【ディード】ロードス島戦記のSS【カーラ】

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190名無しさん@ピンキー
 ハイエルフは繁殖力が弱い。これは彼らが長命種である事が原因である。ほぼ不死に近
い彼らは必要以上に人口が増えないように、そういう種として生まれてきていたのだ。
 なにせハイエルフの子供となるとディードリットとエスタス以前は百年以上前に生まれ
たのが最後であり、彼ら以降には生まれてすらいないのだから。
 そんなハイエルフには性欲という物も薄い。繁殖欲という物が無いのだから、当然とも
言える。人間のように快楽という餌をもって繁殖するようにはできていないのだ。
 ディードリットが人間界に出てきた当初、彼女にはなぜ人間がこうも旺盛に繁殖行為を
繰り返すのかが理解できなかった。人間は溢れるほど地上に存在していたし、これ以上増
やす理由が理解できなかったのだ。
 だが、今ならば理解できる。
 子を作る、という目的以上に、この行為は愛情を交わすための行為なのだ、と。
 初めてパーンを受け入れたのは、英雄戦争が終わってザクソンに腰を落ち着けた頃だっ
た。パーンの性器を受け入れた時は身が裂けるような痛みを覚えたが、同時に安堵を覚え
たのをディードリットは思い出す。
「パーン……」
 寝台の上で自分を組み伏せた男の名を呼ぶ。
 鍛え上げられた肉体は下から見上げても美しい。そしてそこかしこにある傷跡。それは
彼が数え切れないほどの死線を潜り抜けてきた事を示していた。その殆どを、彼女は傍ら
にいた。
 肩口にある傷に舌を這わせる。この傷は自分を庇って受けた傷だった。
「ん……っ」
 ビクッと身体を震わせた愛しい男に笑いかけると、ディードはさらに舌で彼の身体を清
めていく。かすかにピリッとする塩味に興奮する自分を見つけ、口元に微笑みすら浮かべ
た。
「ディード……っ」
 自分が遊んでいる事に気付いたのだろう。パーンの声に不満そうな響きが混じる。と、
急に彼の太い腕が自分の細い足の間に潜り込んだ。
191名無しさん@ピンキー:03/07/08 00:28 ID:DQNHj/6K
「ひ……っやぁっ」
 下着の上から、指先が想像以上に繊細なタッチで彼女に触れてくる。パーンの全身を清
めている間に溢れた雫が、彼の指を濡らすのがわかった。
「濡れてるじゃないか、ディード」
「……くぅっ」
 頭上から愉しげな声。その声を聞きながら目を閉じ、ただ彼の指を感じる事に集中する。
「ひやっ!」
 ぬる、と耳の先端が濡れた何かに包まれた。思わず声を上げて、目を開く。
「ぱ、パーン……!」
「耳が弱いよなぁ。ディードはさ」
 長く伸びたエルフの特徴的な耳の先端を、パーンは舌先でつついていたかと思うと、ま
るで扱くように口の中に耳全体を含んでしまう。
 全身を真っ赤に染めながら、ディードは下半身と耳に襲う快感に身を震わせていた。
 下腹を襲うパーンの指技に追い詰められるように、ディードは段々と声を高めていく。
パーンの唇はそんなディードの耳から首筋へと進み、そこかしこに赤い跡を残していく。
「ひっやぁっ……はぁっひぅっ」
 急にパーンの身体が離れた。その体温が遠ざかる感覚に、思わず手を伸ばす。しかし
パーンはそんな腕をかわし、ディードの身体を掴んで、ひっくり返した。
「きゃぁっ!」
 寝台の上で尻を掲げるような格好で四つん這いにされる。パーンはそんな彼女の上に覆
いかぶさるように乗ると、片手を小ぶりな胸へ。片手を既に雫で溢れた下腹部へと伸ばす。
「ぱ、パーン!? ちょ、こんな格好……! はぁんっ!」
 抗議の声を消し去るように、パーンの指が滑り込む。ぐちゅぐちゅと音を立てるのを感
じて、ディードリットはカァッと全身が熱くなった。
「パーン! ねえ……ひゃうっ!」
 レイリアや大ニース、フィアンナ女王に比べても、あからさまに小ぶりな胸を撫で回さ
れる。ピンととがった先端を指先で摘まれると、じわじわと快感が広がっていくのが分か
る。
192名無しさん@ピンキー:03/07/08 00:28 ID:DQNHj/6K
「ちょっと! パーン!」
「ディード」
 抵抗しようとした矢先に耳元で囁かれる。抵抗しようとする意思は、それだけで萎えた。
