でも、結局、私は彼にチョコレートを渡せませんでした。
怖かったのです。
まだ男に抱かれる決心がつかなかったと言えば格好はいいのでしょうが、そ
の実は、単に脅えていただけでした。
こうしてバレンタインデーは過ぎてゆき、私は恐ろしいことに気づきました。
そう。
もう残されたチャンスは一度しかないのです。
私は焦りました。
この次は誰であろうとチョコレートを渡し、抱いてもらう。そして男に戻る
んだと自分に言い聞かせながら、私は機会を待ち続けました。
しかし、私に次の機会が訪れることは無かったのです。
===== 今回はここまで =====
562 :
:03/06/08 21:45 ID:hA1HQMGE
イイ(・∀・)
563 :
:03/06/11 22:37 ID:HlPed4MG
イイ(・∀・)
564 :
名無しさん@ピンキー:03/06/12 21:24 ID:MrC77/8k
イイ(・∀・)
イイ(・∀・)
イイ(・∀・)
イイ(・∀・)
>>561 高校3年生の夏になる頃、突然、父がアメリカに転勤することになりました。
母は、卒業まで間が無いのだからこちらに留まったらとも言ってくれたので
すが、少なくとも5年間は戻る見込みが無く、将来帰国した時の経歴にプラス
になるからということで、半年の在学期間を残して、私は両親と共にアメリカ
へ引っ越すことになりました。
ここでも私の仮面は、心を裏切ったのです。
まあ、素敵。東海岸なのが少し残念だけど、夏は西海岸に行ってみたいわ、
などと嬉しそうに語ってしまう自分には、唖然とするほかありませんでした。
そのうち、本当に楽しみになってきてしまったのだから恐ろしいものです。
こうして私は夏休みが終る直前に、渡米することになったのです。
私の行っていた高校と姉妹校であるアメリカの高校では、受け入れ態勢が既
に整っていました。ここでも私の偽りの仮面が役に立ち、最初こそぎこちなかっ
た英語にも、次第に慣れてきました。おそらく男の私だったら、英語も話せず、
家に引きこもりになっていたでしょうね。
表向きの明るさとは裏腹に、私の心の奥底には黒く澱む破壊的な、どろどろ
とした黒い感情が渦巻いていました。絶望‥‥そうです。残りたった一回のチャ
ンスを、私は失ってしまいました。
この時の絶望は、誰にも理解できないでしょう。このまま女でいるしかない
のかと、私は環境の変化もあって、一時期情緒不安定になっていました。
そんな、どことなく自棄に見える私を、不思議に思う人も少なくありません
でした。容姿にも才能にも恵まれているというのに、彼女は何が不満なのだろ
うという噂を何度か耳にしたことがあります。
それはそうでしょう。日本人離れしたグラマラスな肢体。そのまま切り取っ
て鑑賞してしまいたくなるほどの見事な曲線を描く、モデル顔負けの脚。美貌、
才能‥‥すべてが女性の憧れを具現化したような完璧さでした。
これ以上魅力的になりたくないと太ろうとしても、私はなんら変化しません
でした。ほかの人から見れば羨ましいことなのでしょうが‥‥。
ハイスクールでも、私は多くの交際の申し出を受けましたが、すべて断りま
した。呪いもこのくらいの融通はきくようです。そうでもなければ私はとっく
に、ハイティーンの旺盛な性欲に蹂躪されていたでしょう。ただ、彼らはスト
レートにセックスを要求してくる分、陰湿さはありませんでした。
やがてハイスクールも卒業し、私はカレッジへと進むことにしました。
そして私はカレッジ入学の年、クリスマスイブの夜に、女としての初体験を
したのです。
彼は5歳年上のドイツ系アメリカ人で、ハイスクール時代の女友達の従兄で
した。とても優しく、素敵な人でした。彼はまるで私を壊れ物のようにそっと
扱いながら、長い時間をかけてゆっくりと女の悦びを教えてくれたのです。
ああ、今も彼のことを思い出すだけで濡れてしまいます。自分が肉欲に貪欲
な卑しい人間だということを、嫌ほど思い知らされるのです。
彼とのセックスはとても素敵でした。
日本の男には無い、優しさと鋭さ。長く長く焦らされて、挿入をされても、
まるで海の波のように捕らえ所のないリズムで私を翻弄します。精を出した後
も、彼の愛撫は終る所を知りません。ゆっくりと興奮が静まるまで、私の体を
撫でてくれるのです。そうしているうちに再び高まって、また彼を求めるよう
になるのです。
もし男に戻れたら、こんな風に女性を抱けるのだろうかと思いながら、私は
彼とのセックスに溺れました。彼にはオーラルセックスも、アナルセックスも
許しました。全ての処女を彼に捧げたのです。
彼だけではありません。私はアメリカで多くの人とセックスをしました。
もしかしたら男に戻れるかもしれないという希望を抱いて、仕方がない、こ
れは男に戻るために必要な『儀式』なんだと思っていましたが、その実はセッ
クスの快感に溺れているだけだったのでしょう。
気がつけば私は、すっかり女性の快感に馴染んでしまっていました。今では
もう、男の時の刹那的な快感をほとんど思い出す事ができません。
彼以外にも大勢の男達に抱かれ、淫らな遊戯やドラッグ、テクニックを仕込
まれました。幸いにもドラッグには深入りしませんでしたが、以降の私は、ほ
とんどの男が音を上げるほどタフにセックスを求めるようになりました。
そう。私は昼間は淑女、夜は娼婦を地で行く女になっていたのです。
