933 :
929:04/02/07 12:55 ID:cVBGZ5nP
「姉崎…??」
「…えへへ、ごめんね、進君にこんな事言っても、何の事だか分かんないよね。」
(いや、付き合っていたのは知っている)
そう言いたかったが、口から言葉が出ない。
まもりの頬は紅潮し、目はうさぎのように赤くなっていた。
きっと長い間泣いていたのだろう。
ひっきりなしに雨が降っているので、頬を伝う雫が涙なのか雨粒なのかは分からない。
自分の泣き顔を見つめられるのが嫌なのか、まもりは目線を落として下を向いた。
夏服のブラウスが、濡れてべったりと肌に張り付いている。
小雨が気温を閉じ込めて、蒸し暑い夕方だった。
それなのに、彼女が小さく震えているのは、果たして雨で服が濡れて冷えたからなのか?
それとも、感情が高ぶっているからなのか?
934 :
930:04/02/07 13:06 ID:cVBGZ5nP
こんな時、桜庭なら何と声をかけるだろう。
とっさに、進はそう思った。
目の前で女が泣いている。傷ついている。
しかも、半ば無意識に、自覚もほとんどないとは言っても、進が初めて「女性」として意識した人が。
別れたのか?ヒル魔と?
泣いている。悲しいのか?奴に何を言われた?
まだ、奴が好きなのか?
その事実だけでも、進の思考回路を混乱させるに十分だった。
何か言わなければ。何か。
「姉崎、……傘は?」
見れば分かる。まもりは傘など持っていない。
まもりは声を出さず、力なく首だけ横に降った。
そして、はっと気が付いたように顔をあげる。
「…そうだよね、こんな所に立ったままだと進君だって濡れちゃう。…変なトコ見せちゃってごめんね!!」
935 :
930:04/02/07 13:12 ID:cVBGZ5nP
調子に乗って続き書いてみます。
まもりがヒル魔にふられた後という設定なので、苦手な方は気をつけてください。
936 :
930:04/02/07 13:15 ID:cVBGZ5nP
まもりは自分の弱い所を人に隠そうとする人間だった。
しかし、途方にくれて雨の中迷い歩いていた時、進を見て何故だかほっとした。
こんなボロボロな自分を見せたくないと思ったのに。
『悪い。やっぱり無理だ。もう、お前に前みたいな感情は抱けねぇ。』
あの時、ヒル魔に言われた一言。まもりの心に刺さった一言。
無意識のうちに、誰かに、この受け取りがたい事実を一緒に受け止めて欲しいと思ったのだった。
それは、『弱い自分を見せたくない』というまもりの信念を曲げるほどに切実で。
思わず別れた事を進に報告してしまったまもりだが、目の前で当惑している彼を見て、甘えてはいけない、そう思いなおした。
「………」
「んじゃ、またね、バイバイ!!」
無理やり笑顔を作り、進の横を通りすぎようとするまもり。
「!」
その瞬間、進は思わずまもりの腕を掴んでいた。
937 :
930:04/02/07 13:26 ID:cVBGZ5nP
進は、アメフト以外は全てにおいて不器用な男だ。
桜庭のように、女に上手な事は言えない。
それでも、雨の中、ボロボロになった女を、それも惚れた女を一人で放っておく事など出来ない、したくないと思った。
「……進君?…」
「雨にあたってばかりいると、姉崎、あんたも風邪をひく。」
そのままぐいぐいとまもりの腕を引っ張って歩く。
「え、ちょっ、…進君!!どこ行くの!?」
まもりの質問には答えずに、進は無言で歩いていく。
そして、着いたのは、近くの橋の下。
薄暗く、じっとりと湿った空気が辺りに満ちていた。
雨の日に河原に来る者など他には誰もおらず、二人の気配以外感じない。
「雨が止むまで、しばらくここにいればいい。」
「え…?だって、あなたトレーニング中でしょう?」
938 :
930:04/02/07 18:04 ID:cVBGZ5nP
「かまわん。」
「そんな」
「俺が一緒にいるのは嫌か」
「そうじゃないわ。でも、他の学校の選手の練習を妨害しちゃ悪いもの。」
「…あんたは今、落ちこんでいるのだろう。凹んでいる時に一人でいるのは辛い。」
「っ………!!!」
その言葉を聞いた途端、まもりは堰を切ったように泣き出した。
しゃがみ込み、声をあげて、まるで小さな子供のように。
今まで腹の中に溜め込んできた辛い気持ち、悲しい気持ちを全て吐き出してしまうかのように、大きな声をあげて泣いた。
そこにいるのはいつもの優等生ではなく、優しいお姉さんでもなく、只一人の少女。
「………。」
それを見て、進はまもりから少し離れた所に腰掛け、目を伏せる。
