>>57 「エ エアー?」
「おう。最近のお前ってエアーだよな。」
学校の帰り道、榛名さんが月刊アフタヌーンを片手にそう言った。
エアーって、確か空気っていう意味だ。オレが 空気?
どういうことだろう
「存在感がないねってことだよ」
いつのまにか一歩後ろを歩いていた秋丸さんが笑顔で嫌な補足をしてくれた。
存在感が、ない。
それって 三星のときのオレのことだ
「い いやだ!オレ エ エアーになりたくない です」
「オレもさすがに今更主役になる気はしねえなあ」
「じゃあ、オレが主役やろうか?タイトルは童貞補佐・フリーのキャッチャー秋丸に変更で」
秋丸さんは無駄に眼鏡を外して熱弁したけど榛名さんはどうでもよさそうな顔をして、月刊アフタヌーンに再び目を落とした。
「おい、やっぱオレ主役っぽくね?」
「あれ、本当だ。タイトルをおおきいのに挿入できなくってに変えないとね!」
これにはさすがに、榛名さんも怒ったのか、目つきが一瞬戸田北時代に戻った。
そんな榛名さんに、秋丸さんはさすがに冷や汗をかきながら眼鏡を直すフリをして榛名さんから顔を背けた。
「いやあ、ごめんごめん。そんなに怒るなよ榛名。ところで三橋くん。このままじゃ、本当に主役を榛名に奪われてしまうよ。
そうならないための、秘訣を教えてあげようか」
「ひ ひけつ?」
「うん。オレの言うとおりにすればね、来月のアフタヌーンは袋とじで君のカラーページが入るよ」