【梨紅タン】D・N・ANGELのハァハァ小説【梨紗タン】
744 :
125:03/08/30 23:16 ID:K+LyNIHv
朝目覚めた時のように意識がはっきりと覚醒した。
「って、落ちてるうぅぅっっ!?」
浮遊感を感じたと思うとすぐに下に引っ張られていく。
「うわわあぁぁあぁっっっ!!」
「慌てるな」
(さっちゃん冷静すぎ!)
もう声も出せない。体勢を立て直そうにもすでに勢いがつきすぎている。
ただ地面に向かい一直線に落下していく。
「案ずるな。間に合った」
え、と思う間もなく僕の身体が上のほうから引っ張られる。
「ぐへっ」
かえるが潰れたような声を出し、さっきまでとは逆に身体が上昇する。
「ウィズ!」
「ンキュウ」
そいつの名前を呼ぶと嬉しそうに声を上げ、僕を屋上へと運んでくれた。
「キュウゥ……」
僕を屋上へ降ろすとウィズが白い毛玉のように丸まった元の姿へと戻った。
降り続ける雨に濡れて体力を消耗しすぎている。
745 :
125:03/08/30 23:17 ID:K+LyNIHv
「ありがとうウィズ」
ウィズに礼を述べて屋上をぐるっと見回した。
「いない?」
「彼奴め。もう動けるのか」
「あれからどのくらい経ったの」
「十秒かそこらだ。まだ遠くまで行っておらんはずだ」
「わかった」
急いであいつを追おう。さっき頭に過ぎった嫌なイメージみたいなことはもうあっちゃいけない。
「待て」
駆け出そうとする僕をさっちゃんが呼び止めた。
「ウィズの努力を無にする気か?あれを、蒼月の鏡を身につけい」
眠っているウィズの横には薄暗い今でも淡く光りを放つ蒼月の鏡が転がっている。
「身につけるって?」
「裏側に腕へ固定するためのものがついておる」
「本当だ」
鏡の裏にはさっちゃんが言ったとおり腕に丁度はまるように器具がついている。
「昨日そいつと一緒に壁にかけられたとき気付いた。おそらくそれが本来のそれの使い方だ」
がきんと腕に鏡を装着した。こうやって見ると、鏡というよりも……。
「いや、そんなことより早く梨紅さんを探さないと」
「あの小娘を追っていったと思うか。まあ間違いなかろう」
ウィズを雨に濡れないように懐に入れて、僕は梨紅さんを追って駆け出した。
「探しながらでいい。我が言うとおりにそれを使え。それを――」
746 :
125:03/08/30 23:17 ID:K+LyNIHv
「はあっ、はあっ、ん……は、はぁっ」
梨紅は走り続けていた。ただがむしゃらに、大助が言ったように逃げていた。
雨で濡れた服の重さがラクロスで鍛えた梨紅の体力を吸い取るように消耗させていく。
(なによ、なんなのよあれって!)
自分の身に降りかかった非現実な出来事に混乱し、どうしていいかわからずにただ走り続ける。
闇雲に走り回ったせいで、そこが居住区から少し離れていたことに気付かなかった。
「あうっ」
足を滑らせて前のめりに濡れた地面に激突した。
「うう……」
痛くて、気持ち悪くて、理解ができていないが、それでも大助が言ったから、彼女は走り続けようとした。
だが、雨が降り続ける中で微かに、しかし聞き違えることのない音が梨紅の耳に届いた。
「あ――」
ぱしゃぱしゃと水を踏みながら、前方の闇から人影がすっと現れた。
「あ、あっ」
意味のない音だけが喉から漏れる。這うように後ろへ下がっていく。
(丹羽くん……は?)
あいつがここにいるということは、つまり、そういうことなのか?
梨紅の中でどうしようもないくらいぽっかりと大きな穴が開き、そこから虚無感が押し寄せてくる。
男が駆け寄ってくる。もう無理だ、諦めだけが梨紅の胸を占めた。
「――くさん!!」
747 :
125:03/08/30 23:18 ID:K+LyNIHv
ああ。
またあの少年だ。
せっかく獲物が目の前にいるのに、彼がまた立ちはだかった。
獲物を守るように上空から降り立ち、また立ちはだかるのか。
あれだけ傷を負わせ、恐怖を植えつけ、それでも立ちはだかるのか。
いや。
止めを刺さなかったほうが悪いか。
大丈夫、安心しろ。次こそちゃんと仕留める。
これで最後にしよう。
こちらに向かってくるその頭に、右腕をぶち込んでやろう。
あんなに短い剣を構えても無駄だとわからないのだろうか。
腕を振り上げ、そして狙った一点に振り下ろした。
「――今だ、防げ!」
さっちゃんの掛け声にあわせて左腕をかざした。
装着した蒼月の鏡が振り下ろされてきた紅円の剣の剣撃を受け止めた。
腕にビリビリとした衝撃が伝わる。
(けど、斬れてない!)
