ピサロナイトと呼ばれた男は、アドンという名の魔族の騎士だった。
ピサロと同等、もしくはそれ以上の剣技を有し、古風とすら言えるほど
生真面目な彼をピサロは誰よりも信頼し、従者として側に置いた。
ピサロの人間界での侵略が本格化し、足並みを揃えるために魔界での
支配者としての地位を絶対のものにする必要が出てきた。
元々、力による統率が魔界の掟であり、臣下との関係も同じで、歯向かう
内部の勢力を、ある時は見せしめとして処刑し、また場合によっては
秘密裏のうちに始末した。
勇者となるべき子供がどこかで密かに育っているという知らせが入る頃には
血生臭い粛正も一段落し、少なくとも表面上はピサロに剣を向ける者は消えた。
叩き潰された者達は、ピサロの暗殺を試み、あるいは彼の弱点を模索した。
その執拗な探索の手がピサロの唯一の弱点、エルフの寵姫ロザリーに及び
そうになった時、流石のピサロも、このか弱き恋人を魔界から遠ざける決断を
くだした。
ホビット達が静かに暮らす、人里離れた村にロザリーを匿う事を決めると
ピサロが迷わず恋人の護衛に、アドンを選んだのは当然の成り行きだった。
ピサロに伴われて来たロザリーに、始めて会った時の衝撃を
アドンは忘れたことがなかった。薄暗く蝋燭の灯る部屋でピサロに促され
目深に被っていたベールを下ろし、怯えたような眼差しでアドンを見つめる
ロザリーは、彼の知りうる魔界のどの美姫よりも美しく可憐だった。
そしてその少女の傍らに立つ、自分の主であるピサロに今まで感じたことの無い
感情を覚えた。
嫉妬だった。
入口のない塔でアドンの新しい生活は始まった。新しい主とも言える
ロザリーはいつも悲嘆に打ち沈んでいた。
魔族と違い、まどろみのような平和を愛するエルフのロザリーにとって
恋人の行っている事は神に対する反逆であり、異種族の生命を脅かす
行為が恐ろしくてたまらなかった。
木の扉を隔てて時折すすり泣く声が聞こえてきたがアドンとロザリーが
言葉を交わすことは一度もなかった。
気まぐれに訪れ、繰り返される逢瀬。
ピサロは決まって長居しなかった。短い時間で必死に説得しようとする
ロザリーをなだめすかし子供のようにあやした。
ピサロが帰った後は、いつもロザリーが窓べに腰かけ顔を覆い泣いていた。
しかしその日は違っていた。
その日、ピサロはついに勇者を見つけたとロザリーに告げた。
そして勇者が住む村を襲撃することを愉快そうに語った。ロザリーが
涙ながらに哀願し、やめるように頼んでもピサロは取り合わなかった。
扉を通り抜け出ていく恋人の後ろ姿を追うようにロザリーは駆け寄った
が、ピサロナイトが無言で立ちはだかりそれ以上追うのを許さない。
「そこを退きなさいっ。ピサロ様お願いです、ピサロ様っ」
普段、もの静かな少女は反狂乱に拳を振り上げてアドンに
立ち向かうが、ピサロの足音が遠のくにつれ、抵抗は弱まっていった。
「ピサロ様ぁ…、あぁ…誰か」
アドンの胸にすがるように泣き始める。
すると不意にアドンがロザリーの背に両手を回し抱き締めた。
「え?あ、嫌っ…放しなさい!」
腕の中でもがくロザリーは、アドンにしてみれば小鳥が手の平で
あがくようなものだった。
少女の頤に手をやり強引に上向かせ深く口付ける。
「んっ、…ふ、…ん、嫌ぁ」
抵抗を許されず自由を奪われ次第に力を失いぐったりとアドンの
なすがままにされる。
アドンは唇を離し拘束する腕をゆるめる。夢にまで見たずっと
手に入れたかった少女が、今、自分の手の内にある。
ただならぬ事態に、恐怖に震えながら喘ぐロザリーにアドンは
必死の思いで声を震わせながらも囁いた。
「私は貴方がお寂しいことを知っています。ピサロ様はいつも
少ししか貴方に会われずろくに触れようともしない」
「何を」ロザリーは眉をしかめ険しい表情を作ろうとするが
上手くいかない。
「だから貴方は満たされない、ピサロ様がお帰りになった夜は
貴方はいつも御自分を慰めて… 」
「やめなさい!なにが…貴方になにが分かるのです」
ロザリーの双眸から涙が溢れルビーとなって床に落ちる。
「魔族の貴方になにが…」
それ以上は言葉にならず、はらはらと涙を流す。
この哀れな、主の想われ人はもう少しで陥落する。アドンはそう実感した。
「私は貴方の心の寂しさを埋めることはできません、しかし
体の寂しさなら埋めあわせて差し上げられます。
どうか私をあの方の代わりとして…」