しかし、どれだけセックスをしても満ち足りることはありませんでした。多
くの場合、折から流行し始めたエイズの影響もあってコンドームを着用するこ
とがほとんどだったのですが、私はヴァギナに精液を満たしてくれないことに
は、疼く体を静められなかったのです。
そんな私を支え、愛してくれたのが、私がヴァージンを捧げた彼でした。
彼は真摯に私を愛してくれました。
戸惑い、そして拒む私を彼は優しく、時には距離を置いて見守ってくれたの
です。私がセックスに溺れきって破滅しなかったのは、彼のおかげです。
まだ若手の社員で会社の仕事で忙しいにも関らず、彼は私が電話をすると、
車を夜中に何時間も走らせてでも飛んで来てくれました。
私が男を愛しきれないという悩みも、彼には話しました。慣れたとは言え母
国語ではない英語で、言葉を選び、考えながら、つっかえながらの私の話は支
離滅裂で、呪いのために口に出せない隠された真実も相まって、自分でもわけ
がわからないものでした。
それでも彼は最後までじっと、辛抱強く最後まで聞いてくれました。そして
片言の日本語で、だいじょうぶ、僕がいるからと慰めてくれたのです。
この時の私の感情は、とても言葉では言い表せません。
安堵、怒り、絶望、歓喜‥‥矛盾する様々な感情が一気に吹き出し、泣き出
してしまいました。言葉も無くただ涙する私を、彼は私の感情が静まるまで、
大きな体で抱きしめてくれていてくれたのです。
男性の体に包まれていることに安心して心が安らいでゆく事に私は恐怖し、
その一方で、これでいいんだとも納得していました。
‥‥私は自分でも気づかないうちに、確実に変わり始めていたのです。
こうして7年の月日が経ちました。、
私は大学を卒業し、大学院に進んでイギリスの古典英語を専攻するようにな
りました。日本人である私にとって古英語は難しく、てこずりましたが、一方
でライフワークになりそうな手応えと充実感を感じていました。
彼とは週末にはお互いの家を行き来する仲になっており、あちらの御両親に
も紹介されていました。私も、いずれは‥‥というほのかな期待を感じていた
のも確かです。
狂ったようにセックスに溺れていた時期は過ぎ去り、この時は彼とも一月に
数度、肌を合わせる程度にまで落ち着いていました。穏やかな環境が私を変え
たのでしょう。
彼とは長期休暇で、一緒にアメリカ中を見て回りました。
本当に幸せでした。こんなに幸せでいいのかと錯覚してしまうくらい‥‥。
しかし、こんないつまでも続くと思われた平穏な日々は、高校生活と同じよ
うに、突然終わりを告げました。
父の海外勤務が終わり、日本へ帰国するようにとの辞令を貰ったのです。
散々迷った挙げ句、私は両親と共に日本に戻ることにしました。
日本。なんと懐かしい響きなのでしょう! 私は今まで感じることがなかっ
た望郷の念が胸に溢れ、戻りたくて仕方がなくなってしまったのです。
彼とは‥‥別れました。私が振ったのです。
日本に戻ることを告げた数日後、彼は私に指輪をプレゼントしてくれました。
エンゲージリングでした。
でも、私はそれを受け取りませんでした。これを受け取ってしまったら、自
分は本当に女になりきってしまうようで、怖かったのです。そして、何よりも
彼に強く強く惹かれている自分に恐怖していました。
そうです。強制力が無くても、いつの間にか心が女へと大きく傾いていたの
です。いいえ。私は既に、女そのものでした。
恐ろしいことです。
同性愛者になってしまった気は、まったくしませんでした。にも関わらず、
私は彼を‥‥愛していました。いつの間にか私は、当たり前のように男性に好
意を抱くようになっていましたのです。
男であったことを、ほとんど完全に放棄かけていました。
それも、自発的に。
私は悩み、煩悶しながら考えに考え抜き、決断を下したのです。
彼に断りの電話を入れる時は、本当に胸が痛みました。
その痛みは、そう。まさしく失恋の感情そのものだったことを、私はあとに
なって知りました。
空港で彼の顔を見たとき、私の目から涙がこぼれました。溢れた涙で、彼の
姿が見えなくなるほど‥‥。
日本に戻ってから彼からは何度か手紙が来ましたが、私は返事を出しません
でした。いいえ。それどころか一度も封を開ける事は無かったのです。
そして一年ほど前に、一通の絵葉書が届いたのを最後に、彼からの手紙は途
絶えました。
最後の絵葉書に書いてあった言葉は、
「結婚しました。君も幸せであることを祈っています」
というものでした。
私は今でもこの絵葉書を、大切に残しています。
未練、なのでしょうか‥‥。
私にはもう、わかりません。
===== 今回はここまで =====
イイ(・∀・)
イイ(・∀・)
イイ(・∀・)
イイ(・∀・)
以外にも何か感想を書きたいものでつ。
トテモイイ(・∀・)!!
トテモイイ(・∀・)!!
578 :
名無しさん@ピンキー:03/06/15 03:14 ID:hLPQ1WbB
579 :
名無しさん@ピンキー:03/06/15 03:16 ID:hLPQ1WbB
キターーーーーーーヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ!!
581 :
名無しさん@ピンキー:03/06/16 20:54 ID:KYZ3Oh+k
トテモイイ(・∀・)!!