748 :
125:03/08/30 23:19 ID:K+LyNIHv
蒼月の鏡なら防ぐことができる。そう思った瞬間、
パリィィィン
「割れたぁっ!?」
鏡が音を立てて粉々に砕けた。
「いや、これでいい……と思うがな」
「なにそれっ……?」
腕に残った鏡の装飾部が光りを強く放ちだした。
淡くぼんやりとするだけだった光りがその町の一角だけを蒼く染める。
「これって……?」
「ふふん。喜べ、賭けは我らの勝ちだ」
勝ちとはどういうことか飲み込めない僕の頭の中にさっちゃんとは別の声が聞こえてきた。
「あら?おはよーございます」
「んんっ!?」
その妙に間延びしたような呑気な声がまったくこの場にそぐわない。
「やっと起きたか、レム」
レムっていうのは、今頭の中に聞こえた声の人物のことなのか?
「あ、さっちゃん!おひさぁ」
「挨拶はいい。目覚めて早々ですまんがお主の魔力をすべて我によこせ」
「えぇっ!?なんでどうして!ってもう吸われてるうぅぅーー……」
腕の装飾から魔力がしぼむように小さくなり、右手にした短剣に爆発するほどの力が集中していくのが僕にもわかる。
749 :
125:03/08/30 23:21 ID:K+LyNIHv
「うわあぁぁぁぁっっっ!!」
逆手に構えた短剣で薙ぐように男の腹部へ斬りつけた。
眩い閃光が視界を奪う。
耳をつんざくような不可聴の音が周囲の建物に亀裂を生じさせる。
そして金属が地面へ落ちる甲高い音がかろうじて聞こえた。
白い世界に覆われていた視界がが少しずつ現実の世界を捉えだす。
斬りつけた体勢のままの僕の足元に、真紅の刀身をした剣が雨に打たれていた。
短剣を鞘に収めて右手でその剣を拾い上げた。
「やった……の、かな?」
その問いかけに答えてくれる声はなかった。けど、僕にはわかっていた。
「……は、はは。そっか、やったんだ」
そう思うと急に足腰から力が抜けて、建物にもたれるようにして腰を下ろした。
「紅円の剣、いただきました」
怪盗らしくそう言っておいた。しばらく、このまま動けそうにない。
遠くのほうからばしゃばしゃと水飛沫を立てて駆け寄ってくる人の姿が目の端に映った。
「丹羽くん!」
動けない僕の顔を梨紅さんが覗き込んできた。
「大丈夫!?あ、ああ大丈夫じゃないよねっ、こんな切り傷いっぱいで……ッ!」
「無事で、よかったよ」
石みたいに思い左腕をなんとか上げ、彼女の頭をそっと引き寄せた。
「ホントに、よかった……」
「に、丹羽くん、……ぅぐっ、ひぐっ」
心底安心した僕がそう囁くと、堪えてきたものが決壊したように梨紅さんがしゃくり上げた。
「もう大丈夫だから。絶対に」
なだめるようにして、彼女にずっと声をかけ続けた。
降りかかる雨をひどく鬱陶しく感じてしまう。
750 :
125:03/08/30 23:22 ID:K+LyNIHv
しばらくそうしていると、泣き疲れた梨紅さんが僕に寄りかかるようにして寝息を立て始めた。
僕もそのまま寝てしまいたいと思ったけどさすがにそうもいかない。
「ウィズ」
名前を呼ぶと僕と梨紅さんの間からウィズがもぞもぞと姿を現した。
「飛べるかな?」
雨はまだ降り続いている。ウィズは首をぶんぶんと横に振った。
「そっか。じゃあ歩いていくしかないね」
立とうとしたけどまだ身体中が軋むように痛い。
「まだ動けないか。いててっ」
再びどすんともたれかかった。その時、首から提げた短剣が音もなく崩れ去った。
「…………え?」
僕が疑問に思っている間にも短剣は、砂が風に飛ばされるようにさらさらと、この世から消え去った。
「さ、っちゃん?」
呼びかけても答えは返ってこない。
「さっちゃん?ねえ、さっちゃん!」
首だけを廻らせて周囲に何度も呼びかけた。
「なんだ、騒々しいぞ」
どこからか答える声がした。
「え、さっちゃん……?」
けど、何か違うと思った。その違和感の正体はすぐに察しがついた。
僕が訝しく思ったのは、その声がいつものように直接頭に響くようなのじゃなくて、肉声が耳から聞こえてきたからだ。
それになんというか、口調は間違いなくさっちゃんだけどすごく若々しい、というか幼い感じがする。
「呼んだか?」
梨紅さんの影になって見えなかったところからぬっと人影が生えてきた。
「え、え、ええぇぇぇっっ!!?」
その容姿は、彼女特有の小悪魔的な雰囲気を残しつつ、それを小学校中学年まで引き下げたような、そんな感じだ。
もちろん彼女というのはさっちゃんのことだ。
「どうし、どうして、って、あれ……?」
混乱したせいか、なんとか保っていた僕の意識はぐんぐんと引きずり込まれて堕ちていった、
751 :
125:03/08/30 23:22 ID:K+LyNIHv
雨が降り続ける中、一人の男が傘も差さずに一軒の家の前に立っていた。
その家の表札には『丹羽』と書かれている。
「久しぶり、かな?それとも……」
何と言って家に入ろうかなどと考えつつ、彼は玄関のドアを開けた。
次回、パラレルANGEL STAGE−06 幼女との死闘
きたー!!
