あと50で、明日投下じゃ、
それまでに感想とか雑談で埋まっちゃうんじゃないの?
それかレス数じゃなくてKBのほうで制限かかるとか。
もしかして皆推力タンのために50レス残しておこうという心遣いをしてる?
ここから↓は推力タンの小説ですよ、みんな書き込むな。書き込んだ香具師はオレがビンタするからな
950 :
推力:03/04/19 18:22 ID:PUQ9jTbN
※警告
●今回は(も?)エロが“まったく”ありません。
●グロ表現があります。
951 :
推力:03/04/19 18:23 ID:PUQ9jTbN
>858
<34>
34番の映像のティファは、太い大型犬用の首輪を付けていた。
2メートル先まで見通せないほど薄暗い部屋の中、彼女は犬のように四つん這いになって、紐を持つ男に引き回されている。
クラウドは心臓を鷲掴みにされているような息苦しさの中、口の中がカラカラに乾いたまま画面を見続けた。
彼女の髪は短いままで、左手の小指も無いままだった。
だが、他は、どこもちゃんとしている。
欠けた所は無い。
傷付いた所は………………まだ、無い。
それだけは、クラウドをほんの少しだけだったが安堵させた。
部屋の中には男達が森の木々のようにひしめき、立ち並んでいた。
その間を縫うようにして、ティファが首輪につけられた皮紐を引かれ四つん這いで這いまわる。
カメラが彼女の背後にまわると、股間には肛門と膣それぞれに凶悪な太さの張型が押し込まれ、うねうねと動いているのが見えた。
彼女はふらふらと体揺らし、体の下に垂れ下がった巨大な乳を乳牛のように揺らし、苦しげな表情で必死に手足を運んでいた。
そして、並び立つ男達の前に跪き、フェラチオをし、気に入られないと殴られる。
頭に、顔に、肩に……男達の節くれだった拳が、容赦無く振り下ろされた。
そのたびに彼女は、膝を揃え床に額を擦りつけるように詫びた。
土下座だった。
言葉は無い。
そして彼女は、20人以上もの男達の男根を嘗めしゃぶり、吸い、精液を飲んだ。
クラウドはその一部始終を、歯を食い縛りながら見続けた。
全身を震えが走り、ここに映った男を一人残らずこれ以上無いくらい残酷に殺す事だけを考え続けていた。
最後に、彼の愛しい妻ティファ=ストライフは、カメラを持つ男の元に来た。
顔は腫れ上がり、鼻血が垂れ、左目は腫れた瞼(まぶた)で塞がっていた。
ひどい顔をしていた。
彼の知る、あの可愛らしい彼女ではなかった。
溌剌として命の輝きに満ち、彼を愛し彼の口付けを頬染めながら受けた、あの可愛らしい彼女ではなかった。
952 :
推力:03/04/19 18:25 ID:PUQ9jTbN
>951
<35>
右眼に力は無く、虚ろにカメラを見上げていた。
見上げながら、男の男根をしゃぶっていた。
その性戯だけは、的確に男の快感を引き出しているように見える。
執着し、“これ”をしゃぶる事がとても嬉しいのだ、好きなのだと言ってる気がした。
『いい子だ。気持ち良いぞ』
男が喋った。
クラウドはこの男の声を、一生忘れないと思った。
見つけ出して殺すまで、絶対に忘れまいと思った。
ティファは、男がまるで幼児にするように頭を撫でると、にっこりと笑って口を開けた。
誉められたら口を開けて、たっぷりと溜まった飲む前の精液を見せるように仕込まれているようだ。
精液の白っぽいどろりとした光が、生まれたばかりの赤ん坊のような歯茎にからまっていた。
精液が溜まった口内には歯が一本も無く、
舌も、噛まないように途中から切り取られていた。
全ての映像を見終わると、薄暗い部屋でクラウドはソファに身を預け、天井を見上げた。
気がつけば二昼夜が経っていた。
もっと長い時間が経ったと思ったが、時計の時刻表示は最初の映像を見始めてからそれだけしか経っていない事を示していた。
