俺たちの技は大技過ぎて細かいところまで己にかけられないのが難点だよな」
「仙道でもない人を殺めるのは趣旨に反するが…」
岩盤が天化の額を切る。
「あんた達は…早めに倒さねぇと…大事な人を失うおそれがあるさ」
陽森と共に天化の攻撃に移ろうとした高友乾。
そのわずかな隙をつき、太公望は己を縛る水を風で薙ぎ払った。
「しまった」
「言ったであろう?おぬしではわしを殺すことはできんと」
四人対四人。
違う場所での戦闘は凄惨さを増していく。
「!」
「師叔?」
(空気が震えてる…まさか…)
満月は妖しく熟れた赤い柘榴の様。
その汁は血肉の味がするという。
「…来る」
(まずい…まだなんの準備も出来ておらん…)
今戦うのは犬死同然だろう。
しかし、避けることも適わない。
(やるしかないか…はたしてわしの力が通じるであろうか…)
太公望は目を閉じて、大きく呼吸を整えた。
これから来る相手のために。
「太公望師叔!」
「おお、ヨウゼン!!」
空気の緊迫が加速していく。
「!!」
無数の鞭が大地を削り、太公望目掛けてかかってくる。
「…聞仲…」
道士にして殷の太師、聞仲。
「お前が太公望か」
その目は怒りもなく、太公望を見据えてきた。
「何故、姫昌をたて殷を滅ぼそうとする?」
聞仲は語る。
所詮は狐のすることと同じ事と。
仙道の力を持って人間界を支配する。
太公望も目をそらさない。
民の信頼を失い、あまつさえも色に溺れる王にどうして国を繁栄させることが出来ようと。
殷には仙道が溢れている。
このまま行けば大規模な戦争になり、犠牲者も無数にでるであろう。
(もう…誰も死なせたくない……)
失うものはこれ以上は必要ない。
姜族と同じ思いを乳飲み子たちに味合わせることだけはたく無かった。
「手遅れであろう、聞仲。王はすでに王では無い」
「黙れ!」
禁鞭を持つ手に力が入るのが伝わってくる。
「殷は何度でも蘇る!!」
禁鞭は周囲にあるもの全てを破壊しつくす恐るべき宝貝。
空を切り、太公望の心臓を狙って来る。
「!」
「武成王!」
自らの身体を立てに禁鞭を受け止める。
「聞仲…」
かつての親友に彼は言う。
腐った国よりも、信頼を失った王よりも、もっと大事なものがあると。
聞仲は頭を振る。
それは聴きたくない言葉だった。
唯一の親友が自分の元を去った証明になってしまうからだ。
「黙れ裏切り者が!!」
禁鞭を構えなおす。
「やめろ聞太師!これ以上は俺ってが許さないさ!」
「多勢に無勢で申し訳ないが…今、太公望師叔を失うわけにはいかない」
聞仲にその声など届いていなかった。
彼にとって力無き者の声は聞くに足らずだからだ。
「理想を語るにはそれなりの力が必要だ」
禁鞭が空気を切り裂く。
「だが…お前たちにはそれが無い!!」
無数の鞭が大地を、空気を、身体を打ちつけ、切り裂いていく。
防ぐことすらままならない、圧倒的な強さ。
肉を抉り、まるで土に返すように禁鞭は容赦なく身体を突き、叩きつける。
赤子の手を捻るよりも造作なく、聞仲は太公望たちを沈めていった。
(これが…殷の太師…聞仲…)
軋む身体を立ち上がらせて太公望は打神鞭を聞仲に向ける。
(あきらめるわけにはいかない…わしが…皆を守る!)
おびただしい出血。
白い道服は今や鮮やか過ぎる赤。
「誰も…殺させはせぬ…」
「ほう…まだ立ち上がれるか」
四聖すら声を失う聞仲の圧倒的な強さ。
恐怖、弾圧、緊迫、束縛。
絶対的な強さの前に晒される弱き者。
「…もう…誰も……」
太公望の作り出す風の壁は倒れた仲間全てを守るように、強く強く渦巻いていく。
その間にもぼたぼたと零れる血が大地を染め上げる。
太公望の意識は途切れ途切れ。
それでも、宝貝を引くことは無かった。
「!」
口か零れる大量の血液。
目をそらすことなく、聞仲だけを見つめて離さない。
(わしも…ここまでか…?所詮わしには無理なのか…?)
仙界入りしたときから、太公望の願いは変わらない。
仙道のない、平和な世界を作りたいということだけだった。
「う…」
赤と白。
血の匂いと肉の弾ける感覚。
「血を吐くまで宝貝を使い続けたか…太公望」
霞み行く意識の中で最後に聞いた声。
「西岐に与えるには惜しい器だ」
太公望が意識を取り戻したのはそれから一週間後のことだった。
ナタク、ヨウゼンは仙人界に戻り、武吉と天化が太公望の傷の手当てを担当していた。
「お師匠様!」
「御主人!!」
力任せに抱きつかれ、後ろに倒れこむ。
「師叔、目、覚ましたさ?」
「うむ…」
四不象と武吉の頭をなでながら仙界に戻った二人の様子を天化から聞く。
「心配かけてしまったな…」
「それはいいさ。師叔が目、覚ましてくれたから」
寝不足なのかすこし腫れた瞼。
「もっと…強くならねば………」
月は半分に欠け、熱く疼く傷を風が癒すかのように撫でて行く。
「師叔」
「天化か?どうかしたのか?」
「いんや、単なる夜這い」
「…おぬしは………」
いそいそと寝台に上がりこむ。
「心配したさ。師叔…ずっと目ぇ覚まさなかったらどうしようって…」
まだ傷が塞ぎきらない額を舌先で舐めてくる。
天下とて、傷だらけなのだ。
禁鞭は肉を抉る。
「俺っち…もっと強くなるさ…師叔を守れるように」
少年は少女に恋をした。
それが互いに道士だっただけで。
少女は少年の好意を受け入れる。
恋とはまだ、違う思いとして。
「師叔…痛かったらちゃんと言って……」
たどたどしく包帯を解く手。
醜いはずの傷に一つ一つ唇を落としていく。
手の中に収まる乳房に口付けて歯を立てる。
「んっ……」
少し顔を上げて首筋にも。
腹部を滑り落ちた指は、秘裂を伝う。
赤く腫れた傷は皆まで見ずともその痛みが分かるほど。
「…俺っち…ずっと師叔と居たいさ……」
ぬるぬると体液を絡めながら指を出し入れさせる。
「天化………」
泣き出しそうな目。
「でも、俺っち…聞太師から師叔を守れなかったさ…」
強くありたいのは力だけではなく。
「天化、わしは…守られべき存在ではないぞ…」
脆い心。
「どうしたらいいかわかんなかった…」
かりそめに絡めた身体。熱に支配された一時の快楽。
荒い息が夜の闇の中にこだまする。
「わしとて…同じだった…」
脚を割って入り込む。
捩じ込まれた熱さを体内で感じながら太公望は天下の背に手を回す。
「強くなりてぇ…」
「焦らずに…共に歩み行くのでは駄目なのか?」
吹き出た汗を唇で払って、天下は注入を繰り返す。
自分の存在を誇示するかのように。
女の体内は柔らかさと滑り。肉の甘さは身体を侵食していく。
堕落と快楽は仙道にとって最も忌むべき物のはずだった。
隙間無く身体を重ねて、心音を重ねることで感じることが出来る「安心」
互いの肌で知ることの出来る「幸福感」
「…師叔の中…熱くって…気持ちいい…」
人間は身体を重ねることで「愛」というものを感じることがあるという。
仙道には「愛」の定義は無い。
分け隔てなく、平等に物事を見るのだ。
「…くぅ…んっ…て…天化ぁっ…!…」
少し苦しそうに寄せられる眉。
傷口に薄っすらと浮かぶ赤い体液。
鉄と汗と男の匂いが入り混じる。
嘘でもいいから、夢でもいいから、誰か
「この不安定な心を抱いてください」と。
少年は少女の中で果てる。
少女も少年の熱を胎に受け入れた。
(ぐっすり眠りよって…呑気なものじゃな…)
眠る天化の髪をそっと撫でる。先ほどまで自分を抱いていた男は今は夢の中らしい。
離れようにも腰を抱かれ、身を起こすのがやっとだった。
天化の上着から取り出した煙草に火をつけ、吸い込む。
煙が部屋を肺を満たしていく感覚に痺れを覚えた。
明けの刻まではまだ時間が余る。
(手も足も出ないとは…あのことを言うのであろうな…)
絶対的な強さの前に成す術も無かった。
なにもかもがまだ、足りない。
(考えてもどうにもならんな)
吹き抜ける風が肌寒く、天化の胸に顔を埋める。
この一瞬だけ、道士太公望ではなく、呂望に戻って。
ただの少年と少女に戻ろう。
朝が来ればまた、道士に戻るのだから。
第八話です。
書きたい話がちらほらとコミックスのほうに出てくる頃です。
ぼんやりと「眩暈」を聞きながら書いたらこんな結果に…
季節外れの風邪にKINOは悩まされとりまつ。
みなさまも気をつけてくだちい。
聞仲キターーーーーーーーーー!!
毎回楽しみにしとります。がんばってくらはい。
お体、お大事に〜。
24時間かきこみないと削除になるってここも範囲だったのだろうか…
風邪が悪化してますので、落ち着いたらUPします…
>138さん、
ありがとです。
140 :
age:03/06/02 22:03 ID:7cLw6aCV
age
異説封神演義
〜〜〜堕落息子〜〜〜
姫昌の長兄亡き後、姫旦を中心としての政権が動いていた。
その手腕は見事なものであり、同じ殷でもこうも違うのかと目を見張るばかり。
姫昌は件の事件以来、肉はまったく口にすることは無くなった。
食物を受け入れることすら難しくなっている。
日に日に痩せ衰えていく姿は、涙を誘うばかりだった。
「太公望、父上様はこのままでは長くないでしょう」
「……うむ…」
「なぜ、あなたは父上を王にしたいのですか?」
「わしは殷の国中を飛び回ったが…姫昌ほどの器を持ったものは見たことが無いのだよ」
太公望の目は少しむかしを懐かしんでいた。
人間の時間はあっという間に過ぎる。
自分は変わらずとも、姫昌の時は確実に終わりを告げようとしているのだ。
「…あなたにあっていただきたい人がいるのです」
旦が言うには跡継ぎは姫発。
しかし、宮中には寄り付かず街の中をふらついているらしい。
つかみ所の無い男。
それでも、姫昌の正当なる跡継ぎ。
それを見極めろ旦は言うのだ。
四不象と街に繰り出し、旦の描いた絵を元に発を探す。
しかしながらお世辞にもうまいとは言えない絵を元に探すのは至難の業。
頭を抱えながら聞き込んでいくがこれといった手がかりも無く、
二人は途方にくれていた。
「どんな人なんすかねぇ?」
「…つかみ所のない男らしい」
二人の前を走る男と女。女は男を突き飛ばすが、男は懲りずに追いかける。
「のんきなものじゃのう…」
何回も太公望の横を走り去る。
数回目のとき、弾みで太公望にぶつかり、弾き飛ばす。
「何をするか!おぬし!」
「すまねぇ!前見てなか……」
頭布が解け、黒髪が落ちる。
「中々、いいんじゃねぇの……」
男はふむふむと一人で納得している。
「のう、おぬし、この男を知らんか?」
「ああ…姫発さんか?あとで教えてやるよ。それより俺と少し…」
太公望の手を握り、男は熱心に口説いてくる。
あいにく太公望には口説きに対する抗体ができていた。
申公豹、ヨウゼン、天化の三人によってだが。
「お師匠さま〜〜〜、僕、姫発様の顔を知ってます〜〜〜」
武吉が駆け寄ってくる。
「おお、どんな男なのじゃ?」
「その人……です」
「な………」
宮中に連れ戻され、旦にたっぷりと小言をくらい、発はうんざりとした顔だった。
「そうしておれば見れるではないか、発」
姫昌の跡目らしく衣服を変えられてはいるが憮然とした顔。
「昔の姫昌に……」
「親父に?」
「いや、なんでもない」
両手に書物を抱えて太公望は自室に戻ろうと歩みだす。
聞仲との一戦以来、太公望を始め、各個人がそれぞれの修行を始めていた。
政務、軍事訓練、無血落城を目指すためにはまだまだ資料が必要だ。
深夜まで書に目を通し、明け方を迎える日々。
「師叔」
「天化、どうかしたのか?」
「いんや、師叔の顔見たかっただけさ」
莫夜の宝剣を持ったまま、太公望の頬に口付ける。
「あんまり無理ちゃだめさ。師叔」
「わかっておるよ。すまぬ。おぬしやヨウゼンにも心配をかけておるな…」
「いいさ。俺っちは早く師叔が俺っちのことを見てくれるようにがんばるさ!」
前向きに、ひたむきに天化は進む。
「重いだろ?手伝うよ」
「すまぬ、頼んでもよいか?」
横を歩く発。
(やはり似ておる……血は争えぬ…か…)
「しっかし、こんな難しいもんばっか読んでんのか?」
「いずれは発にも読んでもらうが」
「うっ…俺も読むのか?これ…」
「ああ、この倍は読まねばならんだろうのう」
ぱらぱらとめくっては戻す。
欠伸をしながらも太公望の書いた書に目を通してはため息を付く。
(姫昌……)
遠い昔に見た男。
今、目の前にいるのは同じ姿をした別の男。
(わしは………)
二人のため息が部屋を包んでいた。
思いは巡るばかりで、結論は出ない。
今宵の月は下弦。
悩めるものを示唆するという。
「寝れないのか?」
欄干に腰掛けいる太公望の横に発が立つ。
「わしにもそんな夜くらいはあるぞ」
「あー…そうやってたほうが道士らしくなくていいよ」
寝巻きに下ろされた髪。
「なんであんな堅苦しい服着てんだよ、道士って」
すっと手が伸び、髪を撫でる。
「姫昌………」
「?」
「…!……やめてくれ」
発の手を弾く。
(今…姫昌と思った……)
鼓動が早くなるのがわかる。
「太公望?」
「だから……」
振りほどこうとして、バランスを崩し、あわや欄干から落下寸前のところを発が抱き上げる。
「危なぇとこだった…」
「…発……」
重なるのは在りし日の姫昌。ただ一人、心を奪った男の姿。
(ここに居るのは発…姫昌ではない……)
「降ろしてくれぬか…」
「あ…ああ」
気まずい空気。
沈黙が痛い。
「太公望…その…そんなに俺、親父に似てるか?」
「…………」
「昼間…親父と間違ってたろ…」
「………」
「太公望……」
力なく項垂れる肩は細く、伏せられた目は胸を差す。
腕の中の身体は小さく震えていた。
香炉から漂う紫の煙。
発と寝台の上で向かい合う。
「…発…わしは……」
「何も言わなくていい…俺も…聞かない」
発はわかっている。自分を見ているのでなく、自分の中にある「父」の姿を見ていることを。
寝巻きの紐を解いて、露になる肉体。
なだらかな曲線と窪み。
慣れた手つきで発は太公望の身体を弄っていく。
「…あぅ…はぁん……」
柔らかい胸に食い込む指。
軽く歯を立てて、口中で弄ぶ。
少女の身体は敏感だ。
(慣れてんのか、慣れてねえのか…わかんねぇ…)
ただ、手に吸い付くような肌は男だったらだれでも浸透する逸品。
顔だってそんなに悪くはない。
「太公望…目…開けてくれよ…」
恐る恐る発を見る。
少し、ぼやけて見えるその姿は姫昌そのもの。
この腕も、背中も、なにもかも。
「…姫昌……」
指は秘所で動く。粘りつく体液を絡めながら。
「ああ…っ!!!…姫昌……っ…!…」
卑猥な音を立てて、結合する。
熱さと眩暈と肌の匂い。
少女の中は熱く、「もっと」と締め付けてくる。
盛りのついた猫のようにただ、快楽だけを求め合う。
そこに理由など付けずに。
「…姫昌……姫昌……」
きつく抱きついてくる腕。
呼吸と動きが重なり、加速していく。
首筋に荒々しく吸いつき、自分の痕跡を残す。
「…ああっ!!!…姫昌…っ…!!…」
爪が沈む背中は、汗で濡れ、絡んだ身体は甘く匂う。
「…太公望……」
「…呼ぶならば……呂望と……」
潤んで焦点の定まらない瞳。
腰を抱きしめて、さらに奥を目指す。
「ああっ!!!」
「…呂望………」
貪る様に口付けあって、噛み切れそうなほど強く吸い合って。
「…い…あぁ…!…ああああっ!!!!」
発の唇を強く吸う。
「…く…っ…呂望……っ…!…」
最奥で熱が弾ける。溢れた体液が伝い、零れていった。
道士としてあるまじき浅ましさ。
発の腕の中で太公望は自らを叱咤した。
なによりも、発ではなく姫昌を発に求めた心の醜さを。
「すまぬ…発…」
「あー…うん……」
「わしは…おぬしを傷つけた……」
答える代わりに強く抱く。
「親父のことが…好きなのか…?」
「…昔のことだったのじゃ…わしだけの思いだから…」
風に散る片道の恋。
ずっと………好きだった。
「泣いてもいーんだぜ?」
「誰が泣くというのだ…」
「胸くらい貸せるから」
心地よい肌の感触。
「そのうち…貸してくれ…」
「…ああ……」
まだ、朝の足音は遠く、夜の影は薄くなって。
半端な時間はまるで今の自分を指す様だと太公望は感じた。
「…発……」
「ん?」
「なんでもない…いずれ話すよ」
くすくすと笑う。
「そうやって笑ってると可愛いよな」
「何も出さぬぞ」
まだ、朝は来ない。
このまま、なにも知らないままで眠ろう。
歴史の足音がきこえるまで。
リアルタイムキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!
姫昌を思いながら発と寝る太公望たんに激しく(*´Д`)ハァハァ
KINOさんモツカレサマー
ようやく復帰。
ようやく発がでました。
コミックスでも閑話があるんでスープーしてんのssとか、
聞仲X朱氏とか、書きたいな〜と思ってます。
後はダーリンとセンギョクの話とか。
のんびり待ってれば他の書き手さんも来てくれるかな?
>150さん、
ありがとうです。
この後の呂望、発、天化、ヨウゼン、さらに申公豹で
激化していきます(予定としては)
閑話ですこし、各キャラを掘り下げられたらとかも思ってますが、
このペースで書いていくと果たしてこのスレで終わらせられるかが
心 配 に な っ て き ま す た
完結までは書かせていただきますんで〜。
老子とユウキョウも書きたいのです。
そんで余談ですが、皆様女禍様編はどう思われますか?
KINOは朝歌陥落で終わらせる予定なのですが…
勢いでコミックスの最後まで書けたらいいなぁとは思いますが。
(陥落までは自分の中で大まかにですが構成は出来てます)
>>152 多角関係化も(*´Д`)ハァハァ
終わらなかったら次スレということで。
他に職人さんが光臨してくれるかもしれないしナー
ところでダッキと女太公望のレズものにハァハァしてるのは漏れだけですか
憎い相手しかも女に嬲られて悔しいのにハァハァして最後は玩具で逝かされてしまう
太公望とか…(;´Д`)ハァハァ
>>153 女禍様篇もあったら嬉しいですがエロに絡めるのは難しそうかと…
結構長そうだし
でも書いていただけるならおながいしたいです
>154さん、
それ(・∀・)イイ!どこかで使わせていただきまつ(w
光臨を一緒にまちましょう。
>155さん、
シスコンの彼を使ってシスコンな話を…とか。
ただ、今の段階でコミックス6巻。
先は長いですが書くのは楽しいです。
他スレでも違う話(封神にあらず)書いてたんですが、
そっち放置してこっちばっかりupしてるのは内緒ですぜ。
異説封神演義
〜〜洛陽落日〜〜〜
北の伯である崇候虎は朝歌で軟禁状態。
代理に政権をまわしているのは弟にして崑崙の道士の崇黒虎。
朝歌陥落のためには北が味方にある必要があった。
姫昌は病の体を押し、北に入る。
そして崇黒虎に協力を仰いだのだ。
格上のものに頭を下げられ崇黒虎は狼狽する。
姫昌は言う、「次の歴史を作る若者のために道を開きたい」と。
その言葉が真実だった。
姫昌の容態は俄かに悪化した。
北から戻ってからは起きることすら困難なほどに。
「少し…姫昌と二人で話をさせてはもらえぬか?」
同じように太公望も少し痩せた。
「いいですが、今の父上は話すだけでも…」
「わかっておる…それでも…」
太公望は朝方に摘んだ花を手に姫昌の部屋に向かう。
時間は残酷なほどに確実に進み行くのだ。
それは誰にも止める事など出来ないのだから。
寝台の横の机の上の瓶に花を挿す。
西洋渡りの摺り硝子がきらきらと光を浴びて輝いている。
「…太公望…」
「少し、おぬしと話がしたくてな…」
傍らに腰掛けて、姫昌の手を取る。
幾たびの戦を超え、この地を守り抜いて生きた大きな手。
深い皺と古傷が混在する美しさ。
「…少しばかり年をとりすぎました…」
「いや、変わらぬ。わしが見たときの姫昌と何一つ…」
風も無く、虫の音すら無い。
「もっと早くにおぬしに出会っていたならば…なにか変わっていたかのう…」
姫昌も昔を懐かしむように目を細める。
「…あの時、あなたが道士ではなかったらと思いました」
「…姫昌?」
弱弱しくはあるがしっかりと太公望の指に自分の指を絡める。
「空を舞う仙道に恋をしました…あのときからあなたは何も変わらない…
あなただからこそ、私はこの運命を呪わずに受け入れることが出来ました。
でなければ…とっくに歴史の重みに潰されていたでしょう………」
「…姫…昌……」
「もっと早くに出会えたならば、きっとあなたを妃にしたことでしょう…
もったいないことをしましたよ……」
はらはらと零れる涙。
報われない思いでよかった。
ただ、傍に居られるだけで、同じ未来をほんの少しだけでも重ねて見られるだけでよかったのだ。
「私は卑怯者です…この命であなたを西岐に留まらせようとする…」
違う、と太公望は頭を振る。
ここに居るのは自分の意思なのだと。
「いつまでも私に縛られず、囚われずに……」
声を出すことも出来ない。
胸が詰まる。
「時々思い出してくるだけで十分です」
今まで見たことも無いような笑顔。
「…姫…昌…」
「あなたの本当の名を教えてくれませんか?」
「呂望姜子牙と申します…西伯候姫昌……」
「…呂望……」
「…はい……」
ほんの少しだけ、時間が止まったような気がした。
それは錯覚だったのかもしれないが、ただ、陽だまりの幸福の中に居られた。
「…姫昌?…姫昌!!??」
太公望の叫びが宮中に響く。
その声で駆けつけた重臣や発、旦が姫昌の周りを囲んだ。
「…発……」
「お…おう」
「新しい国はお前に任せた…これからは太公望を私と思うがいい…」
閉じられた瞳。
姫昌は在りし日のことを思い出していた。
「太公望は信じるに足る…必ずや西岐をよい方向に導いてくれるだろう」
数々の戦乱。
流れた血と涙。
ようやく掴み取った平穏。
「…困ったな…本当にもうすることがない…」
それは幸福に満ちた声だった。
「私は幸せものだ…」
唇がかすかに動く。
「…姫…昌…」
自分だけが理解し得た最後の言葉。
「親父!!??」
「姫昌様!!!」
「父上!!」
風も無く音も無く。
仲王二十年仲秋。
西伯候姫昌はその生涯を多くの人が見守る中、幕を下ろした。
欄干の上、ぼんやりと発は空を見上げる。
逝ってしまった人のことを思いながら。
強く、優しい父親は自分のなかの理想の男でもあった。
「発」
「…悪ぃ…今は誰とも話したくねぇ…」
「そうもいかぬ。おぬしはこれから忙しくなるのだ」
太公望の声は何一つ変わらない。
「…それで平気なのかよ!悲しむ時間も無いってのか!!お前だって…」
「発!」
遮る声は金切り声にも近かった。
「だれが…平気だと言った…だれが…」
「…………」
太公望は前を見る。
「人それぞれ、悲しみ方は違う。自分だけが悲しいとおもってはいかんのだ…」
それはまるで自分に言い聞かせるような声だった。
二人を包むように一陣の風。
太公望は発に手を差し出す。
「さぁ、行くぞ。殷を倒しに」
月も星も無い。
闇の中にただ一人自分だけが取り残されたような気にさえなるような夜だ。
「太公望師叔…まだ起きてらっしゃいますか?」
「おお、ヨウゼン…」
空になった杯を手に太公望は半分夢の中だった。
「これを一人で空けたのですか?」
足元には数本の酒瓶が転がっている。
太公望は元来酒好きではあった。
仙桃を使っては準酒を造って窘められることもしばしばだ。
だが、それとは別物である。
「飲みすぎですよ…師叔」
「のう…ヨウゼン」
太公望は虚ろな目を闇に向けた。
「人は死んだら土に還る…わしらはどこに帰ればいい?」
「師叔…」
「土に還ることも叶わぬ身か……」
頭を抱えて自嘲気味に笑う。
ここまで脆さを出した太公望を見るのは初めてだった。
「今夜はもうお休みになったほうがいいですよ」
「ヨウゼン」
「どうかしましたか?」
「わしを…抱いてくれ…今夜は一人で居ると気が狂いそうじゃ…」
人恋しいのは誰も同じ。
「師叔…」
ヨウゼンの道衣に手をかけて脱がせていく。
かかる息が酒気を帯び、唇越しに残る酒が伝わった。
自ら衣類を落とし、ヨウゼンの身体に口付けを落としていく。
少し熱を帯びたそれに舌を絡める。
「師叔!」
「わしが誘った。気に病むな…」
ヨウゼンからすれは太公望は格上の者に当たる。
「それとも…迷惑か?」
「…いえ…そんなことは…」
丹念に舐め上げ指を這わせる。
先端から滲み出る体液をすくうように舐め採っていく。
「…っ…師叔…もういいですよ…」
太公望はヨウゼンの声を無視し、行為に没頭した。
一瞬だけもいいから忘れたかったのだ。
この現実を。
姫昌がいないという事実を。
手の中で硬度と熱さが増していく。
ここぞとばかりに口中で吸い上げると刺激に絶えられずに熱が吐き出された。
生暖かい感触と苦味を堪えて飲み下す。
それでもこぼれた白濁を太公望は手で拭った。
「…師叔…」
再び硬度を増してきたヨウゼン自身に手をかけて、ゆっくりと腰を下ろす。
「無理は…しないで下さい……」
「…ヨウゼン…」
入り口に熱が触れ、埋め込まれる。
「あああっ!!!!」
無骨な指が腰を抱く。
つながった部分がぐちゅぐちゅと淫猥な悲鳴を上げる。
「…あっ…いいっ……!…」
ヨウゼンの動きにあわせて腰を振る。
「んぅ…!!…ああああっ!!」
「…師叔…」
ヨウゼンの手が太公望の髪に触れる。
「泣いてもいいんですよ……」
「…ヨウ…ゼン……」
「ここには今、僕と師叔しかいません…だから…泣いたっていいんですよ」
姫昌を送り出す中、太公望は泣くことも目を背ける事も無かった。
「今だけでもかまいません。あなたの心を少しでも楽にしてあげたいんです」
か細い身体。
これから先、いつ終わるともわからない戦火に飛び込んでいく女性。
「師叔…」
「あ…んんっ!!!!!」
下から突き上げられ、身体が悲鳴を上げて軋む。
「あああああっ!!!!!!!」
波にさらわれる寸前、太公望は彼の人の声を聞いたような気がした。
折り重なったままの身体はまだ余熱で熱く、引き抜かれる感触は官能を刺激する。
「わしは…弱いのう…」
「誰だって耐えられないことはありますよ…師叔…」
太公望の手をとり、甲に接吻てくる。
「苦しんでるあなたに付け込んだ僕も…罪人です」
「…………」
「泣いてもいいです。悲しいときは。誰だって…弱さがあります」
抱き寄せて、軽く唇を合わせて。
「僕は秘密は守りますよ」
「…ヨウゼン…」
零れる涙がヨウゼンの胸に落ちる。
両手で顔を覆い、声を殺した嗚咽。
逝かないで欲しかった。
もう少しだけでも、ともに歩みたかった。
最後にあのひとが発した言葉。
それは自分の名前だった。
「呂望」と呼んでくれた。
土に還ることができるのならば、折かさなって朽ちて行きたい。
「…師叔……」
触れただけでも壊れそうだった。
それでも、抱きしめずには居られなかった。
自分の腕の中で声を殺して泣きじゃくる少女。
運命は容赦なく襲い来る。
「…僕は強くなります。もう、あなたが泣かなくていいように。苦しまなくていいように…」
翌日、少しはれた目を擦りながら太公望は溜まっていた書類に目を通していた。
「師叔」
「おお、ヨウゼン」
咆天犬から降り、一礼をする。
「その…夕べはすまんかった…」
「いえ…かまいませんよ。それよりも今度お酒を飲むのなら僕も誘ってください」
ヨウゼンは何もいわない。
太公望も何もいわない。
「では、師叔また夜にでも会いましょう」
吹き抜ける風。
空は青すぎるくらい、碧かった。
なんか続きを書きたい気分だったので書かせてもらいました。
明日も仕事なのに…ねろ自分(欝
グッジョブ!
姫昌と望の関係、新鮮で良かったです。
不覚にも・゚・(ノД‘)・゚・。
>168さん、どうもです。
この話はどうしてもKINO個人が書きたかった話で…
寝ようと思ったのですが萌え魂で寝れませんですた(゚o゚;
ようやく書きたいものを少しずつですが、書ける様になってきました。
>169さん、あああ、どうしよう。
今書いてるのは閑話なんで、軽く読めるようなやつです。
妲己、喜媚、他にもそれぞれを少し掘り下げて行きたくて…
ほんでKINOの風邪はまだ治りません。
どなたかよい治療法を…
異説封神演義
〜〜〜休息と準備,それぞれの現在と少し昔の話〜〜〜〜
姫発逝去から数日が経ち、もとの日常が訪れるようになってきていた。
相変わらず太公望は忙しく動き、軍師としての手腕を見せる。
「御主人、顔色が悪いっすよ」
「大丈夫じゃよ、スープー」
太公望は軍書全てに目を通す。あらゆる知識を用いて聞仲と対峙するつもりだった。
殷の太師、聞仲。
圧倒的な強さの前に己の非力さを痛感させられた一戦。
(わしらにはまだまだ力が足りぬ…)
太公望が目指すのは朝歌の無血開城。
(奢りだろうか…誰も失いたくはない……)
「師叔」
「おお、ヨウゼン。ちょうどいいところに…」
軍師とその補佐。
立場上から言ってもこの二人は親密な仲にあった。
兵の中で太公望が女だというのを知っているのはいるだろうか?
それくらい、編み出す兵法は見事なものだった。
「よう、かばっち」
「僕はかばじゃないっすよ!」
ぐりぐりと四不象の頭を撫でる。
「ああやってご主人とヨウゼンさんが並んでると結構お似合いに見えるっすね」
「…そんなこと無いさ。師叔には俺っちみたいなのがちょうどいいさ」
莫夜の宝剣を取り出し、構える。
「ヨウゼンさん、俺っちの相手してほしいさ」
「君とは一度手合わせしたいと願っていたところ。ちょうどいい」
「師叔、判定してほしいさ」
男のプライドと若干の下心でのぶつかり合い。
「御主人〜」
「まぁ、良いではないか。いい修行じゃ。わしも仕事がありすぎる」
男二人が戦うのに背を向けて太公望は再び群書に目を通し始める。
「太公望」
「こんどは発か。何の用じゃ?」
「これ、おまえのだろ?夕べ俺の部屋に忘れてったぞ」
小さめの眼鏡。
「ああ、すまぬ。探しておったのじゃが発の部屋に忘れておったか」
受け取って懐にしまいこむ。
「道服なんか着ないほうがいいって」
「そうもいくまい。わしが平服をきると誰もわしとは思わんだろうに」
太公望が笑う。
姫発逝去の後、太公望に笑顔の無い日が続いていた。
ようやく笑みがこぼれるようになり、活気も溢れてくる。
「発、おぬしも読まぬか?」
「あ〜、俺に勉強させたかったら床の中で教えてくれ」
肩を抱こうとした発の鼻先を三尖刀と莫夜の宝剣が掠めていく。
「天化、ヨウゼン、わしに当たるではないか」
「俺っち師叔は狙ってないさ」
「僕も太公望師叔は狙ってませんよ」
やれやれと太公望は頭を抱える。
よりにもよって仮にも王となるものを巻き込んでの色恋沙汰。
「喧嘩ならわしの目に付かんところでやってくれ。わしは考え事が山積なのじゃ」
四不象に飛び乗り、その場を去ろうとする。
「師叔!」
「夕刻までは帰る。それまで仲違えは直しておくのじゃぞ!」
時間はあるようで少ない。
自分が関与しなくてもどうにかなる事柄には太公望は触れない。
自分なしでも協議、解決が出来るようにあってほしいからだ。
(聞仲も妲己も勢力を増してくるだろう…時間は無いのだ…)
朝歌では妲己とその妹の喜媚が涼しげに窓辺にもたれている。
「姉さま、喜媚のスープーちゃんはやられり?やられり?」
「大丈夫、太公望ちゃんもスープーちゃんも無事よ、喜媚」
羽衣を纏い、さながら天女のつもりか妲己は優美に妖艶に笑う。
「喜媚、スープーちゃんと結婚するんだっ」
「そうねぇ、太公望ちゃんが居なくなったら喜媚の夢も叶うわね」
喜媚はヨウゼン同様に変化の術の使い手である。
傾世元嬢と如意羽衣の二つを同時に使いこなすほどの実力者。
「そっかぁ、喜媚、スープーちゃんのことが大好き!」
妲己は少し昔のことを考える。
今の身体に宿る前のほんの少しだけ昔のことを。
修行に明け暮れる毎日。
末喜の身体は崩壊寸前だった。
借体形成をしている彼女は身体を交換すれば良いだけの話だろうが、
それすら出来ないほどの崩壊速度。
(わらわもここまでなの…?せっかくここまで来たのに…)
末喜は瀕死の状態。
立ち上がる気力も、声を出すことすら出来なかった。
喉は切れ、血の感触が口腔を支配する。
爪は空しく地を削るだけ。
(こんなところで…死んでしまうの?)
じりじりと照りつける日差し。
耳鳴りとこだまするうわ言。
「女、そこで何をしている?」
目だけで声の主を見上げる。
精悍な顔つきの青年。瞳は凛として輝きを放っていた。
「声もでないか…」
動かない身体で手を伸ばそうとする。
青年はその手を取った。
「仕方ない、俺が拾ってやる」
膝下に手を回して抱き上げる。だらりとした腕を取り、胸の上に組ませた。
「名前は?」
「末…喜…」
「そうか…おれは栄燐」
人間とは妖怪にとっては単なる食料、糧のはずだった。
その人間に救われることなど考える由も無く。
弱りきっていた末喜の看病をし、世話を焼いてくれた。
それは末喜にとっての初めての経験であり、思いもよらない感情に気付かされる。
「栄燐、おかげさまで大分よくなったわ。ありがとう」
大きな手がくしゃくしゃと頭を撫でた。
「目の前で死なれちゃ夢見が悪いからな」
少し照れたような無骨な笑顔。
不思議な心地よさに彼女は陶酔した。
今まで感じたことの無いあたたかさ。
「そうやって笑って方がいい。せっかくの美人なんだから」
粗末なつくりの一軒家。宮中とはまるで別だったがそれでも何もかもが美しく見えた。
彼が居てくれる。
人と関わり過ぎたためか末喜は人に近い心を持つようになっていたのだ。
「わらわは…しばらくここにいてもいいの?」
「居たかったら好きなだけ居たらいいさ」
二人寄り添って離れないように。
寒い夜には暖めあって。
「ずっとここにいようかしら」
「そうだな」
一つのものを分け合う。
それですら新鮮な感覚だった。
雨の激しい晩だった。
冷え切った身体を寄せ合っていた。
「栄燐」
「おお、なんだ?」
「寒いわね」
「ああ」
末喜は自分の胸元に彼の手を導く。
「あったまるかしら、こうしたら」
「…………末喜……」
「寒いのよ」
人間の身体は不思議だ。
妖怪には無い感覚が働くらしい。
その手は豊満な乳房をゆっくりと揉んでいく。
肉の柔らかさは仙女のそれ。
人間の男が一瞬にして堕ちる恐ろしさ。
「あぁん…っ…」
先端を吸われて声が上がる。触れられば感じるのが人間の肉。
軽く歯を当て、舌先で転がすたびに末喜の体が蠢く。
「…ひぅ…んっ…」
腰を抑えられて、腹部を舌がなぞる。
舌先はそのまま下がり、彼女の肉芽を啄ばんだ。
「あああっ!…ひぁ…ん…!…」
ぴちゃぴちゃ淫音が響く。
舌は尚も肉の中に入り込み、末喜の身体を溶かしていく。
「…末喜……」
とろんとした瞳。溶けきった身体。
先端を当てられ、末喜の身体が震えた。
「あああああんっ!!!」
深く貫かれ、芯が狂うような感覚が襲う。
宮中に度々出入りし、歴代の王たちに抱かれてきたがこんな感覚は無かった。
体内で動く塊が末喜を追い込んでいく。
膝を折られ、より深くまで結合する。
不思議な充実感と満足。
堕ちることも、溺れることも、なにもかも。
自分が「人」ではない事すら忘れてしまうくらいに。
どれくらいの日々が過ぎていっただろう。
末喜はいつものように彼の帰りを待っていた。
しかし、いくら待てども彼は来ない。
雨の降りしきる夜。
凍えていないだろうか…落ち着かずに飛び出し彼を探す。
どれだけ探しただろう。
見つけた彼は冷たくなっていた。
身体は鎌で引き裂かれ、内臓が散り、見るも無残な姿だった。
「酷い…どうして…こんな…っ…」
冷え切った頭を抱きしめる。
夕べ抱いてくれたても、指も、もう動かない。
「なんだ、この女」
「高く売れそうな顔だ」
山賊は口々に末喜を揶揄する。
「あなたたちが殺したの?」
にやにやと笑うばかり。
「そう…あなたたちなのね」
末喜は笑った。
この世のものとは思えないくらい妖艶な微笑で。
末喜の姿がゆらゆらと霞み、光を帯びていく。
光の中現れたのは九本の尾を持つ銀色の巨大な狐だった。
赤く赤く光る眼。
爪が山賊の首を刎ね、臓物を掻き出す。
雨が静かに赤黒い血を流し、何も無かったかのように音を奪う。
人の姿に戻り、彼女は彼の身体を抱きーーーーーーーー
その肉を口にした。
目も。
耳も。
指も。
一つ一つの感触を確かめながら、骨の一欠けらまで残すことなく。
そして、自分が人にはなれない事を知った。
口の中を満たす血の味は甘く、そして、悲しい味だった。
(もう…人間に深くはいることなんてしないわ…もう…)
小指の骨は甘美な味がした。
彼女は泣きながら、彼を口にした。
雨が彼女の嗚咽を隠してくれる。
仙女の涙が呼んだ雨だった。
「姉さま?姉さま?」
「あら、ごめんなさいね、喜媚。どうかしたの?」
妲己はほんの少しだけ遠くを見た。
今はもう末喜ではないのだ。
自分の名前は蘇妲己。
殷の皇后。
(雨は嫌いよ…忘れたはずのことを思い出させるから…)
長いまつげが伏せる。
「喜媚はいい子ね」
「どうしたの?急に。姉さま」
(大好き…そう言ってあげたかったわ……)
もう、同じ過ちは繰り返さない。
妲己はそっと目を閉じた。
それぞれの現在過去未来シリーズです。
すこしだけ、本編からそれますが、書きたいので書かせてやってください。
本編を詰める作業もあれなのですが、
こういうのも書いてみたかったんで…
キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
>>181 OK。ヨロスコ
現在だらだらと続きを書かせてもらってます。
が…体調不良につき、ダウソ中です。
もし、削除対象になりそうなときは
適度に保守していただけるありがたいです。
その前に持ち込み出来るようにがんがるさ。
夏合わせの皆様もがんがってください。
まだ大丈夫だと思うけど、一応保守。
微妙に保守
異説封神演義
〜〜〜休息と準備、それぞれの現在と少し昔の話、其の弐〜〜〜
乱れきった王政を仕切りなおすかのように、聞仲は不眠不休で政務を行う。
仮眠もそこそこにあらゆる事柄を工面し、
失墜して久しい王家の威信を取り戻そうとしていたのだ。
「なぜ、そこまで殷にこだわるのですか、聞仲」
「道化か…私はお前とやりあうつもりは無いぞ」
「あなたのいいところは無駄なことはしないところですね。とてもよいことです」
雷公鞭を片手に申公豹は姜も朝歌上空を散策する。
太師府の聞仲は彼のいい話し相手だった。
「しかし、殷はもうよみがえりませんよ」
「……そんなことはない」
筆を休めることなく、聞仲は答えた。
「教えてくれませんか?なぜ、あなたがそこまで殷にこだわるのかを」
聞仲は元は殷の将軍であった。
若くしてその実力を認められ、当時の王家の殷王家の軍隊の筆頭に名を連ねるほどに。
そして、聞仲の同期で同じく将軍に登りつめた者がいた。
名は「朱氏」
殷王家唯一の女将軍である。
大柄な彼女は美しい顔立ちではなかったがみなぎる活力と、
あふれ出る生気は彼女に華を添えていた。
長い黒髪を一つに縛り上げ、長槍を片手で操るその動き。
武人とはいえ、目を見張るほど。
「聞仲くん、あたいたちはこの若さで将軍の地位に立ったわ」
「ああ」
「ずっと一緒に殷王家を守って行こうね!」
朗らかに彼女は笑う。
彼女の声は耳に心地よい。
それは青天の霹靂だった。
朱氏が皇帝に嫁ぐという知らせ。
「朱氏!」
「ああ、聞仲くん、どうしたの?」
べっ甲の髪留めを直し、彼女はいつものように笑った。
「王妃になるというのは…本当なのか…」
「………まぁ、あたい程の上玉を見逃せなかったことかしら」
彼女は少し俯く。
「一緒にこの国を守るという約束は…!」
「聞仲くん」
朱氏はゆっくりと口を開く。
「あたいは…戦場でも王の傍に居るわ。そして、王を…この国を守るの。
一番野蛮な妃になるのよ。武器は捨てない。武人の誇りも捨てない」
離れても、見つめる未来は同じだと彼女は言った。
「聞仲くん」
「朱氏…」
彼女はそっと聞仲に口付けた。
「朱氏!?」
「本当はね、あたい…聞仲くんに抱いてほしかった…でもね…王妃になるのは処女じゃないと…
価値が無いんだって…でも…」
「…………」
「聞仲くん、あたい、絶対に聞仲くんと過ごした日々を忘れないから」
それから聞仲は修行に明け暮れた。
体中が壊死するほどまでに。
その結果偶然にも体内に仙人骨が現れ始めたのだ。
「おもしろいではないか。おぬし、仙人になる気は無いか?」
「仙人…?」
壊死した指先がぱらぱらと崩れ始める。肉体が選択の余地を挟ませない。
「その前に王妃に一言断りたい…」
宮中に身支度をして聞仲は急ぐ。
身体は教主の力でかろうじてだが復元された。
「仙人界に?」
「はい。わたしには仙人なる骨ができかかっているらしいのです」
温和な表情の王は聞仲の申し出を快諾する。
殷にとっても有益であったからだ。
最も、聞仲に対する「信頼」もあったのだが。
「聞仲くん!」
その腕には赤子を抱いた朱妃。
「いろいろ勉強してきたらこの子にも教えてあげて頂戴」
「はい…朱妃」
仙界入りした聞仲はめきめきと力を付けていく。
わずかな年数であの「禁鞭」を使いこなせるほどにまでになっていた。
だが、彼は聞く。風のうわさを。
殷が辺境の民族姜族に襲われ、王都は壊滅状態だと。
(殷が…朱妃!)
取る物も取らずに彼は王都に走る。
焼け爛れた大地。転がる骸。
そちらこちらに鳥にでもやられたのか食い散らかされた肉片が散っていた。
肉の焼け焦げるにおいは吐き気を誘う。
心の弱いものには見せられない光景だった。
「朱妃!朱妃!」
「…聞…仲…くん…?」
瓦礫の下から聞こえるのは懐かしい声。
「朱妃!」
「…聞仲くんだ…あたい…がんばったんだけど…だめだった…」
「それ以上喋っては…」
「この…子は…次の王…殷を…頼むよ…」
「朱妃…」
「最後に…あたいを見てくれるのが…きみで…よかったよ…」
彼女はそれきり目を閉じた。
「朱氏!!!!!」
荒野にただ、男の声が響く。
聞仲と太公望。
解いていけばその因縁ははるかに上ることになる。
しかし、それは本人たちの意思とするところではなく、偶然の産物。
姜族の最後の血を持つ女。
殷の存亡を任された男。
皮肉にも運命は二人の道をこう分けたのだ。
「なるほど、あなたは確かに殷の親ですよ」
申公豹は窓辺に腰掛ける。聞仲はその隣で空を仰いだ。
「どの王もみな私を恐れ、慕ってくれた。いい王も居ればそうでないものも居た。
それでも、みな、私にとっては愛しい者たちだった…」
その血が受け継がれているのだから。
「そしてみんなあなたよりも先に死んでいったのですね」
「下らん話をした」
「いえ…今の私にはあなたの気持ちがわかりますよ…」
雷公鞭を一撫でする。
二人のため息が空に散った。
夜の帳も下りた頃、太公望は清酒片手に軍書に目を通していた。
兵士たちの能力も随分とあがってきてはいる。
しかし、まだまだ殷に対抗するには力が足りない。
あれこれと思案しながら仙人界から持ち込んだ書物にも手を伸ばしていた。
「呂望」
「…申公豹ではないか。何か用か?」
「……………」
何も言わずに太公望の体を抱きしめる。
「どうかしたのか?」
「…あなたに会いたかったんですよ、呂望…」
子供が母親にするように、申公豹は太公望に頬を寄せた。
「初めて他人が居なくなることを怖いと思うようになりました。あなたが立ち向かう男は
あなたを本気で殺そうとしてきます…決して手加減はしません…」
耳の奥、鼓膜に直に浸透してくる声。
「彼は殷の親です。あなたが周の母のように…彼は殷の父なのですよ…」
太公望と聞仲は根本的なところが似ていた。
自分以外への絶対なる忠誠。
自己犠牲精神。
形は違えと己の見るところの目線が同じなのだ。
「私は初めて嫉妬というものを知りました」
耳にかかる吐息。
「自分の中にこんな気持ちがあることを知りました」
それは彼女を抱いた男だけではなく、同じように未来を見つめる聞仲にも当てはまるものだった。
一度嫉妬の炎に焼かれれば其の火は骨まで焼き尽くす。
消えることなく、その身をじりじりと焦がしていく。
「申公豹…」
その頭を同じように抱く。
「お願いです。死なないで下さい…呂望…」
強く抱きしめられて、息が詰まる。
「わしは死なぬ…心配せずともよい…」
裸のまま抱き合って体温を確かめ合う。
互いの心音が感じられるように。
「この傷は…私がつけたものですね…」
指でなぞり、舌を這わせる。
古傷となって
今も尚、身体に残る傷跡。
まるで自分の存在を残すかのように、申公豹から受けた傷は消えずにあった。
「…んぅ………」
「…他の男にも同じ様に抱かれましたか…?」
「!」
柔らかく甘い胸に歯形をつける。
「…っつ…」
逃げようとする手を取り、指を一本一本口に含む。
引き抜かれるときの感覚と淫靡な音は聴覚から官能を直に刺激していく。
「…あなたを所有したいという気持ちは…私の我侭でエゴにすぎません…それでも…」
その手を自分の胸に当てる。
「あなたを思うことが苦しく、幸せに思えるのですよ…」
耳朶を噛まれ、息を吹き込まれる。
焦らす様に舌先が体中を這い、太公望の体温を上げていく。
「あっ…ふ…!!…っ…」
指先で中心を押し広げられ、強く吸われる。
肉芽を舌で突付かれ、太公望はその刺激に悲鳴に近い声を上げた。
逃げようとする足首を掴み、踝に歯を立てる。手と同様にその指を丹念に舐め上げ、
嬲って行く。
小指を噛み切りたい衝動を抑え、軽く歯を当てた。
「…いや…っ…」
真っ赤になった顔が愛しくて、窒息しそうな口付けを交わす。
誰に抱かれても、誰のものにもならないその純潔。
いくら手伸ばしても掴むことの出来ない風の護り人。
「…呂望…」
零れた蜜を指に絡め、まだ、未開発の窄まりに埋めていく。
「!!!」
嫌悪感に声も出せず、太公望は嫌だと頭を振った。
「…やめ…っ…嫌ぁ……」
進入は止まることなく、奥を目指してく。
苦痛に眉を寄せる姿さえも扇情的だ。
白絹の肌は桜色に染まり、浮き出た汗が寝具を濡らす。
身体は従順に反応し、申公豹の指を銜え込む。
「…いいですか…呂望…」
太公望は声を殺すために手で口を覆う。
申公豹の邸宅ならばまだしも、ここは西岐の宮中だ。
いつ誰が来てもおかしくは無い。
かといって申公豹がここで引くわけも無いのは太公望も知っている。
今、出来得る事は自分の声を殺すこと。
「…力を…抜いてください…」
湿った男の分身がゆっくりと侵入してくる。
身体は強張り、拍動が上がって行く。
目尻から零れる涙が痛みを無言で伝えた。
「…あなたを…殺したら私のものになりますか…?」
絡んだ身体は火のように熱くて。
「…それでも…あなたの魂は風の中に在るのでしょうね…」
どんなに強く抱き合っても、
身体を重ねても、
魂まで溶け合うことは出来なくて。
いっそ混ざり合って一つの固まりになってしまえればどんなにか幸福だろう。
「…申…公豹…」
痺れた腕を伸ばし、その身体を抱き寄せる。
「…今だけは…おぬしのものじゃ……」
苦痛に喘ぎながら、精一杯の笑顔を浮かべた。
肌一枚隔てての行為がもどかしくて、愛しくて、泣きそうな気持ちが込み上げてくる。
その眼が、喘ぎながらゆっくりと果てるのを飛びそうな意識を繋ぎとめて焼き付けていく。
一瞬だけでもいい、心も身体もぐちゃぐちゃに溶けたかった。
眠る顔をただ、見つめる。
額に浮いた汗をそっと拭って、張り付いた髪を払う。
出会った頃よりも少し大人びた顔は経験と戦いの中で培われたもの。
「…あなたがその気になれば、この世界はきっとあなたのものになるでしょうね…」
傾世元嬢。持つものに世界が傅くという宝貝。
「…あなたはそれを望まない…」
その眼が、唇が、声が、一つ一つが細胞を侵略していく。
甘く囁いて、二度と逃げることの出来ない蟻地獄のように。
女の身体は最強の武器。
男は知りながら溺れていく。
自分が溺れているとも知らずに。
「…起きてしまいましたか…?」
「…ん……」
少し辛そうに身体を寄せる。
芯に残る痛みはまだ、引かない。
「…なんだ…にやにやしおって…」
「いえ、あなたのことが可愛くて仕方ないのですよ」
「……もういい………」
少し膨れた顔で太公望はあきらめた様に胸に顔を埋めた。
「あなたを守りたい。聞仲からも妲己からも。あなたを傷つけるもの全てから」
「……………」
「この気持ちも私のエゴです。忘れてください」
「…口に出して言われたことを忘れるのは…難しいことだぞ…?」
大きな瞳が見上げてくる。
「あなたがこうしていてくれるだけでも、幸福なんです」
「わしにはおぬしらの気持ちが分からぬ…」
少女と女の間で彼女は揺れ動く。
「きっとこの気持ちを愛と言うのでしょうね」
「…寝る……」
それでも申公豹は笑みを消さなかった。
一瞬だけでも全てを曝け出して身体を預けてくれることが嬉しかった。
太公望が目を覚ましたときにはすでにその姿は無かった。
卓上に詰まれたばかりであろう花と、丸薬。
「…薬を置いていくくらいなら…抱くな」
そういいつつも身体はまだ悲鳴を上げている。
歩くたびに軋むような痛みが脊髄を走り抜けていくのだ。
「…っ〜〜、飲むしかないかのう…」
包みから一つ取り出し、口に入れる。
想像していた苦味は無く、甘い糖衣のような味が口に広がっていった。
「…わしが苦いものは好かぬとしっておった…?」
水で流し込み、何事も無かったかのように着替え、いつもの顔を作る。
(変に優しいところがわからぬ男じゃ…)
髪を縛り頭布で押さえつけ、何も無かったかのように政務に向かっていった。
「どうしたの?にやけて」
太公望の様子を一通り観察してから申公豹は朝歌に向かっていた。
「いいんです。私は今幸せなんですよ。黒点虎」
西岐上空は今日も快晴。
一人幸せそうな仙道の姿が浮かぶだけ。
本日もぎ取った休暇で病院に行ってまいりました。
疲労蓄積で薬も効かないような状態だったらしいです。
そしてようやく投下作業ができました(´∀`)
書き進める作業は楽しいですが、体調不良のときは
書けないもんですね…やっぱり。
それでも書きたいのは萌え故に。
皆様も風邪には気をつけてくだちい。
それと、保守してくださった方ありがとうございます。
なるべく堕ちないようにKINOもがんがりますんで、
よろしくお願いします。
他の職人さんも来てくれないかな…
お。続きだ―――!
乙です。なんだか申公豹が一歩リード?ニヤニヤ。
聞仲×太公望が早く見たい。体、お大事に〜
KINOさん、他のスレでもお見受けいたしております。がんばってくださいね。
さて、王貴人と太公望モノを書いてみました。
ちょいと長いので、2回にわけてうpしようと思いますが、よろしいでしょうか?
>GBHさん、
KINOもお見受けしております。そのうち官スレにも投下させていただきます。
かなり期待して待ってます(´∀`)
KINOのはすでに太公望に在らずという悲しさ…
蓬莱島の中で、一人の女が不服そうな顔をしていた。
そこに中学生くらいの年齢の女の子が飛び跳ねてきた。
「どうしたの?貴人ちゃん☆」
「喜媚姉さま……なんでもないです」
明らかに姉と妹が逆転する見た目の女性二人。
彼女たちは、本当は妖怪なのである。
人間の形をしている時の見た目が逆転しているだけなのだ。
「嘘嘘、なーんか隠してりっ☆」
鼻先に人差し指を向けられて、たじろぐ王貴人。
「なんにも!隠して……隠してなんかいません!」
語気強く返す王貴人に喜媚は首をかしげ、やがてうなずいた。
「太公望ちのこと、考えてるんでしょ?」
「ちが、違いますよ!」
根が素直なのだろう、顔を真っ赤にして否定する王貴人はどうみても
言っている言葉とは逆の気持ちが見え見えだ。
「ふふーん、喜媚はお見通しなのだっ☆」
そういうと太公望の姿に変化して、顔を王貴人に近づける。
喜媚とわかっていても太公望の顔が目の前にあって思わず顔を背ける王貴人。
「姉さま、遊びがすぎます!」
「ごっめーん。でもやっぱりそうなのねっ☆」
喜媚は変化をときながら、両手を上下させる。
王貴人は顔をそむけたま、口をへの字にした。
強がりをする彼女らしい態度だが、目には切なさがゆれていた。
喜媚は、しばらく様子を見ていたがかける言葉をうかばくなり
来たときと同じように跳ねていった。
女禍との戦いが終結したときに、太公望は姿を消した。
最後に包まれた光とともに太公望は、消え去ってしまったのだと王貴人は思った。
彼女は太公望と出会い、負け、リベンジを心に誓った。
しかし、再び太公望とあったとき戦った相手はナタクと呼ばれる宝貝人間で
彼女はそいつにも敗れた。
因縁の相手であった太公望と戦うことすらできなかった王貴人は悔しかった。
次々と力を身につけていく太公望と戦い、
まして勝つことができるわけがないと分かったにもかかわらず、
彼女は彼と相対したかった。
その気持ちの意味に気づいたときには、彼はこの世界から姿を消していた。
いなくなった彼を想っていても仕方がないのは分かっている。
それでも王貴人は、どこかに彼がいる気がしていた。
そんなある日のこと、太公望を主人と慕っていた四不象があわててヨウゼンのところへ
行くのを見た。
蓬莱等の教主となっているヨウゼンになんの報告か、普段なら気にもとめないことなの
だが
不意に気になって部屋から出てきた四不象を捕まえた。
「王貴人さん、なんスか?僕はすぐにでかけるッスよ」
「ごめん、でも何があったの?」
「ご主人が生きていたッス!