アクション巨編きたー!!
幼女なさっちゃんきたー!!
梨紅に色々と見せちゃったけどどうなるのかな。
梨紅vsさっちゃんの女のバトルが始まるのかな。
続きをまたまた期待!
キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!
最近、125氏はここのアップが早いですねぇ・・・
嬉い限りです!!
梨紅は・・・なにやら大変な事になりそうですなww
んで、新キャラのレムタソこの性格は・・・
(゚∀゚)イイ!!じゃないですかぁw
しかも、最後の男はもしや・・・もしや・・・
坪うt・・・・ゲフンゲフン
期待ばっかだけど、キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━イ!!!
ついでに、729氏にも、キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━イ!!!のエール!!
キタ━━━━━━━ヽ(゚∀゚)ノ━━━━━━━ !!!!!!!!!!!!
次回もツインズです! じゃなくて原田姉妹と精霊達に幸あれ。
>>730 それじゃ、次スレに行ったらネタを考えてみます。
おぉ!はじめてここに来たけどすごい人がいる!
続き楽しみにしてまふ。
とりあえず、保守。
125氏がんばってねぇ〜
みんなも応援汁!!(w
よ・・・・・ 読む時間が・・・・・・・・・・・___| ̄|○
>>758 いつでもくればいいさ!!
その時間じゃさすがに読めないさぁ
○
/\
_| ̄|○| ̄|_
専用ブラウザ使ってるからわからんのだけど、
あと容量どれくらい?
(・・・IEで見れば良いのでは・・・)
>>760 かちゅーしゃでもスレ容量は表示されますよ。
現在479kbです。
>761
thx
A bone使ってるんで・・・(汗)
512-479=33・・・・・・ま、なんとかなるよねw
>>762 でもSSを投下するには微妙だよねw
用心のために次スレのテンプレは用意しておく?
>763
そだね。ww
じゃあ、テンプレとローカルルール(・・・あるか!?)などをまとめておいて、
あとは、125氏がstage06ができたら、報告してもらって、
それから、立てればいいかな?
梨紅たんショートだから結構描きやすい・・・。
766 :
125:03/09/04 02:01 ID:xVqmUpsV
>764
パラレルのほうはもうすぐApartが終了しますよ。
ん〜では、次スレ立てます?
とはいっても、まだ日が浅いんで、立て方よく知らないからな・・・
一応、挑戦してみます。
やっぱ駄目でした _| ̄|○
すいません・・・どなたかおねがいします・・・
やっぱスレタイは
「D・N・ANGELのハァハァ小説 Stage2」
でつかね?
あとは・・・
・801は801板で
・原作や、アニメの話以外は、「大っ嫌いよ!!」って方はご遠慮ください。
・↑に準ずる方もご遠慮ください。
ぐらい?
下手ですいません・・・
長文が多く、スレ数以上に容量を食うので、480kbを目安に次スレの準備を。
こんなのは?
