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香は物も言えずにハンマーを出現させた。
そして、そのあまりの瞬時の攻撃に、
ミックも、叫び声ひとつあげることも出来ず、
沈んだ。
僚がやって来たのは、その直後だった。
香は今の攻撃であがった息をおさえたが、
顔は紅潮したままだった。
誰かが入ってきたが、
間違えがあってはいけないと思い、
瞼は開けておいた。僚だった。
香は嬉しさのあまり、飛びついた。
自然と覚えさせられた動きが身体をつき動かす。
いやだ、恥ずかしい。と思ったが、
きっと薬のせいだと思ってくれると、
香は思った。
僚はミックの無惨な姿を見て、
香の快復を知ったが、
香の誤魔化しがあまりにも素敵だったので、
知らない振りをすることに決めた。
「僚!僚!お、おねが…い…。
あ、あたし…を、
離さ、ない…で!…捨て、ないで!」
香は薬に浮かされている振りに便乗して、
僚に、いつもなら言えない言葉を口にした。
知らず目に涙が溢れた。
僚は、それを嘗めとると、ぎゅっと抱き締めた。
「離すものか!」
「…ん…」
香は、緊張が一気に解け、
急に身体の痛みが蘇ってきた。
「いたっ!僚!も…」
僚の下で香が降参した。
だが僚としては、告白させられた分、
もとを取りたい気持ちであそこが一杯だった。
「離さないって、言っただろう?」
半分照れを隠しながら、僚は低い声で、
香に呟いた。
(さて3択です。1僚、香三昧。2麗香、不振な行動。3電話の相手、策略。レスよろしく)