武王さんのところにひょっこり顔を出してまたブラブラどっか行ったらしいッス!」
「!!」
王貴人の胸に暖かいものがこみあげてきた。
その泉にひたる前に、四不象が声をかけてきた。
「それじゃ、もういいッスか?」
「ええ、ありがとう!」
「じゃ、これから探しに行くッスよ!」
飛び去る四不象。
それを見届けると王貴人は私室へと戻り、一応の身支度をした。
『太公望が生きている!』
彼女の胸のうちには彼に会わなければ、という確かな想いが水晶となっていた。
206 :
名無しさん@ピンキー:03/06/12 01:43 ID:1I7s0lgf
中国大陸では、さして珍しくない岩の切り立った山々。
その間を流れる川で釣りをしている男がいた。
釣り竿から垂れた糸には、直針がぶらさがっておりそれでは魚を釣ることはかなわない。
彼は日の当たる岩の上でその針をたらしながら、半分寝ていた。
「太公望!見つけたわよ!」
突然、大きい声で自分の名を呼ばれ釣り竿を落とす男、太公望。
「見つかってしまったのう」
釣り竿を拾い上げ、糸を竿に巻きつけながらたちあがる。
そして、声をかけてきたほうへ顔を向けるとそこには王貴人がたっていた。
「王貴人ではないか。まだリベンジがしたいのか?」
つかつかと近寄ってくる王貴人の顔は怒っていた。まるで、その奥の顔を隠すために。
太公望の前にまで近寄ると彼女は平手打ちを彼の頬にあびせた。
「みんな……、心配しているのよ!なんで、こんなところにいたのっ?!」
叩かれた頬に手を当てながら太公望は無言だ。
「四不象も、武吉くんもヨウゼンも……みんな、みんな死んだと思って……!」
叫びながら外れた心のタガは王貴人の目から涙を流させていた。
「私だって……!」
太公望の両肩に両の手を乗せて泣く王貴人。
膝から崩れ落ち泣いている王貴人の肩を太公望はそっと包む。
「すまかったのう。しかし……、わしはもう戻らんよ」
肩をしゃくり、泣いている王貴人の背をなでながら太公望が続ける。
「人間界にはわしはもう必要ないし、仙人界もヨウゼンや他の者たちがいれば十分であ
ろう。
わしは力を持ちすぎてしまったのだよ。力をもちすぎたものは、いないほうがよい。
わし自身が第2の女禍にならないとはいいきれぬ」
顔をあげ、涙でぬれた瞳で太公望を見つめる王貴人。
「そんなこと……」
「ないとは、言いきれぬよ。王天君を知っておろう?
あれも確かにわしの一部なのだ」
王貴人は太公望の意志の固さを感じ、「戻ってきて」と言えなくなってしまった。
王貴人はまだ肩を少し震わせていたが、彼は背中をなでる手をはなしてたちあがった。
キュっと王貴人が唇を結んだ。
「待ってよ!」
王貴人のほうを振り向く太公望。
「!」
その唇に重なったのは王貴人の唇だった。
「なにをする?!」
目を見開く太公望。王貴人の目には決意の色があった。
「わからないなんて、言わせないわよ!……どうしても、どうしても行くならっ……
もう会えないなら……」
太公望の口腔の中に自分の舌を這わせ、彼の手を自分の胸元へのせる。
「んんー!」
よせと、言いたいのであろう太公望の意思を置き、彼女は手で太公望の雷公鞭を刺激しはじめ
ていた。
太公望のみであったときはまるっきりそういった欲も欠如していたため、いきなりの刺激に彼
の体は敏感に反応した。
すぐさま、稲光を出さんばかりの堅さになり顔は上気しだした。
「抱いてよ……こんなに、なっているんだし」
「こんなになってるって、したのはおぬしだろーが!」
しかし、太公望もこうなったら開き直る性分だ。ふーっ、と息をついてニヤリと笑う。
「気持ちに応えてやることはできた。
しかし、会えなくなっては哀しませてしまうのではないかと思ったのだ……。それでもいいの
か?」
王貴人は、すべてを納得した表情でうなずいた。
互いに身に着けているものをすべて脱ぎ、裸となった二人は抱き合った。
「あん……」
太公望の手が王貴人の胸を、やわらかくなぞる。時折、乳首を人差し指で押す。
ももを食らうように彼女の乳首をあまがみして、ちいさな傷を舌でこする。
「や……んん……」
王貴人も、太公望の雷公鞭を手で包み手を動かす。
太公望のソレはすぐさま稲光が前からちろちろと出てきた。
「ん……お……」
太公望の敏感な雷公鞭は、もう稲光を先からとめどなくあふれ出し爆発しそうだ。
その様を見て王貴人は自分の秘部を太公望の顔にのせ、自分は彼のソレを口に含んだ。
「うっ!」
とたん、彼女の口の中に射精される稲妻。
彼女が稲妻を飲み干そうと舌と頭を動かすたびに、彼の先から放出する。
「んぶぅ……!」
出続ける稲妻が口に収まりきらず、唇の端から糸を作った。
「ハァ……すごい量ね。まだ、全然平気そうだけど……。ねぇ、私にも……」
身体を走り抜ける快感に身をゆだねていた太公望だが、
目の前にある秘部を舌でスゥッと舐めあげる。
「んんっ……ぁん……」
舌の先で彼女の入り口を強く、弱く、早く、ゆっくりと刺激していく。
「いや……じら…さないで……ハァッん!」
二人は互いの本能を燃えあがらせる場所を舌で確認しあった。
液体のまじりあう音。
再び太公望の雷公鞭が、硬さをもどすと王貴人は身体を起こして太公望の方を向いた。
顔を太公望に近づけ、口づけをしながら仰向けになった太公望の先を挿入していく。
「ああっ……」
彼女の中に彼が入っていく。
互いの出した液体はお互いを受容するために十分で、
彼女の奥深くまで雷公鞭は入った。
王貴人の中の心地よさに、彼のソレは動くほどに怒張した。
王貴人の形のよい胸が目の前ではずむさまが、それに拍車をかける。
二人が身体を動かし、一つである時を感じていた。
喜びと悦び。最初で最後の同化。
その悲哀が二人を単純な肉体的な頂点を超えさせた。
溶ける意識に二人は身を泳がせた。
「王貴人っ……わしはっ!」
グッと王貴人の身体を引き寄せ、口の中に舌を入れて腰を大きく動かす。
「んん……あああっ!!」
弾けた雷光はひたすらに大きく熱くほとばしった。
「のう、王貴人。その」
太公望が罰が悪そうになにかを言おうとする。
わかりきった表情で王貴人が答える。
「みんなには、会ったことを秘密にしてくれっていうんでしょ?」
彼はうなずき、頭をすこしかいた。
そして、すこし真剣な顔をして、
「それではのう。おぬしのことは忘れぬよ」
「当然よ。忘れたりしたら承知しないわ!」
右手で拳をつくって、すこし振るような仕草をする。
「こわいのう。……それでは、な」
そういうと太公望は、交わっている時に数度も交わした接吻よりも
かすかなそして深い口づけをした。自然、目を閉じる彼女。
なくなる感触。
王貴人がその余韻から目を開けたときに、もう彼の姿はなかった。
上空から舞い降りる声。自分の名を呼んでいる。
四不象と武吉が降りてきたのだった。
一応、これで〆です。一括でのせちゃいました。
206は凡ミスです。
広告書き込まれたらごめんなさい!
では、ここらでお暇しますね。
>203-211
雷公鞭(・∀・)イイ!!
213 :
名無しさん@ピンキー:03/06/12 07:10 ID:vl/aF//q
>GBHさん、
落とし方が凄く好きです(´∀`)
あちらのスレでの作品もひそかに好きです。
また、書いてください。待ってます(・∀・)
異説封神演義
〜〜〜休息と準備、それぞれの現在と少し昔の話、其の参〜〜〜
「かばっち師叔見なかったさ?」
「御主人なら天祥くんとナタクさんとお風呂に入ってるっす」
四不象は太公望の着替えを手に浴室に向かう。
「なら俺っちも混ぜてもらうさ」
「だめっす。御主人にも言われてるっす」
「なんでさ」
「天化さんとヨウゼンさんと武王さんは近付けるなって言われてるっすよ」
天化は銜え煙草で苦笑いを浮かべた。
(読まれてたってわけさねぇ…さすがは師叔…)
天祥もナタクも風呂に入りたがらない。
太公望は隙を見てこの二人を風呂に入れることを念頭に置いていた。
母を亡くしてしまったもの。
母を遠くに置いているもの。
共通して「母性」に飢えていた。
もっとも、この二人を入浴させるという行為は疲労と徒労を併発させるのだが。
湯煙と右手に天祥、左手にナタクを抱えて太公望ははぁはぁと肩で息をしていた。
暴れる二人の全身を洗うというのはそれだけでも重労働だ。
「おぬしらと風呂に入ると疲れが増す…」
「太公望、お母さんに少し似てる」
天祥がにこにこと笑う。
「ナタク、天祥、湯冷めしないうちに寝るのじゃぞ」
ナタクの髪のしずくを払う。
「なぜ俺にこんな風にする」
「単なるおせっかいじゃ。不潔にするよりはよいじゃろう?」
二人を寝室に送り、寝かしつけるまでが太公望の仕事。
「おやすみ、太公望」
「うむ」
静かに部屋を抜けて、自室に向かう。
回廊を月明かりが照らし、影が長く伸びる。
「師叔」
「天化。稽古帰りか?」
「ん…」
胸下まで伸びた髪。指を抜ける感触が心地良い。
「おぬしも風呂にでも入って疲れを取ってきたらどうだ?」
「師叔が一緒なら入るさ」
天化も風呂好きなほうではない。むしろ天祥の兄とも言うべき程に。
「言うたな。ならばわしも入ろう」
「本気さ?師叔」
「無論」
天化の手を引く。着替えを取って浴室に入り込んだ。
「ちょ…ちょっと待つさ!師叔!」
「今更何を言うか」
手際よく衣類を剥ぎ取り、勢いをつけて浴槽に押し込む。
頭から湯をかけられ、息をつく間もないほど。
「そうしておると少し子供にも見えるのう」
けらけらと笑う太公望の手を掴む。
「師叔も入るさ」
「少し待て」
組み紐で髪をまとめ、縛り上げる。
うなじのあたりのほつれた髪に湯気があたり、雫になっていく。
黒髪に赤い紐は鮮やかで、目に眩しい。
とぷんと湯船に入り天化の方を見る。
いつもならば天化の方が押しが強いが、今は形勢逆転しているのが面白い。
「水濡れになると弱るのか?天化」
「んなことも…って師叔!?」
悪戯気味に天化の頬に唇を当てる。
その唇を首筋に下げて、軽く吸い上げ、小さな痕跡を残していく。
「お…俺っちもう出るさ…」
「逃げるか?天化。天祥よりも早いぞ」
「に…逃げないさっ!」
太公望の唇は尚も天化を責め立てる。
湯の熱さと身体の熱さが混同して、眩暈に似た感覚を引き起こす。
「師叔」
胸元にあった手を引き寄せて、下のほうに。
「どーせならこっちも触ってほしいさ」
指が絡みつき、ゆっくりと扱き出す。
徐々に硬度が増してくるのが、手の中でも確かめられた。
天化の手が乳房に触れて、柔らかく揉みしだいていく。
「師叔…気持ちいいさ?」
指先が乳首を摘み、太公望のこちから吐息が零れる。
そのまま指先を秘裂に落とし、空いた腕が腰を抱く。
「…天化…やめ…」
「嫌さ。止めない」
楕円を描くように揉まれた乳房が天化の掌の中で熱くなってくる。
「師叔…」
貪る様に重ねた唇が離れるとつっと糸が引いた。
強く抱き寄せると柔らかい胸の感触が胸板越しに伝わってくる。
耳元に唇を当てると太公望は真っ赤になりながら身を捩った。
「…や…んっ……」
密着した身体。
「なんか…師叔もそーやってると…子供みたいさ…」
道服を纏えば軍師に、髪を解けば娼婦に。
(なんか…本当にイケナイコトしてる気分になってきたさ…)
太公望の肉体時間は十四、五あたりで止まっているように思える。
髪を下ろすか、頭布で押させているときはそれなりに見えるが、
こんな風に髪を纏めていると意外なほどに童顔が目立つ。
「…わしは天化よりも年上じゃぞ…」
「俺っち年上好きだから」
腰を軽く浮かせて、一息につなぎ合わせる。
「っ!!」
不安定な身体を支えるために天化の首に抱きつく。
足首を掴んで少し強引に繋げて深度を上げる。
突き上げるたびに太公望の身体は軋み、嬌声を放った。
噛み付くように唇を吸って。
熱にでも犯されたように舌を求め合って。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
舌を絡めたまま、強く突き上げる。
「…っ…師叔…」
天化の奔流を受け止めるころに、唇はようやく開放された。
その後、のぼせ上がった天化を同じくのぼせた太公望が引きずるように自室に運び、
打神鞭で風を作って身体を冷やしていたのを知っているのは四不象だけであった。
当然のように翌日二人揃って風邪を引き、
天化は太乙真人の妖しい薬を飲まされることに。
一方太公望はヨウゼンと発の手厚い看護に少し辟易するほどだった。
「うっかり風邪もひけんのう…」
ヨウゼンが林檎をむく手を止める。
「どうして二人揃って風邪なんか引いてるんですか」
「それは……」
言いかけて太公望は布団の中に潜り込む。
「師叔!」
「賑やかだよねぇ、相変わらず」
「……………」
西岐城の上空、申公豹は雷公鞭を構える。
「まさか、雷公鞭を使う気?」
「ここで使えば呂望を巻き込みますからね。そんなことはしませんよ」
三本ある房の一つを指で撫でる。
ぴりぴりとした小さな雷華が生まれ、一筋の光になってヨウゼンの手首を直撃した。
「そんなことも出来るんだ」
「ええ、威力は弱いですが牽制くらいにはなるでしょう?」
にやりと笑う申公豹とやれやれといった風情の黒点虎。
宮中ではヨウゼンが焼けた手首を摩っている。
(申公豹だな…相変わらずに暇なやつじゃのう…)
同じくため息の太公望。
戦火の前のほんのひと時の安らぎ。
そして、日常だった。
現状での三角関係?厳密には四角でも五角でも
あるような…
軽いものが書きたかったのと現在魔家四将のところでつまずいてるので
気分転換にかかせてもらいました。
書ける限り書く、書けなくなったらそのときに考える。
そんな風に思ってます。
今のところ再燃した萌え魂があるんで大丈夫です(・∀・)
前から思ってたんですが、
KINOさんの書く望って、頭布を取るとどれ位の長さなんでしょうか?
髪を下ろした望タン萌えー(・∀・)
>222さん、
望の髪の長さは仙界脱出時がコミックスの太公望、
朝歌篭絡のあたりが肩に付くくらい、
VS聞仲のあたりから胸の辺り、
現在が胸下くらいです。
途中で断髪が入るか入らないかは未定ですが、
望ちゃんも女の子ですからねぇ(・∀・)
がんがって続き書いてますので。
224 :
名無しさん@ピンキー:03/06/13 22:34 ID:f5nTgnXu
レスをくれた方々ありがとうございます!
また書けそうだったら投下しますね。
KINOさんは長編をかけてすごいと思いますよ〜。
尊敬するっす。
馴れ合いとか書かれるとご迷惑がかかるのでレス不要です。
ほしゅ
227 :
七誌読者:03/06/15 01:55 ID:mTLfaOLM
KINO様
いつも楽しく拝見しています。
すっごく、作り方が丁寧で、まさに「外伝」にふさわしい。
エロな部分もきれいなつくりで(私は女性故、ロマンチックな表現が好きなのですが)
今のところ、申公豹との絡みが一番好きです。
KINOさんて、ほかのスレでもお見かけしますけど。
すっごいわがまま言わせてもらえば、続き、めちゃ気になるので、
少しここを拠点にして書いてほしい気も・・・
GBHさま
ステキです。これはこれで、濃密で、読み応えがありました♪
これからも期待しています!
保守サンクスです(・∀・)
番外編をもう一本書いてます。本編を読みやすく出来ると
いいのですが…
>GBHさん、また、お待ちしてます。
>七誌さん、
ありがとうございます。今のところここに居ますので(w
某スレはKINOも現在ROMになってます。
こっちメインで書いてんるんで他にまわす気力がないってのも
あります(・∀・)
異説封神演義
〜〜〜休息と準備、それぞれの現在と少し昔の話、其の四〜〜〜
妖怪仙人には原型がある。例えば妲己の狐。喜媚の雉というように。
岩石や鉱石も年月と共に妖気を帯び、仙人になることも在るという。
それが人の想いや念のこもったものであれば尚更だ。
石琵琶の仙人もそう。
元は天竺渡りの高僧が大事にしていた石琵琶だった。
幾重にも刻まれた独経はいつしか琵琶に魂を吹き込んだ。
それが「王貴人」である。
太公望によって一度は元の琵琶に戻された彼女。
必要なのは休息と大地の香気であった。
「さぁ、時は来たわ…石琵琶よ、王貴人の姿に戻るのよ」
霧の中、揺れるのは王貴人の姿。
「おのれ太公望!!!!」
殺気みなぎるその眼。
「姉さま!太公望はどこ!!??」
「あらん、貴人ちゃんそんな怒っちゃ駄目よ。いずれ会えるわ」
妲己は笑う。
何もかもが自分たちの思うままに動いているのだと。
西岐城では太公望が桂華茶片手に考え込んでいた。
聞仲の殷に対する執着。
それだけではない何かがあるはずだと。
「やはり直談判しかないかのぅ…聞仲も馬鹿ではないなら話くらいは聞いてくれるだろうし」
茶香りを身体に纏わせて太公望は道服の紐を解く。
普段着慣れぬ姜の頭領の衣装を見に纏い、結い上げていた髪を解いた。
黒髪に丁寧に櫛を入れ、薄付きの紅を唇に。
「御主人、どうしたっすか?別人みたいっす」
四不象がよって来る。
「おお、スープー。これから人に会いに行こうと思うのじゃ」
「おしゃれして誰に会うっすか?」
「聞仲じゃよ」
四不象が凍りつく。
「ご、御主人!!??本気っすか?!殺されるっすよ!!!」
「姜族頭領として面会に行くならばやつとて手は出せまい。これでもわしは…姜の
最後の血脈をもつものじゃからのう…」
少し伏せた目には昔のことが過ぎっていた。
両親も兄弟も一族の皆も、妲己によって奪われた。
頭を振って打ち消す。どう嘆いても帰ってはこないのだ。
何度悪夢にうなされようとも、この現実を打破しない限り何も変わらない。
「さて、スープー。朝歌に向かうぞ」
「御主人〜〜〜〜」
不安がる四不象を宥めて朝歌へと向かわせる。
艶やかな髪をなびかせる姿は道士というよりも仙女に近かった。
姜族頭領の伝統服は濃紺の糸で幾重にも織られている。
同色の糸と白が織り成す刺繍が美しい。
「申公豹。太公望が居るよ」
黒点虎の目が彼方を見る。彼の瞳は千里眼。
「呂望が?」
「こっちに来るよ」
「なら、迎えるだけですよ」
同じように視界に入る姿。
「申公豹」
「そんな姿でどこへ行くのですか?」
「朝歌にじゃよ。聞仲と話をしにな」
自分と居るときには見せない姿に申公豹は少し嫉妬した。
「道士ではなく、姜族頭領としてならばあやつも手は出せまいて」
「しかし、四不象に乗っていれば道士とみなされますよ」
「う…しかし、他に移動手段が…」
「私が朝歌まで送りますよ。あなたに貸しを作りたいですしね」
黒点虎の背に移り、申公豹の腰に手を回す。
「しっかり掴まっていてくださいね」
黒点虎は朝歌目指して空を駆けていく。
「そうしている方が、綺麗ですよ」
「道士であることを辞める訳にもいくまい」
「いえ…あなたはどちらにしてもその魂に惹かれるのかもしれませんね」
「おぬしの言うことはよく分からぬ」
「いいんですよ。私一人が楽しいことですから」
背中にしがみ付き、やれやれとため息をついた。
聞仲は禁城の太師府で雑務に追われていた。
紂王が政権を放棄しているのに近い今の状態の中で聞仲が政権を占める割合は
多く、今や殷を動かしているのは実質聞仲だといっても過言ではない。
「聞仲、あなたにお客ですよ」
「道化、私にはそんな暇はない」
聞仲の声を無視して申公豹は太公望を太師府に降ろす。
「呂望、何かあったらすぐに迎えに来ますから。ここでのことなら大概は私にも見えますし」
「…!!太公望!」
禁鞭を手に聞仲は太公望に対峙する。
「聞仲。まずはわしの話を聞いてはくれぬか?わしは今は道士としてここに来たのではない。
姜族頭領の呂望姜子牙として会いに来たのじゃよ」
太公望は一族の代表として殷の太師に会いに来たという。
そういう理を持ってきているものを討つのは聞仲の持論に反する。
太師として迎えなければ道士としても失格となる。
太公望は聞仲の性格を見抜いての行動だった。
太公望と聞仲。
人間対人間としての対話。
お互いがお互いの心中を少しだけ見せ合う。
「相容れぬか…」
太公望は胸の前で手を組み合わせ、ため息をついた。
互いに譲れないもののために戦う。
「そのようだな…」
敵にするには惜しい逸材。組めば敵など無いに等しいだろう。
吹き込む風が太公望の髪を書き上げる。
まとわりつく黒髪を指先が捉え、いつもの癖で後ろに回してしまう。
それは聞仲が昔見た光景でもあった。
「…朱氏……」
同じように豊かな黒髪をなびかせて戦場を舞っていた彼女。
伸ばした手が掴んだのは似て非なる女。
「聞仲?」
怪訝そうな瞳。
「……………」
柔らかい首に沈む指。
それは猫の首を絞めるような感触に似ていた。
「…っ………」
振りほどこうと聞仲の手に指をかけるが、それも途中でやめ、目を閉じた。
ちからなくだらんと下がる腕。
いっそ何もかも放棄できたら………そんな気持ちがいつもどこかにあった。
このまま死ねたならば誰にも何も言われない。
大義名分。言い訳。死人に口無し。
「なぜ…抵抗しない」
「…殺したければ殺せばよい……」
薄っすらと太公望の唇が笑う。
それは妲己以上に妖艶な微笑で。
恐ろしきは無意識のうちに生み出される誘惑。
「好きにすればよい…わしは…疲れた…」
空気が止まる。
沈殿する呼吸と鼓動。
「締めぬのか?」
「……………」
打ち付けるように太公望を床に倒す。
強かに腰を打ち、太公望は少し顔を顰めた。
そのまま、強引に唇を奪う。
「…っ…!!…」
驚いたのは互いにである。
聞仲自身、己の行動の意味が分からなかった。
(私は一体何をした…?相手は仮にも敵の軍師だぞ…)
「聞仲…」
口を封じるかのように、もう一度。
子供同様の少女の身体は、どこか艶かしく、未完であるが故の美が在った。
人形のように抵抗の無い身体。
男は人形を扱うかのように少女を抱いた。
少女も抵抗するでもなく、受け入れるでもなく、ただ、されるがままに抱かれた。
生温い空気が支配する。
「……気は済んだか?」
「…………」
「おぬしが抱いたのは今の殷と同じだ…抵抗する力が無い。抜け殻に等しい…それでも
満足であったか?反応の無い身体を抱いて、良いと思えたか?」
散った衣類を身に纏い、太公望は息を整える。
「次におぬしと会うときは…敵同士になるのじゃな…聞仲…」
「…そうだな…」
道は分かれたまま。
少女と男は出会ってしまっただけ。
そして、ただ、それだけの事。
西岐城に戻り、太公望はぼんやりと空を見上げていた。
こんな気持ちのときに思うのは過去のことばかり。
何も考えずに、未来は当たり前に来るだろうと思っていたあの頃。
そっと秘めた想いのあの人。
叶わずに、掬っては零れる砂のような思い出ばかり。
「師叔、風邪を引かれますよ」
「もう少し、こうしていたいのだよ…ヨウゼン」
星も無く、月も無い空。
「わしは…弱いのう…だが、力だけが全てには思えぬのじゃ…」
「師叔…」
「過去に囚われてはいかんな…」
少しだけ、悲しげに笑った。
「風が冷たくなってきましたね…」
後ろからそっと包み込むように抱きしめる。太公望の身体はヨウゼンの腕の中に
収まるほどに、細く、頼りない。
それでも、戦の時に見せるその強さと凛々しさ。
「部屋に戻りませんか?本気で風邪を引いてしまいます」
「…おぬしの部屋に行ってもよいか?」
「師叔…」
太公望が他人の部屋に夜に入ることはまず無い。
例外がこのヨウゼンだった。
太公望の補佐に回る天才。この道士を太公望は信頼している。
それだけでも十分なはずなのに、欲はキリが無い。
信頼だけではなく、もっと他のものも欲しいと思うのだ。
「ヨウゼン、わしはどうしたらよいのだ?」
「師叔…」
「おぬしは本来はわしなどに付くべきでは無い…わかってはおるが…」
少し困ったように笑った顔はあどけない。
ヨウゼンの合わせの紐を解いていく手。
「少し、甘えさせてくれ……ヨウゼン……」
時折見せる弱さが何よりも愛しいと思える。
額に降る口付けを受けながら太公望は指先をヨウゼンの腹部に這わせた。
舌を絡ませて、口移しで息をしあう。
角度がずれた時にだけ許される呼吸。
ヨウゼンの長い髪に指を絡ませて、抱き寄せる。
乳房に残る傷跡。禁鞭がつけたその傷は聞仲の強さを無言で語る。
(僕は…もっと強くならなければ…この人を守れるように。守られるだけじゃなくて…
この人を包めるように……)
「…んっ……」
白い肌に赤黒く残る傷跡。
その傷に重ねるようにヨウゼンは自分の足跡を残していく。
「師叔…」
手首を掴んで身体を反転させる。
寝台に胸を付かせるような格好。
膝を突かせて、頭を寝台に着かせる。
「…ヨウゼン…この格好は……」
不安と羞恥に染まった顔が、心の奥の暗いところを刺激する。
支配、征服、服従、従属。
「あなたの全部が欲しいんです…」
背筋に舌を這わせる。
「…あっ…ぅ…」
耳朶まで赤く染める姿が扇情的で。
後ろから抱きしめて、貫く。
「あああっ!!!」
腰を抱いて、突き上げる度に太公望の身体が軋む。
子を孕めない行為に意味を見出すことはいまだに出来ないまま。
そでも、その行為に嫌悪感はなくなってきていた。
体温が伝えてくれる気持ちがあることも知ったから。
「あ…っ…ああ…!…ヨウゼン……」
そのまま体位を座位に変えていく。
「ぅあ…!…んんっ…!!」
「…師叔…っ…」
身体も心も熱くて、全部飲み込みたいほど欲しくて。
でも、本当に欲しいものはお互いに掴めにないこともしっているから。
ヨウゼンの腕を枕に太公望はその身体を横たえていた。
「ヨウゼン、わしはどうすればいいのだ?」
指先で落ちてくるヨウゼンの髪を絡める。
「もし、この計画が終わって、何もかもが終わったら、どうすればいい?」
「…そうですね…そうしたら一緒に仙人界に戻って隠居でもしますか、師叔」
「それもいいかもしれんのう」
いつまでも、このまま笑っていられたなら。
いつまでも、この時が続くのなら。
「おぬしと居ると楽でいいのう…わしは何もせずとも物事が動く」
寒いのか、太公望はヨウゼンの身体にぴったりとくっつく。
空いた両手でその身体を抱きしめた。
「それとも、いっそ道士など辞めてしまいますか?」
「それもいいかもしれんのう」
何もかもが雲を掴むような話で。
それでも、つかの間の幸せに酔いたかった。
逃げることの出来ない運命は、すぐそこまで来ているのだから。
とりあえず、外伝はここで一度終了でようやく本編に入ります。
のそのそと書かせていただきますので…。
そして、本棚見たら17巻だけが無い事に気付きました…
買ってきます
聞仲ともいいけどヨウゼン太公望に激萌えしますた…(*´Д`)ハァハァ
個人的に今日は色々あって結果的にいい方向に落ち着いただけでも
よかったのに、極め付けにこれがきた。
嬉しい事です(*´Д`)またおながいします。
昔、太公望が女でメイドでロリでうさぎなエロ小説があったんだけど
あれはもうないのかなー。
>>241 「太公望が女でメイドでうさぎ」な小説、
一般サイトでなら見かけたことあるような気がする…
243 :
名無しさん@ピンキー:03/06/17 12:56 ID:b2FkzyqV
244 :
名無しさん@ピンキー:03/06/17 13:01 ID:OZk5/zkD
 ̄ ̄ ̄ ̄-----________ \ | / -- ̄
--------------------------------- 。 ←243,244
_______----------- ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∧ ∧ / / | \ イ
( ) / ./ | \ /
_ / )/ / | /|
ぅ/ / // / | / .|
ノ ,/ /' / |│ /|
_____ ,./ // | / .─┼─ |
(_____二二二二) ノ ( (. | / ┼┐─┼─
^^^' ヽ, | | /. ││
とりあえず打っておきます。業者は(w
>240さん、ヨウゼンは動かしやすいので好きですよ〜。
現在魔家四将かいてます。
早かったら今夜中にUPできるとは思いますが、KINOは遅筆ですので…
>241さん、242さん、
メイドですか。メイド属性持つものにはいい萌え…
246 :
:03/06/17 13:36 ID:+jvGp1hu
 ̄ ̄ ̄ ̄-----________ \ | / -- ̄
--------------------------------- 。← 247
_______----------- ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/ / / | \ ッ
./ / ./ | \ ツ
/ / / | | | |
ヽ/、 / │ ─┐ ,ノ
/⌒/ / \ / │
∧ ∧,〜/ \ / \ ,/ .─┴─
( /⌒ ̄ `ヽ _ノ / __ノ
/ ヽ `ー''´,-'⌒ヽ ┼─┼
/ ∠__ _/ヽ │ │ \\
( \ / / ヽ、_/´ \ ノ
 ̄ \/ ( く `ヽ、 /
\____>\___ノ
/__〉 `、__>
なんか、張った直後だったんでなんとなく。
とりあえず斬っときます
248 :
名無しさん@ピンキー:03/06/17 13:54 ID:any6o9hb
249 :
名無しさん@ピンキー:03/06/17 13:55 ID:N/f6iWUh
ミスった、247自分や…
業者に埋もれて逝ってきます…
あとでこのやりとりを見た人が笑ってくれればそれでいいや…
むしろ禁鞭に討たれて朝歌上空に逝ってきます
251 :
名無しさん@ピンキー:03/06/17 15:09 ID:9kepz6jB
252 :
sage:03/06/17 16:57 ID:TOFyuV9W
イキロ
異説封神演義
〜〜〜魔家四将〜〜〜
まだ、空には明けの明星が輝いている。
太公望は空気の冷たさにヨウゼンの胸に顔を埋めた。
「……ん……」
そのままうとうとしているのが好きなのだが、空気の震えが身体に伝わる。
「…?…」
ぴりぴりとした感触。
「師叔?」
「…ヨウゼン、何かおかしくはないか?」
太公望は風使いの仙人。普通ならば分からない微妙な空気を読むことが出来る。
身体を起こして手際よく髪を結う。
長く伸びた黒髪は頭頂部で二つに纏められて丸く紐でくくられた。
「師叔」
「これ、ヨウゼン、離れぬか」
名残惜しいとばかりに手が身体を弄る。まだ、深夜の情事の感触が仄かに残る体に。
首の匂いに引き寄せられる。
甘えたいならば、ここまで来いと。
少し強く吸い上げると、首筋に赤く唇の後が残った。
「ヨウゼン!」
「少し悪戯が過ぎましたね」
確信犯の笑みでヨウゼンは笑う。
怒った太公望がヨウゼンの髪を掴んで引っ張ってた時のことだった。
「!!」
何かが崩れる音と衝撃波。
「…遊んでもおれんのぅ…」
静かに身体を離して床に散った道服を拾い集める。
さらしで胸を包む手。
「手伝いますか?」
「…そーゆー冗談は好かん」
二人、ほぼ同時に着替えが終わり、外に出る。
「……なんじゃあれは……」
城壁を丸ごと飲み込んでいく不思議な宝貝。
まるで玩具のようなその外面とは反する能力。
「御主人〜〜〜〜〜〜!!!大変っす!!」
「そのようじゃのう」
四不象の背に乗る。
「ヨウゼン、兵のほうは任せた。わしは発のところに行ってくる!」
魔家四将はその名の通り四人一体で攻め入る。
剣術の礼青、精神攻撃の礼海、打撃の礼紅、そして件の玩具使いの礼寿。
「お前が武王姫発か。一緒に来てもらうぞ」
「な、なんだ!?俺は男には興味はねぇ!!」
二人の間に割って入るのは天化。
「そうはさせねぇさ。王様守るのは俺っちの役目って師叔に言われてるさね」
剣士二人。
「ここは俺っちに任せて早く逃げるさ」
(それまでなんとか足止めしておかねぇと…)
星雲剣と莫夜の宝剣。二つが打ち合う音が周辺に響き渡る。
「若いがいい太刀筋だ。黄天化」
星雲剣を構え直す。
「だが、この剣はただ切れるだけではないぞ」
「!!」
太公望は姫発を探し回る。
「お師匠様〜〜〜〜!!!」
「おお!武吉!発を探してくれぬか!」
武吉は屋根瓦の上を飛びながら武王を探す。
「あっちです!!!」
武吉の指すほうに目を向ける。
囚われた姫発と魔家四将の姿。
「発!!!!」
「すまねぇ太公望」
「…天化は!!??」
発に護衛としてつけたはずの天化の姿がない。
必死になって天化の姿を探す。
「天化!!??」
全身を抉られたように切り裂かれ、虫の息の天化の姿。
「お前が太公望か…そこの天然同士を含めて崑崙の道士は投降してもらおうか」
「………」
今ここで天化を失うわけにはいかない。
それは軍師としての想い。
ここで天化を失いたくはない。天化にはまだ未来がある。
それは呂望としての想い。
「わかった…だが、これ以上民を傷つけるのは止めるのだ。それができないなのならば
発と天化を犠牲にしてでもわしはおぬしらを殺す」
それは太公望が初めて「殺す」と言う単語を発した瞬間だった。
天下は咆天犬によって仙人界へ。
雷震子とナタクが援軍に。
どうにか発を連れて武成王は魔家四将から離れるが、今度は太公望が礼青と対峙していた。
星雲剣の刃を打風で相殺するが、封じきれない刃が太公望の道衣を裂いていく。
「!!」
赤く染まった布の端から、ぼたぼたと血液が零れていく。
「貴様だけでも人質としての価値は十分あるな」
「…くっ…」
礼青が星雲剣を構え直す。
「お師匠様!!!!」
一瞬の隙を見て武吉が太公望を抱きかかえ、星雲剣の刃をかわす。
「天然道士か…うるさいやつだ」
星雲剣が容赦なく武吉の身体に降り注ぐ。
「武吉!わしを置いて逃げろ!!」
「駄目です!!!お師匠様は居なくなっちゃ駄目なんです!!!」
ぼろぼろになりながら武吉は太公望を離さない。
「お師匠様は中心なんです!!お師匠様が居なくなったらみんなばらばらになってしまいます!」
どこでもいい、あの刃が届かない場所へ。
武吉は走ることを止めない。
「僕もお師匠様がいなくなるのは嫌です!!お師匠様が大好きだから、絶対に嫌です!!」
壁際に二人、傷ついた身体で座り込む。
「師叔」
「ヨウゼン…」
ヨウゼンは自分の外套を裂いて、包帯代わりに太公望の腹部に巻きつけていく。
それでもとめどなく溢れてくる血液がヨウゼンの手を赤く染めていった。
(礼青…許さない)
「わしの代わりに指揮をとってくれ。このままでは民が危ない」
「ええ、しかし…」
「聞仲が来るものだとばかり思っていたからのう…まぁ何にしろ何とかせねばならんのだ。
あの二人であのクジラを。その間にわしは次のことを考えるよ…」
ぐったりとして、額に浮いた汗が傷の深さを容易に想像させる。
「あなたの手足になって動くこと位はできますから…」
ナタク、雷震子の連係プレーで一つの玩具は撃墜するも、次々に出てくるという理不尽さ。
「…まぁ、よい。一度敗れたならば次も同じじゃ…」
腹を押さえながら、太公望は空を見る。
「ヨウゼン、武成王、頼んだぞ…」
太公望は言った。
連係プレーが得意ならば各個攻撃に持ち込むのが望ましいと。
しかし、その強さの前にナタク、雷震子が打ち倒されてしまう。
「ナタク!雷震子!!」
礼青と彼に変化していたヨウゼンも二人の姿を見て怒りに震える。
「たいしたことないな…崑崙の道士も」
「…これ以上僕を怒らせるな…お前たちは僕の大事な人を傷つけて、悲しませた」
声は低く低く、耳に響いていく。
三尖刀と星雲剣。
双方に大打撃があるのは目に見えている。
(いかん…ヨウゼン…!!)
痛む身体を引きずりながら、足を踏み出す。
「!!!」
「天化!!」
「俺っちこう見えても負けず嫌いでね…再戦さ!!」
戦士の意地と男心。
礼青と天化。
礼海と礼紅はヨウゼン。
礼寿を封じるのは武成王。
結果として太公望が狙った各個攻撃の形になったのである。
(しかし…あれほど早く傷が癒えるものか…?)
「太公望」
「道徳!?」
降り立ったのは道徳真人。天化の師匠であり崑崙中に仙の一人だ。
「道徳、天化は…」
「痛み止めを与えて、傷の縫合をしただけだよ。さすがに短時間で全回復は不可能だしね」
天化は莫夜の宝剣の二刀流で礼青と向かい合う。
気力だけで戦う戦士の姿。
「しかし…天化の内にあれほど激しいものがあったとはのう…」
「君が知る天化はどうかしらないけれど、あの子は元々闘争本能が激しい子だよ。生まれ付いての
戦士といってもいいほどにね。たとえ勝ち目がなくても戦おうとする
だけど…あの子のあの性格が、いつか命取りにならないかと心配だよ…」
祈るような気持ちで太公望は天化を見やった。
(……天化……)
贔屓目に見て互角。冷静に見れば天化のほうが押されている。
礼青の剣術は完璧だ。
(……死ぬな…天化……)
必死に応戦するものの、防ぎきれない星雲剣の刃は天下の傷口を的確に抉っていく。
「!!」
宝剣をはじき、礼青が不遜に笑った。
「一本では防ぎきれないのは知っておるだろう?」
「…防ぐ必要はないさ…今度は俺っちが攻める番だから!」
鑚心釘を掴み天下は笑った。
(絶対に負けねぇ!!!)
鑚心釘は礼青の身体に深々と刺さり、内部への侵入を試みる。
星雲剣同様、肉を抉り取るのに長けた宝貝。
「まだ、勝負は決まらないさ」
魔家四将は太公望の狙い通りに各個攻撃で人間形態を保っているのが限界に近かった。
太公望の狙いは人間形態のうちに弱らせることだった。
石琵琶の貴人同様、魔家四将にも原型がある。
ただ違うのはおそらく原型になったときこそ彼らは真価を出すであろうということ。
「師叔!」
「おお、ヨウゼン…」
武吉に抱きかかえられながら太公望は笑った。
「仰せの通りにやってきましたよ…その智謀、妲己以上に思えます」
いいや、と太公望は頭を振った。
「それよりも、やつら原型に戻るぞ…空気が動いておるからのう…」
円陣を組み、呪文の詠唱があたりに響く。
(来る……!!)
ヨウゼンは太公望の護衛よろしく三尖刀を構えた。
深手を負った太公望を倒すのは容易な事だからだ。
(師叔だけは…僕が守る!)
四人全ての能力を取り込んだのは四つ首の幻獣。
琵琶の音が神経をざくざくと刺す。加えて礼青の剣術。
「ヨウゼン!!!」
「ええ、分かってますよ師叔」
三尖刀が幻獣の首を一つずつ刎ねていく。
どろどろとした腐蝕液を流しながらその身体がゆっくりと崩れ落ちた。
「みんなから攻撃で君たちは弱っていたのを忘れたのかい?それと…最後の手段で
巨大化した悪者は絶対に勝てないもんなんだよ」
体液は尚も大地を侵食していく。
「!!」
『腐ってしまえ…なにもかも…憎きや崑崙の道士め…』
ぎょろりとした目玉がヨウゼンを睨み付けている。
「師叔、立てますか?」
「うむ…」
ヨウゼンの肩を借りて太公望は腐蝕の中心を見つめた。
「この戦いに幕を引くのはあなたです。初めて僕たちは力を合わせることができました。
これはとても大事なことです…だから、指揮をとったあなたが最後を締めるべきです」
言われて太公望は打神鞭を構える。
目を閉じ、意識を集中させ、風を生み出す。
「疾!!!」
封神台に飛ぶ四つの魂魄を見ながら太公望はほっとしたような笑みを浮かべた。
この一戦で俄かに西岐では好戦が高まっていくことになる。
それはそれでまた太公望を悩ませるのだ。
「……考えてもどうにもならぬか……」
机に突っ伏して太公望は一人考えていた。
「太公望」
「発……」
「具合どうだ?まだ、どっか痛いか?」
「いや…もう平気だよ……」
だが、どう見ても包帯だらけの姿は平気な様には思えなかった。
「あの…その…さ…一人でなんでもかんでも背負い込むなよ…な…?」
言葉を選びながら発はゆっくりと話した。
「お前にはさ、味方が一杯いるんだしよ。多分…殷は人間だって送ってくるんだろ?
そんときには俺らががんばっからさ」
「…これはわしの奢りかも知れぬ…それでも…犠牲は出したくないのだよ…発…」
子供の頭を撫でるように発は太公望の頭を撫でる。
「難しいことは俺にはわかんねぇ。でも…気楽に考えようぜ。な?」
「そうじゃな…わしにはこんなに味方がおる」
立ち上がろうとして、勢いあまって発を巻き込んで床に倒れこむ。
形としては太公望が発を押し倒すような格好だ。
「…俺やっぱしお前のこと好きだわ…他に男居るって知っててもさ…」
「……………」
「な、だから…そんなに深くかんが……」
「発!!」
何かが崩壊したように太公望の瞳から涙がぼろぼろと零れる。
あまつさえ、ここに居るのは心で思うただ一人の人間に似ているのだ。
「おわっ!!太公望…」
「発…発…」
子供が親に甘えるように発の身体に抱きつく。
その背中をあやす様に、発も抱きしめた。
(よく考えりゃ…こいつだってまだ子供なんだよな…なのに色んなこと背負い込んで…)
「泣くなよ、太公望」
「いつぞや、胸を貸すといった…ならば…今、貸してくれ……」
発の額に口付ける。
鼻筋、頬、そして口唇に。
発の衣服を一枚ずつ落としてくと、同じように発の手が太公望の寝衣を落とした。
「………!………」
蚯蚓腫れのような傷跡。魔家四将との戦の傷。
普通の男だったならば目を背けるであろう。
腫れあがった裂傷のあちらこちらが膿んで、巻かれた包帯に血が滲んでいる。
「痛かったろ?」
筋肉疲労で少し硬く、腫れた乳房。
ざっくりと裂かれた腹部。
「…っ……」
唇が傷に触れるたびに太公望は眉間に皺を寄せた。
指先が秘裂に触れて、撫でるように上下する。
逃げようとする腰を抱いて、舌先をそろそろと下げていく。
「!!」
舌を内部に侵入させて、軽く吸い上げた。
肉芽を嬲られ、太公望の身体が弓なりになる。
「あああっ…!…発…っ!!」
あぶれてくる体液を舌で掬い、尚も発は肉芽を攻める。
「…ひぅ…っ…い…ああっ…!!……」
軽い痙攣と共に、太公望の身体から力が抜けていく。
脚を割って、発は太公望の内部に己を沈める。
「んぅっ…!!」
最奥まで突かれたかと思えば浅いところでの注入。
「あああっ…いや…ぁ…っ!……」
付かれる度に体液が溢れる。
「…っ…きつ……」
締め付けてくる熱さと感触は街の女とは比べ物にならない。
(これって…俗にいう男を狂わす身体ってやつか?)
唇を割って指を咥えさせると、まるで愛撫するように舌を絡ませてきた。
親指を根元から舐め上げる小さな舌先はまるで娼婦のようで。
今ここで乱れるのが周の軍師だと、誰が信じようか。
「…んぅ…発……」
(可愛いよな……こーゆーとこって……)
「…呂望……」
耳朶に噛み付くと身体が震える。
太公望の弱点の一つ。
「あぁんっ!!」
奥深くまで繋がって、外聞も何もかも投げ打って。
「…呂望…っ……」
軍師とか、王族とか、そんなことも全部捨てて。
「…ああああっ!!!発…発…っ!!」
今は一組の雄と雌になろう。
きつく締められて白濁を内部に迸らせる。
胎の奥底、余すことなく太公望は受け入れた。
眠る姿はまだまだ本当に子供で、自分が何となく犯罪を犯したような気分にすら陥る。
実際は自分よりも遥かに年上で、機知に長け、それなりの力もある道士。
(なぁ、親父。俺はどーすりゃいーんだ?)
太公望は今も胸の奥、姫昌を思っている。
「……発?」
「起きたのか?」
身体を起こして、発のほうを見る。
膝を軽く立てる姿はそれはそれでどこか妖しげだ。
「髪……伸びたな」
「邪魔になってきたからのう……じきに切るよ」
「いや、そのままでいいと思うけどよ」
手にした黒髪に口付ける。
「発、わしが死んでも大丈夫か?」
「な…なんだよ急に」
「……聞いてみただけじゃ。気にするな」
少し震える肩。
少女は少し笑って、そして泣いた。
運命を甘受したはずなのに、どこかで何かが囁くのだ。
『なぜ、自分なのだ』と………。
想い人に似ているこの男は自分の弱さを抉り出す。
決して、他人に見せることのないはずの部分を。
「わしは死なんよ……おぬしが王になるのを見届けるまでは死ねん」
自分に言い聞かせるように、太公望は言葉を紡いだ。
「…俺もさ、呂望って呼んでもいいか?」
「……………」
「嫌だったら……」
「嫌ではないよ……発……」
どろどろとした情念は捨てたはずだった。
それなのに、抱かれるたびに思い出すのはなぜ?
ほしかったもの、あんなにおいかけたずだったのに。
いつも、この手からこぼれていくのは………
………どうして?
魔家四将編です。
そろそろスパイ大作戦が出てきます。
ただ、コミックスとは違う対決の仕方になりますが…
センギョクは好きなキャラなんでこれからも呂望となにかと絡んでいきます
(自分の中でですが)
ようやくブラウザになれてきました。PINK鯖は落ちやすい…
あと、スレ主の1さんの言ってる十二仙の嫁ものではないですが
それに似た話を書いてます(まったく別物かもしれませんが
とりあえず、今、KINO脳内で太公望以外にも女性化してるのが
何人かいます。崑崙、金号(字が化けるのでこっちにしました
合わせてです。
種明かしするとあれなんで脳内にしまいつつ、製作に入りますね
>252さん、
いっそ成層圏の彼方まで打ってくだちい…
また書いてみました。ちょっと短い&中途はんぱなところで終わりかも・・・
一応投下します。
>KINOさん
官スレへの投下、お疲れでした。
「道士夫婦のうなぎパイ」
烏煙という霊獣の背に二人の男女がいた。
男は張奎、女は高蘭英という。
二人は夫婦である。
太公望とメンチ城で戦ったときに、己の未熟さを知った張奎は勝負はやめ旅に出た。
封神台の中で聞仲と会い、言われたこと。
「私のために戦うな、自分のために戦え」
これは、聞仲を目標としていた張奎にとって大きなターニングポイントになった。
自分は聞仲になりたいと思っていただけだった。
超える気概をもっていなかったのだと強く感じた。
そして自分の足で歩むことこそが自分の目指した聞仲に近づき超えることができる唯一のことだと認識したのだ。
張奎は己の見聞を深めるために、高蘭英とともに大陸を放浪していた。
「つきましたぜ、姉さん!」
町の門の前でとまり、烏煙が高蘭英にはなしかける。
「おつかれさま。あなた、ここで良いかしら?」
ねぎらいの言葉を烏煙にかけ、夫に尋ねる。
「ああ、今日はここで休もう」
張奎の同意に、高蘭英がうなずいた。
烏煙は、その会話を理解し宿をさがすべくゆっくりと歩き始めた。
ほどなくして、みつかった宿の前で二人は烏煙を降りた。
霊獣は厩に繋がれる必要などないので、烏煙は二人をおろし終えると砂塵をまいあがらせ荒野にさった。
出立の時間になれば高蘭英の一声ですぐさま姿を現すので、まったく問題はない。
宿をとり、部屋に入る。
籐で作られた寝台は大きいものだった。
現代の感覚で言えばダブルベッドくらいのサイズである。
夫婦だし、なにも問題ない。むしろOKである。
蘭英は荷物を端にならべ、自分の身につけていたものなどを衣文かけにかけていく。
張奎は寝台に身体を倒し、あおむけになった。
「ふぅ……蘭英、こうしてあちこちをまわっていて道は広がるかな?」
「それは、あなた次第でしょう」
寝台の張奎の頭の近くに腰掛けた。
一瞬の沈黙。
「……でも、私は信じています。あなたなら、大丈夫だと」
張奎の帽子をとり、黒い髪を丁寧になでる。
張奎はその手を取った。
「蘭英……。僕はお前のためにも、進まないとね」
「そう思ってくださるだけで、嬉しいですわ」
瞳を閉じる高蘭英。
張奎の腕が、彼女の身体を自分の上に引いた。
「ん」
夫婦の宝貝バトルが開始した!
高蘭英のあでやかな金髪が、張奎のあたえる感覚ごとに波打つ。
彼女のレオタードのような服の股間の部分に、染みができてきた。
「あぁ…はぁん」
高蘭英の見た目からは想像も出来ない可愛らしい声を独り占めする張奎がうらやましい。
手が伸びてきて、張奎の2つ太極符印を揉む。
それに呼応して彼の土竜爪は戦闘可能なサイズに、ムクムクとなった。
スッと立ち上がり服を脱ぎ捨てる張奎。
「蘭英も脱いだほうがいいんじゃないか?」
高蘭英が、服の体の中央を通るジッパーを下ろすと容姿どおりのダイナマイトなバディーが露わになった。
彼女の身体を抱き、キス。
そして、口を首筋、鎖骨、胸へと口付けしていく。
しばらくの間、彼女の胸を口に入れ、乳首を転がす張奎。
チュパ……チュポ……
「んん…ぃや…ぁ…」
やがて、張奎は口を彼女の乳房から離すと仰ぎ見た。
「いつもの、を頼むよ」
張奎がすこしはにかみながら、高蘭英に頼む。
「はい、あなた」
上気した頬が、彼女の白い肌に朱を与えまた美しい。
その彼女がうなずいた。
張奎がたちあがると、高蘭英はそのボリュームのある胸で彼の土竜爪を挟んだ。
挟み上下するだけではそうそう、土の柱を出すことなどできない。
高蘭英の口から、唾液がツーッと糸となって胸の谷間に流れ落ちていく。
ニュルニュルジュプジュパ
高蘭英の艶めかしい唾液と張奎の先から出る前振り液がまざり、彼女のオパーイが上下するたびにいやらしい音をだす。
「くぅ……やっぱり…いい…!」
高蘭英の胸の上と下を通り抜けるたび土竜爪が大きく硬くなっていく。
「そろそろっ…ん……準備をッ!」
その準備とは!?
蘭英は、左手を動かすのをやめた。
片方の胸だけでは土竜爪を圧迫できないので、口でつつみこむ。
もう怒張しきっているところに、彼女の口腔内の粘膜と舌は頂点を迎えるのに十分だった。
「んんっ……射精るっ!」
ビュルルゥ!
高蘭英の口の中に、土の柱を吐き出したたきつける。
しかし、それを出し切らない怒張したままの状態で高蘭英はソレを口から抜いた。
「太陽針!」
ダララッ!