770 :
名無しさん@ピンキー:03/09/04 19:54 ID:If8kUkAi
スレタイは今回の形式を引き継いで
「【トワタン】D・N・ANGELのハァハァ小説 Stage2【瑪瑙タン】」をキボンヌ
若しくはフリーデルトタンと時の秒針タンかで悩みたい
Stage2を第2巻とかでもいいかも
個人的な意見なので流してくれても結構でつ
771 :
770:03/09/04 19:56 ID:If8kUkAi
ageてしまった・・・スマソ
【トワタン】D・N・ANGELのハァハァ小説 Stage2【瑪瑙タン】
☆前スレ☆
【梨紅タン】D・N・ANGELのハァハァ小説【梨紗タン】
url略
★注意★
・801は801板で
・原作やアニメの話以外は、「大っ嫌いよ!!」って方はご遠慮ください。
・↑に準ずる方もご遠慮ください。
・480kbを目安に次スレの準備を。
・sage進行でマターリとss職人さんを待ちましょう。
今の所こんな感じで
何か注意に入れる事ありますか?
>>772 初めと終わりは今のままでもいいのでは??
ネタ的に見ても、梨紅・梨沙が多かったし、検索したときに
大抵皆梨紅とか梨沙で検索するのでは??
>>772 保管サイトへのリンクは要らないかな?
知らない人もいるかも。
>773
たしかにそうかも・・・
梨紅梨沙は検索もネタもおおいよな・・・
まぁ、梨紅がダントツだが・・・w
それは抜きにして、その方向がいいかな?俺は。
あと、注意のところで
・原作やアニメの話以外は、「だいっっキライよっ」って方(ry
に変えといてください(汗
ちょっと、気に入ったセリフだったので表記もあわせようとおもって・・・w
【梨紅タン】D・N・ANGELのハァハァ小説 Stage2【梨紗タン】
☆関連スレ☆
【梨紅タン】D・N・ANGELのハァハァ小説【梨紗タン】
url略
2chエロパロ板SS保管庫
url略
★注意★
・801は801板で
・原作やアニメの話以外は「だいっっキライよっ」って方はご遠慮ください。
・↑に準ずる方(ry
・480kbを目安に次スレの準備を。
・sage進行でマターリとss職人さんを待ちましょう。
他にも書き足しor変更点あれば
次スレ立てるのは800ゲトしたヒト辺りで?
>776
125氏をあんまり待たせるのもどうかと思うケド、
まぁ、800ぐらいまでは、まったりしながら、テンプレ練ってもいいし、
もちろん、A partも完成するみたいだから、
適当なところで建てちゃってもいいと思うさぁ
まぁ、800でいいかな?
(取らないようにしないとな・・建て方知らないし・・・汗)
>>777 まあ、パラレルANGEL1話分くらいなら残された容量でも収容できるんだが。
779 :
125:03/09/04 22:31 ID:xVqmUpsV
>>778 でしたら投下しますよ。Apartだけですが。
780 :
773:03/09/04 22:44 ID:VD0XGDAc
781 :
125:03/09/04 22:50 ID:xVqmUpsV
玄関のチャイムが鳴らされる。
まどろみかけていた意識が呼び戻され、原田梨紗は玄関まで駆けていった。
「梨紅っ!」
ドアを開けると同時に帰りを待っていた人の名前を口にした。
そして、そこに立っていたのは原田梨紅ではなく、彼女を背負った丹羽大助だった。
「丹羽くん、梨紅、梨紅は?!」
「大丈夫。気を失ってるだけだから」
彼は微笑むが、身体中あちこち刻まれている切り傷が痛々しい。
「その傷……」
「そんなことより早く梨紅さんを。雨に打たれて身体が冷えちゃってる」
「でも、丹羽くんだって傷の手当てしないと!」
「僕は平気。だから梨紅さんをお願い」
梨紗の言うことをそっと断り、梨紅を床の上に降ろした。
「服を着替えさせて身体拭いて、しっかり暖めてあげて」
「う、うん」
「じゃあ僕は帰るよ。それじゃ」
「あ、待って」
玄関から出て行く大助の背中に呼びかけるが、彼には聞こえないのか、そのまま扉を閉めて姿を消してしまった。
「…………ありがとう」
彼女は彼に言えなかった台詞を口の中で小さく呟いた。
782 :
125:03/09/04 22:51 ID:xVqmUpsV
痛い。身体中がぎしぎしと悲鳴をあげている。