これから男に戻った先輩と初めての時と
男女役目が入れ替わった濃厚なエチーシーン期待する。
582 :
名無しさん@ピンキー:03/06/17 00:01 ID:C+XbWON6
過疎板
いいねー。
>>572 日本に戻って来たとはいうものの、仕事もなく、私は家で無為な時間を過ご
していました。両親は花嫁修業だと笑って許してくれましたが、私の内心は凄
まじい葛藤で荒れ狂っていました。
彼との別れが、私を精神的に追い詰めたのです。食欲は極端に落ち、一回り
はサイズが小さくなってしまったほどです。しかし、私の体はより一層輝き、
かえって魅力を増したようにさえ思えました。
別れによって自暴自棄になり、セックスに溺れきっても不思議ではなかった
のですが、不思議とセックスに対しての欲求はありませんでした。何しろアメ
リカではありとあらゆるプレイをし、野外プレイや乱交、スワップや同性愛、
ハードSMまで経験しました。アニマルセックス以外のほとんどを味わったと
言っても過言ではないでしょう。
無為に過ごす時間が一年を越えた頃、さすがに私の母も行く末を気にするよ
うになりました。なにしろ、26歳になったのですから。
そうですね。確かな記憶があるのが5、6歳の頃ですから、男として暮した
期間と女にされてしまった期間が同じくらいになったのです。
この頃には、このまま女として生きて行くしかないのかと半ば絶望していま
した。
しかしある日、ふと、あることに考えが至ったのです。
教師がチョコレートを渡しても、入れ代わりは起きるのでしょうか? 相手
は生徒でなくてもいい。教師が教師に、あるいは教師が生徒にチョコレートを
渡してみたならばどうなるのでしょう。
まさに、運命の閃きでした。いえ、それは必然だったのでしょう。
私は母校に連絡を取り、教師の口が無いか打診してみました。
幸い、アメリカの大学を卒業して英文学を専攻していたということで、すん
なりと英語講師の形で就職できることになりました。
もしかしたら、男に戻れるかもしれない。私の胸は高鳴りました。
私が英語講師として教壇に立ったのは、9月の新学期からでした。
初めて授業に出た時の男子生徒の目を、私は今も忘れることができません。
私も見られることを意識して、膝の少し下まであるものの体の線が出るタイ
トなスカートを選び、ストッキングを穿き、ガードルで体のラインをいっそう
絞り、線を美しく見せるようにしました。
そうですね。まさにAVの美人教師そのものです。
自分で美人と言うのもおかしな話ですが、自分の姿を鏡に映して見た時、ス
トッキングにまで染みるほど愛液をしぶかせてしまったくらい、感じてしまい
ました。
体が‥‥疼くのです。
男子の妄想の中で汚されている自分を想像するだけで、射精してしまいそう
な感覚に陥ることができます。
見られることが、快感なのです。
遠慮の無い牡(オス)の視線が、私の子宮をかき回すようです。女生徒の憧れ
の視線も快感でした。彼らは私が男だったと知っているのでしょうか。もちろ
ん知るはずなどありません。もし、私の正体を知ったとしたらと考えるだけで、
立っているのもつらくなるほど体の芯が甘く痺れ、疼きます。
私は教え子に目を配るふりをしつつ、男に戻るための生け贄を探しました。
観察をしてわかったのは、しばらく日本を離れている間に、学生の気質が大
きく変わっていたことです。授業にまったく集中せず、携帯でメールを交わす
学生の存在は、私には驚きでした。教師も生徒の親からの抗議を恐れて、ろく
に注意もしません。私の高校時代も授業そっちのけでマンガを読んでいたりす
る人はいましたが、これほどひどくはなかったと思います。
うちの学校はまだましな方だという先輩教師からの言葉には、ただもう、驚
くしかありませんでした。
ここの教師はこの学校の卒業生が多いということには、少し驚きました。
「職場結婚率も高いのよ」
と、先輩が教えてくれた時、私は一瞬、どきりとしました。
この学校の女性教師は皆、美人揃いです。私もこの中にあっては、普通より
少し美人程度にしかなりません。私の就職を取り計らって下さった理事長も、
お年は召しているものの上品な美しさの素晴らしい方でした。
この環境が私を落ち着かせてくれました。同僚や先輩の男性の刺すような好
奇の視線もなく、私は次第に教師としての自信をつけていったのです。
ただ、やはり男子生徒の視線は変わりませんでした。先生を嫌らしい目で見
ている生徒がいると教えてくれる女生徒もいました。彼女にとって、私は憧れ
の存在なのだそうです。
心が痛みました。
本当の私は、彼女達に尊敬されるような存在ではありません。男でありなが
ら女の体を持ち、淫らな妄想に身を焦がす哀れな人間‥‥。女の快楽を貪欲に
求めながら、男に戻りたいと願い、本当は男なんだと自分を慰めていると知っ
たなら、どんな反応が返ってくるでしょう。
彼女達に尊敬される偽りの自分よりも、ごく普通の男に戻りたい。
ですが、この頃にはもう、私は男であるという自覚を半ば失っていました。
男であった時期があったのが夢の中のできごとのようでした。それでも時折、
自分が男になり、見知らぬ女性とセックスをする夢を見る事がありました。目
が覚めた時の股間の確かな寂しさが、私が本当は男である事を忘れさせてくれ
なかったのです。
女であろうとしても、心の中に残った男としての部分が完全に女性になるこ
とを拒否するのです。
男手も女でもない中途半端な自分に、私は深く悩み続けていました。
1年目のバレンタインの直前になっても、誰にも私の胸はときめきませんで
した。
2年目と3年目もまた、1年目のように何事もなく月日は過ぎてゆきました。
もう駄目なのかもしれない。
私は半ば諦め気分で、男性とお付き合いを始めました。
でも、長続きしません。誰もが私の体を求め、セックスをすれば私の虜にな
ります。ですが、私を満足させてくれる人は一人もいませんでした。
無理もないでしょう。自分の中にある男の視点から見ても、私は完璧に近い
