ナイバッチきつみは
そろそろ柿をもいで干し柿を作ろうな
やばそうだった二つの台風も大雨とかあったが思っていた程じゃなくて良かったし
庭の柿もそれほど落ちなかったし今日はほどほどに晴れているし柿の収穫にはもってこいの日じゃないか
俺は梯子を持ってくるからきつみはは大き目のビニール袋を用意してくれ
また雨になったら大変だから今日中に終わらせような
三橋廉が異変に気付いたのはある日の真夜中だった
深夜にふと目覚めた彼は、自宅の庭から何やらか細い声の様なものがしているのを聞いた
こんな時間に誰だろう?両親のどちらかが夜の庭で作業でもしているのか、とも思いまた寝ようと布団を被ったが
ふと今夜は両親は群馬に行っていて不在だというのを思い出した
ではあれは・・・三橋はあまり考えないようにして布団を深く被って無理やりに眠りについた
次の日、朝早くに学校に行く際も庭の様子を見てみたが特に異変は無い
「き、きっと近所の猫とかでもいたんだよな・・・」
その後は特に気にもせずに過ごしていたが数日後、またしても夜中に庭から異音がした
ゴソゴソゴソ・・・ザワザワザワ・・・ミ、ミハ・・・
今日は両親も家にいる・・・それに自分を呼んでいる声のような音も聞こえた
思わず窓を開けて庭を見てみたが、月明かりに照らされた庭には何の異変もなかった
翌日、両親に昨夜の事を話してみたが寝ぼけていたんじゃないのか、と笑われた
ホームセキュリティも異常がないのでやはり勘違いだったのかな、と三橋は思った
念のためにと父親と庭を調べてみたが特に異変は無い
「ほら、なんともないだろう おっと、ガーデニング用の木が腐っているな
ここを踏んだら折れて崩れるから気をつけるんだぞ」
庭には母親の趣味で設置したガーデニング用の木の柱やらフェンス、踏み板やらがあるが
最近になって腐ってきておりそのうち撤去する事になっていた
ともあれこれだけ庭を探しても異常が無いということはやはり自分の勘違いだったのではないかと三橋は思った
だがその日の深夜、またしても目が覚めてしまった三橋はまた異様な現象に遭遇した
ガサガサガサ・・・ザワザワザワ・・・モ、モウスコシデ・・・ミハ・・・シ・・・
念のためにと三橋は頬をつねってみたが痛みを感じてこれが夢では無いことを知った
窓から覗き見した庭は月明かりの下でどことなく小刻みに震えているかに見えた
続く