ここまで歩いてこれたのは原田さんに梨紅さんを探すという約束をしていたおかげだ。
それが終った今、僕にはもう歩くほどの気力も体力も残されていない。
玄関を出ると倒れそうになるのを堪え、雨の止んだ世界を踏みしめて歩き出した。
「終ったか?」
フラフラと危な気な足取りで歩く僕を支えるように、鏡――ではなく、
盾を抱え、剣を背負った少女がぴったりとくっついてきた。
「うん、帰ろうか」
ウィズを呼ぶとさっちゃんの肩からひょっこりと顔を覗かせた。
「いける?」
「キュッキュッ」
身体が乾いたおかげですっかり元気を取り戻したみたいだ。元気に返事をしてくれた。
「じゃあ帰ろう。さっちゃん、掴まって」
ウィズが黒翼に姿を変え、さっちゃんが前から腰にしがみついてきた。
「うんん、すりすり」
「……さっちゃん」
「なんじゃ」
「どうして股間に顔を埋めて頬擦りしてるの?」
「おお、悪い。久々の生の男を前に少し自制できなんだ」
「まあ、いいけどさ」
ぶわっと翼を扇ぎ、上空へと飛翔した。
783 :
125:03/09/04 22:52 ID:xVqmUpsV
「ねえさっちゃん」
「どうした?」
前にしがみつかれると飛びにくいと言うと、渋々背中に乗ってくれたさっちゃんに訊いた。
「どうしてそんな姿になっちゃったのさ」
「そのことか。説明してなかったな」
「うん」
「レムから魔力を譲り受けた時にその量が多くてな、一時的に実体化することでその魔力を外へ逃がしたのだ」
「どうして外に逃がしたの」
「そうせねば短剣という器に収まりきれぬ魔力が漏れてしまい予測できぬ事態が起こることがあるからな」
「そっか。じゃあどうして短剣は崩れちゃったの?」
「おそらく我の魔力の増強が急すぎて耐え切れなかったのだろう。それにもともと戦闘には向かぬ代物であったしな」
「へー。あ、それともう一つ訊いていい?」
「何でも訊いてみろ」
「蒼月の鏡……じゃなくて盾、かな。とにかくさ、今も言ってたレムっていうのは」
「ああ。察しの通りこれに宿る精霊の名だ」
盾をこつんと叩いて答えた。
「ちなみにレムはゴーレムと呼ばれる種族の一人だ。主も聞いたことくらいはあろう?」
「ゴーレムって、なんかごつごつしてるあれ?」
「そう、それだ」
「へー。でもさ、僕が夢で見た女の子はそんなのとは全然違う細い娘だったよ」
「見た目で判断するな。現にこやつはあの紅円の剣の一撃を防いだだろう?」
「それって関係あるの?」
「精霊が宿った物にはその精霊の特性が少なからず影響する。だからこれも盾として機能したのだ」
「へー」
「勉強になったか?」
僕より幼い女の子が得意げに聞いてくる。ちょっと複雑な気分だ。
でも僕には魔力やそれに関する類の知識がまったくない。さっちゃんに頼ってしまうのも仕方がないことだ。
784 :
125:03/09/04 22:53 ID:xVqmUpsV
さっちゃんと話しているとすぐ家に着いた。
家を出たときと同じように部屋のベランダから自分の部屋へ戻った。
ベランダに足がつくと途端に身体が重くなり始めた。
「うっ……」
ふらっとからだが揺れて窓にどんともたれかかった。
「本当に大丈夫か?今日はもう休んだほうがいいぞ」
「う……ん、そうするよ」
窓を開けて部屋へ入った。
「お帰り」
「ただいま」
のそのそと二段ベットに上りごろんと寝っ転がった。
「その様子だと大分疲れたようだね」
「うん……」
天井を眺め、すぐに瞼が重くなってくる。
「ん?そっちの少女はどちらの娘さんかな?」
「我は主に仕える精霊だ。今は訳あってこのような姿をしている。で、貴様は誰だ」
「僕は丹羽小介。そこで寝ている大助の父さんだよ」
「って父さん!!?どうして僕の部屋にいるのさっっっ!!」
がばっと跳ね起きた。
「やっと気付いたのか」
ははっと僕に笑いかけてくるのは紛れもなく僕の父さんだ。椅子に腰掛けている。
「どど、どうして父さんが?っていうかいつ帰ってきたの?」
「ついさっきだよ。ちゃんと帰るって手紙出したんだけど、笑子さんに聞いてなかったのかい?」
「全然。そんなこと言ってなかったよ」
「笑子さんも意地悪だね」
「あー……、親子水入らずのところ悪いが」
僕と父さんが話しているところにさっちゃんが口を挟んできた。
「主よ。我のことが見つかったが、それは構わんのか?」