女でした。自分自身を犯したくなるほどです。
どうして男は勝手なのでしょう。自分一人だけ射精してしまえば満足してし
まうような男達は、もう御免でした。
別れ話を持ち出すのは、いつも私。
目の前で男の表情がみるみるうちに変ってゆくのが、内心で可笑しくて仕方
がありませんでした。
惨めな男。哀れな男‥‥。
弄ばれているのがわからないほどのめりこむ心理が、私にはたまらなく不快
で、激しい嫉妬をかきたてられました。どうして彼らは自分の内面を省みない
のでしょう。自分勝手で、外見や体面を気にする男達‥‥。セックスも、私に
スキンを使わせまいとする人ばかりでした。
妊娠をするだなんて、考えるだけでも死にたくなります。私は一時の夢を見
せた後、冷たく別れ話を持ち出して彼らを地獄に叩き落としました。何人、い
いえ、何十人も。
抱かれるだけ空しくなるだけだというのに、私は男漁りを止められませんで
した。男に戻ったならば彼らのようにはなるまいと堅く心に誓いつつ、それが
望みの無い願いであることを、私は薄々心の中で感じ取っていました。
そして私は、長い間していなかったオナニーをするようになっていました。
もちろん、私自身をオカズにして‥‥。
このまま独身で一生を過ごそう。そう思い始めた4年目の秋のことでした。
定年退職した先生の代わりにやって来た、さえない風采の男性教師を見た瞬
間、私は驚きました。
彼です。
間違いありません。私の直感は、彼が運命の相手だと告げていました。彼を
視線の端に入れるだけで乳首が立ってしまうほど、心臓がどくどくと脈打って
います。校長先生の話も耳に入りませんでした。
年は私より二歳上。この学校の卒業生ですが、今までは別の公立高校に勤め
ていました。学区変更により高校の統廃合の煽りで職場を無くし、母校へと舞
い戻ってきたというのです。
まさに‥‥運命の人です。なんでもっと早く逢えなかったのでしょう。
私の目は、彼に釘付けになったままでした。
彼が来て教壇に立つようになってからは、生徒にも私の変化はわかってしまっ
たようです。彼の姿が見えていなくても、私の体からは純真な生徒を惑わす妖
気にも似た色気が発散されするようになったようでした。そして私は生徒を惑
わし、肉体関係を結ぶこともしばしば起こるようになりました。
ですが、私が本当に抱かれたいのは彼だけ‥‥。
頭の中に、もしかしたら彼こそが私を女にした先輩なのかもしれないという
考えが頭をかすめましたが、確かめる術はありません。もし、あの先輩だとし
たら、彼は再び女性になってしまうのでしょうか。
でも、そんなことはどうでもよくなっていました。
そしてバレンタインデーの放課後、私は廊下に人がいないのを見計らって、
彼にチョコレートを渡したのです。
===== 今回はここまで =====
(゚д゚)オオ。。。
トテツモナクイイ(・∀・)!!
トテモイイ(・∀・)!!
物語も佳境、このスレも佳境だ!
kakikoないと寂しいでしょうからカキコ
残り20KB程度…いけるのか?380 ◆PKEHY060jYさん、がんがってください。
24時間後に期待シマス。
>>588 チョコレートを渡した時、彼は、
「義理にしては大きいね」
と言いました。もちろん義理なんかではありません。
私は黙って彼を物陰に引っ張りこむと、顔を引き寄せ、唇を割って舌を入れ
ました。キスと呼ぶにはあまりにも濃厚な淫技に目を白黒させている彼の耳元
で、私は甘いホットチョコレートのような声で囁いたのです。
「あなたが、欲しいの。セックスがしたいわ‥‥」
押さえきれません。このまま廊下で服を脱ぎ、彼の上に乗っかりたいくらい
に私は欲情しきっていました。
この後、私は彼に何を言ったか憶えていません。
私達は逃げるように学校を後にし、彼の家に行くのさえ待ちきれず、ホテル
へと駆け込みました。私は部屋の扉を潜るが早いか、自分の服をなかば引きち
ぎるように脱ぎ捨てて下着姿になると、崩れるようにへたりこみ、彼の股間に
顔を埋めました。
座りこんだのは、腰から下の力が抜けてしまったからです。下半身は私の男
としてのプライドなどお構いなく、早くペニスをと要求し続けていました。
彼のズボンを脱がせた瞬間、男の匂いが‥‥私には出したくても出せないオ
スの体臭が鼻を刺激します。汗や分泌物が醸し出すえもいわれぬ香りに、私は
陶然となりました。鼻から子宮に槍を突き刺されたような衝撃が走ります。
汗臭さと牡の匂いがたまりませんでした。久し振りに味わうペニスを想像す
るだけで、私は軽く失禁してしまったほどです。
恥ずかしくて、情けなくて、途方もなく高ぶりました。
学校から場末のラブホテルへと直行し、体も洗わずに男のペニスを求める淫
らな自分の姿に、私はパラパラに崩れ去ってしまいたくなるほどの屈辱を感じ
つつ、これは呪いのせいなのだと思いこもうとしました。
しかし私の頭のスイッチは、完全に淫乱モードへと切り替わっていました。
蕩けそうでした。
まるで麻薬中毒患者のように震える手付きで、私は彼のトランクスを引きず
り下ろしました。
ペニス、ペニス‥‥ペニス! 頭の中はそれだけで一杯でした。
私が求めてやまない、失ってしまった男性のシンボル。思わず私は、彼の股
間に頬擦りをしてしまいました。彼の陰毛と硬くなり始めたペニスが私の頬に
当ります。
舌で亀頭のくびれをなぞると、瞬間的に固さが倍増して宙を向きました。幹
から陰嚢にかけて、舌を這わせます。彼の呻き声が、ますます私の官能を増し
ていきました。
頭の中が沸騰し、脳がぞろぞろと蕩けて子宮へ落ちてゆくようでした。私は
夢中で彼のペニスを口に含み、くるみの殻のような亀頭を舌と上あごの両方で
味わうようにしながら、唇やほおの裏側まで使って吸いました。
わずかに漏れ出る粘液には、既に精液の味が感じ取れました。次の瞬間、ペ
ニスが膨れ上がったかと思うやいなや、私の喉奥に向かって激しい勢いで精液
が溢れ出てきました。
