「えー、お、沖君、まだ童貞なのぉ?」
三橋はいつものムカつく調子でゲラゲラと笑った。
情けないが、俺もいつものように黙りこくっていた。
ひとしきり笑ったあと、三橋が俺の肩をポンと叩いて言った。
「お、オレのお古でよければ、あ、あげるよ。さ、最近、ゆるくなってきたから、さ、ふひひっ」
こんな屈辱的な申し出は到底受け入れられるはずがない。
「い、いいよ」
断る俺に三橋はしつこく食い下がってきたが、飽きたのかそのうちどこかへ消えてしまった。
少し前まではこんな奴じゃなかったのに……。
2年の夏が終わった頃だったか、三橋に彼女ができた。
結構、女子にキャーキャー言われ始めていたし自然の流れのように思えた。
しかし、その彼女が相当のビッチだったらしく三橋は爛れた性春を謳歌したらしい。
すっかり女の味を覚えた三橋は寄ってくるファンの女の子全員に手をだし始めた。
そして、今に至るという訳だ。
しかし、ここに来て俺の勘忍袋の緒も切れた。
三橋を絶望の底に叩き落としてやることを決心した。
グチャグチャのズタボロにしてやる。