785 :
125:03/09/04 22:54 ID:xVqmUpsV
それから父さんにさっちゃんのことを話した。
どうして僕に仕えているか、どうして今こんな姿をしているかを。
もちろん恥ずかしい部分は伏せてだけど。
「ふむ。それは少しまずいかもしれないな」
「どうして?」
さっちゃんがこの姿になったことを話すと、父さんの表情が曇ってきた。
「この実体化は一時的なものなのだろう?」
「その通りだ」
「なら、君は時間が経てば元の鞘に納まらなければいけない」
「うむ」
「でも、その短剣はすでに消滅している」
「あ、そうか」
「短剣の代わりを見つけてあげないとさっちゃんがどうなってしまうかわからない」
「代わり、代わりの美術品か」
「ふふん、その心配ならせずともよい」
頭をひねって考えようとしていたらさっちゃんが自信満々といった感じで言ってきた。
「これを使えばよかろう」
彼女が掲げたのは、
「紅円の、剣?」
「それでいいのかい?」
「うむ」
大仰に頷いた。
「でも、美術品は母さんに」
「いいではないか。これはもともと主が手に入れたものだ」
「さっちゃん……」
「父さんもいいと思うよ。盗んでこいって言われたわけでもないんだしね」
「父さんまで……」
「そういうことだ。我の新しい器はこれに決めた」
786 :
125:03/09/04 22:55 ID:xVqmUpsV
「じゃあ寝る前に傷の手当てをしないとね」
「え……」
「そんなぼろぼろの格好で明日は学校に行く気かい?」
「あ、そっか」
「救急箱を取ってくるから待ってて」
父さんが腰を上げて部屋から出て行った。
「いい親父殿だな」
不意にさっちゃんがそう言ったので照れくさくなった。
「うん。僕もそう思う」
787 :
125:03/09/04 22:55 ID:xVqmUpsV
ふわふわと身体が軽い。――夢だ。
「今日もするのか」
実体化しているときくらい夢には出てこなくてもいいじゃないか。
そう思いつつ辺りを見回した。
「あれ?」
いつものように梨紅さんが現れる。そう思っていた僕は間抜けな声を上げた。
なぜならそこにはメイド服でショートヘアで眼鏡っ娘の女の子がぐったりと倒れていたからだ。
昨日の夢に出てきた女の子、つまり蒼月の盾に宿る精霊のレムさんだ。
「君、大丈夫?」
側に駆け寄って身体を揺すってみると、声を漏らして目を薄っすらと開けてきた。
「……あ」
目が合った。すると、
「ご主人様だーっ!」
がばっと抱きつかれた。
「うわわわわぁっ!?」
僕はそのまま、身体の小さな女の子に押し倒されてしまった。
「んふぅー」
嬉しそうに頬擦りをしてくる。
「ま、待って待って!」
「ふにゅ?」
そう言うと目をぱちくりさせて首をひねった。
「あのね、どうして僕が君の主人になってるの」
僕が訊ねると彼女ははじけるような笑顔で答えてきた。
「さっちゃんにあれを吸われてる時にいろいろ見えたのです」
「あ、あれって……」
「それでわかったのです。あなたがさっちゃんのご主人様で、だから私のご主人様になってもらうのです」
「いや、そんな一方的に決められても……」
「私のことはレムちゃんと呼んでください」
「あのさ、だから……」
「それにさっちゃんに吸われた魔力も補給しなくてはならないのです」
「それって、つまり……」
「それでは今日はさっちゃんに代わって、僭越ながら私が奉仕させていただきますよー」
788 :
125:03/09/04 22:56 ID:xVqmUpsV
「そんな……ああッ」
舌で胸をくすぐられて素直に反応してしまった。
「ご主人様、敏感ですねー」
レムちゃんの目がぎらぎらと光っている。明らかに楽しんでいる。
それに敏感なのはさっちゃんのせいだ。すっかり性に対して貪欲になってしまった自分が情けなく感じる。
「敏感なのはいいことなのです。やるほうもやられるほうもびんびんになるのです」
可愛い見た目とは裏腹にとても過激なことを言っている。きっと彼女もさっちゃんに汚染されたのだろう。
でもこんな可愛さが溢れる感じの娘は、ちょっと虐めてみたくなる。
「じゃあさ、レムちゃんも敏感なのかな?」
「ふぇ……きゃッ!」
上に乗っていたレムちゃんと身体を入れ換えた。
手を押さえつけて、さっきされたことを返すように頬擦りをした。