あの映像を見て勃起出来る男がいるのなら、そいつは人間ではないと思った。
人間のクズだ。生きている資格は無い。
『だから俺が殺してやる』
そう思った。
最後の映像の本当の最後には、クラウドをあざ笑うかのように白文字で日付が入っていた。
今から、2週間ほど前の日付だった。2週間前、彼女はまだ生きていたのだ。
そして今もきっと生きている。
そうでなければ、あまりにも哀し過ぎる。
どんな形にせよ、どんな姿にせよ、生きていて欲しいと思った。
これはエゴだろう。
自覚がある。
953 :
推力:03/04/19 18:26 ID:PUQ9jTbN
>952
<36>
あんな地獄に身を置くくらいなら、いっそ死んでしまった方がいい。そう彼女は思っているかもしれない。
でも、彼は生きていて欲しかった。
もう一度、彼女をこの目で見たかった。
触れたかった。
抱きしめたかった。
あの日の自分を、心から詫びたかった。
あの日彼女を引き留めなかった自分を、
彼女を奪った男を殺せなかった自分を、
彼は、今も憎んでいたから。
『ティファ…』
キッチンに行き、グラスに水を注いで一息に飲み干した。
ひりついた喉を生ぬるい水が滑り落ちていき、そこで初めて彼は軽い空腹を覚えた。
彼女の作った料理を、どうしようもなく、食べたいと思う。だが、彼女の料理の味が、どうしても思い出せなかった。
それが、彼にはとても哀しい事だと思えた。
34番目のティファを思った。
切られた長く美しい黒髪は元に戻っても、彼女の歯と舌は、きっともう元には戻らないだろう。
あの耳に心地良い声は、もう2度と聞けないのだ。
切り取られた左手の小指も。
もう元には戻らない。
彼等があの旅の間、常に携帯していた魔法宝珠『マテリア』でも…癒すのはもう、無理なのだ。
マテリアというものは、必ずしも万能などではない。
『マテリア』は、そもそもが高密度に折り畳まれた魔法回路(サーキット)…しかも、
ひどく純度の高い魔晄によってのみ織り込まれた“非指向性の魔法回路”がその正体であり、
その生成は人の手などでは到底叶わず、必ずと言っていいほど天然の『核』を必要とする。
954 :
推力:03/04/19 18:29 ID:PUQ9jTbN
>953
<37>
元々、魔晄というものが、『エネルギーの場』でしかないというのは、旧神羅の科学部門研究員達の共通認識だ。
…が、その『エネルギーの場』というものは、当然それのみでは長時間もこの現世界に存在する事が出来ない。
『生物の“思念”とでも言うべき“純エネルギー”を主な構成とした、
いまだ人類には解析不可能な触媒』を必要とする……と言われているのだが、
それを「はいそうですか」とそのまま鵜呑みにする人間はまずいないだろう。
そんな“ワケもわからぬ「精神病患者の妄想」のような触媒を介してのみ発現した特殊な『力場』”など、誰が信じようか。
だが、魔晄は実際に存在し、そんな『力場』で長い時間をかけて練度を上げ熟成したもののみが、
いわゆる“魔晄溜まり”から固体として形成されて露出する。
それが『魔力宝珠(マテリア)』と呼ばれるマジック・アイテムであり、
高価な稀少石としてアイテムショップなどでも売られる事となる、あの色とりどりの球体なのだ。
マテリアは“魔晄溜まり”の発生条件に多大な影響を受け、その土地の土壌の状態や大気の質、周囲の生物の数や植物の植生状態、
果ては“近隣に人間などの思考能力を有した知的生命体が存在するか”などの条件によって、ある程度の成長練度が決まる。
そして、マテリアが創り出すフィールドを人が受け入れ取り込む事が出来れば、
内部に織り込まれた《サーキット》を無意識下に“刷り込む”事もまた、自然に行われる事になり、