これだけで私は、あまりの気持ちよさに気が遠くなってしまったのです。
粒すら感じられる濃厚な精液を味わいながら、頭のどこかではこれが最後な
んだから、これくらいはがまんするしかないかと考える男の部分と、この濃さ
から察するとかなり長い間溜めていただろうから、まだたっぷり味わえる、嬉
しいと考える女の部分が渦を巻き、ぐちゃぐちゃになっていました。
ペニスから口を離し、呆然としている私を彼はシャワールームまで抱いて連
れていき、最大水量で下着姿のままシャワーのお湯を浴びせかけました。
甲高い喜びの声をあげ、私は続けさまに何回も絶頂を感じ、彼の脚にすがり
つきました。そして毛深い脛に顔を寄せ、こう懇願したのです。
「早く私を犯してください」
‥‥と。
そのままシャワールームで、バックから突かれました。
背中にはシャワーの水流が絶え間無く襲いかかり、彼のペニスによる刺激と
鷲づかみにされたお尻の痛みと伴って私を狂乱に陥れます。
体が燃える、溶ける! ‥‥本当に狂いそうでした。
声が止まりません。悲鳴のような喘ぎ声を出しながら、必死に荒波に抗おう
としますが、彼の灼熱のペニスは、長い間セックスをしていなかった私の官能
を枯れ枝に火を着けるが如く、易々と燃え上がらせたのです。大きさも太さも
関係ありません。
危険日だなんて、どうでもよくなっていました。
自分を犯している男の肉体を心の底から愛しく思い、今までどこか冷めてい
た心が燃え上がりました。今までにおぼえた総てのテクニックを駆使して、彼
を悦ばそうと全身全霊を尽くしたのです。
彼が私の奥底へザーメンを注いだ瞬間、私は同時に射精していました。もち
ろんペニスなど無いのですから、幻覚です。
私は長年忘れていた感覚に酔いしれました。
幻覚の射精は止めども尽きません。次から次へと体の奥底から、十年あまり
の間に溜まりきった、にこごりのような精液が出てゆくようでした。どうやら
私はこの時、小水を漏らしていたようなのです。
無重力になったかと思うと、次の瞬間、私は勢いよく大空へ放り投げられた
かのような感覚をおぼえ、大きな声を上げてしまいました。
私が、真の絶頂を知った瞬間でした。
今までの絶頂は、これに比べれば小指の先程も無いちっぽけな満足感でしか
ありません。深い深い、真の悦びは、魂をもとろけさせる極上の蜜の味でした。
彼は私の体を、背後から溶け合うほどきつく抱きしめました。私は彼を抱き
しめられない空しさと共に、深い満足感と広大な海のような静かで深い快感を
感じていました。
射精してもなお固い彼のペニスは、敏感になっている私の性感を刺激し続け
ていたのです。
上昇から一転して、落ちてゆくような逆の感覚に戸惑い、私は彼を振りほど
くとバスタブに腰を掛けて彼の身体に抱きつき、背中に爪を立てました。彼も
その姿勢で再び私に挿入しました。脚を絡めたためピストン運動ができなくなっ
た彼は回転運動に切替え、私の中をかき回します。
彼が動くたびに私は絶頂に達します。続け様に襲い来る絶頂に私の頭は爆発
寸前でした。次第に肉体の感覚が失われてゆき、純粋な快感だけを感じるよう
になっていきました。
気持ちいいのが、止まりませんでした。
この時はもう、彼が何をしていたのかおぼえていません。
ただひたすら彼にしがみつき、声にならない声を絞り出し、まるで脳だけが
荒波の中へ投げ出されたようでした。頭を直接愛撫され、むりやり快楽の信号
をペニスでねじ込まれているような圧倒的な快感が、私をセックスの大渦に飲
みこんでしまいました。
気がつくと、私はベッドの上で組み敷かれていました。彼は上におおいかぶ
さりながら、私の首筋を舐めていました。ただ舌先でなぞられているだけなの
に、挿入されているかのような気持ちよさを感じます。
私が意識を取り戻したのを察して、彼は上から退いてくれました。
体は重いのに、気分だけは異様にハイになっていました。プールの中で手足
を動かすようなねばっこさを感じつつ、私は彼にもたれかかります。汗の匂い
と、男性の体臭が鼻からアヌスまで一直線に突き抜け、精液と私の体の匂いが
まだ完全には引いていない快楽の残滓を活性化させます。
少し照れたような彼の顔。
愛しい‥‥。
胸が高鳴ります。男なのに、私の心臓は早鐘を打つように高鳴っています。
間違いない。彼が運命の人です。
私の心は高校生時代へと遡っていきました。
あの、運命の日。
先輩も今の私のように感じていたのでしょうか。
戸惑い。胸を焦がす焦燥感。そして‥‥情熱。
私はシャワーを浴びに立とうとしてよろめいた彼のうしろから抱きつき、背
中に顔を埋めました。
一分、いえ一秒でも彼を離したくなかったのです。
男性の、広い背中。
身じろぎもせず、じっとしてくれている彼に体を預けていると、安堵で胸が
一杯になります。
私は、これが男に戻るための単なる儀式だということを頭の中からいったん、
消し去りました。今、この時を心行くまで堪能したい。その想いが、体から溢
れ出して世界中へと広がってゆくようでした。
私の手に何かが触れました。
それは、彼と私の体液で濡れた赤銅色のたくましいペニス‥‥。
私はたまらず、前へと回ってそれを口に含み、顔を動かし始めました。口の
中に広がる、苦くて甘い体液をすすり、知る限りのテクニックを駆使して、彼
の形を熱さを口の中全体で味わいます。
やがて口に広がる、豊潤な白い甘露‥‥。
腰から下が溶鉱炉の中で溶けてしまったようでした。
私は口の端から精液が垂れているのも気にせず、彼を押し倒しました。あれ
だけたっぷりと射精したはずなのに、彼のペニスはまったく硬さを失っていま
せんでした。
それから何度、いえ、何十度目かの成層圏を突き抜けて宇宙まで行ってしまっ
たかのような絶頂を感じたでしょう。度重なるアクメによる心地好い疲労で眠
りに就く私は、ペニスを受け入れたまま彼の腰に脚を絡めて眠ったのです。
疲れきるまで愛された充実感を感じながら‥‥。
===== 今回はここまで。次回は、最終回 =====
トテモイイ(・∀・)!!