「ひゃうッ、くすぐったいのですぅ」
「くすぐったいのはいいからさ、服脱がせてもいい?」
「も、もう本番ですか!?もっとゆっくりとしてください」
「ダメ。もしかしてレムちゃん、言うこと聞いてくれないの?」
「そんな悲しそうな目で見つめないでください。胸がぎゅぅってなっちゃうのです」
「じゃあ脱がせてもいいんだね」
「あうぅ……どうぞ」
涙ながらに背中を向けてきた。じゃあ遠慮なく脱がしてみよう。
さすがにメイド服の脱がし方なんて知らないけど、なんとなくでやってみた。
背中についていたボタンを三つ外すと、さっちゃんと同じくらい白い彼女の肌が露になった。
上をはだけさせて、ぷくっと膨らんでいる胸を優しく揉んであげる。
「んうぅッ」
「レムちゃんも敏感だね。可愛い声」
「は、恥ずかしいですよ、ァンッ!」
始めは僕のほうが喰われちゃうかと思ったけど、やっぱりこんな娘は虐めるほうがいい。
789 :
125:03/09/04 22:57 ID:xVqmUpsV
調子付いた僕はふにふにとした小振りな胸を揉む指に力を加えていった。
「はぁんッ、ご、ご主人様、とっても上手ですぅッ!」
思った以上の感じ方だ。この娘、本当は受けのほうだなと直感した。
「そんなにいい?」
「はいぃッ、き、気持ちよすぎて死んじゃいそうですぅッ!」
レムちゃんの感じ方は本当に死んじゃいそうな程だ。
まだ胸しか弄っていないのに、僕の胸に触れる彼女の背中は熱く、汗もどんどん噴き出している。
「息も絶え絶えだね。苦しいかな」
「あ、ああッ!く、るしいですッ、早く、イかせて欲しいのですッッ」
さっちゃんでは見ることがほとんどできない喘ぎまくる姿にどんどん興奮してきた。
「……あ」
そこでちょっと思い当たることがあった。
「ねえレムちゃん」
「あぅ……なんですか?」
胸を弄られるのをやめられたせいか、物寂しそうな表情を向けてきた。
「君もさっちゃんみたいに、魔力がなくなってるから感じやすくなってるの?」
そんなことがあったと思い出した瞬間、自分の実力で喘がせているんじゃないのかと不安になった。
「それはさっちゃんだけですよ。私は普段からこんな感じなのです」
でもレムちゃんの口からそう聞いたら、さっきまで抱いていた不安がすっきりと消えていった。
「そうなんだ。じゃあ僕は、自信持っていいのかな?」
「はいです。だからお願いです、早くご主人様の、入れてください」
入れます。
不安の代わりに興奮がどんどん溢れてきてもう我慢できない。
790 :
125:03/09/04 23:00 ID:xVqmUpsV
「お尻出して」
突き出されたお尻にかかるスカートをぺろりとめくると、水色の縞々のストライプのショーツを穿いていた。
ショーツの股間部が、筋がわかるように湿っている。
膝までショーツを下ろすと、小さなお尻に皺のよった蕾、粘膜で光る秘裂が姿をみせた。
「きれいなお尻してるね」
すべすべしたお尻を撫で、すぐさま割れ目に僕のを押し付けた。
そういえば昨日無理矢理入れたときはとてもきつきつだったけど、今日は入るのだろうか。
(なんて考えるよりまずは動かないとね)
「ひぐッ、んんッ!」
ぐにっとレムちゃんの中へ押し込んだ。すると昨日はあんなに挿入を拒んでいたそこにするすると入っていった。
膣がぐちょぐちょに濡れているせいだろうか、呑み込まれるように最深部まで到達した。
彼女の膣壁は中ほどの圧迫感が強い。もともと狭い道がさらにきつくなっている。
堪能するようにゆっくり腰を引くと、その狭いところで雁首が圧迫されて気持ちいい。
「は、はぐぅッ、い、いいですッ」
「僕もだよ。ほら、ほら」
バックからぱしぱしと出し入れを繰り返すと、そのたびに快い鳴き声が耳に届いてくる。
さっちゃんとは違う挿入感に、もう果ててしまいそうだ。
でもまだ堪えることができているのは、レムちゃんをもっと虐めたいという虐待心のおかげだ。
「はうッ、あう、んぎッ、ぐッ」
突くたびに上げる声が性欲を煽ってくる。
久々の攻めに酔いしれ、今回の夢はさっちゃんとやる時より長く、多くしてしまった。
791 :
125:03/09/04 23:06 ID:pcfmQmtd
「ふいー」
起きてまず出たのは欠伸ではなく、満足からくる悦びの声だった。
(今日はちょっとしすぎちゃったかな)