きっと彼女は泣き顔を見られたくないだろう、そう思ったからだった。
939 :
名無しさん@ピンキー:04/02/07 18:09 ID:TKCCi8Yk
(*´Д`)ハァハァ
940 :
930:04/02/07 18:13 ID:cVBGZ5nP
どれくらい時間が経っただろう。
辺りはいよいよ薄暗くなり、雨は止む様子もなかった。
まもりが泣きはらした顔をあげると、進はまだ、無言でもといた場所に座っていた。
何も言わずに、ずっと側にいてくれた…
進が自分を気遣ってくれる気持ちが嬉しかった。
しかし……同時に、自分は女の涙を武器にして、彼の気持ちを引こうとしているのではないか、そんな考えが頭を過った。
そんなの、卑怯だ。
自分は今、ヒル魔と別れたばかりで、でもまだ彼をキライになれなくて。
悲しいけど、それは自分一人で受けとめなきゃならない。これ以上、誰かに甘えて悲しみを紛らわしてはいけない。
941 :
930:04/02/07 18:15 ID:cVBGZ5nP
「…どうして進君、そこまで私の心配をしてくれるの?」
声を振り絞って、聞いた。
「……分からん。」
「そっか……ん!ありがとう!!泣くだけ泣いたら、大分楽になったみたい。」
にっこりと、笑ってみせる。
「だから、もう大丈夫。」
ゆっくりと立ち上がる。
「進君にいっぱい迷惑かけちゃってごめんね!もう、大丈夫。だから、帰ろう。」
「………。」
「大丈夫!!」
もう一度繰返した。
本当は、まだまだ『大丈夫』なわけではなかったけれど。これ以上、彼を足止めするわけにはいかない。
942 :
930:04/02/07 18:23 ID:cVBGZ5nP
「姉崎……」
普通に試合で会ったなら、または道端で出くわした時なら、奥手な進には絶対、にこのような事は出来なかっただろう。
振りつづける雨が周囲の音を消していたからか。
湿気を帯びた空気が、彼の心を惑わせたのか。
その瞬間、進はまもりを抱き寄せていた。
「『大丈夫』とばかり繰返すやつが本当に大丈夫なわけないだろう。」
腕に力を込める。
「俺は……あんたの事が、気になるんだ。」
「え?」
「放っておけない。」
「それって」
「………」
943 :
930:04/02/07 18:34 ID:cVBGZ5nP
突然の出来事に、まもりは驚きを隠せなかった。
今、自分は進の腕の中に収まっている。どうして?
心臓が大きく波うつのを感じた。
顔がどんどん熱を帯び、火照っていくのが分かる。
濡れた服を通して、進の温もりが伝わってきて、それが余計に頭を混乱させる。
「進君!?」
「………」
「い、痛いよ…」
(*´Д`)/lァ/lァ
(*´Д`)ハアハア
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| .次スレの季節に盛り上がってまいりました。. |
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∧∧.||
( ゚д゚)||
/ づΦ
次スレはアイシー21総合?
それともまもりオンリー?
来週のピンナップのまもり姉ちゃんはいい。
949 :
930:04/02/08 16:48 ID:q6ioMVtM
どうも1000までに収まるかどうか微妙です。無エロエピローグでここまで長くてごめんなさい…(´Д`)
書けるかどうかは微妙ですが、続き、まもりタンで何か希望のシュチュエーションとかありますか?
スレの前の方で出ていたけどミラクル×岡婦長とか王城マネ×誰かとか書いてみたいので、次は総合だと嬉しいです。
埋めたほうがよろしい?
新スレ即死回避したみたいだし
埋めてもいいんじゃないかな
倉庫格納依頼をしてきたので埋める必要は無い。
仮に倉庫格納が遅れても、むしろ書き込まないで圧縮時に強制dat落ちしてもらうほうが助かる。
980までもっていくか
一週間は長い
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埋め立てましょう
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埋めるのだ
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幼馴染スレ住人ハケン
ここが幼馴染みスレ
ume
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埋めるのだろうか
埋め立てて
これで1日経ったら落ちる
981になってからだっけ?