それが結果的にマテリアに明確な指向性を生み、『成長』を促す起因となる。
つまり単純に言えば「マテリアが成長するためには、人の意識が必要」という事だ。
955 :
推力:03/04/19 18:30 ID:PUQ9jTbN
>954
<38>
そしてマテリアの《サーキット》は人の『心』…または『魂魄』、『精神』などと呼ばれる“人の意識の力”を物理的な干渉力に変え、
物質を縛る法則を“無理矢理”捻じ曲げる事が出来るようになる。
そこはもう人知の及ぶところではなく、「なんだかよくわからないがとにかくすごいものだ」という、
どうにも“英知を操る高等生物”にあるまじきいい加減さで納得するしか、方法が無い。
かつて旧神羅でも人工マテリアの研究は進んでおり、天然マテリアの『核』を必要とするものの、
どうにか様々な種類の宝珠を生成出来るまでにはなったが、実際に「なに」が「どう」物質界に干渉するのか、
そこのところは現在もまた、全く皆目見当もつかない状態であった。
指向性を与えられた《サーキット》は、それを使用すればするほど上方思念のコントロールによる
“意識力の速やかなる物理的干渉力への変換”が可能となり、その物理法則への干渉力も更に強大になってゆく。
成長し練度を増した《サーキット》は、時として対象物の『時』を止める事さえ可能とし、
更には異相世界に存在するエネルギー生命体に形を与えて、
この世界に顕現(けんげん)させる事さえ成さしめてしまうようになるのだ。
マテリアには「魔法」「支援」「コマンド」「独立」「召喚」「ヒュージ」などがあるが、
基本的には全て《サーキット》による現世界への干渉を可能にするものだ。
魔法を唱え、人を操り、異相世界の高位エネルギー生命体を召還する。
初めてマテリアに触れ、その力を目の当たりにした者は、これさえあれば、この世で不可能な事など無いようにさえ思う事だろう。
だが先に述べたように、マテリアは、必ずしも万能などではない。
一度指向性を与えられた《サーキット》は、その《サーキット》が方向付けられた性質以外の働きをする事は無く、
干渉力の増大と共に全く融通の利かないものへと固定化されるからだ。
ティファの左手の指が欠損したままなのは、おそらく切断されてから時間が経ち過ぎたか、
切断された指そのものが失われてしまったか…そのどちらかなのだろう。
956 :
推力:03/04/19 18:32 ID:PUQ9jTbN
>955
<39>
一般に人体の回復には大まかに「再生(再成)」と「治療」があるが、
『回復マテリア』は「ケアル」「ケアルア」「リジェネ」「ケアルガ」などの、
肉体が本来持つ“抵抗力”“組織再生力”を一時的に、そして飛躍的に高める事のみを可能としている。
だが、それと反するように、毒素による体組織破壊、細菌感染やウィルスによる発病、
または肉体の欠損などには、その抗力がほとんど無い。
解毒や感染症の治療に『治療マテリア』、肉体の再構成には『蘇生マテリア』と、
それぞれ別のマテリアが必要とされるのにはそれなりの理由がある。
えてして、毒に侵されたり病気にかかった際には、単に怪我をした時以上に体力は落ち、
抵抗力も免疫力も落ちてしまうものだ。そのような時、特に毒素や病原体の初期治療に回復マテリアを使用すると、
毒素による細胞の壊死が進行してしまったり、病原体そのものの力が強まりそれが肉体の抵抗力を凌駕して、
病状を更に悪化させてしまう事になる。
21番目の映像で男達の糞便を食わされたティファは、酷く苦しんだ筈だ。
汚物を体内に入れて変調を来たした内臓は、回復マテリアでは治す事が出来ないからだ。
汚物にまみれさせたり、精液を大量に飲ませたりした後も同様だろう。
その時の彼女の苦しみを考えただけで、クラウドは身体の奥から怒りが込み上げるてくるのを抑えられなかった。
