三橋「キャ、キャ、キャラット・キャキャキャラット♪」
目の前の皿の上に、すました顔の柏餅三橋がのっかっている。
「賞味期限 は 今日まで です よー」
俺がそっと手をのばすと、柏餅三橋の白いもち肌がプルリと震えた。
そのやわはだを包む柏の葉をつまんでゆっくりと捲り上げる。
ねっとりと、しかしこしのある肌が柏の葉に吸い付いている。
粘膜を引き攣らせるような感触に、柏餅三橋が抗議の声をあげる。
「あっ、やっ、やだぁ・・・」
あと3分もすれば賞味期限が切れちまうんだぞ。
そうなればおまえは生ゴミだ。この俺に食われることに感謝しろ。
「ふぐっ、うぅぅ・・・」
柏餅三橋がぎゅっと目をつぶる。目の端にうっすらと涙が滲んだ。
そうそういいこだ・・・再び俺は柏餅三橋の葉っぱを剥がしはじめた。
白く透き通ったもち肌がつやつやと輝いている。
「そんな、み ないで 下さ い・・・」
和菓子は目で楽しむ物だ。
まして節句のお菓子である柏餅の癖に生意気なことを。
そんなだからこんな時間まで売れ残るんだよ、おまえは!
柏餅続き
少しいらついた俺は、一気に柏餅三橋に齧りつく。
「あひっ!やっ!痛い!そんな、激しくされたらオレっ!」
ぷるぷるでもちもちの柏餅三橋の体が口いっぱいにとろける。
うっ、うめぇ!これ、味噌餡か?三橋のくせになまいきな。
俺は舌をすぼめると柏餅三橋の中を激しく舐めまわした。
「ひゃうっ、やっやぁぁぁっ、オレもうっ、だめ、ダメェェェーッ!」
ぐちゅぐちゅと音をたててかきまわし、トロトロになったところを啜り上げる。
「逝くっ、逝っちゃうぅ、キモ チ イイ・・・キモチイイ よぉぉ!」
スイーツとして生まれながら皆に無視され売れ残り、
消費期限を目の前にして絶望のふちに立たされていた
柏餅三橋が絶頂を迎えようとしている。
「お、オレ、売れ残り だ った けど、美味しい って 思う?」
美味いよ三橋。おまえはいい和菓子だよ!
「お、俺さん、ス キ・・・だ・・・」
柏餅三橋の体がとろけて消えた。俺の中に爽やかな甘味を残して・・・
ありがとう、柏餅三橋。
おまえとすごした2010年のゴールデンウィークが
今、終わりを告げた。
完