――側に皆が居てくれるだけで――
それだけで、よかった。
(助けて…助けて…皆…!)
頬を伝う暖かい水が、サクラの頬を伝って落ちていった。
(こわい…こわいよぅ…)
忍としての自覚から、任務を遂行するため当然の行動をとったサクラだったが、その
高ぶりが静まっていくのと反比例するかのような辺りの不気味な程の静寂と暗闇が、
新たな恐怖と不安を呼び起こす。
(サスケ君……!)
「―――へぇ…こんなとこに隠れてやがったのかい?」
サクラの身体が、一気に凍りついた。
ゾクリとするようないくつもの殺気の中にさらされ、まるで金縛りにでもあったかの
ように―
視線さえも、動かすことが出来ない。
「小娘が随分手間取らせやがって…」
二人。いや、三人、四人…もしくはそれ以上。
うかつだった。
恐怖に駆られ、痛みと不安に耐えることで精一杯だった事で、まさかこんなに近くま
で敵が接近していたとは。
身体が、震える。
ガタガタ、ガタガタと。
その震えを、抑えることが出来ない。
気丈に振舞い、どうにかしてこの状況から逃れる方法を考えなければならないときな
のに。
それなのに、思考は全く思うように働いてはくれなかった。
「なんだぁ?随分と震えてるじゃないの。可哀想になぁ。ひゃはは!」
下卑た笑いが闇夜に響く。
その笑い声に激しい嫌悪感を覚えながらも、サクラにはそれを封じる手立てなどある
はずも無く。
全身から気持ちの悪い汗がじわじわと吹き出てくる。
自分との距離を詰める男達の顔が、段々と月明かりではっきりと見えてきた。
――イヤダ…――
見たこともない男に…こんな奴らに私は…。
――ダレカ、タスケテ…――
「へへ……よくみりゃ上玉じゃねぇか。こんなお嬢ちゃんを好きに出来るなんて嬉し
いねぇ。
これだから忍はやめられねぇよ…」
――コナイデ…コナイデ…――
いやらしい笑みを浮かべた男が、更に恐怖を駆り立てるような手つきでサクラに手を
掛ける。
その瞬間何かが弾けたように――
「っやめてぇーーーー!!!」
ザァッ………
懇願するような、サクラの悲痛な叫びは、夜の冷たい風に吹かれ闇夜へと虚しく消え
ていった……。
今からはカカシ×サクラでつ。
>>518続き
サクラの唇が、カカシのそれによって塞がれる。
それは決して手荒いものではなく。
しかし突然与えられたその口付けは、甘い官能ではなく―――
サクラに痛いほど刻みこまれた――記憶を呼び覚ます。
忘れようとしても忘れることが出来ない。
おぞましい嫌悪感。
苦痛に伴う吐き気。
何人もの男に陵辱される屈辱。
忘れたいのに。
忘れたいのに。
忘れたいのに。
『どうして、忘れさせてくれないの?』
『何でこんなことをするの?』
――イヤダ…――
『どうして私ばかりこんな目に合わなきゃいけないの?』
どうして。
どうして。
どうして―――
「―――っいやぁっ!!!」
サクラの腕が、カカシを振り払う。
「ッ……!」
カカシの身体を押しのけ、壁際へと身を寄せた。
自分の身を守るように壁にぴったりと身体を擦り付けて。
「サクラ……」
脅えた瞳。
荒い呼吸。
かたかたと、細い肩を震わせながら。
ようやくカカシに向けられたその目は――恐怖と不安と、嫌悪感でいっぱいだった。
そんな瞳で真っ直ぐにカカシを睨み付ける様が、一層カカシの胸を締め付けた。
そこにいるのは、いつもの元気な『サクラ』でも、木の葉の『くの一』でもない。
自分の身に降りかかった不幸にただ怯え――どうすることも出来ないでいるただの少
女だった。
「…先…生も、なの……?」
「サクラ…?」
「先生も、私に…あいつら…と同じこと、するの…?」
――ナンデ、コンナコトスルノ…?――
「ずっと呼んでたのに…!」
――センセイ…タスケテ……――
「ずっと、『助けて』って、叫んでたのに…!」
――イキテサエイレバ、マタミンナトワラエルカナ…――
「死んだ方がましだって思いながら…それでも皆に会いたくて…!!」
――デモ、アウノガコワイ…――
「不安で、不安で、しょうがなくて…!」
――ワタシダケガ、カワッテシマッタ――
「それなのに…どうして…!!」
咳が切れたように、サクラの震える唇からは次々と悲哀の言葉が溢れ出し、
潤んだ瞳からは真珠のような涙がぽたぽたと零れ落ちる。
止まることの無い大粒の涙は、敷き詰められた畳の上に降り注ぎ、
にじむ様に染みこんでいった。
そして――
「こんな事なら…いっそ帰ってこない方がよかった…」
そのサクラの悲痛な言葉に――
「―――甘えるなよ…サクラ…」
黙って、ただ黙ってサクラの言葉を聞いていたカカシが、その重い口を開く。
いつもとは明らかに違うその声色に、サクラの身体がビクリと強張り、潤んだ目が大
きく見開かれる。
「他国の忍びに陵辱され、本当に帰って来れなかったくの一が一体どれくらい
いると思ってる?