ロザリーが泣くのをやめアドンを見つめる。人形のような
そのかんばせからは彼女の心を読むことはできなかった。
ロザリーの小さな頭部に手を添え、拒絶されることを恐れながらも
アドンはさっきより優しく、ロザリーの唇を啄むように角度を変え
ながら口付けをする。
ロザリーは抗おうとしなかった。目を閉じ、応えるようにおずおずと
舌を使ってアドンの犬歯をなぞる。徐々に貪るように激しくなっても
眉根をひそめながらも懸命にそれに応える。
一旦唇を離し、酔ったように瞳の焦点の定まらないロザリーを
抱き上げると、寝台に連れていった。
重く冷たい鎧を脱ぎ去り華奢な少女の上に覆い被さる。
先程の口付けで頤に溢れ滴った唾液を舌で掬い、鋭い犬歯で
特徴的なエルフの耳朶を甘噛みする。
「あっ、そこぉ 」
押し寄せる久しぶりの快楽に身を震わせ甘い声を漏らす。
耳を攻める一方で自由な両手でロザリーの胸の頂きを
ドレスごしに撫ぜる。
片手で器用にドレスの前をはだけそこに閉じ込められていた乳房に
直に触ると、その手の冷たさにロザリーは小さな悲鳴をあげた。
親指の腹で先端を潰すように押すと、小振りだが形のいい乳房が
力を加えられたままに、柔らかく形を変える。
たまらず胸を鷲掴みにして荒々しく揉むと
「 痛い…もっ…と優しく、んっ…ふぁ」
ロザリーが抗議の声を上げるが、素早く乳首を口に含むとまた
快感の波に溺れていく。
ロザリーのスカートを巻くし上げ、太腿を割らせて入れた
自らの足の膝で、少女の股を擦り付けるように動かすと、敏感に
感じるのか、もぞもぞと腰を動かす。
アドンはそれに満足すると口で胸を愛撫しながら手をロザリーの
足の付け根に添えた。
ショーツ越しに秘所に触れるとそこは既に溢れる蜜でぐしょぐしょになっていた。
中指でショーツの上から割れ目を何度も辿る。時に指を深く沈み込ませてみたり
ひだをなぞる。
「あ!…はっ、あ…んっ」
アドンから与えられる快感に耐え切れず、普段の慎ましさも忘れロザリーは
嬌声を上げる。アドンは上半身を起こすと、指を滑らせて遊んでいた
ショーツをはぎとり直に指を差し入れた。
「あぁっ」
秘所は十分に潤っていて容易に指の侵入を許す。熱く柔らかい内壁を
指に感じながら、探るように動かすとロザリーがたまらず身を反り返らせる。
指を増やし緩急をつけ攻め立てると絶頂が近いのか喘ぐ声も大きくなる。
「そこ…もっと…して、あっ!ぅん 」
蕾から指を引き抜き、蜜で濡れそぼるそれをロザリーの目前にもってくると
ロザリーは夢見るような表情で微笑みその小さな口と舌を使い濡れた音を立てて
アドンの指をしゃぶる。
指が奇麗になるとアドンはロザリーの両膝の裏に手を添え大きく曲げて開脚させた。
秘所が露にされたこの卑猥な姿勢に羞恥を感じて、少女は足を閉ざそうとするが
鍛え上げたアドンの腕力に適うわけもなく、されるがままになる。
薄い茂みに覆われた秘所は微かに震え、そこからは透明のぬるっとした愛液が滴っていた。
アドンはすでに固くなった己の剣を秘所にあてがうと一気に最奥まで貫いた。
長らく男を迎え入れなかった中は適度にアドン自信を締め付けてくる。
込み上げてくる射精感をこらえ、アドンは腰を使い抜き差しを始めた。
蜜で濡れた剣はいやらしい水音を立てて入口まで出たかと思うと、また奥まで打ち付けられる。
「あぁ!!きてっ、はっ…奥まで、当たるの好き…なのぉ…あん!」
アドンの腰に両足を絡めた姿勢で、遂に絶頂が訪れた膣内が急速に伸縮し
アドンの剣を締め付ける。
快感に我慢できずアドンもロザリーの中に精を放った。脈打ちながらほとばしる精子は
熱くうねる膣内を犯していく。
「ピサロ様、ピサロ様ぁ」
うわ言のように恋しい男を呼ぶ声を聞きながら、アドンは全ての欲望をロザリーの中に放った。
繋がったまま、アドンはぐったりと絶頂の余韻に浸るロザリーを抱き締める。
自分の胸に潰されるロザリーの柔らかな胸の鼓動を感じて、それだけで、彼女が自分を
恋人の代用として見ているに過ぎないとしても幸せだった。
二人の密やかな関係は最期まで知られることはなかった。
だから勇者達にはわからなかった。
「あれ?今の敵なにか持ってる」
「姉さん!死者にはもっと敬意を払って!」
「なにようミネア、いつもは魔物から金せしめるくせに、…綺麗、ルビーだ」
「姉さん!」
「分かったわよ。返しゃいいんでしょ返しゃ、じゃね、騎士さん、返すからこれ。ばいばい」
終