反省しつつトランクスの中へ手を伸ばした。
「あれ?濡れてない……」
でも今日はなぜか精子が出ていない。いつもと違っていることを訝しく思っていると、
「おや、起きたか」
僕の横でさっちゃんが寝ていた。驚いて身体が強張った。
「いやしかしこう口が小さいと奉仕もしにくいな」
「え、えっ?なに言ってるのさっちゃん!」
「しかし現実で久々にあれを飲めたのだ。満足満足」
「あれ!?あれってあれのことなの?!」
自分でも何を言ってるかわからなくなってきた。
「ふいー。今日は疲れた。もう少し寝させてもらおうか」
そう言ってさっちゃんはまたベットに潜り込んでいった。
「現実でも、弄ばれてたんだ……」
なんだか急に身体がぎしぎしと痛み始めた。
朝食は家族四人でテーブルを囲んでとった。
母さんもじいちゃんも楽しそうに父さんと会話していた。
僕は父さんがさっちゃんのことを言ってしまわないかどうかはらはらしてたけど、そんなことはなかった。
ついでに家を出る前に、部屋で寝ているさっちゃんのことを父さんに頼んだ。
父さんは簡単に了解してくれた。父さんに感謝しながら、僕は学校へ向かった。
792 :
125:03/09/04 23:07 ID:pcfmQmtd
教室に入ると、
「あ」
僕の顔を見るなり原田さんが腕を引いて僕を廊下に連れ出した。
「なに、なんなの?」
腕を引かれると痛みが走る。傷が開いてしまうかもしれない。
「丹羽くんっ」
両手をぎゅっと握られた。原田さんの柔らかな指の感触にどきっとする。
「昨日言えなかったんだけど、梨紅を連れてきてくれてありがとう」
「あ……うん、気にしないで」
手から伝わる感触にぼうっとしていた意識を連れ戻した。
原田さんがにっこりと笑いかけてる。頭がくらくらして吹っ飛んじゃいそうだ。
「それでね」
また意識を連れ戻す。気付いたけど、原田さんはずっと手を握ったままだ。
「梨紅、今日は風邪でお休みなの」
「梨紅さんが……そっか」
昨日はあれだけ雨に打たれたんだ。気も失っていたし、仕方ないことだと思う。
「あの娘のこと、気になる?」
「へ?う、うん、当たり前だよ」
「そう…………」
「あの、原田さん」
なんだろう、突然しゅんとしてしまった。
「ううん、なんでもないの。梨紅のお見舞いに行ってあげて。きっと喜ぶから」
そう言って原田さんは教室へと戻った。
僕は、未だにどきどきと高鳴る胸をひとなでして気分を落ち着かせた。
793 :
125:
「うん……」
ベットの中でもぞもぞと動いているのはさっちゃんだ。
「ふぁ、ん……、少し寝すぎたか」
首をちょこんと出して辺りを見回す。
「ん?おい主、どこだ」
大助を呼んでも返事は返ってこない。部屋の時計を見ると時刻はすでに十一時を回っていた。
「しまった、寝すぎたか。おいウィズ」
「キュ?」
ベットからもぞもぞとウィズが這い出してきた。
「主の元へ行くぞ。一刻も早くだ」
「あー、さっちゃん出かけるのですか?私も連れて行くのですっ」
「レム、もう魔力が回復したのか」
「はい。ご主人様からいっぱいもらったのです」
「なにっっ!?貴様、何を勝手なことをしている!主は我だけのものだ。貴様には渡さん!!」
「そんなー。ひどすぎですよぉ」
さっちゃんとレムちゃんががみがみ言い合っていると、そこに小助が現れた。
「やあ。もう少し静かにしたほうがいい。今はお父さんも笑子さんもいるからね」
「親父殿、ちょうどよかった。我はこれから出かけるのでこれを頼む」
「これって私のことですかぁっっ!?」
抗議の声を上げるレムちゃんは無視して小助に押し付けた。
「へぇ、これにも精霊が宿ってるんだ。はじめまして、かな」
「あらら。ご丁寧にどうもなのです。レムちゃんとお呼びください」
「……ちょっと待て」
ウィズを黒翼に変身させようとぽくぽく叩いていたさっちゃんがある違和に気づいた。
「親父殿。レムの声がどうして聞こえるのだ?」
違和の正体はそれだ。普通の人間では決して聞くことのできない声を小助は聞いていた。
「ああ。世界中を旅してるとね、いろんなものに出逢うんだよ」
小助が左手をさっちゃんに見えるようにした。
「中指にはめている指輪があるよね。それが僕にちょっとした力を貸してくれてるんだ」
「さすがは親父殿だ。そんなものを持っているとは」