張奎のイった状態で全開の土竜爪に針が刺さった。
針のサイズは調整できるので、非常に小さいサイズなのだが、彼のソレはそのサイズで動きを止められたのだ。
「はあはあ……宿らしい宿は久しぶりだからね……」
「次はこちらに、ください」
高蘭英は、自分の局部に大きいままの土竜爪を導いていくのだった。
道士夫婦の夜はまだ始まったばかりだ。
以上です。
高蘭英って意外といい奥さんじゃんとか思って書いてみました。
ハリウッド女優って感じ。
異説封神演義
〜〜〜崑崙十二仙〜〜〜〜
崑崙山には仙道が多く住まう。
その中でも教主原始天尊を補佐する幹部、それが崑崙十二仙だ。
教主の直弟子である太公望と十二仙は同格に当たる。
十二仙に師事する天化、ヨウゼンが『師叔』と太公望を呼ぶのもこれが由縁であった。
「道徳、なにをぼんやり考えてるのかな?」
にこにこと人懐こそうな笑顔。
「普賢……」
隣に座ったのは普賢真人。道徳真君と同様、崑崙十二仙の一人である。
ざんばらに切られた髪は少しはね、あどけなさの残る顔をより一層幼く見せていた。
「お互い、弟子を戦場に送るのは辛いよね」
普賢は太公望と同時期に仙界入りしたものである。
そして、数少ない、仙女でも在った。
灰白の髪が陽に透けて銀色に輝く。
「でも、僕らはまだ、出て行くべきではない…そうでしょ?」
ごろんと寝転んだ道徳真人。
「…その、『僕』というのは直らないのか?」
「原始さまから、仙人になるなら女であることを捨てろって言われてるからね」
道衣から覗く肩。
「実際、仙人として生きるのに女も男も関係ないって思うし」
「そうかなぁ……」
寝転んだ道徳真君の頭を撫でる。その指先。
「そうでしょ?」
「そんなものなのかなぁ…俺は…なんか違うような気がする」
普賢の手を掴む。
「何?」
「なんとも思わない?」
普賢真人は少し困ったような顔をする。
道徳真君は実のところ、この普賢真人のことを密かに思っていた。
だが、戒律を重んじる普賢の性格は太公望以上で、まさに暖簾に腕押しの恋。
「うん」
「もういい…」
ふいと横を向くと、普賢が覗き込んでくる。
「道徳、僕、何か悪いことした?」
「……すまんが一人にしてくれ」
普賢真人は十二仙の中ではもっとも若く、仙人としての暦も浅い。
それでも、その才能は早くに開き、弱い百歳を待たずに仙人として歴任したのだ。
元来面倒見のいい道徳真君は普賢の世話を焼いていた。
おっとりとした
その性格は体育会系の道徳には新鮮なものだった。
少し膨らんだ胸も、なだらかな腰も、忘れていたはずの感情を引き起こすのには十分な逸材。
「なんで、ああも鈍いんだろう…」
はぁとため息をつく。
何度となく普賢に詰め寄ったことはある。
しかし、故意かどうなのか、のらりくらりとかわされてしまうのだ。
「太乙にでも相談してみるか…」
よろよろと身体を起こして、道徳真君は同じく十二仙の太乙真人を訪ねる。
世話焼き体質の太乙は仙道たちの相談役でもあった。
「ふぅん……相手が悪かったねぇとしかいえないね…」
「人事だと思って……」
「いっそ太公望に相談したらどうだい?彼女とは同期だし、仲もいいよ」
「…あいつも似たようなもんだろう……」
太乙はにやにやと笑う。
「仙界を出てからは大分変わったようだよ」
「そうかなぁ……」
卓上につっぷす道徳を尻目に太乙真人は戸棚から薬瓶を取り出した。
中には白くちいさな丸薬がころころと入っている。
「もし、どうしても駄目ならこれ使えばどんな女子のでも…」
全部言い終わる前に拳が太乙の顔面を捉える。
「そんなもんに頼るのは男じゃない!」
「だったらどうやってあの鈍感の塊を落とすのか言ってみろよ!」
向きになって掴みあう二人を割ったのは太公望だった。
「阿保二人で何をやっておる」
「…太公望…」
太乙の入れた茶を口にしながら大凡の話を聞き、太公望もはぁとため息をついた。
「それでも十二仙か…おぬしら」
やれやれと頭を振る。
「まぁ、よい。わしはこれから普賢のところに行って来る。それとなく聞いてみるよ」
ひらひらと手を振りながら太公望は消えていった。
「あいつ、あんなに色気あった?」
「下山してから色々あったみたいだからねぇ」
久々の再開に少女二人は花を咲かせていた。
元々同期で格も同じくらいの二人である。
積もる話もあり、仙道ということを忘れて話し込んでいた。
「そういえばのう、道徳のことをおぬしはどう思う?」
「どうって…面白いと思うよ。望ちゃんもそう思うでしょ?」
「いや、わしが言っておるのはあやつを男としてどう思うかじゃよ」
普賢真人は少し考えた顔をした。
「…素敵だとは思うよ。でも、それ以上でも以下でもないよ」
とろんとした大きな瞳に長い睫。
同性でも守りたくなるような甘い風貌。
「でも、それがどうかしたの?」
「あやつはおぬしのことを好いておるのじゃよ」
「僕も道徳のことは好きだよ。望ちゃんだって好きでしょ?」
「少しはあやつのことをわかってやれ……」
さすがの太公望でも頭を抱える。
普賢の気持ちも分かるが道徳が不憫でならなかった。
太公望は周に戻り、崑崙山はいつものように動いていた。
無論、道徳も普賢も。
普賢は普賢でのんびりと草原に寝転んで太陽の香気を浴びている。
仙穴同様、自然界の香気は仙道の能力を高める効果があった。
(なんか……眠くなってきちゃった……)
うとうとと目を閉じる。
風が優しく普賢の髪を撫でていく。
(僕のこと好きって……言われても……困るよ)
太公望が残した言葉を紡ぎながら、普賢はまどろむ。
いつもなら、昼寝できる体制なのだが不思議とそれが出来ない。
(とりあえず、道徳に聞いてみればいいかな……)
身を起こして、愛用の球体の宝貝を手にする。
「道徳はどこに居るかな?」
数値とデータを入力すれば、大概のことは分かる。
あくまで、数字上での確立でだが。
「あっちか」
てくてくと歩く。背丈も太公望同様に小さな少女。
仙人にはおおよそ見えないその姿。
「道徳いる?」
「おわっ!普賢!」
「そんなに驚かなくてもいいじゃない」
あわてて道徳真君は薬瓶を後ろに隠す。
あれから結局太乙真人に無理やり渡されたのだ。
「ねぇ、望ちゃんに言われたんだけど」
「た、太公望がどうかしたのか?」
「道徳がボクのこと、好きって」
「な…た、太公望が!?」
「ねぇ、どうなのかな?ボクは道徳のこと好きだよ」
ぽつぽつを唇から零れる言葉。
耳の奥でゆっくりと脊髄を冒していくような呪文。
「道徳のこと嫌いな人なんていないよね」
「ふ、普賢!」
言葉が見つからないから、普賢の身体を抱きしめる。
「道徳?」
「俺のお前が好きってのはこういうことで…こうやって触ったり、抱きしめたりしたいって事で…
他にもいろんなことがしたいってことで……」
道衣越しに道徳の鼓動が伝わってくる。
「道徳、ボクはどうしたらいいの?」
「…俺だってわかんないよ……」
見えないはずの道徳の表情が見える。
どこか泣きそうな顔。
男の背中を抱くことも出来ず、ただ、されるがままに。
(ねぇ、望ちゃん、ボクはどうしたらいいの………?)
眠れないまま、普賢真人はぼんやりと道徳心君のことを思い出していた。
抱きしめられて、嫌な気はなかった。
だが、どうしたらいいかわからなかったのもまた、事実。
(眠れない……どうしよう……)
一人きりの洞穴で普賢真人はあれこれと考える。
それでも、どうしてか道徳真君の顔がちらついてしまうのだ。
(道徳、起きてるかな……)
天化が下山してから、道徳も同じように洞穴に一人で過ごしていた。
身を起こして、簡素着を纏う。胸元が軽く紐で留められた道衣よりも簡素なつくりだ。
(行ってみよう。何にしても道徳を傷つけちゃったかも知れないし)
さわさわと夜露に濡れた草が足を絡める。
ゆっくりと歩く道を月は優しく照らしてくれた。
その頃、同じように道徳真君も寝付けないでいた。
普賢とはまた違って悶々として過ごさざるを得なかったからだ。
間近で抱いた感触と匂いが今も腕に残っている。
(あー、どうしろって言うんだよ、俺!!)
こつんこつんと扉を叩く音。
「道徳、普賢だけど……起きてる?」
「あ、ああ……」
普賢を招き入れて、椅子を勧める。
目の前に居る普賢は何も変わらない。自分の思いだけがとめどなく零れるだけ。
「さっきはごめんね。本当にどうしたらいいかボク……分からなくて」
「いや、俺こそすまなかった。寒いだろ?茶でも入れるよ」
茶器を取り、葉を入れる。
そのとき目に付いたのは太乙に押し付けられた薬瓶だった。
どの道叶わない恋ならば、いっそ力ずくで…そんな考えが頭をよぎる。
(普賢は俺のことは………)
叶わなくても、このままの関係でも良かった。
今まではそう思っていた。そう思えたはずだった。
普賢の体温が、匂いが、道徳を支配する。
普賢に気付かれないように、丸薬を一つ碗の中に入れる。
一瞬で溶けてそれは形を無くしていった。
「ありがとう」
なにも疑わずに普賢は口をつける。
「なんかね、眠れなくて……道徳に会いに行かなきゃって思って」
「……普賢」
「どうしても道徳に合わなきゃって…ボク、変かな…?」
「いや、俺は嬉しいけど……」
「ボク、道徳のこと、好きだよ。嘘じゃないよ」
「うん……」
普賢の小さな手を取る。
この手が他の男に触れること考えると気が狂いそうだった。
細い指に自分の指を絡めて行くと、びくんと普賢の身体が震えるのが伝わってくる。
「…あ…ごめん、なんか…ボク……」
頬が染まるのわかる。
「普賢」
「ボク、帰るね。ごめん、こんな遅くに」
立ち去ろうとする普賢の手首を掴む。
「…あ………」
ただ、それだけで耳まで真っ赤に染まり、普賢の動きが止まる。
「道徳、離して…くれない……?」
潤んだ瞳は男の劣情を刺激するには十分すぎた。
顎に手をかけ、強引に唇を合わせる。
最初は浅く。重ねるごとに深く、舌を絡ませて。
「……道徳……?」
「だから、俺の好きだっていうのはこういうことだよ」
布越しに少しだけふくらみの出てきた胸をやんわりと揉む。
「や…あん…っ…」
太乙の薬の効果もあって、普賢の身体は鋭敏に反応した。
本人の意思に反してだが。
うっすらと布越しに胸が上向くのが分かる。
そのまま、胸元の組紐を解くと、つんと上を向いた形の良い胸が露になった。
「ああんっ……!!」
まだ幼い乳房に沈む指。壊れ物でも扱うようにそっと吸い付く。
「…!…やっん……」
乳房に歯形が残される。こうした痛みでさえ、今の普賢の身体には強すぎる刺激だった。
両手でその柔らかさを確かめて、吸い上げていく。
そのたびに普賢は声を上げた。
震える膝を見て、道徳は普賢を抱えるとそのまま寝台に向かう。
そっと下ろして、覆いかぶさった。
剥ぎ取った道衣を床に落とし、裸体の普賢を道徳はじっとも見つめた。
上気してほんのりと染まった肌。
想像していたよりもずっと細い腰。
「…や…道徳…やめ…っ……」
力無く押し返そうとする腕。
薬の効果がなくても普賢は力では道徳に勝つことは不可能だった。
「やぁんっ!!!」
舌で肉芽を突かれて普賢の声がひときわ高く上がる。
柔らかい媚肉に指をしのばせるとくちゅりとした感触が絡んでくる。
貪るような愛撫に普賢の意識も身体も翻弄され、羞恥に両手で顔を覆った。
「…普賢、俺にこんな風に触られるのは…嫌か?」
道徳はそっと普賢の手を外す。
「…わかんないけど…嫌じゃないよ……」
「これから、俺が何をするか分かるか?」
普賢は少し震えながらこくんと頷く。
「嫌だったら、俺のこと突き飛ばしていいから」
「…嫌じゃないよ……」
真っ赤になりながら、消えそうな声で普賢が言う。
あやすように頭を撫でると、道徳は慎重に普賢への侵入を試みた。
十分に濡れた秘所は以外にも道徳を飲み込んでいく。
「…っああ!!」
破瓜の痛みに上がる声。
汗と涙でぐちゃぐちゃの顔。
それでも、今、自分の下で喘ぐこの少女が愛しくてたまらない。
「…普賢……」
ぎゅっと抱いて奥を目指す。
何度か突き上げると普賢の声が変わってきた。
「…普賢……?」
「…なんか…ボク…変だよぉ…っ…」
恥ずかしそうにぎゅっと目を閉じる。
道徳が突き上げるたびに、普賢の肉は道徳を締め上げていく。
「ああっ!!……や…んぅ…!!」
ぐちゃぐちゃと卑猥な音が室内に響く。
「駄目っ…ボク……!!!!」
喘ぐ口を唇で塞いで道徳は普賢を強く突き上げた。
「!!!!!!!!」
塞がれたまま、絶頂に達して荒い息を上げる。
同じように道徳も普賢の最奥に熱を放った。
眠る体は酷く疲れたようで、道徳の心を痛めた。
もっときちんとした手段で接するべきだったと己を何度も叱責する。
「どうしたの?道徳」
「……本当にすまなかった!!!!」
普賢は重そうにのろのろと身体を起こした。
「どうして謝るの?」
「その…嫌だったろ…?」
「ボク、嫌じゃなかったよ」
普賢の手が道徳の頬を包む。
「本当にか?」
「うん……わかんないけど、嫌じゃなったよ」
その言葉に少しほっとしたような笑みがこぼれた。
「普賢〜〜〜〜」
「どうしたの?道徳も変になった?」
少女の身体を抱きながら男はつかの間の幸せに陶酔した。
「なぁ、普賢。ひとつだけ頼みたいことがあるんだけど」
「何?」
「その……『ボク』ってのなんとかならないか?」
「私っていってもいいの?」
「ああ」
「原始さまに怒られない?」
「じゃあ、俺と一緒に居るときだけ」
「うん……」
それから、遅い朝が来るまで求め合って、普賢はふらふらの身体を己の洞穴まで
運ぶことが出来ず、結局道徳の洞穴に泊まることに。
翌日もだるさに悩む普賢を抱えて走る道徳の姿が目撃されたという。
それから数日たったある日のこと。
「太乙いる〜?」
「あ、普賢、何か用?」
アイゴーグルをたくし上げて太乙真人は振り返る。
「太乙、君……道徳に変な薬渡したね」
普賢はこれ以上無いという微笑を浮かべた。
「ふ、普賢!?」
ばちばちと手にした対極符印が音を上げる。
そうなのだ。
良心の呵責に耐え切れなくなった道徳真君は洗い浚い普賢に真相を話したのだ。
普賢は気にしなくても良いといったが、道徳の気持ちはおさまらず何度も頭を地に擦り付けて
土下座した。
普賢は言葉の通り道徳を責める気持ちは欠片もなかった。
結果論だが、道徳とそんな関係になれたのもいいと思えるようになっていたのだ。
しかし、どこかおさまらない気持ちがやはりある。
その矛先は太乙真人に向けられたのだ。
「ボク……ちょっと怒ってるから」
「!!!!!!」
超小規模な爆発が乾元山で起こったのは言うまでもない。
とりあえず書きたいものを書いてしまいました。
普賢、呂望、キンゴウのあの人がKINO設定になってます。
>GBHさん、
かなり(・∀・)イイ!!!!!!
是非是非続きを…続きを…
>>273 太公望のとき、打神鞭にしなかったあなたはやさしい人です。
>>287 普賢キタ━━━(゚∀゚)━━━ッ!!
フゲソが女だったらイイと思ってたので、激しくウマーでした。
ボク娘(´д`;)ハァハァハァ
レスありがとうございます。
続きに関しては、できるかぎり書きますね。
ただ、一応モチベーションがひと段落してしまっているので
別の話の後、ということもあるかもしれませんが・・・
気長に待ってやってくださいませ。
現在他スレにも書いてるものとかを纏めて、
他にも自分が書き足したいものとかを入れて、
保管場所作りたいんですが、どっかいい鯖ないですかね?
エロなしの話や、書きたいけれどもここに乗せるには前後のネタが
ないものやら(道徳と普賢のその後とか)結構あるんですよ
メモ帖で書いてるんでぼちぼちたまってきてます。
う〜ん。
ほっしゅ
再び風邪に悩まされてます…
本編書きながら、現在道徳と普賢のその後と
太乙と道行天尊の話を書いてます。
道行にいたってはコミックスからかなりかけ離れた感じになってますが
そんなんここに持ちこんでもいいんでしょうかね?
現在スパイ大作戦書きつつ、息抜きに他の話を書いてるところです。
ほんでもってKINOもスレほっしゅ。
異説封神演義
〜〜〜崑崙十二仙・その弐〜〜〜
「太乙、おるか?」
鈴を転がしたように細い声。
全身を防護服に包み、頭部もヘッドギアで覆われた姿。
わずかに覗いているのは小さく形の良い唇だけ。
「ああ、道行。どうかしたのかい?」
「右手の調子がおかしくてな…診てもらおうかと思ってきた」
ヘッドギアを外す手。
片方は白く美しい手。
そしてもう片方は無機質で金属の輝きを放つ指が数本混入していた。
ばさりと亜麻色の巻き毛が零れる。
栗色の瞳。形の良い鼻。
彼女は道行天尊。崑崙十二仙の一人である。
「気圧の変化に少し対応しきれていないかもね…少し待ってね」
彼女の身体は半分が宝貝合金で出来ている。
右手の数本の指。左足。左目。
それを全て包み隠すような防護服。
「他におかしいところは無いかい?」
道行は襟元の紐を解いて、太乙の前に座った。
「君の場合は初期の宝貝合金を使ってるからね。そのうちにバージョンアップを考えようか」
道行天尊の身体がそのようになったのには事情があった。
その名前の通り、道行天尊は教主原始天尊の側近の一人である。
金号よりの侵入者を迎え撃った際に彼女は身体の一部を失った。
それを補ったのが太乙真人。
太乙はその腕を買われ十二仙に昇格する。
以来、道行と太乙は密接な仲になった。
「腕が動いてくれればまだ、なんとかなるのだが……」
防護服の下にあるのは生身と宝貝の混在する身体。
継ぎ接ぎのような自分の身体を見るたびに道行天尊はため息をこぼした。
「まぁ、いずれはナタクたちみたいにより人間に近いように改良はしていくよ。
とりあえずそこの診察台に横になってくれるかな」
言われるままに道行天尊は身体を横たえた。
かちゃかちゃと器具の擦れる音。
左足に感じる熱さ。
太乙真人は損傷部の宝貝を的確に交換していく。
「他に調子の悪いところは?」
「これといっては……」
「少し、診察してみようか」
「いや、いい……」
起き上がろうとする道行の手首を捻り上げ、手枷を取り付ける。
もちろんただの手枷では無い。
太乙真人特製の「仙気」を封じ込める手枷だ。
「太乙!!」
後ろ手に縛られ、道行は顔だけで太乙を睨み付ける。
「いい眺めだね〜。さすがはかつて十二仙を翻弄した仙女だけある」
現在の崑崙十二仙になったのは比較的最近のことだった。
前時代から道行は十二仙に名を連ねており竜吉公主と同様にその可憐さを歌われていた。
しかし、十二仙も入れ替わり道行も深手を負ってからは人前に姿を出すことは少なくなり、
道行の素顔を知るのは前時代からの十二仙と原始天尊、弟子達、そしてこの太乙のみであった。
「やめんか!この変態!!」
「……よく言ったね、道行天尊。この体勢で」
仰向けに寝かされ、両手は後ろ手に拘束されている。
どう足掻いても形勢は不利以外の何でもない。
不適に笑い、太乙真人は道行天尊の身体に指を置いた。
「さて、診察しよっか。問診はさっきしたから今度は触診ね」
金属と肉が同居するこの身体は、見るものが見れば罵声を浴びせるだろう。
たが、太乙真人にとっては醜美が一体となった道行天尊の身体は一つの理想系でもあった。
且つ、自分が手を加えるこが出来たという一種の満足感。
「私は気の強い女性(ヒト)が好きなんだよね……道行」
道行天尊の身体を掠めるように指先が動く。
抵抗しようとしてもがく腕ががちゃがちゃと手枷を鳴らした。
豊満まではいかないが、形と弾力の良い乳房を包むように揉まれ、道行はきつく目を閉じた。
つんと上を向いた乳首を吸われ、震える身体。
「……感じちゃった?君の嫌いな変態道士に触られてるのに……?」
目尻に降る唇。
嫌だと頭を振るが太乙真人は気にも留めずに執拗に胸への愛撫を繰り返す。
乳房の下側を舐め上げて、甘く噛む。
「……やめ…っ……」
言葉とは裏腹に身体の熱さは増していく。
太乙の舌が動くたびに奥の方が疼いていく感覚。
防護服の下に手をかけると、一気に引き抜く。
外気に晒される感覚に道行は身体を捩った。
「こっちは……どうかな?」
しっとりと濡れた秘所に指を入れると、ぬるぬるとした愛液が太乙の指を伝っていく。
「胸だけで感じたの?道行もイケナイ人だね」
「…っ……」
真っ赤になった顔と強気な瞳。
満足気に太乙は道行の唇を奪う。
舌を吸って、唇を甘く噛むと銀糸が二人を繋いだ。
指を奥まで入れてかき回すとくちゅくちゅという音と、とろりとした体液が止め処なく零れていく。
「…は……ぅ……っ……」
濡れた指先が肉芽に触れると道行の身体がびくんとはねた。
「我慢してないで素直に声を出したほうがいいんじゃないかな?道行」
太乙は尚も責め上げる。
そして、おもむろに取り出した軟膏のような物を道行の秘部に塗りこんだ。
「どこまでその意地、通せるかな?」
「!!!」
奥まったところから生まれる熱さ。
太乙の指を締め付け、道行の身体は刺激を「もっと」と求める。
焦らすように入り口の所で摩るように太乙は指を動かす。
「あ……んっ…!!…やめ……っ!!」
人差し指と中指が肉壁を擦り親指は敏感になりすぎた肉芽を責めていく。
舌と唇は乳首を舐め上げ、時折歯を立てる。
「ひあっ!!!……あっ!……あぅん!!!」
「そんなにいい?私に触られるのが」
「ひゃあんっ!!!!!」
指が増やされ、道行は喘ぎながらも太乙を睨んだ。
大きく脚を開かされ、道行の顔が羞恥に染まる。
肉の内側を舌が嬲り、唇が荒々しく吸い上げた。
「や…っ…あああああああっ!!!!」
絶頂に達してだらりと力の抜けた身体。
その身体を抱き起こして太乙真人は自分の下腹部の上に乗せた。
ちょうど後ろから抱きしめるような格好だ。
「……?……太…乙……?」
不穏な指の動きに道行は少しとろんとした瞳で太乙のほうを見る。
秘部に塗られた軟膏を器から掬い取り、太乙はそれを道行の菊座に塗りこんだ。
「やめっ!!…この……変態仙人!!!!」
思いつく限りの罵声を道行は太乙に浴びせた。
「そう。変態だから普通のことには興味がないのさ」
慣れない部分を慣らすために最初は指を一本だけ挿入させる。
少し解れてくる度に太乙はその指を増やしていく。
「…やぁ…ぅ……」
必死に零れる声を唇を噛んで道行は殺す。
それでも秘所から零れる体液は太乙の指と道衣を濡らしていく。
「こんなに濡れてるよ……道行」
意地悪く耳元で囁く。
そしてその光る液を指に絡めて後ろを刺激していった。
「もう……いいかな……」
半ば放心状態の道行を現実に引き戻したのは太乙の侵入だった。
「ああああああっっ!!!!!」
媚薬と太乙によってほぐされた後穴はいとも簡単に太乙を受け入れた。
巻き毛が切なそうに揺れてる様が太乙の暗い部分を刺激する。
「あっ……はぁん!!…いや…あ…っ!!」
「後ろでも感じちゃう?」
浮き出た汗と、溢れる涙。
「でも……こっちにも欲しいでしょ?」
唇だけで笑い太乙は傍らに会った袋からそれを取り出す。
男性器によく似た形のそれは何かの宝貝なのか振動していた。
「ちょ……待てっ……」
「だぁめ。変態とか傷つくこと沢山言われたからね……」
後ろで繋がったまま太乙はそれを濡れそぼった道行の秘所に差し込んだ。
「!!!!!!!」
今まで感じたことの無い様な刺激が一気に脊髄を走り、脳内麻薬を活性化させる。
薄皮を通じて擦れ合う感覚が道行を追い詰めた。
「や…嫌ぁ……!!!」
ぎゅっと胸を掴まれ、道行の膝が震える。
がちゃがちゃと手枷がもどかしく動く。
性感帯全てを刺激され、何度も絶頂を向かえ、そのたびに太乙は道行の唇を甘く噛んだ。
「ああぁっ!!!だ…め……っ!!!」
何度目かの絶頂を迎えたとき、太乙も道行の奥に白濁を放った。
「そんなに怒らなくてもいいじゃない」
むすっとしてそっぽを向いたままの道行の身体を自分のほうに向けさせる。
枷の外された手首は少し赤くなっていた。
(ちょっといじめ過ぎちゃったかな……)
太乙真人が初めて道行を見たのは瀕死の重体のときだった。
無残に千切れた手足と砕けて骨の見えた肩。
腹部はざっくりと切り裂かれ、生きていることが不思議ですらあった。
腐蝕の始まってしまった右手の数本の指と左足を切断して、宝貝合金の義手と義足を植えつける。
潰れてしまった左目の代わりに同じ栗色の宝貝の義眼。
砕けた骨も修復可能なところは自分に出来る限りの治療を施した。
噂に聞いていた美女は無残な姿を太乙に晒した。
宝貝が定着するまでの間、太乙は研究もかねて道行に付き添っていた。
そして、彼女に聞いたのだ。
「そんな姿になってもまだ、生きていたいか?」と。
そして道行は間髪入れずに答えたのだ。
「生きていたい」と。
生命力と意志の強さ。そしてその精神力は十二仙という立場を如実に現す。
かつて亜麻色の髪をなびかせながら華麗に戦った姿が太乙の脳裏に浮かんだ。
(色んなことがあったよね、道行)
波打つその髪を指に絡める。
「……触るな変態……」
「その変態に抱かれてさっきあんなに喜んでたのは誰よ」
そう言われ道行は言葉を止める。
赤くなった手首に唇を落とし、道行の髪にも唇を降らしていく。
「今度は繋ぎ目が分からないような宝貝を使おうか」
「……いや、わしはこのままでかまわんよ。今のところ不自由はそんなに無いからな」
少しだけ、見せる微笑。
それはかつて歌われた通りに可憐なものだった。
「それに……ここに来る理由もなくなるからな……」
「え……今なんて……」
道行はまた顔を背ける。
「ねぇ、もう一回言ってよ。道行」
「何度も同じこというとまたお前に年寄りと言われるからな」
皮肉たっぷりの声はいつもの道行天尊だった。
「おお、普賢ではないか。久しいな」
防護服に身を包み、道行は散歩中の普賢に声をかける。
「道行、お久しぶり。これから道徳の所にいくんだけれども一緒にどう?」
対極府印を手に普賢は宙を漂う道行と連れ立って歩く。
日差しの暖かさに道行はヘッドギアを外す。
亜麻色の巻き毛が風になびく。
「いい天気じゃのう」
「うん」
普賢よりもずっと大人びた顔つき。
「あ、太乙の所にいるみたいだね」
対極府印を撫でながら二人は世間話をしながら乾元山に足を運んだ。
いつもように道徳と太乙は何かで言い争ったのか掴み合いをしている。
「阿保二人が……」
ふよふよと漂いながら道行は二人の間に入り込む。
「止めぬか。おぬしらは十二仙なのだぞ。弟子たちが見たらどう思うか……」
「太乙、こちらのかたは?」
道行はきょとんとした顔。
「ああ、そうであったな。道徳。わしじゃ、道行天尊じゃよ」
「なっ!!??道行!?」
慌てふためく道徳真君を普賢真人が宥める。
「普賢は知ってたのか?」
「顔を見たのはさっきが初めてだけども」
普賢真人は元々外面に取られることは無い性分である。
「ちょうど良い、今度の十二仙の定例会は顔出しで行くことにするか」
「ダメっ!!!絶対にダメ!!!」
手を掴み、太乙は自分の後ろに隠すように道行を引っ張った。
「……人のこと笑えない立場見たいだな。太乙」
「〜〜〜〜〜〜っ」
「離さんか、変態が」
普賢はその光景をみながらただ笑っている。
崑崙山は姜も平和である。
姜も→今日もでした。
道行天尊はあれです、万能包丁の使い手の。
普賢は身持ちが固いですが、道行はそんなこともなさげなので他の十二仙とも
色々絡ませられるような、出来ないような…
スパイ大作戦がことのほか難産なのでかけるものを書いてみました。
真の意味で太乙は変態ってデフォがKINO的にあります(w
おおっ、まさか道行がこんなサイボーグ系の美女になるとは……。
うーむ。
性別を逆転するのはまだいいとして、外見をまったく別物にしてしまうのは
いかがなものかと。
喋り方すら別人だし……。オリキャラっぽい。
ああ〜、やっぱしそう思われましたか。
多分突っ込まれるだろうとは思ったんですが、煮詰まってたんで書ける物を書いてみたってのが
今のKINOの本音ですね。
コミックスのほうを読み返しながら作ってるんですが、この漫画、書くになるとどこまでも広がってしまう…
書けない時は書けないって分かってるんですが書きたいって欲求があって、なんかジレンマがあるんですよね。
ましてや、書き手が少ないとそれも倍増するわけで…現時点でKINOとGBHさんしか書き手がいないんですよ。
なんか、出口の無い迷路でこめかみにピストル当てながらアヒャってる感じというか。
KINOも祈ろう…職人さん光臨キボン。
そんで、はやくこのスランプとジレンマから脱出できますように……
えーと、とりあえず友人とメッセで話してみたんですが
オリジナル色が強いを出されると二次創作は一切出来ないという結論に…
ただ、藤崎氏も阿能氏の封神からあの話を作り、阿能氏も原典から意訳を
入れた阿能版を作り、どこかに自分を入れてるんでしょうね。
KINOもKINOなりの意訳が入るものしかできないと思います。
どうがんばっても藤崎氏の世界を忠実に再現することは出来ないのですよ、
悔しいことに。今のKINOには。
ただ、>306さんの言うようにオリジナル色が強いものは賛否が出ると思ってます。
そのことばっかし気にしてたら何もかけなくなるって気持ちもあります。
その一方でいっそここで断筆したほうがいいかと思う気持ちも。
もっとストーリー性の無い単純なエロパロがいいのだろうか?とか、考えるほど
泥沼に嵌ってる気が…
スレの住人の皆様の意見に従います。今後の身の振り方は。
好みは人それぞれだからね。
自分は道行の話はこれはこれで楽しく読ませてもらったよ。
KINO氏はもっと自信持ってよし!他スレでも書いたがあんたの書く話が好きだ。
確かに現段階ではKINO氏が一人でスレを動かしてる状態だが、それもよし。
文才はあるんだから、最後まで書いてくれ。
310 :
名無しさん@ピンキー:03/06/24 20:56 ID:sR6ZHE/h
 ̄ ̄ ̄ ̄-----________ \ | / -- ̄
--------------------------------- 。← 310
_______----------- ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/ / / | \ ッ
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ヽ/、 / │ ─┐ ,ノ
/⌒/ / \ / │
∧ ∧,〜/ \ / \ ,/ .─┴─
( /⌒ ̄ `ヽ _ノ / __ノ
/ ヽ `ー''´,-'⌒ヽ ┼─┼
/ ∠__ _/ヽ │ │ \\
( \ / / ヽ、_/´ \ ノ
 ̄ \/ ( く `ヽ、 /
\____>\___ノ
/__〉 `、__>
討つの捌け口を業者にぶつけて…と。
色々考えて結局書かせていただきたいとおもってます。
些細な一言で迷い込み、脱出するもんですね。
打つは業者と一緒に斬ったし、大丈夫!
でも、スパイ大作戦は難産…。
>KINOさん
そんなに煮詰まらずに、気楽に書いてくださいな。
まったり保守していきましょう。
〜
(´ー`)旦
313 :
名無しさん@ピンキー:03/06/25 19:11 ID:ADF4dT+b
太乙が見事な変態振りで・・さすが狂科学者。
314 :
名無しさん@ピンキー:03/06/25 19:26 ID:nAlF7cRX
 ̄ ̄ ̄ ̄-----________ \ | / -- ̄
--------------------------------- 。 ←313
_______----------- ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∧ ∧ / / | \ イ
( ) / ./ | \ /
_ / )/ / | /|
ぅ/ / // / | / .|
ノ ,/ /' / |│ /|
_____ ,./ // | / .─┼─ |
(_____二二二二) ノ ( (. | / ┼┐─┼─
^^^' ヽ, | | /. ││
業者も打ったし、続きがんばろう。
>GBHさん、お茶ありがd。
KINOは職場にティーサーバーを持ち込み
公明のようなティータイムしてますよ。
太乙は狂科学者とかいてヘンタイとルビがありましたからね。
壊れ系太乙は書くのが楽しい。
 ̄ ̄ ̄ ̄-----________ \ | / -- ̄
--------------------------------- 。← KINO
_______----------- ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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∧ ∧,〜/ \ / \ ,/ .─┴─
( /⌒ ̄ `ヽ _ノ / __ノ
/ ヽ `ー''´,-'⌒ヽ ┼─┼
/ ∠__ _/ヽ │ │ \\
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 ̄ \/ ( く `ヽ、 /
\____>\___ノ
/__〉 `、__>
↑天化
ああああ、また番号ミス…
313さん、ごめんなさい。
天化に斬られて逝って来ます…
異説封神演義
〜〜〜〜スパイ大作戦〜〜〜〜
「最近誰かに見られる気がするっすよ、御主人」
四不象は太公望の傍ら、そんなことをポツリとつぶやいた。
太公望は片手に自筆の軍書を持ち、愛用の眼鏡を軽く上げる。
「ああ、そのようじゃのう」
事も無げに太公望は兵の指導。
「大方聞仲が向けてきたスパイではないのか?わしは今そんなものにかまっている余裕は
無いのじゃよ、スープー」
兵の指導、聞仲に対する警戒、他の諸侯との連絡。
軍事面に関しては一手に引き受け、その手腕を発揮していた。
「太公望」
「発、いいところに来た。これを見てくれ」
今朝方書き上げたばかりの書面を姫発に見せながら、解説を始める。
「さっきからよ、なんか可愛い子がお前のこと見てんだけども」
「可愛いのならば口説いてきたらどうじゃ?遊び人の発の名が泣くぞ」
気にも留めずに太公望は姫発を見上げる。
「あのな、可愛いけど、それだけだろ。なんとも思わねぇの?俺が他の女口説いてんの見て、
こう……やきもちとかやかねぇの?」
「………発」
「?」
「わしに嫉妬させたくば王としての自覚を持ち、それなりの男になれ。わし無しでも挙兵できる
ようにな。自分の持つ才覚を発揮する男ならば…嫉妬の一つでも焼く気にもなるのだが……」
ふぅとため息をつき、太公望は笑う。
姫発は頭を抱えるが、渡れた書面に目を通し始める。
事実、姫発は太公望の指導で軍事に関しては自分の思想を確立しつつあった。
「でもよ、俺なんかでいいのか?王ってもっとこう……」
「発」
諌める様に少しだけ強い声。
「自分を持て。今は前だけを見るのじゃ。おぬしには抱えきれぬ仲間がおるだろう?
なによりも、おぬしには人をひきつける力がある。別に才能は要らぬのだよ、発。
誰かに愛され、誰かを愛することの出来る人間が王になればよい。おぬしは必要なものを
全て持っておる」
姫発は少し困ったようにため息をついた。
何かと父であり、賢君であった姫昌と比べられる日々。
「親父や、あんちゃんみたいな才能、俺には無いしな」
「同じである必要は無かろう?発、おぬしはおぬしじゃ。姫昌とは違う。それで良いではないか」
「そうか?」
「発は発。他に代わりなどおらんのだよ」
時折思う。太公望は母のようであり、また、父の様でもあると。
母性と父性を併せ持ち、時に子供のように笑う。
(でも、まだ親父の事…好きなんだろうな……)
自分と父親を間違えることは無くなったが、明け方一人で空を見上げる癖。
かつて父が好んで立っていた場所のほんの少しだけ隣に太公望は佇む。
まるで、姫昌と寄り添うように。
(親父を超えなきゃ、俺になびくこともねぇってやつか……)
「発?」
「俺って、いい男か?」
「どうした、急に」
「お前が惚れるような男になっからさ」
「楽しみにしておるよ」
物陰からそんなやりとりを書面を手に見つめる少女。
(太公望って道士のクセに武王とデキてるわけ!?)
三つ編みを頭上に結い上げた可憐な少女。
(これはもう少し調べなきゃ聞仲さまにいえないわね……)
夜の帳が下り、太公望は自室に篭って処理しきれていない残務をこなしていた。
すでに日課の一つにもなり、四不象が夜食を差し入れる。
「御主人、あんまり無理しちゃ駄目っすよ」
「うむ。心配をかけてしまうな、スープー」
四不象の頭を優しく撫でる。
太公望が絶対な信頼を寄せる霊獣。
「天祥のところに付いていてくれるか?まだまだ母が恋しい年じゃからのう」
「わかったすよ。御主人も早めに寝るっすよ」
差し入れの糖菓子を口に入れながら、太公望は筆を進める。
「師叔」
「ヨウゼン、何か用か?」
「あなたに会いたくて来ました。いけませんか?」
「…せっかく来たのだから、スープーの差し入れでも食うが良い……」
ヨウゼンには気も留めずに太公望は再度筆を進める。
その手を取り、ヨウゼンは人差し指を舐め上げた。
「…ヨウゼン……」
「少し、息抜きをしませんか?」
額をこつんと合わせる。
軽く唇を重ねながらヨウゼンのて手が胸元を弄っていく。
次第に深くなる口付けに太公望も諦めたのかヨウゼンの背に手を回した。
ちゅ…っと唇が離れると、銀糸が引く。
「…は……んぅ……」
唇を甘く噛まれ、吐息が零れる。乳房に沈む指。
ひんやりとした板張りの床の感触に身体が震える。
ヨウゼンの手を取ってその甲に口付けて、指を軽く咥える。
「…どこでそんなことを憶えたんですか?師叔…」
「おぬしであろう、忘れたのか?」
指から舌を離し、太公望はヨウゼンを上目で見る。
お互いに着衣を落として体温を確かめる。
(……気のせいか?誰かの気配を感じる……)
ヨウゼンはそのまま床に太公望の身体を倒す。
その行為を顔を赤らめながら少女は見つめていた。
その後もそこかしこで少女は太公望のことを嗅ぎ回り熱心に書面に書き起こしていた。
(なんなのよ、太公望って!!日替わりで違う男連れ込んでるじゃない!!)
物陰から睨む少女の肩を叩く手。
「!!」
「あなた、熱心に私の呂望のことを嗅ぎ回っていますね」
申公豹が雷公鞭片手に歩み寄る。
「なななな、なによあんた!」
「はじめまして、私は申公豹といいます」
ばちばちと雷華を上げながら申公豹は少女に詰め寄った。
元来無表情な男だが、薄く笑った様は少女を緊迫させるには十分な凄みがある。
仙界最強の宝貝を持つ男。
「よさぬか、申公豹」
「……呂望」
腕組みした太公望と、困ったような顔の四不象。
「こやつも仕事でやっておる事だろうに。おぬしに凄まれて震えておるではないか」
少女の手を取り、優しく包む。
「名前はなんと言いう?」
「な、なんであんたなんかに教えなきゃいけないのよ!」
雷公鞭を構え申公豹が一瞥すると少女は渋々と自分の名を告げた。
「センギョクよ!分かったら離しなさいよ!!」
「……わしの周りをうろつくのも、聞仲に報告するのも構わんよ。それはおぬしの仕事だろうし。
だがな、センギョク、寝室を覗くのはやめてはくれぬか?わしでも羞恥心くらいはあるでのう」
太公望はそういうと少しだけ頬を染めた。
「あなた、呂望の寝室を覗いてるのですか?」
「リョボウ?誰よそれ」
センギョクは強気に申公豹を睨む。
その態度に申公豹は目を細めた。元来、気の強い女を好む男である。
「わしの事じゃ。呂望とはわしが仙界入りする前の名前じゃよ」
「と、とにかく毎晩違う男連れ込んでる道士なんて前代未聞よ!!」
口元を手で覆いながら太公望はちらりと申公豹を見やった。
口元は笑っているが、目が笑っていない。
(面倒なことにならぬと良いが…困ったのう)
雷公鞭を握る手に、わずかばかり力が入る。
「その話、詳しく聞かせていただけませんか?」
「……申公豹、今度ゆっくりと話すというのでは駄目か?」
やれやれと太公望は頭を振った。
「…まぁ、いいでしょう。あなたに貸しを作るのは悪くはないですしね」
申公豹は飄々と空に戻る。
取り残されて二人はしばしぼんやりとしていた。
「あんた…何者よ…仙人食い荒らす趣味でも持ってんの?」
「そんな趣味を持つほど暇ではないよ……まぁ、わしも悪いのだが……」
バツが悪そうに太公望は小さく笑った。
不思議な女である。
寝室を覗かれたことには赤面するが、機密を盗むことには何も言わない。
ゆるぎない思いと、未来を見るための力。
自分の行動などでは何も変わらないという自信。
それは聞仲に相通じるものがあった。
(なんだか分かんない相手よね、太公望って)
センギョクはいつものように太公望の身辺を嗅ぎ回る。
音を立てずに飛び回るさまは流石、仙人界の者。
満月に浮かぶ影が美しい。
センギョクの行動など気にも留めずに太公望はいつものように空を見上げていた。
風もなく、音も無い夜。
まるで自分以外全て生命が停止したかのように錯覚さえ覚えてしまう。
欄干に手をつき、少し疲労の浮かぶ顔。
誰かと居るときにはおそらくは見せないであろうその表情。
(疲れた顔してるわね……どうせまた誰か連れ込んでたから疲れてるんでしょ)
それはほんの少しだけ女としての嫉妬も混じっていた。
センギョクと太公望は外見的には大差ない年齢である。
傍らが女としての華を開花させ、崑崙の幹部としての実力を発揮している事実。
(あたしだって聞太師に認めてもらったんだから)
金号ではそう優秀ではなかったセンギョクを引き抜いたのは聞仲。
彼女はその期待に応えるべく昼夜なく走り回っていた。
ひんやりとした空気。
月をぼんやりと見上げる太公望。
そのまわりの空気だけが一段暗くなっていた。
(……???……)
ぼんやりとした影。それはやがて人の影になり、優しく太公望の身体を後ろから抱いていく。
丹精な顔に、知性的な瞳。
(…き、姫昌!!??西伯侯姫昌!!??)
金号出身の者は人ならざる者を見ることが出来る。
センギョクも、当然その力はあった。
若き日の姫昌は自分に気付かない太公望に寄り添い、同じように月を見上げた。
重ねられた手。
太公望は寂しげに笑うだけ。
姫昌は愛しげに彼女の頬に触れる。
決して触れることが出来ないと知っていても。
(ど、どうしよう。何なのよ!太公望って)
姫昌がいることなど、太公望は知る由も無い。
センギョクには聞こえないがぽつりぽつりと何かを呟いている。
ただ、その言葉は分からないが姫昌が嬉しげに顔を綻ばせるのを見て内容を察することはできた。
顔を両手で覆って声も上げずに泣く姿は同じ女として痛いほどそ気持ちが伝わってくる。
(太公望の本命って…姫昌…だったの……?)
身体が冷えることなど構わずに太公望はその場から離れようとはしなかった。
明け方の空は紫。
姫昌はもう一度太公望を抱くと、静かにその姿を消していった。
少女二人は霞み行く空を見上げている。
同じようで違う想い。
でも、女としての想い。
たとえ、相思相愛であったとしても、触れることも、声を聞くことももう出来ないのだ。
(あたし、聞仲さまになんて言えばいいんだろう……)
日が昇り、太公望は静かに自室へと戻って行った。
いつものように政務をこなす太公望。
「ちょっと」
「なんじゃ、センギョク。暇つぶしがしたいなら発あたりを当たってくれ。おぬしになにか有益な
ことをもたらすかも知れんぞ」
殷との戦争のために太公望は身を削っている。
少しやせた頬がその政務の量を語っていた。
「あんた、姫昌が好きだったの?」
ことりと太公望の手から筆が落ち、床を転がる。
「……何故、それを……」
「あたしだって女だもん」
ふふん、とセンギョクは得意げに笑った。
「このあたしに何か隠そうなんて甘いわよ」
「……そうじゃな。姫昌をこの国の王にすることがわしの夢じゃったよ」
仄かに暗く染まる瞳。
どれだけ涙を流しただろう。どれだけ、一人で思いを重ねただろう。
手を伸ばしても、届きはしない。
せめて夢での逢瀬でもと思ってもそれも叶わない。
「ねぇ、どうしてあたしたちは女なんだろう」
「……女の身体は痛みに耐える力が強いらしい。出産も経血も、処女喪失も女にしかないからのう。
ただ、それがあるのはそれに耐え得るだけの強さがあるからと聞いた」
太公望の瞳がセンギョクと重なる。
「だが、わしの身体には経血も無い。子を孕むことも無い。それでも身体だけは女……皮肉なものじゃ…」
柔らかき女の身体は棘に耐える力を持つという。
貫かれ、突き刺されることを受け入れる仕組みとつくりの身体。
異物を取り込み、それは腹の中で自分を吸収しまったく別の生命となる。
「はたしてわしは……女と言えるのであろうか…?」
それはセンギョクにとっても同じことだった。
仙女、道士として生きる者は人ではないのだから。
「…あれだけ恋する女の顔してて何言ってるのよ。太公望は嫌になるくらい女でしょ」
「……そうか……そうじゃのう……」
笑った顔。
「あたしだって今に素敵なハニーを見つけるんだから!」
「わしらは悲しいまでに女じゃな、センギョク」
向かい風の中を少女は歩く。
誰の力も借りず、その足で。
見える目があるから。歩ける足があるから。
道無き道を行く。
明日のために。
エロないですな…しかも誤爆までしてきました。
ようやくなくしてた17巻をかってきました。
さて、さくさく続きがかけますように。
梅雨時期なので食あたり…
328 :
名無しさん@ピンキー:03/06/27 03:40 ID:GXd8P5fX
あ。
そういえば、ここではどうでもいいのかもしれないけど、
太公望は「〜じゃ」って言わない。のだ。
330 :
名無しさん@ピンキー:03/06/27 23:02 ID:urrVbe1/
ようやく追いついた!
>KINO氏
凄いです。
描写とか、メチャクチャうまいです。
太公望が女だという設定も、初めからそうだというならば、違和感なく受け入れられました。
つーか、藤崎版よりも面白い。
今後も頑張ってくれ!
332 :
名無しさん@ピンキー:03/06/28 18:57 ID:wLY/OmPQ
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---------------- 。゜ 。 。 。> 328、330、332
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ノ゙,,ーr,゙ヽ,,,キラソ☆ !
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業者は大気圏の彼方へ。
続きを書いてます。それでもまだ、9〜10巻のあたりです。
センギョクとハニーの話、喜媚とスープーの話とかも。
十天君の話も書きたい…本編が煮詰まると書くようです(゚o゚;
>329さん、そうかも。まぁ、この望はKINO設定の望だと思ってやってください。
>331さん、ありがとう御座います。
藤崎版が面白いからそこから膨らませられたというか…でも、嬉しいです。
がんがりますね。
KINOさん……。
あんたのお話(文章にあらず)には萌えたよ……。
こんなこというとプレッシャーかもしれんけど、是非とも続きを書いてほしい。
336 :
名無しさん@ピンキー:03/06/30 19:27 ID:SY+88y6g
337 :
名無しさん@ピンキー:03/06/30 22:15 ID:ZM6OWY4x
338 :
名無しさん@ピンキー:03/06/30 22:15 ID:QBhZjxjo
ニ=―― 。← 336-338 ―=ニ
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iヽノ-‐'\┤ | || ___ \
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,=i 〈-_i ) 、` ' (
業者討ち。
なんか、現在スレのっとりしてるような気も……
みなさんが、マターリと萌え話とかできるスレでもあるとは思うのですが…うーん
>335さん、
ゆっくりですが、書いてますよ〜。ただ、話が進むにつれて書きたいものが増えて、
書ききれない自分がいてという繰り返しに……
書いて何ぼなんでがんがります。ありがとです(´ー`)
異説封神演義
〜〜〜罪と罰・前編〜〜〜〜
紆余曲折を経て、センギョクとその一族は周に身を寄せることとなる。
周の軍は太公望とヨウゼンの元、着実にその力をつけてきていた。
無論、聞仲の仕掛けてくる道士に対してもぬかりはない。
仙人界からも援軍が下山し、その連結を深めていた。
「お師匠様、いろんな人がきますね」
「うむ、仙道の相手はわしらの仕事だからのう」
打神鞭を軽く握り、太公望はヨウゼン相手に自分の稽古を積んでいた。
変化の力を持つこの男は太公望と対峙するときでも決して手を抜かない。
本気でぶつかり合い、お互いが怪我をすることもしばしばだった。
軍師が本気で稽古をしているのを見ているせいか兵士たちにも活気が溢れている。
「少し休むとするか、ヨウゼン」
「そうですね」
二人とも肩で息をしながら、額の汗を拭う。
照りつける太陽に乾く汗の感触に太公望は耐えかねて頭布を取り払った。
風に舞う黒髪に、兵士たちの息が止まる。
「?どうかしたのか?」
太公望の背を押し、ヨウゼンは人目を避けるようにその場から離れさせた。
「師叔が女性だということを兵の殆どは知りません」
「まぁ、知ったところで変わりは無いであろう」
「いえ、飢えた狼の中にどうして肉を投げ入れるようなことを……」
髪をかき上げながら太公望は苦笑する。
「思い過ごしだ、ヨウゼン」
「……僕が嫉妬すると言えば、あなたは少しは考えてくださいますか?」
「……すまぬ、今のわしに答えを考える余裕がないのだ……」
振り返る余裕もなく、今は前に進むだけ。
「だが……もう少し余裕が持てるようになったら、考えさせてくれぬか?」
「……僕は、気は長いほうです」
並んで歩く影が二つ。
「師叔!」
屋根瓦を蹴りながら天化が目の前に下りる。
同じように稽古をつけていたのか宝剣が右手に握られていた。
「どうかしたのか?天化」
「さっきあっちでみんなが軍師がどうたらとか言ってたさ」
やれやれと太公望は頭を振った。
兵の殆どは太公望の才気を知っている。
今までの功績から言っても軍師としてはかなりの実力者と認識されているほどだ。
ただ、少数ながら女の下に付くのが嫌だという兵もいる。
相手が美少女ならば尚のことだ。
血気盛んな年頃の兵士たちにとっては太公望はある一種、欲望の捌け口としての見解もあった。
「あんな女なら相手して欲しいよな」
「いや、俺は女の指揮では動きたくは無いな」
そんなことを若い兵士たちは呟いている。
「師叔、どうするさ?俺っちが二、三発殴ってくるさ?」
欄干に座り、太公望は視線を兵士たちに向ける。
「いや、わしが自分でケリをつけるよ。今でなく、近いうちにな」
「あいつら最近入ったから師叔の強さ知らないさね」
「わしより天化のほうが強いぞ」
「俺っち、師叔が惚れそうな男になってみせるさ」
「期待しておるぞ」
軽く天化の頬に唇を落とす。
天化の顔がぽっと赤くなって、少し笑う。
「任せとくさ!俺っち強くなるから!!」
朝歌陥落を目指し、周軍は前に進む。
「御主人、仙人界からの味方ってどんな人っすかね〜」
「そうじゃのう……」
十二仙が出るには時期尚早だ。十二仙が参戦するなら十天君も黙っているはずが無い。
動くはずの聞仲の動きは無く、外野ばかりが攻撃を仕掛けてくる。
(聞仲……足止めでも食らったか?)