肉体の欠損においては、ケアル系魔法は肉体そのものを再構成するわけではないため、
欠損分の皮膚が自己再生する際に傷のみを塞ぎ、形質が固定されてしまって、
最悪の場合はレイズやアレイズでも欠損部の肉体を再構成する事が出来なくなる。
ナイフで切っただけの切傷は、時間をかけた自然治癒だけでも皮膚の再生力によって
いずれ目立たなくなるまで回復するものだが、人間は普通、例えば腕を絶ち切られれば、
そのままでは新たな腕が生えてくる事は、絶対に有り得ない。
本体から切り離された腕の細胞がまだ組織崩壊を起こす前ならば、ケアルアで繋ぎ直す事も可能だが、
失われた腕をケアル系魔法で補完する事は出来ないのだ。
957 :
推力:03/04/19 18:34 ID:PUQ9jTbN
>956
<40>
『蘇生マテリア』は、人間が持ち得ない力を行使する特殊なものだ。
使用者の持つ“意識力(魂魄力・心力・精神力…など、どう呼んでも構わない)”をひどく消耗させ、
結果としては“生体力の譲渡”とでも呼称して良いほどの結果をもたらす。
だがそれも、使用者がその急激な“意志力”の消失に耐えられるならば、という条件付ではあるのだが。
そして『蘇生マテリア』は、『蘇生』とは名打っているものの、“魂魄が既に失われた肉体”を生き返らせる事は出来ない。
もし、魂魄が失われて時を経た肉体でも蘇生が可能であるならば……そんなどうしようもなく
人間に便利なものがこの世に存在するならば、あの茶色のくるくる巻き毛の少女は
今もあの明るい笑顔を見せてくれているはずだ。
もっとも、狂気の英雄によって彼女の魂魄が肉体より速やかに抜き取られていなければ、
『蘇生マテリア』でも十分生き返らせる事は可能であったかもしれない…というのは、あくまで想像の域を出ないのだが。
あの時はそれをすぐに試してみる事も出来なかったし、この世界のどこかに
物理的な肉体を受肉して存在していると言われる“異相世界の高エネルギー生命体”
…俗に『フェニックス』と呼ばれる攻性知性体の肉体の一部でもあればそれも可能だっただろうが、
あの時は誰もその存在すら知らずにいたのだから。
958 :
推力:03/04/19 18:35 ID:PUQ9jTbN
>957
<41>
ティファは、かつて共に旅をした女性の忘れ形見である『回復マテリア』を持っているはずだ。
でなければ、乱暴に扱われたにも関わらず、肉体に“前の撮影時についただろう傷”が残っていない事の説明がつかない。
だが、おそらくマテリアを使用する事が出来るのは、ティファ以外にはいないに違いない。
男達がマテリアの能力を引き出せるほど《サーキット》を構築しているとは考えられなかった。
指も、舌も、治療が早ければ失わずに済んだかもしれない…と思わなくも無い。
けれど、その部位が失われた時、彼女は意識を無くしていたのだと思いたかった。
意識の在るまま、肉体の一部を切り取られたのだとは、思いたくないのだ。
特に、舌は外科的に切り取られたのだろう。彼女は眠らされ麻酔されて切除された……に違いない。
せめて、そう思いたかった。
人間としての扱いを受けていなかった彼女。
まるで動物か、ペットのように扱われていた彼女。
そんな彼女の姿を見て、それは有り得ないと誰もが言うに違いない。
彼等は強い彼女を知っているからだ。
彼女の強さを知っているからだ。
だが彼は知っている。
彼女は、弱い。
強いが、それでも、弱いのだ。
彼女を少しでも知る者は、皆、彼女を「強い」と言う。
勝手な思い込みだ。
彼等が彼女の何を知っているというのだろう?勝手なイメージを押しつけ、勝手な役割を想像の中で演じさせているだけだ。
彼等が彼女の何を見た?
彼女の何を感じた?