いよいよ最終回。スレも残り10K強。容量的OKでつか?
>>599 あのバレンタインの翌日、とは言っても東の空がほのかに明るくなるまでセッ
クスをしていたのですから、眠っていたのは、ほんの一時間ほどだったのでしょ
う。
私はかなりの低血圧です。いつものように無意識に長い髪をかき分け、重い
体を起こそうとして、体の上にタオルケットがかけられているのを知りました。
いつものように‥‥?
見慣れた体。
女の、からだ‥‥。
この時、私の心の中に浮かび上がった感情は――落胆?
いいえ。安堵でした。
続けて、震えが起こりました。
恐怖です。私は、完全に女性として考えていました。いつもと変わらない女
性としての自分を確認して、ほっとしていたのです。
彼に対する愛も変わりませんでした。それどころか、前よりも強く彼を想っ
ている自分に気がつきました。嫌おうとしても、嫌いになれない。忘れようと
すればするほど、彼のことで頭の中が一杯になってしまいます。
これは恋? それとも愛?
私は彼に完全に心を奪われていました。それが呪いによるものなのか、自分
自身の意思によるものなのか、私にはわからなくなっていました。
もうとっくにヴァレンタインは終わっています。
女のままということは‥‥もう、おわかりですね。
そうです。私は彼と性別を入れ替えることができなかったのです。
どうしてこうなってしまったのか、私はベッドの上で半身を起こしたままじっ
と考え込んでいました。
でも、こんなことで急に何かがわかるはずなんかありません。
口を半開きにして小さないびきをかいている彼にタオルケットをかけてやり、
しばらくの間彼の寝顔を眺め、横目で時計を見ました。
午前6時5分。まだ学校に行くには早い時間ですが、このままホテルから学
校に行くわけにはいきません。
私は彼を軽く揺さぶって起こしてから、またのしかかってこようとする彼を
キスで押し返し、シャワーを浴びに行きました。本当は私も彼の求めに応じた
かったのですけれども。
太腿が少しひりひりしました。精液がこびりついていたからでしょう。その
痛みすら私には心地好いものでした。痛む場所を指でなぞると、不思議と気持
ち良かったのです。
私はまだ湿ったままの下着をつけ、彼と別れてから自分のマンション(昨年
の4月から、私は実家を出て一人暮らしをしていました。もちろん、賃貸です)
に帰って身仕度を整えました。本当は髪も洗いたかったのですが、髪を乾かす
余裕はありませんでした。ホテルのシャンプーの匂いに気づかれまいと、私は
いつもはしない香水とヘアコロンを軽く吹きつけてから家を出ました。
授業に出た私ですが、眠くて仕方がありませんでした。
でも、彼はタフですね。いつもと変わらない様子で授業をしていたそうです。
私なんて、いつもは使わない椅子にでも座らないではいられないほど、腰から下
がくたくたになっていたというのに‥‥。
心の中が暖かく、幸せなのが何よりも怖い事でした。
完全に女になりきってしまったという自覚があるのに、どこか醒めた男の部
分が女の私を嫌悪します。
職員室に戻り、放課後になって私は初めて、周囲の奇妙な視線に気がつきま
した。祝福をするような、哀れむかのような‥‥。
私は思わず、あっと声を上げそうになってしまいました。
わかったんです。先生方が私に向ける視線の意味が。
そして、なんでこの学校は美人の先生が多いかという、その理由も。
彼女達がここの卒業生だということは知っています。どうしてこの学校に戻っ
て来たのでしょうか? そうです。彼女達もまた、やはり元は男性だったので
しょう。言葉にはできませんが、私にはわかります。
この学校の理事長も、やはり元は男だったと思います。
面接時に感じた視線は、同類を見る哀れみと慈しみだったのです。
決して男に戻れはしないのに、僅かな希望を抱いてやってくる哀れな「女」。
――そう。
私はどれだけ男だと主張しようとも、誰から見ても女なのです。子を宿し、
産み、そして育てる者‥‥。あの直感は、彼が夫となる人間だと告げていたに
過ぎなかったのです。
私はそれを、自分の都合のいいように解釈していただけ‥‥。
ここでようやく、現実の時間に追いつきました。
今日は3月20日。もう、時間も午前6時近くになってしまいました。
そろそろ彼が目覚めそうな気配がします。
ふふっ‥‥。
そうです。私は彼の家に押し掛けて一緒に暮しています。今は学校も春休み
ですから、一日中愛しあうこともできるんです。毎日のように睦みあっている
のに、彼は昨晩も、たっぷりと濃い精液を注いでくれました。
私はもう、彼のことしか考えられません。
これが呪いのせいではないことは確かです。私は、男の心を残したまま、女
性として彼を愛してしまったのです。
彼が、私を女にしてしまった先輩なのかどうかはわかりません。
いいえ。そんなことなんて、どうでもいいのです。
彼こそが、私の運命の人であることが重要なのです。私の魂を縛りつける、
