ある日、子三橋は夜道を急いでいた
「は、早く家に帰らないとお父さんとお母さんが・・・」
最近の寒暖の差の激しさに、三橋家では両親が風邪でダウンしてしまっていた
特に母親は重症で、食事の支度をする事もままならない状態だった
医者に行こうにも時間が遅く、とても動ける状態ではなかった
そこでただ一人、元気で動ける子三橋が夜も遅いというのに近所のドラッグストアに買い物に出かけたのである
「今帰るからね・・・ひえピタとお薬とパウチになったお粥もちゃんと買えたから・・・」
足早に家へと向かう子三橋は、物陰から自分を窺う怪しい集団に気づくことは無かった
「あんなに小さい子が・・・」「健気だ・・・俺たちも何かしてやりたい」
「よし、このままこっそりついて行って無事に帰宅できるまで見守ってやろう」
子三橋の持つ荷物を結構重くて、たまに歩みがふらつくことがあった
それでも家へと急ぐ姿は涙を誘うものがあった
「あっ!」
何かの拍子に躓いた子三橋が転んで、荷物が道に散乱してしまった
「あっ、お薬が・・・」
その時、音も泣く近づいてきた人影が散らばった荷物を拾い上げ袋に入れなおしてくれた
別の人影は子三橋を起こし、怪我が無いのを確認して服に付いた汚れを払ってくれた
「あ、あの・・・」
人影たちは子三橋に買い物袋とはまた違う別のビニール袋を差し出した
それを子三橋が受け取るのを見て、彼らはまた音もなく去っていった
「なんだったのかな?それにこれ・・・」
新しく渡された袋の中には数本のスポーツドリンクと一枚のメモが入っていてこう書かれていた
『熱があるときは水分も必要だよ お大事に』
「あ、ありがとう・・・変なおじさんたち」
「子三橋の無事帰宅を確認した」
「転んだときはどうしようかと思ったが・・・怪我も無くて良かった良かった」
「よし、解散してかえ」
「君たち、こんな遅くに何をしているのかね?最近物陰から子供をじっと見ている集団がいると聞いて警戒していたが・・・
ちょっとそこの派出所で話を聞かせてもらおうか」
まで妄想竹