彼女は、強くあろうとしただけだ。
強くありたいと願っていただけだ。
959 :
推力:03/04/19 18:36 ID:PUQ9jTbN
>958
<42>
彼女は助けを求めていた。
いつも。
彼と一緒になり、共に暮らし始めて、ようやく彼女は「自分の安らげる場所を見つけた」と言った。
ようやく、ありのままの自分でいられる場所を見つけたのだ、と。
そして“あの日”も、彼を拒絶しながら求めていたのだ。
彼が全てを引き換えにしても自分を助けてくれるのだと。
それが、今の彼には、“わかった”。
あの時それに気付かなかったのは、自分の罪だ。
そうクラウドはずっと思っていた。
勝手な思い込みかもしれない。
だが、それは彼女自身に問わなければ誰にもわかりはしないのだ。
映像の中、一度だけ“コワレていない彼女”が言葉を発した時があった。
おそらくずっとずっと心の中で繰り返していただろう言葉を、泣きながら発した時があった。
16本目だった。
自分で太腿を持って、胸元に引き寄せていた。巨大な乳が脚で歪み、寄せられて、さらに豊かに見えた。
相手の男は、整髪料で髪を立たせた、金髪の男だった。
その金髪の男に抱かれながら彼女は、
「クラウド…」
と、ただ一言だけ呟いて大粒の泪を流したのだ。
それが全部だ。
だが、それで十分だった。
彼女が名を呼んだ。
それだけで、彼は必ずどんな事をしても彼女を取り戻そうと、自分の心に新たに誓ったのだった。
どんな障害があろうがそれを排除し、探そうと思った。
960 :
推力:03/04/19 18:38 ID:PUQ9jTbN
>959
<43>
数ヶ月前、あれだけの決定的な決別を宣告されても、それでも彼は彼女をまだずっと愛し続けていた。
心が、身体が、彼の全てが彼女を求め続けていた。
それが良くわかった。
この数ヶ月、迷いながら苦しみながら悩みながら焦がれながら、彼女の事だけを想い続けていた。
ずっと彼女の元を離れた事を後悔していた。
あの日あの時からぷっつりと姿を消し存在を消した彼女と自分を繋ぐものはなく、彼はただあても無く情報を求め世界を巡った。
交通網も通信網も世界のあらゆる情報もほとんど失われた今、たった一人の人間を手がかり無く探し出すには、世界は広過ぎた。
だが、今ここに手がかりがある。
反吐を吐き、血を流し、胃液にまみれ涙にまみれ、慟哭と嗚咽と怒りにまみれながら確かめた、手がかりがあるのだ。
全ての映像を見終わったその日から、彼はその映像の分析を始めた。
何も食わず、風呂にも入らなかった。
ただ、手がかりになりそうな映像を切り出す作業に追われた。
自宅に閉じ篭って映像を繰り返し見ていた彼を、何度かバレットやシドやリーブが尋ねてきたが、一度も応対しなかった。
そんな時間すら惜しかった。
画面に映るもの全てを細かくチェックし、分析し、編集し、文書を添えて3日後に組織へ送った。
オリジナルソースは手元に置いた。細かく砕き、燃やし、この世から消し去ってしまいたい欲求に苦しんだが、
今、彼と彼女を結ぶたった1本の細い糸を断ち切るわけにはいかなかったからだ。
961 :
推力:03/04/19 18:39 ID:PUQ9jTbN
>960
<44>
個人の事情で全組織を使った。今までも部下を通して人を使ったり情報を集めたりは、していた。
だが、今度は違う。各都市の治安維持が困難になる程、組織を私物化した。
他人など、どうなってもいい。そんな事さえ思った。
それを決意させたのは、彼女が発した、あのたった一言だった。
手がかりは少ない。膨大な映像の中で本当に手がかりとなり得るのはいったい何割……いや、何パーセントだろうか。
慎重に編集されていた映像との闘いだった。
映像の一コマ、画面の隅、男の肌の色やイントネーション。
全てが手がかりになりそうで、その実、何の意味も無いものにも思えた。
だがそれは、今にも切れそうな、細い細い絹糸のような手がかりだった。
だからといって、諦めきれなかった。
諦めきれるわけもなかった。