たった一人の男性。今ならば、彼との出会いもまた、奇跡の一つだったのがわ
かるのです。
そして、私は決して男には戻れないということも。
既に私は、男として過ごした期間と女性として過ごした期間が、ほぼ同じに
なっています。もし男に戻れたとしても、幸せな生涯を送れるとはとても思え
ません。
私は女としての悦びを知ってしまったから。人を慈しむ幸せを知ってしまっ
たから。服従する快楽を知ったから‥‥もう男には戻れないのです。
最後に、もう一つ告白をしなければなりません。
なんで呪いがあるにもかかわらず、誰にも見せることのない、こんな文章を
したためられたのかという理由を‥‥。
恐らく私は妊娠しているのでしょう。一月以上もずっと避妊をせずセックス
をし続ければ、健康な男女の間で妊娠をしないはずがありません。胎内で小さ
な命が息づき始めているのが、私には、はっきりと自覚できるのです。
いつもは正確に来る生理がなかった時、私は恐怖と歓喜という、相矛盾する
感情に心を揺さぶられました。そして、女であることを呪う言葉を口にして、
私は初めて、呪いから解放されたことを知ったのです。
ああ‥‥なんと残酷なのでしょう! やっと女として生きて行くことを決心
し、男であったことを忘れようとした矢先に、強制力が無くなるなんて! そ
して、男であるという自覚を残したまま出産をしなければならないとは、あま
りにも残酷過ぎます。
私は恐ろしいのです。
堕胎手術を考えようとしても、押さえようの無い幸福感で心が満たされてし
まいます。これが新しい強制力なのでしょう。決して堕すことなどできないと、
私にはわかります。
私は秘密を心の内に秘め、子供を産み、育てていくしかないのです。
はたして私は、正気を保っていられるのでしょうか‥‥? それとも、出産
をした時に別の強制力が私を縛るのでしょうか。
この文章を打っているパソコンのキーが、愛液で濡れています。彼の精液も
混じっているでしょうね。まだ、し足りないと体が求めているのです。心もま
た、同じ感情を抱いているのがわかります。
私は、淫乱なのです。
本当は男なのに、女の体と半ば女になってしまった精神を持つ、堕落した淫
らな人間‥‥。恥ずかしさで、このまま死んでしまいたいほどです。
でも、そんなことはできないと、私の中の淫乱の血が囁きます。人から愛し
てもらえなくなるまで、私はセックスを求め続けるのでしょう。
この血がある限り、私は永遠に矛盾する感情に苦しめられるのです。しかし、
私にはそれさえもが快楽であり、服従する喜びと屈辱にもみくちゃにされ、そ
れでも体を開くのでしょう。
それは、たった一度の勇気を出せず、女であることを心の中で受け入れてし
まった私に対する、運命が与えた残酷な‥‥そして、あまりにも甘美な罰なの
です。
S.K
===== END =====
「能力」
真太郎が不機嫌なのには理由があった。
彼が、自分の周囲に起こる不思議な事象に初めて遭遇したのは、小学校五年
生の時だった。
クラスの中でもひ弱そうで、気の小さい少年を寄ってたかっていじめている
光景を苦々しく思いながらも黙殺していた真太郎が、
「あいつが女だったら、反対にいじめられる立場になるだろうな」
と思った次の瞬間、甲高い悲鳴が上がった。
視線を向けると、リーダー格の少年がいたはずの場所には、だぶだぶの男物
の服を着た、長い髪の愛らしい少女が立っていた。たちまち教室は他クラスを
も巻きこんだ大騒ぎの渦となり、教師が駆けつけてきた。
やがて彼……もう「彼女」なのだが……は病院へ連れていかれ、精密検査を
受けた後、完全に女性になっている事が確認されたようだ。ようだ、というの
は、彼女は女になってしまってからは一度も学校へ登校せず、どこか遠くへと
転校してしまったからだった。
学校は一時騒然となったが、やがて沈静化していった。
彼らにいじめられていた少年は、皆から遠ざけられるようになった。いや、
呪われたやつとか噂されて、無視されるようになったのだ。
真太郎は彼を可哀想に思ったが、何もしてやれることはなかった。彼を相手
にしたら、自分もまたシカトされるのがわかりきっていたからだ。
もし、彼が可愛い女の子だったら無視される事もないかもしれないのにな、
と心を痛めた。
次の日、その少年は学校を休んだ。
クラスの担任教師は青い顔をして、今日は自習だと言い残して、教頭と共に
車でどこかへと向かった。自習だと喜ぶクラスメートの中で、真太郎は胸騒ぐ
なにかを感じ取っていた。
その予感は、数日後、確かなものとなった。
朝のホームルーム時に、担任が固い表情で迎えたのは、細身でおかっぱの髪
をした、くりくりとした大きな目が快活な印象を与える美少女だった。
担任は、彼女は、あのいじめられていた少年だと告げた瞬間、クラスはひっ
くり返るような大騒ぎになった。
しかし、騒ぎが収まった後は彼女の周りには人の輪ができていた。
彼女は時々つっかえながらも、先日とはうってかわったような明るい表情で