どちらにしても聞仲が出てこないに越したことは無い。
「御主人、なんか見えるっす」
「あれは……黄巾力士?」
「王子様たちっすよ!仙人界の味方は彼らのことだったんすね」
彼らの年少の頃を見ている二人にはその成長ぶりが嬉しいものだった。
「大きくなったっすね」
「うむ」
近づく二人を太公望から遠ざけたのは一筋の巨大な稲妻だった。
大地を抉り取るその勢い。
仙人界最強の道士、申公豹の力である。
「太公望、予言の成就する季節が来てしまったようですね……」
未だ雷公鞭はばちばちと火花を上げている。
第一子である殷郊は殷の第一王位継承者である。
仙人界での修行を積めば積むほどに、彼は自分のおかれた現状を考えるようになっていった。
繰り返される言葉。
『あなたは殷の正当なる王太子。なのに敵である太公望の下に付くのですか?』
その身体に流れる血が囁く。
自分のするべき行動を。
そして、悟るのだ。自分は殷の正当なる後継者だと。
自分の天命は殷と共にある。それがどんな結果であっても。
それが王太子としての運命だと。
「さぁ、王太子、選択の時です。太公望の側について殷を滅ぼす手伝いをするか。
父である紂王の側に付き太公望と戦い王太子としての責務を全うするか」
殷郊は目をそらさずに申公豹と向かい合う。
微かな威厳。
それは血筋の成せる業だった。
「申公豹、僕を殷に連れて行ってくれ」
「兄様!!」
殷郊は黒点虎に飛び乗り、太公望と対峙する。
「僕は殷の正当な後継者だ。あなたの側に付くことは出来ない」
「………」
太公望は眉一つ動かさない。
まるで事前に予測していたかのように。
「言っておったな…太子はいつかわしの敵になると……」
朝歌に向かう太子を太公望は引き止めることなく見送る。
「太公望!兄様が行っちゃったよ!!」
「全て、予想したまま……か……」
呟いた声は誰にも届くことなく、風に消えていく。
「僕、兄様を連れ戻してくる!申公豹に騙されてるんだよ!!」
太子二人が去り、道士たちが太公望の傍に寄ってくる。
道士が相手ならば道士が迎え撃つ。
それが太公望の戦術の根幹にあるものだからだ。
「師叔、どうするのさ?」
「……ここはわしに任せて欲しい、元はといえばわしが蒔いた種じゃからのう……」
殷郊は王太子の責務を果たそうとしている。
ならば、自分は周の軍師としての責務を全うしよう。
それが道士として、また、軍師としての己のすべきことだった。
宿営地では周の幹部があれこれと策を練っていた。
太公望は現れず、軍師不在での軍議である。
「太公望のやつ……明るくしてっけど無理してるよな……」
姫発がぼんやりと呟いた。
「俺、探してくるわ」
「武王、勝手に動くことは師叔の命に逆らうことになりますよ」
「どっちにしたって怒られるんなら、太公望探してくるわ、俺」
発は太公望が居そうなところを探し回る。
少しだけ高い丘、なだらかな草原、そして、ひっそりとした岩場。
小さな岩の上に太公望は膝を抱えて座っていた。
「太公望」
「……発……」
太公望の傍に座り、姫発は胡坐になる。
「顔冷てぇな……ずっとここに居たのか?」
「ああ……少し先のことを考えておったよ……」
防護手袋を外し、太公望は宙を掴もうとした。
「?」
「星降る夜に願いを掛ければ、叶うと言うであろう?その星を掴むことが出来たら……」
今宵は星降る夜。
数え切れないほどの流星が浮かんでは消えていく。
それはまるで人の世の栄枯を映してるかのようで。
生命の輝きに似たその風景は、胸の奥に小さな光となって沈んでいく。
「なぁ、殷を倒したらお前……どうする気だ?」
伸ばした手を発が取る。
「そうじゃのう……仙人界に戻って隠居でもするか……」
そのまま、抱き寄せ、太公望の身体は発の腕の中に。
「なぁ、全部終わったらさ、道士なんか辞めちまえよ」
「?」
「俺の嫁になるってのはどうだ?」
きょとんとした顔で太公望は発を見上げた。
「多分……そんなに困らせるようなことはしねぇと思う……確約はできねぇけど」
発に見えないように太公望は笑い、発の胸に頬を当てた。
聞こえる心音は人も、道士も同じ音。
斬られれば痛みを感じ、血が流れれば死んでしまう。
「……駄目……かな……」
「全部終わって、後始末も終わって、本当にやることがなくなったらもう一度言ってくれるか?」
「……太公望……」
「もう、何もしなくていいと思えるようになったら……」
まやかしでも、嘘でも、一瞬だけでも。
星降る夜を待ち、願いを掛けよう。
「寒くないか?」
「いや……」
叶わない願い。
太公望も、発も。願うことは決して叶うことが無い。
それでも、この一瞬だけでも、甘い嘘に騙されていたかった。
「風邪引くぞ」
言われて太公望は発の身体を強く抱いた。
その背に手を回して、離れないように。
「なら、そうならぬようにしてくれ」
「んなこと言われてもよ〜」
少し、子供のような口調で話す太公望に発の鼓動が早くなる。
「発とこうして遊んでいられるのもあとどれくらいかのう……」
「?」
「武王たるものが仙道に入れ込むのは他に示しがつかんぞ」
「惚れた女に入れ込まねぇ男なんていねぇだろ」
発の手が道衣の中に忍び込み、下がっていく。
形のいい臀部を揉み、そのまま前に指を滑らせる。
「……っ…発……」
互いに着衣はそのまま。
上着の裾を太公望の手がぎゅっと掴む。
発の指はそのまま、肉壁の中に入り込むと、前後に動き始める。
耳にかかる息が熱い。
「そんな目で見んなよ……止めらんなくなるだろ……」
「…止める気はあるのか……?」
太公望にしては珍しく、少し意地の悪い口調だ。
「…あるわけねぇだろ」
ぬるりとした感触が指に絡まり、空いた手で発は太公望の着衣を落としていく。
浮かび上がる肌は無言で男を誘う。
もって生まれた転生の魔性とでも言うべきか。
「傷……増えたな……」
消える間もなく、傷は深く刻まれていく。
少女の柔肌はそれを受け入れる器。
鎖骨に歯を立て、そのまま唇を下げていく。
少し、ふくらみの増した乳房。
「…あっ……ん……」
発の頬に手を当てて、自分から唇を合わせる。
まるで、ねだる様に。
掠めて、重ねて、触れて、離れる。
「……っ…や…!……」
肉芽を摘まれ、耐え切れずに発の肩にしがみつく。
腿を伝う体液の感触さえ、性感帯に火をつける有様。
ずるりと指を抜くと、濡れたその指を発はぺろりと舐めた。
その姿に太公望は赤面して顔を背けるが、発は面白そうに笑う。
(こーゆーとこ、初心な感じだよな……こいつ……)
胡坐のまま、発は太公望の身体を抱き上げ、膝の上に乗せる。
体勢を少し変えて、向き合う座位のようにして、自身を打ち付けていく。
「…っ…あああっ!!!!」
発の上着を掴み、太公望は切なげに声を上げた。
細く、少し悲鳴に似たその声は、発の耳の奥底で響いていく。
蹂躙したいというその想い。
一方で触れることさえ禁忌と思う自分。
どっちつかずに、悩みながら互いの身体を求める。
分かってる答えを知るのがいやで、子供用に駄々をこねて。
「なぁ……俺のこと好きか……?」
腰を抱く手に力を込めて、深く繋ぎとめる。
そのまま、動きを止めると、締め付けてくる感触とその熱さに自我を無くしそうな感覚に、
発は眉を寄せた。
「…何とか言えよ……」
肩口に顔を埋めて、太公望は目を伏せた。
背中に手を伸ばして、ぎゅっと抱きしめる。
「発」
「………」
「何もかもが終わったとき、わしの身体はぼろぼろかもしれんぞ…目も潰れ、口もきけぬ様に
なるやも知れんぞ……」
「関係ねぇよ……生きててくれりゃそれでいい」
「……後始末も終わって、何もかもが終わったら……帰ってくるよ……」
「……ん……」
言葉に出してしまえば、嘘になるから。
それでも、その嘘でさえ、欲しいから。
掴んでは零れる砂のような幸福。
「わしが帰る場所になってくれるか?」
それは悲しくて、優しい嘘。
子孫を残すことが出来ない者は宮廷に居る資格は無い。
ましてや、王の傍になどは言語道断だ。
事情を知る旦ですら、おそらく顔をしかめるであろう。
周の武王と崑崙の仙人。
どう足掻いても結ばれることなど不可能なのだ。
「太公望……」
「疲れたら、休ませてくれるか?」
恨むべきは己の宿命。子を孕むことが出来ぬこの身体。
しかし、道士にならなければ発に会うことも、ましてや姫昌に出逢うことも無かった。
あの日、一族と共に土の中に埋められていれば何も始まりもしなかった。
苦しむことも、悩むことも、自問自答の日々も。
そして、恋心を抱くことも………。
「わしらにはやるべきことが多すぎるのう…発……」
胸に頬を寄せてくる姿が愛しくて。
「ああ……面倒なことが山積だな……」
乱れて、落ちる姿が艶やかで、目に焼き付ける。
このまま、嘘の中で溺れてしまおう。
何もかもを投げ捨てて。
翌日太公望は仙人界へと向かう。
二人の師である仙人に会うために。
久々に戻る仙界は何も変わりなく、緩やかな空気が流れていた。
「望ちゃん、久しぶり」
「普賢……」
「どうしたの?少し、顔色が悪いよ」
普賢の声が頭の中に響く。
そのまま、その声と意識がすぅっと消えていった。
「望ちゃん!?しっかりして!!」
普賢は太公望の身体を揺さぶるが何の反応も無い。
「普賢さん、どうしたっすか!?」
「ああ、四不象、僕じゃ運べないから、誰でもいいから呼んで来て!!」
額に浮いた汗。触れなくても高熱なのが伝わってくる。
「望ちゃん、望ちゃん……」
対極府印で体温を下げようと試みるものの、太公望の息は荒く、苦しげだ。
(しっかりして…こんなところで躓いちゃ駄目だよ……)
「………普賢……?」
「あ、気が付いたみたい…良かった」
ぼんやりとしたまま、身体を起こす。
どうやら普賢の邸宅らしい。
「わしは………」
まだ、少し痛むのかこめかみを押さえる指先。
「熱出して、倒れたの。それで、道徳にここまで運んでもらって…」
「原始様に会ってこねばならぬのだ…」
「駄目。そんな身体で外に出るなんて」
何時に無く普賢の声が強い。
太公望と普賢真人は無二の親友である。
痛々しい太公望の姿を見るのは普賢にとっても居た堪れないものだった。
「今日一日はここで休んで。一日やそこらで世界は変わらないよ」
盆に薬膳粥を入れた碗を載せ、普賢は太公望の隣に座る。
「食べて。それから考えよ」
「………普賢」
「?」
「わしは…罪人じゃ……できもしない約束をした……」
「望ちゃんが罪人なら僕も同じだよ」
さめざめと泣く太公望の肩をあやすように抱く。
「誰かを好きになることは、悪いことじゃないよ」
「わしは…自分でも自分の気持ちがわからんのだよ…」
「望ちゃん……」
安心したのか、太公望は声を上げて泣いた。
それは捨てたはずの感情で、止め処なく溢れてくる想い。
(今はゆっくり休んで……望ちゃん……)
泣き疲れて眠ったのを見届けてから、普賢は謁見の間に向かった。
「普賢」
「道徳、どうしたの?」
「太公望は?」
二人並んで、ゆっくりと歩く。
普賢は大抵の事には動じない性格だ。
「疲れて寝てる。だから、僕が原始様のところに代わりに行こうと思って」
「俺も行くよ。一人よりはいいだろう?」
にこやかに道徳は笑う。
「すこし、寄り道してもいい?」
「ああ、俺は構わないけれど……」
草むらに座り込んで、浮かぶ小さな岩を見つめる。
下界での騒乱など、まるでなかったかのように時間の止まった世界。
「ねぇ、道徳。ききたいことがあるんだけどいい?」
ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「好きって、何?」
「えっ……と、その……」
「答えて」
「ん…そう言われると…でも、普賢が泣かなくて良い様に、俺に出来ることはしたい。
一緒に居てくれるだけで嬉しい。ん〜。でも、それじゃ答えになってないんだよな…」
あれやこれやと頭を抱える道徳を見て、普賢はくすくすと笑った。
「人が真剣に考えてるのに笑うなよ」
「答えが欲しいわけじゃなかったんだ…ただ、聞いてみたかっただけ。ごめんね」
悠久の時を共に過ごす相手。
一度知ってしまえば、今まで平気だった孤独も、夜も、何もかもが怖くなってしまう。
己の脆さ。貪欲さ。
種を残すことのない性行為は、ただ、肉欲を満たすためだけ。
それでも、繋がっていなければ不安に押しつぶされそうになる。
(望ちゃん、僕もの僕の気持ちは分からないよ……)
「ふ、普賢!?」
ぽろぽろと涙をこぼす普賢真人の姿に道徳はおろおろとするばかり。
「あ……」
指先に零れる感触で初めて自分が泣いていることを知る。
涙ーーーーそれさえも忘れていたもの。いや、捨てたはずのものだった。
ごしごしと拳で拭って、すこし赤くなった目。
(そっか……そいうことか……)
どこにも行き場の無い想いだけが、真綿で首を締めるように身体を侵食する。
「普賢?」
唐突に抱きつかれ、空を泳ぐ手。
「不安なんだ…この先が……」
「普賢……」
「死ぬことなんて怖くなかったのに…どうして……?」
しがみつく様に抱きついてくる普賢真人をそっと抱きしめる。
「怖いって…思う。道徳が居なくなるのが……嫌……」
「…俺は死なない…普賢も死なない。太公望も天化も…誰も死なない。全部終わったら笑って、
いつも通りの日々に戻るんだ。そして、俺は普賢と一緒に居る。そうだろ?」
「本当に?」
「ああ、嘘じゃない」
自分を包む男の匂いが、安定をもたらす。
そして、同時に不安も。
(ねぇ……誰一人傷付かない戦いなんて無いんだよ……)
分かってる。痛いほどに。
混乱はいずれ二つの仙人界を巻き込んでいくだろう。
そのときは十二仙も戦地へと赴くことになる。
そのときに、一体どれだけ無事に帰ってくることが出来るだろうか?
(それでも、そんなことは無いって言ってくれる?一人じゃないって言ってくれる?)
分かりきった答えを知りたくないから、必死になって考える。
「だから、普賢もそんなこと考えなくていいから」
「……好き……」
「…え………」
この思いが罪になるのならば、罪人になろう。
「普賢……?」
「もう、言わないよ。ちゃんと聞かない方が悪いから」
願いが叶うことは、一撮みの砂糖で海を甘くするようなもの。
奇跡でも起こらなければ、どうにもならない。
『奇跡』はそう簡単には起こらないから、奇跡としての価値を出すもの。
「うん……ちゃんと聞いたからいいよ」
ぎゅっと抱かれて、目を閉じる。
甘い嘘に溺れながら。
これが罪になるのならば、どんな罰でも受け入れられるから……。
罪と罰は長いんで、前後編に分けることにしました。
後半のほうを今書いてます。
もう少し早く書ければいいんですが、こればかりはどうにもなりません。
職人様、光臨きぼん。
リアルタイムキタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!
KINOさんモツカレ様です。今回もハァハァさせていただきますた(*´∀`)ハァハァ
ごゆっくり自分のペースで書いてくださいな。
スレが伸びてる間に他の職人さんも来てくれるかもしれないし。
>356さん、
そうですね〜。そのうちまた来てくれることを願って。
罪と罰を書き上げたら少し軽いのを書く予定です。
前のほうに出てきた雷震子ネタのやつを(紂王もびくーりのあれです
ぼんやりと湯気がたつ熱い酒は、寒い夜には心地よかった。
誰が傍に居るわけでもなく、ただ涼しいからだを暖める。
…失ったものがあまりにも多すぎた…。
武成王。普賢…
数え切れない仲間が犠牲になっていった。
それはまるで己の体から血が流れたような出来事で、
体を冷やす原因もそれではないかと思えてくる。
「…わしもまだまだ…青いのう」
目元を熱い雫が伝った。軍師は弱みを見せれない。
それを拭えば急に疲れがのしかかってきたような気がして、椅子から立ち上がり寝台へと向かう。
その時だった。
とん、とん。
控えめなノック。
こんな夜遅くに訊ねてくるのは珍しい。もう作戦も何もまとまったはずだった。
「…太公望…?起きてる…?」
扉の向こうに居るであろう人物の声は意外にも女性であり、
それが、さらに蝉玉であるということは…頭のどこも想像はしていなかった。
お、続きが。
KINOさん、乙です。
道徳と普賢がいい雰囲気。
太公望もいいけど、このふたりを見てると、なんつーか、ムッハー( ゚∀゚)=3
純情だねえ。
あなたのを見てると、こっちも創作意欲が刺激されるというか。
もしかしたら書くかもしれん。……予定は未定だけど。
続きも頑張ってくだされ。
>>358 これは……続くの?
KINOさんの小説も好きだが
KINOさんの業者討ちっぷりも好きだ。
361 :
めぇ〜:03/07/02 16:14 ID:jBBXr644
KINOさん、はじめまして
素晴らしすぎる小説に感動いたしましたっ
第1話の申公豹と望ちゃんの時点で夢が叶いました…申公豹マイナーだから…
王天君とか老子とか、これから出てくるのが楽しみです
これからも是非続きを頑張ってください!!
>>361 あ・げ・る・な・よ!!
KINOさんの仕事(業者討ち)を増やすつもりじゃあるまいな。
俺たちの仕事は神の方々が気持ちよく降臨できる環境を保つこと。
それが最低限のマナーじゃないか?以後気をつけれ。
>>361 あ・げ・る・な・よ!!
KINOさんの仕事(業者討ち)を増やすつもりじゃあるまいな。
俺たちの仕事は神の方々が気持ちよく降臨できる環境を保つこと。
それが最低限のマナーじゃないか?以後気をつけれ。
>351さん、
つ…続きを…続きを…!!
>359さん、あはは、ありがとうございます。
ぜひ書いてください(*´▽`*)ノ
KINOはリロって来て、トリニティータソにハァハァ…
道徳と普賢の話はちょこちょこ出てくる予定です。
>360さん、
一緒に業者討ちを や ら な い か ?
は冗談ですが、ライフワークになってますね。業者討ち(w
>361めぇ〜さん、
ありがとうございます。申公豹、KINOも好きですよ。
続き書いてますんでお待ちくださいです。
>361さん、業者討ちはテンプレから拾ってくるだけなんで(w
色んなVERがあります。
山崎斬りもライフワークです。あはは。
罪と罰、後編を現在書いてます。しばし、お待ちください。
KINOさんの書く封神が、正直今一番萌えます!
レス数が増えてると、喜び勇んでクリックしてまつ。
業者のときが多いでつが(w 漏れも討伐参加しようか。
>366さん、どうも〜。
そう、業者の時が…一緒に討ちませんか?(w
現在罪と罰書いてますが、なかなか終わらない……
張った伏線を使い切れないようならば、女禍編まで書こうかとも。
まずは朝歌陥落めざしてがんばります
368 :
名無しさん@ピンキー:03/07/04 01:16 ID:2iATUlFx
天化×蝉玉キボンヌ。
男×女カップリングではけっこうメジャーっしょ?
369 :
名無しさん@ピンキー:03/07/04 01:24 ID:RP/SjeT+
370 :
きじ:03/07/04 01:50 ID:7Aj2jK8C
ルキアスレから参上。
書き込ませてもらっていいでしょうか?あんまり封神覚えてないけど……。
でも好きだったなあ。
神降臨を邪魔しないようにしますから……。
>>370 きじ氏
ぜひщ(゚Д゚щ)おいでください
372 :
きじ:03/07/04 01:59 ID:7Aj2jK8C
>>371 ありがとう! 一応女望をベースにお話を考えております。
ちっと待っててたも。資料探しの旅に出ますゆえ…。
373 :
ナツキ:03/07/04 02:24 ID:1MhDq1sX
どうも初めまして。
>>359です。一応コテを。
書くといったからには書かにゃあなるまい、ということで書きました。
太公望×王貴人です。
それでは、しばしお付き合いくださいませ。
374 :
ナツキ:03/07/04 02:25 ID:1MhDq1sX
『石琵琶の妖怪』
封神計画を引き受けた道士──太公望は、妲己打倒を思案しながら、王都朝歌の西区繁華街を歩いていた。
それは、突然の出来事だった。
妙案も浮かばず、民を相手に、戯れにと占いでもしていた時のこと──
「打神風最大出力 !!!」
太公望が打風鞭を振るう。
逆巻く風は、次の瞬間、天をも穿つような大竜巻へと姿を変えた。
「竜巻……! これで毒の粉をふき飛ばそうというのか!!」
王貴人の叫びから間を置かず、あたりに漂っていた毒性の鱗粉が晴れてゆく。
しかし。
「だぁぁ、もうダメじゃ〜」
「あははは。もう降参?
覚悟なさい。あなたの首を妲己姉様への贈り物にしてやるわ!」
(妲己……姉様……?)
力尽きた太公望を見下ろしながら、手にした短刀に舌を這わす。
「あら、まだやる気?」
むくりと起き上がる太公望。
「いや……無駄であろう。切ってくれ」
「ものわかりがいいのね」
「わしも妲己さまに仕えていればこうはならなかったのにのう……」
ついに観念したのか、殊勝な態度を見せる太公望を一瞥し、ふむと王貴人は頤に手を添えた。
(この道士、力こそ足りぬようだが頭脳は明晰と聞く。仲間に引き込めば仙人界すら支配できるやもしれぬな……)
「──のう! 最後に妲己さまの未来を占わせてはもらえぬか?」
(姉様の誘惑の術【テンプテーション】をかければ、裏切る心配もなくなるし……)
占いの結果でどうするかを決めよう。
疲労困憊の太公望など、自分ならばどうとでも出来る。
375 :
ナツキ:03/07/04 02:26 ID:1MhDq1sX
「まき〜、まき〜」
奇声を発しながら、打神鞭で薪を打つ。
「これが占い?」
眺めながら王貴人が独りごちたその時、
「ファイヤー !!!」
「!!!」
全身に熱風で煽られたかのような衝撃を受ける。
「おのれっ、謀ったなッ!!」
「カカカカカ。これでその羽衣も役立たずのようだの」
見下ろすと、衣服はボロボロ。
当然、宝貝【紫綬羽衣】も使いものにならなくなっていた。
「さあ、観念せい!」
「ね、ねえ、待って、太公望……。私の負けよ」
人の姿に戻り、その意を示す。
「それにしても、あなたの強さは素晴らしいわ。
どう? その才能を姉様の下で活かすつもりはない? 武成王の椅子を用意するわ!」
女としてはやはり気になるのか、申し訳程度に残った衣装を気にしつつ。
「軍務の最高責任者よ! お金持ちにもなれるわ!」
手を合わせ、懇願する。
恥らうように、命乞いをしているように見えるように。
さらには媚びるように。
「ちょっと待て。考えさせてくれ」
それが功を奏したかはともかく、太公望はくるりと背を向けると、ぶつぶつと呟きだした。
(ふふふ。今度こそ!)
短刀を構え、その背を目指す。
376 :
ナツキ:03/07/04 02:27 ID:1MhDq1sX
「やっぱや〜め──たッ!!」
「!!」
太公望は、振り向きざまに打神鞭を振り下ろす。
至近距離で巻き起こった衝撃に、王貴人は気が遠くなるのを感じた。
「……ダアホめ。ダマシあいではわしの方が数枚上手のようだのう!」
「この私が……この私が!!」
身体が後方へと流れてゆく感覚。
そして……。
どさりっ
「…………え……?」
王貴人は身を起こした。体中に激痛が走る。
死──この場合は正体を晒すこと──を覚悟していただけに、なぜ今も意識を保っていられるのか不思議であった。
「手加減した、ということ?」
「そうっスよ、御主人! なんで倒しておかないっスか? この人は敵っスよ!?」
カバに似た霊獣──四不象が詰め寄る。
「だ──ッ! 黙れ、スープー。わしには女を殺める趣味はないわ」
「初耳っスよ! なに馬鹿なこと言ってるっスか、この馬鹿道士っっ!」
「主人に向かって馬鹿とは何事か!?」
当人を無視し、言い合いを始める太公望と四不象。
うつむき、王貴人は身体を振るわせた。
(情けをかけられた……というの?)
「それに、こやつ程度ならば、また現れようと負ける気はせんよ」
「ッ!!」
明らかな侮辱。心の奥に昏い感情の灯がともる。
太公望を見やる。王貴人が顔を上げたのに気づいてはいないようだった。
自分の10分の1にも満たないような齢の道士。
しかし、自分では敵わない強敵。
377 :
ナツキ:03/07/04 02:29 ID:1MhDq1sX
「……このままで帰れるわけがない」
呟き、全身に走る痛みに耐えながらも立ち上がる。
(できれば、この手だけは使いたくなかった。でもッ!)
「太公望」
声に混じり、弦を爪弾く音が響く。
「私の負けね。そして、あなたの勝ち」
さらに響く。
「む、これは……」
「御主人、身体が動かないっスよ!?」
「殺すなんてつまらない。直接あなたの魂魄をいただくわ」
琵琶の音があたりに響く。
「これで本当に打ち止めよ」
両の掌で頬を包み、そっと口吻。
太公望は眼を見開く。
378 :
ナツキ:03/07/04 02:29 ID:1MhDq1sX
「おぬし、なんのつもりだ!」
「光栄に思いなさいな、太公望。あなたは私の初めての男。
この琵琶の音色はあなたを縛る。身体を。心を。魂魄さえも。
この音色に囚われ、すべてを吐き出したものの魂魄は私のものになるの」
とろけるような微笑み。
太公望の背中を、ゾクリと冷たいものが伝う。
「うふふ、可愛いわよ、太公望……」
今度は背に腕を回し、先程よりも濃厚な口吻を交わす。
王貴人の舌が口腔に侵入する。
唇を吸い、甘く歯を立てる。
歯茎を蹂躙し、舌を絡める。
唾液を溜めて、相手に送り込む。
敵も味方もない。この瞬間だけはただの男と女であるかのように。
湿った音を立てながらもしばらくその行為は続いた。
頬を染めながらも、王貴人が顔を離す。
ふたりの間を一筋の糸が名残惜しそうに繋いだ。
太公望も顔が赤く、吐く息が荒い。
「どう? 姉様に教わったのだけど、うまく出来てたかしら」
ひざまずき、太公望の下半身むきだしにする。
「道士といっても、やっぱり男なのね。ちょっと安心したわ」
先ほどの行為により、太公望はすでに半立ち状態であった。
先端からは透明な液体をにじませている。
王貴人が軽く口付けると、ぴくんと期待に身を振るわせた。
「あははは、これで最期なんだから、楽しみましょう」
王貴人はボロボロの衣装に手をかける。同姓さえも憧れるような、女性として成熟した肢体があらわになる。
太公望自身が、それに反応し硬度を増す。
「じゃあ、さようなら……」
379 :
ナツキ:03/07/04 02:31 ID:1MhDq1sX
手を添え、軽くしごく。
先端から溢れた液体を舌で舐め取る。
10代半ばで仙界入りした太公望には、女性経験などあろうはずもなかった。
王貴人の責めに対し、いちいち反応してしまう。
「こうすれば悦ぶと姉様は言ってたっけ」
全体に舌を這わしてゆく。ぴちゃぴちゃといやらしい音が響き渡る。
口内に含み、唾液をまぶしながらそろそろと舐め上げてゆく。
吸うようにして頭を前後に動かす。
口の中で先端が膨張してゆくのがわかった。
「まだよ太公望。もう少し頑張りなさい」
口を離し、王貴人は波が収まるのを待つ。
唾液に濡れててらてらと光るそれを見つめ、うっとりとする。
「あなたが悦んでくれて嬉しいわ」
真っ赤な顔をしている太公望に口吻。
「……や、やめぬか王貴人……。こんなことには何の意味もない……」
残っている理性を総動員しての抵抗。
「あなたは私だけのものになるのよ、太公望……」
380 :
ナツキ:03/07/04 02:32 ID:1MhDq1sX
唇を重ね、太公望への責めを再開する。
いまだ濡れているそれを、今度は自分の胸へと導く。
左右から挟みこむと、そこだけは別に生きているかのような動きを見せる。
先端を口に含み、左右の胸から圧力を加える。
「……っく……」
頭上で太公望が洩らす息が耳に届く。
「う、ぁあ……」
速度を増し、さらに責め立てる。
唾液が溢れ、王貴人の身体を伝い地面に跡を残してゆく。
「──ッ!!」
大きく膨らんだかと思った次の瞬間、行為に没頭していた王貴人の口内に熱い精が流れ込んできた。
初めて味わう男に対し、王貴人は目を白黒させる。
「んー! んむ、……けほっ……えほ……」
耐え切れずに思わず吐き出した粘液は、王貴人という名のまっさらな布を白く染め上げていく。
「はぁ、はぁ……」
乱れた呼吸を静めるために、大地に手をつき深呼吸をする。
「これで……終わりね……太公望……!」
まだ残る男の臭いに顔をしかめつつも、勝ち誇った声を上げる。
381 :
ナツキ:03/07/04 02:32 ID:1MhDq1sX
「あ……あなた、どうして……」
愕然としている王貴人を尻目に、太公望には何の異常も見られなかった。
王貴人が太公望を見上げて口をぱくぱくとさせていると、馬鹿笑いが王都に響いた。
「カーカッカッカ! わしがこんなことでやられると、本気で思うておったか?」
あたりに響いていた琵琶の音はすでにやんでいた。
太公望は両耳に手を持っていく。
「! そ、それは……!」
「御主人の怠け癖が形になった曰くつきの耳栓ではないっスか!?」
「その通り。これをしていればどんな音であろうとわしの耳には届かんよ」
「くだらない……くだらなすぎる……。そんなもので私の、私の……」
「ん? どうしたのだ、王貴人よ」
地に手をつき、茫然自失状態の王貴人に歩み寄る。
「太公望ッッ! あなただけは絶対に許さないわ!!」
「うおっ! に、逃げるぞ、スープー!」
「ら、ラジャーっスっ」
「待ちなさい! 卑怯者ぉ──ッ!」
羞恥に真っ赤になりながら、王貴人は去り行く太公望たちに罵声を浴びせるのだった。
382 :
ナツキ:03/07/04 02:33 ID:1MhDq1sX
琵琶の音が途切れたことにより、王都の民が集まりだしていた。
王貴人は肩を震わせながら呪詛の言葉を吐き出していた。
「おい、あれ」
「ああ、そうだな」
「裸……だよな」
ひそひそと周囲から聞こえてくる声が耳朶を打つ。
はっとして、我が身を確かめる。
上半身は剥き出しで、下半身も申し訳程度に隠されているのみ。
宝貝も失い、力もほとんど使い果たした今の自分は、普通の町娘となんら変わりはなかった。
周囲に散乱している衣服を引き寄せ急いで身体を隠すと、王貴人に声がかかった。
「あの……大丈夫ですか?」
右手にアンマン、左手に徳利を下げた薪売りと思しき男。
心配そうにしてはいるが、好色な表情は隠しきれていない。
王貴人は怒りにまかせ薪売りを殴り飛ばすと、空を仰いだ。
「覚えてなさいよぉー! 太公望──ッッ !!!」
朝歌上空を漂っている四不象は太公望に問うた。
「御主人、あの人そうとう怒ってたっスよ? 大丈夫っスかね」
「心配するでないわ。わしの見事な勝利っぷりを見たであろう」
「勝利と言うんスかね……。御主人はなにもしてなかったじゃないっスか」
四不象は太公望を覗き込む。
「それに、あんなことしなくても、御主人は勝ってたっスのに」
王貴人の痴態を思い出し、四不象はため息をつく。
「そう言うな、スープーよ。道士といっても、わしとて男だ。据え膳食わぬはなんとやらという言葉を知らんのか?」
「…………」
力なく首をふる四不象。
「それで、今度はどうするっスか」
「そうじゃのう……敵の頭でも拝みに行くかのう。スープーよ、目指すは禁城! 突き進めー!」
「どうなっても知らないっスよ、ホントに……」
朝歌の空を、霊獣と道士が進み行く。
383 :
ナツキ:03/07/04 02:38 ID:1MhDq1sX
以上です。
無事に投下も終わってほっとしとります。
えーと、これは続きます。
早ければ2、3日中には上げれるかと。
ところで、トリップって名前のあとに「#」で好きな文字列だったっけ?
実は普賢を女だと思ってました。
今でも半分くらい女じゃないかと思います。
385 :
名無しさん@ピンキー:03/07/04 14:35 ID:2trTB+bl
┼─┐─┼─ / ,. `゙''‐、_\ | / /
│ │─┼─ /| _,.イ,,.ィ' ─────‐‐‐‐ 。←
>>369.,385
│ | │ | | | イン ,'´ ̄`ヘ、 // | \
__{_从 ノ}ノ/ / ./ | \
..__/}ノ `ノく゚((/ ./ |
/, -‐===≡==‐-`つ/ ,.イ  ̄ ̄// )) / ;∵|:・.
_,,,...//〃ー,_/(. / /ミノ__ /´('´ / .∴・|∵’
,,イ';;^;;;;;;;:::::""""'''''''' ::"〃,,__∠_/ ,∠∠_/゙〈ミ、、
/;;::◎'''::; );鮪____ @巛 く{ヾミヲ' ゙Y} ゙
≧_ノ __ノ))三= _..、'、"^^^ \ ! }'
~''''ー< ___、-~\( ,' /
\( ,'.. /
業者は季節のもので討っときます。
今夜中には罪と罰をUPできるんじゃないかとは思います。
神光臨祭!!!!
KINOもいつか神になれる様にがんばろう。
>>386 いや、KINOさんはもう神でしょう。
鮪ワロタ。こんなんで殴られたら一たまりも無い……。
異説封神演義
〜〜〜〜罪と罰・後編〜〜〜〜〜
両太子の師匠である二人に、宝貝の構造と説明を聞き、太公望は下界に戻る準備をしていた。
殷郊が殷軍を率いて進軍する速度を考えれば、そうそうのんびりしている時間はない。
「御主人、本当に大丈夫っすか?」
「ああ、心配かけたのう、スープー」
四不象の頭を撫でる手が、まだ少し熱っぽい。
「御主人、いつも無理しすぎっす。こもままじゃ殷を倒す前にご主人が倒れるっすよ」
四不象は太公望の傍を離れることをしない。
何時のときも、どんなときも太公望の後姿を見つめてきたのだ。
それゆえに誰よりも太公望の苦悩と葛藤を知っている。
「まだ、大丈夫じゃよ。それよりも、早く戻らねば」
仙界にいるときは太公望は髪を解いている。
さらさらと揺れる髪に、今は迷いは感じられなかった。
四不象は知っていた。太公望は人知れず、一人で声を殺して泣いていたことを。
「スープー、共に行くおぬしがいてよかったと思うよ」
「御主人……」
「さぁ、行くぞ、スープー」
髪を結い上げ、頭布を巻きつける。
「わしには沢山の味方が居る。そしてなにより、スープー、おぬしが居るではないか」
殷郊は太公望の予想のまま、軍を増やしての進軍だった。
陣形姿勢は古典的だが、手堅いもの。
兵士たちの頭は軍師である。どんな戦いも軍師が秀でていれば自ずと勝機は手に。
「遅くなったのう!」
四不象から飛び降り、姫発の元に駆け寄っていく。
「軍師なしでやんのかと思ったぜ」
「すまぬ。のんびりしすぎておったよ」
殷軍を見渡すことの出来る岡の上、太公望は真っ直ぐ前を見た。
これから起こる未来から、目をそむけることは出来ない。
(殷郊、お互いもう……戻れぬのだな……)
道は二つに分かれた。
そして、見つめる未来も。
兵士たちが討ちあい、血溜りの中に倒れていく。
人の命はこうも簡単に朽ちるものかと思う程に。
「残念だが、殷郊……わしは元来の攻め方はせぬよ…負けるわけにはいかぬのだ」
太公望が支持した通りに軍は全身と後退をし、その形を変えていく。
間近にいれば分からないだろうか、上空から見ればそれは鮮やかなものだった。
押される振りをしながら、殷軍をぐるりと取り囲む。
それを編み出したのがこの少女だと誰が想像できたであろうか。
殷軍の兵士の士気は見る間に低下し、投降するものが続出してきた。
「やはりな…人の勝負は決まることくらい知っていたさ……」
殷郊は殷軍の後方、淋しげに笑った。
(太公望……あの日、助けてくれことを感謝するよ。今、ここに殷王の子として立っているのだから…)
軍師としての勝敗は決した。
あとは道士として、殷の王太子としての問題だ。
「さて……本気で行かせて貰うぞ」
宝貝『番天印』を纏い、殷郊は自分を囲む周の兵士を見やった。
口元は不適に笑い、その目には王太子としての誇りがありありと見える。
「どうした?殺せないのか?高貴な血の者には触れることも出来ないと見た」
その言葉の通り、殷郊のカリスマ性に周軍の兵士は押されていたのだ。
今の姫発に足りないもの。
それは王としての威厳だった。
「兄様!止めて!!人間に宝貝を使っちゃいけないって師匠たちも言ってたじゃない!」
「……僕はどうしてもこの戦いに負けるわけにはいかない。たとえお前であって…邪魔するならば
この番天印を使う!!」
血を分け、離れることの無かった実の弟に兄は番天印を向けた。
押印したものを確実に殺すことの出来る恐ろしい宝貝。
それがこの番天印である。
殷郊を囲む週兵の眼前に薄っすらとした押印が浮かび上がる。
それは次第に色を増し、真紅に染まって炸裂した。
首から上が綺麗に吹き飛び、兵士たちの身体はばらばらと倒れていく。
(さぁ、太公望。これであなたは出てくるしかない……)
殷郊は次々に周兵押印し、その命を奪っていく。
あたりは鉄と肉の焼ける匂いに包まれ、正気でいることさえ不可能に近い。
血飛沫を浴びながらも、殷郊は眉一つ動かさずにゆっくりと進んでいく。
(殷郊……もう、終わりにせねばならんのだな……)
太公望は静かに目を閉じる。
何かを自分に言い聞かせながら。
「道士が相手ならあたしたちの出番でしょ!」
「師叔、このままじゃやばいさ!!」
太公望は頬を自分で軽く叩く。
「ここは、わしに任せてくれ。いや、わしがやらねばならぬのだよ」
決意の秘められた瞳。
太公望は打神鞭を構え、その場から風の刃を幾重も生み出す。
「……来たか、太公望」
「さて、殷郊。おぬしのあいてはこのわしじゃ」
「力でも、宝貝の能力でも、あなたには負けませんよ」
「さぁてな……それはどうかのう?」
太公望は打神鞭を構えると、風の印を結んだ。
それは今まで見せたことも無いような鋭い風の刃。
大地を深く抉り、近辺にあった兵の死体すらも吹き飛ばしていく。
「!!」
「わしとて何時までも弱いままではおれぬからのう…殷郊」
押印を全て相殺しながら太公望は殷郊との間合いを詰めていく。
一歩一歩確実に追い詰めていくその手腕。
呆然としながら発を含めた周軍の幹部はそれを見ていた。
「太公望って、あんなに強かったの……?」
「あの人は元々原始天尊さまの直弟子だからね。あのくらい出来て当然なんだ……今まであの人が
本気を出したのは、妲己、聞仲、申公豹と三回だけ……」
ヨウゼンは太公望の表情を読んでいく。
その目には迷いも、曇りも無い。
殷郊を捕らえる風はその頬を切りつけた。
「殷郊、どうしても止めれぬのか?」
「そんな目をしないで下さい……あなたを殺す決意が鈍る……」
自嘲気味に殷郊は笑った。
まだ、ほんの少年なのだ。
それゆえに、彼は前しか見えない。選択肢は無かったのだ。
大量の押印をされた兵士たちは散り散りに逃げようとする。
「おっと、動かないで下さいよ…あなたが動けば兵士たちが死にますから」
打神鞭を持つその左に、残酷な押印。
「!!!!!!」
ぼとりと落ちる己の利き手を太公望はただ、見つめていた。
「殷のために死んでもらう!太公望!!!!」
「兄様、やめて!!!」
魂を分けた弟は、太公望を庇いその身を晒した。
骨を砕き、肉を弾き、押印はその身体を容赦なく吹き飛ばしていく。
「……これ以上……殺さないで……」
太公望の腕の中、魂魄が光の粉になり、そして上空に一筋の光となって消えていく。
(すまぬ……わしのせいで……)
悲しみに浸るも無く、殷郊は錯乱し、叫びながら当たりかまわずに番天印を向ける。
おびただしい数の押印。
もはや、どうすることもできなかった。
(もう、終わりにせねばならんのじゃ……もう……)
打神鞭を拾い、太公望は殷郊を切りつける。
「許せ、殷郊」
刃がその胸を裂くその瞬間、殷郊は穏やかに微笑んでいた。
まるで、安心して眠る子供のように。
崩れ落ちる身体を受け止め、太公望は殷郊を抱きしめる。
生暖かい血液の感触。
「……僕は幸せだ……父の子として……殷のために死ねるのだから……」
「……殷郊……っ!」
殷郊の魂が封神台に飛んでいく。
それは事実上の殷の血脈の終焉だった。
それから数日、太公望は後始末に追われた。
兵士たちの埋葬、殷兵の受け入れ、今後の作戦。
一旦周に戻らざるを得ず、局面は振り出しに戻る。
左腕をなくしているとは思えない動きだった。
表面上は何一つ変わらず、軍師の仕事も的確にこなしていく。
傍から見ても痛々しいほどに。
「雨っすね〜。武王さん」
「そうだな、太公望に傷に響かねぇといいんだけどな……」
降り続く雨は、まるで涙のようで、血に染まった大地を浄化していく。
四不象と発は連れ立って太公望のところに向かった。
「御主人〜、具合はどうっす……御主人!!御主人!どこっすか!!」
「太公望!!」
いつもならば椅子に座り、のんびりとしているはずがどこを探してもその姿は無かったのだ。
「御主人!!御主人!!!」
その雨は土砂降りになり、人の姿を探すことすら困難だった。
雨に打たれながら、太公望はぼんやりと昔のことを思い出していた。
釣り糸を垂れるあの岩の上、無くしてしまったもののことを。
片手しかない腕で、ひざを抱え、ただ一人、その場に居た。
強い雨粒は包帯をぬらし、傷を広げていく。
滲んで落ちる血が、染みを作り雨を赤く染めていった。
「呂望、風邪をひきますよ」
申公豹が差し出す傘を、太公望は受け取らない。
「傷に障ります」
「いらぬ……このままで良い……」
伏せたままの顔。
一体何時間打たれていたのか、その手は冷え切っていた。
「なら、私も一緒に濡れます」
互いの顔さえも見えないような雨。
「あなたの気が済むまで、ここに居ます」
「……なぜ……こんな事になったのじゃろう……」
唇が小さく動く。
「呂望?」
濡れた髪は、泣きそうな顔で笑う彼女を一層妖艶に見せた。
「…なぜ、あの二人が…死なねばならんかったのだ…」
項垂れながら立ち上がり、申公豹と向かい合う。
「仕方の無いことです。元々あの二人は封神の書にも名が連ねてありました」
「死すべきは……わしではなかったのか……?なぜ、わしはこうして生きているのだ……?」
「呂望……」
「取れぬのだ……あの感触が……」
血液は温かく、それが流れ落ちた身体は次第に冷たくなる。
その身体ただの肉塊になり、やがて朽ちて行く。
「答えてくれ……わしの選択は正しかったのか?これでよかったのか?いや……考えても同じこと…
…どうすることもできなかった!だが……何かを変えることができたかも知れぬ!」
悲鳴染みた叫びを、雨は優しく消してくれる。
半狂乱になり、髪を振り乱す太公望を申公豹は強く抱いた。
「考えなくてもいいのです!余計なことなど!」
「教えてくれ……わしはこれから何を失っていくのだ……」
「……………」
「悠久の時を生きてきたおぬしなら分かるのではないのか……?仙界で最も強いおぬしなら……」
痛むのは失くした腕ではなく。
もっと柔らかく、棘を受け入れられる場所。
「とにかく…今のあなたに必要なのは休養です。このままでは倒れてしまいます」
片手で抱きながら、黒点虎に命じて己の洞穴を目指す。
体温の低下は道衣の上から出さえはっきりと分かるほど。
(しばらくは……妲己も動かないでしょう…いえ、動けませんから……)
傷負いの上に長時間雨に打たれてたせいで、太公望の身体はその殆どの体力を失っていた。
張り付く道衣を剥ぎ取り、申公豹の手が止まる。
番天印の残痕は左腕だけではなく、腹部や胸部にも無残にその姿を焼き付けたのだ。
まるで、王太子のことを太公望に責める様に。
汚れた身体を拭き、ゆっくりと左腕の包帯をとる。
肘から下がそっくりと削ぎ取られた利き腕。
まだ、燻る肉からは体液がこぼれてくる。
「……呂望……このままではあなたの左腕全部を失くすことになりますよ」
「……この腕が消えて、帰ってくるのか?」
「いえ。太子二人は帰ってきません。あなたは……封神計画を続けるのでしょう?」
腕を消毒し、慣れた手つきで申公豹は傷口を縫い合わせていく。
「そして、あなたは私を殺すのでしょう?」
「全てが終わったら、わしはなにをしたらいいのだ?」
新しい包帯を巻きつけて、左腕はひっそりと息を潜める。
そして、太公望も。
(疲れたでしょう、呂望。今のあなたには封神計画も、周のことも考えない時間が必要です……)
付かれきって眠る身体を癒すように、雨は降り続ける。
全てを隠し、洗い流すように。
(雨は大地を潤し、生命の源になります……呂望、あなたに降る雨もそうであることを私は願います)
雨は未だ、止む気配も無く。
太公望が眠っているのを確認すると申公豹は筆を執り、書をしたためる。
一国の軍師を預かるのならば、文の一つくらいだすのが礼儀だというのが彼の美学の一つである。
自由奔放に見えながら、やはり道士なのかある程度の礼節は弁えての行動。
「さて、黒点虎。これをもって周に行って来てくれませんか?」
「これ、何?」
「手紙です。軍師を預かるのですから書簡くらい出すのが筋でしょう」
黒点虎はそれを器用に咥えると、豊邑へと向かっていった。
小さな器に入った香油に火を点けるとほんのりと甘い香りが立ち込める。
飾ることなく、ただ、己の進むべき道を脇目も振らずに歩く彼女。
初めて逢った頃よりもずっと強く、綺麗になった。
その成長の証が嬉しくもあり、また、寂しくもある。
「……申公豹……」
「目が覚めてしまいましたか。もう少し寝ていたほうが良いですよ」
額に手を置き、熱の確認を取る。
瞳はまだ少し朦朧としているようだ。
「黒点虎に手紙を持たせました。今は何も考えないで休みなさい。あなたに必要なのは休息ですよ」
「すまぬ……世話を掛ける……」
少し、照れた風な笑い。
笑うことすらなかった日々。
そんなことさえも忘れてしまっていた。
(やっと……笑いましたね)
それからの数日、太公望はぼんやりと過ごしていた。
雨の降り続く庭を眺め、時折書物に目を通す。
申公豹は何も求めず、ただ、身の回りの世話をするだけ。
傷の治りも少し良いように思えた。
「おぬしは何でも出来るのだな」
出された粥を食しながら太公望はそんなことを呟いた。
「出来ないこともありますよ」
「そうかのう……わしはもっと出来ぬことばかりじゃ」
「いつものあなたに戻ってきたみたいですね」
申公豹は嬉しそうに笑う。
「おぬしでもそんな風に笑うのじゃな……なにか……ほっとするよ」
慣れない手を伸ばす。
その手を申公豹は静かに取った。
「まだ、右手があるのだな……わしは、まだ、やるべきことがあるのだな……」
「ええ、あなたはまだ、死すべきではありません」
取った手に唇を落とす。
小さな爪が震えた。
「…わしの身体は傷だらけで醜いものだぞ……」
「あなたの身体もそうですが、魂が愛しいのですよ」
顎を取って、唇を合わせる。
少しまだ熱のある唇。先の戦いで噛み切った後がまだ残っている。
残された片腕を首に回す。
絡ませた舌はまるで別の固体のように、お互いを探り合った。
何度も身体を重ねたはずなのに、それでも熱い。
「…っ……んぅ……」
重ねた唇の端から、雫が零れる。
離れてはまた、重ねあう。貪りあうというほうが正しいかもしれない。
「痛いですか……?」
太公望は首を振る。
「…構わんよ……わしよりもわしの身体のことは知っておるだろう?」
言いながら、頬を染めた。
乳房の傷をなぞりながら、その先端を軽く噛む。
微弱な刺激でさえ、余すことなく感じたいと、身体は反応する。
双球を責め上げる舌先が、ゆっくりと下がり腹部の窪みを舐め上げていく。
あちこちにできた細かな傷。
「…っあ!!」
逃げ場を求めた右手が寝具を掴む。
なだらかな腹部には痕跡。
「あっ…やぁっ……!!……」
舌先が肉芽を突く。そのまま吸い上げるように唇が動く。
「!!!!!!」
太公望の身体が弓なりになり力が抜けていくのが分かる。
申公豹は手を緩めずにそのまま舌を肉壁に進入させていく。
「あっ!!…は……っ…!……」
唇を離して、掴んだ足首に口付ける。踝を噛まれ、上ずる声。
形の良い足の指にも降らされた接吻にさえ、止め処なく体液が零れた。
「…呂望……」
絡みつく黒髪が、幻を見せるようで。
この身体に溺れていく。
自分が道士だという立場さえ、いとも簡単に奪ってしまう。
「あああっ!!!」
進入する男の熱さに身体が震えた。
耳にかかると息に涙が零れた。
今、ここに居る事が、生きているという感覚をはっきりと思い出させる。
「…申公豹……っ……」
脚を絡ませて、より近くで交わるために。
鼓動を重ねて、きつく指を絡め合って。
仰け反る喉元に接吻して。離れないように、唇を深く深く重ねて。
「……この腕は……私の罪ですね……」
包帯越しに降る、甘い接吻。
欠けてしまったそこを愛しげに指が辿って行く。
「いや…これはわしの罪であろう……未熟への罪……そして罰じゃよ……」
その笑みは悲しすぎて、声も失うほどに。
罪と罰に溺れながら、人間(ヒト)はどこまでも落ちていく。
その先で見つける一条の光を、古の人間は『希望』と名付けた。
「忘れぬための……罰じゃよ……」
息が詰まるような口付けは、脊髄を犯すような感覚で。
絡まったまま、堕ちて行く感覚に取り付かれ、離れられない。
「っ……ぁ…あああっ!!」
迸る熱は熱く絡まり、宿ることのない命を求める。
空虚な胎の中で。
さらさらと小雨のような雨音が鼓膜に染み込んで行く。
感じる肌寒さは、近くにあった暖かを求めた。
「起きてしまいましたか?」
軽く頷き、身体を起こして申公豹に寄りかかる。
その肩を抱いて、申公豹は嬉しげに目を細めた。
「この雨は、大地に命を与え、そして奪います」
時に恵みとなり、時には全てを奪う。
「あなたはいつも傘も差さずに独りで歩いています」
「………」
「傘を差せとは言いません。あなたはきっと一人で濡れることを選ぶでしょうから」
今ここに居るのは道士ではなく、一人の男。
「私もあなたと一緒に雨に濡れます。あなたが嫌だと言っても」
「…すまぬ……」
「謝ることはありませんよ。私が好きでやることです」
この雨は全てを隠してくれるようで。
止むまで、このまま泡沫の夢に溺れていよう。
それから数日を申公豹の下で過ごし、腕の傷も幾分か良くなってきていた。
「そろそろ帰らねばならんだろうのう」
「あなたは軍師でもありますからね」
手を取り、抱きかかえるようにして黒点虎に乗り込む。
「しっかり掴まってて下さい、呂望」
「僕はそんな乱暴なことしないよ」
この数日で、黒点虎も太公望という人間をある程度理解するようになっていた。
覚束ない手つきで毛並みを整えてくれたり、給仕を忘れた申公豹の代わりに支度をしたりと、
何かと気遣ってくれる人間だと。
害をなさないものに対しては、攻撃をしない。
黒点虎はそういう霊獣である。
「呂望、また遊びにおいでよ。夜だけじゃなくて、昼間も」
「う、うむ」
四不象では言わないようなことも黒点虎は言ってくる。
「申公豹がいなくても、僕がいるから」
「そうじゃのう」
「呂望!」
笑いながら、右手で申公豹の道衣を掴む。
雲一つ無い空。
まるで大河のようだった。
周に戻ってから太公望は旦にたっぷりと小言と嫌味を貰い、心配していたヨウゼンと天化には
執拗な質問攻めにあっていた。
「太公望!」
「発か、どうした?」
「どうしたじゃなくてよ。勝手に居なくなんなよ!お前はうちの国の軍師なんだぞ!
軍師なしでどー戦えってんだよ。少しはそういう自覚も持ってくれよ」
発にしては少し強い口調。
「今度からはちゃんと断ってから行けよ」
そういうと発は何処かへ立ち去ってしまった。
「御主人、武王さんも凄く心配してたっす」
「発に怒られてしまったよ、スープー。あやつも成長したのだのう……」
太公望は嬉しそうに笑った。
武王としての自覚の込められた言葉。
それは発の器が少しずつであるが成長していっている証だった。
たまった仕事を抱えながら、太公望は深夜まで雑務に追われていた。
「御主人、夜食っす」
「すまんのう……しかし、こうも溜まると暫くはどこにも行けぬな」
眠そうに目を擦りながら、休むことなく筆を進める。
「太公望」
「……発……どうしたのじゃ?こんな夜中に」
迎え入れようと立ち上がったところを、抱きしめられる。
「発?」
「ったく心配させんなよ!俺……お前がもう帰ってこねぇんじゃないかって……」
「心配かけてしまったのう……」
「今はさ、武王とかじゃなくてよ……俺だから……その……」
「今度どこかに行くならば、おぬしに一声掛けていくよ」
「そうしてくれ……」
額に口付ける。
「なんでおれ、こんなにやっかいな女に惚れちまったんだろ……」
「わしに聞くな」
その後、目のやり場に困った四不象はヨウゼンの部屋で一泊することになり、
問い詰められて全て白状しざるを得なかった四不象の言葉にヨウゼンは苛立ちを隠せなかった。
翌朝、武王の特別稽古と称して天化と手を組み、その思いを力一杯ぶつける。
欄干に座り、太公望はそれを笑いながら見ていた。
「さて、仕事に戻るかのう」
腕の傷はもう、痛まない。
雨はまだ、静かに心に降り続く。
きっと止むことは無い。
それが、罪と罰。
罪と罰、後編です。
もっとさくさく書けるといいのですが、仕事やらなんやらと元々の遅筆が…
>368さん、
神がそのうち投下してくれますよ。一緒に祈りましょう。
>ナツキさん、続き…続き!!待ってます!!
トリップはそうです。KINOはトリッパー使ってますよ。
>387さん、
このAA,実は葱板ホムラン住人の方の作成です。
鮪で殴られるのと核融合とどっちがあれなんでしょうか…と
悩んでみました(五秒ほど)
>384さん、普賢可愛いですからね。KINOも普賢好きなんですよ。
なので、異説にもちょこちょこ出してしまう癖が…
>
404 :
きじ:03/07/04 23:35 ID:MNu5xGxJ
妾は裳裾をはためかせる。後は高々と笑えばいい。さあ、宴をはじめましょう?
朱を引いた唇を歪ませ、双眸を細める。玉座のはるか下、「下界」では愉快な舞が
見える。自分の意志ではない、おのが持つ「生」の溢るる軋み。おのがもつ、鮮や
かすぎる色彩。言いがたいこの昂ぶり。
横の男は、妾の溜め息を思い違えている。
愚かな男。妾の腰を抱え、下卑た笑みを浮かべている……。
「わしは……、もう堪えられぬ……」
もう宴に飽いたの?仕方の無い子……。可愛いらしくしなり、男を裳で包む。
甘い香に、すべてを亡くせばよい。
男の膝にまたがる。
臣下達が、玉座に御簾をかけようとしている。御止めください、とわめきながら、
その双眸は妾をねめつける。獣の目。
>387さん、
鮪は痛いですよね。たしかに一溜りも無い(w
>きじさん、
待ってます!!!ルキアスレはブリーチのルキアスレなんでしょうか?
きになり☆(喜媚風に)
406 :
きじ:03/07/04 23:35 ID:MNu5xGxJ
かわいいお前達、見ておいで。
男は、口の端から涎を垂らしながら、妾の宝貝たる着物を脱がそうとする。下界
から断末魔の叫びがする。女の声も混じっている。ああ……。
男が乳に吸い付く。熱が駆け上っていく。妾は男の冠を投げ捨て、掻き毟る。
足りない、もっと……。
「はあっ……ああっ!」男の手が、乳から離れ、腰を撫ぜる。妾は、側近の一人を
睨めつける。
「早く、もっと、鳴き声が聞きたい……、はあっ!んん、ああっ」
指が、そこをなぶる。粘る音が、聞こえる。
遠くから漣のように、泣き叫ぶ声が押し寄せてくる。肉を食み、血をすする獣達
の、擦れ合う音。苦しみ悶える姿が、妾の背に見える……!
「いやあっ、うう、あっ、ああっ、うああっ」
泣け! 叫べ! 絶望を! 恐怖を!
「ああっ!……さまあっ、あああっ!いやああっ!」
||
∧||∧
( ⌒ ヽ
∪ o ノ
U U
やばい、きじさんの間に入り込んでしまった。
吊ってきます
408 :
きじ:03/07/04 23:53 ID:MNu5xGxJ
あれ、そうですか?
……はあ。鬱。回線で首つっ(略)
409 :
きじ:03/07/04 23:54 ID:MNu5xGxJ
っつーかダークでスマソ。
410 :
きじ:03/07/05 00:01 ID:vAfSvIqb
気をやっていた。
男はしてやった、とにやりと笑う。そして着物を緩めだすのだ。妾はそっと、恥じ
るようにその肉欲の塊に触れ、腰をねじり、そこに引き寄せる。
甘い吐息をして、頬を上気させて。
お前を、食むのは、この蘇妲己……。
腰を落としていく。すぐに食い尽くしたりはしない。ゆっくり、ゆっくり、身をよ
じるのだ。男はまた乳を吸おうとしている。ああ、うう、と間の抜けた声で。
肉を絞り上げ、押し潰す。苛立つ程に締め上げるのだ。全てを絡めとリ、流し込む。
臣下達が、見ている。
「はっ、 ……はあっ、あんん」男の汗ばんだ頬を舐め上げる。堕ちろ、底まで。
腿を伝い、雫が全てを濡らす。
男が、もうだめだ、と喘いでいる。腰をひねり、首筋に噛み付く。
「……共に……、お願いぃんっ!はああっ!……ぁっ」
宴を、はじめましょう。全ては、咽るような甘い吐息の中で……。
死んできます。総鬱。
>KINOさん
コミックスの方の申公豹は、謎な人物で結局最後まで謎だったという感じだったけど、
人間的な部分が出てきてますね。
姫発とかヨウゼンとか天化もいるのだけど、太公望の相手は申公豹が似合うなあ、と。
>きじさん
自分は地の文に「!」とか「?」とか出来ない奴なんで、はーって感じで読ませてもらいましたよ。
412 :
きじ:03/07/05 01:17 ID:vAfSvIqb
下手ぷーでスマソ。
>>KINO様
そのとおりでっす。今ちょうど書き込んでおりますゆえ、へなちょこですが
見てやってくださりませ。
>411さん、一応、最後のまとめまでは考えてます。
ただ、3つあるんでどれに転ぶかはわかりませんが…現在log置き場を借りようかと
あちこち見てます。
申公豹って意外と人間だな〜とかコミックスを読み返して思ってます。
>きじさん、
見てきました。近いうちにお邪魔します。ソンビパウダーも好きでした。
飛虎×賈氏の夫婦に萌えたヤシはおらん?
自分はかなり好きなんだが…。
という訳でコソーリキボン。
新しい神様が二人も降臨してて、なおかつKINOさんも!!
キタキタキターーーーーーー!!!!!皆様乙です!
KINOさんの 発→望←楊・天 に萌えまつ
しかし素朴な疑問。邑きょうが出てきたら、望の身代わりになるの?
