118 :
95続き ◆qDeopgag :
「オムツの鍵は自分で取りに行きなさい。私はそこまで面倒みないからね。」
「・・・わ、わかってるよ!自分で取りに行くよ!」
「そうよね。それくらい自分でするべきよね。・・・でもね、そのオムツの上に
どんなものを穿いていくつもりなの?」
「・・・あ・・・。」
オムツはかなりの厚みがあり、まして粗相をしてしまったあとでは
ズボンを穿くことはできない。
「いい事があるわ。スカートを穿いていきなさい。それならオムツ穿いていても
外からは見えないから。」
「え?」
「大丈夫よ、上下一式貸してあげるから。カツラもあるから。変装にもなるし。」
もっともらしい理屈をつけて少女が少年にあたえたのは、よりにもよって、
派手なピンク色とレースのついたデザインで有名なブランドのワンピースだった。
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少年は、人でにぎわう夕方の商店街を、コインロッカーの鍵だけを持って、
うつむきながら駅に向かった。
(みんなが僕の事見てるよ・・・ニオイで気づかれたりしませんように・・・
あ、クラスの友達や先生に見られたりしませんように・・・
カツラもかぶってるから大丈夫だと思うけど・・・どうか誰にもばれませんように・・・
僕だってこともばれませんように・・・)
だが、この服装は余りにも目立ちすぎた。
すれ違う人は皆、少年に注目した。それは単に「場違いだけど可愛い服装の女の子がいる」
という認識だったが、少年は自分の粗相を見抜かれているような気がしてならなかった。
視線がすべて自分の下半身に集まっているように感じられた。
「あ、かわいい子。」
すれ違う自転車の女子高校生の声が聞こえた。無論、少年の事情など知る由もないのだが、
少年には耐えられなかった。
(・・・僕を、見ないで・・・)
いつもの駅までの5分の道のりは、生まれてから今までの時間よりも長く感じられた。
(続く)
119 :
◆qDeopgag :02/01/31 00:53 ID:2v/Mn6Gr
少年はようやく、駅にたどりついた。
「(これでやっと、オムツが脱げる・・・)」
少年は312番のコインロッカーを開けた。だが、入っていたのはメモだった。
「スカートの左のポケットにキーホルダーが入ってるから、それを見て」
少年は左のポケットをさぐった。
確かに、何かが入っていた。少年はそれをポケットから取り出した。
ずるっ
どさっ
鈍い音とともに、何かが足元に落下した。
それは、少年の穿いていた汚物塗れのオムツだった。
オムツには鍵がかけられていたのではなく、紐を引けば脱げるように
細工されていたのだった。キーホルダーに結ばれたその紐を引いてしまい、
少年はオムツの束縛から解放されるかわりに、おおぜいの前で
自分の粗相をさらしてしまった。
「(そういえばさっきスカートをはかされる時に・・・)」心当たりを思い出すが、
もはや後の祭りだった。
「あ、なんだよアレは?」「や・・・な、何よ?」
「うわ、臭い!」駅にいる人々はいっせいに、少女の服を着た少年と、
足元の汚物まみれのオムツに注目した。
「おい、どうしたのお嬢ちゃん?」駅員が歩み寄ってきた。
「な、な、なんでもありません!」
少年は泣きながら走り出した。