次々と浴びせかけられる質問に、丁寧に一つずつ答えていた。
そして彼女はめでたくクラスの一員となり、その後はいじめられることもな
く、小学校生活を終えることができたのだった。
だがこの時、まだ真太郎は自分の持つ力に、気付いていなかった。
次に真太郎が「事件」に遭遇したのは、中学二年の修学旅行の時だった。
修学旅行の定番である京都や奈良、東京などではなく、東北地方へと行くこ
とになっていた真太郎の中学は、旅行に行く前からテンションは最低だった。
なにしろ、遊ぶような場所はほとんど無い。教師が生徒の管理がしやすいから
そこを選んだという噂が出るほど、周囲には大自然が広がっているだけだった。
ただ救いだったのは、おかずは名産の黒毛和牛で、和牛づくしの料理は旺盛
な中学生の食欲を補ってありあまるものがあった。そして、この旅館には名物
の大浴場もあった。露天、内風呂、打たせ湯など、趣向を凝らした風呂の数々
は、生徒よりもむしろ教師に評判が良かった。
6クラスある生徒たちを収容するために旅館は貸切状態で、大浴場もまた同
様だった。そろそろ体の差異が気になる微妙な年頃の少年にとって、他の人と
入る風呂は抵抗があり、大浴場へと向かったのは全体の四分の一以下だった。
そこで事件は起こった。
「お前らのチンコ、ちっちぇえな。俺なんかもうずる剥けで大きいんだぜ」
などと大きな声で触れ回りながら同級生達をからかっていた一団を見て、真
太朗は心の底から不快になった。
(σ・∀・)σ
お前らなんか、ぺったんこの胸でブスな女になっちまえばいいんだ。
悪意を込めて彼らを見つめると、彼らは突然苦しそうにうめいて、床に膝を
ついた。少年達は呆然として見つめる衆人環視のもとで、見る見るうちに体が
縮んでゆき、やがて女になってしまったのだ。
倒れていたのは五人。
「な、なんだよ! これ、どうなっているんだよ!」
甲高い声が大浴場内に響きわたり、周りから声にならないどよめきが上がっ
た。彼女達に共通するのは、薄い胸だが、かなりの美少女だということだ。な
にがなんだか理解しかねている元は少年だった少女は、たちまち同級生に押し
倒され、さっきまで嘲笑っていたペニスに貫かれ、膣が腫れ上がるまで犯しに
犯し抜かれた。
まだ半分近くが輪姦に参加できないで順番を待っている時、浴衣を着て、酒
臭い息をした真っ青な顔の教師たちが数名、ふらつく脚で慌てて大浴場にやっ
てきた。良心が咎めたのか、それとも満足したからなのか、誰かが教師を呼び
に行ったようだった。
修学旅行は即日、中止となった。
学校へ帰ってから一週間は自宅学習となり、学校が再開した時には、あの五
人はどこかへと転校していった後だった。
風の噂では、何人かは妊娠してしまったようだという。
事ここに至って、真太郎は自分が持つ不思議な力にやっと気が付いた。
自分の能力を知った真太郎が初めて自分の意思で男を女に変えたのは、粗暴
ですぐに手が出る、二歳年上の兄だった。
家中が大騒ぎになった。病院へ行き、精密検査を受けたが、結果はもちろん、
完全な女性だというものだった。医師の診断書を添え、戸籍も女性になった兄
……いや、姉は、ショックからか登校拒否になってしまった。
真太郎が高校に上がる頃にようやく立ち直り、夜間学校へと通い始めた姉は、
以前の性格とは全く違う、人を思いやる優しい女性になっていた。
それからも真太郎は、自分の意思で十数名を女にした。
数人でエロビデオを鑑賞している最中、悪友の一人を女にしたこともあった。
もちろん、たちまち彼女は押し倒され、哀願の言葉も空しく処女花を散らして
いったのだった。
だが、真太郎は不満だった。
彼が不機嫌なのには理由があった。
まるで興奮しないのだ。
周りが、自分が起こした状況によって恩恵をこうむっているのに、彼だけは
その利益に与れないのだ。もちろん、不能なんかではない。ちゃんと勃起する
のに、自分が女にした相手にはなぜか欲情できないのだ。
たまらなくなって男に戻そうとしたこともあったが、どんなに意識を集中し
ても女から男にすることはできなかった。一方通行の能力なのだ。
女になった元男性達は、変わり果てた姿を恥じてかどこかへ姿を消してしま
う者もいたが、ほとんどは女性としての生活をエンジョイしていた。真太郎の
姉も、結婚して幸せな生活を営んでいる。今や、二児の母だ。
こうして何年か能力を使わなかった真太郎だが、ある日、風呂上がりにトラ
ンクス一枚の姿でビールを飲んでいる時、突然わきあがる悪戯心を押さえきれ
なくなった。
もし、この能力が自分の体にも働くならば……。
彼は鏡の前で、意識を集中した。
女の体は、どんなに気持ちがいいのだろう。酔った勢いで、真太郎の妄想は
どんどん膨らんでゆく。
鏡に映った姿が、不意にぐにゃりと歪んだ。
やがて深夜の部屋の中で、声にならない声が上がった。
真太郎改め、真理奈(まりな)がその後どうなったかは、わからない。
===== END =====