 なんて事だろう。彼の声はそれだけで自分の心を魅了する。
 自分にしかかからない魅了の魔法に、ディードはただ彼の指を感じる事に決めた。
「ん……ふん……はぁ……」
 甘い吐息が漏れる。そのたびに、自分の身体に触れるパーンの手は、情熱的になってい
く。
「パーン」
 ただ一言だけ、彼の名を呼ぶ。
 それだけで良かった。互いに、あとは最後の坂を駆け下りるだけだから。
 ごろり、と寝台の上で転がり、再び彼と正面から向かい合う。
 気がつけば下着は脱がされていたらしい。薄い金色の下生えはしっとりと濡れて輝き、
目の前にいる男を誘っていた。
「ああ」
 言葉少なくパーンは頷くと、ゆっくりと下着を下ろす。
 屹立した性器は血管を浮かび上がらせて、ビクビクと震えている。その姿に、最初は驚
き、怯えもした。
 けれど今は、その姿に愛しさすら覚えるのだ。
「いくぞ……ディード」
 パーンの言葉に頷き、かすかに腰を持ち上げる。
 ぬちゅ、という音が聞こえたかと思うと、一息に身体を貫く衝撃が全身に響く。
「は……あっ!」
「……くっ……きつい……」
 パーンの漏れた声。ディードもまた、息を吸うことができずにいた。
 未だ未成熟な彼女の身体は、パーンのそれを受け入れるには小さいのである。その締め
付けの強さにパーンは精を漏らしてしまいそうになりながらも、必死に歯を食いしばって
堪える。
193名無しさん@ピンキー:03/07/08 00:29 ID:DQNHj/6K
 彼女の中は確かにきついのだが、同時に暖かく湿っている。さらには、その先端にはざ
らりとした部分があって、擦るだけで達してしまいそうになるのだった。
「いいぞ……ディード」
 腰を前後に揺らす。そのたびに、ディードのさらされた白い喉が嬌声を上げる。
 艶に満ちたその声はパーンの意識を絡め取り、さらに腰の律動を求めさせた。
「パーン…パーン…パーン!」
 腰に絡めた細く白い足が、律動を助ける。
 密着した秘部が粘着質な音を立てて、ぶつかり合う。そのたびに、ディードは脳の芯か
ら蕩けそうな快楽に焼かれていくのだ。
 汗だくになりながら、互いの肉体を貪りあう。それはディードにとって、ハイエルフと
して生きてきた二百年近い時間が砂のように思えるほどに、鮮烈な快感だった。
「出して……!」
「出すぞ……!」
 ぐい、と腰を押し付けて、ディードの奥深くへと潜り込む。身体の奥深くで広がる自分
以外の熱を感じて、ディードは最後の快楽の階段を駆け上る。
「あ、ああああああっ!」
 パーンの腰に絡めた足を解く事なく、身体の奥底へと放たれた精を感じて意識を飛ばす。
 世界が白くなる。
 それは魔法を使う時のトランス状態に似た、けれどまったく異種の快楽だった。



194名無しさん@ピンキー:03/07/08 00:33 ID:DQNHj/6K
「……ド。おい、ディードってば」
 肩を揺すられて、目を開いた。
 ふかふかの寝台の上に横たわったまま、しばし呆と天蓋を見上げる。
 そして、横に視線をずらす。そこにはベッドに腰かけて座り、こちらを心配そうに見つ
める男の姿があった。
「パーン……?」
「よかった。目を覚ましたんだな」
 安堵の息を吐いた彼に、ディードは首を傾げる。
「……い、いや。最後の方、結構無茶したから、ディードが気を失っちゃって……」
 顔を真っ赤にして、しどろもどろになってブツブツと呟く青年に、ディードは微笑む。
 手を下腹に添えると、そこには今も彼の命の素があるのを感じる。
「大丈夫よ。……フフ。パーンってば、いっつも激しいんだから」
「んなっ! そ、そんな事は……」
「無い、なんて言わないわよねー?」
 ごろり、と転がってパーンの膝に頭を乗せる。金色の髪の感触に、思わずパーンがビク
リと震えた。
「……子供ができたら良いのにね」
 寂しげなディードの呟きに、パーンは微笑んだ。
「そうだな」
 ディードリットの金色の髪を指先で梳りながら、頷く。
「ディードの子供なら、きっと可愛らしいんだろうな」
「パーンの子供なら、きっとヤンチャで無鉄砲で向こう見ずな子供ね」
 顔を見合わせ、笑いあう。
「寝るか」
「そうね。目の下に隈なんか作ってたら、陛下になんて言われるか分からないわよ?」
 広い寝台の上で、手を繋いだまま横たわる。
 フレイムの夜は、そうして更けていった。