俺ら「三橋、誕生日と連載100回おめでとう!!」

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684fusianasan
バイブ職人の朝は早い
日の出と共に目覚め、白褌一丁で禊の水浴びをする
冷たい井戸水を汲み、それを何度も何度も己にかけ、精神統一を図る
製作に入る前の雑念を消す儀式だと彼は教えてくれた
神棚に参り、仕事に取り掛かる
完全オーダーメイド制を取っているため作品一つひとつ全て形状と材質が違う
長さ、太さ、色、形、イボの数や大きさ、電動の動きの種類、振動数や回転数など
依頼主との綿密な話し合いを何度も行うのだという
「依頼主の希望を叶えるのが自分の仕事ですから」
少し照れたような顔で職人は言う
「例えば今作っているものなんですが、依頼主は若い男の子でしてね
自分自身に使いたいから、と依頼を受けたんですよ
始めはどんなのにするかとか聞いても恥ずかしがっていたんですが
何度も話し合ってやっと心を開いてくださいましてね
それから依頼主の身体を何度も測って深さとか一番感じる部分まで何センチとか
どのくらいの振動数が一番感じるかとか調べ上げてやっと製作に入ったんですよ」
手にした製作途中の作品を見せながら職人は色々と話してくれた
最後に、この仕事をしてよかったと思うのはどんな時か、と訊ねると
「そうですね…これを使って本当に気持ちよかった、と言ってもらえるのが一番ですかね」
赤黒い、大量のイボの付いたやや太目の作品を磨きながら、職人は嬉しそうに答えてくれた

この国の職人技はまだまだ侮れない
日本の未来は明るい、と取材して自分は思った