大体、それも覚悟の内だろう。
それにお前はまだ、生きてる。
これから先も、生きていける可能性がある。
好きな男に抱かれ――幸せになれる可能性だってある。
それなのに、帰ってこない方がよかったなんて、よくそんな言葉が吐けたもんだ
な…」
カカシの言葉に、まるで一気に力が抜けたようにぺたりと座り込む。
「わかってる…そんな事…」
泣き腫れて虚ろな目をカカシに向けながら、サクラは言葉を続ける。
「自分でもわかってるの…私は甘えてるって…でも…でも…しょうがないのよ…
今までなら…平気だったことが…
先生と…こうして二人でいるだけで…たったそれだけなのに…!」
――あの時の記憶が…はっきりと頭にこびり付いて…――
「怖くて、怖くて、もう…どうしていいのか分からなくて…。
それなのに、こんな時に何で…どうして私にこんなことするのっ…!?」
どうして…
どうして…
どうして…
サクラの悲しい問いかけに、カカシは一つ息をつき、サクラに届くか届かないかの小
さい声で呟く。
「―――――お前を助けたいからだ。」
その言葉を言い終わると同時に。
カカシは壁際で力なく座り込む少女へと近づいていく。
「いやっ…!こ…来ないでっ…」
「――逃げるなよ。お前が受け入れなきゃいけない事だぜ?」
じりじりと逃げ腰になるサクラを。
カカシは逃げ道を塞ぐようにゆっくりと追い詰めていく。
――イヤダ…――
目の前に立つ、自分を見下ろす男。
――コナイデ…コナイデ…――
その男の手が――少女へ差し伸ばされていく。
大きな手が――サクラの身体に僅かに触れたとき――
「いやっ…!」
――――その手は、自分を犯すと思った。
無理やり自分を地面に押し付け、無理やり身体の自由を奪い。
抵抗すれば、殴られる。
声を上げれば、口に咥えさせられ。
身体の内部を無理に引き裂かれ――気を失ってもなお許されることは無く。
――――でも違った。
その男の手は優しかった。
ふわりと。
包み込むように自分を抱きしめてくれた。
暖かい…。
安心する。
先程までの不安がかき消されるみたいに。
男の胸に抱きすくめられながら、そっと目を閉じてみる。
いつまででもこうされていたい…。
そんな思いがサクラによぎった。
「…怖いか?サクラ。」
ふるふると。
カカシの胸の中で、小さく首を振った。
大きくて無骨な、しかし優しい手つきで。
子供をあやすみたいに小さな背中を撫ぜてやりながらカカシはサクラに話し掛ける。
「…後悔したよ、サクラ…本当はもっと早く教えてやるべきだった…」
カカシの言葉に、サクラが薄っすらと目を開け、上目遣いでカカシを見やる。
「先生…?」
男の顔は――はっきりとは見えなかったが――何となくどんな顔をしているのかは分
かる気がする。
「―――さっきは無責任なこと言って悪かったな…。」
ぎゅうっと、抱きしめる手に力を込めた。
「男には…わからないよなぁ…。
陵辱される女の気持ちなんて…きっと何億分の一もわかってやれないんだろうなぁ。
俺にも、ナルトにも。きっとサスケにも。」
―――ぽろぽろぽろぽろ…
涙が、止まっていたはずの涙がまた溢れてきた。
今度はさっきまでの悲しみの涙ではなく――喜びの涙だと、サクラは思った。
理解されることの喜び。
誰でもいい、分かって欲しかった。
自分の心を。
傷ついた心を。
でも、こんなこと、きっと誰にも理解されないと思っていた。
きっと誰もが思うだろう。
『くの一なんだから、そんなこと当たり前だ。』
『自分たちだって同じ思いを味わってきたんだから。』
『そんな事で傷つくなんて、甘えている。』
きっと誰もがそう言うのだろう。
だから、わかってくれる人が欲しかった。
そして目の前の男は、そんな自分の心を見抜いてくれた。
自分の弱さを、強がりを見抜いて、抱きしめてくれている。
もうそれだけで充分だと、サクラが思ったとき――
「これから…お前に試験を出すよ。」
「…?試験…?」
「そうだ。これから出す試験に、合格出来なかったら――もしくは、受けなかった
ら…」
サクラがカカシから僅かに身体を離し、カカシを見つめる。
瞳の奥に、僅かな不安の光を湛えて。
「もし…受けなかったら…?」
「―――忍者をやめてもらう。」
サクラの思考が、音を立てて崩れていくような気がした。
――忍を…やめる…?!――
「先生っ……!そんな…!」
「くの一としての勤めが出来ないお前を忍にしとくわけにはいかないんだよ。
ま、ただし合格出来れば、このまま忍を続ける事が出来る。
