「ハァ、ハァ、ハァ…。」
荒い息を整えつつ、クロノの両肩に置いた手の平に力を込めて、ロゼットはクロノの身体を押し上げた。
「ロゼット、気持ち良かった?」
いつの間にか元の少年状態に戻っていたクロノが優しくロゼットに微笑みかける。
「うっ…。そ、そんなのどうだって良いでしょ!!」
クロノの精液の媚薬成分で昂揚していたとは言え、意識はしっかりしていた。
自分からクロノを押し倒しての痴態を思い出すと、ロゼットは今にも顔から火が出そうになる。
「ク、クロノは…魔力の方はどうなの?」
何とか話を逸らそうとするロゼット。
「今のはイーブンだけど、さっきので補給できたから大丈夫さ。」
「そ、そう・・・。」
クロノの答えを聞いて少し残念そうに、ロゼットはそっぽを向いた。
その直後、まだロゼットの中にいたクロノが、キュッと軽く締め付けられた。
「ロゼット…まだしたいの?」
「なっ…!?」
どうもロゼットの身体は正直すぎて、顔は真っ赤になるわ、中はまたクロノを締めつけるわで…。
「私は別に…ンッ!?。」
クロノはロゼットの口を塞ぐべく、ロゼットとの初めてのキスをした。
「…クロノ…?」
「ロゼットは嘘を付く時、やたらと饒舌になるクセがあるからね。」
さっきと同じ顔でクロノはそう言うと、ペロッと舌を出して見せた。
「…順番、アベコベになっちゃったわね…。」
「えっ?」
「キス…。」
キスもした事のない同士が不可効力(?)とは言え・・・。
「今のがスタート。今からが本番なんだからね。」
あごを引き上目遣いで、ロゼットはクロノに促すように言った。
「わかったよ。」
そう答えると繋がったままで、先程よりも身体の小さくなったクロノは、
一旦身体を引いて、ロゼットの両足を両脇に抱え直した。
「行くよ、ロゼット。」
「あっ、待っ…んぅ!!」
クロノが一突きだけしたところで、ロゼットはクロノにストップをかけた。
「どうしたの?」
「私がしてあげるわ…。今度はちゃんとね。」
身体の位置を最初の状態に戻すロゼットとクロノ。
ロゼットは再び、寝そべったクロノの上となる。
「ん、何か冷たいな…?」
クロノは自身の背中の辺りに違和感を感じて手を伸ばした。
「うわっ!!」
手についたそれを見てクロノは思わず叫んでしまった。
「何よ、アンタが出したヤツでしょ?」
どうやら身体を入れ替えた時に、二人の結合部から漏れ出たものらしい。
「ロゼットのだって混ざってるじゃないか!!」
よく見れば、それは確かに白がほんのりとピンクがかっているようにも見える。
「うっ…。」
クロノの指についたそれを目の前で見せられたロゼットは、それから目を離せなくなった。
「…私、もう清い身体じゃなくなったんだ…。」
どこか感慨深いかのようにロゼットはポツリとそう洩らした。
「ロゼット…、後悔してるのかい?」
クロノの問いにすぐには答えられず、ロゼットはクロノの胸に両手をついたまま俯いた。
「…。」
(シスターのクセにエッチしちゃって…、やっぱいけない事だったのかな?)
「ロゼット…?」
クロノは心配そうにロゼットの顔を覗こうとした。
「な、何よぉ、後悔なんかするわけないでしょ?」
突然、顔を上げると、ロゼットはそう言ってクロノの腹をパーンと叩いた。
「ぐへっ!!」
「きっと神様だって、エッチの1回や2回くらい大目に見てくれるわよ!!…多分…。」
「ロゼットォ…。」
思いきり腹に一撃を食らい、クロノは恨めしそうにロゼットを見た。
「ゴ、ゴメン…。ちゃんと気持ち良くしてあげるから…。」
(そうよ、好きな人とエッチするのがダメなんて神様は言ってないじやない!!)
「それじゃ行くわよ!!」
(そうでなきゃエッチがこんなに気持ち良いわけないもの!!)
「うわっ、ロゼット!!いきなりそんなっ…!!」
その晩、ロゼットとクロノは更に三度もエッチしてしまっのでした。
『シャーーーーー…』
「ねぇ聞いた?またエルダーが女子宿舎に珍入したって話。」
「ち、珍入って…。でも今回はシスターヘレンに捕まっちゃったんでしょ?」
「ま、これで当分はエルダーも懲りたんじゃない?」
『シャーーーーー…』
「あれ?ここ、誰か入ってた?」
「誰かいるの?」
「おーい!」
『シャーーーーー…』
マグダラ教会の女性宿舎内にある女性専用のシャワールーム。
厳格な教えを受ける若いシスターたちの数少ない憩いの場であるここには、
それぞれ区切られたシャワーが十数台設置されている。
そんな中、シャワーの音はするものの、誰とも会話を交わす事のない個室が一つあった。
『シャーーーーー…』
「おかしいわね…。開けてみよっか?」
「う、うん…。」
「えいっ!!」
一人のシスターが思いっきりカーテンを開けた。
「んん…むにゃむにゃ…クロノ駄目よぉ…。」
「ロ、ロゼット…。」
そこにいたのは立ったまま寝るロゼットその人であった。
「ロゼット大丈夫?」
「何かまたアンタ、最近居眠りばかりしてない?」
「そうそう、シスターケイトの話の途中で寝ちゃったりして怒られてたし。」
「ゴメ〜ン、最近ちょっと寝不足でねぇ…。」
シャワールームから切り上げたロゼットたちは、
ロゼットの居眠りを話のネタにそれぞれの部屋への道を歩いていた。
「ロゼットった確か、夜の見回りの仕事、自分からかって出てるんでしょ?」
「それで寝不足って言っても、そんな様子じゃねぇ…。」
「シスターケイトに言って代えてもらったら?」
「う、ううん。へーきへーき。ほら、大丈夫だって。」
腕を上げて力こぶのポーズをして見せるロゼット。
「そう言えば顔色だけは良いわよね、ロゼットって。」
「ホント、前よりも…何だか肌もすべすべしてるっぽいし。」
三人のシスターは、ジーッとロゼットのツルツルな頬を覗きこむようにして見た。
「何か秘訣とかあるの?」
「な、何でもないわよ!!私、あんまり健康とか美容とか考えないタイプだし!!」
「…。」
「それもそうか…。」
「ロゼットは元気だけが取り柄って感じだしねぇ。」
(お、おい…。)
「それじやオヤスミ。ロゼットは見回り頑張ってね。」
「おやすみー。」
三人はそれぞれ各自の部屋に入って行った。
就寝の時間を過ぎてからが見回りの時間だ。
ロゼットも自室へ戻り、その時間になるまでの間、もう少し仮眠を取る事にした。