いい位置だぞきつみは
今日も寒いが、明日からは2月だぞ もうすぐ春だな
ある朝、三橋廉は幸せなまどろみから目覚めようとしていた
でももう少し寝ていたい・・・でも・・・
「あ、あれ?身体が変だ・・・」
起き上がろうとしたのに身体が言うことを聞かない
布団の中でもぞもぞを動くことしかできなかった
「な、なんだこれ?もしかしたら何かの病気か・・・」
嫌な予感がした
もし悪い病気か何かでこのまま身動きがまともに出来なくなってしまったら大好きな野球が出来なくなってしまう
どうしようどうしようどうしよう・・・頭の中が混乱してパニックを起こしてしまいそうだ
ふと気付いて、両手の指を動かしてみた・・・大丈夫、いつも通りにちゃんと動く
なら足は・・・身動きは取れないが、足先は動くし足の筋肉に力を入れることもできた
でも何で身体が動かないのだろう・・・なんとか渾身の力で全身を動かしてみた
ドスンッ!!
勢い余って布団に包まったままベッドから落ちてしまい、そのままもぞもぞと芋虫のように這いながら部屋の外へ出ようと試みた
でも身体が・・・中々動いてくれない・・・
一生このままなのか、いや、それは嫌だ!!野球が出来ない人生なんて・・・
「おはよう三橋!一緒に学校行こうぜ!!あれ?何で床で寝てるんだ?」
勢い良く開いたドアからは友人の田島が入ってきた
「た、田島くん・・・お、俺・・・変なんだ・・・」
「ん〜、ちょっと待ってろよ」
異常に気がついた田島は三橋が包まれている布団をはがしにかかった
「あ、あれ・・・この布団おかしいぞ、なんではがせないんだよ 三橋をしっかりとホールドしてるみたいだ」
それでも全力ではがしにかかる
暫らく悪戦苦闘していたが、ある瞬間に布団はスルリと難なくはげた
「あ、ありがとう田島君・・・でもなんで布団がこんなことに」
二人はまだ知らなかった・・・
それがその冬に大発生した「布団虫症候群」の前兆であることなど
亜流に「炬燵虫症候群」があり、感染力が凄まじく強いため俺らの皆様はどうぞお気をつけ下さいどっとはらい