まずは二択だ。受けるか、受けないか。
そのどちらかだ。試験内容は―――――――――。」
―――サクラが絶句する。
突きつけられた問題にサクラの表情が青ざめた。
そんな…折角苦労して、中忍にまでなったのに…
この試験を受けないだけで、忍をやめなくてはいけないなんて…
「どうする…?サクラ…」
――折角ここまでがんばってきて…こんなことで…――
サスケの事を思い出す。
きっと、こんな時サスケならば間違いなく、たとえそれがどんな難関であろうと
何のためらいも無く試験を受けるのだろう。
ナルトの事を思い出す。
あの意外性NO,1のあの忍なら、きっとどんな窮地に立たされても、
諦めることなどなく、どんなに難しい試練だって乗り越えていくのだろう。
そう、あの時決めたのだ。
今更自分に選ぶ事の出来る道なんてありはしない。
まだ幼かったあの時、皆について行こうと決めたのだから。
――例え…またあんな苦しい目に合ったとしても…――
「受け…るわ…先生……」
サクラの口から、受験志願の要望が出たその直後――
「やっ…先生……?!」
カカシに再び抱きすくめられる。
そしてやはりこの男の手は…暖かくて優しかった。
この男なら…この温もりさえあれば…耐えられるかもしれない。
「――いいんだな?それで…」
その腕に抱かれながら、サクラはコクンと頷いた。
「もしかしたらこの試験は、またお前が傷つくだけになるかもしれないが…」
自分の胸の中で、再び少女が頷く感覚。
カカシはため息混じりに一つ息を吐き出し、ぽつりと小さく呟いた。
「本当は…この役はサスケがやる方がいいんだろうけどな…」
「え……?」
どうやら少女の耳には届かなかったらしい。
何て言ったの?と目線で問い掛けるサクラに
「――何でもないよ……」
にっこりと微笑みながら、サクラの震える唇に口付けた。
僅かに怯えながらも、その唇を素直に受け入れたサクラを
優しく抱きしめてやりながら。
長い上にエロがなくてスマソ…次こそは…(汗
そしてカカサク、突然三人称になってたことへの言い訳の一言
カカシの一人称、書きにくかったんでつ(爆
以上オソマツサマデシタ。
(;´Д`)。○(サクラタン鬼畜陵辱キターーーーーー!!!ハァハァ
カカサクよりサクラタン陵辱に萌えてしまう自分は逝ってよしでつか?
647 :
木の葉堂:03/03/18 23:13 ID:uf+6JNsy
>カラクリ樹さん
サクラ陵辱とカカサク、乙ですた。
カカサク、いいですねぇ……
癒し系カカシ……ここの住人のおぜうさん方に人気が出そうだ。
次、激しく待ってます(w
で、とうとう480KB超えたので、今から新スレたてに行ってきますよ。
できるのかなぁ、自分のプロバイダで………(不安)
一ヶ月で1スレ消費か…これも職人さんがたのおかげでつな。
すげえ、もう新スレかぁ……カカサクの感想レスはどっちにつければいいんだろ?
650 :
木の葉堂:03/03/18 23:27 ID:uf+6JNsy
ヤヴァイ!
できなかったよ、スレたて!
どなたか、おながい〜!
テンプレは、
>>576 と
>>577 に用意してあります。(レス番の1と2用)
新スレ、たてたら、ここにもご案内カキコしてください。
へたれで、スマソ………
651 :
エロ仙:03/03/18 23:29 ID:4flDwJX9
じゃ、おいらが建てに行ってみまつ>新スレ
657 :
雷鳥悶:03/03/19 06:53 ID:EJVTxqUx
うかうかしてたらば...新スレ立ってるし。(汗
作品投下出来ないかわりにお詫びがてら作品一覧まとめまひた。
十分気をつけてはいますが、何か不備があればレスしてくらさい。
そういえば、今日TVで岸本斉史先生の新刊らしきCMを見た。
カカシみたいな忍者が表紙で、ジャンプ系じゃないみたいなんだが。
短くてタイトルとか出版社とかメモれず、新刊で検索してもヒットしない。カカシなら絶対買うんだけど(笑
別のお話だろうな〜が、気になる。誰か知ってたら教えてくらさい。
それはおそらく、岸本先生の弟、岸本聖史先生の本だと思います。
出版社は忘れましたが、確かあるゲームを漫画化したものです。
うろおぼえなので間違ってらスミマセン。
でも岸本斉史先生ではないのは確かです。
660 :
春絵巻:03/03/19 12:07 ID:gZReiKbm
手土産が出来たら次スレに参加します・・・・・・・。
>雷鳥悶さん
インデックス整備、乙です!
