俺「服着てるからいいよな?」

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483七夕の蝋燭@ ◆SESAXlhwuI
4日後に控えた埼玉大会 開幕式を前に、小休憩として7月7日の半日が
空いたのは偶然だった。浮かれた面々は、その半日を使って ちょっとした
肝試しをするか、七夕祭りをやるかで意見が分かれ揉めていた。
「一応、モモカンの許可取らなきゃなんねェんだし、派手なことは出来ねーかんな〜。」
 「わーってるよぉ。」
田島は一番に着替え終え、花井の念押しに口を尖らせた。
「なら やっぱ適当に短冊飾って終わり?」
 「えぇ〜〜っ!そんなのツマンネェ〜!」

「なら いっその事、両方やっちゃえばイイんじゃない?」

皆のやり取りを聞きながらベンチ前で のんびり着替え始めた三橋の横で、西広が提案する。
「笹の葉じゃなくて柳の木にでも短冊飾んのか?」
 「ハハハ、ごった煮www」
  「ぅんとねー、うちの親戚の住んでる地域だと、“七夕の日に提灯持って、はやし歌を
   歌いながら人の家を回って、ローソクを貰って歩く”っていう習わしがあるらしいんだ。」
西広は、知識をひけらかす素振りなど全く感じさせずに説明を続けた。
「今だとローソクじゃなくて、お菓子を配る家が多いらしいけど…」
 「丸っきりハロウィンじゃん。日本版ハロウィン。」
  「あ、分かったぞ西広。つまり提灯持って肝試ししようってンだな?」
   「うん。いくつかのポイントにローソクを置いて、決めた本数を持って帰ってくる、とか。」
具体案が出されていくにつれ、練習疲れでぐったりしていた各々の顔に
緊張と興奮が見え始める。