「えっえっ...ひっく...」
タウン外れの人気の無い場所でレナはひとり泣いていた。
シューゴがミレイユのアジトで裸でいたという事がどうゆう意味を持つのか。
それを考えると胸が締め付けられる様で苦しい。
お兄ちゃんに彼女が出来たからって反対したりするのも本当は間違ってる。
でもイヤだ!レナだけのお兄ちゃんでいてくれなきゃヤダ!
頭の中に焼き付いたシューゴのヌードを追い出せず、レナはミレイユに嫉妬している自分を自覚した。
「どうしたの?こんな所で?」
「凰花、わぁ〜ん...お兄ちゃんがミレイユと!」
レナは凰花のふくよかな胸に顔を埋め泣きじゃくる。
(ちっ!先を越されたか!ミレイユの奴...うっ...そんなに力一杯顔を擦り付けたら感じちゃうじゃないか!)
凰花は優しくレナの頭を撫でながら心中で舌打ちした。
「レナ...ここじゃ目立つから静かな場所に移動しよう?ねっ?おいでよ?」
そう促すとレナの手を引いてゲートへ向かった。
>>577 の続き
「ひっく...ここは?」
「Θ欲深き 絶望の 陽鬼さ。ここなら夜で暗いから泣き顔も見えないし、ジャングルだから人気もないし...」
今だしゃくり上げているレナの手を引いて、凰花はゆっくりと歩み続ける。
暗い道を人魂が無数に漂い、尾を引いて行き交う幻想的な雰囲気だ。暫く行くと行き止まりに光を称えた泉が見えた。
「さあ、ここら辺でいいかなぁ?あんまり泉の近くに行くと精霊が出てきちゃう。」
「精霊がいると光ってるの?」
「そうだよ?知らなかった?綺麗でしょう?」
光に照らし出され涙に濡れた頬が輝く。
「少しは落ち着いた?」
凰花の問い掛けに、レナは思い出したかの様にまた瞳に涙を溢れさせた。
「そんなにショックだったの?」
「だって...お兄ちゃん...は..だかだったんだよ?」
(ひゅ〜う、ミレイユもやるなぁ〜)
凰花は胸の内で口笛を吹き感心したが顔には奥びにも出さずにレナに語りかける。
「私はてっきりレナはバルムンクが好きなのかと思っていたんだけど。」
「ひっく..剣士さまは剣士さま!お兄ちゃんはお兄ちゃんだもん!」
「レナはわがままだな...好きになるのは自由だけど相手は選んだ方がいい...そのふたりに思いを寄せても不毛じゃない?」
「えっえっ...凰花の意地悪ぅ〜」
「しょうがないなぁ...私が慰めてあげる...」
そう言うとレナの肩を抱き寄せて頬に光る涙を嘗め取ると優しく口づけした。
「!...凰花?」
驚くレナを尻目に凰花は防具の止具に手を掛ける。
「ちょっ...ヤメっ...凰花!お兄ちゃんが好きなんじゃないの?」
一瞬凰花の手が止まり、レナの耳元に顔を近付け、こう囁いた。
「バカだな...シューゴをからかったのは気を引きたかったから...もちろん彼じゃなくて...」
言うと同時に耳朶を嘗め上げる。
「ひゃっ...う...そ...」
レナは抵抗しようとするが、背筋がぞくぞくして力が入らず僅かに後ずさりするのみだった。
>>578 の続き
「嘘じゃないよ...始めて会った時からかわいいなぁ〜って思ってたの...」
囁きながらレナの唇を啄み、更に止具を外そうと手を延ばす。
「んっ..だっ..駄目だよ...女の子同志でこんな!」
レナは勢い良く凰花の手を降り払うと弾みで後ろにある泉に落ちてしまった。
「あなたが落としたのは金の斧ですかぁ?銀の斧ですかぁ?」
イベントが発動してコミカルな泉の精霊が飛び出し質問した。
「うるさーい!たぁーーーっ!」
凰花がムッシュと呼ばれる精霊に飛び蹴りを食らわすと宙に浮かんだままソレは沈黙した。改めて振り返り手を差し出す。
「ほら大丈夫?レナ捕まって?」
レナは泉に半身を漬けたまま呆然としていた。
我に返り、ようやく凰花の手を取り泉から這い上がると、小麦色の肌が露に濡れ一層悩ましく写る。
「あ〜あ、びしょ濡れじゃない?このままじゃ風邪引いちゃうから、ソレ脱いで?」
黙ったまま体を固くしていたレナを見て凰花は溜め息をつく。
「ふうっ、じゃあこれならいい?まさか濡れたままタウンに戻る?」
凰花はそういうと狼に変化した。
レナはおずおずと防具を外し側にあった木にかけ、下着だけの姿になる。
「くしゅ!」
「ほらこっちに来て?毛皮にくるまりな?」
レナは覚悟を決めて、ゆっくりと近付くと凰花の体に擦り寄る。
「ふう....凰花の身体って暖かいね?」
ようやく緊張を解いたレナを見つめ凰花はレナの姿態に伝う水滴を舌で嘗め取ってやった。
暖かくざらざらした感触に肌が栗立ち、レナは思わず声を立ててしまった。
「あんっ...」
それを聞いて凰花のしっぽが意味有りげにぱたぱたと揺れた。