黄夫婦好きです。
強い女性は大好きなので(いろんな意味で
>ユウキョウのネタがもう考えてあります。
かなり後半ですが、きちんと書くつもりです。
417 :
ナツキ:03/07/06 00:25 ID:HO2BoOcv
今更だけど
>>77を見てきた。
十二仙の嫁ねえ。
竜吉公主は仙人と仙人の子供だから、ありえないとも言えない。
ここでも、もっとこういう萌え話があっていいと思うんだけれど。
生意気でスマン。
>KINOさん
乙です。
そろそろ趙公明が出てきそうですね。
>ナツキさん、
ヨウゼンもおそらくは純粋な妖怪仙人同士の子供なんでしょうね。
いろんな推測がありますが。
KINO的には十二仙で嫁物を書きたいのは赤精子(w
好きなんだぁ、あの人。
趙公明でます。ただ、罪と罰が重かったんで少し軽い話を書こうと今書いてます。
ナツキさんの話もきぼん。
419 :
名無しさん@ピンキー:03/07/06 20:10 ID:tIWl/dZ3
>>418 そういや本誌でもこのときは掲載順がブービー争いしてて、
いつ打ち切りになるかとヒヤヒヤしてました。
ここを乗り切ったらまたいつものノリにもどって、掲載順も真ん中あたりに復帰しましたね。
やっぱストーリーが重過ぎて読者も退いていたんでしょう。
_ , ‐ ' ゙ ゙̄ヽ,
, '゙ ) \\ ,
,ノ!,' @ \ / \ _,.イ __
,,.. --─- ノ゙!,/ ,' / .\ ─┼─ .|
 ゙̄'i; ノ゙!,!゙ ゙i, ノ \ \ / \ノ __| オォ ン
゙'゙ ,!V ,゙゙ :, \ \
!!.,i ノ゙, .'., \ `゙''‐、 \ | ./ ./
! !_!_ ,'゙ i.,_ ゙, \ `゙''‐、 \ | / /
! .!_! ,゙ ゜ ゙!i,'\´)⌒ヾ\ ──−‐‐‐ ・ ←>419
i..i'i ,゙ (ハソ `yレリ / / | \
゙.. ', ! ヽハゝソノ / / | \
'!,', ! __/.)wxvム / / |∴・ \
' , ',, ´つ/ ,.イ /i / .∵|:・∴・ \
\ ' .,人ミノ_,_ムロく]/ノ / ∴・|∵' ・∵
\「`〜⌒ _,_ノソ\ \_
"ヽて⌒´∠ノ ハゝ、_ `⌒i
業者は討ってっと。
>420さん
重い話自体は個人的には好きなんですよね。
封神は後半は凄い展開でしたからね、仙界大戦、朝歌陥落。
kinoが書きたい話もこのあたりに集中しているという罠。
そして、黄夫婦の話投下させていただきます。
異説封神演義
〜〜〜〜武成王の昔話と酒癖の悪い男〜〜〜〜
左の傷の化膿も落ち着き、太公望はいつものように兵の訓練を監督していた。
殷郊との一戦以来、女だからという理由で太公望の指揮を拒むものは無く、
周軍の強さは日に日に増してきている。
「師叔、具合はどうですか?」
「大分良いよ。そう気にするほどでもない」
風にひらひらとそよぐ袖口が目を引いた。
太公望本人は特に気やむ事も無く、日常生活を営んでいる。
ただ、その痛々しさに珍しく男三人は協議しあいしばらくは太公望の部屋への夜這いは取りやめることにしていた。
「天化と武成王か……親子だからかのう、型も間合いもよく似ておる」
「武術に長けてますからね。黄家の人間は」
ヨウゼンと二人、階下を眺めながらぼんやりと話し込む。
「ヨウゼン、おぬしらに言っておかねばならぬことがあるのじゃが」
「どうかなさいましたか?」
「今のわしは宝貝の使いすぎでただの人間になっておる。暫くはそのままらしい」
「え……?」
「だから、おぬしらに守って貰わんと最悪わしも封神されるということじゃ」
あっさりと言ってのける太公望にヨウゼンは言葉を失う。
「どういうことですか?」
「宝貝を持つことも出来んということじゃ。哮天犬に触ることも当然出来ぬ」
その言葉を聴いて傍らの哮天犬が悲しげにクゥンと鳴いた。
「すまんのう……元に戻ったらまたおぬしと昼寝がしたいものじゃ」
「昼寝?」
「ああ、言ってなかったかのう。天気のいい日にはスープーとこやつと昼寝しておったのじゃよ」
哮天犬は長毛種の犬によく似ている。
毛並みを櫛で整えると、中々に美しいものだ。
柔らかい毛とその身体は寄りかかって寝るには丁度よく、太公望は昼寝の時にはこっそりと連れ出していたのだ。
ヨウゼンはじろりと哮天犬を見る。
「どうして僕に言わなかったんだい?哮天犬」
「そう攻めるでない、ヨウゼン。こやつを連れ出したのはわしじゃ。」
太公望に諌められ、ヨウゼンは溜息をついた。
「どれ、わしもあの二人に稽古でもつけてもらうかな」
そういうと太公望はとことこと降りていく。
「天化、わしと手合わせしてもらえぬか?」
咥えた煙草がぽろりと落ちた。
現在の太公望は利き手を失っている。
それに今まで剣を握ってる姿を見たことも無い。
「丁度良い、これを借りるぞ」
ぼんやりと口をあけている兵士の剣を取り、太公望は天化と向かい合い剣を構える。
「ちょ…ちょっと待つさ師叔。俺っち怪我人とやりあうのは趣味じゃないさ」
「ほう、わしが相手では不満か?」
「第一、師叔は剣なんて使えないさ」
「それはどうかのう」
天化が力技で勝負を掛けようとすれば太公望はその小柄な身体を利用して逆に天化の懐を狙いに来る。
お互いの剣先がぶつかり合い、大地を蹴る音が響く。
元々負けず嫌いの天化ではあるが、今期だけはことさら負けなくないという気持ちが強かった。
利き腕を無くし、剣をとるのも久方振りだと言う太公望。
ましてや、それが惚れた女ならば。
少し息の上がってきた太公望に対して天化にはまだ余裕がる。
(師叔は体力がないさ……この勝負貰った!)
莫夜の宝剣が太公望の手元を狙う。
太公望は小さく笑い、剣を引き、一瞬で横に変える。
結果宝剣は柄を削り、痺れが直撃した天化の手元から転がり落ちた。
一方、太公望も衝撃を防ぎきれずに膝から崩れ落ちる。
「引き分け…ってとこだな、天化」
武成王が笑う。
「ちょっと吃驚したさ。師叔」
「やはりおぬしには勝てぬな。わしも修行不足だ」
はぁはぁと息をしながら、太公望は立ち上がる。
「じゃが、いい運動にはなった。時々手合わせを頼んでも良いか?」
「もちろんさ。俺っちもがんばるさね」
そんな太公望と天化のやり取りを見ながら武成王は少し懐かしそうな目をしていた。
いつものように天祥とナタク、そしてたまたま通りかかった天化を強制的に風呂に入れ終え、
太公望は自室で体力回復を図っていた。
「御主人、大丈夫っすか?」
「……スープー、あの三人を風呂に入れるという単純行為が何故にこんなにも疲れるのだろうな……」
「お酒でも飲んで、今日は休んだほうがいいっすよ」
「すまんのう……」
「僕は天祥君のところに行ってくるっす。ちゃんと早く寝るっすよ、御主人」
そういう四不象につっぷしながらひらひらと手を振る。
悲しいくらいに綺麗な月の夜。
こんな時に一人酒も馬鹿馬鹿しい。
(さて、誰のところに行くかのう)
酒徳利を右手に下げ、回廊をゆっくりと歩く。
「太公望殿?」
「おお、武成王か……丁度いい。一杯やらぬか?」
にっこりと笑い太公望は徳利を振ってみせる。
仙界特製の逸品だ。
無類の酒好きの太公望が持ってくる品を断るような男でもない。
「ありがたい話だ」
連れ立って武成王の部屋に向かう。
なんだかんだと戦況のことを話しながら酒を進め、半分ほど空けた頃だった。
「そういやぁなんで俺を誘ったんだ?」
「ん〜〜〜〜?」
少しとろんとした目で太公望は笑った。
「他にも相手は一杯いるだろう」
「発は旦から禁酒を言われておる。ヨウゼンは飲むとくどくなる。天化は酒癖が悪い……親である
おぬしの前で言うのはあれじゃがな」
少し酔っているらしい。太公望にしては珍しくそんなことを言ってのけた。
「ははは、俺の息子は酒癖がやっぱり悪いか」
豪快に笑い飛ばす。
「のう、何か面白い話をしてくれ」
「面白い話しなんざ無いぜ」
「じゃあ……賈氏とおぬしの馴れ初め聞かせてくれ」
「俺そういうの苦手なんだが……」
「わしの話なんぞ天化から筒抜けであろうしな」
仕方ないとばかりに武成王は口を開いて、少しずつ話し出した。
「親父、今何て言った?」
飛虎は父親をぎろりと睨んだ。
先ごろ遠征より戻ったばかりの疲労した身体である。
それに追い討ちを掛けるようなことを父親はあっさりと言ったのだ。
「嫁になる娘が居ると言ったが」
「俺はまだ嫁なんか要らん。女は戦の邪魔だからな」
「それならば安心せい。文武に炊けた相手を見繕ってきた。なに。わし戦友の娘なのだがな、器量はいいのだが
多少破天荒なところがあるらしくてな。まぁ、気に病むほどではないから快諾してきたのだ」
かっかっかと笑う父親を飛虎はな具体気持ちで一杯だったが、握った拳を隠す。
「快諾って……」
「あとは祝言を上げるだけだということだ。まぁ、一度会いに行って来るが良い」
がっくりと肩を落とし、部屋に戻る。
まだまだ軍人としては駆け出しで妻を娶る余裕などは無い。
「まぁ、あっちだって断わりたいだろうしな。逢いにだけ行くか」
翌日、身支度をして飛虎はその少女に会いに行った。
四つ角を曲がった先の邸宅が少女の住まい。
躊躇いがちに伺いを立てると住人には知れ渡っているのか中庭に案内される。
「賈氏様、飛虎様がお見えですよ」
「何度も言ってるでしょう、私は自分よりも弱い男と一緒になる気はないと!」
長い黒髪と、同じ色の瞳。
鼻筋は知性的で端正な顔立ちの少女。
手には己の身丈ほどの剣を持っている。
「おいおい、いきなりそりゃ酷ぇな」
「私はどうでもいい男の子供を身ごもる道具ではありませんから」
言い切る賈氏に飛虎は堪え切れずに噴出した。
「威勢のいい女だな。気に入った!」
「誰がお前なんかと!!」
賈氏は飛虎の喉元、剣を突きつける。
「じゃあ、こうしようぜ。俺が勝ったらお前、俺の嫁になれ」
「ならば私が買ったならばこの話は無かったことにしてもらいますから」
互いに剣を構え、向かい合う。
賈氏の剣先は的確に急所を突いてくる。実践と経験からでてくる強さ。
一方の飛虎は大技と破壊力は賈氏とは比べ物にならない強さ。
「賈氏様は今まで九十九人の求婚者を返されてますから」
そんなことを給仕の者が言っていた。
「なぁ、お前相当な人数突っぱねてきたろ」
「だったらどうだというの」
刃と刃が擦れ合う。
「俺は百人目にはならねぇ。最初の一人になる!」
賈氏の剣を突き返し、正面から当ててゆく。
みしみしと刀身から音がする。
「!!」
炸裂音と共に、賈氏の剣が砕け散る。衝撃を受け止めきれずに彼女の身体は宙を舞った。
「危ねぇ!!」
地表に叩きつけられる寸でのところで飛虎は賈氏を抱きとめた。
「この勝負俺の勝ちだろ?」
「…そうね、私の負けだわ」
悔しそうに笑う。
「でも、気に入ったわ。いいわ、一緒になりましょう」
賈氏は立ち上がり、飛虎の手を取った。
「お父様、私、嫁ぐことにします。後日荷物は送ってくださいませ」
凛とした声が響く。
「な、なにもそんな急に」
「黄家の御方からは今すぐにでもと言われてました」
「まぁ、いいけどよ。ところでお前幾つなんだ?見たところ……」
口篭る飛虎に賈氏はあっさりと応える。
「今度の夏で十六になります」
「じゅ、十六!!??」
あんぐりとする飛虎に賈氏はうふふと笑った。
その身一つで嫁いできた彼女。
用意された別宅に飛虎と二人の生活が始まった。
家事をこなしながら空いた時間で剣技の稽古と読書。
彼女は休み無く何かをしている。それでいて飛虎が何かを望むとすぐさま行動を起こすのだ。
「なぁ、少し休んだらいんじゃねぇのか?」
独楽鼠のようにくるくると動く賈氏を見ながら飛虎はそう言った。
「まだここに慣れないから……どこに何があるかも分からないし」
「焦んなくていいからよ。のんびり行こうぜ。先は長いんだしな」
よほど口うるさく躾けられてきたのか、賈氏の料理の腕前は非の打ち所が無かった。
次から次に皿を空ける飛虎を見ながら「作りがいがあってうれしい」と零すほど。
この一週間で大分彼女のことを理解したような気がする。
だが、飛虎にはひとつだけ疑問があった。
二人のために用意されたこの別宅、当然寝室も一緒である。
二人で寝入るが、如何せん良心が咎めて飛虎は賈氏に触れようとはしなかった。
(まだ、子供だしな……どうしたもんか……)
賈氏は知ってか知らずか飛虎の腕枕で眠る。
まだ幼い素顔を見るとうかつに触れることが出来なくなってしまうのだ。
そうこうしているうちに一月が過ぎたが、飛虎は同じように思い悩んでいた。
「ねぇ」
風呂上りで少し濡れた髪。
「な、なんだ?」
「私はそんなに魅力が無い?」
まるで胸のうちを見抜かれたような言葉。
「な、何言って……」
「だって、飛虎は私に指一本触れてこない」
少し拗ねたよう口調。
「あー、そのな、魅力がねぇとかじゃないんだ…その、なんつーか良心が咎めるっていうか…」
その身一つで嫁いできた彼女。
「もっとお前が大人になってからでもいいかと思ってよ……」
「その間に飛虎が死んだら私はどうすればいいの?」
「賈氏……」
「黄家のお父様が言ってたの、飛虎は危険なところにも遠征に行くって」
「………」
「子ども扱いしないで……」
賈氏は飛虎の胸に身体を預ける。
自分の胸ほどしかないその身丈。
「悪かった。ガキ扱いして…」
膝下に手を入れて抱き上げる。
「きゃぁ!」
「覚悟できてんだろうな?」
寝台に下ろして、覆いかぶさる。
触れるだけ口付けを受けて、賈氏は飛虎の頬に手を当てた。
無骨な指が柔らかい乳房に沈む。
飛虎の唇が吸い上げるたびに賈氏はくすぐったそうに身体を捻った。
指先が秘裂を摩り、ゆっくりと入り込む。狭い入り口はまるで拒むように飛虎の指に絡みついた。
「っ……たっ……」
異物の進入に強張る身体。
一度指を抜き、舐め上げて濡らして再度侵入を試みる。
「…やっ……」
それでも何度か繰り返すうちに内部がしっとりと濡れてくる。
自分の身体の変化に、彼女自身も驚く。
「あんっ!!」
舌先が肉芽を嬲り上げ、賈氏を追い込んでいく。
「あぅんっ!…やぁっ!!!!」
初めての絶頂に意識が霞む。
体液で濡れた唇を指で拭って、飛虎は賈氏に深い口付けを落とした。
舌を絡ませた、男女間の接吻。
知らずに同じように舌を求める自分に、彼女は女の本能を知った。
「ちゃんと掴まってろよ」
賈氏の手を取り、己の背に回させる。
こくんと頷き、彼女は男の広い背中を抱いた。
張り付く皮膚の感覚と汗の匂い。
膝を折って飛虎は賈氏の内側に己を沈めていく。
「っ……いった…っ……」
中程まで繋がったが、賈氏の表情を見ているとどうも罪悪感が生まれてくる。
「大丈夫か……?」
泣きながら、必死に笑おうとする彼女が愛しく思えて。
この女を生涯の妻に出来る己の幸せに酔いたくなる。
「平気……だから……」
奥まで繋がり、痛みと圧迫感に震える賈氏に甘い口付けを降らす。
貫かれた痛みと流れた血液は己の身体が女であると克明に告げていた。
「…飛…虎……」
百人目の相手がこの男だったのは天命だったのかもしれない。
天が与えた相手ならば、添い遂げようと。
痛みに震える身体の奥に放たれる熱源。
受け止めながら、胎の奥がぼんやりと暖かくなるのを彼女は沈む意識の中で感じていた。
それから数ヶ月後、子供を身ごもった賈氏だが何も変わらずに剣を取る日々が続いていた。
「おいおい、腹に障るだろーが」
「飛虎と私の子ならこれくらいは平気でしょ」
「まぁ、そういやそうだな」
少し膨らみ始めた腹部には似合わない幼い顔つき。
「子供は何人いてもいいもんだしな。頼んだぜ、賈氏」
そういわれて少し赤くなる彼女。
あの夜以来ほぼ毎晩のように抱かれていることを思えば、大家族になることは想像するに容易かった。
そうやって、二人は青年と少女から夫婦に変貌を遂げていったのだ。
子育てに追われながら賈氏は夜中に一人剣を取る。
飛虎はそれを見て見ぬ振りをする。
子供たちも健やかに育ち、仙界入りする才気あるものもいた。
笑顔で送り出し、月明りの下で一人泣いている妻を見て男はその肩を抱くほかに出来なかった。
「なぁ、俺は幸せだ。お前と一緒になれたんだからな」
「ええ……私もです。あなたとこうしていられるのですから」
「あいつが帰ってきた時に家族が増えてたら喜ぶだろうな。妹がほしいとか喚いてた位だからな」
息子のことを思う姿は母であり、公の場に出る姿は武成王の妻である。
そして、今ここでこうして肩を寄せる姿は賈氏という女そのもの。
長い年月を掛けて、父と母になり、夫と妻になった。
その日々は永遠に続くと信じていた。
「…王、武成王、どうかしたのか?」
心配そうに覗き込んでくる太公望。
その長い黒髪は、失くしてしまった女を思い出させた。
「!」
強く抱かれて、息が詰まる。
「すまねぇ……昼間天化との手合わせ見てても似てるって思ったんだ……」
「奥方にか…?」
「ああ、あいつも強い女だった。俺なんかよりもずっと……」
少し噛み殺した嗚咽は、その思いの強さを語っていた。
太公望も賈氏をまったく知らないわけではない。
朝歌で深い傷を負った自分を手厚く看護してくれたの優しさを忘れるはずは無い。
「武成王……」
「飛虎……俺の名だ……」
酒の力も加わって、二人の身体が絡みあう。
お互いに思う相手はこの世には居ないのだ。
重ねたのは身体だけ。
心は……遠くに。
飾り模様の彫られた蝋燭に火を灯す。
その柔らかい光は外界とこの部屋を優しく隔離しているようだった。
「すまなかった……」
「いや、わしも似たようなものだ……」
うつ伏せになり枕を抱える。
「左腕はもういいのか?」
「たいした事は無いよ。おぬしの息子がよくしてくれるからのう」
あっさりと答えて笑う太公望。
「太子のことで思ったんだが……俺は聞仲と戦えるんだろうか…正直わからねぇ…」
「…………」
「今の自分の立場は分かっているつもりだった。だが……太子たちが封神された時に、酷く胸が痛かった。
はたしてかつての友を斬れるだろうか……」
太公望は男の頬に手を伸ばす。
「わしは何があっても聞仲を倒す。たとえ腕を失くしても、血で汚れても」
その手を男は受け止める。
「強くなったな、お前……」
笑う顔が彼女に重なる。
そのまま二人は目を閉じた。
翌朝、珍しく二日酔いで頭を抱える太公望に心配そうに四不象に水を持ってくる。
「すまんのう…スープー」
「大丈夫っすか?御主人」
「一瓶空けたからのう……今頃あやつも二日酔いに悩んでるであろうて……」
同じように武成王も頭痛を抱えながら政務についていた。
「親父、大丈夫さ?」
「おお、俺も年だな……」
「師叔も二日酔いらしいさ。まぁ、二人とも年って言ったら年なんだろうけど、どうなのさ」
こめかみを押さえながら武成王は笑った。
「あー、久々に賈氏の夢を見たんだよ」
「おふくろの?そーいえば聞太師を追い返したって話はいつ聞いても面白かったさ」
賈氏は飛虎の許可無きものはたとえ聞仲であってもその邸宅に入れようとはしなかった。
持ち前の剣術で追い返されたものも少なくない。
そんな二人の血を最も色濃く引いたのが次男の天化である。
「おふくろ、いい女だった?」
「ああ、俺には勿体無いくらいのな」
親子二人、渡った声が空に響いた。
賈氏のイメージ壊れた人居たらすいません。
造反の時の彼女の強さって思いの強さとか色んなものを背負ってないと出ないような気がして。
妻であることを誇りと言い切れるのは、凄いことだと思う。
強く優しい母君だったんだろうなぁ……
職人様を待とうかとも思ったんですが、書いてしまいました。
437 :
名無しさん@ピンキー:03/07/07 20:28 ID:lj12OxFu
あなたが私に勝ったらネタキタ―――――――!!
「私に触れるな」の場面は哀しいけれど、凛とした彼女が好きです。
KINOさん乙でした!他の職人様版も読んでみたいねえ。
∧ ∧
( ⌒/
∪ / / ヽ >436
/ ノ
∪∪
∧ ∧,〜
( (⌒ ̄ `ヽ _
\ \ `ー'"´, -'⌒ヽ
/∠_,ノ _/_
/( ノ ヽ、_/´ \
、( 'ノ( く `ヽ、
/` \____>\___ノ
/ /__〉 `、__>
/  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
>438さん、
賈氏にたいする藻いらのイメージがこんな感じでした。
黒髪萌え属性なんで、賈氏はストライク入ってます。
理想は某ゲームの機械メイド…
職人様光臨を待ちましょう( ´∀`)
また自分斬りしちまった……書き上げ直後でハイになってます。
着られた業者と共に逝って来ます
おひさです。
いやー、職人さんが増えていて嬉しい限り。
KINOさんはあいかわらずすごい速筆ですね!
うらやますぃ
自分も忙しくなくなったらまた投下したいです。
では!
>gbhさん、
メインで書かせてもらってるのがここなんで(´∀`)ノ″
他に投下する時はかなり遅いです。
新作お待ちしてます。今日は絨毯投下したんで体力が……
封神の女性の中では1・2を争うくらい賈氏が好きなもので、
今回の話はものすごくツボですた(*´∀`)
またがんがってください
竜吉公主と義弟の話が欲しい…
445 :
名無しさん@ピンキー:03/07/08 14:24 ID:boa/S3KP
全部読み応えがあって面白かったです!
神様方お疲れ様です&頑張ってくださいー。
遅レスですが
>>241 サーパラで よいやみてい (漢字に直して) で検索すれば出てくるかと。
のんびりと昔話シリーズと、十天君の話を書いてます。
そして、ここはエロなしは投下不可ですかね?
その場合は現在保管庫作ってるんでそっちにUPして、こっちには
エロありと本編投下にしようと思ってるんですが…
まずは、書け、自分。
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ライフワークやってからサーパラに逝って来ます
キュンキュン
>KINOさん
楊?は人間と妖怪のハーフではないかなあとか考えてます。
通天教主が封神される時には人の姿のままだったし、
楊?のガキの頃が人間デフォで角が生えてる、って感じでしたから。
どうなんでしょうね。
SS乙です。
賈氏は確かに、強いってイメージはありますけど、
精神的な部分のみかなーとか思ってましたんで、新鮮な印象を受けました。
いろんな見解があって面白いですね。
関係ないけど、機械メイドってのが気になったり。
エロなしの話もいいんじゃないかな、と思います。
まあ、KINOさんの文章が読みたいってのがありますから。
個人的には、ですけど。
賈氏か……。
今のをどうにかしたら書くかも。
「触れるな」のとこは好きですね。
450 :
ナツキ:03/07/09 02:17 ID:bEXPh35N
名前が抜けてた。
本当にヨウゼンって漢字で出ませんね。
連投失礼。
451 :
きじ:03/07/09 02:45 ID:46HVCz0y
>>KINOどの
賈氏さんネタは書きたかったところですが、先に神が降臨されてしまったので
御目汚しになっちゃいかんと思ふのであります。
新たなネタ探しに旅立つのであります!
万歳!
>>449 通天教主は妖怪でしょ。
妖怪仙人の世界で人間がトップに立てるとは思えない。
妖怪仙人と普通?の妖怪との間の子供なんじゃないかな?
ただ、母親は普通の妖怪だったけど、後に修行で妖怪仙人になったため、
限りなく「仙人と仙人の間の子」に近い存在だ、とか。
「純血」だと竜吉公主みたく下界に下りていけなくなるハンデがもれなくついてしまうから(笑
453 :
名無しさん@ピンキー:03/07/09 21:01 ID:GD47eTDD
公主と燃燈の話ってないかな?
機械メイドですか?
フォレスター?さんというところのゲームのDOLLってのにでてくる
アイリスですよヽ(´ー`)ノ 黒髪ボブ、緑の眼。
KINOは持ってないんですが、友人宅で見てこれは!とw
そんで続きを書いてます。
姉弟の要望が高いんですね〜。
書けたら…挑戦してみます(時間あるときにですが)
職人様、おねがいします。
異説封神演義
〜〜〜〜ヨウゼンと太公望の昔話〜〜〜〜
「師叔が剣を使えるとは以外でしたよ」
太公望の包帯を替えながら、ヨウゼンはそんなことを言った。
片腕では何かと不便なことも多く、ヨウゼンは一層補佐役として動き回っている。
なんとか筆をとることはできるが、利き腕のように上手くは行かない。
「昔のことだよ。まぁ、普賢とよく遊びでやっておったくらいかのう」
頭の中で太公望と普賢の迫力があるのか無いのか微妙な剣技を想像し、ヨウゼンは頭を振った。
少女二人、剣を握るような風貌ではない。
まして普賢真人は十二仙で最も温容な外見である。
(まぁ、意外な二人であるけれども……)
巻き終えて、その端を結ぶ。
「終わりましたよ」
「すまんのう、おぬしには迷惑ばかりかけておる」
「いいえ…そういえば、髪はどうやって……」
「これか?スープーと武吉がな、色々としてくれるのだよ」
(あんのカバとガキめ!!!なんてことを!)
平静さを装いつつ、ヨウゼンの心中は穏やかではない。
「そういえば、おぬしの出を聞いたことはないのう……おぬしの顔立ちは普賢とも違うし…」
唇に指を当て、太公望はあれこれと思案する。
同期に入った普賢真人は北方の出である。
灰白の髪と眼は北の住人に見られる遺伝的なものだ。
「気になりますか?」
「うむ、おぬしのことは未だによく分からんからのう」
疲れが溜まっているのか太公望は首を何度か回す。
その度に胸元が揺れるのに、ヨウゼンは目をとられた。
「師叔、その……胸はどうしてるんですか……?」
「ああ、スープーと武吉がやってくれておったのだがな……」
(なっ!!あのカバとガキ、絶対に殺す!!)
「緩かったり、きつかったりでどうにもならんからのう、このままじゃ。まぁ、多少は邪魔だが
仕方あるまいて、ヨウゼン?」
太公望の声でようやく我に帰る。
「太乙に義手は頼んであるが、要らぬ細工をされそうでのう……」
「近いうちに仙人界に参りましょう、師叔」
ヨウゼンの手が頬に触れる。
「先ほどの話ですが、気になりますか?」
「おぬしのことか?気になるぞ」
そのまま、頬から顎に。
少しだけ、上げて唇を合わせる。
(この協定、崩させてもらうよ……)
「なら、今夜お待ちしてますよ、師叔」
夕刻から降り出した雨は、宵が進むにつれて激しさを増してきた。
ぺたぺたと歩きながら、太公望はヨウゼンの部屋の扉を開けた。
「ヨウゼン」
扉を開けるのが早いか、ヨウゼンの腕の中に太公望はいた。
「ヨウゼン?」
いつもとは違う感覚。
酷くやつれた様なか細い声でヨウゼンが何かを呟く。
「どうしたのだ?おぬしらしくもない……」
突き放そうともせず、太公望の声は穏やかだ。
右手でヨウゼンの背を撫でて、あやすように軽く叩いた。
「すいません……師叔。考え事をしていたら……」
「煮詰まったか?そういうこともあるよのう」
見えない顔が笑った気がした。
不安に苛まれる夜は、一人でいることが怖くてたまらない。
この闇の中、溶けてしまうことも出来ない半端な自分。
手を伸ばしても、空しく宙を掴むだけ。
封じ込めたはずの記憶が疼く。
それは治りかけの傷を抉るような感覚。
「師叔、最初にあなたの話を聞かせてくれませんか?」
寝巻きの紐と解きながら、ヨウゼンはそんなことを言った。
首筋に痕を残しながら、鎖骨を甘く噛む。
「…っ…わしの……話……?」
舌が、浮いた鎖骨を舐め上げる。
「んっ……」
腰を抱かれ、指先が身体の線をなぞっていく。
背骨を辿って、うなじを撫で上げて、耳の裏で踊る。
「どんな風に過ごしたのか……聞きたいんです……」
「…父と…母…兄上と……妹がおった……」
耳朶を噛まれ、小さく声が上がる。
「姜族は……遊牧の…民…わしも…そのように暮らしてきた……」
「…両親は…どんな……」
傷の多くなった乳房を噛まれ、太公望の身体がびくんと反応した。
「父は…強い男だったよ……わしや兄上に…っ…剣を教えてくれた……母も……凛とした
女だった……あの…ように…在りたいと…ぅ…っ…思えるほどに……っ…」
その先の乳首を吸われ、息が上がる。
口中で転がすように、嬲られて鳴く身体をヨウゼンの手が逃げられない様に押さえた。
「…それから……?」
胸の谷間を噛んで、自分の痕跡を残す。
「…あ…んっ!……兄上は…優しい……男性(ひと)じゃった……いつ…も…わしや…妹の…っ
世話…を…!……」
濡れた内側を掻き回されて、喘ぎ声と吐息が零れた。
奥まで沈めて、その上を突くように押し上げると肉壁が指に絡み付いてくる。
「や…っ…あっ!!」
根元まで押し込んで、抉るように動かしていく。
「続けて……」
少し汗ばんだ額に口付けて。
「…んぅ……妹は……は…あんっ!!……まだ…幼くてっ……」
目尻から落ちた涙を口唇で吸い上げて。
「でも……皆……」
太公望は口を紡ぐ。
残されたのは自分ひとり。
「……僕には……母の記憶がありません…かすかに父のことを憶えている気がします……」
「…………」
手を伸ばして、ヨウゼンの背を抱く。
その手を髪に差し、優しく撫でる。
「…ヨウゼン…苦しかったか…?」
「え……?」
「おぬしが神経質なのは…子供の頃に抱っこが足りぬかったのかも知れぬな…こんどおぬしの
師にあったらよく言っておくよ……」
子供の身体を抱くように、太公望は自分よりも大きな男の身体を抱いた。
胸に顔を埋めさせて、まるで包む込むように。
柔らかい胸は、知らないはずの母のようで、どこか懐かしささえ覚えた。
「師叔……」
「心理学は普賢から齧った程度だが……」
「師叔!」
「…ヨウゼン、苦しかったら…泣いてもいいのだぞ……」
震えるその頭をかき抱いて。
「…っ………」
無いはずの腕があるかのように。
「わしはどこにも行かぬよ……」
「…師叔……っ……」
男の嗚咽を少女は受け止める。
重ねた唇も、絡めた身体も、全て受け入れるように作られた身体。
足りない何かを求めて、一つになれるように人間の体は造られた。
抱いているのは自分、身体を。
抱かれているのは自分、その精神(こころ)を……。
眠る太公望の髪を撫でながらヨウゼンは少し暗い笑みを落とした。
(あなたには……勝てませんね……師叔……)
いつか原始天尊に言われた言葉がこだまする。
『人の上に立つ者は、天才でなくても良い。痛みを分かち合い、全てを受け入れる覚悟のある者』と。
自分の力を持ってすれば封神計画など容易いものだと思っていたあの日。
彼女を知り、触れてなにが違うのかが朧気ながら見えてきている。
(師叔、いつかあなたにだけは本当のことを聞いてほしいんです……)
自分を隠しながらの生き方は苦しくて、溺れそうになる。
(でも……あなたはそれでも僕を同じように受け入れてくれますか……?)
拒絶に対する恐怖。
それすら忘れていた。
消したはずの感情をいとも簡単に太公望は解いてしまう。
そして、一番奥深いところに住み着くのだ。
「ヨウゼン……」
「起きてたんですか?」
「考え事の邪魔をしたか?」
「いえ……そんなことは……」
「おぬしの中にな……小さな子供が見えるのじゃよ……わしは…奢りかも知れぬがその子を守りたい…」
泣いている子供が一人。
その子を抱きしめる腕。
(師叔……僕は……僕は……)
雨の中、傘も持たずに誰かを待つ。
「今は言えませんが……聞いて欲しいことがあるんです……」
いつもとは逆に、ヨウゼンは太公望の柔らかい胸に顔を埋めた。
細い背中を抱いて、安定を求めるように。
「わしでいいのか?専門的な……」
「あなたに聞いて欲しいんです……」
背に回された手が震えた。
「おぬしが話してくれる日を待ってるよ」
「ええ……師叔……」
抱き合ったまま、暗い夜に堕ちて行く。
失墜していく感覚に酔いながら離れずに溶けてしまいたい。
行き着く先がどこなのかはわかないままに。
「ヨウゼンさん、ちょっといいさ?」
天化が珍しくヨウゼンに笑みを浮かべながら近付いてくる。
「どうかしたのかい?」
宝剣がヨウゼンの頬を掠めた。
「約束破ったさね。ヨウゼンさん」
「…………」
そうなのだ。
朝方太公望に会ったときに見つけた首の痣。
眠そうに欠伸する姿を見て天化は一瞬で全てを理解したのだ。
「師叔の腕が治るまではなんもしないって約束、したさね。俺っちと王様と」
「師叔自ら僕の部屋にきたのは協定違反にはならないでしょう?」
しれっと言うヨウゼンを宝剣を振り回しながら天化が追いかける。
さらに発も加わって二対一の攻防戦に。
(これだけは譲れないから……)
それがたとえ同胞であろうと、一国の王であろうと。
騒ぎ立てる男たちの声を聞きながら太公望は書面を広げる。
いつもと変わらない太陽が、照りつける午前の騒動だった。
昔話シリーズを…w
趙公明を書く前に主要な人物とそれに絡む人の話をこんな感じに書いてみようかと。
でないと、その先にある仙界大戦シリーズが書けない気がして。
まぁ、ヨウゼンって結構嫉妬深い気がするって話で。
ゆえに、呑むとくどくなると望の言葉になります。
465 :
名無しさん@ピンキー:03/07/10 01:33 ID:1ZYkg0zR
へへ | /へヘへ バッコン!!
\ヽ |7〃/ミヾ
ヾ|///__ヾ ヽ ビッコン!!
凵 凵 .| /へヘヘ
∩ ∩ .| /〃/./> ブッコン!!
| |∧| | 丿//ヽ>
|#゚Д゚)|彡彡/ノヽヽ> ベッコン!!!
/ こつつヽヽ彡☆彡
〜′ / ミミ☆∧
∪ ∪ ( ´Д`)
>>465 """""""
業者は打ち込んでおきまつ。KINOさん今日もありがd。
きじさん、違う視点や解釈の賈氏話、漏れは読んでみたいです。
467 :
名無しさん@ピンキー:03/07/10 21:55 ID:5VWvT2Ik
 ̄ ̄ ̄ ̄-----______ \ | / /
iillh. --------┏━━┓-- ̄
しノ _____--- ̄┃ iiiiiiii ┃ ← 467
∧ ∧ ./ / / |
( )/ / / ● ←
/ _ノ / ( |
/ / /~ / ) |
._/// /' / ノ |
l彡u' / | / |
( (. | / |
ヽ, | | / |
ソ 丿〉
/ / /
月' / / /
し'~ L二⊃
>466さん、ありがとね。
KINOは現在今まで書いたものの置き場を作ってます。
やっぱ、ここに乗せられないものもあるんですね…なんつーか
道徳と普賢の話とか書きたくて。
コミックスで普賢がピアスしてるの見っけて一日幸せでしたよ。
十二仙と十天君(とくにこっち)はかなりオリジナル設定で書いてるんで…
十天君ものは戸かできるのだろうか…できなきゃ倉庫に置いて…と考えてます。
他に投下したものもまとめて収納してるんで…えらい大変。
469 :
きじ:03/07/10 23:16 ID:v+x1S/lq
>>466 まじっすか? ……推敲してから乗せようと思いまふ。
もうちっと待って下され……。
>きじさん、
キボンヌ。
昨夜このスレ発見して、明け方まで読んでた。
ここの職人さん皆 神 でつ。楽しみにしてるので、がんがって書いて下さい!
うおお、封 神 でこんなに萌えたの初めでだ漏れ。
>471 お、いらっさい
KINOさん、言葉を途切れ途切れに悶えつつ昔話を続ける太公望に萌え萌え。
普賢、ピアスしてたんだ。左耳だけなら「勇気あるもの」の印…だっけ?
職人様方、無理せずがんがってください!
471さん、いらっしゃいませ〜∩(´∀`∩) ワショーイ
うはは、がんがります。現在バカップルとなりつつある道徳と普賢の話を書いてます。
>472さん、そうなんですよ。見っけた瞬間はもうщ(゚Д゚щ)になりましたね。
ネタが振ってきたというか…
ピアスはそうです。左は。
関係ないですがKINOも左だけ。右はどうも開ける気にならない。
474 :
七誌読者:03/07/11 01:32 ID:nzBYLNil
久々に着てみました。賈氏の場面、うるうるしてしまいました。
KINOさんて、女性描写というか、
その最中の心の流れを書くのがすっごくお上手。
私としては、KINO封神演技でもいいと思うほど。
さて、前どこまで読んだかしら、がんばって読みますので、
KINOさんもがんばってください。応援しています。
475 :
七誌読者:03/07/11 01:36 ID:nzBYLNil
あと、他のネ申の方々も、応援していますー♪
私たちをたのしませてくださいね♪
476 :
七誌読者:03/07/11 01:37 ID:nzBYLNil
そうそう、KINOさんが業者を打つの、好きです
あれ? 普賢のピアスは右だけではなかっただろうか……。
しかも最後には消えていたような。
しらべてみよっと。
>478
左耳のピアスは一般的な話だよ。
普賢のピアスは右で、最後には消えていたの?
……やっぱり女の子だったのか普賢……
……それをどこかで道徳にあげたんだな……
スマソ、妄想爆発でつ。
481 :
478:03/07/11 23:58 ID:l7BdNqTM
調べてみました。
やはり右だけで13巻ではつけていたけれど15巻では消えていました。
ちなみに右だけピアスは『オカマ』という意味が……
誰だこんなこと言い出した奴。
482 :
きじ:03/07/12 00:15 ID:dvcvA4Th
ばんわです〜。
少しづつ改訂版、飛虎×賈氏が出来てきてます。
エチ少な目?うむむ。
バンカーバスター投下してよろし?
>きじさん、
щ(゚Д゚щ)カモーン!!!
いや、おながいします!!!
484 :
きじ:03/07/12 00:42 ID:dvcvA4Th
その夜は、涼やかな風が吹いていた。
窓際に腰をおろし、杯を傾ける男。小さく溜め息をつき、外を見やった。
灯は消え失せ、闇のはびこる、街だけが見下ろせる。
もう何杯飲み干したのか、覚えが無い。酔いのせいではない。白色の酒
に、歪んだ月が浮かぶ。
「……賈氏、注いでくれ」
はい、飛虎。
そんな声がしないかと、どこかで思った。酔いが回れば、そんな夢が見
られるのではないかという期待。ただの、期待。
懐に、そっと手を入れる。
小さな、貝殻の装飾の施された櫛。昔に行商から買ったものだったが、
その日に限って着物に差したままで出ようとしていた。
鏡の前に置いておいて下さい、と武成王に手渡していった。
そして、帰らなかった。
何かの前触れだったのかも知れない。
あの時、もっと強く引きとめていれば良かったんでは?
これが、運命というのか?
485 :
きじ:03/07/12 00:42 ID:dvcvA4Th
子を産まねば、家長たりえぬ。
黄飛虎は父から縁談を告げられた。どうしても乗り気になどなれなかった。
ひ弱な女、自分の性分には合わぬもの。話を聞けば貴家の娘。
……抱いて子を孕ませた後、実家へ帰してやろう。そうひっそりと考え、縁
談を承諾した。女とは長くいられぬであろう、という気持ちと、辛い目にあ
わせたくない、という、黄飛虎なりの心遣いからだった。
女は、賈氏といった。見るからに力のなさそうな身体。並んで立っていて
も、すっぽりと背に隠れてしまう。長い黒髪に、優しげな瞳。孕ませること
すら、哀れに思う。
抱いた瞬間、壊れてしまうのでは、とさえ思った。
「俺には、もったいない方です」
賈氏の父親にそう頭を下げたが、のち帰すことになることへの言葉でもあっ
た。両親は末永く、と礼をしたのだった。
隣に座っていた賈氏が黄飛虎を見、目を細めて笑った。
「……私、嬉しい」
思わず、微笑み返してしまった。
486 :
きじ:03/07/12 00:45 ID:dvcvA4Th
賈氏は、よく働く女だった。侍女の『喃』の仕事すらとってしまう程だった。
喃は黄飛虎に、
「だんな様、奥様に休むように言ってくださいまし!」
と、嘆く始末だった。
黄飛虎は、賈氏に愛想をつかされればいいのでは、と考えていた。
何も子など、どの腹を借りても構うものではない。これだけ器量のいい娘な
らば、どこぞの貴族にもらわれれば幸せであろう。喃の言葉を退け、ありった
けの仕事を賈氏に言い渡した。
朝餉から部屋の掃除、黄飛虎の茶に至るまで、賈氏を休ませまいとし、挙句
の果てには何かと難癖をつけようとした。だが賈氏は、
「はい、だんな様」
と微笑み、完璧に仕事をこなした。悩みに悩んだ黄飛虎は、とっておきの仕
事を言いつけた。
広い庭の見渡せる廊下、黄飛虎は後ろに仕えていた賈氏を見た。
「賈氏、俺の『黒虎』を引け。外にでる」
「はい、だんな様。ただ今!」
萌黄色の裳を揺らして、賈氏が厩へ向かっていった。
賈氏についていた喃が、飛虎を睨んでいる。
「だんな様!黒虎を引けだなんて! ……こればっかりはひどすぎます!」
「ばかやろう、馬一頭も引けない奴なんか、俺の嫁になれるか!」
「黒虎を引ける男なんて、数人しかいないのに!」
487 :
きじ:03/07/12 00:49 ID:dvcvA4Th
一頭の黒い馬。
飛虎の馬だから、ということもあった。
だがあまりの荒くれに誰かが『黒い虎のようだ』といったのが、『黒虎』
の由来だった。
飛虎ですら、一月もかかって鞍を乗せた程なのだから。
男三人を、振り落とした兵馬。黄飛虎に似合わぬはずも無かった。
「もう御止めください、何かあってからでは遅いのです!」
「うるせえ!お前は俺の臣下だ、嫁に何しようが、関係あるまい!」
「だんな様は、奥様を何だと思っていらしてるのです?!
奥様に仕える私には、我慢なりませんわ!」
黄飛虎が喃の糾弾に言葉を失っていると、遠くから悲鳴が聞こえた。
か細い、女の声。
「ひいっ、……奥様ぁっ?!」
慌てて喃が、着物の裾をめくりあげて走っていった。黄飛虎は、うつむき
ながら溜め息をついた。庭から、鳥の声が聞こえる。
心が、ざわめく。
……本当に、これで良かったのか?
488 :
きじ:03/07/12 00:50 ID:dvcvA4Th
「……薬では、どうにもならぬと医者が申しておりました」
目を腫らした喃が、黄飛虎を睨んだ。寝台では賈氏が横たわっている。頭
に布を巻き、所々に擦過傷がある。
「……奥様に、何かあっては……私」
「下がれ」
扉を、指差した。
喃はきゅっと唇を噛み、しずしずと下がっていった。喃は、黄飛虎の真意
を分からないでいる。望んでもいない仕打ちを、賈氏に与えていることを。
寝台の脇にある椅子に座り、賈氏の震える手を取った。
「……俺が悪かった」
賈氏の両親に告げれば、すぐにでも連れ戻されるだろう。自分の父親でも
構わない。そうすれば、事は済む。だが、それを良しとしない黄飛虎が、そ
こにいた。少し庭を歩いて考えようと、黄飛虎は賈氏の寝室を後にした。
489 :
きじ:03/07/12 01:19 ID:dvcvA4Th
傷をつけてしまっては、嫁の貰い手もない。
黄飛虎は悔やんだ。もっと手はあったのではないだろうか。
何故、俺のような無粋者に尽くすのか……。
「くそっ」
持っていた棍で、庭の木を思いっきり打ちつけた。
轟音と共に、幹に亀裂が走る。棍に傷はないものの、木は折れてしまいそうだ。
廊下を歩く侍女たちが、一斉に黄飛虎を見やった。
息を呑んでいる。
「ええい!お前ら、とっとと行っちまえ!」地面を、棍で穿った。
490 :
きじ:03/07/12 01:19 ID:dvcvA4Th
黒虎を引け、と言わなければ良かった。
厩の前を歩きながら、ふと思った。当の黒虎は、藁の上で転寝をしている。
「いい気なもんだ……、ん?」
黒虎の影に、誰かがいた。黒虎にへばりつき、もそもそと動くもの。
首を傾げ、厩を覗くと、そこには……賈氏がいた。
「かっ、賈氏?!」
「……あ」
ゆっくりと顔を上げ、黒虎の背によりかかる。
顔に生気は無く、今にも死んでしまいそうだ。
「ばかっ、何やって……」
夢うつつのような、穏やかな表情の賈氏。
黒虎の毛に触れながら、赤子をあやす母の様に微笑んだ。黄飛虎は、その
表情に何も言えなくなった。血のこびりついた唇が、少しほころぶ。
傷ついた姿。だが、その姿すら賈氏を美しいと思わせた。
491 :
きじ:03/07/12 01:39 ID:dvcvA4Th
喃に小言を言われつつ、寝巻きを替え、身体を拭いてから寝台に横たえた。
「賈氏、夕餉を持ってきたぞ」
「はい」
椅子に一旦盆を置き、賈氏をそっと起こしてやった。
「……ちゃんと喰うのを見届けるぞ」
「あら、ではちゃんと食さねば、だんな様に叱られてしまいそう」
くすくすと笑う賈氏の様子に、変な汗をかいてしまう。
「その……『だんな様』はやめろ。 ……恥ずかしい」
「では、何と御呼びいたしましょう?」
「……飛虎、でいい」
会話をするだけで、息が上がってしまう。戦の時など、棍をいくら振るお
うとも汗一つかかなかったというのに。女一つに何故こうも齷齪するのか。
賈氏の双眸は、矢の様に黄飛虎を射抜く。
「分かりました、……飛虎」
まだ震える手で、そっと汁椀を持とうとする。
「危なっかしい。 ……喰えるのか?」
「では、飛虎が食べさせて下さいますか?」
悪戯っぽく微笑む。黄飛虎は、ちぇっと舌打ちをしてそっぽ向くと、ころ
ころと笑った。
きじさんの続きが気になりつつ、書いた話を投下させていただきます。
今後kinoが姉弟ものを書くときに布石に使おうと思って書いた話です。
道行天尊のものなのですが、嫌いな方、kino設定が力一杯入ってるんで
だめなかたはスルーでおねがいします。
少し暗めな話なので、受け付けない!と思われる方は見ないことを推奨します。
そんなもん投下すんなと言われるかもしれませんが、書きたかったものなのです。
異説封神演義
〜〜〜〜道行の昔話〜〜〜〜
太乙真人は太公望の左腕を作る。
宝貝ではなく、精巧に作られたカラクリ義手とでも言おうか。
比較的短時間ですむ外科手術を終え、慣らしの時間も兼ねてのんびりと太乙と世間話をしていた。
なぜか一緒に道徳と普賢までもその中に混ざって久々に話に花を咲かせる。
この四人は比較的良好な友人関係だ。
普賢と太公望、太乙と道徳。
それぞれが同期に仙界入りしている。
「なにやら楽しそうじゃのう、儂もまぜでもらえんか?」
真っ白な防護服に包まれて、道行が顔を出す。
「珍しいね、ここに来るなんて」
「太公望が来ていると聞いたからな」
道行は人懐こい顔でニコニコと笑う。
(ああ、一度で良いから、私に逢いたいから来たとは言ってくれないだろうか……)
太乙真人はそんなことを思いながら道行の分の茶を入れる。
甘く香り立つそれは普賢の持参したもの。
「かたじけない」
「そういえば、ボク……道行に聞きたいことがあったんだけど」
「なんじゃ、普賢」
「前の十二仙ってどんな人たちだったの?ボクの前任の人のことは聞いてはいるんだけども」
道行は少し、考える。
どこから話したよいか分からないほど、長い年月を崑崙山で過ごしているからだ。
「まぁ、原始天尊もそうじゃが、少し昔の話でもしようか?」
思わず四人は身を乗り出す。
普賢を含めて現在の十二仙は八人が新たに加わっている。
道行を含め四人が前時代からの十二仙だ。
そのなかにおいて道行天尊のみ、まるで時間を止めたかのように年若く、その麗しい姿を保っている。
仙人はゆっくりと年を得て、容姿も変わるのが常のはず。
道行は先の大戦から肉体的退行を失っていた。
「まぁ、そう急かすでない、長い話になるからのう」
出された茶に口をつけ、道行は目を閉じた。
道行天尊が仙界入りしたのは彼女が十七になった歳だった。
教主原始天尊の手によって発掘され、その才気を生かすために仙人の修行を積んでいく。
何人か仙女もまだ見られる時代、道行は着実に自分の位置を作り上げる。
「道行」
「原始か、何用か?」
短く切られた黒髪に、同じ闇色の瞳。
中肉中背の風貌。
口元はなにか嬉しいことでもあったのか綻んでいる。
原始と呼ばれた男は崑崙山の教主であった。
若き教主は何かと道行に構いたがる。
亜麻色の巻き毛を指に絡め、軽く引き寄せて原始は笑う。
「用は無いよ。ただ、お前の顔を見に来ただけ」
「なら、その手を離してくれ。邪魔だ」
胸元まで伸びた流麗な巻き毛は飛に透けて、金色に輝いた。
少し大きめのその瞳は、栗色の硝子玉の様。
「なら、用を作るか。それならばお前も文句は無かろう」
「教主なら、教主らしく仕事でもしてこんか」
「そう可愛い声で怒鳴られても、迫力に欠けるな」
原始は腕組みをしてそんなことを呟いた。
「からかうのも…」
振り上げた手を掴み、道行の身体を抱き寄せる。
抵抗する間もなく、唇を奪われ呼吸を奪われた。
僅かに角度を変えたときにのみ、許される呼吸に身体の力が抜けていく。
唇が離れる時にちゅっと音がし、名残を惜しむかのように糸を引いた。
「な…なんのつもりだ……」
肩で息をしながら、道行は原始をきっと睨む。
「そう怖い顔をするな。せっかくの可愛い顔だ」
「だから……」
言いかけた言葉を唇で塞ぐ。
「隙だらけってことさ、道行」
原始はにやりと笑って教主殿に戻っていく。
ひらひらと後姿が手を振り、道行は憮然とした顔でその姿を見送った。
長く伸びた巻き毛は二つに編まれ、その先は胸で踊る。
毛先を止めた組紐は彼女が暇つぶしに編んだものだ。
紅と桜色が絡み合った花飾りは、柔らかく波打つ髪に彩を添える。
「道行」
「またおぬしか…暇つぶしなら他を当たってくれ」
房を取り、口付ける。
「何のつもりだ」
「求愛」
「冗談を……」
「本気だ」
いつになく真面目な声で言われ、道行は動けなくなる。
何時ものように、からかい半分だと思っていたのだが、今日の原始は何かが違っていた。
真摯に見つめられて、どうしたらよいか分からず、彼女は目を逸らした。
指を絡ませて、そっと抱き寄せる。
「教主がなにを戯れる……」
「戯れではない。本気だ」
原始天尊には正妻はいない。
ここで道行に触れても誰も咎めるものいないのだ。
もっとも、妻があったとしても側室とすれば何の問題も起きないのだが。
「俺が相手では不満か?」
「そうではないが……」
「ならば、合意と見るぞ。道行」
そういわれ、言葉も出ない。
どの道、教主に逆らうのもばかげた話だと道行は覚悟を決めた。
膝に手を入れられ、道行の身体が浮かび上がる。
「なっ!?」
「お前の気持ちはすぐに変わるからな、早速行動に移させてもらうぞ」
「せめて夜まで待って……」
道行の言葉は最後まで発せられることなく、原始の唇に消えた。
忙しなく道衣を剥ぎ取られ、道行は寝台の上に裸体を晒した。
解かれた髪は美しく波を描く。
「やっ……」
首筋に降る唇に道行の身体が震える。
他人に触れられること自体が、彼女にとっては初めてのことだった。
「やめ……」
抵抗する声は全て奪われていく。
唇を吸われ、胸を揉みしだかれる。柔らかな乳房に沈む指は、他人を知らない身体に一つずつ教授していく様。
腕で顔を覆う道行には構わずにその舌先はゆっくりと下がっていく。
「…あっ……ん……」
初めて漏れる嬌声。
その声に応えるように原始の指は道行の身体を焦らすように愛撫して行った。
形の良い柔らかな乳房を掴み、甘く吸い上げる。
赤く残るその痕は否が応でも自分の身体が女であることを知らしめた。
自分が抱かれていることに対する想い。
そして、裸体と痴態を晒している羞恥心に道行はきつく目を閉じた。
「…やぁっ!!……っ…原始…やめて……っ…」
秘部を舌で嬲られて、道行が涙声で言う。
それでも、憶えたての快楽は彼女の身体を蝕むように染め上げた。
「道行……」
名を呼ばれ、潤んだ目が原始を見つめる。
「怖いか?」
手を取り、原始は自分の胸の当てさせた。
青年の身体と胸板。
そのままその手を下げていく。
「…嫌……っ…怖い……」
「少しだけ、我慢してくれ……」
足首を掴まれて、膝を折られる。
深く唇を重ねると、男は少女の肉壁に己自身を沈ませていく。
「!!」
思わず唇を離す。
鈍い痛みと、激痛が交差しながら繋がった部分を中心に広がっていく。
「…った…い…!……っ…」
涙目ながら、道行は必死に堪える。
「止めるか?」
「……止める気があるならこうなる前に言え!!」
破れかぶれに放たれた言葉に原始が笑う。
「よかった…いつもの道行だ」
その顔を見て、なにか急に気が抜け、釣られて笑った。
「なんだそれは…力抜けた……」
「そりゃ良かった。まだ半分しか入ってないからな」
「なっ……!」
そんなことをいってくる男が急に愛しくなる。
互いの胸が重なるほど、抱き合って。
「〜〜〜〜〜っ!!!!!」
唇の端を噛んで破瓜の痛みを紛らわそうとする。
「…大丈夫か?」
奥まで繋がった感触は痛みと、圧迫感が混在していた。
血が逆流するような熱さと、愛しさ。
強張った身体に優しい雨のような接吻。
伸ばしたては、男の背にたどたどしく回され、突き動かされる度に、小さな爪が悲鳴を上げた。
そうして道行は教主の側女となった。
無論、道士としての修行も怠ることは無く、念願かなって仙人としての位にも付く事が出来た。
弟子たちの面倒を忙しく見る彼女の元に教主は足繁く通う。
その数ヵ月後に、彼女は己の身体の変化に気付くことになる。
同じように抱かれたはずが、胎の底の方がほんのりと熱いのだ。
いや、暖かいといったほうが正しいだろうか。
そのまま日々を過ごしていたが、慢性的な気だるさ、眩暈、何時もより激しい感情の起伏。
たった一つの可能性を、道行は頭を振って打ち消す。
(そんなはずは……いや、そうなのか?)