彼女は、自分にとっての全てだからだ。
自分が求めるべきただ一つの楽園だからだ。
彼女が、いいのだ。
彼女でなければ、ダメなのだ。
彼女でしか、自分のこの渇きは癒せないのだ。
盲信かもしれない。
彼女一人が女ではないだろうという声もあるだろう。
だがそういう人間は、きっとまだ本当に人を愛したことが無いに違いない。
彼はそう思った。
生涯にただ一度きりの真実。
それを彼女の中に見つけたと感じたのは、決して思い込みや間違いなどではないのだと。
そう、彼は思った。
無様でもいい。
みっともなくても、いい。
それでこの渇きが癒せるのならば。
962 :
推力:03/04/19 18:40 ID:PUQ9jTbN
>961
<45>
数週間後、彼の元にバレットが情報を持ってきた。
こんなにも容易いのか。
そう思った。
あんなに探し回ったのに、わずかな手がかりさえあれば、組織を使えば、こんなにも容易かったのか。
馬鹿馬鹿しかった。
治安維持を配慮して、“たかが”他人の平穏な日々のためだけに、自分は最愛の女性を失おうとしていたのだ。
最初からこうしていれば良かった。
リーブに組織の私物化を責められ自宅謹慎を告知されたその日、クラウドは情報を手にヨトゥンを出た。
バレットの情報には、主犯格の男達の情報が含まれていたからだ。
今ではすっかり高価となった映像記憶媒体をあそこまで惜しげも無く使用すれば、
おのずとその入手経路などからその容疑者を特定する事が出来る。
流通経路から裏のマーケットを辿り売買記録を割り出したのは、元タークスであるレノの存在が大きかった。
彼には、そのまま男達の身柄を確保するように命じておいた。
そして、クラウドが到着する頃には、彼は完璧に任務をやり遂げていたのだった。
クラウドは男達を殺した。
これ以上無いほど、むごたらしい方法で。
あの男は…………数ヶ月前、クラウドの目の前でティファを嬲って見せた男は、
他の3人が命乞いして泣き叫びながら死んでいったにも関わらず、ただ一人、取り乱さずに死んでいった。
あの日、クラウドを前にしても動じない肝の据わったあの男の様子は、『死をも恐れない豪胆さ』からくるものなどではなく、
『自分が死のうが死ぬまいが気にも止めない』というだけの嫌世的な態度でしかなかったわけである。
彼にはかつて、空中都市ミッドガルに家族がいた。
だが、アバランチの魔晄炉爆破により全てを失った。
そう資料には、あった。
復讐だったのだろうか。
クラウドとティファの家に押し入ったのは偶然だったらしいが、
その後、自分が犯した女が魔晄炉を破壊したアバランチの当人だと知った時、男は何を考えたのだろうか。
けれど、そんな事はもう彼にとってはどうでもいいことだった。
963 :
推力:03/04/19 18:42 ID:PUQ9jTbN
>962
<46>
クラウドは彼の目を焼き潰し耳を殺ぎ鼻を落とし、出血多量で死なないようにケアルで治療しながら切り刻んだ。
他の男達と同じようにショック死さえしなければ、永遠に苦しめてやりたいとさえ思ったのだが、
太腿をブツ切りにしている最中に小便と大便を漏らしながら全身を痙攣させて死んでしまった。
蘇生マテリアを持ってくれば良かったと、心からそう思った。
ずっとクラウドの側に控えていた、あのレノでさえ、事が終わった後に胃の中のものを吐いていたが、
クラウドは何も感じなかった。「ようやく殺してやった」という感慨も無かった。
クラウドにとって大事だったのは、男達が既にティファを売り払ってしまていたという、
そのたった一つの事実だけだったのだから…。
レノに口止めをし、公的な資料を全て処分して男達を殺した事実は慎重に隠蔽した。
この時代であっても、人を殺せば犯罪になる。
そういう社会を作り上げ、人が人を傷つけないような世界を維持しようとしていたクラウドが、自らそれを反故にしたのだ。
だが、クラウド自身には罪悪感はこれっぽっちも無かった。それでも一応念の為に、
生化学研究所で髪と目と声を永久に変えようと思った。だが、組織組成をいじるため、
