確実にわかることは、俺の2学年下で、野球部のピッチャーで、苗字が「三橋」ってことくらいだった。夏の大会で応援席からしか見たことなかったし、どんな顔かまでは遠目からはわからなかった。
応援するのは楽しくやれても、選手らには別段興味なし。マネージャーが可愛いことと、監督のスイカップおっぱいだけは印象に残ってたけど……。
――そいつと接触して、俺は堕落した。
8月も終わろうとするある日。
国立大に進学予定の俺は、夏の暑さにも負けぬ丈夫な体を持ち、日々せっせと課外授業を受けていた。
彼女を作る暇もなかったぜ。むしろ、ストイックな俺は女を寄せ付けなかったぜ。つ、強がってなんかないんだからねっ!!
テニス部を引退し、打ち込むものがほぼ勉強へと向いていた。
この日の課外が終わり、俺は一つ伸びをすると机に突っ伏した。
このまま眠っちまいそうだ……。
毎日オールナイトニッポンを聴きながら勉強していたため寝不足になっていた。集中力が切れて上半身が起き上がらない。
「俺川君寝てるからそっとしとこー」
「しーっ」
俺のことを小声で話す女子の声が聞こえる。女子が俺を気遣ってくれている、その事実だけで俺はもうメシがうまい。
人気が消えていく教室。静まる校舎。遠くなる部活の掛け声、音。さらに教室にすうっと吹き込むそよ風が、夏の匂いと共に俺を夢の中へと誘った。
気が向いたら続く
前にも似たようなの書いた気がするが忘れた