襲い来る吐き気と眩暈に、立っているのも困難なほど。
少し痩せたその姿に口を開いたのは原始のほうだった。
「道行、痩せたな……大丈夫か?それに顔色も悪い」
「…ああ、少し休めば落ち着く……」
そういうや否や襲ってきた吐き気に道行は口元を押さえる。
背中を摩られて、苦しそうに気をする姿は痛々しいものだった。
「もしや……お前子を孕んでいるのではないか?」
「…いや、そんなはずは…仙道同士の間に子を孕むことなど無いに等しいはず……」
ぐったりと原始の腕の中、その身体を投げ出して道行は持ち得る限りの知識を手繰り寄せた。
仙人同士の間に子を孕むことは可能性として無い訳ではない。
だが、それを数字に置き換えるならば限りなくゼロに近く、前例が無いのだ。
「しかし、どう見てもそうとしか思えん…どっちにしろ俺にも責任はあるな」
「責任?随分な物言いだな、原始」
「いいとしないか?この仙界の次の教主を育てるのも悪くは無いだろう」
原始の手が、髪をなで上げる。
少しだけ治まった吐き気に、道行も小さく笑った。
膨らみ始める自分の腹を見て、彼女は夢にうなされる。
前例無き出産は人のそれとは違うように思えて、未知への恐怖心が支配するのだ。
そして、内側で育ち行く生命に不思議な愛しさを感じ、腹を摩る。
ゆっくりと話しかけ、生まれてくることを望むようになっていった。
目立ち始めた身体で過ごすには勇気が足りず、道行は教主殿に居を移した。
万に一つのことを考え、破邪の呪符に守られた部屋に身体を預ける。
幼い顔に不釣合いに膨れた腹は見ようによっては異様にも感じられた。
「苦しそうだな」
「…重い……かな…」
目を細めながら、道行は自分の腹を撫でる。
道衣の下、膨らんだ腹。
原始の手が同じように触れ、ゆっくりと摩った。
「道行、落ち着いて聞いてくれるか?」
「何だ、急に」
「先に言わねばならぬことがある……」
原始は沈痛な面持ちで言葉を紡いだ。
仙人同士の間に生まれる子供は、強大な力を持つ。
両親の能力を余すことなく受け入れ、あらゆる宝貝を使いこなせるのだ。
名実共に、仙界の覇者になるに相応しい器。
生れ落ちた時から備わる力。
だが、全てが完璧なわけではない。
その力と濃すぎる血によって短命になる恐れもあると言うのだ。
「…そんな……死なすためにこの子を産むのではない!!」
「道行、落ち着いてくれ」
501 :
きじ:03/07/12 02:10 ID:dvcvA4Th
はう、KINOさんが書き込んでらっしゃる。
んじゃ休止しときます。もちっと改定してきますです。
話切ってスマソ。
ヒステリックに叫ぶ道行を抱いて宥め、原始は続けた。
「俺は…この子を死なせたくはない。生まれてくることを祝福したやりたいのだよ……だが、俺たちが
この子の親だと知らせることは……出来ない……」
「…何といった…今……」
「この子は仙界の中の奇跡。俺たち二人だけの問題ではないのだよ…」
大きな瞳からぼろぼろと大粒の涙が零れ落ちる。
母と名乗ることも、育てることも出来ないというのだ。
自分がこの子の母でいられるのは腹の中いる間だけ。
あまりにも残酷な宣言に道行の涙は止まることを知らなかった。
「わしは……どうしたらいいのだ……?」
「……どんなことがあっても母親はお前だ……」
「触れることも、名乗ることも出来なくてもか……?」
「ああ……その子の親は俺とお前だ」
顔を両手で覆い、声を上げて泣いた。
「俺たちがただの男と女であったら……」
「…原始……」
「すまない……俺のわがままでお前とその子を傷つけた……」
胸に顔を埋めて、道行は必死に笑おうとした。
同じように、痛む彼の胸で。
封じ込めていた感情が一斉に彼女を襲った。
「……いつか、この子が母を求めたらどうするれば良い……」
「………」
「わたしのことを……母と呼んでくれるのか……?」
日が沈むまで、二人抱き合った。
言葉も交わさずに。
寧ろ言葉は邪魔だった。
いま、こうしていることだけが真実だと信じていた。
そして、道行は一人の仙女を産み落とす。
出産は極秘に行われた。
産声を上げて泣く我が子に、そっと手を伸ばす。
真っ赤になりながら、赤子は必死に生きることを選んでいた。
「…道行!!」
肩で息をしながら、原始がその手を握る。
「よくやってくれた……その……ありがとう……」
照れながら笑う顔に、道行は静かに微笑む。
純潔の仙女の誕生した瞬間だった。
「名前を……付けてあげなければ……」
「ああ、そうだな……」
その名は『竜吉』
二人が親として与えることが出来たたった一つのものだった。
何度か母乳を与えた後、道行と娘は引き離された。
連れ去られ、浄室の中で育てられる娘を道行は遠くから見守るだけだった。
まだ、張ったままの胸が痛む。
赤子を求めるように。母でありたいと叫ぶかのように。
しかし、外界は空気でさえも娘の身体には毒でしかない。
(竜吉……)
そして、仙女は教主に成り得ることは無いのだ。
(ごめんなさい……あなたの人生を苦境たるものしてしまった母を許して……)
少しずつ成長する娘を見守りながら、苦しみを忘れるかのように道行は修行に明け暮れた。
そして、晴れて十二仙に昇格したのだ。
(十二仙でいられれば、あの子に会うことも出来る……)
名乗ることは出来ない。
それでも、その手に触れることが出来るだけで十分だった。
同じように原始も名乗ることが出来ないのだから。
まるで罪を共有するかのように、道行に与えられた名前。
仙人名『道行天尊』崑崙十二仙の一人である。
近しいものは誰一人、彼女を問い詰めるものはいなかった。
道行の身体はその後、子を孕むことはなく、教主は同じく十二仙の一人と子を設ける。
同じ父を持ち、異なる母を持つ子供たち。
道行は原始を責めることも詰る事もしなかった。
嫉妬心すら、湧かなかったのだ。
そして、彼女の身体は成長することを拒むように、その時間を止めた。
「道行、どうしたの?」
「いや、色々なことなあったな…と思っておった。仲間の多くは金号との戦いで散って逝ったよ…
原始もわしも老いたものだ……」
長い睫が伏せられる。
「あのじじい……若い頃があったのか?」
「望ちゃん、じじいだなんて……せめてご老人とか」
「普賢、大差ないと思うぞ」
少しずれた思い人の言葉に道徳はため息をついた。
「あれでも昔はいい男だったぞ。おぬしが爺といっておる連中もな」
「ってことは俺たちもゆっくりと歳をとるってことか……」
喧々囂々と盛り上がる四人を見ながら道行は笑う。
(あの子が今日も元気に過ごしているなら、それでいい……)
これからはゆっくりと年を得ていこう。
いつかこの身体が、塵芥になる日を夢見ながら。
以上です。
>きじさん、続きおねがいします∩(´∀`∩)
ピアス話で盛り上がってますね〜。たしかに13巻だけ…。
いつの間にか道徳X普賢の人が増えてて嬉しかったり。
そんなわけでこの二人の話をかいてます。
ただ、さきにこっちがあがったんでこれを投下させていただきました。
あと、レス下さる方、ありがとうございます。
凄く、嬉しいですヽ(´ー`)ノ
>>507 作品を読んだ後に、改めて単行本を読み返してみました。
なんかまた違った読み方ができました。
ありがとうございまつ。
蝉玉×土公孫書いてくれたら・・・嬉しいなぁ、とキボンヌしてみるテスト。
しかし、このカップルが実は人間仙道同士のカップルだとは未だに納得できなかったりする。
なぁるほど、「天尊」つながりだったんですね!
(丸一日経ってからようやく気付いた…アホ)
いつも楽しませてもらっています、作品投下してくださる皆々様、
ありがとうございまつ。
>508さん、ほんの出来心で書いてしまいました。
コミックスに原始天尊の若い頃がちょっとだけ出てるんでそのヴィジュアルならOKだろうと。
デフォで想像してる道行は老子をもっと女性モードにした感じです。
>509さん、
近いうちに投下予定です。ただ、その二人の場合はエロが入るかは微妙ですが、
ちょっとだけ書いた文には書いてて楽しいですヽ(´ー`)ノ
>510さん、
はい「天尊」つながりと姉、弟の話の布石になるように。
ヨウゼンが通天教主の子供ならばあの二人は原始の子供と単純発想です(´∀`)
そんで十二仙一人ずつかいていけたらなぁ…と思ってます。
赤精子の話とか書きたくて。
>>511 KINOさん
おお!楽しみにしてます!・・・ええと、慌てずにどうぞご自分が納得の行くものを。
514 :
名無しさん@ピンキー:03/07/13 10:15 ID:KFt4U3y2
きじさんの黄夫妻は、藤崎版という感じがしないね。
原作の翻訳小説の匂い……上手くいえないけど。
KINOさんとはまた違う作風。続き待ってまつ。
そして……生粋仙人姉弟の布石キタ―――――――――!
しっかり異母姉弟だし。楽しみでつ。
蝉モグラもバカップルも太公望も待ってるよ!
516 :
名無しさん@ピンキー:03/07/13 21:34 ID:P+lCBXvz
始めて来てみたんですが素晴らしい良スレ!
神々の作品が光り輝いてます。
また来ます。職人さまがた、頑張って下さい。
うはは、がんばります。
現在十二仙ものと蝉玉とハニーものを同時進行で書いてます。
趙公明はもうちょっと後になりそうです(^^;
>517さん、
いらっしゃいませ〜。スレのっとりしてます。
封神演義ですか。
・・・『最初の人』たちのネタならあるんですけどねぇ。
お呼びでないですわな。
KINOさん、きじさん。楽しみにしてますよ〜。
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─────‐ /( ノ ヽ、_/´ \―────‐──‐∪ ./──,イ ∪ ────―─
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>519さん、
щ(゚Д゚щ)是非!!!KINOはなぜか十二仙嫁物とヨウゼンの母親に嵌ってます。
どこまで壊れる、自分。
521 :
きじ:03/07/15 00:37 ID:0CU1VcUs
>>515 すんません、資料なくって原作読んだ後だったせいです……。
だめだぁ。鬱。
十天君との戦闘がキンゴウ内部でいくつも起こっていた。
姚天君と金光聖母と対しているのは、ナタク、ヨウゼン、韋護。
2人の陣によって苦境におちいりかけた3人だったが共同作戦で
まずは金光聖母をたおしたのだった。
ナタクに攻撃され、落ちてきた金光聖母を抱きとめた男がいた。
身なりはまるでこじきのような古ぼけた服を着ている韋護という道士だ。
「へへ、この空間でも床はあるって"ゆーか"。」
金光聖母が操る能力は人の目に認識させる光、
映像をゆがめても韋護の鼻と敏感な感覚はまどわされなかった。
それを利用して、彼女の実際にいる場所をつかみナタクに攻撃をしてもらい倒したのだった。
しかし、ナタクの攻撃で落ちてきた彼女が床にたたきつけられるのを
不憫におもった韋護はとっさに駆けて彼女の身体を抱きとめたのだ。
韋護もその行為には意味があるとは思っていない。
金光聖母はとんがり帽子をかぶり、
跳ねた薄い緑色の髪に美しい顔のあるキンゴウの仙人で十天君の一人。
身体はマントの開いている中には見受けられない。
手はあるが胴体などはないようだったのだが・・・。
身体はあったのだ、その肉体も光で作り出した虚像の中に隠れていただけだった。
その身体をしっかりとうけとめた韋護は、前述のおさむいオヤジギャグをいったのである。
金光聖母が口元をゆがめた。
「私の・・・体がわかったのか。うけとめてくれた・・・ことは感・・・謝するわ。でも、無駄よ・・・」
彼女の身体は床にたたきつけられずとも魂魄へと変わる光を放ち始めた。
韋護はうなずいた。
「わかっちゃいたんだ。それでもたたきつけられるのはしのびなくてね。」
「・・・ふふ、面白い坊やだ。封神台に来たら、私に会いにくるがよい・・・ご褒美をあげるわ・・・」
そういうと彼女の身体は光に包まれて飛んでいった。
「なにを話していた?」
降りてきたナタクが、韋護にといかける。
「それは秘密のアッコちゃん」
ヨウゼンも、ナタクも呆れ顔をしてこおりついた。
と、彼らの間に落魂の光がおちた。
ハッと我に返る3人。
まずは姚天君を倒すことが先決だと思い出したのだ。
3対1、勝負の行方は明らかだった。
仙界大戦が終わり、しばらくたったころに韋護は封神台へ訪れた。
生きていても、封神台のなかにいくことができるかはわからなかったが
ひさびさに修行が休みの日。
行くだけ行ってみようと、思いたち訪れたわけだ。
「さーて、どこにいるかね?」
入り口のあたりをしばらく歩いているとカメがあるいてきた。
「おわっ?!お前さんはなんだ?」
「私は、封神台のメンテナンスをしていますハッカンといいます。こちらへ」
「"かめ"へんけど」
静寂が訪れる。
数秒後なにごともなかったように、ハッカンは歩き始めた。
韋護もその後ろをついていった。
やがて、奇妙な石柱のならんだフロアにでた。
そこには顔のある汽車が停まっていた。
「なんじゃ、こりゃ!」
問いには答えずにハッカンは抑揚のない声で返した。
「お乗りください」
韋護はちょっと薄気味が悪かったが、
ここまできて乗らなければ意味がないと思い客室車両にのりこんだ。
車両の中は、普通の向かい合わせの木造の座席がいくつかならんでいた。
適当な場所を選び座った。その正面にハッカンも腰掛けた。
「どなたにお会いに?」
「金光聖母、ってんだがいるかね」
「ええ。わかりました」
汽車の警笛が鳴った。
警笛が止むと汽車は動き出した。
いくつかのプラットホームをすぎた。
プラットホームは一人に一人ずつ与えられているようで、
そのホームは各人が過ごしやすいような空間がつくられていた。
しばらく走ると、鏡が2枚たっていて白い布が天蓋を作っているホームが見えてきた。
まぶしいほどのその空間に、おいてあるのは白い机。
そこに座っているのが金光聖母だった。
汽車がとまり、韋護はおりた。
「お呼びくだされば参ります。それでは。」
ハッカンは汽車を出した。
「やっと来たね。崑崙の道士。」
口元に微笑を浮かべて、聖母がマントより手をさしだした。その手を握り返す韋護。
「韋護だ。以後よろしく!」
「・・・この間の礼をしようと思うのだが、まぁ、かけなさい」
テーブルをはさみ、二人は座った。
「そういうつもりで、したんじゃないさね」
韋護が肩をすくめた。
「そうか。なにか望みはないか?
魂魄の身ゆえ限られてはいるが、ある程度のものならば渡せるが」
「そういわれてもね。じゃあ、お茶を一杯、それでいいさ。」
聖母が若干不満げな顔をしたが、すぐに表情をもどしたちあがった。
「私の礼などうけとらぬというわけか?」
「そういうつもりじゃないさ」
白い布の裏にある急須より茶を淹れているのを韋護は見ていた。
やがて、淹れ終わると盆を持つときにふわりとマントが開いた。
マントの中はやはり身体が透明なままだ。
「・・・あ」
「なんだ?なにか思いついたか?」
「あんたの身体を見たい」
何の気なしにいった韋護だったが、顔を赤くする聖母。
「なにをいっている!」
「!?」
聖母は盆をテーブルに叩くように置き、にらみつけた。
その段になって、ようやく韋護は気づいた。
「ちが、ちがう!
俺が言ったのは、あんたのマントの中身を見えるようにして欲しいってだけで
そういう意味じゃない!!」
手をぶんぶんと交差して、否定をあらわす韋護。
韋護のあわてぶりが、おかしくて聖母は笑いだした。
「フフフ、そんなにあわてないでもよいよ。私も勘違いをしたのだからね」
頭の後ろをかく韋護。
「いや、言い方が悪かったね。それじゃ、お茶をご馳走になろうかね」
「その前に、望みどおり身体を見えるようにしよう。ハッ!」
彼女のマントがはためいた。
マントの内側では、光が凝縮し本来あるべき影をつくりだした。
はためかなくなったマントを開くとローブのような布につつまれた
すらりとした彼女の体が姿を見せたのだった。
すっかり和んだ雰囲気で韋護と聖母はしばらくの間、会話をした。
キンゴウと崑崙のこと。
お互いのこと。
話せば、争いは避けることが出来たのかもしれないと二人が感じるようになったころ
ふと、聖母は韋護をからかいたくなった。
先ほどのこともあり、もし乗ってくるならばそれはそれでよいと思ったのだ。
「韋護。私の体を見たいか?」
「もう見ているさね」
「最初の意味でだ」
韋護がお茶をふきだした。
「ふざけたらいけないよ」
「もっとはっきり言おうか?私と寝てみたいか?」
ごくりとつばを飲み込む音。
「じょ、冗談はやめてくれよ」
韋護は腕を組み顔を横へ向けた。
しかし、聖母は彼の股間がふくらんでいるのを見た。
「冗談?フフフ、これが?」
手を伸ばし、彼のモノをズボンごしに手のひらすこし触れる。
すぐさま、降魔杵は大きくなった。
「う・・・」
そろそろと触れながら、聖母が韋護の耳元でささやく。
「したいのだろう?正直に言えば、抱かせてやろう」
韋護はうなずいた。
「うなずくだけではだめだ。正直にいえばといったろう?」
韋護のズボンを脱がし、彼のモノをつかみこする。
剛直した降魔杵をこする聖母の手を押さえ、あえぐようにして韋護は声を絞りだした。
「聖母、あ、あんたとした・・・い」
聖母は、韋護に接吻をすると妖艶な笑みをうかべた。
「それでは、好きなようにするがよい」
韋護は、聖母の身体をテーブルの上に押し倒した。
ローブを捲り上げて、聖母の左胸に吸い付いた。
右胸は右手で乳首を刺激する。
「ん・・はっ・・・あ・・・」
聖母もこのような交わりはひさびさのことで、刺激に大きく体が反応をする。
韋護は吸いつく胸を右胸に変えると、左手を聖母の秘所へとすべらせた。
「あァ・・や・・はぁ・・・」
聖母の女性たる部分から、降魔杵をうけいれるための液体が流れでてくる。
しかし、聖母も誘っておいて先に果てるわけにはいかない。
韋護の胸に舌をはわせる。
韋護の体がはねあがると同時に、身体をおこし降魔杵を口に含んだ。
「ほうわ、きもひよはほう」
口に含み、動かしながらしゃべるのでなにをいっているか分かりづらいが
どうだ、気持ちよかろう、といっているようだ。
韋護は、聖母の帽子をわしづかみにするようにして快感に耐えている。
口からだし、今度は舌で竿の部分をなめあげる。
「ん!」
韋護の体に奔流がおしよせかけたのを感じ、聖母は降魔杵から手も口も離した。
肩で息をしている韋護。
「韋護、椅子に座れ」
「ハアハア・・・なにを?」
言われるままに座ると、聖母が彼の目の前に足を広げた。
韋護はすいよせられるように、聖母の芽をなめはじめた。
犬が水をのむような音がひびく。
韋護の降魔杵は直接的な刺激を与えられずとも、
聖母のソコを舐めているという行為だけで怒張はとけない。
「フ・・ん・・・んはぁ!」
韋護の顎が愛液にまみれるころになって、聖母が身をよじりながら彼の頭を押さえつけた。
「ん・・ハァハァ・さぁ、韋護、来なさい」
ガバッと、机のうえにのぼり聖母の身体に降魔杵がつきささった。
「んおおお・・・はあぁ」
韋護が腰をうごかすたびに、聖母の身体は弓なりにそる。
二人がなみうつように、聖母の胸が動く。
それを韋護がむさぼる。
「あああ・・・韋護、わたしの膣内にっ、膣内にぃっっ!」
聖母のほうが、先に達した。
グッと硬直する体の動きにあわせて膣壁が韋護の降魔杵をしめあげた。
その圧迫に韋護のほうも、快感の痙攣をおこした。
「おおおおおっ!」
韋護の降魔杵は、聖母の子宮内に射精した。
それは、おたがいの焦らしあいのせいもあり1分はでつづけた。
ハッカンを呼び、来るまではしばらくかかる。
プラットホームに二人は並んでいた。
聖母は韋護の手をにぎった。
「韋護、また来るとよい。私もひとりだと退屈だからね」
「セクハラおやじかもしれんよ、俺は?」
韋護がお得意の駄目発言をする。
聖母は手を握ったまま後ろを向いた。
「馬鹿もの。・・・お前だからしただけだ」
警笛の音。聖母は、パッと手を離した。
韋護は汽車がまだ遠いことを確認すると
聖母の手を取ってお互いの小指をからめた。
以上で完結です。
マイナーキャラなうえ、ちょっとキャラづけが微妙でごめんなさい。
お楽しみいただければ幸いです。
つぎに書くとしたら、張奎高蘭英の続きかな。
それでは
KINOさんはじめ職人さんたち、がんばってくださいね。
広告打ちもw
531 :
山崎 渉:03/07/15 11:07 ID:7GpObfWE
__∧_∧_
|( ^^ )| <寝るぽ(^^)
|\⌒⌒⌒\
\ |⌒⌒⌒~| 山崎渉
~ ̄ ̄ ̄ ̄
/ _/_ | | \ / \((从⌒从0)) //
|/ / ――― / * #(( :: ) ( ⌒ ζ */ ・
/ / / | / \从 ∵ ━(( : ∂ )) /
( )) \ (( § ) ⌒; lll ;从 *(・)/
(( ⌒ ))_ ((( )))___// * ; ) (^^) ‡ * ζ ∵―
(( (≡三(_( ´∀`)__( 三三三三三三三三(( ´#` 从 ¢) )―
(( ⌒ )) ( ニつノ \` : *(( 从 (( )) *ヽ\ ヽ・
(( ) ,‐(_  ̄l : / / ・(( ; : )) ( ζ\*
し―(__)
山崎にはロケットランチャーくらい食らわしてもよかろう。
きじさん、
続き待ってます。首伸ばして待ってます。
GBHさん。韋護カコイイ……マジで素敵です∩(´∀`∩)
やっぱしGBHさんの話好きです。
脇キャラに光を当ててくれるGBHさんに乾杯。
金光聖母好きなんですー!嬉しい!しかも激美人!マンセー。
張奎高蘭英の続きも楽しみにしてます。
ところで自分、きじさんのSSめっちゃすきなんですが……。
文章が凄く上手です!好みなんですよー。また光臨してください。
>>519氏、カモン!カモーーーーン!!お待ちしてます。
そしてKINOさん、毎度お疲れさまです。撃ちっぷりが素敵……。
えーと、十二仙の嫁物を書いたのですが投下してもよいか悩んでます。
不可の場合はHPのほうに持ち込みます。
>533さん、
山崎にはこれくらいしてもよいかと(゚∀゚)
535 :
名無しさん@ピンキー:03/07/15 22:03 ID:vc2mdAgB
515ですが、きじさん、むしろ誉めたつもりだったのですが……。
馬とか侍女とか、細かい設定がちゃんとあっていいなあ、と。
続き待ってますよ〜!
>>519さん
最初の人たち……ジョカもの??興味津々。
>GBHさん
乙です!平和ですねえ。韋護萌えじゃないけど楽しめました。
聖母の体は一回見てみたいよね。描写が漏れのイメージ通りでした。
以後もよろしく!
>KINOさん
十二仙の嫁物、リクエストあったし良ければ投下してください!
sageてるのに広告張られるのは何故!?どこもそうなの?
皆KINOさんにたたっ斬られたいのだろうか(藁
537 :
519:03/07/15 22:41 ID:7uy/oxV7
>KINOさん
>>533氏
・・・本当にいいんですか? 最初の人ですよ? ほぼオリキャラですよ?
・・・そんなんでよろしければ、書きますが。
あと、十二仙の嫁物。
ぜひとも読みたいっす〜! 期待してまっす!
538 :
519:03/07/15 22:51 ID:7uy/oxV7
>>536氏
すんません、期待通りではないです、絶対・・・
以前、某サイトで見つけた設定なんですけどね。
ジョカと伏羲は夫婦で、そこに神農(♀)と元彼の男(軒轅だったかな)が関わってくる
四角関係というか失楽園というか、そういった設定があってですね。
それが妙にツボにはまったというわけでして・・・多分『失楽園』あたり(苦笑
以上のような設定が根底にあるんで・・・
・・・やっぱり書かない方がいいですかね。すでに封神じゃない気が。
ジョカとフッキは兄妹で夫婦、ってのは普通だけど
神農が♀ってのはイイね。
さ、最初の人も人間と同じように子作りするんだろうか……?
たまごとか生まないよね? ね?
|\/\/\/\/\/\/\/\/\/|_
< /
<>535 ゴルァァァァァァァァァァァァ!! >
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 ̄//\/| /\/\/\/\/\/\/\l ̄
l/
-゙'゙";"'゙;;'-゙'"゙;;'゙'―゙'";゙'"';;゙'"゙'゙'゙;'――";゙'"';;゙'"゙――‐゙'";゙'"';;゙'"゙'゙'゙;'――";゙'"';;゙'"゙
(´⌒:,, ∧_∧ 从、;,;,;)
( ((´⌒`≡三| ̄" #´Д`ミ ̄ ̄ ̄ ̄|: :=-´⌒)≡≡≡≡======
( ((´⌒`≡三|____ > く_________|: :=-´⌒)≡≡≡≡======
(´⌒:" ( \) / ア W`;,;,;) ,.;...
ヽ ソ /
....,,..::; ,, ( ヽ、_,/ ̄ ̄ヽ ;.;_;;:.._,.,
\ ヽ ̄\ \_
;.;_;;:.._,.,. (^⌒''__,) (_ ,,)
>536さん、リクエストにお答えしてママンスレより改造してみました。
そうか、ある意味業者に愛されt(ry
打った直後に張られるのは如何とも。
>519さん、
待ってます〜。KINOも嫁物は『嫁』ですから…ええ、オリジナルですよ…
嫁物と蝉モグラ並行してるんで終わったら蝉モグラですね。
リアル友人にここがばれますた…
コミックスマトモによめねーよといわれた…
それは最高の誉め言葉でつね。
たくさんのレスありがとうございます!
すっごい嬉しいです。
519さんの話、興味あります!
とにかく投下なされてはいかがでしょう?
KINOさんの嫁物も期待age
投下、お待ちしていますです。
543 :
きじ:03/07/16 01:00 ID:dZ7VMsfP
なかなか書き込めなくてすみませぬ。
そんなに誉められると……・゚・(ノД`)・゚・。 嬉しいです。
結構長めでっす。ちょっとずつ頑張るんで、気長に待ってたも。
>541さん、そうですね。リアル友は道行でカウンター食らったそうです。
スマソ、友よ。
>GBHさん、期待に沿ったものではないとは思いますが投下させていただきます。
属性が無い人には避けてもらわねばならんような話でして…
>きじさん、待ってます。いつまでも待ってます。
きじさんの飛虎…良い男ですなぁ…KINOの飛虎は…
十二仙赤精子もの投下させていただきます。
例によって嫁話なのでオリジナル不可のかたはスルーでおねがいします。
それと、喜媚系(つまりはロリ)が駄目なかたもスルーしたほうがいいかもしれないです。
異説封神演義
〜〜〜〜赤精子の昔話と折れた刀〜〜〜〜
道行の話を聞きながら、なんだかんだと雑談に花を咲かせる。
太公望を除く四人はそれぞれが個性的な弟子がつき、悩みやら相談やらを交わしていた。
「そういえば、今の十二仙で一人だけ正式に妻がいるのが居たよな…」
道徳は記憶の糸を必死に手繰り寄せる。
「赤精のこと?」
さらりと答えたのは普賢真人。
「ああ、そうだ赤精だ。あいつだけが妻帯者なんだよ」
「確か……弟子の一人と一緒になったと聞いたが」
同行が続けた。
「一度チラッと見たけれども、可愛い女性(ひと)だったよね」
同意を求めるように、普賢は太公望を見た。
「あれは可愛いというか…むしろ…」
太公望は言葉を濁した。
「むしろ?」
「幼女愛好者(ロリコン)と言ったほうが正しい気がしてならん…」
こめかみを押さえ、太公望は首を振った。
同行と普賢は赤精の妻の話に花を咲かせている。
三人寄り合えば、それぞれの話が。
腐っても女である。
「よかったねー、道徳。もっと凄いのが居て」
「そっくりその言葉返すぞ、太乙」
太乙真人にしてみれば普賢のことであれやこれやと苦悩する道徳を見るのが面白かったのだ。
ほんの少し前までは。
そして今はそんな道徳を笑えない立場に居る。
追い討ちをかけるように道徳は普賢と相思相愛の仲だ。
(報われない恋って……結構つらい……)
女三人の横で、男二人はため息を浮かべた。
伸ばした髪を一本に縛り上げ、アイゴーグルに同服という不可思議な格好。
十二仙の一人赤精子である。
刀系宝貝を使わせたならば仙界一の腕前。
しかし、その見た目と少し変わった言動からか彼を十二仙として見るものは少ない。
「帰ったぞー!」
「お帰りなさい、師匠」
迎えるのは幼い少女。まだ、子供といっても過言ではない外見だ。
眉の上で切りそろえられた前髪。
顎の辺りでぱつんと切られた童女のような髪。
背中には己の身丈ほどの剣を背負っている。
丈の短い道衣の下から覗く脚。
小さな膝が愛らしい。
「あー、なんつーか、師匠ってよばなくてもいいんだぞ」
「じゃあ、なんと?」
「あー、そーだなー……紫苑、お前の好きなようにでいいぞ」
くしゃくしゃと幼い妻の頭を撫でる。
抱き上げて、笑う口に自分のそれを重ねた。
うっとりと目を閉じて、彼女は男に身を預けていく。
「何も変わったことは無かったか?広成にいじめられたりはしなかったか?」
「はい、いつも通りからかわれました」
紫苑はあははと笑う。
同じく十二仙の広成子にとってはこの二人は奇妙な関係に見えて口を出さずにはいられないのだ。
婚姻を結んだ当初は外道だのなんだの言われたが赤精は一言、
「悔しかったらオメーも可愛い嫁さんもらってみろや」と言ってのけた。
あまりにも幼いその姿はなんにしろ興味を引く。
広成子からしてみれば逆に紫苑が赤精になにかされていないかと心配になるのだ。
もっとも、二人は正式な夫婦なのであって何もないほうがおかしいのだが。
「あんのヤロー……暇さえあれば紫苑にちょっかい出しやがって」
やれやれと赤精は愛用の刀を紫苑に手渡す。
よろめきながらその刀を抱きしめ、紫苑は夫の後を突いて行く。
「なので、今日は返り討ちにしてみました」
「ほぇ?返り討ちですかい」
「はい。師匠にいただいた陰陽鏡を使ってみました」
陰陽鏡は相手の攻撃を跳ね返し、且つ魂を吸い込むことのできる刀だ。
紫苑は刀の使い手、赤精子の愛弟子。
誰よりも陰陽鏡を使うことには慣れていた。
ただ、師である赤精以外の前で使う機会がそんなに無かっただけの話で。
「アッハハハハハ、そんな面白いもんだったら俺も見たかったぜ」
皮肉屋の赤精が心を許す相手。
一見合わないようなこの二人は絶妙なバランスで呼吸を合わせることができる。
いうなれば紫苑は赤精の懐刀。
王太子が弟子入りしてきたときも甲斐甲斐しく世話を焼いていた。
「だから、一人でも大丈夫です」
「んでもよー、心配なわけよ。カワイイ嫁さんもらってる身分としてはね」
刀を置いて、紫苑は赤精が脱いだ上着を衣文掛けに通す。
背が足りないために、椅子を使って大事そうにそれを吊るした。
紫苑が赤精のところで修行を積み始めた当初、赤精は紫苑を妻にする気など毛頭無かった。
寧ろなれない修行に音を上げてさっさと下山するものだと思っていたくらいだ。
しかし、紫苑は持ち前の才能と努力で宝貝を使いこなすまでになる。
与えられたのは師匠である赤精と同じ陰陽鏡。
しかし、普通の大きさのでは彼女には使いこなせない。
それを考慮して、赤精は紫苑に合わせた宝貝をつくり、与えた。
そんな二人が婚姻を原始天尊に申請したのはあることがきっかけだった。
『仙人骨のある子供が居る』そういわれて赤精は辺境の村に赴いた。
さぞかし骨のある男子かと思えば差し出されたのは幼い少女。
さすがの彼も得意の皮肉が出なかったほどだ。
仕方なく手を取り、仙界へ戻ってどうするかと考える。
「おい、オメー名前は?」
「季 紫苑といいます」
物珍しそうに、浮かぶ岩を紫苑は窓から見つめている。
「年は?」
「十一になりました」
切れ長の目が、紫苑を凝視していく。
細い腕は頼りなく、剣を握るには不向きだ。
(こりゃ、駄目ならさっさと帰してやっか)
「俺は赤精子。オメーの師匠さん。憶えたか?」
「はい。師匠」
「いい子だ。やれるだけやってみろ。そんで駄目なら帰してやっから」
そして二人の奇妙な生活は始まったのだ。
赤精は時間が許す限り鍜治場に篭ることが多い。
自分だけではなく、他の多くの仙道が彼の作り上げる刀にほれ込んでいるために刀作りに追われてるのだ。
紫苑は渡された訓練表の通りに自主修行をすることに。
それに加え身の回り一般や他の十二仙との連絡の仲介。
刀以外には無頓着な赤精の代わりに忙しく動く日々。
就寝する頃にはぐったりとして床に就くのが常だった。
時折剣の手合わせをしながら、成長を見る。
すぐに泣き言を入れて下山するものだとばかり思っていた。
しかし、意外なことに紫苑は剣を握る手つきも鮮やかに成長していく。
赤精にしてみれば不思議でならなかった。
まだ甘えたい盛りの子供が仙界で一人修行に明け暮れる。
「なぁ、オメー、帰りたいとかおもわねぇか?」
額の汗を拳で拭い、紫苑は赤精の方を振り向く。
「紫苑は立派な道士になりなたいんです。そして……父上様の後を継ぎたいと思います」
紫苑の父親は殷でも名のある剣士だ。
その血と仙骨のある紫苑の才能は生まれ持った素質も相まって見事に花開く。
「そっか……宝貝使えるようになるまでもう少しだな」
「はい、がんばります!」
まるで自分の娘のようだ。赤精はそんなことを思った。
別に娘が居たわけでもないが、そんな感情だった。
師匠というよりも、どこか父親を重ねているのだろう。
紫苑もそんな目をしていた。
そしてどれくらいの月日が流れただろう。
風の便りで紫苑の父が戦死したという知らせが来た。
それでも彼女は下山しようとはしなかった。
赤精が特別外出を許可するといっても頑なに首を振らなかった。
何もなかったように雑務と鍛錬に打ち込む日々。
(意外と根性あるな……こいつ)
頼りなかった腕は少しだけ強くなり、小さな身体もゆっくりと成長していく。
せめて母親には娘の近況を知らせてやろうと赤精は彼女の村へと足を向けた。
母は言った。『あれは私の子でない。私は後妻だと』今更戻られても困ると。
そして無言で紫苑の父の剣を赤精に渡した。
「はん…邪魔だったから俺に寄越したってわけか」
「今更帰してもらっても困ります。それに年老いぬ子供など気持ち悪くてかないませんわ」
そのまま踵を返す。
「……帰さねーよ。アイツは今に名のある仙道になる」
「それも興味がありませんわ」
そして彼女は姿を消した。
仙界に戻り、赤精は形見の剣を前にぼんやりと考えていた。
紫苑の底抜けの明るさは仮初のもの。
その下に隠されたものがある。
おそらくは幼少の頃から陰湿な嫌がらせを受けていたのだろう。
仙界に入ることは彼女にとっても一種の自己防衛だったのかもしれない。
鞘から刀身を出し、光に翳す。
鈍く輝くそれは幾人もの血を吸い、その命を飲み込んできた。
ほんのりと帯びる妖気。
(誰が帰すか、あんなとこに。あれじゃアイツか可哀想じゃねーか)
迷いのまま、剣を打てば迷いを帯びた剣に。
刀作りの匠として赤精はこの剣を紫苑の為に改良することにした。
(強くなれよ……オメーには才能があるんだ)
数日篭りきり、完成させた逸品。
それは形見の剣と宝貝『陰陽鏡』を組み合わせた瑠璃色の刀剣。
(もう少しがんばったらオメーにくれやっからな)
満足気に笑って赤精は目を閉じた。
「紫苑、調子はどうだい?」
広成子が剣を振るう紫苑に声を掛ける。
「広成子さま、ご機嫌はいかがですか?」
「随分と腕も上がったみたいだね。もしよかったら今度うちの弟子と試合をしてみないか?」
「はん?試合ぃ?」
鼻歌交じりに散歩していた赤精が混ざってくる。
「そう、いい修行になると思うんだが」
「宝貝使ってか?」
「もちろん。そのほうがいいだろうしな」
顎に指を置き赤精は少し考える。
紫苑の腕試しと卒業試験を兼ねてのいい機会かもしれないと。
「乗った。うちの紫苑は強ぇぞ」
普段褒めることの無い師匠の言葉に紫苑は思わず彼を見上げた。
「うちの紫苑が勝ったらオメー……ボーズにしろ」
「……面白い。ならばこちらの弟子がかったならば同じく頭を丸めてもらおう」
同期に入り、互いが認めるライバルは時折、仕様も無いことを考える。
紫苑の肩に手を置き、赤精は唇の端を上げて笑った。
「師匠、あんなこと言っていいんですか?」
給仕の間に紫苑は不安になったのかそんなことを言ってきた。
「ん?オメーが負けるわけねーから」
「………」
「卒業試験だ、紫苑。本気で行け。オメーなら勝てる」
箸を持つ手が止まる。
「卒業試験に合格したら、下山しなければなりませんか?」
少しだけ、沈んだ声。
「……んなことねぇよ。今度は宝貝の作り方を教えっからよ。まずはあの広成のとこのに勝て」
「はい……がんばりますね、師匠」
「それと、明日はこれ使え」
差し出されたのは特製の剣。
柄の細さも、刀身も全てが紫苑にあわせて赤精が丹精込めて作ったもの。
「陰陽鏡にオメーの親父さんの剣……組み合わせた。これで勝てねぇはずがねぇ」
「……はい……」
大事そうに抱きしめながら、少し涙目で紫苑は笑った。
よく晴れた空の下、二人は対峙する。
互いの師は後方で試合を見守り、弟子二人は円の中で華麗に宝貝を使いこなしていた。
宝貝陰陽鏡と番天印。
どちらも殺傷能力に優れ、敵には持たせたくない品である。
数々の押印を紫苑は陰陽鏡で切り裂いていく。
「オメー、ボーズ決定だな」
「それはどうかな。紫苑も疲れてきてる」
慣れない宝貝に元々体力の無い紫苑の動きは鈍くなってきていた。
ふらついた足元を押印の衝撃波が襲ってくる。
「!!」
刀身を使い大地を蹴り紫苑は身軽な身体を利用して宙を舞った。
剣先が番天印を斬り、弾き飛ばす。
「この勝負うちの紫苑の勝ちだな。さて、剃刀持ってこよっかな〜」
げらげらと笑いながら赤精は紫苑のほうを見つめなおす。
「げっ!!??やばくねーか、おい!!」
弾いた衝撃で夥しい数の押印が紫苑の体中に映っている。
持ち主は気を失っているのか、倒れこんだまま身動き一つ無い。
「おい、何とかしろ!!!」
「押印を全部消すしかない!!」
「…ちっ……この馬鹿師弟。代金は高いからな!」
オリジナルの陰陽鏡を構え赤精は紫苑の身体を抱えながら襲い来る押印の嵐を消していく。
「師匠!!」
「掴まってろ。俺が何とかすっから!」
片手で紫苑を抱え、もう一方では押印を切り裂く。
「きゃあ!」
体力を消耗しきった紫苑が腕からすり抜け、落下していくのが分かった。
「紫苑!!」
ほんの一瞬。
時間に直せば一秒にも満たないそんな時間だった。
押印は赤精の左目を狙い、打ち込まれた。
「ぐあっ!!!」
半分に切り裂くことがやっとで眉の辺りからは止め処なく血が流れ落ちる。
「師匠!!」
片目の視界を失いながら赤精は押印を消していく。
押印の数と威力で刀身がバキリと折れる。
最後の一つを消し終え、彼は大地に倒れこんだ。
不安そうな顔で紫苑は雲中子の洞穴に足を運んだ。
「おや、赤精のところの…」
「雲中子さま、師匠は」
「大丈夫。悪い人相がますます悪くなったくらいであとはなんともないから」
「……よかった……」
くしゃくしゃと雲中子も紫苑を撫でる。
「さっさと持って帰ってもらえると助かるな。可愛い子ならまだしもあの赤精の面倒を見るのはちょっとね」
「おー、んじゃ帰らせてもらうぜ」
「師匠」
「俺もオメーの不味い飯はもう勘弁。紫苑の飯のほうが治りが早いに決まってる」
やれやれと雲中子は二人を見送った。
赤精の皮肉にも嫌味にも紫苑は動じない。
どんな日にも笑っているのだ。
「紫苑」
「はい」
「無理して笑うな……泣きてぇときは泣け」
「…師匠……」
少し後ろを歩いていた紫苑が、赤精の袂を掴む。
それは外見相応に子供で、弱々しい姿。
「酷ぇお袋さんだな。オメーみてーないい子供そうそう居ねぇのにな」
並んで歩く影が二つ。
沈み行く太陽は、二人を赤く染めていた。
左のこめかみの辺りから眉下。瞼を通り抜けて、鼻筋に。
番天印の傷は数本赤精の顔に痕跡を残した。
鏡に映る自分の顔に赤精は苦笑いを噛み砕いた。
「太乙になんかつくってもらうしかないっか…」
いつも通りに髪を結い上げる。
組紐で縛って、道衣を羽織り、鍜治場へと向かう。
昼過ぎに紫苑が昼食を手に顔を出した。
「師匠、大丈夫ですか?」
「ん、あー……心配スンナ。こんなのは平気だ」
「すいません…紫苑の力が足りないばかりに……」
純粋な子供は自分を責める。
「んじゃあよ、紫苑…俺の傷が治るまでここに残れ。その間に強くなりゃあいいんだ」
「師匠……」
「俺はオメーの飯が好きだからな。オメーさえ良けりゃずっとここに居ろ」
大きな目を見開いて紫苑は赤精を見つめた。
「なんか文句あんのか?」
「いいえ、ないです。師匠」
太陽に咲く向日葵のように紫苑は笑った。
数え切れない年月を得て、一緒に居ることが当たり前になってきていた。
外見とは裏腹に紫苑は少しずつだが仙女としての風格を帯び始める。
仙人としての資格も取得したが紫苑は赤精の元を離れることはなかった。
何度か赤精も説得はしたが首を縦に振ることはない。
「師匠、お茶が入りました」
「あ、うん。なぁ、紫苑」
「はい」
「ケジメ付けて、一緒になるか?俺はオメーの飯が好きだし」
「…師匠……」
「仙道同士が一緒になっちゃ悪ぃってこともないからな。そうするか」
はははと赤精が笑う。
「なんか……文句あっか?」
「いいえ、ないです」
絶えず自分の居場所を探して、仮面を被り続けた日々を彼は知っていた。
ならばせめて安住できる場所を作ってやろうと思ったのだ。
偽ることなく、心から笑えるように。
彼女を縛るものはもう無い。彼女を忌み嫌った女は土に還った。
翌日原始天尊に赤精は紫苑との婚姻の申請をした。
皮肉屋の赤精が真摯に言葉を紡ぎだすのを見て原始天尊はそれを受理した。
こうして二人は正式な夫婦になったのである。
「さて、どこまで我慢できるよ、俺」
赤精は自問自答を繰り返す。
今まで意識することも無かったが紫苑も女である。
それが婚姻を結んでからというもの頭の中を回り続けていた。
今までと変わりなく、紫苑は自室で生活をしている。
赤精一人がヤキモキしているのだが、それとなく紫苑も彼の気持ちを察してはいた。
「師匠」
「んあ?どうした紫苑」
「一緒に寝てもいいですか?」
自分の枕を抱えて紫苑は寝台に上がりこみ、赤精の懐にもぐりこむ。
安心しきって眠る姿を見て、赤精は自分の自制心の崩壊が近いことを感じていた。
(これって蛇の生殺しっていわねーか……)
一週間耐え抜いた。十日目の夜を越した。十六夜の月を眠る紫苑を抱きながら一人で見た。
星も無い新月の晩、彼は自分の限界と浅ましさを知った。
幼い身体を思うように抱いた。
彼女は抵抗することも無く、男を受け入れた。
剣が鞘に納まるように、身体を重ねた。
月も星も無い闇の中、彼女は声を上げて鳴いた。
「どうかなさいましたか?」
赤精の胸に耳を当てたまま、紫苑は囁いた。
紫苑を自分の上に乗せ、赤精はぼんやりと昔のことを思い出す。
「んーや、オメーと一緒になって百年くらいたったかなーとか思ってた」
「それくらいですね……」
「いいオンナになったな」
今宵は新月。明かりの無い夜。
「…あ……」
己の身体を跨がせて、赤精は彼女を自分に沈めさせる。
幼い体は確実に女としての変貌を遂げていく。
「ん…はぁ……っ……」
狭い入り口を押し割って、入り込む男を少女は受け入れていく。
折れそうな腰を抱いて、上下するたびに紫苑は少し高い声で赤精の理性を崩壊させる歌を零す。
教え込まれたのは剣武の術だけではなく。
「やぁっ……!!…あっ…んん…!!」
白い肌に食い込む指。
紫苑は赤精の胸に手を置いて、崩れそうな自分の身体を支える。
腰と臀部を掴む手。
小さな手が頬に伸びて、男の鼻筋に唇を落とす。
そして、唇にも。
「…この傷は……消えないのですね……」
紫苑は小さく笑う。
「あん?どうした、紫苑」
「師匠の傷が治らなければ、ここに居ても良いんでしょう?だから……」
古傷に落ちる接吻は優しくて、皮肉屋の心をも簡単に解いてしまう。
幾重にも仮面を被っていたのは自分だ。
同じように居場所を求めるこの少女を見捨てることが出来なかった。
いや、同じ匂いがした。
まるで自分の半身のようで、目を離せなかった。
「きゃっ…!!あんっ!!」
揺さぶられて、濡れた身体が男を締め上げる。
口元を押さえる姿が扇情的で、自制心を捨てるには十分過ぎた。
「身体はガキでも、中身はそうでもねーよな……紫苑…」
ほんのりと染まった肌。
「いや、身体もガキじゃねぇか……」
子供特有の曲線の身体を無骨な手が這う。
最奥まで男を咥え込んで、目尻に涙を溜める姿は赤精で無くとも恐らくは心奪われるだろう。
禁忌なる行為と無垢なる者を染め上げる快感。
その味は、忘れることが出来ないくらいに甘美で。
「あああっ!!!やぁ…ん!!師…匠…っ!!」
幼い身体の腹の奥に、男は熱を放って果てた。
自分の上に折り重なる紫苑を抱きながら赤精は煙管を咥えて月の無い空を窓越しに見ていた。
自分が仙界入りしたのは家族への反発心から。
斜に構えた少年は母に疎まれて育った。
そして何の因果か同じような境遇のものを弟子として受けた。
「俺もオメーもの似たもの同士だな」
眠る妻の顔を撫でる。
「…ん……」
くすぐったそうに表情が和らぎ、寝息が聞こえる。
「起きてんだろ?」
「…ばれてました?」
うふふと笑って、身体を起こす。
髪を解いた赤精と紫苑はどこか似ている。
同じような風貌。いや、年月を得て夫婦として重ねた日々がそうさせたのかもしれない。
「紫苑、いつかガキでも出来たら縁側で茶でも飲むか?」
「……そうですね。師匠と紫苑の子供…どんなのかな…」
「…その風貌で孕んだら…それこそ十二仙から何言われっかわかんねーけどよ。んまぁ……いいか。
俺らは夫婦だからな。ガキが出来ても文句言われる筋合いはねーな」
紫苑の手が赤精の傷をなぞる。
「この傷が好きだと言ったら怒りますか?」
「怒るわけねーだろ……」
赤精は穏やかに笑って紫苑を抱きしめた。
「んじゃ行ってくるから。昼飯よろしく」
「はい、気をつけてくださいね、あなた」
「お……おう……」
陰陽鏡を手渡され、赤精はそれを受け取る。
(今何つった?あなた?それはそれで……)
いつものように小さな額に口付けて赤精は洞穴を後にする。
(ちょーっとだけ、いいかも……)
鼻歌交じりに鍜治場へと向かっていった。
「まぁ、ちょっとは憧れるよね。面白い二人だし」
「外見はあれだが、赤精には丁度良いかも知れんな」
「あれは妙に気難しいところもあるでのう」
女三人は人の家庭の話で盛り上がる。
「憧れるってよ、道徳」
「夫婦かぁ……俺もそのうち原始様に申請してみようかなぁ……」
すでに自分の世界に入り込んだ表情の道徳真君。
肘を突きながら上の空で妄想を描いている。
一人蚊帳の外、太乙真人は笑う道行を見つめた。
(想像できるだけいいよなぁ……想像すらつかないよ……)
ほんの少しだけの休日。
仙人界は今日もゆっくりと回っている。
こんな感じで太公望、普賢、道行の三人を番外編の話の語り部としてます。
そんな三人の次の標的は蝉モグラw
それが終わったら天化と道徳、雷震子と発の話と続いていく予定です。
それぞれの肉付けができたら趙公明にはいります。
しばし、女三人の世間話(?)にお付き合いしていただければ幸いです。
565 :
きじ:03/07/16 02:01 ID:dZ7VMsfP
遠くで、黒虎の嘶きが聞こえる。
「……何だ?」
「……謝っているのでしょう」
賈氏は、静かに答えた。もう一度、黒虎の嘶きが響く。
「あの時、蜂がいたのです。それで、驚いてしまったのですよ」
稗飯を口に運んでいく。呆れ果てた黄飛虎は、溜め息をついて椅子にもた
れた。たかが蜂一匹……。
謝った言葉を、賈氏が目覚めていない時に言って良かった、と少し思った。
「……とても優しい子。でもちょっとだけ、臆病」
口元を隠しながら笑う。何が可笑しい、と黄飛虎が問うと、言えません、
と言った。言え、と黄飛虎が寝台に手をついて、賈氏を覗き込んだ。
「飛虎と、おんなじ」
566 :
きじ:03/07/16 02:02 ID:dZ7VMsfP
こめかみの辺りが、痙攣を起こした。
寝台に置かれた手を握り締める。ふつふつと湧き上がってくる衝動。
黒虎に跨り、幼い頃から戦の中を突っ切ってきた。臆した兵士達を鼓舞
し、喉が裂けんばかりに叫んだ。刃を恐れず、自分を信じて。
賈氏はそっと箸を盆に置き、黄飛虎の拳に手を重ねた。
「私が傷つくのが、恐ろしいのでしょう?」
寂しそうに、笑う。
「必要でないなら殺して下さいませ。意味のない情けなど不要です。私は、
黄飛虎の妻です。傷も、死も、捧げたのです」
「何を……」
「愛してもいないのに、と?……愚問です。あなたは……」
そっと、黄飛虎の頬を撫でる。
「強くて、寂しがりの優しい人なんです
567 :
きじ:03/07/16 02:09 ID:dZ7VMsfP
もの」
大きく開いた賈氏の瞳に、見つめている黄飛虎自身が映りこんだ。この女
は、俺よりも強い。
傷のついた唇に唇を重ねる。軽く。
そっと、長い黒髪を梳くと、するすると指をくすぐる。
「賈氏。……俺と共に、死ねるか?」
「……もとより。飛虎と共に」
このつながりは、恐ろしい。そう黄飛虎は思った。
568 :
きじ:03/07/16 02:10 ID:dZ7VMsfP
数日後、黄飛虎の家に聞仲が重臣を連れ、門まで出向いた。
「もう少し早くに出向きたかったが、なかなかそうはいかぬ」
「はっはっは、気にすんな。ま、やわな女じゃあねえ。何て言っても、俺の嫁に
なった女なのだからな」
重臣達を玄関に残し、聞仲は黄飛虎に連れられて賈氏の寝室へいく。
「奥方殿は、大事ないか?」
「最近は飯も食うし。かってに散歩に行く始末さ」
「それなら良いのだが……」
ふと、聞仲が足を止める。
「お前、子はどうした?」
黄飛虎の顔が、少し曇る。へへ、と苦笑いをすると、聞仲は大きくため息をついた。
「俺が言うのもなんだが、長引かせてはややこしくなるのではないか?お前のことだ、
可哀想だと思っているのだろう?」
「……」
「子が男ならば、おそらく剣を握り、戦に向かうだろう……」
聞仲、と言葉を遮る。
「俺は、子を護れる自信がねえ。出来ることなら、あいつを、悲しませたくない」
「飛虎」
「……まあ、こっちの問題だ。気にすんな」
569 :
きじ:03/07/16 23:47 ID:+HDokZ/j
聞仲は賈氏の寝室前で立ち止まる。
いきなり入っては失礼だ、と言った。
黄飛虎が入ると、賈氏は寝台の上でうとうとと眠っている。肌の傷はすっかり癒え、
元の白い肌をしていた。
睫毛が振れる。
ゆっくりと瞼が開き、黄飛虎を捉えた。
「……飛虎?」
「おう。実は聞仲が来てな。……見舞いっつーことで」
え?と賈氏は、ぼんやりと聞き返した。
「一応、個人的にってことでな。公務はおおかた片付けてきたってよ」
「だめです」
「へ?」
「早くお帰りにならなければ。飛虎、喃をこれへ、……着替えねば」
賈氏は寝台から降り、着物を探し出す。
「早くお帰りになって。何故家に入れたのです」
570 :
きじ:03/07/16 23:48 ID:+HDokZ/j
喃はおろおろしていたが、賈氏に一喝され、慌てて腰紐を取ってきた。
簡単に身を整えると、賈氏はふらつく足で扉を開け、聞仲の前に膝をついた。
「……奥方殿?」
「我が不始末、お許し下さいませ」
顔を上げる。
「臣下の怪我一つで太師が出向くなど、黄家の恥でございます。どうぞ、お帰り
願います。」
黄飛虎は、賈氏の様子に言葉を失った。
「民は、それをなんと見るでしょう。禁城は臣下一人に動揺する、と噂するやも知
れませぬ。私の不始末で朝歌が揺るぐなど、万死に値することでございます」
しん、と静まり返る部屋に、凛とした賈氏の声が響く。
まっすぐに聞仲を捉える双眸に、うっすらと光るものがあった。聞仲はその瞳を、
おのの瞳に移しこむ。澄み切った水、そして触れれば断ち切ってしまうような剣を
思わせる。
ふと、別の影が重なる。
571 :
きじ:03/07/16 23:49 ID:+HDokZ/j
賈氏はつと立ち上がり、黄飛虎の前に立った。顔を歪ませず、だが、隠さんとす
る心の軋みは、男を震え上がらせるには十分だった。
華奢な手が舞い、頬を打つ。
「父に対して、黄家に対して、これを恥だと思わずにおれるのですか?!