“スイッチ”が入って『ストーカー』化するかもしれない、と研究主任に言われた。
そんなものは、とっくに覚悟していた。
ティファを失い彼女を探し回っていた日々の中、その兆候は既にあったからだ。
964 :
推力:03/04/19 18:43 ID:PUQ9jTbN
>963
<47>
『ストーカー』のようにジェノバ細胞の自壊作用で全身が溶け崩れてしまわなかったのは、半分は奇跡だったのかもしれない。
だが半分は、リーブの命令で、「ジェノバ・プロジェクトの研究資料の分析」と「クラウドの細胞を使った臨床実験」
を行い続けてきた研究主任の、そして、ティファを見つけるまでは絶対に死なないと誓い、
彼に体細胞サンプルを提供して辛抱強く協力し続けたクラウドの努力の賜物だった。
それでも、ジェノバ細胞が融合し全身に広がったクラウドの身体は、この数ヶ月で多少ではあったが骨が歪み、
内臓の一部が極端に機能を低下させてしまっていた。
研究主任に言わせれば、いつ変調して死んでもおかしくない状態なのだという。
そう聞かされて来た人間に、今更『ストーカー』化すると言っても意味は無い。
クラウドはそう言って、一人笑った。
『少し時間をくれ』
研究主任には溜息と共に、そんな言葉を苦しそうに吐き出した。
クラウドがティファを捜し求め、その居場所をようやく突き止めて彼女の元に向かったのは、
彼が男達を殺してから1ヶ月ほど経った頃の事だ。ティファが彼の元から姿を消して、既に1年と1ヶ月半が経とうとしていた。
そこは、『狂気の英雄事件』以後に、資産家によって切り開かれたニブル地方の私有地の名だと、そう、資料には記されていた。
その土地の名は、スヴァルトヘイムと言った。
965 :
推力:03/04/19 18:51 ID:PUQ9jTbN
>964
終わりませんでしたね。
残りのアップは後日……新スレで?(キリよくないなぁ…)。
終わらせようと思って駆け足になったのは認めます。
でも、実は、読む人の事って考えてません。
マテリアの設定とかも、このスレには全然似合わないですけど書きたいから一度文字にしてみました。
他の曖昧な部分も、ここで書く必要を感じないので書かないだけで、設定考えるのは大好きです。
必ず不満は出るでしょうし、もう書くなとも言われるの覚悟してます。
でも最後までアップします。
一度「氏ね」と言われたら、もう何言われても平気なので。
>965
お疲れ。でも小説本編に関係の無い部分は違うトコでやった方がいいと思うよ。
荒れるのもイヤだしな。板違い、スレ違いになったら意味無いでしょ?
それでも書くというならまあ、止めはしないけど。
推力さん、お疲れさまです。無理に終らせないでもいいと思いますよ。
自分は意味の無い部分も大切だと思います。
それが書き手の個性に繋がる事も有りますから。
乙ですた!!
乙。
ところで誰が次スレ立てるんだ〜?
洩れはこの間立てちゃったから無理。
推力さんには続きは次スレに持ち越して欲しい。
即死判定もあるし。
↓970か、推力たん、次スレ立ててね!
971 :
970:03/04/19 19:25 ID:OOvmG6Cv
エロくないエロくないと言われてるけど
そんな事はないと思う。
ようするにこの板の住人の大半は
“エロパロ小説”ではなく
「あっ…いやっぁっはぁあぁッ!」みたいな喘ぎと
“肉棒”“中出し”“どぴゅ”
みたいなストレートな表現を欲しているんだろうけどね。
それが小説として稚拙だとしても
この板で求められているのはそっちなんでしょう。
私はどっちも好きですし推力さんのお話は最後まで読みたい気持ちで一杯です。
書き手の立場から見てこの煽り叩きの嵐の中
連載を続けられるのは尊敬に値すると思いました。
いや、嫌味では無く純粋に。
私ならとっくに逃げていると思います。
長々とすみませんでした。
ラストお待ちしてます。
>972
稚拙な書き手の立場からひとこと。
エロと、エロを読む人間を な め る な !
