映画おくりびとのパロです
ネタバレ要素有りなので、未鑑賞・鑑賞予定有りの俺等は回避してください
捏造多分に有り
保管らめえ
トンネルを抜けると一面の銀世界が広がる。
雪がチラチラと振っており、視界を曇らせている。車内にいるにも関わらず背筋が震える。
すきま風のせいだろうか。それとも俺が大人になったということだろうか。
子供時分は雪を疎ましく思っていただろうか。
三橋は物珍しそうに電車の窓から外界を見つめ、おぉ……と感嘆した。関東もそこそこ雪も降るし、積もるけど、ここまでの雪はよっぽど無い。
温かい溜め息が窓にかかり、曇る。白く濁って、まるで自分の心の中みたいだ。
三橋は俺の目線に気付いたのか、フヒッと笑顔を向け、「楽しみ、だね」と言い、曇った窓を一拭きした。
「た、ただい、まー」
「三橋……店潰れた」
「え……?」
ロードワークから帰ってきた三橋に低い声で伝える。
大学を卒業し、三橋と俺の母校である西浦高校で監督を始めている三橋は、体力を落とさないように、と毎朝毎晩ロードワークを行っている。
冷蔵庫から取ったポカリスエットに口を付けず、俺の言葉を聞いていた。