あなたは……、あなたは……」
一筋、頬を涙が伝った。
「賈氏……」
聞仲は、くるりと向き直り、部屋を出て行った。
少しだけ、笑みを浮かべて。
飛虎の妻でなければ、惚れていたかも知れぬ。
572 :
きじ:03/07/17 00:21 ID:uHSIaG8n
数日、賈氏は黄飛虎と別離をして過ごした。
喃が二人を取り繕おうとも、賈氏は折れなかった。黄飛虎は仕方なく、ひっそり
と離れの部屋で普段を過ごした。禁城の聞仲の元へ向かうことも多くなった。
「まだ奥方殿は許さんのか?」
「あんな頑固者とは思わんかったよ。閉じこもったまま、顔も合わせん。 ……冗
談じゃねえよ。やれやれ……」
文書の束の上に凭れ、黄飛虎は溜め息をついた。それと向き合うように座る聞仲
といえば、茶をすすりながら鼻で笑っていた。
「まあ、俺のせいでもあるがな」
「なあ聞仲よ、俺はどうすりゃいいんだ?」
茶を卓に置き、聞仲は窓を見やった。雲雀が、空を舞っていた。
「知らん」
「お前なあ!」
「ならば聞くが、お前は奥方殿をどう考えている?」
う、と呻いた。聞仲が横目で睨むと、しおれたように俯いている。
573 :
きじ:03/07/17 00:23 ID:uHSIaG8n
「飛虎よ。 ……お前は『男』であるが、『父』ではない。この意味が分かるか?」
黄飛虎は、首をかしげた。
「お前は、家長となるのだろう? ……覚悟はあるのか?」
「……そりゃあ」
「ならば、奥方殿を抱けるか?」
「なっ……そ、それは違うだろうが!」
「違わん!!」
空気の圧力が、黄飛虎を擦り抜けていった。皮膚が、痺れるような気迫。
「……子も護れぬ男が、家を支えられるものか。お前は、自分だけを護ればいいの
だと思ってはいまいか?」
「俺には護るものがある。犠牲もあった。 ……だが、逃げぬと誓った」
黄飛虎は、俯いたまま。
「逃げるな。 ……共に死ぬる覚悟があるのだろう? 誓ったのだろう?」
「俺は……」
す、と顔を上げた。
瞳は、澄んでいた。
「迷うな、信じたままを行け」
574 :
きじ:03/07/17 00:56 ID:uHSIaG8n
黄飛虎は黒虎にまたがり、首を叩いた。あいつの元へ。すぐに。
黒虎に通じたのか、その脚は速かった。周囲など歪んでしまうと思う程。
昼を過ぎたころ、家には着いた。
黒虎を降り、庭にいた喃を見つけて賈氏は部屋か、と怒鳴った。
「部屋で、お休みになっておられますが……」
ですが……と口篭もる。
「誰も部屋に近づけるなよ、誰もだぞ!」
一瞬驚いた表情をしたが、頬を赤らめて頭を下げた。
575 :
きじ:03/07/17 00:57 ID:uHSIaG8n
ばたばたと走り、朱塗りの扉を開けようとする。だが、何かがつっかえているの
か、動かない。
「賈氏、開けろ」
無言。
「俺が悪かった。だから開けろ」
無言。
「おい、いつまでふくれてんだ!開けやがれ!」
「何か御用ですか?」
ちょっと黙り、言った。
「話がしたい」
私、眠たいのです。と言った。
「顔が見たいのだが」
私は見たくありません。
「……、手が握りたい」
私の手が折れてしまいます。
576 :
きじ:03/07/17 00:57 ID:uHSIaG8n
くそう、と悪態をついた。
「お、お前を、今すぐ抱きたい!!」
くそう、眩暈がする。身体の奥がひどく軋む。喉がからからだ。
「……だめか?」
扉が、ひとりでに開いた。隙間から、微笑む賈氏の顔が覗く。
「湯に入ったらどうです?……飛虎」
その微笑みは、してやった、と言わんばかりの笑みだった。まるで、賈氏の策略
にも思える。
敢えて考えるのを止めた。
577 :
きじ:03/07/17 02:39 ID:uHSIaG8n
喃は、湯の用意をしていた。
汗を流しましょう、と言って女達はくすくすと笑う。これから先、女達には頭が
上がらなくなるな、と黄飛虎は思った。
さっと湯を浴び、新しい着物に袖を通す。ふわり、と賈氏の匂いがした。
すると、喃が手紙やら、書簡の束を持って来た。どうしましょう?と。
「そんなものは、後でいい」
「……夕餉も、後にいたしましょう」
ふふ、と含んだ笑みを浮かべる。好きにしてくれ、と呟いて溜め息をついた。
何もかもが、褪せていく。
視界は狭まり、身体の自由を奪われる。心は、飛んでいってしまったのか?
578 :
きじ:03/07/17 02:40 ID:uHSIaG8n
部屋は、障子から漏れる日の光だけしかなく、逆光にいる賈氏は、その小さな影
だけしか分からない。部屋に香を焚いたのか、眩むような甘い匂いが立ち込めている。
黄飛虎は、己の感覚が支配される感にとらわれた。
触れる肌の滑らかさ。
「飛虎」
その声しか聞こえない。それしか見えない。
その唇が、溶け合うように。
579 :
きじ:03/07/17 02:41 ID:uHSIaG8n
乳房に触れると、少しだけ眉が歪んだ。朱を引いた唇から、溜め息が漏れる。口
をつけると、びくりと身体を震わせる。
「飛虎……」
首にしがみつこうともがき、のけぞる。
そっと、奥に触れる。 ……ぴたり、と吸い付くようだった。壊れぬように進入
させると、指が熱いほどの熱に包まれる。つ、つ、と軋ませると、賈氏の手が、何
かにすがろうと彷徨った。
「ううっ……はぁっ……」
少し躊躇い、手を引っ込める。
賈氏は震える手を伸ばし、黄飛虎の腕を掴んだ。
「……どうした?」
悲しそうな顔をする。
おや?と思い、黄飛虎が抱きかかえると、胸の辺りに頬を寄せた。ああ、と黄飛
虎はその頭を撫でた。
ちゃんと抱き締めたことなど、今まで無かったのだから。
580 :
きじ:03/07/17 02:41 ID:uHSIaG8n
賈氏の腰を支え、『それ』をあてがう。
飛虎、と賈氏が囁いた。
「あなたが……欲しい」
きゅっとしがみついてくる。
「……お前が、欲しい」
あざ黒い肌に重なる、透き通る白。
ゆっくりと飲み込まれていく。
「ああっ!」
痛みからか、黄飛虎の背に爪を立て、叫んだ。それでも、黄飛虎は止めなかった。
「……くっ」
「はあっ……飛虎……!」
繋がり、溶け合う。
「……賈……氏」
身体を重ねれば、情が移る。
だが、身体を重ねずとも、情は移っていただけのこと。
このつながりは、恐ろしい。
波は、二人を包んだ。
KINOさんキタ━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━!!!
紫苑可愛いっすよ!なかなか手を出せない赤精も(・∀・)イイ!
キャラにも萌え、エロにも萌え。美味しすぎまつた。
蝉モグラ(w、今から楽しみです!
そしてきじさんもキタ━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━!!!
キャラしっかり掴んでてマンガの小説版読んでるみたいです。
扉越しのやりとりに萌え。隅々までイイです!
582 :
きじ:03/07/17 23:26 ID:rBeQotYk
月日は、ものを変えていく。
戦の前に女に触れると、負けると言われていた。
だが黄飛虎は賈氏を抱いた。
子は増え、護るものが、増えた。
失うものもあった。だが、それでも傍にいる賈氏に、救われた。
だのに……。
櫛を懐に戻し、一気に酒を煽る。
「……くそう」
酒に逃げるとは情けない、恥を知りなさい。
「……?」
裳が、目の前で揺れた気がした。柔らかな香の匂い。
からん、と杯が乾いた音を立てた。
黄飛虎の脇に佇む、女。ゆっくりと微笑み、呆けた唇に唇を這わせる。
「あなたの、傍にいます……」
583 :
きじ:03/07/17 23:27 ID:rBeQotYk
「賈氏!」
誰も、いない。
「……酔ったか?」
顔に手を当て、溜め息をつく。ぽつり、と雫が着物に落ち、黒いシミ
をつくった。弱くてもいい。情けなくてもいい。涙を垂れ流し、あらん
限りの声で叫んでやる。
戻って来い。
お前が欲しい。
お前が抱きたい。もう一度だけ、幻が見たい……。
日が昇れば、棍を携えて向かうだろう。
その刻までは、涙を流していたい……。
584 :
きじ:03/07/17 23:36 ID:rBeQotYk
長々と書かせていただきました。 ちょっとあとがき風味で。
>侍女の女
私的には、侍女の中でも偉い感じの人間として書きました。
賈氏のお守り役みたいになってしまいました(汗)。
>馬
飛虎は馬に乗るだろう。(武将ですから)→おっとりした馬に乗るか?
→暴れ馬決定→馬ぐらいいるはず
なんか出しちゃいました。無理やりでスマソ。
オリジナルっぽくなってしまいました。嫌いな方は本当にごめんなさい。
585 :
きじ:03/07/17 23:37 ID:rBeQotYk
やっぱりエロなかった……(爆)。
586 :
519:03/07/17 23:59 ID:q1RjtzJl
あぁ〜、KINOさんもきじさんも素敵です〜。
KINOさんの紫苑はかわいいし〜。
なんか「縁側でお茶」のあたり、ほのぼのって感じでいいですね〜
好きです、こういうの。
きじさんの話も・・・うぅ、泣けました!
ええ、ラストが、ラストが・・・っ!!
すごいです、切ないです〜〜っ!!
587 :
519:03/07/18 00:00 ID:SShHcLHK
え〜…それでは、神々の後にこんな駄作申し訳無いのですが。
最初の人ネタを投下させて頂きます。
その前に、基本設定と注意事項をば。
・ジョカの『禍』の字が違いますが、意図的ですので。
(いや、カタカナだとどうも雰囲気が…と思ったので似た漢字を…)
・伏羲と女禍は夫婦です。あまり意味は無いですが。
・神農は女です。現実は無視して。
・人型に脳内変換してます。
・当方、エロ初心者っす。
588 :
519:03/07/18 00:01 ID:SShHcLHK
女禍は常に自らを中心だと考える。
そして、それが当然であることを周囲にも強要する。
心底うんざりしていたのだ。その事に。
たとえその女禍が、妻であり、実の妹であったとしても。
地球に降り立った時に女禍が口にしたこと。
この星を滅ぼし、故郷の星を再び作り上げると。
馬鹿げていると思った。
そのようなことに、何の意味があるのか。
どこまで無意味な行為を繰り返せば気が済むというのか。
吐き気がするほどの嫌悪を感じる―――あまりにも、自身に似過ぎていて。
だからなのかもしれない。
女禍を封印することに微塵の躊躇も覚えなかったのは。
殺せるものなら殺してもいい。そこまで考えていたのだ。
そうすることで、己自身の抱える闇も封じられると、そう思えたのだ。
それに。
隣に立つ彼女が、泣いていたのだ。
それだけでも、十分な理由になりえたのかもしれない。
589 :
519:03/07/18 00:04 ID:SShHcLHK
何故、このようなことになったのだろう。
何が間違っていたのだろう。
繰り返される自問。
けれども、答えは出ない。
誰に聞いても、きっと答えなど出ないのだろう。
この世界を破壊すると言いきった女禍。
彼女を止めるには、封印するしかなかった。
涙が、止まらなかった。
何故、女禍はわかってくれないのだろう。
何故、他に彼女を止める手立てを知らないのだろう。
何故、伏羲は顔色一つ変えないのだろう。
何もかもがわからなくて、涙が止まらなかった。
しかし。
何より厭わしかったのは、
女禍を封印して心の何処かで安堵し、喜んでいた自分の本心だった―――
590 :
519:03/07/18 00:06 ID:SShHcLHK
荒れ果てた大地。
それはどこか、消滅した故郷の星を思い起こさせる。
元あったはずの緑は、女禍の力によって消えてなくなっていた。
そこに4つの人影。
しかしやがて、そのうちの二人は、この星の生物、鉱物と同化し、消える。
後に残されたのは、二つの人影。
「――…本当に、一人で…大丈夫、なの…?」
その言葉に、伏羲は頷くしかない。
でなければ、神農は自分も残ると言い出しかねない。
そんなことは不可能だと、わかっているのに。
自分たちの強大な力は、何もしなくともこの星に害を成す。
何より女禍の一件は、彼女には負担がかかりすぎたのだ。
女禍を封印するために力を使い果たし。
同郷の仲間を封印してしまった後ろめたさから、精神的にも負担を抱え。
ただでさえ故郷を失って参っていた神農に、決定的なダメージとなったのだ。
腰に届くほどに長い栗色の髪が、風になびき。
病的なまでに白い肌が、余計に神農を儚げに見せている。
彼女自身は気丈に振舞おうとしてはいるが、
傍から見れば、今にも倒れかねない状態なのは明らかであった。
>きじさんキタキタキタ━━━━(Д゚(Д゚(Д゚(Д゚(○=(゚∀゚)=○)Д゚)Д゚)Д゚)Д゚)━━━━!!!
そう、この夫婦ってこんな感じのはず。
KINOの黄夫婦がずれて(ry
賈氏……いいなぁ。儚げな人って好きです。
>581さん、
どうもです〆(゚▽゚*)まぁ、投下したからやっちまった自分…とか思ってました。
漫画板の過去ログも読んでみたんですが、あくまで自分なら…で書いてしまいました。
ロリ好きなんです。個人的に。
腰より少しくらい上までの身長のカップルが大好きなんです…(*´Д`*)
壊れ気味、自分。
蝉モグラ、投下させていただきます。
592 :
519:03/07/18 00:07 ID:SShHcLHK
「――…ごめんね…本当に……ごめん、なさい……」
何を謝ることがあるのかと、伏羲は眉をひそめた。
神農の胸中は如何なものであったのか。
伏羲を一人残してしまうこと。
後の始末をすべて押し付けてしまうこと。
そして――女禍の封印に、喜んでしまったこと。
謝り尽くしても足りない気さえした。
これからこの星の大地と融合しようとしている自分が、ひどく卑怯な存在に思えたのだ。
堪えきれず、神農の瞳から涙が零れ落ちた。
泣いてもどうしようもない。
そうわかっていてもなお、止めようと思えば思うほどに、堰を切ったように涙が溢れてくる。
そんな神農を、伏羲は無言のまま見つめていた。
うあ、519さんが投下なさってる(゚∀゚ )!!
なのでちと退散。
594 :
519:03/07/18 00:09 ID:SShHcLHK
――よく泣く女だ。
泣き出した神農を見て、幾度目になるかわからない感想を伏羲は抱いた。
故郷の星にいた頃、周囲の者は揃って「神農はいつも笑顔でいてくれる」と言っていた。
が、伏羲にとっては違っていた。
彼の前にいる時の神農は、笑ったり怒ったりとくるくると表情を変え――そして、よく泣いていた。
誰の前でも泣かないはずの神農。
それが何故、伏羲の前でだけは泣くのか。
そんなことを考えたことはなかった。
ただ、それがひどく特別なことのように思えたのは確かだ。
少なくとも伏羲にとって、神農は特別な存在となっていた。
泣き続ける神農を、伏羲は無言のまま引き寄せる。
そして、その大きな瞳から、涙をぬぐってやる。
そのまま、更に引き寄せ――口吻けた。
泣いている神農をあやすかのように抱くのは、
伏羲にとってはもはや狂おしいまでに望む行為であった。
たとえそれが幾度となく繰り返されようとも、決して飽きることのない……
595 :
519:03/07/18 00:13 ID:SShHcLHK
と、とりあえず今回ここまでです。
こんなわけのわからないものを投下してすみません....
次はエロ入るんだろうな、と思いつつ。
自分に書けるのかどうか大いに謎。
それになにより。
投下中にKINOさんを挟んでしまったことが鬱。
あぁぅ、すみません〜……
596 :
きじ:03/07/18 00:16 ID:+KTfvtSB
おおう、文学っぽくてかっこええ。
かむばって下さいまし。
>KINOさま
KINOさんの賈氏も好きです〜。かっこいい女のしとは好きです。
マンガに合ってるのはKINOさんの方じゃないっすかね?
修行が足りないっす。精進。
>519さん、
はげしく続きキボン!!!
こちらこそなんも考えずに割り込んでしまって。・゚・(ノД`)・゚・。
KINOも最後まで書いてみたいな〜とコミックス読みながら色々考えてます。
弟妹もの書きたいし。
えーと、蝉モグラともう一組(?)、投下させていただきます
異説封神演義
〜〜〜〜押しかけ女房〜〜〜〜
「のう、普賢……おぬしに聞きたいことあるのだが」
「どうしたの?望ちゃん」
「普賢は道徳と一緒になりたいと思ったことはあるか?」
あまりにも単刀直入な太公望の言葉に道徳は飲んでいた茶で咳き込む。
「そうだねぇ……どうだろう」
追い討ちを掛けるような言葉に沈み込み、目も当てられない。
流石の道行と太乙も気の毒そうに道徳を見つめた。
「実はのう……」
太公望は少し困ったように言葉を発した。
いつものように忙しく太公望は軍師として動いていた。
「太公望〜〜〜〜」
「蝉玉、そう騒ぐでない。わしはこれから軍議があるのだ」
「ハニーったら酷いのよ!あたしのことをアホ女とか言うの!!」
こうなった蝉玉を止められるものはいない。
仕方ないと太公望は自室に蝉玉を招きいれた。
出された茶と菓子に手をつけながら蝉玉は土行孫のことを話す。
「ふぅむ……仲睦まじいのは良いのだがおぬしの場合は近視的な思いもあるよのう」
「近視的?どういうことよ」
太公望は至極穏やかな声で蝉玉に言う。
「まぁ、よい。後でわしが聞いてみるよ」
「ねぇ……質問してもいい?」
「なんじゃ?」
「その……ね、初めてのときって……やっぱ、痛い?」
一瞬で太公望の顔が真っ赤になる。
「な、なにを言うか」
「だってこんなこと太公望にしか聞けないじゃない」
周にいる道士は自分と蝉玉を除いては皆男ばかり。
当然相談できる相手も限られてくる。
「ね、ね、相手って誰だったの?やっぱしヨウゼン?それとも武王?大穴で天化?」
落ち着きを取り戻すために太公望は湯飲みに口をつけた。
蝉玉は興味津々と見つめてくる。
「……その中にはおらん。わしの初体験の相手が誰であろうといいではないか」
「じゃあ、話戻すけれども……痛かった……?」
蝉玉も年頃の少女である。
頬を染めながら太公望の答を待っていた。
「ああ、痛みはあったよ」
思えば、それが全ての始まりだったのかもしれない。
自分の身体が女だということを知らしめられた。
「蝉玉。習うより慣れろというであろう?」
「なんか意味深ね〜。ハニーがあたしのこと見てくれないと始まらないのよね……」
しゅんとしてため息をつく。
「こういうことを知っておるか?」
人間は極限の環境に追いやられた時、誰かに縋りつこうとする。
それを恋愛感情と取り違えるほどに。
戦いの中で生まれた恋は、成就することは少ない。
「じゃああたしの気持ちは勘違いだって言うの!?」
「まぁ、その可能性は否めん」
「だったら、あたしは死ぬまで勘違いしたままでいい!!ハニーはあたしにとって運命の人なんだから!
だから、だから……」
泣き出す蝉玉をみて太公望は困り果てた。
そんなつもりで言った訳ではなかった。
「蝉玉、もし一般論としておぬしの気持ちが勘違いならば……わしのところにはこなかったであろう?」
この道士は女であることを捨てることを求められた女性(ひと)。
「わしにもおぬしのような情熱があったなら……」
零れそうな涙を振り切るために太公望は空を仰ぐ。
振り返ってはいけない。
優しい重いでは足元を掬うには十分すぎるから。
今はまだ……立ち止まることは許されない。
「よし、おぬしの友人として一肌脱ごう。わしがあやつに話をつけてみるよ」
「太公望……」
「わしとて…女だからのう。蝉玉」
悪戯っぽく片目を閉じる太公望に蝉玉も笑った。
草むらにだらりと寝転がる土行孫の隣に座り込む。
「隣は空いておるか?」
「お、おう。あんた誰だよ」
黒髪は風に靡き、彼女を彩る。いつもの道衣ではなく真っ白な街着。
「わしじゃ。太公望じゃよ」
頭布に道衣。手には打神鞭の姿しか知らない土行孫は言われてまじまじと太公望の顔を見つめた。
隣に腰を下ろして太公望は横座り。
「あんた……随分と違った顔に見えるぞ」
「ああ、普段からこれではおぬしらに示しがつかんからのう。今日は軍師は休みじゃからな」
見とれる土行孫。
蝉玉が見たらこれはこれで新たな火種を生みそうだ。
「のう、おぬしは蝉玉をどう思うのだ?」
「……おいらは一人の女に縛られるのは趣味じゃねーんだ」
「まぁ……おぬしの気持ちも分かるがのう」
無償に寄せられる好意の暖かさ。
そして、苦しさ。
与えられるだけで応えられない愛は、心を縛り付ける。
「蝉玉のことは嫌いか?」
「そ…そんなことはねぇけどよ」
「なら、安心させてやれ。たった一言でいいのだ」
分かっている。
たった一言「好きだ」と言えば、良い。
それでも、その一言が重過ぎて、声は生まれずに飲み込まれていく。
他人に諭すこと出来ても己が動くことは出来ないこの矛盾。
彼女は自嘲気味に笑った。
「言わねば……分からぬのだ。思っていれば通じるというのは嘘だからのう」
「………」
「一度くらい格好つけてもよいのではないか?。それとも……意気地なしの男のレッテル張られたままでいいのなら別だが」
「………」
「見せてやれ、蝉玉に。おぬしの心意気」
言われて土行孫は身体を起こした。
「そうだな。あいつも黙ってると良い女なんだけどな」
「………」
太公望はただ、笑うばかり。
「あんたもそうしてるほうがいい女だ」
見送りながら手を振る。
姿が見えなくなったところで太公望も草むらにころんと寝転がった。
(意気地がないのはわしだ……)
片手で顔を覆う。
今のこの顔は誰にも見られたくない。
そんなことを考えてたらいつの間にか寝入っていたようだった。
「おはよう御座います、師叔」
同じように横になりながらヨウゼンが肩肘を突いて笑う。
「……もう昼間じゃ」
のろのろと身体を起こして目を擦る。
「何をしておる……わしは今日は休暇をもぎ取ったぞ」
「僕は仕事を終わらせてきました。なので自由時間です」
小さな欠伸を噛み殺して太公望は前に腕を伸ばす。
「可愛い寝顔だったので見とれていました」
「おぬしは歯の浮くようなことを臆面も無く言うのう」
「言わなければあなたには伝わりませんから」
言葉は優しくて、残酷。
あの人の言霊に今も縛られて動けないまま。
「よかったら少し街に出てみませんか?」
ヨウゼンは太公望の手を取り、街へと連れ出す。
通常、太公望は西岐城の自室に篭り街へ出ることはめったに無い。
軍師になる前はそうでもなかったのだが立場上職務に専念することも多くなった。
「僕も今日、明日は道士を休みます。あなたが軍師を休むのなら補佐の僕が動いても仕方ないですしね」
にこにこと笑いながら強引に街へと連れ出されその人込みに太公望は少し戸惑いを見せた。
戦争の最中、街はそんなことは尾首にも出さずに動いている。
商人は活気付き、娘たちはみな煌びやか。
「どうせならこうしませんか?」
自分の腕に太公望のそれを絡ませる。
おずおずと腕を組んだ太公望に歩幅をあせてヨウゼンは前に進む。
「師叔とこうして街にでるのは初めてですね」
「いつも空からしか見ることはないからのう」
くすくすと笑いながら太公望は辺りを見回す。
「今日はお互いに道士は休みです。ゆっくり見物していきましょう」
街は相変わらずに全てを飲み込んで素知らぬ振りをする。
この人の中に埋もれてしまえば自分たちが道士であることなど忘れてしまいそうだった。
「おぬしは目立つのう…娘たちがみな振り返る」
「そうですか?僕は師叔が見てくれればそれで良いですから」
同じように長く伸びた髪のこの男は無償の好意を与えてくれる。
それに甘えたいと思う自分。
甘えることに対しての恐怖。
堕ちてしまえば、どこまでも深みに嵌ってしまうのは明白だった。
たった一言。
それで何もかもが変わってしまう。
だから……その言葉を口にすることが出来ない。
「あなたも目立ちますよ。すれ違う男たちの視線を牽制するのも楽ではありません」
「そんなこともなかろうて。物好きなのはおぬしらだけで十分じゃ」
やれやれと首を振る。
この少女がこの国を動かす軍師だと風呂帰る男たちは誰も知りえない。
表舞台には極力でることを避けていることもあるが、太公望は己の力量全て見せようとはしないのだ。
「おや……?」
「ヨウゼン?」
ヨウゼンはしっ…っと唇に指を当てる。
目線の先には蝉玉と土行孫が並んで歩いていた。
いや、蝉玉に抱えられて連行されているというほうが正しいかもしれない。
「ハニー、今日はお祭りなのよ!」
「分かったから下ろせ!!」
「やーよ、下ろしたらハニーどっかいっちゃうでしょ?」
同じように髪を解いた蝉玉。どうやら彼女も自分の休日としているようだ。
騒ぎながら進み行く二人に分からないように後をつけていこうとかと提案するヨウゼンに太公望は笑いながら首を横に振った。
「心配は要らんよ。蝉玉には秘策を投じてある」
「秘策?」
「太乙特製の惚れ薬を持たせた。なんとかなろうて」
呆然とするヨウゼンにからからと笑う。
「なんでそんなもの持ってるんですか……?」
要らない想像が頭の中でぐるぐると回り、不必要なはずの嫉妬心が湧き上がる。
「頭痛薬と間違えて持ってきたのだ。まぁ、飲む前に気付いたからよかったのだが…」
(太乙さま……あなたを少しだけ尊敬しますよ……)
「全部渡したのですか?」
「二、三粒もあれば十分だろうて。皆まで飲ませそうだからな、蝉玉の場合は」
薬瓶に入った薄紅色の丸薬は、ころころと音を立てて瓶の中で揺れている。
「なら、試してみませんか?」
「何をだ?」
「その薬が……本当に効くかどうかを」
太公望の手から取り上げて、ヨウゼンは意味深に笑った。
「太乙さまの薬は失敗作も多いですからね」
「だからと言って……」
すかさずその口に一粒投げ込む。
「飲みましたね」
喉を通る感触に口元を押さえるが時既に遅し。
「ヨ…ヨウゼン〜〜〜〜〜っっ」
「さて、如何程の効果か見せていただきましょうかね」
「水飲んで……吐く!!!」
「逃がしませんよ」
後ろから抱きとめる。
「場所を移しましょうか。師叔」
そういうとヨウゼンは不敵に笑った。
人気のない小さな宿の一室。床に散らばるのは互いの衣服。
「っふ……」
何度も唇を重ねあって舌を絡ませる。
普段よりも積極的な太公望にヨウゼンは薬の効果を知る。
「やぁ…っ……」
濡れた入り口から体液を絡め取って乳首を擦る。
膝立ちにさせて肩口に噛み付いて首筋を舐め上げていく。
「ヨウゼン……その…一つだけ……」
耳元で小さく囁く。
その言葉にヨウゼンは肩眉を上げた。
「今のあなたは……ただの人間だったのですね。忘れていましたよ」
この身体で抱かれれば妊娠する恐れもある。
それは軍師としては避けなければならないことだった。
今、前線を離れるわけにはいかない。
「…だからっ……あんっ!!!」
耳朶を噛まれて力が抜ける。元々の弱点を責められて落城寸前。
「ああ……でも子供が出来れば彼らにはいい牽制になりますね」
「ヨウゼン!!」
「あなたの子なら可愛がれますよ」
くちゅくちゅと指が動くたびに音が零れる。
(これって惚れ薬じゃなくて……誘淫剤なんじゃ……)
膝で立っているのももう限界とばかりに身体が崩れた。
その身体を抱いて自分の上に乗せると濡れた秘所が腹筋に擦れて太公望が震える。
(今初めて感謝しますよ、太乙さま)
細い腰を掴んでその手を下げて小さく形の良い臀部を揉みしだいていく。
秘裂を軽くなぞり、濡れた指先で焦らすように内腿を撫でるとその指を追うように体液が腿を伝う。
「あっ……んん!!」
歯列を割って舌を捩じ込む。ヨウゼンの頭を押さえつけて啄ばむ様に唇を求めた。
軽く入り口を摩っては離れる指。
「や……ん……っ…」
涙目で潤まれてその目に囚われる。
この状態で理性が保てる男が居るならば尊敬に値するだろう。
「…師叔……どうして欲しいんですか……?」
耳に息を吹き掛けられて吐息が零れる。
「…っは……ぅ……」
触れるか触れないか、微妙なところでヨウゼンの指が踊った。
「師叔?」
男の首に抱きついて、耳元に口付けて女は小さく『意地悪』と呟く。
そしてその指先を男と同じように下げていった。
「どうして欲しいかは言ってもらわなければ……分かりませんよ……」
「んぅ……っ…ダメ……っ!!」
はぁはぁと荒い息が頬にかかる。
(いつもと言葉が違う……?)
太公望は意識して言葉を使う。蝉玉のように女であることを主張することは決してない。
一人称が「儂」であることもその表れ。
基本的に崑崙の仙女、道士は女であることを捨てることを義務とされていた。
「…師叔……」
先に根負けしたのは自分。
太公望の身体を組み敷いて一気に奥まで突き上げる。
「やぁんっ!!!!」
十分に濡れた身体は男を咥え込む。押し上げられる感覚に体が痺れた。
とろとろと流れた愛液が互いの腿に付着する。
膝を折って、身体をぴったりと絡めてきつく抱き合う。
「あっ…!!ダメっ!!!!」
力なくヨウゼンの胸を押し返す。
「本当に……駄目ですか……?」
震える身体を抱かれて、息が詰まる。
苦しいのは薬に任せた身体ではなくて、もっと柔らかい所で。
出来ることは小さく首を横に振ることだけ。
溜まった涙を払う指が、愛しくて。
だから……その手を取って接吻する。
「……ヨウゼン……」
首にぎゅっと掴まって太公望は耳元で囁いた。
「…師叔……?」
聞き取れないほど、小さな声。一瞬だけ、道士ではなく素のままの呂望に戻っての言葉だった。
表情から読み取るしか出来ないが、それは恐らく自分が望んだ言葉。
まるで祈るような気持ちでその言葉を思い浮かべる。
形の良い額に啄ばむように口付けると、それだけで腕の中の少女は吐息をこぼす。
「好きです……師叔……」
絡まったままその背中を抱いて。
答えることが出来ないから、目を伏せた。
満たされることのない思いが溢れ出して、泣きそうになる。
言葉にも出来ないのに。全て欲しくなってしまう。
「…答えは要りません……今は……」
腰を深くまで沈めて、一つになって、落ちていくなら一緒にどこまでも。
「ああああっ!!!!」
最後の声は唇に消された。
「だから何度も謝ってるじゃないですか……」
薬の効果が切れるまでにヨウゼンは太公望を抱いた。
少し膨れた顔でヨウゼンに背を向けている太公望の機嫌をとろうと彼はあれやこれやと必死だったb。
「……だからといって人を何だと思っておる!!」
二度目で身体は蕩けて、三度目で夢を見た。四度目で声は枯れて、五度目で意識を手放した。
「太乙さまにしては効果のある薬でしたね」
「…そうじゃ、蝉玉は……」
二人の目線が重なる。
「…まぁ、習うより慣れろと……」
「そ、そうですね……こればかりはそうとしか言えませんね……」
「まぁ、悪いようにはならんとは思うが……」
悩みだす太公望の姿にヨウゼンは堪え切れずに笑い出す。
「なんじゃ、急に」
「だって……師叔、考えても仕方がないことじゃないですか」
「?」
「恋は盲目ですから」
太公望の手を取って自分の左胸に当てる。
心音がとくんとくんと何かを語り掛ける様。
「僕もそうですよ、師叔」
その言葉に真っ赤になって太公望は枕に顔を埋めた。
「った〜〜〜〜〜い!!!!!」
蝉玉は耐え切れずに声を上げる。
太公望から聞いてはいたがこれほどまでかと思う痛み。
女の身体は痛みに強いだなどというのは後世の勝手な男たちの言い分だろう。
首尾よく土行孫に薬を飲ませて宿に連れ込んだまでは良かった。
「ハニー……大好きよ」
自分の上に乗る男に蝉玉は抱きつく。
恋は盲目。
惚れたら最後、負けなのだ。
強がっても、武器を持っても恋という衝動はいとも簡単に全てを変えてしまう。
苦しくて、切なくて、胸が締め付けられる。
それでも恋をすることで女はなによりも強く、美しく在れるから。
「…ハニー、忘れないでね。あたしの運命の人はあなただけなのよ……」
涙目の蝉玉に土行孫も小さな声で『おいらもだ……』と答えた。
翌日、街中で二組はばったりと出会う。
「太公望〜〜〜〜!!!!」
「おお、蝉玉。上手くいったか?」
えへへ、と笑う蝉玉。
そして、自分の手首を太公望の前に突き出した。
「ハニーがくれたの!!あたし一生大事にするわ!!!」
ぴょんぴょんと土行孫を抱えながら蝉玉ははしゃいで飛び回る。
「ヨウゼン、気の利かない男は捨てられるわよ。太公望は倍率が高いからね〜」
「離せ、蝉玉!!!」
「や〜よぉ、あたしはハニーとずっと一緒に居るの!!」
どんな言葉を並べても。
彼女にとっての真実は彼だけだから。
「じゃあね〜!!また後であいましょ!!」
蝉玉を見送って二人は苦笑する。
「……捨てられないように、僕も何かしたいのですけどね」
「十分じゃよ。おぬしが傍に居てくれるだけで。わしにはおぬしが必要じゃ、ヨウゼン」
その言葉にヨウゼンは太公望の手を優しく握った。
「まぁ、わしには分からんことだからのう」
太公望は茶に口をつけて、ため息をつく。
その後の蝉玉の暴走振りは加速度を増し、毎日のように太公望のとことにあれやこれやと聞きにくるのだ。
普賢は桂華を一撮みして、碗に浮かべた。
「ん……でも、一緒に居たいって思う気持ちは分かるよ」
項垂れる道徳の手をきゅっと握る。
「ね、道徳」
「ふ、普賢〜〜〜〜」
こうなるとどちらが年長なのか分からない。
十二仙で一番真っ直ぐな男は見事に恋に落ちた。
彼の歴代の弟子たちも驚く程に。
恐らく本気で戦えば普賢と道徳は同等の強さであろう。
数値の上に置き換えればの話だが。
「普賢、おぬしも変わったのう」
「そう?望ちゃんもかわったでしょ」
普賢は道徳の指に自分のそれを静かに絡める。
「まぁ、恋は盲目と言うらしいからな」
太公望は『目も当てられんな』と笑う。
道行は『若い者はいいな』と呟く。
(ああ、盲目なのに……道行は私のことなんて気に掛けてくれない……)
太乙は苦々しい目で幸せそうに笑う道徳を睨むだけだった。
恋する気持ちは何よりも素敵な贈り物。
それが仙道であったとしても、何にもかえられることはないから。
以上です。
そして今度はバカップルwの話を。
書いてて楽しい道徳と普賢。
おそらくKINOの道徳はもっとも『情けない』道徳なのかもしれません…
道徳好きのみなさま、すいません……
615 :
きじ:03/07/18 00:34 ID:+KTfvtSB
KINOさんの小説って、女の人が優勢なのが多いですね。きじも同様です。
もしかしたら、同じ性別だったりして(笑)。深く書き込んでしまうと興ざめするんで書きませんが。
男っつーもんは弱いもんでございます。
なかなか藤竜風味に書けないです。
ネットで調べられるとこがあったら教えて下さりませ。
単行本は、闇の彼方へ消えてしまいますた……(涙)。
でなきゃきじは原作風味。よいですか?
>きじさん、
あはは。強く儚い者たちが好きですから。
KINOはSS書くときに一曲をエンドレスで流すのですが…普賢もの書くときはなぜか暗い。
某スレのエロコメの神に触発されたんで道徳と普賢でそんなんかけたら…とか思ってますが。
個人的に中国ものが好きでして、学生時代に読んだものの記憶からLASTエンペラーまで
混ざりまくってます〆(゚▽゚*)
いや、強い男好きですよ。それ以上にかっこ悪い、いい男を書きたいだけでw
617 :
きじ:03/07/18 00:56 ID:+KTfvtSB
きじも似たようなもんでしゅ。
中国文学万歳!かっこいい弱男ぐー。
今度は望を書きたいですなあ。誰にしようかな。
今度こそエロエロだあっ!
最近は神降臨続きで嬉しい限り(*´∀`)ハァハァ
職人の皆様、いつも楽しませてもらっています。マリガトウゴザイマス
そしてこんな時間に投下いきます。
道徳普賢の甘い話が書きたくて作ったやつです。
>きじさん、そう、情けなくていい男と強くて弱い女が好きなんですよ。
KINOも機会があったら男太公望の話でも…書けるだろうか?
エロエロ期待してます(゚∀゚)
>618さん、
ここメインに書かせてもらってるんで一本書くたびに投下。という具合です。
まだまだ先は長いのですが、お付き合いくださいです。
異説封神演義
〜〜〜道徳真君と普賢真人の昔話〜〜〜
聞仲の動きもなく、妲己も何も仕掛けてこない。
太公望も崑崙入りして、それを追う様に天化も崑崙に戻ってきていた。
折角だから師匠である道徳真君に顔でも出そうと慣れた道を歩いていく。
普段なら早朝からトレーニングしているはずの師匠の姿は無く、天化はその邸宅に足を入れる。
「コーチ俺っちには厳しくて自分には甘くなったさ?」
ぶつぶつと文句を言いながらそちらこちらの扉を開いていく。
だが、道徳真君の姿はどこにも無い。
「まだ寝てるな…あのおっさん……」
やれやれと呟いて、天化は道徳の部屋の扉に手を掛ける。
「コーチ!!俺っちにはあれだけ寝坊するなとか言ってどうゆうことさ!!」
その声に反応する人影。
「…誰……?」
まだ、眠り足りないのか目を擦りながら声の主は天化のほうを見やった。
その姿に天化の口から煙草が落ちる。
一糸纏わぬ柔肌に、点在する痕跡は夕べの名残。
形の良い胸と、その頂には可愛らしい乳首。
なだらかな腹部と括れた腰は目を奪う。
「…って…あーたこそ誰さ……?」
「……?……道徳、起きて……お客さんだよ…」
少女は傍で眠る男の身体を揺さぶる。
「…んぁ?」
「お客さん」
言われて道徳は半分寝ぼけながら身体を起こした。
「……コーチ、この人誰さ?」
「…てっ、天化!!??」
うろたえる道徳を無視して普賢真人は枕を抱いて夢の中。
「あああ、後で話すから一寸時間をくれ!!!!」
あわてて天化を部屋から追い出し、道徳は隣で眠る普賢を起こした。
「なぁに?」
「何じゃなくて、とりあえず起きてくれ」
弟子に痴態を晒しては十二仙の名折れである。
道徳はため息をつきながら己の詰めの甘さを呪った。
「…眠い……」
普段なら甘えさせていくらでも眠らせてやるところだが、今日だけはそうもいかない。
天化が探りを入れてくるのは火を見るよりも明らか。
「頼むから、起きてくれ」
「……どうしても駄目?」
困ったように上目で見られれば、男心が揺れる。
知ってか知らずか、普賢は道徳の心を翻弄すのが上手いのだ。
「え…っとその…普賢さん、お願いですから…その……」
ねだる様に小首を傾げる。
(あーもー、こんな時に来る天化が悪いんだっ!!!)
師匠たる威厳も、プライドもぼろぼろ状態で、道徳は身支度をする。
のろのろと身体を起こして、普賢もようやく道衣を纏い始めた。
まだ眠いのか、指先が覚束ない。
「ほら、手伝ってやるから」
「さっきの子、道徳の弟子だったの?」
「ああ、前にも話したと思うけども天化って言うんだ」
「ああ、望ちゃんにちょっかいだしてる子ね」
「はい!?」
普賢はさらっと言い放った。
客間で時間つぶしをしていた天化と道徳が顔をあわせたのは半刻ほど過ぎた頃。
天化はにやにやと笑いながら、煙草に火を点ける。
「コーチもやるさねぇ。可愛い人連れ込んで」
「天化……その普賢は一応十二仙の一人で……」
対極府印を手に普賢真人はにこにこと笑う。
「はじめまして、天化。ボクは普賢真人といいます」
噂に聞く普賢真人のあまりにも意外な姿に天化は驚きを隠せない。
齢百歳にもならずに仙人に昇格し、十二仙に名を連ねる才女。
それがこの少女だという。
「よろしくね」
差し出された手を取って天化は精一杯の笑顔を浮かべた。
(噂よりかずっと幼いさ……)
太公望も童顔だが、普賢真人はまたそれとは別である。
醸し出す香りが甘い。守りたいと思わせる媚薬を振りまいているようだ。
(コーチ、犯罪さね……)
「でもね、天化。いきなり人の寝室に何の断りもなしに入るのはよくないよ。君だって嫌でしょ?
望ちゃん抱いてる時に踏み込まれたら」
普賢の言葉に天化が咳き込む。
「望ちゃん、繊細だからどうなるかわかんないよ?」
「あ、あーた俺っちたちのことも知ってるさ!?」
「うん。ボクと望ちゃんは親友だからね」
普賢は三人分の茶器を並べる。
ほんのりと甘い香りの茶葉が香り立つ。おそらくは普賢の好みなのであろう。
どう考えても自分の師である道徳真君には結びつかない。
「望ちゃんは?」
「そろそろ来るとは思うさ」
普賢の指先を見ながら、天化はにやりと笑う。
「普賢さんって、顔に似合わず結構いい身体してるさね。こう…出るとこ出ててさ」
「そう?一応お礼言ったほうがいいのかな?」
これに面白くないのは当人の道徳である。
しかし、強く言えない状況であり、天化もそれを知っての発言だ。
「でも、望ちゃんだって似たようなもんでしょ?」
「師叔はなんつーか、もちっと違う。普賢さんは線が細いって感じさ」
噛みあっているのかそうでないのか微妙な会話に、道徳は頭痛を覚えた。
あれやこれやと二人の話は弾み、取り残されたような気分で二人を見る。
そうやって見れば、普賢も天化も容姿的な年齢は大差ないように見えた。
無論、太公望もである。
ただ、彼女たち二人は若くして崑崙の幹部や十二仙に付いた為に今までそのように見る機会が無かっただけなのだ。
(普賢も普通にしてれば子供だよな……)
自分の弟子と大差無い女。
その身体に溺れるの浅ましさを抱えながら、ため息をつく。
(理屈じゃないんだよな……俺ってもしかしなくても犯罪者か…?)
卓の上につっぷして道徳は目を閉じる。
普賢の声。
思い出してしまうのは夕べの彼女の声と自分しか知らない痴態。
(俺ってやつは……)
元来生真面目な性格の男である。己の鍛錬と修行を好み、曖昧な事を嫌う性格。
だが、普賢は違う。
白と黒の間の存在を認め、徹底した自己犠牲。
本来ならば道徳の好みには反する女である。
「道徳?どうしたの?どこか痛いの?」
「コーチ、どうしたさ?」
普賢の指が道徳の額に降りる。
「少し、熱いかも……」
「いや、大丈夫だから」
「大方やましいことでも考えおったのじゃろう」
先ほどとは違う声。
「望ちゃん」
「赤精のところに行ってきた。おぬしに頼まれたと言われたのだが」
太公望は紅布で包まれた刀を普賢に手渡す。丁寧に包まれ濃紺の組紐で飾られた美しさ。
十二仙の中でも刀作りにおいては随一の男赤精子。
「ああ、陰陽鏡のレプリカを頼んだんだ。スペアでもボクには荷が勝ちすぎるからね…
それよりも少しだけ威力の弱いものを」
普賢はそれを受け取り、一振りする。
光の輪が生まれ、それは共鳴しあうように幾重にも重なっていく。
「うん。いいみたい」
「それは俺の莫夜の宝剣みたいなものか?」
「ううん、それよりは弱いよ。でも……」
普賢は何の素振りも見せずにその剣先を天化の喉元に突きつけた。
動けない。いや、気配すら見せなかった普賢の動きを見ることが出来なかったのだ。
「悪い子を牽制するくらいにはなるでしょ?」
にこやかに笑い、陰陽鏡をしまう。
普賢真人はモクタクの師匠である。当然彼に剣術の手解きをしたのも彼女だった。
「まぁ、喧嘩するたびに核融合起こされるよりはいいか……」
「コーチ、結構命がけの恋してるさね……」
やれやれと天化は煙草に火を点けた。
結局その日の夜は道徳が普賢の洞穴に行き、天化と太公望は道徳の洞穴に泊まることとなった。
原始天尊の直弟子である太公望は当然ながら自室は教主殿にある。
さすがの天化でも教主の膝元でどうこうするほど不躾ではない。
結果、天化の自室のあるこちらに二人が落ち着くことになったのだ。
「師叔、普賢さんってちょっと変わってる」
「ああ、悪いやつではないぞ」
愛用の竹櫛で太公望は髪を梳いている。
「ってか俺っちの部屋まで綺麗にしてるし…」
「普賢は良妻賢母タイプだからのう。道徳には丁度いいではないか」
さらさらと落ちる髪に、天化は指を通す。
腰よりもほんの少しだけ短い黒髪は、時間の流れを現していた。
「長くなり過ぎた、明日普賢に切って貰おうかと思ってな」
名残を惜しむように、櫛は髪を滑る。
「嫌、俺っち長いほうが好き」
「このあたりまでじゃよ。邪魔でかなわん」
太公望は自分の胸のあたりを指した。
「それにあの料理も普賢さんが作ったさ?」
「だろうな。わしもよく誘われて普賢のところに通ったものだ」
「コーチは野菜そのまま出すしかなかったさ」
「なんとも道徳らしいのう……わしはなんで普賢があやつを選んだかの気になるが…」
顎先に手を置き、太公望はうろうろしながらあれこれ思案する。
普賢と道徳は基本的に噛み合わない様な性格である。
「一度、普賢と道徳が手合わせしているのを見たが…中々の見物だったぞ」
普賢は元々槍を使う女傑族の出身である。
同じように槍を愛用する道徳と十二仙に上がる前に対峙したことがあるのだ。
原始天尊の命で二人は真剣勝負をした。
それはか細い普賢からは想像もつかない動きと勢い。
さすがの道徳真君も本気を出さざるを得なかった。
どこかで『女だから……』と考えていた彼の気持ちを見抜いていたかのように彼女は彼の急所を攻める。
武具の扱いで彼に並ぶものは居ない。道徳真君は天才的な感覚を持ち合わせている。
それは彼の弟子たちにも受け継がれ、崑崙の優秀な戦士を何人も生み出してきた。
十二仙に着いてからも驕ることなく、修行を怠った日は一度とて無かった。
その道徳を相手に少女は果敢に挑む。恐れることも、引くことも無く。
しかし、実力はやはり道徳真君のほうが上だった。
普賢の槍を真向から叩き折り、勝者となった。
その時に普賢はたった一言『本気で当たってくれてありがとう』と笑った。
その時が二人の出逢いだった。
「普賢さんも師叔も、崑崙の女は皆強いさね。俺っち落ち込みそう……」
「天化、焦らずに進めばよい。おぬしには十分に強いではないか」
「そうかなぁ……」
天化の手を取り、そっとあわせる。
「わしは、この手が武器ではなく誰かを愛するためになればと……思うよ」
「師叔には俺っち一生かかっても勝てない気がするさ……強さとかじゃなくて」
天化は道徳と気性がどこか似ている。仙界入りして日は浅いが武器の扱いにかけては群を抜いていた。
同じように母性を強く持つものに惹かれるのかも知れない。
「今度普賢さんと手合わせしてみたいさ」
「強いぞ。普賢は」
「師叔よりも?」
「あやつは核融合という恐ろしい技を持っているからのう。道徳も生傷が絶えぬのも仕方あるまいて」
「……コーチ封神台にいかなきゃいーんだけどね……」
天化はそんなことを呟いて煙草に火を点けた。
飾り窓から入り込む月の光は道士であることを忘れさせてくれるようで心持ち優しくなれる力をくれる気がする。
香炉に火を落として普賢はのんびりと書物に目を通していた。
「そういえば僕、道徳の昔のことってあんまり知らないね」
風呂上りで少し濡れた髪を擦りながら道徳真君が振り向く。
「ん?俺のこと?」
「うん。どんな風に生きてきたのかなぁ……って」
ぱたんと書物を閉じて、掛けていた眼鏡を外す。
「十二仙になってからはどれくらい経つの?」
普賢にしては珍しく、そんなことを聞いてきた。
真向かいに座って道徳は普賢の手を取った。
「どこから話せば良い?」
「十二仙になってから……」
道徳真君が崑崙に入り約、千五百年。
彼が仙界入りした時は十二仙は約半数しか残っていなかった。
彼の師匠もその成長を見届けると静かに息を引き取り、その才能を認められ道徳も十二仙に名を連ねることになった。
彼は弟子の育成にも熱心だった。育てた弟子は数え切れない。そして皆、優秀な戦士である。
もちろん己の鍛錬も怠ることはなかった。師表たるものとしての意識、強さ。
修行以外には無頓着なところさえあった。
そして、振ってわいたような恋に彼は自分が人間であったことを痛感する。
自分に向かうその瞳に心奪われた。華麗に双槍を扱うその手に触れたかった。
そしてその相手が同じ十二仙になるとは誰が考えただろう。
まして……今、自分の傍にこうして微笑を浮かべているなんて……。
「前の大戦で十二仙も殆ど消えたしな。まあ、普賢が入って全員揃ったんだけども」
「どうして揃ったと思う?」
「え……?」
普賢の目が伏せられる。考え事をする時の癖。そんな些細なことが分かるようになって来ていた。
「先の大戦で十二仙は散ったんだよ……そして今また、同じことが起きようとしている」
戦力は一人でも多く必要だ。自分が十二仙に昇格したのも恐らくは先を見込んでのことだったのだろう。
教主殿に呼ばれ仙人名を告げられた時から歯車は回り始めたのだ。
「金号相手に……誰も失わないことなんてないよ」
「普賢……」
「ねぇ、ボクたちもいずれは行かなくちゃいけない。そうなった時何人が無事に帰ってこれるんだろう……」
「……皆だよ。俺も普賢も。皆、無事に帰ってくる」
頭の良すぎることは不幸せだ。考えなくてよいことばかりぐるぐる回って泣きたくなるから。
先を読みすぎて、深みに嵌って、動けなくなる。
差し伸べられた手を受け取るのが怖くて。その手に縋りたいのに。
「もう……いや……また皆居なくなるんだ……」
「…普賢……?」
「父様も、母様も……皆僕を残して……」
ぎゅっと目を瞑って涙をこらえたはずだった。それでも思い出してしまった過去は形なって次から次に溢れてくる。
「……聞きたいって言ったら怒るか……?」
普賢は首を振る。
今まで普賢が自分の過去を語ったことなど一度もなかった。
「望ちゃんと同じなの……ボクも一族を失ってる……」
太公望同様、普賢も妲己によってその一族を失っていた。
両親は隙を縫って普賢を旅の商人へ預ける。一人でも生きていれば血が耐えることはない。
いや、そんな建前ではなく、自分たちの娘を死なせたくなかったのだ。
大人たちに囲まれて少女は自分というものを押さえて生きることを余儀なくされた。
他人の顔色を伺いながら過ごす日々。その容姿と博学に普賢は高値で取引されようとしていた。
その晩のことだった。
仙人界からの使者なるものがやってきたのは。
普賢は悩むことなくその手を取った。切り開くための運命ならば、その時は今と信じて。
「これから誰を失うの……?」
目の前の現実は残酷すぎて、何も出来ない自分を殺してしまいたくなる。
優しすぎる人はいつも悲しみばかり背負って、心痛めるから。
「誰も失わない。普賢、俺は……」
言葉はあまりにも無力で。でも、その言葉さえもなかったら……空気に溺れてしまう。
「あなたも居なくなるの?」
その目に囚われて、動けなくなる。
つま先まで痺れるように、全てを奪う瞳。
「答えて」
「俺は絶対に死なない。俺も普賢も全部終わらせて帰ってくる!」
いつもようにとろんとした瞳。時折見せる本性に心が縛られる。
「そうだね。何も考えちゃいけないよね」
「あ、ああ……」
指先が道徳の髪に触れる。感じる冷たさに普賢は笑った。
「風邪引いちゃうよ?」
「あっためてくれないのか?」
言われて普賢は耳まで赤く染める。
動揺を隠そうとして書棚に戻そうとして持っていた書物が床に散らばった。
座り込んで拾う手を取る。
「少しまだ……どきどきするんだ……」
「道徳……?」
抱きすくめられて、目を閉じる。
臆病な魂が二つ。仙人と呼ばれるようになっても心の奥底は脆く柔らかい。
息がかかるほどに近くにいても、不安でたまらなくなる。
「俺は普賢残して死んだりしない」
「…うん……あ、でも……道徳今年で幾つ?」
「え?」
「多分ボクのほうが長生きすると思う」
「………仙桃食って俺も長生きする」
あはは、と笑って道徳の首に腕を回す。どうしようもないことを笑い飛ばせる力があればいい。
耳に口付けられてくすぐったそうに身をよじる。
「やめてよ、くすぐったい」
抱きかかえるには軽く丁度よい身体。寝台に下ろして結ばれた帯を解く。
本来仙人には肉欲などないはずだった。しかしながら人間としてまがいなりにも生きてきたのだ。
誰かに触れたい夜もある。
「…あっ……ん……」
首筋を吸われて、小さく声が上がる。
その声がもっと聞きたくて唇を下げていく。
柔らかい乳房を噛んで、その先にある可愛い乳首を舐め上げて吸い上げる。
「やんっ!!」
ふるふると揺れる胸が誘うから、衝動は止まらなくなって。
喘ぐ口を塞いで舌を絡める。同じように求めてくれるから、歯止めが利かない。
ちゅっ…と音がして、離れる。少し不満気に訴える瞳に絆されてもう一度。
「…ん…ふぅ……」
舌先で唇を舐められてそのまま頬に優しい接吻が降る。
この男を知ってから、自分の弱さが増してきていた。触れられるたびに泣きたくなる。
「ぁあっ……ん!」
媚肉を割って入り込む指に、嬌声が零れた。
ちゅくちゅくと淫音が室内に響く。濡れた指先が肉芽を擦ると普賢の身体が弓なりに反れた。
付け根まで沈めて奥を押し上げるとびくびくと震える。
「…っふ……あ!……あっん!!」
泣くまで責め上げて苛めて屈服させたい。そんな感情を呼び起こさせるような肢体。
上がる喘ぎ声を消そうと口元を押さえる手を外す。
「…聞かせてくれよ……声……」
(お願い、そんな顔で見ないで……どうしたいいかわからないよ……)
忙しなく動く指に、体液は溢れて止まることを知らない。
(や……どうしよ……なんか……)
慣れてきた身体は快楽に従順で、己の意識などないかのように男を求める。
「…あっ!!!」
「苦しいか……?」
「…ううん……大丈夫……」
真っ赤な顔で小さく答えた。潤んだ目の少女は仙女というよりは寧ろ妖女に近い。
その身体と声で全てを吸い込むのだ。
(やばいかも……可愛くて仕方ないっていうか……)
括れた腰を抱いて、自分を当てがう。そのまま、ゆっくりと沈めて奥まで進ませる。
濡れそぼったそこは男を締めながらどんな小さな動きでも逃さないように絡み付いていく。
「あ!…やだ……っ!!」
強く打ちつけられて熔けきった身体。
「…嫌か……?」
少し意地の悪い笑みを浮かべて道徳が囁く。
指先で溜まった涙を弾いて答を求めるように動きを止める。
「…嫌なら……やめるよ……」
「……馬鹿……」
きゅっと男の鼻を摘む。
「普賢、痛いんだが」
「知らない」
悪戯っぽく笑う顔。守りたいと思う気持ちと壊したいという感情が交差する。
「……んっ……」
深い口付けが何もかもを忘れさせてくれるから。
「……呼んで……忘れさせてよ……」
「…普賢……」
繰り返し忘れぬことの出来ないあの夢を消して。
目の前で流れる血の色を忘れさせて。嘘でもいいから縋らせて。
「…ああ……」
強く抱かれて、髪に降る唇。
繋がったまま乳房を噛まれて、普賢の息が上がる。
「……!!あ、あんっ!!道徳……っ!!」
掴まれた足首が悲鳴を上げた。線の細い身体はそれだけで劣情を刺激していく。
まるで縋るように絡められたその腕。
子供が親を求めるように。
(…お願い……もう、泣かなくていいように……)
摺り寄せられる頬に、ちくりと胸が痛んだ。
(俺が守らなきゃ……普賢を……普賢の過去から……)
才女と歌われた人は優しくて、弱いから。
その魂に惹かれて止まない。
「あ、あああっ!!!!」
甘い悲鳴を追う様に、道徳は奥に熱を吐き出した。
明け方近くの空は紫色で、それをゆっくりと消すように太陽が顔を出す。
蒼と紫とほんの少しの赤が混ざり合うこの空の色が道徳は好きだった。
「綺麗だよね」
「ああ、綺麗だな」
指を絡めて、そっと寄り添う。
「燃えるような紫色……なんだか……怖いな。よくないことが起こりそうで……」
「………」
「でも、道徳が居てくれるんでしょ?」
後ろ向きの思考は早々変えられないけれども。
「ああ、ずっと一緒にいるよ」
傍に居てくれるというこの人を信じてみようと思えた。
それは自分にとっては大きな変化で、大事なこと。
「……この先に何があるかは俺には分からないけど……」
「………」
「普賢にこれ以上怖い思いはさせない」
破顔一笑。
「寒いだろ?もうすぐ夜明けだし…もう少しこうしてるか?」
「うん……」
ここに居るのは崑崙の師表たる十二仙ではなくて。
ただの一組の恋人だった。
普賢を探しながら天化と太公望は野路を歩いていく。
足元を誘う草は青々として、生気に溢れる色。ここでは生命は全て等しい。
「師叔、普賢さんいないさ」
「いや、あそこにおるな」
てくてくと歩きながら太公望はなだらかな丘になっている場所を指す。
「普賢」
普賢真人は唇に指を当てて、しっと声を止めさせた。
「寝ちゃったとこなんだ」
見れば膝枕で眠る道徳真君。幸せそうに寝息を立てている。
その髪を撫でる指先。
「困ったのう。十二仙の名が泣くぞ」
普賢の横に座り、そんなことを呟く。
「師叔、俺っちにもあれやって」
同じように太公望の膝で天化は目を閉じた。
「……やっぱり師弟って似るものなのかな?」
「そのようだのう」
小さく笑う少女の声が風に消えていった。
普賢と道徳が本気でやりあったら恐ろしいことになると思う今日この頃。
案外この二人ってのはいい家庭を築けるような。
エロコメ書きたかったんですがだめぽ……
この二人はぽこぽこと書けるのが不思議でなりません。いや、好きなんだろう、この二人。
職人様方、おつかれさまでつ!!
