325 :
名無しさん@ピンキー:
「ひゃぁ、明石さん・・・・・」
「ダメ、ネギ君。裕奈って呼んで・・・・・」
事もあろうかネギは寮の医務室でバスケットユニフォーム姿の明石裕奈に押し倒される形になり、薄い胸板にたくさんの赤い印を付けられている最中だった。
なぜ、こんな状況に陥ったかというと・・・・・・
「皆さん、来週はクラス対抗のバスケット大会です!勉強では全然ダメな分、
ここで取り返さないと何にも出来ないクラスと思われてしまうのはシャクですから、絶対優勝しますわよ!」
「オ〜!」
クラス委員長である雪広あやかが壇上に立ってそう鼓舞すると、他の生徒も「そうだ〜」と言わんばかりに叫んだ。
「それでは早速練習に行きましょう!裕奈さん、宜しくお願いしますわ!」
「は〜い。」
裕奈はクラスで唯一のバスケット部員である。そんな彼女に指導者という白羽の矢が立つのは当たり前の話だった。
326 :
名無しさん@ピンキー:03/04/21 22:43 ID:20sShLmh
「本屋ちゃん、レイアップシュートを打つ時はボールを投げるんじゃなくて置いてくる感覚で打つといいのよ」
「はい〜。」
裕奈の熱心な指導の元、日を追うごとに2−Aの生徒は着実にうまくなっていった。
高校生相手にドッジボールで勝っちゃうようなずば抜けた運動能力を誇るクラスなら当たり前と言っちゃあ当たり前なのだが。
しかし、ただ1人を除いては・・・・・
「あう〜」
「だからネギ坊主!ボール持ったまま3歩歩いたら反則だって何回言わせんのよ!?」
2−Aの担任、ネギは自分の頭よりもはるかに大きいバスケットボールに悪戦苦闘し、アスナのスパルタ指導を受けていた。
実はこのクラスマッチ、担任の参加も強制されているので、ネギもこうして練習に参加しているわけだったのだが、
「はぁ〜、このままだとクラスマッチにはとても出せるもんじゃないよ。裕奈、どうしよう?」
アスナがあきれたように裕奈に嘆いた。
「大丈夫ですよ、アスナさん。魔法で何とか・・・・」
“ゴツッ!”
体育館内に鈍い音が響き渡った
「アンタってホントにバカね!魔法は極力使うなっていつも言ってるでしょ!」
「すいませ〜ん、アスナさん・・・・・・」
ネギが痛そうに頭をなでていると、その時裕奈がある事を提案した。
「うーん、じゃあネギ君だけ夜間練習ってことでどうかな?あたしがマンツーマンでコーチしてあげるから」
「えう、夜も練習ですか?」
「あっ、それはいいかも!あたしが教えるよりも裕奈がマンツーマンで教えた方がまともにはなるだろうから。」
「じゃあ、決まりね〜。ネギ君、夕食終わってから30分したあと第2体育館で練習だよ
。絶対来てね!」
「えう、あう〜」
ネギが反論する間もなく、裕奈はそう言い残すと駆け出してしまっていた。
「まっ、頑張んなさいよ。」
「あう〜」
327 :
名無しさん@ピンキー:03/04/21 22:45 ID:20sShLmh
夕食が終わってから、ネギは重い足取りで第2体育館へ向かっていた。
「ふ〜、それにしてもみんな、たかがクラスマッチでえらい張り切りようだな〜。」
そう言いながら明かりの付いた体育館のドアを開けると
「やっほ〜、ネギ君」
コートの中央にはバスケットユニフォーム姿の裕奈の姿があった。
「あっ、どうも〜。いつもの練習の時の格好と違いますね。」
裕奈は練習の時はみんなと同じジャージを着ていたのだが、何故ユニフォームなんかに着替えたのか?疑問に感じながらもネギはそう言った。
「そうなんだよ〜。みんなと練習の時でも動きやすいからこのカッコでいいんだけど、何か恥ずかしくてさ。今ならネギ君だけだから着替えてみたんだ〜。どう、似合う〜?」
バスケット部とはいえ決して身長は高くなく、きしゃな体型だが、露出の高いユニフォームから見える引き締まった二の腕や太ももが露わになっていて、その姿は間違いなく綺麗だった。
「は、はい。」
「ありがとう〜。じゃあ、さっそく始めよっか?」
328 :
名無しさん@ピンキー:03/04/21 22:48 ID:20sShLmh
こうして3日にわたる裕奈の個人レッスンのおかげで、ネギも人並みにうまくなることが出来た。
「ナイスシュート、ネギ君!だいぶうまくなったじゃん!」
「そ、そうですか?」
「ホントだよ〜。始めの頃は見てられないくらい酷かったけどさ。」
「あう、明石さんまでアスナさんと同じ事言ってヒドイです〜。」
「あはは、ゴメン〜。じゃあ、明日がいよいよ本番だしそろそろ終わりにしようか?」
「は、はい・・・・」
「ん、どうしたのネギ君。なんか元気ないよ、具合でも悪いの?」
「い、いえ。何でも無いです。」
何でも無いと言うのはウソであった。朝から昼間では授業、放課後は2−Aのみんなと練習、夜は裕奈との特訓、そしてそれが終わった後は次の日の授業の準備とほとんど寝る暇がなかったので、ネギの疲れはピークに達していた。
「そう・・・。じゃあ、片づけしよう!」
「はい・・・・・・」
そう言って、ネギが一歩踏み出した途端目の前の世界が急にぼやけ始め、ネギは体育館の床に倒れてしまった。
「ネギ君、大丈夫!?ネギく・・・だいじょ・・・・・、ネギ・・・・・・」
裕奈の呼びかけがだんだん遠くなり、ネギは意識を失ってしまった。