>>335 後ろから自転車のベルが鳴った。トレーナーを着たお父さんが自転車に乗ってこちらに突進してきた。
「廉、今帰りか?今日は早いなあ」
オレの横に並ぶとおとうさんはにこやかに言った。
「お おおとう さ」
「今日は午後休取ったんだよ、明日っから試験休みだろ」
「お とうさ あ の」
「廉の好きなもの作ってやるよ、今買い物から帰ってくる途中でな、偶には特製ハンバーグ作ってやるよ」
「オレ あ」
「香辛料の調合、この前TVでやっててな、一回試してみたかったんだよ」
「う お ご」
「あれ?廉?れーーーーーーーーーーーーん」
お父さん、ごめんなさい。オレまじでやばい。後で謝ります。ごめんなさいごめんなさい。
オレはお父さんを振り切って更に速度を上げて走った。
あと少し、あと少し。動悸が速まる。汗がこめかみを伝う。家の生垣が見えてきたもうすぐもうすぐ・・・・。
自転車を門の脇に横付けし、オレは自転車からそろりと降りた。まずい・・・これは非常にまず い。
荷物は後で取りに行くとして・・・ここから玄関・・・玄関からトイレ・・・遠い。この状態で歩くのか。
オレは一端太ももをギュッと締め付けるとソロソロと内股で歩き出した。一歩一歩の振動が尿道と膀胱に来る。
そう、それは慎重に歩き出した・・・・が。
飛び石につまづいてしまった。
したたかにお腹を打ちつけた。
もう、止める事はできなかった。
ほんの一瞬ちりっとした感覚の後は生暖かい液体がじわりとパンツとズボンの中に広がっていった。
どうしよう、これじゃあ家の中に入れない。どうしよう、早くしないとお父さんが来る。
オレは倒れたままオシッコを出し切った後ゆっくりと身体を起こした。
オシッコの生暖かさがズボンと足の間を伝い靴下と靴を濡らした。
目の前の地面にはお腹を押し当てた時に出来たおしっこのシミが隠しようの無い事実を語っている。
オレは頭が真っ白になった。涙が出た。高校生なのに。どうしよう、どうしよう、どうし・・・