きじさん。飛虎の男泣きにグときました。賈氏はこう愛されてなきゃ!
519さんのはイイ所で止まってまつね。クールな伏羲がイイ!
そしてKINOさんてば振り幅広いなあ。感服。
媚薬ネタは昔読んだことあるけど、望に使うのは定石でつね(藁
バカップル話個人的にはイチオシでつ。もともと普賢スキーだし。
大量投下でウマウマ―――!でつ。負担にならない範囲で皆様ガンガテ!
>637さん、
広いですか?ありがとです〆(゚▽゚*)
定番ですが一番薬物と言えば望ちゃんw
普賢スキー仲間ですね!☆-(ノ゚Д゚)八(゚Д゚ )ノ
そんでようやく次から趙公明です。
ただ、エロパロ板に投下するには??となる部分がおおいので
細かいところは自分のHPにしまわせていただます。
かき漏れた話なんかも一緒に閉まってます。
なので投下は多分VS趙公明からだとは思いますが…
久しぶりに覗いてみたら、神がこんなに…感激です。
所で質問なのですが、KINOさんはHPを持っていらっしゃるのですか?
他の神の方々も、持っていらっしゃるなら是非教えて頂きたいです……ヒントだけでも…。
教えてのクレクレでスマソ。不快になられましたら、スルーして下さい。
読み専ですが、影ながら応援してます!
>639さん、
現在纏めの最中です。SPはあるんですけども、UPする量が…
ここに投下してるものが大変なことに。
形になったらここにコソーリ出しますんで、お待ちくださいです
641 :
名無しさん@ピンキー:03/07/19 02:39 ID:+osKHeIe
642 :
名無しさん@ピンキー:03/07/19 02:48 ID:LpdI1wLv
>KINOさん
個人的に普賢は好きだったキャラなので、これからもイイ作品よろしくお願いしまつ。
644 :
519:03/07/19 18:49 ID:SmAxDno7
>きじさん
文学っぽいのでせうか・・・
と、とりあえず頑張ってみます。はい。
>KINOさん
い、いえ、こちらこそ挟み込んでしまって・・・
KINOさんの文量には圧倒されてしまうです。
質の高い作品をこんなに・・・まさに神ですよぅ。
わたくしめはちっとも書き進んでないから余計に。あぅ。
>>618さん
そうですねぇ。神々が降臨されて、本当に喜ばしいことです。
皆様のような文才があればなぁ・・・なんて。
>>637さん
く、クールなんですか、これ・・・
自分としては、単なる愛想無し根性無し(目つき悪し)なイメージなんですけど。
視線が違えばクールになるもんなんですねぇ。
>>639さん
さ、サイトなんて! そんな神をも恐れぬ所業、できるわけないです!
この最初の人設定は、元はと言えば某サイト様のところにあったものから拝借させて頂いてるのですが。
まさかそのサイト様を暴露するわけにもいきますまい・・・
645 :
519:03/07/19 18:52 ID:SmAxDno7
(
>>594の続き)
始めは、口唇を重ねるだけの口吻けだった。
やがてそれは、徐々に深いものへと変わっていく。
ゆっくりと味わうかのような口吻けは、ひどく甘美に感じられる。
神農もまた、そのまま快楽の波に飲まれようとした。
そうすれば、忘れられるから。
たとえ一時にせよ、快楽に溺れてしまえば。
何もかもを忘れてしまうことができるから。
――伏羲に「愛してる」の一言も言えない、現実ですら。
彼が、どんなつもりで神農を抱くのか。
それを知ろうとは思わない。知りたくもない。
それでも抱かれていたいのだ。
この瞬間だけは、伏羲は自分のものなのだ。
彼の妻である女禍の存在も、忘れて。
……いや、もう彼女はいないのだ。封印されて、冷たく眠り続け―――
「―――いやぁっ!!」
叫び声と共に、神農が伏羲を突き放した。
突然のことであえなくなすがままになる伏羲。
「…だ、駄目…なの……ごめん…駄目……」
女禍がいなくなったことを喜んでしまった。
これで伏羲は私のことだけ見てくれると。
一瞬でも、いや、一瞬どころでなく、そう思ってしまったのだ。
卑怯だ、と思う。
こんな自分は、伏羲に抱かれる資格などありはしないのだ。
与えられるはずのない愛情など求めず、さっさと消えてしまいたい。
あまりにも自分が情けなくて。
神農は溢れ続ける涙を止めることができなかった。
646 :
519:03/07/19 18:53 ID:SmAxDno7
突然の拒絶に、驚いたのは伏羲である。
しかし驚愕は一瞬にすぎなかった。
次第に湧いてきたのは、苛立ちの念。
何故、拒絶するのか。
泣いている神農を見ることができるのは、自分だけだった。
それはつまり、彼女をあやすことができるのも、自分だけだということだ。
他のどの男にも、元の恋人にすらできない行為。
彼女への想いが募るほどに、その特権を盾に、神農を抱く。
自分のような愛想もなく性格もよいとは言えない男を、誰が愛すると言うのだろうか。
だからこそ、知らず与えられた特権を利用しないことはなかった。
生涯でただ一人、心底から惚れてしまった女を抱くために。
その特権を。
ここにきて、奪い上げようと言うのか。
黙っていることなど、できなかった。
647 :
519:03/07/19 18:54 ID:SmAxDno7
泣きじゃくるばかりの神農を、伏羲は再度引き寄せて口吻ける。
先程までとはうってかわって、貪るように。
濡れた口唇を強引に割って舌が侵入し、その口内を蹂躙する。
反射的に逃げようとした神農の頭を押さえつけ、なおも犯し続け。
もう一方の手で背筋を撫で上げると、神農の身体がびくんと跳ね上がった。
幾度となく抱いた身体なのだ。
どうすれば反応が返ってくるかなど、考えずともわかる。
存分にその口内を味わいながら、伏羲は神農の服をはだけていく。
何とかその腕から逃れようとしていた神農も、徐々に抵抗する力が弱くなっていた。
その最後の力すら奪おうと、伏羲はあらわになった神農の胸に触れる。
「……っはぁ…んっ…」
口吻けの合間に洩れる吐息。
明らかに硬さを帯びてきている胸の突起。
すでに神農が感じているのは、明らかだった。まだ口吻けだけだと言うのに。
微かに笑みを浮かべ、伏羲は神農の耳元に口を寄せる。
「…感じているのだろう? 素直になったらどうだ…?」
「やぁ……っぁん…」
耳元で囁かれた声、更にそこを舌で弄ばれ、
身を捩って逃れようとしていた神農の身体から途端に力が抜ける。
伏羲の思惑通りに。
神農は完全に抵抗する力を失ってしまった。
648 :
519:03/07/19 18:55 ID:SmAxDno7
地面に横たえた神農にもう一度口吻けた伏羲の口唇は、
首筋をたどり、胸元にたどりつく。
片方の胸を手で揉みしだき、白い肌に口吻けて所有の痕を残していく。
が、敏感なその先端には決して触れようとしない。
焦らされ、気が狂わんばかりになりながら、
それでも神農は、女禍に対する後ろめたさを捨てきれなかった。
何をどう言い訳しても、女禍の封印を喜んだことに変わりはない。
それが罪悪感となって神農を責め立てる。
わかっているのに、けれども身体は伏羲の愛撫に反応してしまう。
もっと彼が欲しいと、訴えてしまう。
何を誰にどう詫びればいいのか。
わからないが故に、謝り続けるしかない。
ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさい…―――
不意に神農の瞳から流れ落ちた一粒の涙を、伏羲は見逃さなかった。
「……今、何を考えていた……?」
答えを聞かずとも、それが自分のことでないということだけは確かだ。
少なくとも今この時だけは、神農は自分のものであるはずなのに。
伏羲の中で、苛立ちが増してくる。
愛されることなど、始めから望んではいない。
それでもこの瞬間は、自分以外のことなど考えさせたくはない。
何かに急かされるかのように神農が身につけている下衣の裾を捲り上げると、
すでに潤っている秘所が露わになる。
伏羲はそこへ指を這わせると、敏感な突起を擦り上げた。
「ぁあんっ! ……はぁ…っぁあっ…」
嬌声を上げ、腰を浮かせる神農。
―――ごめんなさい…許して………これが、最後だから………
辛うじて残っていた理性で誰にともなく謝ると。
その理性もかなぐり捨てて、神農は与えられる快楽へと身を委ねていった。
649 :
519:03/07/19 18:56 ID:SmAxDno7
す、すみません、今回はここまでで・・・
最後まで書いてから投下しようかとも思ったんですが、
そうなるといつまでも書かないような気がして・・・すみません。
519さん乙〜!( ´∀`)つt[]
愛想無し根性無し目つき悪しw、なフッキタンに乾杯。
不器用な二人(・∀・)イイね!
漏れもKINOさんのサイト行きたいでつ。公開桶になったら教えてくだちい。
ナツキさん最近来ないけど忙しいのかな?執筆中なのかな?
_
 ̄  ̄
. ' ヽ >641、642
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/ メ、ヽ ヽ | /
/ ヽl | | /
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θ ヘ | /
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し' /__)
業者は打って・・・と
うわぁ、サイトですかえーとまだね、完成してないんですよ。
置き場にしてて今纏めてて半端なのですが
ttp://sendai.cool.ne.jp/kino2/ です。リモートでたらいやだな
でもってまだ、HPのためのものはUPしてません。
今月中には過去のもと他スレに投下したものなんかも完了する予定です。
>519さん、
続きが(*´Д`*)気になる……
現在雷震子と雲中子の話とか書いてます。雲中子が例によってまたも性別があれですが…
あとはHP用に普賢物何個か。玉鼎と道徳で取り合ってる話とか。
趙公明とかも。
金号の方々の話なんかも書きたいですねぇ〆(゚▽゚*)
まずは書き上げなきゃ。欲求ばかりが募る。
相変わらずどなたも上手すぎでつ。がんばってください〜!
太公望とかヨウゼンとか道徳とか普賢とか伏羲とか神農とかみんなハァハァ。
KINOさん、雷震子が特に気になります……期待しております!
>653さん、
うはは。早めにUPできるようにがんばりますね。
あの師匠にしてこの弟子あり。みたいな話になってます。
重い話ばっか書いてるんでかなり軽めな話を…
655 :
639:03/07/19 23:24 ID:7UnZbeY0
KINOさん519さん、突然失礼な質問してしまったのに丁寧にお答え頂きありがとうご
ざいました。
KINOさんのページが出来上がるの、楽しみに待ってます。519さんのお話は、こち
らで堪能させていただきますね。
神の皆様、これからも楽しみにしてますので、頑張って下さい。
>639さん、
ありがとうです。
まぁ、遊びでギャグみたいな話をあっちには載せて、こっちには本筋乗せれたらと。
どんな遊びかってこんな感じでw
〜〜〜チャイルドプレイ〜〜〜〜
「だからね、一々私に相談するってのはどうなのよ」
俺の愚痴に付き合わされて少しうんざりしている太乙を見ながらため息をつく。
分かってるんだけどね、同期のよしみできいてくれてるってのは。
「直接普賢に聞けばいいじゃないか、そんなこと」
聞けないからこうして相談してるんじゃないか。
「第一、急にどうしてそんなことを思ったのかが分からないね」
まぁ、なんていうか。
たまたま用事があって赤精のところに行ったわけで。
そしてら噂の奥さんの可愛らしさに当てられて……ちょっと憧れたわけでして。
でも、普賢にそんなこといったら核融合という素敵な贈り物を貰うから、いえないでこうしてる。
「だってさ……赤精のとこの紫苑……可愛いんだよ」
「そっちの趣味があったのか…道徳」
「そうじゃなくて、あの甲斐甲斐しさっていうか…あの赤精にだぞ」
「そっちの趣味あったのか…道徳」
「もうちょっと甘えてくれたら……いいなぁって」
普賢はそんなに俺に甘えることはない。
せいぜい何か頼みごとがあるときとか、あとは……何かねだる時。
ちょっと上目で見られて、いいように使われてる気もするけど。
だって、潤んだ目で『お願い……』とか言われれば男ならぐらつくだろ?
切なげに吐息こぼして『嫌……』って言いながらねだられてみろよ。
頬なんか染めて俺に必死になって抱きついて。
耳元でなんか言われれば十二仙なんて立場、忘れるだろ?
こんな感じの軽めな話を。
雷震子と雲中子、上がり次第投下させていただます。
まだ、終わらないですが…〆(゚▽゚*)
KINOさんのサイト、見てきたよ!
ジャンプ系パロ書いてるのは知ってたけど、ワンピもドラクエもある〜!
サイトのますますのご発展をお祈りいたしますでつ。
雲中子、女なんでつか!Σ( ̄□ ̄;)!!ビクーリ
……読んだら萌え出しそうでイヤだ……
そうそう、業者放置プレイしてた甲斐がありますた>651
>658さん、
はい。あちこちに爆撃投下させてもらってます。
メインでここを使わせてもらってます。
あの日たまたまこのスレ見つけなかったらSS書く事もなかったんだろうな。
雲中子女です。はい。のろのろと書いてますんで〆(゚▽゚*)
660 :
名無しさん@ピンキー:03/07/20 00:42 ID:oMHcwqrl
KINOさんグッジョブです!!
今日一日でこのスレを発見→1からここまでたどり着いてしまった…
今、こんなことしてる暇ないはずなのになぁ…自分。(苦笑)
ついついホレ込んでしまった。これからも楽しみです♪
あと、いつも業者討伐ご苦労様です。m(_ _)m
661 :
名無しさん@ピンキー:03/07/20 00:42 ID:QzG9Dir1
662 :
660:03/07/20 01:14 ID:oMHcwqrl
うわぁ〜〜〜常連の神の皆さん、本当にごめんなさい!!
パソの調子が悪く、さげたつもりが上がってました。
業者が来たのも私のせいです(泣
……しばらく逝ってきます
>>662 大丈夫だ!KINOさまが討ってくださる!
 ̄ ̄ ̄ ̄-----________ \ | / -- ̄
--------------------------------- 。 ←661
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∧ ∧ / / | \ イ
( ) / ./ | \ /
_ / )/ / | /|
ぅ/ / // / | / .|
ノ ,/ /' / |│ /|
_____ ,./ // | / .─┼─ |
(_____二二二二) ノ ( (. | / ┼┐─┼─
^^^' ヽ, | | /. ││
リクエストに応えて業者討ちw
なんかいいAAあったらよろしくです。
665 :
名無しさん@ピンキー:03/07/21 00:14 ID:pvtOOj2i
 ̄ ̄ ̄ ̄-----________ \ | / -- ̄
--------------------------------- 。← 665
_______----------- ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/ / / | \ ッ
./ / ./ | \ ツ
/ / / | | | |
ヽ/、 / │ ─┐ ,ノ
/⌒/ / \ / │
∧ ∧,〜/ \ / \ ,/ .─┴─
( /⌒ ̄ `ヽ _ノ / __ノ
/ ヽ `ー''´,-'⌒ヽ ┼─┼
/ ∠__ _/ヽ │ │ \\
( \ / / ヽ、_/´ \ ノ
 ̄ \/ ( く `ヽ、 /
\____>\___ノ
/__〉 `、__>
業者も斬ったので雷震子ものを投下させていただきます。
えーと、なんつーか、あれです。兄物嫌いな方はスルーでお願いします。
異説封神演義
〜〜〜〜不思議な杏〜〜〜〜
姫昌の息子の一人は崑崙の道士。名は雷震子という。
彼の修行を請け負ったのは雲中子。
崑崙では太乙同様に研究班に所属している。
「おいこら!お前また俺の翼改造しただろう!!」
「師匠に向かってお前とはいけない子だね」
紅を付け直し、雲中子は弟子の声を背に文献を広げている。
「夢の中まで強くなりたいって言ったくせに。私はそれを叶えただけだよ」
道衣に大きな帽子が彼女のトレードマーク。
帽子から下がる房は日によって色が違う。今日は薄い紅色だ。
「まったく、少しは静かに出来ないのか?」
「お前が余計なことばっかりするからだろ」
さすがに思うところがあったのか雲中子は弟子のほうを見やった。
道衣に押さえつけられて苦しそうな胸。
すらりと伸びた腕に形の良い爪と指先。
切りそろえられた黒髪に少しだけつりあがった大きな目。
年のころは二十代半ばだろうか。
「ああ、そうだ。そこに太乙から貰った杏があるから勝手に食べてなさい。私は忙しいからね」
「太乙さんが?」
「ああ、道行が育てたものの分け物らしいけれどね。腹の足しにはなるだろう?」
この師匠は時々酷く優しい声で話す。
だから、彼は毎度毎度騙されるのだ。
「んじゃまぁ、ご馳走になるか」
雷震子が美味そうに手をつけるのを見て雲中子はうふふと笑った。
「なんてね、それは私が作った杏だよ」
「!!!???」
「師匠をお前呼ばわりしたんだから、覚悟しなさい」
「てめ〜〜〜〜っ!!!!」
雷と爆風を雲中子は傘をくるくるとまわして消し去ってしまう。
「何なんだよ!!なんで俺に胸なんか出来てんだ!!??」
「いつもいつも人の安眠を妨害して、乗っかるだけ乗っかってさっさと寝て……少しは私の気持ちを思い知るがいい」
そうなのだ。この弟子はこともあろうか師匠に夜這いをかける。
年頃の雷震子にとって雲中子の身体は魅惑的で。
豊満な胸と締まった腰が恋しくなるのだ。
「さっさと解毒剤作りやがれ!!」
「言っただろう?私の気持ちを思い知れと」
雲中子は笑った。
「誰かに抱かれない限り、効果は消えないよ」
今更ながらに騙されやすい自分の性格を反省しながら彼は空を飛ぶ。
「はぁ……どうしろって言うんだよ」
柔らかい胸は触れるものとばかり思っていた。
それが今や自分の身体にあるのだ。
頼りなく、小さな身体を抱きしめながらちょっとした丘に降りて座り込む。
「おや、先客か?」
「本当ですね。珍しいこともありますね、あなた」
どう見ても不釣合いな夫婦。
「オメー、どこのやつだ?」
赤精が雷震子を見る。
「……なんで裸なんだ?」
「その……」
雷震子は掻い摘んで二人に事情を話す。
眼前の褐色の美女は本当は男なのだという。
「とにかく、うちに来い。紫苑、オメーの服貸してやれや」
「はい」
少し小さめの上着だが、なんとか身体を覆うくらいには間に合った。
しかし問題はどうやって元に戻るかだ。
師匠の悪魔のような言葉が頭の中でぐるぐると回る。
「オメー、どこのやつだ?」
赤精が雷震子を見る。
「……なんで裸なんだ?」
「その……」
雷震子は掻い摘んで二人に事情を話す。
眼前の褐色の美女は本当は男なのだという。
「とにかく、うちに来い。紫苑、オメーの服貸してやれや」
「はい」
少し小さめの上着だが、なんとか身体を覆うくらいには間に合った。
しかし問題はどうやって元に戻るかだ。
師匠の悪魔のような言葉が頭の中でぐるぐると回る。
「お茶でも飲んで、一息つきましょう」
「なんなら飯でも食ってくか?」
「いや、いい……」
長く伸びた黒髪は柔らかく波打つ。
「雲中子もなぁ、変わり者だからなー。でも、あれでも結構いいやつなんだけどな」
「お薬とか、よく作って下さいますしね」
「あいつの話はもういいや……聞いてるだけで頭が痛くなってくる」
雷震子はその翼をはためかせ再び空の人になる。
その姿が小さくなるまで二人は空を見上げていた。
「雲中子の愛情表現はちょーっとばかり、曲がってるんだ」
「そうなんですか」
「あれはあれで弟子は可愛がるほうだしな」
やれやれと赤精は皮肉めいた笑みを浮かべた。
かつて太公望は太乙真人、道徳真君、雲中子の三人を色物仙人三人組と現した。
この三人は同期の仙人。
なにかと仲が良い。太乙と雲中子は同じ研究班でもある。
「太乙、うちの子を見なかったかい?」
「いや、見ないけども。お茶でもどうだい」
「先客ありか。たまには寄らせてもらおうかな」
先にやってきて寛いでいた道徳と普賢の向かいに座る。
「おう、雲中子じゃないか。久しぶりだな」
「久しぶりだね、道徳。普賢も元気そうで何より」
雲中子は籠に入った杏を皿の上に盛る。
それは何気ない行為で他意もなにもなかった。ごくごく習慣的な行動。
「太乙、うちの子を見たら……」
茶を入れるついでに雲中子は席を外した。
「杏?色艶もいいな」
お互い一つ取って口をつける。
「甘いな……」
「そうだね」
指先に付いた果肉を舐め取る仕草に道徳は見とれる。
「……道徳?何か変だよ……」
「え……あ!!??何だ!!??」
普賢の手がおもむろに道徳の道衣をめくり上げる。
「な、なんで俺が女に!?」
「え、あ、嘘!?なんでボクが……!?」
同じようにたくし上げられて、お互いが悲鳴を上げた。
短髪黒髪の健康的な美少女。
灰白の髪を持つ知性的な少年。いや、中性的なといおうか。
お互いの顔をまじまじと見つめあい、ため息をつく。
「あ、食べたの?それね、性別が逆転する杏なの」
呑気に茶に口をつけて雲中子はさらりと言った。
その襟首を掴んで道徳が詰め寄る。
「さっさと解毒剤つくれこの外道が」
「まぁ一寸待ってよ。ちゃんと作るから」
「早めに頼んでもいい?」
それでも普賢はいつもと変わらない。少し諦めたような表情だ。
雲中子は満足そうに笑った。
西岐城の軍師殿、太公望の隣で雷震子はいきさつを話した。
太公望も困ったように笑って、あやす様に雷震子の肩を叩く。
「して、どうするかのう……」
「どうするって……」
腕組みをしたまま、太公望は思案顔。
「何時までもそのままでいるわけにもいくまいて…覚悟を決めるか?」
ぶんぶんと首を振る。
まがいなりにも自分は男なのだ。同性にそんなことをされるなんて冗談じゃない。
「今のおぬしなら相手もわんさかやってくるだろうて」
「それ以外でなんとかならねぇものかな」
「わしは雲中子ではないからのう」
太公望は自分の街着を雷震子に差し出す。
「なんだ?」
「着ろ。その格好では発情期の連中に犯されるからのう」
「は、発情期!?」
「この城には万年発情期のような輩が三人ほどおるでのう……」
はぁとため息をつく。太公望も同じ女。
「相手はよく選ばんといかんぞ」
渡された服に袖を通す。自分の使う櫛で雷震子の髪を梳いていく。
艶のある、美しい髪だ。
柔らかな波は一層華を添える。褐色の肌に織り成す黒髪の艶やかさ。
「太公望、暇なんだけど……」
「発」
「小兄」
言いかけた言葉が止まる。どうやら少女が義弟の雷震子だとは気付かないようだ。
「その、太公望の知り合いか?」
「おぬしの弟の雷震子じゃよ」
「だって雷震子は男だぞ。この子は……女の子じゃねぇか」
発は品定めでもするかのように雷震子の全身を見回した。
「この際発でもよいか」
「ちょっと待てよ!小兄は……」
「そうか、ならばわしが選ぶぞ。軍師命令じゃ。さっさと元に戻ってくれ」
そう言うや否や、太公望は誰かを呼びつけた。
呼ばれたのはヨウゼンと天化。二人とも雷震子を見つめて顔を見合わせる。
「さぁ、好きに選べ。わしはこれ以上面倒は抱えたくないのだ」
太公望は三人人に大まかな話しをした。
顔を見合わせて、三人とも思案顔。元はあの雷震子だという。
「これはまた……雲中子さまも罪なことを」
ちらりと見てくるのはヨウゼン。
「俺っちもあの人には弟子入りしなくてよかったさ」
咥え煙草は天化。
「まぁ、可愛いってのは事実だな」
笑うのは発。
「さて、雷震子。どれがいいか選べ。おぬしの戦力が無いのは痛いからのう」
打神鞭片手に太公望は三人の男を一人ずつ指していく。
「師叔、お言葉ですが僕は師叔の命でもこれはお断りさせていただきます」
「雷震子、よかったのう。一番しつこいのが辞退すると言うておる」
太公望の言葉にヨウゼンの顔が曇る。
(そ、そんな風に思われていたのか……)
三尖刀を支えに肩を落とす。
「ヨウゼンさん、しつこいさ?」
「君に言われたくないね」
太公望をはさんで言い合う男二人。こめかみの辺りを押さえて苦笑を浮かべている。
「まぁ、天化もやや粗暴なところもあるし……ここは一つ遊び人の名を持つ発に頼むとするか」
ぽんと手を叩き、太公望は椅子に座った。
そして言い合う天化とヨウゼンを無いものとして軍書に再び目を通し始めた。
「なぁ、やばいだろ。一応俺とは兄弟に当たるんだぜ」
「血縁上では近親には当たらんよ。早く戻してやれ。あれではあやつが不憫じゃ」
「お前に言われるとショックがでかいな……いいのかよ」
「……良い、悪いの問題でもなかろう。ならばわしが嫌だといえばいいのか?雷震子をそのままにしておけというのか?」
発の胸元を軽く掴む手。
「わし個人の感情よりも、今は軍師としての立場がある……」
「……分かった。その代わり今度じっくりと付き合ってもらうからな」
「すまぬ。女の扱いに関してはおぬしが一番信用できる」
雷震子を抱き上げ立ち去る発を見送りながら、太公望は肩を竦めた。
残された二人は未だに言い争いをしている。
(まぁ、あれで発は女には優しいからのう……)
雷震子を寝台に下ろして、道衣の紐を解いていく。
「小兄!ちょっと待てっ!!」
「待つも何もお前も元に戻りたいんだろ?」
手は休むことなく、胸のさらしを解いた。形の良い乳房が露になる。
下穿に手をかけて取り去ると褐色の裸体が目に美しい。
「それにあれだぜ?女は男より十倍いいって言うぞ」
「……マジかよ……」
「試してみるだけでも、いーんじゃねぇの?」
「い、一回だけだぞ。小兄」
自分のことを兄と呼ぶこの少女。どうして弟に見ることが出来ようか。
手に収めるには少し足りない乳房を噛んで、発は指先を下げていく。
細い筋肉で形作られた肢体は、太公望とはまた違う感触。
感触を楽しむかのように発は舌先で乳房を愛撫する。
「…っ…ふ……」
自分の嬌声に驚く。同じような声を師である雲中子も上げることはあった。
軽く噛むと、身体がびくんと反応する。
指先は誰の侵入も許したことの無い秘所を撫で摩り、先端を入り口に沈ませていく。
少しだけ濡れた中指で肉芽を擦ると、雷震子の身体が弓なりになる。
「…あっ!!」
嬲る指は休むことなく攻め立て、それに応じるように体液が腿を伝う。
(やべ……こいつ可愛いかも……)
快感を認めることを拒むような表情が発の暗い心を刺激した。
今目前に居るのはかつての弟ではなく、哀れな少女。
それも、とびきり極上の処女である。
「!!」
唇を奪われて、舌を絡ませてくる兄に彼女の表情が固まった。
(まずい……小兄本気になってんじゃんか!!)
押さえつけられて尚も口を吸われて。
離れるときには力は奪われ、唇の端から涎が零れた。
「…雷子……」
耳朶を噛まれて、そのまま舌で舐められて、微妙な刺激に身体は従順に反応する。
発の指はまるで踊るように愛撫していき、そのたびに意思に反して嬌声が上がった。
(…俺よか…絶対上手い、小兄……)
自分が女になって初めて自分の身勝手な行動に気づかされる。
おそらくこの兄が雲中子を抱けば、彼女は自分の相手などもうしないだろう。
「あ……あんっ!!!」
内側をくっと押されて知る女の身体の快楽。
男の身では知りえぬような感覚に翻弄される。
濡れた指が敏感な突起を責め上げて、追い込んでいく。
舌先は小さな乳首を嬲りながら時折吸い上げる。
「!!!!!」
初めての絶頂は声にもならなくて、全身の力抜けて頭が真っ白になるのを覚えた。
だらりと四肢を投げ出して、虚ろになる瞳。
「…雷子、こっからが本番だぜ?」
その言葉に我に返る。
「…小兄、本気だろ……」
「何言ってんだよ、俺は可愛い弟のためを思ってだな……」
自分の上に乗る兄は心にも無いことを並べてくる。
(あれだ……兄って言われるのもありだよな……)
雷震子は義弟、血族には当たらない。
「まぁ、覚悟決めろ。俺もここで止めろって言われても止められねーし」
先程とは違う、軽く触れるだけの甘い接吻。
女ならきっとこうされれば嬉しいという行為をこの兄は自然体でするのだ。
「…小兄、いつもこんな感じなのか?」
「んー、まぁ、そうだな」
「小兄の相手は幸せだよな……」
雷震子は己を振り返る。少しだけ、悲しそうな顔で。
「でもよ……」
自嘲気味に笑う兄は小さく『俺の惚れてる女は心はくれないんだ』と呟いた。
それが誰なのかを口にすることは兄を傷つける行為でしかない。
彼女は在りし日の自分の父親に心を未だ縛られている。
「俺……元に戻ったらあいつに謝んないと……」
口付けてくる兄に、雷震子はそんなことを言った。
「惚れた女には頭下げんのも必要だぜ、雷子」
膝を折られて、濡れたそこに男が侵入してくる。
「ちょ、ちょっと待て!小兄!!」
「お前も男なんだからわかるだろ、待てって言われてこの状態ではいそうですかと待てるか?」
「痛いのは嫌なんだよ!」
「まぁ、痛いのは最初だけらしいから」
その手を取って指先を舐めて、自分の首にかけさせる。
「捕まってろ。爪立ててもかまわねーから」
細い腰を抱き寄せて、一気に奥まで突き上げる。
「〜〜〜〜〜〜!!!!」
鈍い痛みと刺すような感覚。圧迫感と重くなる下腹部にこの身体が女体だということを痛感する。
何かに縋りたいような感覚に広い兄の背を抱きしめる。
果たして自分は雲中子にこんな風に優しくできてただろうか?
(謝んなきゃ……師匠を傷つけてばっかりだった……)
なんだかんだ言ってもいつも自分を受け入れてくれた。
優しい言葉と、暖かさをくれた。
女の身体は不思議だ。すべてを受け入れて、包み込む。
「〜〜〜〜〜っ!!」
痛みと、それ以外の感覚が混ざり合うころ、彼女は思考も意識も放棄した。
「なんで元にもどんねーんだよ!!」
涙を浮かべてそんなことを言う弟の姿に発は意味深に笑う。
「ま、駄目なら駄目で俺が面倒見てやるから」
「っくしょ〜〜〜!!!」
軍師殿の太公望は雲中子と対面する。
「久しぶりだのう、雲中子」
「太公望、うちの子は……」
「今頃、発が元に戻しておる頃合だろうて」
書き終えた書面を巻きながら太公望は少しさめてきた茶に口をつけた。
「…あれは嘘……ああでも言えば少しはあの子も反省するかと思って……」
「……雲中子……しかし……」
「あの子に少しでいいから、私の気持ちを知ってほしかっただけなんだ。いつも乗っかるだけ乗っかって…」
腕組みしながら雲中子はため息をこぼした。
「これが解毒剤。飲めばすぐに元に戻る」
「なら、呼んでこよう」
慣れた足取りで太公望は発の部屋に向かう。
扉を軽く叩くと苦笑した発と出くわした。
「雷震子は?」
「どっぷり落ち込んでる」
「おぬしが酷いことをしたのではないのか?」
「な!俺はお前にするよか優しくしたつもりだぜ」
太公望が眉をひそめる。
(あ、やばい……呂望、怒ってる……)
少しきつめの視線を送りながら、太公望は口を開いた。
「まぁよい。雷震子、雲中子が来たぞ。おぬしを戻すためにな」
「本当かよ!?これで元に戻れるぜ!!」
意気揚々と軍師殿に入り、彼は師匠と対面した。
当然のようについてきた発も弟の師を見てほぅと見とれる。
「太公望、これは?」
「雲中子の兄の発じゃ。いや、武王と言うべきか」
「姫家の先代によく似ているな。はじめまして、私は雲中子と申す者。それの師匠にあたるが……」
雲中子はつかつかと進んで雷震子の華をきゅっと摘んだ。
「なにすんだよ!」
「どれだけ私が心配したか分かるか」
「なんだよ、俺のことなんかどうでもいいんだろ!いつもいつも変なもんばっか食わせるくせに!」
顔をあわせればいつものように憎まれ口を叩いてしまう。
雲中子は少し悲しそうな顔をして、小さな瓶を渡してきた。
「解毒剤だ。しばらくは帰ってこずともよいぞ」
「…………」
「雷子、私はお前をどうでもいいと思ったことはただの一度も無いよ……」
そう言う後姿は、細くて、一人の女性だった。
「綺麗なお師匠じゃねーか」
「……スパルタなんだよ。腰に下げてる鞭で雷と爆風を操るんだ、あいつ」
蓋を開けて、少し甘い薬を飲み干すと慣れ親しんだ男の身体。
雲中子は何か大事なことを言うとき、自分のことを『雷子』と呼ぶ。
それは父親や、兄弟たちが呼んでいた愛称。
自分の背を抱きながら呼ぶその声が好きだった。
雲中子は早々と崑崙に帰ってしまった。
その後を追うべく、雷震子は空に消える。
「発」
「ん?」
「しばらくはわしの寝室に来るな」
「何でだよ」
「粗暴に扱われるのは好きではないからのう」
ふいと外を向く太公望の機嫌を直すまでに、三日ほど要したのは大声ではいえない事実。
そして雷震子は少しだけ、雲中子に接する態度が変わったと言う。
以上です。現在480KBです。
ぼちぼちお引越しを考えなければいけない気がしてます。
とりあえず次ぎスレのテンプレを考えませんか?
今度はこの師弟の話を書きたい〆(゚▽゚*)
今こそ 封 神 演 義 で ! 2
ここは週刊少年ジャンプに連載されていた講談社文庫・安能務氏原作を
藤崎竜氏がオリジナル色をふんだんに加えて漫画化した「封神演義」のエロパロスレです。
連載は3年近く前に終了しましたがまだまだ萌えている方々もきっといるはず。
紂王×妲己・武王×邑姜・黄飛虎×賈氏・蝉玉×土行孫などの原作カップルの他、
男キャラの女体化エロももちろんありですカモーンщ(゚Д゚щ) カモーン
前スレ
今こそ 封 神 演 義 で !
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1053402676/ スレとしてのまとめページはまだありませんが、
職人さんの一人、KINO ◆Nq.KINOKeY の作品のまとめページはこちらです。
封神の他のジャンルもあります。
ttp://sendai.cool.ne.jp/kino2/ 一応考えてみますた。
KINOさんのサイトどうしましょう?
入れてはみましたがここ全体のまとめサイトではなくKINOさん個人のサイトな訳だし。
684 :
名無しさん@ピンキー:03/07/21 07:38 ID:lbAnIO0m
色物三人組の中でも、群を抜いて変態な雲中子が
こんなイイ女に生まれ変わるとはっ!KINOさんスゴイ!
道徳&普賢が元に戻るにあたって、嘘の解決法でも全然問題ない!
と思ってしまいました。
>683
まとめ乙です。うん、いいんじゃないでしょうか。
一応「801は禁止です。」と入れましょうか?
あとはKINOさんのサイトの件ですね。どうしましょう?
次スレか〜KINOさんがコツコツ書き溜めてくれたお蔭で、
職人様方が集まり、少しずつ発展してきた結果でつね!
686 :
519:03/07/21 18:15 ID:cEpd+65B
>>650さん
あ、乾杯されてる・・・(笑)
どうもです〜。
はい、不器用過ぎて、シリアスは書きにくかったです。はい。
いっそのこと、奥様元彼巻き込んでの四角関係失楽園エロコメでも書けばよかった・・・
・・・って、無理か。
>KINOさん
相変わらずお仕事早くて乙です〜。
武王好きなんで、楽しませていただきましたわ。
ついでに兄ものスキーでもあります、密かに(おい)
>>653さん
こ、このような代物にハァハァしていただき、ありがとうございますです。。。
ああ、恥ずかしくて読み返せない・・・
>>655(=639)さん
堪能していただくほどのブツでもありませんけど。
少しでもお楽しみいただけましたら幸いです、はい。
文章力アップのために精進しなくちゃなぁ〜。
とりあえず、話の続きは書き上げたんですが。
投下しても大丈夫ですかねぇ。
一応、8kbほどあるんですが・・・
新参者は小心者なので、意見待ちします。。。
KBがKBなので新しくスレたてたほうがよろしいのでは。
689 :
683:03/07/21 21:20 ID:iVGSDns/
今こそ 封 神 演 義 で ! 2
ここは週刊少年ジャンプに連載されていた講談社文庫・安能務氏原作を
藤崎竜氏がオリジナル色をふんだんに加えて漫画化した「封神演義」のエロパロスレです。
連載は3年近く前に終了しましたがまだ萌えている方々もいることでしょう。
紂王×妲己・武王×邑姜・黄飛虎×賈氏・蝉玉×土行孫などの原作カップルの他、
男キャラの女体化エロももちろんカモーンщ(゚Д゚щ) カモーン
※sage進行でおながいします。
※容量が450KBに近付いてきたら次スレの検討をおながいします。
※801はここでは禁止、801板の方でおながいします。
前スレ
今こそ 封 神 演 義 で !
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1053402676/ スレとしてのまとめページはまだありませんが、
職人さんの一人、KINO ◆Nq.KINOKeY の作品のまとめページはこちらです。
封神の他のジャンルもあります。
ttp://sendai.cool.ne.jp/kino2/ >>685、
>>688さんの意見を入れて改定してみますた。
他に入れることはありますかね?意見キボン
690 :
名無しさん@ピンキー:03/07/21 21:20 ID:ikg7iwvA
業者は後で打ちますw
テンプレokです。
サイトも自分は構いません。偏ってますがw
スレたておながいします。
弾かれそうなヨカーンなので…
>>689 スペース入れると検索で引っ掛からないような……。
>>692 確かに。
このスレにしても、最初「封神」で検索かけても見つからなくて、
無いのかー、とか思ってたら、ある時不意に発見したって感じだったからな……。
同じく偶然見つけて書き出したKINOです。
おかげさまで現在再燃してます。自家発電じゃなくて、漁りたいんだ〜。・゚・(ノД`)・゚・。
ヲクなんか見てますが……ホシイモノハナイノヨ……
500KBくらいまではOKなはずで現在485です。
ですが、自分入れて投下量が結構ある人がこのスレには多いと思うので、
450でお引越しは賛成。
次スレは検索のためにスペ無しでもいいかもしれませんね。
これについては他の方の意見きぼん。
KINOは現在阿保二人(仮タイトル)かいてます。
HP用に書いたのが二本あるんでお引越ししたら埋め立て用に投下しようかとも…
今こそ封神演義で! 2
ここは週刊少年ジャンプに連載されていた講談社文庫・安能務氏原作を
藤崎竜氏がオリジナル色をふんだんに加えて漫画化した「封神演義」のエロパロスレです。
連載は3年近く前に終了しましたがまだ萌えている方々もいることでしょう。
紂王×妲己・武王×邑姜・黄飛虎×賈氏・蝉玉×土行孫などの原作カップルの他、
男キャラの女体化エロももちろんカモーンщ(゚Д゚щ) カモーン
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今こそ 封 神 演 義 で !
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ttp://sendai.cool.ne.jp/kino2/ 次スレはこれでOK?
自分はOKです。
スレたておながいします(゚∀゚)
んじゃ立てるか。
よろしこです。
>699さん、
乙です。
順次移動します〆(゚▽゚*)
DAT回避の保守〆(゚▽゚*)
あと10KB以上残ってるけど、何かに有効利用できない?
703 :
K:03/07/24 19:58 ID:LofgM25v
毎日の単調な修行に嫌気がさしてそっと抜け出した。
翼を持つ仲間は仙桃三個で誘いに乗ってくれた。
「師叔、もう帰りましょう。殷の国中を飛び回ってへとへとですよ」
「仙桃三個で付き合うといったのはおぬしだぞ、白鶴」
少女は黒髪を靡かせて、仲間の翼で空を飛ぶ。
(あれは……姜族?)
辺境に散った同じ血を持つ一族の姿。
父も母も、皆今は土の中。頼れるものは誰も居ない。
「師叔?」
「白鶴、あの男は?」
「ああ、あの方は西伯候姫昌ですよ」
「姜族にも偏見を持たぬのだな……」
遠目に見た男の姿は凛々しくて、少女は笑みを浮かべた。
虐げられた一族を受け入れる器。
ほんの少しだけ、胸が熱くなる。
「白鶴、帰るぞ。もう十分だ」
瞑想しながら思うのはあの男の姿。
「昌という名だったな……」
頬杖をついて、ぼんやりと沈み行く夕日を見ていた。
あれから彼女も男のことを調べてみた。
非の打ち所の無い人間性。あえて言うならばほんの少し優柔不断なところがあるくらい。
「………」
「師叔、どうしたんですか?夜風は身体に障りますよ?」
「もうそんな時間なのか?」
白鶴童子に声をかけられてはっとする。あれから延々と考え続けてどっぷりと日は暮れてしまったらしい。
来る日も来る日も、少女は男のことが頭から離れなかった。
704 :
K:03/07/24 19:59 ID:LofgM25v
もやもやとした気持ちを晴らすために同期に仙界入りした友に思い切って打ち明ける。
友は言った。「それは恋」と。
いわれてみればそんな気もする。
「白鶴、頼みごとがあるのだが……」
「師叔、またですか?」
「駄目か?おぬしにしか頼めぬ……」
俯き、頬を染める少女に白鶴童子はことを察する。
「ちょっとだけですよ」
西岐上空を飛びながら、彼女は男の姿を探した。
(居た……)
その姿を見るだけで心が満たされるのが分かる。
仙道に恋心という感情は不要だ。
全ての欲求を立つことが修行でもある。
仙界入りして日の浅い彼女は未だ教えを悟れないまま。
それから少女は毎日少しだけ仙人界を抜け出すこととなる。
男は忙しく動く。その手腕は鮮やかで殷王にも引けを取らないだろう。
東西南北の諸侯を纏め上げ、西岐に幸をもたらすために彼は自分を捨てて職務に励んでいた。
疲れた身体の息抜きに、回廊に出て空を見上げる。
(……仙道?珍しいこともあるものだ……)
優雅に髪を靡かせて、空を舞う少女。
(中々によいものを見た。もう少し頑張れそうだ)
時折見上げる空に彼女の姿。いつしか瞳は彼女を追い求めるようになっていた。
触れることは決して出来ない相手。
永遠に時を止めたその姿。
705 :
K:03/07/24 19:59 ID:LofgM25v
雨の日には彼女の姿は無い。そんなことを思うとこの長雨が恨めしくなる。
「姫昌様、この懸案ですが……」
「ああ、今行く」
(あの子は何をしているのだろう?どこに……)
仙界では同じように雨を苦々しく思う少女。
(昌……何をしてるのだろうか……)
思いは同じ。重なることは無くとも。
やがて運命は二人を飲み込んでいく。
封神計画。それが少女に課せられた運命の名前。
「釣れますか?」
「これは……大物がかかったようだのう」
何もかも、変わってしまった。
それでも、思いだけは変わらなかった。
変わるものも、変わらないものも。
(秋は嫌いだ……思い出す……)
舞い散る葉を見ながら少女はため息をついた。
近くまで冬の気配。
逝ってしまった人の事を思いながら。
もうすぐ、この地にも雪が降る。
全て隠すように。
706 :
名無しさん@ピンキー:03/07/25 09:18 ID:eFzfGeC2
新スレ告知age
707 :
名無しさん@ピンキー:03/07/25 09:33 ID:cJOCMTHI
708 :
名無しさん@ピンキー:03/07/25 09:34 ID:lsNxasaQ
709 :
_:03/07/25 09:36 ID:iu6nKpQg
710 :
K:03/07/25 12:41 ID:9fwl/FfY
埋め立て兼ねて投下してますんで、新スレはしってますよ〆(゚▽゚*)
Kさんぐっじょぶ!
次スレのほうでも
期待してまっております
m(_ _"m)ペコリリ
712 :
K:03/07/25 15:32 ID:9fwl/FfY
本スレ自分のせいで荒れ気味になっちゃってるんでこっちに
短編おとします。
快くDAT逝きできるように…
>>712 あんまり卑屈になることはないと思われ。
漏れも別スレだけどSS落としているが、
自分のは萌えにくいから人の意見を
どうしても聞いちゃうんだよね。それで
自分のSSをよく卑下してたんだけどね、
でもそれは他の読み手に失礼だって
読んでる人に言われてしまって・・・
落とすからには自信をもって!誰がなんと
言おうとも投下後だから気にするな!
あなたのSSでハァハァするひとはたくさん
いるんだから!
では長文&マジレスのため孕んできます(ぇ
714 :
K:03/07/25 16:41 ID:KZmFMR/N
>732
多分そのレスのひとはKにも言ってるんだとは思います。
卑屈だしな、自分。
どうやっても人様の真似は出来ないや。
無理無理。よく分かった。
丁度昌と望は書きたい話だから、こっちに少し落とすことに。
もしも二人が出会ってたらってね。
座して静かに待ってます
∧_∧
( ・∀・)
( ∪ ∪
と__)__)
716 :
名無しさん@ピンキー:03/07/25 22:35 ID:4k0HkhEp
717 :
名無しさん@ピンキー:03/07/26 18:19 ID:ilHl1v7w
718 :
K:03/07/29 22:13 ID:FaXiKz1K
散り行く葉はまるでヒトの命のようで、儚く。
その手に触れて堕ちるまでの時間が愛しい。
「最近城内を何かがうろついております」
「そのままにしておけ。害は無いのだろう?」
その影は小さな道士。
時折見せる後姿が愛らしい。
揺れる黒髪はまだ幼く、かすかに覗く横顔は子供の様だ。
(顔くらい見せてくれてもいいような気もするが……)
姫昌は少女の気配を感じながら職務をこなしていた。
小さな影は決まった時間にだけ現れ、そしていつの間にか消えているのだ。
芽吹きの季節が穏やかに終わりを告げ、緑に彩られる世界。
同じように揺れる髪はほんの少しばかり、長くなった。
(さて、どうするか……)
物陰からいつもこちら見ているのに、見つめ返そうとすれば顔を背ける。
その横顔だけ、いつも。
道士見習いなのか、まだ完全に気配を消すことが出来ないその姿。
(よいか。悪いものでもない)
719 :
K:03/07/29 22:14 ID:FaXiKz1K
その日も同じように彼女はこの城にいた。
違ったのは帰る手段が無いのか何時までもその気配があるということ。
(喧嘩でもしたか?道士も大変だな)
うろうろとする影にそっと近づく。
「これはこれはお客人」
「!!」
後ろから抱きかかえられて彼女はばたばたと手を動かす。
「還る手段を無くしたか?」
「……そのとうりじゃ……」
業を煮やした白鶴童子は彼女を残して崑崙に還った。
残されて途方にくれながら沈む夕日を見つめていたのだ。
「名前は?」
「……呂望……」
「よい名前だな。俺は……」
「昌。知っておるよ」
笑う呂望の顔は予想していたよりもずっと幼く。
昌の心の奥に沈んでいった。
きらきらと輝くその欠片は、刺さって抜けない。
720 :
K:03/07/29 22:14 ID:FaXiKz1K
崑崙に還ることを拒否して、彼女はこの城の客として住まうことになる。
付かず離れず、昌の傍でその仕事を手伝う。
「呂望」
触れてくるその手。それだけで鼓動が早くなるのが分かる。
人間であることを捨てきれない彼女は、恋をした。
それは仙道にとっては最も不必要なもの。
「昌……」
風に揺れる想い。
ただ、傍に居たかった。
何度目かの夜を見送って、一緒に居ることが当たり前になりそうだった。
自分の名を呼ぶその声が耳に心地よい。
「呂望」
「月を見ておった。綺麗じゃのう……」
欄干に腰掛けて、彼女は天を仰いだ。
その顔を覗き込み、そっと唇を合わせる。
「お前も綺麗だぞ」
「……おぬしもな……」
ヒトは寂しさを嫌って嘘をつく。
「ますます還れなくなる……」
帰れない。帰れずに。
「帰すつもりも無い……」
静かに、静かに絡めあう。
ただ、知るのはこの月ばかりと。
721 :
K:03/07/29 22:16 ID:FaXiKz1K
ここまでです。
これをふくらませたやつはまた別なところでupします。
ただ、こんな感じのも書きたいのです。
512kbまであと少しですが使わせていただきます
722 :
王天君:03/07/30 23:55 ID:/NeLw9TW
と、悪乗りは置いておいて(w
Kさんの書く文章は登場人物を
イメージしやすくて実に読みやすいですね。
これからも待ってますよ。
ろりぽっぷな望ちゃんに萌
ラブレターウケトッタヨ! ̄ー ̄)ノ)))))))) ブンブン
724 :
名無しさん@ピンキー:03/08/01 18:58 ID:UwGQ4u5Z
∧_∧ ∧_∧
ピュ.ー ( ・3・) ( ^^ ) <これからも僕たちを応援して下さいね(^^)。
=〔~∪ ̄ ̄ ̄∪ ̄ ̄〕
= ◎――――――◎ 山崎渉&ぼるじょあ
726 :
名無しさん@ピンキー:03/08/02 06:29 ID:CX9cn9Xd
727 :
名無しさん@ピンキー:03/08/02 11:50 ID:5sFdl5G6
728 :
名無しさん@ピンキー:03/08/02 23:18 ID:9UG8UIym
729 :
名無しさん@ピンキー:03/08/03 07:54 ID:cYJ0okXW
730 :
名無しさん@ピンキー:03/08/03 12:52 ID:cny2lvEx
731 :
名無しさん@ピンキー:03/08/03 17:31 ID:q1kBSv9V
732 :
名無しさん@ピンキー:03/08/04 08:34 ID:4CxFzgEB
733 :
名無しさん@ピンキー:03/08/04 11:15 ID:4CxFzgEB
734 :
K:03/08/04 21:45 ID:VmbgSzG4
宵篝、笹の葉の揺れる音、夏の風。
爪先が触れる空気はどことなく生暖かい。
「昌、これはこのままでよいのか?」
姫昌の膝に乗りながら少女は治水工事の製図を広げた。
「呂望はどう思う?」
「わしは……ここを少し直したほうがいい気がする」
小さな指が指し示す部分を、彼は筆で改めていく。
外見に合わずに彼女は多角的な才能があった。
宰相たちも始めは眉を細めたもの、政治理念を見事に論破されてからはあれやこれやと彼女に構う。
西岐城で過ごすのが当たり前のようになりつつあった。
「疲れただろう?あとは俺がやっておく」
「昌がするならばわしもする。疲れているのは一緒だ」
片手で少女を抱きながら、西伯候は山積みされた書類を片付けていく。
「父上」
「伯邑考」
「僕も何か父上のお手伝いがしたいのです」
しかしながら子供の彼に出来ることは無い。
姫昌が頭を捻らせていると少女は子供の前に歩み寄った。
「伯邑考というのか?」
「はい。あなたは?」
「わしは呂望。父の手伝いがしたいのだろう?」
少女は書きかけの書を床に広げて子供の手に筆を握らせる。
「これと同じように印をつけてくれるか?」
735 :
K:03/08/04 21:45 ID:VmbgSzG4
「はい!」
嬉しそうに指示された印を書き込んでいく。
「呂望はずっとここに居るのですか?」
「ずっと……居られるとよいのだが……」
瞳が悲しそうに曇る。約束は出来ない。
「ここにずっと居てくれたら、僕の母上になってくれますか?」
「…………」
「あれの言うことは気にしないでくれ……早くに母を亡くしたものでな」
窓に腰掛け、夜風に髪を泳がせる少女。
さらさらと夏の風に流れていく。
「同じか……わしにももう身寄りは居ない……」
それでもこの身体には姜族の血が流れているから。
「昌、おぬしならこの世界を変えられるのではないか?」
男の唇が額に触れる。
「俺一人でどうとなることでもあるまい……やれることをやるまでだ……」
「その時はわしも昌の力になりたい」
「なら……ここに留まってくれるか?」
「……おぬしがそう……望むなら……」
触れ合う唇が、離れるのを拒む。
少し震える身体を抱きすくめられて目を閉じる。
「俺の妻になってはくれぬか……呂望……」
「そう……望むのなら……」
落とされた寝巻きは床に。細く幼い裸体が露になる。
「……恐いか……?」
「少し……でも……」
そっと男の背に手を回す。
「昌なら……構わない……」
736 :
K:
敷布の冷たさを感じながら、肌を滑る男の手の感触に酔わされる。
傷をつけないように、気遣いながら触れてくるその指が愛しい。
「綺麗な身体だ……」
「見たのは昌だけだよ……」
「呂望?」
「道士を辞めたら……ずっと一緒に居られる?」
おずおずと絡めてくる腕。
「……今だけでも、道士ではなくて、呂望でいたいの……」
それは一瞬の幸福でも構わないから。
あなたの腕の中に居るときは一人の女で居たいのです。
「……呂望……」
不完全で未熟な肉体。
押し割って身体を絡めた。
泣きながらしがみ付いてくるその腕と、声。
離したくないと思った。
手放さなければならないと知っていても、触れずにはいられなかった。
「…っ……あ!……」
「……痛むか……?」
目尻に口付けられて少女は首を振る。
「今……こうして居られるだけで……望は幸せです……」
例え離れ離れになることが分かっていても。
あなたを愛したことを忘れることは無いから。
あなただけ。
生涯一人だけと決めたから……。