高尚な書き手キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
975 :
名無しさん@ピンキー:03/04/20 03:11 ID:UH23L0sL
>972-973
こいつらこんな事言ってる暇あったら
ティファのエロ小説書けば良いのに。
こいつらの書く文つまんなそうだけど。
こんな状態で新たな書き手召喚しようとしてる読み手にも呆れるけどな。
誰がこんな殺伐としたスレに書くってんだよ。
976 :
山崎 渉:03/04/20 04:06 ID:sTzjkZgc
∧_∧
( ^^ )< ぬるぽ(^^)
977 :
名無しさん@ピンキー:03/04/20 08:28 ID:3FmFKZAG
どーでもいいが結局、1の続き読めんかったなぁ。
ま、荒れちゃったし、しゃーないか。
途中まではマターリだったがな。
推力たんが書き出してから荒れ始めたもんなぁ。
書いたのが悪いということじゃないぞ。
ただコテ半でレス等人格見え始めるとどうしても荒れる…
こういうとこで必要なのは、淡々とSSを投下してくれるマクロ人間なのかもな。
>>978 人格じゃなくて、ただひたすらに長いってことが問題なのでは。
あまりにも長いから
・マンセーが出て、アンチも出る
・エロ以外の描写も入って文句を言うヤツが出る
・待ってるあいだに期待をしすぎたヤツが騒ぎ出す
・他の職人が投下できなくて、早く終われと騒ぎ出す
話の内容とか出来じゃなくて、
たとえばこれがきっちり100レスくらいで終わっていたら、
あるいは話の長さは同じでも投下が5回くらいだったら、
もっと問題はなかったでしょ。
まあここのヤツラは文句言いすぎだと思うけどね。
そこまで言うなら自分が、
誰もが抜けるエロエロ肉奴隷ティファの話を書いて
ここに投下すればいいのに。
他人が書く以上自分の思う通りの内容になるはずがない。
本当に自分の好みに合う話が読みたいなら自分で創作するしかない。
まぁ文句言ってる暇あったら自分が書けよ、と。
今叩いてるのは単にコテ叩きしてるだけのような気がするよ。
内容がどうとかあんまり関係ない気がする。
あまりのマンセーぶりにカチンときた奴が煽ってるだけでしょ。
愉快犯なのかヘボな書き手なのかは知らんが。
例え内容がアンチの満足する内容だったとしても
今後は推力が出てきただけで荒れるでしょ。
完結しなきゃ意味無いっしょ。
お前等なあ…
自分で書けばいいって書き込んでてアホらしくならないのか?
そういう書きこみ自体が煽りなんだよ。自分等だけ違う立場みたいに書き込んでも
やってる事は同じなんだぞ?
まずはエロ書いてからご高説をぶってくれや。オレモナ(w
そうだな。
よし、洩れも書いてみよう!と書き始めたが
エロくならない。困った(w
推力タン、他のFF関連スレでも作品うp中じゃないかな?
こっちとはがらりと違って、あまあまなヤツ。
986 :
hide:03/04/21 01:14 ID:TXdully9
同点か
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l す | の | ゙、゙i:::i:::::::::| i `ー'´ | |
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| ぎ 敵 夢 | ゙i::::::::::::::゙i, j o | !
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゙、 る が に 、_ ,.:'´ ゙、::::::::::::゙、 ー=ニニニ=‐'
ヽ /´ ,.;'´ ミl::::::::::::::\ ゙゙';;;;ー-- -- ‐';;';
\ は / ,,.;'´ 三ミミl:::::::::::::::::::゙ヽ、:,:;;;, ,; ,;
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`''ー── '"´ ,:' ニ 三',i´ l、::::::| ;:;;' `゙゙"´: : : :
,、-';' 三,' )::::! '' : : : : : :
987 :
hide:03/04/21 01:17 ID:TXdully9
スマヌ カクイタマチガエタ
良スレのヨカソ
すごいエロじゃなくてもエロっぽかったらいいと思う・・・。
とりあえずクラウドが肉体改造をして、変わり果てたティファと再び…かな?
もしそうならやっと視点が重なる場面だろうから、濃い〜のが来れば良いなあ。
山場でもあるし。
仮にエロシーンがあったとしても、挿入後3行で終了するに1000推力。
あーあ。結局このスレ埋まっちゃったじゃん。
これで次スレ持ちこししたらまた次スレも荒れるじゃん。
まぁ荒れても最後まで読みたいんだけどね。
994 :
名無しさん@ピンキー:03/04/21 11:27 ID:eIE4Os0L
995 :
名無しさん@ピンキー:03/04/21 11:32 ID:aday0h2z
今更かもしれないけどさぁ
これからもコテで書くつもりならトリップつけた方がよくない?
推力さんの本文を騙るのはかなり難しいと思うけど
レスとか騙られる心配無い?
ここまで荒れるとなおさら心配。