マリア様がRAMってる

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449北枕 ◆9uYUnasIUE
「パラソルをさして」128ページから続くと思ってね

「・・・・・・席替えしてください」
 瞳子ちゃんは、令さまに向かって、うるうると瞳を潤ませて訴えた。
「席替え?」
「祐巳さまの隣は、瞳子の精神衛生上、よくありません」
 令さまは瞳子ちゃんの話をふんふんと聞いていたが、訴えを意外にあっさりと認めた。
「つまり瞳子ちゃんは、祐巳ちゃんの隣じゃ、いやなのね?」
「そうですぅ。集中できないんですぅ」
 令さまはため息をつくと、「じゃあ、そっちに」と別の席を瞳子ちゃんに示す。
「わあ、ありがとうございますぅ」
 瞳子ちゃんは、いそいそと着席した。

「これで、安心ですぅ・・・って、ここは祐巳さまのおひざの上じゃないですか!!」

 こういうの、ノリ突っ込みって言うのかな。
 祐巳は、自分のひざの上に座った、瞳子ちゃんの体重を感じながら、(逃げられないために)瞳子ちゃんのお腹の前で手を組んだ。
「そうだよ」
「”そうだよ”って、何で私の席が、祐巳さまのおひざの上なんですかぁ」
 抗議する瞳子ちゃんに、令さまが説明する。

「答えは、瞳子ちゃんが、祐巳ちゃんの連れてきた助っ人だからです。
薔薇の館の助っ人は、連れてきた人の膝に座って過ごす慣わしがあるのよね」
450北枕 ◆9uYUnasIUE :03/02/28 15:29 ID:6UwCnUws
「そんな・・・・・・聞いてません」
 瞳子ちゃんは、じたばたと暴れだした。
 それはまあ仕方ないよね、って祐巳は思った。学園中の尊敬を集める薔薇さまたちが、
薔薇の館で暇さえあればいちゃついているなんて、あまりみっともいいものではないから、説明できるわけがない。
 祐巳は瞳子ちゃんを強く押さえつけた。縦ロールが顔にあたって、ちょっと痛い。

 志摩子さんが遠い目をして言う。
「そう言えば・・・。乃梨子も始めはそうしていたわよね・・・・・・。ねえ、乃梨子、久しぶりに私のお膝に座ってみない?」
「え、いいの、志摩子さん?」
「ええ、もちろんよ」
 目を輝かせる乃梨子ちゃんにむかって、志摩子さんは花のようにほほえんだ。乃梨子ちゃんは、
嬉しそうにいそいそと志摩子さんのひざの上に腰掛け、そっと体を預ける。
 アンティークドールのような志摩子さんが、市松人形のような乃梨子ちゃんを抱きかかえてゆっくり体を揺らしている姿は、なかなか可愛らしい。
 ・・・・・・けれど、組み合わせがちょっとミスマッチな上に、二人とも成長しすぎているので、
どこか不気味な雰囲気も同時にただよってしまうのは、否めなかった。
451北枕 ◆9uYUnasIUE :03/02/28 15:30 ID:6UwCnUws
「そういう事。仲良くしようよ」
 祐巳は、暴れる瞳子ちゃんの耳にふーっと息を吹きかけた。
「あっ、みみっ、いやっ・・・・・・」
 瞳子ちゃんが体をびくっと震わせる。耳は弱いみたいだ。祐巳は瞳子ちゃんの耳に、噛み付くみたいに口を寄せて訊ねる。
「だけど、瞳子ちゃんって結構軽いね、体重は何キロぐらいなの?」
「な、何で祐巳さまに私の体重を教えなきゃいけないんですかぁ・・・・・・」
 瞳子ちゃんは、切ない声を隠す事もできないまま、意地を張って拒む。
 ああ、こうしてると、かわいいんだけどなぁ・・・・・・。
「教えてくれないなら、体に聞くもん」
 祐巳はちょっとおとなしくなった瞳子ちゃんの胸を後ろから掴んだ。おお、これは・・・・・・。
 もっとぺたっとしてるかと思ったけれど、意外に豊かではないか。思わずぎゅっと力をこめてしまう。
「い、痛っ・・・・・・」
「ごめーん。痛かった?」
 祐巳は、瞳子ちゃんの胸を制服の上から、今度は優しく揉み始めた。
「祐巳・・・さま、もう・・・やめてください・・・・・・う、うぅんっ」
 祐巳は揉みながら、他の三人に目配せする。

「若いっていいね・・・・・・」
「これで、仲良くなれるといいわね」
「こら瞳子。ちゃんと祐巳さまの言う事を聞きなさいよ?」
 令さまたちは、口々に言いながら荷物をまとめて出て行く。

 それに気付いた瞳子ちゃんが助けを求めて叫んだ。けれどその声は誰にも届かず、薔薇の館にむなしく響くのだった。

「お願い、置いて行かないで、祐巳さまと、二人きりにしないでぇ――――――!!」