連載中の作品のみ一覧を新スレに転載させていただきました。ご了承を。
また、>655のリンク先が一カ所ズレていたので訂正させていただきます。
■木の葉堂
再不斬×紅 418-420,537-540
662 :
保管庫:03/03/19 13:13 ID:Gqtcgzg+
>雷鳥悶さん
インデックス乙華麗さまですた!!
保管作業、非常に助かりますた。スレ3投稿全作品、保管済みでつ。
一応、こちらにもお知らせ。
保管庫引越しますた。新住所は新スレの方に。
>>659 さん ありが 。
そうか、双子の弟さんも漫画家なんだ。知らなかったよん。
見たの1〜2秒だったから。絵似てたんだよな。名前も。(笑
>>661 さん
あーすいませんです。どうしてこうミスが多いのかなーもー。
壁に向かってそんな自分に小一時間...。
転載、保管乙華麗っす!お役にたててなによりっす。
あっ、今度は漏れにも見れました。感涙っす!
>春絵巻さん
お久しぶりっす!花粉症はいかがっすか?
何だか漏れも今年発症の予感がひしひしと。ぎりぎりの所で保ってる感じっす!新スレへの再来お待ちしてまっせ!
最近、アニメを見る機会があったんですが、自分的ヒットな萌えキャラがいた…。
(推定)12歳のナル娘タン!
木の葉丸にお色気の術をレクチャーしていて、銭湯の女風呂に入ろうとする
シーンで、ナルトがいつもの17歳くらいのナル娘ではなく、サクラ達と
同じくらいの女の子に変化してた。
声もちゃんと女声になってて可愛かったっす。
アニメ見てないから知らんかったが
そんなシーンあったのか!!
12歳ナル娘タン……ハァハァ
髪型とか、どんなんだった?
あと体形は?17歳とは違って貧乳?
>665
664ではないが、服装はナルトの時のまま、髪型は17歳ナル娘と同じく
ツインテール、体型はうろ覚えだが12歳の女の子らしい体型
だったと思う。
職忍さん方の12歳ナル娘タンが読みたい…ハァハァ…。
SS書く時間がねえんで、とりあえず名無しで。
>(推定)12歳のナル娘
うわ……なんか、すげえ萌えた。オレ、炉利趣味はないハズなんだが。
もうちょっと突き抜けて、いっそのこと ょぅι゛ょナル娘 とかもイイかも……
天然のお色気で自制心ぐらぐら状態のイルカあたりと組ませて(w
>>668 サンクス!!ホントに萌えた!!
12歳ナル娘タンいいねえ……。
カカシにいたづらされてホスィ……。
えーと、萌え話はこっちでもいいんだよね?
あ、まだ引っ越しできたコールをしてない住民さんがいたら
新スレ即死防止のためにも(もう大丈夫だとは思うんだが)
向こうで一声かけていただけるとありがたいっす。
今週の扉絵が結構萌えた…。
九尾を従えるナルト…鬼畜ナルト×九尾(姫)とか。
獣娘系に萌える漏れ…尻尾とか耳とか…ハァハァ。
マニーデ、スマソ…逝ってくるよ…12歳ナル娘もイイナァ…ょぅι゛ょ…
だったらナル娘タンに、尻尾と耳がついたらいいなあ……
絵師さん降臨してくんないかな。
そういやNARUTOには獣娘系はいないなぁ……えーと、キバの姉ちゃんズが獣系か?(違います)
絵ならサクラちゃんとかナル娘に無理矢理猫耳や尻尾をくっつけてもいいんだが、
SSとなると、むむむ………………イイかもしんない。(マテオレ)
おいおい、藻前ら。猫耳と尻尾にやけに食いつきがいいでつね!
オレモナー(w
「猫耳」「尻尾」「ょぅι゛ょ」萌え要素の構造化だな(藁
カカシ×ナル娘が好きだ
もうちょっと書き込めるかな?
ツナデは何歳にでも化けられるってことは、
ょぅι゛ょにもなれるのかね
漏れも名無しで(笑
耳&尻尾付の12才のナル娘って...書きたいかも(w
あぼーん